壁装材貼設用パネルおよびその施工方法
【課題】壁装材を貼設すべき施工壁面に対し、壁装材を簡単に貼設すること、部分的装飾を可能とする壁装材貼設用パネルおよびその施工方法を提供すること。
【解決手段】壁装材２と、壁装材の周縁端部を固定する挟み込み手段３を備え、挟み込み手段によって壁装材の周縁端部を固定するべく枠状に組み立てられた固定部材組立体４と、固定部材組立体を枠状に規定するべく組み合わされた下地プレート５とを含むものからなり、固定部材組立体の最外周縁を壁装材によって包み込むべく、固定部材組立体の外周縁側部に外方に向けて開口する挟み込み手段のための間隙６を設けてなる壁装材貼設用パネル。
【解決手段】壁装材２と、壁装材の周縁端部を固定する挟み込み手段３を備え、挟み込み手段によって壁装材の周縁端部を固定するべく枠状に組み立てられた固定部材組立体４と、固定部材組立体を枠状に規定するべく組み合わされた下地プレート５とを含むものからなり、固定部材組立体の最外周縁を壁装材によって包み込むべく、固定部材組立体の外周縁側部に外方に向けて開口する挟み込み手段のための間隙６を設けてなる壁装材貼設用パネル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
この発明は、建造物などにおける内壁、天井、間仕切り、扉、襖、あるいはその他の建具などの表面（この発明では、施工壁面という）に対して、織物などによる壁装材を貼設施工するための壁装材貼設用パネルおよびその施工方法に関するものである。
【背景技術】
【０００２】
周知のように、建造物などにおける壁面に対する内装として、織物などのシート状の壁装材を壁面に貼設することが一般的に行われている。その際に、壁装材の周縁端部を把持して固定するため、当該壁装材を貼設すべき壁面に対して枠状に取り付けられ、前記壁装材の周縁端部を挟み込み状に固定するように構成した長尺の固定部材が適用されている。
【０００３】
例えば、特許文献１に記載のような壁装材の固定部材および壁装材の貼設方法が、本発明者らによって開発され、提供されてきている。この特許文献１に記載のものは、突条部を有する固定部材本体に、屈曲部を有する縁取り材を接続部において一体化したものであり、壁装材の周縁端部を固定部材の突条部と縁取り材の屈曲部との間に挟持させることにより、接着剤を使用することなく、また、壁面に傷を付けることなく壁装材を貼設することを可能にした。しかしながら、この壁装材の固定部材では、壁装材並びに固定部材ともに長尺に準備しておき、これらを施工現場で必要分採寸しながら裁断して使うことから、施工現場において煩雑な作業と作業時間を要する点、材料面において裁断によるカットロスが大きくなってしまう点、さらには、一枚、あるいは、基調が統一された数枚の壁装材で施工壁面全体を装飾するという考え方であるため、壁装の意匠表現を制約してしまうという点、などの問題があった。
【０００４】
【特許文献１】特許第３６５２６１３号公報（特許請求の範囲、図１）
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００５】
そこで、この発明では、上記するような従来技術の問題点を解消すべくなしたものであって、特に重要な要素は、施工現場において壁装材を貼設すべき施工壁面に対し、壁装材を簡単に貼設することを可能とし、壁装材を貼設すべき施工壁面を部分的に装飾するという全く新しい壁装の楽しみ方をなし得るためのものであって、且つ、壁装材の仕上がりの美しさをより向上させる壁装材貼設用パネルおよびその施工方法を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【０００６】
この発明は、上記する目的を達成するにあたって、請求項１に記載の発明は、壁装材と、前記壁装材の周縁端部を挟み込み状に固定する挟み込み手段を備え、前記挟み込み手段によって前記壁装材の周縁端部を挟み込み状に固定するべく枠状に組み立てられた固定部材組立体と、前記固定部材組立体を枠状に規定するべく組み合わされた下地プレートとを含むものからなり、前記枠状に組み立てられた固定部材組立体の最外周縁を前記壁装材によって包み込むべく、前記固定部材組立体の外周縁側部に外方に向けて開口する前記挟み込み手段のための間隙を設けてなることを特徴とする壁装材貼設用パネルを構成するものである。
【０００７】
さらに、この発明において、請求項２に記載の発明は、請求項１に記載の壁装材貼設用パネルであって、前記固定部材組立体が、長尺成型材から得られる固定部材の組み合わせでなり、前記固定部材が、長さ方向にのびる扁平な固定基部と、該固定基部の一側縁に沿って長さ方向にのび、上方に向けて突き出る突出部と、前記突出部の下方であって、前記固定基部の一側縁に沿って長さ方向にのび外方に向けて開口する前記挟み込み手段のための間隙とを備えたものからなることを特徴とするものである。
【０００８】
さらに、この発明において、請求項３に記載の発明は、請求項２に記載の壁装材貼設用パネルであって、前記固定部材における前記間隙に、軟質樹脂からなる突条部を設けたことを特徴とするものである。
【０００９】
さらに、この発明において、請求項４に記載の発明は、請求項３に記載の壁装材貼設用パネルであって、前記固定部材における突条部が、前記壁装材の周縁端部を保持する保持突起を含むものからなることを特徴とするものである。
【００１０】
さらに、この発明において、請求項５に記載の発明は、請求項１〜請求項４のいずれかに記載の壁装材貼設用パネルであって、前記固定部材組立体の枠内であって、前記壁装材と下地プレート間に充填下地材を充填してなることを特徴とするものである。
【００１１】
さらに、この発明において、請求項６に記載の発明は、壁装材と、前記壁装材の周縁端部を挟み込み状に固定する挟み込み手段を備え、前記挟み込み手段によって前記壁装材の周縁端部を挟み込み状に固定するべく枠状に組み立てられた固定部材組立体と、前記固定部材組立体を枠状に規定するべく組み合わされた下地プレートとを含むものからなり、前記枠状に組み立てられた固定部材組立体の最外周縁を前記壁装材によって包み込むべく、前記固定部材組立体の外周縁側部に外方に向けて開口する前記挟み込み手段のための間隙を設けてなる壁装材貼設用パネルを準備する工程と、
