説明

変位測定装置

【課題】コストを抑制しつつ、かつ詳細な変形状況を測定することを可能とする変位測定装置を提供する。
【解決手段】受信手段が、複数の受信部が面上に配置されると共に、各々の前記受信部が、自身を識別することができるRF電波を各々発信する複数のRFタグから発信されたRF電波を受信し、特定手段が前記複数の受信部各々の位置を示す位置情報を記憶した受信部がRF電波を受信した場合に、前記記憶手段に記憶された位置情報に基づいて前記RF電波を発信したRFタグの位置を特定し、測定手段が、前記特定手段で特定されたRFタグの位置に基づいて、前記RFタグ取り付け位置の変位を測定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、変位測定装置に係り、特に衝突実験における変位の測定に好適な変位測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、移動体の変位測定に関する技術(高速計測技術、内部観測技術、同時多点観測技術等)に対する関心が高まっている。
【0003】
移動体の変位測定に関する技術を用いるものとして、例えば車両の衝突実験が挙げられる。そして、車両の衝突時の変形状況を測定するために、特許文献1に開示された技術では加速度計が用いられている。なお、加速度計の他に、変位計、歪計なども測定に用いられている。また、上記加速度計のような車両に接触させて測定するものの他に、光学的な測定(レーザー、モアレ干渉縞による測定等)や、MRI(Magnetic Resonance Imaging)、X線CT(Computed Tomography)による測定など、車両に接触することなく測定するものもある。
【特許文献1】特開2000−247256号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記加速度計、変位計、及び歪計は、それら測定機器は比較的高価であると共に、測定機器を動作させるための配線の設置が必要となる。また、上記光学的測定では光を照射することのできる移動体外側の変形状況は測定することができるが、移動体内部の変形状況を測定することができないため、詳細な変形状況を測定することができない。また、MRIやX線CTを用いた測定では、測定機器が非常に大きく、また非常に高価なものである。更にMRIやX線CTを用いた場合では、移動体の速度が低速であれば測定できるが、移動体が高速で移動するような衝突実験の場合には測定することができないため、衝突時にどのように変形していくのかを測定できず、詳細な変形状況を測定することができない。
【0005】
このように、従来の技術では、測定に用いられる機器が比較的高価であり、詳細な変形状況を測定することが困難であった。
【0006】
本発明は上記問題点を鑑み、コストを抑制しつつ、かつ詳細な変形状況を測定することを可能とする変位測定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、請求項1の発明は、複数の受信部が面上に配置されると共に、各々の前記受信部が、自身を識別することができるRF電波を各々発信する複数のRFタグから発信されたRF電波を受信する受信手段と、前記複数の受信部各々の位置を示す位置情報を記憶した記憶手段と、前記受信部がRF電波を受信した場合に、前記記憶手段に記憶された位置情報に基づいて前記RF電波を発信したRFタグの位置を特定する特定手段と、前記特定手段で特定されたRFタグの位置に基づいて、前記RFタグ取り付け位置の変位を測定する測定手段と、を含む。
【0008】
請求項1の発明によれば、受信手段が、複数の受信部が面上に配置されると共に、各々の前記受信部が、自身を識別することができるRF電波を各々発信する複数のRFタグから発信されたRF電波を受信し、特定手段が前記複数の受信部各々の位置を示す位置情報を記憶した受信部がRF電波を受信した場合に、前記記憶手段に記憶された位置情報に基づいて前記RF電波を発信したRFタグの位置を特定し、測定手段が、前記特定手段で特定されたRFタグの位置に基づいて、前記RFタグ取り付け位置の変位を測定する。
【0009】
RFタグは安価であり、更に測定対象物体の外部だけではなく内部に設けることができる。従って測定に用いられる機器のコストを抑制し、詳細な変形状況を測定することを可能とする変位測定装置を提供することができる。
【0010】
