塗装方法及び塗装装置
【課題】塗装装置の姿勢を変えても、塗装装置の内部へ溶剤が侵入する心配のない塗装技術を提供することを課題とする。
【解決手段】 図(a)に示すように、塗料吐出口56から吐出される塗料の速度Vpが、溶剤吐出口55から吐出される溶剤の速度Vcより大きくなるように制御する。溶剤の速度Vcが小さいと、重力作用で飛翔軌跡が下へ曲がる。一方、塗料は溶剤に比較して密度が大きく、且つ速度Vpが大きい。
【効果】図(b)に示すように、強固な塗料の筒59ができあがる。溶剤60はこの塗料の筒69で囲われる。そのため、溶剤60が下方へ落下することが防止される。
【解決手段】 図(a)に示すように、塗料吐出口56から吐出される塗料の速度Vpが、溶剤吐出口55から吐出される溶剤の速度Vcより大きくなるように制御する。溶剤の速度Vcが小さいと、重力作用で飛翔軌跡が下へ曲がる。一方、塗料は溶剤に比較して密度が大きく、且つ速度Vpが大きい。
【効果】図(b)に示すように、強固な塗料の筒59ができあがる。溶剤60はこの塗料の筒69で囲われる。そのため、溶剤60が下方へ落下することが防止される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車に好適な塗装技術に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車の塗装は、自動化が求められ、自動吹付け塗装システムが提案されている(例えば、特許文献1(図1(B))参照。)。
【0003】
特許文献1を次図に基づいて説明する。
図11は従来の塗装装置の原理図であり、塗装装置100において、中心に配置されている塗料供給管101から塗料102が供給され、この塗料供給管101を囲う溶剤供給管103から溶剤104が供給される。
【0004】
塗料供給管101及び溶剤供給管103を一括して囲う筒状シャフト105が高速で回転すると、筒状シャフト105の先端のベルカップ106も高速に回転する。すると、遠心力により、供給された塗料102と溶剤104は混合した形態でベルカップ106の先端から噴射される。
【0005】
ところで、溶剤104は塗料102に比較して格段に粘性が小さい。すなわち、さらさらしている。そのために、矢印(1)のように、溶剤104の一部が溶剤供給管103の先端から垂れることがある。
仮に、塗装装置100の先端が斜め上又は上に向いていると、垂れた溶剤104が矢印(2)のように、溶剤供給管103の外周面を伝わって流れ、塗装装置100の内部要素(ベアリングなど)を傷めることがある。
【0006】
対策として、溶剤供給管103と筒状シャフト105との間にシール部材を、介在させことが考えられるが、筒状シャフト105が高速回転体で、溶剤供給管103が非回転体であるため、シール部材の寿命が短くなることや高価なシール部材を使う必要があるなど、問題が残る。
【0007】
そこで、塗装装置100の姿勢に拘わらず、内部へ溶剤が侵入する心配のない塗装装置が求められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平8−155375号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、塗装装置の姿勢を変えても、塗装装置の内部へ溶剤が侵入する心配のない塗装技術を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1に係る発明は、塗料供給管へ塗料を供給する塗料供給手段と、
溶剤供給管へ溶剤を供給する溶剤供給手段と、
前記塗料供給手段により供給された塗料と前記溶剤供給手段により供給された溶剤とを噴霧する回転霧化式塗装ガンと、を用いてワークへ静電塗装を施す塗装方法であって、
前記回転霧化式塗装ガンは、前記溶剤供給管の先端面に形成される溶剤吐出口が、前記塗料供給管の先端面に形成される塗料吐出口で囲われており、
前記塗料吐出口から吐出される塗料の速度が、前記溶剤吐出口から吐出される溶剤の速度より大きく設定されていることを特徴とする。
【0011】
請求項2に係る発明は、塗料供給管へ塗料を供給する塗料供給手段と、
溶剤供給管へ溶剤を供給する溶剤供給手段と、
前記塗料供給手段により供給された塗料と前記溶剤供給手段により供給された溶剤とを噴霧する回転霧化式塗装ガンと、
前記塗料供給手段、前記溶剤供給手段及び前記回転霧化式塗装ガンを制御する制御手段とを備え、ワークへ静電塗装を施す塗装装置であって、
前記回転霧化式塗装ガンは、前記溶剤供給管の先端面に形成される溶剤吐出口が、前記塗料供給管の先端面に形成される塗料吐出口で囲われており、
前記制御手段は、前記塗料吐出口から吐出される塗料の速度が、前記溶剤吐出口から吐出される溶剤の速度より大きくなるように制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に係る発明では、溶剤吐出口が、塗料吐出口で囲われており、塗料吐出口から吐出される塗料の速度が、溶剤吐出口から吐出される溶剤の速度より大きく設定されている。溶剤が落下したとしても、この溶剤は塗料の筒で落下が阻止される。
