説明

基板分割装置および基板分割装置の制御方法

【課題】簡単な構成で、基板を適切に送り、分割することができる基板分割装置および基板分割装置の制御方法を提供することである。
【解決手段】基板Wを間欠送りする送りテーブル23と、送りテーブル23上のブレイクラインBに、基板Wのスクライブラインを位置決めする位置決め機構28と、位置決めされた基板Wを分割する分割動作装置24手段と、を備え、送りテーブル23は、基板Wをエアー浮上させると共に送り方向に下り傾斜した基板送り経路と、基板送り経路に、エアー浮上のためのエアーを供給するエアー供給装置29と、を有しているものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、基板を間欠送りしながらスクライブラインに沿って分割する基板分割装置および基板分割装置の制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の基板分割装置として、基板の幅より狭い間隔で基板送り方向に張設された複数の丸ベルトと、複数の丸ベルトを回転駆動して、基板を基板送り方向に送る駆動部と、送られてきた基板を分割位置に位置決めする位置決め手段と、基板の分割側部位を挟み込み、分割ライン(スクライブライン)を境に回動することで基板を撓らせて分割する分割手段と、を有するものが知られている(特許文献1参照)。
この場合、基板は、回転駆動する複数の丸ベルトに載せられて基板送り方向に送られ、位置決め手段によって分割位置に位置決めされた後、分割手段により、分割ラインを境に撓ることで分割される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−9208号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような基板分割装置では、基板送りの際に、基板の下面が丸ベルトに接触する(特に、送り開始および停止時に基板とベルトが擦れ合う)ため、基板を傷付けてしまうという問題があった。また、複数の丸ベルトおよびそれを駆動する駆動部が必要であるため、全体として装置が複雑になるという問題があった。
【0005】
本発明は、簡単な構成で、基板を適切に送り、分割することができる基板分割装置および基板分割装置の制御方法を提供することをその課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の基板分割装置は、基板を間欠送りする送りテーブルと、送りテーブル上のブレイクポイントに、基板のスクライブラインを位置決めする位置決め手段と、位置決めされた基板を分割する分割手段と、を備え、送りテーブルは、基板をエアー浮上させると共に送り方向に下り傾斜した基板送り経路と、基板送り経路に、エアー浮上のためのエアーを供給するエアー供給手段と、を有していることを特徴とする。
【0007】
この構成によれば、基板送り経路が送り方向に下り傾斜していると共に、基板送り経路にエアー浮上用のエアーが供給されているため、基板送り経路上にセットされた基板は、単純にエアー浮上させることで、自重によって送り方向に向かって送られてゆく。すなわち、基板を傷付けることなく、適切に送り方向に送ることができ、その後、位置決めして分割することができる。また、基板を送るために、これをエアー浮上することで足り、特段の機構やアクチュエータを必要としないため、装置を簡単に且つ安価に構成することができる。
【0008】
この場合、基板送り経路は、穴開きプレートおよび多孔質プレートのいずれか一方で構成されていることが、好ましい。
【0009】
この構成によれば、満遍なく浮上用エアーを基板に供給することができるため、基板を基板送り経路上に効率よく浮上させることができる。
【0010】
この場合、送りテーブルは、ブレイクポイントを挟んで、送り方向上流側の第1テーブルと、送り方向下流側の第2テーブルと、を有し、分割手段は、第1テーブルに上側から臨み、基板を第1テーブルとの間に保持する第1保持機構と、第2テーブルに上側から臨み、基板を第2テーブルとの間に保持する第2保持機構と、第2テーブルおよび第2保持機構を、ブレイクポイント廻りに回動させる回動機構と、を有していることが、好ましい。
【0011】
この構成によれば、スクライブラインを押圧して基板を分割する場合等に比して、精度良く分割を行うことができる。また、回動中心を基板の厚み中心の上下(山折りでは下、谷折りでは上)にずらして基板を分割すれば、引張り力で分割を行うことができ、基板同士の擦れ合いで基板が傷付くことを防止することができる。
【0012】
またこの場合、回動機構は、基板が山折りとなるように、第2テーブルおよび第2保持機構を回動させることが、好ましい。
【0013】
この構成によれば、回動した第2テーブルが先下がりに傾斜するため、分割した基板を先方に滑落させて、第2テーブルから簡単に除材することができる。
【0014】
