説明

外周加工装置及び方法

【課題】ホルダによるレンズの芯出し精度や保持力を確保しつつレンズに対して異形部の形成等を含む外周加工を行うための外周加工装置及び方法を提供すること。
【解決手段】第1周面部分45aによって第1回転軸AX1に最も近接する異形部であるカット部分10ia,10ibを加工する際に、砥石部材14の外周とレンズ10のホルダ部分31a,32aとが干渉することを回避することが容易になる。これにより、レンズ10に対するホルダ部分31a,32aのサイズをある程度大きく確保することができ、ホルダ部分31a,32aによるレンズ10の芯出し精度や保持力を確保しつつ、レンズ10に対して異形部であるカット部分10ia,10ib等を精度よく形成することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レンズに対して異形部の形成等を含む外周加工を行うための外周加工装置及び外周加工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
DカットやHカットなどと呼ばれている外周に直線的なカット部分を有する異形レンズの加工を可能にする外周加工装置として、レンズをレンズホルダに保持してワーク軸のまわりに回転させつつ、ワーク軸に垂直な方向に進退する砥石台に装着された回転砥石を進退させることにより、レンズの外周を構成する真円部分とカット部分とを連続的に加工可能にしたものが存在する(特許文献1、2参照)。
【0003】
また、上記と同様の外周加工装置であって、カット部分等に対する面取り加工を可能にしたものも存在する(特許文献3参照)。この装置では、回転砥石の加工作用部の途中に、V字断面溝をなす縮径部が設けられ、この溝の斜面によって、カット部分等に対する面取りを行っている。
【0004】
以上のような外周加工装置において、回転砥石の外周に縮径部を設けて溝斜面による面取りを可能にすると、この縮径部の溝底部でカット部分の側面加工を行うことになり、カット部分のカット量が多くなると、回転砥石の最外周とレンズホルダの外縁とが干渉する。これを回避するために、レンズホルダの外形を小さくすることも考えられるが、レンズホルダの外形を小さくすると、レンズの芯出し精度が低下し、レンズの芯ブレが発生しやすくなる。また、レンズホルダの外形を小さくすると、レンズの保持力が低下するため、加工速度を遅くしなければレンズに傷等の不良が発生しやすくなる。さらに、回転砥石の縮径部の溝底部によってレンズの真円部分とカット部分と加工すると、回転砥石の負荷が増し回転砥石の交換頻度が高くなるという問題もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−125453号公報
【特許文献2】特開2000−218489号公報
【特許文献3】特開2008−260080号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記背景技術の課題に鑑みてなされたものであり、ホルダによるレンズの芯出し精度や保持力を確保しつつ、レンズに対して異形部の形成等を含む一連の外周加工を一括して行うことができる外周加工装置及び方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明に係る外周加工装置は、レンズをホルダによって支持して第1回転軸のまわりに回転させる第1駆動機構と、砥石部材を第1回転軸に平行な第2回転軸のまわりに回転させるとともに、第2回転軸に平行な方向及び垂直な方向に変位させる第2駆動機構とを備え、砥石部材が、砥石部材の最外周側に設けられてレンズのうち第1回転軸に最も近接する外周部を加工する第1周面部分と、第1周面部分よりも第2回転軸側に設けられてレンズの外縁の面取りと当該外縁の側面加工との少なくとも一方を行う第2周面部分とを有する。
【0008】
上記外周加工装置では、砥石部材が、砥石部材の最外周側に設けられて第1回転軸に最も近接する外周部を加工する第1周面部分と、第1周面部分よりも第2回転軸側に設けられてレンズの外縁の面取りと当該外縁の側面加工との少なくとも一方を行う第2周面部分とを有するので、第1周面部分によって第1回転軸に最も近接する外周部すなわち異形部を加工する際に、砥石部材の外周とレンズのホルダとが干渉することを確実に回避することができる。これにより、レンズに対するホルダのサイズをある程度大きく確保することができ、ホルダによるレンズの芯出し精度や保持力を確保しつつ、レンズに対して異形部等を精度よく形成することができる。