なお、本発明は、請求項2の発明のように、前記RF電波を、自身を識別することができる識別情報を含むRF電波、または自身を識別することができる周波数帯域のRF電波とするようにしても良い。これにより、複数のRFタグを測定対象物体に設けることができ、詳細な変形状況を測定することを可能とする。
【0011】
一方、本発明は、請求項3の発明のように、自身に割り当てられた周波数帯域の電波を受信したときにRF電波を各々発信する複数のRFタグに対して、当該RFタグに割り当てられた周波数帯域の電波を発信する発信手段と、複数の受信部が面上に配置されると共に、複数のRFタグから発信されたRF電波を受信する受信手段と、前記複数の受信部各々の位置を示す位置情報を記憶した記憶手段と、前記受信部がRF電波を受信した場合に、前記記憶手段に記憶された位置情報に基づいて前記RF電波を発信したRFタグの位置を特定する特定手段と、前記特定手段で特定されたRFタグの位置に基づいて、前記RFタグ取り付け位置の変位を測定する測定手段と、を含む。
【0012】
請求項3の発明によれば、発信手段が自身に割り当てられた周波数帯域の電波を受信したときにRF電波を各々発信する複数のRFタグに対して、該RFタグに割り当てられた周波数帯域の電波を発信し、受信手段が、複数の受信部が面上に配置されると共に、複数のRFタグから発信されたRF電波を受信し、特定手段が、前記受信部がRF電波を受信した場合に、前記複数の受信部各々の位置を示す位置情報を記憶した記憶手段に記憶された位置情報に基づいて前記RF電波を発信したRFタグの位置を特定し、測定手段が、前記特定手段で特定されたRFタグの位置に基づいて、前記RFタグ取り付け位置の変位を測定する。
【0013】
RFタグは安価であり、更に移動体の外部だけではなく内部に設けることができる。従って測定に用いられる機器のコストを抑制し、詳細な変形状況を測定することを可能とする変位測定装置を提供することができる。なお、本発明のRFタグには、自身に割り当てられた周波数帯域の電波を受信したときにRF電波を発信するパッシブRFタグが含まれる。
【0014】
なお、本発明は、請求項4の発明のように、前記受信手段は、移動体に取り付けられたRFタグから発信されたRF電波を受信するようにしても良い。これにより、移動体の変位を測定することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、コストを抑制しつつ、かつ詳細な変形状況を測定することを可能とする変位測定装置を提供することができるという効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。なお、本実施の形態で用いられるRFタグは、ICタグ、無線タグ、RFID(Radio Frequency Identification)タグ、IDタグ、電磁誘導タグ等と呼ばれることもあるが、本明細書では、これらを総称してRFタグという。
【0017】
図1は、本実施の形態に係る変位測定装置の外観を示す図である。同図に示されるように、変位測定装置10は、パソコン11と、RF電波受信装置12とを含む。パソコン11とRF電波受信装置12は、例えばUSB(Universal Serial Bus)など有線で接続されるが、BlueToothやIEEE802.11b/gなど無線を用いるようにしても良い。
【0018】
RF電波受信装置12は、複数のRFタグリーダ12Aが面上に配置されると共に、各々の前記RFタグリーダ12Aが自身を識別することができるRF電波を各々発信する複数のRFタグから発信されたRF電波を受信するものである。なお、RF電波受信装置12は、例として図2に示されるように、車両の例えばフロントサイドメンバに取り付けられたRFタグから電波を受信可能な位置に設置される。
【0019】
なお、RF電波を複数のRFタグリーダ12Aが受信した場合には、受信したRFタグリーダ12Aのうちの1つの(例えば受信した複数のRFタグリーダ12Aのうちの中央付近に存在する)RFタグリーダ12Aの位置を、RFタグの位置として特定する。
【0020】
ここで、本実施の形態で用いられるRFタグについて説明する。RFタグには、アクティブRFタグとパッシブRFタグの2種類のRFタグがあり、前者は自発的に電波を発信することが可能なRFタグである。一方、後者はRFタグリーダ12Aから電波を受信すると電波を発信するRFタグである。
【0021】
