説明

外壁材の取付構造

【課題】外壁材の取付作業の効率を向上させるとともに、万一破損などが生じた場合に特定の外壁材のみを取り外すことができ、新しい外壁材と交換しても外観に違和感をほとんど生じさせない外壁材の取付構造を提供すること。
【解決手段】外壁下地部1に一定間隔で平行に取り付けられた複数本の外壁材支持部材2の隣り合う2本に、側面部6に形成された嵌合誘い込み部15との接触によって引っ掛け部22が、弾性変形をともなって外壁材3の側面部の凹部9に入り込んで引っ掛かり、また、抜け外れて、外壁材が側面部において外壁材支持部材に嵌合し、嵌合が解除される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外壁材を、外壁材支持部材を用いて取り付ける外壁材の取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
住宅などの建物の外壁の乾式工法として、板状の外壁材を横張りまたは縦張り方式によって外壁下地部に張り付け、施工するものが広く知られている。使用される外壁材には、窯業系、金属系などの多種多様のものがこれまでに提供されてきている。また、外壁材の取付構造について、外壁材を釘やネジなどによって直接外壁下地部に固定する他、釘やネジなどよって外壁材に割れや欠けなどが発生するのを抑制するなどのために、固定金具などの外壁材支持部材を用いた取付構造が知られている。後者の場合、外壁下地部に取り付けられた外壁材支持部材に対して外壁材を取り付けることによって、外壁材が外壁下地に張り付けられる。
【0003】
このような外壁材支持部材を用いた外壁材の取付構造として、特許文献1には、前向きテーパ面を外装材(外壁材に相当)の縁部に形成し、前向きテーパ面の間に間隔をあけて複数枚の外装材を下地材の表面に配設し、両側面にテーパ面をもつくさび状取付具を隙間に配置し、くさび状取付具のテーパ面で外装材の前向きテーパ面を押圧して外装材を下地材の表面に固定する外装材の取付構造が記載されている。
【特許文献1】実開平6−56295号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1には、上記外装材の取付構造によって、外装材の施工が容易となり、外観の見栄えが良好となると記載されている。
【0005】
しかしながら、実際には、外装材の縁部に形成された前向きテーパ面は、外装材の表面から裏面に向かって断面略ハの字型に延びる末広がりのテーパ面である。したがって、くさび状取付具の取り付けのために使用される取付レールを、その傾斜側面を前向きテーパ面における外装材の裏面側の端部に当接させて下地材の表面に固定する場合、外装材の配置は、取付レールの固定と交互に行わなければならなくなる。
【0006】
このため、取付レールを外装材の幅寸法に合わせて一定間隔で下地材にあらかじめ取り付けた後、外装材を張り付けていくことはできない。外装材の取付作業の効率がさほど高くないことが指摘される。
【0007】
加えて、万一何らかの原因によって外壁のある位置の外装材に破損などが生じた場合、破損などした外装材のみを取り外すことが実質的にできない。施工した外装材の全てを一旦取り外さないと、破損などした外装材を取り除くことができず、また、交換する新しい外装材を取り付けることもできない。部分的に外装材を取り外すと、交換する新しい外装材に対して裏面を切り欠くなどの処置をするとともに、外装材の表面側からネジなどをねじ込んで下地材に固定する必要があり、既設の外装材と外観が異なり、違和感が生じてしまう。
【0008】
本発明は、以上の通りの事情に鑑みてなされたものであり、外壁材の取付作業の効率を向上させるとともに、万一破損などが生じた場合に特定の外壁材のみを取り外すことができ、新しい外壁材と交換しても外観に違和感をほとんど生じさせない外壁材の取付構造を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記の課題を解決するために、以下の特徴を有している。
【0010】
