基板間接続構造
【課題】大きな電流に対応可能であるとともに組付け作業性に優れた基板間接続構造を提供する。
【解決手段】第1の端子台50と、第2の端子台60と、ねじS3を備えている。第1の端子台50は、基端が第1のプリント基板30に固定され、先端側が第1のプリント基板30から離間する方向に延びている。第2の端子台60は、基端が第2のプリント基板40に固定され、先端側が第2のプリント基板40から離間する方向に延びている。ねじS3により、第2の端子台60に形成したねじ挿通孔66を通して第1の端子台50の水平部51と第2の端子台60の水平部61とが当接する状態で第1の端子台50と第2の端子台60が締結されている。
【解決手段】第1の端子台50と、第2の端子台60と、ねじS3を備えている。第1の端子台50は、基端が第1のプリント基板30に固定され、先端側が第1のプリント基板30から離間する方向に延びている。第2の端子台60は、基端が第2のプリント基板40に固定され、先端側が第2のプリント基板40から離間する方向に延びている。ねじS3により、第2の端子台60に形成したねじ挿通孔66を通して第1の端子台50の水平部51と第2の端子台60の水平部61とが当接する状態で第1の端子台50と第2の端子台60が締結されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1の基板と第2の基板とを電気的に接続するための基板間接続構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
基板同士(2枚の基板)をつなぐ技術として、例えば、次のようなものがある。両方の基板に共にコネクタを設け、両コネクタ同士をハーネスで接続する(例えば、特許文献1)。あるいは、両方の基板に共にコネクタを設け、両コネクタ同士を直接接続する(例えば、特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−262370号公報
【特許文献2】特開2007−60882号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、基板間を接続するコネクタに大電流を流せるものがなく、また、コネクタを利用したハーネスによる接続の場合、組付け時の作業性が悪い。
本発明の目的は、大きな電流に対応可能であるとともに組付け作業性に優れた基板間接続構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の発明では、少なくとも一方の面に半導体素子が実装される第1の基板と、少なくとも一方の面に半導体素子が実装され、前記第1の基板に対向する第2の基板と、基端が前記第1の基板に固定され、先端側が前記第1の基板から離間する方向に延びるとともに平面部を有する第1の接続端子板と、基端が前記第2の基板に固定され、先端側が前記第2の基板から離間する方向に延びるとともに平面部を有する第2の接続端子板と、前記第1の接続端子板の平面部と前記第2の接続端子板の平面部の少なくとも一方に形成したねじ挿通部を通して、前記第1の接続端子板の平面部と前記第2の接続端子板の平面部とが当接する状態で前記第1の接続端子板と前記第2の接続端子板を締結するためのねじ部材と、を備えたことを要旨とする。
【0006】
請求項1に記載の発明によれば、第1の基板と第2の基板は対向しており、第1の接続端子板は、基端が第1の基板に固定され、先端側が第1の基板から離間する方向に延びている。第2の接続端子板は、基端が第2の基板に固定され、先端側が第2の基板から離間する方向に延びている。ねじ部材により、第1の接続端子板の平面部と第2の接続端子板の平面部の少なくとも一方に形成したねじ挿通部を通して、第1の接続端子板の平面部と第2の接続端子板の平面部とが当接する状態で第1の接続端子板と第2の接続端子板が締結される。
【0007】
よって、第1の接続端子板の平面部と第2の接続端子板の平面部とが当接しているので、大きな電流に対応可能である。また、基板間の接続はねじ部材の締結作業により行われるので、組付け作業性に優れている。
【0008】
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の基板間接続構造において、前記第1の接続端子板と第2の接続端子板のうちの一方の接続端子板には前記ねじ部材が通るねじ挿通部が形成され、他方の接続端子板は前記ねじ部材が螺入するねじ孔を有し、前記ねじ挿通部は、前記ねじ孔よりも大きいことを要旨とする。
【0009】
請求項2に記載の発明によれば、ねじ挿通部は、ねじ孔よりも大きいので、ねじ挿通部の形成面における組付け公差を吸収することができる。
請求項3に記載の発明では、請求項1または2に記載の基板間接続構造において、前記第1の接続端子板と第2の接続端子板の少なくとも一方は、前記第1の基板と第2の基板が接近する方向に変形して公差を吸収する公差吸収部を有することを要旨とする。
【0010】
請求項3に記載の発明によれば、公差吸収部により、第1の基板と第2の基板が接近する方向における組付け公差を吸収することができる。
請求項4に記載の発明では、請求項3に記載の基板間接続構造において、前記公差吸収部は、接続端子板に切り欠きを形成することにより構成したことを要旨とする。
【0011】
請求項4に記載の発明によれば、接続端子板に切り欠きを形成することにより公差吸収部を構成することができる。
請求項5に記載の発明のように、請求項1〜4のいずれか1項に記載の基板間接続構造において、前記第1の接続端子板は、前記基端から、前記第2の基板に対し接離する方向に延びる第1の部位と、第1の部位の先端から前記第1の基板に対向する方向に延び前記平面部を構成する第2の部位を有し、前記第2の接続端子板は、前記基端から、前記第1の基板に対し接離する方向に延びる第1の部位と、第1の部位の先端から前記第2の基板に対向する方向に延び前記平面部を構成する第2の部位を有する構成とすることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、大きな電流に対応可能であるとともに組付け作業性に優れた基板間接続構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】(a)は本実施形態における電子機器の平面図、(b)は(a)のA−A線での縦断面図。
【図2】第1の接続端子板の斜視図。
【図3】第2の接続端子板の斜視図。
【図4】(a)は電子機器の第1のプリント基板側の部品の平面図、(b)は(a)のA−A線での縦断面図。
【図5】(a)は電子機器の第2の基板側の部品の平面図、(b)は(a)のA−A線での縦断面図。
【図6】(a)は電子機器の平面図、(b)は(a)のA−A線での縦断面図。
【図7】別例における第1の接続端子板の斜視図。
