説明

塗布装置

【課題】塗布速度を向上させる。
【解決手段】粘性流体を塗布対象物に塗布する塗布部34と、塗布部34へ供給する粘性流体の供給量を制御する制御部50と、を備える塗布装置30であって、制御部50は、粘性流体が導入される導入室51と、導入室51に導入された粘性流体を排出する排出室52と、導入室51と排出室52とを連通する連通路56aと、導入室側から連通路56aを閉じる第1弁部材552と、排出室側から連通路56aを閉じる第2弁部材553と、第1弁部材552と第2弁部材553とが設けられる軸部材554と、連通路56aが第1弁部材552と第2弁部材553とによって交互に閉じられるように、軸部材554を駆動する駆動部53,551と、を備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は塗布装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、塗布対象物に合成樹脂液、塗料等の塗布物を所定の間隔を空けて塗布するためのバルブを備えた塗布装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−38276号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
生産効率を上げるためには、塗布速度を上げて必要量の塗布物を塗布対象物に完全に塗布するためにかかる時間を短くすることが有効である。
【0005】
しかしながら、前述した従来の塗布装置では、バルブを開いてから閉じるまでの間に弁体をバルブ内で往復動(2ストローク)させる必要があり、バルブを閉じるときに弁体を引き戻す必要があった。
【0006】
そのため、塗布速度を上げていくと必然的に弁体を引き戻すまでの時間も短くなってしまうので、弁体を完全に引き出す前(バルブ開度が全開になる前)に弁体が引き戻されてしまい、必要量の塗布物を塗布できなくなるという問題点があった。
【0007】
本発明はこのような問題点に着目してなされたものであり、塗布速度を上げても必要量の塗布物を塗布することのできる塗布装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、粘性流体を塗布対象物に塗布する塗布部と、塗布部へ供給する粘性流体の供給量を制御する制御部と、を備える塗布装置である。そして、制御部が、粘性流体が導入される導入室と、導入室に導入された粘性流体を排出する排出室と、導入室と排出室とを連通する連通路と、導入室側から連通路を閉じる第1弁部材と、排出室側から連通路を閉じる第2弁部材と、第1弁部材と第2弁部材とが設けられる軸部材と、連通路が第1弁部材と第2弁部材とによって交互に閉じられるように、軸部材を駆動する駆動部と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、第1弁部材と第2弁部材とが設けられた軸部材を駆動して、導入室と排出室とを連通する連通路を、第1弁部材と第弁2部材とによって交互に閉じることができる。つまり、第1弁部材によって連通路が閉じられた状態からその連通路を開閉するときは、軸部材を排出室側に駆動して第1弁部材によって閉じられていた連通路を開き、そのままさらに軸部材を排出室側に駆動することで連通路を第2弁部材によって閉じることができる。一方、第2弁部材によって連通路が閉じられた状態からその連通路を開閉するときは、軸部材を導入室側に駆動して第2弁部材によって閉じられていた連通路を開き、そのままさらに軸部材を導入室側に駆動することで連通路を第1弁部材によって閉じることができる。
【0010】
したがって、軸部材を一方向に駆動する(1ストロークさせる)だけで連通路を開閉できるので、塗布速度を上げても必要量の塗布物を塗布することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】リチウムイオン二次電池の概略図である。
【図2】本発明の第1実施形態による電極製造装置の概略構成図である。
【図3】本発明の第1実施形態による間欠供給バルブの詳細を示す断面図である。
【図4】本発明の第2実施形態による間欠供給バルブの詳細を示す断面図である。
