説明

基材分割方法

【課題】薄い基板を用いた場合でも、基板に機械的な応力が作用することによる割れを防
ぐ基材分割方法を提供する。
【解決手段】小片化された機能性膜片12a,12a,・・・が支持体11上に配列され
てなる2つの第1の積層体10,110を、分割対象である第2の積層体20の表面及び
裏面に、機能性膜片12a,12a,・・・が第2の積層体20の表面及び裏面のそれぞ
れに対向するように貼付し、機能性膜片12aを介することなく第2の積層体20を分割
する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の基材が積層され、両面に機能性膜が貼付された積層体を分割する基材
分割方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、複数の基材が積層され、両面に機能性膜が貼付された積層体としては、一対
の基板間に液晶を封入した積層体の両面に、前記機能性膜として偏光板を貼付した液晶パ
ネルが挙げられる。この液晶パネルを作製する方法としては、例えば、特許文献1に記載
の技術が知られている。
特許文献1によれば、以下の工程を経て複数の液晶パネルを製造することが開示されて
いる。すなわち、ガラス基板の外面に偏光板を貼付する工程と、該偏光板の一部を帯状に
切削し、ガラス基板を帯状に表出させる工程と、表出されたガラス基板の帯状領域に沿っ
て分割用のスクライブ溝を形成する工程と、該スクライブ溝に沿ってガラス基板を分割す
る工程とである。
【特許文献1】国際公開第03/40049号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記特許文献1に記載の技術では、基材(ガラス基板)と偏光板とを積
層した状態で前記偏光板を切削しているため、前記偏光板から前記基材に押し付けられる
機械的な応力である押し付け圧力が作用する。したがって、前記基材が薄板である場合に
は、前記偏光板の切削時に前記基材が割れてしまう可能性があった。
本発明は、上記のような点に着目してなされたもので、基材が薄い場合でも、押し付け
圧力を与えることなく当該基材を分割して積層体を得ることができる基材分割方法を提供
することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記目的を達成するために、第1の形態に係る基材分割方法は、支持体上に機能性膜を
積層して第1の積層体を形成する第1の工程と、
前記機能性膜に第1のレーザー光を照射して、小片化された複数の機能性膜片を前記支
持体上に配列する第2の工程と、
複数の基材が積層されてなる第2の積層体の両面に、前記複数の機能性膜片を対向させ
るように2つの前記第1の積層体を前記両面に貼付する第3の工程と、
前記支持体を透過させて前記第2の積層体の表面に第2のレーザー光を照射して前記基
材の内部に多光子吸収による改質領域を形成する第4の工程と、を含み、
前記改質領域が形成された部分で前記第2の積層体を分割して複数の第3の積層体を形
成することを特徴としている。
【0005】
この第1の形態によれば、予め小片化された機能性膜を支持体上に配列した第1の積層
体を基材に貼付させて、前記基材を分割するので、前記基材が薄くても前記押し付け圧力
が発生しないので、前記基材が割れにくくなる。
また、第2の形態に係る基材分割方法は、前記第2の積層体を分割して複数の第3の積
層体を形成した後に、前記複数の第3の積層体の両面の内の一方の面側に貼付された第1
の積層体の支持体を剥離する工程を含むことを特徴としている。
【0006】
この第2の形態によれば、前記複数の第3の積層体を形成することによって発生した端
材等が、前記支持体に接着したまま前記支持体を剥離するので、前記端材等を洗浄する回
数を削減できる。また、前記端材等を洗浄する回数が削減されるので、洗浄圧による基板
の割れも低減できる。
また、第3の形態に係る基材分割方法は、前記複数の第3の積層体の両面の内の一方の
面側に貼付された第1の積層体の支持体を剥離した後に、前記複数の第3の積層体の両面
の内の他方の面側に貼付された第1の積層体の支持体から前記複数の第3の積層体の各々
を分離する工程を含むことを特徴としている。
【0007】
