説明

外用塗布薬

【課題】 簡単に調合できる安価な外用塗布薬を提供する。
【解決手段】蜜蜂の巣を遠心分離にて蜂蜜と残渣に分け、この残渣を加熱溶解した後に冷却して蝋と濃縮蜜に分離せしめ、この濃縮蜜と柚子成分及び/あるいリンゴ酢との混合液を単独使用、あるいは自然薯成分と適宜の比率で混合した混合物を、水、アルコールまたはオイルに分散或いは混合して外用塗布薬を作る。塗布方法にはタオルなどに含有させたものを使って身体に塗布することが出来る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、従来使われていなかった遠心分離後の蜂の巣残渣を柚子成分およびあるいはリンゴ酢と組み合わせることにより、皮膚の老化防止と保湿を目的とした外用塗布剤に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から蜂蜜は薬理効果が認められ、その薬用効果については紀元前2000年頃の北パレスチナ北部サマリアの石版に最古の処方箋が残されていて、現在でも欧米では胃腸虚弱、口内炎、切り傷などに自然薬として利用されている。蜂蜜は、漢方では肺を潤し咳を止め、腸を潤し便秘に、胃の痛み、口内炎、火傷などに使われている。
【0003】
しかし、処方方法としては、リモナーデ剤などの内服液や他の生薬と組み合わせた滋養強壮剤として使われるのが一般的で、外用としては美肌クリームなどでしか使われていず、しかも蜂蜜の成分比率が低いので皮膚の健康維持や老化防止に対する効果的な方法が見出されていない。蜂蜜を直接肌に塗れば効果は期待できるかも知れないが、成分比率が高いとベトベト感が強く、かと言って成分比率を下げたのでは肌に定着せずに効果が出るまでに時間がかかってしまう。
【0004】
蜂蜜については、特許文献1に記載されているように、グルカンとの組み合わせにて低刺激性外用剤として用いることが出来るが、これは必ずグルカンを使わなくてはならないレシピである。
【0005】
特許文献1の実施例における環状構造を有するグルカンの製造には、市販のワキシーコーンスターチをリン酸ナトリウム緩衝液(PH7程度)に懸濁し、加熱糊化させ、放冷後、枝作り酵素の作用反応終了後、加熱により枝作り酵素を失活させて除去し、脱塩、脱色後、乾燥して粉末の環状グルカンを得るという複雑な工程が必要になる。
【特許文献1】特許出願2002−31831の公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
皮膚への効用が大きいと期待される蜂蜜は、風呂に入れれば効果が期待できるが、風呂の湯と混ぜる場合にはかなり大量に投入しないと効果が期待できず、現実的ではない。
【0007】
一方、使用量を減らす目的で蜂蜜を直接肌に塗布するのでは蜂蜜が肌へのベタツキがあるので実用的ではない。
【0008】
そこで本願発明が解決しようとするのは、経皮薬として効果が期待できる必要最小量程度の蜂蜜(濃縮蜜)を使い、しかも風呂に入れた場合と同様に長時間継続する効果を引き出し、皮膚の健康維持、老化防止を図るという課題である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
蜜蜂の巣を例えば遠心分離などで蜂蜜と残渣に分け、この残渣を加熱溶解した後に冷却して蝋と濃縮蜜に分離せしめ、この濃縮蜜を柚子成分と組み合わせて外用塗布薬として使うことにした。尚、材料となる蜜蜂は、日本蜂又は西洋蜂のいずれでもよいが、日本蜂が好ましい。
【0010】
あるいは、蜜蜂の巣を遠心分離にて蜂蜜と残渣に分け、この残渣を加熱溶解した後に冷却して蝋と濃縮蜜に分離せしめ、この濃縮蜜を柚子成分及び自然薯成分と組み合わせることにより外用塗布薬として使うことにした。濃縮蜜と組み合わせる成分としては、前記柚子の代わりにリンゴ酢との組み合わせ、及び柚子とリンゴ酢の両方を組み合わせ成分として使うことも考えられる。また、前記外用塗布薬を水、アルコールまたはオイルに分散或いは混合して外用塗布薬として使うことにした。
【発明の効果】
【0011】
本発明の外用塗布剤は、蜂蜜に含まれるβカロチンにより、活性酸素を除去し、シワや肌荒れを防止する。具体的には、体力増進や肌の漂白などに効果がある。純粋な植物成分のみを使用し、化学薬品等は使用せず、滋養豊富な高糖濃度で抗菌性の強い材料を最適稀釈率にて生成した人畜無害な外用塗布剤である。
【0012】
また、本発明の外用塗布剤は、蜂蜜に含まれるパントテン酸により、肌の老化を防止する。具体的には、爪、逆剥、老人性カユミ、帯状疱瘡後遺症の痛み、鼻や目のカユミ、水虫のカユミ、活力増進、足湯などで効果がある。
【0013】
本発明の外用塗布剤は、柚子の皮を含有することにより、成分として含まれるオウバクエキスの効果により、保湿性を持ち、さらに、本発明の外用塗布剤は、柚子の皮に含まれるピネリン、リモネンソナロールにより血行促進の効果がある。
【0014】
また、濃縮蜜と組み合わせる添加成分として柚子の代わりにリンゴ酢を選択した場合には、肌のシミやくすみの除去に効果があり、カユミにも効能がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
【実施例1】
【0016】
実施例として、濃縮蜜1、柚子皮2、自然薯粉末3を成分として含む外用塗布剤の例で説明する。
【0017】
まず、濃縮蜜1を35g、柚子皮2の乾燥粉末を1g、自然薯粉末3の150メッシュ品を2gをすり鉢あるいは同等機能を持つ容器内で粉砕混合した後、溶解媒体(300〜500ccのお湯、好ましくは350ccの温湯)に溶かして水溶液を作る。
【0018】
乾いたタオルなどに前記水溶液を含有させ、塗布対象部位に、例えば風呂上り時に水分をふき取った後に全身(身体の頭の上から爪先まで)に前記水溶液を塗布する。また、洗顔すれば漂白効果がある。本剤は服用するものではなく、弱っている皮膚に栄養と抗菌性を付与し、治癒能力を促進し、組織再生を促進する酵素を活性化することにより、栄養・治癒・活力の相乗効果を生むものである。従って、本剤を全身塗布した後は、なるべく拭き取らないで、時間をかけて塗布液の乾きを待ってから着衣することが望ましい。
【0019】
自然薯粉末3については、濃縮蜜1と柚子皮2の成分を保持する目的で使っているものであり、特に自然薯粉末3だけに限定するものではなく、同様の効果があれば他の媒体を用いても良い。
【実施例2】
【0020】
また、別の実施例として、前記濃縮蜜1にリンゴ酢7を添加成分として含む外用塗布剤がある。これは、肌のシミ、くすみを軽減する効果があり、またカユミにも効果がある。
【0021】
製造方法としては、まず濃縮蜜1とリンゴ酢2の混合液4を作り、それを水で稀釈する方法が考えられる。この時、濃縮蜜1は常温では粘度が高いので、温めて粘度が下がった段階で、同程度の温度に温めたリンゴ酢7と混合して混合体4を生成することが考えられる。前記混合体4は濃度が高く、肌などに直接塗布すると作用が強すぎるので、肌などへの塗布前に水(望ましくは化粧水)などで稀釈した稀釈水の水溶液5を塗布することが望ましい。
【0022】
前記稀釈水の水溶液5を生成する混合比としては、濃縮蜜:リンゴ酢:水=0.5〜1.5:1.5〜2.5:1.5〜2.5の割合が好ましいが、この混合比以外でも効用はある。
【実施例3】
【0023】
更に、前記実施例1と実施例2を併用して、前記濃縮蜜1に、柚子皮2及びリンゴ酢7を添加成分として含む外用塗布剤も考えられる。
【0024】
上記、実施例1〜3における成分組み合わせと効能を[表1]
にまとめた。
【0025】
【表1】

