説明

基板収納ケース

【課題】回収費用や洗浄費用を削減して、磁気ディスク用基板の製造コストを低減することができる基板収納ケースを提供すること。
【解決手段】使い捨て可能な梱包材で、RTP基板Wが収納されるケース本体2と、ケース本体2内においてRTP基板Wを位置決め状態で保持する保持部6とを形成し、保持部6は、シート材に施された折り目によって蛇腹状に形成され、ケース本体2の少なくとも一対の対向面において、RTP基板Wの外周縁部を保持することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板収納ケースに関し、特に、磁気ディスク用ガラス基板の複数の製造段階における半製品基板の搬送に用いられる基板収納ケースに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、ハードディスク用の基板として円板状の磁気ディスクが広く用いられている。一般に、磁気ディスク用基板製造メーカにおいて、形状加工工程(コアリング及びチャンファリング等)、研削工程(ラッピング)、研磨工程(端面部、鏡面部)を経て磁気ディスク用基板が製造され、磁気ディスク製造メーカにおいて磁気ディスク基板上に磁性層が形成されて磁気ディスクが製造される。
【0003】
ところで、磁気ディスク用基板は、薄く形成されて傷を受け易いため、慎重に搬送する必要がある。このため、磁気ディスク用基板製造メーカから磁気ディスク製造メーカに磁気ディスク用基板を出荷する際には、FOUP(Front Opening Unified Pod)やFOSB(Front Opening Shipping Box)等の基板収納ケースに収納して出荷している(例えば、特許文献1参照)。この基板収納ケースは、磁気ディスク製造メーカにおいて磁気ディスク用基板が取り出された後に磁気ディスク用基板製造メーカに返却され、磁気ディスク用基板製造メーカにおいて洗浄されて磁気ディスク用基板の出荷に再利用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−277662号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、磁気ディスク製造メーカによっては、磁気ディスク用基板製造メーカから研削加工後の磁気ディスク用基板を入荷し、研磨加工を行った後に磁気ディスク用基板上に磁性層を形成する製造形態が取られている。この場合において、磁気ディスク用基板製造メーカにおいて、研磨工程前まで加工された磁気ディスク用基板をRTP(Ready to Polish)基板という。このRTP基板においても、上記した基板収納ケースに収納された状態で、磁気ディスク用基板製造メーカから磁気ディスク製造メーカに出荷される。
【0006】
RTP基板は、研磨工程前に出荷されて磁気ディスク製造メーカにおいて研磨されるため、研磨工程後の磁気ディスク用基板と異なり、出荷途中で受けた細かい傷が製品品質へ影響することが少ない。しかしながら、RTP基板においても、研磨工程後の磁気ディスク用基板と同様に繰り返し使用が可能な基板収納ケースを用いて出荷されることが多いため、基板収納ケースの回収作業や洗浄作業が発生し、製造工数が増加して製造コストが増大するという問題があった。
【0007】
本発明はこのような実情に鑑みてなされたものであり、回収費用や洗浄費用を削減して、磁気ディスク用基板の製造コストを低減することができる基板収納ケースを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の基板収納ケースは、使い捨て可能な梱包材で、磁気ディスク用基板の複数の製造段階における半製品基板が収納されるケース本体と、前記ケース本体内において前記半製品基板を位置決め状態で保持する保持部とを形成したことを特徴とする。
ここで、半製品基板とは、磁気ディスク用基板の複数の製造段階において、最終加工段階前における各工程で加工処理が施された基板(途中加工段階の基板)をいい、本明細書ではRTP基板と同義とする。
【0009】
この構成によれば、基板収納ケースを使い捨て可能な梱包材で形成したため、磁気ディスク製造メーカに対する半製品の出荷後に、磁気ディスク製造メーカから基板収納ケースを回収する必要がない。また、半製品基板がケース本体内に位置決め状態で保持されるため、RTP基板に研磨工程後においても残るような深い傷が発生するというリスクを回避できる。したがって、RTP基板のように、搬送途中で受けた細かい傷が製品に影響しないものにおいて、基板収納ケースの回収費用や洗浄費用を削減することができ、製造コストを低減することができる。なお、梱包材とは、梱包に用いられる材料のことをいう。
