基礎杭施工方法、基礎杭及び太陽電池アレイ
【課題】軟弱地盤であっても精度よく、低コストにて施工できる基礎杭施工方法、基礎杭、太陽電池アレイを提供する。
【解決手段】基礎杭施工方法は、基礎地盤に根巻き部を設置するための根巻き部設置孔を穿つ工程と、杭部を形成するための杭穴を根巻き部設置孔の内部に穿つ工程と、杭穴に膨張セメントミルクを杭穴が埋まる程度に流し込み、この膨張セメントミルクが固まる前に、この膨張セメントミルクに心棒を挿入し、杭部を形成する工程と、心棒が自立する程度に膨張セメントミルクが固化した後、直ちに根巻き部を根巻き部設置孔に設置する工程と、根巻き部の中心孔にグラウトを流し込み、このグラウトが固化する前に支持脚を心棒に沿わせてこのグラウトに挿入し、脚固定部を形成する工程と、を含む。
【解決手段】基礎杭施工方法は、基礎地盤に根巻き部を設置するための根巻き部設置孔を穿つ工程と、杭部を形成するための杭穴を根巻き部設置孔の内部に穿つ工程と、杭穴に膨張セメントミルクを杭穴が埋まる程度に流し込み、この膨張セメントミルクが固まる前に、この膨張セメントミルクに心棒を挿入し、杭部を形成する工程と、心棒が自立する程度に膨張セメントミルクが固化した後、直ちに根巻き部を根巻き部設置孔に設置する工程と、根巻き部の中心孔にグラウトを流し込み、このグラウトが固化する前に支持脚を心棒に沿わせてこのグラウトに挿入し、脚固定部を形成する工程と、を含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、基礎杭施工方法、基礎杭及び太陽電池アレイに関する。
【背景技術】
【0002】
近年の地球温暖化防止の意識の高まりからメガワット級の大規模太陽電池システムが建設されるようになっている。
【0003】
この大規模太陽電池システムは広大な土地に太陽電池アレイを多数並べる必要がある。特に、太陽電池アレイを設置する土地の地盤が脆弱な場合は施工が困難な場合がある。
【0004】
基礎地盤の上にコンクリートによりべた基礎を形成する方法の場合、大型車が走行できる程度に地盤が強固である必要がある。しかし、廃棄物処分場跡地などの場合、地盤が軟弱なため大型車が走行できない場合がある。
【0005】
この点に関し、鋼管の先端にスクリューを設け、基礎地盤にこのスクリューをねじ込むことにより施工する方法が提案されている。
【0006】
しかし、この工法であっても杭打機が走行できるだけの硬さが基礎地盤になければ施工できない。
【0007】
そこで、基礎地盤に穴を穿ち、この穴に膨張セメントミルクを流し込むことにより基礎を形成し、この基礎にアンカーボルトを設置して太陽電池の架台の足をこのアンカーボルトに固定する工法が提案されている。
【0008】
この工法の場合、基礎地盤に穴を穿つ装置は持ち運びができるため、人が歩けるだけの地盤強度があれば施工が可能であるという利点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】実用新案登録第3158624号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかし、この工法の場合、精度よくアンカーボルトを設置することが困難であるため、施工に工数、費用がかかる。
【0011】
従って、軟弱地盤であっても精度よく、低コストにて施工できる基礎杭施工方法、基礎杭、太陽電池アレイが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の課題を解決するために、本発明の一実施形態は基礎地盤に根巻き部設置孔を穿つ工程と、杭穴を根巻き部設置孔の内部に穿つ工程と、杭穴に膨張セメントミルクを杭穴が埋まる程度に流し込み、この膨張セメントミルクが固まる前に、この膨張セメントミルクに心棒を挿入し、杭部を形成する工程と、心棒が自立する程度に膨張セメントミルクが固化した後、根巻き部を根巻き部設置孔に設置する工程と、根巻き部の中心部に設けられた中心孔にグラウトを流し込み、このグラウトが固化する前に支持脚を心棒に沿わせてこのグラウトに挿入し、脚固定部を形成する工程と、を含む基礎杭施工方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】基礎杭施工方法を、順を追って示す図である。
【図2】基礎杭施工方法を、順を追って示す図である。
【図3】基礎杭施工方法を、順を追って示す図である。
【図4】基礎杭施工方法を、順を追って示す図である。
【図5】基礎杭施工方法を、順を追って示す図である。
【図6】基礎杭施工方法を、順を追って示す図である。
【図7】基礎杭の外観斜視図である。
【図8】根巻き部を形成する工程を示す図である。
【図9】アジャスト機構を示す図である。
【図10】地盤沈下が生じた場合の対処を示す図である。
【図11】地盤沈下が生じた場合の対処を示す図である。
【図12】地盤沈下が生じた場合の対処を示す図である。
【図13】地盤沈下が生じた場合の対処を示す図である。
【図14】地盤沈下が生じた場合の対処を示す図である。
【図15】地盤沈下が生じた場合の対処を示す図である。
【図16】太陽電池アレイを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明による基礎杭施工方法、基礎杭、太陽電池アレイの一実施形態について、図面を用いて詳細に説明する。
【0015】
本実施形態の基礎杭施工方法は、基礎地盤に根巻き部設置孔を穿つ工程と、杭穴を根巻き部設置孔の内部に穿つ工程と、杭穴に膨張セメントミルクを杭穴が埋まる程度に流し込み、この膨張セメントミルクが固まる前に、この膨張セメントミルクに心棒を挿入し、杭部を形成する工程と、心棒が自立する程度に膨張セメントミルクが固化した後、根巻き部を根巻き部設置孔に設置する工程と、根巻き部の中心部に設けられた中心孔にグラウトを流し込み、このグラウトが固化する前に支持脚を心棒に沿わせてこのグラウトに挿入し、脚固定部を形成する工程と、を含む。
【0016】
(第1の実施形態)
(基礎杭施工方法)
図1乃至図6は、基礎杭施工方法を、順を追って示す図である。図1に示すように、まず、基礎地盤100に根巻き部を設置するための根巻き部設置孔10を穿つ。
