説明

基質の結晶条件を最適化するための方法および装置

本発明は、複数のウェルであって、各ウェルはその中に異なる結晶化媒体を含む、マルチウェル結晶化プレートに関する。各結晶化媒体は、少なくとも二つの異なるパラメータに従って変動する。第1パラメータは少なくとも一つの条件を有し、第2パラメータは少なくとも二つの異なる条件を有し、それによって、マルチウェルプレートは、基質の結晶化条件の最適化の促進を可能とする。基質の結晶化条件を最適化するための方法も開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は結晶学の分野における改良に関する。本発明は、特に、任意の基質の結晶条件を最適化するための新規方法または方策に関する。本発明はまた、基質結晶条件の最適化を実行するための新規マルチウェルプレートに関する。
【背景技術】
【0002】
過去十年、構造生物学の技術面は、タンパク発現からデータ収集に至るまで応用される高処理法によって大きく単純化された。このようにして得られた利点をもってさえ、結晶成長は、結晶学においてなお重要な、打ち克ち難い困難を抱える工程であり続けている。実験室では自動化工程が通例となり、1日当たり実行される結晶実験の数を増大させる一方で、これらの実験の成功値(解決構造数/実験設定値)には定常的な低下が見られる。
【0003】
タンパクの3D構造決定用の結晶を得るために、結晶学者は、既知の方策を用いる。この方策では、任意のタンパクについて「ヒット解決」を定めるために、最初、広範な一連の条件に対してタンパクをスクリーニングする。この一組の初期条件の中から、結晶形、すなわち「ヒット」が観察されるが、多くの場合、基本的品質を備えた結晶を得るためには、ヒットを生じた初期条件の周囲でいくつかの最適化ラウンドを重ねることが必要である。
【0004】
もっとも普遍的で、広く使用される最適化方策は、実験化学条件の成分を変え、最初のヒットの周囲にグリッドを準備することによって実行される(明解な総論については、非特許文献1を参照されたい)。この方法は、ある特定のタンパクの結晶化にどの因子が影響を及ぼし、その因子はどの程度結晶品質を向上させることが可能かを決定することを可能にする。初期のヒットを最適化する試みにおいては、多くのパラメータを変動させることが可能である。このようなパラメータとして、例えば、沈殿物濃度、pH、バッファーのタイプ、塩イオン、還元剤のような添加物、金属イオン、阻害剤等、タンパク(濃度、供給源、突然変異等)、および実験条件(温度、方法等)がある。
【0005】
しかしながら、新規タンパクを調べる場合、熟練した結晶学者でさえ、どの因子が重要であり、どの因子がそうでないかを選択するのに若干の困難を感ずる場合がある。
【0006】
「拡張グリッド」を用いる方法は、極めてよく設計された最適化方策ではあるが、これは、退屈で、時間のかかる手順である。さらに、初期の結晶化ヒットを中心にしてその周囲において最適化ラウンドを実行することは、必ずしも結晶獲得という最終目標を実現するとは限らない。なぜなら、ヒットそれ自体が、この特定の化学的環境に合致する最適化条件である可能性があるからである。
【0007】
結晶化条件の最適化は、通常、初回ヒットの周囲の化学的環境を僅かに変えることによって実行される。この過程は退屈で時間がかかる。なぜなら、どの因子を先ず変動させるか、初回ヒットで選択された変化をどんな形式でどのように適用するか、を決めるために、沢山の質問を課さなければならないからである。結晶学者はまた、パラメータに対して施した変動が、初回ヒットを著明に変えて、新規条件を創出するかどうか、および、ヒットの周囲の結晶化スペースが十分にカバーされているかどうかを決めなければならない。以上から、従来提案された方法および方策は、タンパクの結晶条件の最適化のために効率的な、高速な解決を提供するものではなく、新規方法が求められていると考えられる。
【0008】
巨大分子の結晶化は、設定がより高速に、より易しくなってきてはいるが、それでも結晶成長は依然としてトライアンドエラー過程である。初回スクリーニングだけで高解像度結晶が得られることは稀である。回折品質の結晶を得るためには、数多くの最適化ラウンドが必要である。
【0009】
自動化および高処理技術が次第に多くの実験室に取り入れられている状況下、タンパクの初回スクリーニングにおける「ぼんやりした結果」だけでも、結晶成長の方法論的局面を見直す必要があることを指し示している。特に、初回スクリーニングと最適化の関係についてはより注意を払う必要がある。
【非特許文献1】McPherson, A. 「生物学的巨大分子の結晶化」("Crystallization of biological macromolecules") 1999, New York: Cold Spring Harbor Library Press, 291-296
【発明の開示】
【0010】
従って、前述の欠点を克服すると考えられる、結晶条件を最適化するための方法および装置を提供するのが本発明の目的である。
【0011】
基質の結晶条件を高速で、簡単に最適化するための方法および装置を提供するのが本発明のもう一つの目的である。
【0012】
ヒット解決の決定後単一ラウンドで実行することが可能な、基質の結晶条件を最適化するための方法を提供するのが本発明のもう一つの目的である。
【0013】
本発明の一つの局面によれば、複数のウェルを含むマルチウェルプレートであって、各ウェルはその中に異なる結晶化媒体を有し、各結晶化媒体は、少なくとも二つの異なるパラメータに従って変動し、第1パラメータは少なくとも一つの条件を有し、第2パラメータは少なくとも二つの異なる条件を有し、それによって基質の結晶化条件の最適化の促進を可能とするマルチウェルプレートが提供される。
