説明

塗料製品に添加される成分としての架橋可能な組成物

【課題】在来の熱架橋可能な塗料製品に添加することにより塗装表面の特性を向上させることの可能な成分,そのような成分を含んだ塗料組成物及びその塗料組成物を基材に塗布する方法を提供することを課題とする。
【解決手段】本発明は、塗料製品のための架橋可能な成分に関するものであり、この成分は、a)熱処理とUV照射処理との組み合わせを介して架橋可能な少なくとも一つのアクリルオリゴマーと、b)UV照射の暴露のみを介して架橋可能な少なくとも一つのアクリルオリゴマーと、c)UV照射の暴露を介して架橋可能な少なくとも一つのアクリルモノマーと、d)少なくとも一つの光開始剤と、e)少なくとも一つの添加剤とを含んでいる。
また、本発明は、上記の成分が添加された熱架橋可能な塗料製品と、好ましくは自動車の車体及び自動車部品のような様々な性質を有する基材を塗装するための方法に関するものである。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塗料製品の成分として用いられる架橋可能な成分と、その成分添加の結果として得られる組成物と、様々な種類の基材を処理する方法とに関するものである。
【0002】
特に、本発明は、在来の熱架橋可能な液状製品に添加されて、その後、適切な紫外線照射に暴露されると、表面の機械的及び化学的特性が飛躍的に向上する組成物に関するものである。
【0003】
塗布システム及び硬化システム(通常乾燥機による)は、実質的に両立し得るものであることが好ましいため、上記成分を在来の熱架橋可能な塗料製品に添加させることは、その塗布システム及び硬化システムの見地から何らの変化を齎さないが、一旦加熱サイクルを終了すると、塗料製品の表面性能を、向上させることを可能にし、その塗膜を適切な紫外線源に単に暴露させることにより修正させることを可能にする。
【背景技術】
【0004】
在来の熱架橋可能な塗料製品の機械的及び化学的な表面特性を向上させるという必要性は、特に自動車の外装及び内装クリアコートの分野において、市場からの絶えまない実践要求から高まっている。このような要求は、品質基準の向上と共に、自動車の外装クリアコートの場合に、様々なタイプのブラシや洗浄剤を使用する自動洗浄システムによる損傷からコーティングを保護するという必要性に関連する。
【0005】
塗装された表面は、所謂「洗車」において、作用の強い化学洗浄剤の使用を伴った研磨処理(ブラシ作業,スポンジ作業等)に晒される。
【0006】
このような処置により、表面の光沢が当初失われ、次第に大なり小なりくすんだ領域が広範囲に広がった外観を呈するようになる。ワックスがけや磨き作業等は、上述の失われたコーティングの光沢や美しさをある程度修復させるに過ぎない。しかしながら、表面の品質の低下は避けられず、時間の経過に伴って顕著に現れてくる。
【0007】
そのような現象は、トップコート(通常クリアコート塗装)及び単層装飾塗料製品のいずれをも含む、自動車の内装及びその他のサポート(例えば、プラスチック、金属、プライマー、ベースコート等)の塗装に現在使用されている塗料製品においても容易に発生し得る。そのような場合に、脆弱な機械的耐性に加えて、様々なタイプの洗浄剤(酸性又は塩基性)でのそのような製品の洗浄によってもたらされる損傷が明らかに現われる。
【0008】
然し、現在使用されている在来の塗料(熱架橋可能な塗料)及びコーティング技術は、幅広く使用され(例えば、車の表面再仕上げや補修において)、適用し易いという利点があり、産業上の利用のために非常に高品質な水準(とりわけ、審美的に)を提供するに至っていることを強調しておかねばならない。現在の在り来りな調合において使用されている原料は、幅広い塗料製品(プライマー及び着色ベースコート,着色単層トップコート及びクリアトップコート)の生成を可能にし、それらの全ては、塗布の見地からすれば、多層系(例えば、着色ベースコートとクリアトップコート)を含めて、完全に互いに併用が可能である。しかし、使用されている原料の性質によって、明らかに調合が制限され、例えば、硬度及び摩耗耐性の如き、コーティングの最終的な特性を制限或いは制約する結果となる。
【0009】
表面の硬度及び耐性に対する日々高まる要求に応えるため、様々なタイプの塗料製品が開発されている。
【0010】
そのような開発の一つは、アクリル系原料からスタートして、アクリルラジカルタイプの塗料製品、または紫外線照射による光架橋可能な製品を生成するものである。
【0011】
ポリマーの見地からすれば、UV照射架橋可能なコーティング(又は光架橋可能なコーティング)で使用されている原料は、ポリマー膜の適切な光暴露に伴って、特筆すべき表面の機械的特性を達成することを可能にする。明らかに、従来のアクリル系調合物に比べて、桁違いに大きな表面硬度と耐摩耗性が得られることが観測された。しかしながら、そのような特性は、産業上の適用見地からのむしろ高い制約にも関連する。そのような制約は、特に従来の製品用に開発されたペインティングシステムが幅広く使用されていることをも考慮に入れると、純粋に紫外線架橋可能な製品における柔軟性の欠徐によって顕著になる。
