説明

基板上のパターン位置を正確に合わせる方法および装置

プリント処理機は、プリントヘッド(20)に対して基板(30)を動かすX−Yテーブル(50)を有する。プリント処理の間、基板(30)が移動すると、プリントヘッド(20)が断続的に作動して、インク滴が放出される。基板(30)の画像をコンピュータに提供するため、カメラ(25)が設置され、このコンピュータは、パターンを認識するようにプログラム化されている。プリントヘッド(20)が、基板(30)上の所定の位置に、スポットをプリントとすることができるよう、前記基板(30)およびプリントヘッド(20)の相互の所定の位置と実際の位置との間のずれが測定され、補正される。このずれを測定するため、テストスポット(38)が、基板(30)上にプリントされ、このテストスポット(38)の所定の位置と実際に得られた位置との間のずれが、パターン認識手段によって測定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板とパターン化装置を相互にパターン化する位置に合わせる方法であって、その位置でパターン化装置が、基板にパターンを提供するように作動される方法に関する。
【背景技術】
【0002】
パターン化装置によって基板にパターンを提供する処理プロセスは、実際に知られており、多くの種類の製品の製造処理プロセスの一部となっている。基板にパターンを提供する処理プロセスは、いくつかの方法で実施され、例えばプリント法またはレーザーライティング法によって行われる。通常のプリント法は、基板にインクの層を設置するステップを有するのに対して、レーザーライティング法では、基板の一部を除去するステップを有する。
【0003】
パターンを提供するためには、パターン化装置が調整されたパターン処理機に基板を設置する。通常、パターン化設備は、基板を支持しこれを動かすための可動台を有する。パターン形成処理は、パターン化装置に対して基板を支持する台を動かすことによって行われ、パターン化装置は断続的に作動する。基板上に得られるパターンは、一方ではパターン化装置の出力によって定まり、他方では、パターン化装置に対する基板支持台の導入位置によって定まる。
【0004】
多数の層で構成されるパターンを形成する必要がある場合、パターン形成処理プロセスは、基板に各層が設置されるまでの間、多数のパターン形成ステップを有する。各パターン形成ステップは、種々の層のずれやパターンの歪みを避けるため、極めて精密に行う必要がある。多数のパターン処理ステップを有するパターン形成処理プロセスの一例は、ディスプレイのインクジェットプリント処理であり、この場合、ディスプレイ素子の寸法は、ミクロンの領域となる。そのような処理の間は、基板上のパターンの種々の層の位置を相互に正確に対応付けることが極めて重要となる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、基板とパターン化装置の位置を相互に合わせる方法を提供することであり、この方法は、例えばディスプレイのインクジェットプリント処理等の、基板上のパターン位置を高精度で合致させる必要のある、パターン形成処理プロセスへの適用に適している。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題は、基板とパターン化装置を相互にパターン化する位置に合わせる方法であって、前記パターン化する位置では、前記パターン化装置が作動して、前記基板にパターンが設置され、当該方法は、前記基板と前記パターン化装置の相互のパターン化する位置と、前記基板上の前記パターンの位置との間の実際の関係を定めるステップを有する方法によって達成される。
【0007】
本発明による方法の実施によって、前記基板と前記パターン化装置の相互のパターン化する位置と、前記基板上の前記パターンの位置との間の実際の関係が定められる。基板の所定の位置にパターンを設置する必要のある状況では、前記実際の関係を用いて、基板とパターン化装置の相互に対応するパターン化位置が定められる。その結果、実際に、基板の所定の位置にパターンを設置することが可能となる。
【0008】
本発明による方法を実施する際、基板上のパターンは、特に当該方法が:前記基板と前記パターン化装置を相互に所定のテスト位置に合わせるステップと;前記パターン化装置によって、前記基板にテストパターンを設置するステップと;前記基板上の実際に前記テストパターンが得られた位置に関する結果を得るため、測定を行うステップと;を有し、前記基板と前記パターン化装置の相互のパターン化する位置と、前記基板上の前記パターンの位置との間の前記実際の関係は、前記測定によって得られた前記結果に基づいて定められる場合、極めて精密な方法で位置が揃えられる。測定によって得られる結果は、例えば、基板上の実際にテストパターンが得られた位置、あるいは基板上の実際にテストパターンが得られた位置と、基板上のテストパターンの所定の位置との間のずれを有し、前記基板上の前記テストパターンの前記所定の位置は、前記基板と前記パターン化装置の相互のパターン化する位置と、前記基板上の前記パターンの位置との間の所定の関係に基づいて定められる。測定によって得られる結果の正確な特性とは無関係に、前記基板と前記パターン化装置の相互のパターン化する位置と、前記基板上の前記パターンの位置との間の実際の関係は、一方では所定のテスト位置に関する情報、また他方では、基板上の実際にテストパターンが得られた位置に関する情報に基づいて定められるという事実がある。
