説明

塗布装置および着弾状態検査方法

【課題】ノズル近傍に付着した塗布不良を起こしうる異物を検知する着弾状態検査モードを有する塗布装置および着弾状態検査方法を提供する。
【解決手段】液滴を吐出する複数の吐出ノズル11を有し、各吐出ノズル11が吐出面14に配置されている吐出ユニット13と、液滴を着弾させる検査面31と、を備え、各吐出ノズル11から検査面31へ液滴を吐出し、液滴の着弾状態を検査する着弾状態検査モードを有する塗布装置であって、着弾状態検査モードにおいて、吐出ユニット13は、検査面31へ液滴を吐出して着弾パターン21を形成した後、着弾パターン21の上を吐出面14が通過するよう移動し、次に、着弾パターン21の上を吐出面14が再度通過するよう先の移動方向と反対の方向に移動し、吐出ユニット13が両方向に移動した後の着弾パターン21の各液滴の形状から着弾状態検査が行われることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェット方式により基板に塗布を行う塗布装置および着弾状態の検査方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
カラー液晶ディスプレイ等のフラットパネルディスプレイには、色形成の中核を成す部材としてカラーフィルタが用いられている。カラーフィルタは、ガラス基板上に微細なR(赤色)、G(緑色)、B(青色)の3色の画素が多数並べられて形成されている。
【0003】
このカラーフィルタを製造する装置として、ガラス基板上に形成された多数の微細な画素部に、R、G、Bの各インクをインクジェットヘッドから吐出して塗布し、R、G、Bの色画素を形成するインクジェット装置が近年用いられるようになってきている。
【0004】
インクジェットヘッドにはインクを吐出するノズルが多数配列されており、これらの吐出ノズルから複数の画素部へ同時にインクを吐出することにより複数の色画素を同時に形成することができるが、これらノズルからインクが正常に吐出されていなかったり、ノズル近傍に異物が存在したりすると、色抜けや混色のある不良のカラーフィルタとなってしまう。そこで、このような塗布に異常をきたす塗布不良要因は事前に検知し、検知結果に基づいて基板へのインクの塗布前にメンテナンスを行うことが必要である。
【0005】
ここで、下記特許文献1では、図9に示すように透明体に液滴を各ノズルから吐出して着弾パターン91を形成し、この着弾パターンの画像とあらかじめ記憶していた正常時の着弾パターンとの比較を行って、ノズルが正常か異常かを検査している。具体的には、図9のAのように液滴が所定位置にないときはノズル詰まりによる異常と判断し、図9のBのように着弾位置が所定位置よりずれているときは飛行曲がりによる異常と判断し、また、図9のCのように着弾パターンの大きさが異常であるときはノズルの吐出量の異常と判断している。そうすることで、塗布不良の要因となる吐出異常のノズルを検出し、そのノズルは塗布には使用しないようにすることが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第4159525号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、上記特許文献1に記載された着弾状態検査方法では、完全に塗布不良要因を検出することができないという問題があった。具体的には、先述の通り、ノズルの吐出異常だけでなく、ノズル近傍に付着した異物によっても塗布不良は引き起こされることがあり、基板への塗布中に、基板に塗布されたインクに異物が接触した場合、その異物がインクを引きずることによって、基板上に形成されていた色画素の形状を崩し、塗布不良が発生する。しかし、このような異物の有無は、特許文献1に示された検査方法のように単に吐出された液滴の状態を確認するだけでは検知できない場合があり、塗布不良を起こしうる異物の存在を見逃してしまうという問題があった。
【0008】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、ノズル近傍の塗布不良を起こしうる異物を検知する着弾状態検査モードを有する塗布装置および着弾状態検査方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために本発明の塗布装置は、液滴を吐出する複数の吐出ノズルを有し、各吐出ノズルが吐出面に配置されている吐出ユニットと、液滴を着弾させる検査面と、前記検査面に対して平行な方向に、前記吐出ユニットと前記検査面とを相対的に移動させる移動機構と、を備え、前記移動機構によって前記吐出ユニットを走査方向へ移動させながら、各吐出ノズルから基板へ液滴を吐出することにより、基板に塗布膜を形成する塗布モードと、各吐出ノズルから前記検査面へ液滴を吐出し、液滴の着弾状態を検査する着弾状態検査モードと、を有する塗布装置であって、前記着弾状態検査モードは、前記検査面へ液滴を吐出して着弾パターンを形成した後、前記着弾パターンの上を前記吐出面が通過するように前記吐出ユニットを前記走査方向へ移動させ、次に、前記着弾パターンの上を前記吐出面が再度通過するように、先に移動した方向と反対の方向に前記吐出ユニットを移動させ、前記吐出ユニットが両方向に移動した後の前記着弾パターンの各液滴の形状から検査を行うことを特徴としている。
【0010】
上記塗布装置によれば、検査面へ液滴を吐出して着弾パターンを形成した後、着弾パターンの上を吐出面が通過するように吐出ユニットを走査方向へ移動させ、次に、着弾パターンの上を吐出面が再度通過するように、先に移動した方向と反対の方向に吐出ユニットを移動させることにより、塗布モード時の液滴の塗布に悪影響を及ぼすような異物が吐出面に付着していた場合に、その異物が確実に液滴に接触して液滴を引きずるため、両方向に吐出ユニットが移動した後の着弾パターンの各液滴の形状を評価することで、この異物の有無を検査することが可能である。
