説明

塵芥収集車

【課題】回転式塵芥収集車に塵芥を効果的に圧縮する機能を付加し、塵芥の収容効率を高める。
【解決手段】回転板5との間で塵芥を圧縮する圧縮板8を設け、回転板5、圧縮板8、及びテールゲートドラム4で形成された閉じた空間内で塵芥を圧縮する。これにより、回転板5と圧縮板8とで圧縮されて前方へ飛び出そうとする塵芥をテールゲートドラム4で抑えることができるため、塵芥を確実に圧縮することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塵芥収集車に関する。
【背景技術】
【0002】
塵芥収集車は、回転式塵芥収集車(例えば特許文献1参照)とプレス式塵芥収集車(例えば特許文献2参照)に大別される。回転式塵芥収集車は、回転板を回転させながら塵芥を収容するため、1サイクルタイムにおける塵芥投入可能時間が比較的長く、作業効率が良いというメリットがある反面、塵芥を圧縮することなく塵芥収容箱内に収容するため収容効率に問題がある。一方、プレス式塵芥収集車は、塵芥を圧縮してから塵芥収容箱内に収容するため、収容効率を高めることができるが、1サイクルタイムにおける塵芥投入可能時間が比較的短く、作業効率が悪いという特性がある。
【0003】
【特許文献1】特開2005−213027号公報
【特許文献2】特開2002−19907号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本出願人は、回転式塵芥収集車に塵芥を圧縮する機能を付加することで塵芥の収容効率を高めるべく、図6に示すような塵芥収集車を開発した。この塵芥収集車100は、押込板106の下端部に圧縮板108を回転可能に枢支固定し、この圧縮板108と回転板105とで塵芥を圧縮するようにしたものである。詳しくは、まず、塵芥投入箱103に投入された塵芥を回転板105で掻き上げ(矢印Aで示す)、これと同時に圧縮板108を下降方向(図6で反時計回り)に回転させ(矢印Bで示す)、これにより回転板105と圧縮板108とで塵芥を圧縮する。その後、圧縮板108を上昇方向(図6で時計回り)に回転させて圧縮板108を押込み板106に収容すると共に、押込み板106で塵芥を前方へ押込み、塵芥を塵芥収容箱102内に収容する。尚、この塵芥収集車100では、圧縮板108と押込板106との間の空間に塵芥が侵入することを防止するために、この空間を前方から覆うブロックプレート111が設けられている。
【0005】
しかし、この塵芥収集車では、以下のような問題があった。すなわち、図6に示すように塵芥を圧縮する際、圧縮板108と回転板105の間に形成された空間の前方は開口しているため、上下から圧縮された塵芥が前方へ飛び出してしまう(矢印Cで示す)。これにより、塵芥を十分に圧縮することができない上、掻き上げた塵芥が再び塵芥投入箱内に落下してしまうため、作業効率を低下させることとなる。
【0006】
本発明の目的は、回転式塵芥収集車に塵芥を効果的に圧縮する機能を付加し、塵芥の収容効率を高めることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は、車体後方側に開口部を有する塵芥収容箱と、下方へ向けて膨出した形状を成すテールゲートドラムを有し、塵芥収容箱の後方開口部に開閉自在に取付けられた塵芥投入箱と、テールゲートドラムに投入された塵芥を掻き上げる回転板と、回転板で掻き上げられた塵芥を塵芥収容箱内へ押し込む押込板とを備えた塵芥収集車において、回転板で掻き上げた塵芥を上方から押さえる圧縮板を設け、回転板と圧縮板とテールゲートドラムとで形成される閉じた空間内で塵芥を圧縮することを特徴とする。
【0008】
