基板と半導体素子の接合方法及び接合体
【課題】接合体の反りを実用上十分に抑制できる基板と半導体素子の接合方法を提供する。
【解決手段】接合材料3を半導体素子2及び基板1で挟持した積層物を、前記接合材料が加熱されるようにして積層方向に加圧する加圧工程を備える、半導体素子の接合方法であって、前記加圧工程において、前記接合材料と対向する面とは反対の前記基板の面のうち加圧力が印加される加圧部分と、前記半導体素子の前記接合材料と対向する対向面との、前記積層方向に見た重なり部分の面積が、前記積層方向に見た前記半導体素子と前記基板の重なり部分の面積よりも小さくなるようにし、且つ、前記半導体素子の重心から前記積層方向に伸びる直線が前記加圧部分と交わるようにして、加圧を行う接合方法を提供する。
【解決手段】接合材料3を半導体素子2及び基板1で挟持した積層物を、前記接合材料が加熱されるようにして積層方向に加圧する加圧工程を備える、半導体素子の接合方法であって、前記加圧工程において、前記接合材料と対向する面とは反対の前記基板の面のうち加圧力が印加される加圧部分と、前記半導体素子の前記接合材料と対向する対向面との、前記積層方向に見た重なり部分の面積が、前記積層方向に見た前記半導体素子と前記基板の重なり部分の面積よりも小さくなるようにし、且つ、前記半導体素子の重心から前記積層方向に伸びる直線が前記加圧部分と交わるようにして、加圧を行う接合方法を提供する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板と半導体素子の接合方法及び接合体に関する。
【背景技術】
【0002】
基板と半導体素子とを接合材料を介して接合する方法としては、厚さ30ミクロン以下、ヤング率1×1010Pa以上のフィルムを介して、半導体素子側から加圧加熱する方法などが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2006−229124号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記のような接合方法で接合された接合体は、実用上十分に反りが抑制されたものではなかった。そこで本発明は、接合体の反りを実用上十分に抑制できる、基板と半導体素子の接合方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の接合方法は、接合材料を半導体素子及び基板で挟持した積層物を、上記接合材料が加熱されるようにして積層方向に加圧する加圧工程を備える、半導体素子の接合方法であって、上記加圧工程において、上記接合材料と対向する面とは反対の上記基板の面のうち加圧力が印加される加圧部分と、上記半導体素子の上記接合材料と対向する対向面との、上記積層方向に見た重なり部分の面積が、上記積層方向に見た上記半導体素子と上記基板の重なり部分の面積よりも小さくなるようにし、且つ、上記半導体素子の重心から上記積層方向に伸びる直線が上記加圧部分と交わるようにして、加圧を行うことを特徴とする。
【0005】
図16は従来の接合方法により半導体素子と基板を接合する方法を説明するための断面図である。従来の接合方法は、図16に示すように、表面が平らなステージ6上に、基板1、接合材料3、半導体素子基板2aと電極2bを備える半導体素子2、及びフィルム5とをこの順に配置した後、高温の加熱圧着具4により矢印の方向に加圧するものである。加熱圧着具4により接合材料3が加熱され硬化反応が誘起されるとともに、加圧力の印加により半導体素子2が基板1に接合される。図17は、上述の方法により、接合が終了した状態を示す断面図である。図17に示すように、加圧力が印加されている状態では、半導体素子2は基板1に正常に接続している。
【0006】
図18は、上述の方法による加熱及び加圧が終了し、常温に戻った接合体を示す断面図である。図18に示すように、従来の接合方法によれば、半導体素子2に接合された基板1には反りが生じる。従来の接合方法では、高温の加熱圧着具4を用いて加熱加圧する工程で、半導体素子2の上面からのみ加熱されることになるため、半導体素子2と基板1との間に温度差が生じ、半導体素子2の熱膨張量より基板1の熱膨張量が小さくなることで、接合後の接合体の冷却時に接合体に反りが生じると考えられる。
【0007】
一方、本発明の接合方法は、上記接合材料と対向する面とは反対の上記基板の面のうち一部にのみ加圧力を印加することを特徴としている。これにより、冷却後に発生する反りとは反対方向の反りを、加熱圧着時にあらかじめ与えることができる。したがって、冷却後に半導体素子及び基板が収縮した際には互いの反り量が打ち消し合い結果的には反りを抑制することができる。
【0008】
本発明の接合方法は、上記加圧工程において、上記加圧部分を押圧する加圧具を配し、上記加圧を行ってもよい。
【0009】
このような加圧具を用いることで、接合体の反りの抑制がより容易となる。
【0010】
本発明の接合方法において、その接合材料は、絶縁樹脂に導電粒子を含有させた導電フィルム又は絶縁樹脂に導電粒子を含有させた導電ペーストであってもよく、導電フィルムは、異方導電フィルムであってもよい。導電フィルム又は導電ペーストを用いた場合には、導電粒子により半導体素子と基板の電気的接合を確保することができる。接合材料は、絶縁樹脂フィルム又は絶縁樹脂ペーストであってもよい。絶縁樹脂フィルム又は絶縁樹脂ペーストを用いた場合には、半導体素子の電極と基板が直接接触するように接合させて電気的接合を確保することが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明の接合方法によれば、実用上十分に反りの抑制された、半導体素子と基板の接合体を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図面を参照しながら、好適な実施形態を説明する。なお、図面の説明において同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。また、図面は理解を容易にするため一部を誇張して描いており、寸法比率は説明のものとは必ずしも一致しない。
【0013】
