基板検査方法および基板検査装置
【課題】検査領域の設定データが倍率色収差により不正確になるのを防止する。
【解決手段】メモリ15には、R,G,Bの各単色画像毎に、カメラの視野における各画素の対応点の位置を検索するための位置換算テーブルと、画素毎に、周囲近傍の画素との間の分解能をそれぞれの画素に向かう方向毎に表した画素分解能テーブルとが登録される。また検査領域の設定データとして、撮像対象領域の中心点に対する検査領域の中心点の相対座標および検査領域の大きさを示すデータを登録する。検査の際には、各単色画像の位置換算テーブルからそれぞれ前記相対座標に最も近い画素を抽出し、これを検査領域の中心点とする。またこの中心点を起点に、画素分解能テーブルのデータを検査領域の各端縁に向かう方向毎に読み出して当該方向に対応するデータを累計し、その累計値が前記検査領域の大きさデータに最も近くなったときの画素を、検査領域の境界位置とする。
【解決手段】メモリ15には、R,G,Bの各単色画像毎に、カメラの視野における各画素の対応点の位置を検索するための位置換算テーブルと、画素毎に、周囲近傍の画素との間の分解能をそれぞれの画素に向かう方向毎に表した画素分解能テーブルとが登録される。また検査領域の設定データとして、撮像対象領域の中心点に対する検査領域の中心点の相対座標および検査領域の大きさを示すデータを登録する。検査の際には、各単色画像の位置換算テーブルからそれぞれ前記相対座標に最も近い画素を抽出し、これを検査領域の中心点とする。またこの中心点を起点に、画素分解能テーブルのデータを検査領域の各端縁に向かう方向毎に読み出して当該方向に対応するデータを累計し、その累計値が前記検査領域の大きさデータに最も近くなったときの画素を、検査領域の境界位置とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、部品実装基板の製造に関わる複数の工程(たとえば、はんだ印刷工程、部品実装工程、はんだ付け工程)のいずれかを終了した基板を対象にして、この基板を撮像して得られたカラー画像を用いて所定の被検査部位を検査する方法、およびこの方法が適用された基板検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の基板検査装置として、たとえば下記の特許文献1に記載されたものがある。
【特許文献1】特許 第3622749号 公報
【0003】
この特許文献1に記載の基板検査装置は、基板ステージ(Y軸テーブル部)の上方に、カラーカメラや照明用の光源を配置したもので、さらに、コンピュータを含む制御処理部を有する。検査の際には、基板ステージに搬入された基板をカメラにより撮像し、生成されたカラー画像上に、あらかじめ設定した条件に基づく検査領域を設定して、その領域内の画像を2値化するなどして被検査部位を抽出する。さらに、抽出された被検査部位の位置や面積等を測定し、その測定値を所定の判定基準値と照合することによって、被検査部位の良否を判別する(同上特許文献の段落[0079]〜[0080]、図8参照。)。
なお、カラー画像は、一般に、R,G,Bの各色成分毎の濃淡画像により生成される(以下、これら色成分毎の濃淡画像を「単色画像」という。)。前記検査領域の設定、被検査部位の抽出および測定処理は、これら単色画像毎に行われるが、従来の各単色画像間のずれはごく微小なものであるため、同一の座標どおしを対応づけて処理するようにしている。
【0004】
なお、上記の特許文献1では、ティーチング処理において、検査領域の位置や大きさをユーザーの手操作により設定しているが、CADデータなどの基板設計データを用いて検査領域の設定条件を作成する場合もある(たとえば、下記の特許文献2)。
【0005】
【特許文献2】特許 第2697678号 公報
【0006】
さらに特許文献1,2には記載されていないが、これらの文献に記載されている基板検査装置では、検査対象となる基板の厚みのばらつきに対応するために、図14に示すような機構を用いて基板を支持するようにしている。
【0007】
図14において、2はカメラを、200は基板を、それぞれ示す。この例の基板支持機構には、昇降機構(図示せず。)を備えた一対の支持部材52と、各支持部材52の上方にそれぞれ配置された押さえ爪51が含まれる。
基板200は、各支持部材52,52により下面の両側縁部で支持されている。各支持部材52,52は、基板200を支持した状態で、この基板200の上面が押さえ爪51,51に当接する位置まで上昇する。これにより、前記基板200は、支持部材52と押さえ爪51との間に挟まれて支持されるので、基板200の厚みに関わらず、カメラ2と基板200との距離を一定にすることができる。よって、画像の分解能を安定させて、検査精度を高めることができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
実際の基板検査装置では、一般に、検査対象の基板に複数の撮像対象領域を割り付け、これらの撮像対象領域にカメラを順に位置決めして撮像を行う場合が多い。したがって、検査を効率良く行うには、カメラの視野をできるだけ広くして、撮像回数を減らすのが望ましいと考えられる。特に、近年、撮像素子が高密度化したことによって、カメラの視野を広くしても、検査に必要な分解能を確保できるようになってきているため、視野を広く設定したいという要望が強くなっている。
【0009】
しかしながら、カメラの視野を広げるために倍率の大きなレンズを使用すると、倍率色収差が大きくなる。このため、従来のように、カラー画像を構成する単色画像間で同じ座標どおしを対応づけて測定を行うと、検査の信頼度が低下する可能性がある。
【0010】
また前記図14に示したような方法で基板を支持すると、前記昇降機構52やその駆動機構などによって構成が複雑になり、コスト高になるという問題がある。一方、基板を単純に平坦面上に設置した場合には、基板の厚みのばらつきによって基板とカメラとの間の距離も変動するため、画像上の分解能を固定できなくなり、測定の精度を確保できなくなる。
【0011】
このため、カメラと基板との間にガラスなどの光路長の調整手段を設けることにより、基板の厚みによりカメラと基板との距離が変動しても、実質的な光路長が一定になるように調整する方法が検討されている。しかし、ガラスなどを挿入すると倍率色収差が大きくなってしまうので、上記したのと同様の問題が生じてしまう。
【0012】
この発明は上記の問題点に着目してなされたもので、検査領域の設定データが倍率色収差により不正確になるのを防止することによって、測定の精度を確保し、もって検査精度を安定させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この発明にかかる基板検査方法は、検査対象の基板をその上方に配置された撮像手段により撮像して前記基板のカラー画像を生成し、このカラー画像を用いて前記基板上の所定の部位に対する検査を実行するものである。検査対象の基板は、一連の工程を経て完成した部品実装基板であっても良いし、途中の所定の工程が終了した段階の基板、すなわち製造中の基板であっても良い。たとえば、製造途中の基板として、クリームはんだ印刷の後の基板や部品実装後の基板(はんだ付け前のもの)を検査対象とすることができる。
また撮像手段は、2次元のカラーカメラであるのが望ましいが、これに代えて、ラインセンサのような1次元の画像生成手段を用いてもよい。
【0014】
この発明にかかる基板検査方法では、検査に先立ち、以下の第1〜第4のステップを実行する。
まず第1ステップでは、前記撮像手段の視野サイズに応じた大きさの平面を有し、その平面に位置関係が既知の複数の特徴点が含まれるキャリブレーションワークを前記撮像手段に対して位置合わせして撮像する。キャリブレーションワークに含まれる各特徴点は、たとえば所定大きさのドットの中心点、格子状のパターンの交点などである。これらの特徴点は等間隔に配置されていても良いが、倍率色収差を考慮して、周縁部に向かうほど、特徴点間の距離が小さくなるようにしてもよい。また各特徴点は、直交する2方向に沿って配置されるのが望ましい。
【0015】
第2ステップでは、前記第1ステップの撮像により生成されたカラー画像を構成する複数の単色画像(たとえばR,G,B毎の濃淡画像)毎に、その画像上の各特徴点の間隔に応じた複数の小領域に分割して、小領域毎に分解能を求める。
たとえば近傍の4つの特徴点により正方形または長方形が形成される場合には、これら4点の組毎に小領域を設定して、画像上の領域の各辺の画素数と、実際の特徴点間の距離とにより、分解能を求めることができる。
【0016】
第3ステップでは、前記第2ステップの演算結果に基づき、位置換算テーブルおよび画素分解能テーブルを、それぞれ作成してメモリに登録する。
位置換算テーブルは、各単色画像毎に、その画像上の各画素の座標にそれぞれ前記撮像手段の視野の中心に対する当該画素の対応点の相対座標を対応づけた構成のものである。また画素分解能テーブルは、前記画像上の画素毎に、周囲近傍の画素との間の分解能をそれぞれの画素に向かう方向毎に表した構成のものである。
【0017】
「各画素の対応点」とは、撮像手段の視野に含まれる平面(この場合、キャリブレーションワークの表面)上の対応点である。位置換算テーブルには、各画素の対応点について、前記視野の中心に対する相対座標が格納されるので、この位置換算テーブルを参照することにより、各画素が撮像手段の中心に対し、どの方向にどれだけ離れているかを認識することが可能になる。
【0018】
画素分解能テーブルは、たとえば、各画素につき、それぞれ上下左右の4画素との間の分解能を記憶したものとなる。ただし、周囲8近傍の画素との間の分解能を記憶してもよい。
このように複数の方向毎にその方向に位置する画素との間の分解能を記憶するのは、倍率色収差の影響によって、画像上の分解能にばらつきが生じている可能性があるからである。
【0019】
第4ステップでは、基板上の各被検査部位に対する検査領域の設定条件として、それぞれ前記基板上における検査領域内の基準点の位置および前記検査領域の大きさを登録する。たとえば、CADデータなどの基板設計データに含まれる各被検査部位の位置や大きさに基づいて、前記基準点の位置や検査領域の大きさを、実際の基板サイズに応じた単位で表すデータを定め、登録する。
【0020】
前記基準点は、検査領域の中心点とするのが望ましいが、これに限定されるものではない。なお、基準点の位置については、後記するステップAの処理を考慮して、撮像手段の視野の中心に対する相対座標を登録するのが望ましい。
【0021】
検査領域の大きさを表すデータとしては、たとえば、基準点から検査領域の各端縁までの距離、または基準点から検査領域の各頂点までの距離など、基準点から領域の境界位置までの距離を求めるのが望ましい。
【0022】
さらに、この基板検査方法では、検査において、基板上の特定の点が前記撮像手段の視野の中心に位置するように基板と撮像手段との位置関係を調整して撮像を実行した後に、この撮像により得られたカラー画像について、第4ステップで登録された検査領域毎に、以下のA,B,C,D,Eの各ステップを実行する。
【0023】
ステップAでは、前記撮像手段の視野の中心に対する前記検査領域の基準点の位置関係に基づき、各単色画像毎の位置換算テーブルを検索して、前記位置関係に最も近い相対座標が対応づけられた画素を前記基準点として特定する。たとえば、前記第4ステップで、視野の中心に対する検査領域の基準点の相対座標(X,Y)が登録されている場合には、位置換算テーブルにおいて、この座標(X,Y)に最も近い座標が対応づけられている画素を基準点として特定する。
【0024】
ステップBでは、単色画像毎に、前記ステップAで特定された基準点を起点に検査領域の境界に向かう方向毎に、当該方向に位置する画素の当該方向に対応する分解能を画素分解能テーブルから読み出して加算し、各加算値を前記検査領域の登録された大きさと照合することにより、前記検査領域の境界位置を特定する。
【0025】
「検査領域の境界に向かう方向」は、たとえば、基準点から検査領域の端縁に向かう方向、または基準点から各検査領域の頂点に向かう方向である。
ステップBでは、第4ステップで登録された検査領域の大きさを示すデータの内容に応じて、上記の方向を選択することができる。たとえば、検査領域の大きさを示すデータとして、基準点から検査領域の各端縁までの距離が登録されている場合には、基準点から各端縁に向かう方向を選択する。この場合、たとえば、右側の端縁に向かう方向に位置する各画素については、それぞれ右側方向に対応する分解能を読み出して加算し、上端縁に向かう方向に位置する各画素については、それぞれ上側方向に対応する分解能を読み出して加算する。左側端縁に向かう方向、下端縁に向かう方向についても同様である。