この場合、位置決め手段は、第2テーブルに設けられ、基板の搬送方向先端が突き当てられるストッパーを有していることが、好ましい。
【0015】
この構成によれば、基板送り方向の位置決めを確実に行うことができる。
【0016】
この場合、位置決め手段は、ストッパーを第2テーブルから出没させる出没機構を、更に有していることが、好ましい。
【0017】
この構成によれば、分割動作時にストッパーを没入させておけば、分割された基板がストッパーに衝突することがないため、基板を傷付けることを防止することができる。
【0018】
この場合、位置決め手段は、ストッパーを、送り方向前後に微小移動させる位置調整機構を、更に有していることが、好ましい。
【0019】
この構成によれば、ストッパーの位置を適宜変更することで、スクライブラインの位置が異なる複数種の基板に対して、自在に対応させることができる。
【0020】
本発明の基板分割装置の制御方法は、上記の基板分割装置の制御方法であって、基板を第1テーブルにセットした状態でエアー供給手段を駆動し、基板を送ってストッパーに突き当てる基板位置決め工程と、基板位置決め工程の後、第1保持機構および第2保持機構を駆動して、基板を保持すると共に、ストッパーを没入させる基板保持工程と、基板保持工程の後、回動機構を駆動して、基板を分割する基板分割工程と、基板分割工程の後、分割された基板を第2テーブルから滑落させる除材工程と、を備えたことを特徴とする。
【0021】
この構成によれば、基板をエアー浮上させると、その自重により基板送り方向に送られ、ストッパーに突き当たることで位置決めされる。そして、第1保持機構および第2保持機構により基板を保持した後、ストッパーを没入させ、回動機構を駆動することで、基板を分割して除材する。これにより、連続して、基板を傷付けることなく適切に送り、分割することができる。
【0022】
この場合、基板保持工程、基板分割工程および除材工程において、エアー供給手段の駆動を継続することが、好ましい。
【0023】
この構成によれば、エアー供給手段の駆動および停止を頻繁に制御する必要がなく、且つ基板の保持状態を解いたときに、分割された基板をエアー浮上により円滑に除材することができると共に、除材に際し基板が傷付くのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】(a)はODFマザー基板の斜視図であり、(b)TFT液晶パネルの斜視図である。
【図2】基板分割装置の正面側から見た斜視図である。
【図3】基板分割装置の背面側から見た斜視図である。
【図4】基板分割装置の側面側から見た斜視図である。
【図5】(a)基板分割装置の模式図であり、(b)はA−A断面図である。
【図6】第2保持機構廻りの拡大図である。
【図7】基板の分割動作を説明するための説明図(1)である。
【図8】基板の分割動作を説明するための説明図(2)である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、添付した図面を参照して、本発明に係る基板分割装置および基板分割装置の制御方法について説明する。この基板分割装置は、円板状のODF(One Drop Filling)マザー基板を、スクライブラインに沿って短冊状に分割し、続いてTFT基板に形成されたスクライブラインに沿って分割した後の工程に用いられ、短冊状のODF基板(基板)をさらにスクライブラインを境に分割して、不要チップが残ったプレTFT液晶パネルにするものである。そして、プレTFT液晶パネルは、後工程で不要チップを分割して、小型のTFT液晶パネルとなる。そこで、まず分割対象である短冊状のODF基板の基となるODFマザー基板について説明する。
【0026】
図1に示すように、ODFマザー基板1は、複数のTFT4をマトリクス状に作りこんだ円形のガラス基板であるTFTマザー基板2と、これに液晶を滴下したシール材5を介して、円形のガラス基板である対向マザー基板3と、を貼り合わせて構成されている(図1(a)参照)。一方、ODFマザー基板1から複数枚取りされたTFT液晶パネル6は、シール材5を介して、TFT基板7に対向基板8を貼り合わせた構成を有し、全体として方形に形成されている。この場合、TFT基板7と対向基板8とは、縦方向の2辺および横方向の1辺において揃っており、残りの横方向の1辺が、TFT基板7に対し対向基板8がセットバックしている。そして、このセットバックした部分のTFT基板7上にFPC等を接続するための端子エリア9が構成されている(図1(b)参照)。
【0027】