【0009】
本発明の具体的な側面では、上記外周加工装置において、第1周面部分が、レンズの異形部を加工するため、第2回転軸に対して平行に形成されている。この場合、第1周面部分によって、レンズの異形部として、第1回転軸に平行に延びる所望の平面や曲面を形成することができる。
【0010】
本発明の別の側面では、レンズの異形部が、第1回転軸に平行に延びる平坦面である。この場合、レンズの異形部として、直接的なカット部分を形成することができる。
【0011】
本発明のさらに別の側面では、第2周面部分が、レンズに形成された円周外縁の面取り加工を行うため、第2回転軸に対して傾斜して形成されている。この場合、第1周面部分よりも第2回転軸側に後退した第2周面部分によってホルダと干渉することなく円周外縁の面取り加工を行うことができる。なお、第2周面部分は、単一に限らず複数設けることができる。第2周面部分を複数設けた場合、傾斜の向き等が異なる複数種類の面取りを行うことができる。
【0012】
本発明のさらに別の側面では、レンズに形成された円周外縁の側面加工を行うため、第2回転軸に対して平行に形成されている第3周面部分をさらに有する。この場合、第1周面部分よりも第2回転軸側に後退した第2周面部分によって円周外縁の側面加工を行うことができる。
【0013】
本発明のさらに別の側面では、第1周面部分は、第2回転軸に対して平行な円筒面状に形成され、第3周面部分は、第1周面部分よりも段差量だけ第2回転軸側に設けられる円筒面状に形成され、ホルダは、レンズに形成されるべき円周外縁よりも段差量を超えて内側の位置を支持する。この場合、第3周面部分によってレンズの円周外縁を加工する際に、砥石部材の第1周面部分等がホルダと干渉することを防止できる。
【0014】
本発明に係る外周加工方法は、レンズをホルダによって支持して第1回転軸のまわりに所定の回転状態に保持しつつ、砥石部材を第1回転軸に平行な第2回転軸のまわりに回転させるとともに第2回転軸に平行な方向及び垂直な方向に変位させることにより、レンズの外周加工を行う外周加工方法であって、砥石部材の最外周側に設けられた第1周面部分によって、レンズのうち第1回転軸に最も近接する外周部を加工し、砥石部材において第1周面部分よりも第2回転軸側に設けられた第2周面部分によって、レンズの外縁の面取りと当該外縁の側面加工との少なくとも一方を行う。
【0015】
上記外周加工方法では、砥石部材の最外周側に設けられた第1周面部分によって、レンズのうち第1回転軸に最も近接する外周部すなわち異形部を加工するので、砥石部材の外周とレンズのホルダとが干渉することを確実に回避することができる。これにより、レンズに対するホルダのサイズをある程度大きく確保することができ、ホルダによるレンズの芯出し精度や保持力を確保しつつ、レンズに対して異形部等を精度よく形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】第1実施形態に係る外周加工装置の構造を概念的に説明するブロック図である。
【図2】図1の加工装置を用いた光学素子の作製を概念的に説明するフローチャートである。
【図3】(A)は、第1の加工工程後のレンズを説明する図であり、(B)は、第2の加工工程後のレンズを説明する図であり、(C)は、第3の加工工程後のレンズを説明する図である。
【図4】第1の加工工程を説明する図である。
【図5】(A)及び(B)は、第2の加工工程を説明する図である。
【図6】第3の加工工程を説明する図である。
【図7】第2実施形態に係る外周加工装置の要部を概念的に説明する図である。
【図8】第3実施形態に係る外周加工装置の要部を概念的に説明する図である。
【図9】第4実施形態に係る外周加工装置の要部を概念的に説明する図である。
【図10】変形例の外周加工装置又は方法により得たレンズを説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の第1実施形態に係るレンズ用の外周加工装置及びこれを用いた外周加工方法について図面を参照しつつ説明する。
【0018】
図1に示すように、外周加工装置100は、加工に際してレンズ10を回転等させるレンズ駆動装置20と、加工に際して砥石部材14を回転等させる砥石駆動装置40と、レンズ10をレンズ駆動装置20に装着するための搬送装置60と、レンズ駆動装置20、砥石駆動装置40等の動作を数値的に制御する制御部70とを備える。
