説明

塗膜形成ムラ検査装置

【課題】 比較的大きな塗膜形成ムラを簡単に早く検出することが出来る塗膜形成ムラ検査装置を提供する。
【解決手段】 塗膜形成ムラ検出装置100は、表面に膜を塗布した基板Wを保持し回転する回転テーブル5と、基板Wに光を照射する光照射手段2と、光照射手段2による基板W表面からの正反射光を受光し、撮像画像の信号出力する光電変換手段4と、を備える。そして、基板Wの回転中心を含んで回転中心から半径方向の一走査分の電気信号の同一の距離の一週分の検出値を加算して複数の同心円加算値を求め、複数の同心円加算値から変化点を判断する。したがって、全基板W上においてムラ領域を簡単に判断することができ、処理効率の良い塗布ムラの検出が可能になる効果を奏する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は膜の表面検査装置に関する。特に撮像画像に基づいて塗膜形成ムラを検出する技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
表面に透明な膜、例えば半導体素子の製造工程において、単結晶ロットから切り出した半導体ウェハに多数の半導体素子を形成するが、この工程はレジスト、例えばフォトレジストを塗布し、このフォトレジスト膜を選択的にエッチングして所望形状の一導電形半導体層や電極、リードを形成することが行われていることは当業者において周知のことである。これらの各工程は、都度マスク合せが行われるが、レジスト表面の状態例えば膜厚の変化、異物、傷などは半導体の不良の原因となるため、早い工程で発見することが要望される。
【0003】
そこで、透明な膜面に拡散光を照射して、この照明手段により上記膜面から正反射する位置で光電変換素子により撮像し、撮像信号をデジタル信号に変換したのち予め定められた単位で区分し、この各区分単位の加算信号について予め設定した基準信号と比較して各区分単位での分散を求める手段を具備してなる透明な膜の検査方法が提供されている(特許文献1)。
【0004】
また、光学検査装置として、線状光源が、検査対象となる試料の表面上に一定幅を有する直線状の光を斜め方向から照射し、線状光源および試料の相対的移動により試料表面をスキャンする。ラインセンサは、試料表面に照射された線状光の反射光路に一致して配置され、試料表面からの反射光をその光量に応じた電気信号に変換する。それによって、試料表面上の傷、欠け等の形状検査を光学的に行う装置が提供されている(特許文献2)。
【0005】
また、薄膜付きディスクの半径方向にレーザ光を走査し、ディスクを回転させ、レーザ光による薄膜付きディスクを回転させ、レーザ光による薄膜付きディスクからの薄膜干渉反射光を電気信号に変換し、半径方向への少なくとも1走査分の電気信号を比較し、その比較結果を基に薄膜付きディスクの欠陥を検出するようにした表面検査方法及びその装置が提供されている(特許文献3)。
【0006】
しかしながら、これらの欠陥検出では、塗膜形成ムラの検出は簡単には出来ない。塗膜形成ムラの発生は、塗布対象物の表面上で連続的に発生し、大きな領域を占める。これに対して、欠陥検出技術では、比較的小さな領域で発生する欠陥を検出する目的から、微少領域ごとに基準値との比較によって欠陥を判断する。そのため、大きな領域を有する塗布ムラを対象とした場合、全体を比較検査しないと塗膜形成ムラを検出できないという欠点がある。
【0007】
それらに対して、ガラス基板上に形成されたカラーフィルタを透明照明または反射照明によって照明し、撮像部によって画像データとして読み込み、画像処理部によって欠陥の抽出を行った後にコンピュータによって良否判定を行い。その欠陥の抽出においては、射影データに対して一定区間離れた部分との差をとることで差分データを得て、その得られた差分データをさらに1画素ずつずらしながら相関係数を算出し、その相関係数ピークとピーク位置を求めることで周期性のあるムラを検出する提案がある(特許文献4)。
【0008】
また、透明樹脂被膜の塗布ムラを効率的に検出する塗布ムラ検査方法を提供するため、透明樹脂の塗布方向及びこれに直交する方向に分割して多数の小領域とし、これら小領域に光を照射してその反射光強度を小領域毎に測定し、前記塗布方向又は塗布方向に直交する方向を積算方向として、この積算方向に沿って並んだ小領域の反射光強度を基準エリア内で積算処理して基準積算値を算出し、前記塗布方向又は塗布方向に直交する方向を積算方向として、この積算方向に沿って並んだ小領域の反射光強度を前記基準エリア内の走査エリア内で積算処理して積算値を算出し、前記基準積算値及び積算値から所定区間内で分散を算出し、前記基準エリア及び走査エリアの分散値との比較演算により塗布ムラを抽出する提案がある(特許文献5)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開昭61−201107
