説明

基板搬送装置及び基板検査装置

【課題】 基板の検査などを行う際に、基板の搬送する際に基板に作用する応力を低減させる。
【解決手段】 ガラス基板Wを浮上させる基板浮上ステージ3を有し、ガラス基板Wの非素子形成面W2の側縁部に下側から当接する吸着部16と、ガラス基板Wの素子形成部W1の側縁部に上側から当接する吸着補助部30とを備え、吸着補助部30は、エアシリンダ31の下端に補助パッド部33が取り付けられている。補助パッド部33は、ガラス基板Wを搬送する前に、ガラス基板Wを押圧して吸着パッド部18に押し付ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶ディスプレイ(LCD)や、プラズマディスプレイ(PDP)といったフラットパネルディスプレィ(FPD)等に用いられる基板の搬送に用いられる基板搬送装置、及びこれを備える基板検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、LCDや、PDPなどのFPDは、大型化の傾向にあり、これを製造する製造装置も大型化されている。FPD用の基板には、主にガラス基板が用いられており、複数の製造工程を経て、基板表面に多数の画素や、駆動回路等が形成されている。このような製造工程では、大型のガラス基板を保持して搬送する基板搬送装置が使用されている。
【0003】
ここで、基板を位置決めして保持する際には、基板の裏面に下側から当接する吸着パッドを使用することが知られている。ところが、製造前には平坦であったガラス基板も、成膜工程や、熱処理工程を経ることで、捩れや、反りが発生することがある。さらに、金属膜等がガラス基板の表面に形成されると、ガラス基板の熱膨張率と金属膜の熱膨張率との違いから応力が発生し、ガラス基板に捩れや、反りが発生することがある。このような捩れや、反りは、ガラス基板が大型化するにつれて発生しやすくなり、かつその捩れ量や、反り量(反り角度)も大きくなるため、ガラス基板を吸着し難くなることがある。このような場合に吸着エラーを防止するために、基板の四隅に上側から押圧する押さえ部材を備え、基板の側縁部分を押さえ部材によって押圧し、ガラス基板全体を均一な状態で位置決めしてから、吸着パッドで固定するような吸着装置が開発されている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
【0004】
さらに、基板を保持して搬送する基板搬送装置を備える装置の一例としては、顕微鏡を用いてガラス基板の表面の拡大像(ミクロ像)を取得して欠陥の有無を検査する基板検査装置があげられる。この種の基板検査装置においては、ガラス基板の特定の一辺に沿って上側エアシリンダと、下側エアシリンダとを配列したものがある(例えば、特許文献3参照)。ガラス基板が搬入されると、上側エアシリンダが伸縮動作して基板の上面に当接する。また、これと同時に、下側エアシリンダが伸縮動作して基板の下面に当接する。このようにして基板を上側、下側エアシリンダで挟持したら、基板を把持した状態を保ちながら、上側、下側エアシリンダを平行移動させる。このようにしてガラス基板を搬送しながら顕微鏡による検査が行われる。
【特許文献1】特開平8−313816号公報
【特許文献2】特開平8−274148号公報
【特許文献3】特開2000−9661号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、基板を上下方向から把持することで、ガラス基板に捩れや、反りが発生していた場合でも基板を確実に保持して搬送すること可能になるが、このようにしてガラス基板を搬送させると、ガラス基板の把持された部分に応力が集中的にかかってしまうという問題があった。特に、ガラス基板が大型化かつ薄肉化している場合には、傷等が発生し易くなるので、FPDの高品質化、及び生産性向上の観点から問題となっていた。