前記壁装材貼設用パネルを準備する段階において、前記壁装材貼設用パネルの外周縁を突き合わせ状に当接させることにより、予め選択されたデザインを連続状に具現するように、前記固定部材組立体の挟み込み手段のための間隙に、前記壁装材の周縁端部を挟み込んで張装する際、挟み込み量を調節しながら挟み込む工程と、
前記壁装材貼設用パネルを、予め選択されたデザインを連続状に具現するように、施工壁面上に配列して固定する工程とを含むものからなることを特徴とする壁装材貼設用パネルの施工方法を構成するものである。
【００１２】
さらにまた、この発明において、請求項７に記載の発明は、請求項６に記載の壁装材貼設用パネルの施工方法であって、予め選択されたデザインを連続状に具現する複数個の壁装材貼設用パネルを準備し、それらを突き合わせ状に当接させて、予め選択されたデザインを連続状に具現する壁装材貼設用パネル集合体とすることを特徴とするものである。
【００１３】
さらにまた、この発明において、請求項８に記載の発明は、請求項７に記載の壁装材貼設用パネルの施工方法であって、前記壁装材貼設用パネル集合体において壁装材貼設用パネルの側縁が露出する最外周囲に、廻り縁部材を嵌め合わせてなることを特徴とするものでもある。
【発明の効果】
【００１４】
この発明になる壁装材貼設用パネルによれば、当該壁装材貼設体を工場サイドにおいて予め製作準備しておくことができ、当該壁装材貼設の施工時間を大幅に短縮することができるという点において極めて有効に作用するものといえる。
【００１５】
さらに、この発明になる壁装材貼設用パネルによれば、壁装材を貼設すべき施工壁面の必要な区画だけに当該壁装材貼設パネルを、例えば、縦方向および横方向に連接設置することで、壁装材を貼設すべき施工壁面を部分的に装飾することが簡単にできるようになるという点において極めて有効に作用するものといえる。
【００１６】
さらにまた、この発明になる壁装材貼設用パネルによれば、壁装材貼設パネルを縦方向および横方向に格子状に設置する場合、固定部材の一側端が隣り合うパネルに隠れて露出せず、壁装材の仕上がりが美しくなる。また、設置区画の外周には、廻り縁をはめ込むことによって、その仕上がりが一層美しくなるという点においても極めて有効に作用するものといえる。
【００１７】
さらに、この発明になる壁装材貼設用パネルによる施工方法によれば、特に、隣接するパネル間に亘って連続する模様を構成する場合においても、固定部材等により模様が寸断されずに施工することができ、貼設作業においても、隣接するパネル間の柄の繋ぎ合わせを目視しながら行える点においても極めて有効に作用するものといえる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１８】
以下、この発明になる壁装材貼設用パネルについて、図１〜図５に示す具体的な実施例に基づいて詳細に説明する。図１は、この発明になる壁装材貼設用パネルの基本的な構成例を示すものであって、図１Ａは、一体型の固定部材を用いた壁装材貼設用パネルの概略的な斜視図、図１Ｂは、図１ＡにおけるＹ−Ｙ線に沿って矢視方向に見た一部を破断して示す拡大Ｙ−Ｙ線断面図である。図２は、一体型の固定部材の他の例であって、下地プレートの異なる実施態様例を示す概略的な斜視図である。図３は、一体型の固定部材の他の例であって、施工壁面などへの固定手段の一例を示す概略的な側断面図である。
【００１９】
一方また、図４は、この発明になる壁装材貼設用パネルを用いた壁面施工例を例示するものであって、図４Ａは、施工壁面に対して当該壁装材貼設用パネルを格子状に配列施工した例を示す概略的な正面図であり、図４Ｂは、施工壁面に対して異なる大きさの壁装材貼設用パネルを所望のパターンに配列施工した例を示す概略的な正面図である。図５は、例えば、六枚の壁装材貼設用パネルによる壁装材貼設用パネル集合体を構成した例を示す概略的な斜視図である。
【００２０】
まず、この発明になる壁装材貼設用パネル１の具体的な構成態様例について、図１〜図５に基づいて詳細に説明する。この発明になる壁装材貼設用パネル１は、所望の織物生地などでなる壁装材２と、この壁装材２の周縁端部２ａ、２ｂ、２ｃ、２ｄを挟み込み状に固定する挟み込み手段３を備えていて、この挟み込み手段３によって前記壁装材２の周縁端部２ａ、２ｂ、２ｃ、２ｄを挟み込み状に固定するべく枠状に組み立てられた固定部材組立体４と、前記固定部材組立体４を枠状に規定するべく組み合わされた下地プレート５とを含むものからなっている。特に、この発明では、前記枠状に組み立てられた固定部材組立体４の最外周縁を前記壁装材２によって包み込むべく、前記固定部材組立体４の外周縁側部に外方に向けて開口する前記挟み込み手段３のための間隙６を設けたものからなっている。
【００２１】
この発明になる壁装材貼設用の固定部材組立体４は、基本的には、長尺成型材から得られる固定部材７の組み合わせでなっている。前記固定部材７は、長さ方向にのびる扁平な固定基部８と、該固定基部８の一側縁８ａに沿って長さ方向にのび、上方に向けて突き出る突出部９と、前記突出部９の下方であって、前記固定基部８の一側縁８ａに沿って長さ方向にのび外方に向けて開口する前記挟み込み手段３のための間隙６とを備えたものからなっている。
【００２２】
前記固定部材組立体４を構成する固定部材７における前記間隙６には、軟質樹脂からなる横断面Ｙ字型の突条部１０が設けられており、摩擦によって、前記間隙６に挟み込まれた壁装材２の戻り止め機能を果たしている。さらに、前記固定部材７における突条部１０が、前記壁装材２の周縁端部２ａ、２ｂ、２ｃ、２ｄを保持する保持突起１１を含むものからなっている。前記固定部材組立体４の枠内であって、前記壁装材２と下地プレート５間には、充填下地材１２が充填されるようになっている。
【００２３】
