説明

基板に液体コーティング材料を塗布するためのシステム及び方法

電子部品又は回路基板などの基板に液体コーティング材料を塗布するためのシステム及び方法を提供する。コーティングシステム(10)の制御システム(18、24、26)が、アプリケータ(16)と該アプリケータ(16)を動かすロボット(14)とを制御して、コーティングプログラムに含まれる情報に従って液体コーティング材料を基板(12)に塗布する。制御システム(18、24、26)は、コーティングプログラムの実行中に基板(12)上に実際に供給された液体コーティング材料の量を求め、液体コーティング材料の供給量を望ましい供給量と比較して、計算値と望ましい量の値との間の差を示す誤差信号を生成する。制御システム(18、24、26)は誤差信号を使用して、今後に向けたコーティングプログラムにより後続する基板上の液体コーティング材料の供給量を変更する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に液体コーティング材料の供給に関し、より具体的には、回路基板などの基板に絶縁保護コーティング材料などの液体コーティング材料を塗布するためのシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
多くの産業上の用途において、所定の領域に塗布された、分離し、明確に定められ、かつ均一なコーティングを使用することが必要とされる。このようなコーティングは、電子回路基板などの不均一な、又は不規則な基板上の絶縁保護コーティングのような多様な処理において非常に有用である。分離した基板領域に塗布するための分離したコーティングの生成において、例えば、材料を一列にせずにシャープな直角のカットオンエッジ及びカットオフエッジの状態で接触しない塗布処理の形で広範にわたる均一なコーティングを得ることが望ましい。詳細には、絶縁保護コーティング材料は、選択した回路基板の部品を水分、汚れ等から保護するために使用される。
【0003】
このようなコーティングを施す際、基板上に供給されるコーティング材料の量を制御することにより、生成中、連続する基板上にほぼ同じ量のコーティング材料が供給されるようにすることができる。1つの従来型のコーティング材料供給システムでは、流体供給装置を供給弁に結合する軸線に流量計が設けられる。供給弁を開くと、流量計のエンコーダカウントによって、供給される材料の量が読み込まれる。測定した量の材料を供給する時間間隔も求められ、体積流量が計算される。この計算した流量が、望ましい流量を示す設定点と比較され、必要があれば補正を行って、実際の流量を望ましい流量に向けて調節する。
【0004】
従来型のコーティング材料供給システムは、供給弁が恐らく数ミリ秒ほどの非常に短い時間の間しか開かれないため、絶縁保護コーティングを回路基板の部品又は領域に選択的に塗布するためにこのシステムが使用される場合、不正確なものとなる可能性がある。供給弁が開いている時間の間、ごく少量のコーティング材料しか供給されないことになる。流量計は、比較的小さな数字のエンコーダカウントとして、この少しの供給量を検知する。
【0005】
時間間隔とエンコーダカウントの数字のいずれか又は両方が著しく不正確なものになるという特徴を有する場合があり、これが結果として不正確な流量計算を招くことになる。次に、システムが、この不正確な計算流量を設定点と比較して「誤差」を生み出す。この不正確さ故に、比較から得られる誤差により、結果として誤った大きさの補正又は誤った方向の補正さえもが行われる可能性がある。いずれの結果によっても、次に供給弁が開かれた時に不適切な量のコーティング材料が供給される可能性がある。その結果、ユーザにとってほとんど実用価値がないほどの不正確さがシステムにより生み出されるということが容易に起こり得る。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、供給したコーティング材料の量がこのような不正確さの影響を受けないような、材料をコーティングするための改良した装置及び方法が必要とされる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
1つの実施形態では、コーティングプログラムが決定したように回路基板などの基板に液体コーティング材料を塗布するためのシステムを提供する。システムは、リザーバから液体コーティング材料を受け取るように構成されると共に基板上に液体コーティング材料を供給するように構成されたアプリケータを備えることができる。調整器が、アプリケータへの液体コーティング材料の流れを調整するように構成される。メータが、アプリケータへ流れる液体コーティング材料の量を示す容積信号を生成するように構成される。システムは、基板に対してアプリケータを動かすように構成されたロボットと、コーティングプログラムにアクセスするように構成された制御システムとを含む。制御システムは、ロボットとアプリケータとを制御して、コーティングプログラム内の情報に従って液体コーティング材料を基板に塗布するように構成される。コーティングプログラムの終了時に、制御システムは、メータから得られる1又はそれ以上の容積信号を利用して、コーティングプログラムの実行中に基板に塗布された液体コーティング材料の供給量を求めるように構成される。制御システムは、液体コーティング材料の供給量をコーティングプログラムにとっての望ましい供給量と比較し、供給量と望ましい供給量との間の差を示す誤差信号を生成するようにさらに構成される。制御システムは、誤差信号に基づいて、後続する基板における液体コーティング材料の供給量と望ましい供給量との間の差を低減するように構成される。
