増幅器の位相補償回路及び増幅回路
【課題】増幅器の位相補償精度を向上させることができる増幅器の位相補償回路を提供することを課題とする。
【解決手段】増幅器の位相補償回路は、入力端子及び第1のノード間に接続される第1の容量(404)と、前記第1のノード及び第1の増幅器の入力端子間に接続される第2の容量(405)と、ゲートが前記第1のノードに接続され、ソース及びドレインが第1の電位ノードに接続される第1の電界効果トランジスタ(406)と、前記入力端子の信号のエンベロープを検出するエンベロープ検出回路(411,412)と、前記エンベロープ検出回路により検出されたエンベロープを増幅し、前記第1のノードに出力する第2の増幅器(413)とを有する。
【解決手段】増幅器の位相補償回路は、入力端子及び第1のノード間に接続される第1の容量(404)と、前記第1のノード及び第1の増幅器の入力端子間に接続される第2の容量(405)と、ゲートが前記第1のノードに接続され、ソース及びドレインが第1の電位ノードに接続される第1の電界効果トランジスタ(406)と、前記入力端子の信号のエンベロープを検出するエンベロープ検出回路(411,412)と、前記エンベロープ検出回路により検出されたエンベロープを増幅し、前記第1のノードに出力する第2の増幅器(413)とを有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、増幅器の位相補償回路及び増幅回路に関する。
【背景技術】
【0002】
図1(A)は増幅器101を示す図であり、図1(B)は増幅器101の位相特性を示す図である。増幅器101は、入力端子102の信号を増幅し、出力端子103に出力する。図1(B)の位相特性は、出力パワーに対する位相の微分値を示す。位相の微分値は、入力信号に対する出力信号の位相の微分値である。位相特性は、線形動作領域111及び非線形動作領域112,113を有する。領域112は凸部特性の非線形動作領域であり、領域113は凹部特性の非線形動作領域である。
【0003】
一般に、無線通信機で用いられる増幅器101は、入力信号の位相を変えることなく、振幅を線形に増幅することが求められる。しかしながら、半導体素子を用いた増幅器101では、入力信号パワーが高まるにつれて、出力信号の位相が回転する現象(位相歪み特性)が現れ、非線形動作領域112及び113が生じる。位相歪みは、増幅器101の出力信号を歪ませるため、出力スペクトルが、無線規格で規定されたマスクをはみ出す問題を引き起こす。また、位相変調方式等を使用した通信においては、通信エラーを引き起こす。そのため、非線形動作領域112及び113をなくし、出力パワーが高い場合にも、フラットな線形動作領域を確保したいとの要求がある。
【0004】
図2は、増幅器101の位相を補償する位相補償回路201を示す図である。位相補償回路201は、入力端子102及び増幅器101の入力端子間に接続される。位相補償回路201は、増幅器101自体で生じる位相歪みの逆特性となる歪み(プリディストーション)を生成し、それを増幅器101の入力端子に入力することにより、増幅器101の出力の位相歪みをキャンセルする。
【0005】
図3(A)〜(C)は、位相補償回路201の位相補償を説明するための図である。図3(A)は位相補償回路201の構成例を示す図である。位相補償回路201は、pチャネル電界効果トランジスタ301を有する。pチャネル電界効果トランジスタ301は、ゲートが増幅器101の入力端子に接続され、ソース及びドレインが基準電位ノードに接続され、ダイオードとして機能する。増幅器101は、入力端子102の信号202を増幅し、出力端子103に出力する。
【0006】
図3(B)は、pチャネル電界効果トランジスタ301により構成されるダイオードの特性を示す図である。横軸はトランジスタ301のゲート及びソース間電圧Vgsを示し、縦軸はトランジスタ301のゲート及びソース間容量Cgsを示す。pチャネル電界効果トランジスタ301のダイオードは、ゲート及びソース間電圧Vgsの増加に対して、ゲート及びソース間容量Cgsが減少する特性を示す。トランジスタ301のダイオードへの入力信号202のパワーが高まると、トランジスタ301のダイオードのゲートのバイアスが持ち上がってくるため、ゲート及びソース間容量Cgsが減少する。ゲート及びソース間容量Cgsの減少により、信号202の通過位相は早まるため、増幅器101自体で発生する位相遅れを補償できる。
【0007】
図3(C)は、図1(B)と同様の増幅器101の位相特性311及び位相補償回路201の位相特性312を示す。位相補償回路201は、増幅器101の位相特性311のうちの中パワー近傍の領域112(図1(B))で生じる位相の遅れ(基準に対して増加している成分)を補償するために、その逆特性となる歪みの位相特性312を生成する。これにより、増幅器101の位相特性311の歪みを低減することができる。
【0008】
しかしながら、位相補償回路201には、下記の2点の問題がある。第1に、入力信号202のレベルが小さいため、ゲート及びソース間容量Cgsの変調幅302が小さく、増幅器101の位相遅れを補償するのに十分なだけの位相進みを発生できない。第2に、位相補償回路201による位相特性312のピークを、増幅器101の位相特性311のピーク(狙いの出力パワー)に合わせこむことが難しい。
【0009】
また、変調波信号を増幅器で増幅するに際して当該増幅器で発生する歪みを当該変調波信号の包絡線情報に基づいてプリディストーション方式で補償するプリディストーション方式増幅器が知られている。
【0010】
また、位相変調器と振幅変調器の縦続回路と第1の関数発生器と第2の関数発生器と包絡線検波器とから成り、遅延特性をもたない非線形回路の逆特性を有し、この非線形回路を含む伝送系において入力側に挿入されることにより非線形回路の出力信号の非線形歪みを除去するプレディストーターが知られている。
【0011】
また、変調波を増幅する増幅器と、増幅器の出力を検波する検波器と、検波器の出力のエンベロープとエンベロープ基準信号とを比較してエンベロープ誤差を検出する比較器と、エンベロープ誤差信号とエンベロープ基準信号との和を求める加算器とを有し、加算器の出力を増幅器に電源として供給するようにした線形増幅器が知られている。
【0012】
また、信号の振幅及び位相を変化させる振幅位相変化装置において、信号を複数に分配する分配手段と、これら各分配信号の位相を変化させる移相手段と、位相が変化させられたこれら複数の分配信号を合成して、移相手段による各分配信号の位相変化量に応じた振幅変化量及び位相変化量を有した合成信号を取得する合成手段とを備えた振幅位相変化装置が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2002−223129号公報
【特許文献2】特開昭56−66909号公報
【特許文献3】特開平5−175771号公報
【特許文献4】特開2001−326541号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明の目的は、増幅器の位相補償精度を向上させることができる増幅器の位相補償回路及び増幅回路を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
増幅器の位相補償回路は、入力端子及び第1のノード間に接続される第1の容量と、前記第1のノード及び第1の増幅器の入力端子間に接続される第2の容量と、ゲートが前記第1のノードに接続され、ソース及びドレインが第1の電位ノードに接続される第1の電界効果トランジスタと、前記入力端子の信号のエンベロープを検出するエンベロープ検出回路と、前記エンベロープ検出回路により検出されたエンベロープを増幅し、前記第1のノードに出力する第2の増幅器とを有する。
【発明の効果】
【0016】
入力信号のエンベロープを増幅することにより、第1の増幅器の位相歪みを高精度で補償することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1(A)は増幅器を示す図であり、図1(B)は増幅器の位相特性を示す図である。
【図2】増幅器の位相を補償する位相補償回路を示す図である。
【図3】図3(A)〜(C)は位相補償回路の位相補償を説明するための図である。