この第3の形態によれば、小片化された第3の積層体がバラバラにならずに前記支持体
に保持されているので、後工程のFPCの接着時のアライメント等を一度で容易に行うこ
とができる。
また、第4の形態に係る基材分割方法は、第1から第3のいずれかの形態において、前
記機能性膜が、前記第3の工程において前記基材に対向する面に貼付される第1の保護フ
ィルムを有してなり、前記第2の工程と前記第3の工程との間で、前記第1の保護フィル
ムを剥離する工程を含むことを特徴としている。
【0008】
この第4の形態によれば、偏光板12を切断した際に発生し、各第1の保護フィルム片
13a,13a,・・・上に付着したデブリを第1の保護フィルム片13a,13a,・
・・と共に除去でき、前記デブリ等を洗浄する回数を削減できる。また、前記デブリを洗
浄する回数が削減されるので、洗浄圧による基板の割れも低減できる。
さらに、第5の形態に係る基材分割方法は、第1の形態〜第4の形態のいずれかにおい
て、前記機能性膜が、前記第1の工程において前記支持体に対向する面に貼付される第2
の保護フィルムを有してなり、前記支持体と前記第2の保護フィルムとの接着力が、前記
機能性膜と前記第2の保護フィルムとの接着力より大であることを特徴としている。
【0009】
この第5の形態によれば、第5の工程において発生するカレット等を、第2の保護フィ
ルムの剥離によって一緒に除去できることとなり、前記カレット等を洗浄する回数を削減
できる。また、前記カレットを洗浄する回数が削減されるので、洗浄圧による基板の割れ
も低減できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
この実施形態では、液晶パネルの素材となる基材を分割し、複数の液晶パネルを製造す
る基材分割方法について説明する。
【0011】
まず、本実施形態の基材分割方法によって作製される液晶パネルについて説明する。
(液晶パネル)
図1は、液晶パネルを示す斜視図である。
図1に示すように、液晶パネルは、液晶セル1と、1対の偏光板片12a,112aと
、FPC(Flexible Print Circuit)60とを有してなる。1対の偏光板片12a,11
2aのうち、偏光板片12aは、機能性膜として液晶セル1の一方の面に貼付される。ま
た、1対の偏光板片12a,112aのうち、偏光板片112aは、機能性膜として液晶
セル1の他方の面に貼付される。
【0012】
液晶セル1は、互いに対向させて配置したCF(Color Filter)基板21a及びTFT(T
hin Film Transistor)基板22aと、CF基板21aの外形に沿うように配置されたシー
ル部材23aと、両基板21a,22a及びシール部材4によって形成された空間に封入
された液晶50(図3(c)参照)とを有する。
CF基板21aは、下地基板の表面又は裏面のいずれか一方の面にCFを有する。
【0013】
TFT基板22aは、下地基板の表面又は裏面のいずれか一方の面に、液晶の配向状態
を制御するための外部端子(図示せず)や、TFTの形態で構成された前記外部端子の電
位を制御するためのスイッチング素子等を有する。
TFT基板22aの主面は、CF基板21aよりも広く、CF基板21aに重なる部分
と、CF基板21aに重ならない部分とを有する。これらのうち、CF基板21aに重な
らない部分(以下、耳部22bと呼ぶ)には、前記外部端子が配置される。FPC60は
この外部端子に接続されている。
【0014】
次に、本実施形態の基材分割方法の具体的な手順について、図面に基づいて説明する。
(第1の工程)
第1の工程は、第1の保護フィルム、第2の保護フィルム、及び偏光板を用いて第1の
積層体を形成する工程である。
図2(a)は、本実施形態の基材分割方法に用いられる第1の積層体を示す斜視図であ
る。図2(a)に示すように、第1の積層体10は、支持体11と、該支持体11の一方
の面に貼付された偏光板12及び保護フィルム13,14とを有する。
【0015】
支持体11は可撓性のフィルムである。支持体11の材料としては、後述する第2の工
程において使用する第1のレーザー光L1を透過し、後述する第5の工程において破断し
ない伸縮性があれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択されるが、例えば、透明な