【特許文献2】特開平1−214743
【特許文献3】特開平7−12747
【特許文献4】特開平10−185765
【特許文献5】特開2007−240343
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、前記従来技術では、小領域に分割して比較演算することで塗膜形成ムラを抽出できるが、所定区間内で積算値の分散を算出しており、処理に時間を有するものであった。これらの技術は透明樹脂の塗膜形成ムラを検出することを対象としているため、目視困難な塗膜形成ムラが検出される。そして、基準値との比較を得るために積算値を用いる等の工夫を行う反面、積算値を得るための演算を必要とするものである。これらの計算を必要とするがために、大きな塗膜形成ムラを簡単に早く検出することが困難であった。
【0011】
一方、回転する塗布対象物に対する塗膜形成ムラは、遠心力を利用して塗布膜を広げる塗布方法を採用する点から、比較的大きな塗膜形成ムラが発生する。そのような塗膜形成ムラを簡単に早く検出することが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は上記課題を解決するために、本発明の請求項1に係る塗膜形成ムラ検査装置は、表面に膜を塗布した被塗布物を保持し回転する回転手段と、前記被塗布物に光を照射する光照射手段と、前記光照射手段による被塗布物表面からの正反射光を受光し、被塗布物の表面を撮像し、撮像画像の信号出力する光電変換手段と、前記光電変換手段で撮像した正反射光をその光量に応じた電気信号に変換する変換手段と、前記変換手段により変換された電気信号を被塗布物の回転中心を含んで回転中心から半径方向の一走査分の電気信号の同一の距離の一週分の検出値を加算して複数の同心円加算値を求め、複数の同心円加算値から変化点を判断する画像処理部と、を具備するようにしたものである。
【0013】
また本発明の請求項1記載の塗膜形成ムラ検査装置において、前記画像処理部は、前記同心円加算値の一定間隔ごとの差分の微分値から変化点を求めるようにしたものである。
【0014】
また本発明の請求項1記載の塗膜形成ムラ検査装置において、前記光照射手段は、石英ロッドによる導光管による光源と、前記光源が挿入されたスリット状の開口を有する円筒支持部と、を具備するようにしたものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明の請求項1に係る塗膜形成ムラ検査装置によれば、被塗布物の回転中心を含んで回転中心から半径方向の一走査分の電気信号の同一の距離の一週分の検出値を加算して複数の同心円加算値を求め、複数の同心円加算値から変化点を判断する。したがって、全被塗布物上においてムラ領域を簡単に判断することができ、処理効率の良い塗布ムラの検出が可能になる効果を奏する。
【0016】
また本発明の請求項2に係る塗膜形成ムラ検査装置によれば、同心円加算値の一定間隔ごとの差分の微分値から変化点を求める。したがって、塗膜形成ムラによる同心円加算値の変化をより強調して抽出することができる。
【0017】
また本発明の請求項3に係る塗膜形成ムラ検査装置によれば、光照射手段が石英ロッドによる導光管による光源と、円筒支持部により構成する。したがって、被塗布物の広範な範囲を同時に照射する構造な簡単な構造で達成できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の塗膜形成ムラ検査装置の正面図である。
【図2】本発明の塗膜形成ムラ検査装置の平面図である。
【図3】光照射手段2の要部断面図である。
【図4】塗膜形成ムラ検査装置における光路を説明する概略説明図である。
【図5】画像処理装置6の具体例を説明する説明図であり、図5(a)は塗膜形成後の基板Wの表面状態を示す平面説明図であり、図5(b)は基板Wの像信号を示す説明図であり、図5(c)は反射光量による基板Wの像信号から求められた同心円加算値を示す説明図である。
