説明

基板洗浄方法および基板洗浄装置

【課題】基板を帯電し難いものにすることができ、かつ、基板の表面を洗浄することができる基板洗浄方法および基板洗浄装置を提供する。
【解決手段】搬送手段3により搬送される基板Aに対して、大気圧プラズマ処理手段1により、その基板Aの表面を洗浄するとともに難帯電化し、その後、ドライアイス粒子噴射手段2により、その基板Aの表面にドライアイス粒子を噴射させ、その基板Aの表面を洗浄する。大気圧プラズマ処理およびドライアイス粒子噴射は、チャンバー4内で行われる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶ディスプレイ用ガラス基板,ウエハ,半導体部品搭載用プリント基板等の基板を洗浄する基板洗浄方法および基板洗浄装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、液晶ディスプレイ等の製品に組み付けられるガラス基板等の基板の表面には、通常、その基板の製造工程や搬送工程等において、油脂等の有機物系異物および金属酸化物や塵埃等の無機物系異物が付着する。そこで、上記基板は、製品への組み付けに先立って、洗浄され、上記有機物系異物および無機物系異物が除去される。その有機物系異物を除去する方法としては、紫外線を照射する方法が提案されている(特許文献1参照)。また、無機物系異物を除去する方法としては、ドライアイスを噴射する方法が提案されている(特許文献2参照)。さらに、上記紫外線照射とドライアイス噴射とを同時に行う方法も提案されている(特許文献3参照)。
【0003】
ところで、塵埃等の無機物系異物を除去するために、ドライアイス噴射を行うと、ドライアイス粒子と基板との摩擦により、基板が帯電する。基板が上記液晶ディスプレイ等の製品に組み付けられるまでに帯電すると、その帯電により基板に塵埃が付着し、製品に悪影響を及ぼすおそれがある。そこで、上記ドライアイス噴射を行う場合は、その後、除電装置等を用いて除電が行われる。
【特許文献1】特開平3−101223号公報
【特許文献2】特開平3−116832号公報
【特許文献3】特開平6−349802号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記除電は、基板の帯電性を抑制するものではないため、その除電後の搬送作業や組み付け作業等の作業により、基板が再度帯電するという問題が発生する。すなわち、基板の表面においては、帯電による塵埃の付着を充分に抑制することはできず、洗浄状態を保持することが困難になっている。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、基板を帯電し難いものにすることができ、かつ、基板の表面を洗浄することができる基板洗浄方法および基板洗浄装置の提供をその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するため、本発明は、大気圧プラズマにより基板の表面を洗浄するとともに難帯電化した後、ドライアイス粒子を基板の表面に衝突させることにより基板の表面を洗浄する基板洗浄方法を第1の要旨とする。
【0007】
また、本発明は、大気圧プラズマを発生させ、その大気圧プラズマにより基板の表面を洗浄するとともに難帯電化する大気圧プラズマ処理手段と、ドライアイス粒子を基板の表面に噴射させるドライアイス粒子噴射手段と、上記基板を搬送する搬送手段とを備え、上記搬送手段により搬送される基板に対して、上記大気圧プラズマ処理手段が作動した後に上記ドライアイス粒子噴射手段が作動するようになっている基板洗浄装置を第2の要旨とする。
【0008】
本発明者は、基板を洗浄した後も、その洗浄状態が保持されるようにすべく、基板の洗浄方法について研究を重ねた。その研究の過程で、大気圧プラズマにより基板の表面を処理すると、基板の表面に付着した有機物系異物が除去されるとともに、基板が帯電し難くなることを突き止めた。そして、さらに研究を重ねた結果、上記大気圧プラズマ処理後に、ドライアイス粒子を基板の表面に衝突させると、無機物系異物が除去され、しかも、上記大気圧プラズマ処理による難帯電性が保持され塵埃の付着を抑制できることを見出し、本発明に到達した。
【0009】