エキスパンドフィルムが挙げられる。
支持体11の表面の大きさは、後述する第2の積層体20(以下、貼合せ基材20と呼
ぶ。)の表面の大きさ以上であり、貼合せ基材20の表面の大きさとほぼ同じであること
が好ましい。
【0016】
偏光板12は、特定の振動方向に振動する光のみを通す直線偏光特性を有する機能性膜
である。そして、偏光板12は、後述する第1のレーザー光L1を吸収すると共に、後述
する第2のレーザー光L2を透過する性質を備える。また、偏光板12の表面の大きさは
、後述する貼合せ基材20の表面の大きさとほぼ同じであればよい。
また、偏光板12の一方の面12aには接着層(図示せず)を介して第1の保護フィル
ム13が貼付される。また、偏光板12の他方の面12bには第2の保護フィルム14が
貼付されてなる。第1の保護フィルム13及び第2の保護フィルム14としては、透明で
偏光板12との接着性を確保できるフィルムが用いられる。
【0017】
図2(a)及び図2(b)は、第1の工程を説明するための斜視図である。
第1の工程では、図2(a)に示すように、第1の保護フィルム13及び第2の保護フ
ィルム14をそれぞれ両面に貼付した偏光板12を支持体11に貼り付けて第1の積層体
10を形成する。ここで、図中では偏光板12の表面の大きさは、貼合せ基材20の表面
の大きさとほぼ同じにしてある。また、偏光板12が支持体11に貼り付けられる際、支
持体11と第2の保護フィルム14とが対向するようにして貼り付けられる。
【0018】
また、同様にして、第1の工程では、図2(b)に示すように、第1の保護フィルム1
13及び第2の保護フィルム114をそれぞれ両面に貼付した偏光板112を支持体11
1に貼り付けて第1の積層体110を形成する。第1の保護フィルム13と第1の保護フ
ィルム113とは同じものである。また、第2の保護フィルム14と第2の保護フィルム
114とは同じものである。また、偏光板12と偏光板112とは同じものである。さら
に、支持体11と支持体111とは同じものである。
【0019】
(第2の工程)
第2の工程は、偏光板を小片化した偏光板片を支持体上に配設する工程である。
図2(c)は、第2の工程を説明するための斜視図である。
図2(c)に示すように、第2の工程では、第1の積層体10の偏光板12に向けて第
1のレーザー光L1を格子状に照射して、偏光板12を小片化した個々の偏光板片12a
,12a,・・・を支持体11上にマトリクス状に形成する。第1の積層体110につい
ても同様に、偏光板112に向けて第1のレーザー光L1を格子状に照射して、偏光板1
12を小片化した個々の偏光板片112a,112a,・・・を支持体111上にマトリ
クス状に形成する。
【0020】
ここで、第1のレーザー光L1としては、偏光板12が吸収しやすい性質のパルスレー
ザーを用いる。第1のレーザー光L1の例としては、YAGレーザーが挙げられる。
また、偏光板12には、CF基板用基材21から分割される各CF基板21aの表面の
外形に沿う予定の分割予定線(図示せず)が設定されている。前述したように、第1のレ
ーザー光L1によって偏光板12を複数の偏光板片12a,12a,・・・に小片化する
に際しては、これらの分割予定線に沿って偏光板12が分割される。同様に、偏光板11
2には、TFT基板用基材22から分割される各TFT基板22aの表面の外形に沿う予
定の分割予定線(図示せず)が設定されている。そして、第1のレーザー光L1によって
偏光板112を複数の偏光板片112a,112a,・・・に小片化するに際しては、こ
れらの分割予定線に沿って偏光板112が分割される。
【0021】
このようにして、この分割予定線に沿ってそれぞれ同じ大きさに小片化された偏光板片
12a、第1の保護フィルム片13a、及び第2の保護フィルム片14aがこの順で積層
されてなる積層体が、支持体11上にマトリクス状に配設された状態となる。一方、支持
体111上にも、分割予定線に沿ってそれぞれ同じ大きさに小片化された偏光板片112
a、第1の保護フィルム片113a、及び第2の保護フィルム片114aがこの順で積層
されてなる積層体がマトリクス状に配設された状態となる。
【0022】