したがって、図1(a)に示すように、TFT液晶パネル6を複数枚取りするODFマザー基板1には、図外のダイヤモンドカッタをODFマザー基板1に対して相対的に移動(往復)させるスクライブ装置等により格子状にスクライブライン11が形成される。TFTマザー基板2の外面には、TFT液晶パネル6の幅に合致する(縦方向の2辺に対応する)TFT縦スクライブライン12が形成されており、対向マザー基板3の外面の同位置には、TFT液晶パネル6の幅に合致する対向縦スクライブライン13がそれぞれ形成されている。また、TFTマザー基板2の外面には、TFT液晶パネル6の長さに合致する(横方向の2辺に対応する)TFT横スクライブライン14(図2参照)が形成され、同様に対向マザー基板3の外面には、TFT液晶パネル6の長さに合致する対向横スクライブライン15が形成されている。さらに、対向基板8の外面には、不揃い部分を構成する対向ハーフスクライブライン16が形成されている。
【0028】
先ず、対向縦スクライブライン13に沿って、対向マザー基板3をブレイクし、分割した後の対向縦スクライブライン13に沿ってダイサー加工した後、続いてTFTマザー基板2を、TFT縦スクライブライン12に沿って、ブレイクすることで、ODFマザー基板1が短冊状のODF基板17に分割される。次に、この各短冊状のODF基板17において対向マザー基板3を、対向ハーフスクライブライン16に沿ってブレイクし、分割した後の対向ハーフスクライブライン16に沿ってダイサー加工した後、続いてTFTマザー基板2を、TFT横スクライブライン14に沿ってブレイクする。このブレイクにより、端子エリア9がむき出しなる共に対向横スクライブライン15を存して不要チップ18が残ったプレTFT液晶パネル19が分割される。そして、最終的に不要チップ18が、対向横スクライブライン15に沿ったブレイクにより分割除去されて、TFT液晶パネル6が作成される。
【0029】
すなわち、実施形態の分割対象である基板Wは、プレTFT液晶パネル19に分割する直前の短冊状のODF基板17である。具体的には、対向マザー基板3を、対向ハーフスクライブライン16に沿ってブレイクし、ダイサー加工した短冊状のODF基板17である。なお、実施形態の基板分割装置21の分割において、不要チップ18が誤って分割されないように、TFT横スクライブライン14および対向ハーフスクライブライン16は、ダイヤモンドカッタの往復回数やダイヤモンドカッタの押圧力を調整するようにして、ODFマザー基板1に対して強くスクライブし、対向横スクライブライン15は、弱くスクライブするようにしてもよい。
【0030】
次に、図2ないし図6を参照して、基板分割装置21について説明する。基板分割装置21は、全体として先下がり(同図において右下がり)に僅かに傾いており、ベースプレート22と、ベースプレート22の手前に配設した給材テーブル(第1テーブル)33および回動テーブル(第2テーブル)34から成る送りテーブル23と、ベースプレート22の奥側から送りテーブル23に臨み、基板Wを送りテーブル23に保持した状態で分割する分割動作装置(分割手段)24と、ベースプレート22の奥側から送りテーブル23に臨み、位置決めされた基板Wを上方(Z軸方向)から撮像するアライメントカメラ25と、回動テーブル34の先方(X軸方向)のベースプレート22上に配設した回収トレイ26と、これら構成装置を統括制御する制御装置27(図5参照)と、を備えている。また、回動テーブル34には、給材テーブル33により送られてきた基板Wを突き当てて位置決めする位置決め機構(位置決め手段)28が組み込まれている。
【0031】
送りテーブル23は、エアー浮上で基板Wを送るようになっており、給材テーブル33により送られてきた基板W(短冊状のODF基板17)は、位置決め機構28により、そのスクライブライン(TFT横スクライブライン14)がブレイクラインB(ブレイクポイント)に合致するように停止する。この状態で、アライメントカメラ25により、スクライブラインの位置を確認した後、分割動作装置24を駆動して、基板Wを分割(ブレイク)する。分割された基板(プレTFT液晶パネル19)Wは、回動テーブル34から先方に滑り落ち回収トレイ26に回収される。
【0032】
ベースプレート22は、厚手の板状に形成されており、その四隅の各貫通孔31には、アジャストボルト(図示省略)がそれぞれ配設されている。ベースプレート22は、水平な図外の機台上に搭載されており、この4本のアジャストボルトにより、高さおよび傾きを調整可能に構成されている。これにより、基板分割装置21は、全体として基板送り方向に先下がりに僅かに傾いて、設置されている。
【0033】
送りテーブル23は、基板送り方向上流側に配設された上記の給材テーブル33と、給材テーブル33の下流側に配設された上記の回動テーブル34と、から構成されており、僅かに傾斜したベースプレート22に対して平行になるように配設されている。また、給材テーブル33および回動テーブル34には、それぞれエアー浮上用の圧空を供給するエアー供給装置(エアー供給手段)29が接続されている。すなわち、送りテーブル23は、基板分割装置21全体が傾斜していることで、基板送り方向に先下がりに僅かに傾いており、給材テーブル33および回動テーブル34には、エアー浮上用の圧空が供給可能に構成されている。これにより、基板Wは、給材テーブル33に供給される圧空によってエアー浮上すると共に、送りテーブル23が傾斜していることで、その自重により基板送り方向下流側に送られてゆく。
