説明

報酬提供サーバ、画像データ集計システム、および電子カメラ

【課題】画像解析に基づく画像への情報付加をサーバの処理負荷を増やすことなく行う、カメラとサーバとから成るシステムを提供する。
【解決手段】デジタルカメラ1を用いて撮影を行い、シンボル検知部16aが画像データからシンボルを検知すると、メタデータ付加部16bは、検知されたシンボルに対応するシンボルIDをメタデータとして画像ファイルに付加する。ユーザーがサーバ3へネットワーク2を介して画像ファイルを送信すると、ユーザーに対応する記憶領域へ画像ファイルが記録される。この画像ファイルは、ファイル公開部32bにより、ネットワーク2を介して公開される。報酬ランク判定部32cは、画像ファイルのメタデータと画像ファイルの閲覧数とに基づいて、ユーザーごとのスコアを算出する。報酬提供部32dは、ユーザーのスコアが所定のしきい値を上回っていた場合には、そのユーザーの記憶領域を、一定量だけ大きくする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタルカメラなどの撮像装置、ならびに、撮像装置により作成された撮影画像を受信するサーバに関する。
【背景技術】
【0002】
蓄積された大量の画像データを解析し、画像の特性や被写体の情報など、各種の情報を取得する処理が知られている。このような処理により得られた解析結果は、画像の検索や集計などの各種処理に用いられる。また、解析結果を画像データに付随するメタデータとして記録することが一般的に行われている。例えば特許文献1に開示されている画像管理装置は、蓄積した画像データから情報を取得する処理と、各々の画像データのファイルヘッダ部に取得した情報を付加する処理とを実行する。
【0003】
【特許文献1】特開2003−333497号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来技術では、画像データからの情報取得ならびに画像データへの情報付加を、画像データを管理する装置が一括して実行していた。そのため、管理対象とする画像データの数が増加すると、装置の処理負荷が膨大なものになってしまうという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に係る発明は、画像ファイルを受信する受信手段と、前記受信手段が受信した前記画像ファイルに付加されている、前記画像ファイル中の画像に所定の事物が含まれていることを表すメタデータを集計する集計手段と、前記集計手段による集計の結果に基づいて、前記画像ファイルの送信者へ報酬を提供するための報酬データを算出する報酬算出手段と、を備えることを特徴とする報酬提供サーバである。
請求項3に係る発明は、被写体を撮影し、撮影画像を作成する撮像手段と、前記撮影画像を含む画像ファイルを作成するファイル作成手段と、被写体内の所定の事物に関する情報を記憶する記憶手段と、前記記憶手段に記憶された前記事物情報に基づいて、前記撮像手段が作成した前記撮影画像に前記所定の事物が含まれていることを検知する検知手段と、前記検知手段が前記撮影画像から前記所定の事物を検知した場合、前記所定の事物が前記撮影画像に含まれていることを表すメタデータを前記画像ファイルへ付加する付加手段と、を備えるカメラと、前記メタデータが付加された前記画像ファイルを受信する受信手段と、前記受信手段が受信した前記画像ファイルに付加されている、前記撮影画像に前記所定の事物が含まれていることを表す前記メタデータを集計する集計手段と、を備えるサーバと、を有することを特徴とする画像データ集計システムである。
請求項6に係る発明は、被写体を撮影し、撮影画像を作成する撮像手段と、前記撮影画像を含む画像ファイルを作成するファイル作成手段と、被写体内の所定の事物に関する情報を記憶する記憶手段と、前記記憶手段に記憶された前記事物情報に基づいて、前記撮像手段が作成した前記撮影画像に前記所定の事物が含まれていることを検知する検知手段と、前記検知手段が前記撮影画像から前記所定の事物を検知した場合、前記所定の事物が前記撮影画像に含まれていることを表すメタデータを前記画像ファイルへ付加する付加手段と、を備えることを特徴とする電子カメラである。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、画像からの情報取得と画像への情報付加とが、画像を作成するカメラにより行われるので、サーバの処理負荷が軽減される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