【図5】本発明の第3実施形態による間欠供給バルブの詳細を示す断面図である。
【図6】本発明の第3実施形態による第2弁部材の拡大図である。
【図7】本発明の他の実施形態による間欠供給バルブの詳細を示す断面図である。
【図8】本発明の他の実施形態による間欠供給バルブの詳細を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面等を参照して本発明の実施形態について説明する。
【0013】
(第1実施形態)
図1は、リチウムイオン二次電池1の概略図である。図1(A)はリチウムイオン二次電池1の斜視図であり、図1(B)は図1(A)のB−B断面図である。
【0014】
図1(A)及び図1(B)に示すように、リチウムイオン二次電池1は、蓄電要素2と、蓄電要素2を収容する外装ケース3と、を備える。
【0015】
蓄電要素2は、正極4、電解質層としてのセパレータ5、及び負極6を順次積層した積層体として構成される。正極4は板状の正極集電体4aの両面に正極層4bを有しており、負極6は板状の負極集電体6aの両面に負極層6bを有している。なお、蓄電要素2の最外層に配置される正極4については、正極集電体4aの片面にのみ正極層4bが形成される。
【0016】
隣接する正極4、セパレータ5、及び負極6が一つの単位電池7を構成しており、リチウムイオン電池1は積層された複数の単位電池7をそれぞれ電気的に並列接続して構成される。
【0017】
外装ケース3は、アルミニウム等の金属をポリプロピレンフィルム等の絶縁体で被覆した高分子−金属複合ラミネートフィルムのシート材からなる。外装ケース3は、蓄電要素2を収納した状態で、ケース外周部が熱融着によって接合される。この外装ケース3には、蓄電要素2からの電力を外部に取り出すため、外部端子としての正極タブ8及び負極タブ9が設けられる。
【0018】
正極タブ8の一端は外装ケース3の外側に配置され、正極タブ8の他端は外装ケース3の内部で各正極集電体4aの集合部に接続される。負極タブ9の一端は外装ケース3の外側に配置され、負極タブ9の他端は外装ケース3の内部で各負極集電体6aの集合部に接続される。
【0019】
次に、電極(正極4又は負極6)の一般的な製造方法について簡単に説明する。
【0020】
一般的に電極は、電極材と溶媒とを混練させたスラリー状の電極混練物を所定の間隔を空けて集電体(正極集電体4a又は負極集電体6a)に塗布する塗布工程の後に、電極混練物の溶媒を揮発させて固形分100%の電極層(正極層4b又は負極層6b)を形成する乾燥工程などを経て製造される。塗布工程においては、電極混練物の供給経路等に設けた間欠供給バルブを開閉することで、電極混練物を所定の間隔を空けて集電体に塗布している。
【0021】
ここでリチウムイオン二次電池1の生産効率を上げるためには、前述した各工程に要する時間を短縮することが有効である。そこで本実施形態では、塗布工程における電極混練物の塗布速度を上げることで、塗布工程に要する時間を短縮する。以下、本実施形態による電極製造装置100について説明する。
【0022】
図2は、リチウムイオン電池1の電極製造時に使用する本実施形態による電極製造装置100の概略構成図である。
【0023】
電極製造装置100は、搬送装置10と、混練装置20と、塗布装置30と、乾燥装置40と、を備える。
【0024】
電極製造装置100は、搬送装置10によって搬送される金属箔14の表面に、混練装置20で混練した電極混練物21を塗布装置30によって塗布し、乾燥装置40によって電極混練物21を乾燥させて電極を製造する装置である。
【0025】
以下、電極製造装置100を構成する各装置について詳しく説明する。
【0026】
搬送装置10は、引取ロール11と、巻取ロール12と、サポートロール13と、を備える。搬送装置10は、ロールトゥロール方式によって正極集電体4a又は負極集電体6aとなる薄い膜状の金属箔14(厚さ10[μm]〜40[μm])を引取ロール11から巻取ロール12へと搬送する。
【0027】
本実施形態では、正極4を製造する場合には正極集電体4aとなる金属箔14としてアルミニウム箔を使用し、負極6を製造する場合には負極集電体6aとなる金属箔14として銅箔を使用するが、これに限られるものではない。