【図8】(a)は別例における電子機器の第2のプリント基板側の部品の正面図、(b)は電子機器の第2のプリント基板側の部品の下面図。
【図9】(a)は別例における電子機器の第2のプリント基板側の部品の正面図、(b)は電子機器の第2のプリント基板側の部品の下面図。
【図10】別例における電子機器の縦断面図。
【図11】(a)は別例における電子機器の平面図、(b)は(a)のA−A線での縦断面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図面に従って説明する。
図1に示すように、本実施形態の電子機器10は、ケース20の内部に、第1の基板としての第1のプリント基板30と、第2の基板としての第2のプリント基板40が収納されている。第1のプリント基板30には、少なくとも一方の面に半導体素子(図1(b)においてC1で示す)が実装されている。また、第2のプリント基板40には、少なくとも一方の面に半導体素子(図1(b)においてC2で示す)が実装されている。第1のプリント基板30と第2のプリント基板40とは対向している。
【0015】
第1のプリント基板30と第2のプリント基板40とは電気的に接続されている。このとき、第1のプリント基板30に設けた第1の端子台50と、第2のプリント基板40に設けた第2の端子台60とを、ねじ止めすることにより基板間が接続されるようになっている。第1の接続端子板としての第1の端子台50はコ状の帯板よりなり、第2の接続端子板としての第2の端子台60もコ状の帯板よりなる。
【0016】
以下、この基板間接続構造について説明する。
図1に示すように、第1のプリント基板30は、絶縁性基板31と導体32から構成されている。絶縁性基板31における一方の面(下面)には導体32が形成されている。導体32は所望の形状にパターニングされている。
【0017】
第1のプリント基板30は、ケース20の底面に立設された取付円柱材21の上に水平状態で載置されている。第1のプリント基板30の絶縁性基板31を貫通するねじS1を取付円柱材21に螺入することにより第1のプリント基板30が固定されている。
【0018】
第2のプリント基板40は、絶縁性基板41と導体42から構成されている。絶縁性基板41における一方の面(上面)には導体42が形成されている。導体42は所望の形状にパターニングされている。第2のプリント基板40は、ケース20の底面に立設された取付円柱材22の上に水平状態で載置されている。第2のプリント基板40の絶縁性基板41を貫通するねじS2を取付円柱材22に螺入することにより第2のプリント基板40が固定されている。第2のプリント基板40は第1のプリント基板30の上方において一定の距離をおいて第1のプリント基板30と対向して配置されている。
【0019】
第1のプリント基板30には第1の端子台50が設けられている。第1の端子台50は、1枚の金属板を曲げ加工することにより形成したものである。第1の端子台50は、図2に示すように、四角形の水平部51と、水平部51の一端面から90度屈曲された第1垂直部52と、水平部51の他端面から90度屈曲された第2垂直部53と、第1垂直部52の先端面から突出する一対の突起部54a,54bと、第2垂直部53の先端面から突出する一対の突起部55a,55bと、円筒部56(図4参照)と、からなる。
【0020】
第1の端子台50の水平部51は水平方向に延びている。第1垂直部52は水平部51の一端面から下方に延びている。第2垂直部53は水平部51の他端面から下方に延びている。一対の突起部54a,54bは第1垂直部52の下面における両端から下方に延びている。一対の突起部55a,55bは第2垂直部53の下面における両端から下方に延びている。
【0021】
第1の端子台50における一対の突起部54a,54bおよび一対の突起部55a,55bは、図4に示すように、第1のプリント基板30を貫通するとともにはんだ付けにより固定されている。また、第1の端子台50は第1のプリント基板30と電気的に接続されている。第1の端子台50は第2のプリント基板40に向かって上方に延びている。
【0022】
水平部51の中央部には円筒部56(図4参照)が形成され、円筒部56は水平部51から下方に延びている。円筒部56の内面には、ねじS3が螺入するねじ孔56aが形成されている。
【0023】
このように、第1の端子台50は、基端が第1のプリント基板30に固定され、先端側が第1のプリント基板30から離間する方向に延びるとともに平面部としての水平部51を有している。詳しくは、第1の端子台50は、基端から、第2のプリント基板40に対し接離する方向に延びる第1の部位としての垂直部52,53と、垂直部52,53の先端から第1のプリント基板30に対向する方向に延び平面部を構成する第2の部位としての水平部51を有している。
【0024】
図2に示すように、第1の端子台50において、水平部51と第1垂直部52とでなす屈曲部の中央部には切り欠き57が形成されている。同様に、水平部51と第2垂直部53とでなす屈曲部の中央部には切り欠き58が形成されている。
【0025】
図1において、第2のプリント基板40には第2の端子台60が設けられている。第2の端子台60は、1枚の金属板を曲げ加工することにより形成したものである。第2の端子台60は、図3に示すように、長方形の水平部61と、水平部61の一端面から90度屈曲された第1垂直部62と、水平部61の他端面から90度屈曲された第2垂直部63と、第1垂直部62の先端面から突出する一対の突起部64a,64bと、第2垂直部63の先端面から突出する一対の突起部65a,65bとからなる。
【0026】
第2の端子台60の水平部61は水平方向に延びている。第1垂直部62は水平部61の一端面から上方に延びている。第2垂直部63は水平部61の他端面から上方に延びている。一対の突起部64a,64bは第1垂直部62の上面における両端から上方に延びている。一対の突起部65a,65bは第2垂直部63の上面における両端から上方に延びている。
【0027】
第2の端子台60における一対の突起部64a,64bおよび一対の突起部65a,65bは、図5に示すように、第2のプリント基板40を貫通するとともにはんだ付けにより固定されている。また、第2の端子台60は第2のプリント基板40と電気的に接続されている。第2の端子台60は、第1のプリント基板30に向かって下方に延びている。
【0028】
水平部61の中央部にはねじ挿通部としてのねじ挿通孔66が形成され、このねじ挿通孔66にねじS3が通る(図1(b)参照)。
このように、第2の端子台60は、基端が第2のプリント基板40に固定され、先端側が第2のプリント基板40から離間する方向に延びるとともに平面部としての水平部61を有している。詳しくは、第2の端子台60は、基端から、第1のプリント基板30に対し接離する方向に延びる第1の部位としての垂直部62,63と、垂直部62,63の先端から第2のプリント基板40に対向する方向に延び平面部を構成する第2の部位としての水平部61を有している。