【0009】
前の段落で示したように、本発明による方法を以下のステップで実施すると、基板に設置されるパターン位置と、基板に対するパターン化装置の位置を基に予想される位置の間に生じ得る系統誤差は、自動的に補正される。その結果、前記基板と前記パターン化装置の相互のパターン化する位置と、前記基板上の前記パターンの位置との間の実際の関係を用いて、基板上のパターンの所定位置に基づいて、パターン化する必要のある位置が見出され、極めて正確にパターン化する必要のある位置が定められる。
【0010】
本発明による方法は、通常「直接ライティング」と呼ばれる方法で基板にパターンを設置する方法を含む、パターン化技術の分野での利用に特に適している。そのようなパターン化技術は、例えばプリント法によって基板に直接パターンを設置する方法、または例えばレーザーライティング法によって基板を直接変形する方法を有する。
【0011】
さらに、本発明による方法は、ポリLEDまたは液晶ディスプレイ等の、ディスプレイの製造処理プロセスでの適用に特に適しており、ディスプレイは、可撓性であっても非可撓性であっても良い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明を詳細に説明する。図中では同様の部品は、同じ参照符号で示されている。
【0013】
図1には、プリントヘッド20と基板30の相対位置を制御する制御ユニット10を有するプリント装置1を概略的に示す。また図2には、プリントヘッド20と、プリント装置1の多数の他の素子と、基板30とを概略的に示す。
【0014】
プリント装置1は、架台40を有し、この架台は、御影石41を支持している。石41の上には、X−Yテーブル50が設置されている。X−方向とY−方向は、石41の上面に広がる面内の方向に対応しており、X−方向とY−方向は、相互に直交している。図2において、X−方向とY−方向は、それぞれ矢印Xおよび矢印Yで示されている。X−Yテーブル50は、X−方向に可動なX−テーブル51と、Y−方向に可動なY−テーブル52とを有する。X−Yテーブル50の上には、基板30を保持しこれを支持する基板ホルダ53が設置されている。
【0015】
またプリント装置1は、門形43と、Z−スライド55とを有し、このスライドは、門形43から吊るされている。Z−方向は、X−方向およびY−方向の両方と直交する。図2では、Z−方向は、矢印Zで示されている。Z−スライドは、Z−方向に動かすことができ、プリントヘッド20とカメラ25を支持している。
【0016】
X−Yテーブル50と、Z−スライド55の動きを制御するため、プリント装置1の制御ユニット10は、コンピュータ11と、モータ制御部材12とを有する。プリント装置1の作動中、コンピュータ11は、X−テーブル51、Y−テーブル52およびZ−スライド55の必要な位置および動きを定め、必要な動きを表す信号をモータ制御部材12に伝送する。受信信号を基に、モータ制御部材12は、X−テーブル51、Y−テーブル52およびZ−スライド55を駆動するモータ(図示されていない)の作動を制御する。
【0017】
プリント装置1は、X−Yテーブル50および基板ホルダ55の近傍に設置された排気装置(図示されていない)を有し、プリント処理プロセスの間に生じるおそれのある有害ガスを排気することができるという利点を有する。
【0018】
以下に、図3を参照してプリント装置1の作動方法を説明する。
【0019】
図3には、基板ホルダ53と、基板30と、プリントヘッド20と、制御ユニット10とを概略的に示す。プリント処理の間、制御ユニット10は、基板30の位置に基づいて、基板ホルダ53の変位およびプリントヘッド20の動作を制御する。基板30とプリントヘッド20が、相互にプリント位置にある場合、制御ユニット10は、プリントヘッド20に開始パルスを伝送する。プリントヘッド20が開始パルスを受信すると直ちに、プリントヘッド20は、基板30に向かってインク滴21を放射する。この処理を繰り返すことによって、基板30上にプリントパターンが形成される。
【0020】