【0028】
引取ロール11には、金属箔14が巻かれる。引取ロール11は制動機構15を備えており、この制動機構15によって引取ロール11の回転が適宜規制され、金属箔14に所定の張力が付与される。
【0029】
巻取ロール12は、駆動モータ16によって回転駆動され、引取ロール11から引き取った金属箔14を巻き取る。
【0030】
サポートロール13は、引取ロール11と巻取ロール12との間の金属箔搬送経路に複数設けられ、搬送中の金属箔14の下面を保持する。
【0031】
混練装置20は二軸混練機であり、電極材を溶媒中で均一に分散させてスラリー状の電極混練物21を製造する装置である。混練装置20は二軸混練機に限られるものではなく、例えば遊星式ミキサやニーダを用いても良い。
【0032】
電極混練物21には、正極4を製造する場合に製造される正極混練物と、負極6を製造する場合に製造される負極混練物と、がある。
【0033】
正極混練物を製造する場合は、混練装置20に電極材としての正極活物質、導電助剤、及びバインダ(結着剤)が投入され、これらが溶媒中で均一に分散させられる。負極混練物を製造する場合は、混練装置20に電極材としての負極活物質、導電助剤、及びバインダが投入され、これらが溶媒中で均一に分散させられる。
【0034】
正極活物質は、リチウム金属酸化物などのリチウムイオンを吸蔵・放出する物質である。本実施形態では、正極活物質としてマンガン酸リチウムを使用する。
【0035】
負極活物質は、リチウム金属酸化物やハードカーボン、グラファイトなどのリチウムイオンを放出・吸蔵する物質である。本実施形態では、負極活物質としてハードカーボンを使用する。
【0036】
導電助剤は、カーボン材料(カーボン粉末やカーボンファイバ)などの導電性を高める物質である。カーボン粉末としては、アセチレンブラック、ファーネスブラック、及びケッチェンブラックなどの種々のカーボンブラックや、グラファイト粉末を使用することができる。本実施形態では、正極混練物を製造する場合も負極混練物を製造する場合も共に、導電助剤としてカーボンブラックを使用する。
【0037】
バインダは、活物質微粒子同士を結び付ける物質である。本実施形態では、正極混練物を製造する場合も負極混練物を製造する場合も共に、バインダとしてポリフッ化ビニリデン(PVDF)を使用するが、これに限られるものではない。
【0038】
溶媒は、電極材を溶かす液体である。本実施形態では、正極混練物を製造する場合も負極混練物を製造する場合も共に、溶媒としてN−メチルピロリドン(NMP)を使用するが、これに限られるものではない。
【0039】
塗布装置30は、混練装置20で製造された電極混練物21を金属箔14の表面に塗布する装置であって、供給配管31と、モーノポンプ32と、フィルタ33と、間欠供給バルブ50と、スリットダイ34と、回収配管35と、回収バルブ36と、を備える。
【0040】
供給配管31は、一端が混練装置20の下方に接続され、他端がスリットダイ34に接続される配管である。
【0041】
モーノポンプ32は、供給配管31に設けられ、混練装置20で製造された電極混練物21を供給配管31を介して間欠供給バルブ50へ圧送する。本実施形態では、モーノポンプ32によって電極混練物を0.1[MPa(メガパスカル)]から0.2[MPa]程度の圧力で圧送している。
【0042】
フィルタ33は、モーノポンプ32よりも下流の供給配管31に設けられ、電極混練物21に混入したゴミや塵、埃などのコンタミを取り除く。
【0043】
間欠供給バルブ50は、スリットダイ34の近傍の供給配管31に設けられ、所定の間隔で開閉が行われるバルブである。間欠供給バルブ50の詳細な構成については、図3を参照して詳述する。
【0044】
スリットダイ34は、間欠供給バルブ50から所定の間隔を空けて圧送されてきた電極混練物21を、先端部に形成されたスリット341から押し出して搬送途中の金属箔14の表面に塗布する。スリットダイ34は、金属箔14の搬送方向と直角に電極混練物21を押し出して塗布する。
【0045】