【0029】
図1,5において第2のプリント基板40における第2の端子台60の水平部61に対向する部位には貫通孔45が形成されている。この貫通孔45から、ねじS3を第1の端子台50に向かって挿入することができる。
【0030】
図1においてねじS3が、第2の端子台60の水平部61のねじ挿通孔66を通して、第1の端子台50の円筒部56の内面のねじ孔56aに螺入されている。つまり、ねじS3により、第2の端子台60の水平部61に形成したねじ挿通孔66を通して第1の端子台50と第2の端子台60が締結されている。このとき、第1の端子台50の水平部51と第2の端子台60の水平部61とが当接している。よって、第1のプリント基板30に設けた第1の端子台50と、第2のプリント基板40に設けた第2の端子台60とを、ねじS1で締結することにより、基板30,40間の接続が行われる。
【0031】
図3に示す第2の端子台60の水平部61のねじ挿通孔66の径について、ねじ挿通孔66には図1(b)に示すようにねじS3が通るが、ねじ挿通孔66の径はねじ孔56aの径(ねじS3の径)に比べて大きめに設定されている。これは、図1(a)に示すごとく水平方向を構成するX,Y方向の組付け公差を吸収するためである。
【0032】
図2において第1の端子台50に形成した切り欠き57,58により、水平部51が上下に変位可能となっている。そして、ねじ締め時において第1の端子台50の水平部51が上下方向(図1(b)のZ方向)に変位でき、上下方向(Z方向)の組付け公差を吸収することができる。つまり、図6に示すねじの締め付け前の状態から、ねじ締めを行う際に、第1の端子台50の水平部51と第2の端子台60の水平部61との間に隙間(公差)があり、第1の端子台50における第2の端子台60との接触面であるの水平部51が持ち上がるように、第1の端子台50には切り欠き57,58が形成されている。
【0033】
次に、このように構成した基板間接続構造の作用について説明する。
組み立てる際には、ケース20と、第1のプリント基板30と、第2のプリント基板40を用意する。ケース20には取付円柱材21,22が設けられている。第1のプリント基板30には素子が実装されているとともに、第1の端子台50が設けられている。第2のプリント基板40には素子が実装されているとともに、第2の端子台60が設けられている。
【0034】
そして、図6に示すように、ケース20の取付円柱材21の上に、第1のプリント基板30を水平状態で載置し、ねじS1を取付円柱材21に螺入することにより第1のプリント基板30を固定する。引き続き、ケース20の取付円柱材22の上に、第2のプリント基板40を水平状態で載置する。そして、ねじS2を取付円柱材22に螺入することにより第2のプリント基板40を固定する。
【0035】
このとき、第1の端子台50の水平部51と、第2の端子台60の水平部61とは、僅かに離間している。
さらに、図1に示すように、ねじS3を、第2の端子台60の水平部61のねじ挿通孔66を通して、第1の端子台50の円筒部56のねじ孔56aに螺入する。
【0036】
その結果、第1の端子台50と第2の端子台60が締結され、第1の端子台50と第2の端子台60とが電気的に接続される。これにより、第1のプリント基板30と第2のプリント基板40との間が、第1の端子台50と第2の端子台60を介して電気的に接続される。
【0037】
上記実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)基板間接続構造として、第1のプリント基板30と、第2のプリント基板40と、第1の接続端子板としての第1の端子台50と、第2の接続端子板としての第2の端子台60と、ねじ部材としてのねじS3を備えている。第1の端子台50は、基端が第1のプリント基板30に固定され、先端側が第1のプリント基板30から離間する方向に延びている。第2の端子台60は、基端が第2のプリント基板40に固定され、先端側が第2のプリント基板40から離間する方向に延びている。ねじS3により、第2の端子台60の水平部61に形成したねじ挿通孔66を通して第1の端子台50の水平部51と第2の端子台60の水平部61とが当接する状態で第1の端子台50と第2の端子台60が締結される。
【0038】
これにより、第1の端子台50の水平部51と第2の端子台60の水平部61とが当接しているので、大きな電流に対応可能である。また、第1のプリント基板30と第2のプリント基板40との間の接続はねじS3の締結作業により行われるので、組付け作業性に優れている。
【0039】
つまり、それぞれのプリント基板(第1のプリント基板30、第2のプリント基板40)に端子台(第1の端子台50、第2の端子台60)を設置し、互いの端子台(第1の端子台50、第2の端子台60)をねじS3にて締結接続する。よって、端子台(第1の端子台50、第2の端子台60)の接触面積を大きくすることで大電流を流せる接続が可能となる。
【0040】
より詳しく説明する。
従来において基板間を接続するコネクタに大電流を流せるものがなかったが、本実施形態においては、第1の端子台50と第2の端子台60とは面接触(面と面との接触)であるので、大電流を流すことができる。
【0041】
また、従来においてコネクタを利用したハーネスによる接続の場合、組付け時の作業性が悪いが、本実施形態においては、第1の端子台50と第2の端子台60とを重ねてねじ止めするだけで接続することができるので組付け時の作業性がよい。
【0042】
また、従来において作業性を考慮するとハーネスの長さが長くなってしまい、電気的ロス発生の要因となるが、本実施形態においては第1のプリント基板30と第2のプリント基板40とは、両基板30,40とを最短距離で結ぶ端子台(第1の端子台50、第2の端子台60)により電気的に接続されており、電気的ロス発生を極力抑えることができる。
【0043】
(2)第1の端子台50と第2の端子台60のうちの一方の端子台である第2の端子台60にはねじS3が通るねじ挿通孔66が形成され、他方の端子台である第1の端子台50はねじS3が螺入するねじ孔56aを有し、ねじ挿通孔66は、ねじ孔56aよりも大きな径の孔である。これにより、ねじ挿通孔66の形成面における組付け公差を吸収することができる。
【0044】
つまり、従来において基板の組付け公差があると嵌合できなかったが、本実施形態においては、第2の端子台60のねじ挿通孔66の径がねじ孔56aの径(ねじS1の径)に比べて大きめに設定されているので組付け公差を吸収することができる。また、組付け公差が吸収できることからも大電流を流すことができる接続が可能となる。
【0045】