プリントヘッド20と基板30の想定し得る配置は、図4に示されており、この図は、プリントヘッド20と基板30の上面図を示している。図4に概略的に示すプリントヘッド20は、多数のノズル22を有し、このノズルは、ドットで示されている。各ノズル22は、制御ユニット10によって制御され、制御ユニット10の開始パルスを受信した際に、インク滴21を放射することができる。基板30が、プリントヘッド20に対して図4において矢印で示す方向に移動し、さらにプリントヘッド20のノズル22が、断続的にインク滴21を放出するように制御されることにより、図5に示すプリントパターン35が得られる。パターン35等の外観に影響を及ぼすプリント処理プロセスの特性は、プリントヘッド20のノズル22の放射周波数と、プリントヘッド20に対する基板30の動きの特性である。基板30上のパターン35の位置に影響を及ぼすプリント処理プロセスの特性は、プリントヘッド20に対する基板30の導入位置と、プリントヘッド20のノズル22によって放出されるインク滴21の方向である。
【0021】
本発明の範囲内で、パターン35に対しては多くの外観が存在し得る。例えばパターン35は、一つのスポットでも複数のスポットでも良く、後者の場合スポットの配列は、規則的であっても不規則であっても良い。
【0022】
前述のように、プリントヘッド20に対して基板30を動かし、プリントヘッド20によって基板30に向かってインク滴21を断続的に放出することで得られる、パターン35を有する基板30を提供する方法は、例えばディスプレイの製作、特にいわゆるポリLEDディスプレイに利用することができる。ポリLEDディスプレイは、多数の発光ダイオードを有し、各発光ダイオード(通常LEDと呼ばれる)は、個々の層スタックを有する。これらの層の多くは、画素内の溶媒に溶解したこれらの層の材料を投与することによって得られ、画素は、所定の寸法を有する制限された領域となる。層を有する基板30を提供するため、プリントヘッド20によって放出されるインク滴21は、層の前記溶媒および前記材料を有することは明らかであろう。
【0023】
ポリLEDディスプレイでは、通常、ガラスを有する基板30が使用される。画素の径のおよび画素間の相互距離の適当な値は、それぞれ50μmおよび200μmである。
【0024】
前述の適用を行うため、ポリLEDディスプレイの製作処理プロセス中、プリント処理プロセスは、極めて高い要求事項を満たす必要がある。重要な要求事項は、個々の層のパターン35位置が、相互に極めて精密に合わせされることであり、これらのパターン35のずれが回避される。通常は、予めパターン化された基板30が利用され、基板30上の既存のパターンに対して、プリントパターン35の位置を正確に合わせることが重要となる。これらの要求を満たすため、基板30上のプリントパターン35の位置合わせは、極めて精密に行う必要がある。
【0025】
基板30上のパターン35を設置する必要のある要求位置は、制御ユニット10のコンピュータ11に保管される。プリント処理の間、コンピュータ11は、モータ制御部材12によって、プリントヘッド20に対する基板30の位置を制御し、基板30上に得られるパターン35の位置が、基板30上のパターン35の必要な位置に一致する。処理の間、実際には多くの誤差を補正する必要がある。これらの誤差は、基板30のX−Yテーブル50に対する位置、およびX−Yテーブル50に対するプリントヘッド20の位置に関する誤差を有する。本発明は、多くの重要な誤差を補正するプリント方法を提供し、基板30上のパターン35の正確な位置合わせが可能となり、ディスプレイプリント技術の分野に、本プリント方法を利用することが可能になる。次に図2乃至6を参照して、本発明による方法を実施する好適実施例を説明する。簡略化のため、図2には、基板ホルダ53は示されていない。図2に一例として示すように、プリントヘッド20は、先に示した図4に示す例とは異なり、単一のノズル22を有する。これは、本発明による方法の適用は、プリントヘッド20のノズル22の数には依存しないという事実に基づく。
【0026】
プリント処理を行う前に、基板30は、プリント設備1内の基板ホルダ53に載せられる。この処理では、基板30は、いかなる従来の好適方法で、基板ホルダ53に対して大まかに所定の位置に設置されても良く、例えば基板ホルダ53の固定ペンを援用して位置を合わせても良い。プリント処理の必要な基板30の面には、2つの照合マーク36、37が設置される。
【0027】
基板30が、適切な方法で基板ホルダ53に設置されると、位置合わせ処理が開始される。位置合わせ処理の第1のステップでは、X−Yテーブル50が移動し、コンピュータは、カメラ25を援用して基板30上の照合マーク36、37を探索する。コンピュータは、カメラ25からの画像を収集するイメージカードと、画像を認識し処理するソフトウェアとを有する。ソフトウェアは、マーク36、37の外観を記憶しており、カメラ25で収集された画像の中から、記憶した外観との合致点を探索することができる。このようにして、コンピュータ11は、X−Yテーブル50に対する照合マーク36、37の位置を決めることができる。