【0008】
別の実施形態では、コーティングプログラムが決定したように基板に液体コーティング材料を塗布する方法を提供する。この方法は、コーティングプログラムの指示通りにアプリケータから基板に液体コーティング材料を供給するステップと、コーティングプログラムの終了後に基板に塗布された液体コーティング材料の供給量を求めるステップと、液体コーティング材料の供給量をコーティングプログラムにとっての望ましい供給量と比較するステップと、供給量と望ましい供給量との間の差を示す誤差信号を生成するステップとを含む。この方法は、誤差信号に基づいて、後続する基板に塗布される液体コーティング材料の供給量を変更するステップをさらに含む。
【0009】
本明細書に組み入れられ、本明細書の一部を構成する添付の図面は、本発明の例示的な実施形態を示すものであり、上述の本発明の実施形態についての全体的な説明及び以下に示す詳細な説明と併せて、本発明の実施形態の原理の説明に役立つものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
図1を参照すると、コーティングシステム10を使用して、代表的な基板12などの一連の基板に絶縁保護コーティング材料などの液体コーティング材料を塗布することができる。代表的なコーティングシステム10の動作については、本明細書で説明していくが、当業者であれば、多岐にわたる他のコーティングシステムを使用して、後述する方法を実現できることを理解するであろう。コーティングシステム10は、例えば、Asymtek社(カリフォルニア州、カールスバッド)から市販されているモデルSC−105、SC−205、又はSC−400などの絶縁保護コーティング用アプリケータであってもよい。
【0011】
代表的な実施形態では、コーティングシステム10は、多軸電気機械式ポジショナすなわちロボット14と、このロボット14と結合された絶縁保護コーティング用アプリケータ16とを含む。例えば、アプリケータ16をロボット14から基板12の上につり下げることができる。1つの実施形態では、ロボット14は、X−Y−Zデカルト座標枠の範囲内で定められた方向にアプリケータ16を動かして、3方向の自由度を与えるようにされる。ロボット14は、独立的に制御可能なモータ(図示せず)に既知の態様で結合された駆動部を含む。アプリケータ16は、ロボット14により基板12に対して操作されて、ある量の液体コーティング材料を基板12の選択した領域に塗布する。
【0012】
プログラマブルコントローラ18は、コーティングシステム10の動き及び動作を調整する。当業者であれば理解するように、コントローラ18は、本明細書で説明する機能を実行することができるプログラマブルロジックコントローラ(PLC)、マイクロプロセッサベースのコントローラ、パーソナルコンピュータ、又はその他の従来型の制御装置であってもよい。ヒューマン・マシン・インタフェース(HMI)装置19が、コントローラ18に既知の態様で動作可能に接続される。HMI装置19は、キーパッド、押しボタン、制御ノブ、タッチスクリーンなどの入力装置及び制御装置、並びにディスプレイ及びその他の視覚インジケータなどの出力装置を含むことができ、コントローラ18の動作を制御するオペレータがこれらを使用することによりコーティングシステム10の動作が制御される。
【0013】
基板12、例えば、半導体チップ及び他の部品を取り付けたプリント基板は、アプリケータ16により既知の態様で作動関係で支持され、このアプリケータ16から個々の基板12の選択した領域上に液体コーティング材料が塗布される。供給の用途に応じて、一連の基板12をバッチモードでコーティングすることができる。或いは、基板12を自動コンベヤ20に載せてアプリケータ16を通過して次々と移動させることができる。コンベヤ20は従来型の設計を有し、さらに異なる寸法の基板12に対応するように調節できるだけの幅を有することができる。また、空気圧で動作するリフト及びロック機構(図示せず)も含むことができるコンベヤ20は、コンベヤコントローラ22から指令信号を受け取る。
【0014】
アプリケータ16はアプリケータコントローラ24と電気的に結合され、このアプリケータコントローラ24は、アプリケータ16の動作を制御する指令信号を供給する。モーションコントローラ26が、通信リンク21によりロボット14と電気的に結合される。ソレノイド34が、通信リンク23によりモーションコントローラ26と電気的に結合される。コンベヤコントローラ22及びモーションコントローラ26はまた、それぞれの通信リンク25、27を介してコントローラ18と電気的に結合される。モーションコントローラ26は、通信リンク29を介してコンベヤコントローラ22と電気的に結合される。従って、コーティングシステム10のためのプログラマブル制御システムは、互いに通信する相互接続部品としてコントローラ18、アプリケータコントローラ24、モーションコントローラ26、及び任意のコンベヤコントローラ22を含むことになる。