したがって、本発明によれば、塗装装置の姿勢を変えても、塗装装置の内部へ溶剤が侵入する心配のない塗装技術が提供される。
【0013】
請求項2に係る発明も同様に、溶剤吐出口が、塗料吐出口で囲われており、塗料吐出口から吐出される塗料の速度が、溶剤吐出口から吐出される溶剤の速度より大きく設定されている。溶剤が落下したとしても、この溶剤は塗料の筒で落下が阻止される。
したがって、本発明によれば、塗装装置の姿勢を変えても、塗装装置の内部へ溶剤が侵入する心配のない塗装技術が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】上塗り塗装ラインの概念図である。
【図2】クリア塗装設備の斜視図である。
【図3】塗装装置の構成図である。
【図4】塗装ガンの要部断面図である。
【図5】図4の5−5線断面図である。
【図6】図5の変更図である。
【図7】図5の更なる変更図である。
【図8】本発明の係る塗装装置の作用図である。
【図9】ベルの回転数とNV値の関係を調べたグラフである。
【図10】ベルの回転数とLW値の関係を調べたグラフである。
【図11】従来の塗装装置の原理図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、図面は符号の向きに見るものとする。
【実施例】
【0016】
本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
図1に示されるように、上塗り塗装ライン10は、車体11A(英文字は場所を区別するために付した。)の搬送路12に沿って配置され中塗り塗装までが施されている車体11Bにベース塗装を施すベース塗装設備13と、ベース塗装が施された車体11Cを80℃程度に加熱して塗膜中の水分を飛ばすフラッシュオフ設備14と、次に車体11Dにクリア塗装を施すクリア塗装設備15と、ベース塗装及びクリア塗装からなる上塗り塗装が施された車体11Eを加熱して塗膜を焼き付ける焼き付け設備16とからなる。
【0017】
上塗り塗装ライン10中のクリア塗装設備15の構成を詳しく説明する。
図2に示されるように、クリア塗装設備15には、搬送路12の両側方に左右の第1ロボット21L、21R(Lは上流から見て左、Rは同右を示す。以下同様)が配置され、これらの左右の第1ロボット21L、21Rの下流側に左右の第2ロボット22L、22Rが配置され、これらの左右の第2ロボット22L、22Rの下流側に左右の第3ロボット23L、23Rが配置されている。
【0018】
この例では、第1ロボット21L、21Rで車体11Dの上面を塗装し、第2ロボット22L、22Rと第3ロボット23L、23Rで車体11Dの側面の塗装を行う。
【0019】
右の第1ロボット21Rは、ロボット本体25と、このロボット本体25の先端に設けられる塗装装置30Aと、この塗装装置30Aへ外部から塗料を供給する塗料供給路31とからなる。
左の第1ロボット21Lも同様である。
【0020】
右の第2ロボット22Rは、ロボット本体25と、このロボット本体25の先端に設けられる塗装装置30Bと、この塗装装置30Bへ外部から塗料を供給する塗料供給路31と、塗装装置30Bへ外部から溶剤を供給する溶剤供給路32とからなる。
左の第2ロボット22L及び左右の第3ロボット23L、23Rも同様であるため、符号を流用して、詳細な説明は省略する。
【0021】
すなわち、左右の第1ロボット21L、21Rの塗装装置30Aには、溶剤供給路32が接続されていない。
その他の塗装装置30Bには、塗料供給路31及び溶剤供給路32が接続されている。
【0022】
次に、塗装装置30Bの詳細を説明する。
図3に示されるように、塗装装置30Bは、塗料供給管33へ塗料を供給する塗料供給手段34と、溶剤供給管35へ溶剤を供給する溶剤供給手段36と、塗料供給手段34により供給された塗料と溶剤供給手段36により供給された溶剤とを噴霧する回転霧化式塗装ガン37と、塗料供給手段34、溶剤供給手段36及び回転霧化式塗装ガン37を制御する制御手段38とを備えている静電塗装装置である。
【0023】
回転霧化式塗装ガン37は、ガン中心に配置される溶剤供給管35と、この溶剤供給管35を囲う塗料供給管33と、この塗料供給管33を囲い先端にベルカップ部43aを備え回転する筒状シャフト43とからなる。
【0024】
塗料供給手段34は、先端が塗料供給管33に繋がる塗料供給路31と、この塗料供給路31に介設されるポンプ41とからなり、所定量の塗料を塗料供給管33へ供給する。なお、ポンプ41はギヤポンプ、ルーツポンプ、プランジャポンプの何れでも良い。ポンプ41の回転速度を変えることで、塗料の流量を変更することができる。
【0025】
溶剤供給手段36は、先端が溶剤供給管35に繋がる溶剤供給路32と、この溶剤供給路32に介設される溶剤押出機構42とからなる。
溶剤押出機構42は、例えば、溶剤を貯留するシリンダ45と、このシリンダ45に移動可能に収納されるピストン46と、このピストン46からシリンダ45外まで延びるピストンロッド47と、シリンダ45外に配置されピストンロッド47に繋がっているナット48と、シリンダ45外に配置されナット48をシリンダ45の軸方向へ移動させる送りねじ49と、この送りねじ49を正逆転させるモータ51とからなる。