【0012】
そのような製品の真にその性質によって、塗布された後に塗布された表面が好適な紫外線照射によって均一に照射された場合に、開始プロセス(及びその後の伝播プロセス)が効果的に起こることが予想される。その紫外線は、適切な強度を有する特定の波長(もしくは、或る範囲の波長)でなければならず、一定時間、ポリマーフィルムを照射するものでなければならないであろう。従って、3次元表面の如き特に複雑なジオメトリーは、UV照射の均一な暴露には障害となる。
【0013】
紫外線が塗布面へ均一且つ十分に到達することができなければ、最適に架橋した領域と、不完全に架橋したその他の領域とが同時に存在することとなる。適切なUV源の適切な暴露に追従って架橋のみが起こる製品において必然的である不適切又は不十分な暴露は、不完全に架橋された表面を生成させる結果となるため、所望の基準を多少下まわる特性をもたらすこととなる。照射されなかった表面は、時に、明らかに依然として濡れてべとついている。
【0014】
調合に関して、様々なタイプの光架橋可能な塗料系を調製することが可能であるが、特別な表面耐性及び硬度が必要とされる分野では、アクリル系の製品が最適である。一旦正確に架橋されると、そのような塗料製品は、そのように処理された製品の管理を容易にさせ、最終的な特性を向上させるための更なる処理やプロセスを必要とせずに取り扱うことができる。この最終的な特性が、一方で多大な利点を有していても、別の観点から弱点を露呈することがある。例えば、自動車の外装の塗装用UVクリアトップコートについて考慮してみると、架橋の前に液状膜に捕えられて、紫外線照射の暴露に従って決定的に封入されてしまった何らかの不純物を表面から機械的に取り除く処理は極めて困難である。逆に、在来の熱架橋可能な塗料製品は、架橋後の硬度は光架橋可能な塗料製品と比較すると低く、膜に取り込まれた何らかの不純物を機械的に容易に取り除くことができ、それにより、室温で少なくとも24時間後の完全な架橋の前であれば、自動車の車体の所謂「再表面仕上げ又は補修」を可能にさせる。
【0015】
双方の技術(熱架橋及び光架橋)に関する上述した制約を考慮して、調合の見地から収束しつつある多くの例が、近年出現してきている。所謂「二重硬化」組成物が、既に市販され、特許により保護されているが、その調合物は、主官能性を有するアクリル製品に基づくもので、紫外線硬化ポリマーの分野で使用されている。構造的レベルで修正されたそのような製品は、熱架橋可能性及び光架橋可能性の両方の性質を持ち合わせている。この二種の官能性は、アクリルモノマー及びオリゴマーに、ヒドロキシル末端官能基(−OH)とオレフィン二重結合(C=C)の両者が同時に存在することにより表現される。ヒドロキシル末端官能基は、NCO/OH縮合反応(ポリイソシアネートとヒドロキシル基)を介して分子結合の形成を可能にし、他方、オレフィン二重結合は、一旦光開始剤によってフリーラジカル形成の反応が開始されると、UV照射の暴露により架橋する。このような付随のUV照射/熱作用の結果として、塗膜の最終的な架橋に至る。このような組成物は、状況に応じて、塗布工程の後に紫外線照射に暴露させてもよく、その場合には、影の部分、即ち実際に紫外線によって適切に照射されなかった部分の架橋(又は総合的な硬化)は、好適な熱源(又はIR照射)に晒すことによって完成させることができる。また場合によっては、塗布工程後に、オーブンによる硬化、又はIR源の暴露(硬化の仕様は製品の性質によって異なる)を行って、その後に紫外線照射に暴露させてもよい。組成物によっては、UV照射暴露の後に、隠れて暴露されなかった領域を架橋させるために、NIR照射(760〜1500nmの波長を有する近赤外線)の暴露が必要となる場合もある。
【0016】
上述したタイプの組成物は、優れた機械的、化学的表面特性の達成(明らかに最終的な熱架橋処理後に)と共に塗布されたコーティングの紫外線照射の適切な暴露が不可能な状況を克服することを可能にする。
【0017】
しかしながら、熱又はIR照射を用いる最終的な「ポスト硬化」でのこのようなUV製品の広がりは、塗布段階のレベルで深刻な困難に直面する。或る例を作るために、車体に適用されるクリアトップコートのような、在来の熱架橋可能な塗料製品の適用について考慮した。様々な処理工程は、製品塗装(通常はスプレーによる)と、その後のオーブンによる塗料製品の硬化(通常は静的な自動通気オーブンが使用される)を考慮に入れる。そのようなシステムは、OEMでも、車の修理段階でも幅広く使用されていて、極めて単純なものである。UVクリアトップコートを使用するには、塗布工程後に、UV硬化システムを必要とし、そのUV硬化システムは、紫外光を発光するランプと、塗料製品の熱ポスト硬化用のオーブンを含んでいる(ただし、熱硬化サイクルに要する温度と時間は、在来の塗料製品と比較して低減される)。所要の最終的な特性を達成するためには、塗料製品にはほぼ完璧なUVランプの暴露が必要となり、しかもその暴露はインラインで行わなければならないため、コーティングラインの見地から、既存のラインは大幅な修正を余儀なくされるであろう。換言すれば、「二重硬化」組成物を使用する場合には、熱(もしくはIR)硬化オーブンの前又は後にUVランプを配置しなければならず、とにかく、コーティングラインとインラインでなければならない。熱架橋の工程後は、塗布された表面を損傷させるリスクを負わずに塗料製品を扱える可能性が低いため、UV処理をオフラインで行うことはできないであろう。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
