説明

外壁構造

【課題】目地隙間の間隔をできるだけ狭く形成することを可能としながら、タイル材の出隅部の間隔を拡げて、外観品質を向上させることが可能な外壁構造を提供すること。
【解決手段】外壁パネル1,1が並設されて建物の外壁WOが形成され、外壁パネル1の屋外側面にタイル材19が貼り付けられた外壁構造であって、タイル材19に、外壁パネル1の屋外側面を覆うタイル材19の一般部の端縁部に連続して建物内側に延在された出隅部19aを設け、外壁パネル1の間の目地隙間Sにおいて、屋外側位置に、目地隙間Sよりも幅広の外壁凹部20を設け、この外壁凹部20に、タイル材19の出隅部19aを対向状態で挿入し、この出隅部19a,19aの間に、外壁表面から凹んで形成され、かつ、目地隙間Sに連続する目地凹部2を形成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、住宅建物などに適用される外壁の構造に関し、特に、外壁パネル間における目地部分の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、住宅建物などにおいて、外壁パネルを並べて形成された外壁において、その表面をタイル材で覆い、かつ、外壁パネルの目地隙間をシール材でシールしたものが知られている。
さらに、このような外壁構造において、外壁パネルの角部を、タイル部材で覆ったものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この従来構造では、目地隙間にタイル材の端部にL字状に形成した出隅部が挿入され、さらに、その奥の位置で、目地隙間がシール材によりシールされている。
【特許文献1】特開平5−133074号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述の従来技術では、目地隙間にタイル材の出隅部を挿入させているため、目地隙間の間隔が広がり、この部分でシール性を確保するのが難しくなる。
そこで、シール性を確保するには、目地隙間をできるだけ狭く形成した方が好ましく、この場合、対向する出隅部の間隔は狭く形成される。
そして、このように出隅部の間隔が狭くなると、隣り合う外壁パネル表面のタイル材の室内外方向の位置が異なって配置されている場合に、目地隙間を挟んで段差が生じ、外観品質を悪化させるという問題が生じる。また、このような段差が生じないように、各タイル材の室内外方向の位置を正確に取り付けるようにすると、製造効率が悪化する。
【0005】
本発明は、上述の従来の問題に着目してなされたもので、目地隙間の間隔をできるだけ狭く形成することを可能としながら、タイル材の出隅部の間隔を拡げて、外観品質を向上させることが可能な外壁構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述事情に鑑みなされたものであって、請求項1に記載の発明は、外壁パネルが並設されて建物の外壁が形成され、前記外壁パネルの屋外側面にタイル材が貼り付けられた外壁構造であって、前記タイル材に、前記外壁パネルの屋外側面を覆うタイル材の一般部の端縁部に連続して建物内側に延在された出隅部が設けられ、前記外壁パネル端面間の目地隙間において屋外側位置に、前記目地隙間よりも幅広の外壁凹部が設けられ、この外壁凹部に、前記タイル材の出隅部が対向状態で挿入され、この出隅部の間に、前記外壁表面から凹んで形成され、かつ、前記目地隙間に連続する目地凹部が形成されていることを特徴とする外壁構造とした。
なお、タイル材の一般部とは、外壁パネルと略平行に配置されて外表面が屋外側を向いたタイル材のほぼ全体を占める部分のことを指している。また、出隅部は、タイル材の端縁部から建物内側へ角度を変更する角部からその先端面までの部分を指し、建物の横方向と上下方向との何れか一方あるいは両方の端部に設けてもよい。
また、外壁凹部は、外壁パネル端面間に形成された目地隙間の屋外側の端部を幅広に形成することで外壁パネルの端縁部を屋内側に凹ませた形状に形成されており、外壁パネルの屋外側表面の端縁と目地隙間の端縁との間に連続する面で挟まれている部分を指す。また、目地凹部は、外壁凹部に差し込まれた出隅部の間に形成された部分を指しており、その奥行き部分は、出隅部の間に設けられた部材までとすることもできるし、外壁凹部あるいは目地隙間に設けられた部材までとすることもできる。