【0019】
レンズ駆動装置20は、第1ホルダ駆動部21と第2ホルダ駆動部22とを有する。第1ホルダ駆動部21は、第1ホルダ部分31aを第1回転軸AX1のまわりに回転可能に支持するだけでなく、制御部70の制御下で、第1ホルダ部分31aを第1回転軸AX1のまわりに所望の速度で回転させ、或いは第1ホルダ部分31aを第1回転軸AX1のまわりの所望の角度方向に向ける。第2ホルダ駆動部22は、第2ホルダ部分32aを第1回転軸AX1のまわりに回転可能に支持するとともに、第1ホルダ駆動部21の第1ホルダ部分31aと同期して回転する。また、第2ホルダ駆動部22は、第2ホルダ部分32aを第1回転軸AX1に沿って変位させるアクチュエータを有しており、制御部70の制御下で動作し、第2ホルダ部分32aを第1ホルダ部分31a側に移動させた前進位置で両ホルダ部分31a,32a間に所望の圧力でレンズ10を挟持することができる。つまり、第1ホルダ部分31aと第2ホルダ部分32aとが協働して、レンズ10を支持するホルダ33として機能する。ここで、両ホルダ部分31a,32aの端面31b,32bは、第1回転軸AX1に対して傾斜し、第1回転軸AX1のまわりに対称に配置された環状の面であり、レンズ10の光学面S1,S2に密着してレンズ10の軸心を第1回転軸AX1と一致させることができる。なお、第2ホルダ駆動部22は、第2ホルダ部分32aを根元側に移動させた後退位置とすることができ、この後退位置で両ホルダ部分31a,32a間からレンズ10をリリースすることができ、リリースされたレンズ10は、搬送装置60によって外部に搬出される。
【0020】
以上のレンズ駆動装置20において、両ホルダ部分31a,32aの半径HRは、レンズ10に形成されるべき円周外縁の半径LRよりも自由幅L0だけ小さくなっている。これは、詳細は後述するが、砥石駆動装置40によってレンズ10に円周外縁を形成する際のマージンとなっている。
【0021】
砥石駆動装置40は、回転駆動部41と送り駆動部42とを有する。回転駆動部41は、軸41aに対して着脱可能な砥石部材14を有しており、制御部70の制御下で動作し、砥石部材14を第2回転軸AX2のまわりに所望の速度で定速回転させることができる。送り駆動部42は、制御部70の制御下で動作しており、回転駆動部41及びこれに付随する砥石部材14を、第2回転軸AX2に垂直なX方向と第2回転軸AX2に平行なZ方向とに関して、所望の位置に所望の速度で移動させることができる。ここで、第2回転軸AX2は、レンズ駆動装置20の第1回転軸AX1に平行な状態でX方向に離間して配置されている。なお、本実施形態では、回転駆動部41が回転駆動部41や砥石部材14をX方向とZ方向とに移動させているが、さらにY方向に移動させるここともできる。
【0022】
ここで、砥石駆動装置40に駆動される砥石部材14の形状について説明する。砥石部材14は、第1部分14aと第2部分14bとを備える。第1部分14aは、レンズ10の外周として、後述する異形部すなわち直接的なカット部分を形成するための部分であり、第2部分14bは、レンズ10の円周外縁を形成するための部分である。第1部分14aは、円柱状又は円板状の部分であり、円筒側面PS1の第1周面部分45aを有する。第2部分14bは、ボビン状の部分であり、両端に傾斜面PS2の第2周面部分45b,45cを有し、中央に円筒側面PS3の第3周面部分45dを有する。ここで、第2周面部分45b,45cの傾斜面PS2は、レンズ10の外縁に後述する面取りを形成する加工面であり、第3周面部分45dは、レンズ10の外縁に外縁側面すなわち真円部分を形成する加工面である。以上において、第1部分14aの第1周面部分45aは、第1回転軸AX1のまわりに対称に配置されている。また、第2部分14bの第2周面部分45b,45cや第3周面部分45dも、第1回転軸AX1のまわりに対称に配置されている。
【0023】
以上の砥石駆動装置40において、第1周面部分45aの半径R1は、第3周面部分45dの半径R3よりも段差量SDだけ大きくなっている。この段差量SDは、レンズ駆動装置20のホルダ部分31a,32aの半径HRとレンズ10に形成されるべき円周外縁の半径LRとの差である自由幅L0よりも小さくなっている。これは、第3周面部分45dによってレンズ10の外縁に外縁側面を形成する際に、第1周面部分45aがホルダ部分31a,32aと干渉して加工が妨げられることを防止したものでる。