【図6】同心円加算値と微分値を説明する説明図であり、図6(a)は塗布膜の撮像光量が正反射光の場合の説明図であり、図6(b)は塗布膜の撮像光量が正反射光でない場合の説明図であり、図6(c)は微分値の変化点を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施例を図1乃至図5に基づいて説明する。
【0020】
まず、図1及び図2を用いて、本実施例の基本的構成及び作用を説明する。図1は検査装置の正面図、図2は検査装置の平面図である。
【0021】
なお、本発の被塗布物としては円形の半導体ウェハであり、表面が透明な膜として半導体素子製造各工程における半導体ウェハ表面に形成される感光性材料であるレジスト膜である。そして、例えば塗布後のフォトレジスト表面の塗膜形成ムラの変化を測定するための半導体ウェハ表面のレジスト膜の検査装置に適用した実施例を、図面を参照して説明する。なお、レジスト膜に限らず、レジスト膜の下に塗布される例えばポリイミド樹脂より成る反射防止材、レジスト表面を保護する例えば、アルカリ可溶性ポリマーとアルコール溶剤によるトップコートの塗膜形成ムラを測定してもよい。
【0022】
図1に示すように、塗膜形成ムラ検査装置100は、検出ユニット1内に、回転テーブル5、光源21を含む光照射手段2、光学系3及び光電変換手段4が収納されている。Wは被塗布物である半導体ウェハ等の基板で、5は回転手段としての回転テーブルであり、基板Wは全面検査をするためにこの回転テーブル5で保持し回転される。基板Wは、全面検査のために回転テーブル5により1回転以上回転される。
【0023】
光照射手段2は、上記回転テーブル5に保持された基板Wの垂直方向上方に配置される。光照射手段2は、石英ロッドによる導光管による光源21がアルミ製の円筒支持部23に挿入され、円筒支持部23の一端が検出ユニット1の側壁101に固定され、他端が連結部24と連結管25を介して他方の側壁102に固定される。
【0024】
光照射手段2を更に詳細に説明する。図3は光照射手段2の要部断面図である。図3を参照し、光源21の周面の一部に反射材22が装着される。反射材22により反射される光の多くは反射材22の対向面側から放出されることとなる。そして、この反射材22の対向面側の円筒支持部23にはスリット28が形成される。よって、光源21から放出された光は円筒支持部23により遮断されるとともに、スリット28から基板Wに向けて照射される。
【0025】
光源21は連結部24で光ファイバー26の一端と連設されており、この光ファイバー26が連結管25の内部を通って側壁102から検出ユニット1の外に延設される。そして、光ファイバー26の他端が検出ユニット1の外に配置されるLED27に対向される。こうすることで、LED27が点灯すると、その光が光ファイバー26を介して光源21に導入される。光源21に導入された光は、石英ロッドの周囲から放射され、スリット28から照射される。
【0026】
図1に戻って、上記基板Wの垂直方向上方に光電変換手段4として例えばラインセンサカメラを配置する。ラインセンサカメラとしては、CCD、MOS等のラインセンサ素子、増幅器、駆動回路、A/D変換器、メモリ、入出力回路、結像レンズ(撮像レンズ)、筐体、等により構成される周知のラインセンサカメラを使用することができる。
【0027】
この光電変換手段4への入射光は、基板の回転中心A0を含む半径方向のラインとなるようにした照射光によるレジスト膜の表面からの正反射光である。即ち、光源21からの光の一部はレジスト膜の表面に入射する。この時の入射角α1はレジスト膜面に対して20度乃至40度が好適で、好ましくは30度である。この入射による基板Wの略半径分の正反射光の正反射光路が光電変換手段4のレンズに入射するように光学系3を配置する。
【0028】
光学系3は、平面状のミラー31とミラー31を保持する保持板32により構成される。保持板32は検出ユニット1の側壁103に装着され、基板Wからの反射角α2の正反射光を直上の光電変換手段4に導くようにミラー31の角度を調整後に固定する。
【0029】
図4は、塗膜形成ムラ検査装置100における光照射手段2から光電変換手段4への光路を説明する概略説明図である。図4は、正反射光路がわかるように光電変換手段4をずらして描いているが、図2に示すように光電変換手段4は光学系3の略垂直上方に配置されている。図4に示されるように、基板Wからの正反射光は内部の受光レンズを介して光電変換手段4により受光され、電気信号に変換される。そして、この電気信号が信号処理手段としての画像処理部である画像処理装置6で処理されて制御部10にて基板Wの塗膜形成ムラが検出されるようになっている。基板Wからの反射角α2の正反射光を直上の光電変換手段4に導くようにミラー31は、基板W上の走査ラインである撮像領域Lの縮小画像が光電変換手段4の受光部に結像されるようにその角度と、光電変換手段4との距離が調整し設定されている。