図1は、本発明の接合方法によって得られる接合体を模式的に示す断面図である。図1に示す接合体100は、基板1と、半導体素子基板2aと電極2bを備える半導体素子2と、基板1及び半導体素子2との間に配置されこれらを接合する接合材料3と、を備えている。接合体100においては、半導体素子2の電極2bが基板1に対向するようにして配置されている。
【0014】
実施形態に係る半導体素子の接合方法は、接合材料を半導体素子及び基板で挟持した積層物を準備する積層工程と、上記接合材料が加熱されるようにして積層方向に加圧する加圧工程を備える。
【0015】
図2は、積層工程を説明するための断面図である。積層工程では、基板1上に、接合材料3、半導体素子基板2aと電極2bを備える半導体素子2を、電極2bが接合材料3側になるように、この順に配置し、積層物200を得る。
【0016】
図3は加圧工程を説明するための斜視図であり、図4はこの加圧工程を説明するための断面図である。図3及び4に示すように、加圧工程においては、ステージ6の片面にスペーサー7を備える加圧具8の上に、基板1がスペーサー7と接触するようにして、上記積層工程で得た積層物200を配置する。図5は、積層方向に見たスペーサー7と半導体素子2との重なり部分を示す図である。図5に示すように、基板1、接合材料3及び半導体素子2がこの順に積層された積層物200においては、接合材料3と対向する面とは反対の基板1の面のうち、斜線で示す部分にスペーサー7が接しており、このスペーサー7の部分に加圧力が印加される。また、加圧部分と、半導体素子2の接合材料3と対向する対向面との、積層方向に見た重なり部分の面積(すなわちスペーサー7と基板1が接する斜線部の面積)が、積層方向に見た半導体素子2と基板1の重なり部分の面積(図5においては半導体素子2の接続材料3と接する面の面積である)よりも小さくなっている。図3の矢印は積層物200の積層方向を示すが、同図に示すように、半導体素子2の重心から積層方向に伸びる直線5が加圧部分と交わっている。この位置関係は、図5にも示されている。すなわち、直線5は、積層方向に見たスペーサー7と半導体素子2との重なり部分(斜線部分)と交わっている。図3〜5は、基板1、半導体素子2及び接合材料3が平板状である場合を示すものであるが、これらは平板状に限らず種々の形状を取ることができる。その場合において、基板1、半導体素子2及び接合材料3からなる積層物200を水平面に設置したときに、その水平面から垂直に伸びる線が積層方向となる。
【0017】
図6は、実施形態に係る接合方法に従って、半導体素子と基板を接合する方法を説明するための断面図である。上述の方法で配置を行った後、図6に示すように、半導体素子2の上面より加熱圧着具4により加熱加圧を行うことで、半導体素子2と基板1を接合する。なお、図6に示すように、加熱圧着具4を用いることで、加熱と加圧を同時に行うようにする方法以外に、加熱と加圧を別の手段で実施する方法もある。例えば、加熱されたオーブンの中で加圧力のみを印加する圧着具を用いてもよい。
【0018】
図7は加圧力が印加されている状態を示す断面図である。図7に示すように、スペーサー7が基板1の下面に存在するため、冷却後に発生する反りとは反対方向の反りを基板1や接合材料3に与えながら加圧力が印加される。したがって、冷却後に半導体素子2及び基板1が収縮した際には互いの反り量が打ち消し合い結果的には反りを抑制することができ、図1に示すような、反りのない接合体100が得られる。
【0019】
本発明の接合方法は、前述した実施形態に限定されるものではなく、接合材料と対向する面とは反対の基板の面のうち加圧力が印加される加圧部分と、半導体素子の接合材料と対向する対向面との、積層方向に見た重なり部分の面積が、積層方向に見た半導体素子と上記基板の重なり部分の面積よりも小さく、且つ、半導体素子の重心から積層方向に伸びる直線が加圧部分と交わる限りにおいて様々な実施形態をとることができる。
【0020】
図8は、上記の方法とは異なる態様において、積層方向に見たスペーサーと半導体素子との重なり部分を示す図である。図8に示すように、基板1、接合材料3及び半導体素子2がこの順に積層された積層物200においては、接合材料3と対向する面とは反対の基板1の面にスペーサー7が接しており、このスペーサー7の部分に加圧力が印加される。この加圧部分と、半導体素子2の接合材料3と対向する対向面との、積層方向に見た重なり部分の面積(図8の斜線部の面積)が、積層方向に見た半導体素子2と基板1の重なり部分の面積(図8においては半導体素子2が接続材料3と接する面の面積である)よりも小さくなっている。また、直線5は加圧部分(斜線部分)と交わっている。このような方法によっても、図1に示すような、反りの低減された接合体100を得ることができる。
【0021】
図9は、上記の方法とは異なる態様において、積層方向に見たスペーサーと半導体素子との重なり部分を示す図である。図9には、積層方向から見て半導体素子2より大きい面積を持つスペーサー7を使用した例が示されている。この場合においても、加圧部分と、半導体素子2の接合材料3と対向する対向面との、積層方向に見た重なり部分の面積(図9の斜線部の面積)が、積層方向に見た半導体素子2と基板1の重なり部分の面積(図9においては半導体素子2が接続材料3と接する面の面積である)よりも小さくなっている。また、直線5は加圧部分(斜線部分)と交わっている。このような方法によっても、図1に示すような、反りの低減された接合体100を得ることができる。
【0022】
図10は、上記の方法とはさらに異なる態様において、積層方向に見たスペーサーと半導体素子との重なり部分を示す図である。図10には、積層方向から見て半導体素子2より大きい面積を持つスペーサー7を使用した例が示されている。この場合においても、加圧部分と、半導体素子2の接合材料3と対向する対向面との、積層方向に見た重なり部分の面積(図10の斜線部の面積)が、積層方向に見た半導体素子2と基板1の重なり部分の面積(図10においては半導体素子2が接続材料3と接する面の面積である)よりも小さくなっている。また、直線5は加圧部分(斜線部分)と交わっている。このような方法によっても、図1に示すような、反りの低減された接合体100を得ることができる。
【0023】
上述の方法において、接合体の反りを抑制するという観点では、〔(加圧部分と半導体素子2との重なり部分の面積/半導体素子2と基板1の重なり部分の面積)×100〕は1〜70であることが好ましく、1〜30であることが好ましい。