【0017】
根巻き部設置孔10は、例えば縦350mm、横350mm、深さ200mmの大きさを有する。
【0018】
図2に示すように、次に杭部12を形成するための杭穴11を、根巻き部設置孔10の内部に穿つ。杭穴11は、例えばハンドオーガやクローラードリルを用いて穿つことができる。
【0019】
杭穴11は、例えば内径φ1が100mm以上200mm以下、深さh1が1m以上2m以下である。
【0020】
図3に示すように、次に杭穴11に膨張セメントミルクを杭穴11が埋まる程度に流し込み、この膨張セメントミルクが固まる前に、この膨張セメントミルクに心棒13を挿入し、杭部12を形成する。心棒13は、例えば鉄筋又は鋼管により形成され、上端が杭穴11から突出する長さを有する。
【0021】
図4に示すように、膨張セメントミルクの初期養生が終了した後、すなわち、心棒13が自立する程度に膨張セメントミルクが固化した後、直ちに根巻き部14を根巻き部設置孔10に設置する。
【0022】
本実施形態においては、根巻き部14は予めコンクリートにより形成しておき、完全に固化した根巻き部14を根巻き部設置孔10に設置する。根巻き部14は中心部に上下に貫通する中心孔を有する。
【0023】
図5に示すように、中心孔にグラウトを流し込み、このグラウトが固化する前に支持脚202を心棒13に沿わせてこのグラウトに挿入し、脚固定部15を形成する。支持脚202はグラウトの養生が完了するまで適宜治具によって支持される。この治具により、支持脚202は精度よく固定され、養生が完了するまでは微調整が可能となる。
【0024】
図6に示すように、膨張セメントミルクは養生が進むにつれて水平方向である矢印X1方向に膨張する。この膨張により、杭部12は基礎地盤100に密着する。
【0025】
ここで、グラウトは膨張セメントミルクより早く固化するものを使用することが望ましい。根巻き部14と脚固定部15とにより膨張セメントミルクを上部から抑え込むことができるため、膨張セメントミルクがより水平方向に膨張しやすくなるからである。
【0026】
膨張セメントミルクとグラウトとの養生が完了した後、例えばランマー20により垂直方向である矢印X2方向に根巻き部14の周囲を圧迫して締め固める。
【0027】
(基礎杭)
図7は、本実施形態の基礎杭110の外観斜視図である。図7に示すように、基礎杭110は、内部に心棒13を有する杭部12と、杭部12の上部に接続される根巻き部14と、根巻き部14に接続する、例えば太陽電池アレイなどの構造物の支持脚202と、この支持脚202を支持する脚固定部15と、を一体に備える。
【0028】
根巻き部14は、外形が直方体をなし、中心部に上下に貫通する脚固定部15を有する。根巻き部14の一辺の長さw2は350mm、高さh2は300mmである。
【0029】
ここで、根巻き部設置孔10は深さが200mmであるから、根巻き部14は100mm地上に露出する。従って、雨水や基礎地盤100からしみ出す水が支持脚202を浸すことはない。
【0030】
脚固定部15の一辺の長さw1は300mm以上250mm以下である。杭部12の外径φ2は100mm以上200mm以下である。
【0031】
(膨張セメントミルク)
膨張セメントミルクは例えば次のような構成をとることができる。
【0032】
(実施例1)
生石灰:9.0重量%
普通ポルトランドセメント:90.5重量%
生石灰の表面処理剤(不飽和脂肪酸):0.5重量%
以上を混合して基材とし、この基材にこの基材と同体積の水を加えて撹拌する。
【0033】
なお、水の量は適宜増減できる。
【0034】
(実施例2)
生石灰:20.0重量%
普通ポルトランドセメント:77.7重量%
生石灰の表面処理剤(不飽和脂肪酸):2.3重量%
以上を混合して基材とし、この基材にこの基材と同体積の水を加えて撹拌する。
【0035】
なお、水の量は適宜増減できる。
【0036】
(実施例3)
生石灰:36.4重量%
普通ポルトランドセメント:61.3重量%
生石灰の表面処理剤(不飽和脂肪酸):2.3重量%
以上を混合して基材とし、この基材にこの基材と同体積の水を加えて撹拌する。
【0037】
なお、水の量は適宜増減できる。
【0038】
(性能比較)
実施例1:膨張率 体積比で約10%、実施例2より硬い
実施例2:膨張率 体積比で約12%
実施例3:膨張率 体積比で約15%、実施例2よりもろい
従って、より軟弱な地盤(例えば、N値3以下。)では実施例3を、軟弱な地盤でもより硬めの地盤(例えば、N値5以上。)では実施例1を、中程度の軟弱地盤(例えばN値が3より大きく5未満。)では実施例2の膨張セメントミルクを使用することが望ましい。
【0039】
(第1の実施形態の効果)
以上述べたように、本実施形態の基礎杭施工方法は、基礎地盤100に根巻き部14を設置するための根巻き部設置孔10を穿つ工程と、杭部12を形成するための杭穴11を根巻き部設置孔10の内部に穿つ工程と、杭穴11に膨張セメントミルクを杭穴11が埋まる程度に流し込み、この膨張セメントミルクが固まる前に、この膨張セメントミルクに心棒13を挿入し、杭部12を形成する工程と、心棒13が自立する程度に膨張セメントミルクが固化した後、直ちに根巻き部14を根巻き部設置孔10に設置する工程と、根巻き部14の中心孔にグラウトを流し込み、このグラウトが固化する前に支持脚202を心棒13に沿わせてこのグラウトに挿入し、脚固定部15を形成する工程と、を含む。
【0040】
従って、軟弱地盤であっても精度よく、低コストにて施工できるという効果がある。
【0041】
(第2の実施形態)
(基礎杭施工方法)
本実施形態の基礎杭施工方法は、基礎地盤100に根巻き部を設置するための根巻き部設置孔10を穿つ工程と、杭部12を形成するための杭穴11を根巻き部設置孔10の内部に穿つ工程と、杭穴11に膨張セメントミルクを杭穴11が埋まる程度に流し込み、この膨張セメントミルクが固まる前に、この膨張セメントミルクに心棒13を挿入し、杭部12を形成する工程とは第1の実施形態と同様である。
【0042】