(3)第1の端子台50に切り欠き57,58を形成することにより公差吸収部を構成した。即ち、第1の端子台50と第2の端子台60の少なくとも一方である第1の端子台50は、第1のプリント基板30と第2のプリント基板40が接近する方向に変形して公差を吸収する公差吸収部を有する。これにより、第1のプリント基板30と第2のプリント基板40が接近する方向における組付け公差を吸収することができる。
【0046】
つまり、従来において基板の組付け公差があると嵌合できなかったが、本実施形態においては、第1の端子台50に切り欠き57,58を形成して組付け公差を吸収することができる。また、組付け公差が吸収できることからも大電流を流すことができる接続が可能となる。
【0047】
実施形態は前記に限定されるものではなく、例えば、次のように具体化してもよい。
・上記実施形態における下側の第1の端子台50と上側の第2の端子台60を逆にして、上側の端子台に切り欠きを設けて(下動可能構造とし)、下側の端子台に切り欠きを設けない構成としてもよい。
【0048】
・あるいは、上側の端子台に切り欠きを設けて(下動可能構造とし)、下側の端子台も切り欠きを設けて(上動可能構造として)もよい。
・図2に代わり、図7に示すような第1の端子台50にコ字状の切り欠き(スリット)59を形成して、切り欠き(スリット)59で囲まれた部位を上下に変位可能な構成としてもよい。
【0049】
・図5に代わり、図8に示すように第2の端子台60においてねじS3が通る部位72に達する切り欠き(スリット)70,71を形成してもよい。つまり、第2の端子台60を二分割して(左側の部位と右側の部位に分けて)、分割した各部位(左側の部位と右側の部位)は独立して第2のプリント基板40に固定されている構成としてもよい。この場合、下側の第1の端子台50には切り欠き57,58が不要となる。
【0050】
・図8においては第2の端子台60を左側の部位と右側の部位に分けたが、これに代わり、図9に示すように、左右のうち一方の部位のみで端子台を構成して第2のプリント基板40に固定し、ねじS3が通るねじ挿通部75を有する構成としてもよい。
【0051】
・図1(b)ではねじS3を第1の端子台50のねじ孔56aに螺入する構成としたが、これに代わり、図10に示すように、ねじ部材としてのボルト80とナット81を用いて、ボルト80を第1の端子台50および第2の端子台60に貫通させナット81に螺入することにより第1の端子台50と第2の端子台60とをねじ止めしてもよい。
【0052】
・図1では第1のプリント基板30に固定した第1の端子台50は第2のプリント基板40に接近する方向に延びるとともに、第2のプリント基板40に固定した第2の端子台60は第1のプリント基板30に接近する方向に延び、第1のプリント基板30と第2のプリント基板40との間で端子台同士(第1の端子台50、第2の端子台60)を突き合わせてねじ止めした。これに代わり、図11に示す構成としてもよい。
【0053】
図11において、第1の接続端子板としての第1の端子台90は帯板をコ字状に屈曲形成して構成され、水平部91と第1垂直部92と第2垂直部93を有している。垂直部92,93の先端部94,95が第1のプリント基板30に固定されている。また、水平部91の中央部には、内面にねじ孔を有する円筒部96が形成されている。第2のプリント基板40において、第1の端子台90の水平部91に対向する部位には貫通孔46が形成され、貫通孔46を通して第1の端子台90は第2のプリント基板40を貫通しており、第1の端子台90の水平部91は第2のプリント基板40よりも上方に位置している。
【0054】
第2の接続端子板としての第2の端子台100は帯板をコ字状に屈曲形成して構成され、水平部101と第1垂直部102と第2垂直部103を有している。垂直部102,103の先端部104,105が第2のプリント基板40に固定されている。第2の端子台100は上方に延びている。
【0055】
第2の端子台100の水平部101の下に第1の端子台90の水平部91が位置する状態でねじS10を第2の端子台100の水平部101を貫通して第1の端子台90の円筒部96のねじ孔に螺入することにより第1の端子台90と第2の端子台100が締結されている。
【0056】
・第1の基板は、少なくとも一方の面に半導体素子が実装されていればよく、第2の基板も、少なくとも一方の面に半導体素子が実装されていればよい。両面実装の場合、絶縁性基板の少なくとも一面に導体がパターニングされる。
【符号の説明】
【0057】
30…第1のプリント基板、40…第2のプリント基板、50…第1の端子台、51…水平部、52…第1垂直部、53…第2垂直部、56a…ねじ孔、57…切り欠き、58…切り欠き、59…切り欠き、60…第2の端子台、61…水平部、62…第1垂直部、63…第2垂直部、66…ねじ挿通孔、80…ボルト、81…ナット、90…第1の端子台、91…水平部、92…第1垂直部、93…第2垂直部、100…第2の端子台、101…水平部、102…第1垂直部、103…第2垂直部。
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1の基板と第2の基板とを電気的に接続するための基板間接続構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
基板同士(2枚の基板)をつなぐ技術として、例えば、次のようなものがある。両方の基板に共にコネクタを設け、両コネクタ同士をハーネスで接続する(例えば、特許文献1)。あるいは、両方の基板に共にコネクタを設け、両コネクタ同士を直接接続する(例えば、特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−262370号公報
【特許文献2】特開2007−60882号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、基板間を接続するコネクタに大電流を流せるものがなく、また、コネクタを利用したハーネスによる接続の場合、組付け時の作業性が悪い。
本発明の目的は、大きな電流に対応可能であるとともに組付け作業性に優れた基板間接続構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の発明では、少なくとも一方の面に半導体素子が実装される第1の基板と、少なくとも一方の面に半導体素子が実装され、前記第1の基板に対向する第2の基板と、基端が前記第1の基板に固定され、先端側が前記第1の基板から離間する方向に延びるとともに平面部を有する第1の接続端子板と、基端が前記第2の基板に固定され、先端側が前記第2の基板から離間する方向に延びるとともに平面部を有する第2の接続端子板と、前記第1の接続端子板の平面部と前記第2の接続端子板の平面部の少なくとも一方に形成したねじ挿通部を通して、前記第1の接続端子板の平面部と前記第2の接続端子板の平面部とが当接する状態で前記第1の接続端子板と前記第2の接続端子板を締結するためのねじ部材と、を備えたことを要旨とする。