――第1の実施の形態――
図1は、本実施の形態におけるデジタルカメラ,サーバ,および画像処理装置の接続形態を示すブロック図である。デジタルカメラ1,サーバ3,および画像処理装置4は、ネットワーク2により相互に接続されており、画像データが格納されている画像ファイルを互いに転送することができる。
【0008】
デジタルカメラ1は、ネットワーク2を介さずに直接画像処理装置4へ接続することができる。この場合、画像ファイルはネットワーク2を経由せずに転送される。更に、デジタルカメラ1および画像処理装置4は記憶媒体22を装着することができるよう構成されている。従って、デジタルカメラ1が画像ファイルを記録した記憶媒体22を画像処理装置4へ装着することにより、デジタルカメラ1から画像処理装置4への画像ファイルの転送を行うことができる。
【0009】
以下、デジタルカメラ1およびサーバ3の詳細について、順に説明する。
【0010】
図2は本実施の形態によるデジタルカメラの回路構成を示すブロック図である。デジタルカメラ1は、入力装置13,焦点調節装置14,撮像素子15,制御回路16,DRAM17,フラッシュメモリ18,LCD駆動回路19,液晶モニタ20,メモリカードインタフェース(I/F)21,外部機器I/F23,および通信回路25を備える。
【0011】
撮像素子15は、画素に対応する複数の光電変換素子を備えたCCDやCMOSイメージセンサによって構成される。撮像素子15は、撮像面上に結像されている被写体像を撮像し、被写体像の明るさに応じた光電変換信号(画像信号)を出力する。撮像素子15の撮像面には、それぞれR(赤)、G(緑)およびB(青)のカラーフィルタが画素位置に対応するように設けられている。撮像素子15がカラーフィルタを通して被写体像を撮像するため、各撮像素子から出力される画像信号は、それぞれRGB表色系の色情報を有する。
【0012】
撮像素子15から出力された画像信号は制御回路16に入力される。制御回路16は、画像信号に対して種々の画像処理を行い、画像データを生成する。そして、制御回路16は生成された画像データに対してJPEGなどの所定の方式により圧縮処理を行い、EXIFなどの形式の画像ファイルとして記憶媒体22へ記録する。制御回路16は、たとえばRISCなどで構成され、図2に示す各回路を制御する。
【0013】
焦点調節装置14は、撮像素子15から出力される撮像信号に基づいて周知の焦点評価値演算を行い、演算結果を制御回路16へ出力する。制御回路16は、上記演算結果に基づいて、焦点評価値が最大となる位置へ撮影レンズ10を移動する。
【0014】
DRAM17は、画像処理、画像圧縮処理および表示用画像データ作成処理の途中や処理後のデータを一時的に格納するために使用される。表示用画像データは、制御回路16が撮像素子15からの出力に基づいて生成した画像データ、もしくは記憶媒体22に記録されている画像データに基づいて、制御回路16により生成される。生成された表示用画像データは、制御回路16によりDRAM17に格納される。フラッシュメモリ18は、たとえば制御回路16が演算を行なうための各種の処理プログラムが記憶された不揮発性メモリである。
【0015】
LCD駆動回路19は制御回路16の命令に基づいて液晶モニタ20を駆動し、液晶モニタ20はDRAM17に格納された表示用画像データに基づいて画像を表示する。また、液晶モニタ20は、デジタルカメラの各種設定メニュー画面の表示を行なう。入力装置13は、レリーズボタンや再生ボタンなどの種々の操作ボタンを含み、使用者による各操作ボタンの操作信号を制御回路16へ出力する。
【0016】
外部機器I/F23は、画像処理装置4などの外部機器を接続するためのインタフェースである。デジタルカメラ1は、外部機器I/F23を通じてこれらの外部機器と画像ファイルの送受信を行う。同様に、通信回路25はネットワーク2へ接続するためのインタフェースであり、ネットワーク2に接続されたその他の機器との間で画像ファイルの送受信を行う。
【0017】