【0026】
なお、濃縮蜜1、柚子皮2、及び/あるいはリンゴ酢7は必須であるが、これ以外の成分と混合することに問題はないし、上記の混合比以外でも効果はある。
【産業上の利用可能性】
【0027】
老齢化社会における老人介護分野で、簡単かつ安価な健康管理方法に対する需要が増えることは必須である。本願発明の外用塗布剤を使うことにより、例えば寝たきり老人などの介護で、タオルなどに含ませた本願発明の外用塗布剤を塗り込むだけで、簡単かつ安価に寝たきり老人などの(補助的な)皮膚治療も可能になる。蜂の巣の残渣と柚子皮及び/或いはリンゴ酢を使う本願発明の外用塗布剤は、エコロジー的にもメリットが大きく、寝たきり老人だけでなく万人向けの健康管理補助剤として利用出来る。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の外用塗布剤の製造プロセス例
【図2】本発明の別実施例における製造プロセス例
【符号の説明】
【0029】
1… 濃縮蜜
2… 柚子皮
3… 自然薯粉末
4… 混合体
5… 水溶液
6… タオル
7… リンゴ酢

【特許請求の範囲】
【請求項1】
蜂蜜成分と柚子成分とを含む外用塗布薬であって、前記蜂蜜成分は、蜜蜂の巣を蜂蜜と残渣に分け、この残渣を加熱溶解した後に冷却して蝋と濃縮蜜に分離せしめ、この濃縮蜜を前記蜂蜜成分として用いたことを特徴とする外用塗布薬。
【請求項2】
蜂蜜成分と柚子成分と自然薯成分を含む外用塗布薬であって、前記蜂蜜成分は、蜜蜂の巣を遠心分離にて蜂蜜と残渣に分け、この残渣を加熱溶解した後に冷却して蝋と濃縮蜜に分離せしめ、この濃縮蜜を前記蜂蜜成分として用いたことを特徴とする外用塗布薬。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の外用塗布薬を水、アルコールまたはオイルに分散或いは混合したことを特徴とする外用塗布薬。
【請求項4】
蜂蜜成分とリンゴ酢成分とを含む外用塗布薬であって、前記蜂蜜成分は、蜜蜂の巣を蜂蜜と残渣に分け、この残渣を加熱溶解した後に冷却して蝋と濃縮蜜に分離せしめ、この濃縮蜜を前記蜂蜜成分として用いたことを特徴とする外用塗布薬。
【請求項5】
蜂蜜成分、柚子成分及びリンゴ酢成分とを含む外用塗布薬であって、前記蜂蜜成分は、蜜蜂の巣を蜂蜜と残渣に分け、この残渣を加熱溶解した後に冷却して蝋と濃縮蜜に分離せしめ、この濃縮蜜を前記蜂蜜成分として用いたことを特徴とする外用塗布薬。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2007−22915(P2007−22915A)
【公開日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−124366(P2005−124366)
【出願日】平成17年4月22日(2005.4.22)
【出願人】(000194804)
【出願人】(591189203)
【出願人】(504181915)
【出願人】(504181937)
【Fターム(参考)】