説明

塗布具付包装体、包装体用塗布具、包装体及び塗布剤の塗布方法

【課題】塗布剤を抽出しつつ塗布具を用いて塗布する作業を手軽に行う。
【解決手段】塗布具付包装体10は、蓋体30を2つに折り曲げることによりポケット部41,42に収容された2剤混合式の染毛剤の第1剤及び第2剤が吐出される構造の分配包装体20と、分配包装体20に装着された専用ケース50とからなり、分配包装体20と専用ケース50とを一体的に折り曲げることにより、第1剤及び第2剤が吐出される。また、専用ケース50を折り曲げた状態では、専用ケース50の櫛体70の櫛歯が立設されるため、櫛体70により第1剤及び第2剤を混合しながら毛髪に塗布することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塗布具付包装体、包装体用塗布具、包装体及び塗布剤の塗布方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、指でつまんで2つに折り曲げることにより内容物を簡単に抽出することのできる構造の包装体が提案されている(特許文献1参照)。この包装体は、比較的堅固で平坦なシート状の蓋体の裏面に可撓性を有する容器体の周縁部を固着してポケット部が形成され、このポケット部に内容物が収容されるとともに、蓋体を折り曲げやすいようにするために切れ目等を施して折曲線が形成され、この折曲線と交差するように突起部が形成されている。
【0003】
そして、使用に際しては、包装体の蓋体を指でつまんでポケット部が押圧される方向に折り曲げる。これにより、蓋体の突起部が破断して吐出穴が形成されるとともにポケット部が押圧され、吐出穴から内容物が吐出される。
【0004】
なお、このような構造の容器はディスペンパック(登録商標)として食品業界では実用化されており、例えば弁当用のドレッシングやマヨネーズ等の容器として利用されている。
【特許文献1】特開平11−301746号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述した包装体は、小型で持ち運びに便利であり、しかも片手で手軽に操作できる点で、非常に便利なものである。そこで、こうした包装体に毛髪化粧料等の塗布剤を収容することが考えられる。しかしながら、塗布剤の場合には、包装体とは別に塗布剤を塗布するための塗布具(櫛やブラシ等)が必要となるため、塗布剤を塗布具に抽出した後にその塗布具を用いて毛髪に塗布するか、あるいは毛髪に塗布剤を直接抽出した後に塗布具で塗布するといったように、包装体と塗布具とを持ち替えて(又は両手で)作業しなければならず、前述した包装体の利点である手軽さが十分に生かされないという問題があった。
【0006】
本発明は、こうした問題にかんがみてなされたものであり、塗布剤を抽出しつつ塗布具を用いて塗布する作業を手軽に行うことのできる塗布具付包装体、包装体用塗布具、包装体及び塗布剤の塗布方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するためになされた本発明の請求項1に記載の塗布具付包装体は、塗布剤が収容された容器体を密封する蓋体を2つに折り曲げることにより蓋体に塗布剤の吐出穴が形成されるとともに容器体が押圧されて吐出穴から塗布剤が吐出される構造の包装体と、蓋体を折り曲げた状態でその折り曲げ部付近に配置される塗布具とを備える。
【0008】
このような塗布具付包装体によれば、塗布剤を抽出しつつ塗布具を用いて塗布する作業を片手で手軽に行うことができる。
ここで、塗布剤としては、例えば、毛髪に塗布する毛髪化粧料が挙げられ、特に、2剤混合式の毛髪化粧料の場合には、例えば請求項2に記載のように構成することができる。
【0009】
すなわち、請求項2に記載の塗布具付包装体では、容器体には、2剤混合式の毛髪化粧料の第1剤及び第2剤を独立して収容する複数のポケット部が形成され、蓋体には、吐出穴として複数のポケット部のそれぞれと連通する複数の吐出穴が形成される。
【0010】
このような塗布具付包装体によれば、2剤混合式の毛髪化粧料の第1剤及び第2剤を抽出しつつ塗布具を用いて混合しながら塗布することができる。
この場合、例えば請求項3に記載の塗布具付包装体のように、複数の吐出穴から吐出された塗布剤を互いに近づける方向に案内する案内板を備えた構成とすれば、複数の吐出穴から吐出された第1剤及び第2剤の混合を促進することができる。
【0011】
また、例えば請求項4に記載の塗布具付包装体のように、複数の吐出穴が互いに近づく方向に塗布剤を吐出するように形成された構成とすることによっても、複数の吐出穴から吐出された第1剤及び第2剤の混合を促進することができる。
