基準マーカを使用しない、超音波像による軟組織ターゲットの動的な追跡
基準マーカを使用することなく、超音波像を用いて、軟組織ターゲットを動的に追跡する装置及び方法である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、放射線処置の分野に関し、具体的には、放射線処置中に超音波像を用いたターゲットの追跡に関する。
【背景技術】
【0002】
腫瘍は、生理的機能には何の役にも立たない細胞の、コントロールされない進行性の増殖の結果生じる、組織の異常成長である。腫瘍は、悪性(癌性)のものと良性のものがある。悪性腫瘍は、癌性細胞を、人体の他の部分に血管又はリンパ系を介して撒き散らす(転移)。良性腫瘍は転移しないが、神経、血管、器官(特に脳)などの重要な人体構造に突き当たると、やはり生命を脅かす可能性がある。
【0003】
腫瘍処置の非侵襲性の方法が、外部ビーム放射線治療である。外部ビーム放射線治療のあるタイプでは、腫瘍がビームの回転の中心(アイソセンタ)になるように患者が配置された状態で、複数の角度から一連のX線ビームを腫瘍部位に向けるために、1つの外部放射線源が使用される。放射線源の角度が変更されると、どのビームも腫瘍部位を通過するが、腫瘍までの途中では健全な組織の異なった領域を通過する。その結果、腫瘍で蓄積する放射線量が高くなるが、健全な組織への平均放射線量は低くなる。放射線治療という用語は、治療ではなく壊死の目的でターゲット領域に適用される手順を示す。放射線治療の処置セッションに利用される放射線量は、一般に、放射線手術のセッションで使用される量と比べるとおよそ1桁小さい。放射線治療は一般に、1回の処置の線量が少ないこと(例えば、100〜200センチ・グレイ(cGy))、短い処置時間(例えば、1回の処置につき10〜30分)と多分割照射(例えば、30〜45日の処置)を特徴とする。便宜上、用語「放射線処置」は本明細書において、放射線の大きさによる断りのない限り、放射線手術及び/又は放射線治療を意味するためにも使用される。
【0004】
外部ビーム放射線処置に見られる1つの問題は、病的組織(例えば、腫瘍)が処置中に動くことがあるということである。これにより、正確なターゲットの位置特定性(すなわち、ターゲットの位置の正確な追跡)が低下する。特に、軟組織ターゲットは、放射線処置の実施セッション中、患者の呼吸と共に動く傾向がある。呼吸器の動きにより、胸部又は腹部にある腫瘍が動く可能性は、例えば3センチメートル(cm)を上回る。かかる呼吸器の動きがあると、例えば、周囲の健全な組織を回避しながら、ターゲットに放射線量を精密かつ正確に実施するという目標を達成することが困難になる。外部ビーム放射線処置では、処置プランニング段階中に計算された放射線量分布を実現するために、処置中の病的組織に放射線ビームを正確に送るということが重要になる。
【0005】
呼吸作用による腫瘍の動きの問題に取り組むための1つの従来の解決策は、ゲーティング法を使用することである。ゲーティング法は、放射線ビームを患者に向けている間にビームを動かさないので、呼吸の動きを直接には補償しない。腫瘍がその基準位置から移動したと思われるときに放射線ビームがオフされる。ただし、ゲーティング法を使用することの不利な点は、放射線処置の実施に必要な時間がかなり増大することである。別の不利な点は、かかる手法により、腫瘍位置に行われる仮定のため、腫瘍の処置が不正確になる可能性があるということである。
【0006】
ターゲットの動きを追跡するための1つ従来の解決策は、患者の外側に(例えば、皮膚の上)に配置された外部マーカ(例えば、赤外線発光素子)を利用する。外部マーカは、光学的な(例えば、赤外線)追跡システムを使用して、自動的に追跡される。しかし、外部マーカは、呼吸動作によって引き起こされる内部変位を十分に反映することができない。患者の大きな外部の動きが、非常に小さな内部の動きと共に生じる可能性がある。例えば、内部ターゲットは、皮膚表面よりもはるかにゆっくりと動く。
【0007】
他のターゲットの動きを追跡する従来の解決策は、埋め込まれた基準の使用を含む。一般に、放射線不透過性の基準マーカ(例えば、金製のシード又はステンレス鋼ねじ)が、処置前に、ターゲット器官に近接して、又はその中に埋め込まれ、処置実施中に基準点として使用される。立体X線画像化が、処置中、基準マーカの精密な空間的位置を計算するために(例えば、10秒毎に1回)使用される。ただし、内部マーカだけでは、正確な追跡に十分ではない可能性がある。他の従来の解決策は、内部基準マーカのX線画像化を外部マーカの光学的な追跡と同期させ、内部基準マーカの追跡を外部マーカの追跡と結び付ける。しかし、かかる結合追跡手法もやはり、内部基準マーカの追跡を必要とするという不利な点を有する。
【0008】
内部基準マーカの追跡では、高い精度は骨に埋め込まれた基準マーカを使用することによって達成される傾向にあるので、患者にとって困難を伴う可能性がある。基準マーカの骨への埋め込みには、困難と痛みを伴う侵襲性の処置を行う必要があるが(特に頸椎の場合)、この処置はしばしば合併症を招く恐れがある。さらに、骨に埋め込まれた基準マーカの追跡もやはり、軟組織ターゲットの動き又は変形のために、正確な結果をもたらさない可能性がある。さらに、基準マーカを骨に埋め込むのであれ、コンピュータ断層撮影(CT)による監視のもとに生検針を介してターゲット部位の近傍の軟組織に導入するのであれ、患者は、放射線処置の前に、かかる侵襲性の処置を受けなければならない。
【0009】
埋め込まれた基準マーカを使用することなく腫瘍の動きを追跡する従来の技法が、A.Schweikard、H Shiomi、J.Adlerによる「Respiration Tracking in Radiosurgery Without Fiducials」(基準を使用しない放射線手術における呼吸作用の追跡)、International Journal Medical Robotics and Computer Assisted Surgery、2005年1月、19〜27に記載されている。これに記載されている基準レス追跡技法は、腫瘍位置に関する断続的な情報を取得するために、隣接した骨のランドマーク(ほとんどの場合、腫瘍自体は、X線像で見えない可能性がある)のデジタル再構成X線写真(DRR:digitally reconstructed radiograph)と内部処置X線像との位置合わせに結び付けられた、CTデータ・セットについての変形アルゴリズムを使用する。次いで、このターゲット位置情報は、リアルタイム追跡を実現するために、従来の対比技法と結び付けられる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記の従来の方法全てについての1つの不利な点は、外部マーカ追跡を除いて、基準すなわちターゲット位置に関する断続的な情報を取得するために撮られる処置範囲内のX線写真による非処置的な放射線に、患者が繰り返し被爆する必要があるということである。
【0011】
本発明の実施形態は、制限のためではなく例として添付の図面の図に示される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下の説明では、本発明の実施形態を十分理解することができるように、特定の構成部品、デバイス、方法などの例として、数多くの特定の細部について説明する。ただし、本発明の実施形態の実施に、こういった特定の細部を用いる必要はないことは、当業者には明らかであろう。その他の例では、周知の材料又は方法については、本発明の実施形態を不必要に曖昧にするのを避けるために詳細に説明していない。
【0013】
本明細書で使用される用語「に結合される」は、直接的に、又は1つ又は複数の中間構成部品を介して間接的に結合されることを意味する。本明細書に記載される様々なバスを介して供給される任意の信号は、他の信号と時間多重化され、1つ又は複数のコモン・バスを介して供給される。さらに、回路部品又はブロックの間の相互接続は、バスとして、又は単一信号ラインとして示すことができる。あるいは、各バスは、1つ又は複数の単一信号ラインであってもよく、あるいは、各信号ラインは、バスであってもよい。本明細書で使用される用語「第1」、「第2」、「第3」、「第4」などは、異なる要素同士を区別するためのラベルを意味し、その数字の呼称に従って順序を表す意味を必ずしももたなくてもよい。
【0014】
超音波画像化における用語「リアルタイム」は、知覚可能な待ち時間又はフリッカのない、例えばおよそ1ヘルツ(Hz)を上回る速度の、像の同時取得及び表示を表す。用語「準リアルタイム」は、例えばリアルタイムの時間尺度よりもおよそ1桁又は複桁少ない桁数だけ、リアルタイムよりも遅い時間尺度を表す。一例として、X線像を取得するための時間尺度を(およそ1秒の何分の1から、およそ数秒の範囲に及ぶことがある)、準リアルタイムとみることができる。
【0015】
以下の説明で明らかに指定しない限り、この説明全体にわたって、「処理する」又は「計算する」又は「算定する」又は「判定する」などの用語を利用する論議は、コンピュータ・システム又はそれと同様の電子計算デバイスの動作や処理を表すことを理解されたい。この電子計算デバイスは、コンピュータ・システムのレジスタやメモリ内で物理的な(電子的な)量として表されるデータを、そのコンピュータ・システムのメモリ又はレジスタ、その他のかかる情報の記憶デバイス、伝達デバイス又は表示デバイス内で、物理的な量として同様に表されるその他のデータに処理し変形する。本明細書に記載の方法の実施形態は、コンピュータ・ソフトウェアを使用して実施することができる。認知された規格に準拠したプログラミング言語で書かれている場合、この方法を実施するように設計された命令のシーケンスは、様々なハードウェア・プラットフォーム上で、又は様々なオペレーティング・システムへのインターフェースのために、実行するようにコンパイルすることができる。なおその上に、本発明の実施形態は、いかなる特定のプログラミング言語についても述べていない。本発明の実施形態を実施するのに、様々なプログラミング言語を使用することができることが理解されよう。
【0016】
例えば外部ビーム放射線処置などと共に使用できる、基準マーカを患者に埋め込むことなく、軟組織ターゲットの動きを追跡するための、動的な追跡方法及びシステムについて説明する。この方法は、処置実施中に取得される1つ又は複数の超音波(US)像を、処置プランニング中に最初の基準像として取得された処置前像(例えば、MRI、CT、又は融合されたMRI/CT)に対して位置合わせして、患者セットアップ中に最初の患者の動きを判定し、補正するステップを含む。この方法はまた、処置実施中に取得されたUS像の1つ(例えば、処置実施中に最も新しく撮られたもの)を、実施段階の基準像として使用し、その後に取得される1つ又は複数のUS像を、その実施段階の基準像に対してリアルタイム又は準リアルタイムで位置合わせして、患者への処置実施中に患者の動きを判定し補正するステップを含む。この方法は、2D又は3Dの超音波画像化技法を使用して用いることができる。リアルタイムで超音波画像化してから、US像を基準US像と準リアルタイムで位置合わせする、本明細書に記載の方法の実施形態により、高速の軟組織追跡が可能になる場合がある。
【0017】
別の実施形態では、リアルタイムのUS像取得とUS−USの位置合わせが、患者上に配設された1つ又は複数の外部マーカ(例えば、LED)のリアルタイム監視と結び付けられる、リアルタイムで軟組織を追跡するための動的な追跡方法及びシステムについて説明する。この動的な追跡方法はまた、数学的モデル(例えば、相関モデル)を構築して、監視される外部マーカの動きを、リアルタイムの超音波像と処置実施の基準US像との位置合わせから取得された軟組織の位置に関連付けるステップを含む。
【0018】
図1は、患者を放射線処置するためのワークフローの一実施形態を示す。図1及び2に関して説明する段階及び/又は一段階内のステップのうちの1つ又は複数は、本発明の各実施形態に必ずしも必要ないかもしれないが、本発明の一定の実施形態を論ずるのに、より適した文脈を提供するために記載されていることに留意されたい。さらに、特定の段階内に存在していると例示、説明される1つ又は複数のステップは、その段階の外で行うこともできる。本明細書に記載の実施形態は、放射線処置による使用に関するが、軟組織ターゲットを動的に追跡する必要があるその他の用途でも使用することができることにも留意されたい。図1のワークフロー100は、図4の処置プランニング・システム410と処置実施システム420についても説明することができる。
【0019】
図1に示されているワークフロー100では、患者の放射線処置は、処置プランニング段階10、患者セットアップ段階20、処置実施段階30を含む。処置プランニング段階10は、例えば磁気共鳴(MR)画像化などの第1の画像化モダリティを使用して、軟組織ターゲットを含む患者の関心ボリューム(VOI:volume of interest)の処置前像を取得する、ステップ101を含むことができる。あるいは、処置前像は、例えば、コンピュータ断層撮影(CT)、陽電子放射断層撮影(PET)、蛍光透視などのその他のタイプの画像化モダリティを使用して取得してもよい。処置プランニング段階10はまた、処置実施のための動的な追跡プロセス(詳細は後述する)中に軟組織ターゲットの位置を追跡する基準となる、1つ又は複数の基準点を処置前像内に定義する、ステップ102を含む。超音波においても第1のモダリティにおいても、この追跡基準点は、1つ又は複数の画像化可能なランドマークにすることができる。MRI、CT、USの各像では、1つ又は複数の画像化可能なランドマークは、諸器官の輪郭線、形状又は縁部であるか、あるいは腫瘍の像コンテンツである。
【0020】
この段階10では、処置プランニングを実行するステップ103aで使用することができる、その他の像(例えば、CT)を取得することもできる。例えば、ステップ103aでCT像が取得されていると、インバース・プランニング(ステップ103b)中にそのCT像を処置前(例えば、MR)像と融合して、線量計算をさらに容易にすることができる。あるいは、ステップ101で取得された処置前(例えば、MR)像だけを使用して、線量プランニング算定を行ってもよい。処置プランニング段階10について述べたステップ103a〜cは、後述する本発明の実施形態の実施に必ずしも必要ではないことに留意されたい。このワークフローは、本明細書で時々インバース・プランニングに関して説明されるが、本明細書におけるこの方法は、フォワード・プランニングでも、混合プランニング(処置線量の一部分は、フォワード・プランニングを使用して位置決めされたアイソセンタにより生成され、一部分はインバース・プランニング中に個々のビームにより生成される)でも、使用できることに留意されたい。
【0021】
このワークフローの次の段階は、患者セットアップ段階20である。患者セットアップ時に、軟組織部位の超音波像を取得することができる(ステップ104)。一実施形態では、位置合わせの品質を評価する品質評価基準を決める。US像の品質評価基準には、視覚的な判定を使用することができる。US像が、器官輪郭線や縁部などの像特徴の点から、基準像(MR又はCT)と視覚的に同様になるようにUSトランスジューサが調節されたときに、そのUS像の品質は位置合わせに適用可となる。超音波像の品質評価基準は、複数の像パラメータ、例えば、トランスジューサ(例えば、画像化センサ)の操作技術、軟組織やその周囲領域の性質、画像化センサの位置と向き、画像化センサを使用して加えられる圧力の大きさ、送信周波数、受信周波数、ゲイン、深さ依存ゲイン、動的な範囲などに基づいていてもよい。超音波像の品質評価基準は、画像化されている組織と超音波画像化器の間に骨が介在するか、空気が介在するかに依存することもある。あるいは、通常の当業者に周知である、その他の画像化パラメータを、位置合わせのための像の品質評価基準の決定に使用してもよい。US像の品質評価基準と品質しきい値は、超音波像の所望の品質を実現するために、超音波画像化システムへのフィードバックとして、画像化パラメータの調節に使用することもできる。一実施形態では、超音波画像化器(例えば、図6の620)を、像の最高品質を実現するように再位置決めすることができる。したがって、患者セットアップ段階20は、取得されたUS像の品質評価基準が、位置合わせのための品質しきい値を満たしているかどうか判定するステップ105を含む。US像の品質評価基準が品質しきい値を満たしていない場合は、よりよい品質US像を取得するためにステップ104に戻って、超音波画像化器620を調節しても、再位置決めしてもよい(ステップ106)。
【0022】
ステップ107では、ステップ102で決定した1つ又は複数の基準点に対する軟組織ターゲットの位置又は変位を判定するために、US像が処置前像(例えば、MR)と位置合わせされる。例えばMaintz及びViergevermによる「A Survey of Medical Image Registration(医用像位置合わせの検査)」、Oxford University Press、1998に記載されている、当分野の通常の当業者に周知である技術を使用して、位置合わせを行うことができる。したがって、位置合わせの詳細な説明は行わない。位置合わせの精度と成功は、ステップ104で取得された超音波像の品質評価基準に依存する。1つ又は複数の冗長超音波画像化器を使用すると、超音波画像化器のうちの少なくとも1つからの出力と処置前像との位置合わせの見込みが改善できることにも留意されたい。冗長超音波画像化器は、同じトランスジューサ内の、あるいは人体に連結された別個のトランスジューサ内の冗長超音波画像化アレイであってもよい。
【0023】
一実施形態では、軟組織構造と腫瘍境界の視覚化を補助するために、US造影剤を使用して、血管分布過多、又は過少の腫瘍の視覚化を向上させることができる。US造影剤は、血管系全体にわたって循環させるために、患者の血液の流れに投与される。US造影剤は超音波の反射率を向上させ、それによって周囲の組織に比べて、造影剤の気泡からのエコーの信号とノイズの比を高める。別の実施形態では、ターゲット腫瘍と関連付けられた特定の分子をターゲットとする独特の分子結合特性を備えたUS造影剤を使用することによって、視覚化をさらに改善させることができる。かかる造影剤は、腫瘍内のターゲット分子に結合し、その濃度を増して、USによる視覚化を良好にすることができる。こういった造影剤は、X線造影特性も組み込めば、X線による腫瘍視覚化を改善することもできる。
【0024】
