説明

基板用コネクタ

【課題】基板挿入の一動作により基板の装着作業を簡便に達成するとともに、基板挿入時における基板の損傷を防止し、しかも、アクチュエータ等の破損を防止する基板用コネクタを提供すること。
【解決手段】ハウジング110と、ハウジング110に対して回動自在に設けられるアクチュエータ120と、ハウジング110により保持されるコンタクト130とを備え、接続対象物である基板T1を外部から挿入してコンタクト130に形成された挟持部131a、132a間で保持し、アクチュエータ120は、基板T1の挿入時に基板T1により押動されて回動する力点部122と、力点部122の回動に伴って回動してコンタクト130に力を加えることで挟持部間131a、132aを広げる作用点部124と、力点部122および作用点部124の回動の中心として機能する回動軸123とを有している基板用コネクタ100。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コネクタに関し、特に、FPC(Flexible Printed Circuit)やFFC(Flexible Flat Cable)等の平板状の接続対象物と他の接続対象物とを接続するコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ハウジング510と、ハウジング510に支持された複数のコンタクト530とを具備し、複数のコンタクト530が第1接触部531aと第2接触部532aを1組とする複数組の接触部531a、532aを具備し、第1接触部531aと第2接触部532aが非接触状態で対向するとともに、その対向面間に挿入される接続対象T1によって変位して接続対象T1の両面と弾性接触し、第1接触部531aと第2接触部532aの対向面が、その変位方向の間隔を略一定とする凹凸形状に形成されているコネクタ500が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
ところが、特許文献1に記載されるような従来のコネクタ500では、図14に示すように、コンタクト530の第1接触部531aと第2接触部532aとの間に挿入される接続対象(フレキシブル基板)T1が、公差の範囲内で厚めに製造された場合、接続対象T1の挿入時に、接続対象T1の表面が第1接触部531aおよび第2接触部532aにより擦られるため、接続対象T1の端部が切断面であることに起因して、接続対象T1のパッドの剥がれが生じやすいという問題があった。
【0004】
また、接続対象T1の厚みによっては、第1接触部531aと第2接触部532aとの間への接続対象T1の挿入自体が困難になるという問題があった。
【0005】
そこで、このような接続対象T1の破損や、コンタクトの接触部531a、532a間への接続対象T1の挿入の困難さの問題を解消するために考案された発明として、特許文献2に記載されたフレキシブルプリント配線板用コネクタ装置600が知られている。
【0006】
この特許文献2に記載されたフレキシブルプリント配線板用コネクタ装置600は、図15に示すように、ハウジング610と、夫々が上側コンタクト部631aとこれと対向する下側コンタクト部632aとを有し、上側コンタクト部631aと下側コンタクト部632aとの間隔が接続されるフレキシブルプリント配線板T1が挿入される程度に開いており、上記のハウジング610に並んで設けてある複数のコンタクト部材630と、操作されて上側コンタクト部631aと下側コンタクト部632aとの間隔を狭めるアクチュエータ620とよりなり、フレキシブルプリント配線板T1を挿入し、上記アクチュエータ620を操作することによって、上側コンタクト部631aと下側コンタクト部632aとが所定の接触圧力でフレキシブルプリント配線板T1を挟むように設計されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006−351288号公報
【特許文献2】特開2004−39479号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところが、従来のフレキシブルプリント配線板用コネクタ装置600では、フレキシブルプリント配線板T1の装着時に、フレキシブルプリント配線板T1の挿入動作およびアクチュエータ620の操作の二動作を必要とするため、フレキシブルプリント配線板T1の装着に係る作業負担が大きいという問題があった。