【0012】
一方、塗布具としては、櫛(コーム)、ブラシ、刷毛、ローラ等が挙げられるが、櫛の場合には例えば請求項5のように構成することができる。
すなわち、請求項5に記載の塗布具付包装体では、塗布具は、蓋体を折り曲げる前の状態では櫛歯が互いに噛み合い、蓋体を折り曲げることにより櫛歯が立設される一対の櫛からなるものである。
【0013】
このような塗布具付包装体によれば、蓋体を折り曲げる前の状態では櫛歯が突出しないコンパクトな形状とすることができる。
また、請求項6に記載の塗布具付包装体では、塗布具は、包装体に着脱可能な状態で装着されている。このような塗布具付包装体によれば、包装体が使い捨てであっても、塗布具は繰り返し使用することが可能となる。
【0014】
具体的には、例えば請求項7に記載の塗布具付包装体は、蓋体に着脱可能な状態で装着され蓋体と一体的に折り曲げ可能なシート状の装着部材を備え、塗布具は、装着部材に固定されている。このような塗布具付包装体によれば、塗布具を包装体に容易に装着することができる。
【0015】
次に、請求項8に記載の包装体用塗布具は、塗布剤が収容された容器体を密封する蓋体を2つに折り曲げることにより蓋体に塗布剤の吐出穴が形成されるとともに容器体が押圧されて吐出穴から塗布剤が吐出される構造の包装体に装着して用いられるものである。そして、この包装体用塗布具は、蓋体に装着可能であるとともに蓋体と一体的に折り曲げ可能なシート状の装着部材と、装着部材に固定され、装着部材を折り曲げた状態でその折り曲げ部付近に配置される塗布具とを備える。
【0016】
このような包装体用塗布具によれば、包装体に装着することで、塗布剤を抽出しつつ塗布具を用いて塗布する作業を片手で手軽に行うことができる。
また、請求項9に記載の包装体用塗布具は、容器体には、2剤混合式の毛髪化粧料の第1剤及び第2剤を独立して収容する複数のポケット部が形成され、蓋体には、吐出穴として複数のポケット部のそれぞれと連通する複数の吐出穴が形成され、装着部材は、複数の吐出穴から吐出された塗布剤を互いに近づける方向に案内する案内板を備える。
【0017】
このような包装体用塗布具によれば、2剤混合式の毛髪化粧料の第1剤及び第2剤を抽出しつつ塗布具を用いて混合しながら塗布することができる。その際、案内板により、第1剤及び第2剤の混合を促進することができる。
【0018】
また、請求項10に記載の包装体用塗布具では、塗布具は、蓋体を折り曲げる前の状態では櫛歯が互いに噛み合い、蓋体を折り曲げることにより櫛歯が立設される一対の櫛からなるものである。
【0019】
このような包装体用塗布具によれば、蓋体を折り曲げる前の状態では櫛歯が突出しないコンパクトな形状とすることができる。
次に、請求項11に記載の包装体は、2剤混合式の毛髪化粧料の第1剤及び第2剤を独立して収容する複数のポケット部が形成された容器体を密封する蓋体を2つに折り曲げることにより、複数のポケット部のそれぞれと連通する複数の吐出穴が蓋体に形成されるとともに容器体が押圧されて、複数の吐出穴から第1剤及び第2剤がそれぞれ吐出される構造のものである。そして、この包装体において、複数の吐出穴は、互いに近づく方向に塗布剤を吐出するように形成される。
【0020】
このような包装体によれば、複数の吐出穴から吐出された第1剤及び第2剤の混合を促進することができる。
次に、請求項12に記載の塗布剤の塗布方法は、塗布剤が収容された容器体を密封する蓋体を2つに折り曲げることにより蓋体に塗布剤の吐出穴が形成されるとともに容器体が押圧されて吐出穴から塗布剤が吐出される構造の包装体に、蓋体に装着可能であるとともに蓋体と一体的に折り曲げ可能なシート状の装着部材と、装着部材に固定され、装着部材を折り曲げた状態でその折り曲げ部付近に配置される塗布具とを備える包装体用塗布具を装着し、蓋体と装着部材とを一体的に折り曲げることにより吐出穴から塗布剤を吐出させ、塗布具を用いて塗布することを特徴とするものである。
【0021】
このような塗布剤の塗布方法によれば、塗布剤を抽出しつつ塗布具を用いて塗布する作業を片手で手軽に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明が適用された実施形態について、図面を用いて説明する。
[1.全体構成]
図1は、実施形態の塗布具付包装体10の斜視図である。
【0023】
同図に示すように、この塗布具付包装体10は、分配包装体20と、分配包装体20に着脱可能な状態で装着された専用ケース50とを備えている。