第1の発明は、外壁下地部に一定間隔で平行に取り付けられた複数本の外壁材支持部材の隣り合う2本に側面部を嵌合させて板状の外壁材が取り付けられ、嵌合を解除することにより外壁の任意の位置で外壁材の取り外しが可能とされている外壁材の取付構造であって、外壁材は、その幅方向の内側にくぼむ凹部を側面部に有し、凹部において外壁材の裏面側に位置する側壁部の外側端から外壁材の裏面部までの側面部の一部が、外壁材の幅方向の内側に向かって傾斜し、嵌合誘い込み部を形成し、外壁材支持部材は、対向して配置された一対の側壁部と、両側壁部の一端部を連結した底壁部とを有し、底壁部の対向側が開放され、両側壁部の開放端部に、外壁材支持部材の幅方向の外側に向かって折り曲げられた引っ掛け部が配設され、外壁材支持部材は弾性を有し、外壁材の嵌合誘い込み部との接触によって外壁材支持部材の引っ掛け部が、弾性変形をともなって外壁材の側面部の凹部に入り込んで引っ掛かり、また、抜け外れて、外壁材が側面部において外壁材支持部材に嵌合し、嵌合が解除されることを特徴としている。
【0011】
第2の発明は、上記第1の発明の特徴において、外壁材支持部材の側壁部に係止溝が形成され、係止溝に係脱自在な突部が配設された弾性を有する補強部材が、外壁材支持部材の一対の側壁部間に弾性変形をともなって挿入され、突部が係止溝に係止されることにより補強部材が外壁材支持部材に嵌着し、嵌着状態において補強部材は、外壁材支持部材の側壁部を外壁材支持部材の幅方向の外側に押圧し、外壁材の側面部における外壁材支持部材への嵌合が補強され、補強部材は、外壁材支持部材からの取り外しが可能とされていることを特徴としている。
【0012】
第3の発明は、上記第2の発明の特徴において、補強部材が目地形成用の化粧材を兼ねていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0013】
上記第1の発明によれば、外壁材の幅寸法に合わせて複数本を一定の間隔あけて外壁下地部にあらかじめ取り付けられた外壁材支持部材の隣り合う2本に、側面部を嵌合させて板状の外壁材を取り付けることができ、また、嵌合を解除することによって外壁の任意の位置で外壁材を取り外すことができる。したがって、外壁材の取付作業の効率が向上し、万一破損などが生じた場合に特定の外壁材のみを取り外すことができる。そして、新しい外壁材と交換しても外観に違和感がほとんど生じない。
【0014】
上記第2の発明によれば、上記第1の発明の効果に加え、補強部材が外壁材支持部材に嵌着した状態において、補強部材は、外壁材支持部材が有する対向して配置された一対の側壁部を外側に向かって押圧するので、外壁材の側面部における外壁材支持部材への嵌合が補強される。外壁材の取付強度が高まり、風圧などを受けて外壁材が脱落する危険が低減する。また、補強部材は、外壁材支持部材からの取り外しが可能とされているので、外壁材の取り外しの際に補強部材はその支障とならない。
【0015】
上記第3の発明によれば、上記第2の発明の効果に加え、補強部材が目地形成用の化粧材を兼ねているので、外壁材支持部材の取り付けに使用されるネジなどの頭部の露出を防止することができる。外壁の目地部の仕上げを外壁材の嵌合の補強と同時に行うことができ、作業性に優れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
図1、図2は、それぞれ、本発明の外壁材の取付構造の一実施形態を示した分解斜視図、要部断面図である。
【0017】
図1および図2に示した外壁材の取付構造では、外壁下地部1に一定間隔で取り付けられた外壁材支持部材2に対して外壁材3が取り付けられ、外壁材3が外壁下地部1に張り付けられる。
【0018】
すなわち、左右両端部が表面内側に折り返された折り返し部4aを有する板状の水切り材4が、外壁下地部1の防水シートなどの表面にネジによって縦方向に取り付けられている。水切り材4の取付位置は、外壁材支持部材2の取付位置に一致し、板状の外壁材3の横幅寸法に合わせて割り付けられている。つまり、水切り材4は、その複数枚が、外壁下地部1の表面に一定間隔で平行に取り付けられている。外壁材支持部材2は、水切り材4に正面側から重ね合わせてネジ5によって外壁下地部1に取り付けられている。外壁材支持部材2は、その複数本が、外壁下地部1の縦方向に一定間隔で取り付けられ、互いに平行に配置されている。外壁材支持部材2の間隔は、外壁材3の横幅寸法に対応したものとなっている。ネジ5は、水切り材4のネジによる取付位置と異なる位置で外壁下地部1にねじ込まれている。外壁材3は、外壁材支持部材2の隣り合う2本に側面部6を嵌合させて取り付けられ、外壁下地部1に縦張りされている。
【0019】
