説明

塗液供給装置およびこれを用いた塗液供給方法

【課題】塗工装置に供給する塗液の送液開始時における塗液供給経路への気泡の混入を効率的に防止することができる塗液供給装置ならびに塗液供給方法を提案することである。
【解決手段】複数の塗液タンクを有し、各塗液タンクには、塗液供給配管と、加圧ガス供給配管と、気泡除去配管が、それぞれ接続手段によって気密に接続されており、各塗液供給配管は、塗液タンクの底部から塗液を吸い上げる構造を有し、それぞれ塗液供給バルブを経由した後、1本に合流し、塗液供給ポンプを経て塗工装置に接続されており、加圧ガス供給配管は、加圧ガス供給源からそれぞれ塗液タンク加圧バルブを経由し、塗液タンク圧力解放バルブを分岐した後、各塗液タンクに接続されており、気泡除去配管は各塗液供給配管の、塗液供給バルブの直前から分岐して、それぞれ気泡除去バルブを経由して他の塗液タンクに接続されていることを特徴とする塗液供給装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種塗工装置に塗液を供給する塗液供給装置に関し、特に異物や気泡の混入を厳密に防止する必要のある精密塗工装置用に用いる塗液供給装置およびこれを用いた塗液供給方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体ウェハに塗布するフォトレジストを始めとして、各種精密部品の製造に用いるフォトレジストや、カラーレジスト等(以下単にレジストと略す)を塗布する精密塗工装置においては、塗液に異物や気泡が混入すると、塗膜の微細欠陥につながることから、これらの混入を極端に嫌うものである。従って塗液を供給するタンクの切替に当たっては、塗液に異物や気泡が混入しないようにするために、非常に神経を使う複雑な手順を踏まなければならなかった。異物については、供給経路にフィルターを設けることによってある程度捕捉することができるが、気泡については、フィルターによって除去することはできないため、気泡を混入させないための何らかの手段を必要としていた。
【0003】
従来、塗布装置にレジストの供給を行う場合、予めレジストが封入された容器を装置にセットし、配管を接続し、装置に備え付けられたポンプによってレジストを吸い上げる方式が一般的である。この方式において、1つの容器のレジストが無くなったとき、それを新しい容器に入れ替える必要があるが、この時装置へのレジストの供給が停止しないようにするため、使用中の容器の他に、もう1つの別の容器を予め準備して並列に設置し、1つの容器が空になったとき、準備された容器に自動的に切り替える構造が知られている。
【0004】
塗膜の品質に悪影響を与える要素として、レジストへの気泡の混入があるが、上記のような構造の場合、レジスト容器と装置配管を接続する際に、配管内に気泡が入り込む可能性が高く、品質異常の原因となる。これらの気泡を除去する方法として、レジスト容器接続位置から塗布ノズル直前までのレジスト供給経路に1つあるいは複数の気泡除去用配管を設置し、送液ポンプおよびバルブ制御により、混入した空気を周囲のレジストごと気泡除去用配管に押し出すという方法がある。
【0005】
しかしこの方法は、レジスト容器と装置配管を接続する際に混入した気泡を除去するために、容器を切り替えた直後に気泡除去作業を実施する必要があり、設備の処理能力を低下させる。また気泡除去のためにレジストを排出するため、高価なレジストの使用量が増加するという問題があった。
【0006】
特許文献1に記載された液体処理システムは、クリーンルームの床下空間に設置したレジスト液貯留タンクから床上に設置したレジスト塗工機までレジストを供給するシステムである。このレジストは高い圧力をかけると変質しやすいものである一方、揚程が10mと高いために、圧送によっても吸引によっても搬送することができなかった。そこでこのシステムでは、液位センサーを含むレジスト液貯留タンク一式を昇降手段に載置し、タンクの切替時には、昇降機を床下階の床レベルまで下げて切替作業を行い、しかる後に昇降機を上昇させてタンクをクリーンルーム階の床下直下まで持ち上げてレジストを供給するという方法を採用した。
【0007】
このような方法を採用することにより、レジストに過大な圧力をかける必要がなくなり、デリケートなレジストを変質させることなく供給することが可能となった。しかし、このシステムの問題点は、設備が大がかりになることもさることながら、タンクの切替に当って、昇降機の下降時間、タンク切替時間、昇降機の上昇時間と、全体として長い時間を要し、この間、レジストの供給を停止せざるを得ないという非常に大きな問題がある。また本特許文献1の記述には、気泡の混入を防止する手段についての記載が見当たらない。