また、いずれの方向についても、たとえば前記分解能の加算値が前記距離に近似する値になった時点の画素を、検査領域の境界位置としてもよいが、これに限らず、この画素より所定距離だけ基準点から離れた画素を、検査領域の境界位置としてもよい。
【0026】
ステップCでは、ステップA,Bの結果を用いて各単色画像毎に前記検査領域を設定する。ステップDでは、各単色画像からそれぞれステップCで設定された検査領域の画像を切り出し、その切り出された各画像を用いて検査のための測定処理を実行する。
ステップEでは、ステップDの測定処理結果に基づき、前記検査領域に対応する被検査部位の良否を判別する。
【0027】
倍率色収差は、画像の中心では殆ど生じないが、中心から離れるにつれて大きくなる。この発明では、位置換算テーブルを用いて、視野の中心に対する基準点の位置関係に最も近い相対座標が対応づけられた画素を基準点として特定するので、検査領域が視野の中心から離れていても、倍率色収差による分解能のばらつきの影響を受けずに、画像上における基準点の位置を適切に特定することができる。
さらに、前記基準点から検査領域の境界に向かう方向に位置する各画素につき個別に登録された分解能を用いて、検査領域の境界位置を特定するので、分解能にばらつきがあっても、登録データに適合した大きさの検査領域を設定することが可能になる。
【0028】
またこの発明では、単色画像毎に、上記ステップA,B,Cを実行するので、いずれの単色画像でも、被検査部位を含む画像を切り出すことが可能になる。よって、これらの画像により測定処理の精度を確保することができるから、被検査部位の良否についても、精度の良い判別を行うことができる。
【0029】
上記の基板検査方法の好ましい一態様では、前記撮像手段の視野の中心に位置させるべき点について、前記基板上の所定の特徴点に対する相対座標をあらかじめ登録しておき、検査時の位置調整処理において、以下のステップa,b,c,dを実行する。
なお、特徴点としては、たとえば基板の位置決めマークの中心点を使用することができる。
【0030】
ステップaでは、前記検査対象の基板を仮撮像し、ステップbでは、ステップaで生成された画像上で前記特徴点を抽出する。
ステップcでは、ステップbで抽出された特徴点の座標により少なくとも1つの単色画像に対応する位置換算テーブルを検索して、前記特徴点の座標に対応づけられた相対座標を読み出す。
【0031】
ステップdでは、基板および撮像手段の少なくとも一方を、ステップcで読み出された相対座標に基づく移動量をもって移動させることにより、前記特徴点を撮像手段の視野の中心に位置させる。さらに、基板および撮像手段の少なくとも一方を、前記あらかじめ登録された相対座標に基づく移動量をもって移動させる。
【0032】
上記の態様において、「撮像手段の視野の中心に位置させるべき点」は、たとえば、検査のために設定された撮像対象領域の中心点である。前記位置換算テーブルの構成によれば、仮撮像により生成された画像上の特徴点に対応するカメラの視野内の点の位置を、前記位置換算テーブルから読み出すことができる。この態様では、これを利用して、視野内における特徴点の位置を得ることで、この特徴点を視野の中心に合わせるのに必要な移動量を得ることができる。よって、この移動量に基づき撮像手段もしくは基板、またはこれら双方を移動させることにより、特徴点を視野の中心に合わせることができる。さらに、特徴点に対する登録された相対座標に基づき、撮像手段もしくは基板、またはこれら双方を移動させることによって、撮像手段の視野の中心を目標位置に精度良く位置合わせして、検査のための撮像を行うことができる。
【0033】
この発明にかかる基板検査装置は、検査対象の基板を支持するための基板支持手段と、前記基板支持手段により支持された基板を上方から撮像して、前記基板のカラー画像を生成する撮像手段と、前記撮像手段により生成された画像を用いて前記基板上の所定の部位に対する検査を実行する検査実行手段とを有する。
さらに検査実行手段には、第1、第2の各記憶手段、位置調整手段、画像生成手段、本処理手段、出力手段が含まれる。
【0034】
第1の記憶手段には、前記位置換算テーブルおよび画素分解能テーブルが登録される。第2の記憶手段には、各被検査部位に対する検査領域の設定条件として、それぞれ前記基板上における検査領域内の基準点の位置および前記検査領域の大きさが登録される。なお、第1の記憶手段への登録データは、前記基板検査方法の第1〜第3の各ステップの実行により行われる。また第2の記憶手段への登録は、第4ステップの実行により行われる。
【0035】
位置調整手段は、前記基板上の特定の点が前記撮像手段の視野の中心に位置するように基板と撮像手段との位置関係を調整する。画像生成手段は、前記基板支持手段が検査対象の基板を受け付けたとき、前記位置調整手段に前記調整処理を行わせた後に前記撮像手段に当該基板の撮像を行わせる。
【0036】
前記本処理手段は、前記ステップA,B,C,D,Eを、第2の記憶手段に登録された検査領域毎に実行する。出力手段は、前記本処理手段がステップEにおいて実行した判別結果に基づく検査結果情報を出力する。
【0037】
さらに好ましい態様の基板検査装置では、前記基板支持手段は、前記基板の下面全体を支持する水平な支持面を有する。また、この支持面と撮像手段との間に、前記基板の厚みに応じて光路長を調整する手段(たとえばプリズム)が設けられる。
【0038】
上記の構成によれば、基板を支持面上に支持する一方、基板の厚みのばらつきによる撮像手段と基板との距離の変化に応じて光路長を調整するので、撮像手段の分解能を安定させることができる。また光路長の調整により生じた倍率色収差についても、前記した検査方法により対応することができるので、測定の精度、検査の精度を共に安定させることができる。
【発明の効果】
【0039】
この発明によれば、倍率色収差によって単色画像間の分解能の差が大きくなったり、各単色画像における分解能のばらつきが大きくなった場合でも、あらかじめキャリブレーションワークを用いて作成、登録した2種類のテーブルを用いて、検査領域内の基準点の位置や検査領域の大きさを単色画像毎に精度良く求めることができるので、各単色画像から前記検査領域内の画像を支障なく切り出すことが可能になり、測定処理や検査の精度を確保することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0040】
図1は、この発明が適用された基板検査装置の構成を示す。
この基板検査装置は、部品実装基板の製造ライン中の部品実装工程を経た基板を処理対象として、部品の実装位置毎に検査を行うもので、コントローラ1、カメラ2、基板ステージ3、照明装置4、入力部5、モニタ6などにより構成される。
【0041】
前記カメラ2は、カラー静止画像を生成するもので、前記基板ステージ3の上方に撮像面を下方に向けた状態で固定配備される。基板ステージ3には、検査対象の基板を水平に支持するテーブル(図示せず。)や、このテーブルをX方向(基板の長さ方向)およびY方向(基板の幅方向)に移動させるための移動機構(図示せず。)が含まれる。照明装置4は、検査対象の基板を照明するためのものである。
【0042】
前記コントローラ1には、コンピュータによる制御部11のほか、画像入力部12、XYステージ制御部13、照明制御部14、メモリ15、検査結果出力部16などが設けられる。
画像入力部12には、前記カメラ2に対するインターフェース回路やA/D変換回路が含まれる。XYステージ制御部13は、前記基板ステージ3の移動制御を行うものであり、照明制御部14は、前記照明装置4の点灯・消灯動作を調整する。
【0043】
メモリ15には、検査にかかる一連の処理手順が記述されたプログラムや検査データファイルのほか、後記する距離換算テーブルや分解能テーブルなどが格納される。
検査データファイルには、部品毎に、検査領域の設定条件として領域の位置や大きさを示すデータが登録される。さらに、被検査部位を検出するための2値化しきい値、測定結果の適否判定のための判定基準値などが格納される。さらに、この実施例では、前記基板を複数の撮像対象領域に分けて撮像を行うようにしているため、検査データファイルには、各撮像対象領域の設定位置を示すデータが登録される。
【0044】
前記制御部11は、上記の設定位置を示すデータに基づき、XYステージ制御部13を介して基板ステージ3の移動を制御することにより、前記カメラ2を各撮像対象領域に順に位置合わせし、撮像する。ここで生成されたカラー画像は画像入力部12を介して制御部11に入力され、その内部のメモリ(RAM)に格納される。制御部11は、このRAMに格納されたカラー画像(以下、「処理対象画像」という。)に対し、前記検査データファイル内の検査データを用いて部品毎に検査領域を設定し、各領域において、部品の抽出処理、測定処理、および判定処理を、順次実行する。
【0045】
基板上のすべての部品に対する判定処理が終了すると、制御部11は、これらの判定結果をとりまとめて、基板の良、不良を判定する。この最終の判定結果や不良と判定された場合の不良部位に関する情報は、検査結果出力部16に与えられた後、この検査結果出力部16から図示しない外部装置に出力される。
【0046】
なお、上記構成の基板検査装置は、部品実装工程後の基板のほか、はんだ印刷工程後の基板や、リフロー炉によるはんだ付け工程を経た基板を検査対象とすることもできる。
【0047】
この実施例では、各検査領域の設定条件をCADデータを用いて作成するようにしている。図2は、所定の撮像対象領域100における検査領域の設定例を示す。
この図の撮像対象領域100には、3つの部品20,21,22が含まれている。各部品20,21,22には、それぞれその部品を包含する大きさの検査領域30,31,32が設定されている。
【0048】
図2では、部品20の検査領域30を例に、検査領域の設定データを示すが、その他の検査領域31,32についても、同様の設定データが登録される。
検査領域30の設定データには、この領域30の位置を表すデータと領域30の大きさを表すデータとが含まれる。この実施例では、検査領域30の位置として、前記撮像対象領域100の中心点Oに対する領域30の中心点Pの相対座標(kX,kY)を登録する。また、検査領域30の大きさを示すデータとして、前記中心点Pから領域の右側側縁までの距離uXと、前記中心点Pから領域30の上端縁までの距離uYとが登録される。
なお、上記の設定データは、CADデータを用いた演算により求められるので、kX,kY,uX,uYは、いずれも、実際の基板上の該当箇所のサイズに応じた値(単位はμm)になる。
【0049】
従来の基板検査装置では、上記の設定データを、画像の論理上の分解能に応じて画像上の座標に変換し、その変換後の設定データを用いて検査領域を設定するようにしている。
しかし、基板からの反射光がカメラのレンズを通過する際に倍率色収差が生じるので、R,G,Bの各単色画像間の分解能に有為な差が生じる可能性がある。また、いずれの単色画像でも、画像の中心点から遠ざかるにつれて、収差が大きくなるので、画像の分解能は一律にならないと考えられる。
【0050】
特に、検査の効率化のためにカメラの視野サイズを大きくした場合には、倍率色収差が大きくなるので、それぞれの単色画像における分解能のばらつき、単色画像間における分解能の差の双方ともに増大する。このため、従来のように論理上の分解能に基づいて検査領域の設定データを調整したのでは、実際の画像上の被検査部位に適切な検査領域を設定できなくなり、測定や検査の精度を確保できなくなる可能性がある。
【0051】
そこで、この実施例では、以下に説明する要領で、R,G,Bの単色画像毎に、位置換算テーブルおよび画素分解能テーブルを作成し、これらのテーブルを用いて、単色画像毎に前記検査領域の設定データを変換するようにしている。
【0052】
前記2種類のテーブルは、図3に示すようなキャリブレーションワーク40を撮像することにより生成されたカラー画像を、R,G,Bの各単色画像毎に処理することによって作成される。
【0053】
このキャリブレーションワーク40は、基板と同等の厚みを有する平板状のワークの表面に、複数のドット41を、等間隔(この実施例では1mm)で印刷した構成のものである。この実施例では、所定位置のドット41がカメラ2の視野の中心に位置するように、キャリブレーションワーク40を位置合わせしてから、撮像を行うようにしている。
【0054】
図4は、画像上における各ドット41の位置関係の具体例を示す。図中、点Aは、前記視野の中心に合わせられたドット41の中心点であり、その右隣、左隣、および右斜め上の各ドット41の中心点を、それぞれB,C,Dとしている。