【0015】
モーションコントローラ26は、通信リンク21を介してロボット14に指令信号を供給する。この指令信号をロボット14が使用して、アプリケータ16の位置及び/又は速度を制御する。一般には、ロボット14は、ロボット14の異なる軸の動きを駆動するサーボモータ又はステッパモータなどの電気モータを含む。
【0016】
アプリケータ16は、ロボット14からつり下げられた本体30、本体30の一方の端部に装着されたノズル31、及び本体30の内側に配置された流量調整機構(図示せず)を含む。本体30の内側の流量調整機構は、空気で作動する針、空気ピストン、及び弁座を備えることができ、これらが協働して、アプリケータ16から供給される絶縁保護コーティング材料の流量を調整すべく動作する供給弁(図示せず)を形成する。加圧流体供給装置32及びソレノイド34が協働して、既知の態様で加圧流体を供給し、本体30の内部の供給弁の動作を調整する。特に、ソレノイド34は、加圧流体供給装置32をアプリケータ16と接続する導管33内の空気圧を調整し、空気ピストンを動かすことにより弁座に対して針を動かして供給弁に開放位置をもたらし、この状態で液体コーティング材料がアプリケータ16から基板12上に供給されるようになる。ソレノイド34は、空気ピストンに作用する空気圧を抜いて針が閉鎖位置に戻るようにし、この状態で針が弁座に接触して供給を中断できるようにすることができる。
【0017】
コーティングシステム10に含まれる加圧液体供給装置38は、コントローラ18の指令に従って既知の態様で動作し、加圧液体コーティング材料の連続した流れ又は供給を生み出す。例えば、加圧液体供給装置38はダイアフラム又はピストンポンプを含むことができ、これらは、リザーバからある量の液体コーティング材料を吸い上げ、次に液体コーティング材料の流れに圧力をかけて、リザーバから流体路を介してアプリケータ16へポンプ輸送する。加圧液体供給装置38は、通信リンク39によりコントローラ18と電気的に接続され、このコントローラ18は、通信リンク39を介して適当な制御信号を加圧液体供給装置38へ通信することにより、液体コーティング材料の温度及び圧力などの動作パラメータを調整することができる。
【0018】
加圧液体供給装置38は、任意で、従来型の温度コントローラ60と電気的に結合された1又はそれ以上の従来型の加熱素子38aで構成され、この温度コントローラ60はコントローラ18と電気的に結合される。当業者であれば、加熱素子38aなどの従来型の加熱素子、及び温度コントローラ60などの温度コントローラの構成及び動作を理解するであろう。代替の実施形態では、アプリケータ16は、加熱素子(図示せず)を含むことができ、或いは加熱素子(図示せず)を導管51、53、55の1つに配置することができる。加圧液体供給装置38とノズル31との間の流路における加熱素子の特定の場所に関係なく、液体コーティング材料を、基板12に塗布する前に流路内で加熱することができる。
【0019】
アプリケータ16は、加圧液体供給装置38と流体連通状態で結合された液体注入口36を含む。液体コーティング材料は、加圧液体供給装置38から液体注入口36を通ってアプリケータ16に供給され、ノズル31内の供給オリフィス(図示せず)から調整供給される。本体30は、加圧流体供給装置32及び内部通路(図示せず)と結合された流体注入口40を有し、この内部通路が、加圧流体をノズル31内の供給オリフィスの近くにある出口へと導き、ここで加圧流体が排出されて、アプリケータ16から噴霧される液体コーティング材料のストリーム42と交わり、この流れをコントロールする。通信リンク45を介してモーションコントローラ26と通信する流体調整器43は、加圧流体供給装置32から流体注入口40への加圧流体の流れを制御する。アプリケータ16と類似した代表的なアプリケータが、米国特許第7,028,867号に記載されており、該特許の開示全体は引用により本明細書に組み入れられる。
【0020】
システム10は、コントローラ18と関連するメモリ44及び/又は他のコンピュータに記憶された動作サイクル又は動作シーケンスのライブラリに命令された通りに動作する。動作シーケンスは、コントローラ18上で実行する特定の動作プログラムの形で望み通りに撤回され、設定される。動作シーケンスを調節して、異なる環境条件、異なるタイプの基板12、又は異なるタイプの絶縁保護コーティング材料に対応するようにすることができる。動作中、コントローラ18は、動作プログラム全体を電気信号として通信リンク25を介してモーションコントローラ26へ転送し、モーションコントローラ26で実行させることができる。或いは、コントローラ18は、1又はそれ以上の命令を電気信号として命令及びデータのバッチの形で通信リンク25を介してモーションコントローラ26へ転送し、次の実行を行ってもよい。オペレータは、基板12の種類、液体コーティング材料の種類、液体の圧力、補助空気の圧力、アプリケータ16の速度、基板12とアプリケータ16との間の距離などのパラメータをHMI装置19で入力することができる。入力されたパラメータは、将来動作シーケンスで使用するためにコントローラ18のメモリ44に格納される。個々の基板12は、コントローラ18により、基板12のいずれの特定の部品及び領域が液体コーティング材料でコーティングされるのかを判断するコーティングプログラムに適合される。通常、液体コーティング材料は、基板12上の選択した領域及び/又は部品にのみ塗布される。