【0014】
パラメータは、例えば、バッファー、前記結晶化媒体のpH、塩、前記塩の濃度、前記結晶化媒体の温度、添加物、前記添加物の濃度、共晶化合物、前記共晶化合物の濃度、アルコール、前記アルコールの濃度、ポリマー、および前記ポリマーの濃度から成るグループから選ばれてもよい。
【0015】
本発明の一つの実施態様では、前記パラメータの内の一つはバッファーである。前記バッファーパラメータの各条件は、トリス、トリスHCl、HEPES、ナトリウムHEPES、イミダゾール、クエン酸ナトリウム、カコジル酸ナトリウム、および酢酸ナトリウムから成るグループから選ばれる指定のバッファーによって表すことが可能である。
【0016】
別態様として、前記パラメータの内の一つは、前記結晶化媒体のpHであってもよい。pHの各条件は、試験される異なるpH値を表してもよい。
【0017】
前記パラメータの内の一つは塩であってもよい。従って、塩の各条件は、異なる塩であって、それぞれ、無機または有機の陰イオン、および有機の陽イオン、あるいは別に、有機の陰イオン、および無機または有機の陽イオンを含むことが可能な、異なる塩であってもよい。
【0018】
陽イオンは、例えば、ナトリウム、カリウム、アンモニウム、マグネシウム、カルシウム、およびリチウムから成るグループから選ばれてもよく、陰イオンは、ギ酸基、マロン酸基、塩素基、酢酸基、フッ素基、臭素基、硝酸基、およびチオシアン酸基から成るグループから選ばれてもよい。
【0019】
一つの実施態様では、前記パラメータの内の一つは塩の濃度である。従って、塩濃度の各条件は、前記塩の異なる濃度値によって表されてもよい。
【0020】
本発明の別の実施態様では、前記パラメータの内の一つは、前記結晶化媒体の温度であり、従って、温度媒体の各条件は、試験される異なる温度によって表されてもよい。
【0021】
本発明のさらに別の実施態様では、前記パラメータの内の一つは添加物であり、従って、添加物の各条件は、異なる添加物、例えば、還元剤、金属イオン、阻害剤、または界面活性剤によって表されてもよい。
【0022】
本発明のさらに別の実施態様では、前記パラメータの内の一つは前記添加物の濃度であり、従って、添加物濃度の各条件は、試験される前記添加物の異なる濃度値によって表されてもよい。
【0023】
本発明のさらに別の実施態様では、前記パラメータの内の一つはリガンドであり、従って、リガンドの各条件は、試験される異なるリガンドによって表されてもよい。例えば、指定のリガンドは、ATP、ADT、NAD、NADP、NADPH、NADHから成るグループから選ばれてもよい。
【0024】
本発明のさらに別の実施態様では、パラメータの内の一つはリガンドの濃度であり、従って、リガンド濃度の各条件は、試験される前記リガンドの異なる濃度値によって表されてもよい。
【0025】
本発明のさらに別の実施態様では、パラメータの内の一つはアルコールであり、アルコールの各条件は、試験される指定のアルコールによって表される。アルコールの例は、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、メチルペンタンジオール、ヘキサンジオール、およびエチレングリコールから成るグループから選ばれてもよい。
【0026】
本発明のさらに別の実施態様では、パラメータの内の一つは、前記アルコールの濃度であり、従って、試験されるアルコール濃度の各条件は、前記アルコールの異なる濃度値によって表されてもよい。
【0027】
本発明のさらに別の実施態様では、パラメータの内の一つはポリマーであり、従って、ポリマーの各条件は、試験される異なるポリマー、例えば、PEG、ポリエチレンイミン、およびジェファミンM-600によって表されてもよい。
【0028】
本発明のさらに別の実施態様では、パラメータの内の一つは前記ポリマーの濃度であり、従って、試験されるポリマー濃度の各条件は、前記ポリマーの異なる濃度値によって表されてもよい。
【0029】
従って、結晶化媒体は、少なくとも2種の、好ましくは2種を超える、さらに好ましくは3種の異なるパラメータに従って変動することが可能であり、第1パラメータは少なくとも一つの条件を有し、第2パラメータは少なくとも二つの異なる条件を有し、第3パラメータは、少なくとも一つ、好ましくは二つの条件を有する。
【0030】
本発明の別の実施態様では、第1パラメータは添加物であり、前記第2パラメータは前記添加物の濃度であり、前記第3パラメータは前記結晶化媒体のpHである。本発明のさらに別の実施態様では、第1パラメータは塩であり、前記第2パラメータは前記塩の濃度であり、前記第3パラメータは前記結晶化媒体のpHである。
【0031】
プレートは、任意の数のウェル、例えば、3、6、24、96、192、384、768、または1536ウェルを含む、より好ましくは96ウェルを含むことが可能なマルチウェル・プレートである。
【0032】
本発明のさらに別の実施態様では、上に定義した通りの、96ウェルを含むプレートが提供されるが、前記第1パラメータは塩であり、前記第1パラメータの条件は16種の異なる塩であり、前記第2パラメータは塩濃度であり、前記第2パラメータの条件は2種類の異なる濃度であり、前記第3パラメータはpHであり、前記第3パラメータの条件は3種類の異なるpH値である。
【0033】
プレートにおいて使用される結晶化媒体は、溶液かゲルのどちらかである。プレートは、前記ウェルの上に配置されてウェルを密封するためのカバーをさらに含むことが好ましい。
【0034】