【0055】
この実施例では、画像上に、中心点(点Aの位置)を原点として、水平方向をx軸、垂直方向をy軸とする座標系を設定し、各画素のx,y座標を、それぞれ原点からの画素数により表すようにしている。以下、このxy座標系を「画像座標系」という。
【0056】
この例では、点Bの座標は(90,0)、点Cの座標は(0,90)、点Dの座標は(90,90)となっている。すなわち、A−B、A−C、B−D、C−Dの各点間の長さ1mmは、いずれも90ピクセルで表されているから、これら4点による正方形領域内に含まれる各画素の分解能は、約11.1μmであると考えられる。
この実施例では、その他のドット41についても同様に、各ドット41の画像上の中心点を求めた上で、隣り合う4つのドット41による1mm四方の正方形毎にその正方形に対応する領域における分解能を算出している。前記位置換算テーブルおよび画素分解能テーブルは、この算出結果を用いて作成される。
【0057】
なお、倍率色収差の影響により、画像上の分解能は実際には均一にはならないので、上記4つのドット41による領域は正方形や長方形にならない可能性がある。したがって、4点による領域に代えて、1つのドット、およびこのドットに隣り合う2つのドットに対応する3点による三角形領域(図4の場合であれば、三角形ABCおよびDBC)毎に分解能を求めてもよい。
【0058】
位置換算テーブルは、画像上の各画素が、カメラ2の視野のどの位置に対応するかを示すものである。具体的には、各画素の対応点について、それぞれ前記カメラ2の視野の中心点に対する相対座標が格納される。
【0059】
図5は、前記図4に示した4点の位置関係に基づく位置換算テーブルを、画像の中心点を含む局所領域内のデータ構成に限定して示したものである。
図中、個々の矩形枠はそれぞれ1つの画素に対応し、各枠内に、それぞれその画素の対応点の位置データが格納されている。
【0060】
またこの図5では、前記画像座標系のx,y軸をテーブル上の画素配列に対応づけて配置するとともに、それぞれの軸に沿って、各画素のx座標およびy座標を示す数値(−1,0,1,2)を示している。一方、カメラ2の視野については、中心点を原点として、水平方向をX軸、垂直方向をY軸とする座標系(以下、これを「実座標系」という。)を設定している。この実座標系のX,Y軸は、それぞれ画像座標系のx,y軸に対応するが、その座標は、原点からの実際の距離(単位:μm)を表すものとなる。
【0061】
図中の網点を付した枠は、前記点Aに相当する画素、すなわち画像の中心点である。さらに言い換えれば、この画素は、画像座標系の原点であり、実座標系の原点に対応する。
前記図4によれば、点A,B,C,Dにより構成される正方形領域内の分解能は、x,yの各軸とも11,1μm/ピクセルとなる。図5では、各画素の実座標系の対応点が、この分解能に相当する間隔をもって位置するものとして、各画素の分解能を前記原点を起点にして順に加算することにより、各画素の対応点のX座標およびY座標を定めている。
この方法によれば、たとえば、画像座標系の座標が(2,1)の位置にある画素の対応点は、(22.2,11.1)となる。すなわち、この対応点は、視野の中心点からX軸の正方向に22.2μm、y軸の正方向に11.1μm、それぞれ離れた位置にあることになる。
【0062】
なお、図5に示した範囲より外側の画素についても、前記1mm四方の正方形領域を用いて分解能を求め、これを順に加算していくことにより、対応点のX,Y座標を求めることができる。
倍率色収差は画像の中心から離れるほど大きくなるので、分解能を示す数値も原点から遠ざかるほど大きくなると考えられる。しかし、この実施例では、上記のように画像を細かい単位に分けて分解能を求めているので、各対応点の座標を精度良く求めることが可能になる。
【0063】
もう一方の画素分解能テーブルは、各画素につき、それぞれその画素の上下左右の4画素との間の分解能を示すものである。図6は、画素分解能テーブルの構成を、原点を含む局所領域に限定して示している。この図でも、前記画像座標系および実座標系の各軸を画素の配列方向に合わせて配置し、原点に対応する枠に網点を付してある。
【0064】
図6において、+Xは右隣の画素との間の分解能を、−Xは左隣の画素との間の分解能を、+Yは1つ上の画素との間の分解能を、−Yは1つ下の画素の分解能との間の分解能を、それぞれ示す。なお、このテーブルのデータは、前記位置換算テーブルに設定された各画素間のX,Y座標の差を求めることにより得たものである。
【0065】
前記図2に示した撮像対象領域100は、カメラ2の視野と同じサイズであるから、中心点Oを原点として、実座標系の座標を適用することができる。
したがって、たとえば前記検査領域30の設定データを画像座標系のデータに変換する場合には、前記中心点Pの位置を示すデータkX,kYにより前記位置変換テーブルを検索し、(kX,kY)に最も近い座標が対応づけられている画素を抽出し、この画素を前記検査領域の中心点とする。さらに、前記中心点とした画素を起点に、画素分解能テーブルのデータを上下左右の各方向に沿ってそれぞれ1つずつ読み出しながら当該方向に対応するデータを累計し、それぞれの累計値がuX,−uX,uY,−uYに最も近くなったときの画素を、検査領域の境界位置とする。
【0066】
このような方法により、画像における分解能のばらつきが大きくなっていても、被検査部位の位置や大きさに応じた検査領域を設定して、検査に必要な画像を切り出すことが可能になる。またこの処理は、R,G,Bの単色画像毎に専用のテーブルを用いて行われるので、単色画像間の分解能の差が大きくなっても、いずれの単色画像にも、被検査部位に適合した検査領域を設定することができる。
【0067】
なお、上記変換後の設定データにより検査領域を正しく設定するには、基板に割り付けられた撮像対象領域の中心点と前記カメラの視野の中心点とが位置合わせされていることが条件となる。この点において、この実施例では、まず基板の角部の位置決めマークが視野の中心に位置するように調整した上で、前記撮像対象領域の設定データに基づく量だけ基板ステージ2を移動させることにより、撮像対象領域の中心点をカメラの視野の中心点に一致させている。
【0068】
図7は、撮像対象領域の設定データの具体例を示す。
この図では、検査対象の基板200に対し、2つの撮像対象領域101,102が設定されているものとする。各撮像対象領域101,102の設定位置として、それぞれ左下角部の位置決めマーク201に対する中心点O1,O2の相対座標(LX1,LY1)(LX2,LY2)が設定される。
【0069】
検査開始時には、カメラ2の視野Rは、その中心点が位置決めマーク201の中心点に合う位置に設定される。この状態から、視野RをX軸方向にLX1、Y軸方向にLY1移動させることによって、検査領域101の中心点O1に前記視野Rの中心点を合わせることができる。さらに、この撮像対象領域102と撮像対象領域101との座標の差(LX2−LX1,LY2−LY1)に応じた量だけ視野Rを移動させることによって、2番目の撮像対象領域102の中心点O1に前記視野Rの中心点を合わせることができる。
なお、この実施例では、カメラ2を固定して基板ステージ3を移動させているから、前記基板ステージ3を、前記視野Rの移動方向と反対方向に移動させることによって、上記の位置決め処理を行うことができる。
【0070】
図8は、前記キャリブレーションワーク40を用いて前記2種類のテーブルを作成する処理の流れを示す。なお、この図8およびつぎの図9において、「ST」はSTEP(ステップ)の略である。また、各図の二重枠で表す処理は、R,G,Bの各単色画像毎に実行されるものである。
【0071】
まずST1では、ユーザーにより、前記キャリブレーションワーク40が基板ステージ3に位置決めされる。ユーザーが位置決め後に開始操作を行うと、ST2に進み、前記カメラ2による撮像が行われる。
【0072】
以下のST3〜6は、R,G,Bの単色画像毎に実行される。まずST3では、前記単色画像から各ドット41の中心点を抽出する処理を実行する。たとえば、前記画像を微分処理してエッジ画素を抽出し、抽出された各エッジ画素にそれぞれ濃度勾配方向に沿う直線を設定し、エッジ画素毎の直線が交わる点を中心点として抽出する(詳細については、下記の特許文献3を参照されたい。)。
【0073】
【特許文献3】特許 第3548748号 公報
【0074】
ST3の処理が終了すると、つぎのST4では、前記画像上で抽出された各点を、前記1mm四方の正方形に対応する4点毎に組み合わせ、各組毎に、その組にかかる4点により特定される小領域の分解能を算出する。ST5では、ST4の算出結果を用いて、画素毎に、その画素の実座標系での対応点のX,Y座標を求める。さらに、これらのX,Y座標と各画素の画像座標系における座標とを対応づけたテーブルを作成し、これを前記位置換算テーブルとしてメモリ15に登録する。
【0075】
ST6では、各画素について、それぞれ左右および上下の画素との間で前記位置換算テーブルに格納されたX座標およびY座標の差を求める。そして、これらの差の値を前記画素の座標に対応づけたテーブルを作成し、これを画素分解能テーブルとしてメモリ15に登録する。
【0076】
図9は、検査の際の手順を示す。なお、この処理では、最初のステップをST11として、前記図7に示した基板200を検査する場合を例に、検査の流れを説明する。
【0077】
ST11では、検査対象の基板200を基板ステージ3に搬入する。なお、この搬入時には、位置決めマーク201がカメラ2の視野R内に含まれるように、基板200とカメラ2との位置関係が調整されているが、位置決めマーク201は必ずしも視野Rの中心点の位置にあるとは限らない。このため、つぎのST12では、前記位置決めマーク201が視野Rの中心点に位置合わせされるようにに、カメラ2と基板200との位置関係を調整する。
【0078】
具体的には、搬入された基板200を仮撮像し、生成された画像上で前記位置決めマーク201の中心点の座標を抽出する。さらに、抽出された座標に対応するX,Y座標を前記位置換算テーブルから読み出し、この座標に応じた距離だけ基板ステージ3を移動させる。
【0079】
図10は、前記位置決めマーク201の画像上の位置を表す点v(x0,y0)と画像の中心点qとの関係を示す。ST12では、前記位置換算テーブルから座標(x0,y0)の対応点のX,Y座標を読み出す。このX,Y座標は、実際の位置決めマーク201が視野Rの中心点(実座標系の原点)に対し、X,Yの各方向においてどれだけ離れているかを示すものである。したがって、これらX,Y座標が示す距離だけ基板ステージ3を移動させることにより、図中の矢印に示すように、前記位置決めマーク201を視野Rの中心点に合わせることが可能になる。よって、画像上の点vも中心点qに位置合わせされる。
【0080】
なお、位置換算テーブルは単色画像毎に設定されるので、前記実座標の抽出もテーブル毎に行って、それらの平均値に基づいて基板ステージの移動量を決定してもよい。ただし、これに限らず、いずれか1つの位置換算テーブルを使用してもよい。たとえば、屈折率が最も大きい波長に対応する単色画像の位置換算テーブルを使用してもよい。
【0081】
図9に戻って、ST12の処理が終了すると、つぎのST13では基板200に対し、カメラ2の視野RがX軸方向にLX1,Y軸方向にLY1、それぞれ移動するように基板ステージ3を動かす。これにより、カメラ2の視野Rは、前記撮像対象領域101に位置合わせされる。つぎのST14では、その位置合わせ状態を維持して撮像を行う。
【0082】
ST15では、前記撮像対象領域101に含まれる所定の検査領域について、前記各単色画像の位置換算テーブルおよび画素分解能テーブルを用いて、検査領域の設定データを単色画像毎に変換する。ST16では、前記ST14の撮像処理により生成された各単色画像につき、それぞれ変換後の設定データに基づく検査領域を設定して、その領域内の画像を切り出す。
【0083】
なお、R,G,Bの各単色画像から切り出された画像の大きさは、それぞれ異なるものと考えられるが、この実施例では、これら切り出し画像をそれぞれの中心点で位置合わせして、3つの画像が重なる領域を有効領域として使用する。各切り出し画像の中心点は、いずれも検査領域の中心点に対応しているので、これらの点を基準に各画素を対応づけることで、位置合わせの誤差を少なくできるからである。また各単色画像間における分解能の差が数μm程度であれば、画像の周縁部から数画素程度の範囲に被検査部位が含まれる可能性はきわめて小さいから、その範囲が有効領域に含まれなくとも特段の問題は生じないと考えられる。