図2は、分配包装体20を示す説明図であり、(a)は上面図、(b)は底面図、(c)は底面側から見た斜視図である。
【0024】
この分配包装体20は、2つのポケット部41,42が形成された容器体40を密封する比較的堅固で平坦なシート状の蓋体30を、指でつまんで2つに(ポケット部41,42を互いに接近させる方向へV字形に)折り曲げることにより、容器体40に収容された内容物を簡単に抽出することのできる構造の小型容器(ディスペンパック(登録商標))である。
【0025】
具体的には、容器体40は、各ポケット部41,42の周縁部が蓋体30の裏面に固着され、各ポケット部41,42の内容物が混じり合うことのない互いに独立した収容空間が形成されている。そして、各ポケット部41,42には、毛髪に塗布するための塗布剤として、2剤混合式の染毛剤の第1剤及び第2剤がそれぞれ収容されている。
【0026】
また、蓋体30には、その長手方向に沿って断面三角形状の2本の突起部31,32が蓋体30を裏側(容器体40側)から凹ませて形成されている。この2つの突起部31,32は、蓋体30の長手方向(図2(a)でいう左右方向)における中心線に沿って切れ目を施した折曲線33と交差している。このため、この折曲線33に沿って蓋体30を折り曲げると、各突起部31,32が破断して2つのポケット部41,42のそれぞれと連通する2つの三角形状の吐出穴が形成されるとともに、ポケット部41,42が互いに押圧されることにより、ポケット部41,42に収容された第1剤及び第2剤が各吐出穴から吐出される。
【0027】
一方、図3は、専用ケース50の斜視図である。
この専用ケース50は、分配包装体20の蓋体30に装着して用いるものであり、蓋体30と一体的に折り曲げ可能なシート状のケース本体60と、染毛剤を毛髪に塗布するための櫛体70とから構成されている。
【0028】
図4は、ケース本体60を示す説明図であり、(a)は裏面図、(b)は(a)のA−A断面図、(c)は(a)のB−B断面図である。
このケース本体60は、分配包装体20の蓋体30と略同一の長方形状に形成されており、2本の折曲線61,62に沿ってU字状に折り曲げ可能となっている。
【0029】
そして、ケース本体60における中央位置には、蓋体30を折り曲げることにより蓋体30に形成される2つの吐出穴から吐出された第1剤及び第2剤を通過させるための開口63が、2本の折曲線61,62間の幅よりも幅広に形成されている。また、この開口63には、2つの吐出穴から吐出された第1剤及び第2剤を互いに近づける方向に案内する2つの案内板64,65が、2本の折曲線61,62間の幅と略同一幅でかつ互いに対向する向きに突出して形成されている。
【0030】
また、ケース本体60における長手方向に沿った両側の辺及び短手方向に沿った片側の辺には、コの字状に折り曲げた突出片により蓋体30の周縁部を保持する保持爪66,66,…が形成されている。このため、保持爪66によって形成される溝に蓋体30の周縁部を挿入しつつ長手方向にスライドさせることにより、ケース本体60を分配包装体20に容易に装着可能となっている。
【0031】
一方、櫛体70は、図3に示すように、ケース本体60の開口63を挟んで互いに対向する向きでケース本体60に固定された一対の櫛(櫛歯列)からなるものであり、ケース本体60を折り曲げる前の状態(平板状に展開した状態)では櫛歯が互いに噛み合い、ケース本体60を折り曲げることにより各櫛の櫛歯が2列に立設されるように配置されている。
【0032】
なお、分配包装体20の蓋体30は、外表面から順に、合成樹脂(ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリスチレン共重合体、生分解性プラスチック(例えばポリ乳酸)等、又はこれらの積層体)、アルミニウム、合成樹脂の少なくとも3層構造とすることが好ましい。例えば、ポリエチレンテレフタレート、アルミニウム、ポリエチレンの3層構造とする。なお、アルミ層は、真空蒸着、化学蒸着等の方法を用いてアルミナを合成樹脂層に蒸着することにより形成してもよく、また、アルミニウム箔を用いてもよい。
【0033】
また、分配包装体20の容器体40のうち、第1剤(酸化染料含有薬液)の収容されるポケット部41は、蓋体30と同様、外表面から順に、合成樹脂、アルミニウム、合成樹脂の少なくとも3層構造とすることが好ましく、例えば、ポリエチレンテレフタレート、アルミニウム、ポリエチレンの3層構造とする。なお、ポケット部41のアルミ層は、成形時に引き延ばされて薄くなるため、蓋体30のアルミ層よりも厚くしておくことが好ましい。
