説明

外用消炎鎮痛剤製品

【課題】金属塗布ボールを有するロールオン容器に充填された組成物の塗布時の塗布ムラを解消し、組成物中の薬用成分を効果的に塗布でき、腰の痛み、肩凝り、筋肉痛改善効果を向上させる、外用消炎鎮痛剤製品を提供する。
【解決手段】(A)消炎鎮痛成分、(B)低級アルコール及び(C)メントールを含有し、(B)成分の含有量が30〜70質量%である液体組成物と、この組成物を充填した金属塗布ボールを有するロールオン容器とを備えた外用消炎鎮痛剤製品。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体組成物が、金属塗布ボールを有する容器に充填された、外用消炎鎮痛剤製品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
塗布部位に組成物を塗布する塗布容器としてはスポンジ製のものがある。しかし、スポンジ容器は、塗布時の摩擦による摩損・劣化が生じ、時には破損することがある。また塗布対象部分で使用したときに液だれが生じることが多く、衣類の汚染が問題である。液だれをなくすために、少なく塗布しようとすると、塗布面積が少なくなるため、患部全域に有効成分が行き渡らず、効果が少なくなるという問題がある。また、塗布時の押し圧による効果感は低い。それを解決する手段として、塗布部がロールオン形状のものがある。しかしながら、これは塗付時に塗布ムラが生じるという問題があった。以上のことから、塗布ボールを有するロールオン容器に充填された組成物の塗布時の塗布ムラを解消する技術が望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−186997号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は上記事情に鑑みなされたもので、ロールオン容器に充填された組成物の塗布時の塗布ムラを解消し、組成物中の薬用成分を対象塗布部位に効果的に塗布でき、腰の痛み、肩凝り、筋肉痛改善効果を向上させる、外用消炎鎮痛剤製品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討した結果、(A)消炎鎮痛成分、(B)低級アルコール及び(C)メントールを含有し、(B)成分の含有量が30〜70質量%である液体組成物を、金属塗布ボールを有するロールオン容器に充填し、金属塗布ボールを有するロールオン容器から、対象塗布部位に塗布することにより、凝りが改善すると共に、塗布時の塗布ムラを解消することによって、組成物中の(A)消炎鎮痛成分を効果的に塗布でき、腰の痛み、肩凝り、筋肉痛の改善効果が飛躍的に向上することを知見し、本発明をなすに至ったものである。さらに、充填された組成物が、金属塗布ボール材と特定の接触角及びぬれ性を有することで、上記効果がより高くなることを知見した。
【0006】
従って、本発明は下記外用消炎鎮痛剤製品を提供する。
[1].(A)消炎鎮痛成分、(B)低級アルコール及び(C)メントールを含有し、(B)成分の含有量が30〜70質量%である液体組成物と、この液体組成物を充填した金属塗布ボールを有するロールオン容器とを備えた、外用消炎鎮痛剤製品。
[2].金属塗布ボールがステンレスからなる[1]記載の外用消炎鎮痛剤製品。
[3].液体組成物が、金属塗布ボール材との接触角が30度以下、ぬれ性が2.9秒以下である[1]又は[2]記載の外用消炎鎮痛剤製品。
[4].(A)成分の含有量が、0.5〜10質量%である[1]、[2]又は[3]記載の外用消炎鎮痛剤製品。
[5].(C)成分の含有量が、0.1〜10質量%である[1]〜[4]のいずれかに記載の外用消炎鎮痛剤製品。
[6].金属塗布ボールの大きさが、3〜30mmφである[1]〜[5]のいずれかに記載の外用消炎鎮痛剤製品。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、充填された液体組成物の対象塗布部位への塗布ムラを解消し、腰の痛み、肩凝り、筋肉痛改善効果が飛躍的に向上した、消炎鎮痛成分を含有する組成物が、ロールオン容器に充填された外用消炎鎮痛剤製品を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の外用消炎鎮痛剤製品は、(A)消炎鎮痛成分、(B)低級アルコール及び(C)メントールを含有し、(B)成分の含有量が30〜70質量%である液体組成物と、この液体組成物を充填した金属塗布ボールを有するロールオン容器とを備えたものである。
【0009】
[金属塗布ボールを有するロールオン容器]