図8は、根巻き部16を形成する工程を示す図である。図8に示すように、杭部12を形成する工程の後に、心棒13が自立する程度に膨張セメントミルクが固化した後、直ちに心棒13に支持脚202をスパイラス鉄筋17によって固定する。
【0043】
次に、根巻き部設置孔10に設置された型枠にグラウトを流し込み、根巻き部16を形成する。型枠は、養生後はそのまま放置しても、取り外してもよい。
【0044】
(基礎杭)
本実施形態の基礎杭110は、第1の実施形態の基礎杭110と根巻き部16が第1の実施形態の根巻き部14と脚固定部15とを兼ねる点において異なる。
【0045】
(膨張セメントミルク)
本実施形態の膨張セメントミルクは、第1の実施形態の膨張セメントミルクを用いることができる。
【0046】
(第2の実施形態の効果)
以上述べたように、本実施形態の基礎杭施工方法は、基礎地盤100に根巻き部を設置するための根巻き部設置孔10を穿つ工程と、杭部12を形成するための杭穴11を根巻き部設置孔10の内部に穿つ工程と、杭穴11に膨張セメントミルクを杭穴11が埋まる程度に流し込み、この膨張セメントミルクが固まる前に、この膨張セメントミルクに心棒13を挿入し、杭部12を形成する工程と、心棒13が自立する程度に膨張セメントミルクが固化した後、直ちに心棒13に支持脚202をスパイラス鉄筋17によって固定する工程と、根巻き部設置孔10に設置された型枠にグラウトを流し込み、根巻き部16を形成する工程と、を含む。
【0047】
従って、より安価に施工できるという効果がある。
【0048】
(第3の実施形態)
(基礎杭施工方法)
本実施形態の基礎杭施工方法は、基礎地盤100に根巻き部を設置するための根巻き部設置孔10を穿つ工程と、杭部12を形成するための杭穴11を根巻き部設置孔10の内部に穿つ工程と、は第1の基礎杭施工方法と同様である。
【0049】
本実施形態の基礎杭施工方法は、杭穴11を穿った後に、杭穴11に膨張セメントミルクを杭穴11が埋まる程度に流し込み、この膨張セメントミルクが固まる前に、この膨張セメントミルクに、地盤沈下分上方に係止位置を調整するアジャスト機構300Lを挿入し、杭部12を形成する。
【0050】
その後、アジャスト機構300Lに支持脚202をナットによって固定する。
【0051】
(アジャスト機構)
図9は、本実施形態のアジャスト機構300Lを示す図である。図9(A)に示すように、アジャスト機構300Lは、杭部12内部に固定され、鉛直方向に延びる筒状の鞘管302と、鞘管302の上端に固定され、内側にネジ切りを有する固定プレート挿通孔304Aを備える固定プレート304と、全長にわたってネジ切りを有し、鞘管302の内部に、固定プレート挿通孔304Aに回転自在に挿通されて格納されるアジャスタボルト303と、アジャスタボルト303に回転軸を共通に固定される調整ナット305と、内部にネジ切りを有する載置プレート挿通孔306Aを備え、アジャスタボルト303に固定される載置プレート306と、載置プレート306に載置される環状の座金307と、アジャスタボルト303に固定されるアンカーボルト308と、を備える。
【0052】
図9(B)は鞘管302の平面図である。図9(B)に示すように、鞘管302は筒状をなし、内部の空間302Aはアジャスタボルト303を回転可能に格納するのに十分な広さを有する。
【0053】
図9(C)は固定プレート304の平面図である。固定プレート304は、回転を防止するために杭部12に埋設されることが望ましい。
【0054】
図9(D)は調整ナット305の平面図である。図9(D)に示すように、調整ナット305は、レンチにて回転しやすいように6角形をなしていることが望ましい。
【0055】
図9(E)は載置プレート306の平面図である。図9(E)に示すように、載置プレート306は太陽電池架台202の脚部を載置するのに十分な面積を有する。
【0056】
図9(F)は座金307の平面図である。図9(F)に示すように、座金307はアンカーボルト308の外径より直径が大きい内孔307Aを有する。座金307は載置プレート306に載置される大きさを有する。
【0057】
鞘管302と固定プレート304とは溶接などにより固定される。調整ナット305はアジャスタボルト303に溶接などにより固定される。アジャスタボルト303は、アンカーボルト308よりも外径が太く、長さは予測される地盤沈下量より長い。
【0058】
調整ナット305を回転すると調整ナット305に固定されたアジャスタボルト303が回転する。アジャスタボルト303は内部にネジ切りを有する固定プレート挿通孔304Aに挿通されている。従って、アジャスタボルト303の回転によりアジャスタボルト303は上下に昇降可能である。
【0059】
図10乃至図15は、地盤沈下が生じた場合の対処を示す図である。
図10は、地盤沈下する前の太陽電池アレイ201の側面図である。
地盤沈下が生じた場合、図11に示すように、ナット320が外され、太陽電池アレイ201はワイヤ800を用いてクレーンにより持ち上げられる。
【0060】
図12に示すように、アンカーボルト308が回転されて鞘管302から地盤沈下量だけ引き出される。
【0061】
図13に示すように、ナット320を複数個アンカーボルト308に嵌め込むことにより、アンカーボルト308が固定される。または、型枠材を組み合わせ、内部にコンクリート403を流し込んでアンカーボルト308が固定される。ナット320の個数により、またコンクリート403の厚さにより、高さの微調整が可能である。
【0062】
また、ナット320にて微調整した後に、ナット320を取り付けたままアンカーボルト308を型枠材401により取り囲み、コンクリート403によって固定してもよい。
【0063】
図14に示すように、コンクリート403が固化した後に太陽電池モジュール201が下ろされ、脚部202Aにアンカーボルト308が挿通される。
【0064】
図15に示すように、ナット320によりアンカーボルト308に太陽電池架台202が固定される。
【0065】
(基礎杭)
本実施形態の基礎杭110は、第1の実施形態の基礎杭110と、杭部12の内部にアジャスト機構300Lを有し、心棒13を備えず、根巻き部14を備えない点において異なる。