【0034】
給材テーブル33は、ベースプレート22上のテーブルプレート35に搭載されており、複数本の支柱36に支持された給材テーブル本体41と、給材テーブル本体41の上面に配設された給材プレート(基板送り経路)42と、給材プレート42の両側に配設され、送られる基板Wの幅方向を位置規制する一対の基板ガイド43と、から構成されている。基板Wは、分割するスクライブラインが形成されたTFTマザー基板2を上面として給材プレート42および基板ガイド43にガイドされながら、給材プレート42に沿って先方(X軸方向の先方)に送られてゆく。
【0035】
給材テーブル本体41は、基板Wより長く形成されており、その幅方向の中央部には、給材プレート42が配設されるプレート溝44がX軸方向に延在するように形成されている。また、プレート溝44の中央部には、給材プレート42との間に浮上用圧空のエアー室(エアーチャンバー)を構成する幅狭な圧空溝45が形成されている(図5参照)。なお、図示では省略したが、エアー室の複数箇所には、その延在方向において上記のエアー供給装置29に連なる圧縮エアー流路が接続されている。さらに、給材テーブル本体41の下流側上端部には、基板Wを分割する際の基準であるブレイクライン(ブレインポイントB)を構成するエッジ46が、給材テーブル本体41の表面と面一なるように取り付けられている。エッジ46は、超硬合金等の素材で構成されており、基板Wの幅寸法より長く(広幅)形成されている。
【0036】
給材プレート42は、X軸方向の中央に、浮上用圧空の給材吹出し穴51が等間隔に複数個形成された穴開きプレートで構成されており、エアー室を介して、複数個の給材吹出し穴51からエアーを吹き出すことにより、基板Wを給材プレート42に対して僅かに浮上させるようになっている。なお、給材プレート42は、多孔質プレートで構成されていてもよい。
【0037】
基板ガイド43は、給材テーブル本体41の両縁部に配設された一対のガイド板52と、ガイド板52を固定する複数個(図示のものでは4個)の固定ねじ53と、から構成されている。各ガイド板52には、幅方向に延在する固定ねじ53用の長孔が形成されており、分割する基板Wの幅寸法によって、一対のガイド板52の間隙寸法を適宜調整できるようになっている。また、各ガイド板52は、スクライブライン(対向縦スクライブライン13)にダイサー加工したダイサー溝10より十分低くなるように構成されると共に、ダイサー溝10の側面と僅かな間隙を有するようにねじ止めされている。なお、実際のものでは、基板Wが給材プレート42に接した状態で、各ガイド板52とダイサー溝10の上面との間隙が0.3mm程度となるようにガイド板52が形成されており、各ガイド板52とダイサー溝10の側面とがそれぞれ0.1mm程度となるように、固定ねじ53によりそれぞれねじ止めされている。この一対のガイド板52により、基板Wの送りがガイドされる(図5参照)。
【0038】
回動テーブル34は、上面の周縁部に浮上用圧空の回動吹出し穴54が複数形成された幅広の穴開きプレートで構成された回転プレート(基板送り経路)55と、回転プレート55を両側から保持する一対のサイドフレーム56と、を備え、この両サイドフレーム56の部分で、テーブルプレート35上に立設したU字フレーム57に回動自在に支持されている。回転プレート55は、間隙を存して給材プレート42の延長上に配設されており、回転プレート55の上面および給材プレート42の上面が、面一となるように配設されている。すなわち、回動テーブル34(回転プレート55)も給材テーブル33(給材プレート42)と同様に、基板送り方向に先下がりに僅かに傾いて配設され、エアー浮上した基板Wが先方に円滑に送られるようになっている。また、回転プレート55の内部にも、エアー室(図示省略)が形成されており、エアー室には、給材テーブル33とは別系統で上記のエアー供給装置29に連なる圧縮エアー流路が接続されている。なお、回転プレート55も、給材プレート42と同様に多孔質プレートで構成されていてもよい。
【0039】
U字フレーム57の上端部には、基板Wを山折りで分割するための回動軸58が設けられており、回動軸58は、送りテーブル23の上面より僅かに低い位置に配設されている。そして、回動テーブル34が、この回動軸58を中心に先下がりに回動して、基板Wが分割される(詳細は、後述する。)。そして、先下がりに回動した回動テーブル34の先端に回収トレイ26が臨むようになっている。また、先下がりに回動した回動テーブル34と回収トレイ26との間には、回動テーブル34から滑落した基板Wが回収トレイ26との間に入り込まないように、補助部材59がサイドフレーム56に設けられている。そして、このサイドフレーム56の下側には、後述の回動機構93と係合する入力プレート38が、回動テーブル34と平行に、且つ回収トレイ26の直下まで延在して、設けられている。