大気圧プラズマにより有機物系異物が除去される理由は、明らかではないが、有機物系異物がプラズマ中の原子と反応してガス化する等し、除去されるものと推測される。また、大気圧プラズマにより基板が帯電し難くなる理由も、明らかではないが、大気圧プラズマにより、基板の表面部分が改質され、帯電し難くなるものと推測される。さらに、ドライアイス粒子による無機物系異物の除去は、ドライアイス粒子との衝突により無機物系異物が物理的に飛ばされる以外に、ドライアイス粒子が無機物系異物と基板の間に入り込み、ドライアイス粒子の昇華によるガスにより、無機物系異物が飛ばされるようにしてなされる。
【発明の効果】
【0010】
本発明の基板洗浄方法は、大気圧プラズマにより基板の表面を処理した後に、ドライアイス粒子を基板の表面に衝突させるため、ガラス基板を帯電し難いものとすることができ、かつ、基板の表面に付着した有機物系異物および無機物系異物を除去することができる。しかも、大気圧プラズマ処理による難帯電性が保持され塵埃の付着を抑制することができ、洗浄状態を保持することができる。
【0011】
また、本発明の基板洗浄装置は、大気圧プラズマ処理手段と、ドライアイス粒子噴射手段と、基板を搬送する搬送手段とを備え、上記搬送手段により搬送される基板に対して、上記大気圧プラズマ処理手段が作動した後に上記ドライアイス粒子噴射手段が作動するようになっているため、本発明の基板洗浄方法を容易に行うことができ、それにより、基板を帯電し難いものにし、かつ、基板の表面を洗浄することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
つぎに、本発明の実施の形態を図面にもとづいて詳しく説明する。
【0013】
図1は、本発明の基板洗浄装置の第1の実施の形態を示している。この基板洗浄装置は、搬送手段3により搬送される基板Aに対して、大気圧プラズマ処理手段1により、その基板Aの表面を洗浄するとともに難帯電化した後、ドライアイス粒子噴射手段2により、その基板Aの表面にドライアイス粒子を噴射させ、その基板Aの表面を洗浄するようになっている。また、大気圧プラズマ処理およびドライアイス粒子噴射は、1つのチャンバー4内で行われるようになっている。
【0014】
より詳しく説明すると、上記大気圧プラズマ処理手段1は、この実施の形態では、リモート方式のものを用いている。すなわち、上記チャンバー4内に、空間をあけて対向する高圧電極11と低圧電極12とを一組とする電極組を備えており、高圧電極11は、交流電源に接続され、低圧電極12は、アースされている。また、上記高圧電極11と低圧電極12の間の空間には、大気圧プラズマに用いるガスが、チャンバー4の外に設けられたガスボンベ13からパイプ14により供給されるようになっている。そして、上記空間の一端側(図1では、上端側)からその空間にガスを供給するとともに、高圧電極11と低圧電極12との間に電圧を印加することにより、上記空間で大気圧プラズマを発生させ、供給したガスの勢いにより、その大気圧プラズマを、上記空間の他端側(図1では、下端側)から吹き出し、搬送される基板Aの表面に吹き付けるようになっている。なお、放電を安定な状態で持続させる観点から、上記高圧電極11と低圧電極12とが対向する面の少なくとも一方には、アルミナ等の誘電体を設けることが好ましい。
【0015】
上記ドライアイス粒子噴射手段2は、ドライアイス粒子を噴射させるノズル21が上記チャンバー4内に備えている。また、そのノズル21へは、ドライアイス粒子の形成に必要な二酸化炭素ガスが、チャンバー4の外に設けられたガスボンベ22からパイプ23により供給されるようになっている。さらに、この実施の形態では、後に説明するように、形成されたドライアイス粒子が効率よく基板Aの表面まで届くよう、低温の窒素ガスを併用している。その低温の窒素ガスは、チャンバー4の外に設けられたガスボンベ24からパイプ25により供給され、そのパイプ25は、上記二酸化炭素ガス用のパイプ23に接続されている。なお、ドライアイス粒子の昇華による二酸化炭素ガスが、大気圧プラズマを発生させる部分に侵入すると、放電が困難になるため、上記ノズル21によるドライアイス粒子の噴射方向は、特に限定されないが、大気圧プラズマ処理工程の空間に二酸化炭素ガスが侵入しないような方向に設定することが好ましい。
【0016】
上記搬送手段3は、この実施の形態では、ベルトコンベアを用いている。すなわち、このベルトコンベアは、基板Aを載せて搬送する無端ベルト31と、この無端ベルト31を走行させる駆動ローラ(図1では、2個)32とを備えている。
【0017】
上記チャンバー4は、上記搬送手段3を覆うように、ドーム状に形成されており、その一端側には、搬送される基板Aをチャンバー4内に導入する入口41が設けられ、他端側には、洗浄した基板Aをチャンバー4外に送り出す出口42が設けられている。