【図4】図4(A)及び(B)は第1の実施形態による増幅器の位相補償回路を有する増幅回路を説明するための図である。
【図5】図5(A)及び(B)は図4(A)の回路のシミュレーション結果を示す図である。
【図6】図6(A)及び(B)は第2の実施形態による増幅器の位相補償回路を有する増幅回路を説明するための図である。
【図7】図7(A)及び(B)は図6(A)の回路のシミュレーション結果を示す図である。
【図8】第3の実施形態による増幅器の位相補償回路を有する増幅回路の構成例を示す回路図である。
【図9】図8の回路のシミュレーション結果を示す図である。
【図10】第1の増幅器の位相特性を示す図である。
【図11】第4の実施形態による増幅器の位相補償回路を有する増幅回路の構成例を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(第1の実施形態)
図4(A)及び(B)は、第1の実施形態による増幅器の位相補償回路を有する増幅回路を説明するための図である。図4(A)は、第1の実施形態による増幅器の位相補償回路を有する増幅回路の構成例を示す回路図である。第1の増幅器401の前段に、位相補償回路が接続される。位相補償回路は、第1の容量404、第2の容量405、第1の電界効果トランジスタ406、第3の容量407、検波器411、低域通過フィルタ(ローパスフィルタ)412、第2の増幅器413、及び抵抗414を有し、第1の増幅器401の位相を補償する。
【0019】
入力端子402には、変調波の入力信号421が入力される。第1の容量404は、入力端子402及び第1のノードN1間に接続される。第2の容量405は、第1のノードN1及び第1の増幅器401の入力端子間に接続される。第1の電界効果トランジスタ406は、pチャネル電界効果トランジスタであり、ゲートが第1のノードN1に接続され、ソース及びドレインが第1の電位ノードVrに接続され、ダイオードとして機能する。第3の容量407は、第1の電位ノードVr及び基準電位ノード(グランド電位ノード)間に接続される。第1の電位ノードVrに供給される第1の電位は、可変制御可能な直流バイアス電位である。
【0020】
エンベロープ(包絡線)検出回路は、検波器411及び低域通過フィルタ412を有し、入力端子402の信号421のエンベロープ422を検出する。第2の増幅器413は、利得を制御可能な可変利得増幅器であり、エンベロープ検出回路により検出されたエンベロープ422を増幅し、増幅したエンベロープ423を抵抗414を介して第1のノードN1に出力する。検波器411は、入力端子402の信号421をダイオードにより整流することにより検波する。低域通過フィルタ412は、検波器411の出力信号の高周波数成分を減衰させ、低周波数成分を通過させ、第2の増幅器413にエンベロープ422を出力する。第1の増幅器401は、第2の容量405を介して第1のノードN1から入力された信号を増幅し、出力端子403に出力する。
【0021】
図4(B)は、第1の電界効果トランジスタ406により構成されるダイオードの特性を示す図である。横軸はトランジスタ406のゲート及びソース間電圧Vgsを示し、縦軸はトランジスタ406のゲート及びソース間容量Cgsを示す。pチャネル電界効果トランジスタ406のダイオードは、ゲート及びソース間電圧Vgsの増加に対して、ゲート及びソース間容量Cgsが減少する特性を示す。トランジスタ406のダイオードへの入力エンベロープ423のパワーが高まると、トランジスタ406のダイオードのゲートのバイアスが持ち上がってくるため、ゲート及びソース間容量Cgsが減少する。ゲート及びソース間容量Cgsの減少により、信号421の通過位相は早まるため、第1の増幅器401自体で発生する位相遅れを補償できる。
【0022】
入力信号421のエンベロープ422は振幅が小さいために、ゲート及びソース間容量Cgsの変調幅が小さくなってしまう。これに対し、本実施形態のように、増幅したエンベロープ423をトランジスタ406のゲートに入力することにより、ゲート及びソース間容量Cgsの変調幅を大きくすることができる。第2の増幅器413は、利得を制御することにより、エンベロープ423の振幅を変え、容量Cgsの変調の大きさを制御することができる。すなわち、第2の増幅器413は、図1(B)の非線形動作領域112の位相微分値に応じた利得で増幅することにより、非線形動作領域112の位相を補償することができる。
【0023】
また、第1の電位ノードVrの第1の電位を調整することにより、小さな入力信号421のパワーでも容量Cgsの変調を行うことができ、図1(B)の非線形動作領域112のピークの位置を制御することができる。
【0024】
以上のように、本実施形態は、エンベロープ検出により位相補償を行う。まず、入力信号421を検波器411により検波し、エンベロープ422を検出する。第2の増幅器413は、エンベロープ422を増幅し、トランジスタ406のダイオードへ出力する。このとき、第2の増幅器413の利得を大きくすることにより、トランジスタ406のダイオードの容量Cgsの変調が大きくなるように、エンベロープ423の振幅を大きくすることができる。また、第1の電位ノードVrの固定バイアス電位を制御することにより、容量Cgsが変調されるバイアス電圧Vgsのレベルを自由に制御できる。これにより、位相変調がかかる入力パワーを制御することが可能となる。
【0025】
図5(A)及び(B)は、図4(A)の回路のシミュレーション結果を示す図であり、横軸の入力パワーに対して、縦軸の位相の微分値をプロットしたものである。位相補償回路は、pチャネル電界効果トランジスタ406のダイオードを用いることにより、凹部を有する位相特性を生成することができる。
【0026】
図5(A)は、第1の電位ノードVrの第1の電位を変化させた場合の位相特性を示す。特性501は、第1の電位ノードVrの第1の電位を高くしたときの特性であり、位相特性のピークの位置を左側(入力パワーが小さい側)に設定することができる。また、特性502は、第1の電位ノードVrの第1の電位を低くしたときの特性であり、位相特性のピークの位置を右側(入力パワーが大きい側)に設定することができる。このように、第1の電位ノードVrの第1の電位を制御することにより、位相特性のピークの位置を設定することができる。
【0027】
図5(B)は、第2の増幅器413の利得を変化させた場合の位相特性を示す。特性511は、第2の増幅器413の利得を小さくしたときの特性であり、位相特性の変調幅(振れ幅)を小さく設定することができる。また、特性512は、第2の増幅器413の利得を大きくしたときの特性であり、位相特性の変調幅を大きく設定することができる。このように、第2の増幅器413の利得を制御することにより、位相特性の変調幅(位相補償量)を設定することができる。
【0028】
本実施形態によれば、第1の電位ノードVrの第1の電位及び第2の増幅器413の利得を制御することにより、図1(B)の非線形動作領域112の位相を高精度で補償し、位相歪みを低減することができる。
【0029】
(第2の実施形態)
図6(A)及び(B)は、第2の実施形態による増幅器の位相補償回路を有する増幅回路を説明するための図である。図6(A)は、第2の実施形態による増幅器の位相補償回路を有する増幅回路の構成例を示す回路図である。第2の実施形態の回路(図6(A))は、第1の実施形態の回路(図4(A))に対して、pチャネル電界効果トランジスタ406の代わりにnチャネル電界効果トランジスタ606を設けたものである。以下、本実施形態が第1の実施形態と異なる点を説明する。第1の電界効果トランジスタ606は、nチャネル電界効果トランジスタであり、ゲートが第1のノードN1に接続され、ソース及びドレインが第1の電位ノードVrに接続される。
【0030】
図6(B)は、nチャネル電界効果トランジスタ606により構成されるダイオードの特性を示す図である。横軸はトランジスタ606のゲート及びソース間電圧Vgsを示し、縦軸はトランジスタ606のゲート及びソース間容量Cgsを示す。図6(B)の特性は、図4(B)の特性に対して逆特性である。nチャネル電界効果トランジスタ606のダイオードは、ゲート及びソース間電圧Vgsの増加に対して、ゲート及びソース間容量Cgsが増加する特性を示す。トランジスタ606のダイオードへの入力エンベロープ423のパワーが高まると、トランジスタ606のダイオードのゲートのバイアスが持ち上がってくるため、ゲート及びソース間容量Cgsが増加する。ゲート及びソース間容量Cgsの増加により、信号421の通過位相は遅れるため、第1の増幅器401自体で発生する位相進みを補償できる。