【0084】
ST17では、各切り出し画像の有効領域をそれぞれ所定のしきい値により2値化する。なお、ここで使用されるしきい値は、被検査部位(この実施例では部品)の色彩に応じて定められる。
ST18では、各単色画像での2値化処理の結果に基づき、前記有効領域から検査対象の部品の色彩が現れている領域を抽出する。さらに、この領域の重心や面積を求めることで、前記部品の位置や大きさを特定する。
【0085】
さらに、ST18では、前記部品の色彩が現れている領域の重心の座標と、検査データファイルに登録されている基準位置の座標とを用いて、部品の位置ずれを求めてもよい。この場合、図11に示すように、前記重心に対応する画素gから基準位置に対応する画素sに向かうベクトル上の各画素(g,sも含む。)について、前記画素分解能テーブルから前記ベクトルの方向に対応する分解能を読み出して、これらの累計値を位置ずれ量として特定するとよい。
たとえば、重心gと基準位置sとが図11(A)のような関係にある場合には、g,s間の各画素の右側方向の分解能(+X)と上側方向の分解能(+Y)を読み出して、方向毎に累計値を求める。また、前記g,sが図11(B)のような関係にある場合には、g,s間の各画素の左側方向の分解能(−X)と下側方向の分解能(−Y)とを読み出して、方向毎に累計値を求める。
【0086】
一連の測定処理が終了すると、ST19に進み、測定値を検査データファイル内の判定基準値と比較することにより、被検査部位の良否を判定する。
以下同様に、撮像対象領域101内のすべての検査領域について、前記ST15〜19の処理を実行すると、ST20が「YES」となる。さらにこの後は、ST21を介してST13に戻り、次の撮像対象領域102にカメラ2の視野Rを位置合わせする。そして、この新たな撮像対象領域102に含まれる検査領域に対し、上記と同様の処理を繰り返す。
【0087】
すべての撮像対象領域に対する処理が終了すると、ST21が「YES」となってST22に進み、各検査領域に対する判定結果を統合し、前記検査結果出力部16から出力する。
【0088】
上記のように、この実施例の基板検査装置では、単色画像毎に設定した位置換算テーブルおよび画素分解能テーブルに基づいて、各検査領域の設定データを補正するようにしたので、いずれの単色画像からも、被検査部位を含む適切な画像を切り出して処理することが可能になる。よって、微細な部品を検査対象とする場合でも、支障なく、画像の切り出しを行うことが可能になる。
また、この実施例では、切り出された画像をそれぞれの中心点で位置合わせして処理することにより、誤差を最小限にとどめることができる。よって、倍率色収差の影響を大幅に緩和して、測定の精度を確保し、もって検査の精度も確保することができる。
【0089】
なお、検査領域の設定データを含む各種検査データを作成および登録する処理については、従来とほぼ同様であるため、この明細書では説明を省略するが、この処理においても、必要に応じて位置換算テーブルや画素分解能テーブルを用いた処理を行うことができる。たとえば、撮像対象領域の割り付けなどのために、ユーザーが画像上で視野Rの中心点に対応させるべき点を指定した場合には、その指定された点の座標の対応点のX,Y座標を位置換算テーブルより読み出し、これらの座標に基づき基板ステージ3の移動量を決定するようにしてもよい。
【0090】
ところで、前記基板ステージ3を、平坦な支持面上で基板を支持するように構成した場合、厚みの異なる複数種の基板を処理すると、カメラ2と基板との距離が変動し、その結果、画像の分解能にばらつきが生じる。しかし、このような場合には、基板とカメラ2との間にガラス板などの光路長調整手段を配置することで、分解能のばらつきを抑えることができる。
【0091】
たとえば、基板200とカメラ2との実際の距離が100mmであるところを、95mmに調整したい場合には、図12(A)に示すように、基板200とカメラ2との間に、5mm厚のガラス板300(屈折率:1.5)を3枚挿入する。この種の媒体では、光の進行方向における媒体の厚みを屈折率で割った値が空気換算光路長となるので、15mm厚のガラスを通過させることにより、空気中であれば10mm分進行したのと同じ状態を設定できる。よって、ガラスの存在しない部分の長さ(85mm)と合わせることで、観測条件を満たす状態を設定することができる。
また、前記基板200の厚みが上記より3.3mm増えた場合には、図12(B)に示すように、前記ガラス板300を1枚にすることにより、観測条件を満たす状態を設定することができる。
【0092】
なお、このガラス板300の部分でも、図中の一点鎖線に示すように、波長によって光の屈折する方向に差異が生じるため、倍率色収差が増大することになる。しかし、その問題は、前記位置換算テーブルや画素分解能テーブルを利用することにより解決することができる。この場合、光路長の調整によって、基板200の厚みがばらついても、基板200とカメラ2との距離は一定であるとみなして、前記位置換算テーブルや画素分解能テーブルを、それぞれ各単色画像につき1つずつ作成すればよい。
【0093】
図12の例では、ガラス板300の挿入枚数を調整することによって、基板200の厚みのばらつきに容易に対応することができる。
図13は、光路長の調整手段の他の例を示す。この例では、一対のプリズム301,302をそれぞれの斜面を接触させた状態で配備し、図中の矢印に示すように、各プリズム301,302の水平方向における位置関係を調整することにより、接触部分の厚みを変更し、この厚みが変化する部分を通過する光を撮像するようにしている。
【0094】
このほか、光路長の調整手段として、ガラス容器の中に水または油を入れた構成のものを設け、その内容物の量を基板200の厚みに応じて調整できるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0095】
【図1】この発明が適用された基板検査装置のブロック図である。
【図2】検査領域の設定データの具体例を示す説明図である。
【図3】キャリブレーションワークの一例を示す説明図である。
【図4】画像上におけるドットの位置関係を示す説明図である。
【図5】位置換算テーブルのデータ構成例を示す説明図である。
【図6】画素分解能テーブルのデータ構成例を示す説明図である。
【図7】撮像対象領域の設定データの具体例を示す説明図である。
【図8】テーブル作成処理の流れを示すフローチャートである。
【図9】検査時の処理の流れを示すフローチャートである。
【図10】画像上の位置決めマークと中心点との関係を示す説明図である。
【図11】位置ずれ量の算出原理を示す説明図である。
【図12】光路長の調整処理の具体例を示す説明図である。
【図13】光路長の調整処理の具体例を示す説明図である。
【図14】従来の基板検査装置における基板支持機構を示す説明図である。
【符号の説明】
【0096】
1 コントローラ
2 カメラ
3 基板ステージ
11 制御部
13 XYステージ制御部
15 メモリ
20,21,22 部品
30,31,32 検査領域
キャリブレーションワーク 40
A,B,C,D ドットの中心点
R カメラの視野
O 中心点
【技術分野】
【0001】
この発明は、部品実装基板の製造に関わる複数の工程(たとえば、はんだ印刷工程、部品実装工程、はんだ付け工程)のいずれかを終了した基板を対象にして、この基板を撮像して得られたカラー画像を用いて所定の被検査部位を検査する方法、およびこの方法が適用された基板検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の基板検査装置として、たとえば下記の特許文献1に記載されたものがある。
【特許文献1】特許 第3622749号 公報
【0003】
この特許文献1に記載の基板検査装置は、基板ステージ(Y軸テーブル部)の上方に、カラーカメラや照明用の光源を配置したもので、さらに、コンピュータを含む制御処理部を有する。検査の際には、基板ステージに搬入された基板をカメラにより撮像し、生成されたカラー画像上に、あらかじめ設定した条件に基づく検査領域を設定して、その領域内の画像を2値化するなどして被検査部位を抽出する。さらに、抽出された被検査部位の位置や面積等を測定し、その測定値を所定の判定基準値と照合することによって、被検査部位の良否を判別する(同上特許文献の段落[0079]〜[0080]、図8参照。)。
なお、カラー画像は、一般に、R,G,Bの各色成分毎の濃淡画像により生成される(以下、これら色成分毎の濃淡画像を「単色画像」という。)。前記検査領域の設定、被検査部位の抽出および測定処理は、これら単色画像毎に行われるが、従来の各単色画像間のずれはごく微小なものであるため、同一の座標どおしを対応づけて処理するようにしている。
【0004】
なお、上記の特許文献1では、ティーチング処理において、検査領域の位置や大きさをユーザーの手操作により設定しているが、CADデータなどの基板設計データを用いて検査領域の設定条件を作成する場合もある(たとえば、下記の特許文献2)。
【0005】
【特許文献2】特許 第2697678号 公報
【0006】
さらに特許文献1,2には記載されていないが、これらの文献に記載されている基板検査装置では、検査対象となる基板の厚みのばらつきに対応するために、図14に示すような機構を用いて基板を支持するようにしている。
【0007】
図14において、2はカメラを、200は基板を、それぞれ示す。この例の基板支持機構には、昇降機構(図示せず。)を備えた一対の支持部材52と、各支持部材52の上方にそれぞれ配置された押さえ爪51が含まれる。
基板200は、各支持部材52,52により下面の両側縁部で支持されている。各支持部材52,52は、基板200を支持した状態で、この基板200の上面が押さえ爪51,51に当接する位置まで上昇する。これにより、前記基板200は、支持部材52と押さえ爪51との間に挟まれて支持されるので、基板200の厚みに関わらず、カメラ2と基板200との距離を一定にすることができる。よって、画像の分解能を安定させて、検査精度を高めることができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
実際の基板検査装置では、一般に、検査対象の基板に複数の撮像対象領域を割り付け、これらの撮像対象領域にカメラを順に位置決めして撮像を行う場合が多い。したがって、検査を効率良く行うには、カメラの視野をできるだけ広くして、撮像回数を減らすのが望ましいと考えられる。特に、近年、撮像素子が高密度化したことによって、カメラの視野を広くしても、検査に必要な分解能を確保できるようになってきているため、視野を広く設定したいという要望が強くなっている。
【0009】
しかしながら、カメラの視野を広げるために倍率の大きなレンズを使用すると、倍率色収差が大きくなる。このため、従来のように、カラー画像を構成する単色画像間で同じ座標どおしを対応づけて測定を行うと、検査の信頼度が低下する可能性がある。
【0010】
また前記図14に示したような方法で基板を支持すると、前記昇降機構52やその駆動機構などによって構成が複雑になり、コスト高になるという問題がある。一方、基板を単純に平坦面上に設置した場合には、基板の厚みのばらつきによって基板とカメラとの間の距離も変動するため、画像上の分解能を固定できなくなり、測定の精度を確保できなくなる。
【0011】
このため、カメラと基板との間にガラスなどの光路長の調整手段を設けることにより、基板の厚みによりカメラと基板との距離が変動しても、実質的な光路長が一定になるように調整する方法が検討されている。しかし、ガラスなどを挿入すると倍率色収差が大きくなってしまうので、上記したのと同様の問題が生じてしまう。
【0012】
この発明は上記の問題点に着目してなされたもので、検査領域の設定データが倍率色収差により不正確になるのを防止することによって、測定の精度を確保し、もって検査精度を安定させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この発明にかかる基板検査方法は、検査対象の基板をその上方に配置された撮像手段により撮像して前記基板のカラー画像を生成し、このカラー画像を用いて前記基板上の所定の部位に対する検査を実行するものである。検査対象の基板は、一連の工程を経て完成した部品実装基板であっても良いし、途中の所定の工程が終了した段階の基板、すなわち製造中の基板であっても良い。たとえば、製造途中の基板として、クリームはんだ印刷の後の基板や部品実装後の基板(はんだ付け前のもの)を検査対象とすることができる。
また撮像手段は、2次元のカラーカメラであるのが望ましいが、これに代えて、ラインセンサのような1次元の画像生成手段を用いてもよい。
