説明

外線自動選択機能を有する電話機システム

【課題】従来のボタン電話システムは、多数の外線選択ボタンを有し、着信や保留に対してどの外線選択ボタンを押下すべきか判断する必要があり、操作が面倒であった。そこで、外線選択操作を自動化し、外線選択ボタンを除去可能にすると共に、操作性を向上する。
【解決手段】着信時および保留時には、発信者番号を用いた主装置の通話履歴DBを利用して優先応答すべき電話機を特定し、該当優先電話機に対して、優先着信音、保留応答促進音の鳴動と液晶表示で明示させ、該当優先電話機はオフフックかまたは通話ボタン押下等の簡単な操作で応答できるようにし、ボタン電話装置としての機能を操作性良く実現する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外線自動選択機能を有する電話機システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のボタン電話システムは、複数の通信回線(外線)を収容することから、内線電話機にはその外線を選択するための外線選択ボタンを外線の数以上設ける必要があった。この多数の外線選択ボタンのために、内線電話機が大型化すると共に、使用者は着信や保留に対してどの外線選択ボタンを押下すべきか判断する必要があり、操作が面倒であった。
【0003】
特許文献1には、電話機や、無線子機において、外線選択ボタンを代用する兼用機能ボタンを設け、電話機上のボタン数を減らす特徴を持つ無線ボタン電話システムが記載されているが、外線選択操作を必要とすることに変わりがなかった。
【0004】
また、着信動作を簡易化する例として、ボタン電話機の着信方式において発信者番号を用いて応答電話機を選択するものがあり、例えば、特許文献2には、発信者番号を元に、通信呼の最終通話者電話機を記録し、次回の同一発信者番号着信の場合は最終通話者電話機を第一鳴動先とし着信をさせる技術内容が開示されている。また、特許文献3には、発信者番号情報と、電話機の応答回数を蓄積し、着信時電話機に表示させる技術内容が開示されている。
【特許文献1】特開2001−136552号公報
【特許文献2】特開平11−252600号公報
【特許文献3】特開2000−287236号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に記載された無線ボタン電話システムは、無線子機に於いて、外線選択ボタンをダイヤルキーに割り付け、液晶表示部に外線状態とキーの割付状態を示したもので、子機のキー数は減っているが、操作上は外線選択操作をユーザに意識させての操作を必要としており、操作性の改良はない。
【0006】
また、上記特許文献2または特許文献3に記載のものは、発信者番号を元に、通信呼の最終通話者電話機を記録し、次回の同一発信者番号着信の場合は最終通話者電話機を第一鳴動先とし着信をさせる内容のもの、または、発信者番号情報と、電話機の応答回数を蓄積し、着信時電話機に表示させる内容のものであるが、ともに、電話機操作性については取り上げずに、着信ヒット率を上げることと取次時間の短縮を内容としているため、使い方としては従来どおりであり、電話機としての操作性の改良がない。
【0007】
本発明は従来のボタン電話機の外線選択操作を自動化し、外線選択ボタンを除去可能にすると共に、操作を簡単化することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、外線の選択をユーザに意識させない簡単操作で電話システムを使用出来るようにするために、着信時および保留時には、発信者番号を用いた主装置のDB(データベース)を利用し、DBの累積通話時間や通話回数等の履歴情報により優先応答させるべき内線電話機を特定し、着信、保留を該当優先電話機に対して、優先着信音、保留応答促進音の鳴動と液晶表示で明示させ、該当優先電話機はオフフックまたは通話ボタン押下または保留ボタン押下の操作のみで前記着信または保留に応答できることを特徴とする。
また、各内線電話機の表示器にはブリンク表示を伴う操作ガイダンスが表示され、オフフックまたは通話ボタン押下または保留ボタン押下のみで有効となる着信呼や保留呼の存在や、非優先の着信呼や保留呼に対する応答方法等が表示され、外線選択ボタンがなくても効率的に所定の外線を選択できることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ボタン電話機の外線選択ボタンおよびLED等の外線状態表示デバイスを削除可能であり、ボタン電話機の小型化および経済化が図れる。また、電話機のボタン数が削減されたことにより、外形設計の自由度が上がるため、特に内線電話機として無線子機に於いては有効となる。