【0031】
第2の増幅器413は、図1(B)の非線形動作領域113の位相微分値に応じた利得で増幅することにより、非線形動作領域113の位相を補償することができる。また、第1の電位ノードVrの第1の電位を調整することにより、小さな入力信号421のパワーでも容量Cgsの変調を行うことができ、図1(B)の非線形動作領域113のピークの位置を制御することができる。
【0032】
図7(A)及び(B)は、図6(A)の回路のシミュレーション結果を示す図であり、横軸の入力パワーに対して、縦軸の位相の微分値をプロットしたものである。位相補償回路は、nチャネル電界効果トランジスタ606のダイオードを用いることにより、凸部を有する位相特性を生成することができる。
【0033】
図7(A)は、第1の電位ノードVrの第1の電位を変化させた場合の位相特性を示す。特性701は、第1の電位ノードVrの第1の電位を高くしたときの特性であり、位相特性のピークの位置を左側(入力パワーが小さい側)に設定することができる。また、特性702は、第1の電位ノードVrの第1の電位を低くしたときの特性であり、位相特性のピークの位置を右側(入力パワーが大きい側)に設定することができる。このように、第1の電位ノードVrの第1の電位を制御することにより、位相特性のピークの位置を設定することができる。
【0034】
図7(B)は、第2の増幅器413の利得を変化させた場合の位相特性を示す。特性712は、第2の増幅器413の利得を小さくしたときの特性であり、位相特性の変調幅(振れ幅)を小さく設定することができる。また、特性711は、第2の増幅器413の利得を大きくしたときの特性であり、位相特性の変調幅を大きく設定することができる。このように、第2の増幅器413の利得を制御することにより、位相特性の変調幅(位相補償量)を設定することができる。
【0035】
本実施形態によれば、第1の電位ノードVrの第1の電位及び第2の増幅器413の利得を制御することにより、図1(B)の非線形動作領域113の位相を高精度で補償し、位相歪みを低減することができる。
【0036】
(第3の実施形態)
図8は、第3の実施形態による増幅器の位相補償回路を有する増幅回路の構成例を示す回路図である。本実施形態は、第1の実施形態及び第2の実施形態を組み合わせたものである。第1の増幅器401の前段に、位相補償回路が接続される。位相補償回路は、第1の容量404、第2の容量405、第4の容量801、電界効果トランジスタ406a〜406d、容量407a〜407c、検波器411、低域通過フィルタ(ローパスフィルタ)412、増幅器413a〜413d、抵抗414a〜414d、及びスイッチ802a〜802dを有し、第1の増幅器401の位相を補償する。
【0037】
第1の容量404は、入力端子402及び第1のノードN1間に接続される。第2の容量405は、第1のノードN1及び第2のノードN2間に接続される。第4の容量801は、第2のノードN2及び第1の増幅器401の入力端子間に接続される。
【0038】
第1の電界効果トランジスタ406aは、nチャネル電界効果トランジスタであり、ゲートがスイッチ802aを介して第1のノードN1に接続され、ソース及びドレインが第1の電位ノードVrn1に接続され、ダイオードとして機能する。第3の容量407aは、第1の電位ノードVrn1及び基準電位ノード間に接続される。第1の電位ノードVrn1に供給される第1の電位は、可変制御可能な直流バイアス電位である。
【0039】
第1の電界効果トランジスタ406bは、nチャネル電界効果トランジスタであり、ゲートがスイッチ802bを介して第1のノードN1に接続され、ソース及びドレインが電位ノードVrn2に接続され、ダイオードとして機能する。容量407bは、電位ノードVrn2及び基準電位ノード間に接続される。電位ノードVrn2に供給される電位は、可変制御可能な直流バイアス電位である。
【0040】
第2の電界効果トランジスタ406cは、pチャネル電界効果トランジスタであり、ゲートがスイッチ802cを介して第2のノードN2に接続され、ソース及びドレインが第2の電位ノードVrp1に接続され、ダイオードとして機能する。第5の容量407cは、第2の電位ノードVrp1及び基準電位ノード間に接続される。第2の電位ノードVrp1に供給される第2の電位は、可変制御可能な直流バイアス電位である。
【0041】
第2の電界効果トランジスタ406dは、pチャネル電界効果トランジスタであり、ゲートがスイッチ802dを介して第2のノードN2に接続され、ソース及びドレインが電位ノードVrp2に接続され、ダイオードとして機能する。容量407dは、電位ノードVrp2及び基準電位ノード間に接続される。電位ノードVrp2に供給される電位は、可変制御可能な直流バイアス電位である。
【0042】
エンベロープ検出回路は、第1及び第2の実施形態と同様に、検波器411及び低域通過フィルタ412を有し、入力端子402の信号のエンベロープを検出する。
【0043】
第2の増幅器413aは、利得を制御可能な可変利得増幅器であり、エンベロープ検出回路により検出されたエンベロープを増幅し、増幅したエンベロープを抵抗414aを介して第1のノードN1に出力する。
【0044】
増幅器413bは、利得を制御可能な可変利得増幅器であり、エンベロープ検出回路により検出されたエンベロープを増幅し、増幅したエンベロープを抵抗414bを介して第1のノードN1に出力する。
【0045】
第3の増幅器413cは、利得を制御可能な可変利得増幅器であり、エンベロープ検出回路により検出されたエンベロープを増幅し、増幅したエンベロープを抵抗414cを介して第2のノードN2に出力する。
【0046】
増幅器413dは、利得を制御可能な可変利得増幅器であり、エンベロープ検出回路により検出されたエンベロープを増幅し、増幅したエンベロープを抵抗414dを介して第2のノードN2に出力する。
【0047】
第1の増幅器401は、第4の容量801を介して第1のノードN1及び第2のノードN2から入力された信号を増幅し、出力端子403に出力する。
【0048】
第1の電界効果トランジスタ406a,406b及び第2の電界効果トランジスタ406c,406dは、相互に相補のチャネルを有する。2個の第1の電界効果トランジスタ406a,406b及び2個の第2の電界効果トランジスタ406c,406dを使用する場合を例に説明したが、同様に、3個以上の第1の電界効果トランジスタ406a,406b及び3個以上の第2の電界効果トランジスタ406c,406dを使用してもよい。
【0049】
図1(B)では1個の凸部の領域112及び1個の凹部の領域113を有する位相特性の場合を例に説明したが、本実施形態によれば、1個及び2個以上の凸部の領域112及び1個及び2個以上の凹部の領域113を有する位相特性の位相を補償することができる。複数の第1の電界効果トランジスタ406a,406bを用いることにより複数の凸部の領域112の位相を補償し、複数の第2の電界効果トランジスタ406c,406dを用いることにより複数の凹部の領域113の位相を補償することができる。スイッチ802a〜802dを制御することにより、種々の位相特性の位相を補償することができる。本実施形態によれば、nチャネル電界効果トランジスタ406a,406b及びpチャネル電界効果トランジスタ406c,406dを接続することにより、位相進み及び位相遅れのそれぞれの変調特性を得ることができる。
【0050】
図9は、図8の回路のシミュレーション結果を示す図であり、横軸の入力パワーに対して、縦軸の位相の微分値をプロットしたものである。pチャネル電界効果トランジスタ406c,406dのダイオードを用いることにより位相進みの凹部の位相特性領域901を生成することができ、nチャネル電界効果トランジスタ406a,406bのダイオードを用いることにより位相遅れの凸部の位相特性領域902を生成することができる。本実施形態によれば、入力パワーの増加に伴い、位相進み及び位相遅れの両方の特性901及び902を生成ことができる。第1の増幅器401は、例えば図1(B)の位相特性を有し、図9の位相特性の信号を入力することにより、図1(B)の位相特性及び図9の位相特性が打ち消し合い、広範囲の入力パワーにおいて位相の微分値が一定の線形動作領域を実現することができる。