図3は、図1および図2に示した外壁材の拡大斜視図である。図4は、図3に示した外壁材の断面図および要部拡大断面図である。
【0020】
外壁材3は、平面視略長方形状で、長尺な板材である。表面部7と裏面部8は互いに略平行に配置されている。また、外壁材3は、長辺側の両側面部6に、外壁材3の横幅方向の内側にくぼむ凹部9を有している。凹部9は、側壁部10、11と内底部12とから形成され、断面略U字状またはコ字状の形状を有している。側壁部10は、外壁材3の表面部7または裏面部8に略平行に配置され、外壁材3の表面側に位置している。側壁部11は、側壁部10に略平行に配置され、外壁材3の裏面側に位置している。内底部12は、両側壁部10、11の内側端部を連結している。凹部9の内底部12側にはゴムなどの弾性を有する材料から形成された水密材13が埋設されている。
【0021】
また、外壁材3では、側面部6において、凹部9の側壁部11の外側端から裏面部8までの部分14が、外壁材3の横幅方向の内側に向かってなだらかに傾斜している。このなだらかに傾斜する部分14は、嵌合誘い込み部15を形成している。一方、外壁材3では、側面部6において、凹部9の側壁部10の外側端から表面部7までの部分16は、表面側から裏面側に向かって末広がり状に傾斜している。このように末広がり状に傾斜する部分16により、外壁下地部1に張り付けられたときに隣り合う2枚の外壁材3同士で形成する目地の幅を拡大させ、見かけ上の目地の深さを深くし、立体感のある外観の形成を可能としている。
【0022】
このような外壁材3は、表面部7、両側面部6および裏面部8における側面部6側の両側端部までが一つの表面材17から形成されている。表面材17は、ステンレススチール、アルミニウムなどの金属材料または樹脂材料から形成することができる。表面材17の折曲加工、押出成形などによって、表面部7、両側面部6および裏面部8における側面部6側の両側端部までが一体に形成されている。表面材17には、外壁下地部1に張り付けたときに露出する、側面部6において末広がりに傾斜する部分16までの表面を意匠面とし、凹凸上の模様付けがなされる。模様付けは、表面材17が金属材料から形成される場合には、エンボス加工、プレス加工、ロールフォーミングなどによって行うことができ、樹脂材料から形成される場合は、エンボス加工、プレス加工、押出成形、ブロー成形などによって行うことができる。また、模様付けは、表面材17の折曲加工、押出成形などと同時にまたは折曲加工、押出成形などの後に行うことができる。
【0023】
外壁材3の裏面部8における側面部6側の両側端部間には、表面材17に裏面材18が接着、ネジ止めなどによって取り付けられ、被覆して裏面部8を形成している。裏面材18には、アルミニウム、ステンレススチールなどの金属シート、アルミニウムが表面に蒸着された蒸着紙、紙、樹脂フィルムなどの薄いシート状のものが用いられる。そして、表面材17と裏面材18によって囲まれた中空の領域、すなわち、外壁材3の内部には充填材19が配設されている。充填材19には、発泡樹脂、ウレタン樹脂などの各種のものを用いることができ、外壁材3の軽量化、断熱性の付与などが図られている。
【0024】
このように、外壁材3は、金属系外壁材または樹脂系外壁材として提供されるものである。
【0025】
なお、本発明は、金属系外壁材または樹脂系外壁材に特に限定されるものでなく、側面部に凹部を有し、かつ側面部に嵌合誘い込み部が形成可能である限り、窯業系外壁材の適用も許容している。また、金属系外壁材または樹脂系外壁材の場合、表面材、裏面材および充填材という構成に限定されない。同じく、側面部に凹部を有し、かつ側面部に嵌合誘い込み部が形成可能である限り、外壁材の細部の構成には適宜なものを採用することができる。
【0026】
図5<a><b>は、それぞれ、図1および図2に示した外壁材支持部材の拡大斜視図、A−A断面図である。
【0027】
外壁材支持部材2は、断面略ハット型形状の長尺材である。外壁材支持部材2は、対向して配置された一対の側壁部20と、両側壁部20の一端部を連結した底壁部21とを有している。底壁部21の対向側の両側壁部20の他端部は開放されている。そして、外壁材支持部材2では、両側壁部20の開放端部に引っ掛け部22が配設されている。引っ掛け部22は、側壁部20の開放端部が外壁材支持部材2の横幅方向の外側に向かって折り曲げられて形成されている。このような外壁材支持部材2は、金属材料または樹脂材料の折曲加工、押出成形などによって一体に形成され、形成材料、形状などに基づき、弾性を本来的に有している。