【0009】
また、アクチュエータ620の操作が手動により行われるため、アクチュエータ620等の各構成部材に対して過度な力が作用し、構成部材の破損が生じる恐れがあるという問題があった。
【0010】
さらに、コネクタ装置600を小さなサイズで設計した場合、通常の作業者の指ではアクチュエータ620を手動で操作すること自体が困難であるという事態が発生し、フレキシブルプリント配線板T1の装着作業がより一層困難になるという問題があった。
【0011】
そこで、本発明は、従来の問題を解決するものであって、すなわち、本発明の目的は、基板挿入の一動作により基板の装着作業を簡便に達成するとともに、基板挿入時における基板の損傷を防止し、しかも、アクチュエータ等の破損を防止する基板用コネクタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の基板用コネクタは、ハウジングと、前記ハウジングに対して回動自在に設けられるアクチュエータと、前記ハウジングにより保持されるコンタクトとを備え、接続対象物である基板を外部から挿入して前記コンタクトに形成された挟持部間で保持する基板用コネクタであって、前記アクチュエータは、前記基板の挿入時に前記基板により押動されて回動する力点部と、前記力点部の回動に伴って回動して前記コンタクトに力を加えることで前記挟持部間を広げる作用点部と、前記力点部および作用点部の回動の中心として機能する回動軸とを有していることにより、前述した課題を解決したものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明の基板用コネクタは、基板の挿入によりアクチュエータを回動させ、回動するアクチュエータを利用して、コンタクトの挟持部間の間隔を広げるように設計されていることにより、基板の挿入動作とは別途にアクチュエータを回動させる動作を必要としないため、基板挿入の一動作により基板の装着作業を達成でき、基板の装着作業に係る作業負担を著しく低減できる。
【0014】
また、基板の挿入により、コンタクトの挟持部間の間隔が一定の必要量だけ自動的に広がるため、接続対象物である基板が公差の範囲内で厚めに製造された場合であっても、基板がコンタクトの挟持部に対して過度に褶動することを回避して、基板の損傷を防止できる。
【0015】
そして、本発明の基板用コネクタでは、手動でアクチュエータを回動させることなく、基板の挿入によりアクチュエータを回動させるように設計されていることにより、基板挿入時におけるアクチュエータの回動量が必要量に限定されるとともに、手動によってアクチュエータを操作した場合のように過度な力がアクチュエータ等に作用することを回避するため、アクチュエータ等の破損を防止できる。
【0016】
さらに、前述したように、手動でのアクチュエータの操作を必要としないため、基板用コネクタ全体を小さなサイズで設計した場合であっても、アクチュエータを手動で操作する従来のコネクタ装置のように、通常の作業者の指ではアクチュエータを手動で操作するのが困難になるという事態を回避でき、基板の装着作業を容易に達成できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の第1実施例である基板用コネクタを示す全体斜視図である。
【図2】基板用コネクタを示す断面図である。
【図3】基板用コネクタを基板挿入方向後方側から見て示す背面図である。
【図4】第1基板の取り付け途中の状態を断面視して示す斜視図である。
【図5】第1基板の取り付け途中の状態を示す断面図である。
【図6】第1基板の取り付け完了の状態を断面視して示す斜視図である。
【図7】第1基板の取り付け完了の状態を示す断面図である。
【図8】本発明の第2実施例である基板用コネクタを示す断面図である。
【図9】本発明の第2実施例である基板用コネクタを示す上面図である。
【図10】本発明の第3実施例である基板用コネクタの第1基板の取り付け前の状態を示す断面図である。
【図11】本発明の第3実施例である基板用コネクタの第1基板の取り付け途中の状態を示す断面図である。
【図12】本発明の第4実施例である基板用コネクタの第1基板の取り付け前の状態を示す断面図である。
【図13】本発明の第4実施例である基板用コネクタの第1基板の取り付け途中の状態を示す断面図である。
【図14】従来のコネクタを示す断面図である。