具体的に、パッシブRFタグとは、RFタグリーダからの電波をエネルギー源として動作するものである。このRFタグのアンテナはRFタグリーダからの電波の一部を反射し、後述する識別情報はこの反射波に乗せて返される。反射波の強度は非常に小さいため、アクティブRFタグに比べてパッシブRFタグの受信距離は比較的短くなるが、安価であり、ほぼ恒久的に動作する。
【0022】
一方、アクティブRFタグは、電池を内蔵したタグであり、自ら電波を発するので、通信距離をパッシブRFタグと比較して長くできる。
【0023】
上記2種類のタグは、加速度計、変位計、歪計などと比較して安価であり、もちろんMRIやX線CTよりも安価である。従って、機器のコストを抑制することが可能となる。なお、本実施の形態における変位測定装置のコストにはパソコン11のコストが含まれるが、加速度計、変位計、歪計などを用いた場合でもパソコンのような情報処理装置は必要である。
【0024】
また、RFタグは、RFタグリーダ12Aとの間に例えば非導電体が存在しても情報のやり取りが行える。従って、車両の外部だけではなく内部に取り付けることができるので、衝突時の詳細な変形状況を測定することが可能となる。
【0025】
更に、RFタグは、加速度計、変位計、歪計などと比較して非常に小さいため、多くのRFタグを車両に取り付けることができる。従って多くのRFタグが取り付けられた位置の変位を同時に測定することが可能となる。また、RFタグは無線通信を行うため、加速度計、変位計、歪計などで必要となる配線の設置は不要である。
【0026】
このように、本実施の形態では2種類のRFタグが用いられるため、上記RF電波受信装置12は、アクティブRFタグの場合は上記RFタグリーダ12Aのみで構成されていてもよいが、RFタグがパッシブRFタグの場合は、上記RFタグリーダ12Aに加え、車両に取り付けられたRFタグが発信する電波であるRF電波を該RFタグに発信させるための電波である装置発信電波を発信する発信器が設けられた構成となる。
【0027】
RFタグが、パッシブRFタグ、アクティブRFタグのいずれであっても、各RFタグリーダ12Aは、RF電波を受信すると、パソコン11に自身を識別することができる識別情報を含むRF電波、または自身を識別することができる周波数帯域のRF電波を受信したことを通知する。パソコン11は、複数のRFタグリーダ12A各々の位置を示す位置情報を記憶した記憶手段を有する。この位置情報は、各RFタグリーダ12Aと、その位置とを対応づけた情報であり、パソコン11は、RF電波を受信したRFタグリーダ12Aの位置を示す位置情報を記憶手段から読み出すことにより、前記RFタグの位置を特定する。
【0028】
このRFタグの位置であるが、本実施の形態におけるパソコン11は、図3に示されるようにRFタグの位置をXY座標を用いて表現する。このXY座標における各座標と各RFタグリーダ12Aは1対1に対応しており、例えば黒で塗りつぶした矩形に対応するRFタグリーダ12Aの位置は、(6、3)で表現される。
【0029】
RF電波を受信したことが通知されると、図4に示されるようにRF電波が受信されたタイミングとRF電波を受信したRFタグリーダ12Aに対応する座標を記録する。
【0030】
図4に示す例では、タイミングとして計測を開始してからの計測時間(ms)が記録され、位置は上述したXY座標での座標が記録される。この記録された情報を用いて、パソコン11は、後述する処理によりRFタグの変位などを測定する。
【0031】
次に、パソコン11の構成について、図5を用いて説明する。パソコン11は、各々バスBにより接続されたCPU(Central Processing Unit)20と、ROM(Read Only Memory)21と、RAM(Random Access Memory)22と、HDD(Hard Disk Drive)23と、表示部24と、操作入力部25と、RF電波受信装置インタフェース26とを含む。
【0032】
CPU20は、パソコン11の全体的な動作を司るものであり、後述するプログラムは、CPU20により実行される。ROM21は、パソコン11の起動時に動作するブートプログラムなどが記憶されている不揮発性の記憶装置である。RAM22は、OS(Operating System)、プログラム、及びデータが展開される揮発性の記憶装置である。HDD23は、複数のRFタグリーダ12Aの位置を示す位置情報が予め記憶された記憶手段であり、OSなども記録される不揮発性の記憶装置である。表示部24は、各種情報を表示するものである。操作入力部25は、オペレータがパソコン11の操作をする場合やパソコン11に情報を入力する際に用いられるものである。RF電波受信装置インタフェース26は、USBを用いてRF電波受信装置12と接続する場合はUSBデバイスであり、無線を用いて接続する場合は無線LANデバイスとなる。