【0024】
以下、図2等を参照して、図1に示す外周加工装置100によるレンズ10の加工手順について説明する。
【0025】
まず、図3(A)に示すように、レンズ10の外縁部10pを除去して外縁側面10sすなわち真円部分を形成する(図2のステップS11)。具体的には、図1に示す砥石駆動装置40の送り駆動部42を適宜動作させて、図4に示すように、Z方向に関する砥石部材14の第3周面部分45dの位置をレンズ10の外周10bと一致させ、砥石部材14の第3周面部分45dを−X方向に徐々に移動させてレンズ10の外周10bに近づける。この際、レンズ駆動装置20によりホルダ部分31a,32aすなわちホルダ33に支持されたレンズ10を一定速度で回転させる。これにより、第3周面部分45dの円筒側面PS3によってレンズ10の外周10bが研削され、外周10bのうち不要な外縁部10pが徐々に除去され、円筒面である外縁側面10sが形成される。ここで、第1回転軸AX1はレンズ10の軸心と一致しており、外縁側面10sは第1回転軸AX1のまわりに対称となっており、レンズ10の芯出しが行われたことになる。なお、レンズ10に形成すべき外縁側面10sの半径LRは、図1に示すようにレンズ駆動装置20のホルダ33のホルダ部分31a,32aの半径HRよりも自由幅L0だけ大きく、この自由幅L0は、第1周面部分45aと第3周面部分45dとの段差量SDよりも十分大きく設定されており、砥石部材14の第1周面部分45aとホルダ部分31a,32aの外周とが干渉することを防止している。
【0026】
次に、図3(B)に示すように、外縁側面10sに対して面取りを行って面取り部10tを形成する(図2のステップS12,S13)。具体的には、図1に示す砥石駆動装置40の送り駆動部42を適宜動作させることにより、図5(A)に示すように、砥石部材14をX方向に後退させないで+Z方向に移動させる。この際、レンズ駆動装置20によりホルダ33に支持されたレンズ10を一定速度で回転させる。これにより、レンズ10の外周10bの一端10d側を砥石部材14の左側に設けた第2周面部分45bに近づけることができ、第2周面部分45bの傾斜面PS2によって砥石部材14の外縁側面10sの一方が部分的に研削・除去される。つまり、レンズ10の外縁側面10sの図面左側(−Z側)に、傾斜面PS2に対応する斜面を有する面取り部10taが形成される(図2のステップS12)。次に、図1の送り駆動部42を適宜動作させることにより、図5(B)に示すように、砥石部材14をX方向に後退させないで−Z方向に移動させる。この際、レンズ駆動装置20によりホルダ33に支持されたレンズ10を一定速度で回転させる。これにより、レンズ10の外周10bの他端10e側を砥石部材14の右側に設けた第2周面部分45cに近づけることができ、第2周面部分45cの傾斜面PS2によって砥石部材14の外縁側面10sの他方が部分的に研削・除去される。つまり、レンズ10の外縁側面10sの図面右側(+Z側)に、傾斜面PS2に対応する斜面を有する面取り部10tbが形成される(図2のステップS13)。
【0027】
次に、図3(C)に示すように、レンズ10の外周10bを局所的に除去して異形部すなわち直接的なカット部分10ia,10ibを形成する(図2のステップS14)。具体的には、図1の砥石駆動装置40の送り駆動部42を適宜動作させて砥石部材14を一端後退させた状態とし、図6に示すように、Z方向に関する砥石部材14の第1周面部分45aの位置をレンズ10の外周10bと一致させ、回転する砥石部材14を−X方向に移動させつつ、レンズ駆動装置20のホルダ33に支持されたレンズ10を適当な角度位置に設定する。これにより、レンズ10の外周10bを局所的に研削することができ、砥石部材14の−X方向への移動とレンズ10の回転角とを同期させることにより、レンズ10の外周10bにカット部分10iaを形成することができる(具体的な駆動方法は、例えば特開2005−125453号公報等参照)。なお、図6は、レンズ10のカット部分10iaのうち第1回転軸AX1に最も近接する中央部10j(図3(C)参照)を加工している状態を示している。カット部分10iaは、第1回転軸AX1に平行でYZ面に沿って延びる平坦面となっている。以上と同様の動作を、ホルダ33に支持されたレンズ10をレンズ駆動装置20により第1回転軸AX1のまわりに半回転つまり180°回転させて再度行うことにより、レンズ10の外周10bにカット部分10iaに対向して同様のカット部分10ibを形成することができる。このカット部分10ibも、第1回転軸AX1に平行でYZ面に沿って延びる平坦面となっている。