プレートは、懸垂滴結晶タイプのプレートであって、前記ウェルを密封するためのカバーをさらに含んでもよく、あるいは、静座滴結晶タイプのプレートであってもよい。
【0035】
プレートの各ウェルは、基質ウェルに隣接して結晶化媒体貯留槽を含んでもよい。
【0036】
プレートは、任意の結晶可能な分子、例えば、タンパク、またはいくつかの有機化合物を結晶化させるために使用することが可能である。本発明のプレートと共に使用される結晶化媒体の容量は変動してもよいが、通常、少なくとも1μLであり、より好ましくは約5から約500μLであり、もっとも好ましくは前記結晶化媒体10μLである。結晶化媒体は、基質ウェルに隣接する結晶化媒体貯留槽に含まれることが好ましい。
【0037】
本発明によれば、基質の結晶化条件を最適化するための方法であって、上に定義した通りのプレートの各ウェルに前記基質を加える工程を含む方法が提供される。
【0038】
方法は、前記基質を各ウェルに加える前、または後に、前記基質のヒット液を各ウェルに加えることをさらに含んでもよい。
【0039】
さらに本発明によれば、基質の結晶化条件を最適化するための方法であって、上に定義した通りのプレートの各ウェルにおいて、前記基質を、前記基質のヒット液および前記結晶化媒体に接触させる工程を含む方法が提供される。
【0040】
さらに本発明によれば、基質の結晶化を最適化するための方法であって、
a)様々な溶液をスクリーニングすることによって前記基質のヒット液を決定すること;
b)工程a)で決定した前記ヒット液を、上に定義したプレートの各媒体貯留槽に加えて、混合物を得ること;
c)基質を基質ウェルに加えること;
d)各媒体貯留槽から所望容量の前記混合物を基質ウェルに移すこと;および、
e)前記基質ウェルおよび媒体貯留槽を密封し、基質の結晶化を可能とすること、
を含む方法が提供される。
【0041】
本発明のさらに別の実施態様では、基質の結晶化条件を最適化するための方法であって、
a)様々な溶液をスクリーニングすることによって前記基質のヒット液を決定すること;
b)前記ヒット液を、上に定義したプレートの媒体貯留槽に加えて、前記結晶化媒体と前記ヒット液との混合物を得ること;
c)前記基質を基質ウェルに加えること;
d)工程b)で得た混合物を基質ウェルに加えること;および、
e)媒体貯留槽および隣接する基質ウェルを前記カバーにて密封し、基質の結晶化を可能とすること、
を含む方法が提供される。
【0042】
出願者は、前述のプレートまたは方法を用いることによって、ある任意の基質に対する結晶化条件を速やかに最適化することが可能であることを見出した。さらに、このようなプレートまたは方法を用いた場合、任意の基質の最適条件に関して相当量の情報を速やかに獲得することが可能である。このプレートまたは上記方法は、初回のヒット液を直接用い、そうすることによって再現性の向上および直線的分析を可能とする。さらにこのプレートまたは上記方法は、結晶化空間のより広範な分析を可能とする。さらに、結晶化に対する、濃度、pH変動、および添加物作用の直接試験を実施することも可能である。
【0043】
本発明のプレートまたは方法では、パラメータは、バッファー、結晶化媒体のpH、塩の濃度、結晶化媒体の温度、添加物、添加物の濃度、リガンド(または、共晶化合物)、リガンドの濃度、アルコール、アルコールの濃度、ポリマー、ポリマーの濃度から成るグループから選ばれる。
【0044】
本発明の方法および装置は、基質、例えば、タンパクの結晶化条件を最適化するのに有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0045】
本発明のさらに別の特性および利点は、付属の図面と共に例示のために示される、下記の好ましい実施態様の説明からより簡単に明らかになろう。
【0046】
本発明の一つの実施態様によれば、ある成功を収めた結晶成長実験の2要素、すなわち、初回スクリーニングと最適化の、比較的緊密な結合を利用する方策が提示される。提案される方策は、元の初回スクリーニングにおける変動と、その分析における微妙な変化とを組み合わせる。
【0047】
初回スクリーニングは、成功を最大化する一方で、時間とタンパク使用を最小化する最適化と組み合わせられる。しかしながら、これは容易には実行されない。なぜなら、問題の一つとして、初回のスクリーニング結果が偏って、かつ不完全に分析されるからである。分析が偏るのは、i)分類と最適化は、観察可能な結晶形の周囲においてのみ実行されること、および、ii)結晶形を示さない滴は必ずしも全てが得点されるわけではなく、見捨てられてしまうこと、による。
【0048】
通常、初回スクリーニングによって「初回ヒット」が得られる。もし幸運であれば、これらのヒットは高解像度結晶を含み、タンパク構造は簡単に解決される。しかしこのようなことは滅多にない。多くの場合、獲得が期待できるのは、
−「優良ヒット」、すなわち、結晶形が存在し、結晶化条件の周囲において簡単に/直接に最適化して所望の結晶を生成することが可能なヒット;
−「不良ヒット」、すなわち、結晶形は存在するが、さらに良いものに変えるように直接最適化することが困難であるか、不可能であるヒット;および
−「空振ヒット」、すなわち、その初回結果は沈殿を示すか、または透明なままであるヒット、である。
【0049】
もしも「空振ヒット」に注意を払わなければ、初回スクリーニングにおいて結晶形以外の何かが認められたという単にそれだけの理由で「最高ヒット」が全く見落とされることがあり得る。
【0050】
従って、本発明は、最適化技術を選択するために、初回スクリーニング結果分析を改善することによって成功を最大化することを可能にする。
【0051】