制御回路16はシンボル検知部16a,およびメタデータ付加部16bを有する。シンボル検知部16aは、フラッシュメモリ18に記録されたシンボルデータ(後述)に基づいて、画像データに含まれるシンボルを検知する。メタデータ付加部16bは、シンボル検知部16aにより検知されたシンボルが画像データに含まれていることを表すメタデータを、上記の画像データが格納されている画像ファイルに付加する。
【0018】
図3は、フラッシュメモリ18に記録されているシンボルデータを示す図である。シンボルデータ40には、3つのシンボル41,42,43が格納されている。また、各々のシンボルには、シンボル毎に与えられる一意な整数値であるシンボルIDが割り振られている。図3では、シンボル41のシンボルIDは101,シンボル42のシンボルIDは102,シンボル43のシンボルIDは103である。
【0019】
デジタルカメラ1を用いて撮影を行うと、前述の通り、制御回路16によりDRAM17へ画像データが格納される。ここで、まずシンボル検知部16aが画像データからシンボル41,42,43の探索を行う。シンボルの探索には、例えばパターンマッチングなどの公知の技術を用いることができる。また、例えばシンボルが回転した状態で画像データに含まれていることや、シンボルが変形された状態で画像データに含まれていることなどを検知可能なアルゴリズムを用いてもよい。更に、1つの画像データに同時に複数のシンボルが含まれていることを検知してもよい。
【0020】
シンボル検知部16aがシンボルを検知すると、メタデータ付加部16bは、検知されたシンボルに対応するシンボルIDをシンボルデータ40から取得する。そして、制御回路16が画像データを記憶媒体22に記録する際、上記のシンボルIDをメタデータとして画像ファイルに付加する。このメタデータは、シンボルIDに対応するシンボルが画像データに含まれていることを意味する。なお、シンボル検知部16aが複数のシンボルを検知した場合には、メタデータには複数のシンボルIDが含まれる。
【0021】
図4は、デジタルカメラ1が作成する画像ファイルの構造を示す図である。画像ファイル50は、ヘッダ情報51と、画像データ52とから成る。ヘッダ情報51には、画像データ52の論理アドレスや、撮影に用いたデジタルカメラ1の情報、撮影時の環境を示す情報などが含まれる。更に、ヘッダ情報51には、画像データ52に含まれるシンボルを表すシンボルIDが、含有シンボルID53として格納される。
【0022】
次に、サーバ3の詳細について説明する。図5は本実施の形態によるサーバの回路構成を示すブロック図である。サーバ3は、記憶装置31,制御回路32,DRAM33,フラッシュメモリ34,および通信回路37を備える。
【0023】
記憶装置31は、例えばHDD(Hard Disk Drive)などの大容量記憶装置である。サーバ3のユーザー毎に、記憶装置31の記憶領域が一定量ずつ割り当てられており、ユーザーは自身に割り当てられた記憶領域へ画像ファイルを格納することができる。割り当てられた記憶領域を使い切ると、画像ファイルをそれ以上格納することはできなくなる。
【0024】
ユーザーがサーバ3へネットワーク2を介して送信した画像ファイルは、通信回路37により受信される。通信回路37は、受信した画像ファイルと画像ファイルを送信したユーザーのユーザーIDとを制御回路32へ受け渡す。制御回路32は、記憶装置31の記憶領域のうち、受けとったユーザーIDに対応する記憶領域へ、受けとった画像ファイルを記録する。そして、ユーザーIDに対応するファイル一覧テーブル(後述)へ、受けとった画像ファイルのファイル名を記録する。
【0025】
DRAM33は、画像処理など種々の処理の途中や処理後のデータを一時的に格納するために使用される。フラッシュメモリ34は、たとえば制御回路32が演算を行なうための各種の処理プログラムが記憶された不揮発性メモリである。
【0026】
制御回路32はメタデータ判読部32a,ファイル公開部32b,報酬ランク判定部32c,および報酬提供部32dを有する。メタデータ判読部32aは、通信回路37により受信された画像ファイルからメタデータを読み取り、画像ファイルが格納する撮影画像データがどのシンボルを含んでいるのかを認識する。
【0027】
ファイル公開部32bは、記憶装置31に記録されている画像ファイルを、ネットワーク2を介して公開する。公開された画像ファイルは、ネットワーク2に接続されている機器から閲覧可能となる。ファイル公開部32bは、各々の画像ファイルの閲覧回数をファイル一覧テーブル(後述)に記録する。