【0033】
次に、上記変位測定装置10のCPU20で実行される処理について、フローチャートを用いて説明する。なお、上述したように、RFタグにはアクティブRFタグとパッシブRFタグがあるため、以下に説明するフローチャートはRFタグの種類に応じた変位測定処理となる。
【0034】
最初に、RFタグとして、アクティブRFタグを用いた場合の基本的な変位測定処理を、図6を用いて説明する。
【0035】
まず、ステップ101で、CPU20は、RF電波を受信したか否か判断する。RF電波を受信したと判断すると、ステップ102で、位置情報に基づいてRF電波を発信したRFタグの位置を特定する。この特定には、上述した位置情報及びXY座標が用いられる。次のステップ103で、特定した位置と受信したタイミングとを記録する(図4参照)。
【0036】
次のステップ104で、位置特定が終了したか否か判断する。この位置特定が終了したか否かの判断とは、例えば、車両が衝突するまでの時間を予めオペレータが登録しておき、その時間が経過したか否かの判断とするようにしても良い。或いは、各RFタグの位置が全く変化しなくなったか否かの判断としても良い。
【0037】
このステップ104で、否定判断した場合には、再びステップ101の処理を実行し、肯定判断した場合には、ステップ105で、特定した位置からRFタグの変位を測定し、処理を終了する。
【0038】
なお、変位はユークリッド距離を用いて測定するようにしても良い。この場合、例えば図4での「タイミング」が「1」と「2」における変位は、(10、11)と(20、11)のユークリッド距離である「10」となる。
【0039】
上述したフローチャートでの処理は、車両に取り付けられたRFタグが1つの場合は有効であるが、複数のRFタグが車両に取り付けられた場合にはRFタグを識別する必要がある。RFタグの中には、複数のRFタグを識別するための識別情報をRF電波に含めて発信することが可能なものもある。このような各々自身を識別するための識別情報を発信するRFタグを用いた場合の処理について、図7のフローチャートを用いて説明する。
【0040】
まず、ステップ201で、RF電波を受信したか否か判断する。RF電波を受信すると、ステップ202で、RF電波に含まれるRFタグ識別情報よりRFタグを識別する。
【0041】
次のステップ203で、位置情報に基づいてRF電波を発信したRFタグの位置を特定する。次のステップ204で、識別情報、特定した位置、受信したタイミングを記録する。このとき記録される情報は、図8に示されるように、図4で説明した特定した位置、受信したタイミングに加え、識別情報(ID)が記録されるようになる。これにより各RFタグ毎の情報を記録することができる。
【0042】
次のステップ205で、位置特定が終了したか否か判断する。この位置特定が終了したか否かの判断とは、例えば、車両が衝突するまでの時間を予めオペレータが登録しておき、その時間が経過したか否かの判断とするようにしても良い。或いは、各RFタグの位置が全く変化しなくなったか否かの判断としても良い。このステップ204で、CPU20が否定判断した場合には、再びステップ201の処理を実行し、肯定判断した場合には、ステップ206で、特定した位置から各RFタグの変位を測定し、処理を終了する。
【0043】
以上説明した図6、図7に示される処理は、アクティブRFタグを用いた場合の処理であった。次に、パッシブRFタグを用いた場合の処理について説明する。
【0044】
最初に、パッシブRFタグを用いた場合の基本的な変位測定処理を、図9を用いて説明する。
【0045】
まず、ステップ301で、RF電波受信装置12を用いて装置発信電波を発信する。次のステップ302で、RF電波を受信したか否か判断する。RF電波を受信すると、ステップ303で、位置情報に基づいてRF電波を発信したRFタグの位置を特定する。次のステップ304で、特定した位置と受信したタイミングとを記録する(図4参照)。
【0046】