【0008】
特許文献2に記載された処理液供給装置は、同様にレジスト供給装置に関するものであり、その概要は、特許請求の範囲に記載された通り、(a)処理液供給源から処理液を導く処理液供給経路に設けられ、前記処理液を一時貯留する貯留容器と、(b)前記処理液供給経路における前記貯留容器よりも下流に設けられた供給弁と、(c)前記貯留容器の上部に接続され、前記貯留容器内に滞留した空気を排出する空気排出経路と、(d)前記空気排出経路に設けられ、前記貯留容器内を吸引する吸引手段と、を備えることを特徴とする処理液供給装置である。
【0009】
この装置によれば、ボトルから供給されたレジストは、一旦貯留容器に貯留され、この中で空気は上部に貯まって、空気排出経路から排出されるので、気泡が塗工装置に混入する恐れはなく、また貯留容器を複数用意して、バルブで切り替えて使用するようにすることにより、レジストの供給を長時間停止することなくボトルの切替が可能である。
この装置では貯留容器に貯まった空気を排出する作業が必要であるが、この作業を手動で行う場合には、しばしば空気ばかりかレジストまで排出してしまったり、逆に排出が不十分であったりするため、注意深く行わなければならず、時間と神経を使う作業である。
【0010】
この作業を自動化するために、貯留容器に液面センサーを設け、液面を監視しながら空気抜きを行うシーケンスを組む方法も提案されているが、当然のことながら装置全体が複雑なものとなり、従ってコストのかかる装置とならざるを得ない。また、レジストの供給経路に貯留容器が存在するために、1種類のレジストのみを連続して使用するような場合には問題がないが、複数種類のレジストを頻繁に切替えて使用するような場合には、配管経路ばかりでなく、貯留容器も洗浄しなければならないため、切替に要する時間と工数が無視できないという問題がある。
【特許文献1】特開平11-283918号公報
【特許文献2】特開2000-223393号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明が解決しようとする課題は、各種塗工装置に供給する塗液の送液開始時あるいは切替作業時における塗液供給経路への気泡の混入を効率的に防止することができる塗液供給装置およびこれを用いた塗液供給方法を提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の課題を解決するための手段として、請求項1に記載の発明は、塗工装置に塗液を供給する塗液供給装置であって、複数の塗液タンクを有し、各塗液タンクには、塗工装置に塗液を供給する塗液供給配管と、塗液タンク内部を加圧するガスを導入する加圧ガス供給配管と、他の塗液タンクから気泡の混入した塗液を受け入れる気泡除去配管が、それぞれ接続手段によって気密に接続されており、各塗液供給配管は、各塗液タンクに接続されて塗液タンクの底部から塗液を吸い上げる構造を有し、各塗液供給配管は、それぞれ塗液供給バルブを経由した後、1本に合流し、塗液供給ポンプを経て塗工装置に接続されており、加圧ガス供給配管は、加圧ガス供給源からそれぞれ塗液タンク加圧バルブを経由し、それぞれ塗液タンク圧力解放バルブを分岐した後、各塗液タンクに接続されており、気泡除去配管は各塗液供給配管の、接続手段と塗液供給バルブの中間の、塗液供給バルブの直前から分岐して、それぞれ気泡除去バルブを経由して他の塗液タンクに接続されていることを特徴とする塗液供給装置である。
【0013】
また請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の塗液供給装置を用いて塗液を供給する
方法であって、1つの塗液タンクから塗液の供給を開始するにあたり、予め該塗液タンクの塗液タンク圧力解放バルブを閉じ、気泡除去バルブを解放した後、塗液タンク加圧バルブを開いて、塗液タンク内を加圧し、内部の塗液を塗液供給配管から押し出し、配管経路内の空気と共に気泡除去配管を経由して、他の塗液タンク内に排出することにより、塗液タンクから塗液供給バルブの間の空気を予め除去しておき、しかる後に該塗液タンクの気泡除去バルブを閉じ、塗液タンク加圧バルブを閉じ、塗液タンク圧力解放バルブを開いて該塗液タンク内を大気解放した後、塗液供給バルブを開いて塗液の供給を開始することを特徴とする塗液供給方法である。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る塗液供給装置は、複数の塗液タンクを有し、各塗液タンクには、塗工装置に塗液を供給する塗液供給配管が、それぞれ接続されており、各塗液供給配管は、接続手段によって各塗液タンクに接続されて塗液タンクの底部から塗液を吸い上げる構造を有し、複数の塗液供給配管は、それぞれ塗液供給バルブを経由した後1本に合流し、塗液供給ポンプを経て塗工装置に接続されているので、複数の塗液タンクを切り替えて塗液を塗工装置に供給することが出来、切替は、2つの塗液供給バルブを開閉することにより、塗工装置への塗液の供給を休止することなく、切り替えることができる。従って、塗工装置を停止することなく塗液タンクの切替が可能である。