このように、本発明の塵芥収集車では、回転板、圧縮板、及びテールゲートドラムで形成された閉じた空間内で塵芥を圧縮する。これにより、塵芥を圧縮する際、回転板と圧縮板との間に形成される空間の前方開口部をテールゲートドラムで覆うことができるため、圧縮により前方へ飛び出そうとする塵芥をテールゲートドラムで抑えることができる。従って、塵芥の飛び出しが防止され、確実に塵芥を圧縮することができると共に、圧縮した塵芥がテールゲートドラム内へ落下する事態を防止し、塵芥の収集効率の低下も回避できる。尚、「閉じた空間」とは、必ずしも完全に閉塞した空間を意味するものではなく、塵芥がこぼれ落ちるのを抑えられる程度の空間を意味し、具体的には、回転板と圧縮板の間の空間の前方開口部の少なくとも一部をテールゲートドラムで覆った状態のことを言う。
【0009】
この圧縮板の一端を押込板に回転可能に枢着すると、圧縮板を一方に回転させることで回転板との間で塵芥を圧縮し、圧縮板を他方へ回転させることで圧縮板を押込板に収容することができる。この場合、圧縮板と押込板との間に形成される空間の前方開口部を覆うブロックプレートを設ければ、押込板と圧縮板との間の空間に塵芥が入り込んで圧縮板の回転動作に支障を来す恐れを回避できる。
【0010】
押込板で塵芥を前方へ押込んだ後、押込板を後退させると、塵芥収容箱内に押込んだ塵芥が押込板の後退に伴って後方へ戻り、テールゲートドラム内に落下する恐れがある。この点に鑑み、押込板の後退動作と連動してブロックプレートを押込板に対して前方へ迫り出すようにすると、ブロックプレートで塵芥収容箱内を押さえながら押込板を後退させることができるため、テールゲートドラム内への塵芥の落下を防止することができると共に、圧縮変形した塵芥が復元することを抑制することができる。
【0011】
ところで、圧縮板による圧縮動作を圧縮板の位置で制御する場合、例えば圧縮板が所定位置まで達したことを検知する検知器を設け、この検知器の検知結果に基づいて圧縮動作を終了させ、次の動作に移行する。このような制御方法によると、硬いゴミや大量のゴミが投入された場合、圧縮板が所定位置に達するまでこれらのゴミを圧縮することができないことがある。このような場合、検知器により圧縮板を検知することができないため、圧縮動作を終了させることができず、次の動作に移ることができないという事態が生じる恐れがある。この点に鑑み、圧縮動作を圧縮板の押圧力で制御すれば、上記不具合を解消できる。すなわち、塵芥に対する圧縮板の押圧力を検知する検知器を設け、この検知器による規定値を超えた押圧力の検知結果に基づいて、圧縮板の圧縮動作を終了させるようにすれば、硬いゴミや大量のゴミが投入された場合であっても、圧縮動作を完了して次工程に移ることができる。あるいは、圧縮板の圧縮完了位置を検知する検知器を設け、規定時間経過後に完了位置の検知結果が得られない場合に、圧縮板の圧縮動作を終了させるようにすれば、上記と同様の効果を得ることができる。
【0012】
圧縮板の回転駆動は、例えば圧縮板の車幅方向両端に取り付けたプレスシリンダで行うことができる。この場合、一方のプレスシリンダ側に硬いゴミがあったり、あるいはゴミが一方のプレスシリンダ側に偏っていたりすると、他方のシリンダのみが伸びようとして左右のシリンダの伸び長さに差が生じ、圧縮板及びプレスシリンダに偏荷重が生じて動作不良や故障の原因となる恐れがある。この点に鑑み、両プレスシリンダの油圧配管経路に分集流弁を設ければ、両プレスシリンダの伸び長さを合わせることができ、圧縮板やプレスシリンダへの負荷を均等にすることができる。尚、分集流弁とは、2つのシリンダの同調作動を目的とした弁である(例えば、特開平09−89127号公報参照)。
【0013】
上記のような塵芥の圧縮は、例えば回転板を停止させた状態で行われる。このとき、回転板の停止位置を変更すれば、回転板、圧縮板、及びテールゲートドラムで形成される空間の容積を変更し、塵芥の圧縮率を調節することができる。従って、回転板の停止位置を任意に調節可能とすることで、投入するゴミの質や量に応じてゴミの圧縮率を調節し、収容効率及び作業効率を高めることができる。
【0014】