【0021】
引き続き図1を参照すると、加圧液体供給装置38からアプリケータ16の液体注入口36までの液体コーティング材料用の流路内に「空気対流体」(A/F)調整器50及び流量計52が存在する。結果として、液体コーティング材料は、加圧液体供給装置38からアプリケータ16へと運ばれる際に、A/F調整器50及び流量計52を通過せざるを得なくなる。A/F調整器50の液体流入部は、導管51により加圧液体供給装置38の液体排出口と結合される。同様に、A/F調整器50は、導管53により流量計52の液体流入部と結合された液体排出口を有し、さらにこの流量計52は、導管55によりアプリケータ16の液体注入口36と結合された液体排出口を有する。
【0022】
A/F調整器50は、アプリケータ16までの流体路において運搬中の加圧液体材料の流体圧力を制御する。コントローラ18は、通信リンク57により調整器54と電気的に結合される。1つの実施形態では、調整器54は、モーションコントローラ26から制御電圧を受け取ると共に、この制御電圧を流体圧力に変換する変換器を含む「電圧対圧力」(E/P)調整器であってもよい。或いは、調整器54は、制御電圧ではなく制御電流又は直列通信信号を受け取って、これを流体圧力に変換してもよい。調整器54は、A/F調整器50に加圧流体を送り込んで、A/F調整器50を貫流する液体コーティング材料の流体圧力の制御に使用する。
【0023】
A/F調整器50は、加圧液体供給装置38と流量計52との間の流体路を定める導管35内に位置決めされる。代替の実施形態では、流量計52を加圧液体供給装置38とA/F調整器50との間の流体路内に位置決めすることにより、流量計52がA/F調整器50から見て上流に存在するようにしてもよい。この代替の配置では、液体コーティング材料がA/F調整器50を貫流した後に、流量計52が液体コーティング材料の圧力を変化させることになる。
【0024】
コントローラ18は、通信リンク59により流量計52と電気的に結合される。流量計52は、導管53から導管55への液体コーティング材料の流れに応じて、各々が流量計52を貫流する、或いは流れ去る液体コーティング材料の一定の量を示す一連のカウント又は電気パルスを生成する。或いは、流量計52から得られる一連の電気パルスが流量計からモーションコントローラ26へ通信され、次にモーションコントローラ26からコントローラ18へ中継されるようにしてもよい。1つの実施形態では、流量計52は、ギアメータを通過する流れに応じて回転するギアメータを備えると共に、既知の量を示す一定量の回転に対して、エンコーダで電気パルスを生成し、この電気パルスを信号ストリームの形で電気信号としてコントローラ18へ送信することができる。例えば、ギアメータは、液体コーティング材料が流量計52を0.04立方センチ貫流する毎にパルスを生成することができる。
【0025】
図1を参照すると、コントローラ18は、基板12がアプリケータ16に対して適切に位置決めされた時に、基板12のコーティングプログラムを得るようになる。コーティングプログラムは、基板12のいずれの部品及び/又は領域を液体コーティング材料でコーティングすべきかを判断し、この液体コーティング材料が通常帯状に塗布される。例えば、場合によっては基板12の25個の独立した部品又は領域を液体コーティング材料の帯でコーティングすることができる。コントローラ18は、コントローラ18のメモリ44から動作シーケンスを取り出し、さらに通信リンク25を介してこの動作シーケンスを示す制御信号をモーションコントローラ26へ通信する。モーションコントローラ26は、基板12に対してアプリケータ16を所望の場所へ特定の速度で動かすようにロボット14に指示する指令信号を通信リンク21を介してロボット14へ送信する。モーションコントローラ26は、ロボット14の動きを制御して、基板12を横切って(X方向及びY方向などの)平面の形でアプリケータ16を動かし、この動きの最中に必要に応じてアプリケータ16内の供給弁を開閉して、基板12の所望の部品及び領域に液体コーティング材料を塗布する。
【0026】