回収配管35は、一端がフィルタ33と間欠供給バルブ50との間の供給配管31に接続され、他端が混練装置20の上方に接続される配管である。
【0046】
回収バルブ36は、供給配管31と回収配管35との接続部に設けられる。回収バルブ36が開かれていれば、モーノポンプ32から圧送された電極混練物21は、回収配管35を介して混練装置20に戻される。一方で、回収バルブ36が閉じていれば、モーノポンプ32から圧送された電極混練物21は、供給配管31を介して間欠供給バルブ50に供給される。
【0047】
乾燥装置40は例えば熱風乾燥炉であり、金属箔搬送経路に設けられる。乾燥装置40は、装置内の温度を所定温度に保ちつつ電極混練物21に熱風を吹き付け、電極混練物21に含まれる溶媒を揮発させて固形分100%の電極層22を形成する。
【0048】
図3は、本実施形態による間欠供給バルブ50の断面図である。
【0049】
間欠供給バルブ50は、内部に導入室51、排出室52、及び圧縮空気供給室53が区画形成された筒状の筐体54と、筐体54の内部を筐体54の軸方向に往復移動する開閉弁55と、を備える。
【0050】
導入室51には、モーノポンプ32によって圧送されて供給配管31を流れてきた電極混練物21が導入される。導入室51に電極混練物21を導入するために、筐体54には導入室51に開口するとともにモーノポンプ側の供給配管31aに接続される導入ポート54aが形成される。
【0051】
排出室52は、導入室51と排出室52とを区画する弁座56を介して導入室51に隣接するように形成される。排出室52は、弁座56の中央部に形成された連通孔56aを介して導入室51と連通する。排出室52には、導入室51に導入された電極混練物21が連通孔56aを通って導入される。筐体54には、排出室52に開口するとともにスリットダイ側の供給配管31bに接続される排出ポート54bが形成されており、排出室52に導入された電極混練物21は、この排出ポート54bから排出されてスリットダイ34に供給される。
【0052】
圧縮空気供給室53は、導入室51の図中下方に形成される。圧縮空気供給室53には、開閉弁55を軸方向に往復移動させるための圧縮空気が供給される。圧縮空気の供給・排出ポートとして、筐体54には圧縮空気供給室53に開口する第1ポート54c及び第2ポート54dが形成される。
【0053】
開閉弁55は、圧縮空気供給室53に配置されるピストン551と、導入室51に配置される第1弁部材552と、排出室52に配置される第2弁部材553と、ピストン551、第1弁部材552、及び第2弁部材553を接続するシャフト554と、を備える。開閉弁55は、第1弁部材552及び第2弁部材553によって連通孔56aを交互に開閉することで排出室52から排出される電極混練物21の流量を調整する。
【0054】
ピストン551は、圧縮空気供給室53の内径に略一致する外径を有する。ピストン551は、第1ポート54cから圧縮空気供給室53に圧縮空気が供給されたときに、圧縮空気によって図中下方に押圧されて移動し、これにより開閉弁55が全体として図中下方に移動する。一方、ピストン551は、第2ポート54dから圧縮空気供給室53に圧縮空気が供給されたときに、圧縮空気によって図中上方に押圧されて移動し、これにより開閉弁55が全体として図中上方に移動する。
【0055】
第1弁部材552は、上端側から下端側に向かって徐々に径が拡がる円錐形状の部材である。第1弁部材552は、開閉弁55が図中上方に移動したときに、側面552aを弁座56に当接させて連通孔56aを閉じる。
【0056】
第2弁部材553は、弁座56を介して第1弁部材552と対向するように設けられる。第2弁部材553は、上端側から下端側に向かって徐々に径が狭くなる円錐形状の部材である。第2弁部材553は、開閉弁55が図中下方に移動したときに、側面553aを弁座56に当接させて連通孔56aを閉じる。
【0057】
次に引き続き図3を参照して本実施形態による間欠供給バルブ50の作用について説明する。
【0058】
第1ポート54cから圧縮空気供給室53に圧縮空気が供給されていて、連通孔56aが第2弁部材553によって閉じられている状態を初期状態とする。
【0059】