本発明に従って本明細書に提示されるものは、新規方法であって、結晶化液の選択および初回スクリーニング方策における採点実験が、タンパクの溶解性行動に関してより多くの情報を得ることができるように修飾される方法である。「空振ヒット」に緊密な注意を払いながら結果を分析することによって、結晶学者は、次に用いるべき適正な最適化方策に向かうための指針を得ることができる。事実上、方法は、下記の工程を含む、すなわち、
−初回スクリーン、例えば、ClassicsおよびClassics Lite(陰イオン、陽イオン、pH、Clear IおよびIIを使用することも可能である)を調製すること、このスクリーンでは、各条件は、沈殿濃度の半分において二重化され、そのために、それぞれの状態図において二つのデータポイントが得られる。
−結果の差動分析を行うこと、沈殿濃度の比較がこれで実行可能であり、二つのデータポイントが存在するので、情報は大きく増加する。
−本発明の最適化プレートを用いて最適化方策を選択すること、
である。
【0052】
この結晶化方策を用いると、より多くの分析を可能にする、必要タンパクはより少なくなり、溶液に溶解したタンパクからX線分析級品質結晶の獲得を可能とする最高ヒットを得るのに必要な時間も短縮され、従って、使用するタンパクは少なく、かける時間も短縮されることによって金額も節約される。
【0053】
本発明の方法に見られるような初回スクリーニングと最適化工程の一体化が、図1に示される。図1に描かれるのは、初回スクリーニングと最適化との一体化である。先ず、タンパク、例えば、市販のタンパクが、現在従来技術で行われるやり方で調製される。次に、このタンパク調製品は透析され、必要な任意の添加物が加えられる。次に、二つの同一条件の初回スクリーニング方策が用いられる。その際、唯一の違いは、1X(Classicまたは標準)および0.5X濃度(Classic lite)に主要沈殿物を持つことである。これによって、最初、各条件においてタンパクがどの相に認められるかが未知の場合でも、状態図において直接比較することが可能になる。次に、このスクリーニングの結果は分析され、結晶形、沈殿物(顆粒状または非晶形のいずれか)、または透明形が得られたかに応じて採点される。結果は、用いた各条件において並べて分析され、液滴が比較される。最後に、最高結果が最適化プレート上にて最適化されて、3-D結晶が得られる。
【0054】
本発明の好ましい実施態様によれば、実験的制約を尊重しながら、最適化過程を促進し、加速するために開発された新規プレートが提供される。この新規プレートは、以後、最適化プレートと呼ぶこととする。このプレートは、下記を含む、すなわち、
*96ウェル結晶化プレート(CorningおよびGreinerからいくつかの異なる形式のものが市販されている)。ウェルは、あらかじめ、10μlの、96種の最適化溶液(結晶化媒体)によって満たされる。
*下記のある特定の実験で、図2に示されるように、これらの溶液(結晶化媒体)は、2種の異なる濃度(2および4M)、および3種の異なるpH(バッファー無し、4.6、および8.5)における16種の化学的溶液を含んでもよい。各化学的溶液はミニ格子として表示される。表1は、図2のミニ格子の一つのパラメータおよび条件を要約する。
【0055】
【表1】

【0056】
96個の、あらかじめ満たされたウェルの各貯留槽(または結晶化媒体貯留槽)に、90μLの初回ヒット液を加えるだけで、96通りの新規最適化結晶化条件を数分で調製することが可能であることが見出された(図4参照)。図4では、基質ウェルと結晶化媒体(または液)が認められる。図4において、本発明の一つの実施態様による6通りの異なる工程が描かれる。手短に言うと、結晶化液が、試薬貯留槽の底に加えられる。要すれば、プレートは振とうまたは遠心してもよい。次に、穿刺ツールを用い、力を加えて試薬貯留槽のフォイルを貫通するか、または破る。次に、90μlの初回ヒット液を結晶化液に加える。ヒット液の容量を変えることによって、様々な組の96通りの最適化条件を得ることが可能である。ロボットまたはマルチチャンネル・ピペッターを用い、所望容量の、結晶化させるタンパクをタンパクウェルに移す。次に、所望容量の結晶化液をタンパクウェルに移し、タンパク滴と混ぜる。上記を、全ての結晶化滴がセットされるまで繰り返す。最後に、マイクロプレートは、透明な接着フィルムによって密封される。
【0057】
この、あらかじめ満たされる(プレフィル)最適化プレートの主要利点は下記の通りである、すなわち、
*手動または自動設定いずれにおいても高速で、簡単である(数分);
*グリッドと添加物法の組み合わせ;
*初回ヒット液の直接的使用(再現性の向上);
*直線的分析;
*結晶化空間のより広範な分析;および、
*結晶化に対する濃度、pH変動、および添加物作用の直接的試験。
【0058】
プレフィル最適化プレートを用いると、結晶形品質の明らかな改善が観察されること、より好適な結晶が得られること、および、同じタンパクについて異なるタンパク形を得ることも可能であることが、表2に示される。設定はずっと簡単で、高速であり、「結晶化時間」は短縮される。
【0059】
もちろん、当業者であれば、本発明の方法および最適化プレートは、さらに多くの異なる条件を用いて、プレートを一杯にすることも可能であることが了解されるであろう。
【0060】
【表2】

【0061】
ミニ格子最適化法(図2参照)によって、結晶学者は、様々な因子、例えば、添加物の化学的種類、濃度、およびpHの相対的重要性を評価することが可能になる。
【0062】