一実施形態では、ステップ108で、位置合わせによって判定された軟組織ターゲットの変位(ステップ107)を使用して、処置実施システム420の動作範囲内で変位が最小になるように、患者位置を調節することができる。これによって、処置計画によって指定された放射線ビームを送るように、放射線ビーム源を制御することができる。一実施形態では、患者が処置実施システムの動作範囲内に存在しない場合、この方法は、患者の位置を調節するステップ109を含むことができる。患者を調節する場合、要求に応じて、超音波画像化器の位置を調節するために、ステップ106にワークフローが戻ることができることに留意されたい。
【0025】
あるいは、患者ステップ段階20では、処置実施システム420の動作範囲内で患者を位置決めするその他の手段(例えば、処置プランニング段階10中に取得されたCTデータ・セットと組み合わせてX線/DRRの位置合わせを使用する)を使用することができる。これらの従来の方法の詳細は、通常の当業者に周知であり、したがって、本明細書には含めない。
【0026】
最初の患者セットアップ20が完了すると、ワークフローは処置実施段階30に移る。処置実施段階30では、処置実施中に、最新の超音波像を記録し、その像を以後のUS対US位置合わせのための実施基準US像として使用する(ステップ110)。患者セットアップ段階20中に患者が良好に位置合わせされている場合は、より高速な位置合わせを実現するために、処置前像で決めたターゲットVOIのうちの小さいほうのVOIをUS像に使用することができる。あるいは、処置前像で定義された同じターゲットVOIを使用してもよい。一実施形態では、ワークフローは自動追跡モードに進む。
【0027】
自動追跡モードでは、処置実施段階30の過程中に(すなわち、処置計画が特定のセッションで患者に施されている間)、US像が取得されるリアルタイム又は準リアルタイムの画像化速度で、US像を連続的に取得することができる(ステップ111)。一実施形態では、例えば、US画像化速度は、およそ60Hzより小さくすることができる。次に、ステップ112では、1つ又は複数の取得済みのUS像を(例えば、最後に、又はそれより新しく取得されたUS像)、実施基準US像(ステップ110の像)又は処置プランニングの際に取得された処置前像(ステップ101の像)と位置合わせすることができる。この実施形態では、基準像すなわち基準US像の基準点に対する軟組織ターゲットの動的な動きを、時間の関数として計算する。この超音波画像化は、十分な計算能力があればリアルタイムに行われるので、このセッションのその後に取得されるUS像と実施基準US像の位置合わせも、準リアルタイムで計算することができる。
【0028】
前述のように、1つ又は複数の冗長超音波画像化器を使用してもよい。一実施形態では、位置合わせ結果を、最高品質評価基準を用いて超音波画像化器から選択することができる。あるいは、例えば多数決法を使用するなど、どの超音波像を使用するべきかを決定するその他の周知の方法を実施してもよい。
【0029】
一実施形態では、この処置計画による線量実施(ステップ114)が完結しない場合、ワークフローは、追加のUS像を取得できるステップ111に戻ることができる。
【0030】
代替実施形態では、最初の患者のセットアップが完了したら、ワークフローは、図2に示されているように、上述のリアルタイムのUS像と実施基準US像の位置合わせに基づいた追跡を実行するだけの場合に可能であるかもしれない追跡よりも、高速な軟組織ターゲットの追跡を可能にする、外部動的追跡システムの使用を含む。外部動的追跡システムによる結果は、後述の相関モデルを使用するUS位置合わせ結果と結び付けられる。
【0031】
この実施形態では、最初の患者セットアップ段階20が完了したら、患者処置中に、最新の超音波像を記録し、その像を以後のUS対USの位置合わせのための実施基準US像として使用することができる(ステップ210)。図2のワークフロー200の自動追跡モードでは、超音波画像化器は、図1のステップ111に関して述べた画像化速度で画像化することができるが、超音波画像化システムから取得される超音波像は、US対US位置合わせの実行に使用可能な計算能力に対応した速度(例えば、サンプリング速度)で、間に合うようにサブ−サンプリングすることができる(ステップ211)。サンプリングされたUS像は、最新の基準US像又は処置プランニングの際に取得された処置前像と位置合わせすることができる(ステップ212)。
【0032】
動的追跡システム402は、1つ又は複数の外部マーカの位置を追跡するために、患者に結合された1つ又は複数の外部マーカ(例えば、可視の赤色LED又は赤外線LED)と、処置室に取り付けられた追跡デバイスを含む。これらの外部マーカは、例えば、患者の皮膚や患者が着用しているベストなどの、患者の外部に配設することができる。ステップ213では、動的な追跡デバイスシステムは、任意の、しかし固定された座標枠における外部マーカの位置を取得する。外部マーカの位置は、US画像化器の速度より大きいスキャン速度で取得される。一実施形態では、外部マーカの位置は、リアルタイムで取得される。一実施形態では、例えば、スキャン速度は、およそ1Hzより大きくすることができる。あるいは、その他のスキャン速度を使用してもよい。
【0033】
外部動的追跡システム402からの結果をUS位置合わせ結果と結び付けるために、相関モデルが構築される(ステップ214)。外部マーカの動きは、US像の座標系に対して任意にとることができる固定された座標系で判定され、対比エンジン(処理デバイス401によって実装される)への入力として供給される。また、対比エンジンはステップ212からのUS像の位置合わせの結果も、入力として受け取る。超音波像位置合わせからの結果と、動的な追跡デバイスの結果は、数学的モデル(例えば、相関モデル)によって相互に関連付けられて、リアルタイムに測定された外部マーカの動きと、超音波画像化システム620によってサンプリング速度で計測された軟組織ターゲットの動きとの間に数学的関係を与える。一実施形態では、相関モデルを計算するために、2つのUS像を、それに対応する1つ又は複数の外部マーカの動きと位置合わせする。したがって、ワークフロー200はさらに、追加のUS像を取得する画像化速度で、軟組織ターゲットを超音波画像化する、ステップ214aを含む。追加取得されたUS像は、実施基準US像又は処置プランニングで取得された処置前像と位置合わせされる(ステップ214b)。次いで、ステップ214a、214bからのデータに基づいて、相関モデルを更新することができる(ステップ214c)。
【0034】
相関モデルが構築又は更新されると、動的追跡システム402からの外部マーカの位置測定値を使用して、相関モデルを用いるスキャン速度で、軟組織ターゲットの対応する位置を計算することができる(ステップ215)。軟組織ターゲットの位置の計算が完了すると、この方法は、軟組織の動的な動きを補償するように、処置実施システムの放射線ビーム源の位置を調節するステップ216を含む。次いで、処置実施システム620は、追跡された軟組織ターゲットに、1回分の放射線量を送る。一実施形態では、この放射線の実施が完結しないと判定されると(ステップ217)、処置実施段階30は、相関モデルを更新するためにステップ214aに戻る。放射線の実施が完了すると、この方法は終了する(ステップ218)。別の実施形態では、新しいUS像セットを取得し、最新のUS像及び/又は処置前像(例えば、MR又はCT像)と位置合わせする度に、相関モデルの精度が確認され又は適合される。一実施形態では、相関モデルの予測がUS像変位値から逸脱し、指定されたしきい値を超えると、逸脱の発生源が判定されてから、その先に進む。かかる実施形態では、一貫性を保つために(例えば、US画像化器が人体表面上で滑って、不正な組織変位を導く可能性がある)、連続する前のUS像が比較され、マーカ位置が、それを裏づけるために、相関モデルの予測された位置と比較される。
【0035】
図1及び2に関して述べたターゲットの変位は、位置合わせされたUS像(2D又は3D)全体にわたる、あるいは関心領域(ROI)又は直方体形の関心ボリューム(VOI)内部で、異なるポイントで決定される可能性があることに留意されたい。この変位値は、位置合わせされたUS像又はROI全体にわたってポイントからポイントへ変動することがある。変位値は、軟組織の特定の領域(又は大きさ)内の平均変位を求めるために、指定された領域(又は大きさ)にわたって平均することができ、あるいはROI(又はVOI)内の平均腫瘍変位を判定するために使用することができる。空間的に変動する変位値を使用して、軟組織又は腫瘍の変形や局所的な変位をモデル化してもよい。
【0036】
図3は、外部マーカの位置と超音波像からの位置合わせ結果を、軟組織ターゲットの動きを判定するための時間の関数として相互に関連付ける一実施形態を示すグラフである。相関グラフ300は、外部マーカの実際の動き301と、軟組織ターゲットのサンプリングされたUS像の位置合わせに基づいた軟組織ターゲットの予測された動き303の、時間に対する位置を含む(例えば、位置合わせされた、軟組織ターゲットのサンプリングUS像302)。位置合わせされたサンプリングUS像302は、サンプリング速度r(s)304(例えば、リアルタイム)で間に合うようにサンプリングされ、t1〜t8で示されている、ターゲット関心領域の1つ又は複数の基準点の位置を示す。患者の呼吸動作を示すために、周期的すなわち正弦曲線を描く、外部マーカの動き301と、軟組織ターゲットの予測された動き303が示されていることに留意されたい。別の実施形態では、この動きは、周期的すなわち正弦曲線でなく、不規則な形状の曲線であってもよい。軟組織ターゲットの予測された動きの精度303は、サンプリング速度r(s)304に依存することにも留意されたい。サンプリング速度r(s)304が速いほど、多くの、位置合わせされた軟組織ターゲットのサンプリングUS像302を、外部マーカの実際の動き301に対して使用して、軟組織ターゲットの予測される動き303を算定することができる。ただし、サンプリング速度r(s)304は、上記のようにシステムの計算能力によって制限される。外部マーカの実際の動き301は連続的な曲線として示されている。別の実施形態では、外部マーカの検出された動き301もまた、軟組織ターゲットの予測される動き303を算定するために、US像のサンプリング速度より速いスキャン速度でサンプリングされた、離散的な値であってもよい。
【0037】
図2に記載されている方法の例示的な一実施形態では、時刻t1で、超音波画像化器によって取得中のUS像をサンプリングする。次いで、サンプリングされたリアルタイムUS像は、処置前スキャン(例えば、MR像)又は最新の実施基準US像と位置合わせされる。US像の位置合わせ結果は、サンプリング速度より高速の動的追跡システムによって追跡されている、外部マーカのリアルタイムの動きと結び付けることができる。位置合わせされた軟組織ターゲットのサンプリングUS像302と、外部マーカの実際の動き301を使用して、このシステムでは、軟組織ターゲットを動的に追跡するために、軟組織ターゲットの予測される動き303を算定する。
【0038】
図4は、処置プランニング・システム及び処置実施システムの一実施形態の概略ブロック図を示す。処置プランニング・システム410は、処置プランニング段階10に関して述べたステップ(例えば、処置前像を取得するなど)を実行するために使用することができる。処置プランニング・システム410は、処置実施の前に処置プランニング・システムからエクスポートする必要がないように、そのデータベース(例えば、記憶された処置前像)を処置実施システム420と共有することができる。処置プランニング・システム410はまた、DICOMインポートをサポートし(したがって、様々なシステムで決められたターゲットと像を融合し、次いで、プランニング及び線量計算のために処置プランニング・システムにインポートできる)、拡張された像融合能力(使用者が処置プランニングを行い、様々な画像化モダリティ(例えば、MRI、CT、PETなど)の任意の1つに等線量分布を表示することが可能になる)をサポートするために、MIRIT(MedicalImageReviewandImportTool、医用像レビュー及びインポートツール)を含むことができる。処置プランニング・システムは、当技術分野で周知である。したがって、詳細な説明は行わない。
【0039】
処置プランニング・システム410は、処置(例えば、MR、CTなど)前像を、超音波画像化器620で取得される超音波像との以後の位置合わせのための基準として処置実施システム420に提供する。前述のように、処置前像は、放射線処置プランニングのために直接使用することができる。あるいは、処置プランニング機能を行うために、処置前像を、その他の解剖学的像(例えば、CT)と融合する。処置プランニング・システム410は、軟組織ターゲットの動的な動きを以後測定するための基準点を選択するために使用される。基準点の位置は、処置前像と共に、処置実施システム420に提供される。
【0040】
処置実施システム420は、処置実施のために、動的追跡システム(DTS)402を含み、かつ患者を配置するための患者支持システム403を含む。処置実施システム420はまた、処置計画で定められた空間的な配置を実現し、動的追跡システム402によって計算された軟組織ターゲットの動きに動的に適応するための、放射線源406も含む。動的追跡システム402は、患者に配置された外部マーカの動きを動的に追跡する。処理デバイス401は、1つ又は複数の汎用のプロセッサ(例えば、マイクロプロセッサなど)、デジタル信号プロセッサ(DSP)などの特殊目的プロセッサ、又は処理デバイスやフィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)などのその他のタイプのデバイスと、それに付随するコンポーネント(例えば、メモリなど)を表す。このコンポーネントは、システム420の1つ又は複数のその他のブロック内に外部的に又は内部的に配置できる。処理デバイス401は、本明細書で説明した動作やステップを実行するための命令を実行するように構成することができる。具体的には、処理デバイス401を使用して、超音波画像化器620で取得された超音波像と処置前像との間で位置合わせを行い、外部マーカの動きを軟組織の動きと関連付ける相関モデルを計算する。処置実施システム420は、システムの1つの例だけを示しているが、多くの様々な構成やアーキテクチャを備えることができ、本発明と共に用いることができる。
【0041】
一実施形態では、処置実施システム420は、図5に関して下記に述べるように、フレームレス・ロボットをベースとした線形加速器(LINAC)放射線手術システムである(例えば、カリフォルニア州Accuray,Inc.社によって開発されたCyberKnife(登録商標)システム)。かかるシステムでは、患者の周りの動作ボリューム(例えば、球体)内でいくつもの角度から実施されるビームにより病的組織を照射するようにLINACを配置するために、LINACは、複数の(例えば、5つ以上)自由度を有するロボット・アームの端部に取り付けられている。この処置は、単一のアイソセンタ、複数のアイソセンタ、又は非アイソセントリック・アプローチ(すなわち、ビームは疾病ターゲット・ボリュームと交差すればよく、必ずしも単一ポイント、すなわちターゲット内部のアイソセンタに集中しない)を使用するビーム経路を用いることができる。処置は、単独のセッション(1回照射)か、処置プランニング中に決定される少数のセッション(少分割照射)で実施することができる。
【0042】
あるいは、例えばガントリ・ベース(アイソセントリック)の強度変調放射線治療(IMRT)システムなどの、処置実施システム420の別のタイプを使用することができる。患者の軸方向スライスに対応するガントリ・ベースのシステムでは、放射線源(例えば、LINAC)が、患者の軸方向のスライスに対応する平面で回転するようにガントリに取り付けられる。次いで、放射線が、回転の周回平面上の複数の位置から送られる。IMRTでは、放射線ビームの形状は、マルチ・リーフ・コリメータによって決められる。このマルチ・リーフ・コリメータは、ビームの一部分をブロックして、その残りの、患者に入射するビームを、事前に決めた形状になるようにする。IMRTプランニングでは、最適化アルゴリズムにより、主ビームのサブ・セットが選択され、そのビームのサブ・セットを露出すべき時間量が、線量拘束値を最も満たすように決定される。
【0043】
別の実施形態では、例えば、スウェーデンのElekta社から入手可能なガンマ・ナイフ(登録商標)などの定位フレーム・システムなど、その他のタイプの処置実施システム420を使用することができる。かかるシステムでは、処置計画の最適化アルゴリズム(球パッキング・アルゴリズムとも呼ばれる)により、アイソセンタを形成するビームの一群の選択と、それに割り当てられる線量重み付けが、線量拘束値を最も満たすように決定される。
【0044】
図5は、処置実施システムの例示的な一実施形態を示す。この実施形態では、処置実施システム420は、ロボット・ベースのLINACシステム500を含んだフレームレス・ロボット・ベースのLINAC放射線手術システムである。ロボット・ベースのLINACシステム500は、関節式のロボット・アーム501と、その関節式ロボット・アーム501の遠位端に取り付けられた、処置的放射線を選択的に放射するためのLINAC506(例えば、放射線源406)と、X線画像化源507と、検出器508と、追跡デバイス509と、処理デバイス401(図示せず)とを有するロボットを含む。この実施形態では、患者支持システム403は、ロボット・ベースの患者支持システム503である。ロボット・ベースの患者支持システム503は、患者処置寝台504に結合されたロボット・アーム502であってもよい。ロボット・アーム502は、5つの回転自由度と、1つのほぼ垂直な直線自由度を有する。あるいは、ロボット・アーム502は、6つの回転自由度と1つのほぼ垂直な直線自由度を有することも、少なくとも4つの回転自由度を有することもできる。ロボット・アーム502は、支柱570に結合されたトラック560に結合されている。あるいは、ロボット・アームを、壁に垂直に取り付けることも、台座又は床に水平に取り付けることもできる。支柱570は、床に取り付けても、あるいは天井に取り付けてもよい。図5は、ロボットをベースにしている、患者支持システム403の例示的実施形態を明示的に描写しているが、患者支持システム403は、カリフォルニア州のAccuray,Inc.社が開発したAxum(登録商標)処置寝台などの、その他の機械機構に取り付けられた処置台であってもよいことに留意されたい。あるいは、患者支持システム403は、スタンドすなわち台座に取り付けられた処置台などの、通常の当業者に周知である、その他の従来の処置台であってもよい。