【0014】
この発明にかかる基板検査方法では、検査に先立ち、以下の第1〜第4のステップを実行する。
まず第1ステップでは、前記撮像手段の視野サイズに応じた大きさの平面を有し、その平面に位置関係が既知の複数の特徴点が含まれるキャリブレーションワークを前記撮像手段に対して位置合わせして撮像する。キャリブレーションワークに含まれる各特徴点は、たとえば所定大きさのドットの中心点、格子状のパターンの交点などである。これらの特徴点は等間隔に配置されていても良いが、倍率色収差を考慮して、周縁部に向かうほど、特徴点間の距離が小さくなるようにしてもよい。また各特徴点は、直交する2方向に沿って配置されるのが望ましい。
【0015】
第2ステップでは、前記第1ステップの撮像により生成されたカラー画像を構成する複数の単色画像(たとえばR,G,B毎の濃淡画像)毎に、その画像上の各特徴点の間隔に応じた複数の小領域に分割して、小領域毎に分解能を求める。
たとえば近傍の4つの特徴点により正方形または長方形が形成される場合には、これら4点の組毎に小領域を設定して、画像上の領域の各辺の画素数と、実際の特徴点間の距離とにより、分解能を求めることができる。
【0016】
第3ステップでは、前記第2ステップの演算結果に基づき、位置換算テーブルおよび画素分解能テーブルを、それぞれ作成してメモリに登録する。
位置換算テーブルは、各単色画像毎に、その画像上の各画素の座標にそれぞれ前記撮像手段の視野の中心に対する当該画素の対応点の相対座標を対応づけた構成のものである。また画素分解能テーブルは、前記画像上の画素毎に、周囲近傍の画素との間の分解能をそれぞれの画素に向かう方向毎に表した構成のものである。
【0017】
「各画素の対応点」とは、撮像手段の視野に含まれる平面(この場合、キャリブレーションワークの表面)上の対応点である。位置換算テーブルには、各画素の対応点について、前記視野の中心に対する相対座標が格納されるので、この位置換算テーブルを参照することにより、各画素が撮像手段の中心に対し、どの方向にどれだけ離れているかを認識することが可能になる。
【0018】
画素分解能テーブルは、たとえば、各画素につき、それぞれ上下左右の4画素との間の分解能を記憶したものとなる。ただし、周囲8近傍の画素との間の分解能を記憶してもよい。
このように複数の方向毎にその方向に位置する画素との間の分解能を記憶するのは、倍率色収差の影響によって、画像上の分解能にばらつきが生じている可能性があるからである。
【0019】
第4ステップでは、基板上の各被検査部位に対する検査領域の設定条件として、それぞれ前記基板上における検査領域内の基準点の位置および前記検査領域の大きさを登録する。たとえば、CADデータなどの基板設計データに含まれる各被検査部位の位置や大きさに基づいて、前記基準点の位置や検査領域の大きさを、実際の基板サイズに応じた単位で表すデータを定め、登録する。
【0020】
前記基準点は、検査領域の中心点とするのが望ましいが、これに限定されるものではない。なお、基準点の位置については、後記するステップAの処理を考慮して、撮像手段の視野の中心に対する相対座標を登録するのが望ましい。
【0021】
検査領域の大きさを表すデータとしては、たとえば、基準点から検査領域の各端縁までの距離、または基準点から検査領域の各頂点までの距離など、基準点から領域の境界位置までの距離を求めるのが望ましい。
【0022】
さらに、この基板検査方法では、検査において、基板上の特定の点が前記撮像手段の視野の中心に位置するように基板と撮像手段との位置関係を調整して撮像を実行した後に、この撮像により得られたカラー画像について、第4ステップで登録された検査領域毎に、以下のA,B,C,D,Eの各ステップを実行する。
【0023】
ステップAでは、前記撮像手段の視野の中心に対する前記検査領域の基準点の位置関係に基づき、各単色画像毎の位置換算テーブルを検索して、前記位置関係に最も近い相対座標が対応づけられた画素を前記基準点として特定する。たとえば、前記第4ステップで、視野の中心に対する検査領域の基準点の相対座標(X,Y)が登録されている場合には、位置換算テーブルにおいて、この座標(X,Y)に最も近い座標が対応づけられている画素を基準点として特定する。
【0024】
ステップBでは、単色画像毎に、前記ステップAで特定された基準点を起点に検査領域の境界に向かう方向毎に、当該方向に位置する画素の当該方向に対応する分解能を画素分解能テーブルから読み出して加算し、各加算値を前記検査領域の登録された大きさと照合することにより、前記検査領域の境界位置を特定する。
【0025】
「検査領域の境界に向かう方向」は、たとえば、基準点から検査領域の端縁に向かう方向、または基準点から各検査領域の頂点に向かう方向である。
ステップBでは、第4ステップで登録された検査領域の大きさを示すデータの内容に応じて、上記の方向を選択することができる。たとえば、検査領域の大きさを示すデータとして、基準点から検査領域の各端縁までの距離が登録されている場合には、基準点から各端縁に向かう方向を選択する。この場合、たとえば、右側の端縁に向かう方向に位置する各画素については、それぞれ右側方向に対応する分解能を読み出して加算し、上端縁に向かう方向に位置する各画素については、それぞれ上側方向に対応する分解能を読み出して加算する。左側端縁に向かう方向、下端縁に向かう方向についても同様である。
また、いずれの方向についても、たとえば前記分解能の加算値が前記距離に近似する値になった時点の画素を、検査領域の境界位置としてもよいが、これに限らず、この画素より所定距離だけ基準点から離れた画素を、検査領域の境界位置としてもよい。
【0026】
ステップCでは、ステップA,Bの結果を用いて各単色画像毎に前記検査領域を設定する。ステップDでは、各単色画像からそれぞれステップCで設定された検査領域の画像を切り出し、その切り出された各画像を用いて検査のための測定処理を実行する。
ステップEでは、ステップDの測定処理結果に基づき、前記検査領域に対応する被検査部位の良否を判別する。
【0027】
倍率色収差は、画像の中心では殆ど生じないが、中心から離れるにつれて大きくなる。この発明では、位置換算テーブルを用いて、視野の中心に対する基準点の位置関係に最も近い相対座標が対応づけられた画素を基準点として特定するので、検査領域が視野の中心から離れていても、倍率色収差による分解能のばらつきの影響を受けずに、画像上における基準点の位置を適切に特定することができる。
さらに、前記基準点から検査領域の境界に向かう方向に位置する各画素につき個別に登録された分解能を用いて、検査領域の境界位置を特定するので、分解能にばらつきがあっても、登録データに適合した大きさの検査領域を設定することが可能になる。
【0028】
またこの発明では、単色画像毎に、上記ステップA,B,Cを実行するので、いずれの単色画像でも、被検査部位を含む画像を切り出すことが可能になる。よって、これらの画像により測定処理の精度を確保することができるから、被検査部位の良否についても、精度の良い判別を行うことができる。
【0029】
上記の基板検査方法の好ましい一態様では、前記撮像手段の視野の中心に位置させるべき点について、前記基板上の所定の特徴点に対する相対座標をあらかじめ登録しておき、検査時の位置調整処理において、以下のステップa,b,c,dを実行する。
なお、特徴点としては、たとえば基板の位置決めマークの中心点を使用することができる。
【0030】
ステップaでは、前記検査対象の基板を仮撮像し、ステップbでは、ステップaで生成された画像上で前記特徴点を抽出する。
ステップcでは、ステップbで抽出された特徴点の座標により少なくとも1つの単色画像に対応する位置換算テーブルを検索して、前記特徴点の座標に対応づけられた相対座標を読み出す。
【0031】
ステップdでは、基板および撮像手段の少なくとも一方を、ステップcで読み出された相対座標に基づく移動量をもって移動させることにより、前記特徴点を撮像手段の視野の中心に位置させる。さらに、基板および撮像手段の少なくとも一方を、前記あらかじめ登録された相対座標に基づく移動量をもって移動させる。
【0032】
上記の態様において、「撮像手段の視野の中心に位置させるべき点」は、たとえば、検査のために設定された撮像対象領域の中心点である。前記位置換算テーブルの構成によれば、仮撮像により生成された画像上の特徴点に対応するカメラの視野内の点の位置を、前記位置換算テーブルから読み出すことができる。この態様では、これを利用して、視野内における特徴点の位置を得ることで、この特徴点を視野の中心に合わせるのに必要な移動量を得ることができる。よって、この移動量に基づき撮像手段もしくは基板、またはこれら双方を移動させることにより、特徴点を視野の中心に合わせることができる。さらに、特徴点に対する登録された相対座標に基づき、撮像手段もしくは基板、またはこれら双方を移動させることによって、撮像手段の視野の中心を目標位置に精度良く位置合わせして、検査のための撮像を行うことができる。
【0033】
この発明にかかる基板検査装置は、検査対象の基板を支持するための基板支持手段と、前記基板支持手段により支持された基板を上方から撮像して、前記基板のカラー画像を生成する撮像手段と、前記撮像手段により生成された画像を用いて前記基板上の所定の部位に対する検査を実行する検査実行手段とを有する。
さらに検査実行手段には、第1、第2の各記憶手段、位置調整手段、画像生成手段、本処理手段、出力手段が含まれる。
【0034】
第1の記憶手段には、前記位置換算テーブルおよび画素分解能テーブルが登録される。第2の記憶手段には、各被検査部位に対する検査領域の設定条件として、それぞれ前記基板上における検査領域内の基準点の位置および前記検査領域の大きさが登録される。なお、第1の記憶手段への登録データは、前記基板検査方法の第1〜第3の各ステップの実行により行われる。また第2の記憶手段への登録は、第4ステップの実行により行われる。
【0035】
位置調整手段は、前記基板上の特定の点が前記撮像手段の視野の中心に位置するように基板と撮像手段との位置関係を調整する。画像生成手段は、前記基板支持手段が検査対象の基板を受け付けたとき、前記位置調整手段に前記調整処理を行わせた後に前記撮像手段に当該基板の撮像を行わせる。
【0036】
前記本処理手段は、前記ステップA,B,C,D,Eを、第2の記憶手段に登録された検査領域毎に実行する。出力手段は、前記本処理手段がステップEにおいて実行した判別結果に基づく検査結果情報を出力する。
【0037】
さらに好ましい態様の基板検査装置では、前記基板支持手段は、前記基板の下面全体を支持する水平な支持面を有する。また、この支持面と撮像手段との間に、前記基板の厚みに応じて光路長を調整する手段(たとえばプリズム)が設けられる。
【0038】
上記の構成によれば、基板を支持面上に支持する一方、基板の厚みのばらつきによる撮像手段と基板との距離の変化に応じて光路長を調整するので、撮像手段の分解能を安定させることができる。また光路長の調整により生じた倍率色収差についても、前記した検査方法により対応することができるので、測定の精度、検査の精度を共に安定させることができる。
【発明の効果】
【0039】
この発明によれば、倍率色収差によって単色画像間の分解能の差が大きくなったり、各単色画像における分解能のばらつきが大きくなった場合でも、あらかじめキャリブレーションワークを用いて作成、登録した2種類のテーブルを用いて、検査領域内の基準点の位置や検査領域の大きさを単色画像毎に精度良く求めることができるので、各単色画像から前記検査領域内の画像を支障なく切り出すことが可能になり、測定処理や検査の精度を確保することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0040】
図1は、この発明が適用された基板検査装置の構成を示す。
この基板検査装置は、部品実装基板の製造ライン中の部品実装工程を経た基板を処理対象として、部品の実装位置毎に検査を行うもので、コントローラ1、カメラ2、基板ステージ3、照明装置4、入力部5、モニタ6などにより構成される。
【0041】
前記カメラ2は、カラー静止画像を生成するもので、前記基板ステージ3の上方に撮像面を下方に向けた状態で固定配備される。基板ステージ3には、検査対象の基板を水平に支持するテーブル(図示せず。)や、このテーブルをX方向(基板の長さ方向)およびY方向(基板の幅方向)に移動させるための移動機構(図示せず。)が含まれる。照明装置4は、検査対象の基板を照明するためのものである。
【0042】