【0051】
(第4の実施形態)
図10は、第1の増幅器401の位相特性311を示す図である。第1の増幅器401において、入力パワーの増加に伴い、出力信号の位相が回転することは上記で述べたが、シリコンCMOSを用いた第1の増幅器401においては、凹部領域1002のように、位相進みの程度が激しく、位相進みの領域1002のピークを補償しきれない場合がある。すなわち、所定範囲1001内の位相特性311は位相補償が容易であるが、所定範囲1001外の位相特性311の位相補償は困難な場合がある。本実施形態では、この課題を解決するための増幅器の位相補償回路を示す。
【0052】
図11は、第4の実施形態による増幅器の位相補償回路を有する増幅回路の構成例を示す回路図である。第4の実施形態の回路(図11)は、第3の実施形態の回路(図8)に対して、遅延器1101、リミッティング増幅器1102、排他的論理和回路1103及び低域通過フィルタ1104を含む位相差検出回路を追加したものである。なお、ここでは、1個の第1の電界効果トランジスタ406a及び1個の第2の電界効果トランジスタ406cを用いる場合を例に示すが、第3の実施形態と同様に、それぞれを2個以上設けてもよい。以下、本実施形態が第3の実施形態と異なる点を説明する。
【0053】
遅延器1101は、第1の増幅器401の入力信号を遅延して出力する。遅延器1101の遅延時間は、第1の増幅器401の入力信号が第1の増幅器401を通過する時間に等しい。リミッティング増幅器1102は、遅延器1101の出力信号1110を2値の信号1112に変換し、第1の増幅器401の出力信号1111を2値の信号1113に変換する。遅延器1101の出力信号1110が閾値より大きければ2値信号1112はハイレベルになり、遅延器1101の出力信号1110が閾値より小さければ2値信号1112はローレベルになる。同様に、第1の増幅器401の出力信号1111が閾値より大きければ2値信号1113はハイレベルになり、第1の増幅器401の出力信号1111が閾値より小さければ2値信号1113はローレベルになる。リミッティング増幅器1102は、正弦波で振動する信号1110,1111を方形波信号1112,1113に変換することができる。排他的論理和回路1103は、信号1112及び1113を入力し、信号1112及び1113の排他的論理和信号1114を出力する。信号1112及び1113のレベルが同じであれば排他的論理和信号1114はローレベルになり、信号1112及び1113のレベルが異なれば排他的論理和信号1114はハイレベルになる。排他的論理和信号1114は、パルス状の信号であり、信号1112及び1113の位相差が大きくなるほどパルス幅が広くなる。低域通過フィルタ1104は、排他的論理和信号1114の高周波数成分を減衰させ、低周波数成分を通過させることにより、排他的論理和信号1114を直流信号に変換し、第2の増幅器413aに出力する。
【0054】
遅延器1101、リミッティング増幅器1102、排他的論理和回路1103及び低域通過フィルタ1104は、位相差検出回路を構成し、第1の増幅器401の入力信号及び出力信号の位相差を検出する。第2の増幅器413aは、位相差検出回路により検出された位相差に応じた利得で増幅する。両者の位相差が大きいほど、排他的論理和信号1114のパルス幅が広くなり、低域通過フィルタ1104の出力直流信号のレベルが高くなる。第2の増幅器413aは、低域通過フィルタ1104の出力信号に応じた利得で、低域通過フィルタ412の出力信号を増幅する。
【0055】
第2の増幅器413aの利得を変化させることにより、位相変調量を変えることができる。第1の増幅器401の入力信号に対して、第1の増幅器401の出力信号の位相が大きく外れてくると、位相差検出回路のループによって、第2の増幅器413aの利得が位相差に応じて変動する。位相差が大きくなれば、第2の増幅器413aの利得が大きくなり、それによって得られる位相変調量も大きくなる。また、このループによって位相差が縮まれば、排他的論理和信号1114のパルス幅が狭くなるため、第2の増幅器413aへ入力される直流信号レベルも小さくなり、位相変調量も減少する。このように、本実施形態では、第1の増幅器401の出力信号の位相変調の程度に応じ、アダプティブに位相の逆特性を生成することができる。
【0056】
本実施形態では、第1の増幅器401の入力信号及び出力信号の位相を比較し、入力パワーに伴って生じる位相回転を逐次検出する。位相比較器として、ここでは排他的論理和回路1103を用いる例を示している。また、排他的論理和回路1103の前段にリミッティング増幅器1102を設けることにより、エッジを有する信号1112及び1113を生成することができ、位相比較の精度を高めることができる。
【0057】
第1〜第4の実施形態の第1の増幅器401及びその位相補償回路は、無線通信システムやレーダシステムに用いられる高周波回路等に使用することができる。第2の増幅器413が入力端子402の入力信号421のエンベロープ422を増幅することにより、第1の増幅器401の位相歪みを高精度で補償することができる。また、第1の電位ノードVrの電位を制御することにより、位相補償特性のピーク位置を変えることができる。
【0058】
なお、上記実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその技術思想、又はその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【符号の説明】
【0059】
401 第1の増幅器
402 入力端子
403 出力端子
404 第1の容量
405 第2の容量
406 第1の電界効果トランジスタ
407 第3の容量
411 検波器
412 低域通過フィルタ
413 第2の増幅器
414 抵抗
【技術分野】
【0001】
本発明は、増幅器の位相補償回路及び増幅回路に関する。
【背景技術】
【0002】
図1(A)は増幅器101を示す図であり、図1(B)は増幅器101の位相特性を示す図である。増幅器101は、入力端子102の信号を増幅し、出力端子103に出力する。図1(B)の位相特性は、出力パワーに対する位相の微分値を示す。位相の微分値は、入力信号に対する出力信号の位相の微分値である。位相特性は、線形動作領域111及び非線形動作領域112,113を有する。領域112は凸部特性の非線形動作領域であり、領域113は凹部特性の非線形動作領域である。
【0003】
一般に、無線通信機で用いられる増幅器101は、入力信号の位相を変えることなく、振幅を線形に増幅することが求められる。しかしながら、半導体素子を用いた増幅器101では、入力信号パワーが高まるにつれて、出力信号の位相が回転する現象(位相歪み特性)が現れ、非線形動作領域112及び113が生じる。位相歪みは、増幅器101の出力信号を歪ませるため、出力スペクトルが、無線規格で規定されたマスクをはみ出す問題を引き起こす。また、位相変調方式等を使用した通信においては、通信エラーを引き起こす。そのため、非線形動作領域112及び113をなくし、出力パワーが高い場合にも、フラットな線形動作領域を確保したいとの要求がある。
【0004】
図2は、増幅器101の位相を補償する位相補償回路201を示す図である。位相補償回路201は、入力端子102及び増幅器101の入力端子間に接続される。位相補償回路201は、増幅器101自体で生じる位相歪みの逆特性となる歪み(プリディストーション)を生成し、それを増幅器101の入力端子に入力することにより、増幅器101の出力の位相歪みをキャンセルする。
【0005】
図3(A)〜(C)は、位相補償回路201の位相補償を説明するための図である。図3(A)は位相補償回路201の構成例を示す図である。位相補償回路201は、pチャネル電界効果トランジスタ301を有する。pチャネル電界効果トランジスタ301は、ゲートが増幅器101の入力端子に接続され、ソース及びドレインが基準電位ノードに接続され、ダイオードとして機能する。増幅器101は、入力端子102の信号202を増幅し、出力端子103に出力する。
【0006】