【0015】
また、各塗液タンクには、他の塗液タンクから気泡の混入した塗液を受け入れる気泡除去配管が、それぞれ接続されており、気泡除去配管は各塗液供給配管の、接続手段と各塗液供給バルブの中間の、塗液供給バルブの直前から分岐して、それぞれ気泡除去バルブを経由して他の塗液タンクに接続されており、また加圧ガス供給配管は、ガス供給源から各塗液タンク加圧バルブを経由し、各塗液タンク圧力解放バルブを分岐した後、各塗液タンクに接続されているので、送液開始時あるいは塗液タンクの切替時には、塗液タンクに加圧を行って、新しい塗液タンクと塗液供給バルブの間に存在する空気を新しい塗液によって押し出し、他のタンクに押し出すことができる。
このため、空気抜き作業が確実に行えると共に、空気と一緒に押し出される塗液は、他のタンクに押し出されて再使用されるので、塗液が無駄に廃棄されることがない。
【0016】
また、原理的に塗液タンクの数には制約がないので、単位時間当たりの塗液の使用量が多くて、切替時間を十分に取れない場合であっても、塗液タンクの数を増やすことによって対応することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
図面に従って、本発明に係る塗液供給装置について詳細に説明する。
図1は、本発明に係る塗液供給装置の1実施例の構造を示した説明図である。
本発明に係る塗液供給装置は、複数の塗液タンクを有することを特徴としているが、本実施例では、塗液タンクが2つの場合について示してある。以下の説明は図1に基づいて説明する。図1において塗液タンク1は、これから切替作業を開始する新しい塗液タンクであり、塗液タンク2は現在送液中の塗液タンクである。塗液タンク1と塗液タンク2は、同じ構造を有している。
【0018】
塗液タンク1には、塗工装置に塗液を供給する塗液供給配管18と、塗液タンク内部を加圧するガスを導入する加圧ガス供給配管20と、他方の塗液タンクから気泡の混入した塗液を受け入れる気泡除去配管14が、それぞれ接続手段3a、3c、3bによって気密に接続されている。接続手段としては、ワンタッチで接続できる液体用およびガス用カップリングを用いるのが利便性が高い。
塗液タンク2には、同様にして塗液供給配管19と、加圧ガス供給配管21と、気泡除去配管13が、それぞれ接続手段8a、8c、8bによって気密に接続されている。
【0019】
塗液供給配管18、19は、それぞれ接続手段3a、8aによって塗液タンク1、2に接続され、それぞれの塗液タンクの底部から塗液を吸い上げる構造を有しており、2つの塗液供給配管18、19は、それぞれ塗液供給バルブ4、9を経由した後、合流して1本の塗液供給配管16となり、塗液供給ポンプ15を経て塗工装置に接続されている。
【0020】
塗液タンク1の加圧ガス供給配管20は、加圧ガス供給源17から、塗液タンク加圧バルブ6を経由し、塗液タンク圧力解放バルブ7を分岐した後、接続手段3cによって塗液タンク1に接続されている。
また塗液タンク2の加圧ガス供給配管21も同様にして、加圧ガス供給源17から塗液タンク加圧バルブ11を経由し、塗液タンク圧力解放バルブ12を分岐した後、接続手段8cによって塗液タンク2に接続されている。
加圧ガスとしては、クリーンエアーか窒素ガスを用いることが一般的であるが、塗液の変質を防ぐ観点からは、不活性な窒素ガスの方が好ましい。
【0021】
塗液タンク1の気泡除去配管13は塗液供給配管18の、接続手段3aと塗液供給バルブ4の中間であって、塗液供給バルブ4の直前から分岐して、気泡除去バルブ5を経由して塗液タンク2に接続されている。
また、塗液タンク2の気泡除去配管14も同様にして、塗液供給配管19の、接続手段8aと塗液供給バルブ9の中間であって、塗液供給バルブ9の直前から分岐して、気泡除去バルブ10を経由して塗液タンク1に接続されている。
【0022】
後述する気泡除去操作において、塗液供給配管18、19内の空気を円滑に気泡除去配管13、14に押し出すために、塗液供給配管18、19は、図1に示したように垂直に設置し、気泡除去バルブ5、10もそれぞれ塗液供給配管18、19の延長線上に設置することが好ましい。また、気泡除去配管13、14の分岐位置も、それぞれ塗液供給バルブ4、9の直前から分岐するようにすることにより、塗液供給バルブ4、9の周辺の空気を確実に気泡除去配管内に押し出すことが可能となる。