【0040】
回収トレイ26は、回動テーブル34側の正面板が取り除かれた箱状の回収トレイ本体61と、回収トレイ本体61の底板を構成する回収プレート62と、これらをベースプレート22上に片持ちで支持する一対の六角支柱63と、から構成されている。回収プレート62は、上面の周縁部に浮上用圧空の回収吹出し穴64が複数形成された幅広の穴開きプレートで構成されており、回動テーブル34から滑落した分割後の基板Wを、浮上用エアーを吹き出しながら受けるようになっている。なお、回収プレート62の内部にも、エアー室(図示省略)が形成されており、エアー室には、送りテーブル23とは別系統で上記のエアー供給装置29に連なる圧縮エアー流路が接続されている。また、回収プレート62も、給材プレート42および回転プレート55と同様に多孔質プレートで構成されていてもよい。
【0041】
位置決め機構28は、回動テーブル34に組み込まれており、基板Wの送り方向先端が突き当てられるストッパー71と、ストッパー71を回動テーブル34の回転プレート55上から出没させる出没機構72と、ストッパー71および出没機構72を、一体としてX軸方向(送り方向前後)に微小移動させる位置調整機構73と、を有している。
【0042】
ストッパー71は、断面円形の丸棒状に形成されており、回転プレート55の中心線上に形成したU字状切欠き溝74に臨むように配設されている。回転プレート55から突出したストッパー71に対し、送られてきた基板Wの先端(対向マザー基板3に形成されたダイサー溝10の先端)が突き当たることで、給材テーブル33のブレイクライン直上部に、スクライブライン(対向ハーフスクライブライン16)が位置するように基板Wの送りを停止させる。
【0043】
出没機構72は、ストッパー71に接続されたいわゆるエアーシリンダーで構成されており、後述する基板Wの分割動作に同期して、ストッパー71を回転プレート55の上面から出没させる。図示では省略したが、ストッパー71を搭載した出没機構72は、上記の一対のサイドフレーム56に対しX軸方向にスライド自在に支持されている。
【0044】
位置調整機構73は、一方のサイドフレーム56の外面に固定されたストッパー用マイクロメーターヘッドで構成されており、出没機構72から延びるロッド75に連結されている。ストッパー用マイクロメーターヘッドを正逆回転させることで、出没機構72を介してストッパー71をX軸方向に微小移動させ、ストッパー71の位置を微調整できるようになっている。
【0045】
アライメントカメラ25は、テーブルプレート35と平行に配設された固定台81に配設されており、基板Wに上側から臨む鏡筒82と、鏡筒82の上側に連結したカメラ本体83と、鏡筒82およびカメラ本体83を支持するカメラアーム84と、カメラアーム84をその基部側で固定台81に支持するカメラ固定部材85と、から構成されている。アライメントカメラ25は、エッジ46の直上部に臨むように固定されており、送られてきた基板WのTFT4あるいは基板上面に形成されたスクライブライン等の位置決め基準となる部位をTFTマザー基板2側から撮像する。そして、図外のモニターに映し出された撮像結果に基づいて、基板Wを、図外のアライメント装置あるいは人的作業によって、エッジ46のブレイクラインBの直上部にスクライブライン(対向ハーフスクライブライン16)が位置するようにアライメントする。なお、基板Wのアライメントは、少なくとも基板Wを装置に導入したときに行うようにする。
【0046】
分割動作装置24は、給材テーブル33に上側から臨み、基板Wを給材テーブル33との間に保持する第1保持機構91と、回動テーブル34に上側から臨み、基板Wを回動テーブル34との間に保持する第2保持機構92と、回動テーブル34および第2保持機構92を、ブレイクラインB廻りに回動させて基板Wの分割動作を行う回動機構93と、を有している。第1保持機構91は、アライメントカメラ25と共に上記の固定台81上に取り付けられ、第2保持機構92は、アライメントカメラ25を挟んで基板送り方向下流側に上記の一対のサイドフレーム56上に取り付けられている。さらに回動機構93は、第2保持機構92より下流側で且つ固定台81に隣接してベースプレート22上に取り付けられている。
【0047】
第1保持機構91は、給材テーブル33の直上部に設けられた面保持機構101と、面保持機構101の下流側に取り付けられた点固定機構102と、面保持機構101および点固定機構102をZ軸方向に昇降させる昇降シリンダー103と、昇降シリンダー103による面保持機構101および点固定機構102の昇降をガイドするリニアガイド104と、昇降シリンダー103およびリニアガイド104を支持する厚板状の鉛直フレーム105と、鉛直フレーム105をX軸方向にスライド自在に支持するブラケット106と、鉛直フレーム105を介して、面保持機構101および点固定機構102をX軸方向に微小移動させる面用X軸マイクロメーターヘッド107と、固定台81に対し、Y軸方向にスライド自在に支持されたブラケット106を介して、面保持機構101および点固定機構102をY軸方向に微小移動させるアジャストねじ108と、から構成されている。