塗布ボールを有するロールオン容器とは、回転する塗布ボールを有し、塗布対象部分に塗布ボールを押し付け、転動させることにより、充填された組成物を塗布対象部分に塗るものである。塗布ボールを有するロールオン容器は手を汚さずに塗りやすいという利点を有する一方、塗布ムラを生じやすいという問題があった。ロールオン容器としては、塗布ボールを有することが重要であり、液体を収容する容器本体は特に限定されない。容器としては、例えば、特開2005−186997号公報に記載されたものが挙げられる。
【0010】
塗布ボール部分は金属塗布ボール(金属球)であり、形は特に限定されないが、回転を容易にする点から、真球に近いものが好ましい。また、防錆又は防錆処理を施した金属球が好ましい。プラスチック製だと本発明の液体組成物と組み合わせても、接触角、ぬれ性を上げることが困難であり、塗布ムラを解消することが難しくなり、目的とする凝り改善効果が低い。また、液体組成物によるクラッキング等の劣化が懸念される。また、本発明の液体組成物との組み合わせによる塗布ムラ解消効果、液体組成物の安定性、金属塗布ボールの腐食性の点から、金属塗布ボールの素材はステンレス(鋼)が好ましい。ステンレスとしては、SUS201(JIS規格、以下同様)、202、301、302、303、304、305、316、316L、317、329J1、403、405、420、430、430LX、630、チタン処理、クロム処理等が挙げられる。中でも、SUS304、SUS316、SUS316L、チタン処理金属球が好ましく、SUS304がより好ましい。金属球の数は1個でも複数でもよいが、携帯性の点から1個が好ましい。
【0011】
金属塗布ボールの大きさは塗布対象部分に合わせて適宜選定されるが、例えば、肩凝り改善を目的とする場合には、3〜30mmφが好ましく、5〜25mmφがより好ましく、8〜18mmφがさらに好ましい。金属塗布ボールの直径が小さすぎると、塗付距離に対する液塗布量が少なくなり、凝り改善効果が低くなる傾向があり、一方、大きすぎると塗布距離に対する塗布量は多くなるが、凝り部分を適度に刺激するロール指圧の距離(回数)が減るため、押圧効果があまり得られず、凝り改善効果が低くなる傾向がある。
【0012】
[液体組成物]
本発明の液体組成物は、(A)消炎鎮痛成分、(B)低級アルコール及び(C)メントールを含有し、(B)成分の含有量が30〜70質量%であるものである。
【0013】
(A)消炎鎮痛成分
(A)成分を配合することで、金属塗布ボールを有するロールオン容器に充填された液体組成物(以下、充填された液体組成物と略す場合がある。)を、塗布対象に塗布ムラなく塗ることができ、結果として腰の痛み、肩凝り、筋肉痛改善効果が向上する。
消炎鎮痛成分としては、消炎鎮痛効果を有する薬物であれば制限はないが、サリチル酸メチル、サリチル酸グリコール、インドメタシン、ピロキシカム、フルルビプロフェン、ロキソプロフェン、フェルビナク、ジクロフェナク、ケトプロフェン及びこれらの薬学的に許容される塩が挙げられ、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。これらの中でもフェルビナク、ジクロフェナクナトリウム、ロキソプロフェンナトリウム、インドメタシンが好ましい。
【0014】
(A)成分の含有量は、その薬物で効果が得られる量が様々で一概にはいえないが、組成物中0.5質量%以上とすることで、腰の痛み、肩凝り、筋肉痛改善の効果をより得ることができ、0.5〜10質量%が好ましく、1〜5質量%がより好ましい。10質量%を超えて配合しても、効果がさほど高くならず、組成物の均質性を保つことが困難になるおそれがある。
【0015】
(B)低級アルコール
低級(炭素数1〜4)アルコールとしては、特に限定されることはないが、例えば、エチルアルコール、メチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、2−メチル−1−プロパノール、2−ブタノール、2−メチル−2−プロパノール等が挙げられる。これらの中でも、塗布ムラのなさ、腰の痛み、肩凝り、筋肉痛改善効果、臭い、刺激等の点からエチルアルコール(エタノール)が好ましい。
【0016】
(B)成分の含有量は、組成物中30〜70質量%であり、40〜70質量%がより好ましい。(B)成分の含有量が30質量%未満では、接触角が30度を超え、塗りムラが生じる。また、(A)消炎鎮痛成分の溶解性が悪くなり、液体組成物の均質性を保てなくなるおそれがある。一方、70質量%を超えると、人によっては皮膚刺激性が出てくる可能性がある。
【0017】
(C)メントール
メントールとしては、l−メントール、dl−メントール等の公知のものを用いることができ、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。(A)〜(C)成分を併用して配合することで、液体組成物を、塗布対象に塗布ムラなく塗布でき、腰の痛み、肩凝り、筋肉痛改善効果が向上する。