【0028】
報酬ランク判定部32cは、ファイル一覧テーブルに基づいて、各々のユーザーのスコアを算出する。そして、スコアの大きさに基づき、各々のユーザーの報酬ランクを決定する。報酬提供部32dは、報酬ランク判定部32cにより決定された報酬ランクに基づいて、ユーザーへ割り当てられる記憶領域の大きさを変更する。
【0029】
図6は、ファイル一覧テーブルを示す図である。ファイル一覧テーブル61は、各々のユーザーによりサーバ3へ送信された画像ファイルの一覧が記録されたテーブルである。1人のユーザーにつき1つのファイル一覧テーブルが存在する。ファイル一覧テーブル61には、記憶装置31に記録されている画像ファイルのファイル名と、画像ファイルに付加されている含有シンボルIDと、画像ファイルが閲覧された回数とが格納されている。
【0030】
例えば図6に示したファイル一覧テーブル61の行62は、画像ファイル「DSCN0001.jpg」の含有シンボルIDが101および103であること、ならびに、この画像ファイルがこれまでに120回閲覧されたことを示している。また、図3に示したシンボルデータ40を参照すれば、この画像ファイルがシンボル41およびシンボル43を含んでいることがわかる。
【0031】
ファイル一覧テーブル61のファイル名および含有シンボルIDは、画像ファイルがサーバ3に送信されたときに、制御回路32により記録される。閲覧数は、画像ファイルがサーバ3に送信されたときに、制御回路32により0に設定される。
【0032】
前述の通り、記憶装置31に記録された画像ファイルは、ネットワーク2を介して閲覧することができる。ファイル公開部32bは、画像ファイルが閲覧される度に、ファイル一覧テーブル61の閲覧数を増加させる。なお、同一の端末あるいは同一のユーザーにより、同一の画像ファイルが複数回閲覧された場合には、閲覧数を増加させないようにしてもよい。
【0033】
報酬ランク判定部32cは、所定のタイミングで、ファイル一覧テーブル61からスコアテーブルを作成する。図7は、スコアテーブルを示す図である。ファイル一覧テーブル61と同様に、1人のユーザーにつき1つのスコアテーブル71が存在する。スコアテーブル71には、シンボルIDと、シンボルIDに対応するスコアとが記録される。
【0034】
各々のシンボルIDについて、そのシンボルIDを含有シンボルIDとして含んでいる画像ファイルが閲覧されればされるほど、そのシンボルIDに対応するスコアは高くなる。本実施形態におけるシンボルIDのスコアは、そのシンボルIDを含有シンボルIDとして含む画像ファイルの閲覧数を合計したものである。例えば図6において、含有シンボルIDに101が含まれているファイルは2つあり、それぞれ閲覧数は120,50である。従って、図7において、シンボルID101のスコアは170(=120+50)となっている。
【0035】
スコアテーブル71における、全てのシンボルIDのスコアを合計したものが、スコアテーブル71に対応するユーザーのスコアとなる。報酬提供部32dは、各々のユーザーについてスコアが所定のしきい値を上回っているか否かを調べる。ユーザーのスコアが所定のしきい値を上回っていた場合には、そのユーザーに割り当てられた記憶領域の大きさを、一定量だけ大きくする。すなわち、記憶装置31へ、より多くの画像ファイルを記録できるようになる。
【0036】
次に、デジタルカメラ1およびサーバ3の働きを、具体的な利用状況に基づいて説明する。今、主催企業により、自社のロゴマークを撮影するコンテストが開催される状況を考える。また、サーバ3はサーバ運営企業により運営され、ユーザーは予めサーバ3に所定の大きさの記憶領域が割り当てられているものとする。
【0037】
コンテストの主催企業は、自社のロゴマークをシンボルとして含むシンボルデータを配布する。ユーザーは、配布されるシンボルデータを入手し、デジタルカメラ1へ転送する。シンボルデータの転送は、ネットワーク2から直接デジタルカメラ1へ行ってもよいし、画像処理装置4から画像処理装置4に接続されたデジタルカメラ1へ行ってもよい。制御回路16は、転送されたシンボルデータをフラッシュメモリ18に記録する。なお、シンボルデータの配布はサーバ3により行ってもよいし、他のサーバにより行ってもよい。また、シンボルデータを記録した記憶媒体22を配布することによりシンボルデータの配布を行ってもよい。この場合、デジタルカメラ1は、装着された記憶媒体22からシンボルデータを読み込む。