【0028】
X−Yテーブル50に対する個々の照合マーク36、37の位置のずれは、照合マーク36、37の一方、例えば照合マーク36をX−Y座標(0,0)の新たなゼロ点に設定することによって補正される。照合マーク36、37の両方を通って延びる仮想照合ラインと、X−方向との間の角度φ、換言すれば、基板の回転角φは、個々のマーク36、37の位置との比較に基づいて定められる。照合マーク36のX−Y座標は、(0,0)として設定されるため、回転角φは、単純に、照合マーク37のY−座標を照合マーク37のX−座標で除した結果のタンジェントとして得ることができる。回転角φは、以下に示す方法で、基板30のプリントスポットの所定の位置に基づいて、X−Yテーブル50の実際のプリント位置を計算する処理の際に用いられる。実際のプリント位置は、プリントヘッド20で基板30の所定の位置にスポットをプリントするため、実際にX−Yテーブル50によって導入されるべき位置とみなすことができる。
【0029】
位置合わせ処理の第2のステップを行うため、制御ユニット10のコンピュータ11は、X−Yテーブル50を新たなゼロ点に対する所定のテスト位置に向かって動かすようにプログラム化される。X−Yテーブル50が所定のテスト位置に導入されると、直ちにコンピュータ11によってプリントヘッド20が作動して、インク滴21が放出される。放出されたインク滴21は、基板30上にテストスポット38を形成する。このテストスポット38は、有効なプリントパターン35を得ることが意図されていない基板30のある領域にプリントされる。なお製作処理完了後には、実際に機能することが意図されたプリントパターン35がプリントされた基板30が、当初の目的に利用される。
【0030】
一度テストスポット38がプリントされると、テストスポット38の所定の位置と実際にテストスポット38が得られた位置との間のずれを測定することが可能となる。またこのずれは、カメラ25と予め記憶されたテストスポット38の外観探索とを援用した、パターン認識技術を用いた光学的な方法によっても定められる。
【0031】
定められた回転角φ、およびテストスポット38の所定の位置と実際にテストスポット38が得られた位置との間の測定されたずれに基づいて、制御ユニット10のコンピュータ11は、基板30の所定位置にスポットをプリントするため、X−Yテーブル50の実際のプリント位置を定めることができる。以下に図6を参照して、コンピュータ11によってX−Yテーブル50の実際のプリント位置が定められる方法を示す。以下の記号が使用される:
Xh=X−方向におけるテストスポット38の所定の位置と、実際にテストスポット38が得られた位置との間のずれ;
Yh=Y−方向におけるテストスポット38の所定の位置と、実際にテストスポット38が得られた位置との間のずれ;
Xc=X−方向におけるテストスポット38の所定の位置と、実際にテストスポット38が得られた位置との間の、補正されたずれ;
Yc=Y−方向におけるテストスポット38の所定の位置と、実際にテストスポット38が得られた位置との間の、補正されたずれ;
X1=照合マーク36に対するスポットの所定の位置のX−座標;
Y1=照合マーク36に対するスポットの所定の位置のY−座標;
Xn=回転角φの補正前のX−Yテーブル50の実際のプリント位置のX−座標;
Yn=回転角φの補正前のX−Yテーブル50の実際のプリント位置のY−座標;
Xp=X−Yテーブル50の実際のプリント位置のX−座標;および
Yp=X−Yテーブル50の実際のプリント位置のY−座標;である。
【0032】
まず、テストスポット38の所定の位置と実際にテストスポット38が得られた位置との間で測定されたずれについて、回転角φの補正を行う必要がある。この理由は、テストスポット38のプリント処理の間、X−Yテーブル50に対する基板30の回転の影響によって、基板30は、所定のテスト位置と正確に一致していない位置にあるためである。補正されたずれの座標は、以下の式で定められる:
【0033】
【数1】

補正されたずれを用いて、2段階のステップで、X−Yテーブル50の実際のプリント位置が定められる。第1のステップでは、補正されたずれが考慮されるのに対して、第2のステップでは、回転角φが考慮される。
【0034】
【数2】

XpおよびYpの計算値を基に、制御ユニット10のコンピュータ11は、モータ制御部材12により、X−テーブル51とY−テーブル52を駆動するモータを制御し、X−Yテーブル50が実際のプリント位置を取り入れる。X−Yテーブル50が実際のプリント位置に到達すると、プリントヘッド20が作動してプリント処理が開始され、少なくとも1滴のインク滴21が放出され、基板30上の照合マーク36に対する所定の位置にスポットが形成される。