【0024】
基板1としては、例えば、外形:5mm×5mm〜600mm×600mm、厚み:0.1mm〜1.5mmの形状を有するものを用いることができる。
【0025】
半導体素子2としては、例えば、外形:0.5mm×0.5mm〜2mm×30mm、厚み:0.5mm〜0.8mmの形状を有するものを用いることができる。
【0026】
また、上述の形状の基板1及び半導体素子2を接合する場合、スペーサー7の厚みは、1〜10μmであることが好ましい。このような厚みのスペーサー7を用いた場合、加熱圧着具4による半導体素子2の加熱の均一性が増し、より接合体の反りを抑制することができる。また、このような厚みのスペーサー7を用いると、電気的導通を必要とする場合にも、実用上十分な範囲の接続抵抗を得ることができる。
【0027】
このとき、接合信頼性を保持する観点からは、スペーサー7の厚みは1〜5μmであることが更に好ましい。また、薄型の接合体、特に厚さが0.6mm以下の接合体の接合に用いる場合には、1〜3μmであることが好ましい。
【0028】
スペーサー7の材質としては、半導体素子2と基板1の加熱加圧による接合を妨げないものであれば特に制限はなく、例えば、SUS箔、銅箔、アルミ箔、チタン箔等の金属箔、PET、ポリフッ化エチレン系繊維等の有機材料が挙げられる。
【0029】
また、上述の方法では、スペーサー7と基板1が接する部分の形状は四角形であるが、五角形、六角形等の多角形、丸形など多種の形のものを使用してもよい。
【0030】
また、加圧具8としては、ステージ6の片面上にスペーサー7を単に載せたものを使用することもできるが、ステージ6とスペーサー7が一体化した加圧具8を使用してもよい。
【0031】
図11は、他の実施形態に係る接合方法に従って、半導体素子と基板を接合する方法を説明するための断面図である。この実施形態では、上記と同様の方法で積層物200を準備した後、断面が弓形の曲面を有する加圧具8を準備する。このような加圧具8の上に、上記積層工程で準備した積層物200を加圧具8と基板1が接するように配置する。このとき加圧具8と基板1の接触部分(加圧部分)の面積は、半導体素子2の積層方向に見た面積よりも小さいものを用いる。また、半導体素子の重心から積層方向に伸びる直線が、直線状の加圧部分と交わるようにする。なお、加圧部分が線である場合には、その面積は0となるが、この場合も「面積」があるものとして扱う。上述のように配置した後、半導体素子2の上面より加熱圧着具4により加熱加圧を行い半導体素子2と基板1を接合する。
【0032】
このような実施形態によっても、図1に示すような、反りの低減された接合体100を得ることができる。
【0033】
図12は、上記とはさらに異なる実施形態に係る接合方法に従って、半導体素子と基板を接合する方法を説明するための断面図である。この実施形態では、上記と同様の方法で積層物200を準備した後、断面が切妻形状を有する加圧具8を準備する。このような加圧具8の上に、上記積層工程で準備した積層物200を加圧具8と基板1が接するように配置する。このとき加圧具8と基板1の接触部分(加圧部分)の面積は、半導体素子2の積層方向に見た面積よりも小さいものを用いる。また、半導体素子の重心から積層方向に伸びる直線が、直線状の加圧部分と交わるようにする。上述のように配置した後、半導体素子2の上面より加熱圧着具4により加熱加圧を行い半導体素子2と基板1を接合する。
【0034】
このような実施形態によっても、図1に示すような、反りの低減された接合体100を得ることができる。
【0035】
基板1としては、例えば、ガラス基板、ガラス強化エポキシ基板、紙フェノール基板、セラミック基板、積層板を用いることができる。
【0036】
半導体素子2としては、例えば、ICチップ、LSIチップ、抵抗、コンデンサを用いることができる。ICチップ、LSIチップ等部品サイズが大きく、接合端子数が多い実装材料を用いた場合に本発明の効果が顕著に表れる傾向にある。
【0037】
接合材料3としては、基板1と半導体素子2を接合できるものであればよく、例えば、絶縁樹脂に導電粒子を含有させた導電フィルム又は絶縁樹脂に導電粒子を含有させた導電ペースト、異方導電フィルム(ACF)、異方導電ペースト(ACP)、絶縁性フィルム(NCF)、絶縁性ペースト(NCP)を使用することができる。
【実施例】
【0038】
以下、実施例によって本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に制限されるものではない。実施例は、ステージ上にスペーサーを設置し加圧具としたものを用いて行った。
【0039】
<実施例1〜22、比較例1〜6>
[スペーサーの準備]
スペーサーとして、所定の形状及び厚みの、SUS箔、Al箔、PVCフィルム、後述の樹脂フィルムIを準備した。樹脂フィルムIの作製方法を以下に示す。
【0040】
フェノキシ樹脂(東都化成社製、商品名:YP−50)を2−ブタノン溶液に溶解して、フェノキシ樹脂濃度が40質量%の溶液1を作製した。また、ビニルブチラールポリマー(電気化学工業社製、商品名:3000K)を、2−ブタノン溶液に溶解して、ビニルブチラールポリマー濃度が40質量%の溶液2を作製した。さらに、溶液1及び溶液2を質量比1:1の割合で混合して、混合溶液を作製した。その後、混合溶液をナイフコーター(康井精機社製)でフィルムに加工し、樹脂フィルムIを得た。
【0041】
[接合材料の準備]
接合材料として、日立化成工業製異方導電フィルム(商品名AC−8408)、接合材料(A)異方導電ペースト、接合材料(B)絶縁樹脂フィルム、接合材料(C)絶縁樹脂ペーストを準備した。接合材料(A)異方導電ペースト、接合材料(B)絶縁樹脂フィルム、接合材料(C)絶縁樹脂ペーストの作製方法を以下に示す。
【0042】
(接合材料(A)異方導電ペーストの作製)
ビスフェノールA型エポキシ樹脂(東都化成製、商品名:YD−127)、硬化剤(四国化成製、商品名:2E4MZ)、添加剤(東レダウコーニングシリコーン製、商品名:SH6040)及び導電粒子(積水化学製、商品名:AU−203A)を質量比100:10:2:40の割合で混合し、異方導電性ペーストを作製した。