前記コントローラ1には、コンピュータによる制御部11のほか、画像入力部12、XYステージ制御部13、照明制御部14、メモリ15、検査結果出力部16などが設けられる。
画像入力部12には、前記カメラ2に対するインターフェース回路やA/D変換回路が含まれる。XYステージ制御部13は、前記基板ステージ3の移動制御を行うものであり、照明制御部14は、前記照明装置4の点灯・消灯動作を調整する。
【0043】
メモリ15には、検査にかかる一連の処理手順が記述されたプログラムや検査データファイルのほか、後記する距離換算テーブルや分解能テーブルなどが格納される。
検査データファイルには、部品毎に、検査領域の設定条件として領域の位置や大きさを示すデータが登録される。さらに、被検査部位を検出するための2値化しきい値、測定結果の適否判定のための判定基準値などが格納される。さらに、この実施例では、前記基板を複数の撮像対象領域に分けて撮像を行うようにしているため、検査データファイルには、各撮像対象領域の設定位置を示すデータが登録される。
【0044】
前記制御部11は、上記の設定位置を示すデータに基づき、XYステージ制御部13を介して基板ステージ3の移動を制御することにより、前記カメラ2を各撮像対象領域に順に位置合わせし、撮像する。ここで生成されたカラー画像は画像入力部12を介して制御部11に入力され、その内部のメモリ(RAM)に格納される。制御部11は、このRAMに格納されたカラー画像(以下、「処理対象画像」という。)に対し、前記検査データファイル内の検査データを用いて部品毎に検査領域を設定し、各領域において、部品の抽出処理、測定処理、および判定処理を、順次実行する。
【0045】
基板上のすべての部品に対する判定処理が終了すると、制御部11は、これらの判定結果をとりまとめて、基板の良、不良を判定する。この最終の判定結果や不良と判定された場合の不良部位に関する情報は、検査結果出力部16に与えられた後、この検査結果出力部16から図示しない外部装置に出力される。
【0046】
なお、上記構成の基板検査装置は、部品実装工程後の基板のほか、はんだ印刷工程後の基板や、リフロー炉によるはんだ付け工程を経た基板を検査対象とすることもできる。
【0047】
この実施例では、各検査領域の設定条件をCADデータを用いて作成するようにしている。図2は、所定の撮像対象領域100における検査領域の設定例を示す。
この図の撮像対象領域100には、3つの部品20,21,22が含まれている。各部品20,21,22には、それぞれその部品を包含する大きさの検査領域30,31,32が設定されている。
【0048】
図2では、部品20の検査領域30を例に、検査領域の設定データを示すが、その他の検査領域31,32についても、同様の設定データが登録される。
検査領域30の設定データには、この領域30の位置を表すデータと領域30の大きさを表すデータとが含まれる。この実施例では、検査領域30の位置として、前記撮像対象領域100の中心点Oに対する領域30の中心点Pの相対座標(kX,kY)を登録する。また、検査領域30の大きさを示すデータとして、前記中心点Pから領域の右側側縁までの距離uXと、前記中心点Pから領域30の上端縁までの距離uYとが登録される。
なお、上記の設定データは、CADデータを用いた演算により求められるので、kX,kY,uX,uYは、いずれも、実際の基板上の該当箇所のサイズに応じた値(単位はμm)になる。
【0049】
従来の基板検査装置では、上記の設定データを、画像の論理上の分解能に応じて画像上の座標に変換し、その変換後の設定データを用いて検査領域を設定するようにしている。
しかし、基板からの反射光がカメラのレンズを通過する際に倍率色収差が生じるので、R,G,Bの各単色画像間の分解能に有為な差が生じる可能性がある。また、いずれの単色画像でも、画像の中心点から遠ざかるにつれて、収差が大きくなるので、画像の分解能は一律にならないと考えられる。
【0050】
特に、検査の効率化のためにカメラの視野サイズを大きくした場合には、倍率色収差が大きくなるので、それぞれの単色画像における分解能のばらつき、単色画像間における分解能の差の双方ともに増大する。このため、従来のように論理上の分解能に基づいて検査領域の設定データを調整したのでは、実際の画像上の被検査部位に適切な検査領域を設定できなくなり、測定や検査の精度を確保できなくなる可能性がある。
【0051】
そこで、この実施例では、以下に説明する要領で、R,G,Bの単色画像毎に、位置換算テーブルおよび画素分解能テーブルを作成し、これらのテーブルを用いて、単色画像毎に前記検査領域の設定データを変換するようにしている。
【0052】
前記2種類のテーブルは、図3に示すようなキャリブレーションワーク40を撮像することにより生成されたカラー画像を、R,G,Bの各単色画像毎に処理することによって作成される。
【0053】
このキャリブレーションワーク40は、基板と同等の厚みを有する平板状のワークの表面に、複数のドット41を、等間隔(この実施例では1mm)で印刷した構成のものである。この実施例では、所定位置のドット41がカメラ2の視野の中心に位置するように、キャリブレーションワーク40を位置合わせしてから、撮像を行うようにしている。
【0054】
図4は、画像上における各ドット41の位置関係の具体例を示す。図中、点Aは、前記視野の中心に合わせられたドット41の中心点であり、その右隣、左隣、および右斜め上の各ドット41の中心点を、それぞれB,C,Dとしている。
【0055】
この実施例では、画像上に、中心点(点Aの位置)を原点として、水平方向をx軸、垂直方向をy軸とする座標系を設定し、各画素のx,y座標を、それぞれ原点からの画素数により表すようにしている。以下、このxy座標系を「画像座標系」という。
【0056】
この例では、点Bの座標は(90,0)、点Cの座標は(0,90)、点Dの座標は(90,90)となっている。すなわち、A−B、A−C、B−D、C−Dの各点間の長さ1mmは、いずれも90ピクセルで表されているから、これら4点による正方形領域内に含まれる各画素の分解能は、約11.1μmであると考えられる。
この実施例では、その他のドット41についても同様に、各ドット41の画像上の中心点を求めた上で、隣り合う4つのドット41による1mm四方の正方形毎にその正方形に対応する領域における分解能を算出している。前記位置換算テーブルおよび画素分解能テーブルは、この算出結果を用いて作成される。
【0057】
なお、倍率色収差の影響により、画像上の分解能は実際には均一にはならないので、上記4つのドット41による領域は正方形や長方形にならない可能性がある。したがって、4点による領域に代えて、1つのドット、およびこのドットに隣り合う2つのドットに対応する3点による三角形領域(図4の場合であれば、三角形ABCおよびDBC)毎に分解能を求めてもよい。
【0058】
位置換算テーブルは、画像上の各画素が、カメラ2の視野のどの位置に対応するかを示すものである。具体的には、各画素の対応点について、それぞれ前記カメラ2の視野の中心点に対する相対座標が格納される。
【0059】
図5は、前記図4に示した4点の位置関係に基づく位置換算テーブルを、画像の中心点を含む局所領域内のデータ構成に限定して示したものである。
図中、個々の矩形枠はそれぞれ1つの画素に対応し、各枠内に、それぞれその画素の対応点の位置データが格納されている。
【0060】
またこの図5では、前記画像座標系のx,y軸をテーブル上の画素配列に対応づけて配置するとともに、それぞれの軸に沿って、各画素のx座標およびy座標を示す数値(−1,0,1,2)を示している。一方、カメラ2の視野については、中心点を原点として、水平方向をX軸、垂直方向をY軸とする座標系(以下、これを「実座標系」という。)を設定している。この実座標系のX,Y軸は、それぞれ画像座標系のx,y軸に対応するが、その座標は、原点からの実際の距離(単位:μm)を表すものとなる。
【0061】
図中の網点を付した枠は、前記点Aに相当する画素、すなわち画像の中心点である。さらに言い換えれば、この画素は、画像座標系の原点であり、実座標系の原点に対応する。
前記図4によれば、点A,B,C,Dにより構成される正方形領域内の分解能は、x,yの各軸とも11,1μm/ピクセルとなる。図5では、各画素の実座標系の対応点が、この分解能に相当する間隔をもって位置するものとして、各画素の分解能を前記原点を起点にして順に加算することにより、各画素の対応点のX座標およびY座標を定めている。
この方法によれば、たとえば、画像座標系の座標が(2,1)の位置にある画素の対応点は、(22.2,11.1)となる。すなわち、この対応点は、視野の中心点からX軸の正方向に22.2μm、y軸の正方向に11.1μm、それぞれ離れた位置にあることになる。
【0062】
なお、図5に示した範囲より外側の画素についても、前記1mm四方の正方形領域を用いて分解能を求め、これを順に加算していくことにより、対応点のX,Y座標を求めることができる。
倍率色収差は画像の中心から離れるほど大きくなるので、分解能を示す数値も原点から遠ざかるほど大きくなると考えられる。しかし、この実施例では、上記のように画像を細かい単位に分けて分解能を求めているので、各対応点の座標を精度良く求めることが可能になる。
【0063】
もう一方の画素分解能テーブルは、各画素につき、それぞれその画素の上下左右の4画素との間の分解能を示すものである。図6は、画素分解能テーブルの構成を、原点を含む局所領域に限定して示している。この図でも、前記画像座標系および実座標系の各軸を画素の配列方向に合わせて配置し、原点に対応する枠に網点を付してある。
【0064】
図6において、+Xは右隣の画素との間の分解能を、−Xは左隣の画素との間の分解能を、+Yは1つ上の画素との間の分解能を、−Yは1つ下の画素の分解能との間の分解能を、それぞれ示す。なお、このテーブルのデータは、前記位置換算テーブルに設定された各画素間のX,Y座標の差を求めることにより得たものである。
【0065】
前記図2に示した撮像対象領域100は、カメラ2の視野と同じサイズであるから、中心点Oを原点として、実座標系の座標を適用することができる。
したがって、たとえば前記検査領域30の設定データを画像座標系のデータに変換する場合には、前記中心点Pの位置を示すデータkX,kYにより前記位置変換テーブルを検索し、(kX,kY)に最も近い座標が対応づけられている画素を抽出し、この画素を前記検査領域の中心点とする。さらに、前記中心点とした画素を起点に、画素分解能テーブルのデータを上下左右の各方向に沿ってそれぞれ1つずつ読み出しながら当該方向に対応するデータを累計し、それぞれの累計値がuX,−uX,uY,−uYに最も近くなったときの画素を、検査領域の境界位置とする。
【0066】
このような方法により、画像における分解能のばらつきが大きくなっていても、被検査部位の位置や大きさに応じた検査領域を設定して、検査に必要な画像を切り出すことが可能になる。またこの処理は、R,G,Bの単色画像毎に専用のテーブルを用いて行われるので、単色画像間の分解能の差が大きくなっても、いずれの単色画像にも、被検査部位に適合した検査領域を設定することができる。
【0067】
なお、上記変換後の設定データにより検査領域を正しく設定するには、基板に割り付けられた撮像対象領域の中心点と前記カメラの視野の中心点とが位置合わせされていることが条件となる。この点において、この実施例では、まず基板の角部の位置決めマークが視野の中心に位置するように調整した上で、前記撮像対象領域の設定データに基づく量だけ基板ステージ2を移動させることにより、撮像対象領域の中心点をカメラの視野の中心点に一致させている。
【0068】
図7は、撮像対象領域の設定データの具体例を示す。
この図では、検査対象の基板200に対し、2つの撮像対象領域101,102が設定されているものとする。各撮像対象領域101,102の設定位置として、それぞれ左下角部の位置決めマーク201に対する中心点O1,O2の相対座標(LX1,LY1)(LX2,LY2)が設定される。
【0069】
検査開始時には、カメラ2の視野Rは、その中心点が位置決めマーク201の中心点に合う位置に設定される。この状態から、視野RをX軸方向にLX1、Y軸方向にLY1移動させることによって、検査領域101の中心点O1に前記視野Rの中心点を合わせることができる。さらに、この撮像対象領域102と撮像対象領域101との座標の差(LX2−LX1,LY2−LY1)に応じた量だけ視野Rを移動させることによって、2番目の撮像対象領域102の中心点O1に前記視野Rの中心点を合わせることができる。
なお、この実施例では、カメラ2を固定して基板ステージ3を移動させているから、前記基板ステージ3を、前記視野Rの移動方向と反対方向に移動させることによって、上記の位置決め処理を行うことができる。
