説明

増強された光学的性質のポリエチレンを提供する重合方法

低減された黄色度指数のエチレンポリマーを提供するエチレンの重合方法。エチレンを少量で含有する不活性な炭化水素希釈剤を含むフィード流が重合反応器に供給される。クロムベースの重合触媒とトリエチルボロン共触媒が反応器内でフィード流の中に組み込まれる。重合触媒は、通常、フィード流中で希釈剤の0.008−0.1重量%の範囲内の量のものであり、トリエチルボロン共触媒は希釈剤の0.1−50ppmの範囲内の量で組み込まれる。反応器からのポリマーフラフは、フラフの溶融に充分な温度まで加熱され、次に押し出されて、ポリマー製品が製造される。高温エージング後の黄色度指数は、トリエチルボロン共触媒無添加で製造される対応ポリマー製品の対応黄色度指数よりも少なくとも5%小さい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、良好な機械的もしくは物理的性質を保持する一方で、良好な光学的性質のポリマー製品を提供するための条件下でトリエチルボロン共触媒の存在においてクロムベースの重合触媒によりエチレンのホモポリマーおよびコポリマーを製造するためのエチレンの重合に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリエチレンは、良好な視覚的もしくは光学的な性質が重要である、多数の商品用途でホモポリマーまたはエチレンアルファオレフィンコポリマーとして使用可能である。例えば、ポリエチレンは、ブロー成形もしくは押し出し成形操作により製造可能な瓶または他の容器などの種々の製品の製造において使用され得る。このような用途においては、瓶または他の容器が経時的に広範な黄化を起こさずに所望の色調が維持される良好な光学的特性を有する製品に到達することが望ましい。ポリマー製品の経時的な黄化に対する抵抗性は、米国材料試験協会標準ASTM Dl925にしたがって求められる黄色度指数(YI)により測定可能である。当業者ならば理解するように、黄色度指数の経時的な増加は、ポリマー製品の望ましくない変色の尺度である。
【0003】
ポリエチレンポリマーの他の重要な物理的特性は、分子量分布MWD(数平均分子量Mnに対する重量平均分子量Mwの比)、および標準ASTM D1238にしたがって測定されるメルトインデックスの比により決定される剪断応答を含む。このように、剪断応答SR2は、メルトインデックスMIに対する高荷重メルトインデックス(HLMI)の比として特性化され、剪断応答SR5はメルトインデックスMIに対する高荷重メルトインデックスの比である。慣用的には、種々のメルトインデックスがグラム/10分(g/10分)のメルトフローまたはデシグラム/分(dg/分)の形で表される等価の尺度の形で報告される。
【0004】
重合反応器から回収されるポリマーフラフは、通常、重合反応が進行する希釈剤から分離され、次に溶融、押し出されて、通常、約1/8”−1/4”の寸法を有するペレットの性状のポリマー製品の粒子を生成し、次にポリエチレン容器または他の商用製品の製造に最終的に使用される。押し出し工程時に安定化剤がポリマーの中に組み込まれ得る。このような安定化剤は、通常、立体障害フェノールなどのフェノール系酸化防止剤と、ホスファイト酸化防止剤を含む。最終製品に対するポリマーの好適性の形で重要である他のポリマー特性は、ノッチ付一定リガメント応力(NCLS)により測定される機械的破壊に対する抵抗と、米国材料試験協会標準ASTM D1693にしたがって測定される環境応力亀裂抵抗(ESCR)を含む。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明によれば、エチレンを重合して、低減された黄色度指数のエチレンのホモポリマーもしくはコポリマーを提供するための方法が提供される。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の実施においては、エチレンと、場合によってはより高級なアルファオレフィンコモノマーを含有する不活性な炭化水素希釈剤を含むフィード流が重合反応域に供給される。フィード流は、主として、通常は液体のアルカンもしくは芳香族化合物などの不活性炭化水素希釈剤からなり、エチレンが少量で、通常、希釈剤の10重量%以下で存在する。より高い分子量のアルファオレフィンコモノマーは、存在する場合にはフィード流中の
エチレンの量よりも少ない量で使用される。水素も重合反応域に供給し得る。
【0007】