塵芥収容箱内の後方まで塵芥が積載された場合、圧縮板を作動させながら一連の作業を行うと、押込板による押込み時に塵芥収容箱内に積載された塵芥と圧縮板とが干渉し、圧縮板に過剰な負荷が加わって圧縮板を損傷する恐れがある。従って、塵芥収容箱内に所定以上の塵芥が積載されたら、圧縮板を押込板に収容した状態で塵芥の積込み作業を行うようにすれば、圧縮板に過剰な負荷が加わることを防止できる。この場合、圧縮板により塵芥を圧縮することができなくなるが、押込板による押圧力で塵芥を圧縮する効果を十分に得ることができる。例えば、塵芥に対する押込板の押圧力を検知する検知器を設け、この検知器による規定値を超えた押圧力の検知結果に基づいて、その後の塵芥の積込み作業を圧縮板を押込板に収容した状態で行うようにすればよい。
【0015】
また、塵芥の種類や量によっては、上記の圧縮工程を省略したほうが作業効率が良い場合がある。従って、圧縮板を作動させるか否かを選択するスイッチを設けておけば、塵芥の種類や量によって塵芥圧縮工程の有無を容易に切換えることができ、効率よく塵芥の収集を行うことができる。
【発明の効果】
【0016】
以上のように、本発明によると、圧縮板と回転板とで塵芥を圧縮してから塵芥収容箱内に収容することができるため、回転式塵芥収集車における塵芥の収容効率を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下に、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0018】
図1〜5は、本発明に係る塵芥収集車1の後方部分の断面図であり、外部から投入された塵芥を積載する工程を順に説明するものである。この塵芥収集車1は、塵芥収容箱2と、塵芥収容箱2の後方開口部に設けられ、上端部を枢着することにより開閉自在に取付けられた塵芥投入箱3とを備える。
【0019】
塵芥投入箱3は、前方に塵芥収容箱2と連通した開口部と、後方に塵芥を投入するための投入口とを有する。塵芥投入箱3の下部には、外部から塵芥が投入されるテールゲートドラム4が設けられる。テールゲートドラム4は、下方へ向けて膨出した部分円筒状を成し、前方端が塵芥収容箱2の後方開口部の下端に配されている。
【0020】
塵芥投入箱3には、テールゲートドラム4に収容された塵芥を掻き上げるための回転板5が設けられている。回転板5は、テールゲートドラム4の曲率中心とほぼ一致した車両幅方向(図1の紙面直交方向)の回転軸5aを有し、回転軸の両端が塵芥収容箱2の側壁に取り付けられる。
【0021】
塵芥投入箱3には、回転板5で掻き上げられた塵芥を前方へ押込む押込板6が設けられる。押込板6は、車両幅方向の回転軸6aを有し、上端部が押込シリンダ7を介して塵芥投入箱3の上端部に連結され、この押込シリンダ7の伸縮により、押込板6の下端部が回転軸6aを中心に前後方向に揺動する。
【0022】
押込板6の下端部には、圧縮板8の一端部がピン9で枢支固定されている。圧縮板8は、プレスシリンダ10を介して押込板6の上端部と連結されており、このプレスシリンダ10の伸縮により、圧縮板8がピン9を中心に回転する。
【0023】
圧縮板8が下がった状態では、押込板6と圧縮板8との間に前方へ開口した空間が形成される(図4参照)。この空間に塵芥が侵入すると、圧縮板8の回転動作が阻害される恐れがあるため、押込板6と圧縮板8との間の空間を前方から覆うブロックプレート11を設けて、上記の不具合を防止している。具体的には、ブロックプレート11の下端部を圧縮板8の他端部にピン12で枢支固定し、ブロックプレート11の上端部の車両幅方向両側に設けたローラ13を押込板6に設けられたレール6bに嵌め込んでいる。プレスシリンダ10を伸ばすと、圧縮板8が下方(図中の反時計回り)に回転し、これに伴ってブロックプレート11の上端部のローラ13がレール6bに沿ってスライドし、ブロックプレート11が下方へ移動する。尚、圧縮板8を押込板6に枢着する位置は必ずしも下端である必要はなく、回転板5で掻き上げた塵芥を上方から押さえることができる位置であれば良いが、塵芥の圧縮効率を考慮すれば下端に枢着することが好ましい。
【0024】
次に、塵芥収集車1による塵芥の積込動作を図1〜5に基づいて説明する。図1は塵芥積込完了時(塵芥投入前)、図2は掻き上げ準備時、図3は掻き上げ開始時、図4は塵芥圧縮時、図5は塵芥押込時をそれぞれ示している。