次のステップ305で、位置特定が終了したか否か判断する。この位置特定が終了したか否かの判断とは、例えば、車両が衝突するまでの時間を予めオペレータが登録しておき、その時間が経過したか否かの判断とするようにしても良い。或いは、各RFタグの位置が全く変化しなくなったか否かの判断としても良い。このステップ305で、否定判断した場合には、再びステップ301の処理を実行し、肯定判断した場合には、ステップ306で、特定した位置からRFタグの変位を測定し、処理を終了する。
【0047】
次にアクティブRFタグの場合と同様に、RFタグを識別するための識別情報を発信するパッシブRFタグを用いた場合の処理について、図10のフローチャートを用いて説明する。
【0048】
まず、ステップ401で、RF電波受信装置12を用いて装置発信電波を発信する。次のステップ402で、RF電波を受信したか否か判断する。RF電波を受信すると、ステップ403で、RF電波に含まれたRFタグ識別情報よりRFタグを識別する。
【0049】
次のステップ404で、位置情報に基づいてRF電波を発信したRFタグの位置を特定する。次のステップ405で、識別情報、特定した位置、受信したタイミングを記録する(図8参照)。
【0050】
次のステップ406で、位置特定が終了したか否か判断する。この位置特定が終了したか否かの判断とは、例えば、車両が衝突するまでの時間を予めオペレータが登録しておき、その時間が経過したか否かの判断とするようにしても良い。或いは、各RFタグの位置が全く変化しなくなったか否かの判断としても良い。このステップ406で、CPU20が否定判断した場合には、再びステップ401の処理を実行し、肯定判断した場合には、ステップ407で、特定した位置から各RFタグの変位を測定し、処理を終了する。
【0051】
次に説明するRFタグは、自身に割り当てられた周波数帯域の電波を受信したときにRF電波を各々発信するものである。このRFタグを用いることによって、より確実にRFタグを識別することが可能となる。
【0052】
このRFタグを車両に取り付けた場合の処理について、図11のフローチャートを用いて説明する。
【0053】
まず、ステップ501で、RF電波受信装置12を用いて装置発信電波を発信する。次のステップ502で、RF電波を受信したか否か判断する。RF電波を受信すると、ステップ503で、RFタグがRF電波を発信した装置発信電波の周波数に基づき反応した装置発信電波の周波数に基づき、RFタグを識別する。
【0054】
次のステップ504で、位置情報に基づいてRF電波を発信したRFタグの位置を特定する。次のステップ505で、識別情報、特定した位置、受信したタイミングを記録する(図8参照)。
【0055】
次のステップ506で、位置特定が終了したか否か判断する。この位置特定が終了したか否かの判断とは、例えば、車両が衝突するまでの時間を予めオペレータが登録しておき、その時間が経過したか否かの判断とするようにしても良い。或いは、各RFタグの位置が全く変化しなくなったか否かの判断としても良い。このステップ506で、CPU20が否定判断した場合には、ステップ507で装置発信電波の周波数を変更し、再びステップ501の処理を実行する。肯定判断した場合には、ステップ508で、特定した位置から各RFタグの変位を測定し、処理を終了する。
【0056】
以上、2種類のRFタグに対応した変位測定処理を説明したが、上述したように受信したタイミングも記録されるので、RFタグの変位に加え、移動速度、加速度も測定することができる。その場合、上記変位測定処理の後に図12のフローチャートに示されるように、ステップ601で、受信したタイミングと変位に基づき移動速度を測定し、ステップ602で、受信したタイミングと移動速度に基づき加速度を測定する。
【0057】
具体的には、タイミングt1、t2、t3でのそれぞれの位置(x1、y1)、(x2、y2)、(x3、y3)から測定されたt1、t2間の変位をX1とし、t2、t3間の変位をX2とすると、t1、t2間の移動速度V1はX1/(t2−t1)であり、t2、t3間の移動速度V2はX2/(t3−t2)である。この移動速度V1、V2より加速度は(V2−V1)/(t3−t1)となる。
【0058】
なお、以上説明した各フローチャートの処理の流れは一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内で処理順序を入れ替えたり、新たなステップを追加したり、不要なステップを削除したりすることができることは言うまでもない。また、図1等で説明した本実施の形態にかかる変位測定装置の構成は、パソコン11とRF電波受信装置12とを含むものであったが、この構成に限らず、例えばパソコン11の機能をRF電波受信装置12に組み込んだ構成としても良い。或いは、パソコン11に代えて、PDA(Personal Digital Assistants)のような情報処理装置を用いても良い。