クロムベースの重合触媒とトリエチルボロン共触媒が重合反応器内でフィード流の中に組み込まれる。重合触媒は、通常、フィード流中の希釈剤の0.008−0.1重量%の範囲内の量で使用され、トリエチルボロン共触媒は、希釈剤の0.1−50パーツ・パー・ミリオン(ppm)の範囲内で量で組み込まれる。触媒と共触媒は、重合反応器の中にフィードされる時にはフィード流に別々に供給されるか、もしくは連続的もしくは間歇的に混合および供給され得る。前記反応域を重合条件下で運転して、エチレンモノマーの重合または共重合によりポリエチレンポリマーフラフが製造される。ポリマーフラフを重合反応域から回収し、次に押し出しのためにフラフの溶融に充分な温度まで加熱する。次に、溶融フラフを押し出して、エチレンのホモポリマーもしくはコポリマーの粒子が製造される。本発明によれば、トリエチルボロン共触媒を添加せずにクロムベースの重合触媒を使用する場合よりも低減された黄色度指数(YI)を有するポリマー製品を製造するのに有効な条件下で反応域が運転される。特に、フラフの押し出しから得られるポリマー製品は、トリエチルボロン共触媒を使用せずに製造されるポリマー製品の対応黄色度指数よりも少なくとも5%小さい、175°Fでのエージング後の黄色度指数を有する。
【0008】
本発明の更なる局面においては、ポリマー製品はエチレンとC−Cオレフィン、特にヘキセンのコポリマーである。フィード流中のエチレンの濃度の50重量%未満の濃度でヘキセンまたは他のエチレンより高い分子量のオレフィンが使用され得る。本発明の一つの態様においては、前記トリエチルボロン共触媒は、前記トリエチルボロン共触媒を無添加で触媒の活性よりも少なくとも10%大きい量で重合触媒の活性の増加に有効な量でフィード流の中に組み込まれる。本発明の更なる態様においては、前記トリエチルボロン共触媒は、前記トリエチルボロン共触媒を添加せずに製造される対応ポリマー製品の分子量分布よりも広い分子量分布を有するポリマー製品を製造する量でフィード流中で使用される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明が実施される、エチレンとコモノマーを重合する方法の概略図示である。
【図2】本発明にしたがって製造されるポリマー製品に対する加熱エージングされる黄色度指数値のグラフである。
【図3】本発明にしたがって使用されるポリマー製品についての黄色度指数の変化を図示する加熱エージングの黄色度指数データのグラフ表示である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
エチレンのホモポリマーもしくはコポリマーの製造で使用されるループタイプの反応器を参照しながら、本発明を説明する。図1を参照すると、投入ライン12からの希釈剤とエチレンモノマーと、投入ライン14からの触媒系を含むフィード流が供給されるループタイプの重合反応器10が図示される。連続ループタイプの反応器は、当業者ならば理解するように、ループタイプの反応器中で重合反応物を制御された温度と圧力条件の下で連続的に循環するように機能するインペラー15が備えられている。重合反応器はいかなる好適な条件下でも運転され得る。反応器10内での重合反応の過程で希釈剤媒体として液化イソブタンを使用し得る。別法としては、ヘキサンなどの高分子量希釈剤を使用することができる。
【0011】
触媒と共触媒は、いかなる好適な方法によっても重合反応器の中に導入され得る。一つの運転方式においては、触媒系は、フィリップス・タイプシリカ担持クロム触媒に頻用されるタイプの触媒注入系を使用して、反応器の中に導入され得る。この適用方式においては、前述のクロムベースの重合触媒とトリエチルボロン(TEB)共触媒を含む触媒系は
、触媒フィードライン14から重合反応器の中に組み込まれる。触媒注入系においては、イソブタンなどの希釈剤が供給ライン19経由で混合ライン18に供給される。TEB共触媒はライン21から供給され、クロムベースの触媒はライン22から導入され、触媒系はライン14経由で反応器10の中に導入される。別法としては、もしくはライン14からの導入に加えて、触媒系を反応器10に導入するためにライン16からライン12に流し得る。反応器の中に導入するために、触媒は、キャリアー流に連続的もしくは間歇的に供給され得る。重合反応器10の中に導入する前に触媒を予備重合させ得る。例えば、米国特許第4,767,735号に述べられているように、クロムベースの触媒とTEB共触媒は、反応器の中に導入する前に、管状反応器中で重合され得る。本発明の実施において使用され得る好適な予備重合法の更なる説明には、参照によりこの明細書中に組み込まれている、前述の特許第4,767,735号が参照される。もう一つの運転方式においては、クロムベースの触媒とTEB共触媒が別々のフィードラインから重合反応器の中に導入され得る。例えば、図1を参照すると、クロムベースの触媒はライン14から反応器の中に導入され得(共触媒と予備混合せずに)、TEB共触媒は別々のライン24から反応器の中に導入される。別々のライン24は、ライン14からクロムベースの触媒を導入する地点の上流または下流に配置され得る。図面中に示すように、別々のライン24の好適な場所はライン14の上流であり、クロムベースの重合触媒の導入の直後にTEB共触媒を反応器の中に導入することに備えられる。