表3から、結晶化させるタンパクおよび初期条件に応じて、様々な最適化成分が異なる影響を示し、最適化方策において結晶化空間についてより広範なサンプリングを実行することの重要性が明らかにされたことが見て取れる。
【0063】
【表3】

【0064】
図5は、6種の異なるタンパクについて最適化プレートによって得られた結果を示す。六角形の真ん中に、典型的な初回ヒットが、ここに示される6種のタンパクについて示される。図から見て取れるように、図の中心の滴のいずれも、X線で使用することが可能な3-D結晶を示していない。六角形の6個の領域に、単一プレートによる本発明の最適化プレートによって得られた結果の例が表示される。実験情報は表4に示される。
【0065】
【表4】

初回ヒット:ヒット条件が記載される。
NCLはClassicスィートを指し、NTLはClassic Liteスィートである。
最適化装置追加:成功条件を創出するために使用された最適化装置の初回条件を示す。例えば、最適化装置について示された条件の10μlは、プレフィルマイクロプレートにおいて、初回ヒット条件の90μlと混合される。
【0066】
表5は、表4の条件によって得られ、図5に描かれる結果の大要を示す。
【0067】
【表5】

初回ヒットの結果に従って、最適化工程が自動的に初回ヒット条件に適用されるが、結晶の改善の実在は図5に示される。
【0068】
本発明は、下記の実施例を参照することによりさらに容易に理解される。なお、本実施例は、発明の範囲を限定するためではなく、発明を具体的に説明するために提示される。
【実施例1】
【0069】
96ウェルの典型的内容
下記の表6は、出願者によって設計された結晶化最適化用の、一つのプレート設計の現在の内容を列挙する。もちろん、外にも数多くの修飾を実行することが可能であり、この実施例は、例示の目的のために示されるにすぎない。注目すべきことは、得られた結果を確かめるために、二つの陰性コントロール、すなわち、ウェル番号1およびウェル番号13が導入されていることである。ウェル番号1は、アッセイの再現性を証明するために空のまま置かれており、ウェル番号13は、希釈度の初回パラメータに対する作用を証明するために、等量(他のウェルと比べて)の水で満たされている。これらのコントロールは、初回スクリーニングのようなアッセイでは決して用いられない。ブランクウェルを残す必要がないからである。従って、当業者ならば、二つのコントロールを含む、表6のようなプレートを造り出す必要を感じることはないであろう。
【0070】
【表6】



【実施例2】
【0071】
ケーススタディ1−リガンド・タンパク共晶
この実験では、あらかじめ満たしておいた最適化プレート(Greiner3ウェル形式)を用い、タンパクと、3種の異なる化合物の間の共晶条件を最適化した。元のタンパクの最適化された結晶条件を、プレフィルプレートの各ウェルに加え、混合した。
【0072】
独自の特性を持つ各化学的化合物は、恐らく初回条件における結晶化を妨げることによって、結晶化過程の安定性/相互作用に干渉する可能性がある。最適化プレートは、タンパクの結晶化成功条件の周囲に小型格子を創出し、該タンパクと化学的化合物の間の共晶における適切な条件を求めることを可能とする。図6に示すものは、ACA04タンパク(出願者の締結した研究協約に関連し、結晶化される未知のタンパク−タンパクの正体および性質は出願者には秘密とされた)、および3種の化学的化合物に関し最適化マルチウェルプレートを用いて得られた結果である。各事例において、結晶化が見られたばかりでなく、結晶品質の初回分析では、いくつかのものにおいて回折が増していることが示された。従って、ただ1個のプレフィル最適化プレートを用いただけで、3種の異なる化合物について共結晶および回折パターンが得られた。
【実施例3】
【0073】
ケーススタディ2−高品質結晶のために時間短縮
初回の結晶化ヒットは、Classicsスィートにおいて、極めて細い、針状結晶で、X線回折には使えないものが得られた。通常の最適化方策を用いた場合改善は得られなかった。それを補う方法として、90μLの初回ヒット液(出願者の締結した研究協約に関連し、結晶化される未知のタンパク−タンパクの正体および性質は出願者には秘密とされた)を、最適化マルチウェルプレート(Corning円錐形平底形式)の各ウェルに加えて混合し、最適化用として用いた。最適化プレートのC11およびC12に一致する、臭化ナトリウム(pH=8.5または平衡されていない)を含む溶液において、二つの、はっきりと異なる、大型のタンパク結晶が成長した(図7)。X線簡便分析用の線源を用いると、タンパク結晶は、2.8オングストロームの解像度で回折した。
【0074】
前述の実施例に明らかにされるように、本発明の結晶化プレートを用い、5種類の市販のタンパクについて結晶化条件を最適化し、好成績を挙げることができた。針状結晶、微細結晶、さらに顆粒状沈殿から出発して、好適な結晶を得た。前述の二つのケーススタディでは、タンパクと3種の異なるリガンドの間で共結晶を生成する場合でも、重要なタンパク標的の解像度の高い3D結晶(簡易X線源で2.8A)を生成する場合でも、最適化プレートが決定的役割を果たした。いずれのケーススタディでも、結果は、数分で調製された単一のマイクロプレートにおいて得られた。いずれの実験も、透明滴から濃密な沈殿に渡る多様な結果をもたらしたが、これは、最適化液の混合がタンパクの溶解性に及ぼす影響を示す。最適化因子として様々の塩を用いることは、塩の陽イオン部分(ナトリウム、カリウム、アンモニウム、マグネシウム、カルシウム、およびリチウム)と陰イオン部分(ギ酸、マロン酸、塩素、酢酸、臭素、硝酸、チオシアン酸等)の間の違いを強調する。共同沈殿物としてPeg、有機物、およびその他の薬品を用いる他の最適化プレートも使用が可能である。