前記挟み込み手段３は、専ら、前記固定部材７における突条部１０並びに保持突起１１の構造的並びに素材的な要素によって構成されるものである。すなわち、前記突条部１０は、図１Ｂに示す例によれば、前記固定部材７における固定基部８から立ち上がる立ち上がり部１３、該立ち上がり部１３の上端から外向きにのびる支持部１４、該支持部１４の先端から下方に向けてのびるように設けられていて、その先端部分が若干下向きになるような断面Ｙ字型をなしており、さらに、その内側部位の保持突起１１が斜め下向きにのびる断面舌状の突条により形成されていること、並びに、その素材が、軟質樹脂であることによるものであり、図１Ｂ、図２並びに図３に示すように、前記固定部材組立体４における突条部１０並びに保持突起１１と、前記固定基部８の上面８ｂとの間に、前記壁装材２の周縁端部２ａ、２ｂ、２ｃ、２ｄをヘラなどの工具を用いて差し込んで収納空間１５内に挿入した際、前記壁装材２は、当該挟み込み手段３によって抜け止め防止状態で貼設される。
【００２４】
この発明では、前記壁装材２の周縁端部２ａ、２ｂ、２ｃ、２ｄを固定部材組立体４における突条部１０並びに保持突起１１と、前記固定基部８の上面８ｂとの間に、ヘラ（図示せず）などの工具を用いて差し込む際、壁装材２の挟み込み量を適宜調節することによって、壁装材２の模様、柄などの平面視描写を微調節することができる。
【００２５】
この発明において、前記固定部材７の素材は、特に限定されるものではないが、好ましい材料としては、ＡＢＳ樹脂、ポリスチレンなどのスチレン樹脂、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレンなどのオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル、 ポリカーボネートあるいはポリエステルなどの熱可塑性高分子材料などが好適に用いられる。
【００２６】
これに対して、前記固定部材７における突条部１０および保持突起１１を形成する軟質樹脂の材料としては、例えば、熱可塑性エラストマー、合成ゴム、天然ゴムなどの高分子材料が挙げられる。ここで、前記熱可塑性エラストマーとは、常温でゴム弾性を示すが、高温では可塑化され、成型可能となる高分子材料であり、このような熱可塑性エラストマーとしては、例えば、ポリスチレン系熱可塑性エラストマー（ＳＤＣ）、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー（ＴＰＯ）、ポリ塩化ビニル系熱可塑性エラストマー（ＴＰＶＣ）、ポリウレタン系熱可塑性エラストマー（ＴＰＵ）、ポリエステル系熱可塑性エラストマー（ＴＰＥＥ）、ポリアミド系熱可塑性エラストマー（ＴＰＥＡ）、１，２−ポリブタジエン系熱可塑性エラストマー（ＴＰＶＢ）、トランスポリイソプレン系熱可塑性エラストマー（ＴＰＩ）、フッ素ゴム系熱可塑性エラストマー（Ｔ−ＣＭ）、動的架橋系熱可塑性エラストマー（ＤＶＴＰ）などが挙げられる。
【００２７】
この発明において使用される壁装材２としては、織物、編物、不織布、合成紙、人工皮革、合成皮革、天然皮革、プラスチックフィルムなどの可撓性の面状資材であればいずれのものも使用することができるが、装飾性、他の内装材との調和などを考慮すれば織物が好適なものである。特に、ポリエステル繊維からなる織物であれば、染色性、寸法安定性、 耐久性などの面で好適である。
【００２８】
この発明において使用される充填下地材１２としては、厚手の繊維ウェブ、不織布、発泡シートなどであればいずれのものも使用することができるが、クッション性、防音性を考慮すると、厚手の繊維ウェブが好適なものである。
【００２９】
さらに、ニードルパンチ、フロッキー加工などで壁装材２の裏面にパイル層を積層一体化したものを使用したり、モケット、別珍などのパイル布帛のパイル層を裏面に向けて使用すれば、充填下地材１２は、別途必要でなくなる。
【００３０】
この発明になる壁装材貼設用パネル１は、好ましくは、平面視５０ｃｍ×５０ｃｍ程度の正矩形形状のものとして形成される。この発明において、前記壁装材貼設用パネル１の平面視形状並びにそのサイズは、特に限定されるものではなく、平面視において、長方形形状、平行四辺形形状、台形形状、三角形形状あるいは六角形形状などのいずれであってもよい。そのサイズについても、例えば、図４Ａおよび図５に示すように、互いに突き合わせ状にして施工構成するものでは、上記するように、一辺５０ｃｍ程度のものが好ましく、設計に応じて、２０ｃｍ〜１００ｃｍ程度のものであってもよい。さらには、図４Ｂに示すもののように、一枚のパネルを単独のものとして構成するような場合にあっては、一辺の寸法を１００ｃｍ〜２００ｃｍ程度に設計したものであってもよい。
【００３１】
次に、この発明になる壁装材貼設用パネル１を、施工壁面２０に対して施工する手順について説明する。
【００３２】
この発明では、先ず、壁装材貼設用パネル１が、例えば、工場生産ラインにより予め準備される。前記壁装材貼設用パネル１は、壁装材２と、前記壁装材２の周縁端部２ａ、２ｂ、２ｃ、２ｄを挟み込み状に固定する挟み込み手段３を備え、前記挟み込み手段３によって前記壁装材２の周縁端部を挟み込み状に固定するべく枠状に組み立てられた固定部材組立体４と、前記固定部材組立体４を枠状に規定するべく組み合わされた下地プレート５とを含むものからなり、前記枠状に組み立てられた固定部材組立体の最外周縁を前記壁装材によって包み込むべく、前記固定部材組立体の外周縁側部に外方に向けて開口する前記挟み込み手段のための間隙６を設けものからなっている。
【００３３】
この発明では、前記壁装材貼設用パネル１を準備する段階において、前記壁装材貼設用パネル１の外周縁１ａ、１ｂ、１ｃ、１ｄを突き合わせ状に当接させることにより、予め選択されたデザインを連続状に具現するように、前記挟み込み手段３のための間隙６に、前記壁装材２の周縁端部２ａ、２ｂ、２ｃ、２ｄを挟み込んで張装する際、挟み込み量を調節しながら挟み込む工程を含んでいる。
【００３４】
さらに、この発明になる壁装材貼設用パネルの施工方法では、前記壁装材貼設用パネル１を、予め選択されたデザインを連続状に具現するように、施工壁面上に配列して固定する工程を含むものからなっている。
【００３５】