この後、小片化された各第1の保護フィルム片13a,13a,・・・を剥離する。そ
れにより、第1のレーザー光L1を照射して偏光板12を切断した際に各第1の保護フィ
ルム片13a,13a,・・・上に付着したデブリ(deblis)を除去できる。同様に、小
片化された各第1の保護フィルム片113a,113a,・・・を剥離する。それにより
、第1のレーザー光L1を照射して偏光板112を切断した際に各第1の保護フィルム片
113a,113a,・・・上に付着したデブリを除去できる。
【0023】
(第3の工程)
第3の工程は、貼合せ基材の外側の面に、2枚の第1の積層体をそれぞれ貼り付ける工
程である。
ここで、貼合せ基材20について説明する。
図3(a)は、貼合せ基材20を示す斜視図である。
図3(a)に示すように、貼合せ基材20は、液晶セル1がマトリクス状に繋がった大
型の基板である。具体的に、貼合せ基材20は、CF基板用基材21と、TFT基板用基
材22と、両基材21,22間に配置した液晶50(図3(c)参照)と、液晶50を両
基材21,22間に封入するシール部材23とを含む。
【0024】
CF基板用基材21は、第1の基材として、複数のCF基板21がマトリクス状に繋が
った大型の基板である。また、TFT基板用基材22は、第2の基材として、複数のTF
T基板22がマトリクス状に繋がった大型の基板である。
また、シール部材23は、CF基板用基材21上において設定される個々のCF基板2
1aの外形に沿って液晶が封入される領域を囲繞する形状に複数形成されている。
【0025】
両基材21,22としては、石英やホウケイ酸ガラス等の透明な脆性材料からなるもの
を利用できる。その例としては、パイレックス(登録商標)、AN−100、OA−10
等が挙げられる。
図3(b)は、第3の工程を説明する斜視図であり、図3(c)は、図3(b)の3c
−3c線を含む面における断面図である。
【0026】
図3(b)及び図3(c)に示すように、第3の工程は、CF基板用基材21の表面に
、小片化された偏光板片12a,12a,・・・が対向するように第1の積層体10を貼
り付ける。同様に、TFT基板用基材22の表面に、小片化された偏光板片112a,1
12a,・・・が対向するように第1の積層体110を貼り付ける。
ここで、貼合せ基材20の両面には、第1の積層体10,110が貼り付けられている
ので、CF基板用基材21及びTFT基板用基材22が薄い場合でも、貼合せ基材20に
加えられた衝撃が第1の積層体10,110によって緩和され、貼合せ基材20の取り扱
いが容易になる。
【0027】
(第4の工程)
第4の工程は、CF基板用基材及びTFT基板用基材のそれぞれの内部に改質層を形成
する工程である。
図4(a)は、第4の工程を説明する斜視図であり、図4(b)は、図4(a)の4b
−4b線を含む面における断面図である。
図4(a)及び図4(b)に示すように、第4の工程では、支持体11を透過させてC
F基板用基材21の表面に第2のレーザー光L2を照射し、CF基板用基材21の内部に
改質層を形成する。同様に、支持体111を透過させてTFT基板用基材22の表面に第
2のレーザー光L2を照射し、TFT基板用基材22の内部に改質層を形成する。
ここで、CF基板用基材21内に改質層を形成する際には、支持体11上に設定された各
分割予定線d1〜d15に沿ってCF基板用基材21内に第2のレーザー光L2を順次照射す
る。これら各分割予定線d1〜d15は、CF基板21aの外形に沿って設定されている。
CF基板用基材21においてCF基板21aはマトリクス状に配列されているので、CF
基板21aの外形に沿って設定される各分割予定線d1〜d15は格子状をなす。また、各
分割予定線d1〜d15は、前述の第2の工程において偏光板12上に設定された分割予定
線と同じ間隔及び寸法で設定される。
【0028】
同様に、TFT基板用基材22内に改質層を形成する際には、支持体111上に設定さ
れた各分割予定線(図示せず)に沿ってTFT基板用基材22内に第2のレーザー光L2
を順次照射する。支持体111上に設定された各分割予定線は、TFT基板22aの外形
に沿って設定されている。TFT基板用基材22においてTFT基板22aはマトリクス
状に配列されているので、TFT基板22aの外形に沿って設定される各分割予定線は格