【0038】
ユーザーがシンボルデータ40を記録したデジタルカメラ1を用いて撮影を行うと、上述のロゴマークが撮影画像に含まれている場合に、上述のロゴマークに対応するシンボルIDを含む画像ファイルが記録される。ユーザーは撮影により作成された画像ファイルをサーバ3へ送信し、ネットワーク2を通じて公開する。コンテストの主催企業は、自社のロゴマークを含む画像ファイルが公開されることにより、一定の広告効果を得ることができる。
【0039】
サーバ3へ画像ファイルが送信されると、記憶装置31のユーザーに対応する記憶領域へ、画像ファイルが格納される。また、ユーザーのファイル一覧テーブル61へ、画像ファイルが登録される。他者によりこの画像ファイルが閲覧される度に、ファイル一覧テーブル61の閲覧数が増加していく。
【0040】
サーバ3は、一定周期でスコアテーブル71の作成およびユーザーのスコアの算出を行う。画像ファイルの閲覧数が多いほど、ユーザーのスコアは大きくなる。ユーザーのスコアが所定のしきい値を上回っていた場合には、ユーザーがロゴマークを含む画像ファイルを公開した報酬として、ユーザーに割り当てられた記憶領域が大きくなる。サーバ3において、記憶領域を大きくするために発生したコストは、例えばコンテストの主催企業が負担する。
【0041】
なお、既にシンボルデータ40が記録されているデジタルカメラ1へ、新たなシンボルデータを転送した場合には、シンボルデータ40へ新たなシンボルデータが追加される。これにより、ユーザーは複数のコンテスト等に参加することが可能である。
【0042】
次に、第1の実施の形態における記憶領域の増加の流れを、図を用いて説明する。図8は、本実施の形態における記憶領域の増加の流れを示すフローチャートである。まずステップS11では、シンボルデータ40をデジタルカメラ1へ転送する。ステップS12では、ユーザーによりシンボルデータ40を有するデジタルカメラ1での撮影が行われる。
【0043】
ステップS13では、撮影により作成された画像ファイルをサーバ3へ転送する。ステップS14では、サーバ3が受信した画像ファイルのメタデータを集計し、ファイル一覧テーブル61を作成する。ステップS15では、サーバ3により画像ファイルが公開される。ステップS16では、画像ファイルの閲覧回数をカウントし、ファイル一覧テーブル61へカウント結果を格納する。ステップS17では、ファイル一覧テーブル61に基づいて、スコアテーブル71が作成される。ステップS18では、スコアテーブル71に基づいて、ユーザーに割り当てられた記憶領域の大きさが変更される。
【0044】
上述した第1の実施の形態による画像データ集計システムによれば、次の作用効果が得られる。
(1)シンボル検知部16aは、フラッシュメモリ18に記録されているシンボルデータ40に基づいて、画像データにシンボルが含まれていることを検知する。そして、シンボルが検知された場合、メタデータ付加部16bが、画像データにシンボルが含まれていることを表すメタデータを画像ファイルへ付加する。これにより、デジタルカメラ1により作成された画像データが含むシンボルを、画像ファイルに付加されているメタデータを読み込むだけで容易に確認することができる。
【0045】
(2)制御回路16は、新たに配布されたシンボルデータ40をフラッシュメモリ18に記録することができる。これにより、デジタルカメラ1が検知可能なシンボルを適宜追加することができる。
【0046】
(3)サーバ3が通信回路37により画像ファイルを受信すると、受信した画像ファイルに付加されている、画像データにシンボルが含まれていることを表す含有シンボルIDがメタデータ判読部32aにより読み込まれ、ファイル一覧テーブル61へ集計される。そして、報酬ランク判定部32cはファイル一覧テーブル61に基づいて、画像ファイルを送信したユーザーへ報酬を提供するためのスコアを算出する。これにより、複雑な画像解析を伴うことなく、画像データが含むシンボルに基づいた報酬データを算出することができる。
【0047】
(4)報酬提供部32dは、報酬ランク判定部32cが算出したスコアに基づいて、このスコアに対応するユーザーへ、追加の記憶領域を報酬として提供する。これにより、ユーザーに対して、シンボルを含む被写体を撮影する動機付けを行うことができる。