【0011】
また、前記着弾検査モードにおいて、前記着弾パターンの検査を行う前に前記吐出ユニットの前記両方向への移動を複数回行っており、その際、前記両方向への移動が完了して次の前記両方向への移動を実施する前に前記走査方向と直交する方向への移動を行うようにしても良い。
【0012】
こうすることにより、両方向への移動が完了して次の両方向への移動を実施する前に走査方向と直交する方向への移動を行うことで、走査方向と直交する方向に関する吐出ユニットと液滴との位置関係を少しずつ変えながら走査方向の両方向への移動を繰り返すため、隣り合う吐出ノズル同士の中間位置や隣り合う吐出ユニット同士の中間位置などに異物が付着して吐出ユニットの走査方向の移動だけでは異物が液滴と接触しないおそれがある場合でも、より確実に異物と液滴とを接触させ、異物を検出することができる。
【0013】
また、前記着弾検査モードにおいて前記吐出ユニットを移動させる際の前記吐出面と前記検査面との距離は、前記塗布モードにおいて前記吐出ユニットを走査させる際の前記吐出面と基板との距離以下であるようにしても良い。
【0014】
こうすることにより、吐出検査モードにおいて吐出ユニットを移動させる際の吐出面と検査面との距離は、塗布モードにおいて吐出ユニットを走査させる際の吐出面と基板との距離以下であることによって、吐出面に付着して塗布に影響を及ぼす異物を検出することに加え、さらに、基板に塗布した液滴とは接触しないような小さな異物をも検出することも可能となり、その異物が塗布モード中に基板上に落下して塗布不良を生じさせることを未然に防ぐことも可能となる。
【0015】
また、前記着弾状態検査モードにおいて、前記着弾パターンを形成する際、前記吐出ユニットは、前記検査面上の同等の箇所へ液滴の吐出を複数回行っても良い。
【0016】
このように検査面上の同等の箇所へ液滴の吐出を複数回行い、液滴の高さを高くすることにより、異物が吐出面に付着していた場合に、この異物がより確実に液滴に接触するため、より精度良く吐出面に付着した異物を検出することができる。
【0017】
また、上記課題を解決するために本発明の着弾状態検査方法は、液滴を吐出する複数の吐出ノズルを有し、各吐出ノズルが吐出面に配置されている吐出ユニットと、液滴を着弾させる検査面と、前記検査面に対して平行な方向に、前記吐出ユニットと前記検査面とを相対的に移動させる移動機構と、を備える塗布装置の着弾状態検査方法であって、前記吐出ユニットが前記検査面へ液滴を吐出して着弾パターンを形成する、パターン形成工程と、パターン形成工程の後、前記着弾パターンの上を前記吐出面が通過するように前記吐出ユニットを移動させ、次に、前記着弾パターンの上を前記吐出面が再度通過するように、先の移動方向と反対の方向に前記吐出ユニットを移動させ、前記吐出ユニットが両方向に移動した後の前記着弾パターンの各液滴の形状から検査を行う検査工程と、を有することを特徴としている。
【0018】
上記着弾状態検査方法によれば、パターン形成工程の後、前記着弾パターンの上を前記吐出面が通過するように前記吐出ユニットを移動させ、次に、前記着弾パターンの上を前記吐出面が再度通過するように、先の移動方向と反対の方向に前記吐出ユニットを移動させることにより、塗布モード時の液滴の塗布に悪影響を及ぼすような異物が吐出面に付着していた場合に、その異物が確実に液滴に接触して液滴を引きずるため、両方向に吐出ユニットが移動した後の着弾パターンの各液滴の形状を評価することで、この異物の有無を検査することが可能である。
【発明の効果】
【0019】
上記の塗布装置および着弾状態検査方法によれば、吐出面に付着した塗布不良を起こしうる異物を検知することができ、検知直後早急にその異物を除去することで品質の安定した塗布を行うことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一実施形態を示す模式図であり、側面図である。
【図2】検査面および画像取得部の概略図であり、斜視図である。
【図3】検査面に着弾した検査液体の着弾パターンを示す模式図である。
【図4】異物の接触により塗布不良が生じる過程を示す模式図である。
【図5】塗布ヘッドを一方向に移動させて着弾状態検査を行う過程を示す模式図である。
【図6】塗布ヘッドを反対方向にも移動させて着弾状態検査を行う過程を示す模式図である。
【図7】塗布ヘッドを移動させた後の着弾パターンを示す模式図である。
【図8】本実施形態における着弾状態検査モードの動作フローである。
【図9】従来の着弾状態検査を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1は、本発明の一実施形態を示す模式図である。塗布装置1は、塗布部2、塗布ステージ3、測定装置4、および制御部5を備えており、塗布部2が塗布ステージ3上の基板Wの上方を移動しながら塗布部2内の吐出ノズルから塗布液の液滴を吐出することにより、基板Wへの塗布動作が行われる。また、塗布部2が測定装置4へ液滴を吐出し、その測定装置4によって取得された液滴の着弾状態を制御部5が検査し、その結果にもとづいて、着弾異常の検出および使用可能な吐出ノズルの選別が行われる。
【0022】
なお、以下の説明では、基板Wへの液滴吐出時に塗布部2が移動する方向をX軸方向(もしくは走査方向)、X軸方向と水平面上で直交する方向をY軸方向、X軸およびY軸方向の双方に直交する方向をZ軸方向として説明を進めることとする。
【0023】
塗布部2は、塗布ヘッド10、および塗布ヘッド移動装置12を有している。塗布ヘッド10は塗布ヘッド移動装置12によって塗布ステージ3上の基板Wおよび後述する測定装置4の検査面31といった吐出対象までの移動が可能であり、各吐出対象まで移動した後、塗布ヘッド10は吐出ノズル11から各吐出対象に対して液滴の吐出を行う。