【0006】
請求項1に記載の発明によれば、第1の基板と第2の基板は対向しており、第1の接続端子板は、基端が第1の基板に固定され、先端側が第1の基板から離間する方向に延びている。第2の接続端子板は、基端が第2の基板に固定され、先端側が第2の基板から離間する方向に延びている。ねじ部材により、第1の接続端子板の平面部と第2の接続端子板の平面部の少なくとも一方に形成したねじ挿通部を通して、第1の接続端子板の平面部と第2の接続端子板の平面部とが当接する状態で第1の接続端子板と第2の接続端子板が締結される。
【0007】
よって、第1の接続端子板の平面部と第2の接続端子板の平面部とが当接しているので、大きな電流に対応可能である。また、基板間の接続はねじ部材の締結作業により行われるので、組付け作業性に優れている。
【0008】
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の基板間接続構造において、前記第1の接続端子板と第2の接続端子板のうちの一方の接続端子板には前記ねじ部材が通るねじ挿通部が形成され、他方の接続端子板は前記ねじ部材が螺入するねじ孔を有し、前記ねじ挿通部は、前記ねじ孔よりも大きいことを要旨とする。
【0009】
請求項2に記載の発明によれば、ねじ挿通部は、ねじ孔よりも大きいので、ねじ挿通部の形成面における組付け公差を吸収することができる。
請求項3に記載の発明では、請求項1または2に記載の基板間接続構造において、前記第1の接続端子板と第2の接続端子板の少なくとも一方は、前記第1の基板と第2の基板が接近する方向に変形して公差を吸収する公差吸収部を有することを要旨とする。
【0010】
請求項3に記載の発明によれば、公差吸収部により、第1の基板と第2の基板が接近する方向における組付け公差を吸収することができる。
請求項4に記載の発明では、請求項3に記載の基板間接続構造において、前記公差吸収部は、接続端子板に切り欠きを形成することにより構成したことを要旨とする。
【0011】
請求項4に記載の発明によれば、接続端子板に切り欠きを形成することにより公差吸収部を構成することができる。
請求項5に記載の発明のように、請求項1〜4のいずれか1項に記載の基板間接続構造において、前記第1の接続端子板は、前記基端から、前記第2の基板に対し接離する方向に延びる第1の部位と、第1の部位の先端から前記第1の基板に対向する方向に延び前記平面部を構成する第2の部位を有し、前記第2の接続端子板は、前記基端から、前記第1の基板に対し接離する方向に延びる第1の部位と、第1の部位の先端から前記第2の基板に対向する方向に延び前記平面部を構成する第2の部位を有する構成とすることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、大きな電流に対応可能であるとともに組付け作業性に優れた基板間接続構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】(a)は本実施形態における電子機器の平面図、(b)は(a)のA−A線での縦断面図。
【図2】第1の接続端子板の斜視図。
【図3】第2の接続端子板の斜視図。
【図4】(a)は電子機器の第1のプリント基板側の部品の平面図、(b)は(a)のA−A線での縦断面図。
【図5】(a)は電子機器の第2の基板側の部品の平面図、(b)は(a)のA−A線での縦断面図。
【図6】(a)は電子機器の平面図、(b)は(a)のA−A線での縦断面図。
【図7】別例における第1の接続端子板の斜視図。
【図8】(a)は別例における電子機器の第2のプリント基板側の部品の正面図、(b)は電子機器の第2のプリント基板側の部品の下面図。
【図9】(a)は別例における電子機器の第2のプリント基板側の部品の正面図、(b)は電子機器の第2のプリント基板側の部品の下面図。
【図10】別例における電子機器の縦断面図。
【図11】(a)は別例における電子機器の平面図、(b)は(a)のA−A線での縦断面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図面に従って説明する。
図1に示すように、本実施形態の電子機器10は、ケース20の内部に、第1の基板としての第1のプリント基板30と、第2の基板としての第2のプリント基板40が収納されている。第1のプリント基板30には、少なくとも一方の面に半導体素子(図1(b)においてC1で示す)が実装されている。また、第2のプリント基板40には、少なくとも一方の面に半導体素子(図1(b)においてC2で示す)が実装されている。第1のプリント基板30と第2のプリント基板40とは対向している。
【0015】
第1のプリント基板30と第2のプリント基板40とは電気的に接続されている。このとき、第1のプリント基板30に設けた第1の端子台50と、第2のプリント基板40に設けた第2の端子台60とを、ねじ止めすることにより基板間が接続されるようになっている。第1の接続端子板としての第1の端子台50はコ状の帯板よりなり、第2の接続端子板としての第2の端子台60もコ状の帯板よりなる。
【0016】
以下、この基板間接続構造について説明する。
図1に示すように、第1のプリント基板30は、絶縁性基板31と導体32から構成されている。絶縁性基板31における一方の面(下面)には導体32が形成されている。導体32は所望の形状にパターニングされている。
【0017】
第1のプリント基板30は、ケース20の底面に立設された取付円柱材21の上に水平状態で載置されている。第1のプリント基板30の絶縁性基板31を貫通するねじS1を取付円柱材21に螺入することにより第1のプリント基板30が固定されている。
【0018】
第2のプリント基板40は、絶縁性基板41と導体42から構成されている。絶縁性基板41における一方の面(上面)には導体42が形成されている。導体42は所望の形状にパターニングされている。第2のプリント基板40は、ケース20の底面に立設された取付円柱材22の上に水平状態で載置されている。第2のプリント基板40の絶縁性基板41を貫通するねじS2を取付円柱材22に螺入することにより第2のプリント基板40が固定されている。第2のプリント基板40は第1のプリント基板30の上方において一定の距離をおいて第1のプリント基板30と対向して配置されている。
【0019】
第1のプリント基板30には第1の端子台50が設けられている。第1の端子台50は、1枚の金属板を曲げ加工することにより形成したものである。第1の端子台50は、図2に示すように、四角形の水平部51と、水平部51の一端面から90度屈曲された第1垂直部52と、水平部51の他端面から90度屈曲された第2垂直部53と、第1垂直部52の先端面から突出する一対の突起部54a,54bと、第2垂直部53の先端面から突出する一対の突起部55a,55bと、円筒部56(図4参照)と、からなる。