【0012】
反応器の製品側においては、エチレンのホモポリマーもしくはコポリマーはライン26経由で回収される。通常、ポリエチレンを含有する溶媒流中で重合反応を停止するために、不活性化装置が製品流の中に組み込まれる。製品は、ポリエチレンフラフを抽出する濃縮および回収系28にライン26から供給される。希釈剤と未反応エチレンは、好適な精製および回収系(図示せず)により回収され、反応器10に再循環される。ガス状エチレンを含まないポリエチレンフラフを含有する製品流は、ライン30経由で回収系から回収される。
【0013】
ポリエチレンフラフは、押し出し機−ダイ系34の投入ホッパー32に供給される。安定化添加物がライン31からホッパー32に供給される。押し出し機−ダイ系においては、ポリマーは溶融状態に加熱され、溶融ポリマーは押し出され、適当な粒子に切断される。通常、ポリエチレン製品は、押し出され、ペレットにダイ切断され、押し出し機−ダイ系34の製品末端36から排出される。これらのペレットは加熱され、瓶または他のポリエチレン製品の製造におけるなどの種々の用途に押し出され、成形され得る。
【0014】
本発明の実施において使用されるクロムベースの触媒は、エチレンの重合または共重合において有効である、いかなる好適なタイプの触媒でもあり得る。通常、クロムベースの触媒はシリカ担体を組み込んでおり、1/2重量%から5重量%のクロムの範囲のクロム含量を有する。クロムベースの触媒は、通常、1−5重量%の量で存在するチタンも含み得る。本発明の実施に使用され得る好適なクロムベースの触媒は、全体の開示が参照によりこの明細書中に組み込まれている、Debrasへの米国特許第6,423,663号、およびDebrasらへの第6,489,428号で開示されている。
【実施例】
【0015】
本発明に関する実験研究においては、エチレンホモポリマーとエチレン−ヘキセンコポリマーを標準の実験室の重合実験で製造して、対応するポリマーフラフを製造した。各場合において、押し出し時にフラフに添加することにより、ポリマーフラフを安定化して、Irgonox1010の名称の400ppmのフェノール系酸化防止剤と、Irgafos168の名称の1,600ppmのホスファイト酸化防止剤を有する安定化されたパッケージのペレットを形成した。押し出して、ポリマーペレットを形成した後、標準条件下でペレットを60時間加熱エージングし、ほぼ12、36、および60時間で黄色度指
数値を求めた。
【0016】
実験研究で使用される触媒は、市販のクロムベースの触媒であり、この明細書中では各触媒に対して約1.0重量%のクロム含量を特徴とする、触媒A、B、およびCと同定された。触媒A、B、およびCは、それぞれが2.4、2.3、および3.7重量%のチタン量でチタンも含有するものであった。実験室の重合実験においては、共触媒無添加で、ならびに共触媒として希釈剤の4−12ppmの範囲の量のトリエチルボロン添加で重合を行った。使用される希釈剤はイソブタンであった。この重合実験においては、エチレンをイソブタン希釈剤の8重量%の濃度で使用し、コポリマーについてはコモノマー1−ヘキセンを72重量%までの濃度で使用した。重合もしくは共重合実験をベンチ反応器中94から104℃の範囲の温度で行った。この触媒を約1,100°Fの活性化温度で活性化した。
【0017】
重合反応器から回収されるホモポリマーもしくはコポリマーのフラフを上記の名称の酸化防止剤添加物パッケージとブレンドし、次に、色調試験のためにペレットに押し出して、重合実験において触媒A、B、およびCと上記に同定され、使用される触媒に対応するこの明細書中で製品PA、PB、およびPCと同定されるポリマー製品を製造した。
【0018】
一組の実験においては、TEB共触媒無添加で、ならびに4、8、および12ppmの濃度でのTEB共触媒添加でエチレンホモポリマーを製造して、ホモポリマーポリマーPA、PB、およびPCを製造した。0ppmTEBから12ppmTEBまで変えた実験に対する1時間当り触媒1グラム当りのポリマーのグラムの触媒活性を表Iに示す。
【0019】
【表1】