さらにまた、この発明になる壁装材貼設用パネルの施工方法では、図５に示す実施例のもののように、予め選択されたデザインを連続状に具現する複数個の壁装材貼設用パネルを準備し、それらを突き合わせ状に当接させて、予め選択されたデザインを連続状に具現する壁装材貼設用パネル集合体３０とすることもできる。ここでいうデザインとは、プリント、エンボッシング加工などによって付与される柄、模様だけでなく、織物などにおいては、地組織の模様をも含むものである。
【００３６】
この場合、前記壁装材貼設用パネル集合体３０の最外周囲に、廻り縁部材３１を嵌め合わせて、固定部材の一側端を目隠しすると同時に、それ自体に木目調、メタリック調などの意匠性を付与することにより、該壁装材貼設用パネル集合体３０の側縁が露出する最外周囲を整えておくこともできる。前記廻り縁部材３１は、図５Ｂに示すような長尺な成型材によるものであり、固定部材７における突条部１０並びに保持突起１１と、前記固定基部８の上面８ｂとの間に差し込まれる差し込み片３２と、壁装材貼設用パネル集合体３０の最外周囲を整える廻り縁３３とを有するものからなっている。
【００３７】
この発明になる壁装材貼設用パネル１について、施工壁面２０に対する取り付け方法としては、特に限定されるものではなく、建設用の接着剤、両面接着テープ、マグネット式、さらには引っ掛け・吊り下げ手段などのいずれであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【００３８】
【図１】図１は、この発明になる壁装材貼設用パネルの基本的な構成例を示すものであって、図１Ａは、一体型の固定部材を用いた壁装材貼設用パネルの概略的な斜視図、図１Ｂは、図１ＡにおけるＹ−Ｙ線に沿って矢視方向に見た一部を破断して示す拡大Ｙ−Ｙ線断面図である。
【図２】図２は、一体型の固定部材の他の例であって、下地プレートの異なる実施態様例を示す概略的な斜視図である。
【図３】図３は、一体型の固定部材の他の例であって、施工壁面などへの固定手段の一例を示す概略的な側断面図である。
【図４】図４は、この発明になる壁装材貼設用パネルを用いた壁面施工例を例示するものであって、図４Ａは、施工壁面に対して当該壁装材貼設用パネルを格子状に配列施工した例を示す概略的な正面図であり、図４Ｂは、施工壁面に対して異なる大きさの壁装材貼設用パネルを所望のパターンに配列施工した例を示す概略的な正面図である。
【図５】図５Ａは、例えば、六枚の壁装材貼設用パネルによる壁装材貼設用パネル集合体を構成した例を示す概略的な斜視図であり、図５Ｂは、壁装材貼設用パネル集合体に対する廻り縁部材の関係を示す概略的な斜視図である。
【符号の説明】
【００３９】
１ 壁装材貼設用パネル
１ａ、１ｂ、１ｃ、１ｄ 壁装材貼設用パネルの周縁端部
２ 壁装材
２ａ、２ｂ、２ｃ、２ｄ 壁装材の周縁端部
３ 挟み込み手段
４ 固定部材組立体
５ 下地プレート
６ 挟み込み手段のための間隙
７ 固定部材
８ 固定基部
８ａ 固定基部の一側縁
８ｂ 固定基部の上面
９ 突出部
１０ 突条部
１１ 保持突起
１２ 充填下地材
１３ 立ち上がり部
１４ 支持部
１５ 収納空間
２０ 施工壁面
３０ 壁装材貼設用パネル集合体
３１ 廻り縁部材
３２ 差し込み片
３３ 廻り縁
【技術分野】
【０００１】
この発明は、建造物などにおける内壁、天井、間仕切り、扉、襖、あるいはその他の建具などの表面（この発明では、施工壁面という）に対して、織物などによる壁装材を貼設施工するための壁装材貼設用パネルおよびその施工方法に関するものである。
【背景技術】
【０００２】
周知のように、建造物などにおける壁面に対する内装として、織物などのシート状の壁装材を壁面に貼設することが一般的に行われている。その際に、壁装材の周縁端部を把持して固定するため、当該壁装材を貼設すべき壁面に対して枠状に取り付けられ、前記壁装材の周縁端部を挟み込み状に固定するように構成した長尺の固定部材が適用されている。
【０００３】
例えば、特許文献１に記載のような壁装材の固定部材および壁装材の貼設方法が、本発明者らによって開発され、提供されてきている。この特許文献１に記載のものは、突条部を有する固定部材本体に、屈曲部を有する縁取り材を接続部において一体化したものであり、壁装材の周縁端部を固定部材の突条部と縁取り材の屈曲部との間に挟持させることにより、接着剤を使用することなく、また、壁面に傷を付けることなく壁装材を貼設することを可能にした。しかしながら、この壁装材の固定部材では、壁装材並びに固定部材ともに長尺に準備しておき、これらを施工現場で必要分採寸しながら裁断して使うことから、施工現場において煩雑な作業と作業時間を要する点、材料面において裁断によるカットロスが大きくなってしまう点、さらには、一枚、あるいは、基調が統一された数枚の壁装材で施工壁面全体を装飾するという考え方であるため、壁装の意匠表現を制約してしまうという点、などの問題があった。
【０００４】
【特許文献１】特許第３６５２６１３号公報（特許請求の範囲、図１）
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００５】
そこで、この発明では、上記するような従来技術の問題点を解消すべくなしたものであって、特に重要な要素は、施工現場において壁装材を貼設すべき施工壁面に対し、壁装材を簡単に貼設することを可能とし、壁装材を貼設すべき施工壁面を部分的に装飾するという全く新しい壁装の楽しみ方をなし得るためのものであって、且つ、壁装材の仕上がりの美しさをより向上させる壁装材貼設用パネルおよびその施工方法を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【０００６】
この発明は、上記する目的を達成するにあたって、請求項１に記載の発明は、壁装材と、前記壁装材の周縁端部を挟み込み状に固定する挟み込み手段を備え、前記挟み込み手段によって前記壁装材の周縁端部を挟み込み状に固定するべく枠状に組み立てられた固定部材組立体と、前記固定部材組立体を枠状に規定するべく組み合わされた下地プレートとを含むものからなり、前記枠状に組み立てられた固定部材組立体の最外周縁を前記壁装材によって包み込むべく、前記固定部材組立体の外周縁側部に外方に向けて開口する前記挟み込み手段のための間隙を設けてなることを特徴とする壁装材貼設用パネルを構成するものである。
【０００７】