この発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、基板の搬送する際に基板に作用する応力を低減させることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決する本発明の請求項1に係る発明は、基板を浮上させるステージと、前記ステージに沿って移動可能に設けられ、前記基板の端部の裏面に下側から当接して前記基板を吸着して保持する吸着部を有する搬送手段と、前記吸着部で前記基板を吸着保持するときに、前記基板表面に上方から当接して前記基板を前記吸着部に押し付けた後に、前記基板表面よりも上方に退避する吸着補助部と、を備えることを特徴とする基板搬送装置とした。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、基板の吸着をアシストする吸着補助部を設け、基板を吸着部に押し付けることで、基板の吸着不良を防止し、吸着補助部を基板表面から退避させた後に、搬送手段で基板を搬送させるので、基板を吸着保持した状態で基板搬送を行うにあたり、基板に作用する荷重を低減させることができる。したがって、基板の吸着不良によって工程を停止する必要がなくなると共に、基板に傷等が付き難くなるので、生産性向上、及び基板を用いて製造される製品の高品質化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、図面を参照して本発明の第1の実施の形態について詳細に説明する。
図1には、この実施の形態に係る基板搬送装置を備える基板検査装置の構成が示されている。なお、基板は、種々の基板を用いることができるが、以下においては、FPD用のガラス基板Wとする。さらに、ガラス基板Wの上面(表面)は、回路素子や、配線パターン等のパターンが形成される素子形成面W1とし、ガラス基板Wの下面(裏面)は、パターンが形成されない非素子形成面W2とする。
【0009】
基板検査装置1は、床面に設置されるベース部2を有し、ベース部2上に細長の基板浮上ステージ3が固定されている。ベース部2の一端部側が基板搬入出部4となり、長手方向の略中央にガラス基板Wの外観検査を行う検査部5が設けられている。また、ベース部2の一端部側には、ガラス基板Wを搬入出する基板搬送ロボット6が設置されている。以下、基板浮上ステージ3の長手方向、つまりガラス基板Wを搬送する方向をX方向とし、X方向と直交する幅方向をY方向、上下方向(鉛直方向)をZ方向とする。
【0010】
基板浮上ステージ3は、その上面に開口する複数の空気孔10が全面に亘って所定の間隔で配設されている。この基板浮上ステージ3は、不図示のエアコンプレッサなどに接続されており、空気孔10から上向きに圧搾エアを吐出させるように構成されている。なお、基板浮上ステージ3のX方向の長さは、ガラス基板WのX方向の長さよりも十分に長い。基板浮上ステージ3のY方向の幅は、ガラス基板Wの幅よりも短い。
【0011】
また、ベース部2の両側面のそれぞれには、リニアガイド11がX方向と平行になるように敷設されており、各リニアガイド11には、搬送手段を構成するスライダ12が往復移動自在に設けられている。これらスライダ12は、同期して移動するように不図示に制御装置によって駆動制御されている。図2に示すように、スライダ12は、リニアガイド11に摺動自在に取り付けられる可動部13を有している。可動部13には、リニアモータなどリニアガイド11に沿ってスライダ12を往復移動させるために機構が内蔵されている。可動部13の外側面には、支持部14が可動部13に対してZ方向に移動自在に取り付けられている。支持部14の上部には、L字型の板金15を介して吸着部16が固定されている。図1に示すように、吸着部16は、各スライダ12に、X方向に沿って所定の配置間隔で3つ配設されている。具体的には、ガラス基板WのY方向の側縁部の両隅部と、中央の3箇所に相当する位置に設けられている。さらに、各吸着部16には、吸着パッド部18が3つずつ、X方向に沿って設けられている。
【0012】
図2及び図3に示すように、吸着部16は、板金15に固定される吸着部本体17を有し、吸着部本体の上部には、吸着パッド部18が上向きに突出するように設けられている。吸着パッド部18は、略円柱形状を有し、その上面は平面になっており、上面の中央には孔19が形成されている。この孔19は、不図示の吸気ポンプに接続されており、ガラス基板Wの非素子形成面W2を吸着できるようになっている。このような吸着パッド部18は、耐摩耗性を有し、ガラス基板Wを傷付けない程度の硬度を有する材料から製造されており、下端側を中心として、上端側が首振り自在に吸着部本体17に支持されることが望ましい。そして、これら吸着パッド部18は、スライダ12の移動に伴ってベース部2の一端部側の基板搬入出部4からベース部2の他端部まで移動可能である。
【0013】