【0020】
ポリマー製品PA、PB、およびPCに対する種々のトリエチルボロン濃度の関数としてMI、MI、およびHLMIのメルトフロー値を表II−IVに示す。
【0021】
【表2】

【0022】
【表3】

【0023】
【表4】

【0024】
ポリマー製品に対する剪断比SR2(HLMI/MI)およびSR5(HLMI/MI)を表VおよびVIに示す。
【0025】
【表5】

【0026】
【表6】

【0027】
表I−VI中のデータの精査から判るように、使用される低レベルのTEBは重合の動力学に著しい影響を及ぼす。触媒Aに対しては、触媒は、4ppmのTEBで最大もしくはほぼ最大の活性を示し、8ppmのTEBでほぼ同一の活性を示し、12ppmのTEBで活性は僅かに増加した。触媒BおよびCに対しては、最大活性は4−8ppmのTEB範囲で起こり、試験した最大レベルの12ppmのTEBで若干減少した。表VおよびVI中で示すように、剪断比SR2およびSR5は、試験した4−12ppmの範囲でTEB共触媒を添加することにより概ね増加した。
【0028】
更なる実験研究においては、ヘキセンをコモノマーとして希釈剤中で0.18重量%および0.36重量%の濃度で使用してコポリマーを製造した。この実験研究においては、TEB濃度を4ppmで一定に保持した。上述したものと同一の酸化防止剤添加物パッケージを押し出し工程時にポリマーフラフに添加した。種々のヘキセン濃度に対応するMI、MI、および高荷重メルトインデックスHLMIの値をそれぞれ表VII、VIII、およびIXに示す。
【0029】
【表7】