図3(B)は、pチャネル電界効果トランジスタ301により構成されるダイオードの特性を示す図である。横軸はトランジスタ301のゲート及びソース間電圧Vgsを示し、縦軸はトランジスタ301のゲート及びソース間容量Cgsを示す。pチャネル電界効果トランジスタ301のダイオードは、ゲート及びソース間電圧Vgsの増加に対して、ゲート及びソース間容量Cgsが減少する特性を示す。トランジスタ301のダイオードへの入力信号202のパワーが高まると、トランジスタ301のダイオードのゲートのバイアスが持ち上がってくるため、ゲート及びソース間容量Cgsが減少する。ゲート及びソース間容量Cgsの減少により、信号202の通過位相は早まるため、増幅器101自体で発生する位相遅れを補償できる。
【0007】
図3(C)は、図1(B)と同様の増幅器101の位相特性311及び位相補償回路201の位相特性312を示す。位相補償回路201は、増幅器101の位相特性311のうちの中パワー近傍の領域112(図1(B))で生じる位相の遅れ(基準に対して増加している成分)を補償するために、その逆特性となる歪みの位相特性312を生成する。これにより、増幅器101の位相特性311の歪みを低減することができる。
【0008】
しかしながら、位相補償回路201には、下記の2点の問題がある。第1に、入力信号202のレベルが小さいため、ゲート及びソース間容量Cgsの変調幅302が小さく、増幅器101の位相遅れを補償するのに十分なだけの位相進みを発生できない。第2に、位相補償回路201による位相特性312のピークを、増幅器101の位相特性311のピーク(狙いの出力パワー)に合わせこむことが難しい。
【0009】
また、変調波信号を増幅器で増幅するに際して当該増幅器で発生する歪みを当該変調波信号の包絡線情報に基づいてプリディストーション方式で補償するプリディストーション方式増幅器が知られている。
【0010】
また、位相変調器と振幅変調器の縦続回路と第1の関数発生器と第2の関数発生器と包絡線検波器とから成り、遅延特性をもたない非線形回路の逆特性を有し、この非線形回路を含む伝送系において入力側に挿入されることにより非線形回路の出力信号の非線形歪みを除去するプレディストーターが知られている。
【0011】
また、変調波を増幅する増幅器と、増幅器の出力を検波する検波器と、検波器の出力のエンベロープとエンベロープ基準信号とを比較してエンベロープ誤差を検出する比較器と、エンベロープ誤差信号とエンベロープ基準信号との和を求める加算器とを有し、加算器の出力を増幅器に電源として供給するようにした線形増幅器が知られている。
【0012】
また、信号の振幅及び位相を変化させる振幅位相変化装置において、信号を複数に分配する分配手段と、これら各分配信号の位相を変化させる移相手段と、位相が変化させられたこれら複数の分配信号を合成して、移相手段による各分配信号の位相変化量に応じた振幅変化量及び位相変化量を有した合成信号を取得する合成手段とを備えた振幅位相変化装置が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2002−223129号公報
【特許文献2】特開昭56−66909号公報
【特許文献3】特開平5−175771号公報
【特許文献4】特開2001−326541号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明の目的は、増幅器の位相補償精度を向上させることができる増幅器の位相補償回路及び増幅回路を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
増幅器の位相補償回路は、入力端子及び第1のノード間に接続される第1の容量と、前記第1のノード及び第1の増幅器の入力端子間に接続される第2の容量と、ゲートが前記第1のノードに接続され、ソース及びドレインが第1の電位ノードに接続される第1の電界効果トランジスタと、前記入力端子の信号のエンベロープを検出するエンベロープ検出回路と、前記エンベロープ検出回路により検出されたエンベロープを増幅し、前記第1のノードに出力する第2の増幅器とを有する。
【発明の効果】
【0016】
入力信号のエンベロープを増幅することにより、第1の増幅器の位相歪みを高精度で補償することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1(A)は増幅器を示す図であり、図1(B)は増幅器の位相特性を示す図である。
【図2】増幅器の位相を補償する位相補償回路を示す図である。
【図3】図3(A)〜(C)は位相補償回路の位相補償を説明するための図である。
【図4】図4(A)及び(B)は第1の実施形態による増幅器の位相補償回路を有する増幅回路を説明するための図である。
【図5】図5(A)及び(B)は図4(A)の回路のシミュレーション結果を示す図である。
【図6】図6(A)及び(B)は第2の実施形態による増幅器の位相補償回路を有する増幅回路を説明するための図である。
【図7】図7(A)及び(B)は図6(A)の回路のシミュレーション結果を示す図である。
【図8】第3の実施形態による増幅器の位相補償回路を有する増幅回路の構成例を示す回路図である。
【図9】図8の回路のシミュレーション結果を示す図である。
【図10】第1の増幅器の位相特性を示す図である。
【図11】第4の実施形態による増幅器の位相補償回路を有する増幅回路の構成例を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(第1の実施形態)
図4(A)及び(B)は、第1の実施形態による増幅器の位相補償回路を有する増幅回路を説明するための図である。図4(A)は、第1の実施形態による増幅器の位相補償回路を有する増幅回路の構成例を示す回路図である。第1の増幅器401の前段に、位相補償回路が接続される。位相補償回路は、第1の容量404、第2の容量405、第1の電界効果トランジスタ406、第3の容量407、検波器411、低域通過フィルタ(ローパスフィルタ)412、第2の増幅器413、及び抵抗414を有し、第1の増幅器401の位相を補償する。
【0019】
入力端子402には、変調波の入力信号421が入力される。第1の容量404は、入力端子402及び第1のノードN1間に接続される。第2の容量405は、第1のノードN1及び第1の増幅器401の入力端子間に接続される。第1の電界効果トランジスタ406は、pチャネル電界効果トランジスタであり、ゲートが第1のノードN1に接続され、ソース及びドレインが第1の電位ノードVrに接続され、ダイオードとして機能する。第3の容量407は、第1の電位ノードVr及び基準電位ノード(グランド電位ノード)間に接続される。第1の電位ノードVrに供給される第1の電位は、可変制御可能な直流バイアス電位である。
【0020】
エンベロープ(包絡線)検出回路は、検波器411及び低域通過フィルタ412を有し、入力端子402の信号421のエンベロープ422を検出する。第2の増幅器413は、利得を制御可能な可変利得増幅器であり、エンベロープ検出回路により検出されたエンベロープ422を増幅し、増幅したエンベロープ423を抵抗414を介して第1のノードN1に出力する。検波器411は、入力端子402の信号421をダイオードにより整流することにより検波する。低域通過フィルタ412は、検波器411の出力信号の高周波数成分を減衰させ、低周波数成分を通過させ、第2の増幅器413にエンベロープ422を出力する。第1の増幅器401は、第2の容量405を介して第1のノードN1から入力された信号を増幅し、出力端子403に出力する。
【0021】
図4(B)は、第1の電界効果トランジスタ406により構成されるダイオードの特性を示す図である。横軸はトランジスタ406のゲート及びソース間電圧Vgsを示し、縦軸はトランジスタ406のゲート及びソース間容量Cgsを示す。pチャネル電界効果トランジスタ406のダイオードは、ゲート及びソース間電圧Vgsの増加に対して、ゲート及びソース間容量Cgsが減少する特性を示す。トランジスタ406のダイオードへの入力エンベロープ423のパワーが高まると、トランジスタ406のダイオードのゲートのバイアスが持ち上がってくるため、ゲート及びソース間容量Cgsが減少する。ゲート及びソース間容量Cgsの減少により、信号421の通過位相は早まるため、第1の増幅器401自体で発生する位相遅れを補償できる。
【0022】