【0026】
先ず、シリンダ45の入口側に設けられている第1切替弁52を開き、シリンダ45の出口側に設けられている第2切替弁53を閉じる。そして、モータ51によりシリンダ内体積が増加する方向(図では左)にピストン46を移動させると、シリンダ45内へ溶剤を貯留することができる。
【0027】
次に、シリンダ45の入口側に設けられている第1切替弁52を閉じ、シリンダ45の出口側に設けられている第2切替弁53を開く。そして、モータ51によりシリンダ内体積が減少する方向(図では右)にピストン46を移動させると、シリンダ45から溶剤を吐出することができる。
モータ51の回転速度を変更することでピストン46の移動速度を変更することができ、溶剤の吐出流量を変更することができる。
【0028】
制御手段38は、塗料吐出口(図4、符号56)から吐出される塗料の速度が、溶剤吐出口(図4、符号55)から吐出される溶剤の速度より大きくなるように、溶剤供給手段36及び塗料供給手段34を制御する。
【0029】
なお、溶剤押出機構42は、シリンダ45とピストン46との間に漏れがないため、所定流量の溶剤を正確に吐出することができる。流速(流量)を変化させても正確さは維持できる。一方、ギヤポンプは、ポンプケースとギヤとの間に不可避的に漏れが発生するため、低流量では流速のばらつきが起こりやすい。そこで、本実施例では、高流速側をポンプ41とし、低流速側を溶剤押出機構42とした。
【0030】
図4に示すように、溶剤吐出口55が塗料吐出口56で囲われている。
そして、図4の5−5線断面図である図5に示すように、大径の塗料供給管33の中心に小径の溶剤供給管35が配置されており、このような構造は二重管構造と呼ばれる。大径の塗料供給管33の中心に小径の溶剤供給管35を配置するだけで済むため、構造が単純である。
【0031】
図5の変形例を図6、図7で説明する。
図6に示すように、塗料供給管33の先端面58に、複数個(この例では8個)の略半円断面の塗料吐出口56を設け、これらの塗料吐出口56で溶剤吐出口55を囲うようにしても良い。図5の構造では、塗料供給管33を何かに当てると、塗料供給管33の中心が溶剤供給管35の中心から外れように変形又は変位することがある。この点、図6の構造であれば、変形、変位が起こり難く、寸法精度が保たれる。
【0032】
ところで、色替えの際に、溶剤で塗料供給管33の先端面58を洗浄することが試みられる。
その際には、図7に示すように、中心の溶剤吐出口55を塗料吐出口56で囲い、これらの塗料吐出口56を洗浄液吐出口57で囲うようにすることが有効である。
【0033】
先端面58を囲うように洗浄液吐出口57Bがあるため、先端面58をむら無く洗浄することができる。なお、洗浄液吐出口57Bは、塗料吐出口56又は塗料吐出管33より大径な洗浄液吐出管としても良い。
【0034】
以上の構成からなる塗装装置の作用を次に述べる。
図8(a)に示すように、塗料吐出口56から吐出される塗料の速度Vpが、溶剤吐出口55から吐出される溶剤の速度Vcより大きくなるように制御する。
溶剤の速度Vcが小さいと、重力作用で飛翔軌跡が下へ曲がる。一方、塗料は溶剤に比較して密度が大きく、且つ速度Vpが大きい。
【0035】
図8(b)に示すように、強固な塗料の筒59ができあがる。溶剤60はこの塗料の筒59で囲われる。そのため、溶剤60が下方へ落下することが防止される。
すなわち、塗装装置(図2、符号30B)の姿勢を変えても、塗装装置の内部へ溶剤が侵入する心配のない塗装技術が提供される。
【0036】
本発明者らは、本発明の塗装装置30Bを用いて、回転速度とNV値の相関及び回転速度とLW値の相関を調べた。
NVは、Non Volatileの略号で、塗料の不揮発分を示す。
NV値は、((乾燥後の塗料質量)/(乾燥前の塗料質量))×100で求められる。
【0037】
図9において、P1点は、調合された塗料のみ(溶剤を添加しない。)を、標準回転で垂直面に噴射した場合の値である。
【0038】
回転速度を上げたP2点では、高速回転により塗料の粒が標準回転より小さくなる。粒が小さくなる程、比表面積(体積に対する表面積の割合)が増加する。塗料の粒の表面から溶剤が蒸発するため、比表面積が大きいほど、溶剤の蒸発量が増大する。この現象は塗装ガンからワークまで飛翔している間に顕著となる。
【0039】
(乾燥前の塗料質量)は、ワークに塗料が当たった(付着した直後の)時点で計算される。
標準回転に比較して高速回転で飛ばされると、飛翔中に溶剤が多く蒸発する。すなわち、高速回転にするほど、(乾燥前の塗料質量)は小さくなる。結果、(乾燥後の塗料質量)/(乾燥前の塗料質量)×100は大きくなる。そのため、NV値は、P2点がP1点より大きくなる。
【0040】
一方、P3点は、4%の溶剤が添加された塗料を、標準回転で垂直面に噴射した場合の値である。
溶剤が添加されているため、(乾燥前の塗料質量)が大きくなり、結果、(乾燥後の塗料質量)/(乾燥前の塗料質量)×100は小さくなる。そのため、P3点はP1点より小さくなる。
高速回転で、塗料を微細化することで、標準回転よりNV値が上がることは上述した通りであり、結果、P4点はP3点より大きくなる。