【図15】従来のフレキシブルプリント配線板用コネクタ装置を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の第1実施例である基板用コネクタ100を図面に基づいて説明する。
【実施例】
【0019】
まず、本発明の第1実施例である基板用コネクタ100は、図2に示すように、第1接続対象物である第1基板(FPC、Flexible Printed Circuit)T1と、第2接続対象物である第2基板(プリント基板)T2との間を接続するものである。
【0020】
基板用コネクタ100は、図1および図2に示すように、第1基板T1を受容する受容空間111を有するハウジング110と、このハウジング110に対して回動自在に取り付けられるアクチュエータ120と、ハウジング110により保持される複数のコンタクト130とを備えている。
ハウジング110およびアクチュエータ120は、絶縁性の樹脂から成形され、また、コンタクト130は、リン青銅から成形されている。
【0021】
ハウジング110は、図1乃至図3に示すように、第1基板T1を受容する受容空間111と、アクチュエータ120に対向する基板設置面112と、基板設置面112に凹設されてアクチュエータ120の一対の力点部122を受容する一対の力点部受容部113と、ハウジング110のコンタクト幅方向Yの両側壁に形成されてアクチュエータ120の回動軸123を回転自在に軸受する一対の軸受部114と、ハウジング110のコンタクト幅方向Yの両側壁に形成されて第2基板T2のホールドダウンT2aを嵌着させて保持する一対のホールドダウン保持部115とを有している。
【0022】
基板設置面112は、図4に示すように、複数のコンタクト130をコンタクト幅方向Yに所定ピッチで並列状に保持するコンタクト保持凹部112aを複数有している。
【0023】
アクチュエータ120は、図1乃至図3に示すように、ハウジング110に対して回動自在に取り付けられた本体部121と、この本体部121の基板挿入方向前方X1側で本体部121のコンタクト幅方向Yの両側壁にそれぞれ設けられ、第1基板T1の挿入時に第1基板T1により押し上げられて基板設置面112から離間する一対の力点部122と、この力点部122より基板挿入方向後方X2側で本体部121のコンタクト幅方向Yの両側壁に突出形成された一対の回動軸123と、この回動軸123より基板挿入方向後方X2側で本体部121に設けられ、第1基板T1の挿入時にコンタクト130の被作用部131bを基板設置面112側に向けて押し下げる作用点部124とを有している。
【0024】
力点部122と回動軸123との間の距離は、図2に示すように、作用点部124と回動軸123との間の距離より長く設定されている。
アクチュエータ120の重心は、回動軸123より、基板挿入方向前方X1側に位置している。
力点部122は、図2に示すように、基板設置面112側に向けて、本体部121から突出している。
力点部122は、図2に示すように、コンタクト130の第1挟持部(接点部)131aおよび第2挟持部132aより基板挿入方向前方X1側に配置されている。
力点部122は、図2に示すように、基板挿入方向後方X2に向かって基板設置面112に近接するように傾斜した基板当接傾斜面122aを基板挿入方向前方X1側に有している。
作用点部124は、図2に示すように、基板設置面112側に向けて、本体部121から突出している。
作用点部124は、図2に示すように、アクチュエータ120の回動時に、コンタクト130の被作用部131bに当接する凸状の湾曲面124aを有している。
【0025】
コンタクト130は、図1および図2に示すように、断面エ字状に形成されている。
コンタクト130は、図2に示すように、アクチュエータ120側に配置される第1ビーム部131と、基板設置面112側に配置される第2ビーム部132と、第1ビーム部131の中央部と第2ビーム部132の中央部とを相互に連結する連結部133とを一体に備えている。
【0026】
第1ビーム部131は、図2に示すように、連結部133より基板挿入方向前方X1側に形成された第1挟持部(接点部)131aと、連結部133より基板挿入方向後方X2側に形成された被作用部131bとを有している。
第1挟持部(接点部)131aは、第1基板T1のパッドT1bとの間の接点部として機能している。
被作用部131bは、アクチュエータ120の作用点部124の湾曲面124aに対応するように、凹状に湾曲する湾曲面131b’を、作用点部124の湾曲面124aに対向する側に有している。