【0075】
この新規の、プレフィル最適化プレートは、最適化を実行する際、標準的格子法に対する有望な代替法となる。本プレートは設定が簡単で、速やかであり、かつ、塩濃度、バッファー、および添加物の、ある特定のタンパクの結晶化に対する作用に関したくさんの情報をもたらす。有効な、96通りの最適化条件は、10分以内に調製することが可能である。
【0076】
本明細書に記載される最適化方策は、滴の中に結晶形が出現するや否や、適用することが可能である。この方法は、現在存在するものよりも高速で、簡単である。プレフィルプレートの96種の薬品のそれぞれに、誰かのヒット条件をただ加えるだけであるため、この最適化技術は速く、かつ単純である。これらのマイクロプレートの化学的組成物は非常に異なるため、結果は、実際には、部分的に成功した第1レベルの初回スクリーニングに基づく第2レベルのスクリーニングとなる。この簡単な方法を用いることによって、現在行われている、要因による最適化法によって導入される、極めて「柔らかな変化」に比べて、化学的環境における「穏やかな変化」が有効であるかどうかを素早く見定めることが今や可能である。
【0077】
結晶化法計画を成功に導くためには、結晶化の二つの局面、すなわち、初回スクリーニングと最適化が統合されなければならない。この二つの統合を最大とするためには、一方の技術によって得られた結果は簡単に処理されて、後続の技術に成功をもたらすものでなければならない。この場合、6種の特定タンパクについて作業しながら、初回スクリーニングと最適化の間の統合は、54通りの異なる結晶化結果について試験された。最適化技術が選択されると、85%の場合で(46/54)大きな改善が見られた。初回スクリーニング計画(2種類の沈殿物濃度を持つ大型化学種)、および、最適化プレートのような堅固な最適化手順を組み合わせることによって、結晶成長の間に速やかに反応させ、成功裡に所望のもの、すなわち、回折級品質の結晶を得ることが可能である。
【0078】
もちろん、当業者であれば、ここに開示される本発明は、結晶化プレートとしてのみならず、転送プレートとしても使用することが可能であることはすぐに了解されるであろう。例えば、いくつかのアッセイ用として十分な最適化液(結晶化媒体)を、各ウェル中に含むプレートを使用し、販売することも可能であろう。各ウェルに10μlを入れる代わりに、ウェル当たり250μlを有するプレートを、10通りのアッセイに使用することも可能であろう(媒体の損失または蒸発が無いものと仮定して)。さらに、当業者であれば、試薬(例えば、ヒット液)の濃度の適正化も望ましいことが了解されよう。
【0079】
以上、本発明は、その特定の実施態様と関連させて記載されたわけであるが、本発明は、さらに修飾が可能であること、また、本出願は、一般的に本発明の原理に従う、本発明の、任意の変種、使用、または運用をも含むこと、および、本発明の関わる従来技術において既知の、または慣例的用法に含まれる本発明からの逸脱、および、上に記載され、かつ、付属の特許請求項の範囲に含まれる本質的特性に対して適用が可能な、本発明からの逸脱を含むことが意図されることを理解しなければならない。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】図1は、初回スクリーニングと最適化工程の一体化を示す。
【図2】図2は、本発明の好ましい実施態様による結晶化プレートの模式図である。
【図3】図3は、本発明のもう一つの好ましい実施態様による方法を示すフローチャート図である。
【図4】図4は、本発明のもう一つの好ましい実施態様による方法を示すフローチャート図である。
【図5】図5は、6種の異なるタンパクについて最適化プレートによって得られた結果を示す。
【図6】図6は、結晶化プレートを用い、本発明のもう一つの好ましい実施態様による方法によって得られた結果を示す図である。
【図7】図7は、結晶化プレートを用い、本発明のもう一つの好ましい実施態様による方法によって得られた結果を示すフローチャート図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のウェルを含むマルチウェルプレートであって、各ウェルはその中に異なる結晶化媒体を有し、各結晶化媒体は、少なくとも二つの異なるパラメータに従って変動し、第1パラメータは少なくとも一つの条件を有し、第2パラメータは少なくとも二つの異なる条件を有し、それによって基質の結晶化条件の最適化の促進を可能とする、前記マルチウェルプレート。
【請求項2】
前記パラメータは、バッファー、前記結晶化媒体のpH、塩、前記塩の濃度、前記結晶化媒体の温度、添加物、前記添加物の濃度、共晶化合物、前記共晶化合物の濃度、アルコール、前記アルコールの濃度、ポリマー、および前記ポリマーの濃度から成るグループから選ばれることを特徴とする、請求項1に記載のプレート。
【請求項3】
前記パラメータの内の一つはバッファーであることを特徴とする、請求項2に記載のプレート。
【請求項4】
前記バッファーパラメータの各条件は、指定のバッファーによって表されることを特徴とする、請求項3に記載のプレート。
【請求項5】
前記指定のバッファーは、トリス、トリスHCl、HEPES、ナトリウムHEPES、イミダゾール、クエン酸ナトリウム、カコジル酸ナトリウム、および酢酸ナトリウムから成るグループから選ばれることを特徴とする、請求項4に記載のプレート。
【請求項6】
前記パラメータの内の一つは、前記結晶化媒体のpHであることを特徴とする、請求項2に記載のプレート。
【請求項7】
pHの各条件は、pHの指定値によって表されることを特徴とする、請求項6に記載のプレート。