【0048】
ブラケット106は、アジャストねじ108によりY軸方向の位置調整が行われた後、固定台にボルト止めされ、面保持機構101および点固定機構102は、面用X軸マイクロメーターヘッド107を正逆回転させることで、鉛直フレーム105を介してX軸方向に位置調整されるようになっている。昇降シリンダー103の下側には、度当り調整用の面用Z軸マイクロメーターヘッド109が配設されており、面保持機構101および点固定機構102は、昇降シリンダー103により昇降されると共に、この面用Z軸マイクロメーターヘッド109により下降端位置、すなわち基板Wに接触或いは接近する位置が調整されるようになっている。
【0049】
面保持機構101は、主体をなす面支持部材111と、面支持部材111の下面に取付けられたパッド状の面保持部材112と、から構成されている。面支持部材111には、基板Wの分割時に面保持部材112が位置ずれしないように位置固定すべく錘が搭載されている。面保持部材112は、基板Wを横断するように覆っており(図5参照)、平坦に形成された下面にはシリコンゴム素材の弾性部材115が配設されている。これにより、基板Wを傷つけることがない。
【0050】
点固定機構102は、基板Wのセンターを点押しするピン状のプッシャー113と、プッシャー113を面支持部材111の下流側側面に支持するプッシャー固定部材114を有している。プッシャー113の先端(下端)は、面保持部材112の下面より僅かに下側になるように位置調整されている。
【0051】
すなわち、面保持機構101と点固定機構102とは、一緒にX軸、Y軸、Z軸方向に移動するようになっており、基板W送り時には、面保持機構101および点固定機構102を基板Wの上方の待機位置に移動させる。また、基板Wが上記のストッパー71により位置決めされると、面保持機構101と点固定機構102とは下降され、点固定機構102により基板Wの幅方向の中心を点固定すると共に、基板Wと僅かな間隙を有するように面保持機構101により基板Wを面保持する。これにより、基板Wは、ほぼ無加重で給材テーブル33に対して固定されると共に、基板分割時における過剰な浮き上がりを防止するようになっている。なお、上記したストッパー71は、基板Wが面保持機構101と点固定機構102によって分割位置に固定された直後に、回転プレート55に対して没入するように制御される。また、面保持部材112および点固定機構102の位置調整は、スクライブラインや厚さの異なる基板Wを分割する度に行われる。
【0052】
第2保持機構92は、基板Wの上側から分割の押圧力を直接加えると共にZ軸方向に微少移動可能なプランジャを有する分割用マイクロメーターヘッド121と、分割用マイクロメーターヘッド121を支持する支持ブロック122と、支持ブロック122をY軸方向にスライド自在に支持すると共に一対のサイドフレーム56にスライド自在(X軸方向)に支持された支持ベース123と、支持ベース123の一対の起立部に取り付けた一対のヘッド用Y軸マイクロメーターヘッド124と、一方のサイドフレーム56の外面に固定され、一対のサイドフレーム56に対し、支持ベース123を介して分割用マイクロメーターヘッド121をX軸方向に微小移動させるヘッド用X軸マイクロメーターヘッド125と、を備えている。
【0053】
分割用マイクロメーターヘッド121は、分割に際し基板Wに直接接触するプランジャの吐出寸法(Z軸方向)を調整し、一対のヘッド用Y軸マイクロメーターヘッド124は、分割用マイクロメーターヘッド121が基板Wの幅方向中心に臨むように、Y軸方向の位置を調整する。また、ヘッド用X軸マイクロメーターヘッド125は、分割用マイクロメーターヘッド121のX軸方向の位置を調整する。すなわち、分割用マイクロメーターヘッド121は、ブレイクラインBからの距離が、ブレイクラインBから点固定機構102までの距離と同じになるように、且つ分割する基板Wの幅方向の中心に位置するように調整される。また、基板Wが通過することができる程度に僅かな間隙を有するように微少移動して調整される。さらに、点固定機構102と分割用マイクロメーターヘッド121とは、スクライブライン(ブレイクラインB)を中心として線対称位置に配設されるように位置調整される。
【0054】