第2ビーム部132は、図2に示すように、連結部133より基板挿入方向前方X1側に形成された第2挟持部132aと、連結部133より基板挿入方向後方X2側に形成されて第2基板T2にハンダ付けされる端子部132bとを有している。
第2ビーム部132は、図4に示すように、ハウジング110のコンタクト保持凹部112aにより保持されてハウジング110に対して固定されている。
第1挟持部(接点部)131aと第2挟持部132aとは、相互に対向している。
コンタクト130は、図2に示すように、所謂ノーマルクローズ型で設計され、すなわち、第1挟持部(接点部)131aと第2挟持部132aとの間隔が、第1基板T1を挿入していない状態で第1基板T1の厚みより狭く設定されている。
【0027】
第1接続対象物である第1基板(FPC)T1は、図4に示すように、コンタクト幅方向Yの両側部に切り欠き状に形成されてアクチュエータ120の力点部122を受容する一対の力点部受容部T1aと、コンタクト130の第1挟持部(接点部)131aに接続されるパッドT1bとを有している。
【0028】
第2接続対象物である第2基板(プリント基板)T2には、基板用コネクタ100のホールドダウンT2aがハンダ付けされる。
このホールドダウンT2aとホールドダウン保持部115との嵌着により、ハウジング110と第2基板T2とは、相互に固定されている。
【0029】
以下に、基板用コネクタ100に対する第1基板T1の取り付け方法、および、第1基板T1の取り付け時における各構成部材の作用について、図4乃至図7に基づいて説明する。
【0030】
まず、図4および図5に示すように、作業者は、基板挿入方向前方X1側から基板挿入方向後方X2側に向けて、ハウジング110とアクチュエータ120との間に、第1基板T1を挿入する。
【0031】
この際、図4および図5に示すように、アクチュエータ120の力点部122が、基板挿入方向後方X2に向かって基板設置面112に近接するように傾斜した基板当接傾斜面122aを有しているため、アクチュエータ120の力点部122は、第1基板T1の挿入により基板設置面112から離間する方向に押し上げられる。
【0032】
次に、回動軸123を中心として回動したアクチュエータ120は、図4および図5に示すように、作用点部124により、コンタクト130の被作用部131bを基板設置面112側に向けて押し下げる。
この際、力点部122と回動軸123との間の距離は、図4および図5に示すように、作用点部124と回動軸123との間の距離より長く設定されているため、テコの原理を利用して、第1基板T1の小さい挿入力により、作用点部124を容易に押し下げることができる。
【0033】
次に、図4および図5に示すように、被作用部131bを押し下げられたコンタクト130は、連結部133が弾性変形し、第1挟持部(接点部)131aは、基板設置面112から離間する方向に持ち上がる。
その結果、第1挟持部(接点部)131aと第2挟持部132aとの間隔が広がる。
この時の第1挟持部(接点部)131aと第2挟持部132aとの間隔は、第1基板T1の厚みより広い。
【0034】
次に、作業者により基板挿入方向後方X2側に向けて更に押し進められた第1基板T1は、第1挟持部(接点部)131aと第2挟持部132aとの間に入り込む。
【0035】
次に、図6および図7に示すように、第1基板T1は、作業者により基板挿入方向後方X2側に向けて更に押し進められ、第1基板T1の力点部受容部T1aの位置が、アクチュエータ120の力点部122の位置に一致する。
【0036】
この際、アクチュエータ120の力点部122が第1基板T1による支持を失うため、連結部133が弾性復帰し、アクチュエータ120は、アクチュエータ120の力点部122が基板設置面112側に接近する方向に回動する。
【0037】
その結果、図6および図7に示すように、アクチュエータ120の作用点部124によるコンタクト130の被作用部131bの押し下げが解除され、コンタクト130の第1挟持部(接点部)131aと第2挟持部132aとの間隔は、通常の間隔に戻ろうとする、すなわち、第1基板T1の厚みより狭くなろうとする。
そして、第1挟持部(接点部)131aと第2挟持部132aとは、第1基板T1を挟持し、第1挟持部(接点部)131aと第1基板T1のパッドT1bとの間の接続が確保される。
【0038】