【0024】
塗布ヘッド10は、Y軸方向を長手方向とする略直方体の形状を有し、複数の吐出ユニット13が組み込まれている。吐出ユニット13は、複数の吐出ノズル11が設けられており、また、下面にノズルプレート14(吐出面)を有し、このノズルプレート14に各吐出ノズル11が配置されている。この吐出ユニット13が塗布ヘッド10に組み込まれることにより、吐出ノズル11が塗布ヘッド10の下面に配列される形態をとる。また、塗布ヘッド10は配管を通じてサブタンク15とつながっている。サブタンク15は、塗布ヘッド10の近傍に設けられており、離間して設けられたメインタンク16から配管を通じて供給された塗布液を一旦貯蔵し、その塗布液を塗布ヘッド10へ高精度で供給する役割を有する。サブタンク15から塗布ヘッド10へ供給された塗布液は、塗布ヘッド10内で分岐され、各吐出ユニット13の全ての吐出ノズル11へ供給される。
【0025】
ここで、各吐出ノズル11からの液滴の吐出を安定させるために、塗布待機時には塗布液が各吐出ノズル11内で所定の形状の界面(メニスカス)を維持してとどまる必要があり、そのため、サブタンク15内には真空源17によって所定の大きさの負圧が付与されている。なお、この負圧は、サブタンク16と真空源17との間に設けられた真空調圧弁18によって調圧されている。
【0026】
そして、これらの吐出ノズル11から塗布液の液滴が吐出されることで、塗布ヘッド10から基板Wおよび検査面31への液滴の吐出が行われる。また、各吐出ノズル11はそれぞれ図示しない吐出駆動部を有し、制御部5から各吐出ノズル11において吐出のオン、オフの制御を行うことにより、任意の吐出ノズル11の吐出駆動部が動作し、液滴を吐出する。なお、本実施形態では、吐出駆動部としてピエゾアクチュエータを用いている。
【0027】
移動装置12はリニアステージなどで構成される直動機構であり、これに組み付けられている塗布ヘッド10をX軸方向に移動させることが可能である。制御部5にて塗布ヘッド移動装置12の駆動を制御することにより、塗布ヘッド10は基板Wおよび後述する検査面31に対して相対的に移動することができ、基板Wの上方および検査面31の上方へ移動することが可能である。また、塗布ヘッド移動装置12を駆動させることで、塗布モードにおいて基板Wの上で塗布ヘッド10を走査させながら、各吐出ノズル11から連続的に液滴を吐出することにより、基板Wへの塗布液の塗布を行うことが可能である。
【0028】
また、本実施形態では、塗布ヘッド10はX軸方向だけでなく、図示しない移動装置によりY軸方向にも移動可能としている。これにより、塗布ヘッド10内で吐出ユニット13同士が間隔を設けて設置されている場合に、一度塗布を行った後に塗布ヘッド10をY軸方向にずらし、その間隔を補完するように塗布することで、基板Wの全面へ塗布を行うことができる。また、基板WのY軸方向の幅が塗布ヘッド10の長さよりも長い場合であっても、1回の塗布動作が完了するごとに塗布ヘッド10をY軸方向にずらし、複数回に分けて塗布を行うことにより、基板Wの全面へ塗布を行うことが可能となっている。
【0029】
塗布ステージ3は、基板Wを固定する機構を有し、基板Wへの塗布動作はこの塗布ステージ3の上に基板Wを載置し、固定した状態で行われる。本実施形態では、塗布ステージ3は吸着機構を有しており、図示しない真空ポンプなどを動作させることにより、基板Wと当接する面に吸引力を発生させ、基板Wを吸着固定している。
【0030】
測定装置4は、検査面31、および画像取得部40を有している。測定装置4による着弾状態の測定は、先述の塗布動作を開始する前、もしくは塗布動作中に行われ、まず塗布ヘッド10が検査面31の上方へ移動した後、吐出ノズル11から検査面31へ向けて液滴を吐出し、その液滴が検査面31に着弾して着弾パターン21を形成する。この着弾パターン21が形成された検査面31の画像データを画像取得部40が取得する。取得した画像データは、後述の解析装置51に転送され、そのデータをもとに各吐出ノズル11から吐出された液滴の着弾面積、着弾位置、着弾形状といった着弾状態の解析が行われる。
【0031】
検査面31および画像取得部40の構成の詳細を図2に示す。本実施形態では、検査面31は帯状フィルム32であり、その両端は図示しない巻きだしローラおよび巻き取りローラにつながっている。ここで制御部5からの制御により巻き取りローラが回転することで、帯状フィルム32が巻き取られ、同時に供給ローラから帯状フィルムが巻き出される。帯状フィルム32の巻き取りおよび巻きだし動作を着弾状態測定を行う前に行うことにより、液滴や異物の無い箇所に着弾パターン21を形成し、着弾状態測定を行うことができる。
【0032】
また、この巻き取りおよび巻きだし動作は、着弾状態測定を行う度に行う必要はなく、前回の着弾状態測定を行った後、まだ帯状フィルム32上に着弾状態測定を行うことができる程度の(液滴や異物の無い)領域が残存するならば、次回の着弾状態測定では塗布ヘッド10の位置を変えてその領域を用いても良い。この場合、複数回の着弾状態測定を行った結果、帯状フィルム32上に着弾状態測定を行うことができる程度の領域が無くなったときに、巻き取りおよび巻きだし動作が実施され、液滴や異物の無い面が準備される。本実施形態では、X軸方向に100mmの幅を有する帯状フィルム32に対し、X軸方向に吐出位置をずらしながら8回程度の着弾状態測定を行った後、巻き取りおよび巻きだし動作を行っている。こうすることにより、帯状フィルム32を効率的に使用し、かつ、他の着弾状態測定で形成された着弾パターン21の影響を受けることの無い着弾状態測定を行っている。
【0033】