上記した内容を考慮すると、二重の性質を有する樹脂でUV架橋可能な塗料製品を修正することにより二つの技術(在来型と紫外線)を組み合わせる解決策は、重大なライン修正、新規の設備投資及び塗料製品の現実的な使用上における基本的な変更とは相入れない。
【0019】
上述の理由により、現在入手可能な「二重硬化」組成物は広く利用されていない。
【0020】
本発明が解決しようとする課題は、在来の熱架橋可能な塗料を熱/光架橋可能な塗料へ変えることであり、そこにおいては、最適な最終コーティング特性がコーティングに付与されるとしても、標準的な在来の熱架橋可能なコーティングの特性を決して喪失させることなく、UV処理を省略することができる。このように、オフライン又はインラインでオーブンによる熱硬化処理の後、最終的に再表面仕上げ及び/又は最終研磨処理される必要性のある塗料は、最上級の表面仕上げ品質と特性を獲得するために、その必要に応じてUVにより処理してもよい。
【課題を解決するための手段】
【0021】
上述した課題は、請求項に記載されている、塗料製品のための成分、その成分を含んでいる塗料組成物及び基材を塗装する方法によって達成される。
【0022】
従って、本発明の第一の側面は、熱/光架橋可能な成分に関するもので、その成分は、
a)熱とUVの照射とを組み合せた処理を介して架橋可能な少なくとも一つのアクリルオリゴマーと、
b)UV照射の暴露だけを介して架橋可能な少なくとも一つのアクリルオリゴマーと、
c)UV照射の暴露で架橋可能な少なくとも一つの多官能性アクリルモノマーと、
d)少なくとも一つの光開始剤と、
e)少なくとも一つの添加剤を含んでいる。
【0023】
本発明の組成物は、在来の熱架橋可能な樹脂に添加することにより、以下に詳細に説明するように、驚くべき硬度と耐性を有する塗料製品を提供するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
熱とUVとの照射を組み合わせた処理を介して架橋可能なアクリルオリゴマーは、酢酸ブチル希釈剤中に45%希釈されて且つ25℃で2800〜3200mPa・sの粘度を有するアクリルアクリレートオリゴマー樹脂(acrylic acrylate oligomeric resin)である。そのようなオリゴマーの市販例として、CYTEC社から提供されているEBECRYL(商標)1200がある。
【0025】
調合物中では、この樹脂は、重量にして50〜70%の量が含まれ、好ましくは、重量にして58〜62%の比率で使用される。
【0026】
調合物中にこの樹脂が含められるのは、この樹脂が、好適な光開始剤の存在下において、熱処理を介して在来の熱架橋可能な樹脂に反応することのできる末端ヒドロキシル基を有しているからである。このような樹脂は、ポリイソシアネート(在来の架橋可能な樹脂中に存在している)の作用を介して架橋可能な末端−OH(ヒドロキシル)基と、UV処理を介して架橋可能な不飽和二重結合(C=C)とを有している。更に、この樹脂が熱架橋可能な樹脂に添加されると、その熱架橋可能な樹脂に優れた硬度,柔軟性及び化学剤に対する優れた耐性を付与することとなる。
【0027】
UV照射の暴露のみでも架橋可能なアクリルオリゴマーは、脂肪族ウレタンアクリレートオリゴマー樹脂(aliphatic urethane acrylate oligomer resin)であり、それは、好ましくは700〜1500、更に好ましくは900〜1100の分子量を有し且つ60℃で1800〜2000mPa・sの粘度を有している。このオリゴマーのウレタン官能性は、好ましくは6であるが、1又はそれ以上であってもよいことが観測された。
【0028】
上述したオリゴマーの市販例としては、CYTEC社から提供されているEBECRYL(商標)1290があり、また、それに代えて、Benasedo SpA社から提供されているBencryl(商標)655が用いられる。
【0029】
調合物においては、この化合物は、重量にして5〜20%を含めることができ、好ましくは重量にして10〜15%の比率で用いられる。
【0030】
このオリゴマーは、所望の硬度,高い耐溶剤性及び外部薬剤に対する耐久性(外部耐久性)をコーティングに付与する。
【0031】
UV照射の暴露を介して架橋可能なアクリルモノマーは、300〜700、好ましくは400〜600の分子量を有し且つ25℃で15500〜16500mPa・sの粘度を有する多官能性アクリレートモノマーである。このオリゴマーのアクリル官能性は、好ましくは5〜6であるが、1又はそれ以上であってもよいことが更に観測された。
【0032】