【0010】
また本発明は、上記基板収納ケースにおいて、前記保持部は、シート材に施された折り目によって蛇腹状に形成され、前記ケース本体の少なくとも一対の対向面において、前記半製品基板の外周縁部を保持することを特徴とする。
【0011】
この構成によれば、半製品基板を安定的に保持する保持部を簡易に形成することができる。
【0012】
また本発明は、上記基板収納ケースにおいて、前記保持部は、クッション性を有することを特徴とする。
【0013】
この構成によれば、保持部のクッション性により、半製品基板の厚みの誤差を吸収することができるため、従来のディスク位置固定型の収納ケースに比べディスクエッジ部への負担が少ないことから、エッジ部におけるディスク損傷も発生し難い。また保持部を介して半製品基板に伝わる振動を低減することができる。
【0014】
また本発明は、上記基板収納ケースにおいて、前記使い捨て可能な梱包材を、紙またはプラスチックで形成することができる。
【0015】
また本発明は、上記基板収納ケースにおいて、前記半製品基板を、ガラス基板で形成することができる。
【0016】
本発明の半製品基板の出荷方法は、上記基板収納ケースを用いて、磁気ディスク用基板の複数の製造段階における半製品基板を出荷することを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、RTP基板のように、搬送途中で受けた細かい傷が製品品質に影響し難いものにおいて、回収費用や洗浄費用を削減して、磁気ディスク用基板の製造コストを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に係る基板収納ケースの実施の形態を示す図であり、基板収納ケースの斜視図である。
【図2】本発明に係る基板収納ケースの実施の形態を示す図であり、基板収納ケースの上面模式図である。
【図3】本発明に係る基板収納ケースの変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の説明では、本発明に係る基板収納ケースに磁気ディスク用基板としてRTP基板を収納して出荷する構成について説明するが、この構成に限定されるものではない。磁気ディスク用基板の傷が問題とならないのであれば、本発明に係る基板収納ケースに研磨工程後の磁気ディスク用基板を収納して出荷する構成としてもよい。図1は、本発明の実施の形態に係る基板収納ケースの斜視図である。
【0020】
図1に示すように、基板収納ケース1は、使い捨て可能な段ボール材等の紙材で形成されており、上面が開口されたケース本体2と、ケース本体2に上方から装着されるカバー3とを備えている。ケース本体2は、直方体状に形成されており、長手方向に沿う一対の側面部4及び底面部5に、ケース本体2内で複数のRTP基板Wを位置決め状態で保持する複数(本実施の形態では3つ)の保持部6が取り付けられている。
【0021】
カバー3は、下面が開口された直方体状に形成されており、ケース本体2の上面の開口を塞ぐと共に、ケース本体2の略上半部を覆うように構成されている。複数の保持部6は、ケース本体2及びカバー3よりも薄型の紙材に山折りと谷折りを交互に繰り返して蛇行状に形成されている。一対の側面部4側の保持部6は、折り目を縦向きにしてケース本体2に取り付けられ、底面部5側の保持部6は、折り目をケース本体2の短手方向に沿う横向きにしてケース本体2に取り付けられている。
【0022】
複数の保持部6は、谷折りによって形成されるV字溝でRTP基板Wの外周縁部を保持する。よって、RTP基板Wは、ケース本体2の開口された上方からV字溝に向けて挿入され、縦向き姿勢でケース本体2に収納される。このとき、一対の側面部4側の保持部6及び底面部5側の保持部6は、複数のRTP基板Wを平行に収納可能なように、折り目が合わせられている。また、各保持部6は、ケース本体2の一対の側面部4及び底面部5に接する谷折り部分でケース本体2に固定されている。
【0023】
なお、各保持部6のケース本体2に対する固定方法は、基板収納ケース1内にRTP基板Wを収納した状態で、ケース本体2から保持部6が外れなければどのような方法でもよく、例えば、接着剤で固定してもよいし、留具で固定してもよい。また、各保持部6は、薄型の紙材を内側及び外側に交互に湾曲させて蛇行状に形成してもよい。この場合には、RTP基板Wが保持部6の外側の湾曲によって形成されるU字溝にて保持される。また、基板収納ケース1は、上記した段ボール材等の紙材に限らず、使い捨て可能な梱包材であり、例えば、プラスチック材で形成してもよい。なお、梱包材には、収納するRTP基板への損傷を抑制することが可能な材料を用いてもよい。