入力信号421のエンベロープ422は振幅が小さいために、ゲート及びソース間容量Cgsの変調幅が小さくなってしまう。これに対し、本実施形態のように、増幅したエンベロープ423をトランジスタ406のゲートに入力することにより、ゲート及びソース間容量Cgsの変調幅を大きくすることができる。第2の増幅器413は、利得を制御することにより、エンベロープ423の振幅を変え、容量Cgsの変調の大きさを制御することができる。すなわち、第2の増幅器413は、図1(B)の非線形動作領域112の位相微分値に応じた利得で増幅することにより、非線形動作領域112の位相を補償することができる。
【0023】
また、第1の電位ノードVrの第1の電位を調整することにより、小さな入力信号421のパワーでも容量Cgsの変調を行うことができ、図1(B)の非線形動作領域112のピークの位置を制御することができる。
【0024】
以上のように、本実施形態は、エンベロープ検出により位相補償を行う。まず、入力信号421を検波器411により検波し、エンベロープ422を検出する。第2の増幅器413は、エンベロープ422を増幅し、トランジスタ406のダイオードへ出力する。このとき、第2の増幅器413の利得を大きくすることにより、トランジスタ406のダイオードの容量Cgsの変調が大きくなるように、エンベロープ423の振幅を大きくすることができる。また、第1の電位ノードVrの固定バイアス電位を制御することにより、容量Cgsが変調されるバイアス電圧Vgsのレベルを自由に制御できる。これにより、位相変調がかかる入力パワーを制御することが可能となる。
【0025】
図5(A)及び(B)は、図4(A)の回路のシミュレーション結果を示す図であり、横軸の入力パワーに対して、縦軸の位相の微分値をプロットしたものである。位相補償回路は、pチャネル電界効果トランジスタ406のダイオードを用いることにより、凹部を有する位相特性を生成することができる。
【0026】
図5(A)は、第1の電位ノードVrの第1の電位を変化させた場合の位相特性を示す。特性501は、第1の電位ノードVrの第1の電位を高くしたときの特性であり、位相特性のピークの位置を左側(入力パワーが小さい側)に設定することができる。また、特性502は、第1の電位ノードVrの第1の電位を低くしたときの特性であり、位相特性のピークの位置を右側(入力パワーが大きい側)に設定することができる。このように、第1の電位ノードVrの第1の電位を制御することにより、位相特性のピークの位置を設定することができる。
【0027】
図5(B)は、第2の増幅器413の利得を変化させた場合の位相特性を示す。特性511は、第2の増幅器413の利得を小さくしたときの特性であり、位相特性の変調幅(振れ幅)を小さく設定することができる。また、特性512は、第2の増幅器413の利得を大きくしたときの特性であり、位相特性の変調幅を大きく設定することができる。このように、第2の増幅器413の利得を制御することにより、位相特性の変調幅(位相補償量)を設定することができる。
【0028】
本実施形態によれば、第1の電位ノードVrの第1の電位及び第2の増幅器413の利得を制御することにより、図1(B)の非線形動作領域112の位相を高精度で補償し、位相歪みを低減することができる。
【0029】
(第2の実施形態)
図6(A)及び(B)は、第2の実施形態による増幅器の位相補償回路を有する増幅回路を説明するための図である。図6(A)は、第2の実施形態による増幅器の位相補償回路を有する増幅回路の構成例を示す回路図である。第2の実施形態の回路(図6(A))は、第1の実施形態の回路(図4(A))に対して、pチャネル電界効果トランジスタ406の代わりにnチャネル電界効果トランジスタ606を設けたものである。以下、本実施形態が第1の実施形態と異なる点を説明する。第1の電界効果トランジスタ606は、nチャネル電界効果トランジスタであり、ゲートが第1のノードN1に接続され、ソース及びドレインが第1の電位ノードVrに接続される。
【0030】
図6(B)は、nチャネル電界効果トランジスタ606により構成されるダイオードの特性を示す図である。横軸はトランジスタ606のゲート及びソース間電圧Vgsを示し、縦軸はトランジスタ606のゲート及びソース間容量Cgsを示す。図6(B)の特性は、図4(B)の特性に対して逆特性である。nチャネル電界効果トランジスタ606のダイオードは、ゲート及びソース間電圧Vgsの増加に対して、ゲート及びソース間容量Cgsが増加する特性を示す。トランジスタ606のダイオードへの入力エンベロープ423のパワーが高まると、トランジスタ606のダイオードのゲートのバイアスが持ち上がってくるため、ゲート及びソース間容量Cgsが増加する。ゲート及びソース間容量Cgsの増加により、信号421の通過位相は遅れるため、第1の増幅器401自体で発生する位相進みを補償できる。
【0031】
第2の増幅器413は、図1(B)の非線形動作領域113の位相微分値に応じた利得で増幅することにより、非線形動作領域113の位相を補償することができる。また、第1の電位ノードVrの第1の電位を調整することにより、小さな入力信号421のパワーでも容量Cgsの変調を行うことができ、図1(B)の非線形動作領域113のピークの位置を制御することができる。
【0032】
図7(A)及び(B)は、図6(A)の回路のシミュレーション結果を示す図であり、横軸の入力パワーに対して、縦軸の位相の微分値をプロットしたものである。位相補償回路は、nチャネル電界効果トランジスタ606のダイオードを用いることにより、凸部を有する位相特性を生成することができる。
【0033】
図7(A)は、第1の電位ノードVrの第1の電位を変化させた場合の位相特性を示す。特性701は、第1の電位ノードVrの第1の電位を高くしたときの特性であり、位相特性のピークの位置を左側(入力パワーが小さい側)に設定することができる。また、特性702は、第1の電位ノードVrの第1の電位を低くしたときの特性であり、位相特性のピークの位置を右側(入力パワーが大きい側)に設定することができる。このように、第1の電位ノードVrの第1の電位を制御することにより、位相特性のピークの位置を設定することができる。
【0034】
図7(B)は、第2の増幅器413の利得を変化させた場合の位相特性を示す。特性712は、第2の増幅器413の利得を小さくしたときの特性であり、位相特性の変調幅(振れ幅)を小さく設定することができる。また、特性711は、第2の増幅器413の利得を大きくしたときの特性であり、位相特性の変調幅を大きく設定することができる。このように、第2の増幅器413の利得を制御することにより、位相特性の変調幅(位相補償量)を設定することができる。
【0035】
本実施形態によれば、第1の電位ノードVrの第1の電位及び第2の増幅器413の利得を制御することにより、図1(B)の非線形動作領域113の位相を高精度で補償し、位相歪みを低減することができる。
【0036】
(第3の実施形態)
図8は、第3の実施形態による増幅器の位相補償回路を有する増幅回路の構成例を示す回路図である。本実施形態は、第1の実施形態及び第2の実施形態を組み合わせたものである。第1の増幅器401の前段に、位相補償回路が接続される。位相補償回路は、第1の容量404、第2の容量405、第4の容量801、電界効果トランジスタ406a〜406d、容量407a〜407c、検波器411、低域通過フィルタ(ローパスフィルタ)412、増幅器413a〜413d、抵抗414a〜414d、及びスイッチ802a〜802dを有し、第1の増幅器401の位相を補償する。
【0037】
第1の容量404は、入力端子402及び第1のノードN1間に接続される。第2の容量405は、第1のノードN1及び第2のノードN2間に接続される。第4の容量801は、第2のノードN2及び第1の増幅器401の入力端子間に接続される。
【0038】
第1の電界効果トランジスタ406aは、nチャネル電界効果トランジスタであり、ゲートがスイッチ802aを介して第1のノードN1に接続され、ソース及びドレインが第1の電位ノードVrn1に接続され、ダイオードとして機能する。第3の容量407aは、第1の電位ノードVrn1及び基準電位ノード間に接続される。第1の電位ノードVrn1に供給される第1の電位は、可変制御可能な直流バイアス電位である。
【0039】