【0035】
実際には、位置合わせ処理は、X−Yテーブル50の実際のプリント位置と、照合マーク36に対するスポットの所定の位置との間の実際の関係を定めるステップを有し、コンピュータ11は、その関係に基づいて、パターン35をスポットの集合体とみなすことができる点を考慮して、パターン35をプリントするために必要な、実際のプリント位置を定めることができる。
【0036】
原則として位置合わせ処理は、特に基板30が比較的小さい場合、プリント処理が行われる前に基板30に対して1回だけ行う必要がある。コンピュータ11は、測定された回転角φ、およびテストスポット38の所定の位置と実際にテストスポット38が得られた位置との間の測定されたずれを記憶することができる。これらの2つのパラメータに基づいて、コンピュータ11は、基板30にプリントされるべき全パターンに対して、X−Yテーブル50の実際のプリント位置を計算することができる。ただし、比較的大きな基板30にパターン35をプリント処理するためには、位置合わせ処理は、何回も実施されることが好ましく、プリント処理が開始される前のみならず、プリント処理中のある段階でも行われることが好ましい。各位置合わせ処理において、基板30上にテストスポット38をプリント処理する際、異なる所定のテスト位置が使用されても良い。一つの基板30に対して何回も位置合わせ処理を行うことにより、照合マーク36、37に対してパターン35を極めて精密に設置することが可能となり、プリントヘッド20のノズル22の機能の時間とともに生じる変化が、補正される。
【0037】
前述の位置合わせ処理の重要な利点は、この処理が、完全に自動で行われることである。基板30が基板ホルダ53に設置されてから、コンピュータ11は、カメラ25を援用して位置合わせ処理を実行するため、ヒューマンインターフェースは不要である。
【0038】
位置合わせ処理が、前述のテストスポット38をプリントするステップと、テストスポット38の所定の位置と実際にテストスポット38が得られた位置との間のずれを測定するステップと、を有する場合、実際にテストスポット38が得られた位置とプリントヘッド20の位置に基づいて予想される位置との間に生じ得る系統的ずれは、自動的に補正される。
【0039】
位置合わせ処理は、各種方法で実行される。例えば、最初に照合マーク36、37が探索される必要はなく、後からテストスポット38がプリントされても良い。位置合わせ処理のこれらのステップは、逆の順番で実施されても良い。
【0040】
位置合わせ処理が、テストスポット38の所定の位置と実際にテストスポット38が得られた位置との間のずれを測定するステップを有することは、重要ではない。別の可能な方法では、テストスポット38がカメラ25を援用して探索され、テストスポット38が見出されると直ちに、実際にテストスポット38が得られた位置が測定される。この実際にテストスポット38が得られた位置と、X−Yテーブル50の設定されたテスト位置の組み合わせを基に、X−Yテーブル50の設定されたプリント位置と、基板30上のスポットが得られた位置との関係を定めることが可能になる。この関係を用いて、制御ユニット10のコンピュータ11は、プリントヘッド20に対する基板30の位置、およびプリントヘッド20の動作を制御し、基板30の所定の位置にパターン35を得ることが可能になる。実際にテストスポット38が得られた位置を測定するステップは、同様に良好な結果を与えるが、この位置合わせ処理を行う方法は、テストスポット38を見出すための時間が増大するという欠点を有する。
【0041】
また位置合わせ処理は、複数のノズル22を有するプリントヘッド20が利用される状況で利用されても良い。その場合、位置合わせ処理は、X−Yテーブル50が所定のテスト位置に移動する間、あるステップを有しても良く、プリントヘッド20の全てのノズル22が作動し、インク滴21が放出される。その結果、基板30にはテストスポット38の代わりに、テスト行が得られる。テスト行の探索に利用される、コンピュータ11に記憶された画像は、テスト行の端部と、隣接する何もない部分とを有することが好ましい。テスト行の端部は、例えば、2つのスポットを有する。テスト行が延びる方向に隣接するブランク部分の寸法は、2つの後続スポット間距離を越える必要があり、これによりコンピュータ11は、テスト行の端部を直接見出すことができる。この方法では、コンピュータ11は、テスト行の所定の位置と実際にテスト行が得られた位置との間のずれを測定することができる。さらに、コンピュータ11は、テスト行の所定の方向と、実際にテスト行が得られた方向との間のずれを見出すようにプログラム化され、プリントヘッド20のノズル22の行とX−Yテーブル50の間の回転角が定められる。この回転角が定められる場合、基板30の移動に、X−Yテーブル50の代わりにX−Y−φテーブルを使用することが好ましい。回転角は、X−Y−φテーブルの回転によって補正される。