さらに、この発明において、請求項２に記載の発明は、請求項１に記載の壁装材貼設用パネルであって、前記固定部材組立体が、長尺成型材から得られる固定部材の組み合わせでなり、前記固定部材が、長さ方向にのびる扁平な固定基部と、該固定基部の一側縁に沿って長さ方向にのび、上方に向けて突き出る突出部と、前記突出部の下方であって、前記固定基部の一側縁に沿って長さ方向にのび外方に向けて開口する前記挟み込み手段のための間隙とを備えたものからなることを特徴とするものである。
【０００８】
さらに、この発明において、請求項３に記載の発明は、請求項２に記載の壁装材貼設用パネルであって、前記固定部材における前記間隙に、軟質樹脂からなる突条部を設けたことを特徴とするものである。
【０００９】
さらに、この発明において、請求項４に記載の発明は、請求項３に記載の壁装材貼設用パネルであって、前記固定部材における突条部が、前記壁装材の周縁端部を保持する保持突起を含むものからなることを特徴とするものである。
【００１０】
さらに、この発明において、請求項５に記載の発明は、請求項１〜請求項４のいずれかに記載の壁装材貼設用パネルであって、前記固定部材組立体の枠内であって、前記壁装材と下地プレート間に充填下地材を充填してなることを特徴とするものである。
【００１１】
さらに、この発明において、請求項６に記載の発明は、壁装材と、前記壁装材の周縁端部を挟み込み状に固定する挟み込み手段を備え、前記挟み込み手段によって前記壁装材の周縁端部を挟み込み状に固定するべく枠状に組み立てられた固定部材組立体と、前記固定部材組立体を枠状に規定するべく組み合わされた下地プレートとを含むものからなり、前記枠状に組み立てられた固定部材組立体の最外周縁を前記壁装材によって包み込むべく、前記固定部材組立体の外周縁側部に外方に向けて開口する前記挟み込み手段のための間隙を設けてなる壁装材貼設用パネルを準備する工程と、
前記壁装材貼設用パネルを準備する段階において、前記壁装材貼設用パネルの外周縁を突き合わせ状に当接させることにより、予め選択されたデザインを連続状に具現するように、前記固定部材組立体の挟み込み手段のための間隙に、前記壁装材の周縁端部を挟み込んで張装する際、挟み込み量を調節しながら挟み込む工程と、
前記壁装材貼設用パネルを、予め選択されたデザインを連続状に具現するように、施工壁面上に配列して固定する工程とを含むものからなることを特徴とする壁装材貼設用パネルの施工方法を構成するものである。
【００１２】
さらにまた、この発明において、請求項７に記載の発明は、請求項６に記載の壁装材貼設用パネルの施工方法であって、予め選択されたデザインを連続状に具現する複数個の壁装材貼設用パネルを準備し、それらを突き合わせ状に当接させて、予め選択されたデザインを連続状に具現する壁装材貼設用パネル集合体とすることを特徴とするものである。
【００１３】
さらにまた、この発明において、請求項８に記載の発明は、請求項７に記載の壁装材貼設用パネルの施工方法であって、前記壁装材貼設用パネル集合体において壁装材貼設用パネルの側縁が露出する最外周囲に、廻り縁部材を嵌め合わせてなることを特徴とするものでもある。
【発明の効果】
【００１４】
この発明になる壁装材貼設用パネルによれば、当該壁装材貼設体を工場サイドにおいて予め製作準備しておくことができ、当該壁装材貼設の施工時間を大幅に短縮することができるという点において極めて有効に作用するものといえる。
【００１５】
さらに、この発明になる壁装材貼設用パネルによれば、壁装材を貼設すべき施工壁面の必要な区画だけに当該壁装材貼設パネルを、例えば、縦方向および横方向に連接設置することで、壁装材を貼設すべき施工壁面を部分的に装飾することが簡単にできるようになるという点において極めて有効に作用するものといえる。
【００１６】
さらにまた、この発明になる壁装材貼設用パネルによれば、壁装材貼設パネルを縦方向および横方向に格子状に設置する場合、固定部材の一側端が隣り合うパネルに隠れて露出せず、壁装材の仕上がりが美しくなる。また、設置区画の外周には、廻り縁をはめ込むことによって、その仕上がりが一層美しくなるという点においても極めて有効に作用するものといえる。
【００１７】
さらに、この発明になる壁装材貼設用パネルによる施工方法によれば、特に、隣接するパネル間に亘って連続する模様を構成する場合においても、固定部材等により模様が寸断されずに施工することができ、貼設作業においても、隣接するパネル間の柄の繋ぎ合わせを目視しながら行える点においても極めて有効に作用するものといえる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１８】
以下、この発明になる壁装材貼設用パネルについて、図１〜図５に示す具体的な実施例に基づいて詳細に説明する。図１は、この発明になる壁装材貼設用パネルの基本的な構成例を示すものであって、図１Ａは、一体型の固定部材を用いた壁装材貼設用パネルの概略的な斜視図、図１Ｂは、図１ＡにおけるＹ−Ｙ線に沿って矢視方向に見た一部を破断して示す拡大Ｙ−Ｙ線断面図である。図２は、一体型の固定部材の他の例であって、下地プレートの異なる実施態様例を示す概略的な斜視図である。図３は、一体型の固定部材の他の例であって、施工壁面などへの固定手段の一例を示す概略的な側断面図である。
【００１９】
一方また、図４は、この発明になる壁装材貼設用パネルを用いた壁面施工例を例示するものであって、図４Ａは、施工壁面に対して当該壁装材貼設用パネルを格子状に配列施工した例を示す概略的な正面図であり、図４Ｂは、施工壁面に対して異なる大きさの壁装材貼設用パネルを所望のパターンに配列施工した例を示す概略的な正面図である。図５は、例えば、六枚の壁装材貼設用パネルによる壁装材貼設用パネル集合体を構成した例を示す概略的な斜視図である。
【００２０】