【0059】
また、本実施の形態では、図1に示されるように車両の進行方向と並行となるようにRF電波受信装置12の面が設置されているが、更に車両の進行方向と垂直となるようにRF電波受信装置の面を設置することで、RFタグの位置を3次元座標として得ることができる。
【0060】
更に、本実施の形態で用いるRFタグ及びRFタグリーダとして、RFタグリーダとRFタグとの距離が測定可能なものを用いても良い。この場合もRFタグの位置を3次元座標として得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本実施の形態に係る変位測定装置の外観を示す図である。
【図2】フロントサイドメンバに取り付けられたRFタグとRF電波受信装置を示す図である。
【図3】RFタグリーダの位置を管理するXY座標を示す図である。
【図4】RF電波が受信されたタイミングとRF電波を受信したRFタグリーダに対応する座標の記録例を示す図である。
【図5】パソコンの構成を示す図である。
【図6】変位測定処理を示すフローチャートである(アクティブRFタグ)。
【図7】識別情報を用いた場合の変位測定処理を示すフローチャートである(アクティブRFタグ)。
【図8】複数のRFタグが取り付けられた場合のRF電波が受信されたタイミングとRF電波を受信したRFタグリーダに対応する座標の記録例を示す図である。
【図9】変位測定処理を示すフローチャートである(パッシブRFタグ)。
【図10】識別情報を用いた場合の変位測定処理を示すフローチャートである(パッシブRFタグ)。
【図11】所定の周波数の前記装置発信電波である場合にのみ反応するRFタグを用いた場合の変位測定処理を示すフローチャートである。
【図12】速度、加速度を測定する処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0062】
10 変位測定装置
11 パソコン
12 RF電波受信装置
12A RFタグリーダ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の受信部が面上に配置されると共に、各々の前記受信部が、自身を識別することができるRF電波を各々発信する複数のRFタグから発信されたRF電波を受信する受信手段と、
前記複数の受信部各々の位置を示す位置情報を記憶した記憶手段と、
前記受信部がRF電波を受信した場合に、前記記憶手段に記憶された位置情報に基づいて前記RF電波を発信したRFタグの位置を特定する特定手段と、
前記特定手段で特定されたRFタグの位置に基づいて、前記RFタグ取り付け位置の変位を測定する測定手段と、
を含む変位測定装置。
【請求項2】
前記RF電波を、自身を識別することができる識別情報を含むRF電波、または自身を識別することができる周波数帯域のRF電波とした請求項1に記載の変位測定装置。
【請求項3】
自身に割り当てられた周波数帯域の電波を受信したときにRF電波を各々発信する複数のRFタグに対して、当該RFタグに割り当てられた周波数帯域の電波を発信する発信手段と、
複数の受信部が面上に配置されると共に、複数のRFタグから発信されたRF電波を受信する受信手段と、
前記複数の受信部各々の位置を示す位置情報を記憶した記憶手段と、
前記受信部がRF電波を受信した場合に、前記記憶手段に記憶された位置情報に基づいて前記RF電波を発信したRFタグの位置を特定する特定手段と、
前記特定手段で特定されたRFタグの位置に基づいて、前記RFタグ取り付け位置の変位を測定する測定手段と、
を含む変位測定装置。
【請求項4】
前記受信手段は、移動体に取り付けられたRFタグから発信されたRF電波を受信する請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の変位測定装置。

【図1】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−170276(P2008−170276A)
【公開日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−3764(P2007−3764)
【出願日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】