同時に、アクチュエータ120の力点部122は、第1基板T1の力点部受容部T1aおよびハウジング110の力点部受容部113内に入り込み、受容される。
これにより、第1基板T1は、基板用コネクタ100に対して位置決めされるとともに、基板用コネクタ100からの第1基板T1の抜け出しが防止される。
【0039】
以下に、基板用コネクタ100からの第1基板T1の取り外し方法について、図4乃至図7に基づいて説明する。
【0040】
まず、作業者は、アクチュエータ120の力点部122の基板当接傾斜面122aと第1基板T1との間に、楔形状の先端部を有する治具(図示しない)を差し込む。
【0041】
その結果、アクチュエータ120の力点部122は、基板設置面112から離間する方向に押し上げられ、アクチュエータ120は回動軸123を中心として回動する。
【0042】
次に、回動軸123を中心として回動したアクチュエータ120は、作用点部124により、コンタクト130の被作用部131bを基板設置面112側に向けて押し下げる。
【0043】
次に、被作用部131bを押し下げられたコンタクト130は、連結部133が弾性変形して、第1挟持部(接点部)131aが基板設置面112から離間する方向に持ち上がり、第1挟持部(接点部)131aと第2挟持部132aとの間隔が広がる。
【0044】
その結果、作業者は、第1挟持部(接点部)131aと第2挟持部132aとの間から、第1基板T1を容易に引き抜くことができる。
【0045】
このようにして得られた本実施例の基板用コネクタ100では、第1基板T1の挿入によりアクチュエータ120を回動させ、回動するアクチュエータ120を利用して、コンタクト130を弾性変形させ、コンタクト130の第1挟持部(接点部)131aと第2挟持部132aとの間隔を広げるような構造となっていることにより、第1基板T1の挿入動作とは別途にアクチュエータ120を回動させる動作を必要としないため、第1基板T1の挿入の一動作により第1基板T1の装着作業を達成でき、第1基板T1の装着作業に係る作業負担を著しく低減できる。
【0046】
また、本実施例の基板用コネクタ100では、手動でアクチュエータ120を回動させることなく、第1基板T1の挿入によりアクチュエータ120を回動させるように設計されていることにより、第1基板T1の挿入時におけるアクチュエータ120の回動量が、第1挟持部(接点部)131aと第2挟持部132aとの間に第1基板T1を挿入することが可能な程度に限定されるとともに、手動によってアクチュエータ120を操作した場合のように過度な力がアクチュエータ120等に作用することを回避するため、アクチュエータ120等の破損を防止できる。
【0047】
また、第1基板T1の挿入により、第1挟持部(接点部)131aと第2挟持部132aとの間隔が一定の必要量だけ自動的に広がるため、第1基板T1が公差の範囲内で厚めに製造された場合であっても、第1基板T1が第1挟持部(接点部)131aおよび第2挟持部132aに対して過剰に褶動することを回避して、第1基板T1の損傷を防止できる。
【0048】
さらに、前述したように、手動でのアクチュエータ120の操作を必要としないため、基板用コネクタ100全体を小さなサイズで設計した場合であっても、アクチュエータ120を手動で操作する従来のコネクタ装置のように、通常の作業者の指ではアクチュエータ120を手動で操作するのが困難になるという事態を回避でき、第1基板T1の装着作業を容易に達成できる。
【0049】
ハウジング110と第1基板T1とが、アクチュエータ120の力点部122を受容する力点部受容部113、T1aを有している。
したがって、基板用コネクタ100全体の厚みを低減でき、また、第1基板T1が基板用コネクタ100に対して位置決めされるとともに、基板用コネクタ100からの第1基板T1の抜け出しが防止されるため、第1基板T1のパッドT1bとコンタクト130の第1挟持部(接点部)131aとの間の接続を確実に維持できる。
【0050】
アクチュエータ120の力点部122と回動軸123との間の距離は、作用点部124と回動軸123との間の距離より長く設定されている。
したがって、テコの原理を利用して、第1基板T1の小さい挿入力により、作用点部124を容易に押し下げることが可能であるため、第1基板T1の挿入時における第1基板T1とアクチュエータ120の力点部122との間の過度な物理的接触を回避して、第1基板T1の損傷を防止でき、また、円滑な第1基板T1の挿入作業を達成できる。
【0051】