さらに、使用者に外線選択操作を意識させないため、一般家庭用の単独電話機、携帯電話の操作と近いので、ビジネス系の電話装置が初めて人でも違和感なく操作が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1は、本発明の実施の形態に係わる装置概略全体の構成図である。図1はボタン電話システムの全体構成の例であり少なくてもボタン電話主装置4と内線に接続される無線親機5と、無線子機6とで構成されている。無線子機中心に説明を行うが構成例に於いては、内線に接続されるボタン電話機7は有線であり、本発明において、有線、無線の別は問わない。公衆電話網からの通信回線(以下「外線」という。)の数は本例に於いて3であるが、これは単なる1例であってシステムにより異なる。無線子機8は、説明用に外線選択ボタンのある従来の無線子機を示している。但し本システムに於いて接続した場合も動作可能としている。
【0011】
図2は、本発明に係わる無線子機6の外観図を示している。図11は従来のボタン電話システムに於ける無線子機8の外観図を示している。図2の無線子機6では、従来の図11にあった外線選択ボタン89が存在しないのでシンプルになっている。例として無線子機を表しているが、ボタン電話機7の外観に於いても外線選択ボタンを削除したものとしている。
【0012】
図3において、ボタン電話主装置4はボタン電話システム全体を制御する中央制御部41と、複数の外線−1〜外線−nを接続する外線回路46−1〜46−nと、通話路スイッチ44と複数の内線回路45−1〜45−nと、記憶部42と、記憶部42の内部に発信者番号等履歴情報DB43と、発信者番号識別回路47を有して構成される。
【0013】
中央制御部41はボタン電話主装置4の各回路からの入力情報(無線親機5,ボタン電話機7からの情報も含む)に対する解析や判断、記憶部42に対する情報の入出力、各回路の制御を行う。
【0014】
外線からの着信時に相手発信者番号情報を発信者番号識別回路47で検出し、発信者番号情報と通話した電話機番号と通話時間を記憶部42の発信者番号等履歴情報DB43(以下はDBとする。)に整理し記憶する。通話時間は累積通話時間として電話機毎に加算される。
【0015】
内線転送される場合や保留されるまでの通話時間については、DBに記憶されないものとする。転送後や保留後の通話状態から終話までの時間を通話時間として電話機毎に加算される対象としている。例として、DBには最新から一定期間過去(例えば3ヶ月間)のデータの累積通話時間を扱うこととする。月ごとの集計分をメモリに保存し、毎月の自動計算日には、一定期間を越えた月の分を削除しDBを更新する。本例に於ける累積通話時間は現時点での最新DBとしている。
【0016】
本機能により、着信の際に発信者番号情報を得ると、DBを検索すれば、最も長く通話している内線電話機を特定できる。これにより、当該着信に応答すべき内線電話機を推定でき、当該内線電話機に優先的に着信させることができる。
【0017】
図3において、ボタン電話機7は、制御部71と、内線I/F部72と、音声処理部73と、ダイヤルキー74と、機能キー75と、液晶表示器76と、送受話器と、スピーカを有し構成される。無線親機5は、親機制御部51と、内部I/F部52と、親機無線送受信部53とアンテナ54を有して構成される。無線子機6は、子機制御部62と、子機無線送受信部63と、キー入力部61と、液晶表示器60と、マイク65と、スピーカ66とアンテナ64を有し構成される。無線親機5と無線子機6は1対1で構成され、無線による制御チャネルと通話路チャネルを形成する。
【実施例1】
【0018】
本発明の実施例1の着信時の動作フローについて、図4及び図5のフローチャートと図2の外観図、図3のブロック図、図8、図9の電話機表示例、図10のデータベース格納例を用いて詳細を説明する。
【0019】
図4では、ステップS400において、着信が行われる。着信の定義として、本図の例では、複数の同時着信を想定している。DBにない発信者番号からの一般着信と、DBにある発信者番号からの着信の場合と、発信者番号なしの着信と、以上3つの着信(着信1、着信2、着信3)が同時発生している状態である。
【0020】
ステップS401において、外線からの着信を図3のブロック図に於ける外線回路46−1〜46−nのいずれかで検出すると、中央制御部41が着信情報を読み取る。さらに中央制御部41は発信者番号識別回路43より発呼者番号情報を得る。発信者番号を得る方法は、その他にISDN回線の呼設定情報の中にあるなど、回線の種類によりそれぞれ異なるが、現在では一般的であるため説明を省略する。
【0021】
ステップS402において、ひとつの着信に対し、S401で取得した発信者番号とDBにある発信者番号が一致するか検索する。図10は発信者番号データベース格納例を示している。図3のボタン電話主装置4における記憶部42内に割り付ける43発信者番号等履歴情報DB内の構成例である。図10下部に示すように、本シーケンス例の3つの着信例の内、着信2はテーブルNO1と一致している。