【0030】
図1に戻って、回転テーブル5は駆動機構台上に設けられ、回転テーブル5上に基板Wが載置された時正しくテーブル面に密着される如くバキュームによる吸気孔が設けられている。上記駆動機構台内にはモータ9が配置され、モータ9からの回転を予め定められた速度に変換する速度変換ギヤが設けられている。上記モータ7は後述する制御部10により制御される。
【0031】
回転テーブル5上に被検査体としての表面にレジスト膜の設けられた半導体製造工程途中の基板Wを、レジスト膜を上方にして設置する。基板Wが設置される。この載置手段は半導体製造工程の検査毎にロボット駆動などでレジスト膜の設けられていない裏面を吸着して側壁103の開口104を通って移送載置し、検査終了後再び搬送ロボットにより吸着して次工程に移送するシステムラインを作る。
【0032】
また、図示しない基板Wのローダ・アンローダとしてワーク移載ロボットとカセットが備えられている。ワーク移載ロボットはカセットから基板Wを抜き取って回転テーブル5上にセットし、検査終了後に、その基板Wを回転テーブル5上からカセットに収納するようになっている。この場合、OK及びNG用のカセットを用意して検査結果により基板Wを振り分けてもよい。
【0033】
7は検出ユニット1内の各構成に電力を供給する電源装置、10は画像処理装置6とともに電気信号を処理して良否判定等を行う制御部である。上記光電変換手段4の出力信号を増幅形成されて画像処理装置6に入力し、この画像処理装置6で信号処理することにより膜厚の変化情報を電気的波形整形して制御部10に入力する。この制御部10には判定機能が内蔵され、コンピュータなどにより画像処理装置6の出力信号を演算処理して上記塗膜形成の変化の有無とか、良否などの判断を行う。この判断結果を画像処理装置6に戻してテレビモニタなどに表示するようにしてもよい。制御部10での検査状況に応じて基板Wを移動させたい時、モータ9を介して回転テーブル5を駆動させる。
【0034】
次に図5を参照して画像処理装置6の具体例を説明する。図5(a)は塗膜形成後の基板Wの表面状態を示す平面説明図であり、図5(a)において基板W内の曲線L10で示した境界の内側部位と外側部位はレジスト厚の異なる部分である。図5(b)は光電変換手段4により得られた基板Wの像信号を示す説明図である。図5(c)は後述する方法により反射光量による基板Wの像信号から求められた同心円加算値を示す説明図である。図5(a)において、点線で示した撮像領域Lは光源3による露光領域で、光電変換手段4による撮像領域となる。光電変換手段4による撮像領域Lの正反射光は光電変換器(A/D変換器)でデジタル信号に変換され出力する。
【0035】
撮像領域Lは、走査ライン長さが基板Wの半径と基板Wの外側に領域L1として2mm長く、基板Wの回転中心側は領域L2として2mm長く設定される。そうすることで基板Wが位置ずれした時のマージンとしている。撮像領域Lのライン幅は、1画素が30μmの解像度で360μsecごとに1ラインが撮像される。よって、基板Wが360度回転、即ち1回転を3.6秒で行う間に、約1万ラインが撮像され出力される。こうして得られた基板Wの像のデジタル信号を図5(b)に示す。このデジタル信号をメモリに記憶する。画像処理装置6は、この図5(b)のデータをもとにして後述の信号変換を行う変換手段として変換処理部61を備える。
【0036】
撮像領域Lの基板Wの1周分で得た画素ごとの撮像画像を基板W回転中心A0から同一距離にある位置で全周囲に渡って並べると図5(b)に示すような画像が得られる。ここで、撮像領域Lで検出された撮像光量に応じた電気信号は、薄膜の干渉により光量が変動する。変換処理部63が、この撮像光量を画素ごとに8bitの256階調で撮像光量に応じた撮像電気信号として変換してデジタル化する。例えば、光量が多いほど階調が高くなるように関係が設定されている。そして、予め測定した光源3の撮像領域Lにおいて測定し同様に256階調で照射光量に応じてデジタル化した照射電気信号を1走査ライン毎に撮像電気信号から引き算し、補正撮像電気信号とする。これによって、LED27に光量ムラがあった場合の影響を無くす。
【0037】