【0007】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の外壁構造において、前記目地凹部が、前記目地隙間よりも幅広に形成され、かつ、前記出隅部における目地凹部の奥行き方向の寸法が、前記タイル材の厚さよりも大きく形成されていることを特徴とする外壁構造とした。
【0008】
また、請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の外壁構造において、前記出隅部が、前記外壁パネルにおいて、前記タイル材の下に積層された外装下地材およびその下の通気層部分を覆う奥行き寸法に形成されていることを特徴とする外壁構造とした。
【0009】
また、請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか1項に記載の外壁構造において、前記外壁パネルには、前記外装下地材と通気層を介して構造面材が積層され、前記外壁凹部は、前記外装下地材の端縁位置を前記構造面材の端縁よりも内側に配置させて、前記構造面材の間に形成された目地隙間よりも幅広に形成されていることを特徴とする外壁構造とした。
【0010】
また、請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか1項に記載の外壁構造において、前記目地凹部の幅が、25〜45mmの範囲内の寸法に形成され、かつ、前記目地凹部の奥行きが、30〜80mmの範囲内の寸法に形成されていることを特徴とする外壁構造とした。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に記載の発明は、外壁パネルを並設して建物の外壁を形成したときに、外壁パネル端面間の目地隙間において、屋外側には目地隙間よりも幅広の外壁凹部が形成されている。そして、この外壁凹部に、外壁パネルの表面を形成するタイル材の出隅部が、対向状態で挿入され、これらの出隅部の間に、目地凹部が形成されている。
【0012】
したがって、一定の幅の目地隙間に出隅部を挿入させる場合に比べて、目地隙間の間隔を狭くすることができ、これにより、シール性の点で有利となる。
【0013】
しかも、目地隙間の間隔は狭くしても、出隅部は外壁凹部に配置しているため、出隅部の間隔、すなわち目地凹部の幅を拡げることが可能となる。
これにより、隣り合うタイル材の室内外方向の位置が異なって配置されていても、両者の位置の違いによる段差がわかりにくくなり、タイル材の取り付け精度を高くしなくても、外観品質を向上させることができる。
【0014】
上記効果に加えて請求項2に記載の発明は、出隅部における目地凹部の奥行き方向の寸法をタイル材の厚さよりも大きく形成したため、タイル材の厚さが、あたかも出隅部の奥行き寸法を有しているように見える。したがって、タイル材の本来の厚さの端面を露出させるのに比べて、高級感を出して外観品質を高めることができる。
さらに、目地凹部を目地隙間よりも幅広に形成したため、目地凹部を挟む出隅部を奥まで見やすくでき、上記のタイル材の厚さを厚く見せる効果が、より強調させて、いっそう外観品質を高めることができる。
【0015】
さらに、請求項3に記載の発明は、出隅部が、外装下地材および通気層部分を覆う奥行き寸法に形成されていることで、上記のタイル材の厚さを厚く見せて、高級感を出して外観品質を高める効果を、より強調させることができる。
【0016】
上記効果に加えて請求項4に記載の発明では、外壁パネルの積層成分である外装下地材および通気層の寸法を、その下の構造面材よりも狭く形成し、外壁パネルを並設した際に、この狭く形成した部分が対向して配置されることで、幅方向を外装下地材および通気層を形成する部材に挟まれ、奥行き方向が構造面材に突き当たる外壁凹部が形成される。
したがって、外装下地材の一部を削ったり、外装下地材、通気層、構造面材を削ったりして外壁凹部を形成するのに比べて、加工の手間が少なくて済み、製造性に優れる。