初期状態から第2ポート54dを介して圧縮空気供給室53に圧縮空気が供給されると、ピストン551が圧縮空気によって図中上方に押圧され、開閉弁55が全体として図中上方に移動する。
【0060】
これにより、第1弁部材552の側面552aが弁座56に当接するまでは連通孔56aが開かれた状態となる。この状態のときに導入室51に導入されていた電極混練物21が連通孔56aを通って排出室52に導入され、排出ポート54bを介してスリットダイ34へ供給される。その後、第1弁部材552のテーパ面552aが弁座56に当接して連通孔56aが第1弁部材552によって閉じられると、排出室52への電極混練物21の導入が停止されて、スリットダイ34への電極混練物21の供給も停止される。
【0061】
そして、次にスリットダイ34へ電極混練物21を供給するときは、第1ポート54cから圧縮空気供給室53に圧縮空気を供給し、開閉弁55を図中下方に移動させる。
【0062】
これにより、第2弁部材553の側面553aが弁座56に当接するまでは連通孔56aが開かれた状態となって、導入室51に導入されていた電極混練物21が連通孔56aを通って排出室52に導入され、排出ポート54bを介してスリットダイ34へ供給される。その後、第2弁部材553の側面553aが弁座56に当接して連通孔56aが第2弁部材553によって閉じられると、排出室52への電極混練物21の導入が停止されて、スリットダイ34への電極混練物21の供給も停止される。
【0063】
このように、本実施形態によれば、第1弁部材552と第2弁部材553とを弁座56を介して対向するように設け、連通路56aを第1弁部材552と第2弁部材553とによって交互に閉じることとした。これにより、開閉弁55を軸方向の上方又は下方の一方に移動(1ストローク)させるだけで連通孔56aを開閉することができる。そのため、連通孔56aを開いてから閉じるまでの間に、必ずバルブ開度が全開となる状態を経由させることができる。
【0064】
したがって、塗布工程において電極混練物21の塗布速度を上げても必要量の電極混練物21を排出することができるので、リチウムイオン二次電池1の生産効率を上げることができる。
【0065】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について説明する。本発明の第2実施形態は、第2弁部材553の形状が第1実施形態と相違する。以下、その相違点を中心に説明する。なお、以下に示す各実施形態では前述した実施形態と同様の機能を果たす部分には、同一の符号を用いて重複する説明を適宜省略する。
【0066】
図4は、本実施形態による間欠供給バルブ50の断面図である。
【0067】
図4に示すように、本実施形態では、第2弁部材553の径の大きさを第1弁部材552の径よりも大きくした。このように、第2弁部材553の径を大きくすることで、第2弁部材553で連通孔56aを閉じるときに、間欠供給バルブ50から排出された電極混練物21を引き戻し易くして、負圧を発生させやすくすることができる。そのため、閉弁後に余分な電極混練物21がスリットダイ34から吐出されるのを抑制でき、塗布終了時の吐出量を安定させることができる。
【0068】
以上説明した本実施形態によれば、第1実施形態と同様の効果が得られるほか、第2弁部材553の径を大きくした。これにより、第2弁部材553で連通孔56aを閉じるときに、間欠供給バルブ50から排出された吐出した電極混練物21を引き戻し易くすることができ、塗布終了時の吐出量を安定させることができる。そのため、塗布された電極混練物21の終端部のキレ性(見切り形状の直線性)を向上させることができる。
【0069】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態について説明する。本発明の第3実施形態は、第2弁部材553の形状が第2実施形態と相違する。以下、その相違点を中心に説明する。
【0070】
図5は、本実施形態による間欠供給バルブ50の断面図である。
【0071】
図5に示すように、本実施形態による間欠供給バルブ50の第2弁部材553は、その上端に第1弁部材552の下端側の径よりも大きいつば部553bを備える。つば部553bを備えることで、第2実施形態と同様に第2弁部材553で連通孔56aを閉じるときに負圧を発生させやすくできるので、塗布終了時の吐出量を安定させることができる。