【0041】
NV値の好適範囲を、t1〜t2とすれば、この範囲から離れるP2点を、4%の溶剤を添加したことで範囲中のP4点にすることができたと言える。
このような処理の結果は、LW値で評価することができる。
【0042】
LWはLong Waveの略号であり、LW値はWavescan(BYK Gardner社製)と呼ばれる測定器で測定される、塗膜の平滑度を示す指標である。具体的には、この測定器からレーザ光を塗膜表面に照射して、塗膜表面の反射光強度を検出し、塗膜表面の光学プロファイルを検出する。そして、光学プロファイルを数学的フィルタにかけ、塗膜表面のストラクチャを波長毎に分離し、測定した波長がある程度長いものを抽出して数値化する。この数値がLW値である。
LW値が小さいほど表面が平滑であり、外観が良好であると言える。
【0043】
ワークの垂直面(車体の側面に相当)に塗装を施し、乾燥させ、LW値を測定した結果を図で説明する。
図10において、P10点は、図9でのP1点での塗布条件と同じである。P11点、P13点、P14点は、図9でのP2点、P3点、P4点での塗布条件と同じである。
【0044】
P11点が、P10点よりLW値が大きくなり、外観性が低下したのは、高速化により塗料の粒が微細化されたというプラス効果よりも、NV値が大きくなって塗料の流動性が低下したマイナス効果が顕著になったことがその理由と考えられる。
【0045】
垂直面であっても、P13点に示すように、溶剤を添加することにより、NV値が小さくなり、流動化が確保され、平坦化が促される。
P14点は、高速化により塗料の粒が微細化されたというプラス効果が顕著になったと考えられる。
【0046】
したがって、ワークの上面と側面とによって、塗装条件を変更することが有効となる。
【0047】
【表1】
【0048】
車種Aは、いわゆる高級車であり、良質な塗膜が要求される。
そこで、車体の上面に対しては、塗装ガンを標準回転させる。溶剤の供給は行わない。すなわち、図3において、第2切替弁53を閉じておく。
また、車体の側面に対しては、塗装ガンを高速回転させると共に、溶剤の供給を行う。すなわち、図3において、第2切替弁53を開き、溶剤押出機構42を作動させる。
【0049】
ボンネットやルーフなどの車体の上面を塗装する場合には、塗料粒子が被塗装面に塗着して凹凸が生じても、重力は被塗装面に垂直に作用するため、表面張力及び重力により、塗料粒子が被塗装面になじみやすく、良好な平滑性が得られ易い。
ところが、フェンダーやドアパネルなどの車体の側面を塗装する場合には、塗料粒子が被塗装面に塗着して凹凸が生じると、重力は被塗装面に沿って作用するので、重力により、塗料粒子が被塗装面となじみにくくなり、良好な平滑性が得られにくい。
【0050】
車種Bは、いわゆる大衆車であり、標準の塗膜で差し支えない。
そこで、車体の上面/側面共に、塗装ガンを標準回転させる。溶剤の供給は行わない。すなわち、図3において、第2切替弁53を閉じておく。
【0051】
表から明らかなように、大衆車(車種B)に準備した塗料を用いる。そして、高級車(車種A)の側面に、高速回転で、且つ4%程度の溶剤を加えた塗装を施すと、高品質な塗膜が得られる。
すなわち、高級車(車種A)のために別途、高級な塗料を準備する必要はない。
結果、車種Aと車種Bとが混在して流れてくる混流生産に、好適な上塗り塗装ラインが提供される。
【0052】
尚、本発明は、車体の塗装に好適であるが、塗装対象物は車体の他、いわゆる白物家電品であってもよく、格別に対象物を限定するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明は、車体の塗装に好適である。
【符号の説明】
【0054】
30B…塗装装置、33…塗料供給管、34…塗料供給手段、35…溶剤供給管、36…溶剤供給手段、37…回転霧化式塗装ガン、38…制御手段、55…溶剤吐出口、56…塗料吐出口、Vc…溶剤の速度、Vp…塗料の速度。
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車に好適な塗装技術に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車の塗装は、自動化が求められ、自動吹付け塗装システムが提案されている(例えば、特許文献1(図1(B))参照。)。
【0003】
特許文献1を次図に基づいて説明する。
図11は従来の塗装装置の原理図であり、塗装装置100において、中心に配置されている塗料供給管101から塗料102が供給され、この塗料供給管101を囲う溶剤供給管103から溶剤104が供給される。
【0004】
塗料供給管101及び溶剤供給管103を一括して囲う筒状シャフト105が高速で回転すると、筒状シャフト105の先端のベルカップ106も高速に回転する。すると、遠心力により、供給された塗料102と溶剤104は混合した形態でベルカップ106の先端から噴射される。
【0005】
ところで、溶剤104は塗料102に比較して格段に粘性が小さい。すなわち、さらさらしている。そのために、矢印(1)のように、溶剤104の一部が溶剤供給管103の先端から垂れることがある。