アクチュエータ120の力点部122は、基板挿入方向後方X2に向かって基板設置面112に近接するように傾斜した基板当接傾斜面122aを有している。
したがって、第1基板T1の小さな挿入力により、力点部122を容易に押し上げることが可能であるため、第1基板T1と力点部122との間の過度な物理的接触を回避でき、また、円滑な第1基板T1の挿入作業を達成できる。
【0052】
アクチュエータ120の作用点部124は湾曲面124aを有し、また、被作用部131bは湾曲面131b’を有している。
したがって、作用点部124が被作用部131bを押し下げる際に、作用点部124の湾曲面124aが被作用部131bの湾曲面131b’に対して円滑に摺動接触するため、第1基板T1の挿入作業を円滑に達成できる。
【0053】
本体部121の重心は、回動軸123より、基板挿入方向前方X1側に位置している。
したがって、第1基板T1の装着完了後または装着前に、アクチュエータ120がハウジング110に対して不用意に回動して浮き上がることを防止できる。
【0054】
次に、本発明の第2実施例である基板用コネクタ200を図8および図9に基づいて説明する。
ここで、第2実施例である基板用コネクタ200におけるコンタクト230、および、ハウジング210とアクチュエータ220との間のヒンジ機構以外の構成は前述した内容と全く同じであるため、第1実施例の基板用コネクタ100に関する明細書、および、図1乃至図7に示す100番台の符号を200番台の符号に読み替えることによって、コンタクト230、および、ハウジング210とアクチュエータ220との間のヒンジ機構以外の構成についてはその説明を省略する。
【0055】
まず、コンタクト230に関して、第1実施例との相違点のみを以下に説明する。
コンタクト230の第2ビーム部232は、図8に示すように、第2挟持部232aや端子部232bに加えて、第2挟持部232aより基板挿入方向前方X1側に形成されて第2基板T2(図示しない)にハンダ付けされる第2端子部232cを有している。
【0056】
次に、ハウジング210とアクチュエータ220との間のヒンジ機構に関して、第1実施例との相違点のみを以下に説明する。
前述したように、第1実施例の基板用コネクタ100においては、ハウジング110とアクチュエータ120との間のヒンジ機構が、本体部121に形成された一対の回動軸123とハウジング110に形成された一対の軸受部114とにより構成され、換言すると、ハウジング110とアクチュエータ120とが、コンタクト幅方向Yの両側2箇所でヒンジ連結されている。
【0057】
これに対し、第2実施例の基板用コネクタ200においては、ハウジング210とアクチュエータ220とが、コンタクト幅方向Yに亘って多数箇所でヒンジ連結されている。
【0058】
詳述すると、ハウジング210は、図9に示すように、コンタクト幅方向Yに所定間隔で並列配置されてアクチュエータ220側に向けて突出する複数の突出壁216を有している。
これら複数の突出壁216のコンタクト幅方向Yの両側面には、第2軸受部216aがそれぞれ凹設されている。
【0059】
また、アクチュエータ220は、ハウジング210の複数の突出壁216に対応する位置に、複数のスリット部225を有している。
各スリット部225のコンタクト幅方向Yの両側面には、図9に示すように、コンタクト幅方向Yに向けて突出するピン部225aがそれぞれ突出形成されている。
これらピン部225aの中心軸は、回動軸223の中心軸に一致している。
そして、これらピン部225aは、第2軸受部216aによりそれぞれ軸受されている。
【0060】
このようにして得られた本実施例の基板用コネクタ200では、回動軸223と軸受部214に加え、複数のピン部225aおよび複数の第2軸受部216aをコンタクト幅方向Yに亘って有していることにより、個々のヒンジ連結部に作用する力を低減でき、アクチュエータ220の破損を防止できる。
【0061】
次に、本発明の第3実施例である基板用コネクタ300を図10および図11に基づいて説明する。
ここで、第3実施例である基板用コネクタ300におけるコンタクト330およびアクチュエータ320以外の構成は前述した内容と全く同じであるため、第1実施例の基板用コネクタ100に関する明細書、および、図1乃至図7に示す100番台の符号を300番台の符号に読み替えることによって、コンタクト330およびアクチュエータ320以外の構成についてはその説明を省略する。