【0025】
図1は、押込シリンダ7が伸びきった状態、すなわち、押込板6の下端部が最も前方位置にある状態を示している。このとき、プレスシリンダ10は最も縮んだ状態とされ、圧縮板8及びブロックプレート11が押込板6に一体的に収容されている。また、回転板5は、前方水平位置にあり、テールゲートドラム4の前方端部とおよそ同じ高さに位置している。この状態で、塵芥投入箱3の後方開口部からテールゲートドラム4内へ塵芥が投入される。
【0026】
次に、回転板5を正方向(図2で時計回り方向)に回転させると共に、押込シリンダ7を収縮させて押込板6の下端部を後退させる(図2参照)。このとき、回転板5と押込板6とが干渉しないように、回転板5の回転速度及び押込板6の後退開始時を調整する。また、押込板6を後退動作と連動して、ブロックプレート11を押込板6に対して前方へ迫り出させることにより、塵芥収容箱2内へ押込んだ塵芥をブロックプレート11で押さえながら押込板6を後退させることができるため、塵芥が塵芥投入箱3側に逆流することを防止することができると共に、圧縮変形した塵芥が復元することを抑制することができる。プレスシリンダ10は完全に伸ばしきるのではなく、後の塵芥圧縮時における圧縮ストロークの分だけ残し、図2で示すように中間部で止めておく。
【0027】
その後、さらに押込板6を後退させて最後方位置で停止させる(図3参照)。このとき、回転板5は正方向に回転し続け、テールゲートドラム4に収容された塵芥の掻き上げを開始する。
【0028】
次に、図4に示すように、回転板5をさらに回転させてテールゲートドラム4と協働して塵芥を前方へ掻き上げる。回転板5が所定の位置まで達したら回転板5を停止させると共に、プレスシリンダ10を伸長させて圧縮板8を降下させ、回転板5で掻き上げた塵芥を圧縮板8で上方より圧縮する。詳しくは、回転板5をテールゲートドラム4の前方端部よりも下方位置で停止させると共に、圧縮板8をテールゲートドラム4の前方端部と同位置かそれよりも下方まで降下させることにより、圧縮板8、回転板5、及びテールゲートドラム4で形成される閉じた空間内で塵芥を圧縮する。これにより、圧縮板8と回転板5との間から前方に飛び出そうとする塵芥をテールゲートドラム4で抑えることができるため、塵芥を確実に圧縮することができると共に、飛び出した塵芥がテールゲートドラム4内に逆戻りする事態を回避できる。
【0029】
圧縮板8の車幅方向両端に取付けられたプレスシリンダ10の油圧配管経路には、分集流弁が設けられる(図示省略)。これにより、一方のプレスシリンダ10側に硬いゴミがあったり、あるいはゴミが一方のプレスシリンダ10側に偏っていたりした場合であっても、両プレスシリンダの伸び長さをあわせることができるため、プレスシリンダ10及び圧縮板8の動作不良を回避できる。
【0030】
この塵芥圧縮工程において、回転板5を停止させる位置を変更すれば、塵芥の圧縮率を調整することができる。例えば、回転板5をより上方で停止させ、回転板5と圧縮板8との間の空間を縮小すれば、塵芥の圧縮率を高めることができ、これとは逆に回転板5をより下方で停止させれば、塵芥の圧縮率を低くすることができる。このとき、回転板5の停止位置を任意に調節可能とすれば、塵芥の種類や量に応じて塵芥の圧縮率を調整することができる。回転板5の停止位置の調節方法としては、例えば、回転板5が所定位置に達したことを検知する検知器を設け、この検知器が検知してから回転板5を停止させるまでの時間をタイマー等で調節可能とすることが考えられる。あるいは、検知してから回転板5を停止させるまでの時間は一定とし、検知器の場所を変更可能とすることにより、回転板5の停止位置を調節することもできる。
【0031】