【請求項8】
前記パラメータの内の一つは塩であることを特徴とする、請求項2に記載のプレート。
【請求項9】
塩の各条件は指定の塩によって表されることを特徴とする、請求項8に記載のプレート。
【請求項10】
前記指定の塩は、無機または有機の陰イオン、および有機の陽イオンを含むことを特徴とする、請求項9に記載のプレート。
【請求項11】
前記指定の塩は、有機の陰イオン、および無機または有機の陽イオンを含むことを特徴とする、請求項9に記載のプレート。
【請求項12】
前記指定の塩は、ナトリウム、カリウム、アンモニウム、マグネシウム、カルシウム、およびリチウムから成るグループから選ばれる陽イオンを含むことを特徴とする、請求項9に記載のプレート。
【請求項13】
前記指定の塩は、ギ酸基、マロン酸基、塩素基、酢酸基、フッ素基、臭素基、硝酸基、およびチオシアン酸基から成るグループから選ばれる陰イオンを含むことを特徴とする、請求項9または12に記載のプレート。
【請求項14】
前記パラメータの内の一つは前記塩の濃度であることを特徴とする、請求項2に記載のプレート。
【請求項15】
前記塩濃度の各条件は、前記塩の指定の濃度値によって表されることを特徴とする、請求項14に記載のプレート。
【請求項16】
前記パラメータの内の一つは、前記結晶化媒体の温度であることを特徴とする、請求項2に記載のプレート。
【請求項17】
前記温度媒体の各条件は、指定の温度によって表されることを特徴とする、請求項16に記載のプレート。
【請求項18】
前記パラメータの内の一つは添加物であることを特徴とする、請求項2に記載のプレート。
【請求項19】
前記添加物の各条件は、指定の添加物によって表されることを特徴とする、請求項18に記載のプレート。
【請求項20】
前記指定の添加物は、還元剤、金属イオン、阻害剤、および界面活性剤から成るグループから選ばれることを特徴とする、請求項19に記載のプレート。
【請求項21】
前記パラメータの内の一つは前記添加物の濃度であることを特徴とする、請求項2に記載のプレート。
【請求項22】
前記添加物濃度の各条件は、前記添加物の指定の濃度値によって表されることを特徴とする、請求項21に記載のプレート。
【請求項23】
前記パラメータの内の一つはリガンドであることを特徴とする、請求項2に記載のプレート。
【請求項24】
前記リガンドの各条件は、指定のリガンドによって表されることを特徴とする、請求項23に記載のプレート。
【請求項25】
前記指定のリガンドは、ATP、ADT、NAD、NADH、NADP、およびNADPHから成るグループから選ばれることを特徴とする、請求項24に記載のプレート。
【請求項26】
前記パラメータの内の一つは前記リガンドの濃度であることを特徴とする、請求項2に記載のプレート。
【請求項27】
前記リガンド濃度の各条件は、前記リガンドの指定の濃度値によって表されることを特徴とする請求項26に記載のプレート。
【請求項28】
前記パラメータの内の一つはアルコールであることを特徴とする、請求項2に記載のプレート。
【請求項29】
前記アルコールの各条件は、指定のアルコールによって表されることを特徴とする、請求項28に記載のプレート。
【請求項30】
前記指定のアルコールは、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、メチルペンタンジオール、ヘキサンジオール、およびエチレングリコールから成るグループから選ばれることを特徴とする、請求項29に記載のプレート。
【請求項31】
前記パラメータの内の一つは、前記アルコールの濃度であることを特徴とする、請求項2に記載のプレート。
【請求項32】
前記アルコール濃度の各条件は、前記アルコールの指定の濃度値によって表されることを特徴とする、請求項31に記載のプレート。
【請求項33】
前記パラメータの内の一つはポリマーであることを特徴とする、請求項2に記載のプレート。
【請求項34】
前記ポリマーの各条件は、指定のポリマーによって表されることを特徴とする、請求項33に記載のプレート。
【請求項35】
前記指定のポリマーは、PEG、ポリエチレンイミン、およびジェファミンM-600から成るグループから選ばれることを特徴とする、請求項34に記載のプレート。
【請求項36】
前記パラメータの内の一つは前記ポリマーの濃度であることを特徴とする、請求項2に記載のプレート。
【請求項37】
前記ポリマー濃度の各条件は、前記ポリマーの指定濃度値によって表されることを特徴とする、請求項36に記載のプレート。
【請求項38】
前記結晶化媒体は、3種の異なるパラメータに従って変動し、第1パラメータは少なくとも一つの条件を有し、第2パラメータは少なくとも二つの異なる条件を有し、第3パラメータは、少なくとも一つの条件を有することを特徴とする、請求項2から37の内のいずれか1項に記載のプレート。
【請求項39】
前記結晶化媒体は、3種の異なるパラメータに従って変動し、第1パラメータは少なくとも一つの条件を有し、第2パラメータは少なくとも二つの異なる条件を有し、第3パラメータは、少なくとも二つの異なる条件を有することを特徴とする、請求項2から37の内のいずれか1項に記載のプレート。
【請求項40】
前記第1パラメータは添加物であり、前記第2パラメータは前記添加物の濃度であり、前記第3パラメータは前記結晶化媒体のpHであることを特徴とする、請求項38または39に記載のプレート。
【請求項41】
前記第1パラメータは塩であり、前記第2パラメータは前記塩の濃度であり、前記第3パラメータは前記結晶化媒体のpHであることを特徴とする、請求項38または39に記載のプレート。