【0043】
(接合材料(B)絶縁樹脂フィルムの作製)
フェノキシ樹脂(東都化成製、商品名:PKHC、40質量%トルエン溶液)、エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン製、商品名:EP1032H60)、潜在性硬化剤(旭化成工業製、商品名:HX3941)及び添加剤(東レダウコーニングシリコーン製、商品名:SH6040)を質量比40:20:30:2の割合で混合した。その後、作製した混合溶液を、ナイフコーター(康井精機社製)で厚み25μmの絶縁樹脂フィルムに加工した。
【0044】
(接合材料(C)絶縁樹脂ペーストの作製)
ビスフェノールA型エポキシ樹脂(東都化成製、商品名:YD−127)、硬化剤(四国化成製、商品名:2E4MZ)及び添加剤(東レダウコーニングシリコーン製、商品名:SH6040)を質量比100:10:2の割合で混合し、絶縁樹脂ペーストを作製した。
【0045】
[基板及び半導体素子の準備]
基板として、ガラス基板〔コーニング#1737、外形38mm×28mm、厚さ0.7mm表面にITO(Indium Tin Oxide)配線パターン(パターン幅50μm、電極間スペース50μm)を有するもの〕を準備した。また、半導体素子としては、ICチップ(外形17mm×1.7mm、厚さ0.55mm、バンプの大きさ50μm×50μm、バンプ間スペース50μm)を用いた。
【0046】
[接合体の作製]
ステージ上に直方体又は立方体形状のスペーサーを設置し、スペーサーを材料、厚み及び面方向の形状、接合材料を変えて接合体を作製した。各実施例、各比較例の条件は表1〜4に示す。また、スペーサーはその重心を半導体素子の重心と一致させ、積層方向から見たスペーサーの各辺は、半導体素子の各辺と平行となるように配置した。ここで、スペーサーの長さは、積層方向から見た場合の半導体素子の長い方の辺と平行になる辺の長さを表し、スペーサーの幅は、積層方向から見た場合の半導体素子の短い方の辺と平行になる辺の長さを表す。なお、接合(実装)は、図6に示すものと同様の加熱圧着具を用い加熱圧着具温度235℃で、上記半導体素子2を50MPa(バンプ面積換算)の加重で行った。
【0047】
[反りの評価]
図13は、反りの評価を説明する模式断面図である。図13に示す基板1及び半導体素子は、接合材料を介在して接合されている。Lは、半導体素子の中心における基板の下面の高さを0としたときの、半導体素子の中心から12.5mm離れた場所までの基板の下面の高さのうち最も大きい値を表す。反りの評価は、Lを指標として行った。Lの値が小さいほど、反りが小さいことを示す。各接合体の反り(L)の測定結果は表1〜4に示す。
【0048】
[接続抵抗の測定]
作製した接合体を用いて回路接合部を含む回路間の抵抗値を測定した。測定は、マルチメータ(装置名:MLR21、ETAC社製)を用いて行った。各接合体の測定結果は表1〜4に示す。
【0049】
【表1】
【0050】
【表2】
【0051】
図14は実施例1における、測定長に対する反りを表すグラフである。また、図15は比較例1における、測定長に対する反りを表すグラフである。それぞれの反り(L)を比較すると、実施例1では比較例1に対し、約60%反りが低減することが確認できた。
【0052】
【表3】
【0053】
【表4】
【0054】
以上の実験結果から明らかなように、本実施形態によれば、接合体の反りを実用上十分に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の接合方法によって得られる接合体を模式的に示す断面図である。
【図2】積層工程を説明するための断面図である。
【図3】加圧工程を説明するための斜視図である。
【図4】加圧工程を説明するための断面図である。
【図5】積層方向に見たスペーサー7と半導体素子2との重なり部分を示す図である。
【図6】実施形態に係る接合方法に従って、半導体素子と基板を接合する方法を説明するための断面図である。
【図7】加圧力が印加されている状態を示す断面図である。
【図8】積層方向に見たスペーサーと半導体素子との重なり部分を示す図である。
【図9】積層方向に見たスペーサーと半導体素子との重なり部分を示す図である。
【図10】積層方向に見たスペーサーと半導体素子との重なり部分を示す図である。
【図11】他の実施形態に係る接合方法に従って、半導体素子と基板を接合する方法を説明するための断面図である。
【図12】さらに異なる実施形態に係る接合方法に従って、半導体素子と基板を接合する方法を説明するための断面図である。
【図13】反りの評価を説明する模式断面図である。
【図14】実施例1における、測定長に対する反りを表すグラフである。
【図15】比較例1における、測定長に対する反りを表すグラフである
【図16】従来の接合方法により半導体素子と基板を接合する方法を説明するための断面図である。
【図17】従来の接合方法により、接合が終了した状態を示す断面図である。
【図18】従来の接合方法による加熱及び加圧が終了し、常温に戻った接合体を示す断面図である。
【符号の説明】
【0056】
1…基板、2a…半導体素子基板、2b…電極、2…半導体素子、3…接合材料、4…加熱圧着具、5…フィルム、6…ステージ、7…スペーサー、8…加熱加圧具、100…本発明の接合方法によって得られる接合体、200…積層物。
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板と半導体素子の接合方法及び接合体に関する。
【背景技術】
【0002】
基板と半導体素子とを接合材料を介して接合する方法としては、厚さ30ミクロン以下、ヤング率1×1010Pa以上のフィルムを介して、半導体素子側から加圧加熱する方法などが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2006−229124号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記のような接合方法で接合された接合体は、実用上十分に反りが抑制されたものではなかった。そこで本発明は、接合体の反りを実用上十分に抑制できる、基板と半導体素子の接合方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の接合方法は、接合材料を半導体素子及び基板で挟持した積層物を、上記接合材料が加熱されるようにして積層方向に加圧する加圧工程を備える、半導体素子の接合方法であって、上記加圧工程において、上記接合材料と対向する面とは反対の上記基板の面のうち加圧力が印加される加圧部分と、上記半導体素子の上記接合材料と対向する対向面との、上記積層方向に見た重なり部分の面積が、上記積層方向に見た上記半導体素子と上記基板の重なり部分の面積よりも小さくなるようにし、且つ、上記半導体素子の重心から上記積層方向に伸びる直線が上記加圧部分と交わるようにして、加圧を行うことを特徴とする。