【0042】
複数のノズル22についての別の可能な方法では、コンピュータ11が、テスト行の一部である各テストスポット38の所定の位置と、実際に各テストスポット38が得られた位置との間のずれを定めるように、あるいは実際に各テストスポット38が得られた位置を定めるようにプログラム化される。この方法では、各個々のノズル22に対して、コンピュータ11は、基板30を支持する架台のプリント位置と、基板30上のプリントスポットが得られた位置との関係を定めることができる。この関係に基づいて、コンピュータ11は、基板30に必要なパターン35が正確に設置されるようにプリント処理プロセスを制御することができ、パターン35のスポットの相互位置、および基板30上のパターン35の位置の両方の精度が、要求を満足するようになる。実際にはこの方法では、前述の一つの単一ノズル22を有するプリントヘッド20の場合について示したように、位置合わせ処理は、2以上のノズル22を有するプリントヘッド20の各個々のノズル22に対して行われる。
【0043】
前段落に示す処理の結果、実際には、ノズル22は、正確に同時に作動されず、テーブルのプリント位置と、基板30上のノズル22に対応するプリントスポットが得られた位置との間の実際の関係は、別のノズル22に関する前記関係とは異なる。位置合わせ処理によって、1または2以上のノズル22が適切に作動しないことが明らかな場合、コンピュータ11は、全てのノズル22を使用しないようにプログラム化されても良い。そのような場合、コンピュータ11は、プリントヘッド20のノズル22を制御し、異常作動ノズル22の機能は、他のノズル22によって承継されるため、基板30上に得られるパターン35が妨害されることはない。
【0044】
本発明の範囲が、前述の例に限定されないことは当業者には明らかであり、添付の特許請求の範囲に記載された本発明の範囲を逸脱しないで、いくつかの修正および変更が可能である。
【0045】
示されたプリント装置1は、基板30とプリントヘッド20の相互位置を合わせるため、および基板30とカメラ25の相互位置を合わせるため、基板30を動かすX−Yテーブル50を有する。プリントヘッド20とカメラ25の両方は、Z−スライド55によって、Z−方向にのみ可動である。基本的に本発明の範囲内で、プリントヘッド20とカメラ25は、X−方向およびY−方向に可動とすることもでき、基板30の位置を前記方向に固定させても良い。また、プリントヘッド20、カメラ25および基板30の全てをX−方向とY−方向に可動とすることも可能である。ただし、他の方法に比べて、図に示した配置が好ましい。基板30とプリントヘッド20とは、相互にX−方向およびY−方向に可動であることが重要であり、基板30とカメラ25についても同様である。これが実現される全ての可能な方法は、本発明の範囲に属する。
【0046】
示された例では、単一のカメラ25を使用して、マーク36、37およびプリントされたテストスポット38を検出する。1以上のカメラ25を用いて良いことは、明らかである。しかしながら、その場合、基板30とプリントヘッド20の相互の位置合わせ精度は、カメラ25の相互位置の誤差によって好ましくない影響を受ける。従って、これらの誤差を定めて、補正しておくことが好ましい。
【0047】
マーク36、37およびテストスポット38の検出に、必ずしもカメラ25を使用する必要はない。マーク36、37およびテストスポット38の特性に応じて、別の種類の検出手段を利用しても良く、例えば赤外線カメラ、またはマーク36、37および/またはテストスポット38が基板30上に起伏を有する場合には、トレーサを使用しても良い。
【0048】
以下、本発明のプリント処理、特にプリント処理ディスプレイについて示す。これは、パターンを有する基板を提供すること以外の方法に、本発明が適用できないことを意味するものではない。その逆に、本発明は、例えばレーザーライティング技術の分野にも利用することができる。本発明による方法は、基板に対するマスクの正確な位置決めに利用しても良い。実際には、本発明は、パターンを有する基板が必要とされる状況、およびパターン化装置が使用される状況等、基板に対して正確に位置を定める必要があるあらゆる状況で適用することが可能である。
【0049】
位置合わせ方法のひとつのステップ中に、前述のように、X−Yテーブル50に対する基板30の回転角φが定められる。X−Yテーブル50の実際のプリント位置を計算するため、回転角φが考慮される。X−Yテーブル50の実際のプリント位置を調整することによって、回転角φを補正する代わりに、X−Y−φテーブルを利用することも可能である。そのようなテーブルがプリント装置1の一部である場合、測定された回転角φは、X−Y−φテーブルのφテーブルの回転によって補正することができる。