上述したモノマーの市販例としては、CYTEC社から提供されているDPHA(ジペンタエリトリトールペンタ/ヘキサアクリレート(dipentaerythritol penta/hexa acrylate))がある。
【0033】
調合物においては、この化合物は、重量にして5〜20%含み、好ましくは重量にして10〜15%の比率で使用される。この化合物は、高い反応性,より高い架橋密度,引掻き及び摩耗に対する向上した耐性,優れた硬度及び良好な化学的耐性をコーティングに付与するために、調合物中に含められる。
【0034】
本発明による熱/光架橋可能な成分の光開始剤は、好適な紫外線照射に晒された時に、組成物成分の迅速で且つ効果的な架橋が起こるのに重要な役割を果たす。
【0035】
好適な光開始剤には、例えば、ヒドロキシケトン,アミノケトン及びケトスルホン,ベンジルジメチルケタール,ベンゾフェノン,アシルホスフィン及びチオキサントン等の、フリーラジカル源としてUV照射に対する感光性を有する化合物が含まれる。
【0036】
熱/光架橋可能な組成物の調合物中に複数の光開始剤が存在すると、アクリル系ポリマー混合物の重合速度を高めることに加えて、表面だけでなくコーティングフィルム全体における塗料の硬化度合いのバランスを促すことが更に観測された。
【0037】
好ましい調合物においては、二つのアルファヒドロキシケトン、または、一つのアルファヒドロキシケトンと一つのフェニルグリオキシレートで構成される二つの光開始剤を組み合わせたものが用いられる。
【0038】
例えば、特に好適な光開始剤の組み合わせは、重量にして4〜7%、好ましくは重量にして5.2〜5.8%の量で存在する、例えばCiba Speciality Chemicals社から提供されているIRGACURE(商標)184の如き一つのアルファヒドロキシケトンと、重量にして4〜7%、好ましくは重量にして5.2〜5.8%の量で存在する、Ciba Speciality Chemicals社から提供されているDAROCUR(商標)2959の如き一つのアルファヒドロキシケトンとの混合物によって構成される。特に好適な光開始剤の組み合わせの別の例は、重量にして4〜7%、好ましくは重量にして5.2〜5.8%の量で存在する、Ciba Speciality Chemicals社から提供されているIRGACURE(商標)754の如き一つのフェニルグリオキシメートと、重量にして4〜7%、好ましくは重量にして5.2〜5.8%の量で存在する、Ciba Speciality Chemicals社から提供されているDAROCUR(商標)2959の如き一つのアルファヒドロキシケトンとによって構成される。
【0039】
典型的には、光開始剤は、本発明による成分中に、混合物として、重量にして8〜13%の量で存在する。
【0040】
また、本発明による成分は、とりわけ、屋外使用の塗料製品への添加の場合に、雰囲気因子(例えば、湿度,大気汚染物質,酸素、紫外光等)に対する安定性を向上させるための一つ又はそれ以上の添加剤も含んでいる。(太陽光のような)紫外光及び大気中の不純物を吸収した結果、塗料製品の重合体構造が光酸化分解する可能性がある。光酸化による何らかの損傷を防止することのできる添加剤の混合物は、複数の紫外線(太陽光)フィルターの組み合わせと、形成される可能性のある何らかのフリーラジカルの防止剤とによって構成される。
【0041】
好適な紫外線フィルター(又は紫外線吸収剤(UVA(UV Absorber))には、ヒドロキシフェニル−トリアジン(HPT)が含まれ、他方、良好なフリーラジカル防止剤系には、所謂HALS(ヒンダードアミン光安定剤(Hindered Amine Light Stabiliser))が含まれる。
【0042】
成分の調合物におけるHPTとHALSの二族の組み合わせが、最終的なコーティングで発生し得る色の変化を阻止するだけでなく、光沢の喪失を最適に阻止するものであることが観測された。
【0043】
上述の二つの化合物の特に好適な混合物は、重量にして0.5〜1.5%、好ましくは重量にして0.7〜1.1%の量で存在する、Ciba Speciality Chemicals社から提供されているTINUVIN(商標)400の如きヒドロキシフェニルトリアジンと、重量にして0.3〜1.2%、好ましくは重量にして0.5〜0.9%の量で存在する、Ciba Speciality Chemicals社から提供されているTINUVIN(商標)123の如きヒンダードアミン光安定剤とを組み合わせたものである。
【0044】
本発明による成分中には、典型的には、重量にして1.0%〜2.0%の量の混合物としてその添加剤が存在する。
【0045】
本発明による熱/光架橋可能な成分は、在来の熱によって架橋される塗料製品に添加されるものである。既に説明した通り、熱によって架橋される塗料製品は、産業界では広く使用されているにもかかわらず、十分な硬度及び磨耗耐性を有していない。本発明は、現在の知識及び最新技術と比較して、異なった観点から、この問題に対処し、それを解決するものである。
【0046】
