説明

壁面装置

【課題】装飾パネルを上下複数段に並べ一体に連結して壁面を形成する壁面装置において、上下装飾パネルの接合部分が表面側へ膨らむことを防止し、壁面の外観を見栄え良く維持できるようにする。
【解決手段】上下に連結した装飾パネル(3、3)の裏面側略中央に、継ぎ合わさったフレーム(31、31)と交差して上下に延びた支柱(23)を設置し、この支柱(23)に上下装飾パネル(3、3)のフレーム(31、31)を固定金具(7)を介して一体に接続する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、壁の前面や床面上に立て並べた支柱に、装飾パネルを上下複数段に並べ一体に連結して、装飾壁面や間仕切り壁面を形成する壁面装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の壁面装置として、図5に示されるように、床面F上に立て並べた支柱21、21や支柱21、21間に架け渡した横桟22などの壁芯部材2に、横長の装飾パネル3を上下複数段に並べて取り付けることにより間仕切り壁面を形成する構成のものが知られている。この壁面装置1は、横桟22に沿って支持レール4を取り付け、この支持レール4で装飾パネル3の横幅よりも小さな書棚などの付帯品5を支持することができるように構成したものである(例えば特許文献1、2参照)。
【0003】
【特許文献1】特開平7−268991号公報
【特許文献2】特開2004−270330号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
図示した壁面装置1では、付帯品5に対する支持強度を高めるために横桟22は必要であるが、付帯品5を支持させる予定がなく支持機能が不要な場所に壁面を形成する場合には、横桟22と支持レール4を用いずに、支柱21、21に上下に並べた装飾パネル3を一体に取り付けて壁面を形成することができる。
この場合に、前記壁面装置1で形成された壁面の内、上下装飾パネル3、3のフレーム31、31同士が継ぎ合わさった部分が、図6に示される如く表面側(図中矢符方向)に膨らみ、上下装飾パネル3、3の端部に沿った横に延びた凹筋を表面に太くくっきりと浮き出させて壁面の見栄えを悪くすることがある。図中、符号6はフレーム31、31を継ぎ合わすための継手部材である。
【0005】
このような上下のパネルの境界部分の膨らみは、上下に連なる壁面が面一となるように両パネルの取り付け位置を正確に調整することで表出しないようにすることが可能である。しかし、装飾パネル3の着脱を容易に行えるように取り付け寸法には遊びが設定されていることから、上下装飾パネル3、3の取り付け位置を正確に調整する作業は手間がかかって面倒である。壁面を形成する装飾パネル3の数が多いときには尚更である。また、施工時に面一な壁面に調整したとしても、その後、上段の装飾パネル3から下段の装飾パネル3にかかる荷重によって、上下装飾パネル3、3の継ぎ合わせ部分が表面側に突出してしまうこともある。
【0006】
本発明は従来技術の有するこのような問題点に鑑み、装飾パネルを上下複数段に並べ一体に連結して壁面を形成する壁面装置において、上下装飾パネルの接合部分が表面側へ膨らむことを防止し、壁面の外観を見栄え良く維持できるようにすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するため、本発明は、壁面又は壁芯部材に対して上下複数段に装飾パネルを並べ、上下装飾パネルのフレーム同士を継ぎ合わせて連結した構成を有する壁面装置において、前記上下に連結した装飾パネルの裏面側適所で、前記継ぎ合わさったフレームと交差して上下に延びた壁芯部材を設置し、この壁芯部材に上段装飾パネルのフレーム又は下段装飾パネルのフレームを接続したことを特徴とする。
前記構成において、上段装飾パネルのフレーム又は下段装飾パネルのフレームに設けられた、パネル裏面側に開口した凹溝に固定金具を取り付け、この固定金具の端部を壁芯部材の側面に設けられた凹部に係合させて装飾パネルのフレームを壁芯部材に接続することができる。