【0005】
図16は従来の接合方法により半導体素子と基板を接合する方法を説明するための断面図である。従来の接合方法は、図16に示すように、表面が平らなステージ6上に、基板1、接合材料3、半導体素子基板2aと電極2bを備える半導体素子2、及びフィルム5とをこの順に配置した後、高温の加熱圧着具4により矢印の方向に加圧するものである。加熱圧着具4により接合材料3が加熱され硬化反応が誘起されるとともに、加圧力の印加により半導体素子2が基板1に接合される。図17は、上述の方法により、接合が終了した状態を示す断面図である。図17に示すように、加圧力が印加されている状態では、半導体素子2は基板1に正常に接続している。
【0006】
図18は、上述の方法による加熱及び加圧が終了し、常温に戻った接合体を示す断面図である。図18に示すように、従来の接合方法によれば、半導体素子2に接合された基板1には反りが生じる。従来の接合方法では、高温の加熱圧着具4を用いて加熱加圧する工程で、半導体素子2の上面からのみ加熱されることになるため、半導体素子2と基板1との間に温度差が生じ、半導体素子2の熱膨張量より基板1の熱膨張量が小さくなることで、接合後の接合体の冷却時に接合体に反りが生じると考えられる。
【0007】
一方、本発明の接合方法は、上記接合材料と対向する面とは反対の上記基板の面のうち一部にのみ加圧力を印加することを特徴としている。これにより、冷却後に発生する反りとは反対方向の反りを、加熱圧着時にあらかじめ与えることができる。したがって、冷却後に半導体素子及び基板が収縮した際には互いの反り量が打ち消し合い結果的には反りを抑制することができる。
【0008】
本発明の接合方法は、上記加圧工程において、上記加圧部分を押圧する加圧具を配し、上記加圧を行ってもよい。
【0009】
このような加圧具を用いることで、接合体の反りの抑制がより容易となる。
【0010】
本発明の接合方法において、その接合材料は、絶縁樹脂に導電粒子を含有させた導電フィルム又は絶縁樹脂に導電粒子を含有させた導電ペーストであってもよく、導電フィルムは、異方導電フィルムであってもよい。導電フィルム又は導電ペーストを用いた場合には、導電粒子により半導体素子と基板の電気的接合を確保することができる。接合材料は、絶縁樹脂フィルム又は絶縁樹脂ペーストであってもよい。絶縁樹脂フィルム又は絶縁樹脂ペーストを用いた場合には、半導体素子の電極と基板が直接接触するように接合させて電気的接合を確保することが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明の接合方法によれば、実用上十分に反りの抑制された、半導体素子と基板の接合体を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図面を参照しながら、好適な実施形態を説明する。なお、図面の説明において同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。また、図面は理解を容易にするため一部を誇張して描いており、寸法比率は説明のものとは必ずしも一致しない。
【0013】
図1は、本発明の接合方法によって得られる接合体を模式的に示す断面図である。図1に示す接合体100は、基板1と、半導体素子基板2aと電極2bを備える半導体素子2と、基板1及び半導体素子2との間に配置されこれらを接合する接合材料3と、を備えている。接合体100においては、半導体素子2の電極2bが基板1に対向するようにして配置されている。
【0014】
実施形態に係る半導体素子の接合方法は、接合材料を半導体素子及び基板で挟持した積層物を準備する積層工程と、上記接合材料が加熱されるようにして積層方向に加圧する加圧工程を備える。
【0015】
図2は、積層工程を説明するための断面図である。積層工程では、基板1上に、接合材料3、半導体素子基板2aと電極2bを備える半導体素子2を、電極2bが接合材料3側になるように、この順に配置し、積層物200を得る。
【0016】
図3は加圧工程を説明するための斜視図であり、図4はこの加圧工程を説明するための断面図である。図3及び4に示すように、加圧工程においては、ステージ6の片面にスペーサー7を備える加圧具8の上に、基板1がスペーサー7と接触するようにして、上記積層工程で得た積層物200を配置する。図5は、積層方向に見たスペーサー7と半導体素子2との重なり部分を示す図である。図5に示すように、基板1、接合材料3及び半導体素子2がこの順に積層された積層物200においては、接合材料3と対向する面とは反対の基板1の面のうち、斜線で示す部分にスペーサー7が接しており、このスペーサー7の部分に加圧力が印加される。また、加圧部分と、半導体素子2の接合材料3と対向する対向面との、積層方向に見た重なり部分の面積(すなわちスペーサー7と基板1が接する斜線部の面積)が、積層方向に見た半導体素子2と基板1の重なり部分の面積(図5においては半導体素子2の接続材料3と接する面の面積である)よりも小さくなっている。図3の矢印は積層物200の積層方向を示すが、同図に示すように、半導体素子2の重心から積層方向に伸びる直線5が加圧部分と交わっている。この位置関係は、図5にも示されている。すなわち、直線5は、積層方向に見たスペーサー7と半導体素子2との重なり部分(斜線部分)と交わっている。図3〜5は、基板1、半導体素子2及び接合材料3が平板状である場合を示すものであるが、これらは平板状に限らず種々の形状を取ることができる。その場合において、基板1、半導体素子2及び接合材料3からなる積層物200を水平面に設置したときに、その水平面から垂直に伸びる線が積層方向となる。