回動機構93は、回収トレイ26の奥側に位置して、ベースプレート22上に固定したテーブル回動シリンダー131と、テーブル回動シリンダー131の出力側に取り付けられたL字アーム132と、L字アーム132の先端部に取り付けられ、回収トレイ26の下側に配設したローラフォロア133と、ローラフォロア133に対応して設けた戻しばね(図示省略)と、備えている。ローラフォロア133と戻しばねとの間には、回動テーブル34の入力プレート38が挟み込まれている。テーブル回動シリンダー131が駆動すると、ローラフォロア133により入力プレート38が下方に押さえ込まれ、回動テーブル34が先下がりに大きく回動する。一方、テーブル回動シリンダー131が駆動停止すると、戻しばねのばね力により、回動テーブル34が元の位置に回動復帰する。
【0055】
この回動テーブル34の回動動作は、回動テーブル34に取り付けられている第2保持機構92をも同時に回動させる。すなわち、テーブル回動シリンダー131と戻しばねとの協働により、回動テーブル34および分割用マイクロメーターヘッド121が、上記の回動軸58を中心に正逆回動するようになっている。これにより、分割用マイクロメーターヘッド121は、点固定および面保持された基板Wの先端部を滑りながらこれを押圧して分割する。このように、分割用マイクロメーターヘッド121は、ブレイクラインBを中心に円運動して、基板Wを点で押圧して山折りするため、基板Wに押圧力のみを加えて分割動作することができると共に、基板W同士の擦れ合いで基板Wが傷付くことを防止することができる。
【0056】
次に、図7および図8を参照して、基板分割装置21の制御方法について説明する。この制御方法は、基板Wを給材テーブル33にセットした状態でエアー供給装置29を駆動し、基板Wを送ってストッパー71に突き当てる基板位置決め工程と、基板位置決め工程の後、第1保持機構91および第2保持機構92を駆動して、基板Wを保持すると共に、ストッパー71を没入させる基板保持工程と、基板保持工程の後、回動機構93を駆動して、基板Wを分割する基板分割工程と、基板分割工程の後、分割された基板Wを回動テーブル34から滑落させる除材工程と、を備えている。なお、基板保持工程、基板分割工程および除材工程においてもエアー供給装置29からの圧空が供給された状態で行われる。すなわち、エアー供給装置29は、基板Wの分割動作を行っている間、送りテーブル23および回収トレイ26に圧空を供給し続けている。
【0057】
基板位置決め工程では、基板Wを給材テーブル33の上流端にセットした状態で、エアー供給装置29を駆動する。これにより、基板Wは、エアー浮上し、基板送り経路が基板送り方向下流側に傾いているため、その自重で下流側に送られる(図7(a)参照)。すなわち、基板Wを浮上させるだけで、基板Wを基板送り下流側に送ることができる。基板Wが送られてゆくと、基板Wの先端(対向横スクライブライン15のダイサー溝10)がストッパー71に当接することで、スクライブライン(対向ハーフスクライブライン16)がブレイクラインB上に位置するように位置決めされる(図7(b)参照)。そして、アライメントカメラ25によって、スクライブラインや特定のTFT4等が撮像され、位置ズレしていないか確認する。
【0058】
基板保持工程では、点固定機構102により、基板Wの幅方向の中心を点固定すると共に、面支持部材111によって面保持部材112を基板Wとの間に僅かな間隙を有するまで下降させて面保持する(図7(c)参照)ことで、基板Wが分割位置に固定される。また、面保持機構101と点固定機構102による基板Wの固定直後に、ストッパー72を回動テーブル34に没入させるようにしている。
【0059】
基板分割工程では、回動機構93を駆動することで、分割用マイクロメーターヘッド121および回動テーブル34を回動させる。この際、分割用マイクロメーターヘッド121は、基板Wと僅かな間隙を有した状態から、回動テーブル34と共に回動を始めるため、分割用マイクロメーターヘッド121が基板Wに接する直前に、回動テーブル34は、基板Wから離れることになる(図7(d)参照)。分割用マイクロメーターヘッド121により基板Wの先端部を押圧すると、基板Wが凸型に撓る。さらに押圧を続けると、基板WのTFTマザー基板2外面に形成されたスクライブラインに亀裂が生じることでプレTFT液晶パネル19に分割される(図8(a)参照)。
【0060】
除材工程では、分割されたプレTFT液晶パネル19が、圧空が噴出している回動テーブル34から滑落して(図8(b)参照)、圧空が噴出している回収トレイ26に落下(ソフトランディング)し回収される(図8(c)参照)。
【0061】
そして、回動テーブル34および分割用マイクロメーターヘッド121が元の位置に戻ると共に、ストッパー71が回動テーブル34の上面に突出した後に、プッシャー113および面保持部材112が僅かに上昇することで(図9(d)参照)、基板Wが送られ、次の分割を行う。
【0062】