そして、図5(c)に示すような信号処理が行われる。図5(c)は反射光量による基板Wの撮像光量に応じた補正撮像電気信号から求められた同心円加算値を示す説明図である。画像処理装置6によって、図5(b)に示すように基板Wの1周分で得た像のデジタル化した補正撮像電気信号を基板W中心から同一距離にある位置で全周囲に渡って加算してカウントすることにより、薄膜の膜厚の反射光量による同心円加算値L11が図5(c)のように得られる。画像処理部6が、この同心円加算値L11から後述する変化点を検出し出力することで、制御部10が良否判定等を行う。よって、画像処理部6と制御部10の一部が本発明の画像処理部に相当する。
【0038】
次に検査動作を説明する。基板Wが回転テーブル5上に載置されると、光照射手段2により基板W表面の露光が開始される。もし基板W上に塗膜形成ムラがあれば、この塗布ムラにより光源21からの光が散乱し、その正反射光の一部が光電変換手段4に入射せず撮像される。もし塗布ムラがなければ照明光は基板W上で全反射した正反射が光電変換手段4に入射する。なお、膜によって逆の場合もあるが、本実施例では正常な塗膜から正反射が行われる場合として説明する。この時、基板Wの表面にはレジストの薄い膜が形成されており、前記正反射光像を見るとレジストの厚さの違い、または塗布膜のある部位と無い部位によって色が異なって見える。なお、レジスト材は感光性材料のため紫外線により感光するため、LED27からの光はフィルタ等により紫外線をカットされている。
【0039】
従って光電変換手段4で撮像することで正反射光の光量を検出することができる。これは基板W上のレジスト膜厚変化を光電変換手段4で撮像できる。また、光電変換手段4は画像処理装置6および全体制御を行う制御部10に接続されており、基板W上のレジスト表面状態を自動的に知ることができる。即ち、光電変換手段4の出力信号を増幅、成形したのち、デジタル化して画像処理装置6でメモリに記憶する。メモリに記憶した情報を予め定めた手段で読み出して塗膜形成ムラの有無の判定を行うため画像処理装置6で予め定められた信号処理を行う。
【0040】
上記画像処理装置6の処理において入力情報から基板Wを回転移動させたい場合、回転のプログラムをモータ9に出力して回転テーブル5を回転させる。回転のプログラムは例えば何度回転させて停止させ、次に何度回転させて停止するなどの動作プログラムである。これらは、予め制御部10のメモリに記憶される。
【0041】
次に、基板Wの露光を行いながら回転テーブル5を回転させるとともに、撮像領域Lの撮像を基板Wの1回転中継続する。そして、基板Wの1周分で得た画素ごとの撮像画像を図5(b)に示すように得る。ここで、撮像領域Lで検出された撮像電気信号から光源3の撮像領域Lにおいて測定した照射電気信号を1走査ライン毎に撮像撮像光量から引き算し補正撮像電気信号を得る。
【0042】
そして、図5(c)に示すように、補正撮像電気信号を基板W中心から同一距離にある位置で全周囲に渡って加算してカウントすることにより、同心円加算値L11を得る。曲線L10の基板回転中心A0側である内側において塗膜形成ムラがなく反射光量が多く強い光量が得られており、曲線L10の外側においては反射光量が少なく弱い光量が得られており、それに伴う階調差が現れている。そのため、同心円加算値L11を求めると階調値が高い領域と階調値の低い領域との境界が現れる。
【0043】
上記のように、照射光は基板Wの半径方向に走査されるため、光電変換手段4から出力される電気信号はライン状となり、画像処理装置6での演算等の信号処理が容易となる。
【0044】
次に、同心円加算値L11を例えば100画素ごと、即ち3mm離して画素毎に差分を取り、微分値を求める。微分値を図5(c)の全てで求める計算を行う。
【0045】
図6は、同心円加算値と微分値を説明する説明図であり、図6(a)は塗布膜の撮像光量が正反射光の場合の説明図であり、図6(b)は塗布膜の撮像光量が正反射光でない場合の説明図であり、図6(c)は微分値の変化点を示す説明図である。図6(a)に示すように、同心円加算値が塗膜形成ムラを境にして大きく下方に変化している場合、点線で示す微分値L20は変化点で大きく下方に凸形状を示す。そして、その凸形状において閾値V1を予め設定することで、基板W上に塗布領域及び塗膜形成ムラ領域があるとする。即ち、光照射位置が塗膜形成ムラ領域上にあるとき、塗膜形成ムラ領域位置に相当する部分の光量が変る。この場合に同心円加算値を取ると、塗布領域の同心円加算値との間に大きさ差が抽出される。
【0046】