【0017】
図6は、実施形態に係る接合方法に従って、半導体素子と基板を接合する方法を説明するための断面図である。上述の方法で配置を行った後、図6に示すように、半導体素子2の上面より加熱圧着具4により加熱加圧を行うことで、半導体素子2と基板1を接合する。なお、図6に示すように、加熱圧着具4を用いることで、加熱と加圧を同時に行うようにする方法以外に、加熱と加圧を別の手段で実施する方法もある。例えば、加熱されたオーブンの中で加圧力のみを印加する圧着具を用いてもよい。
【0018】
図7は加圧力が印加されている状態を示す断面図である。図7に示すように、スペーサー7が基板1の下面に存在するため、冷却後に発生する反りとは反対方向の反りを基板1や接合材料3に与えながら加圧力が印加される。したがって、冷却後に半導体素子2及び基板1が収縮した際には互いの反り量が打ち消し合い結果的には反りを抑制することができ、図1に示すような、反りのない接合体100が得られる。
【0019】
本発明の接合方法は、前述した実施形態に限定されるものではなく、接合材料と対向する面とは反対の基板の面のうち加圧力が印加される加圧部分と、半導体素子の接合材料と対向する対向面との、積層方向に見た重なり部分の面積が、積層方向に見た半導体素子と上記基板の重なり部分の面積よりも小さく、且つ、半導体素子の重心から積層方向に伸びる直線が加圧部分と交わる限りにおいて様々な実施形態をとることができる。
【0020】
図8は、上記の方法とは異なる態様において、積層方向に見たスペーサーと半導体素子との重なり部分を示す図である。図8に示すように、基板1、接合材料3及び半導体素子2がこの順に積層された積層物200においては、接合材料3と対向する面とは反対の基板1の面にスペーサー7が接しており、このスペーサー7の部分に加圧力が印加される。この加圧部分と、半導体素子2の接合材料3と対向する対向面との、積層方向に見た重なり部分の面積(図8の斜線部の面積)が、積層方向に見た半導体素子2と基板1の重なり部分の面積(図8においては半導体素子2が接続材料3と接する面の面積である)よりも小さくなっている。また、直線5は加圧部分(斜線部分)と交わっている。このような方法によっても、図1に示すような、反りの低減された接合体100を得ることができる。
【0021】
図9は、上記の方法とは異なる態様において、積層方向に見たスペーサーと半導体素子との重なり部分を示す図である。図9には、積層方向から見て半導体素子2より大きい面積を持つスペーサー7を使用した例が示されている。この場合においても、加圧部分と、半導体素子2の接合材料3と対向する対向面との、積層方向に見た重なり部分の面積(図9の斜線部の面積)が、積層方向に見た半導体素子2と基板1の重なり部分の面積(図9においては半導体素子2が接続材料3と接する面の面積である)よりも小さくなっている。また、直線5は加圧部分(斜線部分)と交わっている。このような方法によっても、図1に示すような、反りの低減された接合体100を得ることができる。
【0022】
図10は、上記の方法とはさらに異なる態様において、積層方向に見たスペーサーと半導体素子との重なり部分を示す図である。図10には、積層方向から見て半導体素子2より大きい面積を持つスペーサー7を使用した例が示されている。この場合においても、加圧部分と、半導体素子2の接合材料3と対向する対向面との、積層方向に見た重なり部分の面積(図10の斜線部の面積)が、積層方向に見た半導体素子2と基板1の重なり部分の面積(図10においては半導体素子2が接続材料3と接する面の面積である)よりも小さくなっている。また、直線5は加圧部分(斜線部分)と交わっている。このような方法によっても、図1に示すような、反りの低減された接合体100を得ることができる。
【0023】
上述の方法において、接合体の反りを抑制するという観点では、〔(加圧部分と半導体素子2との重なり部分の面積/半導体素子2と基板1の重なり部分の面積)×100〕は1〜70であることが好ましく、1〜30であることが好ましい。
【0024】
基板1としては、例えば、外形:5mm×5mm〜600mm×600mm、厚み:0.1mm〜1.5mmの形状を有するものを用いることができる。
【0025】
半導体素子2としては、例えば、外形:0.5mm×0.5mm〜2mm×30mm、厚み:0.5mm〜0.8mmの形状を有するものを用いることができる。
【0026】
また、上述の形状の基板1及び半導体素子2を接合する場合、スペーサー7の厚みは、1〜10μmであることが好ましい。このような厚みのスペーサー7を用いた場合、加熱圧着具4による半導体素子2の加熱の均一性が増し、より接合体の反りを抑制することができる。また、このような厚みのスペーサー7を用いると、電気的導通を必要とする場合にも、実用上十分な範囲の接続抵抗を得ることができる。
【0027】
このとき、接合信頼性を保持する観点からは、スペーサー7の厚みは1〜5μmであることが更に好ましい。また、薄型の接合体、特に厚さが0.6mm以下の接合体の接合に用いる場合には、1〜3μmであることが好ましい。
【0028】
スペーサー7の材質としては、半導体素子2と基板1の加熱加圧による接合を妨げないものであれば特に制限はなく、例えば、SUS箔、銅箔、アルミ箔、チタン箔等の金属箔、PET、ポリフッ化エチレン系繊維等の有機材料が挙げられる。
【0029】
また、上述の方法では、スペーサー7と基板1が接する部分の形状は四角形であるが、五角形、六角形等の多角形、丸形など多種の形のものを使用してもよい。
【0030】
また、加圧具8としては、ステージ6の片面上にスペーサー7を単に載せたものを使用することもできるが、ステージ6とスペーサー7が一体化した加圧具8を使用してもよい。
【0031】
図11は、他の実施形態に係る接合方法に従って、半導体素子と基板を接合する方法を説明するための断面図である。この実施形態では、上記と同様の方法で積層物200を準備した後、断面が弓形の曲面を有する加圧具8を準備する。このような加圧具8の上に、上記積層工程で準備した積層物200を加圧具8と基板1が接するように配置する。このとき加圧具8と基板1の接触部分(加圧部分)の面積は、半導体素子2の積層方向に見た面積よりも小さいものを用いる。また、半導体素子の重心から積層方向に伸びる直線が、直線状の加圧部分と交わるようにする。なお、加圧部分が線である場合には、その面積は0となるが、この場合も「面積」があるものとして扱う。上述のように配置した後、半導体素子2の上面より加熱圧着具4により加熱加圧を行い半導体素子2と基板1を接合する。