以上の構成によれば、送り方向に下り傾斜している給材プレート42および回転プレート55(基板送り経路)にエアー浮上用のエアーが供給されているため、基板Wは、その自重によって送り方向に向かって送られてゆく。そして、基板Wは、ストッパー71に突き当たることで位置決めされ、保持された後、回動機構93を駆動することで、分割されて除材される。この動作を繰り返すことにより、連続して基板Wを傷付けることなく適切に送り、分割することができる。
【0063】
なお、本実施形態では、送りテーブル23を給材テーブル33と回動テーブル34とから成る2分割のもので構成しているたが、本発明は、ブレイクヘッドを基板Wに押し付けて分割するもの等、回動テーブル34の無い単一の送りテーブル23で構成した基板分割装置21にも適用可能である。また、基板Wの分割動作を行っている間、送りテーブル23および回収トレイ26にエアー浮上用のエアーを供給し続けるようにしているが、基板位置決め工程において、送りテーブル23にのみエアーを供給した状態で基板Wの搬送および位置決めを行い、基板保持工程において、面保持機構101および点固定機構102による基板Wの固定の直後にエアーを停止させ、基板分割工程および除材工程において、回動テーブル34および回収トレイ26にのみエアーを供給するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0064】
14…TFT横スクライブライン 21…基板分割装置 23…送りテーブル 24…分割動作装置 28…位置決め機構 29…エアー供給装置 33…給材テーブル 34…回動テーブル 71…ストッパー 72…出没機構 73…位置調整機構 91…第1保持機構 92…第2保持機構 93…回動機構 B…ブレイクライン W…基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を間欠送りする送りテーブルと、
前記送りテーブル上のブレイクポイントに、前記基板のスクライブラインを位置決めする位置決め手段と、
位置決めされた基板を分割する分割手段と、を備え、
前記送りテーブルは、前記基板をエアー浮上させると共に送り方向に下り傾斜した基板送り経路と、
前記基板送り経路に、前記エアー浮上のためのエアーを供給するエアー供給手段と、を有していることを特徴とする基板分割装置。
【請求項2】
前記基板送り経路は、穴開きプレートおよび多孔質プレートのいずれか一方で構成されていることを特徴とする請求項1に記載の基板分割装置。
【請求項3】
前記送りテーブルは、前記ブレイクポイントを挟んで、送り方向上流側の第1テーブルと、送り方向下流側の第2テーブルと、を有し、
前記分割手段は、前記第1テーブルに上側から臨み、前記基板を前記第1テーブルとの間に保持する第1保持機構と、前記第2テーブルに上側から臨み、前記基板を前記第2テーブルとの間に保持する第2保持機構と、前記第2テーブルおよび前記第2保持機構を、前記ブレイクポイント廻りに回動させる回動機構と、を有していることを特徴とする請求項1または2に記載の基板分割装置。
【請求項4】
前記回動機構は、前記基板が山折りとなるように、前記第2テーブルおよび前記第2保持機構を回動させることを特徴とする請求項3に記載の基板分割装置。
【請求項5】
前記位置決め手段は、前記第2テーブルに設けられ、前記基板の搬送方向先端が突き当てられるストッパーを有していることを特徴とする請求項4に記載の基板分割装置。
【請求項6】
前記位置決め手段は、前記ストッパーを前記第2テーブルから出没させる出没機構を、更に有していることを特徴とする請求項5に記載の基板分割装置。
【請求項7】
前記位置決め手段は、前記ストッパーを、送り方向前後に微小移動させる位置調整機構を、更に有していることを特徴とする請求項5または6に記載の基板分割装置。
【請求項8】
請求項6に記載の基板分割装置の制御方法であって、
前記基板を前記第1テーブルにセットした状態で前記エアー供給手段を駆動し、前記基板を送って前記ストッパーに突き当てる基板位置決め工程と、
前記基板位置決め工程の後、前記第1保持機構および前記第2保持機構を駆動して、前記基板を保持すると共に、前記ストッパーを没入させる基板保持工程と、
前記基板保持工程の後、前記回動機構を駆動して、前記基板を分割する基板分割工程と、
前記基板分割工程の後、分割された基板を前記第2テーブルから滑落させる除材工程と、を備えたことを特徴とする基板分割装置の制御方法。
【請求項9】
前記基板保持工程、前記基板分割工程および前記除材工程において、前記エアー供給手段の駆動を継続することを特徴とする請求項8に記載の基板分割装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−208902(P2010−208902A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−57896(P2009−57896)
【出願日】平成21年3月11日(2009.3.11)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】