【0024】
また、上記した収納ケース1は、ケース本体2に各保持部6を取り付けて構成されるが、この構成に限定されるものではない。使い捨て可能な梱包材でRTP基板Wを保持可能であれば、どのような構成でもよい。例えば、図3(a)に示すように、矩形枠状に折られた帯状の紙材の対向する両側面7に、蛇腹状の折り目を設けてRTP基板W用のスロット8を形成してもよい。この場合、図3(b)に示すように、RTP基板Wを蛇腹状のスロットにセットした後、蛇腹状の折り目に沿って全体を縮めて、これを箱や袋に収納、あるいは輪ゴムのようなもので縛って出荷するようにしてもよい。
【0025】
図2を参照して、基板収納ケース内におけるRTP基板の収納状態について説明する。図2は、基板収納ケースの上面模式図である。
【0026】
図2に示すように、蛇行状の保持部6は、山折り部分を間に挟んで複数のRTP基板Wを一定の間隔を空けて保持している。このように、複数のRTP基板Wの間に山折り部分が挟まれることで、基板同士が接触されることがなく、基板表面に深い傷が付くのが防止される。各保持部6は、上記したように、紙材を蛇行状に折ることで形成されるため、ケース本体2との間に略三角柱状の空間を形成している。この略三角柱状の空間は、保持部6の僅かな変形を許容することで、保持部6に対してクッション性を付与している。
【0027】
この構成により、保持部6は、RTP基板Wの僅かな寸法誤差に応じて変形し、RTP基板Wの寸法誤差を吸収することが可能となる。また、保持部6は、そのクッション性により、従来のディスク位置固定型の収納ケースに比べディスクエッジ部への負担が少ないことから、エッジ部におけるディスク損傷も発生し難い。また、ケース本体2の外側から伝わる振動を吸収して、RTP基板Wに伝わる振動を低減させている。したがって、RTP基板Wの搬送中に、振動による異音等の不具合を抑制することが可能となる。
【0028】
このように、本実施の形態に係る基板収納ケース1にRTP基板Wを収納して出荷することで、RTP基板Wが位置決め状態で搬送されるため、RTP基板Wに深い傷が付けられることがない。したがって、出荷先の磁気ディスク製造メーカにおいて、RTP基板Wに研磨加工を行うことで、出荷途中で付いた細かな傷がRTP基板Wから除去され、磁気ディスクの製造の良否に影響を与えることがない。また、基板収納ケース1が使い捨て可能な梱包材で形成されるため、基板収納ケース1の再利用のために回収作業や洗浄作業が発生することがなく、製造コストを低減することが可能となる。
【0029】
磁気ディスク用基板の材料としては、結晶化ガラス、アルミノシリケートガラス、ソーダライムガラス、ボロシリケートガラス等が用いられる。特に、化学強化を施すことができ、また主表面の平坦性及び基板強度において優れた磁気ディスク用基板を提供することができるという点で、アルミノシリケートガラスを好ましく用いることができる。また、ガラス基板に限らず、本発明の効果は磁気ディスク基板種によらず発揮できることから、その他の磁気ディスク基板(アルミニウム基板等)への適用を排除するものではない。
【0030】
磁気ディスク用基板の製造工程は、素材加工工程及び第1ラッピング工程;端部形状工程(穴部を形成するコアリング工程、端部(外周端部及び/又は内周端部)に面取り面を形成するチャンファリング工程(面取り面形成工程));端面研磨工程(外周端部及び内周端部);第2ラッピング工程;主表面研磨工程(第1及び第2研磨工程);化学強化工程などの工程を含む。
【0031】
以下に、磁気ディスク用基板の製造工程の各工程について説明する。なお、各工程の順序は適宜入れ替えてもよい。
(1)素材加工工程及び第1ラッピング工程
まず、素材加工工程においては、板状ガラスを用いることができる。この板状ガラスは、例えば、溶融ガラスを材料として、プレス法やフロート法、ダウンドロー法、リドロー法、フュージョン法など、公知の製造方法を用いて製造することができる。これらの方法うち、プレス法を用いれば、板状ガラスを廉価に製造することができる。
ガラスとしては、アルミノシリケートガラス、ソーダライムガラス、ボロシリケートガラスなどを用いることができる。特に、主表面の平坦性及び基板強度において優れた磁気ディスク用ガラス基板を提供することができるという点では、アルミノシリケートガラスを用いることが好ましい。
【0032】