【0066】
(膨張セメントミルク)
本実施形態の膨張セメントミルクは、第1の実施形態の膨張セメントミルクを用いることができる。
【0067】
(第3の実施形態の効果)
以上述べたように、本実施形態の基礎杭施工方法は、基礎地盤100に根巻き部を設置するための根巻き部設置孔10を穿つ工程と、杭部12を形成するための杭穴11を根巻き部設置孔10の内部に穿つ工程と、杭穴11に膨張セメントミルクを杭穴11が埋まる程度に流し込み、この膨張セメントミルクが固まる前に、この膨張セメントミルクにアジャスト機構300Lを挿入し、杭部12を形成する工程と、アジャスト機構300Lに支持脚202をナットによって固定する工程と、を含む。
【0068】
従って、軟弱地盤であっても精度よく、低コストにて施工できるという効果に加え、地盤沈下が起きても対処できるという効果がある。
【0069】
(太陽電池アレイ)
図16は、本実施形態の太陽電池アレイ200を示す図である。図16に示すように、太陽電池アレイ200は、第1の実施形態乃至第3の実施形態の基礎杭110と、基礎杭110に固定された架台203と、架台203に載置される太陽電池モジュール201と、を備える。
【0070】
従って、軟弱地盤であっても精度よく、低コストにて施工できるという効果がある。
【0071】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0072】
12:杭部
13:心棒
14:根巻き部
15:脚固定部
200:太陽電池アレイ
201:太陽電池モジュール
202:支持脚
203:太陽電池架台
302:鞘管
304:固定プレート
303:アジャスタボルト
305:調整ナット
306:載置プレート
308:アンカーボルト
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、基礎杭施工方法、基礎杭及び太陽電池アレイに関する。
【背景技術】
【0002】
近年の地球温暖化防止の意識の高まりからメガワット級の大規模太陽電池システムが建設されるようになっている。
【0003】
この大規模太陽電池システムは広大な土地に太陽電池アレイを多数並べる必要がある。特に、太陽電池アレイを設置する土地の地盤が脆弱な場合は施工が困難な場合がある。
【0004】
基礎地盤の上にコンクリートによりべた基礎を形成する方法の場合、大型車が走行できる程度に地盤が強固である必要がある。しかし、廃棄物処分場跡地などの場合、地盤が軟弱なため大型車が走行できない場合がある。
【0005】
この点に関し、鋼管の先端にスクリューを設け、基礎地盤にこのスクリューをねじ込むことにより施工する方法が提案されている。
【0006】
しかし、この工法であっても杭打機が走行できるだけの硬さが基礎地盤になければ施工できない。
【0007】
そこで、基礎地盤に穴を穿ち、この穴に膨張セメントミルクを流し込むことにより基礎を形成し、この基礎にアンカーボルトを設置して太陽電池の架台の足をこのアンカーボルトに固定する工法が提案されている。
【0008】
この工法の場合、基礎地盤に穴を穿つ装置は持ち運びができるため、人が歩けるだけの地盤強度があれば施工が可能であるという利点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】実用新案登録第3158624号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかし、この工法の場合、精度よくアンカーボルトを設置することが困難であるため、施工に工数、費用がかかる。
【0011】
従って、軟弱地盤であっても精度よく、低コストにて施工できる基礎杭施工方法、基礎杭、太陽電池アレイが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の課題を解決するために、本発明の一実施形態は基礎地盤に根巻き部設置孔を穿つ工程と、杭穴を根巻き部設置孔の内部に穿つ工程と、杭穴に膨張セメントミルクを杭穴が埋まる程度に流し込み、この膨張セメントミルクが固まる前に、この膨張セメントミルクに心棒を挿入し、杭部を形成する工程と、心棒が自立する程度に膨張セメントミルクが固化した後、根巻き部を根巻き部設置孔に設置する工程と、根巻き部の中心部に設けられた中心孔にグラウトを流し込み、このグラウトが固化する前に支持脚を心棒に沿わせてこのグラウトに挿入し、脚固定部を形成する工程と、を含む基礎杭施工方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】基礎杭施工方法を、順を追って示す図である。
【図2】基礎杭施工方法を、順を追って示す図である。
【図3】基礎杭施工方法を、順を追って示す図である。
【図4】基礎杭施工方法を、順を追って示す図である。
【図5】基礎杭施工方法を、順を追って示す図である。
【図6】基礎杭施工方法を、順を追って示す図である。
【図7】基礎杭の外観斜視図である。
【図8】根巻き部を形成する工程を示す図である。
【図9】アジャスト機構を示す図である。
【図10】地盤沈下が生じた場合の対処を示す図である。
【図11】地盤沈下が生じた場合の対処を示す図である。
【図12】地盤沈下が生じた場合の対処を示す図である。
【図13】地盤沈下が生じた場合の対処を示す図である。
【図14】地盤沈下が生じた場合の対処を示す図である。
【図15】地盤沈下が生じた場合の対処を示す図である。
【図16】太陽電池アレイを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明による基礎杭施工方法、基礎杭、太陽電池アレイの一実施形態について、図面を用いて詳細に説明する。
【0015】
本実施形態の基礎杭施工方法は、基礎地盤に根巻き部設置孔を穿つ工程と、杭穴を根巻き部設置孔の内部に穿つ工程と、杭穴に膨張セメントミルクを杭穴が埋まる程度に流し込み、この膨張セメントミルクが固まる前に、この膨張セメントミルクに心棒を挿入し、杭部を形成する工程と、心棒が自立する程度に膨張セメントミルクが固化した後、根巻き部を根巻き部設置孔に設置する工程と、根巻き部の中心部に設けられた中心孔にグラウトを流し込み、このグラウトが固化する前に支持脚を心棒に沿わせてこのグラウトに挿入し、脚固定部を形成する工程と、を含む。