【0072】
しかしながら、径を大きくすることで、連通孔56aを通って排出室52に導入されてくる電極混練物21の圧力を受けやすくなるので、第2弁部材553が弁座側に戻りにくくなる。そこで本実施形態では、つば部553bに複数の貫通孔553cを設けた。
【0073】
図6は、第2弁部材553の拡大図である。図6(A)は、第2弁部材553の拡大断面図であり、図6(B)は、第2弁部材553の底面図である。
【0074】
図6(A)及び図6(B)に示すように、つば部553bには、4つの貫通孔553cが周方向に所定の間隔を空けて形成される。このようにすることで、第2弁部材553で連通孔56aを閉じるときに、電極混練物21を貫通孔553cに通すことができるので、つば部553bが電極混練物21のから受ける圧力を低減させることできる。したがって、第2弁部材553を弁座側に戻しやすくすることができる。
【0075】
以上説明した本実施形態によれば、第2実施形態と同様の効果が得られるほか、つば部553bに貫通孔553cを設けることで、第2弁部材553を弁座側に戻しやすくすることができる。
【0076】
なお、本発明は上記の実施形態に限定されずに、その技術的な思想の範囲内において種々の変更がなしうることは明白である。
【0077】
例えば、図7に示すように、貫通孔56a、第1弁部材552、及び第2弁部材553の径を適宜調整することで、吐出量を変更することできる。また、図8に示すように、第1弁部材552と第2弁部材553との間隔を適宜調整することで、吐出時間を変更することができる。
【符号の説明】
【0078】
34 スリットダイ(塗布部)
50 間欠供給バルブ50(制御部)
51 導入室
52 排出室
53 圧縮空気供給室(駆動部)
56a 連通路
551 ピストン(駆動部)
552 第1弁部材
553 第2弁部材
554 シャフト(軸部材)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粘性流体を塗布対象物に塗布する塗布部と、
前記塗布部へ供給する粘性流体の供給量を制御する制御部と、
を備える塗布装置であって、
前記制御部は、
粘性流体が導入される導入室と、
前記導入室に導入された粘性流体を排出する排出室と、
前記導入室と前記排出室とを連通する連通路と、
前記導入室側から前記連通路を閉じる第1弁部材と、
前記排出室側から前記連通路を閉じる第2弁部材と、
前記第1弁部材と前記第2弁部材とが設けられる軸部材と、
前記連通路が前記第1弁部材と前記第2弁部材とによって交互に閉じられるように、前記軸部材を駆動する駆動部と、
を備えることを特徴とする塗布装置。
【請求項2】
前記第2弁部材の径は、前記第1弁部材の径よりも大きい、
ことを特徴とする請求項1に記載の塗布装置。
【請求項3】
前記第2弁部材は、
径が前記第1弁部材の径よりも大きいつば部と、
前記つば部を軸方向に貫通する貫通孔と、
を備えることを特徴とする請求項1に記載の塗布装置。
【請求項4】
前記駆動部は、
圧縮空気が供給される圧縮空気供給室と、
前記圧縮空気供給室に摺動可能に配置されるとともに前記軸部材に接続され、供給された圧縮空気によって前記連通路が前記第1弁部材によって前記導入室側から閉じられる方向、又は、前記連通路が前記第2弁部材によって前記排出室側から閉じられる方向に押圧されるピストンと、
を備えることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか一つに記載の塗布装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−86144(P2012−86144A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−234716(P2010−234716)
【出願日】平成22年10月19日(2010.10.19)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】