【請求項42】
3、6、24、96、192、384、768、または1536ウェルを含む、請求項1から41の内のいずれか1項に記載のプレート。
【請求項43】
96ウェルを含む、請求項1から41の内のいずれか1項に記載のプレート。
【請求項44】
96ウェルを含むプレートであって、前記第1パラメータは塩であり、前記第1パラメータの条件は16種の異なる塩であり、前記第2パラメータは塩濃度であり、前記第2パラメータの条件は2種類の異なる濃度であり、前記第3パラメータはpHであり、前記第3パラメータの条件は3種類の異なるpH値であることを特徴とする、請求項38または39に記載のプレート。
【請求項45】
前記結晶化媒体は溶液であることを特徴とする、請求項1から44の内のいずれか1項に記載のプレート。
【請求項46】
前記結晶化媒体はゲルであることを特徴とする、請求項1から44の内のいずれか1項に記載のプレート。
【請求項47】
前記ウェルを密封するために前記ウェルに配置されるカバーをさらに含むことを特徴とする、請求項1から46の内のいずれか1項に記載のプレート。
【請求項48】
前記プレートは、懸垂滴結晶タイプのプレートであって、前記ウェルを密封するためのカバーをさらに含むことを特徴とする、請求項1から46の内のいずれか1項に記載のプレート。
【請求項49】
前記プレートは静座滴結晶タイプのプレートであることを特徴とする、請求項1から46の内のいずれか1項に記載のプレート。
【請求項50】
各ウェルは、基質ウェルに隣接して結晶化媒体貯留槽を含むことを特徴とする、請求項1から49の内のいずれか1項に記載のプレート。
【請求項51】
前記基質はタンパクであることを特徴とする、請求項1から50の内のいずれか1項に記載のプレート。
【請求項52】
各ウェルは、少なくとも1 μLの前記結晶化媒体を含むことを特徴とする、請求項1から51の内のいずれか1項に記載のプレート。
【請求項53】
各ウェルは、約5から約500 μLの前記結晶化媒体を含むことを特徴とする、請求項1から51の内のいずれか1項に記載のプレート。
【請求項54】
各ウェルは、約10 μLの前記結晶化媒体を含むことを特徴とする、請求項1から51の内のいずれか1項に記載のプレート。
【請求項55】
前記ウェルを密封するために前記ウェルに配置されるカバーをさらに含むプレートであって、各ウェルは、基質ウェルに隣接して結晶化媒体貯留槽を含むことを特徴とする、請求項1から46の内のいずれか1項に記載のプレート。
【請求項56】
基質の結晶化条件を最適化するための方法であって、請求項1から55の内のいずれか1項において定義した通りのプレートの各ウェルに前記基質を加える工程を含む前記方法。
【請求項57】
前記基質を各ウェルに加える前に、前記基質のヒット液を各ウェルに加えることをさらに含むことを特徴とする、請求項56に記載の方法。
【請求項58】
基質の結晶化条件を最適化するための方法であって、請求項1から55の内のいずれか1項に定義した通りのプレートの各ウェルにおいて、前記基質を、前記基質のヒット液および前記結晶化媒体に接触させる工程を含む前記方法。
【請求項59】
基質の結晶化を最適化するための方法であって、
a)様々な溶液をスクリーニングすることによって前記基質のヒット液を決定すること;
b)工程a)で決定した前記ヒット液を、請求項50で定義したプレートの各媒体貯留槽に加えて、混合物を得ること;
c)基質を基質ウェルに加えること;
d)各媒体貯留槽から所望容量の前記混合物を基質ウェルに移すこと;および、
e)前記基質ウェルおよび媒体貯留槽を密封し、基質の結晶化を可能とすること、
を含む前記方法。
【請求項60】
基質の結晶化条件を最適化するための方法であって、
a)様々な溶液をスクリーニングすることによって前記基質のヒット液を決定すること;
b)前記ヒット液を、請求項55に定義したプレートの媒体貯留槽に加えて、前記結晶化媒体と前記ヒット液との混合物を得ること;
c)前記基質を基質ウェルに加えること;
d)工程b)で得た混合物を基質ウェルに加えること;および、
e)媒体貯留槽および隣接する基質ウェルを前記カバーにて密封し、基質の結晶化を可能とすること、
を含む前記方法。
【請求項61】
基質の結晶化条件を最適化するための方法であって、
a)様々な溶液をスクリーニングすることによって前記基質のヒット液を決定すること;
b)結晶化媒体を、請求項1で定義したプレートのウェルから結晶化プレートのウェルに移すこと;
c)前記ヒット液を、結晶化プレートのウェル中の結晶化媒体に加え、それによって、前記結晶化媒体と前記ヒット液との混合物を得ること;
d)前記基質を結晶化ウェルのウェルに加えること;および、
e)結晶化プレートのウェルをカバーにて密封し、基質の結晶化を可能とすること、
を含む前記方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公表番号】特表2008−506616(P2008−506616A)
【公表日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−520634(P2007−520634)
【出願日】平成17年7月15日(2005.7.15)
【国際出願番号】PCT/CA2005/001118
【国際公開番号】WO2006/007702
【国際公開日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【出願人】(507013844)ネクスタル バイオテクノロジー インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】