【0034】
一方、第2剤(酸化剤含有薬液)の収容されるポケット部42は、第1剤の収容されるポケット部41からアルミ層を除いた構造とすることができ、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンの2層構造とする。なお、第1剤と同一の構造(アルミ層を有する構造)とすることも可能であるが、過酸化水素水は自然分解により酸素を発生するため、酸素を逃がしやすくすることができるという面ではアルミ層を有しない構造の方が好ましい。
【0035】
また、ケース本体60は、合成樹脂により構成することができる。
[2.染毛剤の塗布方法]
次に、本実施形態の塗布具付包装体10を用いた染毛剤の塗布方法について説明する。
【0036】
まず、分配包装体20に専用ケース50を装着して塗布具付包装体10を構成し、専用ケース50を下方にして指でつまむ(図5(a))。
次に、分配包装体20(具体的には蓋体30)と専用ケース50(具体的にはケース本体60)とを一体的に2つに(ポケット部41,42を互いに接近させる方向へV字形に)折り曲げる(図5(b))。
【0037】
これにより、蓋体30に形成された2つの突起部31,32が破断して2つの吐出穴が形成されるとともにポケット部41,42が互いに押圧され、ポケット部41,42に収容された第1剤及び第2剤が各吐出穴から吐出される(図5(c))。ここで、ケース本体60の開口63が2本の折曲線61,62間の幅よりも幅広に形成されているため、2つの吐出穴から吐出された第1剤及び第2剤が蓋体30とケース本体60との間に流れ込んでしまうことが防止される。また、2つの吐出穴から吐出された第1剤及び第2剤は、2つの案内板64,65によって互いに近づける方向に案内されるため、混合されやすくなる。なお、各案内板64,65は、第1剤及び第2剤の衝突により下方へしなった状態となる。
【0038】
このようにして、第1剤及び第2剤を毛髪に直接吐出させる。ここで、専用ケース50(具体的にはケース本体60)を折り曲げた状態では、蓋体30の折曲線33付近(具体的には、折曲線33を挟んだ両側)に櫛体70の櫛歯が立設されるため、そのまま櫛体70を用いて、第1剤及び第2剤を混合しながら毛髪(白髪が気になる箇所等)に塗布することができる。
【0039】
その後、しばらく(例えば15分間程度)放置し、毛髪をシャワーなどですすいだ後、シャンプーで洗髪する。なお、使用後の分配包装体20は、専用ケース50を取り外した上で捨てる。
【0040】
[3.効果]
以上説明したように、本実施形態の塗布具付包装体10は、染毛剤の第1剤及び第2剤を独立して収容する2つのポケット部41,42が形成された容器体40を密封する蓋体30を2つに折り曲げることにより、2つのポケット部41,42のそれぞれと連通する2つの吐出穴が蓋体30に形成されるとともに、容器体40が押圧されて吐出穴から第1剤及び第2剤が吐出される構造の分配包装体20と、蓋体30を折り曲げた状態でその折り曲げ部付近に配置される櫛体70とを備える。
【0041】
このため、本実施形態の塗布具付包装体10によれば、第1剤及び第2剤を抽出しつつ櫛体70を用いて混合しながら塗布する作業を片手で手軽に行うことができる。しかも、小型に構成できるため、容易に持ち運ぶことができる。
【0042】
また、この塗布具付包装体10では、2つの吐出穴から吐出された第1剤及び第2剤が案内板64,65によって互いに近づける方向に案内されるため、第1剤及び第2剤の混合を促進することができる。
【0043】
さらに、この塗布具付包装体10では、櫛体70が、ケース本体60を折り曲げる前の状態では櫛歯が互いに噛み合い、ケース本体60を折り曲げることにより櫛歯が立設される一対の櫛からなるものであるため、ケース本体60を折り曲げる前の状態では櫛歯が突出しないコンパクトな形状とすることができる。
【0044】
加えて、この塗布具付包装体10では、専用ケース50が、分配包装体20に容易に着脱可能な構成であるため、分配包装体20が使い捨てであっても、専用ケース50は繰り返し使用することができる。
【0045】
[4.特許請求の範囲との対応]
なお、本実施形態の塗布具付包装体10では、分配包装体20が包装体に相当し、専用ケース50が包装体用塗布具に相当し、ケース本体60が装着部材に相当し、櫛体70が塗布具に相当する。
【0046】