【0017】
上記効果に加えて請求項5に記載の発明では、目地凹部の幅を25〜45mmに形成したため、確実にタイル材の出隅部の奥行きまで見せて、上記のタイル材の厚さを厚く見せて、高級感を出して外観品質を高める効果を確実に得ることができる。
しかも、目地凹部の奥行きを30〜80mmの範囲内の寸法に形成したため、タイル材の厚さが、あたかも出隅部の奥行き寸法を有しているように見せて高級感を出して外観品質を高めることができる効果を確実に得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
この実施の形態の外壁構造は、外壁パネル(1)が並設されて建物の外壁(WO)が形成され、前記外壁パネル(1)の屋外側面にタイル材(19)が貼り付けられた外壁構造であって、前記タイル材(19)に、前記外壁パネル(1)の屋外側面を覆うタイル材(19)の一般部(190)の端縁部に連続して建物内側に延在された出隅部(19a)が設けられ、前記外壁パネル(1)の間の目地隙間(S)において屋外側位置に、前記目地隙間(S)よりも幅広の外壁凹部(20)が設けられ、この外壁凹部(20)に、前記タイル材(19)の出隅部(19a)が対向状態で挿入され、この出隅部(19a)の間に、前記外壁表面から凹んで形成され、かつ、前記目地隙間(S)に連続する目地凹部(2)が形成されていることを特徴とする外壁構造である。
【実施例1】
【0019】
図1〜図5に基づいて本発明の最良の実施の形態の実施例1の外壁構造Aについて説明する。
【0020】
まず、構成について説明する。
実施例1の外壁構造Aは、図示を省略した複数の建物ユニットおよび屋根ユニットを結合して構成された図3に示す住宅建物Hにおいて、外壁WOおよび妻壁RWの図において太線で示す目地部分Mに適用されている。
この目地部分Mは、図示のように、住宅建物Hにおいて、1階と2階との間や、2階と妻壁RWとの間に、水平方向に延在される目地部分M1と、1階と2階のそれぞれで縦方向に延在する目地部分M2とが存在する。
【0021】
実施例1の外壁構造Aは、両者M1,M2に適用されているが、それぞれ同様の構成であるので、以下に、図3のS2−S2線で切った状態を示す図2およびその拡大図である図1に基づいて、縦方向に延在される目地部分M2について説明し、水平方向に延在される目地部分M1についての図示および詳細な説明は省略する。
【0022】
図2に示すように、外壁WOを構成する外壁パネル1は、枠材11、内壁材12、断熱材13、構造面材14、外装下地材15、タイル材19を備えている。
すなわち、各外壁パネル1には、強度を保つ構造材として内部に枠材11が設けられている。そして、この枠材11の内側面と外側面に、それぞれ内壁材12と構造面材14とが釘などにより固定され、この構造面材14と内壁材12との間に形成される空間部16に、断熱材13が充填されている。内壁材12としては、例えば、合板や紙材やシートなどを用いることができる。また、断熱材13としては、例えば、グラスウールや発泡ウレタンフォームなどを用いることができる。また、構造面材14としては、合板などを用いることができる。また、外装下地材15としては、例えばOSB(オリエンテッド・ストランド・ボート)、構造用合板、パーティクルボート、セメントボードなどを用いることができる。なお、本実施例1では、外装下地材15として、防火性を有した素材、例えばセメントボードを用いている。
【0023】
そして、外装下地材15と構造面材14との間には、複数の縦胴縁17が介在されている。縦胴縁17は、外壁パネル1の上下方向のほぼ全長に亘って、縦方向に延在されており、かつ、横方向(矢印SD方向)に間隔を空けて複数設けられており、縦胴縁17の間に、構造面材14と外装下地材15とに挟まれた通気層18が形成されている。
【0024】
外壁パネル1は、外壁WOを構成して住宅建物Hの外周に沿って並べて設けられており、外壁パネル1と外壁パネル1との間には、目地隙間Sが形成されている。
【0025】