まず、この発明になる壁装材貼設用パネル１の具体的な構成態様例について、図１〜図５に基づいて詳細に説明する。この発明になる壁装材貼設用パネル１は、所望の織物生地などでなる壁装材２と、この壁装材２の周縁端部２ａ、２ｂ、２ｃ、２ｄを挟み込み状に固定する挟み込み手段３を備えていて、この挟み込み手段３によって前記壁装材２の周縁端部２ａ、２ｂ、２ｃ、２ｄを挟み込み状に固定するべく枠状に組み立てられた固定部材組立体４と、前記固定部材組立体４を枠状に規定するべく組み合わされた下地プレート５とを含むものからなっている。特に、この発明では、前記枠状に組み立てられた固定部材組立体４の最外周縁を前記壁装材２によって包み込むべく、前記固定部材組立体４の外周縁側部に外方に向けて開口する前記挟み込み手段３のための間隙６を設けたものからなっている。
【００２１】
この発明になる壁装材貼設用の固定部材組立体４は、基本的には、長尺成型材から得られる固定部材７の組み合わせでなっている。前記固定部材７は、長さ方向にのびる扁平な固定基部８と、該固定基部８の一側縁８ａに沿って長さ方向にのび、上方に向けて突き出る突出部９と、前記突出部９の下方であって、前記固定基部８の一側縁８ａに沿って長さ方向にのび外方に向けて開口する前記挟み込み手段３のための間隙６とを備えたものからなっている。
【００２２】
前記固定部材組立体４を構成する固定部材７における前記間隙６には、軟質樹脂からなる横断面Ｙ字型の突条部１０が設けられており、摩擦によって、前記間隙６に挟み込まれた壁装材２の戻り止め機能を果たしている。さらに、前記固定部材７における突条部１０が、前記壁装材２の周縁端部２ａ、２ｂ、２ｃ、２ｄを保持する保持突起１１を含むものからなっている。前記固定部材組立体４の枠内であって、前記壁装材２と下地プレート５間には、充填下地材１２が充填されるようになっている。
【００２３】
前記挟み込み手段３は、専ら、前記固定部材７における突条部１０並びに保持突起１１の構造的並びに素材的な要素によって構成されるものである。すなわち、前記突条部１０は、図１Ｂに示す例によれば、前記固定部材７における固定基部８から立ち上がる立ち上がり部１３、該立ち上がり部１３の上端から外向きにのびる支持部１４、該支持部１４の先端から下方に向けてのびるように設けられていて、その先端部分が若干下向きになるような断面Ｙ字型をなしており、さらに、その内側部位の保持突起１１が斜め下向きにのびる断面舌状の突条により形成されていること、並びに、その素材が、軟質樹脂であることによるものであり、図１Ｂ、図２並びに図３に示すように、前記固定部材組立体４における突条部１０並びに保持突起１１と、前記固定基部８の上面８ｂとの間に、前記壁装材２の周縁端部２ａ、２ｂ、２ｃ、２ｄをヘラなどの工具を用いて差し込んで収納空間１５内に挿入した際、前記壁装材２は、当該挟み込み手段３によって抜け止め防止状態で貼設される。
【００２４】
この発明では、前記壁装材２の周縁端部２ａ、２ｂ、２ｃ、２ｄを固定部材組立体４における突条部１０並びに保持突起１１と、前記固定基部８の上面８ｂとの間に、ヘラ（図示せず）などの工具を用いて差し込む際、壁装材２の挟み込み量を適宜調節することによって、壁装材２の模様、柄などの平面視描写を微調節することができる。
【００２５】
この発明において、前記固定部材７の素材は、特に限定されるものではないが、好ましい材料としては、ＡＢＳ樹脂、ポリスチレンなどのスチレン樹脂、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレンなどのオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル、 ポリカーボネートあるいはポリエステルなどの熱可塑性高分子材料などが好適に用いられる。
【００２６】
これに対して、前記固定部材７における突条部１０および保持突起１１を形成する軟質樹脂の材料としては、例えば、熱可塑性エラストマー、合成ゴム、天然ゴムなどの高分子材料が挙げられる。ここで、前記熱可塑性エラストマーとは、常温でゴム弾性を示すが、高温では可塑化され、成型可能となる高分子材料であり、このような熱可塑性エラストマーとしては、例えば、ポリスチレン系熱可塑性エラストマー（ＳＤＣ）、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー（ＴＰＯ）、ポリ塩化ビニル系熱可塑性エラストマー（ＴＰＶＣ）、ポリウレタン系熱可塑性エラストマー（ＴＰＵ）、ポリエステル系熱可塑性エラストマー（ＴＰＥＥ）、ポリアミド系熱可塑性エラストマー（ＴＰＥＡ）、１，２−ポリブタジエン系熱可塑性エラストマー（ＴＰＶＢ）、トランスポリイソプレン系熱可塑性エラストマー（ＴＰＩ）、フッ素ゴム系熱可塑性エラストマー（Ｔ−ＣＭ）、動的架橋系熱可塑性エラストマー（ＤＶＴＰ）などが挙げられる。
【００２７】
この発明において使用される壁装材２としては、織物、編物、不織布、合成紙、人工皮革、合成皮革、天然皮革、プラスチックフィルムなどの可撓性の面状資材であればいずれのものも使用することができるが、装飾性、他の内装材との調和などを考慮すれば織物が好適なものである。特に、ポリエステル繊維からなる織物であれば、染色性、寸法安定性、 耐久性などの面で好適である。
【００２８】
この発明において使用される充填下地材１２としては、厚手の繊維ウェブ、不織布、発泡シートなどであればいずれのものも使用することができるが、クッション性、防音性を考慮すると、厚手の繊維ウェブが好適なものである。
【００２９】
さらに、ニードルパンチ、フロッキー加工などで壁装材２の裏面にパイル層を積層一体化したものを使用したり、モケット、別珍などのパイル布帛のパイル層を裏面に向けて使用すれば、充填下地材１２は、別途必要でなくなる。
【００３０】
この発明になる壁装材貼設用パネル１は、好ましくは、平面視５０ｃｍ×５０ｃｍ程度の正矩形形状のものとして形成される。この発明において、前記壁装材貼設用パネル１の平面視形状並びにそのサイズは、特に限定されるものではなく、平面視において、長方形形状、平行四辺形形状、台形形状、三角形形状あるいは六角形形状などのいずれであってもよい。そのサイズについても、例えば、図４Ａおよび図５に示すように、互いに突き合わせ状にして施工構成するものでは、上記するように、一辺５０ｃｍ程度のものが好ましく、設計に応じて、２０ｃｍ〜１００ｃｍ程度のものであってもよい。さらには、図４Ｂに示すもののように、一枚のパネルを単独のものとして構成するような場合にあっては、一辺の寸法を１００ｃｍ〜２００ｃｍ程度に設計したものであってもよい。