【0018】
そして、上記基板Aの洗浄は、例えば、つぎのようにして行うことができる。すなわち、まず、1枚の基板Aを上記搬送手段(ベルトコンベア)3の一端部に載置し、その基板Aをチャンバー4内に送り込む。つぎに、上記基板Aが大気圧プラズマ処理手段1の電極組の下方の位置に搬送されるのに同調させて、大気圧プラズマに用いるガスを高圧電極11と低圧電極12の間の空間に供給するとともに、高圧電極11と低圧電極12の間に電圧を印加して大気圧プラズマを発生させる。そして、その大気圧プラズマを、供給したガスの勢いで、搬送されている基板Aの表面に吹き付ける。これにより、基板Aの表面に付着した油脂等の有機物系異物が除去されるとともに、基板Aの表面部分が改質されて基板Aが帯電し難いものになる。その後、基板Aがドライアイス粒子噴射手段2のノズル21の下方の位置に搬送されるのに同調させて、ノズル21に二酸化炭素ガスおよび窒素ガスを供給する。これにより、ノズル21からドライアイス粒子が噴射され、基板Aの表面に衝突させられる。これにより、基板Aの表面に付着した金属酸化物や塵埃等の無機物系異物が除去される。このとき、上記大気圧プラズマ処理による基板Aの難帯電性は保持されており、上記ドライアイス粒子による洗浄を行っても、基板Aは帯電し難くなっている。このようにして、基板Aが洗浄される。
【0019】
その後、基板Aは、上記搬送手段(ベルトコンベア)3により、チャンバー4に設けられた出口42から送り出される。このようにして得られた基板Aは、大気圧プラズマ処理により、表面部分が改質して、帯電し難いものとなっており、しかも、その難帯電性は、その後も保持される。このため、その基板Aは、塵埃の付着を抑制することができ、洗浄状態を保持することができる。
【0020】
なお、上記大気圧プラズマに用いたガス、ドライアイス粒子が昇華した二酸化炭素および窒素ガスは、チャンバー4に設けられた基板A用の入口41および出口42から排出される。また、本発明における「大気圧プラズマ」の「大気圧」とは、プラズマを発生させるためにチャンバー4内をポンプ等の減圧装置を用いて減圧したり加圧装置を用いて加圧したりしていないことを意味し、必ずしもチャンバー4内の気圧がチャンバー4外の大気圧とが全く同じになっている状態ではない。
【0021】
ここで、上記実施の形態において、ドライアイス粒子を形成する際に、二酸化炭素ガスに加えて、低温の窒素ガスを併用している理由について説明する。すなわち、二酸化炭素ガスのみでドライアイス粒子を形成すると、その殆ど(70%程度)が基板Aの表面に届くまでに昇華し、ドライアイス粒子による洗浄が効率よく行うことができない。そこで、上記実施の形態では、低温の窒素ガスを併用することにより、ノズル21から噴射したドライアイス粒子の昇華を抑制し、ドライアイス粒子による洗浄の効率を向上させている。このため、低温の窒素ガスの温度は、ノズル21の噴射口付近において、ドライアイス粒子の昇華温度(絶対圧1気圧において−78.5℃)を下回る温度になるよう、低温の窒素ガスが供給される。また、上記のように併用する場合、二酸化炭素ガスと低温の窒素ガスとの体積比(CO2 /N2 )は、1/1〜1/1000の範囲に設定される。
【0022】
上記二酸化炭素ガスと低温の窒素ガスとの併用は、例えば、つぎのようにして行われる。すなわち、図2(a)に示すように、低温の窒素ガスを流すパイプ25内に絞り部分25aを形成し、その絞り部分25aの出口付近で二酸化炭素ガスを混合させるようにする。このようにすると、絞り部分25aの出口付近では、低温の窒素ガスの流れにより減圧されており、その減圧により、混合した二酸化炭素ガスが膨張し、ドライアイス粒子になる。そして、ノズル21から噴射された後も、低温の窒素ガスにより昇華が抑制されるようになる。なお、上記絞り部分25aの内径D1 は、絞っていない部分D2 の内径の40〜75%程度に設定する。また、図2(b)に示すように、パイプを同心の二重構造とし、内側のパイプ26に二酸化炭素ガスを流し、外側のパイプ27に低温の窒素ガスを流してもよい。逆に、内側のパイプ26に低温の窒素ガスを流し、外側のパイプ27に二酸化炭素ガスを流してもよい。
【0023】