この圧縮工程では、圧縮板8が圧縮完了位置に達することにより、あるいは、プレスシリンダ10の伸び側油圧配管経路に設けた圧力検知器(図示省略)が所定の圧力を一定時間検知することにより、圧縮動作を終了させて次工程に移る。すなわち、通常は圧縮板8が所定位置に達したことを検知することで圧縮動作を終了させるが、圧縮板8が圧縮完了位置に達することができないような硬いゴミや大量のゴミが投入された場合は、プレスシリンダ10の圧力を検知することで圧縮動作を終了させる。このように、圧縮動作を、圧縮板8の位置だけでなく、プレスシリンダ10の油圧、すなわち塵芥に対する圧縮板8の押圧力でも制御するようにすれば、硬いゴミ等が投入された場合であっても圧縮を終了させて、確実に次工程に移ることができる。尚、上記のように圧縮板8の圧力を検知する他、圧縮板8の圧縮完了位置を検知する検知器を設け、規定時間経過後に完了位置の検知結果が得られない場合に、圧縮板8の圧縮動作を終了させるようにすることによっても、同様の効果を得ることができる(図示省略)。
【0032】
その後、図5に示すように、プレスシリンダ10を短縮して圧縮板8及びブロックプレート11を押込板6に収容すると共に、回転板5を正方向に回転させ、圧縮した塵芥を水平位置まで持ち上げて回転板5を停止させる。そして、押込シリンダ7を伸長して押込板6の下端部を前方へ振り出し、これにより回転板5で持ち上げた塵芥を塵芥収容箱2側へ押込む(図1参照)。このとき、押込板6の前方には圧縮板8及びブロックプレート11が配されているため、押込板6を介して圧縮板8及びブロックプレート11で塵芥を前方へ押込むこととなる。押込シリンダ10が最長状態となったとき、押込板6の押込面(図1では圧縮板8の前面)が斜め上方を向くこととなり、これにより塵芥を斜め上方へ積み上げて、塵芥をより効率よく積込むことができる。尚、圧縮板8及びブロックプレート11を押込板6に収容するタイミングは、上記のように押込板6による塵芥の押込みの直前である他、押込板6による塵芥の押込みと同時に収容してもよい。このとき、図1に示す押込み完了までに圧縮板8及びブロックプレート11が押込板6に収容されることが望ましい。
【0033】
以上のサイクルを繰り返すことにより、テールゲートドラム4に投入した塵芥を塵芥収容箱2へ積載する。尚、塵芥収容箱2の後方まで塵芥が積載されると、押込板6による押込力が大きくなる。この押込板6の押込力、すなわち押込シリンダ7の伸び側油圧配管経路に設けた油圧検知器(図示省略)が一定以上の油圧を検知すると、その後の塵芥積載サイクルがプレスシリンダ10を最短状態としたまま行われる。このように、プレスシリンダ10を最短状態としたまま、すなわち圧縮板8を押込板6に収容した状態のまま、塵芥の積載を行うことにより、塵芥収容箱2内へ塵芥を押込む際(図1参照)に圧縮板8に過剰な負荷が加わることを防止し、圧縮板8が損傷する事態を回避できる。また、圧縮板8を駆動しないため、圧縮板8による塵芥の圧縮は行われないが、塵芥収容箱2の後方まで塵芥が積載されているため、押込板6の押し込みにより塵芥を圧縮することができる。
【0034】
上記に示した一連の塵芥積層サイクルにおいて、回転板5の回転速度や停止のタイミング、あるいは圧縮板8の下降・上昇の速度やタイミングを調整すれば、様々な特性を得ることができる。例えば、回転板5をなるべく停止させることなく上記の一連の動作を行うようにすれば、サイクルタイムの短縮が図られ作業効率を高めることができる。
【0035】
あるいは、塵芥圧縮工程において、回転板5を停止させて圧縮板8を圧縮完了位置まで降下させた後(図4の状態)、圧縮板8を停止させた状態で回転板5を上昇させると、塵芥の2次圧縮効果を得ることができる。このような2次圧縮は、特にペットボトル等の嵩高の塵芥の場合に有効である。また、回転板5を停止させて圧縮板8を圧縮完了位置まで降下させた後(図4の状態)、回転板5と圧縮板8の間隔を維持しながら、あるいは間隔をさらに縮小しながら、回転板5及び圧縮板8の上昇を行えば、塵芥を圧縮した状態を維持して、あるいはさらに圧縮して、塵芥収容箱へ積載することができる。
【0036】