【0023】
なお、気泡除去配管からは、他の塗液タンクから気泡の混入した塗液が塗液タンク内に吐出されるので、配管の先端が塗液タンクの中央部まで到達しないように、塗液タンクの上部で終了するようにしておくのが好ましい。気泡除去配管が塗液タンクに入ったところに、じゃま板を設けて、気泡除去配管から吐出される気泡の混入した塗液が直接塗液面に勢いよく当たらないようにすると好ましい結果を得ることができる。
【0024】
図1には示していないが、各バルブは、制御装置によって自動的に開閉される構造としてもよい。いま、塗液タンク2から塗液が供給されている状態においては、加圧バルブ11は閉じられており、圧力解放バルブ12は解放されているため、塗液タンク2の内部は、常に外気圧力となっている。塗液供給バルブ9は開いており、塗液タンク2内の塗液は、塗液供給ポンプ15によって塗液タンク2の底部から吸い出され、塗液供給配管19、および塗液供給配管16を経由して塗工機に供給されている。この時、塗液供給バルブ4、気泡除去バルブ10は、閉じられている。
【0025】
塗液タンク内においては、塗液中の気泡は、上昇して塗液の上部に集まり、自然に消失する。塗液は、塗液タンクの底部から吸い出されるので、塗工機に供給される塗液に気泡が混入することはない。
【0026】
以上の説明は、塗液タンクが2つの場合について行ったが、塗液タンクが3つ、4つであっても基本的には変わらない。図2は、本発明に係る塗液供給装置の他の実施例の構造を示した説明図であり、塗液タンクが3つの場合の構造を示している。
図2に示した塗液供給装置は、図1に示した塗液供給装置に塗液タンク30を追加したものであり、3つの塗液タンクは、すべて同じ構造となっているので、個々の説明は省略する。
【0027】
図2においては、3つの塗液タンク1、2、30が互いに同等の関係になるように配管によって接続されている。すなわち、3つの塗液供給配管18、19、37は合流して1本の塗液供給配管16となり、塗液供給ポンプ15を経由して塗工装置に接続されており、加圧ガス供給配管20、21、38は、加圧ガス供給源17から各塗液タンクに同じように接続されており、気泡除去配管13、14、36は、三つどもえの関係になるようにそれぞれ他の塗液タンクに接続されている。
このような構造を有することにより、3つの塗液タンクはそれぞれ同等の関係になるので、3つの塗液タンクを順番に切り替えていくことができる。なお、切替時の気泡除去操作では、気泡の混入した塗液を現在使用していない塗液タンクに排出することができるので、塗液供給配管への気泡の混入を未然に防止する観点からは、より好ましい。
【0028】
次に、図1に示した塗液供給装置を用いた場合の塗液供給方法について説明する。
現在は、塗液タンク2から塗液が供給されており、塗液は塗液供給配管19、塗液供給バルブ9、塗液供給配管16を経由して、塗液供給ポンプ15によって塗工機に送液されている。
塗液タンクの切替に当たっては、新しい塗液タンクとして塗液タンク1を所定の場所にセットし、塗液供給配管18と、加圧ガス供給配管20と、気泡除去配管14を、それぞれ接続手段3a、3c、3bによって接続する。この時、塗液供給配管18の中には、空気が存在しているので、このまま塗液タンクを切り替えると、空気が塗液に混入することになるため、気泡除去操作を実施する。なお塗液供給バルブ4は、閉じた状態になっている。
【0029】
まず塗液タンク圧力解放バルブ7を閉じてから気泡除去バルブ5を解放し、塗液タンク加圧バルブ6を開くと、塗液タンク1の内部は加圧ガスによって加圧され、内部の塗液を塗液供給配管18から押し出す。押し出された塗液は、配管内の空気を押し出しながら気泡除去バルブ5、気泡除去配管13を経由して塗液タンク2内に排出される。
気泡除去配管13は、塗液供給バルブ4の直前から分岐しているので、この時、塗液供給バルブ4の周辺の空気はすべて塗液によって押し出され、配管内には残留しない。この後、気泡除去バルブ5と塗液タンク加圧バルブ6を閉じ、塗液タンク圧力解放バルブ7を開いて圧力を解放すると、切替準備が完了する。
【0030】
なお塗液タンク2内に排出された塗液中の気泡は、タンク上部に集まり、自然に消失する。但し、気泡の混入した塗液がタンク内に流入することになるので、この操作は、塗液タンク2の液面があまり低くならない段階で、実施することが好ましい。塗液が少なくなって、液面が下がった状態でこの操作を実施すると、気泡の混入した塗液が塗液供給配管19から吸い込まれて、塗工機に供給されてしまう恐れがあるので好ましくない。