特に、基板12上の任意の特定の場所において、モーションコントローラ26はまた、ソレノイド34に指令信号を供給してその状態を変化させ、ノズル31から液体コーティング材料を放出させる供給弁を開く。同時に、モーションコントローラ26は、ロボット14に指令信号を供給して、基板12に対してアプリケータ16を動かし始める。アプリケータ16から放出された液体コーティング材料のストリーム42の成形に影響を与える空気などの補助流体により、ストリーム42を任意に操作することができる。所定の時間の経過後、モーションコントローラ26は、弁指令信号の状態を変化させてソレノイド34を元の状態に戻す。このアクションにより供給弁が閉鎖して、アプリケータ16のノズル31からの液体コーティング材料の放出が中断する。モーションコントローラ26は、コーティングプログラムの実行中にアプリケータ16の供給弁に(25回などの)複数回供給弁を開閉させて、基板12の複数の部品及び領域が一定量の液体コーティング材料を受けるようにすることができる。
【0027】
コーティングプログラムの実行中に、或いはコーティングプログラムの実行に備えて、コントローラ18は、モーションコントローラ26に電気信号を供給し、この電気信号がモーションコントローラ26に、調整器54に指令信号を供給するように促す。調整器54は、A/F調整器50に供給する空気圧を調整して、加圧液体供給装置38からアプリケータ16へ流れる加圧液体コーティング材料に対する液体圧力を選択する。液体圧力の選択値は供給の用途に依存するが、液体コーティング材料の望ましい流量にもさらに依存する場合がある。液体コーティング材料の流量は、いくつかある要素の中で液体の圧力、供給ノズル31内の放出オリフィスの直径、材料の粘度等に影響を受ける。
【0028】
コーティングシステム10は、比較的正確に計算することができる、基板12全体にわたって供給されたコーティング材料の量を求め、この計算値を設定点と比較し、必要に応じてこの比較的正確な計算に基づいて補正を行うので、システム10は、従来型の絶縁保護コーティングシステムよりも極めて正確なものとなる。
【0029】
基板12のための個々のコーティングプログラムの開始時に、コントローラ18は流量計52から「エンコーダカウント」を得る。例えば、コントローラ18は、初期エンコーダカウントをゼロであると考えることができる。液体コーティング材料を基板12上の領域及び部品に塗布するコーティングプログラムの実行中、コントローラ18は、液体コーティング材料がアプリケータ16へと流れる際に、流量計52から一連のパルスを受け取ると共にパルスの総数を累積的に集計する。個々の基板12のためのコーティングプログラムが終了すると、流量計52から出されるパルス列も終了する。コントローラ18は、コーティングプログラムの実行中に流量計52から通信されたパルスの総数を含むアキュムレータを含む。
【0030】
流量計52が生成した個々のパルスによって示される液体コーティング材料の量の既知の較正に基づいて、コントローラ18は、パルスの総数を基板12上に供給された液体コーティング材料の総量に換算する。コントローラ18は、総供給量を望ましい総供給量と比較し、計算した供給量と望ましい供給量との間の差を示す誤差信号を生成する。必要に応じて、及び誤差信号に基づいて、コントローラ18は、制御信号をモーションコントローラ26へ通信し、モーションコントローラ26は、計算した液体コーティング材料の量と望ましい供給量との間の差を補償するために、制御電流、制御電位、又は制御信号を調整器54に供給して、A/F調整器50が示す流量収縮を処理する。一般に、流体圧力は、調整器54に対する入力電流、電位、又は制御信号に比例して設定される。
【0031】
総供給量が少な過ぎる場合、コントローラ18からモーションコントローラ26へ通信される制御信号により、E/P変換器54に印加される制御電位を増大させることによってモーションコントローラ26が反応するようになる。このアクションにより、A/F調整器50がより広く開き、液体コーティング材料のアプリケータ16への流れが増大するようになる。総供給量が多過ぎる場合、コントローラ18からモーションコントローラ26へ通信される制御信号により、E/P変換器54に印加される制御電位を減少させることによってモーションコントローラ26が反応するようになる。このアクションにより、A/F調整器50を閉じることによってEP変換器54を反応させ、液体コーティング材料のアプリケータ16への流れが減少するようになる。
【0032】
コーティングプログラムに従ってシステム10によりコーティングされる後続する基板12に関しては、補正は、誤差信号を減少させると予測される方向にある。結果として、後続する基板12に対する総供給量と望ましい総供給量との間の相違が低減されなければならない。誤差信号が十分に補償されない場合、計算した総供給量を望ましい総供給量と比較して、追加補正を行うことができる。コーティングプログラムに従って処理される個々の基板12は、通常、領域及び部品上に同じ総供給量の液体コーティング材料を受けることになる。
【0033】
コントローラ18上で実行するソフトウエアコードにおいて制御ウィンドウを使用することにより、閉ループ制御下における液体コーティング材料の流れの補正を実施することができる。内部制御ウィンドウは、望ましい総量を上回る又は下回る、望ましい総量からの最大許容偏差を示し、これを超えた場合、コントローラ18が対応するアクションを開始することになる。外部制御ウィンドウは、望ましい総量を上回る又は下回る、望ましい総量からの最大許容偏差を示し、これを超えた場合、システム10を停止し、及び/又はアラームを鳴らすなどの大きな反応を引き起こすような、コントローラ18による対応が開始されることになる。