また、ノズル21からのドライアイス粒子の噴射範囲(噴射角度)は、洗浄対象となる基板Aの形状によって適宜に設定される。例えば、円板状の基板Aを洗浄する場合は、噴射範囲が円形になるようにすることが好ましい。また、幅が広い基板Aを洗浄する場合は、噴射を扇状にして、噴射範囲が基板Aの幅方向に長い線状になるようにすることが好ましく、さらに、必要に応じて、そのような噴射をするノズル21を、基板Aの幅方向に複数設けるようにすることが好ましい。また、ドライアイス粒子の平均粒径は、洗浄性が良好になる観点から、0.01〜1000μmの範囲とすることが好ましい。
【0024】
大気圧プラズマ処理についても、大気圧プラズマを吹き付ける範囲は、洗浄対象となる基板Aの形状によって適宜に設定され、例えば、幅が広い基板Aを洗浄する場合は、吹き付ける範囲が基板Aの幅方向に長い線状になるようにすることが好ましい。
【0025】
大気圧プラズマに用いるガスとしては、大気圧プラズマが発生すれば、特に限定されるものではないが、通常、ヘリウム,ネオン,アルゴン,クリプトン,キセノン,窒素等があげられ、これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。なかでも、基板の難帯電化を向上させる観点から、上記ガスに、酸素ガスおよび水素ガスの少なくとも一方を混合させることが好ましい。その酸素ガス等を混合させる場合は、その混合割合が混合ガス全体の20体積%以下に設定することが好ましい。20体積%を越えると、基板の難帯電性が弱くなる傾向にあるからである。また、上記大気圧プラズマに用いるガスの供給量は、チャンバー4の容積や洗浄する基板Aの面積等によって決定され、特に限定されるものではないが、25℃、絶対圧1気圧において、通常、1〜1000リットル/minの範囲に設定される。
【0026】
さらに、上記大気圧プラズマの発生において、高圧電極11と低圧電極12の間に印加する電圧は、大気圧プラズマが発生すれば、特に限定されるものではないが、通常、1kV〜10kVの範囲である。また、その電源の周波数も、大気圧プラズマが発生すれば、特に限定されるものではないが、通常、1kHz〜150MHzの範囲である。なお、それよりも高いGHz帯であってもよい。ただし、被処理物の熱の影響を考慮すれば、1kHz〜500kHzの範囲が好ましい。
【0027】
そして、基板Aの搬送速度は、洗浄に要する時間によって決定され、特に限定されるものではないが、通常、0.1〜10m/minの範囲に設定される。
【0028】
図3は、本発明の基板洗浄装置の第2の実施の形態を示している。この基板洗浄装置は、図1に示す上記第1の実施の形態において、大気圧プラズマ処理手段1をダイレクト方式にしたものである。すなわち、基板Aを載せて搬送する無端ベルト31の上方に高圧電極11が設けられ、その高圧電極11に対向させて無端ベルト31の下方に低圧電極12が設けられており、高圧電極11と低圧電極12の間の空間を基板Aが通過するようになっている。そして、その通過時に大気圧プラズマ処理されるようになっている。また、大気圧プラズマに用いるガスは、大気圧プラズマ処理工程の空間全体がそのガス雰囲気になるよう供給される。この実施の形態では、ドライアイス粒子噴射工程の空間に拡散した二酸化炭素ガスが、大気圧プラズマ処理工程の空間に拡散し難くなるよう、大気圧プラズマ処理工程の空間とドライアイス粒子噴射工程の空間とを隔てる隔壁4aが設けられている。それ以外は図1に示す上記第1の実施の形態と同様であり、同様の部分には同じ符号を付している。この実施の形態でも、上記第1の実施の形態と同様の作用・効果を奏する。
【0029】
なお、上記第1および第2の実施の形態のように、大気圧プラズマ処理による洗浄後にドライアイス粒子噴射による洗浄を行う場合は、各洗浄をそれそれ別のチャンバーで行うようにしてもよい。
【0030】
本発明において、洗浄対象となる基板Aとしては、液晶ディスプレイ,有機ELディスプレイ,プラズマディスプレイ等に用いられるディスプレイ用ガラス基板、建築物,家具等に用いられる意匠用ガラス基板、ウエハ、薄膜トランジスタ形成用基板、半導体部品搭載用プリント基板、回路基板、ハイブリッドIC基板等があげられる。また、その基板Aの材料としては、ガラス以外にも、セラミックス,シリコン,各種化合物等があげられる。
【0031】
つぎに、実施例について比較例と併せて説明する。
【実施例1】
【0032】
上記第1の実施の形態(図1参照)と同様にして、液晶ディスプレイ用のガラス基板〔340mm×470mm×0.7mm(厚み)〕を、下記のように、大気圧プラズマにより洗浄した後、ドライアイス粒子の噴射により洗浄した。このとき、基板は、1m/minの速度で搬送した。