仮に、塗装装置100の先端が斜め上又は上に向いていると、垂れた溶剤104が矢印(2)のように、溶剤供給管103の外周面を伝わって流れ、塗装装置100の内部要素(ベアリングなど)を傷めることがある。
【0006】
対策として、溶剤供給管103と筒状シャフト105との間にシール部材を、介在させことが考えられるが、筒状シャフト105が高速回転体で、溶剤供給管103が非回転体であるため、シール部材の寿命が短くなることや高価なシール部材を使う必要があるなど、問題が残る。
【0007】
そこで、塗装装置100の姿勢に拘わらず、内部へ溶剤が侵入する心配のない塗装装置が求められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平8−155375号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、塗装装置の姿勢を変えても、塗装装置の内部へ溶剤が侵入する心配のない塗装技術を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1に係る発明は、塗料供給管へ塗料を供給する塗料供給手段と、
溶剤供給管へ溶剤を供給する溶剤供給手段と、
前記塗料供給手段により供給された塗料と前記溶剤供給手段により供給された溶剤とを噴霧する回転霧化式塗装ガンと、を用いてワークへ静電塗装を施す塗装方法であって、
前記回転霧化式塗装ガンは、前記溶剤供給管の先端面に形成される溶剤吐出口が、前記塗料供給管の先端面に形成される塗料吐出口で囲われており、
前記塗料吐出口から吐出される塗料の速度が、前記溶剤吐出口から吐出される溶剤の速度より大きく設定されていることを特徴とする。
【0011】
請求項2に係る発明は、塗料供給管へ塗料を供給する塗料供給手段と、
溶剤供給管へ溶剤を供給する溶剤供給手段と、
前記塗料供給手段により供給された塗料と前記溶剤供給手段により供給された溶剤とを噴霧する回転霧化式塗装ガンと、
前記塗料供給手段、前記溶剤供給手段及び前記回転霧化式塗装ガンを制御する制御手段とを備え、ワークへ静電塗装を施す塗装装置であって、
前記回転霧化式塗装ガンは、前記溶剤供給管の先端面に形成される溶剤吐出口が、前記塗料供給管の先端面に形成される塗料吐出口で囲われており、
前記制御手段は、前記塗料吐出口から吐出される塗料の速度が、前記溶剤吐出口から吐出される溶剤の速度より大きくなるように制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に係る発明では、溶剤吐出口が、塗料吐出口で囲われており、塗料吐出口から吐出される塗料の速度が、溶剤吐出口から吐出される溶剤の速度より大きく設定されている。溶剤が落下したとしても、この溶剤は塗料の筒で落下が阻止される。
したがって、本発明によれば、塗装装置の姿勢を変えても、塗装装置の内部へ溶剤が侵入する心配のない塗装技術が提供される。
【0013】
請求項2に係る発明も同様に、溶剤吐出口が、塗料吐出口で囲われており、塗料吐出口から吐出される塗料の速度が、溶剤吐出口から吐出される溶剤の速度より大きく設定されている。溶剤が落下したとしても、この溶剤は塗料の筒で落下が阻止される。
したがって、本発明によれば、塗装装置の姿勢を変えても、塗装装置の内部へ溶剤が侵入する心配のない塗装技術が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】上塗り塗装ラインの概念図である。
【図2】クリア塗装設備の斜視図である。
【図3】塗装装置の構成図である。
【図4】塗装ガンの要部断面図である。
【図5】図4の5−5線断面図である。
【図6】図5の変更図である。
【図7】図5の更なる変更図である。
【図8】本発明の係る塗装装置の作用図である。
【図9】ベルの回転数とNV値の関係を調べたグラフである。
【図10】ベルの回転数とLW値の関係を調べたグラフである。
【図11】従来の塗装装置の原理図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、図面は符号の向きに見るものとする。
【実施例】
【0016】
本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
図1に示されるように、上塗り塗装ライン10は、車体11A(英文字は場所を区別するために付した。)の搬送路12に沿って配置され中塗り塗装までが施されている車体11Bにベース塗装を施すベース塗装設備13と、ベース塗装が施された車体11Cを80℃程度に加熱して塗膜中の水分を飛ばすフラッシュオフ設備14と、次に車体11Dにクリア塗装を施すクリア塗装設備15と、ベース塗装及びクリア塗装からなる上塗り塗装が施された車体11Eを加熱して塗膜を焼き付ける焼き付け設備16とからなる。
【0017】
上塗り塗装ライン10中のクリア塗装設備15の構成を詳しく説明する。
図2に示されるように、クリア塗装設備15には、搬送路12の両側方に左右の第1ロボット21L、21R(Lは上流から見て左、Rは同右を示す。以下同様)が配置され、これらの左右の第1ロボット21L、21Rの下流側に左右の第2ロボット22L、22Rが配置され、これらの左右の第2ロボット22L、22Rの下流側に左右の第3ロボット23L、23Rが配置されている。