【0016】
(第1の実施形態)
(基礎杭施工方法)
図1乃至図6は、基礎杭施工方法を、順を追って示す図である。図1に示すように、まず、基礎地盤100に根巻き部を設置するための根巻き部設置孔10を穿つ。
【0017】
根巻き部設置孔10は、例えば縦350mm、横350mm、深さ200mmの大きさを有する。
【0018】
図2に示すように、次に杭部12を形成するための杭穴11を、根巻き部設置孔10の内部に穿つ。杭穴11は、例えばハンドオーガやクローラードリルを用いて穿つことができる。
【0019】
杭穴11は、例えば内径φ1が100mm以上200mm以下、深さh1が1m以上2m以下である。
【0020】
図3に示すように、次に杭穴11に膨張セメントミルクを杭穴11が埋まる程度に流し込み、この膨張セメントミルクが固まる前に、この膨張セメントミルクに心棒13を挿入し、杭部12を形成する。心棒13は、例えば鉄筋又は鋼管により形成され、上端が杭穴11から突出する長さを有する。
【0021】
図4に示すように、膨張セメントミルクの初期養生が終了した後、すなわち、心棒13が自立する程度に膨張セメントミルクが固化した後、直ちに根巻き部14を根巻き部設置孔10に設置する。
【0022】
本実施形態においては、根巻き部14は予めコンクリートにより形成しておき、完全に固化した根巻き部14を根巻き部設置孔10に設置する。根巻き部14は中心部に上下に貫通する中心孔を有する。
【0023】
図5に示すように、中心孔にグラウトを流し込み、このグラウトが固化する前に支持脚202を心棒13に沿わせてこのグラウトに挿入し、脚固定部15を形成する。支持脚202はグラウトの養生が完了するまで適宜治具によって支持される。この治具により、支持脚202は精度よく固定され、養生が完了するまでは微調整が可能となる。
【0024】
図6に示すように、膨張セメントミルクは養生が進むにつれて水平方向である矢印X1方向に膨張する。この膨張により、杭部12は基礎地盤100に密着する。
【0025】
ここで、グラウトは膨張セメントミルクより早く固化するものを使用することが望ましい。根巻き部14と脚固定部15とにより膨張セメントミルクを上部から抑え込むことができるため、膨張セメントミルクがより水平方向に膨張しやすくなるからである。
【0026】
膨張セメントミルクとグラウトとの養生が完了した後、例えばランマー20により垂直方向である矢印X2方向に根巻き部14の周囲を圧迫して締め固める。
【0027】
(基礎杭)
図7は、本実施形態の基礎杭110の外観斜視図である。図7に示すように、基礎杭110は、内部に心棒13を有する杭部12と、杭部12の上部に接続される根巻き部14と、根巻き部14に接続する、例えば太陽電池アレイなどの構造物の支持脚202と、この支持脚202を支持する脚固定部15と、を一体に備える。
【0028】
根巻き部14は、外形が直方体をなし、中心部に上下に貫通する脚固定部15を有する。根巻き部14の一辺の長さw2は350mm、高さh2は300mmである。
【0029】
ここで、根巻き部設置孔10は深さが200mmであるから、根巻き部14は100mm地上に露出する。従って、雨水や基礎地盤100からしみ出す水が支持脚202を浸すことはない。
【0030】
脚固定部15の一辺の長さw1は300mm以上250mm以下である。杭部12の外径φ2は100mm以上200mm以下である。
【0031】
(膨張セメントミルク)
膨張セメントミルクは例えば次のような構成をとることができる。
【0032】
(実施例1)
生石灰:9.0重量%
普通ポルトランドセメント:90.5重量%
生石灰の表面処理剤(不飽和脂肪酸):0.5重量%
以上を混合して基材とし、この基材にこの基材と同体積の水を加えて撹拌する。
【0033】
なお、水の量は適宜増減できる。
【0034】
(実施例2)
生石灰:20.0重量%
普通ポルトランドセメント:77.7重量%
生石灰の表面処理剤(不飽和脂肪酸):2.3重量%
以上を混合して基材とし、この基材にこの基材と同体積の水を加えて撹拌する。
【0035】
なお、水の量は適宜増減できる。
【0036】
(実施例3)
生石灰:36.4重量%
普通ポルトランドセメント:61.3重量%
生石灰の表面処理剤(不飽和脂肪酸):2.3重量%
以上を混合して基材とし、この基材にこの基材と同体積の水を加えて撹拌する。
【0037】
なお、水の量は適宜増減できる。
【0038】
(性能比較)
実施例1:膨張率 体積比で約10%、実施例2より硬い
実施例2:膨張率 体積比で約12%
実施例3:膨張率 体積比で約15%、実施例2よりもろい
従って、より軟弱な地盤(例えば、N値3以下。)では実施例3を、軟弱な地盤でもより硬めの地盤(例えば、N値5以上。)では実施例1を、中程度の軟弱地盤(例えばN値が3より大きく5未満。)では実施例2の膨張セメントミルクを使用することが望ましい。
【0039】
(第1の実施形態の効果)
以上述べたように、本実施形態の基礎杭施工方法は、基礎地盤100に根巻き部14を設置するための根巻き部設置孔10を穿つ工程と、杭部12を形成するための杭穴11を根巻き部設置孔10の内部に穿つ工程と、杭穴11に膨張セメントミルクを杭穴11が埋まる程度に流し込み、この膨張セメントミルクが固まる前に、この膨張セメントミルクに心棒13を挿入し、杭部12を形成する工程と、心棒13が自立する程度に膨張セメントミルクが固化した後、直ちに根巻き部14を根巻き部設置孔10に設置する工程と、根巻き部14の中心孔にグラウトを流し込み、このグラウトが固化する前に支持脚202を心棒13に沿わせてこのグラウトに挿入し、脚固定部15を形成する工程と、を含む。
【0040】
従って、軟弱地盤であっても精度よく、低コストにて施工できるという効果がある。
【0041】
(第2の実施形態)
(基礎杭施工方法)