目地隙間Sは、外壁パネル1,1の端面間の構造面材14どうしおよび枠材11どうしの間に形成された、10〜30mmほどの幅の隙間であって、実施例1では、20mm程度の幅に形成されている。
【0026】
さらに、本実施例1では、目地隙間Sの屋外側部分(矢印OUTが屋外方向を示している)には、タイル材19の間に室内方向(矢印IN方向)窪んだ目地凹部2が形成されている。
そこで、これら目地隙間Sおよび目地凹部2の部分の構造について、図1に基づいて説明する。
【0027】
構造面材14の端面14aは、枠材11の外周と同位置に配置されて目地隙間Sを形成しているのに対し、その屋外側に積層される通気層18の端縁を形成する最も目地隙間Sに近い位置の縦胴縁17aと、その屋外側に積層される外装下地材15は、目地隙間Sから外壁パネル1の中央方向(矢印CE方向)に離れて配置されている。
【0028】
そして、このように配置された外装下地材15の端面15aの間、および縦胴縁17aの側面17bの間には、室内方向(矢印IN方向)に凹んだ形状で、目地隙間Sよりも幅広の外壁凹部20が形成されている。
なお、本実施例1では、縦胴縁17aの側面17bは、構造面材14の端面14aから20〜30mmほど離れた位置であって、本実施例1では、26mm程度離れた位置に配置されている。
【0029】
目地隙間Sは、外壁凹部20の奥面を形成する構造面材14の端縁部14b,14bの間に開口され、この開口部分には、一次防水用のガスケット3と、二次防水用の水切りシート41,42および水切り板43が設けられ、さらに、その奥には、防火断熱用のグラスウール16bが充填されている(図2参照)。
【0030】
水切りシート41,42および水切り板43は、目地隙間Sを上下方向の全長に亘って二重に塞いでいる。
水切りシート41,42は、薄い樹脂シートにより形成され、詳細な図示は省略するが上下方向では、目地隙間Sの上下方向の全長に亘って延在されており、横方向では、縦胴縁17aの屋外側の面および側面17bから、これに連続する構造面材14の端縁部14bおよび端面14aに沿って接着され、目地隙間S内に配置された端縁部どうしが、溶着などにより一体に結合されている。
また、水切り板43は、薄い樹脂板で形成され、目地隙間Sの上下方向の全長に亘って延在され、かつ、目地隙間Sの開口部分で水切りシート41,42に接着されている。
【0031】
ガスケット3は、防火性および防水性を有した素材、例えばエチレン−プロピレン−ジエンゴム(以下、EPDMと称する)により形成され、化粧板部31と挿入部32とを備えている。
化粧板部31は、目地隙間Sを塞いでシールを行うもので、目地隙間Sを上下方向の全長に亘って塞ぐことのできる長さであり、かつ、目地隙間Sの間隔よりも幅広の板状に形成されている。
挿入部32は、目地隙間Sに挿入されて水切り板43に圧接されるもので、化粧板部31の中央部から裏面側に延在された中央基部32aと、この中央基部32aの両側から突出された複数のシール部32bと、を備えている。
【0032】
外装下地材15の端面15aは、縦胴縁17aの側面17bよりも後述する防火板材5の厚み相当分だけ目地凹部2の方向へ突出した位置に配置されている。
そして、外装下地材15の端部には、防火板材5が設けられている。この防火板材5は、防火性および防水性を有した金属薄板材、例えば、ガルバリウム鋼板で形成され、外装下地材15の端縁部の裏面側に接着などで固定されている。
【0033】
また、この防火板材5は、図示のように、縦胴縁17aの外側面と防火板材5との間に挟まれる被挟持部5aと、この被挟持部5aに連続して断面が略L字状に非防火領域カバー部5bとを備えている。
【0034】
そして、この防火板材5は、図示のように、外装下地材15を外壁パネル1に釘6で固定した際に、非防火領域カバー部5bが、外壁凹部20において、外装下地材15の端面15aと化粧板部31との間に位置する防火性を有していない領域である、縦胴縁17aの側面17bと構造面材14の端縁部14bとを覆って配置され、非防火領域カバー部5bの先端部が化粧板部31と構造面材14の端縁部14bとに挟さまれた状態で固定されている。
【0035】