【0018】
この例では、第1ロボット21L、21Rで車体11Dの上面を塗装し、第2ロボット22L、22Rと第3ロボット23L、23Rで車体11Dの側面の塗装を行う。
【0019】
右の第1ロボット21Rは、ロボット本体25と、このロボット本体25の先端に設けられる塗装装置30Aと、この塗装装置30Aへ外部から塗料を供給する塗料供給路31とからなる。
左の第1ロボット21Lも同様である。
【0020】
右の第2ロボット22Rは、ロボット本体25と、このロボット本体25の先端に設けられる塗装装置30Bと、この塗装装置30Bへ外部から塗料を供給する塗料供給路31と、塗装装置30Bへ外部から溶剤を供給する溶剤供給路32とからなる。
左の第2ロボット22L及び左右の第3ロボット23L、23Rも同様であるため、符号を流用して、詳細な説明は省略する。
【0021】
すなわち、左右の第1ロボット21L、21Rの塗装装置30Aには、溶剤供給路32が接続されていない。
その他の塗装装置30Bには、塗料供給路31及び溶剤供給路32が接続されている。
【0022】
次に、塗装装置30Bの詳細を説明する。
図3に示されるように、塗装装置30Bは、塗料供給管33へ塗料を供給する塗料供給手段34と、溶剤供給管35へ溶剤を供給する溶剤供給手段36と、塗料供給手段34により供給された塗料と溶剤供給手段36により供給された溶剤とを噴霧する回転霧化式塗装ガン37と、塗料供給手段34、溶剤供給手段36及び回転霧化式塗装ガン37を制御する制御手段38とを備えている静電塗装装置である。
【0023】
回転霧化式塗装ガン37は、ガン中心に配置される溶剤供給管35と、この溶剤供給管35を囲う塗料供給管33と、この塗料供給管33を囲い先端にベルカップ部43aを備え回転する筒状シャフト43とからなる。
【0024】
塗料供給手段34は、先端が塗料供給管33に繋がる塗料供給路31と、この塗料供給路31に介設されるポンプ41とからなり、所定量の塗料を塗料供給管33へ供給する。なお、ポンプ41はギヤポンプ、ルーツポンプ、プランジャポンプの何れでも良い。ポンプ41の回転速度を変えることで、塗料の流量を変更することができる。
【0025】
溶剤供給手段36は、先端が溶剤供給管35に繋がる溶剤供給路32と、この溶剤供給路32に介設される溶剤押出機構42とからなる。
溶剤押出機構42は、例えば、溶剤を貯留するシリンダ45と、このシリンダ45に移動可能に収納されるピストン46と、このピストン46からシリンダ45外まで延びるピストンロッド47と、シリンダ45外に配置されピストンロッド47に繋がっているナット48と、シリンダ45外に配置されナット48をシリンダ45の軸方向へ移動させる送りねじ49と、この送りねじ49を正逆転させるモータ51とからなる。
【0026】
先ず、シリンダ45の入口側に設けられている第1切替弁52を開き、シリンダ45の出口側に設けられている第2切替弁53を閉じる。そして、モータ51によりシリンダ内体積が増加する方向(図では左)にピストン46を移動させると、シリンダ45内へ溶剤を貯留することができる。
【0027】
次に、シリンダ45の入口側に設けられている第1切替弁52を閉じ、シリンダ45の出口側に設けられている第2切替弁53を開く。そして、モータ51によりシリンダ内体積が減少する方向(図では右)にピストン46を移動させると、シリンダ45から溶剤を吐出することができる。
モータ51の回転速度を変更することでピストン46の移動速度を変更することができ、溶剤の吐出流量を変更することができる。
【0028】
制御手段38は、塗料吐出口(図4、符号56)から吐出される塗料の速度が、溶剤吐出口(図4、符号55)から吐出される溶剤の速度より大きくなるように、溶剤供給手段36及び塗料供給手段34を制御する。
【0029】
なお、溶剤押出機構42は、シリンダ45とピストン46との間に漏れがないため、所定流量の溶剤を正確に吐出することができる。流速(流量)を変化させても正確さは維持できる。一方、ギヤポンプは、ポンプケースとギヤとの間に不可避的に漏れが発生するため、低流量では流速のばらつきが起こりやすい。そこで、本実施例では、高流速側をポンプ41とし、低流速側を溶剤押出機構42とした。
【0030】
図4に示すように、溶剤吐出口55が塗料吐出口56で囲われている。
そして、図4の5−5線断面図である図5に示すように、大径の塗料供給管33の中心に小径の溶剤供給管35が配置されており、このような構造は二重管構造と呼ばれる。大径の塗料供給管33の中心に小径の溶剤供給管35を配置するだけで済むため、構造が単純である。
【0031】
図5の変形例を図6、図7で説明する。
図6に示すように、塗料供給管33の先端面58に、複数個(この例では8個)の略半円断面の塗料吐出口56を設け、これらの塗料吐出口56で溶剤吐出口55を囲うようにしても良い。図5の構造では、塗料供給管33を何かに当てると、塗料供給管33の中心が溶剤供給管35の中心から外れように変形又は変位することがある。この点、図6の構造であれば、変形、変位が起こり難く、寸法精度が保たれる。