第1ラッピング工程においては、ディスク状のガラスの両主表面をラッピング加工し、主にガラス基板の平坦度、板厚を調整する。このラッピング加工は、遊星歯車機構を利用した両面ラッピング装置により、アルミナ系遊離砥粒を用いて行うことができる。具体的には、ディスク状ガラスの両面に上下からラップ定盤を押圧させ、遊離砥粒を含む研削液をディスク状ガラスの主表面上に供給し、これらを相対的に移動させてラッピング加工を行う。このラッピング加工により、平坦な主表面を有するガラス基板を得ることができる。
【0033】
(2)形状加工工程(穴部を形成するコアリング工程、端部(外周端部及び内周端部)に面取り面を形成するチャンファリング工程(面取り面形成工程))
コアリング工程においては、例えば、円筒状のダイヤモンドドリルを用いて、このガラス基板の中心部に内孔を形成し、円環状のガラス基板とする。チャンファリング工程においては、内周端面及び外周端面をダイヤモンド砥石によって研削し、所定の面取り加工を施す。
【0034】
(3)第2ラッピング工程
第2ラッピング工程においては、得られたガラス基板の両主表面について、第1ラッピング工程と同様に、第2ラッピング加工を行う。この第2ラッピング工程を行うことにより、例えば前工程である形状加工工程において主表面に形成された微細な凹凸形状を予め除去しておくことができ、後続の主表面に対する研磨工程を短時間で完了させることができるようになる。
【0035】
(4)端面研磨工程
端面研磨工程においては、ガラス基板の外周端面及び内周端面について、ブラシ研磨方法により、鏡面研磨を行う。このとき、研磨砥粒としては、例えば、酸化セリウム砥粒を含むスラリー(遊離砥粒)を用いることができる。この端面研磨工程により、ガラス基板の端面は、ナトリウムやカリウムの析出の発生を防止でき、また、サーマルアスペリティ等の発生原因となるパーティクルの発生およびその端面部分への付着を抑制しうる鏡面状態になる。
【0036】
(5)主表面研磨工程(第1研磨工程)
主表面研磨工程として、まず第1研磨工程を施す。第1研磨工程は、前述のラッピング工程で両主表面に残留したキズや歪みの除去を主たる目的とする工程である。この第1研磨工程においては、遊星歯車機構を有する両面研磨装置により、硬質樹脂ポリッシャを用いて、両主表面の研磨を行う。研磨剤としては、酸化セリウム砥粒を用いることができる。第1研磨工程を終えたガラス基板は、中性洗剤、純水、IPA等で洗浄する。
【0037】
(6)化学強化工程
化学強化工程においては、前述のラッピング工程及び研磨工程を終えたガラス基板に化学強化を施す。化学強化に用いる化学強化液としては、例えば、硝酸カリウム(60%)と硝酸ナトリウム(40%)の混合溶液などを用いることができる。化学強化においては、化学強化液を300℃〜400℃に加熱し、洗浄済みのガラス基板を200℃〜300℃に予熱し、化学強化溶液中に3時間〜4時間浸漬することによって行う。この浸漬の際には、ガラス基板の両表面全体が化学強化されるようにするため、複数のガラス基板が端面で保持されるように、ホルダに収納した状態で行うことが好ましい。
【0038】
このように、化学強化溶液に浸漬処理することによって、ガラス基板の表層のリチウムイオン及びナトリウムイオンが、化学強化溶液中の相対的にイオン半径の大きなナトリウムイオン及びカリウムイオンにそれぞれ置換され、ガラス基板が強化される。化学強化されたガラス基板は、硫酸で洗浄した後に、純水、IPA等で洗浄する。
【0039】
(7)主表面研磨工程(最終研磨工程)
次に、最終研磨工程として、第2研磨工程を施す。第2研磨工程は、両主表面を鏡面状に仕上げることを目的とする工程である。第2研磨工程においては、遊星歯車機構を有する両面研磨装置により、軟質発泡樹脂ポリッシャを用いて、両主表面の鏡面研磨を行う。スラリーとしては、第1研磨工程で用いた酸化セリウム砥粒よりも微細な酸化セリウム砥粒やコロイダルシリカなどを用いることがきる。本実施の形態では、少なくともこの工程は出荷先にて行うものとする。
【0040】
本実施の形態における磁気ディスク用基板の製造工程は、磁気ディスク用基板製造メーカにおいて、主表面研磨工程前まで施されてRTP基板Wが製造される。RTP基板Wは、上記した基板収納ケース1に収納されて磁気ディスク製造メーカに出荷される。基板収納ケース1は、磁気ディスク製造メーカにおいてRTP基板Wが取り出された後、廃棄される。この場合、基板収納ケース1は、段ボール材で形成されるため、容易に廃棄することが可能となっている。そして、磁気ディスク製造メーカにおいて、RTP基板Wに主表面研磨工程以降が施されて磁気ディスクが製造される。