【0028】
すなわち、両側壁部20は、内外方向への弾性変形が可能であり、初期状態への復帰も可能である。また、引っ掛け部22は、表裏方向の弾性変形が可能であり、初期状態への復帰も可能である。
【0029】
外壁材支持部材2の外壁下地部1への取り付けに際しては、図2に示したように、底壁部21を水切り材4の上に重ね合わせ、開放端部側からネジ5が両側壁部20の間に挿入され、底壁部21においてネジ止めされる。
【0030】
なお、外壁材支持部材2が金属材料から形成される場合、引っ掛け部22の外側端縁との接触によって外壁材3の表面に形成された塗膜などの化粧面が損傷などすることのないように、引っ掛け部22の外側端部を裏側に折り曲げ、折り返して折り返し部23を形成することが好ましい。折り返し部23は、カール状に折り曲がるカール部などに替えても同様に機能する。
【0031】
図2に示した外壁材の取付構造では、以上のような外壁材支持部材2の隣り合う2本に側面部6を嵌合させて外壁材3が取り付けられている。
【0032】
外壁材3の裏面部8の両側端部を外壁材支持部材2の引っ掛け部22の正面側から接触させ、裏面方向に押圧する。このときの押圧にともなって、外壁材3の側面部6における嵌合誘い込み部15が引っ掛け部22に接触し、嵌合誘い込み部15は引っ掛け部22を裏面側に押し付ける。引っ掛け部22は、弾性変形して側壁部20側に折り曲がり、その後、嵌合誘い込み部15に誘い込まれるようにして凹部9に入り込む。すると、嵌合誘い込み部15との接触が解除され、引っ掛け部22は、その弾性により初期状態に復帰し、凹部9の側壁部11に引っ掛かる。このとき、外壁材3は、側面部6において外壁材支持部材2に嵌合する。
【0033】
なお、外壁材支持部材2の割り付けの際に誤差などによって、隣り合う2本の外壁材支持部材2の間隔がばらつくときには、外壁材支持部材2の側壁部20が、上記のとおり、内側に弾性変形し、そのばらつきを吸収する。
【0034】
このようにして、外壁材3は、順次取り付けられ、外壁下地部1に縦張りされる。隣り合う外壁材3との間には、外壁材支持部材2において目地が形成される。目地には、外壁材支持部材2を外壁下地部1に取り付けるためのネジ5の頭部が存在するので、外壁材支持部材2の開放端部から目隠し用の化粧材24を嵌め込み、外観の改善を図ることができる。この場合の化粧材24は、金属材料または樹脂材料などから形成された弾性を有するものとすることが好ましい。もちろん、化粧材24は、コーキングなどによって代用することも可能である。また、化粧材24の配設は、目地における耐水性の向上にも寄与する。雨水などの浸入を抑制することができる。なお、外壁材3には、凹部9の内底部12側に水密材13が埋設されているので、万一化粧材24の側面と外壁材3の側面部6との隙間から雨水などが浸入することがあっても、水密材13によって外壁下地部1への浸入は確実に抑制される。
【0035】
外壁材3は、また、正面側に引っ張ることによって取り外すことができる。凹部9における側壁部11が外壁材支持部材2の引っ掛け部22を正面側に引っ張り上げ、引っ掛け部22が弾性変形する。そして、引っ掛け部22は、接触する嵌合誘い込み部15にともなわれて凹部9から抜け外れる。このとき、外壁材3は、側面部6における嵌合が解除され、外壁材支持部材2から取り外すことができる。外壁の任意の位置で外壁材3を取り外すことができ、しかも特定の外壁材3のみを取り外すことができる。
【0036】
上記のとおり、図1および図2に示した外壁材の取付構造では、外壁材3の幅寸法に合わせて複数本を一定の間隔あけて外壁下地部1にあらかじめ取り付けられた外壁材支持部材2の隣り合う2本に、側面部6を嵌合させて外壁材3を取り付けることができ、また、嵌合を解除することによって外壁の任意の位置で外壁材3を取り外すことができる。したがって、外壁材3の取付作業の効率が向上し、万一破損などが生じた場合に特定の外壁材3のみを取り外すことができる。そして、新しい外壁材3と交換しても、交換前と同様にして新しい外壁材3を取り付けることができるので、外観に違和感はほとんど生じない。
【0037】