【0030】
【表8】

【0031】
【表9】

【0032】
ポリマー製品A、B、およびCに対するSR2とSR5の得られる剪断比値を表XおよびXIに示す。
【0033】
【表10】

【0034】
【表11】

【0035】
トリエチルボロンを共触媒として使用して重合されるポリマー製品の色調インテグリティを決める更なる実験研究においては、上記で触媒AおよびBの名称のクロムベースの触媒により重合されるエチレン−ヘキセンコポリマーに対して色調インテグリティ試験をトリエチルボロンを添加しない場合、ならびにイソブテン希釈剤に4ppmの量トリエチルボロンを添加した場合について行った。エチレンモノマーを重合系中4−8重量%の量で希釈剤に添加した。ヘキセンコモノマーを0.72重量%までの量で希釈剤に添加した。フラフを上述の添加物パッケージの400ppmのフェノール系酸化防止剤Irgonox1010と1,600ppmのホスファイト酸化防止剤lrgafos168により安定化した後、実験室用重合反応器から回収されるフラフを回収した。押し出し系からペレット化されたポリマー製品を回収した後、これらを175°Fの温度で60時間エージングした。エージング試験の過程において、ポリマー製品の黄色度指数値をほぼ12時間、
36時間、および60時間で測定した。米国材料試験協会標準ASTM D1925にしたがって黄色度指数値を求めた。実験研究は、トリエチルボロンを共触媒として使用することによりポリマー製品の黄色度指数の低下を一様に示した。この実験研究の結果を図2および3に示す。図2中では上述の触媒AおよびBにより製造されるコポリマーに対して横軸に時間T(時)をプロットし、縦軸に黄色度指数(YI)をプロットする。触媒Aによりトリエチルボロン無添加で製造されるコポリマーに対する黄色度指数値を曲線A1により表示し、4ppmのTEBを使用して製造される対応するコポリマーの黄色度指数を曲線A2により表示する。同様に、触媒BによりTEBの無添加で製造されるコポリマーに対する黄色度指数を曲線B1により表示し、4ppmのTEBを用いて製造される対応するコポリマー製品を曲線B2により表示する。
【0036】
図2に提示されているデータの精査から判るように、トリエチルボロン共触媒の使用は、エージング試験の黄色度指数の経時的な低減を一貫して生じた。触媒Aにより製造されるコポリマーに対して黄色度指数の最大の低減が観察され、TEB共触媒を組み込んだ触媒系が60時間のエージングでほぼ25%の低減を示した。この効果は、触媒Bを用いて製造されるコポリマーに対してはさほど著しくないが、この触媒を用いて製造されるポリマー製品も60時間のエージング時間で観察される約8%の低減の黄色度指数の著しい改善を示し、触媒Bはエージング試験時間の間で黄色度指数の比較的中程度の増加を示した。
【0037】
図3は、黄色度指数値に及ぼす加熱エージング試験の効果を示す。これは、横軸にエージング時間をプロットし、それに対して縦軸に黄色度指数Cをプロットし、その変化の形で提示される。図3においてはトリエチルボロン無添加のコポリマーAに対する黄色度指数の変化を曲線A’1により表示し、触媒Aと共触媒トリエチルボロンにより製造されるポリマー製品に対する黄色度指数の変化を曲線A’2により表示する。TEB共触媒を使用しない場合には曲線B’1により、また触媒系が4ppmのTEBを含む場合には曲線B’2により、触媒Bにより製造されるコポリマーに対する類似の値を示す。図3に提示されるデータにより図示されるように、トリエチルボロン共触媒を使用することにより、エージングによる黄色度の増加は再度実質的に遅延された。
【0038】
前出の実験研究により示されるように、本発明にしたがってトリエチルボロン共触媒を使用することによって、増強された触媒活性と改善されたポリマー特性をもたらす一方で、低減された黄色度指数と、黄色度指数の形での改善されたエージング特性のポリマーを製造することが可能となる。
【0039】
本発明の特定の態様を述べてきたが、これらの改変は当業者には示唆され得ることが理解され、添付の特許請求の範囲内に入るすべてのこのような改変を網羅することが意図されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)少量のエチレンを含有する不活性炭化水素希釈剤を含むフィード流を重合反応域に供給すること;
(b)重合反応域内で前記フィード流の中にクロムベースの重合触媒を組み込むこと;
(c)重合反応域内でトリエチルボロン共触媒を前記フィード流の中に前記希釈剤基準で0.1−50ppmの範囲内の量で組み込むこと;
(d)前記反応域を重合条件下で運転して、前記エチレンモノマーの重合によりポリエチレンポリマーフラフを製造すること;
(e)前記反応域から前記ポリエチレンポリマーフラフを回収すること;
(f)前記ポリエチレンポリマーフラフを前記フラフの溶融に充分な温度まで加熱し、その後前記加熱されたポリマーフラフを押し出して、前記ポリエチレンポリマーのペレットを製造すること;および
(g)前記ポリマーフラフの加熱および押し出しから得られ、前記トリエチルボロン共触媒を添加しないことを除いて、同一の、前記ポリエチレンフラフ製造用の重合条件下で製造される、対応ポリマー製品の対応黄色度指数よりも少なくとも5%小さい、高温でのエージング後の黄色度指数を有するポリマー製品を製造するのに有効な条件下で前記反応域を運転すること
を含んでなる、エチレンを重合して、低減された黄色度指数(YI)を有するエチレンポリマーを提供する方法。
【請求項2】
前記ポリマー製品が同一条件下のエージング後での対応ポリマー製品の黄色度指数の変化よりも小さい、高温でのエージング後の黄色度指数の変化を呈する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ポリエチレンポリマーフラフがポリエチレンホモポリマーである、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