【0032】
このような実施形態によっても、図1に示すような、反りの低減された接合体100を得ることができる。
【0033】
図12は、上記とはさらに異なる実施形態に係る接合方法に従って、半導体素子と基板を接合する方法を説明するための断面図である。この実施形態では、上記と同様の方法で積層物200を準備した後、断面が切妻形状を有する加圧具8を準備する。このような加圧具8の上に、上記積層工程で準備した積層物200を加圧具8と基板1が接するように配置する。このとき加圧具8と基板1の接触部分(加圧部分)の面積は、半導体素子2の積層方向に見た面積よりも小さいものを用いる。また、半導体素子の重心から積層方向に伸びる直線が、直線状の加圧部分と交わるようにする。上述のように配置した後、半導体素子2の上面より加熱圧着具4により加熱加圧を行い半導体素子2と基板1を接合する。
【0034】
このような実施形態によっても、図1に示すような、反りの低減された接合体100を得ることができる。
【0035】
基板1としては、例えば、ガラス基板、ガラス強化エポキシ基板、紙フェノール基板、セラミック基板、積層板を用いることができる。
【0036】
半導体素子2としては、例えば、ICチップ、LSIチップ、抵抗、コンデンサを用いることができる。ICチップ、LSIチップ等部品サイズが大きく、接合端子数が多い実装材料を用いた場合に本発明の効果が顕著に表れる傾向にある。
【0037】
接合材料3としては、基板1と半導体素子2を接合できるものであればよく、例えば、絶縁樹脂に導電粒子を含有させた導電フィルム又は絶縁樹脂に導電粒子を含有させた導電ペースト、異方導電フィルム(ACF)、異方導電ペースト(ACP)、絶縁性フィルム(NCF)、絶縁性ペースト(NCP)を使用することができる。
【実施例】
【0038】
以下、実施例によって本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に制限されるものではない。実施例は、ステージ上にスペーサーを設置し加圧具としたものを用いて行った。
【0039】
<実施例1〜22、比較例1〜6>
[スペーサーの準備]
スペーサーとして、所定の形状及び厚みの、SUS箔、Al箔、PVCフィルム、後述の樹脂フィルムIを準備した。樹脂フィルムIの作製方法を以下に示す。
【0040】
フェノキシ樹脂(東都化成社製、商品名:YP−50)を2−ブタノン溶液に溶解して、フェノキシ樹脂濃度が40質量%の溶液1を作製した。また、ビニルブチラールポリマー(電気化学工業社製、商品名:3000K)を、2−ブタノン溶液に溶解して、ビニルブチラールポリマー濃度が40質量%の溶液2を作製した。さらに、溶液1及び溶液2を質量比1:1の割合で混合して、混合溶液を作製した。その後、混合溶液をナイフコーター(康井精機社製)でフィルムに加工し、樹脂フィルムIを得た。
【0041】
[接合材料の準備]
接合材料として、日立化成工業製異方導電フィルム(商品名AC−8408)、接合材料(A)異方導電ペースト、接合材料(B)絶縁樹脂フィルム、接合材料(C)絶縁樹脂ペーストを準備した。接合材料(A)異方導電ペースト、接合材料(B)絶縁樹脂フィルム、接合材料(C)絶縁樹脂ペーストの作製方法を以下に示す。
【0042】
(接合材料(A)異方導電ペーストの作製)
ビスフェノールA型エポキシ樹脂(東都化成製、商品名:YD−127)、硬化剤(四国化成製、商品名:2E4MZ)、添加剤(東レダウコーニングシリコーン製、商品名:SH6040)及び導電粒子(積水化学製、商品名:AU−203A)を質量比100:10:2:40の割合で混合し、異方導電性ペーストを作製した。
【0043】
(接合材料(B)絶縁樹脂フィルムの作製)
フェノキシ樹脂(東都化成製、商品名:PKHC、40質量%トルエン溶液)、エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン製、商品名:EP1032H60)、潜在性硬化剤(旭化成工業製、商品名:HX3941)及び添加剤(東レダウコーニングシリコーン製、商品名:SH6040)を質量比40:20:30:2の割合で混合した。その後、作製した混合溶液を、ナイフコーター(康井精機社製)で厚み25μmの絶縁樹脂フィルムに加工した。
【0044】
(接合材料(C)絶縁樹脂ペーストの作製)
ビスフェノールA型エポキシ樹脂(東都化成製、商品名:YD−127)、硬化剤(四国化成製、商品名:2E4MZ)及び添加剤(東レダウコーニングシリコーン製、商品名:SH6040)を質量比100:10:2の割合で混合し、絶縁樹脂ペーストを作製した。
【0045】
[基板及び半導体素子の準備]
基板として、ガラス基板〔コーニング#1737、外形38mm×28mm、厚さ0.7mm表面にITO(Indium Tin Oxide)配線パターン(パターン幅50μm、電極間スペース50μm)を有するもの〕を準備した。また、半導体素子としては、ICチップ(外形17mm×1.7mm、厚さ0.55mm、バンプの大きさ50μm×50μm、バンプ間スペース50μm)を用いた。
【0046】
[接合体の作製]
ステージ上に直方体又は立方体形状のスペーサーを設置し、スペーサーを材料、厚み及び面方向の形状、接合材料を変えて接合体を作製した。各実施例、各比較例の条件は表1〜4に示す。また、スペーサーはその重心を半導体素子の重心と一致させ、積層方向から見たスペーサーの各辺は、半導体素子の各辺と平行となるように配置した。ここで、スペーサーの長さは、積層方向から見た場合の半導体素子の長い方の辺と平行になる辺の長さを表し、スペーサーの幅は、積層方向から見た場合の半導体素子の短い方の辺と平行になる辺の長さを表す。なお、接合(実装)は、図6に示すものと同様の加熱圧着具を用い加熱圧着具温度235℃で、上記半導体素子2を50MPa(バンプ面積換算)の加重で行った。
【0047】
[反りの評価]