なお、本発明は、図1および図2に示した縦張り方式の外壁材の取り付けに限定されない。横張り方式の外壁材の取り付けにも同様に適用可能である。また、外壁材支持部材は、外壁下地部に取り付けられる、図2に示した水切り材4などの水切りと連結し、また、一体に形成したものとすることも可能である。水切りとの一体化は施工性をより向上させる。
【0038】
図6<a><b>は、それぞれ、図1および図2に示した外壁材の取付構造に適用可能な別の外壁材支持部材を示した要部斜視図、補強部材とともに示した断面図である。図6<a><b>において図5に示した外壁材支持部材2と共通する部位には同一の符号を付し、以下ではその説明を省略する。
【0039】
図6<a><b>に示した外壁材支持部材25は、側壁部20において対向する内側の部分に1本の係止溝26が形成されている。係止溝26は、側壁部20が外側に折れ曲がり、突出することによって形成されている。このような係止溝26を有する外壁材支持部材25には、補強部材27の取り付けが可能とされている。
【0040】
補強部材27は、外壁材支持部材25の係止溝26に係脱自在な突部28が配設された弾性を有する部材である。具体的には、補強部材27は、平板状の目隠し部29と、目隠し部29の左右両端部において目隠し部29の裏面側に、末広がり状に折り曲げられた側壁部30とを有している。補強部材27では、側壁部30における目隠し部29から遠い側の部分が、目隠し部29の横幅方向の内側に折り曲げられ、突部28を形成している。このような補強部材27は、金属材料または樹脂材料から折曲加工、押出成形などによって一体に形成することができ、形成材料、形状などに基づき弾性を本来的に有している。
【0041】
補強部材27は、外壁材支持部材25の開放端部から一対の側壁部20間に挿入されると、側壁部30が目隠し部29の横幅方向の内側に弾性変形し、外壁材支持部材25の内部に入り込む。やがて突部28が係止溝26に達し、係止されると、補強部材27は外壁材支持部材25に嵌着される。嵌着状態において、補強部材27は、外壁材支持部材25の側壁部20を外壁材支持部材25の横幅方向の外側に押圧する。この押圧によって、外壁材3の側面部6における外壁材支持部材25への嵌合が補強される。外壁材3の取付強度が高まり、風圧などを受けて外壁材3が脱落する危険が低減する。
【0042】
補強部材27は、弾性を有しているので、嵌着状態において側壁部30を押圧により内側に変形させることができる。この変形によって係止溝26による突部28の係止が解除され、補強部材27は、外壁材支持部材25からの取り外しが可能となる。このように、補強部材27は、外壁材支持部材25からの取り外しが可能とされているので、外壁材3の取り外しの際に補強部材27はその支障とならない。
【0043】
また、嵌着状態において、補強部材27の目隠し部29は、外壁材支持部材25を底壁部21において外壁下地部1にネジ止めするネジ5の頭部を隠蔽することができるので、隣り合う2枚の外壁材3同士の間における目地形成用の化粧材31を兼ねることができる。目隠し部29および両側壁部30における目隠し部29側の側端部までの表面には各種の意匠を施すことできる。補強部材27は、目地形成用の化粧材31を兼ねることによって、外壁材支持部材25の取り付けに使用されるネジ5の頭部の露出を防止することができる。また、外壁の目地部の仕上げを外壁材3の嵌合の補強と同時に行うことができ、作業性に優れる。
【0044】
なお、外壁材支持部材25の側壁部20に配設することのできる係止溝26の本数は2本以上とすることもできる。また、鋸状、波状などの形状とすることができる。この場合、補強部材27に配設される突部28は、各側壁部30において1つとして嵌着深さの調整を可能としたり、係止溝26の形状に対応させて複数個として嵌着強度を高めたりなどすることができる。
【0045】
図7<a><b>は、それぞれ、図1および図2に示した外壁材の取付構造に適用可能な別の外壁材支持部材を示した要部斜視図、補強部材とともに示した断面図である。図7<a><b>において図6<a><b>に示した外壁材支持部材25と共通する部位には同一の符号を付し、以下ではその説明を省略する。
【0046】
図7<a><b>に示した外壁材支持部材32は、主に樹脂材料から形成されるものである。したがって、引っ掛け部22には折り返し部23が形成されていない。
【0047】