【0050】
本発明による方法の適用によって、精密にパターン化された最終製品を提供することができる。最終製品には、機能的なパターン、すなわち最終製品によって割り当てられた機能を発揮することが可能となるパターンのみならず、製品の製作処理中にのみ使用されるテストパターンが提供される。
【0051】
前述のプリント装置1は、プリントヘッド20に対して、X−方向およびY−方向に基板30を動かすX−Yテーブル50を有する。プリント処理の間、基板30が動かされると、プリントヘッド20が断続的に作動して、インク滴21が放出され、基板30上にパターン35が形成される。
【0052】
プリントヘッド20から一定の距離にカメラ25が設置され、基板30の画像がコンピュータ11に提供され、このコンピュータ11は、パターンを認識するようにプログラム化される。プリントヘッド20によって、基板30上の所定の位置にスポットをプリントすることができるように、基板30とプリントヘッド20との所定の相互位置と、基板30とプリントヘッド20との実際の相互位置との間のずれが、測定され補正される。このずれを測定するため、テストスポット38が基板30にプリントされ、テストスポット38の所定の位置と実際にテストスポット38が得られた位置との間のずれが、パターン認識手段によって測定される。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】プリントヘッドと基板の相対位置を制御する制御ユニットを有するプリント装置を概略的に示した図である。
【図2】図1に示すプリント装置の多数の素子と基板の概略斜視図である。
【図3】図1に示すプリント装置の作動方法を概略的に示した図である。
【図4】プリントヘッドに対する基板の位置と動きを概略的に示した図である。
【図5】基板上に得られたパターンを概略的に示した図である。
【図6】実際のプリント位置を定める方法を概略的に示した図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板とパターン化装置を相互にパターン化する位置に合わせる方法であって、前記パターン化する位置では、前記パターン化装置が作動して、前記基板にパターンが設置され、当該方法は、前記基板と前記パターン化装置の相互のパターン化する位置と、前記基板上の前記パターンの位置との間の実際の関係を定めるステップを有する方法。
【請求項2】
前記基板と前記パターン化装置を相互に所定のテスト位置に合わせるステップと、
前記パターン化装置によって、前記基板にテストパターンを設置するステップと、
前記基板上の実際に前記テストパターンが得られた位置に関する結果を得るため、測定を行うステップと、
を有し、前記基板と前記パターン化装置の相互のパターン化する位置と、前記基板上の前記パターンの位置との間の前記実際の関係は、前記測定によって得られた前記結果に基づいて定められることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記測定は、パターン認識技術を用いた光学的方法で行われることを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記基板上の実際に前記テストパターンが得られた位置と、前記基板上の前記テストパターンの所定の位置との間のずれが測定され、前記基板上の前記テストパターンの前記所定の位置は、前記基板と前記パターン化装置の相互のパターン化する位置と、前記基板上の前記パターンの位置との間の所定の関係に基づいて定められ、前記基板と前記パターン化装置の相互のパターン化する位置と、前記基板上の前記パターンの位置との間の前記実際の関係は、測定された前記ずれの前記所定の関係を補正することによって定められることを特徴とする請求項2または3に記載の方法。
【請求項5】
前記基板上の実際に前記テストパターンが得られた位置が測定され、前記基板と前記パターン化装置の相互のパターン化する位置と、前記基板上の前記パターンの位置との間の前記実際の関係は、測定された前記基板上の実際に前記テストパターンが得られた位置を、前記所定のテスト位置に対応付けることによって定められることを特徴とする請求項2または3に記載の方法。
【請求項6】
前記基板と前記パターン化装置の相互の実際の移動直線と、前記基板と前記パターン化装置の相互の所定の移動直線との間の回転角を定めるステップを有し、前記基板と前記パターン化装置の相互のパターン化する位置と、前記基板上の前記パターンの位置との間の前記実際の関係は、前記回転角で補正されることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一つに記載の方法。