【0018】
(C)成分の含有量は、組成物中0.1〜10質量%が好ましく、0.5〜8質量%がより好ましく、3〜8質量%がさらに好ましい。このような範囲とすることで、塗布ムラのなさ、腰の痛み、肩凝り、筋肉痛改善効果をより得ることができる。なお、10質量%を超えると、液体組成物の均質性を保てなくなるおそれがある。
【0019】
本発明の構成とすることで、本発明の充填された液体組成物は対象に塗布ムラなく塗布することができ、凝り改善効果が向上する。また、液体組成物が、金属塗布ボール材(金属塗布ボールの材料をいう、本発明の接触角及びぬれ性の測定では金属塗布ボールと同じ素材の板を用いる)との接触角が30度以下、ぬれ性が2.9秒以下であることが好ましい。このような範囲とすることで、塗布ムラをより抑制することができる。なお、下限は特に限定されないが、接触角10度、ぬれ性0秒(接触時にすでに15度未満)を選択できる。
【0020】
本発明の充填された液体組成物を、対象に塗布ムラなく塗布することができる指標として、金属塗布ボール材との接触角及びぬれ性を選定すること、そして接触角30度以下、ぬれ性2.9秒以下を選択することで、目的が達せられることは本発明者の新知見である。なお、本発明の構成(A)消炎鎮痛成分、(B)低級アルコール及び(C)メントールを含有し、(B)成分の含有量が30〜70質量%である液体組成物とすることで、金属塗布ボール材との接触角及びぬれ性を上記範囲にすることができる。
【0021】
接触角は、液体組成物と金属塗布ボールとのなじみやすさの指標である。接触角が30度を超えると、液膜が厚くなり、液がボタボタとムラを生じて出やすくなるおそれがある。ぬれ性は、液体組成物の塗布ボール表面への広がりやすさの指標であり、2.9秒以下とすることで、表面に速く広がることによって、3〜30mmφ程度の塗布ボールへ液体組成物がスムースに連続的に供給され、その結果、液体組成物は連続的に転写可能となる。上記接触角及びぬれ性は、金属塗布ボールと同じ材料の金属板で確認するものであるが、上記接触角及びぬれ性の範囲とすることで、3〜30mmφ程度の金属塗布ボールを有する容器で塗布した場合、液体組成物の対象塗布部位への塗布ムラが解消されることを知見した。
【0022】
接触角は以下の測定方法による。
接触角は、常法に従い接触角測定装置により測定する。CCDカメラにて取りこまれた液滴画像から、自動的に固体間/気液間の境界を決定し、カーブフィッティングを行い、接触角を測定する。液体組成物を金属塗布ボールと同じ素材の金属板に、高さ約4mmから滴下液量6μLを、6μL/sの流量で滴下した際の、金属板に接触直後の液体組成物の左右の接触角度を計測する。計測した結果から、左右の平均接触角を10度刻みで記録し、それを製剤の接触角と規定する。例えば、10度としたものは4.5〜14.4度である。
【0023】
ぬれ性は以下の測定方法による。
接触角が計測され始めてから、左右の平均接触角15度未満になるまでの時間(秒)をぬれ性とした。
【0024】
本発明の液体組成物は、液体組成物全体が溶液、懸濁液、乳濁液として均質なものとすることが好ましい。このようにすることで、腰の痛み、肩凝り、筋肉痛の改善効果を、使用当初から使い切るまで、塗布ムラのなさを確保し、均一に効果を保つことができる。本発明において、「均質」とは、成分や密度、品質等にムラがなく一様であることをいう。
【0025】
本発明の液体組成物には、腰の痛み、肩凝り、消炎鎮痛剤組成物に通常使用される、(A)成分以外の薬物及び添加物を、本発明の効果を損なわない範囲で1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて配合することができる。アルニカチンキ等の血流促進成分、消炎鎮痛成分、低級アルコール、メントール以外の成分が多いと、均質な液体組成物の調製が難しくなるだけでなく、金属塗布ボール材への接触角やぬれ性が低下する。
【0026】
清涼化剤としては、精油、例えば、カンフル、dl−カンフル、ハッカ油、スペアミント油、ペパーミント油が挙げられる。
【0027】