【0070】
図8は、前記キャリブレーションワーク40を用いて前記2種類のテーブルを作成する処理の流れを示す。なお、この図8およびつぎの図9において、「ST」はSTEP(ステップ)の略である。また、各図の二重枠で表す処理は、R,G,Bの各単色画像毎に実行されるものである。
【0071】
まずST1では、ユーザーにより、前記キャリブレーションワーク40が基板ステージ3に位置決めされる。ユーザーが位置決め後に開始操作を行うと、ST2に進み、前記カメラ2による撮像が行われる。
【0072】
以下のST3〜6は、R,G,Bの単色画像毎に実行される。まずST3では、前記単色画像から各ドット41の中心点を抽出する処理を実行する。たとえば、前記画像を微分処理してエッジ画素を抽出し、抽出された各エッジ画素にそれぞれ濃度勾配方向に沿う直線を設定し、エッジ画素毎の直線が交わる点を中心点として抽出する(詳細については、下記の特許文献3を参照されたい。)。
【0073】
【特許文献3】特許 第3548748号 公報
【0074】
ST3の処理が終了すると、つぎのST4では、前記画像上で抽出された各点を、前記1mm四方の正方形に対応する4点毎に組み合わせ、各組毎に、その組にかかる4点により特定される小領域の分解能を算出する。ST5では、ST4の算出結果を用いて、画素毎に、その画素の実座標系での対応点のX,Y座標を求める。さらに、これらのX,Y座標と各画素の画像座標系における座標とを対応づけたテーブルを作成し、これを前記位置換算テーブルとしてメモリ15に登録する。
【0075】
ST6では、各画素について、それぞれ左右および上下の画素との間で前記位置換算テーブルに格納されたX座標およびY座標の差を求める。そして、これらの差の値を前記画素の座標に対応づけたテーブルを作成し、これを画素分解能テーブルとしてメモリ15に登録する。
【0076】
図9は、検査の際の手順を示す。なお、この処理では、最初のステップをST11として、前記図7に示した基板200を検査する場合を例に、検査の流れを説明する。
【0077】
ST11では、検査対象の基板200を基板ステージ3に搬入する。なお、この搬入時には、位置決めマーク201がカメラ2の視野R内に含まれるように、基板200とカメラ2との位置関係が調整されているが、位置決めマーク201は必ずしも視野Rの中心点の位置にあるとは限らない。このため、つぎのST12では、前記位置決めマーク201が視野Rの中心点に位置合わせされるようにに、カメラ2と基板200との位置関係を調整する。
【0078】
具体的には、搬入された基板200を仮撮像し、生成された画像上で前記位置決めマーク201の中心点の座標を抽出する。さらに、抽出された座標に対応するX,Y座標を前記位置換算テーブルから読み出し、この座標に応じた距離だけ基板ステージ3を移動させる。
【0079】
図10は、前記位置決めマーク201の画像上の位置を表す点v(x0,y0)と画像の中心点qとの関係を示す。ST12では、前記位置換算テーブルから座標(x0,y0)の対応点のX,Y座標を読み出す。このX,Y座標は、実際の位置決めマーク201が視野Rの中心点(実座標系の原点)に対し、X,Yの各方向においてどれだけ離れているかを示すものである。したがって、これらX,Y座標が示す距離だけ基板ステージ3を移動させることにより、図中の矢印に示すように、前記位置決めマーク201を視野Rの中心点に合わせることが可能になる。よって、画像上の点vも中心点qに位置合わせされる。
【0080】
なお、位置換算テーブルは単色画像毎に設定されるので、前記実座標の抽出もテーブル毎に行って、それらの平均値に基づいて基板ステージの移動量を決定してもよい。ただし、これに限らず、いずれか1つの位置換算テーブルを使用してもよい。たとえば、屈折率が最も大きい波長に対応する単色画像の位置換算テーブルを使用してもよい。
【0081】
図9に戻って、ST12の処理が終了すると、つぎのST13では基板200に対し、カメラ2の視野RがX軸方向にLX1,Y軸方向にLY1、それぞれ移動するように基板ステージ3を動かす。これにより、カメラ2の視野Rは、前記撮像対象領域101に位置合わせされる。つぎのST14では、その位置合わせ状態を維持して撮像を行う。
【0082】
ST15では、前記撮像対象領域101に含まれる所定の検査領域について、前記各単色画像の位置換算テーブルおよび画素分解能テーブルを用いて、検査領域の設定データを単色画像毎に変換する。ST16では、前記ST14の撮像処理により生成された各単色画像につき、それぞれ変換後の設定データに基づく検査領域を設定して、その領域内の画像を切り出す。
【0083】
なお、R,G,Bの各単色画像から切り出された画像の大きさは、それぞれ異なるものと考えられるが、この実施例では、これら切り出し画像をそれぞれの中心点で位置合わせして、3つの画像が重なる領域を有効領域として使用する。各切り出し画像の中心点は、いずれも検査領域の中心点に対応しているので、これらの点を基準に各画素を対応づけることで、位置合わせの誤差を少なくできるからである。また各単色画像間における分解能の差が数μm程度であれば、画像の周縁部から数画素程度の範囲に被検査部位が含まれる可能性はきわめて小さいから、その範囲が有効領域に含まれなくとも特段の問題は生じないと考えられる。
【0084】
ST17では、各切り出し画像の有効領域をそれぞれ所定のしきい値により2値化する。なお、ここで使用されるしきい値は、被検査部位(この実施例では部品)の色彩に応じて定められる。
ST18では、各単色画像での2値化処理の結果に基づき、前記有効領域から検査対象の部品の色彩が現れている領域を抽出する。さらに、この領域の重心や面積を求めることで、前記部品の位置や大きさを特定する。
【0085】
さらに、ST18では、前記部品の色彩が現れている領域の重心の座標と、検査データファイルに登録されている基準位置の座標とを用いて、部品の位置ずれを求めてもよい。この場合、図11に示すように、前記重心に対応する画素gから基準位置に対応する画素sに向かうベクトル上の各画素(g,sも含む。)について、前記画素分解能テーブルから前記ベクトルの方向に対応する分解能を読み出して、これらの累計値を位置ずれ量として特定するとよい。
たとえば、重心gと基準位置sとが図11(A)のような関係にある場合には、g,s間の各画素の右側方向の分解能(+X)と上側方向の分解能(+Y)を読み出して、方向毎に累計値を求める。また、前記g,sが図11(B)のような関係にある場合には、g,s間の各画素の左側方向の分解能(−X)と下側方向の分解能(−Y)とを読み出して、方向毎に累計値を求める。
【0086】
一連の測定処理が終了すると、ST19に進み、測定値を検査データファイル内の判定基準値と比較することにより、被検査部位の良否を判定する。
以下同様に、撮像対象領域101内のすべての検査領域について、前記ST15〜19の処理を実行すると、ST20が「YES」となる。さらにこの後は、ST21を介してST13に戻り、次の撮像対象領域102にカメラ2の視野Rを位置合わせする。そして、この新たな撮像対象領域102に含まれる検査領域に対し、上記と同様の処理を繰り返す。
【0087】
すべての撮像対象領域に対する処理が終了すると、ST21が「YES」となってST22に進み、各検査領域に対する判定結果を統合し、前記検査結果出力部16から出力する。
【0088】
上記のように、この実施例の基板検査装置では、単色画像毎に設定した位置換算テーブルおよび画素分解能テーブルに基づいて、各検査領域の設定データを補正するようにしたので、いずれの単色画像からも、被検査部位を含む適切な画像を切り出して処理することが可能になる。よって、微細な部品を検査対象とする場合でも、支障なく、画像の切り出しを行うことが可能になる。
また、この実施例では、切り出された画像をそれぞれの中心点で位置合わせして処理することにより、誤差を最小限にとどめることができる。よって、倍率色収差の影響を大幅に緩和して、測定の精度を確保し、もって検査の精度も確保することができる。
【0089】
なお、検査領域の設定データを含む各種検査データを作成および登録する処理については、従来とほぼ同様であるため、この明細書では説明を省略するが、この処理においても、必要に応じて位置換算テーブルや画素分解能テーブルを用いた処理を行うことができる。たとえば、撮像対象領域の割り付けなどのために、ユーザーが画像上で視野Rの中心点に対応させるべき点を指定した場合には、その指定された点の座標の対応点のX,Y座標を位置換算テーブルより読み出し、これらの座標に基づき基板ステージ3の移動量を決定するようにしてもよい。
【0090】
ところで、前記基板ステージ3を、平坦な支持面上で基板を支持するように構成した場合、厚みの異なる複数種の基板を処理すると、カメラ2と基板との距離が変動し、その結果、画像の分解能にばらつきが生じる。しかし、このような場合には、基板とカメラ2との間にガラス板などの光路長調整手段を配置することで、分解能のばらつきを抑えることができる。
【0091】
たとえば、基板200とカメラ2との実際の距離が100mmであるところを、95mmに調整したい場合には、図12(A)に示すように、基板200とカメラ2との間に、5mm厚のガラス板300(屈折率:1.5)を3枚挿入する。この種の媒体では、光の進行方向における媒体の厚みを屈折率で割った値が空気換算光路長となるので、15mm厚のガラスを通過させることにより、空気中であれば10mm分進行したのと同じ状態を設定できる。よって、ガラスの存在しない部分の長さ(85mm)と合わせることで、観測条件を満たす状態を設定することができる。
また、前記基板200の厚みが上記より3.3mm増えた場合には、図12(B)に示すように、前記ガラス板300を1枚にすることにより、観測条件を満たす状態を設定することができる。
【0092】
なお、このガラス板300の部分でも、図中の一点鎖線に示すように、波長によって光の屈折する方向に差異が生じるため、倍率色収差が増大することになる。しかし、その問題は、前記位置換算テーブルや画素分解能テーブルを利用することにより解決することができる。この場合、光路長の調整によって、基板200の厚みがばらついても、基板200とカメラ2との距離は一定であるとみなして、前記位置換算テーブルや画素分解能テーブルを、それぞれ各単色画像につき1つずつ作成すればよい。
【0093】
図12の例では、ガラス板300の挿入枚数を調整することによって、基板200の厚みのばらつきに容易に対応することができる。
図13は、光路長の調整手段の他の例を示す。この例では、一対のプリズム301,302をそれぞれの斜面を接触させた状態で配備し、図中の矢印に示すように、各プリズム301,302の水平方向における位置関係を調整することにより、接触部分の厚みを変更し、この厚みが変化する部分を通過する光を撮像するようにしている。
【0094】
このほか、光路長の調整手段として、ガラス容器の中に水または油を入れた構成のものを設け、その内容物の量を基板200の厚みに応じて調整できるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0095】
【図1】この発明が適用された基板検査装置のブロック図である。
【図2】検査領域の設定データの具体例を示す説明図である。
【図3】キャリブレーションワークの一例を示す説明図である。
【図4】画像上におけるドットの位置関係を示す説明図である。
【図5】位置換算テーブルのデータ構成例を示す説明図である。
【図6】画素分解能テーブルのデータ構成例を示す説明図である。
【図7】撮像対象領域の設定データの具体例を示す説明図である。
【図8】テーブル作成処理の流れを示すフローチャートである。
【図9】検査時の処理の流れを示すフローチャートである。
【図10】画像上の位置決めマークと中心点との関係を示す説明図である。
【図11】位置ずれ量の算出原理を示す説明図である。
【図12】光路長の調整処理の具体例を示す説明図である。
【図13】光路長の調整処理の具体例を示す説明図である。
【図14】従来の基板検査装置における基板支持機構を示す説明図である。
【符号の説明】
【0096】
1 コントローラ
2 カメラ
3 基板ステージ
11 制御部
13 XYステージ制御部
15 メモリ
20,21,22 部品
30,31,32 検査領域
キャリブレーションワーク 40
A,B,C,D ドットの中心点
R カメラの視野
O 中心点
【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査対象の基板をその上方に配置された撮像手段により撮像して前記基板のカラー画像を生成し、このカラー画像を用いて前記基板上の所定の部位に対する検査を実行する方法において、