【0034】
コーティングプログラムの実行中に供給された計算された総量が、望ましい総供給量の(±1パーセントなどの)第1のパーセンテージの範囲内にある場合、コントローラ18は、この内部制御ウィンドウの内部で補正を行わない。制御プログラムの実行中に供給された計算された総量が、望ましい総供給量の(±10パーセントなどの)第2のパーセンテージを越える場合、コントローラ18は、ユーザの好みで決定されるように、この外部制御ウィンドウの外部のシステム10を停止し、及び/又はアラームを鳴らすことができる。コーティング動作が外部制御ウィンドウの外部に偏位する場合、コーティングされた基板12には、基板12に許容範囲外の絶縁保護コーティングが塗布されたものとしてフラグが立てられる。コーティングプログラムの実行中に供給された計算された総量が、内部制御ウィンドウと外部制御ウィンドウとの間にある場合、コントローラ18は、この中間制御ウィンドウ内でアラームを鳴らさずにアプリケータ16への液体コーティング材料の流れを補正することができる。上述のように実行される補正は、許容範囲外の状態を是正する規模及び感覚からなるものである。例えば、総供給量が望ましい総供給量よりも±5パーセント大きい場合、対応するアクションをとることができる。
【0035】
このようにして、コーティングプログラムの実行中に総供給量に影響を与えるいずれの動向も発生と同時に検出され、この動向をオフセットするための自動介入として対応する補正が行われる。制御が外部制御ウィンドウから外れない限り、オペレータの介入なしに対応する補正が行われる。例えば、液体コーティング材料の粘度が変化すると、総供給量が望ましい総供給量から遠ざかるようにしてもよい。粘度の変化は総供給量の変化として検出され、その後コントローラ18が実行するアクションにより補正される。システム10は、従来型のシステムと比較して相対的に正確な供給量の計算を利用することにより、高品質の液体材料コーティングの動作の維持において顧客を支援する一方で、顧客が材料を必要以上に塗布することにより液体コーティング材料を無駄にしないことを確実にする。
【0036】
システム10のコントローラ18は、コーティングプログラムの実行中に液体コーティング材料を基板12上に供給するのに必要な時間を追跡したり、或いはモニタしたりはしない。このため、コントローラ18は、コーティングプログラムの実行中に個々の基板12上に供給する液体コーティング材料の体積流量を計算しない。
【0037】
代替の実施形態では、コントローラ18は、制御パラメータとしてロボット14の速度を調節して、アプリケータ16から基板12上に供給するコーティング材料の総供給量を調節することができる。例えば、コントローラ18が、総供給量が望ましい量よりも少ないと判断した場合、コントローラ18は、基板12の領域又は部品上に供給する液体コーティング材料の総量を効果的に増加させる量だけロボット14の速度を低下させて効果的に相違を補償することができる。これとは逆に、コントローラ18が、総供給量が望ましい量よりも多いと判断した場合、コントローラ18は、基板12の領域又は部品上に供給する液体コーティング材料の総量を効果的に減少させる量だけロボット14の速度を増加させて効果的に相違を補償することができる。
【0038】
別の代替の実施形態では、コントローラ18は、制御パラメータとして液体コーティング材料の温度を調節して、総供給量を調節することができる。このために、コントローラ18は、加圧液体供給装置38に液体コーティング材料を加熱又は冷却するように指令する電気信号を加圧液体供給装置38へ通信することになる。当業者には周知のように、液体コーティング材料の温度を変化させることにより、液体コーティング材料の粘度が変化することになる。例えば、アプリケータ16から基板12上に供給された総供給量が少な過ぎる場合、液体コーティング材料の温度を上げて液体コーティング材料の粘度を増大させることにより、液体コーティング材料のアプリケータ16へのより大きな流れが作り出されるようになる。これにより、コーティングプログラムの実行中に基板12の領域又は部品上に供給された液体コーティング材料の量が増大するようになる。これとは逆に、アプリケータ16から基板12上に供給された総供給量が多過ぎる場合、液体コーティング材料の温度を下げて液体コーティング材料の粘度を低下させることにより、液体コーティング材料のアプリケータ16への流れが減少するようになる。これにより、コーティングプログラムの実行中に基板12の領域又は部品上に供給された液体コーティング材料の量が減少するようになる。
【0039】
ロボットの速度及びコーティング材料の温度は可変であり、液体コーティング材料の流体圧力とは無関係である。従って、別個の制御ループでは、加圧流体供給装置32からの流体圧力を利用して、例えば、ストリーム42を操作して、アプリケータ16からの所望のファン幅の噴霧パターンを実現できる一方で、同時に、ロボットの速度又はコーティング材料の温度を変更することにより、基板12上に供給される液体コーティング材料の量が望ましい設定点近くに維持されるようになる。