【0062】
まず、アクチュエータ320に関しては、作用点部324の配置のみが第1実施例と相違している。
すなわち、アクチュエータ320の作用点部324は、図10および図11に示すように、回動軸323より基板挿入方向前方X1側および力点部322の基板挿入方向後方X2側にフック状に設けられ、第1基板T1の挿入時にコンタクト330の被作用部331bを基板設置面312側から離間する方向に向けて持ち上げるようになっている。
【0063】
次に、コンタクト330に関しては、第1ビーム部331および第1ビーム部331に形成された被作用部331bの配置が第1実施例と相違している。
すなわち、コンタクト330の第1ビーム部331は、図10および図11に示すように、その基板挿入方向後方X2側の端部で連結部333に連結されている。
そして、コンタクト330の被作用部331bは、図10および図11に示すように、第1挟持部(接点部)331aより基板挿入方向前方X1側に設けられている。
【0064】
また、コンタクト330の第2ビーム部332は、図10および図11に示すように、第2挟持部332aや端子部332bに加えて、第2挟持部332aより基板挿入方向前方X1側に形成されて第2基板T2(図示しない)にハンダ付けされる第2端子部332cを有している。
【0065】
次に、本発明の第4実施例である基板用コネクタ400を図12および図13に基づいて説明する。
ここで、第4実施例である基板用コネクタ400におけるコンタクト430およびアクチュエータ420以外の構成は前述した内容と全く同じであるため、第1実施例の基板用コネクタ100に関する明細書、および、図1乃至図7に示す100番台の符号を400番台の符号に読み替えることによって、コンタクト430およびアクチュエータ420以外の構成についてはその説明を省略する。
【0066】
まず、アクチュエータ420に関しては、作用点部424の配置が第1実施例と相違している。
すなわち、アクチュエータ420は、図12および図13に示すように、本体部421のコンタクト幅方向Yの両側壁の間を繋ぐように形成されて、コンタクト430の連結部433より基板挿入方向前方X1側で第1ビーム部431と第2ビーム部432との間に介在するカム部426を有している。
このカム部426の断面形状は、図12および図13に示すように、ほぼ楕円形に形成されている。
図12および図13に示すアクチュエータ420の非回動状態で、このカム部426は、基板挿入方向Xの長さが、基板挿入方向Xに直交する高さ方向の長さより、長く設定されている。
そして、第1ビーム部431に対向するカム部426の側面が、アクチュエータ420の回動時にコンタクト430の被作用部431bを基板設置面412側から離間する方向に向けて持ち上げる作用点部424として機能している。
【0067】
次に、コンタクト430に関しては、第1ビーム部431および第1ビーム部431に形成された被作用部431bの配置が第1実施例と相違している。
すなわち、コンタクト430の第1ビーム部431は、図12および図13に示すように、その基板挿入方向後方X2側の端部で連結部433に連結されている。
そして、コンタクト430の被作用部431bは、図12および図13に示すように、第1挟持部(接点部)431aより基板挿入方向後方X2側に設けられている。
【0068】
また、コンタクト430の第2ビーム部432は、図12および図13に示すように、第2挟持部432aや端子部432bに加えて、第2挟持部232aより基板挿入方向前方X1側に形成されて第2基板T2(図示しない)にハンダ付けされる第2端子部432cを有している。
【0069】
前述した実施例では、第1基板が、FPC(Flexible Printed Circuit)であるものとして説明したが、平板状の接続対象物であれば如何なるものであってもよく、例えば、FFC(Flexible Flat Cable)であっても何ら構わない。
【0070】
また、前述した実施例では、アクチュエータとハウジングとは別体に成形され、アクチュエータがハウジングに対して回動自在に取り付けられているものとして説明したが、部品点数の低減を目的として、これらアクチュエータとハウジングとを一体に成形しても何ら構わない。
この場合、アクチュエータの部分がハウジングの部分に対して移動自在になるように、ハウジングとアクチュエータは、柔軟性のある材料、例えば、ナイロン系樹脂から一体成形される。
【0071】