【0031】
以上により、切替準備が完了したので、塗液タンク2の塗液量を確認しながら、タイミングを見計らって切替操作を行う。切替操作は、塗液供給バルブ4を開いた後、塗液供給バルブ9を閉じるだけであるので、切替は瞬時に行われる。
この間、塗液の供給が中断することはなく、従って塗工機の運転を休止する必要もない。なお各塗液タンクの塗液量は、液面センサーによって常に監視することにより、切替のタイミングを的確に判断することが可能となる。
【0032】
なお、最後に気泡除去操作と同様の手順により、塗液タンク2の底部に残った塗液を気泡除去配管14を用いて塗液タンク1内に押し出すことにより、一切の塗液のむだを無く
することができる。
以上によって、一連の動作を完了し、以後はこの動作の繰り返しとなる。
一連のバルブ操作は、手動によっても十分可能であるが、各バルブを制御する制御装置を設置して、自動的に行っても良い。制御装置としては、高価なコンピューターを使用しなくても簡単なシーケンサーによって十分制御可能であるので、機構全体に要するコストは、低く抑えることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明に係る塗液供給装置の1実施例の構造を示した説明図である。
【図2】本発明に係る塗液供給装置の他の実施例の構造を示した説明図である。
【符号の説明】
【0034】
1・・・塗液タンク
2・・・塗液タンク
3a〜3c・・・接続手段
4・・・塗液供給バルブ
5・・・気泡除去バルブ
6・・・塗液タンク加圧バルブ
7・・・塗液タンク圧力解放バルブ
8a〜8c・・・接続手段
9・・・塗液供給バルブ
10・・・気泡除去バルブ
11・・・塗液タンク加圧バルブ
12・・・塗液タンク圧力解放バルブ
13・・・気泡除去配管
14・・・気泡除去配管
15・・・塗液供給ポンプ
16・・・塗液供給配管
17・・・加圧ガス供給源
18・・・塗液供給配管
19・・・塗液供給配管
20・・・加圧ガス供給配管
21・・・加圧ガス供給配管
30・・・塗液タンク
31a〜31c・・・接続手段
32・・・塗液供給バルブ
33・・・気泡除去バルブ
34・・・塗液タンク加圧バルブ
35・・・塗液タンク圧力解放バルブ
36・・・気泡除去配管
37・・・塗液供給配管
38・・・加圧ガス供給配管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
塗工装置に塗液を供給する塗液供給装置であって、複数の塗液タンクを有し、各塗液タンクには、塗工装置に塗液を供給する塗液供給配管と、塗液タンク内部を加圧するガスを導入する加圧ガス供給配管と、他の塗液タンクから気泡の混入した塗液を受け入れる気泡除去配管が、それぞれ接続手段によって気密に接続されており、各塗液供給配管は、各塗液タンクに接続されて塗液タンクの底部から塗液を吸い上げる構造を有し、各塗液供給配管は、それぞれ塗液供給バルブを経由した後、1本に合流し、塗液供給ポンプを経て塗工装置に接続されており、加圧ガス供給配管は、加圧ガス供給源からそれぞれ塗液タンク加圧バルブを経由し、それぞれ塗液タンク圧力解放バルブを分岐した後、各塗液タンクに接続されており、気泡除去配管は各塗液供給配管の、接続手段と塗液供給バルブの中間の、塗液供給バルブの直前から分岐して、それぞれ気泡除去バルブを経由して他の塗液タンクに接続されていることを特徴とする塗液供給装置。
【請求項2】
請求項1に記載の塗液供給装置を用いて塗液を供給する方法であって、1つの塗液タンクから塗液の供給を開始するにあたり、予め該塗液タンクの塗液タンク圧力解放バルブを閉じ、気泡除去バルブを解放した後、塗液タンク加圧バルブを開いて、塗液タンク内を加圧し、内部の塗液を塗液供給配管から押し出し、配管経路内の空気と共に気泡除去配管を経由して、他の塗液タンク内に排出することにより、塗液タンクから塗液供給バルブの間の空気を予め除去しておき、しかる後に該塗液タンクの気泡除去バルブを閉じ、塗液タンク加圧バルブを閉じ、塗液タンク圧力解放バルブを開いて該塗液タンク内を大気解放した後、塗液供給バルブを開いて塗液の供給を開始することを特徴とする塗液供給方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−261998(P2009−261998A)
【公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−111156(P2008−111156)
【出願日】平成20年4月22日(2008.4.22)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】