子状をなす。また、各分割予定線は、前述の第2の工程において偏光板112上に設定さ
れた分割予定線と同じ間隔及び寸法で設定される。
【0029】
また、第2のレーザー光L2としては、支持体11,111を透過しやすく、CF基板
用基材21及びTFT基板用基材22が吸収しやすい性質のパルスレーザーを用いる。第
2のレーザー光L2の例としては、フェムト秒レーザーが挙げられる。また、第2のレー
ザー光L2の偏光面は、偏光板片12a,112aと偏光面と同一方向に設定しておくこ
とが好ましい。これにより、第2のレーザー光L2が、偏光板片12に遮られることもな
く、CF基板用基材21に到達する。また、同様に、第2のレーザー光L2が、偏光板片
112aに遮られることもなく、TFT基板用基材22に到達する。
【0030】
このように、本実施形態では、支持体11を透過させ、かつ偏光板片12a,12a,
・・・の間を通してCF基板用基材21に第2のレーザー光L2を照射し、CF基板用基
材21内に改質領域を形成するようにした。また、支持体111を透過させ、かつ偏光板
片112a,112a,・・・の間を通してTFT基板用基材22に第2のレーザー光L
2を照射し、TFT基板用基材22内に改質領域を形成するようにした。すなわち、CF
基板用基材21と偏光板片12a,12a,・・・とを重ねた状態でCF基板用基材21
に分割の起点となる起点部を形成する際にCF基板用基材21に押し付け圧力がかかるこ
とを抑制できる。また、TFT基板用基材22と偏光板片112a,112a,・・・と
を重ねた状態でTFT基板用基材22に分割の起点となる起点部を形成する際に、TFT
基板用基材22に押し付け圧力がかかることを抑制できる。
【0031】
(第5の工程)
第5の工程は、貼合せ基材を複数の液晶セルに分割する工程である。
図5(a)は、第5の工程を説明する斜視図であり、図5(b)は、図5(a)の5b
−5b線を含む面における断面図である。
図5(a)及び図5(b)に示すように、第5の工程では、支持体11の上からCF基
板用基材21内の改質領域に相当する部分に負荷を与えて、CF基板用基材21上で設定
された分割予定線d1〜d15(図4(a)参照)でCF基板用基材21を各CF基板21
a,21a,・・・に分割する。また、同様に、支持体111の上からTFT基板用基材
22内の改質領域に相当する部分に負荷を与えて、TFT基板用基材22上で設定された
分割予定線(図示せず)でTFT基板用基材22を各TFT基板22a,22a,・・・
に分割する。
【0032】
このように、CF基板用基材21が各CF基板21a,21a,・・・に分割されると
共に、TFT基板用基材22が各TFT基板22a,22a,・・・に分割されることに
より、シール部材23を介してCF基板21aとTFT基板22aとが積層されてなる複
数の液晶セル1,1,・・・が形成される。これら複数の液晶セル1,1,・・・は、支
持体11に貼付された偏光板片12a,12a,・・・、及び支持体111に貼付された
偏光板片112a,112a,・・・に保持されることとなる。また、本工程によって耳
部22bに対向し、CF基板用基材21から分断された端材は、支持体11に保持された
状態となる。
【0033】
(第6の工程)
第6の工程は、支持体11を剥離する工程である。
図6(a)は、第6の工程を説明する斜視図であり、図6(b)は、図6(a)の6b
−6b線を含む面における断面図である。
図6(a)及び図6(b)に示すように、第6の工程では、支持体11を剥離して、該
支持体11に貼付された複数の偏光板片12a,12a,・・・を一度に剥離する。この
ように、小片化された複数の偏光板片12a,12a,・・・が1枚の支持体11に貼付
されているため、支持体11を剥離するだけで、第2の保護フィルム14を一枚一枚剥離
する労力を軽減することができる。また、このとき、第5の工程によってCF基板用基材
21から分断された端材も第2の保護フィルム14と共に支持体11によって除去される
。ここで、支持体11と第2の保護フィルム14との接着力は、偏光板12と第2の保護
フィルム14との接着力よりも強く設定される。このようにすることで、第2の保護フィ