界面活性剤としては、例えば、化粧品、医薬品、医薬部外品等一般外用剤に使用される界面活性剤であれば特に制限はない。親油性非イオン界面活性剤としては、例えば、グリセリン脂肪酸エステル、アルキルグリセリルエーテル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン共重合体、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンソルビットミツロウ、及び、蔗糖脂肪酸エステル等が挙げられる。親水性の非イオン界面活性剤としては、化粧品や医薬品、医薬部外品等、一般外用剤に使用される親水性非イオン界面活性剤であれば特に制限はないが、例えば、自己乳化型グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンラノリン、ポリオキシエチレンラノリンアルコール、ポリオキシエチレンフィトステロール、ポリオキシエチレンフィトスタノール、ポリオキシエチレンコレスタノールエーテル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン共重合体、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、及び、ショ糖脂肪酸エステル(ショ糖ステアリン酸エステル、ショ糖パルミチン酸エステル、ショ糖ミリスチン酸エステル、ショ酸オレイン酸エステル、ショ糖ラウリン酸エステル)等が挙げられる。これらを組み合わせて使用することもできる。上述の非イオン界面活性剤等以外に、ラウリン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム等の脂肪酸セッケン類、ラウリル硫酸ナトリウム、POEラウリル硫酸ナトリウム等の硫酸エステル類、ラウロイルサルコシンナトリウム、ココイル−N−メチルタウリンナトリウム、ラウリルグルタミン酸ナトリウム等のアシル化アミノ酸塩類、モノラウリルリン酸ナトリウム等のリン酸エステル塩等のアニオン界面活性剤、第4級アンモニウム塩等のカチオン界面活性剤等を挙げることができる。界面活性剤としては、この中でも非イオン界面活性剤が好ましい。
【0028】
高級アルコールとしては、特に限定されるものではないが、例えば、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、オレイルアルコール、セトステアリルアルコール、オクチルドデカノール等が挙げられる。
【0029】
高級脂肪酸としては、特に限定されるものではないが、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、ベヘニン酸等が挙げられる。
【0030】
ステロール類としては、特に限定されるものではないが、例えば、コレステロール、コレスタノール、ラノステロール、デヒドロコレステロール等の動物性ステロール、βシトステロール、スチグマステロール、カンペステロール、エルゴステロール等の植物性ステロール、ミコステロール、チモステロール等の微生物由来のステロール類等が挙げられる。これらは、そのままでも、安定化のために水素添加等の化学処理を施されていてもよい。
【0031】
油性成分としては、スクワラン、流動パラフィン等の炭化水素類、オリーブ油、マカデミアンナッツ油、ホホバ油等の植物油、牛脂等の動物油、パルミチン酸セチル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸ミリスチル、ヒドロキシステアリン酸フィトステリル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、(ヒドロキシステアリン酸/ステアリン酸/エイコサン二酸)ポリグリセリル等の重縮合物等のエステル類、ジメチルシリコーン、フェニルメチルシリコーン、シクロメチコン等のシリコーン類等が挙げることができる。
【0032】
多価アルコールとしては、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン等を挙げることができる。中でも、塗りムラ抑制の点から、1,3−ブチレングリコールが好ましい。また、プロピレングリコールは、べたつき、使用感が悪くなるので配合しないことが好ましく、プロピレングリコールを含有しない液体組成物とすることよい。
【0033】
溶剤としては、水等が挙げられる。水を配合した場合の含有量は、組成物中15〜65質量%が好ましく、25〜60質量%がより好ましい。
【0034】
色素は、衣類への汚染を考え、配合しない場合が多いが、必要に応じて法定色素(染料、顔料、レーキ)等を配合することができる。
【0035】
香料としては、精油又は合成香料が挙げられる。ユーカリ油、ラベンダー油、ローズマリー油、レモン油、オレンジ油、グレープフルーツ油等の精油、ラベンダー香料、ハーブ香料、ローズマリー香料、柑橘系香料、グレープフルーツ香料等の合成香料が挙げられる。
【0036】
防腐剤としては、パラベン類、安息香酸ナトリウム等が挙げられる。
【0037】
粘度調整剤としては、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒアルロン酸、ポリビニルアルコール、カルボキシビニルポリマー、カラギーナン、キサンタンガム、プルラン等の水溶性高分子等が挙げられる。