なお、壁芯部材とは、装飾パネルが取り付けられてパネルを支持する部材の総称であり、支柱や横桟などの部材が含まれる。
【0008】
これによれば、上下装飾パネルの継ぎ合わせ部は、パネル裏面側に設けられた壁芯部材に接続し、パネル裏面側へ引き寄せられた状態に保持される。従って、前記継ぎ合わせ部がパネル表面側へ膨らんだり突出したりすることはなく、壁面装置により形成される壁面全体を面一に維持することができる。なお、フレームを壁芯部材に接続する箇所は、パネルを裏面側へ均等に引き寄せるため、一つの壁芯部材に接続するときは、装飾パネルの略中央であることが好ましい。また、横幅が大きな装飾パネルを設置する場合、裏面側の複数箇所に壁芯部材を設置し、好ましくは均等な配置間隔で設置し、各壁芯部材に上段又は下段のフレームを接続してもよい。
【0009】
また、継ぎ合わせ部と壁芯部材の接続部分において、壁芯部材に対する継ぎ合わせ部の引き寄せ具合を調整することにより、上下装飾パネルを面一に揃えることが可能である。よって、上下装飾パネルの取り付け位置をある程度調整しておきさえすれば、正確な調整がされていなくとも、継ぎ合わせ部と壁芯部材を接続する際の調整により上下装飾パネルを面一に揃えることができ、調整の手間がかからない。
なお、継ぎ合わせ部と壁芯部材との接続は、上段装飾パネルのフレームか下段装飾パネルのフレームのどちらか一方を壁芯部材に接続しても、両方のフレームを壁芯部材に接続しても何れでもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の好適な一実施形態を図面を参照して説明する。
図1は本発明の一実施形態の壁面装置の表面側の外観図、図2は壁面装置の裏面側における部材構成を要部を破断して示した図、図3は壁面装置の裏面側であって固定金具を支柱に係合させた状態の外観図、図4は壁面装置の要部縦断面図である。各図において、前記図示した従来例と同一の部材には同一の符号を付してある。
【0011】
図1に示されるように本形態の壁面装置1は、床面F上に壁芯部材2である支柱21、21を立て並べ、各支柱21、21間に横長の装飾パネル3、3を架け渡し、上下複数段に並べて取り付けるとともに、上下装飾パネル3、3の継ぎ合わせ部分がパネル表面側へ膨らむことを防止するため、パネル裏面側に支柱23を設置し、この支柱23に固定金具7で下段装飾パネル3のフレーム31を一体に接続して間仕切り壁面を形成した構成のものである。
【0012】
より詳しくは、図2に示されるように、支柱23は、その側面に上下方向に伸びた凹部23aを有してなり、支柱21、21の配置間隔の略真ん中の位置で床面F上に立設させてある。各支柱は、その下部に巾木8、上部にはカバー材9が装着されて、床面F上に固定されている。
【0013】
装飾パネル3は、その周辺を断面略C字形を呈するフレーム31で囲い、当該フレームの内側にパネル材32を一体に取り付けて形成してある。図2及び図4に示されるように、フレーム31は、その内側が裏面側に開口した凹溝31aとなっており、この凹溝31a内に後述する固定金具7がスライド自在に取り付けられるようになっている。また、フレーム31は、その端面に凹部31bが形成されており、上下に並べた装飾パネル3、3の互いに上下に突き合う凹部31b、31b内に継手部材6を嵌め入れてフレーム31、31同士が接合し、上下装飾パネル3、3が一体に継ぎ合わさるようになっている。なお、継手部材6を嵌め入れず、フレーム31、31の端面を直に接合して上下装飾パネル3、3を継ぎ合わせてもよい。
【0014】
固定金具7は、図2に示されるように、前記フレーム31の凹溝31a内に係入する固定板71と当該固定板の略中央に形成された通孔に螺合する蝶ネジ72からなり、凹溝31aに沿って固定板71をスライド移動させ、所望の位置で蝶ネジ72を締め付けることにより、フレーム31に一体に固定できるようになっている。また、固定板71の両側には、固定板71から直角に折れ、さらに端部を側方へ屈曲させた固定片71a、71aを設けてある。
【0015】