基板搬入出部4には、複数のリフトピン20が配設されている。リフトピン20は、ガラス基板Wの大きさに対して十分に小さい径を有し、その先端部は、上側に凸となる球面形状になっている。このようなリフトピン20は、不図示の昇降機構に支持されており、基板浮上ステージ3の上面に対して突没自在になっている。なお、図1において、リフトピン20は、ガラス基板Wの四隅の近傍に対応する位置と、中央に対応する位置とに合計5つ設けられているが、リフトピン20の数及び配置はこれに限定されるものではない。
【0014】
ここで、図2及び図3に示すように、基板搬入出部4には、吸着補助部30が設けられている。吸着補助部30は、破線で示すガラス基板Wの四隅に対応する位置で、ガラス基板Wよりも高い位置に、不図示のフレームによってベース部2に固定されている。吸着補助部30は、駆動手段であるエアシリンダ31を有し、エアシリンダ31のロッド32は、鉛直方向で下向きに突出するように配置されている。さらに、ロッド32の下端には、補助パッド部33が取り付けられている。補助パッド部33は、略円柱形状を有し、その外径は、対向配置される吸着パッド部18の外径に略等しいが、吸着パッド部18よりも大径であっても良いし、小径であっても良い。なお、この補助パッド部33は、耐摩耗性に優れ、ガラス基板Wに当接した際にガラス基板Wを傷付けない程度の硬度を有する材料から製造されている。
【0015】
さらに、図4を参照して吸着部16と、吸着補助部30の制御系について説明する。図4に示すように、吸着補助部30の補助パッド部33は、バルブ34を介してエアコンプレッサ35に配管接続されている。吸着部16の吸着パッド部18は、圧力センサ36及びバルブ37を介して、真空ポンプなどの吸引源38に配管接続されている。圧力センサ36は、吸着パッド部18の圧力を検出するもので、その出力信号線は制御部39に接続されている。さらに、制御部39から出力される信号は、バルブ34,37と、エアコンプレッサ35と、吸引源38とに入力されるようになっている。
【0016】
なお、図1に示す検査部5は、スライダ12の軌道及び基板浮上ステージ3を跨ぐようにベース部2の側面に固定された門型フレーム40と、門型フレーム40の上部にY方向に移動自在に取り付けられた顕微鏡41とを有している。この顕微鏡41は、CCD(電荷結合素子)などの撮像素子42が取り付けられており、ガラス基板Wの表面の拡大画像を取得して外観検査を行うためのもので、不図示のモニタにガラス基板Wの素子形成面W1の拡大像を表示できるようになっている。
【0017】
次に、この実施の形態の作用について説明する。なお、スライダ12は、基板搬入出部4に予め待機しており、各吸着パッド部18は、その上面が基板浮上ステージ3よりも下側の位置に待機しているものとする。
ガラス基板Wの検査を行う際には、基板搬送ロボット6が、他の工程から搬出されたガラス基板Wを搬送アーム6A上に受け取り、搬送アーム6Aを基板検査装置1の基板搬入出部4の上方に移動させる。ここで、搬送アーム6Aにおけるガラス基板Wの吸着を解除し、基板搬入出部4から上昇してくるリフトピン20でガラス基板Wを搬送アーム6A上から持ち上げる。この状態で搬送アーム6Aを後退させると、ガラス基板Wが基板搬入出部4に受け渡される。ここで、基板浮上ステージ3は、空気孔10からエアを噴き出しているので、リフトピン20を下げると、ガラス基板Wがエアによって基板浮上ステージ3の上面よりも僅かに上方に浮上させられる。
【0018】
ガラス基板Wを浮上させたら、スライダ12が支持部14を上昇させ、吸着パッド部18をガラス基板Wの非素子形成面W2の側縁部に下側から押し付ける。このとき、図4に示す制御部39が吸引源38を運転させると共に、バルブ37を開状態に切り換えるので、吸着パッド部18の上面にガラス基板Wが吸着される。圧力センサ36は、それぞれの吸着パッド部18の圧力を検出し、制御部39に出力する。
【0019】
さらに、制御部39は、エアコンプレッサ35を運転させ、ガラス基板Wの四隅の上方に待機している4つの吸着補助部30を駆動させる。具体的には、エアシリンダ31とエアコンプレッサとの間に設けられているバルブ34を開く。その結果、各吸着補助部30の補助パッド部33が下降して、ガラス基板Wの素子形成面W1の四隅を上側から押圧し、補助パッド部33及び吸着パッド部18に挟まれるようにして、ガラス基板Wが下方の吸着パッド部18に押し付けられる。制御部39は、補助パッド部33がガラス基板Wの素子形成面W1の側縁部を押圧したら、直ちにバルブ34を閉じ、補助パッド部33を待機位置まで上昇させる。これによって、ガラス基板Wが捩れていたり、反っていた場合でも、確実にガラス基板Wを吸着して保持できる。
【0020】