「二重硬化」調合物は、熱架橋可能な塗料製品に化学的な修正を加えることを通じて得られてUVと熱の両処理を介して架橋可能であるという二種の官能性を分子に与えるものである。
【0047】
これは、「二重硬化」塗料製品の適用については、この産業に関連する企業にとって莫大なコストでペインティングシステムを修正する必要があることを暗示する。在来の熱架橋可能な塗料製品に添加される熱/光架橋可能な成分を提供することにより、本発明は、コーティングの最終的な特性を飛躍的に向上させることを可能にすると共に、コーティングラインの変更を回避することも可能にする。
【0048】
これは、本発明が、熱作用の結果として架橋する官能性、即ち、熱作用を介して在来の熱架橋可能な塗料製品のイソシアネートに反応する末端ヒドロキシル基と、紫外線照射を介して架橋する官能性、即ち、二重結合とを有するアクリルオリゴマーを含んだ熱/光架橋可能な成分を提供するものであることにより、可能となる。UV照射を適用すると、成分中の他の成分、即ち、二重結合でUVを媒介させた架橋可能な官能性だけを有しているアクリルオリゴマー及びアクリルモノマーが、フリーラジカルによって、成分の二種官能性樹脂との縮合反応を介して在来の熱架橋可能な樹脂中に既に齎されている二重結合と反応する。こうして、成分中の熱/光架橋可能なアクリル樹脂が、在来の熱架橋可能な樹脂と、添加剤の光架橋可能な成分との間でリンカー(linker)として作用する。在来の塗料から熱/光架橋可能な塗料への変換はこのようにして達成される。
【0049】
このようにして、塗料製品の基本的な化学的組成を修正することなく、在来の塗装設備を使用して、優れた硬度,光沢及び耐摩耗性特性を有する最終的なコーティングが得られる。
【0050】
特に、本発明による成分が添加された在来の熱架橋可能な塗料は、熱処理後に、同成分が添加されていない塗料と全く同様の特性に達している。この時点で通常、車体はコーティングラインから離れて、必要に応じて表面再仕上げされる。この時点でのみ、必要に応じて車体をUV照射によって処理してもよく、これにより、光架橋可能な塗料のみが達成できる最適な仕上げ特性を獲得することができる。UV処理はオフラインで実施してもよい。
【0051】
本発明による熱/光架橋可能な組成物の添加によって修正するのに好適な在来の塗料製品には、好ましくは、車体のみならず、内装及び外装用の自動車部品、また様々な種類の及び様々な性質を持つ塗装基材、更に必ずしも自動車に用いられるものではない基材等に適用される、充填プライマー,着色プライマー,クリアプライマー,クリアトップコート及び着色単層トップコートが含まれる。そのような塗料製品は、不適合の可能性を回避するために成分の比率がアクリルベースのシステムと比較して低く抑えられているポリウレタンベースのシステムでもそのような特性を向上させることが可能ではあるが、好ましくは、アクリル系である。
【0052】
在来の塗料製品に添加される成分の比率は、機械的な表面耐性の点で必要とされる最終的な特性に比例して変えられる。調合物全体のうち、重量にして5〜35%、好ましくは15〜25%の添加比率で、上述の耐性が著しく向上させられる。
【0053】
最終的な塗料系(液体状態)に熱/光架橋可能な組成物を添加しても、コーティングが、浸し塗り,吹付け塗り及び流し塗り等のコーティングによって適用されるか否かに関係なく、塗料系の適用パラメータに重大な変化は齎さない。
【0054】
在来の熱架橋可能な塗料製品は、通常、ヒドロキシル官能基を有するアクリル樹脂(混合物A)を、イソシアネート官能基を有するアクリル樹脂(混合物B)と混ぜ合わせることにより得られる。これらの二つの樹脂は、室温でも反応し始めるため、別々に取り扱わなければならない。
【0055】
従って、エンドユーザは、基材に適用する前に、本発明による成分を添加する時点で、それらの混合を実施しなければならない。それに代えて、本発明による成分を混合物Aに予め混ぜてから、混合物Bに混ぜ合わせてもよい。
【0056】
本発明の別の実施形態は、その成分が混合物Aを既に含んでいる製品である。こうして、在来の塗料製品(混合物A)のヒドロキシル成分と一緒になった本発明の成分と、これとは別個の、在来の塗料(混合物B)のイソシアネート成分とを含む塗料キットを提供することができる。
【0057】
本発明の更に別の側面によれば、基材を塗装するための方法が提供される。この方法は、
a)在来の熱架橋可能な塗料製品に本発明の成分を添加する工程と、
b)工程a)で得られた混合物を何らかの基材に塗布する工程と、
c)熱架橋可能な塗料製品の仕様に従って、基材上に塗布された混合物を硬化させる工程と、
d)最後に、機械的な表面特性を向上させる必要がある場合に、UVランプからの紫外光で照射することにより、基材上に塗布された混合物を架橋させる工程を含んでいる。
【0058】
工程a)においては、在来の熱架橋可能な樹脂を構成している二つの混合物の内の一方、特に、ヒドロキシル官能基を有する樹脂に本発明による熱/光架橋可能な成分を添加してもよい。この場合には、工程b)で使用される最終的な製品を得るために、調合済みの混合物Aを(イソシアネート官能基を有する樹脂を含む)混合物Bと混合させれば十分である。