また、巻きだしローラと巻き取りローラの間には複数のガイドローラ33が帯状フィルム32に当接しており、図上に鎖線で示す帯状フィルム32上の液滴が着弾する着弾領域34が水平になるよう、帯状フィルム32はガイドローラ33によりガイドされている。また、着弾領域34の下方には、帯状フィルム32を吸着するための吸着テーブル35が備えられている。吸着テーブル35は、帯状フィルム32と当接する面がほぼ平坦である。また、帯状フィルム32と当接する面は吸引口を有し、図示しない真空ポンプなどを駆動させることにより吸引力を持つことが可能である。着弾状態測定中はこの吸着テーブル35が着弾領域34を含む領域分の帯状フィルム32を吸着固定することにより、着弾状態測定中に着弾領域34にかかる部分で着弾パターン21の位置がずれてしまうことを防いでいる。
【0034】
画像取得部40は、画像認識カメラ41、第1カメラ移動装置42および第2カメラ移動装置43を有している。画像認識カメラ41は第1カメラ移動装置42および第2カメラ移動装置43に組み付けられており、これらの移動装置を駆動させることにより、画像認識カメラ41はX軸方向およびY軸方向に移動することが可能である。
【0035】
画像認識カメラ41は、本実施形態ではモノクロのCCDカメラであり、画像取得のタイミングについて外部からの制御が可能である。制御部5により指示を与えることで、この画像認識カメラ41は連続して画像データを取得し、この取得した画像データはケーブルを介して後述の解析装置51へ転送される。
【0036】
第1カメラ移動装置42は、リニアステージなどで構成される直動機構であり、画像認識カメラ41を塗布ヘッド10の長手方向(Y軸方向)に移動させることが可能である。また、第2カメラ移動装置43は、リニアステージなどで構成される直動機構であり、画像認識カメラ41および第1カメラ移動装置42を塗布ヘッド10が塗布時に走査する方向(X軸方向)に移動させることが可能である。
【0037】
ここで、制御部5により第1カメラ移動装置42および第2カメラ移動装置43の駆動を制御することにより、画像認識カメラ41は検査面31に対してX軸方向およびY軸方向に相対的に移動することが可能である。着弾状態測定中にこれらの移動機構を駆動させて画像認識カメラ41が移動しながら検査面31の画像データを連続して取得することにより、着弾領域34に形成された全ての着弾パターン21を撮像し、測定を行うことが可能である。
【0038】
また、液滴を検査面31に着弾させる時には塗布ヘッド10が検査面31の真上に位置する必要があるため、第2カメラ移動装置43を駆動させることにより、塗布ヘッド10が検査面31の真上に位置する間、画像認識カメラ41をX軸方向に移動させて退避させることも可能である。
【0039】
また、画像取得部40のその他の構成として、複数台の画像認識カメラ41がY軸方向に並べて設けられ、画像取得時に画像認識カメラ41は移動せずに全ての着弾パターン21の画像を取得する構成であっても良い。
【0040】
制御部5は、コンピュータ、シーケンサなどを有し、塗布ヘッド10への送液、吐出ノズル11からの液滴の吐出および吐出量の調節、画像認識カメラ41による画像取得、各移動機構の駆動などの動作の制御を行う。さらに、本実施形態では、塗布装置1は塗布モードおよび着弾状態検査モードとを有しており、塗布モードでは塗布ヘッド10が基板Wの上方を走査方向(X軸方向)に移動しながら吐出ノズル11から液滴を吐出するように、制御部5が制御を行う。また、着弾状態検査モードはさらにパターン形成工程および検査工程を有しており、パターン形成工程では検査面31上に吐出ノズル11から液滴を吐出して着弾パターン21を形成し、検査工程ではパターン形成工程で形成された着弾パターン21に対して良否を判定し、そこから異物の検出を行うように、制御部5が制御を行う。
【0041】
また、制御部5は、解析装置51を有し、画像認識カメラ41によって得られた着弾パターン21の画像をもとに各着弾パターン21の着弾状態の良否を判定する。
【0042】
解析装置51は、CPUおよびRAMやROMを有するコンピュータであり、画像認識カメラ41によって得られた画像より各着弾パターン21の着弾状態を確認する。解析装置51には、画像データの各構成画素の輝度情報をもとに画像データから着弾パターン21の外形データを抽出する画像処理部、画像処理部により抽出した各着弾パターン21の外形データから重心位置、形状、面積などの着弾状態のデータを算出し、これらのデータから各着弾パターン21を形成した吐出ノズル11の吐出状態の良否を判定する解析部など、各機能を実行するためのプログラムが記憶されている。また、解析装置51は、ハードディスクや、RAMまたはROMなどのメモリからなる、各種情報を記憶する記憶装置を有しており、画像データや、解析部により算出された各着弾パターン21の着弾状態のデータ、良否判定時の基準データ(各吐出ノズル11において正常に液滴が吐出された場合の着弾状態のデータ)およびしきい値データ、使用可能な吐出ノズル11の情報などがこの記憶装置に記憶される。
【0043】
また、解析装置51は、画像認識カメラ41とケーブルを介して連結されており、画像認識カメラ41で取得された画像データを自身に取り込み、記憶装置に記憶することができる。
【0044】
ここで、着弾状態検査モードの検査工程は、良否判定工程を有し、着弾パターン21の良否を判定している。この良否判定工程について、以下に説明する。
【0045】
まず、解析装置51自身に取り込んだ各着弾パターン21の画像データに対して、画像処理部がその画像データの各構成画素ごとの輝度値を計測する。そして、輝度値の計測により得られた、隣接画素間の輝度値の変化の度合いの情報をもとに、画像処理部が画像データから各着弾パターン21の外形データを抽出する。ここで、本実施形態では、着弾パターン21の外形データを抽出するにあたって、着弾パターン21の外形をより明確に確認し、抽出を容易とするために、画像処理部は、まず画像データを構成する各画素の輝度に対して所定の輝度値をしきい値として二値化し、例えば液滴部分が黒く、その他の部分が白くなるような白黒データに置き換え、この白黒データに対して着弾パターン21の外形データの抽出を行っている。