【0028】
以上説明した第1実施形態の外周加工装置100では、砥石部材14が、砥石部材14の最外周側に設けられて第1回転軸AX1に最も近接するレンズ10の外周部であるカット部分10ia,10ibを加工する第1周面部分45aと、第1周面部分45aよりも第2回転軸AX2側に設けられてレンズ10の外縁の面取り加工を行う第2周面部分と45b、45cと、外縁の側面加工を行う第3周面部分45dとを有するので、第1周面部分45aによって異形部であるカット部分10ia,10ibの中央部10j等を加工する際に、砥石部材14の外周(他の部部分)とホルダ33すなわちホルダ部分31a,32aとが干渉することを確実に回避することができる。これにより、レンズ10に対するホルダ部分31a,32aのサイズをある程度大きく確保することができ、ホルダ部分31a,32aによるレンズ10の芯出し精度や保持力を確保しつつ、レンズ10に対して異形部であるカット部分10ia,10ib等を精度よく形成することができる。
【0029】
〔第2実施形態〕
以下、第2実施形態に係る外周加工装置及び方法を説明する。なお、第2実施形態に係る外周加工装置及び方法は、第1実施形態の外周加工装置100等を一部変更したものであり、特に説明しない部分は、第1実施形態と同様であるものとする。
【0030】
図7に示すように、第2実施形態の外周加工装置100の場合、砥石駆動装置40に設けた砥石部材114は、第1部分14aの両端に、第2周面部分45b,45cを有する円板部を拡設したものとなっている。つまり、第3周面部分45dを第2回転軸AX2方向に沿った両側から挟むように第2周面部分45b,45cを設けている。なお、砥石駆動装置40を適宜動作させることにより、第2周面部分45b,45cのうち図面右側(+Z側)の第2周面部分45bによって、レンズ10の外縁側面10sの図面左側に面取り部10taを形成させることができる。また、砥石駆動装置40を適宜動作させることにより、図面左側(−Z側)の第2周面部分45cによって、レンズ10の外縁側面10sの図面右側に面取り部10tbを形成させることができる。つまり、砥石部材114は、第2周面部分45b,45cと第3周面部分45dとで外周加工を行うものとなっており、外周加工後のレンズ10は、カット部分10ia,10ibを有しないものとなる。
【0031】
〔第3実施形態〕
以下、第3実施形態に係る外周加工装置及び方法を説明する。なお、第3実施形態に係る外周加工装置及び方法は、第1実施形態の外周加工装置100等を一部変更したものであり、特に説明しない部分は、第1実施形態と同様であるものとする。
【0032】
第3実施形態の外周加工装置100の場合、図8に示すように、砥石駆動装置40に設けた砥石部材214は、図1に示す砥石部材14の第2部分14bから第2周面部分45b,45cを省略したものとなっている。つまり、砥石部材214は、第1周面部分45aと第3周面部分45dとで外周加工を行うものとなっており、外周加工後のレンズ10は、面取り部10tを有しないものとなる。なお、本実施形態の場合、第3周面部分45dは、レンズ10の外周10bに外縁側面10sを加工するための第2周面部分として機能している。
【0033】
〔第4実施形態〕
以下、第4実施形態に係る外周加工装置及び方法を説明する。なお、第4実施形態に係る外周加工装置及び方法は、第1実施形態の外周加工装置100等を一部変更したものであり、特に説明しない部分は、第1実施形態と同様であるものとする。
【0034】
第4実施形態の外周加工装置100の場合、図9に示すように、砥石駆動装置40に設けた砥石部材314は、図1に示す砥石部材14の第2部分14bに対して第4周面部分345b,345cを追加したものとなっている。砥石部材314は、この第4周面部分345b,345cによって、レンズ10のカット部分10ia,10ibに対して外縁側面10sと同様の面取り加工を行うことができるようになっている。
【0035】
以上、実施形態に即して本発明を説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。