【0045】
この実施形態では、処置実施システム420の画像化システム407は、X線画像化源507と画像化検出器508を含む。X線画像化源507は、処置座標系すなわちフレームに、軟組織ターゲットの位置と向きを示す、軟組織ターゲットの像データを生成する。1つ又は複数の検出器508は、患者の像情報を生成し、それを処理デバイス401に送ることができる。処理デバイス401は、画像化計算を全て行って、基準処置位置に対する患者の位置を判定し、様々な自由度について補正を行う。この補正は、患者を自動的に位置合わせするためにロボット・ベースの患者支持システム503に自動的に適用され、かつ/又はロボット・ベースのLINACシステム500の放射線源506に対する患者の位置を自動的に調節するために処理デバイス401に送ることができる。
【0046】
一実施形態では、処理デバイス401は、患者処置寝台とLINAC506との向きと位置を動的に調整するために、患者処置寝台504とロボット・ベースのLINACシステム500とを組み合わせて動的に動くように構成させている。患者処置寝台504は、ロボット・アームを使用して、5つの回転自由度と1つのほぼ垂直な直線自由度に沿って動き、LINACシステム500は、ロボット・ベースのLINACシステムのロボット・アームを使用して、少なくとも5つの自由度に沿って動くことができる。患者処置寝台と処置放射線源の間の動きの動的な調整により、ロボット・ベースのLINACシステム500のLINAC506の動作範囲(例えば、追跡範囲)内で患者を位置決めすることができる。
【0047】
別の実施形態では、処理デバイス401を、ロボット・ベースのLINACシステム500のLINAC506の動作範囲(例えば、追跡範囲)内で、患者処置寝台504を位置決めするように構成することができる。あるいは、処理デバイス401を、ロボット・ベースのLINACシステム500のLINAC506の動作範囲(例えば、追跡範囲)内で、LINAC506を患者処置寝台504上の患者に対して位置決めするように構成することができる。
【0048】
処理デバイス401は、処置プランニングや処置実施ソフトウェアを実行する。このソフトウェアは、処置前スキャン・データ(例えば、CT、MRIデータ、PETの各データ)や使用者の入力に応答して、固定された処置位置すなわちノードの各セットに関連付けられた線量率と持続期間をそれぞれ有する一連の所望のビーム経路からなる処置計画を生成する。処理デバイス401の命令に応答して、この処理デバイスによって方向付けられたLINAC506が必要な線量を送る間に、ロボット・アーム501が、そのLINAC506を連続的かつ順次的に動かし、方向付けして、各ノードを次々と通過させる。
【0049】
処置計画のビームを送る前に、画像化システム407によって確立された固定座標系すなわち基準フレーム内部の患者の位置と向きを、処置のプランニングに使用される像を提供した処置前画像化器(例えば、CT、MRI、PETなど)の固定座標系すなわち基準フレーム内部の患者の位置と向きに合致するように、患者処置寝台504によって調節可能でなければならない。例示的な一実施形態では、この位置合わせを、ロボット・アーム501が補正できる位置範囲内でまで行うことができる。
【0050】
前述のように、癌性の病変などの軟組織ターゲットは、患者の体の骨格構造に対して固定されないこともある。したがって、軟組織ターゲットの位置は、患者の動き(呼吸動作や、器官動作、その他の周知の人体の動きなど)により、処置中に移動することがある。つまり、軟組織ターゲットは、可動ターゲットの場合がある。前述のように、放射線処置システム400により、患者にその呼吸を止めることを求めることなく、内部の動きを追跡し、放射線手術を行うことが可能になる、あるいはいくつかの従来のシステムで必要とされるように、呼吸サイクル中、LINAC506のオフ/オンをゲート制御することが可能になる本明細書に記載の方法は、埋め込まれた基準マーカを使用せずに、軟組織ターゲットを追跡する。一実施形態では、軟組織ターゲットを追跡するためのDTS402を有する治療的放射線処置システム400は、追跡デバイス509と、患者の外部に配設された1つ又は複数のマーカを含むことができる。前述のように、処置前スキャンやその他の診断画像化は、処置プランニング中に行うことができる。次いで、この診断画像化を使用して、患者が呼吸しているときの軟組織ターゲットの形状と位置の変化をモデル化して、上記のように、これらの変化を、患者の外部に配設された1つ又は複数のマーカの動きと相互に関連付けてもよい。
【0051】
一実施形態では、1つ又は複数の外部マーカは、発光ダイオード(LED)である。LEDは、可視赤色でも赤外線でもよい。あるいは、外部マーカは、レーザ・ビーコンなど、通常の当業者に周知である、その他のマーカでもよい。一実施形態では、DTS402の追跡デバイス509は、処置室の天井に取り付けることができる。あるいは、追跡デバイス509は、処置室の床や壁などの、通常の当業者に周知である、その他の位置に取り付けてもよい。
【0052】
一実施形態では、セットアップ段階10中、患者に3つのレーザ・ビーコンを含んだ共形弾性ベストを取り付けることができる。レーザ・ビーコンとそれに対応する光ファイバ・ケーブルは、放射線透過性にすることができ、したがって、画像化すなわち処置プロセスを妨げない。これらのレーザ・ビーコンの位置は、追跡デバイス509によって追跡することができる。追跡デバイス509は、32フレーム/秒などのスキャン速度で処置室をスキャンする、1次元の3つのカメラ・アレイであってもよく、得られた像を、固定座標系におけるレーザ・ビーコンの空間的な座標を決定するために処理する。1つ又は複数のマーカのスキャンは、処置プランニング及び/又は処置実施中に行うことができる。追跡デバイス509によって追跡される1つ又は複数のマーカの動きは、図1〜3について上記の述べたように、軟組織ターゲットの動きを予測するために、US像の位置合わせ結果と結び付けることができる。あるいは、追跡デバイス509は、通常の当業者に周知である、その他の周知の追跡デバイスでもよい。
【0053】
一実施形態では、DTS402は、図4に詳細に描写されている処理デバイス401に結合(すなわち含む)してもよい。処理デバイス401は、1つ又は複数のマーカの位置と動きを算定し、図1〜3で上記に説明した、位置合わせ及び対比機能を実行する。この処理デバイスはまた、位置合わせ中に算定された軟組織の変位を、軟組織ターゲットの内部の動きを追跡するためにロボット・ベースのLINACシステム500のLINAC506の是正動作を操るロボット・アーム501に伝達される位置情報に、変換又は変形することもできる。
【0054】
図6は、動的追跡システム及び超音波画像化器を含んだ、処置実施システムの一実施形態の機能ブロック図を示す。処置実施システム420は、軟組織ターゲットを追跡するためのDTS402と、軟組織ターゲットの超音波像を取得するための超音波画像化器620と、処置のために患者を配置するための患者支持システム403と、1回分の放射線量を患者の処置ターゲットに送るための放射線源406とを含んでいる。DTS402は、処理デバイス401と、追跡デバイス509と、外部マーカ720とを含んでいる。追跡デバイス509は、外部マーカ720の動きを動的に追跡する。外部マーカ720は、1つ又は複数の外部に配設された可視の赤色又は赤外線のLEDなどである。あるいは、外部マーカ720は、通常の当業者に周知であるその他の外部マーカでもよい。
【0055】
処理デバイス401は、位置合わせブロック630と、ロボット動作制御ブロック640と、動作追跡ブロック710とを含む。処置プランニング・システム610の位置合わせブロック630は、処置プランニング中に取得された、第1のモダリティの処置前スキャンを画像化器610から受け取る。同様に、位置合わせブロック630は、処置実施中に取得された超音波像を、超音波画像化器620から受け取る。超音波画像化器620は、上述のように使用する、1つ又は複数の超音波画像化器を表している。1つ又は複数の超音波画像化器を使用すると、対応する画像化器から受け取った像ごとに、位置合わせを行うことができ、その位置合わせ結果を、上述のように、超音波画像化器の1つから選択することができる。
【0056】
1つ又は複数の超音波画像化器620は、最初の患者セットアップ後に手動調節する必要がなく、その結果、人が介入することなく処置実施を行うように取り付けられる。一実施形態では、1つ又は複数の超音波画像化器を、患者にストラップで結び付けられる調節可能なホルダを使用して取り付ける。あるいは、1つ又は複数の超音波画像化器は、患者に固定されるストラップすなわちベルトに内蔵する。この形のセンサにおける最初の調節は、手動で行ってもよい。あるいは、最初の調節は、手動で行うが、動的追跡システム402から補助されてもよい。別の実施形態では、DTS402の処理デバイス401は絶えず、取得済みの超音波像と処置前像の間で位置合わせを行い、図1、2について説明したように、その位置合わせのための品質評価基準をフィードバックする。その結果を、可/不可のフィードバックとしてオペレータに提示する。オペレータは、DTS402の処理デバイス401から可のフィードバックを得るまで、1つ又は複数の超音波画像化器を調節する。
【0057】
処理デバイス401の位置合わせブロック630は、処置前スキャン像と超音波像の位置合わせを行う。あるいは、位置合わせブロック630は、処置実施中に超音波画像化器620から受けとった2つの超音波像の位置合わせを行う。動作追跡ブロック710は、外部マーカ720の位置情報を追跡デバイス509から受け取り、その位置情報を、外部マーカ720(例えば、1つ又は複数のLEDマーカ)の動きを軟組織ターゲットの位置合わせ結果の動き(位置合わせブロック630によって行われる位置合わせ中に判定された結果)と関連付ける数学的モデル(例えば、相関モデル)の計算に、使用する。
【0058】
前述のように、処理デバイス401は、軟組織ターゲット(例えば、腫瘍又は病変)の内部移動を追跡するためにロボット・ベースのLINACシステム500のLINAC506の是正動作を操るロボット・アーム501に伝達される位置情報に、位置合わせ中に算定された軟組織の変位を変換又は変形する。こういった変換又は変形は、ロボット動作制御ブロック640で行う。
【0059】
一実施形態では、処理デバイス401のロボット動作制御ブロック640は、受信位置合わせブロック630から位置合わせ結果を受け取り、その情報を、放射線源406の是正動作に変形する。一実施形態では、ロボット動作制御ブロック640は、軟組織ターゲットの動きを追跡するためにLINAC506の位置と向きを操って1回分の放射線量を送るように、又はLINAC506の動作範囲で患者を位置決めするように、ロボット・ベースのLINACシステム500のロボット・アーム501に、是正動作情報を送る。LINAC506は、処置プランニング中に定められた空間的な配置を実現し、処置実施中にDTS402で計算された軟組織ターゲットの動きに合わせて動的に調節されるように、ロボット・アーム501に取り付けられる。別の実施形態では、ロボット動作制御ブロック640は、軟組織の移動を追跡するために患者処置寝台504の位置と向きを操って放射線源406の動作範囲で患者を位置決めするように、ロボット・ベースの患者支持システム403のロボット・アーム502に、是正動作情報を送る。患者処置寝台504は、処置プランニング中に定められた空間的な配置を実現し、処置実施中にDTS402で計算された軟組織ターゲットの動きに合わせて動的に調節されるように、ロボット・アーム502に取り付けられる。前述のように、DTS402の処理デバイス401は、処理デバイス401内に実装される。
【0060】
図7は、軟組織ターゲットの変位を判定する方法の実施形態を示す。一実施形態では、方法800のステップは、説明的な例を用いて下記に説明するように、患者セットアップ段階20で行われるステップを表す。この実施形態では、方法800は、患者の軟組織ターゲットを有する第1のモダリティの第1の像(例えば、処置プランニング段階10からのステップ101の処置前像)を受け取るステップ801と、患者の軟組織ターゲットを有する第1の超音波(US)像(例えば、ステップ104、110又は210の超音波画像化器620からの実施基準US像)を受け取るステップ802とを含む。この実施形態では、方法800はまた、患者の軟組織ターゲットを有する第1の超音波像(例えば、ステップ104、110又は210の超音波画像化器620からの実施基準US像)を、患者の軟組織ターゲットを有する第1のモダリティの第1の基準像(例えば、処置プランニング段階10からのステップ101の処置前像)に位置合わせするステップ803も含む。この実施形態では、この方法はさらに、第1のUS像(例えば、ステップ104、110又は210の超音波画像化器620からの実施基準US像)と第1の基準像の位置合わせに基づいて、軟組織ターゲットの第1の変位を判定するステップ804を含む。この実施形態では、変位を判定するステップ804は、患者が処置実施システムの動作範囲内にあるかどうかを判定する(例えば、ステップ108)ために行う。
【0061】
この実施形態では、ステップ803の変位が、処置実施システムの動作範囲内で患者の位置を調節するために判定される場合、この方法では、図8に示されているように、外部マーカを動的に追跡し続け、その結果を、処置実施段階30中に、その後のリアルタイムUS像と結び付ける。かかる方法を実現するために、方法800はさらに、実施基準超音波像(例えば、ステップ104、110又は210の像の1つ)を取得するステップ805を含む。次いで、ステップ806で、軟組織ターゲットの第1のUS像が、基準US像と位置合わせされる。ステップ807では、基準US像と第1のUS像の位置合わせに基づいて、軟組織ターゲットの第2の変位が判定される。ステップ807はまた、外部マーカの動的な追跡の結果を、超音波位置合わせの結果と結び付けて、軟組織ターゲットのリアルタイムの動的な位置を計算するために、ステップ213〜215のうちの1つ又は複数を含む。次いで、ステップ808で、患者の位置を、第2の変位を使用して、処置実施システム420の動作範囲内で調節する。
【0062】
図7をもう一度参照すると、別の実施形態では、方法800のステップは、説明的な例を用いて下記に説明するように、処置実施段階30で行われるステップを表す。この実施形態では、ステップ801の第1のモダリティの第1の像は、処置プランニング段階10で取得された処置前像でも、ステップ104、110又は210の超音波画像化器620からの実施基準US像でもよい。ステップ802の第1の超音波像は、患者実施段階30のステップ111/211で取得された、その後の超音波像である。したがって、この実施形態では、ステップ803の位置合わせは、軟組織ターゲットの基準US像と、その後の(例えば、第2の)軟組織ターゲットのUS像の位置合わせである。外部マーカの動的な追跡の結果を、ステップ803(図7には図示せず)の超音波位置合わせの結果と結び付けて、軟組織ターゲットのリアルタイムの動的な位置を計算するための、図2のステップ213〜215のうちの1つ又は複数もまた、実行する。ステップ803の変位は、処置実施中に軟組織ターゲットの動的な動きを補償するようにビーム位置を調節する(ステップ113/216)ために決定される。
【0063】
図9は、超音波センサをロボット・アームと共に使用する、軟組織ターゲットの動的な追跡の一実施形態である。この実施形態では、超音波画像化器すなわちセンサは、ロボット・アーム910に結合されている。ロボット・アーム910は、複数の(例えば、5以上の)自由度を有する。ロボット・アーム910は、小さな増分段階で超音波センサ620を操作する。各段階ごとに、取得された超音波像を、図1及び2について上記に述べたように、処置前像(例えば、MR像)と位置合わせし(ステップ107)、計算された品質評価基準に位置合わせする。ブロック950では、ロボット・アーム910によって行われる調節(センサの再位置決め)を計算するのに、超音波センサの位置に対する品質評価基準が最適化されるような周知の最適化技法を使用する。例えば、最急降下法を使用すると、品質評価基準を改善する超音波センサ620調節の方向は、2つの連続する測定値からの距離同士の間の勾配の差で決まる。この調節は品質評価基準を改善する方向に行われる。このプロセスを、像位置合わせの適用可能な品質が得られるまで繰り返す。
【0064】
あるいは、超音波センサ620を、手動で配置してもよく、あるいは当技術分野で周知の機械的位置機構に結合させることもできる。一実施形態では、超音波センサ620の手動配置とロボット配置の組合せを用いてもよい。超音波センサ620の最初の進路調節は、操作者から補助を受けて行われ、続いてロボットと最適化計算を使用して精度が高められる。
【0065】
図9のロボット・アーム910と超音波センサ620が、ロボット・ベースの線形加速器(LINAC)放射線手術システムと共に示されているが、超音波センサ620のロボットによる位置決めはまた、上記の処置実施システム420とは別のタイプのものと共に利用することもできることに留意されたい。
【0066】
上記の明細書では、本発明の実施形態を、本発明の特定の例示的実施形態について説明した。しかし、その実施形態に対して、特許請求の範囲に記載した本発明の実施形態のより広範な趣旨及び範囲から逸脱することなしに、様々な改変及び変更を行ってよいことは明らかである。したがって、本明細書及び図面は、限定ではなく例示とみるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】基準MR像(基準US)とリアルタイムUSの位置合わせによって、軟組織ターゲットを準リアルタイムで追跡するステップを含む、患者を放射線処置するためのワークフローの一実施形態を示すフローチャートである。
【図1a】基準MR像(基準US)とリアルタイムUSの位置合わせによって、軟組織ターゲットを準リアルタイムで追跡するステップを含む、患者を放射線処置するためのワークフローの一実施形態を示すフローチャートである。
【図1b】基準MR像(基準US)とリアルタイムUSの位置合わせによって、軟組織ターゲットを準リアルタイムで追跡するステップを含む、患者を放射線処置するためのワークフローの一実施形態を示すフローチャートである。
【図2】準リアルタイムのUS−US位置合わせと、皮膚表面に取り付けられたLEDマーカのリアルタイムの追跡を結び付けることによって、軟組織ターゲットをリアルタイムで追跡するステップを含む、患者を放射線処置するためのワークフローの他の実施形態を示すフローチャートである。