図13は、反りの評価を説明する模式断面図である。図13に示す基板1及び半導体素子は、接合材料を介在して接合されている。Lは、半導体素子の中心における基板の下面の高さを0としたときの、半導体素子の中心から12.5mm離れた場所までの基板の下面の高さのうち最も大きい値を表す。反りの評価は、Lを指標として行った。Lの値が小さいほど、反りが小さいことを示す。各接合体の反り(L)の測定結果は表1〜4に示す。
【0048】
[接続抵抗の測定]
作製した接合体を用いて回路接合部を含む回路間の抵抗値を測定した。測定は、マルチメータ(装置名:MLR21、ETAC社製)を用いて行った。各接合体の測定結果は表1〜4に示す。
【0049】
【表1】
【0050】
【表2】
【0051】
図14は実施例1における、測定長に対する反りを表すグラフである。また、図15は比較例1における、測定長に対する反りを表すグラフである。それぞれの反り(L)を比較すると、実施例1では比較例1に対し、約60%反りが低減することが確認できた。
【0052】
【表3】
【0053】
【表4】
【0054】
以上の実験結果から明らかなように、本実施形態によれば、接合体の反りを実用上十分に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の接合方法によって得られる接合体を模式的に示す断面図である。
【図2】積層工程を説明するための断面図である。
【図3】加圧工程を説明するための斜視図である。
【図4】加圧工程を説明するための断面図である。
【図5】積層方向に見たスペーサー7と半導体素子2との重なり部分を示す図である。
【図6】実施形態に係る接合方法に従って、半導体素子と基板を接合する方法を説明するための断面図である。
【図7】加圧力が印加されている状態を示す断面図である。
【図8】積層方向に見たスペーサーと半導体素子との重なり部分を示す図である。
【図9】積層方向に見たスペーサーと半導体素子との重なり部分を示す図である。
【図10】積層方向に見たスペーサーと半導体素子との重なり部分を示す図である。
【図11】他の実施形態に係る接合方法に従って、半導体素子と基板を接合する方法を説明するための断面図である。
【図12】さらに異なる実施形態に係る接合方法に従って、半導体素子と基板を接合する方法を説明するための断面図である。
【図13】反りの評価を説明する模式断面図である。
【図14】実施例1における、測定長に対する反りを表すグラフである。
【図15】比較例1における、測定長に対する反りを表すグラフである
【図16】従来の接合方法により半導体素子と基板を接合する方法を説明するための断面図である。
【図17】従来の接合方法により、接合が終了した状態を示す断面図である。
【図18】従来の接合方法による加熱及び加圧が終了し、常温に戻った接合体を示す断面図である。
【符号の説明】
【0056】
1…基板、2a…半導体素子基板、2b…電極、2…半導体素子、3…接合材料、4…加熱圧着具、5…フィルム、6…ステージ、7…スペーサー、8…加熱加圧具、100…本発明の接合方法によって得られる接合体、200…積層物。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
接合材料を半導体素子及び基板で挟持した積層物を、前記接合材料が加熱されるようにして積層方向に加圧する加圧工程を備える、半導体素子の接合方法であって、
前記加圧工程において、
前記接合材料と対向する面とは反対の前記基板の面のうち加圧力が印加される加圧部分と、前記半導体素子の前記接合材料と対向する対向面との、前記積層方向に見た重なり部分の面積が、前記積層方向に見た前記半導体素子と前記基板の重なり部分の面積よりも小さくなるようにし、且つ、
前記半導体素子の重心から前記積層方向に伸びる直線が前記加圧部分と交わるようにして、加圧を行う接合方法。
【請求項2】
前記加圧工程において、前記加圧部分を押圧する加圧具を配し、前記加圧を行う、請求項1記載の接合方法。
【請求項3】
前記接合材料は、絶縁樹脂に導電粒子を含有させた導電フィルム又は導電ペーストである、請求項1又は2に記載の接合方法。
【請求項4】
前記導電フィルムは、異方導電フィルムである、請求項3記載の接合方法。
【請求項5】
前記接合材料は、絶縁樹脂フィルム又は絶縁樹脂ペーストである、請求項1又は2に記載の接合方法。
【請求項1】
接合材料を半導体素子及び基板で挟持した積層物を、前記接合材料が加熱されるようにして積層方向に加圧する加圧工程を備える、半導体素子の接合方法であって、
前記加圧工程において、
前記接合材料と対向する面とは反対の前記基板の面のうち加圧力が印加される加圧部分と、前記半導体素子の前記接合材料と対向する対向面との、前記積層方向に見た重なり部分の面積が、前記積層方向に見た前記半導体素子と前記基板の重なり部分の面積よりも小さくなるようにし、且つ、
前記半導体素子の重心から前記積層方向に伸びる直線が前記加圧部分と交わるようにして、加圧を行う接合方法。
【請求項2】
前記加圧工程において、前記加圧部分を押圧する加圧具を配し、前記加圧を行う、請求項1記載の接合方法。
【請求項3】
前記接合材料は、絶縁樹脂に導電粒子を含有させた導電フィルム又は導電ペーストである、請求項1又は2に記載の接合方法。
【請求項4】
前記導電フィルムは、異方導電フィルムである、請求項3記載の接合方法。
【請求項5】
前記接合材料は、絶縁樹脂フィルム又は絶縁樹脂ペーストである、請求項1又は2に記載の接合方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2008−263160(P2008−263160A)
【公開日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−295756(P2007−295756)
【出願日】平成19年11月14日(2007.11.14)
【出願人】(000004455)日立化成工業株式会社 (4,649)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年11月14日(2007.11.14)
【出願人】(000004455)日立化成工業株式会社 (4,649)
【Fターム(参考)】
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