【0020】
第1の端子台50の水平部51は水平方向に延びている。第1垂直部52は水平部51の一端面から下方に延びている。第2垂直部53は水平部51の他端面から下方に延びている。一対の突起部54a,54bは第1垂直部52の下面における両端から下方に延びている。一対の突起部55a,55bは第2垂直部53の下面における両端から下方に延びている。
【0021】
第1の端子台50における一対の突起部54a,54bおよび一対の突起部55a,55bは、図4に示すように、第1のプリント基板30を貫通するとともにはんだ付けにより固定されている。また、第1の端子台50は第1のプリント基板30と電気的に接続されている。第1の端子台50は第2のプリント基板40に向かって上方に延びている。
【0022】
水平部51の中央部には円筒部56(図4参照)が形成され、円筒部56は水平部51から下方に延びている。円筒部56の内面には、ねじS3が螺入するねじ孔56aが形成されている。
【0023】
このように、第1の端子台50は、基端が第1のプリント基板30に固定され、先端側が第1のプリント基板30から離間する方向に延びるとともに平面部としての水平部51を有している。詳しくは、第1の端子台50は、基端から、第2のプリント基板40に対し接離する方向に延びる第1の部位としての垂直部52,53と、垂直部52,53の先端から第1のプリント基板30に対向する方向に延び平面部を構成する第2の部位としての水平部51を有している。
【0024】
図2に示すように、第1の端子台50において、水平部51と第1垂直部52とでなす屈曲部の中央部には切り欠き57が形成されている。同様に、水平部51と第2垂直部53とでなす屈曲部の中央部には切り欠き58が形成されている。
【0025】
図1において、第2のプリント基板40には第2の端子台60が設けられている。第2の端子台60は、1枚の金属板を曲げ加工することにより形成したものである。第2の端子台60は、図3に示すように、長方形の水平部61と、水平部61の一端面から90度屈曲された第1垂直部62と、水平部61の他端面から90度屈曲された第2垂直部63と、第1垂直部62の先端面から突出する一対の突起部64a,64bと、第2垂直部63の先端面から突出する一対の突起部65a,65bとからなる。
【0026】
第2の端子台60の水平部61は水平方向に延びている。第1垂直部62は水平部61の一端面から上方に延びている。第2垂直部63は水平部61の他端面から上方に延びている。一対の突起部64a,64bは第1垂直部62の上面における両端から上方に延びている。一対の突起部65a,65bは第2垂直部63の上面における両端から上方に延びている。
【0027】
第2の端子台60における一対の突起部64a,64bおよび一対の突起部65a,65bは、図5に示すように、第2のプリント基板40を貫通するとともにはんだ付けにより固定されている。また、第2の端子台60は第2のプリント基板40と電気的に接続されている。第2の端子台60は、第1のプリント基板30に向かって下方に延びている。
【0028】
水平部61の中央部にはねじ挿通部としてのねじ挿通孔66が形成され、このねじ挿通孔66にねじS3が通る(図1(b)参照)。
このように、第2の端子台60は、基端が第2のプリント基板40に固定され、先端側が第2のプリント基板40から離間する方向に延びるとともに平面部としての水平部61を有している。詳しくは、第2の端子台60は、基端から、第1のプリント基板30に対し接離する方向に延びる第1の部位としての垂直部62,63と、垂直部62,63の先端から第2のプリント基板40に対向する方向に延び平面部を構成する第2の部位としての水平部61を有している。
【0029】
図1,5において第2のプリント基板40における第2の端子台60の水平部61に対向する部位には貫通孔45が形成されている。この貫通孔45から、ねじS3を第1の端子台50に向かって挿入することができる。
【0030】
図1においてねじS3が、第2の端子台60の水平部61のねじ挿通孔66を通して、第1の端子台50の円筒部56の内面のねじ孔56aに螺入されている。つまり、ねじS3により、第2の端子台60の水平部61に形成したねじ挿通孔66を通して第1の端子台50と第2の端子台60が締結されている。このとき、第1の端子台50の水平部51と第2の端子台60の水平部61とが当接している。よって、第1のプリント基板30に設けた第1の端子台50と、第2のプリント基板40に設けた第2の端子台60とを、ねじS1で締結することにより、基板30,40間の接続が行われる。
【0031】
図3に示す第2の端子台60の水平部61のねじ挿通孔66の径について、ねじ挿通孔66には図1(b)に示すようにねじS3が通るが、ねじ挿通孔66の径はねじ孔56aの径(ねじS3の径)に比べて大きめに設定されている。これは、図1(a)に示すごとく水平方向を構成するX,Y方向の組付け公差を吸収するためである。
【0032】
図2において第1の端子台50に形成した切り欠き57,58により、水平部51が上下に変位可能となっている。そして、ねじ締め時において第1の端子台50の水平部51が上下方向(図1(b)のZ方向)に変位でき、上下方向(Z方向)の組付け公差を吸収することができる。つまり、図6に示すねじの締め付け前の状態から、ねじ締めを行う際に、第1の端子台50の水平部51と第2の端子台60の水平部61との間に隙間(公差)があり、第1の端子台50における第2の端子台60との接触面であるの水平部51が持ち上がるように、第1の端子台50には切り欠き57,58が形成されている。
【0033】
次に、このように構成した基板間接続構造の作用について説明する。
組み立てる際には、ケース20と、第1のプリント基板30と、第2のプリント基板40を用意する。ケース20には取付円柱材21,22が設けられている。第1のプリント基板30には素子が実装されているとともに、第1の端子台50が設けられている。第2のプリント基板40には素子が実装されているとともに、第2の端子台60が設けられている。
【0034】
そして、図6に示すように、ケース20の取付円柱材21の上に、第1のプリント基板30を水平状態で載置し、ねじS1を取付円柱材21に螺入することにより第1のプリント基板30を固定する。引き続き、ケース20の取付円柱材22の上に、第2のプリント基板40を水平状態で載置する。そして、ねじS2を取付円柱材22に螺入することにより第2のプリント基板40を固定する。
【0035】
このとき、第1の端子台50の水平部51と、第2の端子台60の水平部61とは、僅かに離間している。
さらに、図1に示すように、ねじS3を、第2の端子台60の水平部61のねじ挿通孔66を通して、第1の端子台50の円筒部56のねじ孔56aに螺入する。