第1の電界効果トランジスタ406bは、nチャネル電界効果トランジスタであり、ゲートがスイッチ802bを介して第1のノードN1に接続され、ソース及びドレインが電位ノードVrn2に接続され、ダイオードとして機能する。容量407bは、電位ノードVrn2及び基準電位ノード間に接続される。電位ノードVrn2に供給される電位は、可変制御可能な直流バイアス電位である。
【0040】
第2の電界効果トランジスタ406cは、pチャネル電界効果トランジスタであり、ゲートがスイッチ802cを介して第2のノードN2に接続され、ソース及びドレインが第2の電位ノードVrp1に接続され、ダイオードとして機能する。第5の容量407cは、第2の電位ノードVrp1及び基準電位ノード間に接続される。第2の電位ノードVrp1に供給される第2の電位は、可変制御可能な直流バイアス電位である。
【0041】
第2の電界効果トランジスタ406dは、pチャネル電界効果トランジスタであり、ゲートがスイッチ802dを介して第2のノードN2に接続され、ソース及びドレインが電位ノードVrp2に接続され、ダイオードとして機能する。容量407dは、電位ノードVrp2及び基準電位ノード間に接続される。電位ノードVrp2に供給される電位は、可変制御可能な直流バイアス電位である。
【0042】
エンベロープ検出回路は、第1及び第2の実施形態と同様に、検波器411及び低域通過フィルタ412を有し、入力端子402の信号のエンベロープを検出する。
【0043】
第2の増幅器413aは、利得を制御可能な可変利得増幅器であり、エンベロープ検出回路により検出されたエンベロープを増幅し、増幅したエンベロープを抵抗414aを介して第1のノードN1に出力する。
【0044】
増幅器413bは、利得を制御可能な可変利得増幅器であり、エンベロープ検出回路により検出されたエンベロープを増幅し、増幅したエンベロープを抵抗414bを介して第1のノードN1に出力する。
【0045】
第3の増幅器413cは、利得を制御可能な可変利得増幅器であり、エンベロープ検出回路により検出されたエンベロープを増幅し、増幅したエンベロープを抵抗414cを介して第2のノードN2に出力する。
【0046】
増幅器413dは、利得を制御可能な可変利得増幅器であり、エンベロープ検出回路により検出されたエンベロープを増幅し、増幅したエンベロープを抵抗414dを介して第2のノードN2に出力する。
【0047】
第1の増幅器401は、第4の容量801を介して第1のノードN1及び第2のノードN2から入力された信号を増幅し、出力端子403に出力する。
【0048】
第1の電界効果トランジスタ406a,406b及び第2の電界効果トランジスタ406c,406dは、相互に相補のチャネルを有する。2個の第1の電界効果トランジスタ406a,406b及び2個の第2の電界効果トランジスタ406c,406dを使用する場合を例に説明したが、同様に、3個以上の第1の電界効果トランジスタ406a,406b及び3個以上の第2の電界効果トランジスタ406c,406dを使用してもよい。
【0049】
図1(B)では1個の凸部の領域112及び1個の凹部の領域113を有する位相特性の場合を例に説明したが、本実施形態によれば、1個及び2個以上の凸部の領域112及び1個及び2個以上の凹部の領域113を有する位相特性の位相を補償することができる。複数の第1の電界効果トランジスタ406a,406bを用いることにより複数の凸部の領域112の位相を補償し、複数の第2の電界効果トランジスタ406c,406dを用いることにより複数の凹部の領域113の位相を補償することができる。スイッチ802a〜802dを制御することにより、種々の位相特性の位相を補償することができる。本実施形態によれば、nチャネル電界効果トランジスタ406a,406b及びpチャネル電界効果トランジスタ406c,406dを接続することにより、位相進み及び位相遅れのそれぞれの変調特性を得ることができる。
【0050】
図9は、図8の回路のシミュレーション結果を示す図であり、横軸の入力パワーに対して、縦軸の位相の微分値をプロットしたものである。pチャネル電界効果トランジスタ406c,406dのダイオードを用いることにより位相進みの凹部の位相特性領域901を生成することができ、nチャネル電界効果トランジスタ406a,406bのダイオードを用いることにより位相遅れの凸部の位相特性領域902を生成することができる。本実施形態によれば、入力パワーの増加に伴い、位相進み及び位相遅れの両方の特性901及び902を生成ことができる。第1の増幅器401は、例えば図1(B)の位相特性を有し、図9の位相特性の信号を入力することにより、図1(B)の位相特性及び図9の位相特性が打ち消し合い、広範囲の入力パワーにおいて位相の微分値が一定の線形動作領域を実現することができる。
【0051】
(第4の実施形態)
図10は、第1の増幅器401の位相特性311を示す図である。第1の増幅器401において、入力パワーの増加に伴い、出力信号の位相が回転することは上記で述べたが、シリコンCMOSを用いた第1の増幅器401においては、凹部領域1002のように、位相進みの程度が激しく、位相進みの領域1002のピークを補償しきれない場合がある。すなわち、所定範囲1001内の位相特性311は位相補償が容易であるが、所定範囲1001外の位相特性311の位相補償は困難な場合がある。本実施形態では、この課題を解決するための増幅器の位相補償回路を示す。
【0052】
図11は、第4の実施形態による増幅器の位相補償回路を有する増幅回路の構成例を示す回路図である。第4の実施形態の回路(図11)は、第3の実施形態の回路(図8)に対して、遅延器1101、リミッティング増幅器1102、排他的論理和回路1103及び低域通過フィルタ1104を含む位相差検出回路を追加したものである。なお、ここでは、1個の第1の電界効果トランジスタ406a及び1個の第2の電界効果トランジスタ406cを用いる場合を例に示すが、第3の実施形態と同様に、それぞれを2個以上設けてもよい。以下、本実施形態が第3の実施形態と異なる点を説明する。
【0053】
遅延器1101は、第1の増幅器401の入力信号を遅延して出力する。遅延器1101の遅延時間は、第1の増幅器401の入力信号が第1の増幅器401を通過する時間に等しい。リミッティング増幅器1102は、遅延器1101の出力信号1110を2値の信号1112に変換し、第1の増幅器401の出力信号1111を2値の信号1113に変換する。遅延器1101の出力信号1110が閾値より大きければ2値信号1112はハイレベルになり、遅延器1101の出力信号1110が閾値より小さければ2値信号1112はローレベルになる。同様に、第1の増幅器401の出力信号1111が閾値より大きければ2値信号1113はハイレベルになり、第1の増幅器401の出力信号1111が閾値より小さければ2値信号1113はローレベルになる。リミッティング増幅器1102は、正弦波で振動する信号1110,1111を方形波信号1112,1113に変換することができる。排他的論理和回路1103は、信号1112及び1113を入力し、信号1112及び1113の排他的論理和信号1114を出力する。信号1112及び1113のレベルが同じであれば排他的論理和信号1114はローレベルになり、信号1112及び1113のレベルが異なれば排他的論理和信号1114はハイレベルになる。排他的論理和信号1114は、パルス状の信号であり、信号1112及び1113の位相差が大きくなるほどパルス幅が広くなる。低域通過フィルタ1104は、排他的論理和信号1114の高周波数成分を減衰させ、低周波数成分を通過させることにより、排他的論理和信号1114を直流信号に変換し、第2の増幅器413aに出力する。
【0054】
遅延器1101、リミッティング増幅器1102、排他的論理和回路1103及び低域通過フィルタ1104は、位相差検出回路を構成し、第1の増幅器401の入力信号及び出力信号の位相差を検出する。第2の増幅器413aは、位相差検出回路により検出された位相差に応じた利得で増幅する。両者の位相差が大きいほど、排他的論理和信号1114のパルス幅が広くなり、低域通過フィルタ1104の出力直流信号のレベルが高くなる。第2の増幅器413aは、低域通過フィルタ1104の出力信号に応じた利得で、低域通過フィルタ412の出力信号を増幅する。
【0055】