また、塵芥の種類や量によっては、上記の圧縮工程を省略したほうが作業効率が良い場合がある。このような場合、圧縮板8及びブロックプレート11を押込板6に格納したまま、すなわちプレスシリンダ10を最も縮小させた状態で、作業を行えばよい。このように圧縮板8を作動させない状態で塵芥の積込みを行うモードと、上記のように圧縮板8で圧縮して塵芥の積込みを行うモードとの切換を行うスイッチを設けておけば、塵芥の種類によって塵芥圧縮工程の有無を容易に切換えることができ、効率よく塵芥の収集を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】塵芥収集車の後部の断面図(塵芥積込完了時)である。
【図2】塵芥収集車の後部の断面図(掻き上げ準備時)である。
【図3】塵芥収集車の後部の断面図(掻き上げ開始時)である。
【図4】塵芥収集車の後部の断面図(塵芥圧縮時)である。
【図5】塵芥収集車の後部の断面図(塵芥押込時)である。
【図6】本出願人が先に開発した塵芥収集車の断面図である。
【符号の説明】
【0038】
1 塵芥収集車
2 塵芥収容箱
3 塵芥投入箱
4 テールゲートドラム
5 回転板
6 押込板
7 押込シリンダ
8 圧縮板
10 プレスシリンダ
11 ブロックプレート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体後方側に開口部を有する塵芥収容箱と、下方へ向けて膨出した形状を成すテールゲートドラムを有し、塵芥収容箱の後方開口部に開閉自在に取付けられた塵芥投入箱と、テールゲートドラムに投入された塵芥を掻き上げる回転板と、回転板で掻き上げられた塵芥を塵芥収容箱内へ押し込む押込板とを備えた塵芥収集車において、
回転板で掻き上げた塵芥を上方から押さえる圧縮板を設け、回転板と圧縮板とテールゲートドラムとで形成される閉じた空間内で塵芥を圧縮することを特徴とする塵芥収集車。
【請求項2】
圧縮板の一端を押込板に回転可能に枢着した請求項1記載の塵芥収集車。
【請求項3】
圧縮板と押込板との間に形成される空間の前方開口部を覆うブロックプレートを設けた請求項1又は2記載の塵芥収集車。
【請求項4】
押込板の後退動作と連動して、ブロックプレートを押込板に対して前方へ迫り出すようにした請求項3記載の塵芥収集車。
【請求項5】
塵芥に対する圧縮板の押圧力を検知する検知器を設け、この検知器による規定値を超えた押圧力の検知結果に基づいて、圧縮板の圧縮動作を終了させるようにした請求項1〜4の何れかに記載の塵芥収集車。
【請求項6】
圧縮板の圧縮完了位置を検知する検知器を設け、規定時間経過後に完了位置の検知結果が得られない場合に、圧縮板の圧縮動作を終了させるようにした請求項1〜4の何れかに記載の塵芥収集車。
【請求項7】
圧縮板の車幅方向両端に圧縮板を回転駆動するプレスシリンダを取り付け、このプレスシリンダの油圧配管経路に分集流弁を設けた請求項2〜6の何れかに記載の塵芥収集車。
【請求項8】
回転板の停止位置を調節可能とした請求項1〜7の何れかに記載の塵芥収集車。
【請求項9】
塵芥収容箱内に所定量以上の塵芥が積載されると、その後の塵芥の積込み作業を圧縮板を押込板に収容した状態で行う請求項2〜8の何れかに記載の塵芥収集車。
【請求項10】
塵芥に対する押込板の押圧力を検知する検知器を設け、この検知器による規定値を超えた押圧力の検知結果に基づいて、その後の塵芥の積込み作業を、圧縮板を押込板に収容した状態で行う請求項2〜9の何れかに記載の塵芥収集車。
【請求項11】
圧縮板を作動させるか否かを選択するスイッチを具備した請求項1〜10の何れかに記載の塵芥収集車。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−137727(P2009−137727A)
【公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−317403(P2007−317403)
【出願日】平成19年12月7日(2007.12.7)
【出願人】(000192073)株式会社モリタホールディングス (80)
【Fターム(参考)】