【図2a】準リアルタイムのUS−US位置合わせと、皮膚表面に取り付けられたLEDマーカのリアルタイムの追跡を結び付けることによって、軟組織ターゲットをリアルタイムで追跡するステップを含む、患者を放射線処置するためのワークフローの他の実施形態を示すフローチャートである。
【図2b】準リアルタイムのUS−US位置合わせと、皮膚表面に取り付けられたLEDマーカのリアルタイムの追跡を結び付けることによって、軟組織ターゲットをリアルタイムで追跡するステップを含む、患者を放射線処置するためのワークフローの他の実施形態を示すフローチャートである。
【図3】軟組織ターゲットの動きを判定するための時間の関数として、外部マーカの位置を超音波像からの位置合わせ結果に、相互に関連付ける一実施形態を示すグラフである。
【図4】放射線処置中に軟組織ターゲットの動きを追跡するための動的追跡システムを含む、処置実施システムの一実施形態の概略ブロック図である。
【図5】フレームなし像誘導型ロボット・ベースLINACシステム及びロボット・ベースの患者支持システムを使用する、放射線処置システムの例示的一実施形態の図である。
【図6】動的追跡システム及び超音波画像化器を含んだ、処置実施システムの実施形態の機能ブロック図である。
【図7】軟組織ターゲットの変位を判定する方法の一実施形態の図である。
【図8】処置実施時に軟組織ターゲットの変位を判定する方法の別の実施形態の図である。
【図9】超音波センサをロボット・アームと共に使用して、軟組織ターゲットを動的に追跡する一実施形態の図である。
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、放射線処置の分野に関し、具体的には、放射線処置中に超音波像を用いたターゲットの追跡に関する。
【背景技術】
【0002】
腫瘍は、生理的機能には何の役にも立たない細胞の、コントロールされない進行性の増殖の結果生じる、組織の異常成長である。腫瘍は、悪性(癌性)のものと良性のものがある。悪性腫瘍は、癌性細胞を、人体の他の部分に血管又はリンパ系を介して撒き散らす(転移)。良性腫瘍は転移しないが、神経、血管、器官(特に脳)などの重要な人体構造に突き当たると、やはり生命を脅かす可能性がある。
【0003】
腫瘍処置の非侵襲性の方法が、外部ビーム放射線治療である。外部ビーム放射線治療のあるタイプでは、腫瘍がビームの回転の中心(アイソセンタ)になるように患者が配置された状態で、複数の角度から一連のX線ビームを腫瘍部位に向けるために、1つの外部放射線源が使用される。放射線源の角度が変更されると、どのビームも腫瘍部位を通過するが、腫瘍までの途中では健全な組織の異なった領域を通過する。その結果、腫瘍で蓄積する放射線量が高くなるが、健全な組織への平均放射線量は低くなる。放射線治療という用語は、治療ではなく壊死の目的でターゲット領域に適用される手順を示す。放射線治療の処置セッションに利用される放射線量は、一般に、放射線手術のセッションで使用される量と比べるとおよそ1桁小さい。放射線治療は一般に、1回の処置の線量が少ないこと(例えば、100〜200センチ・グレイ(cGy))、短い処置時間(例えば、1回の処置につき10〜30分)と多分割照射(例えば、30〜45日の処置)を特徴とする。便宜上、用語「放射線処置」は本明細書において、放射線の大きさによる断りのない限り、放射線手術及び/又は放射線治療を意味するためにも使用される。
【0004】
外部ビーム放射線処置に見られる1つの問題は、病的組織(例えば、腫瘍)が処置中に動くことがあるということである。これにより、正確なターゲットの位置特定性(すなわち、ターゲットの位置の正確な追跡)が低下する。特に、軟組織ターゲットは、放射線処置の実施セッション中、患者の呼吸と共に動く傾向がある。呼吸器の動きにより、胸部又は腹部にある腫瘍が動く可能性は、例えば3センチメートル(cm)を上回る。かかる呼吸器の動きがあると、例えば、周囲の健全な組織を回避しながら、ターゲットに放射線量を精密かつ正確に実施するという目標を達成することが困難になる。外部ビーム放射線処置では、処置プランニング段階中に計算された放射線量分布を実現するために、処置中の病的組織に放射線ビームを正確に送るということが重要になる。
【0005】
呼吸作用による腫瘍の動きの問題に取り組むための1つの従来の解決策は、ゲーティング法を使用することである。ゲーティング法は、放射線ビームを患者に向けている間にビームを動かさないので、呼吸の動きを直接には補償しない。腫瘍がその基準位置から移動したと思われるときに放射線ビームがオフされる。ただし、ゲーティング法を使用することの不利な点は、放射線処置の実施に必要な時間がかなり増大することである。別の不利な点は、かかる手法により、腫瘍位置に行われる仮定のため、腫瘍の処置が不正確になる可能性があるということである。
【0006】
ターゲットの動きを追跡するための1つ従来の解決策は、患者の外側に(例えば、皮膚の上)に配置された外部マーカ(例えば、赤外線発光素子)を利用する。外部マーカは、光学的な(例えば、赤外線)追跡システムを使用して、自動的に追跡される。しかし、外部マーカは、呼吸動作によって引き起こされる内部変位を十分に反映することができない。患者の大きな外部の動きが、非常に小さな内部の動きと共に生じる可能性がある。例えば、内部ターゲットは、皮膚表面よりもはるかにゆっくりと動く。
【0007】
他のターゲットの動きを追跡する従来の解決策は、埋め込まれた基準の使用を含む。一般に、放射線不透過性の基準マーカ(例えば、金製のシード又はステンレス鋼ねじ)が、処置前に、ターゲット器官に近接して、又はその中に埋め込まれ、処置実施中に基準点として使用される。立体X線画像化が、処置中、基準マーカの精密な空間的位置を計算するために(例えば、10秒毎に1回)使用される。ただし、内部マーカだけでは、正確な追跡に十分ではない可能性がある。他の従来の解決策は、内部基準マーカのX線画像化を外部マーカの光学的な追跡と同期させ、内部基準マーカの追跡を外部マーカの追跡と結び付ける。しかし、かかる結合追跡手法もやはり、内部基準マーカの追跡を必要とするという不利な点を有する。
【0008】
内部基準マーカの追跡では、高い精度は骨に埋め込まれた基準マーカを使用することによって達成される傾向にあるので、患者にとって困難を伴う可能性がある。基準マーカの骨への埋め込みには、困難と痛みを伴う侵襲性の処置を行う必要があるが(特に頸椎の場合)、この処置はしばしば合併症を招く恐れがある。さらに、骨に埋め込まれた基準マーカの追跡もやはり、軟組織ターゲットの動き又は変形のために、正確な結果をもたらさない可能性がある。さらに、基準マーカを骨に埋め込むのであれ、コンピュータ断層撮影(CT)による監視のもとに生検針を介してターゲット部位の近傍の軟組織に導入するのであれ、患者は、放射線処置の前に、かかる侵襲性の処置を受けなければならない。
【0009】
埋め込まれた基準マーカを使用することなく腫瘍の動きを追跡する従来の技法が、A.Schweikard、H Shiomi、J.Adlerによる「Respiration Tracking in Radiosurgery Without Fiducials」(基準を使用しない放射線手術における呼吸作用の追跡)、International Journal Medical Robotics and Computer Assisted Surgery、2005年1月、19〜27に記載されている。これに記載されている基準レス追跡技法は、腫瘍位置に関する断続的な情報を取得するために、隣接した骨のランドマーク(ほとんどの場合、腫瘍自体は、X線像で見えない可能性がある)のデジタル再構成X線写真(DRR:digitally reconstructed radiograph)と内部処置X線像との位置合わせに結び付けられた、CTデータ・セットについての変形アルゴリズムを使用する。次いで、このターゲット位置情報は、リアルタイム追跡を実現するために、従来の対比技法と結び付けられる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記の従来の方法全てについての1つの不利な点は、外部マーカ追跡を除いて、基準すなわちターゲット位置に関する断続的な情報を取得するために撮られる処置範囲内のX線写真による非処置的な放射線に、患者が繰り返し被爆する必要があるということである。
【0011】
本発明の実施形態は、制限のためではなく例として添付の図面の図に示される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下の説明では、本発明の実施形態を十分理解することができるように、特定の構成部品、デバイス、方法などの例として、数多くの特定の細部について説明する。ただし、本発明の実施形態の実施に、こういった特定の細部を用いる必要はないことは、当業者には明らかであろう。その他の例では、周知の材料又は方法については、本発明の実施形態を不必要に曖昧にするのを避けるために詳細に説明していない。
【0013】
本明細書で使用される用語「に結合される」は、直接的に、又は1つ又は複数の中間構成部品を介して間接的に結合されることを意味する。本明細書に記載される様々なバスを介して供給される任意の信号は、他の信号と時間多重化され、1つ又は複数のコモン・バスを介して供給される。さらに、回路部品又はブロックの間の相互接続は、バスとして、又は単一信号ラインとして示すことができる。あるいは、各バスは、1つ又は複数の単一信号ラインであってもよく、あるいは、各信号ラインは、バスであってもよい。本明細書で使用される用語「第1」、「第2」、「第3」、「第4」などは、異なる要素同士を区別するためのラベルを意味し、その数字の呼称に従って順序を表す意味を必ずしももたなくてもよい。
【0014】
超音波画像化における用語「リアルタイム」は、知覚可能な待ち時間又はフリッカのない、例えばおよそ1ヘルツ(Hz)を上回る速度の、像の同時取得及び表示を表す。用語「準リアルタイム」は、例えばリアルタイムの時間尺度よりもおよそ1桁又は複桁少ない桁数だけ、リアルタイムよりも遅い時間尺度を表す。一例として、X線像を取得するための時間尺度を(およそ1秒の何分の1から、およそ数秒の範囲に及ぶことがある)、準リアルタイムとみることができる。
【0015】
以下の説明で明らかに指定しない限り、この説明全体にわたって、「処理する」又は「計算する」又は「算定する」又は「判定する」などの用語を利用する論議は、コンピュータ・システム又はそれと同様の電子計算デバイスの動作や処理を表すことを理解されたい。この電子計算デバイスは、コンピュータ・システムのレジスタやメモリ内で物理的な(電子的な)量として表されるデータを、そのコンピュータ・システムのメモリ又はレジスタ、その他のかかる情報の記憶デバイス、伝達デバイス又は表示デバイス内で、物理的な量として同様に表されるその他のデータに処理し変形する。本明細書に記載の方法の実施形態は、コンピュータ・ソフトウェアを使用して実施することができる。認知された規格に準拠したプログラミング言語で書かれている場合、この方法を実施するように設計された命令のシーケンスは、様々なハードウェア・プラットフォーム上で、又は様々なオペレーティング・システムへのインターフェースのために、実行するようにコンパイルすることができる。なおその上に、本発明の実施形態は、いかなる特定のプログラミング言語についても述べていない。本発明の実施形態を実施するのに、様々なプログラミング言語を使用することができることが理解されよう。
【0016】
例えば外部ビーム放射線処置などと共に使用できる、基準マーカを患者に埋め込むことなく、軟組織ターゲットの動きを追跡するための、動的な追跡方法及びシステムについて説明する。この方法は、処置実施中に取得される1つ又は複数の超音波(US)像を、処置プランニング中に最初の基準像として取得された処置前像(例えば、MRI、CT、又は融合されたMRI/CT)に対して位置合わせして、患者セットアップ中に最初の患者の動きを判定し、補正するステップを含む。この方法はまた、処置実施中に取得されたUS像の1つ(例えば、処置実施中に最も新しく撮られたもの)を、実施段階の基準像として使用し、その後に取得される1つ又は複数のUS像を、その実施段階の基準像に対してリアルタイム又は準リアルタイムで位置合わせして、患者への処置実施中に患者の動きを判定し補正するステップを含む。この方法は、2D又は3Dの超音波画像化技法を使用して用いることができる。リアルタイムで超音波画像化してから、US像を基準US像と準リアルタイムで位置合わせする、本明細書に記載の方法の実施形態により、高速の軟組織追跡が可能になる場合がある。
【0017】
別の実施形態では、リアルタイムのUS像取得とUS−USの位置合わせが、患者上に配設された1つ又は複数の外部マーカ(例えば、LED)のリアルタイム監視と結び付けられる、リアルタイムで軟組織を追跡するための動的な追跡方法及びシステムについて説明する。この動的な追跡方法はまた、数学的モデル(例えば、相関モデル)を構築して、監視される外部マーカの動きを、リアルタイムの超音波像と処置実施の基準US像との位置合わせから取得された軟組織の位置に関連付けるステップを含む。
【0018】
図1は、患者を放射線処置するためのワークフローの一実施形態を示す。図1及び2に関して説明する段階及び/又は一段階内のステップのうちの1つ又は複数は、本発明の各実施形態に必ずしも必要ないかもしれないが、本発明の一定の実施形態を論ずるのに、より適した文脈を提供するために記載されていることに留意されたい。さらに、特定の段階内に存在していると例示、説明される1つ又は複数のステップは、その段階の外で行うこともできる。本明細書に記載の実施形態は、放射線処置による使用に関するが、軟組織ターゲットを動的に追跡する必要があるその他の用途でも使用することができることにも留意されたい。図1のワークフロー100は、図4の処置プランニング・システム410と処置実施システム420についても説明することができる。
【0019】
図1に示されているワークフロー100では、患者の放射線処置は、処置プランニング段階10、患者セットアップ段階20、処置実施段階30を含む。処置プランニング段階10は、例えば磁気共鳴(MR)画像化などの第1の画像化モダリティを使用して、軟組織ターゲットを含む患者の関心ボリューム(VOI:volume of interest)の処置前像を取得する、ステップ101を含むことができる。あるいは、処置前像は、例えば、コンピュータ断層撮影(CT)、陽電子放射断層撮影(PET)、蛍光透視などのその他のタイプの画像化モダリティを使用して取得してもよい。処置プランニング段階10はまた、処置実施のための動的な追跡プロセス(詳細は後述する)中に軟組織ターゲットの位置を追跡する基準となる、1つ又は複数の基準点を処置前像内に定義する、ステップ102を含む。超音波においても第1のモダリティにおいても、この追跡基準点は、1つ又は複数の画像化可能なランドマークにすることができる。MRI、CT、USの各像では、1つ又は複数の画像化可能なランドマークは、諸器官の輪郭線、形状又は縁部であるか、あるいは腫瘍の像コンテンツである。
【0020】
この段階10では、処置プランニングを実行するステップ103aで使用することができる、その他の像(例えば、CT)を取得することもできる。例えば、ステップ103aでCT像が取得されていると、インバース・プランニング(ステップ103b)中にそのCT像を処置前(例えば、MR)像と融合して、線量計算をさらに容易にすることができる。あるいは、ステップ101で取得された処置前(例えば、MR)像だけを使用して、線量プランニング算定を行ってもよい。処置プランニング段階10について述べたステップ103a〜cは、後述する本発明の実施形態の実施に必ずしも必要ではないことに留意されたい。このワークフローは、本明細書で時々インバース・プランニングに関して説明されるが、本明細書におけるこの方法は、フォワード・プランニングでも、混合プランニング(処置線量の一部分は、フォワード・プランニングを使用して位置決めされたアイソセンタにより生成され、一部分はインバース・プランニング中に個々のビームにより生成される)でも、使用できることに留意されたい。
【0021】
このワークフローの次の段階は、患者セットアップ段階20である。患者セットアップ時に、軟組織部位の超音波像を取得することができる(ステップ104)。一実施形態では、位置合わせの品質を評価する品質評価基準を決める。US像の品質評価基準には、視覚的な判定を使用することができる。US像が、器官輪郭線や縁部などの像特徴の点から、基準像(MR又はCT)と視覚的に同様になるようにUSトランスジューサが調節されたときに、そのUS像の品質は位置合わせに適用可となる。超音波像の品質評価基準は、複数の像パラメータ、例えば、トランスジューサ(例えば、画像化センサ)の操作技術、軟組織やその周囲領域の性質、画像化センサの位置と向き、画像化センサを使用して加えられる圧力の大きさ、送信周波数、受信周波数、ゲイン、深さ依存ゲイン、動的な範囲などに基づいていてもよい。超音波像の品質評価基準は、画像化されている組織と超音波画像化器の間に骨が介在するか、空気が介在するかに依存することもある。あるいは、通常の当業者に周知である、その他の画像化パラメータを、位置合わせのための像の品質評価基準の決定に使用してもよい。US像の品質評価基準と品質しきい値は、超音波像の所望の品質を実現するために、超音波画像化システムへのフィードバックとして、画像化パラメータの調節に使用することもできる。一実施形態では、超音波画像化器(例えば、図6の620)を、像の最高品質を実現するように再位置決めすることができる。したがって、患者セットアップ段階20は、取得されたUS像の品質評価基準が、位置合わせのための品質しきい値を満たしているかどうか判定するステップ105を含む。US像の品質評価基準が品質しきい値を満たしていない場合は、よりよい品質US像を取得するためにステップ104に戻って、超音波画像化器620を調節しても、再位置決めしてもよい(ステップ106)。
【0022】
ステップ107では、ステップ102で決定した1つ又は複数の基準点に対する軟組織ターゲットの位置又は変位を判定するために、US像が処置前像(例えば、MR)と位置合わせされる。例えばMaintz及びViergevermによる「A Survey of Medical Image Registration(医用像位置合わせの検査)」、Oxford University Press、1998に記載されている、当分野の通常の当業者に周知である技術を使用して、位置合わせを行うことができる。したがって、位置合わせの詳細な説明は行わない。位置合わせの精度と成功は、ステップ104で取得された超音波像の品質評価基準に依存する。1つ又は複数の冗長超音波画像化器を使用すると、超音波画像化器のうちの少なくとも1つからの出力と処置前像との位置合わせの見込みが改善できることにも留意されたい。冗長超音波画像化器は、同じトランスジューサ内の、あるいは人体に連結された別個のトランスジューサ内の冗長超音波画像化アレイであってもよい。