【0032】
ところで、色替えの際に、溶剤で塗料供給管33の先端面58を洗浄することが試みられる。
その際には、図7に示すように、中心の溶剤吐出口55を塗料吐出口56で囲い、これらの塗料吐出口56を洗浄液吐出口57で囲うようにすることが有効である。
【0033】
先端面58を囲うように洗浄液吐出口57Bがあるため、先端面58をむら無く洗浄することができる。なお、洗浄液吐出口57Bは、塗料吐出口56又は塗料吐出管33より大径な洗浄液吐出管としても良い。
【0034】
以上の構成からなる塗装装置の作用を次に述べる。
図8(a)に示すように、塗料吐出口56から吐出される塗料の速度Vpが、溶剤吐出口55から吐出される溶剤の速度Vcより大きくなるように制御する。
溶剤の速度Vcが小さいと、重力作用で飛翔軌跡が下へ曲がる。一方、塗料は溶剤に比較して密度が大きく、且つ速度Vpが大きい。
【0035】
図8(b)に示すように、強固な塗料の筒59ができあがる。溶剤60はこの塗料の筒59で囲われる。そのため、溶剤60が下方へ落下することが防止される。
すなわち、塗装装置(図2、符号30B)の姿勢を変えても、塗装装置の内部へ溶剤が侵入する心配のない塗装技術が提供される。
【0036】
本発明者らは、本発明の塗装装置30Bを用いて、回転速度とNV値の相関及び回転速度とLW値の相関を調べた。
NVは、Non Volatileの略号で、塗料の不揮発分を示す。
NV値は、((乾燥後の塗料質量)/(乾燥前の塗料質量))×100で求められる。
【0037】
図9において、P1点は、調合された塗料のみ(溶剤を添加しない。)を、標準回転で垂直面に噴射した場合の値である。
【0038】
回転速度を上げたP2点では、高速回転により塗料の粒が標準回転より小さくなる。粒が小さくなる程、比表面積(体積に対する表面積の割合)が増加する。塗料の粒の表面から溶剤が蒸発するため、比表面積が大きいほど、溶剤の蒸発量が増大する。この現象は塗装ガンからワークまで飛翔している間に顕著となる。
【0039】
(乾燥前の塗料質量)は、ワークに塗料が当たった(付着した直後の)時点で計算される。
標準回転に比較して高速回転で飛ばされると、飛翔中に溶剤が多く蒸発する。すなわち、高速回転にするほど、(乾燥前の塗料質量)は小さくなる。結果、(乾燥後の塗料質量)/(乾燥前の塗料質量)×100は大きくなる。そのため、NV値は、P2点がP1点より大きくなる。
【0040】
一方、P3点は、4%の溶剤が添加された塗料を、標準回転で垂直面に噴射した場合の値である。
溶剤が添加されているため、(乾燥前の塗料質量)が大きくなり、結果、(乾燥後の塗料質量)/(乾燥前の塗料質量)×100は小さくなる。そのため、P3点はP1点より小さくなる。
高速回転で、塗料を微細化することで、標準回転よりNV値が上がることは上述した通りであり、結果、P4点はP3点より大きくなる。
【0041】
NV値の好適範囲を、t1〜t2とすれば、この範囲から離れるP2点を、4%の溶剤を添加したことで範囲中のP4点にすることができたと言える。
このような処理の結果は、LW値で評価することができる。
【0042】
LWはLong Waveの略号であり、LW値はWavescan(BYK Gardner社製)と呼ばれる測定器で測定される、塗膜の平滑度を示す指標である。具体的には、この測定器からレーザ光を塗膜表面に照射して、塗膜表面の反射光強度を検出し、塗膜表面の光学プロファイルを検出する。そして、光学プロファイルを数学的フィルタにかけ、塗膜表面のストラクチャを波長毎に分離し、測定した波長がある程度長いものを抽出して数値化する。この数値がLW値である。
LW値が小さいほど表面が平滑であり、外観が良好であると言える。
【0043】
ワークの垂直面(車体の側面に相当)に塗装を施し、乾燥させ、LW値を測定した結果を図で説明する。
図10において、P10点は、図9でのP1点での塗布条件と同じである。P11点、P13点、P14点は、図9でのP2点、P3点、P4点での塗布条件と同じである。
【0044】
P11点が、P10点よりLW値が大きくなり、外観性が低下したのは、高速化により塗料の粒が微細化されたというプラス効果よりも、NV値が大きくなって塗料の流動性が低下したマイナス効果が顕著になったことがその理由と考えられる。
【0045】
垂直面であっても、P13点に示すように、溶剤を添加することにより、NV値が小さくなり、流動化が確保され、平坦化が促される。
P14点は、高速化により塗料の粒が微細化されたというプラス効果が顕著になったと考えられる。
【0046】
したがって、ワークの上面と側面とによって、塗装条件を変更することが有効となる。
【0047】
【表1】
【0048】
車種Aは、いわゆる高級車であり、良質な塗膜が要求される。
そこで、車体の上面に対しては、塗装ガンを標準回転させる。溶剤の供給は行わない。すなわち、図3において、第2切替弁53を閉じておく。
また、車体の側面に対しては、塗装ガンを高速回転させると共に、溶剤の供給を行う。すなわち、図3において、第2切替弁53を開き、溶剤押出機構42を作動させる。
【0049】