【0048】
(5)デジタルカメラ1は、ネットワーク2へ直接接続することができる。これにより、サーバ3への画像ファイルの送信や、サーバ3からのシンボルデータの受信を、デジタルカメラ1だけで行うことができる。
【0049】
次のような変形も本発明の範囲内であり、変形例の一つ、もしくは複数を上述の実施形態と組み合わせることも可能である。
(1)配布したシンボルデータをデジタルカメラに記録するのではなく、予めシンボルデータが組み込まれたデジタルカメラを販売するようにしてもよい。また、デジタルカメラに記録されたシンボルデータを、後から追加および削除できないようにしてもよい。
【0050】
(2)ユーザーが明示的にシンボルデータを用意するのではなく、デジタルカメラがユーザーからはわからない形でシンボルデータを取得するようにしてもよい。例えば、デジタルカメラの電源を投入する度に、デジタルカメラが所定のサーバから新しいシンボルデータを取得するようにしてもよい。
【0051】
(3)スコアがしきい値を越えることによりユーザーへ提供される報酬は、追加の記憶領域以外であってもよい。例えば、金銭、デジタルカメラのメモリを増設する権利、オンラインショッピングで利用可能な割引クーポン、電子マネーなどであってもよい。また、ユーザーが登録した携帯電話に、報酬として提供された電子マネーが記録されるようにしてもよい。
【0052】
(4)スコアは閲覧数以外のデータに基づいて算出してもよい。例えば、公開された全ての画像ファイルに含まれるシンボルの個数に基づいて、スコアを算出するようにしてもよい。
【0053】
(5)報酬の提供を決めるためのスコアに対するしきい値は1つより多くてもよい。例えば、10段階のしきい値を用意し、スコアが大きければ大きいほど、ユーザーがより多くの報酬を得られるようにしてもよい。
【0054】
(6)シンボル検知部が、シンボル以外のものを検知するようにしてもよい。例えば、特定の人物の顔であってもよい。また、自動車、カメラ、犬など、任意の事物であってもよい。
【0055】
(7)シンボル検知部が、シンボルが特定の組み合わせで出現する場合にのみシンボルを検知するようにしてもよい。この場合、シンボルの組み合わせに対してシンボルIDを設定してもよいし、各々のシンボルにシンボルIDを設定してもよい。
【0056】
(8)画像データに含まれるシンボルの向きや大きさでスコアが変わるようにしてもよい。この場合、シンボルIDに加えて、シンボルの向きや大きさを表すメタデータを画像ファイルに追加する。あるいは、シンボルの向きや大きさ毎に、同一のシンボルであっても異なるシンボルIDを設定する。
【0057】
(9)画像の公開を行うサーバとスコア等を算出するサーバとは、異なるサーバであってもよい。
【0058】
(10)第1の実施の形態では、画像データは静止画であるとしたが、本発明は動画に対しても同様に適用可能である。
【0059】
(11)メタデータを集計するサーバは、画像ファイルの公開を必ずしも必要としない。例えば、サーバは画像ファイルに付加されたメタデータを集計するのみであってもよいし、画像ファイルを蓄積するNAS(Network Attached Storage)であってもよい。
【0060】
本発明の特徴を損なわない限り、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で考えられるその他の形態についても、本発明の範囲内に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】第1の実施の形態におけるデジタルカメラ,サーバ,および画像処理装置の接続形態を示すブロック図である。
【図2】第1の実施の形態によるデジタルカメラの回路構成を示すブロック図である。
【図3】フラッシュメモリ18に記録されているシンボルデータを示す図である。
【図4】デジタルカメラ1が作成する画像ファイルの構造を示す図である。
【図5】第1の実施の形態によるサーバの回路構成を示すブロック図である。
【図6】ファイル一覧テーブルを示す図である。
【図7】スコアテーブルを示す図である。
【図8】第1の実施の形態における記憶領域の増加の流れを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0062】
1 カメラ
2 ネットワーク
3 サーバ