外装下地材15の外面に、タイル材19が貼り付けられている。このタイル材19は、図5に示すように、表面にレンガ模様の装飾が付与された厚さ5〜30mm程度のタイルであり、このタイル材19において、目地凹部2に面する端部には、出隅部19aが形成されている。なお、本実施例1では、タイル材19は、厚さ18mm程度のものが用いられている。
【0036】
この出隅部19aは、例えば、図4に示すように、外壁パネル1の屋外側の面に装着されるタイル材19の一般部190の端部の先端面と、出隅部19aの先端面とを、それぞれ略45度の角度に形成して両先端面を、接着して形成することができる。
また、この出隅部19aは、その目地凹部2の奥行き方向の寸法Lが、タイル材19の厚み寸法よりも大きく形成され、図1に示すように、外装下地材15に貼り付けた状態では、出隅部19aの先端面19bが、構造面材14の端縁部14bを覆う防火板材5の非防火領域カバー部5bとの間に、僅かな隙間を介在させて対向して配置されている。
【0037】
したがって、目地凹部2は、タイル材19の出隅部19aに挟まれて形成されており、この目地凹部2の幅H1は、前述のように、目地隙間Sの幅H2よりも広く、具体的には25〜45mmの範囲内に形成されており、本実施例1では、30mmほどの幅に形成されている。
一方、目地凹部2の奥行き寸法、すなわち、タイル材19の室外方向を向いた一般部の外面と、目地凹部2の奥面に設けられたガスケット3の化粧板部31の表面との間の寸法は、出隅部19aの寸法Lと略同一寸法であって、具体的には、30〜80mmの範囲内に形成されており、本実施例1では、40mm程の寸法に形成されている。
【0038】
以上説明した実施例1の外壁構造Aにあっては、以下に列挙する効果を奏する。
a)外壁パネル1の間に目地隙間Sよりも幅広の外壁凹部20を形成し、この外壁凹部20に、タイル材19の出隅部19aを挿入し、これらの出隅部19a,19aの間に、目地隙間Sよりも幅広の目地凹部2を形成した。
このため、一定の幅の目地隙間Sに出隅部19aを挿入させる場合に比べて、目地隙間Sの間隔を狭くすることができ、例えば、外壁凹部20の幅の目地隙間をシールするのに比べて、シール性の点で有利となる。
しかも、目地隙間Sの間隔は狭くしても、出隅部19a,19aの間隔を拡げて目地凹部2の幅H1を拡げることが可能となる。これにより、隣り合うタイル材19,19の室内外方向の位置が異なって配置されていても、両者19,19の位置の違いによる段差がわかりにくくなり、タイル材19の取り付け精度を高くしなくても、外観品質を向上させることができる。
【0039】
b)出隅部19aの寸法L(目地凹部2の奥行き寸法)をタイル材19の厚さよりも大きく形成したため、図5に示すように、タイル材19の厚さが、あたかも出隅部19aの寸法Lを有しているように見える。すなわち、外壁WOが、タイル材19の装飾模様であるレンガで形成され、そのレンガの厚みが、出隅部19aの寸法Lを有しているように見える。したがって、タイル材19の本来の厚さの端面を露出させるのに比べて、高級感や重厚感を演出して外観品質を高めることができる。
【0040】
c)目地凹部2が目地隙間Sよりも幅広に形成されていることで、目地凹部2が目地隙間Sよりも幅が狭く形成されているのに比べて、目地凹部2を挟む出隅部19aを奥まで見やすくでき、上記b)のタイル材19の厚さを厚く見せる効果が、より強調させることができ、いっそう外観品質を高めることができる。
【0041】
d)外壁パネル1において、構造面材14よりも屋外側の部分の積層構造部分である縦胴縁17a、外装下地材15の端縁位置を、構造面材14の端面14aの位置よりも中央側に配置して、構造面材14よりも屋外側部分で外壁凹部20を形成した。そして、この外壁凹部20に挿入させた出隅部19aが、外装下地材15および通気層18部分を覆う奥行き方向寸法Lに形成した。このため、出隅部19aが、例えば外装下地材15の厚み分の寸法しか有していないのと比較して、上記b)のタイル材19の厚さを厚く見せて高級感を出して外観品質を高める効果を、より強調させることができる。
【0042】