【0038】
pH調整剤・緩衝剤としては、クエン酸、乳酸、リンゴ酸等の有機酸、塩酸、リン酸、ホウ酸等の無機酸、クエン酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、モノエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トロメタモール等が挙げられる。なお、本発明の液体組成物のpHは5〜9が好ましい。
【0039】
その他、ノニル酸ワニリルアミド、乳酸メンチル、カンタリスチンキ等の局所刺激剤、ニコチン酸ベンジル、ニコチン酸ベンジルエステル、カプサイシン、トウガラシチンキ、塩化カルプロニウム、センブリエキス等の血行促進剤、オサンショウエキス等の生薬成分、グリチルレチン酸、グリチルリチン酸、グリチルリチン、グアイアズレン等の抗炎症剤、アミノ酸等のNMF成分、水溶性コラーゲン、エラスチン、グリチルリチン酸、サリチル酸、グリチルレチン酸、セラミド等の肌荒れ防止剤、パントテン酸、トコフェロール、酢酸トコフェロール、ビタミンE、ビタミンE酢酸エステル、レチノール、ビタミンA酸等の抗老化剤や各種ビタミン類やその誘導体、アスコルビン酸、パルミチン酸アスコルビル、ステアリン酸アスコルビル、テトライソパルミチン酸アスコルビル、アスコルビン酸グルコシド、アルブチン、エラグ酸、ルシノール、グリシン亜鉛錯体、トラネキサム酸及びその誘導体等の美白剤、キレート剤としてエデト酸ナトリウム水和物等を挙げることができる。
【0040】
上記に記した、(A)、(B)及び(C)以外の成分の配合量は、組成物中50質量%以下が好ましく、20質量%以下がより好ましく、15質量%以下がさらに好ましい。
【0041】
本発明の液体組成物の調製方法は特に限定されないが、例えば、パドルミキサー、ホモミキサー等の通常の攪拌、乳化装置により混合することにより得ることができる。
【0042】
本発明の液体組成物は、外用消炎鎮痛剤組成物としても好適であり、金属塗布ボールを有するロールオン容器充填用液体組成物としても好適である。なお、金属塗布ボールを有するロールオン容器は上述したとおりである。
【0043】
[外用消炎鎮痛剤製品]
本発明において外用消炎鎮痛剤製品とは、上記液体組成物と、この液体組成物を充填した金属塗布ボールを有するロールオン容器とを備えたものをいう。効果としては、腰の痛み、筋肉痛、凝りの緩和、改善が挙げられ、凝りとしては、腰の凝り、肩の凝り、足の凝り等特に限定されないが、特に肩凝りに対して効果をより発揮することができる。
【実施例】
【0044】
以下、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。なお、下記の例において特に明記のない場合は、組成の「%」は質量%を示し、表中の各成分量はAIを示す。
【0045】
[実施例1〜27、比較例1〜5]
表1〜8に示す組成の液体組成物(25℃でのpH5〜9の範囲に入るものであった。)を調製し、表中の塗布ボール1個を有するロールオン容器(ポリプロピレン製)に充填した。
充填後の液体組成物について、下記測定及び評価を行った。結果を表中に併記する。
【0046】
(1)接触角
液体組成物を金属塗布ボールと同じ材料の金属板(大きさ50mm×50mm、厚み1mm)に、高さ約4mmから滴下液量6μLを、6μL/sの流量で滴下した際の、金属板に接触直後の液体組成物の左右の接触角度を計測した。接触角測定装置は、英弘精機(株)自動接触角測定装置OCAシリーズを使用した。左右の平均接触角を10度刻みで記録する。例えば、10度としたものは4.5〜14.4度である。
【0047】
(2)ぬれ性
接触角が計測され始めてから、左右の平均接触角15度未満になるまでの時間(秒)を0.1秒刻みで測定した。
【0048】
(3)塗布ムラ
被験者(5名)が容器に充填された液体組成物を、15cm程度の距離を10往復して塗布した。その際の塗布ムラを、液が続いて出る(塗布ムラがない)、液が続いて出ない(塗布ムラがある)を確認した。なお、液だれが認められたものは、塗布ムラが観察されなくても×とする。結果を下記評価基準で示す。
<評価基準>
◎:被験者すべて塗布ムラが観察されなかった。
○:塗布ムラが観察されなかった被験者の方が多かった。
△:塗布ムラが観察された被験者の方が多かった。
×:すべての被験者で塗布ムラが観察された/液だれが認められた。
【0049】
(4)肩凝り改善
塗布ムラを測定した5人の被験者が、使用実感がなくなった後に、肩凝りの改善効果を下記7段階評価で評価した。結果を5人の平均点で示す。
<肩凝り改善評価基準>
7:非常に満足
6:かなり満足
5:やや満足
4:どちらともいえない
3:やや不満
2:かなり不満
1:非常に不満
【0050】
【表1】