【0041】
磁気ディスク用基板の出荷タイミングは、磁気ディスク製造メーカに応じて適宜変更が可能である。主表面研磨工程前の磁気ディスク用基板を出荷すればよく、例えば、第2のラッピング工程前に磁気ディスク用基板を、基板収納ケース1を用いて出荷しても同様な効果を得ることが可能である。
【0042】
以上のように、本実施の形態に係る基板収納ケース1によれば、使い捨て可能な梱包材で形成したため、磁気ディスク製造メーカに対するRTP基板Wの出荷後に、磁気ディスク製造メーカから基板収納ケース1を回収する必要がない。また、RTP基板Wがケース本体内に位置決め状態で保持されるため、RTP基板Wに研磨工程後においても残るような深い傷が付けられることがない。したがって、RTP基板Wのように、搬送途中で受けた細かい傷が製品に影響しないものにおいて、基板収納ケース1の回収費用や洗浄費用を削減することができ、製造コストを低減することができる。
【0043】
なお、上記した実施の形態においては、複数の磁気ディスク用基板を縦向き姿勢で収納する基板収納ケースについて説明したが、この構成に限定されるものではない。基板収納ケースは、複数の磁気ディスク用基板を横向き姿勢で収納する構成としてもよい。
【0044】
また、上記した実施の形態においては、ケース本体の一対の側面部と底面部に蛇腹状の保持部を設ける構成としたが、この構成に限定されるものではない。保持部は、磁気ディスク用基板を位置決め状態で保持可能であれば、どのような構成でもよく、一対の側面部に設けられていればよい。
【0045】
また、上記した実施の形態においては、ケース本体と保持部とを別体で形成したが、ケース本体と保持部とを一体に形成してもよい。これにより、基板収納ケースの組み立て工数を低減すると共に、基板収納ケースを廃棄し易くできる。
【0046】
また、今回開示された実施の形態は、全ての点で例示であってこの実施の形態に制限されるものではない。本発明の範囲は、上記した実施の形態のみの説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0047】
以上説明したように、本発明は、回収費用や洗浄費用を削減して、磁気ディスク用基板の製造コストを低減することができるという効果を有し、特に、磁気ディスク用のRTP基板の搬送に有用である。
【符号の説明】
【0048】
1 基板収納ケース
2 ケース本体
3 カバー
4 側面部
5 底面部
6 保持部
W RTP基板(磁気ディスク用基板、ガラス基板)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
使い捨て可能な梱包材で、磁気ディスク用基板の複数の製造段階における半製品基板が収納されるケース本体と、前記ケース本体内において前記半製品基板を位置決め状態で保持する保持部とを形成したことを特徴とする基板収納ケース。
【請求項2】
前記保持部は、シート材に施された折り目によって蛇腹状に形成され、前記ケース本体の少なくとも一対の対向面において、前記半製品基板の外周縁部を保持することを特徴とする請求項1に記載の基板収納ケース。
【請求項3】
前記保持部は、クッション性を有することを特徴とする請求項2に記載の基板収納ケース。
【請求項4】
前記使い捨て可能な梱包材は、紙またはプラスチックで形成されたことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の基板収納ケース。
【請求項5】
前記半製品基板は、ガラス基板であることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の基板収納ケース。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれかに記載の基板収納ケースを用いて、磁気ディスク用基板の複数の製造段階における半製品基板を出荷することを特徴とする半製品基板の出荷方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−201572(P2011−201572A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−71460(P2010−71460)
【出願日】平成22年3月26日(2010.3.26)
【出願人】(000113263)HOYA株式会社 (3,820)
【出願人】(503069159)ホーヤ ガラスディスク タイランド リミテッド (85)
【Fターム(参考)】