[5.他の形態]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されることなく、種々の形態を採り得ることは言うまでもない。
【0047】
[5−1.塗布具]
上記実施形態では、塗布具として櫛体70を例示したが、これに限定されるものではない。例えば、図6(a)に示すようにブラシ80を備えた構成や、図6(b)に示すように刷毛90を備えた構成としてもよい。また、ブラシや刷毛についても、上記実施形態の櫛体70のように、ケース本体60を折り曲げることにより立設されるようにすることも可能である。
【0048】
[5−2.吐出穴]
上記実施形態では、蓋体30の長手方向に沿って形成された2本の突起部31,32が破断して2つの吐出穴が形成される構成を例示したが、これに限定されるものではない。例えば、2つの吐出穴が、第1剤及び第2剤を互いに近づく方向に吐出するように形成されるようにしてもよい。具体的には、例えば図7に示すように、2本の突起部31,32を、折曲線33に近づくにつれて互いに接近する向きに形成する。このようにすれば、2つの吐出穴を互いに近づけた配置とすることができ、しかも、蓋体30を折り曲げた状態においては、第1剤及び第2剤が2つの吐出穴から互いに近づく方向に吐出されるようになるため、第1剤及び第2剤の混合を促進することができる。
【0049】
[5−3.ケース本体の装着方法]
上記実施形態では、ケース本体60を保持爪66,66,…により分配包装体20の蓋体30に装着可能とした構成を例示したが、これに限定されるものではない。例えば、蓋体30よりも一回り大きい長方形状の板に、蓋体30の角部を差し込むための切り込みを入れた構成とすることも可能である。
【0050】
[5−4.ケース本体の開口]
上記実施形態では、ケース本体60の開口63が、2本の折曲線61,62間の幅よりも幅広に形成された構成を例示したが、これに限定されるものではなく、2本の折曲線61,62間の幅と同じ又は幅狭に形成された構成とすることも可能である。ただし、このようにすると、2つの吐出穴から吐出された第1剤及び第2剤の流動抵抗が大きくなり、第1剤及び第2剤が蓋体30とケース本体60との隙間に流れ込みやすくなり、蓋体30やケース本体60が汚れたり隙間からの漏れ出しが生じたりしやすくなる。このため、上記実施形態のように、ケース本体60の開口63が2本の折曲線61,62間の幅よりも幅広に形成された構成とする方が好ましい。
【0051】
[5−5.着脱可能な構成]
上記実施形態では、専用ケース50を分配包装体20に着脱可能な構成を例示したが、これに限定されるものではなく、一体化した構成とすることも可能である。ただし、専用ケース50を洗浄するなどして再利用できるという面では、上記実施形態のように専用ケース50を分配包装体20に着脱可能な構成とする方が好ましい。
【0052】
[5−6.塗布剤]
上記実施形態では、塗布剤として2剤混合式の染毛剤を例示したが、これに限定されるものではない。例えば、脱色剤のように染毛剤以外の毛髪化粧料であってもよい。また、塗布剤は毛髪化粧料に限定されるものではなく、例えば育毛剤のように毛髪化粧料以外の毛髪用塗布剤であってもよい。さらに、塗布剤は毛髪用のものに限定されるものではなく、例えば頭皮用の塗布剤であってもよい。また、2剤混合式の薬剤に限定されるものではなく、例えば1剤式の薬剤であってもよく、この場合、包装体のポケット部を1つにすることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】実施形態の塗布具付包装体の斜視図である。
【図2】分配包装体を示す説明図であり、(a)は上面図、(b)は底面図、(c)は斜視図である。
【図3】専用ケースの斜視図である。
【図4】ケース本体を示す説明図であり、(a)は裏面図、(b)は(a)のA−A断面図、(c)は(a)のB−B断面図である。
【図5】染毛剤の塗布方法の説明図である。
【図6】変形例としての塗布具の説明図である。
【図7】変形例としての分配包装体の上面図である。
【符号の説明】
【0054】
10…塗布具付包装体、20…分配包装体、30…蓋体、31,32…突起部、33…折曲線、40…容器体、41,42…ポケット部、50…専用ケース、60…ケース本体、61,62…折曲線、63…開口、64,65…案内板、66…保持爪、70…櫛体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
塗布剤が収容された容器体を密封する蓋体を2つに折り曲げることにより前記蓋体に塗布剤の吐出穴が形成されるとともに前記容器体が押圧されて前記吐出穴から塗布剤が吐出される構造の包装体と、