【0023】
一実施形態では、軟組織構造と腫瘍境界の視覚化を補助するために、US造影剤を使用して、血管分布過多、又は過少の腫瘍の視覚化を向上させることができる。US造影剤は、血管系全体にわたって循環させるために、患者の血液の流れに投与される。US造影剤は超音波の反射率を向上させ、それによって周囲の組織に比べて、造影剤の気泡からのエコーの信号とノイズの比を高める。別の実施形態では、ターゲット腫瘍と関連付けられた特定の分子をターゲットとする独特の分子結合特性を備えたUS造影剤を使用することによって、視覚化をさらに改善させることができる。かかる造影剤は、腫瘍内のターゲット分子に結合し、その濃度を増して、USによる視覚化を良好にすることができる。こういった造影剤は、X線造影特性も組み込めば、X線による腫瘍視覚化を改善することもできる。
【0024】
一実施形態では、ステップ108で、位置合わせによって判定された軟組織ターゲットの変位(ステップ107)を使用して、処置実施システム420の動作範囲内で変位が最小になるように、患者位置を調節することができる。これによって、処置計画によって指定された放射線ビームを送るように、放射線ビーム源を制御することができる。一実施形態では、患者が処置実施システムの動作範囲内に存在しない場合、この方法は、患者の位置を調節するステップ109を含むことができる。患者を調節する場合、要求に応じて、超音波画像化器の位置を調節するために、ステップ106にワークフローが戻ることができることに留意されたい。
【0025】
あるいは、患者ステップ段階20では、処置実施システム420の動作範囲内で患者を位置決めするその他の手段(例えば、処置プランニング段階10中に取得されたCTデータ・セットと組み合わせてX線/DRRの位置合わせを使用する)を使用することができる。これらの従来の方法の詳細は、通常の当業者に周知であり、したがって、本明細書には含めない。
【0026】
最初の患者セットアップ20が完了すると、ワークフローは処置実施段階30に移る。処置実施段階30では、処置実施中に、最新の超音波像を記録し、その像を以後のUS対US位置合わせのための実施基準US像として使用する(ステップ110)。患者セットアップ段階20中に患者が良好に位置合わせされている場合は、より高速な位置合わせを実現するために、処置前像で決めたターゲットVOIのうちの小さいほうのVOIをUS像に使用することができる。あるいは、処置前像で定義された同じターゲットVOIを使用してもよい。一実施形態では、ワークフローは自動追跡モードに進む。
【0027】
自動追跡モードでは、処置実施段階30の過程中に(すなわち、処置計画が特定のセッションで患者に施されている間)、US像が取得されるリアルタイム又は準リアルタイムの画像化速度で、US像を連続的に取得することができる(ステップ111)。一実施形態では、例えば、US画像化速度は、およそ60Hzより小さくすることができる。次に、ステップ112では、1つ又は複数の取得済みのUS像を(例えば、最後に、又はそれより新しく取得されたUS像)、実施基準US像(ステップ110の像)又は処置プランニングの際に取得された処置前像(ステップ101の像)と位置合わせすることができる。この実施形態では、基準像すなわち基準US像の基準点に対する軟組織ターゲットの動的な動きを、時間の関数として計算する。この超音波画像化は、十分な計算能力があればリアルタイムに行われるので、このセッションのその後に取得されるUS像と実施基準US像の位置合わせも、準リアルタイムで計算することができる。
【0028】
前述のように、1つ又は複数の冗長超音波画像化器を使用してもよい。一実施形態では、位置合わせ結果を、最高品質評価基準を用いて超音波画像化器から選択することができる。あるいは、例えば多数決法を使用するなど、どの超音波像を使用するべきかを決定するその他の周知の方法を実施してもよい。
【0029】
一実施形態では、この処置計画による線量実施(ステップ114)が完結しない場合、ワークフローは、追加のUS像を取得できるステップ111に戻ることができる。
【0030】
代替実施形態では、最初の患者のセットアップが完了したら、ワークフローは、図2に示されているように、上述のリアルタイムのUS像と実施基準US像の位置合わせに基づいた追跡を実行するだけの場合に可能であるかもしれない追跡よりも、高速な軟組織ターゲットの追跡を可能にする、外部動的追跡システムの使用を含む。外部動的追跡システムによる結果は、後述の相関モデルを使用するUS位置合わせ結果と結び付けられる。
【0031】
この実施形態では、最初の患者セットアップ段階20が完了したら、患者処置中に、最新の超音波像を記録し、その像を以後のUS対USの位置合わせのための実施基準US像として使用することができる(ステップ210)。図2のワークフロー200の自動追跡モードでは、超音波画像化器は、図1のステップ111に関して述べた画像化速度で画像化することができるが、超音波画像化システムから取得される超音波像は、US対US位置合わせの実行に使用可能な計算能力に対応した速度(例えば、サンプリング速度)で、間に合うようにサブ−サンプリングすることができる(ステップ211)。サンプリングされたUS像は、最新の基準US像又は処置プランニングの際に取得された処置前像と位置合わせすることができる(ステップ212)。
【0032】
動的追跡システム402は、1つ又は複数の外部マーカの位置を追跡するために、患者に結合された1つ又は複数の外部マーカ(例えば、可視の赤色LED又は赤外線LED)と、処置室に取り付けられた追跡デバイスを含む。これらの外部マーカは、例えば、患者の皮膚や患者が着用しているベストなどの、患者の外部に配設することができる。ステップ213では、動的な追跡デバイスシステムは、任意の、しかし固定された座標枠における外部マーカの位置を取得する。外部マーカの位置は、US画像化器の速度より大きいスキャン速度で取得される。一実施形態では、外部マーカの位置は、リアルタイムで取得される。一実施形態では、例えば、スキャン速度は、およそ1Hzより大きくすることができる。あるいは、その他のスキャン速度を使用してもよい。
【0033】
外部動的追跡システム402からの結果をUS位置合わせ結果と結び付けるために、相関モデルが構築される(ステップ214)。外部マーカの動きは、US像の座標系に対して任意にとることができる固定された座標系で判定され、対比エンジン(処理デバイス401によって実装される)への入力として供給される。また、対比エンジンはステップ212からのUS像の位置合わせの結果も、入力として受け取る。超音波像位置合わせからの結果と、動的な追跡デバイスの結果は、数学的モデル(例えば、相関モデル)によって相互に関連付けられて、リアルタイムに測定された外部マーカの動きと、超音波画像化システム620によってサンプリング速度で計測された軟組織ターゲットの動きとの間に数学的関係を与える。一実施形態では、相関モデルを計算するために、2つのUS像を、それに対応する1つ又は複数の外部マーカの動きと位置合わせする。したがって、ワークフロー200はさらに、追加のUS像を取得する画像化速度で、軟組織ターゲットを超音波画像化する、ステップ214aを含む。追加取得されたUS像は、実施基準US像又は処置プランニングで取得された処置前像と位置合わせされる(ステップ214b)。次いで、ステップ214a、214bからのデータに基づいて、相関モデルを更新することができる(ステップ214c)。
【0034】
相関モデルが構築又は更新されると、動的追跡システム402からの外部マーカの位置測定値を使用して、相関モデルを用いるスキャン速度で、軟組織ターゲットの対応する位置を計算することができる(ステップ215)。軟組織ターゲットの位置の計算が完了すると、この方法は、軟組織の動的な動きを補償するように、処置実施システムの放射線ビーム源の位置を調節するステップ216を含む。次いで、処置実施システム620は、追跡された軟組織ターゲットに、1回分の放射線量を送る。一実施形態では、この放射線の実施が完結しないと判定されると(ステップ217)、処置実施段階30は、相関モデルを更新するためにステップ214aに戻る。放射線の実施が完了すると、この方法は終了する(ステップ218)。別の実施形態では、新しいUS像セットを取得し、最新のUS像及び/又は処置前像(例えば、MR又はCT像)と位置合わせする度に、相関モデルの精度が確認され又は適合される。一実施形態では、相関モデルの予測がUS像変位値から逸脱し、指定されたしきい値を超えると、逸脱の発生源が判定されてから、その先に進む。かかる実施形態では、一貫性を保つために(例えば、US画像化器が人体表面上で滑って、不正な組織変位を導く可能性がある)、連続する前のUS像が比較され、マーカ位置が、それを裏づけるために、相関モデルの予測された位置と比較される。
【0035】
図1及び2に関して述べたターゲットの変位は、位置合わせされたUS像(2D又は3D)全体にわたる、あるいは関心領域(ROI)又は直方体形の関心ボリューム(VOI)内部で、異なるポイントで決定される可能性があることに留意されたい。この変位値は、位置合わせされたUS像又はROI全体にわたってポイントからポイントへ変動することがある。変位値は、軟組織の特定の領域(又は大きさ)内の平均変位を求めるために、指定された領域(又は大きさ)にわたって平均することができ、あるいはROI(又はVOI)内の平均腫瘍変位を判定するために使用することができる。空間的に変動する変位値を使用して、軟組織又は腫瘍の変形や局所的な変位をモデル化してもよい。
【0036】
図3は、外部マーカの位置と超音波像からの位置合わせ結果を、軟組織ターゲットの動きを判定するための時間の関数として相互に関連付ける一実施形態を示すグラフである。相関グラフ300は、外部マーカの実際の動き301と、軟組織ターゲットのサンプリングされたUS像の位置合わせに基づいた軟組織ターゲットの予測された動き303の、時間に対する位置を含む(例えば、位置合わせされた、軟組織ターゲットのサンプリングUS像302)。位置合わせされたサンプリングUS像302は、サンプリング速度r(s)304(例えば、リアルタイム)で間に合うようにサンプリングされ、t1〜t8で示されている、ターゲット関心領域の1つ又は複数の基準点の位置を示す。患者の呼吸動作を示すために、周期的すなわち正弦曲線を描く、外部マーカの動き301と、軟組織ターゲットの予測された動き303が示されていることに留意されたい。別の実施形態では、この動きは、周期的すなわち正弦曲線でなく、不規則な形状の曲線であってもよい。軟組織ターゲットの予測された動きの精度303は、サンプリング速度r(s)304に依存することにも留意されたい。サンプリング速度r(s)304が速いほど、多くの、位置合わせされた軟組織ターゲットのサンプリングUS像302を、外部マーカの実際の動き301に対して使用して、軟組織ターゲットの予測される動き303を算定することができる。ただし、サンプリング速度r(s)304は、上記のようにシステムの計算能力によって制限される。外部マーカの実際の動き301は連続的な曲線として示されている。別の実施形態では、外部マーカの検出された動き301もまた、軟組織ターゲットの予測される動き303を算定するために、US像のサンプリング速度より速いスキャン速度でサンプリングされた、離散的な値であってもよい。
【0037】
図2に記載されている方法の例示的な一実施形態では、時刻t1で、超音波画像化器によって取得中のUS像をサンプリングする。次いで、サンプリングされたリアルタイムUS像は、処置前スキャン(例えば、MR像)又は最新の実施基準US像と位置合わせされる。US像の位置合わせ結果は、サンプリング速度より高速の動的追跡システムによって追跡されている、外部マーカのリアルタイムの動きと結び付けることができる。位置合わせされた軟組織ターゲットのサンプリングUS像302と、外部マーカの実際の動き301を使用して、このシステムでは、軟組織ターゲットを動的に追跡するために、軟組織ターゲットの予測される動き303を算定する。
【0038】
図4は、処置プランニング・システム及び処置実施システムの一実施形態の概略ブロック図を示す。処置プランニング・システム410は、処置プランニング段階10に関して述べたステップ(例えば、処置前像を取得するなど)を実行するために使用することができる。処置プランニング・システム410は、処置実施の前に処置プランニング・システムからエクスポートする必要がないように、そのデータベース(例えば、記憶された処置前像)を処置実施システム420と共有することができる。処置プランニング・システム410はまた、DICOMインポートをサポートし(したがって、様々なシステムで決められたターゲットと像を融合し、次いで、プランニング及び線量計算のために処置プランニング・システムにインポートできる)、拡張された像融合能力(使用者が処置プランニングを行い、様々な画像化モダリティ(例えば、MRI、CT、PETなど)の任意の1つに等線量分布を表示することが可能になる)をサポートするために、MIRIT(MedicalImageReviewandImportTool、医用像レビュー及びインポートツール)を含むことができる。処置プランニング・システムは、当技術分野で周知である。したがって、詳細な説明は行わない。
【0039】
処置プランニング・システム410は、処置(例えば、MR、CTなど)前像を、超音波画像化器620で取得される超音波像との以後の位置合わせのための基準として処置実施システム420に提供する。前述のように、処置前像は、放射線処置プランニングのために直接使用することができる。あるいは、処置プランニング機能を行うために、処置前像を、その他の解剖学的像(例えば、CT)と融合する。処置プランニング・システム410は、軟組織ターゲットの動的な動きを以後測定するための基準点を選択するために使用される。基準点の位置は、処置前像と共に、処置実施システム420に提供される。
【0040】
処置実施システム420は、処置実施のために、動的追跡システム(DTS)402を含み、かつ患者を配置するための患者支持システム403を含む。処置実施システム420はまた、処置計画で定められた空間的な配置を実現し、動的追跡システム402によって計算された軟組織ターゲットの動きに動的に適応するための、放射線源406も含む。動的追跡システム402は、患者に配置された外部マーカの動きを動的に追跡する。処理デバイス401は、1つ又は複数の汎用のプロセッサ(例えば、マイクロプロセッサなど)、デジタル信号プロセッサ(DSP)などの特殊目的プロセッサ、又は処理デバイスやフィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)などのその他のタイプのデバイスと、それに付随するコンポーネント(例えば、メモリなど)を表す。このコンポーネントは、システム420の1つ又は複数のその他のブロック内に外部的に又は内部的に配置できる。処理デバイス401は、本明細書で説明した動作やステップを実行するための命令を実行するように構成することができる。具体的には、処理デバイス401を使用して、超音波画像化器620で取得された超音波像と処置前像との間で位置合わせを行い、外部マーカの動きを軟組織の動きと関連付ける相関モデルを計算する。処置実施システム420は、システムの1つの例だけを示しているが、多くの様々な構成やアーキテクチャを備えることができ、本発明と共に用いることができる。
【0041】
一実施形態では、処置実施システム420は、図5に関して下記に述べるように、フレームレス・ロボットをベースとした線形加速器(LINAC)放射線手術システムである(例えば、カリフォルニア州Accuray,Inc.社によって開発されたCyberKnife(登録商標)システム)。かかるシステムでは、患者の周りの動作ボリューム(例えば、球体)内でいくつもの角度から実施されるビームにより病的組織を照射するようにLINACを配置するために、LINACは、複数の(例えば、5つ以上)自由度を有するロボット・アームの端部に取り付けられている。この処置は、単一のアイソセンタ、複数のアイソセンタ、又は非アイソセントリック・アプローチ(すなわち、ビームは疾病ターゲット・ボリュームと交差すればよく、必ずしも単一ポイント、すなわちターゲット内部のアイソセンタに集中しない)を使用するビーム経路を用いることができる。処置は、単独のセッション(1回照射)か、処置プランニング中に決定される少数のセッション(少分割照射)で実施することができる。
【0042】
あるいは、例えばガントリ・ベース(アイソセントリック)の強度変調放射線治療(IMRT)システムなどの、処置実施システム420の別のタイプを使用することができる。患者の軸方向スライスに対応するガントリ・ベースのシステムでは、放射線源(例えば、LINAC)が、患者の軸方向のスライスに対応する平面で回転するようにガントリに取り付けられる。次いで、放射線が、回転の周回平面上の複数の位置から送られる。IMRTでは、放射線ビームの形状は、マルチ・リーフ・コリメータによって決められる。このマルチ・リーフ・コリメータは、ビームの一部分をブロックして、その残りの、患者に入射するビームを、事前に決めた形状になるようにする。IMRTプランニングでは、最適化アルゴリズムにより、主ビームのサブ・セットが選択され、そのビームのサブ・セットを露出すべき時間量が、線量拘束値を最も満たすように決定される。
【0043】
別の実施形態では、例えば、スウェーデンのElekta社から入手可能なガンマ・ナイフ(登録商標)などの定位フレーム・システムなど、その他のタイプの処置実施システム420を使用することができる。かかるシステムでは、処置計画の最適化アルゴリズム(球パッキング・アルゴリズムとも呼ばれる)により、アイソセンタを形成するビームの一群の選択と、それに割り当てられる線量重み付けが、線量拘束値を最も満たすように決定される。
【0044】