【0046】
そして、解析部が各外形データに対し、それぞれの重心位置、着弾形状、および着弾面積といった着弾状態データを解析部が算出する。
【0047】
各着弾パターン21の外形データの重心位置を算出する方法としては、各着弾パターン21の外形データに対して、個々に外接する矩形を求め、その矩形の重心を算出する方法などが用いられる。また、各着弾パターン21の着弾形状は、外形データの円形度を求める方法などを用いて求められる。また、各着弾パターン21の着弾面積は、画像データ上で外形データを形成する画素数を計算する方法などを用いて求められる。
【0048】
次に、解析装置51の解析部が、各着弾パターン21の着弾状態の良否を判定する。このときの着弾NGの検出例について、図3に示す。まず、図3(a)のような、全ての吐出ノズル11からの吐出が正常であった場合の各着弾パターン21の重心位置、円形度、面積のデータが計算され、基準データとしてあらかじめ解析装置51の記憶装置に計算され、記憶されている。また、この基準データに対して実際に吐出された着弾パターン21が許容される着弾状態の差異の範囲(しきい値)のデータも、あらかじめ検査条件として設定され、解析装置51の記憶装置に記憶されている。
【0049】
ここで、実際に塗布ヘッド10から液滴が吐出され、検査面31に着弾して図3(b)の着弾パターン21が描かれたとする。この着弾パターン21の画像データは、画像認識カメラ41によって取得され、解析装置51へ転送される。そして、解析装置51の解析部が取得された画像データより各着弾パターン21の重心位置、円形度、面積を計算し、それらと基準データとの差異を評価する。
【0050】
図3(b)を確認すると、まず、図3(b)のAで示した箇所が基準データに対して重心位置がずれている点で異なっている。重心位置のずれの検出において、解析部は、図3(b)の着弾パターン21の重心位置を算出して基準データとの差異を算出し、まず、図3(b)のAで示した箇所ではdの差異があることを認識する。ここで、解析装置51には、重心位置の差異の許容範囲として、しきい値d’があらかじめ設定、記憶されており、解析部はdとd’の大小を確認することにより、着弾位置の良否を判定する。もし、dがd’以下であると、この重心位置の差異は許容範囲内であると解析部は判定し、この着弾は正常であると判定する。逆に、dがd’より大きいと、この重心位置の差異は許容範囲を外れていると解析部は判定し、この着弾は異常であると判定する。
【0051】
また、着弾異常の現象は、図3(b)のAような重心位置に異常があるもののほかに、図3(b)のBのように、着弾パターン21の形状が円でなく涙目状や楕円状となり、形状に異常があるもの、および図3(b)のCのように、着弾パターン21の面積に異常があるものなどがある。ここで、先述の通り、各着弾パターン21に対して重心位置、円形度、面積を算出し、それらと基準データとの差異が所定のしきい値内に収まっているかどうかの評価を行うことで、図3(b)のA、B、およびCのような着弾異常を検出することが可能である。
【0052】
そして、これらの着弾異常が単独で、もしくは複合して、着弾パターン21に現れた場合、この着弾パターン21はNGとして解析部は判定する。また、このような吐出ノズル11の吐出異常による着弾異常が検出された場合、この着弾異常の液滴を吐出した吐出ノズル11はNGであるとの情報が解析装置51から制御部などへ出力される。
【0053】
以上の方法によって各着弾パターン21の良否が判定される。そして、この判定によりNGとなった吐出ノズル11は、使用NGとなり、その情報にもとづいて、解析装置51の記憶装置に記憶されている、使用可能な吐出ノズル11の情報が更新され、以降の基板Wへの塗布や検査面31への吐出には、その使用NGと判定された吐出ノズル11は使用されなくなる。
【0054】
また、着弾状態検査モードの検査工程は、さらに異物検出工程を有している。この異物検出工程について、以下に説明する。
【0055】
まず、異物の存在により塗布不良が生じる過程を模式的に図4に示す。
【0056】
塗布装置1の使用を続けていると、吐出ノズル11が配置されているノズルプレート14に異物が付着する場合がある。この異物とは、例えば、塗布装置1の内部や基板Wなどに付着していたパーティクル、ノズルプレート14を清掃する清掃部材の一部(繊維くずなど)、清掃で拭き取りきれなかったノズルプレート14上の液滴などである。
【0057】
ここで、先述の通り、本実施形態では、塗布ヘッド移動装置12を駆動させることで基板Wの上で塗布ヘッド10をX軸方向に走査させながら、吐出ノズル11から連続的に液滴を吐出することにより、基板Wへの塗布液の塗布を行っている。このとき、図4(a)に示すようにノズルプレート14に異物22が付着していた場合、基板Wに形成された着弾パターン21の上をノズルプレート14が通過する際に異物22が着弾パターン21に接触し、そのまま着弾パターンを引きずってしまう。その結果、図4(b)に示すように着弾パターン21は形状が崩れてしまって塗布不良となり、基板W全体が不良品となる。
【0058】
このような異物22の付着によって塗布不良が生じることを防ぐためには、迅速に異物22をノズルプレート14から除去する必要がある。そのために、異物検出工程によって異物22の存在を迅速に検出している。
【0059】
そのために、本発明では、着弾状態検査モードにおいて、パターン形成工程で検査面31へ着弾パターン21を形成した後、移動装置12によって塗布ヘッド10を走査方向(X軸方向)に移動させ、その後の着弾パターン21に対して異物検出工程を行っている。この動作について、以下、図5および図6をもとに説明を行う。