e)目地隙間Sを水切りシート41,42およびガスケット3でシールしたため、目地凹部2でシールを行うのに比べて、出隅部19aの奥行き方向の全長を屋外に露出させることができ、よって、上記b)の効果を有効に得ることができ、かつ、シール空間の幅が狭いため、高いシール性を得ることができる。
しかも、水切りシート41,42は、出隅部19aの先端面19bよりも屋外側の位置である縦胴縁17aと外装下地材15との間から外壁凹部20に沿ってシールしており、しかも、ガスケット3とで二重シールしているため、高いシール性が得られる。
【0043】
f)外壁凹部20は、構造面材14よりも屋外側に配置された積層構造部分の寸法を、構造面材14よりも狭く形成することにより、外壁パネル1,1を並設してこの部分が対向された際に、外壁凹部20が形成されるようにした。
したがって、外装下地材15の一部を削ったり、外装下地材15、通気層18、構造面材14の一部を削ったりして外壁凹部20を形成するのに比べて、加工の手間が少なくて済み、製造性に優れる。
【0044】
g)目地凹部2の幅H1を30mmほどの寸法に形成し、かつ、目地凹部2の奥行きおよび出隅部19aの奥行き方向の寸法Lを、45mmほどの寸法に形成したため、確実にタイル材19の出隅部19aの奥行きまで見せて、上記b)の効果を確実に得ることができる。
【実施例2】
【0045】
次に、図6に基づいてこの発明の実施の形態の実施例2の外壁構造について説明する。なお、前記実施例1と同一ないし均等な部分については、同一符号を付して説明を省略し、実施例1と相違する部分を中心として説明する。
【0046】
実施例2では、目地凹部202の側面を出隅部19aで形成する点は、実施例1と同様であるが、目地凹部202の奥の構造面材14の端縁部14b,14bの部分(図6では図示を省略しているが、実施例1と同様のものである)をタイル材219で覆っている。
なお、他の構成は、実施例1と同様であるので説明を省略する。
【0047】
この実施例2では、目地凹部202が、同じ素材で囲まれた均一な外観意匠が得られ、より高級感の高い外観を得ることができる。
なお、実施例2では、実施例1と同様の構成に基づいて、上記a)〜g)の効果も奏するが、理由は前述しているので説明を省略する。
【実施例3】
【0048】
次に、図7に基づいてこの発明の実施の形態の実施例3の外壁構造について説明する。なお、前記実施例1と同一ないし均等な部分については、同一符号を付して説明を省略し、実施例1と相違する部分を中心として説明する。
【0049】
実施例3では、目地凹部302の奥面に、金属押出材などの納め材301を設けた例である。
なお、他の構成は、実施例1と同様であるので説明を省略する。
したがって、目地凹部302の奥面に納め材301が設けられていることで、高い外観品質を得ることができる。
さらに、実施例2では、実施例1と同様の構成に基づいて、上記a)〜g)の効果も奏するが、理由は前述しているので説明を省略する。
【0050】
以上、図面を参照して、本発明の実施の形態および実施例1〜3について詳述してきたが、具体的な構成は、これらの構成に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない程度の設計的変更は、本発明に含まれる。
【0051】
例えば、実施例1〜3では、ユニット式の住宅建物Hに適用した例を示したが、在来工法や2×4工法の建物などユニット住宅以外の建物にも適用することができる。
【0052】
また、実施例1〜3では、外壁WOに外壁凹部20を形成するのにあたり、構造面材14よりも外側の通気層18および外装下地材15の端部位置を構造面材14の内側に配置することで形成したが、外装下地材15の位置のみを内側にずらして実施例1で示した外壁凹部20よりも浅い外壁凹部を形成してもよい。あるいは、逆に、構造面材14の一部あるいは全部の端縁を、外装下地材15と同様の位置、すなわち枠材11の端縁よりも内側に配置して、外壁凹部20よりも深い外壁凹部を形成してもよい。また、外壁凹部を深く形成するのにあたり、縦胴縁17,17aの厚さを実施例1よりも厚くして、外装下地材15の位置を屋外側に配置することで、外壁凹部の深さを深く形成してもよい。