前記蓋体を折り曲げた状態でその折り曲げ部付近に配置される塗布具と、
を備えることを特徴とする塗布具付包装体。
【請求項2】
前記容器体には、2剤混合式の毛髪化粧料の第1剤及び第2剤を独立して収容する複数のポケット部が形成され、
前記蓋体には、前記吐出穴として前記複数のポケット部のそれぞれと連通する複数の吐出穴が形成されること
を特徴とする請求項1に記載の塗布具付包装体。
【請求項3】
前記複数の吐出穴から吐出された塗布剤を互いに近づける方向に案内する案内板を備えること
を特徴とする請求項2に記載の塗布具付包装体。
【請求項4】
前記複数の吐出穴は、互いに近づく方向に塗布剤を吐出するように形成されること
を特徴とする請求項2又は請求項3に記載の塗布具付包装体。
【請求項5】
前記塗布具は、前記蓋体を折り曲げる前の状態では櫛歯が互いに噛み合い、前記蓋体を折り曲げることにより櫛歯が立設される一対の櫛からなるものであること
を特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の塗布具付包装体。
【請求項6】
前記塗布具は、前記包装体に着脱可能な状態で装着されていること
を特徴とする請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の塗布具付包装体。
【請求項7】
前記蓋体に着脱可能な状態で装着され、前記蓋体と一体的に折り曲げ可能なシート状の装着部材を備え、
前記塗布具は、前記装着部材に固定されていること
を特徴とする請求項6に記載の塗布具付包装体。
【請求項8】
塗布剤が収容された容器体を密封する蓋体を2つに折り曲げることにより前記蓋体に塗布剤の吐出穴が形成されるとともに前記容器体が押圧されて前記吐出穴から塗布剤が吐出される構造の包装体に装着して用いられる包装体用塗布具であって、
前記蓋体に装着可能であるとともに前記蓋体と一体的に折り曲げ可能なシート状の装着部材と、
前記装着部材に固定され、前記装着部材を折り曲げた状態でその折り曲げ部付近に配置される塗布具と、
を備えることを特徴とする包装体用塗布具。
【請求項9】
前記容器体には、2剤混合式の毛髪化粧料の第1剤及び第2剤を独立して収容する複数のポケット部が形成され、
前記蓋体には、前記吐出穴として前記複数のポケット部のそれぞれと連通する複数の吐出穴が形成され、
前記装着部材は、前記複数の吐出穴から吐出された塗布剤を互いに近づける方向に案内する案内板を備えること
を特徴とする請求項8に記載の包装体用塗布具。
【請求項10】
前記塗布具は、前記蓋体を折り曲げる前の状態では櫛歯が互いに噛み合い、前記蓋体を折り曲げることにより櫛歯が立設される一対の櫛からなるものであること
を特徴とする請求項8又は請求項9に記載の包装体用塗布具。
【請求項11】
2剤混合式の毛髪化粧料の第1剤及び第2剤を独立して収容する複数のポケット部が形成された容器体を密封する蓋体を2つに折り曲げることにより、前記複数のポケット部のそれぞれと連通する複数の吐出穴が前記蓋体に形成されるとともに前記容器体が押圧されて、前記複数の吐出穴から第1剤及び第2剤がそれぞれ吐出される構造の包装体であって、
前記複数の吐出穴は、互いに近づく方向に塗布剤を吐出するように形成されること
を特徴とする包装体。
【請求項12】
塗布剤が収容された容器体を密封する蓋体を2つに折り曲げることにより前記蓋体に塗布剤の吐出穴が形成されるとともに前記容器体が押圧されて前記吐出穴から塗布剤が吐出される構造の包装体に、前記蓋体に装着可能であるとともに前記蓋体と一体的に折り曲げ可能なシート状の装着部材と、前記装着部材に固定され、前記装着部材を折り曲げた状態でその折り曲げ部付近に配置される塗布具とを備える包装体用塗布具を装着し、
前記蓋体と前記装着部材とを一体的に折り曲げることにより前記吐出穴から塗布剤を吐出させ、前記塗布具を用いて塗布すること
を特徴とする塗布剤の塗布方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図7】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−262966(P2009−262966A)
【公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−115472(P2008−115472)
【出願日】平成20年4月25日(2008.4.25)
【出願人】(000113274)ホーユー株式会社 (278)
【Fターム(参考)】