また、前述した実施例では、コンタクトの第1挟持部が、第1基板との間の接点部として機能するものとして説明したが、この第1挟持部とは別途に、第1ビーム部に第1基板との間の接点部を形成しても何ら構わない。
また、第2挟持部を第1基板との間の接点部として用いてもよく、または、第2挟持部とは別途に、第2ビーム部に第1基板との間の接点部を形成しても何ら構わない。
【符号の説明】
【0072】
100、 200、 300、 400 ・・・ 基板用コネクタ
110、 210、 310、 410 ・・・ ハウジング
111、 211、 311、 411 ・・・ 受容空間
112、 212、 312、 412 ・・・ 基板設置面
112a ・・・ コンタクト保持凹部
113 ・・・ 力点部受容部
114 ・・・ 軸受部
115 ・・・ ホールドダウン保持部
216 ・・・ 突出壁
216a ・・・ 第2軸受部
120、 220、 320、 420 ・・・ アクチュエータ
121、 221、 321、 421 ・・・ 本体部
122、 222、 322、 422 ・・・ 力点部
122a、222a、322a、422a ・・・ 基板当接傾斜面
123、 223、 323、 423 ・・・ 回動軸
124、 224、 324、 424 ・・・ 作用点部
124a、224a ・・・ 湾曲面
225 ・・・ スリット部
225a ・・・ ピン部
426 ・・・ カム部
130、 230、 330、 430 ・・・ コンタクト
131、 231、 331、 431 ・・・ 第1ビーム部
131a、231a、331a、431a ・・・ 第1挟持部(接点部)
131b、231b、331b、431b ・・・ 被作用部
131b’、231b’ ・・・ 湾曲面
132、 232、 332、 422 ・・・ 第2ビーム部
132a、232a、332a、422a ・・・ 第2挟持部
132b、232b、332b、432b ・・・ 端子部
232c、332c、432c ・・・ 第2端子部
133、 233、 333、 433 ・・・ 連結部
T1 ・・・ 第1基板(FPC)
T1a ・・・ 力点部受容部
T1b ・・・ パッド
T2 ・・・ 第2基板(プリント基板)
T2a ・・・ ホールドダウン
X1 ・・・ 基板挿入方向前方
X2 ・・・ 基板挿入方向後方
Y ・・・ コンタクト幅方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングと、前記ハウジングに対して回動自在に設けられるアクチュエータと、前記ハウジングにより保持されるコンタクトとを備え、接続対象物である基板を外部から挿入して前記コンタクトに形成された挟持部間で保持する基板用コネクタであって、
前記アクチュエータは、前記基板の挿入時に前記基板により押動されて回動する力点部と、前記力点部の回動に伴って回動して前記コンタクトに力を加えることで前記挟持部間を広げる作用点部と、前記力点部および作用点部の回動の中心として機能する回動軸とを有していることを特徴とする基板用コネクタ。
【請求項2】
前記力点部は、前記アクチュエータの本体部からハウジング側に向けて突出し、
前記ハウジングおよび前記基板は、前記力点部を受容する力点部受容部を有していることを特徴とする請求項1に記載の基板用コネクタ。
【請求項3】
前記力点部と回動軸との間の距離は、前記作用点部と回動軸との間の距離より長く設定されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の基板用コネクタ。
【請求項4】
前記力点部は、前記コンタクトの挟持部より基板挿入方向前方側に配置されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の基板用コネクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2011−210655(P2011−210655A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−79062(P2010−79062)
【出願日】平成22年3月30日(2010.3.30)
【特許番号】特許第4704505号(P4704505)
【特許公報発行日】平成23年6月15日(2011.6.15)
【出願人】(000231073)日本航空電子工業株式会社 (1,081)
【Fターム(参考)】