【0060】
図5は、塗布ヘッド10を一方向に移動させ、着弾状態検査を行った場合の例である。図5(a)に示すように、まず、塗布ヘッド10の各吐出ノズル11より検査面31に液滴を吐出し、着弾パターン21を形成する。その後、塗布ヘッド10をX軸方向に移動させる。こうすることで、図5(a)に示すように異物22が塗布ヘッド10の移動方向に対して液滴パターン21よりも後方にある場合、着弾パターン21の上をノズルプレート14が通過する際に異物22が着弾パターン21に接触するため、塗布ヘッド10の移動中は異物22が着弾パターンを引きずり、移動が完了すると、図5(b)で示すように着弾パターン21は形状が崩された状態となる。この痕跡の有無を確認することにより、異物22の有無が確認できる。なお、この塗布ヘッド10の移動にあたり、着弾パターン21の形成も塗布ヘッド10を移動させながら実施し、着弾パターン21の形成後、引き続き所定距離だけ塗布ヘッド10を移動させるようにしても良い。
【0061】
ここで、塗布ヘッド10が移動する距離は、液滴1個分の距離でも構わないが、例えば、図5(b)に示すようにノズルプレート14全体が着弾パターン21の存在する領域を通過するように、長く設定することが望ましい。こうすることにより、異物22が複数の液滴パターン21を引きずるため、異物22の検出が容易となる。
【0062】
一方、図6(a)に示すように異物22が塗布ヘッド10の移動方向に対して液滴パターン21よりも前方にある場合、着弾パターン21の形成後、塗布ヘッド10を移動させて、図6(b)の状態としても、異物22は着弾パターン21に接触しないため、着弾パターン21の形状は崩れず、着弾パターン21の形状を確認しても異物22を検出することができない。そこで、本発明では、図6(b)の状態となった後、そのときに移動した方向の反対方向にも塗布ヘッド10を移動させ、図6(c)の状態とすることによって、ノズルプレート14のどの位置に異物22が付着していても確実に異物22と着弾パターン21とが接触するようにしている。このようにして塗布ヘッド10を両方向に移動させた後、着弾パターン21の状態を画像認識カメラ41で画像取得し、解析装置51によってその画像を評価し、形状の崩れた着弾パターン21の有無を確認することにより、異物22の有無の検査を行うことが可能である。
【0063】
ここで、Y軸方向に隣り合う吐出ノズル11同士の間隔が広い場合、両者の吐出ノズル11の中間位置に異物22が付着していても、塗布ヘッド10がX軸方向の両方向に移動するだけでは異物22が着弾パターン21に接触せず、検出ができないおそれがある。また、隣り合う吐出ユニット13同士の間隔が広い場合も、両者の吐出ユニット13の中間位置に異物22が付着していると、同様に異物22が検出できないおそれがある。
【0064】
そのような場合は、一度塗布ヘッド10がX軸方向の両方向へ移動を行った後、これらの異物22が着弾パターン21と接触しうるように塗布ヘッド10がY軸方向に移動し、そして、もう一度X軸方向の両方向の移動を行うと良い。例えば、X軸方向の両方向への移動と次の両方向への移動との間に、吐出ノズル11同士の間隔の半分の距離のY軸方向の移動や、吐出ユニット13同士の間隔分のY軸方向の移動を行うと良い。このように、Y軸方向の移動を間にはさんでX軸方向の両方向への移動を複数回行うことにより、より確実に異物22と着弾パターン21とを接触させ、異物22を検出することが可能である。また、X軸方向の両方向への移動は1回または2回に限らず、塗布ヘッド10のY軸方向の位置を少しずつ変えながら、3回以上実施しても良い。X軸方向の両方向への移動の回数が多いほど、より確実に異物22を検出することができる。
【0065】
また、図6(a)に示した、塗布ヘッド10を移動させる際のノズルプレート14と検査面31との距離d2は、図4(a)に示した、ノズルプレート14と基板Wとの距離d1以下であることが望ましい。こうすることにより、ノズルプレート14に付着して塗布に影響を及ぼす異物22を検出することに加え、さらに、基板Wに塗布した液滴とは接触しないような小さな異物22をも検出することも可能となり、その異物22が塗布モード中に基板W上に落下して塗布不良を生じさせることを未然に防ぐことも可能となる。なお、このように距離d2をd1以下にするにあたり、液滴を吐出するときからノズルプレート14と検査面31との距離をd2にしても良く、また、液滴を吐出した後にノズルプレート14と検査面31との距離を縮めてd2にしても良い。
【0066】
また、着弾パターン21を形成する際、吐出ユニットは、検査面31上の同等の箇所へ液滴の吐出を複数回行っても良い。こうすることによって液滴の高さを高くすることにより、異物22がノズルプレート14に付着していた場合に、この異物22がより確実に液滴に接触するため、より精度良く異物22を検出することができる。
【0067】
次に、塗布ヘッド10を移動させた後の着弾パターン21の状態を図7に示す。
【0068】
図7に二点鎖線で示した位置(a)にノズルプレート14が位置していたときに吐出ノズル11から液滴を吐出して着弾パターン21を形成し、その後、塗布ヘッド10とともにノズルプレート14も移動して、位置(b)までノズルプレート14が移動したとする。そのとき、図示したような位置に異物22が存在していた場合、異物22が接触した着弾パターン21を全て引きずった状態でノズルプレート14は移動する。そのため、図示の通り、異物22によって形状を崩された着弾パターン21は、異物22の移動方向、ずなわちX軸方向に並んだ状態となる。したがって、解析装置51により着弾パターン21の画像の評価を行った際に、形状が崩れた着弾パターン21がX軸方向に複数個並んだ状態で確認された場合、これはノズルプレート14に付着した異物22によるものであると判断することが可能である。
【0069】