図5は、処置実施システムの例示的な一実施形態を示す。この実施形態では、処置実施システム420は、ロボット・ベースのLINACシステム500を含んだフレームレス・ロボット・ベースのLINAC放射線手術システムである。ロボット・ベースのLINACシステム500は、関節式のロボット・アーム501と、その関節式ロボット・アーム501の遠位端に取り付けられた、処置的放射線を選択的に放射するためのLINAC506(例えば、放射線源406)と、X線画像化源507と、検出器508と、追跡デバイス509と、処理デバイス401(図示せず)とを有するロボットを含む。この実施形態では、患者支持システム403は、ロボット・ベースの患者支持システム503である。ロボット・ベースの患者支持システム503は、患者処置寝台504に結合されたロボット・アーム502であってもよい。ロボット・アーム502は、5つの回転自由度と、1つのほぼ垂直な直線自由度を有する。あるいは、ロボット・アーム502は、6つの回転自由度と1つのほぼ垂直な直線自由度を有することも、少なくとも4つの回転自由度を有することもできる。ロボット・アーム502は、支柱570に結合されたトラック560に結合されている。あるいは、ロボット・アームを、壁に垂直に取り付けることも、台座又は床に水平に取り付けることもできる。支柱570は、床に取り付けても、あるいは天井に取り付けてもよい。図5は、ロボットをベースにしている、患者支持システム403の例示的実施形態を明示的に描写しているが、患者支持システム403は、カリフォルニア州のAccuray,Inc.社が開発したAxum(登録商標)処置寝台などの、その他の機械機構に取り付けられた処置台であってもよいことに留意されたい。あるいは、患者支持システム403は、スタンドすなわち台座に取り付けられた処置台などの、通常の当業者に周知である、その他の従来の処置台であってもよい。
【0045】
この実施形態では、処置実施システム420の画像化システム407は、X線画像化源507と画像化検出器508を含む。X線画像化源507は、処置座標系すなわちフレームに、軟組織ターゲットの位置と向きを示す、軟組織ターゲットの像データを生成する。1つ又は複数の検出器508は、患者の像情報を生成し、それを処理デバイス401に送ることができる。処理デバイス401は、画像化計算を全て行って、基準処置位置に対する患者の位置を判定し、様々な自由度について補正を行う。この補正は、患者を自動的に位置合わせするためにロボット・ベースの患者支持システム503に自動的に適用され、かつ/又はロボット・ベースのLINACシステム500の放射線源506に対する患者の位置を自動的に調節するために処理デバイス401に送ることができる。
【0046】
一実施形態では、処理デバイス401は、患者処置寝台とLINAC506との向きと位置を動的に調整するために、患者処置寝台504とロボット・ベースのLINACシステム500とを組み合わせて動的に動くように構成させている。患者処置寝台504は、ロボット・アームを使用して、5つの回転自由度と1つのほぼ垂直な直線自由度に沿って動き、LINACシステム500は、ロボット・ベースのLINACシステムのロボット・アームを使用して、少なくとも5つの自由度に沿って動くことができる。患者処置寝台と処置放射線源の間の動きの動的な調整により、ロボット・ベースのLINACシステム500のLINAC506の動作範囲(例えば、追跡範囲)内で患者を位置決めすることができる。
【0047】
別の実施形態では、処理デバイス401を、ロボット・ベースのLINACシステム500のLINAC506の動作範囲(例えば、追跡範囲)内で、患者処置寝台504を位置決めするように構成することができる。あるいは、処理デバイス401を、ロボット・ベースのLINACシステム500のLINAC506の動作範囲(例えば、追跡範囲)内で、LINAC506を患者処置寝台504上の患者に対して位置決めするように構成することができる。
【0048】
処理デバイス401は、処置プランニングや処置実施ソフトウェアを実行する。このソフトウェアは、処置前スキャン・データ(例えば、CT、MRIデータ、PETの各データ)や使用者の入力に応答して、固定された処置位置すなわちノードの各セットに関連付けられた線量率と持続期間をそれぞれ有する一連の所望のビーム経路からなる処置計画を生成する。処理デバイス401の命令に応答して、この処理デバイスによって方向付けられたLINAC506が必要な線量を送る間に、ロボット・アーム501が、そのLINAC506を連続的かつ順次的に動かし、方向付けして、各ノードを次々と通過させる。
【0049】
処置計画のビームを送る前に、画像化システム407によって確立された固定座標系すなわち基準フレーム内部の患者の位置と向きを、処置のプランニングに使用される像を提供した処置前画像化器(例えば、CT、MRI、PETなど)の固定座標系すなわち基準フレーム内部の患者の位置と向きに合致するように、患者処置寝台504によって調節可能でなければならない。例示的な一実施形態では、この位置合わせを、ロボット・アーム501が補正できる位置範囲内でまで行うことができる。
【0050】
前述のように、癌性の病変などの軟組織ターゲットは、患者の体の骨格構造に対して固定されないこともある。したがって、軟組織ターゲットの位置は、患者の動き(呼吸動作や、器官動作、その他の周知の人体の動きなど)により、処置中に移動することがある。つまり、軟組織ターゲットは、可動ターゲットの場合がある。前述のように、放射線処置システム400により、患者にその呼吸を止めることを求めることなく、内部の動きを追跡し、放射線手術を行うことが可能になる、あるいはいくつかの従来のシステムで必要とされるように、呼吸サイクル中、LINAC506のオフ/オンをゲート制御することが可能になる本明細書に記載の方法は、埋め込まれた基準マーカを使用せずに、軟組織ターゲットを追跡する。一実施形態では、軟組織ターゲットを追跡するためのDTS402を有する治療的放射線処置システム400は、追跡デバイス509と、患者の外部に配設された1つ又は複数のマーカを含むことができる。前述のように、処置前スキャンやその他の診断画像化は、処置プランニング中に行うことができる。次いで、この診断画像化を使用して、患者が呼吸しているときの軟組織ターゲットの形状と位置の変化をモデル化して、上記のように、これらの変化を、患者の外部に配設された1つ又は複数のマーカの動きと相互に関連付けてもよい。
【0051】
一実施形態では、1つ又は複数の外部マーカは、発光ダイオード(LED)である。LEDは、可視赤色でも赤外線でもよい。あるいは、外部マーカは、レーザ・ビーコンなど、通常の当業者に周知である、その他のマーカでもよい。一実施形態では、DTS402の追跡デバイス509は、処置室の天井に取り付けることができる。あるいは、追跡デバイス509は、処置室の床や壁などの、通常の当業者に周知である、その他の位置に取り付けてもよい。
【0052】
一実施形態では、セットアップ段階10中、患者に3つのレーザ・ビーコンを含んだ共形弾性ベストを取り付けることができる。レーザ・ビーコンとそれに対応する光ファイバ・ケーブルは、放射線透過性にすることができ、したがって、画像化すなわち処置プロセスを妨げない。これらのレーザ・ビーコンの位置は、追跡デバイス509によって追跡することができる。追跡デバイス509は、32フレーム/秒などのスキャン速度で処置室をスキャンする、1次元の3つのカメラ・アレイであってもよく、得られた像を、固定座標系におけるレーザ・ビーコンの空間的な座標を決定するために処理する。1つ又は複数のマーカのスキャンは、処置プランニング及び/又は処置実施中に行うことができる。追跡デバイス509によって追跡される1つ又は複数のマーカの動きは、図1〜3について上記の述べたように、軟組織ターゲットの動きを予測するために、US像の位置合わせ結果と結び付けることができる。あるいは、追跡デバイス509は、通常の当業者に周知である、その他の周知の追跡デバイスでもよい。
【0053】
一実施形態では、DTS402は、図4に詳細に描写されている処理デバイス401に結合(すなわち含む)してもよい。処理デバイス401は、1つ又は複数のマーカの位置と動きを算定し、図1〜3で上記に説明した、位置合わせ及び対比機能を実行する。この処理デバイスはまた、位置合わせ中に算定された軟組織の変位を、軟組織ターゲットの内部の動きを追跡するためにロボット・ベースのLINACシステム500のLINAC506の是正動作を操るロボット・アーム501に伝達される位置情報に、変換又は変形することもできる。
【0054】
図6は、動的追跡システム及び超音波画像化器を含んだ、処置実施システムの一実施形態の機能ブロック図を示す。処置実施システム420は、軟組織ターゲットを追跡するためのDTS402と、軟組織ターゲットの超音波像を取得するための超音波画像化器620と、処置のために患者を配置するための患者支持システム403と、1回分の放射線量を患者の処置ターゲットに送るための放射線源406とを含んでいる。DTS402は、処理デバイス401と、追跡デバイス509と、外部マーカ720とを含んでいる。追跡デバイス509は、外部マーカ720の動きを動的に追跡する。外部マーカ720は、1つ又は複数の外部に配設された可視の赤色又は赤外線のLEDなどである。あるいは、外部マーカ720は、通常の当業者に周知であるその他の外部マーカでもよい。
【0055】
処理デバイス401は、位置合わせブロック630と、ロボット動作制御ブロック640と、動作追跡ブロック710とを含む。処置プランニング・システム610の位置合わせブロック630は、処置プランニング中に取得された、第1のモダリティの処置前スキャンを画像化器610から受け取る。同様に、位置合わせブロック630は、処置実施中に取得された超音波像を、超音波画像化器620から受け取る。超音波画像化器620は、上述のように使用する、1つ又は複数の超音波画像化器を表している。1つ又は複数の超音波画像化器を使用すると、対応する画像化器から受け取った像ごとに、位置合わせを行うことができ、その位置合わせ結果を、上述のように、超音波画像化器の1つから選択することができる。
【0056】
1つ又は複数の超音波画像化器620は、最初の患者セットアップ後に手動調節する必要がなく、その結果、人が介入することなく処置実施を行うように取り付けられる。一実施形態では、1つ又は複数の超音波画像化器を、患者にストラップで結び付けられる調節可能なホルダを使用して取り付ける。あるいは、1つ又は複数の超音波画像化器は、患者に固定されるストラップすなわちベルトに内蔵する。この形のセンサにおける最初の調節は、手動で行ってもよい。あるいは、最初の調節は、手動で行うが、動的追跡システム402から補助されてもよい。別の実施形態では、DTS402の処理デバイス401は絶えず、取得済みの超音波像と処置前像の間で位置合わせを行い、図1、2について説明したように、その位置合わせのための品質評価基準をフィードバックする。その結果を、可/不可のフィードバックとしてオペレータに提示する。オペレータは、DTS402の処理デバイス401から可のフィードバックを得るまで、1つ又は複数の超音波画像化器を調節する。
【0057】
処理デバイス401の位置合わせブロック630は、処置前スキャン像と超音波像の位置合わせを行う。あるいは、位置合わせブロック630は、処置実施中に超音波画像化器620から受けとった2つの超音波像の位置合わせを行う。動作追跡ブロック710は、外部マーカ720の位置情報を追跡デバイス509から受け取り、その位置情報を、外部マーカ720(例えば、1つ又は複数のLEDマーカ)の動きを軟組織ターゲットの位置合わせ結果の動き(位置合わせブロック630によって行われる位置合わせ中に判定された結果)と関連付ける数学的モデル(例えば、相関モデル)の計算に、使用する。
【0058】
前述のように、処理デバイス401は、軟組織ターゲット(例えば、腫瘍又は病変)の内部移動を追跡するためにロボット・ベースのLINACシステム500のLINAC506の是正動作を操るロボット・アーム501に伝達される位置情報に、位置合わせ中に算定された軟組織の変位を変換又は変形する。こういった変換又は変形は、ロボット動作制御ブロック640で行う。
【0059】
一実施形態では、処理デバイス401のロボット動作制御ブロック640は、受信位置合わせブロック630から位置合わせ結果を受け取り、その情報を、放射線源406の是正動作に変形する。一実施形態では、ロボット動作制御ブロック640は、軟組織ターゲットの動きを追跡するためにLINAC506の位置と向きを操って1回分の放射線量を送るように、又はLINAC506の動作範囲で患者を位置決めするように、ロボット・ベースのLINACシステム500のロボット・アーム501に、是正動作情報を送る。LINAC506は、処置プランニング中に定められた空間的な配置を実現し、処置実施中にDTS402で計算された軟組織ターゲットの動きに合わせて動的に調節されるように、ロボット・アーム501に取り付けられる。別の実施形態では、ロボット動作制御ブロック640は、軟組織の移動を追跡するために患者処置寝台504の位置と向きを操って放射線源406の動作範囲で患者を位置決めするように、ロボット・ベースの患者支持システム403のロボット・アーム502に、是正動作情報を送る。患者処置寝台504は、処置プランニング中に定められた空間的な配置を実現し、処置実施中にDTS402で計算された軟組織ターゲットの動きに合わせて動的に調節されるように、ロボット・アーム502に取り付けられる。前述のように、DTS402の処理デバイス401は、処理デバイス401内に実装される。
【0060】
図7は、軟組織ターゲットの変位を判定する方法の実施形態を示す。一実施形態では、方法800のステップは、説明的な例を用いて下記に説明するように、患者セットアップ段階20で行われるステップを表す。この実施形態では、方法800は、患者の軟組織ターゲットを有する第1のモダリティの第1の像(例えば、処置プランニング段階10からのステップ101の処置前像)を受け取るステップ801と、患者の軟組織ターゲットを有する第1の超音波(US)像(例えば、ステップ104、110又は210の超音波画像化器620からの実施基準US像)を受け取るステップ802とを含む。この実施形態では、方法800はまた、患者の軟組織ターゲットを有する第1の超音波像(例えば、ステップ104、110又は210の超音波画像化器620からの実施基準US像)を、患者の軟組織ターゲットを有する第1のモダリティの第1の基準像(例えば、処置プランニング段階10からのステップ101の処置前像)に位置合わせするステップ803も含む。この実施形態では、この方法はさらに、第1のUS像(例えば、ステップ104、110又は210の超音波画像化器620からの実施基準US像)と第1の基準像の位置合わせに基づいて、軟組織ターゲットの第1の変位を判定するステップ804を含む。この実施形態では、変位を判定するステップ804は、患者が処置実施システムの動作範囲内にあるかどうかを判定する(例えば、ステップ108)ために行う。
【0061】
この実施形態では、ステップ803の変位が、処置実施システムの動作範囲内で患者の位置を調節するために判定される場合、この方法では、図8に示されているように、外部マーカを動的に追跡し続け、その結果を、処置実施段階30中に、その後のリアルタイムUS像と結び付ける。かかる方法を実現するために、方法800はさらに、実施基準超音波像(例えば、ステップ104、110又は210の像の1つ)を取得するステップ805を含む。次いで、ステップ806で、軟組織ターゲットの第1のUS像が、基準US像と位置合わせされる。ステップ807では、基準US像と第1のUS像の位置合わせに基づいて、軟組織ターゲットの第2の変位が判定される。ステップ807はまた、外部マーカの動的な追跡の結果を、超音波位置合わせの結果と結び付けて、軟組織ターゲットのリアルタイムの動的な位置を計算するために、ステップ213〜215のうちの1つ又は複数を含む。次いで、ステップ808で、患者の位置を、第2の変位を使用して、処置実施システム420の動作範囲内で調節する。
【0062】
図7をもう一度参照すると、別の実施形態では、方法800のステップは、説明的な例を用いて下記に説明するように、処置実施段階30で行われるステップを表す。この実施形態では、ステップ801の第1のモダリティの第1の像は、処置プランニング段階10で取得された処置前像でも、ステップ104、110又は210の超音波画像化器620からの実施基準US像でもよい。ステップ802の第1の超音波像は、患者実施段階30のステップ111/211で取得された、その後の超音波像である。したがって、この実施形態では、ステップ803の位置合わせは、軟組織ターゲットの基準US像と、その後の(例えば、第2の)軟組織ターゲットのUS像の位置合わせである。外部マーカの動的な追跡の結果を、ステップ803(図7には図示せず)の超音波位置合わせの結果と結び付けて、軟組織ターゲットのリアルタイムの動的な位置を計算するための、図2のステップ213〜215のうちの1つ又は複数もまた、実行する。ステップ803の変位は、処置実施中に軟組織ターゲットの動的な動きを補償するようにビーム位置を調節する(ステップ113/216)ために決定される。
【0063】
図9は、超音波センサをロボット・アームと共に使用する、軟組織ターゲットの動的な追跡の一実施形態である。この実施形態では、超音波画像化器すなわちセンサは、ロボット・アーム910に結合されている。ロボット・アーム910は、複数の(例えば、5以上の)自由度を有する。ロボット・アーム910は、小さな増分段階で超音波センサ620を操作する。各段階ごとに、取得された超音波像を、図1及び2について上記に述べたように、処置前像(例えば、MR像)と位置合わせし(ステップ107)、計算された品質評価基準に位置合わせする。ブロック950では、ロボット・アーム910によって行われる調節(センサの再位置決め)を計算するのに、超音波センサの位置に対する品質評価基準が最適化されるような周知の最適化技法を使用する。例えば、最急降下法を使用すると、品質評価基準を改善する超音波センサ620調節の方向は、2つの連続する測定値からの距離同士の間の勾配の差で決まる。この調節は品質評価基準を改善する方向に行われる。このプロセスを、像位置合わせの適用可能な品質が得られるまで繰り返す。
【0064】
あるいは、超音波センサ620を、手動で配置してもよく、あるいは当技術分野で周知の機械的位置機構に結合させることもできる。一実施形態では、超音波センサ620の手動配置とロボット配置の組合せを用いてもよい。超音波センサ620の最初の進路調節は、操作者から補助を受けて行われ、続いてロボットと最適化計算を使用して精度が高められる。
【0065】
図9のロボット・アーム910と超音波センサ620が、ロボット・ベースの線形加速器(LINAC)放射線手術システムと共に示されているが、超音波センサ620のロボットによる位置決めはまた、上記の処置実施システム420とは別のタイプのものと共に利用することもできることに留意されたい。