【００３１】
次に、この発明になる壁装材貼設用パネル１を、施工壁面２０に対して施工する手順について説明する。
【００３２】
この発明では、先ず、壁装材貼設用パネル１が、例えば、工場生産ラインにより予め準備される。前記壁装材貼設用パネル１は、壁装材２と、前記壁装材２の周縁端部２ａ、２ｂ、２ｃ、２ｄを挟み込み状に固定する挟み込み手段３を備え、前記挟み込み手段３によって前記壁装材２の周縁端部を挟み込み状に固定するべく枠状に組み立てられた固定部材組立体４と、前記固定部材組立体４を枠状に規定するべく組み合わされた下地プレート５とを含むものからなり、前記枠状に組み立てられた固定部材組立体の最外周縁を前記壁装材によって包み込むべく、前記固定部材組立体の外周縁側部に外方に向けて開口する前記挟み込み手段のための間隙６を設けものからなっている。
【００３３】
この発明では、前記壁装材貼設用パネル１を準備する段階において、前記壁装材貼設用パネル１の外周縁１ａ、１ｂ、１ｃ、１ｄを突き合わせ状に当接させることにより、予め選択されたデザインを連続状に具現するように、前記挟み込み手段３のための間隙６に、前記壁装材２の周縁端部２ａ、２ｂ、２ｃ、２ｄを挟み込んで張装する際、挟み込み量を調節しながら挟み込む工程を含んでいる。
【００３４】
さらに、この発明になる壁装材貼設用パネルの施工方法では、前記壁装材貼設用パネル１を、予め選択されたデザインを連続状に具現するように、施工壁面上に配列して固定する工程を含むものからなっている。
【００３５】
さらにまた、この発明になる壁装材貼設用パネルの施工方法では、図５に示す実施例のもののように、予め選択されたデザインを連続状に具現する複数個の壁装材貼設用パネルを準備し、それらを突き合わせ状に当接させて、予め選択されたデザインを連続状に具現する壁装材貼設用パネル集合体３０とすることもできる。ここでいうデザインとは、プリント、エンボッシング加工などによって付与される柄、模様だけでなく、織物などにおいては、地組織の模様をも含むものである。
【００３６】
この場合、前記壁装材貼設用パネル集合体３０の最外周囲に、廻り縁部材３１を嵌め合わせて、固定部材の一側端を目隠しすると同時に、それ自体に木目調、メタリック調などの意匠性を付与することにより、該壁装材貼設用パネル集合体３０の側縁が露出する最外周囲を整えておくこともできる。前記廻り縁部材３１は、図５Ｂに示すような長尺な成型材によるものであり、固定部材７における突条部１０並びに保持突起１１と、前記固定基部８の上面８ｂとの間に差し込まれる差し込み片３２と、壁装材貼設用パネル集合体３０の最外周囲を整える廻り縁３３とを有するものからなっている。
【００３７】
この発明になる壁装材貼設用パネル１について、施工壁面２０に対する取り付け方法としては、特に限定されるものではなく、建設用の接着剤、両面接着テープ、マグネット式、さらには引っ掛け・吊り下げ手段などのいずれであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【００３８】
【図１】図１は、この発明になる壁装材貼設用パネルの基本的な構成例を示すものであって、図１Ａは、一体型の固定部材を用いた壁装材貼設用パネルの概略的な斜視図、図１Ｂは、図１ＡにおけるＹ−Ｙ線に沿って矢視方向に見た一部を破断して示す拡大Ｙ−Ｙ線断面図である。
【図２】図２は、一体型の固定部材の他の例であって、下地プレートの異なる実施態様例を示す概略的な斜視図である。
【図３】図３は、一体型の固定部材の他の例であって、施工壁面などへの固定手段の一例を示す概略的な側断面図である。
【図４】図４は、この発明になる壁装材貼設用パネルを用いた壁面施工例を例示するものであって、図４Ａは、施工壁面に対して当該壁装材貼設用パネルを格子状に配列施工した例を示す概略的な正面図であり、図４Ｂは、施工壁面に対して異なる大きさの壁装材貼設用パネルを所望のパターンに配列施工した例を示す概略的な正面図である。
【図５】図５Ａは、例えば、六枚の壁装材貼設用パネルによる壁装材貼設用パネル集合体を構成した例を示す概略的な斜視図であり、図５Ｂは、壁装材貼設用パネル集合体に対する廻り縁部材の関係を示す概略的な斜視図である。
【符号の説明】
【００３９】
１ 壁装材貼設用パネル
１ａ、１ｂ、１ｃ、１ｄ 壁装材貼設用パネルの周縁端部
２ 壁装材
２ａ、２ｂ、２ｃ、２ｄ 壁装材の周縁端部
３ 挟み込み手段
４ 固定部材組立体
５ 下地プレート
６ 挟み込み手段のための間隙
７ 固定部材
８ 固定基部
８ａ 固定基部の一側縁
８ｂ 固定基部の上面
９ 突出部
１０ 突条部
１１ 保持突起
１２ 充填下地材
１３ 立ち上がり部
１４ 支持部
１５ 収納空間
２０ 施工壁面
３０ 壁装材貼設用パネル集合体
３１ 廻り縁部材
３２ 差し込み片
３３ 廻り縁
【特許請求の範囲】
【請求項１】
壁装材と、前記壁装材の周縁端部を挟み込み状に固定する挟み込み手段を備え、前記挟み込み手段によって前記壁装材の周縁端部を挟み込み状に固定するべく枠状に組み立てられた固定部材組立体と、前記固定部材組立体を枠状に規定するべく組み合わされた下地プレートとを含むものからなり、前記枠状に組み立てられた固定部材組立体の最外周縁を前記壁装材によって包み込むべく、前記固定部材組立体の外周縁側部に外方に向けて開口する前記挟み込み手段のための間隙を設けてなることを特徴とする壁装材貼設用パネル。
【請求項２】
前記固定部材組立体が、長尺成型材から得られる固定部材の組み合わせでなり、前記固定部材が、長さ方向にのびる扁平な固定基部と、該固定基部の一側縁に沿って長さ方向にのび、上方に向けて突き出る突出部と、前記突出部の下方であって、前記固定基部の一側縁に沿って長さ方向にのび外方に向けて開口する前記挟み込み手段のための間隙とを備えたものからなることを特徴とする請求項１に記載の壁装材貼設用パネル。
【請求項３】
前記固定部材における前記間隙に、軟質樹脂からなる突条部を設けたことを特徴とする請求項２に記載の壁装材貼設用パネル。
【請求項４】
前記固定部材における突条部が、前記壁装材の周縁端部を保持する保持突起を含むものからなることを特徴とする請求項３に記載の壁装材貼設用パネル。