【0059】
工程b)で採用される基材とは、好ましくは、自動車の車体又は自動車の外装及び/又は内装部品を含む。例えば、自動車の車体外装を塗装する場合には、着色された下地上に工程b)の混合物を塗装し、一方、内装部品の場合には、プラスチック部品上に単層コートとして塗装することができる。
【0060】
工程c)における硬化処理は、従来の何も添加されていない製品の処理サイクルに従ってオーブン中で行って、本発明による成分で修正された塗料製品の表面架橋に至らしめる。そのような表面の硬度は、在来の(何も添加されていない)塗料製品の硬度と同等ではあるが、この表面を一旦紫外線照射に晒すと、上述した優れた機械的な表面特性を達成することができる。紫外線照射に暴露させる前に、塗装された表面から何らかの不純物(粉塵,汚れ等)を機械的に取り除いておくのが有益である。
【0061】
架橋のためには、水銀気化アークランプ及び無電極マイクロ波ランプを使用するのが有益である。UV架橋技術には、発光スペクトルが200〜450nmの放射線放出源を使用する。暴露領域(ドーズ量として知られており、J/cmで測定される)の完全な架橋に必要なエネルギーは、紫外スペクトルのUVAバンドエミッション範囲内で、2〜8J/cm、好ましくは4〜6J/cmである(UV−Aスペクトル範囲は320〜390nm、UV−Bスペクトル範囲は280〜320nm、UV−Cスペクトル範囲は250〜260nm、UV−Visスペクトル範囲は395〜445nmである)。
【0062】
工程d)における架橋のために使用されるUVランプは、コーティングラインのインラインに、又はコーティングライン外に設置してもよい。
【0063】
本発明による方法は、在来の塗装システム及び塗装方法の使用において特に必要とされる機械的な表面耐性を向上させるコーティングを生成することを可能にする。
【0064】
以下に示す実施例は、本発明を説明するための単なる一例に過ぎないものであって、従って、請求項に記載された発明の保護範囲を何ら限定するものではないとものと解釈されなければならない。
[実施例]
【0065】
A.硬度及び表面耐性特性を向上させるために在来の塗料系に組み込まれる熱/光架橋可能な成分の調合物例。
【0066】
実施例1

【0067】
実施例2

【0068】
B.在来の塗料系に組み込まれる熱/光架橋性成分の比率とその組み込み方法。
【0069】
熱/光架橋可能な成分を在来の調合物に非常に簡単且つ容易な方法で組み込むことについての上述した点に従って、この方法は、在来塗料製品の塗装工程の前の準備段階で、単に液状成分を混ぜ合わせるだけで実施される。
【0070】
そのままの状態の、PPG(商標)の在来のクリアトップコート(DELTRON(商標)ハイソリッドシリーズ)に関連する調合物の例と、本発明による成分が添加された同製品の例について説明するために以下に報告する。
【0071】

【0072】
C.在来の塗料系と本発明による成分が添加された塗料系の比較。
【0073】
表1に示した成分の比率に基づいて、成分が添加されている在来の調合物と成分が添加されていない在来の調合物とを比較して得られたデータを以下に報告する。塗装のサイクルは、いずれの調合物についても同じにした(ブラックのPPG(商標)ベースコートによりコーティングされたメタルシートに、スプレーで塗装)。更に、これらの調合物を、(PPGデータシートに従って)同じオーブン硬化条件下で処理した。本発明を考慮して、成分が添加されたクリアトップコートを、次に、紫外線照射に暴露させた。
【0074】
この作業において使用した比較方法には、摩耗試験又はASTM規格D4060(重量ロス)に準拠したテーバー試験(Taber Test)を採用することができる。
【0075】
テーバー摩耗試験に関する示度。
【0076】
ASTM D1044(ヘイズ(haze)),D3389,D4060(重量ロス)。
【0077】
テーバー摩耗試験は、プラスチックの摩耗耐性を測定する試験である。摩耗耐性は、摩擦,擦り及び浸食の如き機械的作用に対抗する物質の能力として定義される。摩耗を測定することは困難であるため、ヘイジング(hazing)の程度及び重量ロスの変化が一般に評価される。
【0078】
試験の手順:試験下におけるサンプルのヘイジングのレベル、または、当初の重量を測定する。次に、そのサンプルを摩耗試験機に設置する。摩耗輪(abrader wheel)に250g,500g又は1000gの負荷をかけて、或る回転数回転させた状態にさせる。様々な摩耗輪を使用し、ヘイジングの程度或いは最終的な重量を測定する。負荷量及び摩耗輪は、物質の軟度又は硬度に応じて調節してもよい。
【0079】
サンプルの大きさ:直径が4インチより大きい円盤又は4インチ平方より大きいプレートが用いられる。直径4インチの中央穴が必要である。
【0080】