このようにして、ガラス基板Wを吸着パッド部18に吸着保持させたら、各スライダ12がベース部2の他端部に向かって同期して移動を開始する。このとき、補助部30は、基板搬入出部4に残ったままとなる。そして、ガラス基板W上のパターンが顕微鏡41の下方に差し掛かったら、顕微鏡41でパターンの拡大像を取得し、モニタに出力する。より詳細には、顕微鏡41をY方向に移動させながらガラス基板Wの幅方向の拡大像を取得したら、各スライダ12を同期して所定長だけ移動させ、次のパターンの拡大像を取得する。予定されている全てのパターンの拡大像を取得したら、各スライダ12を後退させ、ガラス基板Wを基板搬入出部4に戻す。そして、吸着パッド部18による吸着を解除し、リフトピン20でガラス基板Wを持ち上げてから、基板搬送ロボット6でガラス基板Wを搬出する。
【0021】
この実施の形態によれば、基板浮上ステージ3、スライダ12、吸着部16などから基板搬送装置を構成し、基板搬入出部4に吸着補助部30を設けて、ガラス基板Wの特に反りやすい四隅を上方から押すようにしたので、吸着パッド部18でガラス基板Wを確実に吸着することが可能になる。この場合に、補助パッド部33は、下支点でガラス基板Wを吸着パッド部18に押し付けるように、一往復だけ移動するので、ガラス基板Wを搬送する際には、吸着補助部30はガラス基板Wから離間した位置に待機する。したがって、ガラス基板Wと吸着補助部30とが接触する時間が短くなり、ガラス基板Wの負荷を低減させることができ、ガラス基板Wに傷等が付くことはない。また、吸着エラーによって、ガラス基板Wの検査が実施できなくなることがないので、生産効率を向上させることができる。
また、基板搬送装置に検査部5を設けることで基板検査装置1を構成したので、ガラス基板Wに傷等を付けることなく搬送しながら基板表面の外観検査を行うことが可能になる。したがって、ガラス基板Wを用いた製品の品質を向上させることができる。
【0022】
なお、図2及び図3には、ガラス基板Wの隅部が上向きに反っているが、隅部が下向きに反っている場合でも同様の作用及び効果が得られる。また、制御部39は、圧力センサ36が吸着エラーを検出したときに4つの吸着補助部30を駆動させるように構成しても良い。ここにおいて、吸着エラーとは、圧力センサ36が吸着パッド部18内の減圧を検出しない状態をいう。
【0023】
次に、この発明の第2の実施の形態について説明する。なお、第1の実施の形態と同じ構成要素には同一の符号を付してある。また、重複する説明は省略する。
この実施の形態は、吸着補助部30がスライダ12に取り付けられていることを特徴とする。図5に示すように、スライダ12の支持部14の外側面には、支持フレーム50が固定されている。この支持フレーム50は、ガラス基板Wの端面よりも外側を通って上方に延びている。支持フレーム50の内側には、L字状の板金51が取り付けられており、ここに吸着補助部30のエアシリンダ31が吊り下げられている。エアシリンダ31は、鉛直下向きに進退自在なロッド32を有し、ロッド32の下端には補助パッド部33が取り付けられている。吸着補助部30は、ガラス基板Wの四隅に対応する吸着パッド部18のそれぞれの上方に、合計4つ設けられている。
【0024】
この実施の形態では、ガラス基板Wが基板搬入出部4に移載されたら、ガラス基板Wをエア浮上させた状態で、吸着パッド部18を上昇させてガラス基板Wの下方から当接させ、吸着保持する。この際に、吸着補助部30を駆動させて、補助パッド部33を降下させ、ガラス基板Wの上方から押し当てた後に、速やかに補助パッド部33を上昇させる。これによって、ガラス基板Wが反っていた場合でも吸着パッド部18に確実に吸着保持される。吸着パッド部18がガラス基板Wの表面から離れたら、リニアモータを駆動させ、スライダ12をX方向に沿ってベース部2の他端部側に向かって移動させ、検査部5による検査を行う。ここで、移動している間に、吸着パッド部18からガラス基板Wが離れた場合には、その吸着パッド部18の圧力センサ36が吸着エラーを出力するので、スライダ12を一端停止させた後に制御部39がその吸着パッド部18の上方に共に移動している吸着補助部30を駆動させ、前記と同様にしてガラス基板Wを吸着パッド部18に押し当て、再びガラス基板Wを吸着保持させる。なお、スライダ12を一端停止させることなく、吸着パッド部18をZ方向に往復移動させて再びガラス基板Wを吸着保持させても良い。
【0025】