【0040】
1又はそれ以上の実施形態の説明により本発明を示し、これらの実施形態についてかなり詳細に説明してきたが、これらの実施形態は、添付の特許請求の範囲をこのような詳細事項に制限したり、或いは何らかの形で限定したりすることを意図するものではない。当業者であれば、追加の利点及び修正を容易に見てとれるであろう。従って、本発明は、その広い態様において図示及び説明した特定の詳細事項、代表的な装置及び方法、並びに例示的な実施例に限定されるものではない。このため、出願者の全体的な発明概念の範囲又は思想から逸脱することなく、このような詳細事項から逸脱することができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の実施形態によるコンピュータ制御コーティングシステムの概略図である。
【符号の説明】
【0042】
10 コーティングシステム
12 基板
14 ロボット
16 アプリケータ
18 プログラマブルコントローラ
19 ヒューマン・マシン・インタフェース(HMI)装置
20 コンベヤ
21、23、25、27、29、39、45、57、59 通信リンク
22 コンベヤコントローラ
24 アプリケータコントローラ
26 モーションコントローラ
30 アプリケータ本体
31 ノズル
32 加圧流体供給装置
33、35、51、53、55 導管
34 ソレノイド
36 液体注入口
38 加圧液体供給装置
38a 加熱素子
40 流体注入口
42 ストリーム
43 流体調整器
44 メモリ
50 A/F調整器
52 流量計
54 調整器
60 温度コントローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コーティングプログラムが決定したように基板に液体コーティング材料を塗布するためのシステムであって、
液体コーティング材料が入ったリザーバと、
前記リザーバから前記液体コーティング材料を受け取るように構成されると共に前記基板の部品又は領域上に前記液体コーティング材料を供給するように構成されたアプリケータと、
前記アプリケータへ流れる前記液体コーティング材料の量を示す容積信号を生成するように構成されたメータと、
前記アプリケータと機械的に結合され、該アプリケータを前記基板に対して動かすように構成されたロボットと、
前記コーティングプログラムにアクセスするように構成され、また前記ロボットと前記アプリケータとを制御するように構成されて、前記コーティングプログラム内の情報に従って前記液体コーティング材料を前記基板に塗布し、前記コーティングプログラムの終了時に、前記メータから出される1又はそれ以上の容積信号を利用して、前記コーティングプログラムの実行中に前記基板に塗布された前記液体コーティング材料の供給量を求めるように構成され、前記液体コーティング材料の前記供給量を前記コーティングプログラムにとっての望ましい供給量と比較すると共に前記供給量と前記望ましい供給量との間の差を示す誤差信号を生成するように構成され、該誤差信号に基づいて、後続する基板上の前記液体コーティング材料の前記供給量と前記望ましい供給量との間の差を低減させるように構成された制御システムと、
を含むことを特徴とするシステム。
【請求項2】
前記制御システムは、前記誤差信号に応じて内部制御ウィンドウ及び外部制御ウィンドウを実装するように構成される、
ことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記制御システムは、前記誤差信号が前記内部制御ウィンドウの内部に存在する場合、何のアクションも起こさないように構成される、
ことを特徴とする請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記制御システムは、前記誤差信号が前記外部制御ウィンドウの外部にある場合、アラームを発するように構成される、
ことを特徴とする請求項2に記載のシステム。
【請求項5】
前記制御システムは、前記誤差信号が前記外部制御ウィンドウの外部にある場合、システムを停止するように構成される、
ことを特徴とする請求項2に記載のシステム。
【請求項6】
前記リザーバから前記アプリケータへの前記液体コーティング材料の流れを調整するように構成され、前記制御システムと電気的に結合された調整器をさらに備え、前記制御システムは、前記調整器を操作して前記流れを修正し、前記後続する基板上の前記液体コーティング材料の前記供給量を変更するように構成される、
ことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記アプリケータにより供給される前記液体コーティング材料の前記温度を調整するように構成され、前記制御システムと電気的に結合された加熱器をさらに備え、前記制御システムは、前記加熱器を操作して、前記後続する基板上の前記液体コーティング材料の前記供給量を変更するように構成される、
ことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記制御システムは、前記ロボットが前記アプリケータを前記基板に対して動かす速度を調節して、前記後続する基板上の前記液体コーティング材料の前記供給量を変更するように構成される、
ことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
コーティングプログラムが決定したように基板に液体コーティング材料を塗布する方法であって、
前記コーティングプログラムの指示通りにアプリケータから前記基板に前記液体コーティング材料を供給するステップと、
前記液体コーティング材料が供給される間、前記アプリケータを前記基板に対して動かすステップと、
前記基板に塗布された前記液体コーティング材料の供給量を求めるステップと、
前記液体コーティング材料の前記供給量を前記コーティングプログラムにとっての望ましい供給量と比較するステップと、
前記供給量と前記望ましい供給量との間の差を示す誤差信号を生成するステップと、
前記誤差信号に基づいて、後続する基板に塗布される前記液体コーティング材料の前記供給量を変更するステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項10】
前記液体コーティング材料の前記供給量を変更するステップは、前記液体コーティング材料の前記アプリケータへの流れを調整器で調整するステップをさらに含む、
ことを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記供給量を求めるステップは、
前記アプリケータへ流れる前記液体コーティング材料の量を示す容積信号を生成するステップと、
前記容積信号の少なくとも1つに基づいて前記供給量を求めるステップと、
をさらに含むことを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記供給量を求め、該供給量を前記望ましい供給量と比較し、及び前記誤差信号を生成するコントローラに前記容積信号を通信するステップと、
前記後続する基板上の前記液体コーティング材料の前記供給量を変更するための調整器に制御信号を通信するステップと、
をさらに含むことを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記液体コーティング材料の前記供給量を変更するステップは、
前記供給量を変更するための内部制御ウィンドウを実装するステップと、
前記誤差信号が前記内部制御ウィンドウの内部にある場合、何のアクションも起こさないステップと、
をさらに含むことを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項14】
前記液体コーティング材料の前記供給量を変更するステップは、
前記供給量を変更するための外部制御ウィンドウを実装するステップと、
前記誤差信号が前記外部制御ウィンドウの外部にある場合、アラームを発するステップと、
をさらに含むことを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項15】
前記液体コーティング材料の前記供給量を変更するステップは、
前記供給量を変更するための前記外部制御ウィンドウを実装するステップと、
前記誤差信号が前記外部制御ウィンドウの外部にある場合、液体材料の前記アプリケータへの前記流れを停止するステップと、
をさらに含むことを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項16】
前記液体コーティング材料の前記供給量を変更するステップは、
前記液体コーティング材料を別の基板上に供給する場合、前記誤差信号に基づいて前記液体コーティング材料の温度を調節するステップをさらに含む、
ことを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項17】
前記液体コーティング材料の前記供給量を変更するステップは、
前記液体コーティング材料を別の基板上に供給する場合、前記アプリケータが前記基板に対して動く速度を調節するステップをさらに含む、
ことを特徴とする請求項9に記載の方法。

【図1】
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【公表番号】特表2009−542430(P2009−542430A)
【公表日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−518469(P2009−518469)
【出願日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際出願番号】PCT/US2007/071759
【国際公開番号】WO2008/002825
【国際公開日】平成20年1月3日(2008.1.3)
【出願人】(399018677)ノードソン コーポレイション (15)
【氏名又は名称原語表記】Nordson Corporation
【住所又は居所原語表記】28601 Clemens Road Westlake Ohio 44145−1119 USA
【Fターム(参考)】