【0066】
上記の明細書では、本発明の実施形態を、本発明の特定の例示的実施形態について説明した。しかし、その実施形態に対して、特許請求の範囲に記載した本発明の実施形態のより広範な趣旨及び範囲から逸脱することなしに、様々な改変及び変更を行ってよいことは明らかである。したがって、本明細書及び図面は、限定ではなく例示とみるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】基準MR像(基準US)とリアルタイムUSの位置合わせによって、軟組織ターゲットを準リアルタイムで追跡するステップを含む、患者を放射線処置するためのワークフローの一実施形態を示すフローチャートである。
【図1a】基準MR像(基準US)とリアルタイムUSの位置合わせによって、軟組織ターゲットを準リアルタイムで追跡するステップを含む、患者を放射線処置するためのワークフローの一実施形態を示すフローチャートである。
【図1b】基準MR像(基準US)とリアルタイムUSの位置合わせによって、軟組織ターゲットを準リアルタイムで追跡するステップを含む、患者を放射線処置するためのワークフローの一実施形態を示すフローチャートである。
【図2】準リアルタイムのUS−US位置合わせと、皮膚表面に取り付けられたLEDマーカのリアルタイムの追跡を結び付けることによって、軟組織ターゲットをリアルタイムで追跡するステップを含む、患者を放射線処置するためのワークフローの他の実施形態を示すフローチャートである。
【図2a】準リアルタイムのUS−US位置合わせと、皮膚表面に取り付けられたLEDマーカのリアルタイムの追跡を結び付けることによって、軟組織ターゲットをリアルタイムで追跡するステップを含む、患者を放射線処置するためのワークフローの他の実施形態を示すフローチャートである。
【図2b】準リアルタイムのUS−US位置合わせと、皮膚表面に取り付けられたLEDマーカのリアルタイムの追跡を結び付けることによって、軟組織ターゲットをリアルタイムで追跡するステップを含む、患者を放射線処置するためのワークフローの他の実施形態を示すフローチャートである。
【図3】軟組織ターゲットの動きを判定するための時間の関数として、外部マーカの位置を超音波像からの位置合わせ結果に、相互に関連付ける一実施形態を示すグラフである。
【図4】放射線処置中に軟組織ターゲットの動きを追跡するための動的追跡システムを含む、処置実施システムの一実施形態の概略ブロック図である。
【図5】フレームなし像誘導型ロボット・ベースLINACシステム及びロボット・ベースの患者支持システムを使用する、放射線処置システムの例示的一実施形態の図である。
【図6】動的追跡システム及び超音波画像化器を含んだ、処置実施システムの実施形態の機能ブロック図である。
【図7】軟組織ターゲットの変位を判定する方法の一実施形態の図である。
【図8】処置実施時に軟組織ターゲットの変位を判定する方法の別の実施形態の図である。
【図9】超音波センサをロボット・アームと共に使用して、軟組織ターゲットを動的に追跡する一実施形態の図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の軟組織ターゲットを有する第1の超音波(US)像を、前記患者の前記軟組織ターゲットを有する第1のモダリティの第1の基準像と位置合わせするステップと、
前記第1のUS像と前記第1の基準像の前記位置合わせに基づいて、前記軟組織ターゲットの第1の変位を判定するステップと
を含む方法。
【請求項2】
前記第1の基準像が、磁気共鳴(MR)像、コンピュータ断層撮影(CT)像又は陽電子放射グラフ断層撮影(PET)像のうちの1つである請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1の基準像が処置プランニングのときに取得され、前記第1のUS像が処置実施のときに取得される請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記患者の位置を、放射線処置システムの放射線源の動作範囲内で、前記第1の変位を使用して調節するステップをさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記軟組織ターゲットの第2のUS像を、前記軟組織ターゲットの前記第1のUS像と位置合わせするステップであって、前記第2のUS像が、前記第1のUS像の後で取得される位置合わせするステップと、
前記第2のUS像と前記第1のUS像の前記位置合わせに基づいて、前記軟組織ターゲットの第2の変位を判定するステップとをさらに含む請求項4に記載の方法。
【請求項6】
放射線処置実施システムの放射線源の位置を、前記第2の変位を使用して調節するステップをさらに含む請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記第2のUS像と前記第1のUS像との位置合わせ及び、前記調節が、処置実施中に行われる請求項6に記載の方法。
【請求項8】
1つ又は複数のその後のUS像との位置合わせのために、前記第2のUS像を記憶して、前記軟組織ターゲットの処置実施基準位置を確立するステップと、
前記1つ又は複数のその後のUS像を、前記処置実施基準位置と位置合わせして、前記軟組織ターゲットの前記処置実施基準位置に対する、前記軟組織ターゲットの第3の変位を判定するステップをさらに含む請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記第3の変位を使用して、前記放射線源の位置を調節するステップをさらに含む請求項8に記載の方法。
【請求項10】
超音波画像化器を使用して、前記第1のUS像を取得するステップをさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項11】
超音波画像化器を使用して、前記1つ又は複数のその後のUS像を取得するステップをさらに含む請求項8に記載の方法。
【請求項12】
1つ又は複数の冗長超音波画像化器を使用して、前記1つ又は複数のその後のUS像を取得するステップをさらに含む請求項8に記載の方法。
【請求項13】
前記第1のUS像及び前記1つ又は複数のその後の像が、三次元(3D)像である請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記処置実施基準位置と前記1つ又は複数のその後のUS像の前記位置合わせを使用して、前記軟組織ターゲットの位置を、時間の関数として計算するステップと、
前記軟組織ターゲットの前記計算された位置に基づいて、放射線処置実施システムの放射線源を自動的に調節するステップとをさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記1つ又は複数のその後のUS像が第1の速度で取得され、前記第3の変位を判定するステップがさらに、
前記1つ又は複数のマーカを、固定された座標系に対して第2の速度で感知することによって、前記患者の外部に配設された1つ又は複数のマーカの第2の動きを追跡するステップと、
前記1つ又は複数のマーカの前記第2の動きの追跡に基づく相関モデルを使用して、前記軟組織ターゲットの予測された位置を、時間の関数として算定するステップとを含む請求項8に記載の方法。
【請求項16】
前記第1の速度が、約60Hzよりも小さく、前記第2の速度が、約1Hzよりも大きい請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記固定された座標系における前記第2の動きの追跡に基づいて、前記1つ又は複数のマーカの第2の位置を、時間の関数として判定するステップと、
1つ又は複数のその後のUS像を位置合わせするステップと、
前記位置合わせ結果を、前記1つ又は複数のマーカの前記位置と結び付けて、前記軟組織ターゲットの位置をリアルタイムで計算するステップとを含む、前記軟組織ターゲットの位置を予測する請求項15に記載の方法。
【請求項18】
1つ又は複数の外部マーカの位置が遅くならずにUS像に対応するポイントへ補間するか、前記1つ又は複数の外部マーカ位置に対応する新しい像を作成するために、複数のUS像の間で補間するための請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記相関モデルにおける前記軟組織ターゲットの前記予測された位置が、指定されたしきい値を超えて、前記第3の変位から逸脱しているか判定するステップをされに含み、もし逸脱していれば、
一貫性について、前の連続するUS像を比較するステップと、
前記1つ又は複数のマーカの位置を、前記相関モデルの予測された位置と比較して、前記1つ又は複数のマーカの前記位置を確認するステップとを含む請求項15に記載の方法。
【請求項20】
前記第1のモダリティが超音波であり、前記第1の基準像が実施基準超音波像であり、
前記患者の外部に配設された1つ又は複数のマーカの動きを追跡するステップと、
前記1つ又は複数のマーカの動きと、前記軟組織ターゲットの前記第1の変位の間に、相関モデルを構築するステップと、
前記相関モデルを使用して、前記軟組織ターゲットの位置を算定するステップと、
前記軟組織ターゲットの位置の前記算定に基づいて、放射線処置実施システムにある放射線源を調節するステップとをさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項21】
品質しきい値を定義するステップと、
前記第1のUS像の品質評価基準を判定するステップと、
前記第1のUS像の前記品質評価基準を、前記品質しきい値につき合わせて比較するステップと、
前記取得されたUS像の前記品質評価基準が、前記品質しきい値より小さい場合、超音波画像化器の画像化パラメータを調節するステップとをさらに含む請求項4に記載の方法。
【請求項22】
前記画像化パラメータを調節するステップが、前記超音波画像化器に結合されたロボット・アームを使用して前記超音波画像化器を再位置決めするステップを用いることを含む請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記画像化パラメータを調節するステップが、前記超音波画像化器の位置、前記超音波画像化器の向き、前記超音波画像化器によって前記患者に加えられる圧力、送信周波数、受信周波数、ゲイン、深さ依存ゲイン、動的な範囲のうちの、少なくとも1つを調節するステップをさらに含む請求項21に記載の方法。
【請求項24】
前記放射線源が、ロボット・アームに取り付けられた線形加速器(LINAC)である請求項4に記載の方法。
【請求項25】
前記第1の基準像が基準US像であり、前記第1のUS像が前記基準US像の後に取得され、前記基準US像及び前記第1のUS像を使用して、前記軟組織ターゲットの動きを自動追跡するステップをさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項26】
前記軟組織ターゲットの動きを自動追跡するステップが、
前記軟組織ターゲットの前記第1のUS像を、前記基準US像と位置合わせするステップと、
前記前記第1のUS像と前記基準US像の前記位置合わせに基づいて、前記軟組織ターゲットの第2の変位を判定するステップと、
前記第2の変位を使用して、放射線処置実施システムの前記放射線源を調節するステップとを含む請求項26に記載の方法。
【請求項27】
前記軟組織ターゲットの前記基準US像を、前記軟組織ターゲットの処置前スキャンに位置合わせするステップと、
前記基準US像と前記処置前スキャンの前記位置合わせに基づいて、前記軟組織ターゲットの第2の変位を判定するステップと、
前記第2の変位を使用して、放射線処置システムにある放射線源の動作範囲内で、前記患者の位置を調節するステップとをさらに含む請求項25に記載の方法。
【請求項28】
前記処置前像が、磁気共鳴(MR)像、コンピュータ断層撮影(CT)像又は陽電子放射グラフ断層撮影(PET)像のうちの1つである請求項27に記載の方法。
【請求項29】
超音波画像化器を使用して、前記基準US像及び前記第1のUS像を取得するステップをさらに含む請求項27に記載の方法。
【請求項30】
前記第1の変位が、前記位置合わせされた第1のUS像全体にわたって、様々なポイントにおいて判定される請求項1に記載の方法。
【請求項31】
前記放射線源が、ロボット・アームに取り付けられた線形加速器(LINAC)である請求項27に記載の方法。
【請求項32】
超音波画像化器と、
埋め込まれた基準マーカを使用することなく、前記超音波画像化器を使用して、軟組織ターゲットの変位を判定する手段と
を備える装置。
【請求項33】
1回分の放射線量を前記軟組織ターゲットに送るために、放射線源の位置を調節する手段をさらに備える請求項32に記載の装置。
【請求項34】
前記患者の位置を、放射線処置システムにある放射線源の動作範囲内で、前記変位を使用して調節する手段をさらに備える請求項32に記載の装置。
【請求項35】
前記軟組織ターゲットの動きを自動的に追跡する手段をさらに備える請求項32に記載の装置。
【請求項36】
前記自動追跡手段が、前記軟組織ターゲットの第1の超音波像を、前記軟組織ターゲットの処置前像と位置合わせする手段を備える請求項35に記載の装置。
【請求項37】
前記自動追跡手段がさらに、前記軟組織ターゲットのその後の超音波像を、前記第1のUS像と位置合わせして、前記軟組織ターゲットの位置を判定する手段を備える請求項36に記載の装置。
【請求項38】
前記装置がさらに、放射線源を備え、前記自動追跡手段がさらに、
前記患者の外部に配設された1つ又は複数のマーカの動きを追跡する手段と、
前記1つ又は複数のマーカの前記動きと、前記軟組織ターゲットの前記位置の間に、相関モデルを構築する手段と、
前記相関モデルを使用して前記軟組織ターゲットの予測される位置を算定する手段と、
前記算定に基づいて、放射線のビームを前記軟組織ターゲットに送るために、前記放射線源の位置を調節する手段とを備える請求項37に記載の装置。
【請求項39】
軟組織ターゲットを有する第1の超音波像を生成するための超音波画像化器と、
第1の超音波像を受け取るように前記超音波画像化器に結合された処理デバイスとを備える処置実施装置であって、前記処理デバイスが、前記第1の超音波像を第1の基準像と位置合わせし、前記第1の超音波像と前記第1の基準像の位置合わせに基づいて、前記軟組織ターゲットの変位を判定するためのものである装置。
【請求項40】
前記処理デバイスが、前記変位に基づいて前記放射線源の位置を調節するように、放射線源に結合される請求項39に記載の装置。
【請求項41】
前記第1の基準像が処置前像である装置であって、
患者支持システムをさらに備え、処理デバイスが、処置実施装置の動作範囲内で前記患者を調節するように、前記患者支持システムに結合される請求項39に記載の装置。
【請求項42】
前記患者システムの外部に配設された1つ又は複数のマーカの動きを追跡するように、前記処理デバイスに結合された、動的な追跡デバイスをさらに備える請求項39に記載の装置。
【請求項43】
前記1つ又は複数のマーカが、発光ダイオード(LED)である請求項42に記載の装置。
【請求項44】
前記LEDが可視の赤色である請求項43に記載の装置。
【請求項45】
前記LEDが赤外線である請求項43に記載の装置。
【請求項46】
処理デバイスに結合された放射線源をさらに備え、前記処理デバイスが、前記軟組織ターゲットの前記変位を使用して、前記装置の動作範囲で、前記放射線源の位置を調節するためのものである請求項39に記載の装置。
【請求項47】
前記放射線源が、ロボット・アームに取り付けられ、前記処理デバイスが、前記ロボット・アームを使用して、前記放射線源の前記位置を調節するように構成される請求項46に記載の装置。
【請求項48】
前記処理デバイスに結合された、1つ又は複数の追加の超音波像をさらに備える請求項39に記載の装置。
【請求項49】
前記超音波画像化器に結合された機械機構をさらに備え、前記処理デバイスが、前記機械機構を使用して、前記超音波像を調節するように構成される請求項39に記載の装置。
【請求項50】
放射線源をさらに備え、前記処理デバイスが、前記1つ又は複数のマーカの前記動きと前記軟組織ターゲットの前記第1の変位の間に相関モデルを構築し、前記相関モデルを使用して前記軟組織ターゲットの位置を算定するように構成され、前記処理デバイスが、前記軟組織ターゲットの前記位置の前記算定に基づいて、前記放射線源の位置を調節するように構成される請求項42に記載の装置。
【請求項51】
前記超音波画像化器に結合されたロボット・アームをさらに備える請求項39に記載の装置。
【請求項52】
前記プロセッサが、前記第1の超音波像の品質評価基準に基づいて、前記超音波画像化器の位置を調節するように、前記ロボット・アームに結合される請求項51に記載の装置。
【請求項53】
患者の軟組織ターゲットを含んだ、処置実施基準超音波像を受け取るステップと、
前記軟組織ターゲットを含んだ、1つ又は複数のその後の超音波像を取得するステップと、
前記1つ又は複数のその後の超音波像の少なくとも1つを、前記処置実施基準超音波像と位置合わせして、前記軟組織ターゲットの動きを判定するステップと、
前記軟組織ターゲットの前記動きを補償するように、放射線源の位置を調節するステップとを含む方法。
【請求項54】
前記軟組織ターゲットを含んだ、処置前像を受け取るステップと、
患者セットアップ段階で、前記軟組織ターゲットを含んだ、第1の超音波像を取得するステップと、
前記第1の超音波像を前記処置前像と位置合わせして、前記軟組織ターゲットの位置を判定するステップと、
処置実施システムの動作範囲内になるように、前記軟組織の前記第1の位置の前記判定に基づいて、前記患者の位置を調節するステップとをさらに含む請求項53に記載の方法。
【請求項55】
前記処置実施基準超音波像が、前記第1の超音波像である請求項54に記載の方法。
【請求項56】
前記患者の位置が調節された後に、前記軟組織ターゲットを含んだ第2の超音波画像化を取得するステップをさらに含み、前記処置実施基準超音波像が、前記患者セットアップが良好に完了した後の最新の超音波像をさらに含む請求項55に記載の方法。
【請求項57】
前記患者の外部に配設された1つ又は複数のマーカの動きを追跡するステップと、
前記1つ又は複数のマーカの動きと前記軟組織ターゲットの動きの間に、相関モデルを構築するステップと、
前記相関モデルを使用して、前記軟組織ターゲットの位置を算定するステップとをさらに含み、
前記放射線源の位置が、前記軟組織ターゲットの位置の前記算定に基づいて調節される請求項53に記載の方法。
【請求項58】