この実施の形態によれば、吸着補助部30を設けたので、ガラス基板Wを上側から吸着パッド部18に押し付けることができ、ガラス基板Wが反っている場合でも、確実に吸着保持を行わせることができる。さらに、吸着補助部30がスライダ12に設けられているので、ガラス基板Wが移動する際に、常に吸着補助部30を吸着パッド部18の上方に待機させることができる。したがって、ガラス基板Wの移動中などに吸着が解除された場合でも、速やかに吸着保持された状態に復帰させることができる。
【0026】
なお、本発明は、前記の各実施の形態に限定されずに広く応用することが可能である。
例えば、吸着部16、吸着補助部30の数及び配置は、各実施の形態に限定されず、ガラス基板Wの側縁部のほぼ全長に亘って配置するなど種々の形態をとることができる。例えば、第1の実施の形態の変形例を図6に示す。図6には、X方向に沿って、ガラス基板Wの搬送方向前側から、吸着部16A、吸着部16B、吸着部16Cが配設されている。吸着部16A,16Cは、ガラス基板Wの両端部に相当する位置に設けられ、吸着パッド部18がX方向にそれぞれ5つ配列されている。吸着部16Bは、ガラス基板WのX方向の中央に設けられ、吸着パッド部18がX方向に3つ配列されている。これに対して、基板搬入出部4には、X方向に沿って吸着補助部30A、吸着補助部30B、吸着補助部30Cが配置されている。吸着補助部30A,30Cは、基板搬入出部4において、吸着部16A,16Cの上方に配置されており、各吸着パッド部18に対向するように6つの補助パッド部33がそれぞれ配設されている。吸着補助部30Bは、基板搬入出部4において、吸着部16Bの上方に配置されており、各吸着パッド部18に対向するように3つの補助パッド部33が配設されている。この場合には、基板搬入出部4において、ガラス基板Wの隅部と、隅部の略中間を上方から押圧することで、ガラス基板Wをさらに確実に吸着保持させることが可能になる。特に、ガラス基板Wの側縁部が波打つように反っている場合でも全ての吸着パッド部18に確実に吸着保持することが可能になる。なお、この配置は、第2の実施の形態に適用することも可能である。
【0027】
また、第2の実施の形態の変形例を図7に示す。吸着部16A、吸着部16B、及び吸着部16Cのそれぞれの上方には、吸着補助部60A、吸着補助部60B、吸着補助部60Cが配設されている。吸着補助部60A、60Cは、5つの吸着パッド部18に対してガラス基板Wを同時に押圧できる補助パッド部61Aが1つのエアシリンダ31に取り付けられている。吸着補助部60Bは、3つの吸着パッド部18に対してガラス基板Wを同時に押圧できる補助パッド部61Bが1つのエアシリンダ31に取り付けられている。この場合には、エアシリンダ31を少なくした状態で、図6と同様の効果が得られる。なお、図7においては、吸着補助部60A、60B、60Cは、支持フレーム50及び板金51によってスライダ12に固定されているが、基板搬入出部4においてベース部2に固定されても良い。
【0028】
さらに、図8に示すように、X方向に沿って、ガラス基板Wの両端部と、中央に相当する位置に、吸着部16D、吸着部16E、吸着部16Fを配設し、これに対応して3つの吸着補助部群70A,70B,70Cを配設しても良い。ここで、吸着部16D,16Fには、それぞれ3つの吸着パッド部18がX方向に沿って配設されており、吸着パッド部18のそれぞれに1つずつ圧力センサ36が設けられている。吸着補助部群70A,70Cは、3つの補助パッド部33が配設された吸着補助部30DがX方向に2つ配列されたもので、各補助パッド部33は対向する吸着パッド部18の上方に配置されている。1つの吸着補助部30Dの含まれる3つのエアシリンダ31は、1つのバルブ34で駆動制御されている。吸着補助部群70Bは、3つの補助パッド部33が1つのバルブ34で制御可能な吸着補助部30Dを1つ有している。この場合には、吸着エラーを起こした吸着パッド部18に対応する吸着補助部30Dのみを駆動させる。例えば、ガラス基板Wの先端側の吸着部16Dの3つの吸着パッド部18のいずれかに接続されている圧力センサ36が吸着エラーを検出したときには、制御部39が最も先端側の吸着補助部30Dのバルブ34を開閉動作させ、3つの補助パッド部33を同時に上下方向に1回往復移動させる。これによって、ガラス基板Wの先端側が吸着パッド部18に押し付けられ、吸着エラーが解消される。吸着エラーが発生した箇所の吸着補助部30Dを稼動させることで、ガラス基板Wが押圧する力を最小限に止めることができ、特にガラス基板Wが波打つように反っている場合に高い効果を発揮する。なお、エアシリンダ31ごとにバルブ34を設けて、補助パッド部33を1つずつ制御できるようにしても良いし、近接する複数の吸着パッド部18に対して一つの圧力センサ36を設けて、いずれかの吸着パッド部18がガラス基板Wを吸着できかったときに吸着エラーを出力するようにしても良い。