本実施形態の基礎杭施工方法は、基礎地盤100に根巻き部を設置するための根巻き部設置孔10を穿つ工程と、杭部12を形成するための杭穴11を根巻き部設置孔10の内部に穿つ工程と、杭穴11に膨張セメントミルクを杭穴11が埋まる程度に流し込み、この膨張セメントミルクが固まる前に、この膨張セメントミルクに心棒13を挿入し、杭部12を形成する工程とは第1の実施形態と同様である。
【0042】
図8は、根巻き部16を形成する工程を示す図である。図8に示すように、杭部12を形成する工程の後に、心棒13が自立する程度に膨張セメントミルクが固化した後、直ちに心棒13に支持脚202をスパイラス鉄筋17によって固定する。
【0043】
次に、根巻き部設置孔10に設置された型枠にグラウトを流し込み、根巻き部16を形成する。型枠は、養生後はそのまま放置しても、取り外してもよい。
【0044】
(基礎杭)
本実施形態の基礎杭110は、第1の実施形態の基礎杭110と根巻き部16が第1の実施形態の根巻き部14と脚固定部15とを兼ねる点において異なる。
【0045】
(膨張セメントミルク)
本実施形態の膨張セメントミルクは、第1の実施形態の膨張セメントミルクを用いることができる。
【0046】
(第2の実施形態の効果)
以上述べたように、本実施形態の基礎杭施工方法は、基礎地盤100に根巻き部を設置するための根巻き部設置孔10を穿つ工程と、杭部12を形成するための杭穴11を根巻き部設置孔10の内部に穿つ工程と、杭穴11に膨張セメントミルクを杭穴11が埋まる程度に流し込み、この膨張セメントミルクが固まる前に、この膨張セメントミルクに心棒13を挿入し、杭部12を形成する工程と、心棒13が自立する程度に膨張セメントミルクが固化した後、直ちに心棒13に支持脚202をスパイラス鉄筋17によって固定する工程と、根巻き部設置孔10に設置された型枠にグラウトを流し込み、根巻き部16を形成する工程と、を含む。
【0047】
従って、より安価に施工できるという効果がある。
【0048】
(第3の実施形態)
(基礎杭施工方法)
本実施形態の基礎杭施工方法は、基礎地盤100に根巻き部を設置するための根巻き部設置孔10を穿つ工程と、杭部12を形成するための杭穴11を根巻き部設置孔10の内部に穿つ工程と、は第1の基礎杭施工方法と同様である。
【0049】
本実施形態の基礎杭施工方法は、杭穴11を穿った後に、杭穴11に膨張セメントミルクを杭穴11が埋まる程度に流し込み、この膨張セメントミルクが固まる前に、この膨張セメントミルクに、地盤沈下分上方に係止位置を調整するアジャスト機構300Lを挿入し、杭部12を形成する。
【0050】
その後、アジャスト機構300Lに支持脚202をナットによって固定する。
【0051】
(アジャスト機構)
図9は、本実施形態のアジャスト機構300Lを示す図である。図9(A)に示すように、アジャスト機構300Lは、杭部12内部に固定され、鉛直方向に延びる筒状の鞘管302と、鞘管302の上端に固定され、内側にネジ切りを有する固定プレート挿通孔304Aを備える固定プレート304と、全長にわたってネジ切りを有し、鞘管302の内部に、固定プレート挿通孔304Aに回転自在に挿通されて格納されるアジャスタボルト303と、アジャスタボルト303に回転軸を共通に固定される調整ナット305と、内部にネジ切りを有する載置プレート挿通孔306Aを備え、アジャスタボルト303に固定される載置プレート306と、載置プレート306に載置される環状の座金307と、アジャスタボルト303に固定されるアンカーボルト308と、を備える。
【0052】
図9(B)は鞘管302の平面図である。図9(B)に示すように、鞘管302は筒状をなし、内部の空間302Aはアジャスタボルト303を回転可能に格納するのに十分な広さを有する。
【0053】
図9(C)は固定プレート304の平面図である。固定プレート304は、回転を防止するために杭部12に埋設されることが望ましい。
【0054】
図9(D)は調整ナット305の平面図である。図9(D)に示すように、調整ナット305は、レンチにて回転しやすいように6角形をなしていることが望ましい。
【0055】
図9(E)は載置プレート306の平面図である。図9(E)に示すように、載置プレート306は太陽電池架台202の脚部を載置するのに十分な面積を有する。
【0056】
図9(F)は座金307の平面図である。図9(F)に示すように、座金307はアンカーボルト308の外径より直径が大きい内孔307Aを有する。座金307は載置プレート306に載置される大きさを有する。
【0057】
鞘管302と固定プレート304とは溶接などにより固定される。調整ナット305はアジャスタボルト303に溶接などにより固定される。アジャスタボルト303は、アンカーボルト308よりも外径が太く、長さは予測される地盤沈下量より長い。
【0058】
調整ナット305を回転すると調整ナット305に固定されたアジャスタボルト303が回転する。アジャスタボルト303は内部にネジ切りを有する固定プレート挿通孔304Aに挿通されている。従って、アジャスタボルト303の回転によりアジャスタボルト303は上下に昇降可能である。
【0059】
図10乃至図15は、地盤沈下が生じた場合の対処を示す図である。
図10は、地盤沈下する前の太陽電池アレイ201の側面図である。
地盤沈下が生じた場合、図11に示すように、ナット320が外され、太陽電池アレイ201はワイヤ800を用いてクレーンにより持ち上げられる。
【0060】
図12に示すように、アンカーボルト308が回転されて鞘管302から地盤沈下量だけ引き出される。
【0061】
図13に示すように、ナット320を複数個アンカーボルト308に嵌め込むことにより、アンカーボルト308が固定される。または、型枠材を組み合わせ、内部にコンクリート403を流し込んでアンカーボルト308が固定される。ナット320の個数により、またコンクリート403の厚さにより、高さの微調整が可能である。
【0062】
また、ナット320にて微調整した後に、ナット320を取り付けたままアンカーボルト308を型枠材401により取り囲み、コンクリート403によって固定してもよい。