前記患者の位置が調節された後に、前記軟組織ターゲットを含んだ第2の超音波画像化を取得するステップであって、前記処置実施基準超音波像が、前記第2の超音波像である取得するステップと、
前記患者の外部に配設された1つ又は複数のマーカの動きを追跡するステップと、
前記1つ又は複数のマーカの動きと前記軟組織ターゲットの動きの間に、相関モデルを構築するステップと、
前記相関モデルを使用して、前記軟組織ターゲットの位置を算定するステップとをさらに含み、
前記放射線源の位置が、前記軟組織ターゲットの位置の前記算定に基づいて調節される請求項54に記載の方法。
【請求項59】
前記第1の超音波像が、超音波画像化器で取得され、
前記第1の超音波像と前記処置前像の前記位置合わせの品質に基づいて、前記超音波画像化器の位置を調節するステップをさらに含む請求項54に記載の方法。
【請求項1】
患者の軟組織ターゲットを有する第1の超音波(US)像を、前記患者の前記軟組織ターゲットを有する第1のモダリティの第1の基準像と位置合わせするステップと、
前記第1のUS像と前記第1の基準像の前記位置合わせに基づいて、前記軟組織ターゲットの第1の変位を判定するステップと
を含む方法。
【請求項2】
前記第1の基準像が、磁気共鳴(MR)像、コンピュータ断層撮影(CT)像又は陽電子放射グラフ断層撮影(PET)像のうちの1つである請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1の基準像が処置プランニングのときに取得され、前記第1のUS像が処置実施のときに取得される請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記患者の位置を、放射線処置システムの放射線源の動作範囲内で、前記第1の変位を使用して調節するステップをさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記軟組織ターゲットの第2のUS像を、前記軟組織ターゲットの前記第1のUS像と位置合わせするステップであって、前記第2のUS像が、前記第1のUS像の後で取得される位置合わせするステップと、
前記第2のUS像と前記第1のUS像の前記位置合わせに基づいて、前記軟組織ターゲットの第2の変位を判定するステップとをさらに含む請求項4に記載の方法。
【請求項6】
放射線処置実施システムの放射線源の位置を、前記第2の変位を使用して調節するステップをさらに含む請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記第2のUS像と前記第1のUS像との位置合わせ及び、前記調節が、処置実施中に行われる請求項6に記載の方法。
【請求項8】
1つ又は複数のその後のUS像との位置合わせのために、前記第2のUS像を記憶して、前記軟組織ターゲットの処置実施基準位置を確立するステップと、
前記1つ又は複数のその後のUS像を、前記処置実施基準位置と位置合わせして、前記軟組織ターゲットの前記処置実施基準位置に対する、前記軟組織ターゲットの第3の変位を判定するステップをさらに含む請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記第3の変位を使用して、前記放射線源の位置を調節するステップをさらに含む請求項8に記載の方法。
【請求項10】
超音波画像化器を使用して、前記第1のUS像を取得するステップをさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項11】
超音波画像化器を使用して、前記1つ又は複数のその後のUS像を取得するステップをさらに含む請求項8に記載の方法。
【請求項12】
1つ又は複数の冗長超音波画像化器を使用して、前記1つ又は複数のその後のUS像を取得するステップをさらに含む請求項8に記載の方法。
【請求項13】
前記第1のUS像及び前記1つ又は複数のその後の像が、三次元(3D)像である請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記処置実施基準位置と前記1つ又は複数のその後のUS像の前記位置合わせを使用して、前記軟組織ターゲットの位置を、時間の関数として計算するステップと、
前記軟組織ターゲットの前記計算された位置に基づいて、放射線処置実施システムの放射線源を自動的に調節するステップとをさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記1つ又は複数のその後のUS像が第1の速度で取得され、前記第3の変位を判定するステップがさらに、
前記1つ又は複数のマーカを、固定された座標系に対して第2の速度で感知することによって、前記患者の外部に配設された1つ又は複数のマーカの第2の動きを追跡するステップと、
前記1つ又は複数のマーカの前記第2の動きの追跡に基づく相関モデルを使用して、前記軟組織ターゲットの予測された位置を、時間の関数として算定するステップとを含む請求項8に記載の方法。
【請求項16】
前記第1の速度が、約60Hzよりも小さく、前記第2の速度が、約1Hzよりも大きい請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記固定された座標系における前記第2の動きの追跡に基づいて、前記1つ又は複数のマーカの第2の位置を、時間の関数として判定するステップと、
1つ又は複数のその後のUS像を位置合わせするステップと、
前記位置合わせ結果を、前記1つ又は複数のマーカの前記位置と結び付けて、前記軟組織ターゲットの位置をリアルタイムで計算するステップとを含む、前記軟組織ターゲットの位置を予測する請求項15に記載の方法。
【請求項18】
1つ又は複数の外部マーカの位置が遅くならずにUS像に対応するポイントへ補間するか、前記1つ又は複数の外部マーカ位置に対応する新しい像を作成するために、複数のUS像の間で補間するための請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記相関モデルにおける前記軟組織ターゲットの前記予測された位置が、指定されたしきい値を超えて、前記第3の変位から逸脱しているか判定するステップをされに含み、もし逸脱していれば、
一貫性について、前の連続するUS像を比較するステップと、
前記1つ又は複数のマーカの位置を、前記相関モデルの予測された位置と比較して、前記1つ又は複数のマーカの前記位置を確認するステップとを含む請求項15に記載の方法。
【請求項20】
前記第1のモダリティが超音波であり、前記第1の基準像が実施基準超音波像であり、
前記患者の外部に配設された1つ又は複数のマーカの動きを追跡するステップと、
前記1つ又は複数のマーカの動きと、前記軟組織ターゲットの前記第1の変位の間に、相関モデルを構築するステップと、
前記相関モデルを使用して、前記軟組織ターゲットの位置を算定するステップと、
前記軟組織ターゲットの位置の前記算定に基づいて、放射線処置実施システムにある放射線源を調節するステップとをさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項21】
品質しきい値を定義するステップと、
前記第1のUS像の品質評価基準を判定するステップと、
前記第1のUS像の前記品質評価基準を、前記品質しきい値につき合わせて比較するステップと、
前記取得されたUS像の前記品質評価基準が、前記品質しきい値より小さい場合、超音波画像化器の画像化パラメータを調節するステップとをさらに含む請求項4に記載の方法。
【請求項22】
前記画像化パラメータを調節するステップが、前記超音波画像化器に結合されたロボット・アームを使用して前記超音波画像化器を再位置決めするステップを用いることを含む請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記画像化パラメータを調節するステップが、前記超音波画像化器の位置、前記超音波画像化器の向き、前記超音波画像化器によって前記患者に加えられる圧力、送信周波数、受信周波数、ゲイン、深さ依存ゲイン、動的な範囲のうちの、少なくとも1つを調節するステップをさらに含む請求項21に記載の方法。
【請求項24】
前記放射線源が、ロボット・アームに取り付けられた線形加速器(LINAC)である請求項4に記載の方法。
【請求項25】
前記第1の基準像が基準US像であり、前記第1のUS像が前記基準US像の後に取得され、前記基準US像及び前記第1のUS像を使用して、前記軟組織ターゲットの動きを自動追跡するステップをさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項26】
前記軟組織ターゲットの動きを自動追跡するステップが、
前記軟組織ターゲットの前記第1のUS像を、前記基準US像と位置合わせするステップと、
前記前記第1のUS像と前記基準US像の前記位置合わせに基づいて、前記軟組織ターゲットの第2の変位を判定するステップと、
前記第2の変位を使用して、放射線処置実施システムの前記放射線源を調節するステップとを含む請求項26に記載の方法。
【請求項27】
前記軟組織ターゲットの前記基準US像を、前記軟組織ターゲットの処置前スキャンに位置合わせするステップと、
前記基準US像と前記処置前スキャンの前記位置合わせに基づいて、前記軟組織ターゲットの第2の変位を判定するステップと、
前記第2の変位を使用して、放射線処置システムにある放射線源の動作範囲内で、前記患者の位置を調節するステップとをさらに含む請求項25に記載の方法。
【請求項28】
前記処置前像が、磁気共鳴(MR)像、コンピュータ断層撮影(CT)像又は陽電子放射グラフ断層撮影(PET)像のうちの1つである請求項27に記載の方法。
【請求項29】
超音波画像化器を使用して、前記基準US像及び前記第1のUS像を取得するステップをさらに含む請求項27に記載の方法。
【請求項30】
前記第1の変位が、前記位置合わせされた第1のUS像全体にわたって、様々なポイントにおいて判定される請求項1に記載の方法。
【請求項31】
前記放射線源が、ロボット・アームに取り付けられた線形加速器(LINAC)である請求項27に記載の方法。
【請求項32】
超音波画像化器と、
埋め込まれた基準マーカを使用することなく、前記超音波画像化器を使用して、軟組織ターゲットの変位を判定する手段と
を備える装置。
【請求項33】
1回分の放射線量を前記軟組織ターゲットに送るために、放射線源の位置を調節する手段をさらに備える請求項32に記載の装置。
【請求項34】
前記患者の位置を、放射線処置システムにある放射線源の動作範囲内で、前記変位を使用して調節する手段をさらに備える請求項32に記載の装置。
【請求項35】
前記軟組織ターゲットの動きを自動的に追跡する手段をさらに備える請求項32に記載の装置。
【請求項36】
前記自動追跡手段が、前記軟組織ターゲットの第1の超音波像を、前記軟組織ターゲットの処置前像と位置合わせする手段を備える請求項35に記載の装置。
【請求項37】
前記自動追跡手段がさらに、前記軟組織ターゲットのその後の超音波像を、前記第1のUS像と位置合わせして、前記軟組織ターゲットの位置を判定する手段を備える請求項36に記載の装置。
【請求項38】
前記装置がさらに、放射線源を備え、前記自動追跡手段がさらに、
前記患者の外部に配設された1つ又は複数のマーカの動きを追跡する手段と、
前記1つ又は複数のマーカの前記動きと、前記軟組織ターゲットの前記位置の間に、相関モデルを構築する手段と、
前記相関モデルを使用して前記軟組織ターゲットの予測される位置を算定する手段と、
前記算定に基づいて、放射線のビームを前記軟組織ターゲットに送るために、前記放射線源の位置を調節する手段とを備える請求項37に記載の装置。
【請求項39】
軟組織ターゲットを有する第1の超音波像を生成するための超音波画像化器と、
第1の超音波像を受け取るように前記超音波画像化器に結合された処理デバイスとを備える処置実施装置であって、前記処理デバイスが、前記第1の超音波像を第1の基準像と位置合わせし、前記第1の超音波像と前記第1の基準像の位置合わせに基づいて、前記軟組織ターゲットの変位を判定するためのものである装置。
【請求項40】
前記処理デバイスが、前記変位に基づいて前記放射線源の位置を調節するように、放射線源に結合される請求項39に記載の装置。
【請求項41】
前記第1の基準像が処置前像である装置であって、
患者支持システムをさらに備え、処理デバイスが、処置実施装置の動作範囲内で前記患者を調節するように、前記患者支持システムに結合される請求項39に記載の装置。
【請求項42】
前記患者システムの外部に配設された1つ又は複数のマーカの動きを追跡するように、前記処理デバイスに結合された、動的な追跡デバイスをさらに備える請求項39に記載の装置。
【請求項43】
前記1つ又は複数のマーカが、発光ダイオード(LED)である請求項42に記載の装置。
【請求項44】
前記LEDが可視の赤色である請求項43に記載の装置。
【請求項45】
前記LEDが赤外線である請求項43に記載の装置。
【請求項46】
処理デバイスに結合された放射線源をさらに備え、前記処理デバイスが、前記軟組織ターゲットの前記変位を使用して、前記装置の動作範囲で、前記放射線源の位置を調節するためのものである請求項39に記載の装置。
【請求項47】
前記放射線源が、ロボット・アームに取り付けられ、前記処理デバイスが、前記ロボット・アームを使用して、前記放射線源の前記位置を調節するように構成される請求項46に記載の装置。
【請求項48】
前記処理デバイスに結合された、1つ又は複数の追加の超音波像をさらに備える請求項39に記載の装置。
【請求項49】
前記超音波画像化器に結合された機械機構をさらに備え、前記処理デバイスが、前記機械機構を使用して、前記超音波像を調節するように構成される請求項39に記載の装置。
【請求項50】
放射線源をさらに備え、前記処理デバイスが、前記1つ又は複数のマーカの前記動きと前記軟組織ターゲットの前記第1の変位の間に相関モデルを構築し、前記相関モデルを使用して前記軟組織ターゲットの位置を算定するように構成され、前記処理デバイスが、前記軟組織ターゲットの前記位置の前記算定に基づいて、前記放射線源の位置を調節するように構成される請求項42に記載の装置。
【請求項51】
前記超音波画像化器に結合されたロボット・アームをさらに備える請求項39に記載の装置。
【請求項52】
前記プロセッサが、前記第1の超音波像の品質評価基準に基づいて、前記超音波画像化器の位置を調節するように、前記ロボット・アームに結合される請求項51に記載の装置。
【請求項53】
患者の軟組織ターゲットを含んだ、処置実施基準超音波像を受け取るステップと、
前記軟組織ターゲットを含んだ、1つ又は複数のその後の超音波像を取得するステップと、
前記1つ又は複数のその後の超音波像の少なくとも1つを、前記処置実施基準超音波像と位置合わせして、前記軟組織ターゲットの動きを判定するステップと、
前記軟組織ターゲットの前記動きを補償するように、放射線源の位置を調節するステップとを含む方法。
【請求項54】
前記軟組織ターゲットを含んだ、処置前像を受け取るステップと、
患者セットアップ段階で、前記軟組織ターゲットを含んだ、第1の超音波像を取得するステップと、
前記第1の超音波像を前記処置前像と位置合わせして、前記軟組織ターゲットの位置を判定するステップと、
処置実施システムの動作範囲内になるように、前記軟組織の前記第1の位置の前記判定に基づいて、前記患者の位置を調節するステップとをさらに含む請求項53に記載の方法。
【請求項55】
前記処置実施基準超音波像が、前記第1の超音波像である請求項54に記載の方法。
【請求項56】
前記患者の位置が調節された後に、前記軟組織ターゲットを含んだ第2の超音波画像化を取得するステップをさらに含み、前記処置実施基準超音波像が、前記患者セットアップが良好に完了した後の最新の超音波像をさらに含む請求項55に記載の方法。
【請求項57】
前記患者の外部に配設された1つ又は複数のマーカの動きを追跡するステップと、
前記1つ又は複数のマーカの動きと前記軟組織ターゲットの動きの間に、相関モデルを構築するステップと、
前記相関モデルを使用して、前記軟組織ターゲットの位置を算定するステップとをさらに含み、
前記放射線源の位置が、前記軟組織ターゲットの位置の前記算定に基づいて調節される請求項53に記載の方法。
【請求項58】
前記患者の位置が調節された後に、前記軟組織ターゲットを含んだ第2の超音波画像化を取得するステップであって、前記処置実施基準超音波像が、前記第2の超音波像である取得するステップと、
前記患者の外部に配設された1つ又は複数のマーカの動きを追跡するステップと、
前記1つ又は複数のマーカの動きと前記軟組織ターゲットの動きの間に、相関モデルを構築するステップと、
前記相関モデルを使用して、前記軟組織ターゲットの位置を算定するステップとをさらに含み、
前記放射線源の位置が、前記軟組織ターゲットの位置の前記算定に基づいて調節される請求項54に記載の方法。
【請求項59】
前記第1の超音波像が、超音波画像化器で取得され、
前記第1の超音波像と前記処置前像の前記位置合わせの品質に基づいて、前記超音波画像化器の位置を調節するステップをさらに含む請求項54に記載の方法。
【図1】
【図1a】
【図1b】
【図2】
【図2a】
【図2b】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図1a】
【図1b】
【図2】
【図2a】
【図2b】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【公表番号】特表2009−500110(P2009−500110A)
【公表日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−520315(P2008−520315)
【出願日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【国際出願番号】PCT/US2006/025793
【国際公開番号】WO2007/002926
【国際公開日】平成19年1月4日(2007.1.4)
【出願人】(505005625)アキュレイ・インコーポレーテッド (11)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【国際出願番号】PCT/US2006/025793
【国際公開番号】WO2007/002926
【国際公開日】平成19年1月4日(2007.1.4)
【出願人】(505005625)アキュレイ・インコーポレーテッド (11)
【Fターム(参考)】
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