【0036】
例えば、レンズ10は、図3(A)に示すように、一対の対向するカット部分10ia,10ibを有するものに限らず、図10に示すように片側にのみカット部分10iを有するいわゆるDカットタイプとすることができる。
【0037】
また、カット部分10ia,10ibと外縁側面10sとの境界に面取り加工を行って面取り部を形成することもできる。
【符号の説明】
【0038】
10…レンズ、 10b…外周、 10i…カット部分、 10ia,10ib…カット部分、 10p…外縁部、 10s…外縁側面、 10ta,10tb…面取り部、 14…砥石部材、 14a…第1部分、 14b…第2部分、 20…レンズ駆動装置、 21…第1ホルダ駆動部、 22…第2ホルダ駆動部、 31a,32a…ホルダ部分、 40…砥石駆動装置、 41…回転駆動部、 42…送り駆動部、 45a…第1周面部分、 45b,45c…第2周面部分、 45d…第3周面部分、 60…搬送装置、 70…制御部、 100…外周加工装置、 AX…回転軸、 AX1…第1回転軸、 AX2…第2回転軸、 PS1…円筒側面、 PS2…傾斜面、 PS3…円筒側面、 S1,S2…光学面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レンズをホルダによって支持して第1回転軸のまわりに回転させる第1駆動機構と、
砥石部材を前記第1回転軸に平行な第2回転軸のまわりに回転させるとともに、前記第2回転軸に平行な方向及び垂直な方向に変位させる第2駆動機構と、を備え、
前記砥石部材は、前記砥石部材の最外周側に設けられて前記レンズのうち前記第1回転軸に最も近接する外周部を加工する第1周面部分と、前記第1周面部分よりも前記第2回転軸側に設けられて前記レンズの外縁の面取りと当該外縁の側面加工との少なくとも一方を行う第2周面部分とを有することを特徴とする外周加工装置。
【請求項2】
前記第1周面部分は、前記レンズの異形部を加工するため、前記第2回転軸に対して平行に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の外周加工装置。
【請求項3】
前記レンズの異形部は、前記第1回転軸に平行に延びる平坦面であることを特徴とする請求項2に記載の外周加工装置。
【請求項4】
前記第2周面部分は、前記レンズに形成された円周外縁の面取り加工を行うため、前記第2回転軸に対して傾斜して形成されていることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の外周加工装置。
【請求項5】
前記レンズに形成された円周外縁の側面加工を行うため、前記第2回転軸に対して平行に形成されている第3周面部分をさらに有することを特徴とする請求項4に記載の外周加工装置。
【請求項6】
前記第1周面部分は、前記第2回転軸に対して平行な円筒面状に形成され、
前記第3周面部分は、前記第1周面部分よりも段差量だけ前記第2回転軸側に設けられる円筒面状に形成され、
前記ホルダは、前記レンズに形成されるべき円周外縁よりも前記段差量を超えて内側の位置を支持することを特徴とする請求項5に記載の外周加工装置。
【請求項7】
レンズをホルダによって支持して第1回転軸のまわりに所定の回転状態に保持しつつ、砥石部材を前記第1回転軸に平行な第2回転軸のまわりに回転させるとともに前記第2回転軸に平行な方向及び垂直な方向に変位させることにより、レンズの外周加工を行う外周加工方法であって、
前記砥石部材の最外周側に設けられた第1周面部分によって、前記レンズのうち前記第1回転軸に最も近接する外周部を加工し、
前記砥石部材において前記第1周面部分よりも前記第2回転軸側に設けられた第2周面部分によって、前記レンズの外縁の面取りと当該外縁の側面加工との少なくとも一方を行うことを特徴とする外周加工方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−240178(P2012−240178A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−115284(P2011−115284)
【出願日】平成23年5月23日(2011.5.23)
【出願人】(303000408)コニカミノルタアドバンストレイヤー株式会社 (3,255)
【Fターム(参考)】