【0029】
また、基板搬入出部4には、ガラス基板Wを位置決めする位置決め機構を設けても良い。位置決め機構としては、例えば、ガラス基板Wの側面に当接して位置決めの基準となる固定式の基準ピンと、ガラス基板Wの側面に当接してガラス基板Wを基準ピンに向かって押圧する移動式のピンとを有するものがあげられる。
さらに、ガラス基板Wの両方の側縁部を吸着保持する代わりに、一方の側縁部のみを吸着保持して搬送するようにしても良い。この場合の吸着補助部30は、スライダ12及び吸着部16を有する片側のみに設けられる。吸着補助部30は、エアシリンダ31の代わりに、ソレノイド式のシリンダ等、補助パッド部33、61A,61Bを上下移動させて、ガラス基板Wの吸着保持をアシストできる動作を行うものを用いることができる。基板浮上ステージ3は、エアの代わりに窒素ガスや、アルゴンガス等を使用しても良い。また、基板浮上ステージ3は、静電気や、超音波を利用してガラス基板Wを浮上させても良い。
そして、ガラス基板Wを水平に配置する代わりに、ガラス基板Wを垂直に配置し、ガラス基板Wを挟むように吸着部16と吸着補助部30とを配置しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の実施の形態に係る基板搬送装置及びこれを備える基板検査装置の構成を示す平面図である。
【図2】吸着部及び吸着補助部の構成を示す側面図である。
【図3】吸着部及び吸着補助部を示す斜視図である。
【図4】吸着部と吸着補助部の制御ブロック図である。
【図5】スライダに吸着補助部が取り付けられた構成を示す側面図である。
【図6】吸着部及び吸着補助部の配置を示す図である。
【図7】吸着補助部の構成の一例を示す図である。
【図8】吸着部と吸着補助部の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0031】
1 基板検査装置
3 基板浮上ステージ(ステージ)
4 基板搬入出部
5 検査部
12 スライダ(搬送手段)
16,16A〜16F 吸着部
30,30A〜30D,60A〜60C 吸着補助部
39 制御部
W ガラス基板(基板)
W1 素子形成面(基板表面)
W2 非素子形成面(裏面)


【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を浮上させるステージと、前記ステージに沿って移動可能に設けられ、前記基板の端部の裏面に下側から当接して前記基板を吸着して保持する吸着部を有する搬送手段と、前記吸着部で前記基板を吸着保持するときに、前記基板表面に上方から当接して前記基板を前記吸着部に押し付けた後に、前記基板表面よりも上方に退避する吸着補助部と、を備えることを特徴とする基板搬送装置。
【請求項2】
前記吸着補助部は、前記基板を前記ステージ上に搬入する位置に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の基板搬送装置。
【請求項3】
前記吸着補助部は、前記搬送手段に取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載の基板搬送装置。
【請求項4】
前記ガラス基板を吸着できない前記吸着部を検出し、そのような前記吸着部の上方に配置されている前記吸着補助部を駆動させる制御部を備えることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の基板搬送装置。
【請求項5】
前記搬送手段の経路上に、前記基板の外観を検査する検査部を設けたことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の基板検査装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−188313(P2006−188313A)
【公開日】平成18年7月20日(2006.7.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−174(P2005−174)
【出願日】平成17年1月4日(2005.1.4)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】