ルム14が、支持体11から剥がれることなく該支持体11によって剥離される。
【0034】
(第7の工程)
第7の工程は、液晶セルにFPCを実装する工程である。
図7は、第7の工程を説明する斜視図である。
図7に示すように、第7の工程では、液晶セル1の耳部22bに形成された外部端子(
図示せず)にFPC60を実装する。このとき、支持体111によって液晶セル1が保持
されているので、一番手前の列に位置する液晶セル1,1,1,・・・にFPC60,6
0,・・・を一度に実装することができる。また、一番手前の列に位置する液晶セル1,
1,1,・・・が支持体111に保持されているので、FPC60を実装する際のアライ
メント等が容易にでき、自動化が促進される。
【0035】
(第8の工程)
第8の工程は、FPCが実装された液晶セルを個々に分離する工程である。
図8は、第8の工程を説明する斜視図である。
図8に示すように、第8の工程では、小片化され、FPC60が実装された液晶セル1
を治具(図示せず)によって支持体111からピックアップする。このように分離された
液晶セル1は、液晶パネル(図1参照)としてそのままケースに入れられ、後工程に流動
される。その後、液晶セル1,1,1,・・・が分離されたことによって一番手前の列に
位置することとなった液晶セル1,1,1,・・・に対して、前述の第7の工程を同様に
行い、一番手前の列に位置することとなった液晶セル1,1,1,・・・へのFPC60
,60,・・・の実装を繰り返す。このように、1列ごとに分離されることによって、順
次一番手前の列に位置することとなった液晶セル1,1,1,・・・にFPC60を実装
することができるので、効率的である。
【0036】
以上説明したように、本発明によれば、予め小片化された偏光板片12aを支持体11
上に配列した第1の積層体10を基材21に貼付させて、基材21を分割するので、基材
21と偏光板12とを重ねて分割する際に生じる押し付け圧力が発生しない。その結果、
基材21が薄くても分割時に割れにくくなる。これは不良品の発生に対する費用(失敗コ
スト:Failure Cost)を低減することにつながる。また、各工程中において発生したデブ
リやカレット等が、第1の保護フィルム13や、第2の保護フィルム14に付着しても、
第1の保護フィルム13や、第2の保護フィルム14を剥離することで洗浄回数が減少し
、製造コストを削減できる。
【0037】
(他の実施形態)
上述の実施形態では、偏光板12の両面に第1の保護フィルム13、及び第2の保護フ
ィルム14が設けられた形態を説明した。一方、本発明に係る基材分割方法の他の実施形
態としては、偏光板12には、第1の保護フィルム13、及び第2の保護フィルム14の
少なくともいずれかを欠くものであってもよい。例えば、偏光板12に第1の保護フィル
ム13、及び第2の保護フィルム14のいずれも設けられていない場合には、上述の実施
形態の「第6の工程」において、支持体11のみが偏光板片12a,12a,・・・から
剥離されることとなる。また、この場合、第1の保護フィルム13を有していないので、
「第3の工程」を行う前に、第1の保護フィルム13を剥離する労力を削減することがで
きる。この実施形態は、「第2の工程」におけるデブリ等の発生、及び「第5の工程」に
おけるカレット等の発生を考慮しなくてもよい場合に好適である。
【0038】
また、偏光板12の一方の面に第1の保護フィルム13のみが設けられた場合には、「
第6の工程」において、支持体11のみが偏光板片12a,12a,・・・から剥離され
ることとなる。この実施形態は、上記実施形態において第2の保護フィルム14が設けら
れない場合に該当する。この実施形態は、「第5の工程」におけるカレット等の発生を考
慮しなくてもよい場合に好適である。
【0039】
また、偏光板12の他方の面に第2の保護フィルム14のみが設けられた場合には、「
第3の工程」を行う前に、個々の第1の保護フィルム13を剥離する必要がない。この実
施形態は、上記実施形態において第1の保護フィルム13が設けられない場合に該当する
。また、この実施形態は、「第2の工程」におけるデブリ等の発生を考慮しなくてもよい
場合に好適である。
【0040】
また、本実施形態では、「第3の工程」において、貼合せ基材20の両面に第1の積層