次に、塗布装置1による着弾状態検査モードの動作フローを図8に示す。なお、下記ステップS4乃至ステップS6がパターン形成工程に相当し、ステップS7乃至ステップS20が検査工程に相当する。
【0070】
まず、検査面31において、着弾状態測定を行うことができる程度の(液滴や異物の無い)領域を確保する。具体的には、吸着テーブル35の吸着固定が解除され(ステップS1)、巻き取りローラが回転することで検査面31が所定の長さだけ巻き取られ(ステップS2)、あらためて吸着テーブル35の吸着固定が行われる(ステップS3)。ここで、このステップを行う前に、検査面31に着弾状態測定を行うことができる程度の領域が残存しているならば、このステップはスキップしても良い。
【0071】
次に、検査面31上で塗布ヘッド10と干渉することが無いよう、第2カメラ移動装置43が駆動することによって画像認識カメラ41が退避する(ステップS4)。画像認識カメラ41の退避が完了すると、塗布ヘッド移動装置12が駆動することによって塗布ヘッド10が検査面31へ移動する(ステップS5)。
【0072】
次に、各吐出ノズル11から液滴が検査面31へ吐出され、着弾パターン21が形成される(ステップS6)。なお、本実施形態では、塗布ヘッド10の走査方向(X軸方向)の移動を伴って、液滴の吐出を行っている。
【0073】
吐出ノズル11からの液滴の吐出が完了したら、塗布ヘッド10はX軸方向に移動し(ステップS7)、次にその移動方向と反対の方向に塗布ヘッド10が移動する(ステップS8)。この往復動作により、ノズルプレート14に異物22が存在していた場合に異物22が液滴パターン21を引きずる状態が発生する。なお、ステップS7において、塗布ヘッド10がX軸方向のどちら向きから移動するかに関しては、どちらでも構わない。また、本実施形態では、ステップS6の塗布ヘッド10の移動動作に引き続き、同じ方向へのステップS7の移動を実施している。
【0074】
検査面31上での塗布ヘッド10の往復動作が完了したら、次に、着弾パターン21の画像取得が行えるように、塗布ヘッド移動装置12が駆動することによって塗布ヘッド10が退避し(ステップS9)、退避が完了した後、第1カメラ移動装置42および第2カメラ移動装置43が駆動することによって画像認識カメラ41が検査面31の真上まで移動する(ステップS10)。そして、第1カメラ移動装置42および第2カメラ移動装置43によって画像認識カメラ41が移動しながら連続して画像を取得することにより、全ての着弾パターン21の着弾状態の画像データが取得される(ステップS11)。そしてその画像データが解析装置51へ転送され、記憶装置へ記憶される(ステップS12)。
【0075】
次に、解析装置42の画像処理部によって、解析装置51に記憶された画像データから着弾パターン21の外形データが抽出され(ステップS13)、そして、解析装置51の解析部によって、着弾パターン21の外形データから各着弾パターン21の着弾状態データが算出される(ステップS14)。
【0076】
次に、得られた各着弾パターン21の着弾状態データをもとに、各着弾パターン21の良否の判定が行われ(ステップS15)、着弾不良である着弾パターン21が検出された場合、その着弾パターン21の液滴を吐出した吐出ノズル11が検出される(ステップS16)。
【0077】
次に、着弾状態の判定結果より、ノズルプレート14に付着した異物22による着弾異常の有無の判断が行われる。具体的には、異物22に引きずられてX軸方向に複数並んでNGとなった着弾パターン21があったかどうかの判断が行われる(ステップS17)。
【0078】
ステップS17の判断において、異物22による着弾異常が無かったと判断された場合、この着弾状態検査でNGとなった着弾パターン21は、その着弾パターン21を形成した吐出ノズル11によるものと考えられ、この吐出ノズル11を使用しないように塗布条件を設定すれば、逐一ノズル清掃などを行わなくても以降の塗布動作は可能である。そこで、この検査結果が反映され、NGとなった吐出ノズル11は以降の塗布動作に使用しないよう、解析装置51の記憶装置に保存されている使用可能ノズル情報が更新され(ステップS18)、一連の着弾状態検査動作が完了する。
【0079】
これに対し、ステップS17の判断において、異物22による着弾異常が有ったと判断された場合、この異物22を除去しないまま塗布動作を続けると、異物22が基板Wに塗布された液滴を引きずって塗布不良を発生させる可能性が非常に大きいため、塗布動作を中止させる必要がある。そこで、まずは異物22による着弾異常以外の着弾異常を発生させた吐出ノズル11に対して、以降の塗布動作に使用しないよう、解析装置51の記憶装置に保存されている使用可能ノズル情報が更新され(ステップS19)、次に、アラームなどをともなって動作が停止し、異物22が除去されたとの何らかの確認がされるまで塗布動作は中止される(ステップS20)。
【0080】
以上説明した通りの着弾状態検査動作を有する塗布装置および着弾状態検査方法により、ノズルプレート14に付着した塗布不良を起こしうる異物22を検知することができ、検知直後早急にその異物22を除去することで品質の安定した塗布を行うことが可能である。
【0081】
また、ここまでの説明では、ノズルプレート14に付着した異物を検出するために、ノズルプレート14全体が着弾パターン21を通過するように移動させて着弾状態検査を行っているが、例えば、塗布ヘッド10全体が着弾パターン21を通過するように移動させて検査を実施し、塗布ヘッド10に付着した異物を検出できるようにしても良い。
【0082】
また、塗布ヘッド10および画像認識カメラ41が塗布ステージ3および検査面31に対して相対移動する構成について、本実施形態では、第2カメラ移動装置43および塗布ヘッド移動装置12を備え、塗布ヘッド10および画像認識カメラ41がそれぞれ独立してX軸方向に移動しているが、塗布ヘッド10と画像認識カメラ41を一つの架台にまとめて固定し、それをX軸方向に移動させるようにすることにより、上記の二つの移動機構を一つにまとめた構成としても良い。