エチレンの分子量よりも大きい分子量を有するより高い分子量のオレフィンを前記フィード流の中に組み込み、前記重合条件下で前記反応域を運転して、エチレンと前記より高い分子量のオレフィンのコポリマーが製造される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記より高い分子量のオレフィンがC−Cオレフィンである、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記より高い分子量のオレフィンが前記フィード流中のエチレン濃度の50重量%未満の濃度のヘキセンである、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記トリエチルボロン共触媒を添加しないことを除いて、同一の、前記ポリエチレンフラフ製造用の重合条件下で製造される対応ポリマー製品の分子量分布よりも広い分子量分布を有するポリマー製品を製造する量で、前記トリエチルボロン共触媒が前記フィード流の中に組み込まれる、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記トリエチルボロン共触媒を添加しないことを除いて、同一の、前記ポリエチレンフラフ製造用の重合条件下で製造される対応ポリマー製品の剪断応答SR2よりも大きい剪断応答SR2を有するポリマー製品を提供するのに有効な量で、前記トリエチルボロン共触媒が前記フィード流の中に組み込まれる、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記トリエチルボロン共触媒を添加しないことを除いて、同一の、前記ポリエチレンフラフ製造用の重合条件下で製造される対応ポリマー製品の剪断応答SR5よりも大きい剪断応答SR5を有するポリマー製品を提供するのに有効な量で、前記トリエチルボロン共
触媒が前記フィード流の中に組み込まれる、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記トリエチルボロン共触媒を添加しないことを除いて、同一の重合条件下で前記触媒の活性よりも少なくとも10%大きい量で前記重合触媒の活性を前記ポリマーフラフの製造のために増加させる量で、前記トリエチルボロン共触媒が前記フィード流の中に組み込まれる、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
(a)少量のエチレンを含有する不活性炭化水素希釈剤を含むフィード流を重合反応域に供給すること;
(b)重合反応域内で前記フィード流の中に0.008−0.1重量%の範囲内の量でクロムベースの重合触媒を組み込むこと;
(c)重合反応域内でトリエチルボロン共触媒を前記フィード流の中に前記希釈剤基準で0.1−50ppmの範囲内の量で組み込むこと;
(d)前記反応域を重合条件下で運転して、前記エチレンモノマーの重合によりポリエチレンポリマーフラフを製造すること;
(e)前記反応域から前記ポリエチレンポリマーフラフを回収すること;
(f)前記ポリエチレンポリマーフラフを前記フラフの溶融に充分な温度まで加熱し、その後前記加熱されたポリマーフラフを押し出して、前記ポリエチレンポリマーのペレットを製造すること;および
(g)前記ポリマーフラフの加熱および押し出しから得られ、前記トリエチルボロン共触媒を添加しないことを除いて、同一の、前記ポリエチレンフラフ製造用の重合条件下で製造される対応ポリマー製品の対応する黄色度指数よりも少なくとも5%小さい、175°Fの温度での60時間エージング後の黄色度指数を有するポリマー製品を製造するのに有効な条件下で前記反応域を運転すること
を含んでなる、エチレンを重合して、低減された黄色度指数(YI)を有するエチレンポリマーを提供する方法。
【請求項12】
前記ポリマー製品が同一の条件下でのエージング後での対応するポリマー製品の黄色度指数の変化よりも小さい、175°Fでのエージング後の黄色度指数の経時的な変化を呈する、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
ポリエチレンポリマーフラフがポリエチレンホモポリマーである、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
エチレンの分子量よりも大きい分子量を有するオレフィンが前記フィード流の中に組み込まれ、前記重合条件下で前記反応域を運転して、エチレンと前記より高い分子量のオレフィンのコポリマーを製造する、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記より高い分子量のオレフィンがC−Cオレフィンである、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記より高い分子量のオレフィンが前記フィード流中のエチレン濃度の50重量%未満の濃度のヘキセンである、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記トリエチルボロン共触媒を添加しないことを除いて、同一の、前記ポリエチレンフラフ製造用の重合条件下で製造される対応ポリマー製品の分子量分布よりも広い分子量分布を有するポリマー製品を製造する量で、前記トリエチルボロン共触媒が前記フィード流の中に組み込まれる、請求項11に記載の方法。
【請求項18】
前記トリエチルボロン共触媒を添加しないことを除いて、同一の、前記ポリエチレンフ
ラフ製造用の重合条件下で製造される対応ポリマー製品の剪断応答SR2よりも大きい剪断応答SR2を有するポリマー製品を提供するのに有効な量で、前記トリエチルボロン共触媒が前記フィード流の中に組み込まれる、請求項11に記載の方法。
【請求項19】
前記トリエチルボロン共触媒を添加しないことを除いて、同一の、前記ポリエチレンフラフ製造用の重合条件下で製造される対応するポリマー製品の剪断応答SR5よりも大きい剪断応答SR5を有するポリマー製品を提供するのに有効な量で、前記トリエチルボロン共触媒が前記フィード流の中に組み込まれる、請求項11に記載の方法。
【請求項20】
前記トリエチルボロン共触媒を添加しないことを除いて、同一の重合条件下で前記触媒の活性よりも少なくとも10%大きい量で前記重合触媒の活性を前記ポリマーフラフの製造のために増加させる量で、前記トリエチルボロン共触媒が前記フィード流の中に組み込まれる、請求項11に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2010−526181(P2010−526181A)
【公表日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−506572(P2010−506572)
【出願日】平成20年4月30日(2008.4.30)
【国際出願番号】PCT/US2008/061883
【国際公開番号】WO2008/137413
【国際公開日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【出願人】(391024559)フイナ・テクノロジー・インコーポレーテツド (98)
【氏名又は名称原語表記】FINA TECHNOLOGY, INCORPORATED
【Fターム(参考)】