前記撮像手段の視野サイズに応じた大きさの平面を有し、その平面に位置関係が既知の複数の特徴点が含まれるキャリブレーションワークを前記撮像手段に対して位置合わせして撮像を行う第1ステップ;前記第1ステップの撮像により生成されたカラー画像を構成する複数の単色画像毎に、その画像を各特徴点の間隔に応じた複数の小領域に分割して、小領域毎に分解能を求める第2ステップ;前記第2ステップの演算結果に基づき、各単色画像毎に、その画像上の各画素の座標にそれぞれ前記撮像手段の視野の中心に対する当該画素の対応点の相対座標を対応づけた位置換算テーブルと、前記画像上の画素毎に、周囲近傍の画素との間の分解能をそれぞれの画素に向かう方向毎に表した画素分解能テーブルとを、それぞれ作成してメモリに登録する第3ステップ;基板上の各被検査部位に対する検査領域の設定条件として、それぞれ前記基板上における検査領域内の基準点の位置および前記検査領域の大きさを登録する第4ステップ;の各ステップを、あらかじめ実行し、
前記検査において、基板上の特定の点が前記撮像手段の視野の中心に位置するように基板と撮像手段との位置関係を調整して撮像を実行し、この撮像により得られたカラー画像について、前記第4ステップで登録された検査領域毎に、ステップA,B,C,D,Eを実行し、
ステップAでは、前記撮像手段の視野の中心に対する前記検査領域の基準点の位置関係に基づき、各単色画像毎の位置換算テーブルを検索して、前記位置関係に最も近い相対座標が対応づけられた画素を前記基準点として特定し、
ステップBでは、単色画像毎に、前記ステップAで特定された基準点を起点に検査領域の境界に向かう方向毎に、当該方向に位置する画素の当該方向に対応する分解能を画素分解能テーブルから読み出して加算し、各加算値を前記検査領域の登録された大きさと照合することにより、前記検査領域の境界位置を特定し、
ステップCでは、前記ステップA,Bの結果を用いて各単色画像毎に前記検査領域を設定し、
ステップDでは、各単色画像からそれぞれステップCで設定された検査領域の画像を切り出し、その切り出された画像を用いて検査のための測定処理を実行し、
ステップEでは、前記ステップDの測定処理結果に基づき、前記検査領域に対応する被検査部位の良否を判別する基板検査方法。
【請求項2】
請求項1に記載された基板検査方法において、
前記撮像手段の視野の中心に位置させるべき点について、前記基板上の所定の特徴点に対する相対座標をあらかじめ登録しておき、
前記検査時の位置調整処理では、前記検査対象の基板を仮撮像するステップa;ステップaで生成された画像上で前記特徴点を抽出するステップb;ステップbで抽出された特徴点の座標により少なくとも1つの単色画像に対応する位置換算テーブルを検索して、前記特徴点の座標に対応づけられた相対座標を読み出すステップc;基板および撮像手段の少なくとも一方を前記ステップcで読み出された相対座標に基づく移動量をもって移動させることにより、前記特徴点を撮像手段の視野の中心に位置させた後、さらに基板および撮像手段の少なくとも一方を、前記あらかじめ登録された相対座標に基づく移動量をもって移動させるステップd;の各ステップを実行する基板検査方法。
【請求項3】
検査対象の基板を支持するための基板支持手段と、前記基板支持手段により支持された基板を上方から撮像して、前記基板のカラー画像を生成する撮像手段と、前記撮像手段により生成された画像を用いて、前記基板上の所定の部位に対する検査を実行する検査実行手段とを有する装置において、
前記検査実行手段には、
前記カラー画像を構成する複数の単色画像毎に、その画像上の各画素の座標に、それぞれ前記撮像手段の視野の中心に対する当該画素の対応点の相対座標を対応づけた位置換算テーブルと、前記画像上の画素毎に、周囲近傍の画素との間の分解能をそれぞれの画素に向かう方向毎に表した画素分解能テーブルとが登録された第1の記憶手段と、
前記基板上の各被検査部位に対する検査領域の設定条件として、それぞれ前記基板上における検査領域内の基準点の位置および前記検査領域の大きさが登録された第2の記憶手段と、
前記基板上の特定の点が前記撮像手段の視野の中心に位置するように基板と撮像手段との位置関係を調整する位置調整手段と、
前記基板支持手段が検査対象の基板を受け付けたとき、前記位置調整手段に前記調整処理を行わせた後に前記撮像手段に当該基板の撮像を行わせる画像生成手段と、
前記第2の記憶手段に登録された検査領域毎に、前記撮像手段の視野の中心に対する当該領域の基準点の位置関係に基づき、各単色画像毎の位置換算テーブルを検索して、前記相対位置関係に最も近い相対座標が対応づけられた画素を前記基準点として特定するステップA;前記単色画像毎に、前記ステップAで特定された基準点を起点に検査領域の境界に向かう方向毎に、それぞれ当該方向に位置する画素の当該方向に対応する分解能を画素分解能テーブルから読み出して加算し、各加算値を前記検査領域の登録された大きさと照合することにより、前記検査領域の境界位置を特定するステップB;前記ステップA,Bの結果を用いて各単色画像毎に前記検査領域を設定するステップC;各単色画像からそれぞれステップCで設定された検査領域の画像を切り出し、その切り出された画像を用いて検査のための測定処理を実行するステップD;前記ステップDの測定処理結果に基づき、前記検査領域に対応する被検査部位の良否を判別するステップE;の各ステップを実行する本処理手段と、
前記本処理手段がステップEにおいて実行した判別結果に基づく検査結果情報を出力する出力手段とが、含まれている基板検査装置。
【請求項4】
前記基板支持手段は、前記基板の下面全体を支持する水平な支持面を有し、この支持面と撮像手段との間に、前記基板の厚みに応じて光路長を調整する手段が設けられる請求項3に記載された基板検査装置。
【請求項1】
検査対象の基板をその上方に配置された撮像手段により撮像して前記基板のカラー画像を生成し、このカラー画像を用いて前記基板上の所定の部位に対する検査を実行する方法において、
前記撮像手段の視野サイズに応じた大きさの平面を有し、その平面に位置関係が既知の複数の特徴点が含まれるキャリブレーションワークを前記撮像手段に対して位置合わせして撮像を行う第1ステップ;前記第1ステップの撮像により生成されたカラー画像を構成する複数の単色画像毎に、その画像を各特徴点の間隔に応じた複数の小領域に分割して、小領域毎に分解能を求める第2ステップ;前記第2ステップの演算結果に基づき、各単色画像毎に、その画像上の各画素の座標にそれぞれ前記撮像手段の視野の中心に対する当該画素の対応点の相対座標を対応づけた位置換算テーブルと、前記画像上の画素毎に、周囲近傍の画素との間の分解能をそれぞれの画素に向かう方向毎に表した画素分解能テーブルとを、それぞれ作成してメモリに登録する第3ステップ;基板上の各被検査部位に対する検査領域の設定条件として、それぞれ前記基板上における検査領域内の基準点の位置および前記検査領域の大きさを登録する第4ステップ;の各ステップを、あらかじめ実行し、
前記検査において、基板上の特定の点が前記撮像手段の視野の中心に位置するように基板と撮像手段との位置関係を調整して撮像を実行し、この撮像により得られたカラー画像について、前記第4ステップで登録された検査領域毎に、ステップA,B,C,D,Eを実行し、
ステップAでは、前記撮像手段の視野の中心に対する前記検査領域の基準点の位置関係に基づき、各単色画像毎の位置換算テーブルを検索して、前記位置関係に最も近い相対座標が対応づけられた画素を前記基準点として特定し、
ステップBでは、単色画像毎に、前記ステップAで特定された基準点を起点に検査領域の境界に向かう方向毎に、当該方向に位置する画素の当該方向に対応する分解能を画素分解能テーブルから読み出して加算し、各加算値を前記検査領域の登録された大きさと照合することにより、前記検査領域の境界位置を特定し、
ステップCでは、前記ステップA,Bの結果を用いて各単色画像毎に前記検査領域を設定し、
ステップDでは、各単色画像からそれぞれステップCで設定された検査領域の画像を切り出し、その切り出された画像を用いて検査のための測定処理を実行し、
ステップEでは、前記ステップDの測定処理結果に基づき、前記検査領域に対応する被検査部位の良否を判別する基板検査方法。
【請求項2】
請求項1に記載された基板検査方法において、
前記撮像手段の視野の中心に位置させるべき点について、前記基板上の所定の特徴点に対する相対座標をあらかじめ登録しておき、
前記検査時の位置調整処理では、前記検査対象の基板を仮撮像するステップa;ステップaで生成された画像上で前記特徴点を抽出するステップb;ステップbで抽出された特徴点の座標により少なくとも1つの単色画像に対応する位置換算テーブルを検索して、前記特徴点の座標に対応づけられた相対座標を読み出すステップc;基板および撮像手段の少なくとも一方を前記ステップcで読み出された相対座標に基づく移動量をもって移動させることにより、前記特徴点を撮像手段の視野の中心に位置させた後、さらに基板および撮像手段の少なくとも一方を、前記あらかじめ登録された相対座標に基づく移動量をもって移動させるステップd;の各ステップを実行する基板検査方法。
【請求項3】
検査対象の基板を支持するための基板支持手段と、前記基板支持手段により支持された基板を上方から撮像して、前記基板のカラー画像を生成する撮像手段と、前記撮像手段により生成された画像を用いて、前記基板上の所定の部位に対する検査を実行する検査実行手段とを有する装置において、
前記検査実行手段には、
前記カラー画像を構成する複数の単色画像毎に、その画像上の各画素の座標に、それぞれ前記撮像手段の視野の中心に対する当該画素の対応点の相対座標を対応づけた位置換算テーブルと、前記画像上の画素毎に、周囲近傍の画素との間の分解能をそれぞれの画素に向かう方向毎に表した画素分解能テーブルとが登録された第1の記憶手段と、
前記基板上の各被検査部位に対する検査領域の設定条件として、それぞれ前記基板上における検査領域内の基準点の位置および前記検査領域の大きさが登録された第2の記憶手段と、
前記基板上の特定の点が前記撮像手段の視野の中心に位置するように基板と撮像手段との位置関係を調整する位置調整手段と、
前記基板支持手段が検査対象の基板を受け付けたとき、前記位置調整手段に前記調整処理を行わせた後に前記撮像手段に当該基板の撮像を行わせる画像生成手段と、
前記第2の記憶手段に登録された検査領域毎に、前記撮像手段の視野の中心に対する当該領域の基準点の位置関係に基づき、各単色画像毎の位置換算テーブルを検索して、前記相対位置関係に最も近い相対座標が対応づけられた画素を前記基準点として特定するステップA;前記単色画像毎に、前記ステップAで特定された基準点を起点に検査領域の境界に向かう方向毎に、それぞれ当該方向に位置する画素の当該方向に対応する分解能を画素分解能テーブルから読み出して加算し、各加算値を前記検査領域の登録された大きさと照合することにより、前記検査領域の境界位置を特定するステップB;前記ステップA,Bの結果を用いて各単色画像毎に前記検査領域を設定するステップC;各単色画像からそれぞれステップCで設定された検査領域の画像を切り出し、その切り出された画像を用いて検査のための測定処理を実行するステップD;前記ステップDの測定処理結果に基づき、前記検査領域に対応する被検査部位の良否を判別するステップE;の各ステップを実行する本処理手段と、
前記本処理手段がステップEにおいて実行した判別結果に基づく検査結果情報を出力する出力手段とが、含まれている基板検査装置。
【請求項4】
前記基板支持手段は、前記基板の下面全体を支持する水平な支持面を有し、この支持面と撮像手段との間に、前記基板の厚みに応じて光路長を調整する手段が設けられる請求項3に記載された基板検査装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2007−198773(P2007−198773A)
【公開日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−14792(P2006−14792)
【出願日】平成18年1月24日(2006.1.24)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年1月24日(2006.1.24)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【Fターム(参考)】
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