【0051】
【表2】

【0052】
【表3】

【0053】
【表4】

【0054】
【表5】

【0055】
【表6】

【0056】
【表7】

【0057】
【表8】

【0058】
なお、実施例1の液体組成物をポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)のプラスチック板(細川製作所製、素材なりの表面、大きさ50mm×50mm、厚み3mm)で実施例と同様に測定及び評価(塗布ボールの大きさは直径11.1mm)を行った。結果を下記表に示す。
【0059】
【表9】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)消炎鎮痛成分、(B)低級アルコール及び(C)メントールを含有し、(B)成分の含有量が30〜70質量%である液体組成物と、この液体組成物を充填した金属塗布ボールを有するロールオン容器とを備えた、外用消炎鎮痛剤製品。
【請求項2】
金属塗布ボールがステンレスからなる請求項1記載の外用消炎鎮痛剤製品。
【請求項3】
液体組成物が、金属塗布ボール材との接触角が30度以下、ぬれ性が2.9秒以下である請求項1又は2記載の外用消炎鎮痛剤製品。
【請求項4】
(A)成分の含有量が、0.5〜10質量%である請求項1、2又は3記載の外用消炎鎮痛剤製品。
【請求項5】
(C)成分の含有量が、0.1〜10質量%である請求項1〜4のいずれか1項記載の外用消炎鎮痛剤製品。
【請求項6】
金属塗布ボールの大きさが、3〜30mmφである請求項1〜5のいずれか1項記載の外用消炎鎮痛剤製品。

【公開番号】特開2013−63961(P2013−63961A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−185232(P2012−185232)
【出願日】平成24年8月24日(2012.8.24)
【出願人】(000006769)ライオン株式会社 (1,816)
【Fターム(参考)】