【0063】
図14に示すように、コンクリート403が固化した後に太陽電池モジュール201が下ろされ、脚部202Aにアンカーボルト308が挿通される。
【0064】
図15に示すように、ナット320によりアンカーボルト308に太陽電池架台202が固定される。
【0065】
(基礎杭)
本実施形態の基礎杭110は、第1の実施形態の基礎杭110と、杭部12の内部にアジャスト機構300Lを有し、心棒13を備えず、根巻き部14を備えない点において異なる。
【0066】
(膨張セメントミルク)
本実施形態の膨張セメントミルクは、第1の実施形態の膨張セメントミルクを用いることができる。
【0067】
(第3の実施形態の効果)
以上述べたように、本実施形態の基礎杭施工方法は、基礎地盤100に根巻き部を設置するための根巻き部設置孔10を穿つ工程と、杭部12を形成するための杭穴11を根巻き部設置孔10の内部に穿つ工程と、杭穴11に膨張セメントミルクを杭穴11が埋まる程度に流し込み、この膨張セメントミルクが固まる前に、この膨張セメントミルクにアジャスト機構300Lを挿入し、杭部12を形成する工程と、アジャスト機構300Lに支持脚202をナットによって固定する工程と、を含む。
【0068】
従って、軟弱地盤であっても精度よく、低コストにて施工できるという効果に加え、地盤沈下が起きても対処できるという効果がある。
【0069】
(太陽電池アレイ)
図16は、本実施形態の太陽電池アレイ200を示す図である。図16に示すように、太陽電池アレイ200は、第1の実施形態乃至第3の実施形態の基礎杭110と、基礎杭110に固定された架台203と、架台203に載置される太陽電池モジュール201と、を備える。
【0070】
従って、軟弱地盤であっても精度よく、低コストにて施工できるという効果がある。
【0071】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0072】
12:杭部
13:心棒
14:根巻き部
15:脚固定部
200:太陽電池アレイ
201:太陽電池モジュール
202:支持脚
203:太陽電池架台
302:鞘管
304:固定プレート
303:アジャスタボルト
305:調整ナット
306:載置プレート
308:アンカーボルト
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基礎地盤に根巻き部設置孔を穿つ工程と、
杭穴を前記根巻き部設置孔の内部に穿つ工程と、
前記杭穴に膨張セメントミルクを前記杭穴が埋まる程度に流し込み、この膨張セメントミルクが固まる前に、この膨張セメントミルクに心棒を挿入し、杭部を形成する工程と、
前記心棒が自立する程度に前記膨張セメントミルクが固化した後、前記根巻き部を前記根巻き部設置孔に設置する工程と、
前記根巻き部の中心部に設けられた中心孔にグラウトを流し込み、このグラウトが固化する前に支持脚を前記心棒に沿わせてこのグラウトに挿入し、脚固定部を形成する工程と、
を含む基礎杭施工方法。
【請求項2】
基礎地盤に根巻き部設置孔を穿つ工程と、
杭穴を前記根巻き部設置孔の内部に穿つ工程と、
前記杭穴に膨張セメントミルクを前記杭穴が埋まる程度に流し込み、この膨張セメントミルクが固まる前に、この膨張セメントミルクに心棒を挿入し、杭部を形成する工程と、
前記心棒が自立する程度に前記膨張セメントミルクが固化した後、直ちに心棒に支持脚をスパイラス鉄筋によって固定する工程と、
前記根巻き部設置孔に設置された型枠にグラウトを流し込み、根巻き部を形成する工程と、
を含む基礎杭施工方法。
【請求項3】
基礎地盤に根巻き部設置孔を穿つ工程と、
杭穴を前記根巻き部設置孔の内部に穿つ工程と、
前記杭穴に膨張セメントミルクを前記杭穴が埋まる程度に流し込み、この膨張セメントミルクが固まる前に、この膨張セメントミルクに、地盤沈下分上方に係止位置を調整するアジャスト機構を挿入し、杭部を形成する工程と、
前記アジャスト機構に支持脚を固定する工程と、
を含む基礎杭施工方法。
【請求項4】
前記膨張セメントミルクは、
生石灰を9.0重量%以上36.4重量%以下、
普通ポルトランドセメントを61.3重量%以上90.5重量%以下、
生石灰の表面処理剤を0.5重量%以上2.3重量%以下、を含有する基材と、
水と、
を含有する請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の基礎杭施工方法。
【請求項5】
内部に心棒を有し、膨張セメントミルクによって形成される杭部と、
前記杭部の上部に接続される根巻き部と、
前記根巻き部に接続する構造物の支持脚と、
を一体に備える基礎杭。
【請求項6】
内部に心棒を有し、膨張セメントミルクによって形成される杭部と、
前記杭部の上部に接続される根巻き部と、
前記根巻き部に接続する構造物の支持脚と、
前記支持脚を支持する脚固定部と、
を一体に備える基礎杭。
【請求項7】
地盤沈下分上方に係止位置を調整するアジャスト機構を内部に有し、膨張セメントミルクによって前記アジャスト機構と一体形成される杭部と、
前記アジャスト機構に接続する構造物の支持脚と、
を備える基礎杭。
【請求項8】
前記膨張セメントミルクは、
生石灰を9.0重量%以上36.4重量%以下、
普通ポルトランドセメントを61.3重量%以上90.5重量%以下、
生石灰の表面処理剤を0.5重量%以上2.3重量%以下、を含有する基材と、
水と、
を含有する請求項5乃至請求項7のいずれか1項に記載の基礎杭。
【請求項9】
前記アジャスト機構は、
載置される構造物を固定するアンカーボルトと、
内部に固定され、前記アンカーボルトを上下方向に昇降可能に格納する鞘管と、
を備える請求項7記載の基礎杭。
【請求項10】
前記鞘管は、
内部がネジ切りされた固定プレート挿通孔を有する固定プレートを備え、
前記アンカーボルトは、
ネジ切りを有し、前記固定プレート挿通孔に回転可能に挿通される
請求項9記載の基礎杭。
【請求項11】
前記鞘管は、
内部がネジ切りされた固定プレート挿通孔を有する固定プレートを備え、
前記アンカーボルトは、