体10,110を貼付したが、偏光板が貼合せ基材20の片面のみでよい場合は、例えば
、第1の積層体110の偏光板112を省略してよい。
また、本実施形態では、機能性膜として偏光板を例としたが、この機能性膜は、貼合せ
基材20の外側の面に設けられて貼合せ基材20に対して何らかの効果を奏する機能を有
する膜であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択される。例えば、この機能性膜
としては、光学的機能を有する偏光板に限られず、保護膜など貼合せ基材20の外側の面
を保護する膜でもよい。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本実施形態の基材分割方法によって作製された液晶パネルの斜視図である。
【図2】第1の工程及び第2の工程を説明する斜視図である。
【図3】第3の工程を説明する図である。
【図4】第4の工程を説明する図である。
【図5】第5の工程を説明する図である。
【図6】第6の工程を説明する図である。
【図7】第7の工程を説明する斜視図である。
【図8】第8の工程を説明する斜視図である。
【符号の説明】
【0042】
1…液晶セル、10,110…第1の積層体、11,111…支持体、12,112…
偏光板(機能性膜)、12a,112a…偏光板片(機能性膜片)、13,113…第1
の保護フィルム、14,114…第2の保護フィルム、20…貼合せ基材(第2の積層体
)、21…CF基板用基材(第1の基材)、21a…CF基板、22…TFT基板用基材
(第2の基材)、22a…TFT基板、23…シール部材、60…FPC

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体上に機能性膜を積層して第1の積層体を形成する第1の工程と、
前記機能性膜に第1のレーザー光を照射して、小片化された複数の機能性膜片を前記支
持体上に配列する第2の工程と、
複数の基材が積層されてなる第2の積層体の両面に、前記複数の機能性膜片を対向させ
るように2つの前記第1の積層体を前記両面に貼付する第3の工程と、
前記支持体を透過させて前記第2の積層体の表面に第2のレーザー光を照射して前記基
材の内部に多光子吸収による改質領域を形成する第4の工程と、を含み、
前記改質領域が形成された部分で前記第2の積層体を分割して複数の第3の積層体を形
成することを特徴とする基材分割方法。
【請求項2】
前記第2の積層体を分割して複数の第3の積層体を形成した後に、前記複数の第3の積
層体の両面の内の一方の面側に貼付された第1の積層体の支持体を剥離する工程を含むこ
とを特徴とする請求項1に記載の基材分割方法。
【請求項3】
前記複数の第3の積層体の両面の内の一方の面側に貼付された第1の積層体の支持体を
剥離した後に、前記複数の第3の積層体の両面の内の他方の面側に貼付された第1の積層
体の支持体から前記複数の第3の積層体の各々を分離する工程を含むことを特徴とする請
求項2に記載の基材分割方法。
【請求項4】
前記機能性膜が、前記第3の工程において前記基材に対向する面に貼付される第1の保
護フィルムを有してなり、前記第2の工程と前記第3の工程との間で、前記第1の保護フ
ィルムを剥離する工程を含むことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の基材分
割方法。
【請求項5】
前記機能性膜が、前記第1の工程において前記支持体に対向する面に貼付される第2の
保護フィルムを有してなり、前記支持体と前記第2の保護フィルムとの接着力が、前記機
能性膜と前記第2の保護フィルムとの接着力より大であることを特徴とする請求項1から
4のいずれかに記載の基材分割方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−149176(P2010−149176A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−332963(P2008−332963)
【出願日】平成20年12月26日(2008.12.26)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】