【請求項7】
前記回転角は、パターン認識技術を用いた光学的方法によって定められることを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記基板と前記パターン化装置の相互の前記所定の移動直線は、2つの照合マークによって前記基板上に表示されることを特徴とする請求項6または7に記載の方法。
【請求項9】
前記回転角は、前記実際の移動直線に沿って、前記基板と前記パターン化装置を相互に動かし、前記実際の移動直線と実質的に垂直な方向における、前記照合マークの前記位置を比較することによって、定められることを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項10】
特にポリLEDディスプレイまたは液晶ディスプレイ等のディスプレイにプリントするために利用され、前記パターン化装置は、インク滴を放出する少なくとも一つのノズルを有するプリントヘッドを有することを特徴とする請求項1乃至9のいずれか一つに記載の方法。
【請求項11】
請求項1乃至10のいずれか一つに記載の方法を実施するのに適したパターン処理機であって、
基板を支える第1の支持部材と、
前記基板にパターンを設置するパターン化装置を支持する第2の支持部材と、
前記基板と前記パターン化装置を相互に動かす移動手段と、
コンピュータと、
前記基板上のマークおよびパターンを検出する検出手段と、
を有し、前記コンピュータは、前記マークおよび前記パターンを認識して、前記移動手段に対する前記マークおよび前記パターンの位置を定めるようにプログラム化されていることを特徴とするパターン処理機。
【請求項12】
前記検出手段は、前記コンピュータに前記基板の画像を提供する少なくとも一つのカメラを有し、前記コンピュータは、前記カメラから前記画像を収集して、該画像を認識するようにプログラム化されていることを特徴とする請求項11に記載のパターン処理機。
【請求項13】
前記コンピュータは、
前記基板と前記パターン化装置を相互に所定のテスト位置に合わせるように、前記移動手段を制御するステップと、
前記基板上にテストパターンを設置するため、前記パターン化装置に活性化パルスを伝送するステップと、
前記基板と前記カメラを相互に前記所定のテスト位置に合わせるように、前記移動手段を制御するステップと、
パターン認識技術を用いて前記カメラで、前記テストパターンが実際に得られた位置と、前記テストパターンの所定の位置との間のずれを測定するステップと、
を有する、位置合わせ処理を実行するようにプログラム化されていることを特徴とする請求項12に記載のパターン処理機。
【請求項14】
前記コンピュータは、
前記基板と前記パターン化装置を相互に所定のテスト位置に合わせるように、前記移動手段を制御するステップと、
前記基板にテストパターンを設置するため、前記パターン化装置に活性化パルスを伝送するステップと、
パターン認識技術を用いて前記カメラで、前記基板上の前記テストパターンが実際に得られた位置を検出するステップと、
を有する、位置合わせ処理を実行するようにプログラム化されていることを特徴とする請求項12に記載のパターン処理機。
【請求項15】
前記コンピュータは、一つの基板に対して、前記位置合わせ処理を1回以上実行するようにプログラム化され、前記位置合わせ処理は、前記パターン化装置によって前記基板にパターンが設置される間、一つの処理で代替されることを特徴とする請求項13または14に記載のパターン処理機。
【請求項16】
前記移動手段は、X−Yテーブルを有することを特徴とする請求項11乃至15のいずれか一つに記載のパターン処理機。
【請求項17】
前記パターン化装置は、インク滴を放出する少なくとも一つのノズルを有するプリントヘッドを有することを特徴とする請求項11乃至16のいずれか一つに記載のパターン処理機。
【請求項18】
特にポリLEDディスプレイまたは液晶ディスプレイ等のプリントディスプレイであって、少なくとも2つの照合マークと、画像を表示する際に利用される機能パターンを有する領域の外部に設置されたプリントテストパターンと、を有するプリントディスプレイ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2007−527026(P2007−527026A)
【公表日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−518458(P2006−518458)
【出願日】平成16年7月1日(2004.7.1)
【国際出願番号】PCT/IB2004/051091
【国際公開番号】WO2005/005153
【国際公開日】平成17年1月20日(2005.1.20)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】