これらの部材からなる本形態の壁面装置1の施工は、先ず、床面F上に支柱21、21とともに支柱23を立ち並べ、装飾パネル3、3を上下に並べて支柱21、21間に架け渡し、両パネルの両側端部を支柱21、21に取り付けるとともに、上下に突き合うフレーム31、31を継手部材6を挟んで接合し、上下装飾パネル3、3を一体に継ぎ合わせる。支柱21に対する装飾パネル3の取り付けは、支柱21に対するフック式の係合などの公知の取り付け手段を用いて行うことができる。なお、下段装飾パネル3のフレーム31の凹溝31a内には予め固定金具7を差し入れておく。
次いで、前記固定金具7を凹溝31aに沿って支柱23の設置位置までスライドさせ、図3に示されるように、支柱23の凹部23a表面に固定片71aを重ね合わせ、蝶ネジ72を締め付けて固定金具7を固定することにより取り付けが完了する。
【0016】
固定金具7の固定により、図4に示されるように、固定片71aが凹部23aに係合して、下段装飾パネル3のフレーム31は支柱23に一体に接続し、上下装飾パネル3、3の継ぎ合わせ部は支柱23側に引き寄せらた状態となり、これにより当該部分がパネル表面側へ膨らんだり突出したりすることを防止し、上下パネルを連ねてなる壁面は面一に保持される。固定金具7の蝶ネジ72の締め付けによって、上下装飾パネル3、3の継ぎ合わせ部の膨らみが規制されるので、予め壁面が面一となるように上下装飾パネル3、3の取り付け位置を正確に位置決めしておく必要はなく、継ぎ合わせ部がパネル表面側へ若干突き出る程度に両パネルを取り付けておき、固定金具7の固定により、パネル面が面一に揃うようにしてもよい。
また、固定金具7の固定板71の左右両側に固定片71a、71aを設けてあるので、支柱23が凹部23aを左右どちらに向けて設置されていても、固定金具7は支柱23に固定する向きを問わず、固定定金具7を支柱23の位置までスライド移動させて、凹部23aに左右何れかの固定片71aを係合し固定することが可能である。
【0017】
なお、以上の説明では、支柱間に上下2段に装飾パネルを取り付ける形態を示したが、本発明の壁面装置は、室内の壁に直に或いは他の壁芯部材を用いて装飾パネルを取り付ける形態や、装飾パネルを上下3段以上並べて取り付ける形態にも適用が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一実施形態の壁面装置の表面側の外観図である。
【図2】図1の壁面装置の裏面側における部材構成を要部を破断して示した図である。
【図3】図1の壁面装置の裏面側であって固定金具を支柱に係合させた状態の外観図である。
【図4】図1の壁面装置の要部縦断面図である。
【図5】従来の一例の壁面装置の表面側の外観図である。
【図6】図5の壁面装置の要部縦断面図である。
【符号の説明】
【0019】
1 壁面装置、2 壁芯部材、21、23 支柱、22 横桟、3 装飾パネル、31 フレーム、31a 凹溝、32 パネル材、4 支持レール、5 付帯品、6 継手部材、7 固定金具、71 固定板、72 蝶ネジ、8 巾木、9 カバー材


【特許請求の範囲】
【請求項1】
壁面又は壁芯部材に対して上下複数段に装飾パネルを並べ、上下装飾パネルのフレーム同士を継ぎ合わせて連結した構成を有する壁面装置において、
前記上下に連結した装飾パネルの裏面側適所で、前記継ぎ合わさったフレームと交差して上下に延びた壁芯部材を設置し、
この壁芯部材に上段装飾パネルのフレーム又は下段装飾パネルのフレームを接続したことを特徴とする壁面装置。
【請求項2】
上段装飾パネルのフレーム又は下段装飾パネルのフレームに設けられた、パネル裏面側に開口した凹溝に固定金具を取り付け、この固定金具の端部を壁芯部材の側面に設けられた凹部に係合させて装飾パネルのフレームを壁芯部材に接続した請求項1に記載の壁面装置。






【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−169961(P2007−169961A)
【公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−366611(P2005−366611)
【出願日】平成17年12月20日(2005.12.20)
【出願人】(000006172)三菱樹脂株式会社 (1,977)
【Fターム(参考)】