図1は、1000摩耗サイクル毎のパーセント重量ロスとして表現された結果を示している。図1のグラフから、何も添加されていない在来の塗料製品(単にDELTRON(商標)として示した)には、0.0387mg相当の重量ロスがあることが推測される。表1に示した比率に基づいて熱/光架橋可能な成分が添加され、(PPGデータシートに従って)オーブンによる硬化サイクルの後に、好適な紫外線照射源に暴露された在来の塗料製品(成分が添加されたDELTRON(商標)として示した)は、摩耗作用後に0.0044mg相当の重量ロスがあることを示している。そのデータを直接的に比較すると、そのデータは、本発明による成分を添加することにより、機械的な表面特性が8倍向上していることを明らかに示している。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】1000摩耗サイクル毎のパーセント重量ロスを示したグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱架橋可能な塗料製品のための成分であって、
a)熱照射とUV照射とを組み合わせた処理を介して架橋可能な少なくとも一つのアクリルオリゴマーと、
b)UV照射の暴露のみを介して架橋可能な少なくとも一つのアクリルオリゴマーと、
c)UV照射の暴露を介して架橋可能な少なくとも一つのアクリルモノマーと、
d)少なくとも一つの光開始剤と、
e)少なくとも一つの添加剤を含んでいる成分。
【請求項2】
熱照射とUV照射とを組み合わせた処理を介して架橋可能な前記アクリル樹脂が、アクリルアクリレートオリゴマー樹脂である、請求項1に記載の成分。
【請求項3】
前記アクリルアクリレートオリゴマー樹脂が、酢酸ブチル希釈剤(BAC)中に45%に希釈されている、請求項2に記載の成分。
【請求項4】
前記アクリルアクリレートオリゴマー樹脂が、ポリイソシアネートと熱架橋可能である末端ヒドロキシル基(−OH)と、光架橋可能な二重結合とを持っている、請求項2又は3に記載の成分。
【請求項5】
前記アクリルアクリレートオリゴマー樹脂が、25℃で2800〜3200mPa・sの粘度を有している、請求項2〜4の何れか一項に記載の成分。
【請求項6】
前記アクリルアクリレートオリゴマー樹脂が、CYTEC社によって提供されているEBECRYL(商標) 1200である、請求項2〜5の何れか一項に記載の成分。
【請求項7】
前記アクリルアクリレートオリゴマー樹脂が、重量にして50〜70%、好ましくは58〜62%の量で混合物中に存在する、請求項2〜6の何れか一項に記載の成分。
【請求項8】
UV照射の暴露のみを介して架橋可能な前記アクリルオリゴマーが、脂肪族ウレタンアクリレートオリゴマー樹脂である、請求項1〜7の何れか一項に記載の成分。
【請求項9】
前記ウレタンアクリレートオリゴマー樹脂が、700〜1500、好ましくは900〜1100の分子量を有している、請求項8に記載の成分。
【請求項10】
前記ウレタンアクリレートオリゴマー樹脂が、60℃で1800〜2200mPa・sの粘度を有している、請求項8又は9に記載の成分。
【請求項11】
前記ウレタンアクリレートオリゴマー樹脂が、少なくとも一つのウレタン官能基、好ましくは6個のウレタン官能基を有している、請求項8〜10の何れか一項に記載の成分。
【請求項12】
前記ウレタンアクリレートオリゴマー樹脂が、CYTEC社によって提供されているEBECRYL(商標)1290又はBenasedo SpA社によって提供されているBENCRYL(商標)655である、請求項8〜11の何れか一項に記載の成分。
【請求項13】
前記ウレタンアクリレートオリゴマー樹脂が、重量にして5〜20%、好ましくは10〜15%の量で混合物中に存在する、請求項8〜12の何れか一項に記載の成分。
【請求項14】
UV照射の暴露を介して架橋可能な前記アクリルモノマーが、多官能性のアクリレートモノマーである、請求項1〜13の何れか一項に記載の成分。
【請求項15】
前記モノマーが、300〜700、好ましくは400〜600の分子量を有している、請求項14に記載の成分。
【請求項16】
前記モノマーは、25℃で15500〜16500mPa・sの粘度を有している、請求項14又は15に記載の成分。
【請求項17】
前記アクリルモノマーが、5〜6のオレフィン二重結合の多官能性を有している、請求項14〜16の何れか一項に記載の成分。
【請求項18】
前記モノマーがCYTEC社によって提供されているDPHA(ジペンタエリトリトールペンタ/ヘキサアクリレート)である、請求項14〜17の何れか一項に記載の成分。
【請求項19】
前記モノマーが、重量にして5〜20%、好ましくは10〜15%の量で混合物に含まれている、請求項14〜18の何れか一項に記載の成分。
【請求項20】
前記光開始剤が、ヒドロキシケトン,アミノケトン及びケトスルホン,ベンジルジメチルケタール,ベンゾフェノン,アシルホスフィン,チオキサントン及びこれらの混合物から選択されている、請求項1〜19の何れか一項に記載の成分。
【請求項21】
前記光開始剤が、二つの異なるアルファヒドロキシケトンの混合物又は一つのアルファヒドロキシケトンとフェニルグリオキシレートとの混合物から選択された混合物である、請求項20に記載の成分。
【請求項22】