第2の増幅器413aの利得を変化させることにより、位相変調量を変えることができる。第1の増幅器401の入力信号に対して、第1の増幅器401の出力信号の位相が大きく外れてくると、位相差検出回路のループによって、第2の増幅器413aの利得が位相差に応じて変動する。位相差が大きくなれば、第2の増幅器413aの利得が大きくなり、それによって得られる位相変調量も大きくなる。また、このループによって位相差が縮まれば、排他的論理和信号1114のパルス幅が狭くなるため、第2の増幅器413aへ入力される直流信号レベルも小さくなり、位相変調量も減少する。このように、本実施形態では、第1の増幅器401の出力信号の位相変調の程度に応じ、アダプティブに位相の逆特性を生成することができる。
【0056】
本実施形態では、第1の増幅器401の入力信号及び出力信号の位相を比較し、入力パワーに伴って生じる位相回転を逐次検出する。位相比較器として、ここでは排他的論理和回路1103を用いる例を示している。また、排他的論理和回路1103の前段にリミッティング増幅器1102を設けることにより、エッジを有する信号1112及び1113を生成することができ、位相比較の精度を高めることができる。
【0057】
第1〜第4の実施形態の第1の増幅器401及びその位相補償回路は、無線通信システムやレーダシステムに用いられる高周波回路等に使用することができる。第2の増幅器413が入力端子402の入力信号421のエンベロープ422を増幅することにより、第1の増幅器401の位相歪みを高精度で補償することができる。また、第1の電位ノードVrの電位を制御することにより、位相補償特性のピーク位置を変えることができる。
【0058】
なお、上記実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその技術思想、又はその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【符号の説明】
【0059】
401 第1の増幅器
402 入力端子
403 出力端子
404 第1の容量
405 第2の容量
406 第1の電界効果トランジスタ
407 第3の容量
411 検波器
412 低域通過フィルタ
413 第2の増幅器
414 抵抗
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力端子及び第1のノード間に接続される第1の容量と、
前記第1のノード及び第1の増幅器の入力端子間に接続される第2の容量と、
ゲートが前記第1のノードに接続され、ソース及びドレインが第1の電位ノードに接続される第1の電界効果トランジスタと、
前記入力端子の信号のエンベロープを検出するエンベロープ検出回路と、
前記エンベロープ検出回路により検出されたエンベロープを増幅し、前記第1のノードに出力する第2の増幅器と
を有することを特徴とする増幅器の位相補償回路。
【請求項2】
前記第2の増幅器は、利得を制御可能な可変利得増幅器であることを特徴とする請求項1記載の増幅器の位相補償回路。
【請求項3】
さらに、前記第1の電位ノード及び基準電位ノード間に接続される第3の容量を有し、
前記第1の電位ノードに供給される第1の電位は可変制御可能であることを特徴とする請求項1又は2記載の増幅器の位相補償回路。
【請求項4】
前記第2の容量は、前記第1のノード及び第2のノード間に接続され、
さらに、前記第2のノード及び前記第1の増幅器の入力端子間に接続される第4の容量と、
ゲートが前記第2のノードに接続され、ソース及びドレインが第2の電位ノードに接続される第2の電界効果トランジスタと、
前記エンベロープ検出回路により検出されたエンベロープを増幅し、前記第2のノードに出力する第3の増幅器とを有し、
前記第1の電界効果トランジスタ及び前記第2の電界効果トランジスタは、相互に相補のチャネルを有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の増幅器の位相補償回路。
【請求項5】
さらに、前記第1の増幅器の入力信号及び出力信号の位相差を検出する位相差検出回路を有し、
前記第2の増幅器は、前記位相差検出回路により検出された位相差に応じた利得で増幅することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の増幅器の位相補償回路。
【請求項6】
信号を増幅する第1の増幅器と、
位相補償回路とを有し、
前記位相補償回路は、
入力端子及び第1のノード間に接続される第1の容量と、
前記第1のノード及び前記第1の増幅器の入力端子間に接続される第2の容量と、
ゲートが前記第1のノードに接続され、ソース及びドレインが第1の電位ノードに接続される第1の電界効果トランジスタと、
前記入力端子の信号のエンベロープを検出するエンベロープ検出回路と、
前記エンベロープ検出回路により検出されたエンベロープを増幅し、前記第1のノードに出力する第2の増幅器と
を有することを特徴とする増幅回路。
【請求項1】
入力端子及び第1のノード間に接続される第1の容量と、
前記第1のノード及び第1の増幅器の入力端子間に接続される第2の容量と、
ゲートが前記第1のノードに接続され、ソース及びドレインが第1の電位ノードに接続される第1の電界効果トランジスタと、
前記入力端子の信号のエンベロープを検出するエンベロープ検出回路と、
前記エンベロープ検出回路により検出されたエンベロープを増幅し、前記第1のノードに出力する第2の増幅器と
を有することを特徴とする増幅器の位相補償回路。
【請求項2】
前記第2の増幅器は、利得を制御可能な可変利得増幅器であることを特徴とする請求項1記載の増幅器の位相補償回路。
【請求項3】
さらに、前記第1の電位ノード及び基準電位ノード間に接続される第3の容量を有し、
前記第1の電位ノードに供給される第1の電位は可変制御可能であることを特徴とする請求項1又は2記載の増幅器の位相補償回路。
【請求項4】
前記第2の容量は、前記第1のノード及び第2のノード間に接続され、
さらに、前記第2のノード及び前記第1の増幅器の入力端子間に接続される第4の容量と、
ゲートが前記第2のノードに接続され、ソース及びドレインが第2の電位ノードに接続される第2の電界効果トランジスタと、
前記エンベロープ検出回路により検出されたエンベロープを増幅し、前記第2のノードに出力する第3の増幅器とを有し、
前記第1の電界効果トランジスタ及び前記第2の電界効果トランジスタは、相互に相補のチャネルを有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の増幅器の位相補償回路。
【請求項5】
さらに、前記第1の増幅器の入力信号及び出力信号の位相差を検出する位相差検出回路を有し、
前記第2の増幅器は、前記位相差検出回路により検出された位相差に応じた利得で増幅することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の増幅器の位相補償回路。
【請求項6】
信号を増幅する第1の増幅器と、
位相補償回路とを有し、
前記位相補償回路は、
入力端子及び第1のノード間に接続される第1の容量と、
前記第1のノード及び前記第1の増幅器の入力端子間に接続される第2の容量と、
ゲートが前記第1のノードに接続され、ソース及びドレインが第1の電位ノードに接続される第1の電界効果トランジスタと、
前記入力端子の信号のエンベロープを検出するエンベロープ検出回路と、
前記エンベロープ検出回路により検出されたエンベロープを増幅し、前記第1のノードに出力する第2の増幅器と
を有することを特徴とする増幅回路。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−100037(P2012−100037A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−245601(P2010−245601)
【出願日】平成22年11月1日(2010.11.1)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年11月1日(2010.11.1)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
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