【0033】
〔大気圧プラズマ処理〕
大気圧プラズマに用いるガスとして、アルゴンのみを用いた。また、高圧電極および低圧電極は、SUS316Lからなる四角形の板体に、厚み1mmのアルミナ(誘電体)をコーティングしたものであり、その大きさは、どちらも75mm×420mmとし、電極間距離を5mmに設定した。そして、電源として、周波数が5kHzの交流電源を用い、高圧電極と低圧電極の間に5kVの電圧を印加した。電力量(照射エネルギー)は260mW・min/cm2 であった。
【0034】
〔ドライアイス粒子噴射〕
二酸化炭素ガスと低温の窒素ガスとの体積比(CO2 /N2 )を、1/10とし、ドライアイス粒子を噴射した。ドライアイス粒子の噴射範囲は、基板の幅方向に長い線状とした。また、ドライアイス粒子の平均粒径は、100μmであった。
【実施例2】
【0035】
上記実施例1において、大気圧プラズマに用いる雰囲気ガスをアルゴン(99体積%)と酸素(1体積%)の混合ガスとした。それ以外は、上記実施例1と同様にした。
【実施例3】
【0036】
上記実施例1において、大気圧プラズマに用いる雰囲気ガスをアルゴン(80体積%)と酸素(20体積%)の混合ガスとした。それ以外は、上記実施例1と同様にした。
【実施例4】
【0037】
上記実施例1において、大気圧プラズマに用いる雰囲気ガスをアルゴン(99体積%)と水素(1体積%)の混合ガスとした。それ以外は、上記実施例1と同様にした。
【実施例5】
【0038】
上記実施例1において、大気圧プラズマに用いる雰囲気ガスをアルゴン(90体積%)と水素(10体積%)の混合ガスとした。それ以外は、上記実施例1と同様にした。
【実施例6】
【0039】
上記実施例1において、大気圧プラズマに用いる雰囲気ガスをアルゴン(80体積%)と水素(10体積%)と酸素(10体積%)の混合ガスとした。それ以外は、上記実施例1と同様にした。
【0040】
〔比較例1〕
上記実施例1において、大気圧プラズマ処理を行うことなく、ドライアイス粒子噴射による洗浄を行った。
【0041】
〔難帯電性〕
このようにして得られた実施例1〜6のガラス基板および比較例1のガラス基板の帯電量を、静電気測定器(シムコジャパン社製、FMX−002)を用いて測定した。その結果を下記の表1に併せて表記した。
【0042】
【表1】

【0043】
上記表1の結果から、実施例1〜6のガラス基板は、比較例1のガラス基板と比較して、帯電し難いことがわかる。
【0044】
なお、上記各実施例において、アルゴンに代えて、ヘリウム,ネオン,クリプトン,キセノン,窒素をそれぞれ用いても、上記各実施例と同様の傾向を示す結果が得られた。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の基板洗浄装置および基板洗浄方法の第1の実施の形態を模式的に示す説明図である。
【図2】(a),(b)は、二酸化炭素ガスと低温の窒素ガスとを併用する際に使用するパイプを模式的に示す説明図である。
【図3】本発明の基板洗浄装置および基板洗浄方法の第2の実施の形態を模式的に示す説明図である。
【符号の説明】
【0046】
1 大気圧プラズマ処理手段
2 ドライアイス粒子噴射手段
3 搬送手段
A 基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
大気圧プラズマにより基板の表面を洗浄するとともに難帯電化した後、ドライアイス粒子を基板の表面に衝突させることにより基板の表面を洗浄することを特徴とする基板洗浄方法。
【請求項2】
大気圧プラズマを発生させ、その大気圧プラズマにより基板の表面を洗浄するとともに難帯電化する大気圧プラズマ処理手段と、ドライアイス粒子を基板の表面に噴射させるドライアイス粒子噴射手段と、上記基板を搬送する搬送手段とを備え、上記搬送手段により搬送される基板に対して、上記大気圧プラズマ処理手段が作動した後に上記ドライアイス粒子噴射手段が作動するようになっていることを特徴とする基板洗浄装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−216853(P2006−216853A)
【公開日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−29389(P2005−29389)
【出願日】平成17年2月4日(2005.2.4)
【出願人】(000126115)エア・ウォーター株式会社 (254)
【Fターム(参考)】