二つのアルファヒドロキシケトンの前記混合物が、Ciba Speciality Chemicals社から夫々提供されているIRGACURE(商標)184とDAROCUR(商標)2959とを含み、フェニルグリオキシレートとアルファヒドロキシケトンとの前記混合物が、Ciba Speciality Chemicals社から夫々提供されているIRGACURE(商標)754とDAROCUR(商標)2959を含んでいる、請求項21に記載の成分。
【請求項23】
前記光開始剤が、重量にして8〜13%の量で混合物中に存在する、請求項20又は22に記載の成分。
【請求項24】
紫外線照射フィルターとフリーラジカル防止剤から選択された、光酸化損傷の可能性を阻止するための一つ又は複数の添加剤を含んでいる、請求項1〜23の何れか一項に記載の成分。
【請求項25】
前記紫外線照射フィルターがヒドロキシフェニルトリアジン(HPT)であり、前記フリーラジカル防止剤がヒンダードアミン光安定剤(HALS)である、請求項24に記載の成分。
【請求項26】
前記添加剤が、Ciba Speciality Chemicals社から提供されている、TINUVIN(商標)400の如きヒドロキシフェニルトリアジンと、TINUVIN(商標)123の如きHALSとの混合物である、請求項24〜26の何れか一項に記載の成分。
【請求項27】
前記ヒドロキシフェニルトリアジンとHALSとの混合物が、重量にして1.0〜2.0%の量で存在する、請求項26に記載の成分。
【請求項28】
請求項1〜27の何れか一項に記載の成分と、実質的にアクリル系の、充填プライマー,着色プライマー及びクリアプライマー,クリアトップコート及び着色単層トップコートから選択された熱架橋可能な塗料製品を含む熱/光架橋可能な組成物。
【請求項29】
前記成分が、重量にして5〜35%、好ましくは15〜25%の量で存在する、請求項28に記載の組成物。
【請求項30】
前記熱架橋可能な塗料製品が、ヒドロキシル官能基を有するアクリル樹脂を含む混合物Aと、イソシアネート官能基を有するアクリル樹脂を含む混合物Bとを混合することによって得られる、請求項28又は29に記載の組成物。
【請求項31】
塗料製品(混合物A)のヒドロキシル成分と一緒になった請求項1〜27の何れか一項に記載の成分と、個別に調製された塗料製品(混合物B)のイソシアネート成分とを含む塗料キット。
【請求項32】
基材を塗装する方法であって、
a)熱架橋可能な塗料製品に、請求項1〜27の何れか一項に記載の成分を添加する工程と、
b)前記工程a)で得られた混合物を基材に塗布する工程と、
c)前記熱架橋可能な塗料製品の仕様に従って、前記基材に塗布された前記混合物を硬化させる工程を含む、基材を塗装する方法。
【請求項33】
前記工程c)において硬化された前記基材上の混合物を、紫外光によって照射する工程d)を更に含んでいる、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
UV光による前記照射が、コーティングラインに設置された又はコーティングライン外に設置されたUVランプを用いることによって実施される、請求項32に記載の方法。
【請求項35】
前記工程a)において、前記混合物Aが前記混合物Bと組み合わされる、請求項31に記載のキットを使用する、請求項32〜34の何れか一項に記載の方法。
【請求項36】
前記工程b)において用いられる基材が、自動車の車体、又は自動車の外装部品又は内装部品を含んでいる、請求項32〜35の何れか一項に記載の方法。
【請求項37】
前記工程c)の後に、表面の不純物を機械的に除去(再表面仕上げ)する工程c1)を更に含んでいる、請求項32〜36の何れか一項に記載の方法。
【請求項38】
前記工程c)において、前記硬化が、一般的な塗料製品の仕様に従って、オーブン中で実施される、請求項32〜37の何れか一項に記載の方法。
【請求項39】
UV架橋のために、水銀気化アークランプ又は無電極マイクロ波ランプを使用する、請求項33〜38の何れか一項に記載の方法。
【請求項40】
UV架橋のために、200〜450nmの波長を発する照射源を使用する、請求項33〜39の何れか一項に記載の方法。
【請求項41】
暴露領域の完全な架橋に必要なエネルギーが、320〜390nmの紫外スペクトルのUVAバンドエミッション範囲において、2〜8J/cm、好ましくは4〜6J/cmである、請求項33〜40の何れか一項に記載の方法。

【図1】
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【公表番号】特表2009−522393(P2009−522393A)
【公表日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−548086(P2008−548086)
【出願日】平成17年12月30日(2005.12.30)
【国際出願番号】PCT/IT2005/000782
【国際公開番号】WO2007/077584
【国際公開日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【出願人】(508196885)デスカップ エスエー (1)
【Fターム(参考)】