【0053】
また、実施例1〜3では、目地凹部2を目地隙間Sよりも幅広に形成した例を示したが、目地隙間Sよりも狭く形成してもよい。このような構造であっても、外壁凹部20を目地隙間Sよりも幅広に形成することで、目地隙間Sに出隅部19aを挿入させた場合に比べて、目地隙間Sの幅を狭くして、ガスケット3などによるシール性能を高めることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の実施の形態の実施例1の外壁構造Aの要部を示す断面図であって、図2の要部を拡大して示している。
【図2】本発明の実施の形態の実施例1の外壁構造Aを示す断面図であって、図3のS2−S2線で切った状態を示している。
【図3】本発明の実施の形態の実施例1の外壁構造Aを適用した住宅建物Hの外観の概略を示す斜視図である。
【図4】本発明の実施の形態の実施例1の外壁構造Aにおけるタイル材19の要部を示す斜視図である。
【図5】本発明の実施の形態の実施例1の外壁構造Aにおける外壁WOの外観を示す斜視図である。
【図6】本発明の実施の形態の実施例2の外壁構造の要部を示す断面図である。
【図7】本発明の実施の形態の実施例3の外壁構造の要部を示す断面図である。
【符号の説明】
【0055】
1 外壁パネル
2 目地凹部
3 ガスケット(シール材)
14 構造面材
15 外装下地材
17a 縦胴縁
18 通気層
19 タイル材
19a 出隅部
19b 先端面
20 外壁凹部
41 水切りシート(シール材)
42 水切りシート(シール材)
190 一般部
202 目地凹部
219 タイル材
301 納め材
302 目地凹部
H 住宅建物
S 目地隙間
WO 外壁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外壁パネルが並設されて建物の外壁が形成され、
前記外壁パネルの屋外側面にタイル材が貼り付けられた外壁構造であって、
前記タイル材に、前記外壁パネルの屋外側面を覆うタイル材の一般部の端縁部に連続して建物内側に延在された出隅部が設けられ、
前記外壁パネル端面間の目地隙間において屋外側位置に、前記目地隙間よりも幅広の外壁凹部が設けられ、
この外壁凹部に、前記タイル材の出隅部が対向状態で挿入され、この出隅部の間に、前記外壁表面から凹んで形成され、かつ、前記目地隙間に連続する目地凹部が形成されていることを特徴とする外壁構造。
【請求項2】
前記目地凹部が、前記目地隙間よりも幅広に形成され、かつ、前記出隅部における目地凹部の奥行き方向の寸法が、前記タイル材の厚さよりも大きく形成されていることを特徴とする請求項1に記載の外壁構造。
【請求項3】
前記出隅部が、前記外壁パネルにおいて、前記タイル材の下に積層された外装下地材およびその下の通気層部分を覆う奥行き寸法に形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の外壁構造。
【請求項4】
前記外壁パネルには、前記外装下地材と通気層を介して構造面材が積層され、
前記外壁凹部は、前記外装下地材の端縁位置を前記構造面材の端縁よりも内側に配置させて、前記構造面材の間に形成された目地隙間よりも幅広に形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の外壁構造。
【請求項5】
前記目地凹部の幅が、25〜45mmの範囲内の寸法に形成され、かつ、前記目地凹部の奥行きが、30〜80mmの範囲内の寸法に形成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の外壁構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−38473(P2008−38473A)
【公開日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−214363(P2006−214363)
【出願日】平成18年8月7日(2006.8.7)
【出願人】(000002174)積水化学工業株式会社 (5,781)
【Fターム(参考)】