4 画像処理装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像ファイルを受信する受信手段と、
前記受信手段が受信した前記画像ファイルに付加されている、前記画像ファイル中の画像に所定の事物が含まれていることを表すメタデータを集計する集計手段と、
前記集計手段による集計の結果に基づいて、前記画像ファイルの送信者へ報酬を提供するための報酬データを算出する報酬算出手段と、
を備えることを特徴とする報酬提供サーバ。
【請求項2】
請求項1に記載の報酬提供サーバにおいて、
前記算出手段が算出した前記報酬データに基づいて、前記送信者へ報酬を提供する報酬提供手段を更に備えることを特徴とする報酬提供サーバ。
【請求項3】
被写体を撮影し、撮影画像を作成する撮像手段と、
前記撮影画像を含む画像ファイルを作成するファイル作成手段と、
被写体内の所定の事物に関する情報を記憶する記憶手段と、
前記記憶手段に記憶された前記事物情報に基づいて、前記撮像手段が作成した前記撮影画像に前記所定の事物が含まれていることを検知する検知手段と、
前記検知手段が前記撮影画像から前記所定の事物を検知した場合、前記所定の事物が前記撮影画像に含まれていることを表すメタデータを前記画像ファイルへ付加する付加手段と、
を備えるカメラと、
前記メタデータが付加された前記画像ファイルを受信する受信手段と、
前記受信手段が受信した前記画像ファイルに付加されている、前記撮影画像に前記所定の事物が含まれていることを表す前記メタデータを集計する集計手段と、
を備えるサーバと、
を有することを特徴とする画像データ集計システム。
【請求項4】
請求項3に記載の画像データ集計システムにおいて、
前記サーバは、前記カメラへ前記所定の事物とは異なる事物に関する情報を送信する送信手段を更に備え、
前記カメラは、前記送信手段が送信した前記情報を受信する受信手段と、前記受信手段が受信した前記情報に基づいて、前記記憶手段に記憶された前記事物情報へ、前記所定の事物とは異なる事物に関する情報を追加する情報追加手段とを更に備えることを特徴とする画像データ集計システム。
【請求項5】
請求項3または4に記載の画像データ集計システムにおいて、
前記サーバは、前記集計手段による集計結果に基づいて、前記画像ファイルの送信者へ報酬を提供するための報酬データを算出する報酬算出手段を更に備えることを特徴とする画像データ集計システム。
【請求項6】
被写体を撮影し、撮影画像を作成する撮像手段と、
前記撮影画像を含む画像ファイルを作成するファイル作成手段と、
被写体内の所定の事物に関する情報を記憶する記憶手段と、
前記記憶手段に記憶された前記事物情報に基づいて、前記撮像手段が作成した前記撮影画像に前記所定の事物が含まれていることを検知する検知手段と、
前記検知手段が前記撮影画像から前記所定の事物を検知した場合、前記所定の事物が前記撮影画像に含まれていることを表すメタデータを前記画像ファイルへ付加する付加手段と、
を備えることを特徴とする電子カメラ。
【請求項7】
請求項6に記載の電子カメラにおいて、
前記記憶手段に記憶された前記事物情報へ、前記所定の事物とは異なる事物に関する情報を追加する情報追加手段を更に備えることを特徴とする電子カメラ。
【請求項8】
請求項6または7に記載の電子カメラにおいて、
前記記憶手段は、前記事物情報として所定の図案に関する情報を記憶し、
前記検知手段は、前記記憶手段に記憶された前記事物情報に基づいて、前記撮影画像に前記所定の図案が含まれていることを検知することを特徴とする電子カメラ。
【請求項9】
請求項6または7に記載の電子カメラにおいて、
前記記憶手段は、前記事物情報として所定の人物の顔を記録し、
前記検知手段は、前記記憶手段に記憶された前記事物情報に基づいて、前記撮影画像に前記所定の人物の顔が含まれていることを検知することを特徴とする電子カメラ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−63008(P2010−63008A)
【公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−228708(P2008−228708)
【出願日】平成20年9月5日(2008.9.5)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】