ボンネットやルーフなどの車体の上面を塗装する場合には、塗料粒子が被塗装面に塗着して凹凸が生じても、重力は被塗装面に垂直に作用するため、表面張力及び重力により、塗料粒子が被塗装面になじみやすく、良好な平滑性が得られ易い。
ところが、フェンダーやドアパネルなどの車体の側面を塗装する場合には、塗料粒子が被塗装面に塗着して凹凸が生じると、重力は被塗装面に沿って作用するので、重力により、塗料粒子が被塗装面となじみにくくなり、良好な平滑性が得られにくい。
【0050】
車種Bは、いわゆる大衆車であり、標準の塗膜で差し支えない。
そこで、車体の上面/側面共に、塗装ガンを標準回転させる。溶剤の供給は行わない。すなわち、図3において、第2切替弁53を閉じておく。
【0051】
表から明らかなように、大衆車(車種B)に準備した塗料を用いる。そして、高級車(車種A)の側面に、高速回転で、且つ4%程度の溶剤を加えた塗装を施すと、高品質な塗膜が得られる。
すなわち、高級車(車種A)のために別途、高級な塗料を準備する必要はない。
結果、車種Aと車種Bとが混在して流れてくる混流生産に、好適な上塗り塗装ラインが提供される。
【0052】
尚、本発明は、車体の塗装に好適であるが、塗装対象物は車体の他、いわゆる白物家電品であってもよく、格別に対象物を限定するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明は、車体の塗装に好適である。
【符号の説明】
【0054】
30B…塗装装置、33…塗料供給管、34…塗料供給手段、35…溶剤供給管、36…溶剤供給手段、37…回転霧化式塗装ガン、38…制御手段、55…溶剤吐出口、56…塗料吐出口、Vc…溶剤の速度、Vp…塗料の速度。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
塗料供給管へ塗料を供給する塗料供給手段と、
溶剤供給管へ溶剤を供給する溶剤供給手段と、
前記塗料供給手段により供給された塗料と前記溶剤供給手段により供給された溶剤とを噴霧する回転霧化式塗装ガンと、を用いてワークへ静電塗装を施す塗装方法であって、
前記回転霧化式塗装ガンは、前記溶剤供給管の先端面に形成される溶剤吐出口が、前記塗料供給管の先端面に形成される塗料吐出口で囲われており、
前記塗料吐出口から吐出される塗料の速度が、前記溶剤吐出口から吐出される溶剤の速度より大きく設定されていることを特徴とする塗装方法。
【請求項2】
塗料供給管へ塗料を供給する塗料供給手段と、
溶剤供給管へ溶剤を供給する溶剤供給手段と、
前記塗料供給手段により供給された塗料と前記溶剤供給手段により供給された溶剤とを噴霧する回転霧化式塗装ガンと、
前記塗料供給手段、前記溶剤供給手段及び前記回転霧化式塗装ガンを制御する制御手段とを備え、ワークへ静電塗装を施す塗装装置であって、
前記回転霧化式塗装ガンは、前記溶剤供給管の先端面に形成される溶剤吐出口が、前記塗料供給管の先端面に形成される塗料吐出口で囲われており、
前記制御手段は、前記塗料吐出口から吐出される塗料の速度が、前記溶剤吐出口から吐出される溶剤の速度より大きくなるように制御することを特徴とする塗装装置。
【請求項1】
塗料供給管へ塗料を供給する塗料供給手段と、
溶剤供給管へ溶剤を供給する溶剤供給手段と、
前記塗料供給手段により供給された塗料と前記溶剤供給手段により供給された溶剤とを噴霧する回転霧化式塗装ガンと、を用いてワークへ静電塗装を施す塗装方法であって、
前記回転霧化式塗装ガンは、前記溶剤供給管の先端面に形成される溶剤吐出口が、前記塗料供給管の先端面に形成される塗料吐出口で囲われており、
前記塗料吐出口から吐出される塗料の速度が、前記溶剤吐出口から吐出される溶剤の速度より大きく設定されていることを特徴とする塗装方法。
【請求項2】
塗料供給管へ塗料を供給する塗料供給手段と、
溶剤供給管へ溶剤を供給する溶剤供給手段と、
前記塗料供給手段により供給された塗料と前記溶剤供給手段により供給された溶剤とを噴霧する回転霧化式塗装ガンと、
前記塗料供給手段、前記溶剤供給手段及び前記回転霧化式塗装ガンを制御する制御手段とを備え、ワークへ静電塗装を施す塗装装置であって、
前記回転霧化式塗装ガンは、前記溶剤供給管の先端面に形成される溶剤吐出口が、前記塗料供給管の先端面に形成される塗料吐出口で囲われており、
前記制御手段は、前記塗料吐出口から吐出される塗料の速度が、前記溶剤吐出口から吐出される溶剤の速度より大きくなるように制御することを特徴とする塗装装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−206670(P2011−206670A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−76698(P2010−76698)
【出願日】平成22年3月30日(2010.3.30)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月30日(2010.3.30)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】
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