【請求項５】
前記固定部材組立体の枠内であって、前記壁装材と下地プレート間に充填下地材を充填してなることを特徴とする請求項１〜請求項４のいずれかに記載の壁装材貼設用パネル。
【請求項６】
壁装材と、前記壁装材の周縁端部を挟み込み状に固定する挟み込み手段を備え、前記挟み込み手段によって前記壁装材の周縁端部を挟み込み状に固定するべく枠状に組み立てられた固定部材組立体と、前記固定部材組立体を枠状に規定するべく組み合わされた下地プレートとを含むものからなり、前記枠状に組み立てられた固定部材組立体の最外周縁を前記壁装材によって包み込むべく、前記固定部材組立体の外周縁側部に外方に向けて開口する前記挟み込み手段のための間隙を設けてなる壁装材貼設用パネルを準備する工程と、
前記壁装材貼設用パネルを準備する段階において、前記壁装材貼設用パネルの外周縁を突き合わせ状に当接させることにより、予め選択されたデザインを連続状に具現するように、前記固定部材組立体の挟み込み手段のための間隙に、前記壁装材の周縁端部を挟み込んで張装する際、挟み込み量を調節しながら挟み込む工程と、
前記壁装材貼設用パネルを、予め選択されたデザインを連続状に具現するように、施工壁面上に配列して固定する工程とを含むものからなることを特徴とする壁装材貼設用パネルの施工方法。
【請求項７】
予め選択されたデザインを連続状に具現する複数個の壁装材貼設用パネルを準備し、それらを突き合わせ状に当接させて、予め選択されたデザインを連続状に具現する壁装材貼設用パネル集合体とすることを特徴とする請求項６に記載の壁装材貼設用パネルの施工方法。
【請求項８】
前記壁装材貼設用パネル集合体において壁装材貼設用パネルの側縁が露出する最外周囲に、廻り縁部材を嵌め合わせてなることを特徴とする請求項７に記載の壁装材貼設用パネルの施工方法。
【請求項１】
壁装材と、前記壁装材の周縁端部を挟み込み状に固定する挟み込み手段を備え、前記挟み込み手段によって前記壁装材の周縁端部を挟み込み状に固定するべく枠状に組み立てられた固定部材組立体と、前記固定部材組立体を枠状に規定するべく組み合わされた下地プレートとを含むものからなり、前記枠状に組み立てられた固定部材組立体の最外周縁を前記壁装材によって包み込むべく、前記固定部材組立体の外周縁側部に外方に向けて開口する前記挟み込み手段のための間隙を設けてなることを特徴とする壁装材貼設用パネル。
【請求項２】
前記固定部材組立体が、長尺成型材から得られる固定部材の組み合わせでなり、前記固定部材が、長さ方向にのびる扁平な固定基部と、該固定基部の一側縁に沿って長さ方向にのび、上方に向けて突き出る突出部と、前記突出部の下方であって、前記固定基部の一側縁に沿って長さ方向にのび外方に向けて開口する前記挟み込み手段のための間隙とを備えたものからなることを特徴とする請求項１に記載の壁装材貼設用パネル。
【請求項３】
前記固定部材における前記間隙に、軟質樹脂からなる突条部を設けたことを特徴とする請求項２に記載の壁装材貼設用パネル。
【請求項４】
前記固定部材における突条部が、前記壁装材の周縁端部を保持する保持突起を含むものからなることを特徴とする請求項３に記載の壁装材貼設用パネル。
【請求項５】
前記固定部材組立体の枠内であって、前記壁装材と下地プレート間に充填下地材を充填してなることを特徴とする請求項１〜請求項４のいずれかに記載の壁装材貼設用パネル。
【請求項６】
壁装材と、前記壁装材の周縁端部を挟み込み状に固定する挟み込み手段を備え、前記挟み込み手段によって前記壁装材の周縁端部を挟み込み状に固定するべく枠状に組み立てられた固定部材組立体と、前記固定部材組立体を枠状に規定するべく組み合わされた下地プレートとを含むものからなり、前記枠状に組み立てられた固定部材組立体の最外周縁を前記壁装材によって包み込むべく、前記固定部材組立体の外周縁側部に外方に向けて開口する前記挟み込み手段のための間隙を設けてなる壁装材貼設用パネルを準備する工程と、
前記壁装材貼設用パネルを準備する段階において、前記壁装材貼設用パネルの外周縁を突き合わせ状に当接させることにより、予め選択されたデザインを連続状に具現するように、前記固定部材組立体の挟み込み手段のための間隙に、前記壁装材の周縁端部を挟み込んで張装する際、挟み込み量を調節しながら挟み込む工程と、
前記壁装材貼設用パネルを、予め選択されたデザインを連続状に具現するように、施工壁面上に配列して固定する工程とを含むものからなることを特徴とする壁装材貼設用パネルの施工方法。
【請求項７】
予め選択されたデザインを連続状に具現する複数個の壁装材貼設用パネルを準備し、それらを突き合わせ状に当接させて、予め選択されたデザインを連続状に具現する壁装材貼設用パネル集合体とすることを特徴とする請求項６に記載の壁装材貼設用パネルの施工方法。
【請求項８】
前記壁装材貼設用パネル集合体において壁装材貼設用パネルの側縁が露出する最外周囲に、廻り縁部材を嵌め合わせてなることを特徴とする請求項７に記載の壁装材貼設用パネルの施工方法。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【公開番号】特開２００８−１２７８２９（Ｐ２００８−１２７８２９Ａ）
【公開日】平成２０年６月５日（２００８．６．５）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００６−３１２８７２（Ｐ２００６−３１２８７２）
【出願日】平成１８年１１月２０日（２００６．１１．２０）
【出願人】（０００００２４６２）積水樹脂株式会社 (781)
【出願人】（０００１４８１５１）株式会社川島織物セルコン (104)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２０年６月５日（２００８．６．５）
【国際特許分類】
【出願日】平成１８年１１月２０日（２００６．１１．２０）
【出願人】（０００００２４６２）積水樹脂株式会社 (781)
【出願人】（０００１４８１５１）株式会社川島織物セルコン (104)
【Ｆターム（参考）】
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