【0036】
その結果、第1の端子台50と第2の端子台60が締結され、第1の端子台50と第2の端子台60とが電気的に接続される。これにより、第1のプリント基板30と第2のプリント基板40との間が、第1の端子台50と第2の端子台60を介して電気的に接続される。
【0037】
上記実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)基板間接続構造として、第1のプリント基板30と、第2のプリント基板40と、第1の接続端子板としての第1の端子台50と、第2の接続端子板としての第2の端子台60と、ねじ部材としてのねじS3を備えている。第1の端子台50は、基端が第1のプリント基板30に固定され、先端側が第1のプリント基板30から離間する方向に延びている。第2の端子台60は、基端が第2のプリント基板40に固定され、先端側が第2のプリント基板40から離間する方向に延びている。ねじS3により、第2の端子台60の水平部61に形成したねじ挿通孔66を通して第1の端子台50の水平部51と第2の端子台60の水平部61とが当接する状態で第1の端子台50と第2の端子台60が締結される。
【0038】
これにより、第1の端子台50の水平部51と第2の端子台60の水平部61とが当接しているので、大きな電流に対応可能である。また、第1のプリント基板30と第2のプリント基板40との間の接続はねじS3の締結作業により行われるので、組付け作業性に優れている。
【0039】
つまり、それぞれのプリント基板(第1のプリント基板30、第2のプリント基板40)に端子台(第1の端子台50、第2の端子台60)を設置し、互いの端子台(第1の端子台50、第2の端子台60)をねじS3にて締結接続する。よって、端子台(第1の端子台50、第2の端子台60)の接触面積を大きくすることで大電流を流せる接続が可能となる。
【0040】
より詳しく説明する。
従来において基板間を接続するコネクタに大電流を流せるものがなかったが、本実施形態においては、第1の端子台50と第2の端子台60とは面接触(面と面との接触)であるので、大電流を流すことができる。
【0041】
また、従来においてコネクタを利用したハーネスによる接続の場合、組付け時の作業性が悪いが、本実施形態においては、第1の端子台50と第2の端子台60とを重ねてねじ止めするだけで接続することができるので組付け時の作業性がよい。
【0042】
また、従来において作業性を考慮するとハーネスの長さが長くなってしまい、電気的ロス発生の要因となるが、本実施形態においては第1のプリント基板30と第2のプリント基板40とは、両基板30,40とを最短距離で結ぶ端子台(第1の端子台50、第2の端子台60)により電気的に接続されており、電気的ロス発生を極力抑えることができる。
【0043】
(2)第1の端子台50と第2の端子台60のうちの一方の端子台である第2の端子台60にはねじS3が通るねじ挿通孔66が形成され、他方の端子台である第1の端子台50はねじS3が螺入するねじ孔56aを有し、ねじ挿通孔66は、ねじ孔56aよりも大きな径の孔である。これにより、ねじ挿通孔66の形成面における組付け公差を吸収することができる。
【0044】
つまり、従来において基板の組付け公差があると嵌合できなかったが、本実施形態においては、第2の端子台60のねじ挿通孔66の径がねじ孔56aの径(ねじS1の径)に比べて大きめに設定されているので組付け公差を吸収することができる。また、組付け公差が吸収できることからも大電流を流すことができる接続が可能となる。
【0045】
(3)第1の端子台50に切り欠き57,58を形成することにより公差吸収部を構成した。即ち、第1の端子台50と第2の端子台60の少なくとも一方である第1の端子台50は、第1のプリント基板30と第2のプリント基板40が接近する方向に変形して公差を吸収する公差吸収部を有する。これにより、第1のプリント基板30と第2のプリント基板40が接近する方向における組付け公差を吸収することができる。
【0046】
つまり、従来において基板の組付け公差があると嵌合できなかったが、本実施形態においては、第1の端子台50に切り欠き57,58を形成して組付け公差を吸収することができる。また、組付け公差が吸収できることからも大電流を流すことができる接続が可能となる。
【0047】
実施形態は前記に限定されるものではなく、例えば、次のように具体化してもよい。
・上記実施形態における下側の第1の端子台50と上側の第2の端子台60を逆にして、上側の端子台に切り欠きを設けて(下動可能構造とし)、下側の端子台に切り欠きを設けない構成としてもよい。
【0048】
・あるいは、上側の端子台に切り欠きを設けて(下動可能構造とし)、下側の端子台も切り欠きを設けて(上動可能構造として)もよい。
・図2に代わり、図7に示すような第1の端子台50にコ字状の切り欠き(スリット)59を形成して、切り欠き(スリット)59で囲まれた部位を上下に変位可能な構成としてもよい。
【0049】
・図5に代わり、図8に示すように第2の端子台60においてねじS3が通る部位72に達する切り欠き(スリット)70,71を形成してもよい。つまり、第2の端子台60を二分割して(左側の部位と右側の部位に分けて)、分割した各部位(左側の部位と右側の部位)は独立して第2のプリント基板40に固定されている構成としてもよい。この場合、下側の第1の端子台50には切り欠き57,58が不要となる。
【0050】
・図8においては第2の端子台60を左側の部位と右側の部位に分けたが、これに代わり、図9に示すように、左右のうち一方の部位のみで端子台を構成して第2のプリント基板40に固定し、ねじS3が通るねじ挿通部75を有する構成としてもよい。
【0051】
・図1(b)ではねじS3を第1の端子台50のねじ孔56aに螺入する構成としたが、これに代わり、図10に示すように、ねじ部材としてのボルト80とナット81を用いて、ボルト80を第1の端子台50および第2の端子台60に貫通させナット81に螺入することにより第1の端子台50と第2の端子台60とをねじ止めしてもよい。
【0052】
・図1では第1のプリント基板30に固定した第1の端子台50は第2のプリント基板40に接近する方向に延びるとともに、第2のプリント基板40に固定した第2の端子台60は第1のプリント基板30に接近する方向に延び、第1のプリント基板30と第2のプリント基板40との間で端子台同士(第1の端子台50、第2の端子台60)を突き合わせてねじ止めした。これに代わり、図11に示す構成としてもよい。
【0053】