前記アンカーボルトの外径より太い外径を有し、ネジ切りを有し、回転軸を共通に固定された調整ナットを有し、前記固定プレート挿通孔に回転可能に挿通されるアジャスタボルトの上端に固定される
請求項10記載の基礎杭。
【請求項12】
太陽電池モジュールと、
前記太陽電池モジュールを載置する架台と、
架台の指示脚を固定する固定手段と膨張セメントミルクによって一体形成される杭部と、
を備える太陽電池アレイ。
【請求項13】
前記固定手段は、
構造物の支持脚、及び構造物の支持脚に接続され、地盤沈下分上方に係止位置を調整するアジャスト機構のいずれか一方である請求項12記載の太陽電池アレイ。
【請求項1】
基礎地盤に根巻き部設置孔を穿つ工程と、
杭穴を前記根巻き部設置孔の内部に穿つ工程と、
前記杭穴に膨張セメントミルクを前記杭穴が埋まる程度に流し込み、この膨張セメントミルクが固まる前に、この膨張セメントミルクに心棒を挿入し、杭部を形成する工程と、
前記心棒が自立する程度に前記膨張セメントミルクが固化した後、前記根巻き部を前記根巻き部設置孔に設置する工程と、
前記根巻き部の中心部に設けられた中心孔にグラウトを流し込み、このグラウトが固化する前に支持脚を前記心棒に沿わせてこのグラウトに挿入し、脚固定部を形成する工程と、
を含む基礎杭施工方法。
【請求項2】
基礎地盤に根巻き部設置孔を穿つ工程と、
杭穴を前記根巻き部設置孔の内部に穿つ工程と、
前記杭穴に膨張セメントミルクを前記杭穴が埋まる程度に流し込み、この膨張セメントミルクが固まる前に、この膨張セメントミルクに心棒を挿入し、杭部を形成する工程と、
前記心棒が自立する程度に前記膨張セメントミルクが固化した後、直ちに心棒に支持脚をスパイラス鉄筋によって固定する工程と、
前記根巻き部設置孔に設置された型枠にグラウトを流し込み、根巻き部を形成する工程と、
を含む基礎杭施工方法。
【請求項3】
基礎地盤に根巻き部設置孔を穿つ工程と、
杭穴を前記根巻き部設置孔の内部に穿つ工程と、
前記杭穴に膨張セメントミルクを前記杭穴が埋まる程度に流し込み、この膨張セメントミルクが固まる前に、この膨張セメントミルクに、地盤沈下分上方に係止位置を調整するアジャスト機構を挿入し、杭部を形成する工程と、
前記アジャスト機構に支持脚を固定する工程と、
を含む基礎杭施工方法。
【請求項4】
前記膨張セメントミルクは、
生石灰を9.0重量%以上36.4重量%以下、
普通ポルトランドセメントを61.3重量%以上90.5重量%以下、
生石灰の表面処理剤を0.5重量%以上2.3重量%以下、を含有する基材と、
水と、
を含有する請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の基礎杭施工方法。
【請求項5】
内部に心棒を有し、膨張セメントミルクによって形成される杭部と、
前記杭部の上部に接続される根巻き部と、
前記根巻き部に接続する構造物の支持脚と、
を一体に備える基礎杭。
【請求項6】
内部に心棒を有し、膨張セメントミルクによって形成される杭部と、
前記杭部の上部に接続される根巻き部と、
前記根巻き部に接続する構造物の支持脚と、
前記支持脚を支持する脚固定部と、
を一体に備える基礎杭。
【請求項7】
地盤沈下分上方に係止位置を調整するアジャスト機構を内部に有し、膨張セメントミルクによって前記アジャスト機構と一体形成される杭部と、
前記アジャスト機構に接続する構造物の支持脚と、
を備える基礎杭。
【請求項8】
前記膨張セメントミルクは、
生石灰を9.0重量%以上36.4重量%以下、
普通ポルトランドセメントを61.3重量%以上90.5重量%以下、
生石灰の表面処理剤を0.5重量%以上2.3重量%以下、を含有する基材と、
水と、
を含有する請求項5乃至請求項7のいずれか1項に記載の基礎杭。
【請求項9】
前記アジャスト機構は、
載置される構造物を固定するアンカーボルトと、
内部に固定され、前記アンカーボルトを上下方向に昇降可能に格納する鞘管と、
を備える請求項7記載の基礎杭。
【請求項10】
前記鞘管は、
内部がネジ切りされた固定プレート挿通孔を有する固定プレートを備え、
前記アンカーボルトは、
ネジ切りを有し、前記固定プレート挿通孔に回転可能に挿通される
請求項9記載の基礎杭。
【請求項11】
前記鞘管は、
内部がネジ切りされた固定プレート挿通孔を有する固定プレートを備え、
前記アンカーボルトは、
前記アンカーボルトの外径より太い外径を有し、ネジ切りを有し、回転軸を共通に固定された調整ナットを有し、前記固定プレート挿通孔に回転可能に挿通されるアジャスタボルトの上端に固定される
請求項10記載の基礎杭。
【請求項12】
太陽電池モジュールと、
前記太陽電池モジュールを載置する架台と、
架台の指示脚を固定する固定手段と膨張セメントミルクによって一体形成される杭部と、
を備える太陽電池アレイ。
【請求項13】
前記固定手段は、
構造物の支持脚、及び構造物の支持脚に接続され、地盤沈下分上方に係止位置を調整するアジャスト機構のいずれか一方である請求項12記載の太陽電池アレイ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2013−57204(P2013−57204A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−196243(P2011−196243)
【出願日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【出願人】(390014568)東芝プラントシステム株式会社 (273)
【出願人】(599165968)多摩火薬機工株式会社 (5)
【出願人】(505237824)株式会社アール免震 (4)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【出願人】(390014568)東芝プラントシステム株式会社 (273)
【出願人】(599165968)多摩火薬機工株式会社 (5)
【出願人】(505237824)株式会社アール免震 (4)
【Fターム(参考)】
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