【0083】
また、塗布ヘッド10および画像認識カメラ41に移動機構を設けるのではなく、検査面31および塗布ステージ3に移動機構を設け、塗布ヘッド10および画像認識カメラ41に対して検査面31および塗布ステージ3が相対移動する構成としても良い。
【0084】
また、画像認識カメラ41および解析装置51を設けず、検査面31に吐出した液滴の着弾パターン21を目視で確認し、着弾異常の有無の検査を行っても良い。
【0085】
また、検査面31は、本実施形態のようなフィルム状だけでなく、ガラス板など板状であっても良い。ただし、この場合は、液滴を吐出させる領域が無くなる毎に検査面31を交換する必要がある。また、検査面31を基板Wに対して別個に設けず、基板Wに液滴を吐出して着弾パターン21を形成し、この着弾パターン21に対して吐出状態検査を実施しても良い。
【符号の説明】
【0086】
1 塗布装置
2 塗布部
3 塗布ステージ
4 測定装置
5 制御部
10 塗布ヘッド
11 吐出ノズル
12 塗布ヘッド移動装置
13 吐出ユニット
14 ノズルプレート
15 サブタンク
16 メインタンク
17 真空源
18 真空調圧弁
21 着弾パターン
22 異物
31 検査面
32 帯状フィルム
33 ガイドローラ
34 着弾領域
35 吸着テーブル
40 画像取得部
41 画像認識カメラ
42 第1カメラ移動装置
43 第2カメラ移動装置
51 解析装置
91 着弾パターン
W 基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液滴を吐出する複数の吐出ノズルを有し、各吐出ノズルが吐出面に配置されている吐出ユニットと、
液滴を着弾させる検査面と、
前記検査面に対して平行な方向に、前記吐出ユニットと前記検査面とを相対的に移動させる移動機構と、
を備え、
前記移動機構によって前記吐出ユニットを走査方向へ移動させながら、各吐出ノズルから基板へ液滴を吐出することにより、基板に塗布膜を形成する塗布モードと、
各吐出ノズルから前記検査面へ液滴を吐出し、液滴の着弾状態を検査する着弾状態検査モードと、
を有する塗布装置であって、
前記着弾状態検査モードは、前記検査面へ液滴を吐出して着弾パターンを形成した後、前記着弾パターンの上を前記吐出面が通過するように前記吐出ユニットを前記走査方向へ移動させ、次に、前記着弾パターンの上を前記吐出面が再度通過するように、先に移動した方向と反対の方向に前記吐出ユニットを移動させ、前記吐出ユニットが両方向に移動した後の前記着弾パターンの各液滴の形状から検査を行うことを特徴とする、塗布装置。
【請求項2】
前記着弾検査モードにおいて、前記着弾パターンの検査を行う前に前記吐出ユニットの前記両方向への移動を複数回行っており、その際、前記両方向への移動が完了して次の前記両方向への移動を実施する前に前記走査方向と直交する方向への移動を行うことを特徴とする、請求項1に記載の塗布装置。
【請求項3】
前記着弾検査モードにおいて前記吐出ユニットを移動させる際の前記吐出面と前記検査面との距離は、前記塗布モードにおいて前記吐出ユニットを走査させる際の前記吐出面と基板との距離以下であることを特徴とする、請求項1または2のいずれかに記載の塗布装置。
【請求項4】
前記着弾状態検査モードにおいて、前記着弾パターンを形成する際、前記吐出ユニットは、前記検査面上の同等の箇所へ液滴の吐出を複数回行うことを特徴とする、請求項1から3のいずれかに記載の塗布装置。
【請求項5】
液滴を吐出する複数の吐出ノズルを有し、各吐出ノズルが吐出面に配置されている吐出ユニットと、
液滴を着弾させる検査面と、
前記検査面に対して平行な方向に、前記吐出ユニットと前記検査面とを相対的に移動させる移動機構と、
を備える塗布装置の着弾状態検査方法であって、
前記吐出ユニットが前記検査面へ液滴を吐出して着弾パターンを形成する、パターン形成工程と、
パターン形成工程の後、前記着弾パターンの上を前記吐出面が通過するように前記吐出ユニットを移動させ、次に、前記着弾パターンの上を前記吐出面が再度通過するように、先の移動方向と反対の方向に前記吐出ユニットを移動させ、前記吐出ユニットが両方向に移動した後の前記着弾パターンの各液滴の形状から検査を行う検査工程と、
を有することを特徴とする、着弾状態検査方法。
【請求項6】
前記検査工程において、前記着弾パターンの検査を行う前に前記吐出ユニットの前記両方向への移動を複数回行っており、その際、前記両方向への移動が完了して次の前記両方向への移動を実施する前に前記走査方向と直交する方向への移動を行うことを特徴とする、請求項5に記載の着弾状態検査方法。
【請求項7】
前記検査工程において、前記吐出ユニットを移動させる際の前記吐出面と前記検査面との距離は、前記塗布モードにおいて前記吐出ユニットを走査させる際の前記吐出面と基板との距離以下であることを特徴とする、請求項5または6のいずれかに記載の着弾状態検査方法。
【請求項8】
前記パターン形成工程において、前記着弾パターンを形成する際、前記吐出ユニットは、前記検査面上の同等の箇所へ液滴の吐出を複数回行うことを特徴とする、請求項5から7のいずれかに記載の着弾状態検査方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−59720(P2013−59720A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−199016(P2011−199016)
【出願日】平成23年9月13日(2011.9.13)
【出願人】(000219314)東レエンジニアリング株式会社 (505)
【Fターム(参考)】