外壁材支持部材32では、補強部材33の嵌着強度を高めるなどのために、両側壁部20の内側に鋸状に係止溝34が複数本互いに平行に形成されている。補強部材33は、ゴムなどの弾性を有する材料から略直方体状に形成されている。そして、側壁部35の外側には係止溝34に対応して複数の突部36が並設されている。
【0048】
このような外壁材支持部材32および補強部材33によっても、図6<a><b>に示した外壁材支持部材25および補強部材27と同様の効果を奏することができる。したがって、補強部材33は、目地形成用の化粧材37を兼ねることもできる。
【0049】
本発明において、外壁材支持部材の側壁部に形成される係止溝および係止溝に係脱自在な突部が配設された弾性を有する補強部材については、外壁材の側面部における外壁材支持部材への嵌合が補強され、補強部材が目地形成用の化粧材を兼ねることができる限り、構造および形状などは所望とされる性能などに応じて適宜設計することができる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の外壁材の取付構造の一実施形態を示した分解斜視図である。
【図2】本発明の外壁材の取付構造の一実施形態を示した要部断面図である。
【図3】図1および図2に示した外壁材の拡大斜視図である。
【図4】図3に示した外壁材の断面図および要部拡大断面図である。
【図5】<a><b>は、それぞれ、図1および図2に示した外壁材支持部材の拡大斜視図、A−A断面図である。
【図6】<a><b>は、それぞれ、図1および図2に示した外壁材の取付構造に適用可能な別の外壁材支持部材を示した要部斜視図、補強部材とともに示した断面図である。
【図7】<a><b>は、それぞれ、図1および図2に示した外壁材の取付構造に適用可能な別の外壁材支持部材を示した要部斜視図、補強部材とともに示した断面図である。
【符号の説明】
【0051】
1 外壁下地部
2、25、32 外壁材支持部材
3 外壁材
6 側面部
8 裏面部
9 凹部
11 側壁部
15 嵌合誘い込み部
20 側壁部
21 底壁部
22 引っ掛け部
26、34 係止溝
28、36 突部
27、33 補強部材
31、37 化粧材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外壁下地部に一定間隔で平行に取り付けられた複数本の外壁材支持部材の隣り合う2本に側面部を嵌合させて板状の外壁材が取り付けられ、嵌合を解除することにより外壁の任意の位置で外壁材の取り外しが可能とされている外壁材の取付構造であって、
外壁材は、その幅方向の内側にくぼむ凹部を側面部に有し、凹部において外壁材の裏面側に位置する側壁部の外側端から外壁材の裏面部までの側面部の一部が、外壁材の幅方向の内側に向かって傾斜し、嵌合誘い込み部を形成し、
外壁材支持部材は、対向して配置された一対の側壁部と、両側壁部の一端部を連結した底壁部とを有し、底壁部の対向側が開放され、両側壁部の開放端部に、外壁材支持部材の幅方向の外側に向かって折り曲げられた引っ掛け部が配設され、外壁材支持部材は弾性を有し、
外壁材の嵌合誘い込み部との接触によって外壁材支持部材の引っ掛け部が、弾性変形をともなって外壁材の側面部の凹部に入り込んで引っ掛かり、また、抜け外れて、外壁材が側面部において外壁材支持部材に嵌合し、嵌合が解除される
ことを特徴とする外壁材の取付構造。
【請求項2】
外壁材支持部材の側壁部に係止溝が形成され、
係止溝に係脱自在な突部が配設された弾性を有する補強部材が、外壁材支持部材の一対の側壁部間に弾性変形をともなって挿入され、突部が係止溝に係止されることにより補強部材が外壁材支持部材に嵌着し、嵌着状態において補強部材は、外壁材支持部材の側壁部を外壁材支持部材の幅方向の外側に押圧し、外壁材の側面部における外壁材支持部材への嵌合が補強され、補強部材は、外壁材支持部材からの取り外しが可能とされていることを特徴とする請求項1に記載の外壁材の取付構造。
【請求項3】
補強部材が目地形成用の化粧材を兼ねていることを特徴とする請求項2に記載の外壁材の取付構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−77659(P2010−77659A)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−246498(P2008−246498)
【出願日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】