図11において、第1の接続端子板としての第1の端子台90は帯板をコ字状に屈曲形成して構成され、水平部91と第1垂直部92と第2垂直部93を有している。垂直部92,93の先端部94,95が第1のプリント基板30に固定されている。また、水平部91の中央部には、内面にねじ孔を有する円筒部96が形成されている。第2のプリント基板40において、第1の端子台90の水平部91に対向する部位には貫通孔46が形成され、貫通孔46を通して第1の端子台90は第2のプリント基板40を貫通しており、第1の端子台90の水平部91は第2のプリント基板40よりも上方に位置している。
【0054】
第2の接続端子板としての第2の端子台100は帯板をコ字状に屈曲形成して構成され、水平部101と第1垂直部102と第2垂直部103を有している。垂直部102,103の先端部104,105が第2のプリント基板40に固定されている。第2の端子台100は上方に延びている。
【0055】
第2の端子台100の水平部101の下に第1の端子台90の水平部91が位置する状態でねじS10を第2の端子台100の水平部101を貫通して第1の端子台90の円筒部96のねじ孔に螺入することにより第1の端子台90と第2の端子台100が締結されている。
【0056】
・第1の基板は、少なくとも一方の面に半導体素子が実装されていればよく、第2の基板も、少なくとも一方の面に半導体素子が実装されていればよい。両面実装の場合、絶縁性基板の少なくとも一面に導体がパターニングされる。
【符号の説明】
【0057】
30…第1のプリント基板、40…第2のプリント基板、50…第1の端子台、51…水平部、52…第1垂直部、53…第2垂直部、56a…ねじ孔、57…切り欠き、58…切り欠き、59…切り欠き、60…第2の端子台、61…水平部、62…第1垂直部、63…第2垂直部、66…ねじ挿通孔、80…ボルト、81…ナット、90…第1の端子台、91…水平部、92…第1垂直部、93…第2垂直部、100…第2の端子台、101…水平部、102…第1垂直部、103…第2垂直部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一方の面に半導体素子が実装される第1の基板と、
少なくとも一方の面に半導体素子が実装され、前記第1の基板に対向する第2の基板と、
基端が前記第1の基板に固定され、先端側が前記第1の基板から離間する方向に延びるとともに平面部を有する第1の接続端子板と、
基端が前記第2の基板に固定され、先端側が前記第2の基板から離間する方向に延びるとともに平面部を有する第2の接続端子板と、
前記第1の接続端子板の平面部と前記第2の接続端子板の平面部の少なくとも一方に形成したねじ挿通部を通して、前記第1の接続端子板の平面部と前記第2の接続端子板の平面部とが当接する状態で前記第1の接続端子板と前記第2の接続端子板を締結するためのねじ部材と、
を備えたことを特徴とする基板間接続構造。
【請求項2】
前記第1の接続端子板と第2の接続端子板のうちの一方の接続端子板には前記ねじ部材が通るねじ挿通部が形成され、他方の接続端子板は前記ねじ部材が螺入するねじ孔を有し、
前記ねじ挿通部は、前記ねじ孔よりも大きいことを特徴とする請求項1に記載の基板間接続構造。
【請求項3】
前記第1の接続端子板と第2の接続端子板の少なくとも一方は、前記第1の基板と第2の基板が接近する方向に変形して公差を吸収する公差吸収部を有することを特徴とする請求項1または2に記載の基板間接続構造。
【請求項4】
前記公差吸収部は、接続端子板に切り欠きを形成することにより構成したことを特徴とする請求項3に記載の基板間接続構造。
【請求項5】
前記第1の接続端子板は、前記基端から、前記第2の基板に対し接離する方向に延びる第1の部位と、第1の部位の先端から前記第1の基板に対向する方向に延び前記平面部を構成する第2の部位を有し、
前記第2の接続端子板は、前記基端から、前記第1の基板に対し接離する方向に延びる第1の部位と、第1の部位の先端から前記第2の基板に対向する方向に延び前記平面部を構成する第2の部位を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の基板間接続構造。
【請求項1】
少なくとも一方の面に半導体素子が実装される第1の基板と、
少なくとも一方の面に半導体素子が実装され、前記第1の基板に対向する第2の基板と、
基端が前記第1の基板に固定され、先端側が前記第1の基板から離間する方向に延びるとともに平面部を有する第1の接続端子板と、
基端が前記第2の基板に固定され、先端側が前記第2の基板から離間する方向に延びるとともに平面部を有する第2の接続端子板と、
前記第1の接続端子板の平面部と前記第2の接続端子板の平面部の少なくとも一方に形成したねじ挿通部を通して、前記第1の接続端子板の平面部と前記第2の接続端子板の平面部とが当接する状態で前記第1の接続端子板と前記第2の接続端子板を締結するためのねじ部材と、
を備えたことを特徴とする基板間接続構造。
【請求項2】
前記第1の接続端子板と第2の接続端子板のうちの一方の接続端子板には前記ねじ部材が通るねじ挿通部が形成され、他方の接続端子板は前記ねじ部材が螺入するねじ孔を有し、
前記ねじ挿通部は、前記ねじ孔よりも大きいことを特徴とする請求項1に記載の基板間接続構造。
【請求項3】
前記第1の接続端子板と第2の接続端子板の少なくとも一方は、前記第1の基板と第2の基板が接近する方向に変形して公差を吸収する公差吸収部を有することを特徴とする請求項1または2に記載の基板間接続構造。
【請求項4】
前記公差吸収部は、接続端子板に切り欠きを形成することにより構成したことを特徴とする請求項3に記載の基板間接続構造。
【請求項5】
前記第1の接続端子板は、前記基端から、前記第2の基板に対し接離する方向に延びる第1の部位と、第1の部位の先端から前記第1の基板に対向する方向に延び前記平面部を構成する第2の部位を有し、
前記第2の接続端子板は、前記基端から、前記第1の基板に対し接離する方向に延びる第1の部位と、第1の部位の先端から前記第2の基板に対向する方向に延び前記平面部を構成する第2の部位を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の基板間接続構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−146788(P2012−146788A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−3331(P2011−3331)
【出願日】平成23年1月11日(2011.1.11)
【出願人】(000003218)株式会社豊田自動織機 (4,162)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年1月11日(2011.1.11)
【出願人】(000003218)株式会社豊田自動織機 (4,162)
【Fターム(参考)】
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