画像処理装置6では、同心円加算値から求められた微分値L20を出力し、制御部10により次のような処理が行われる。予め複数のレジストが塗布された基板Wを実験的に測定する。その結果、図6(a)に示すように、塗布領域と塗膜形成ムラ領域の境界を判定するレベルV1を求めて信号上に設定する。これと実際の検査工程における検査対象基板Wの微分値L20の凸状変化点を比較することにより容易に検出される。
【0047】
即ち、上記のように反射した光量をデジタル化すると、同心円加算値が大きく変動する変化点を検出することが可能であるため、塗膜形成ムラ領域レベルV1を容易に設定可能となる。このレベルV1を予め求めて制御部10に入力設定しておく。なお、同心円加算値が図6(a)とは逆に下方から上方に変化点を示す場合は、図6(b)に示すように点線で示す微分値L30が上方へ凸形状となるため、塗膜形成ムラ領域レベルV2を新たに設定すればよい。または、レベルV2も予め入力設定しておくことで、両方の場合を検査することが可能なようにしておいてもよい。
【0048】
このように、制御部10で、図6(c)に示すように設定した塗膜形成ムラ領域レベルV1とV2に相当する変化点が同心円加算値の微分値L20またはL30上に存在するか判断する。その検査結果を画像処理装置6に設けられているテレビモニタに表示するようにしてもよい。そして、レベルV1とV2を超える変化点を検出することで塗膜形成ムラが有りと判断する。このように、上記実施形態の塗膜形成ムラ検査装置においては、比較的広範囲な変化を示す塗膜形成ムラを確実に検出することができる。
【0049】
なお、上記実施形態において同心円加算値から求めた微分値から塗膜形成ムラの判断を制御部10にて処理するようにしたが、画像処理装置6にて判断を処理するように構成してもよい。
【0050】
また、画像処理装置6と制御部10を別構造としたが、同様な制御機能を備えるように一体的な処理部として構成してもよい。
【0051】
また、上記実施形態では、被塗布物として円形の基板を対象としたが、回転テーブルに載置し回転しながら塗布する対象であれば平面四角形や平面台形等の形状を示すガラス基板やカラーフィルタ等の矩形基板を被塗布物としてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明の塗膜形成ムラ検査装置は、膜を塗布した被塗布物の塗膜形成ムラの検査に利用することができる。
【符号の説明】
【0053】
1 検出ユニット
100 塗膜形成ムラ検査装置
2 光照射手段
21 光源
3 光学系
4 光電変換手段
5 回転テーブル
6 画像処理装置
61 変換処理部
10 制御部
L 撮像領域
L11 同心円加算値
W 基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に膜を塗布した被塗布物を保持し回転する回転手段と、
前記被塗布物に光を照射する光照射手段と、
前記光照射手段による被塗布物表面からの正反射光を受光し、被塗布物の表面を撮像し、撮像画像の信号出力する光電変換手段と、
前記光電変換手段で撮像した正反射光をその光量に応じた電気信号に変換する変換手段と、
前記変換手段により変換された電気信号を被塗布物の回転中心を含んで回転中心から半径方向の一走査分の電気信号の同一の距離の一週分の検出値を加算して複数の同心円加算値を求め、複数の同心円加算値から変化点を判断する画像処理部と、
を具備することを特徴とする塗膜形成ムラ検査装置。
【請求項2】
請求項1記載の塗膜形成ムラ検査装置において、前記画像処理部は、前記同心円加算値の一定間隔ごとの差分の微分値から変化点を求めることを特徴とする塗膜形成ムラ検査装置。
【請求項3】
請求項1記載の塗膜形成ムラ検査装置において、前記光照射手段は、石英ロッドによる導光管による光源と、前記光源が挿入されたスリット状の開口を有する円筒支持部と、を具備することを特徴とする塗膜形成ムラ検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−33388(P2011−33388A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−177678(P2009−177678)
【出願日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【出願人】(000207551)大日本スクリーン製造株式会社 (2,640)
【Fターム(参考)】