【0022】
ステップS403では、S402において検出されたテーブルNO内における各電話機NOの、累積通話時間を比較し最長の電話機を検出する。図10における着信2においては、テーブルNO1内における最長通話累積時間の電話機は電話機NO2となる。
【0023】
ステップS404では、累積時間の判定において、累積通話時間が一定時間以下の発信者番号に対しては、優先電話機を決定しないシーケンスとする。一定時間以下の場合、その中の最長時間の電話機を使用する人が通話したい相手とは限らない。データが少ない場合は、最初に出た人が最長となる場合なども考えられるためである。従って、各電話機において累積通話時間または通話回数が少ない場合には、優先電話機を指定しない着信とし、誰でもが応答しやすいように、使いやすさを高める。前記一定時間はシステムの設定値(1〜120分、初期値10分)として変更することができる。発信者番号を取得し、累積通話時間が一定時間以下の一般着信となる通話に於いても、通話終了時には、図5のS446で通話時間が加算され、DBとして記録される。
【0024】
ステップS405において、S403で検出した最長時間値の電話機が複数台ある場合は、S406に進む。累積通話時間の最長時間値のものが1台だけであれば、S409の優先順位決定する処理に進む。
【0025】
ステップS406において、ここでは累積通話時間が複数の電話機において同一なので、該当電話機のDB上にある通話回数データを検索して次の処理S407に進む。
【0026】
ステップS407において、S406にて検索したデータにて、さらに通話回数が同一の場合は、S408の判断シーケンスに進む。同一でなく、最多通話回数の電話機が1台であれば、優先順位が高いのでS409の優先順位決定する処理に進む。
【0027】
ステップS408において、ここでは、複数の電話機が累積通話時間と通話回数が同一の場合なので、図3における主装置4の内線回路45−1から45−n於けるP(1≦P≦n)を電話機NO.Pとし、若い番号順に優先度を高くすることで、順位決定処理に進む。
【0028】
ステップS409において、ひとつの発信者番号からの着信にて、対応する同一テーブル内での優先電話機順位を決める処理を行い、S403からS409の一回の処理で一台のその時点での最優先電話機を決定していく。決定するための重要度は、累積通話時間>通話回数>電話機NOとする。これにより必ず優先電話機が決定できる。なお、この決定するための重要度の順位は一例であって、通話回数の頻度を最重要としてもよい。
【0029】
ステップS410において、S403からS409の一回の処理で、DB内の最優先電話機(第1位)を決定できる。順位決定した電話機を判定範囲から除いて、同じ処理をおこなうと、次の優先電話機(=第2位)を決めることが出来る。決定した順位はメモリのDBに記憶していく。何位まで決定するかは、システムの設定値で可変することが出来る。本システム例では4位までと設定している。図10にテーブル内の格納内容と優先順位例を示している。テーブルNO1と2は累積通話時間の大小で順位が決める。テーブルNO3は累積通話時間が同一で通話回数の違いにて1位と2位の順位が決まったことを示している。
【0030】
ステップS411において、S410で決定した優先電話機順序で高い順番から、電話機の状態を確認し、待機中で着信が可能かを検出する。ビジー状態のときは、S412にて優先順位を1つ下げて順次確認していく。
【0031】
ステップS413において、待機中の優先着信させる電話機を決定する。優先順位を有するすべての電話機がビジーの場合は、優先着信ではなく、優先電話機なしとして決定し、一般着信と同様となる。
【0032】
ステップS414において、未処理の着信呼が存在する場合は、S401へ遷移する。本シーケンス例では着信が3つあり、3つの着信に対して、それぞれ優先電話機決定する。図10には決定結果の例を示す。
【0033】
図5は、図4のフローチャートの続きのフローチャートを示す。ステップS415において、本例では図10で示したように、着信2が電話機NO2への優先着信となっている。主装置4より無線子機6(電話機NO2)に対し優先着信音を送出する。優先着信音は一般着信と異なる着信呼び出し音の一つで、使用者が優先着信と認識できる音とし、該当電話機を鳴動させる。
【0034】
ステップS416において、主装置4は優先着信電話機の無線子機6(電話機NO2)に対して、使用者が優先着信であることがわかる様に、LCD表示器に表示する表示データを送付する。
【0035】
電話機NO2の表示例を図8に示す。本シーケンス時の表示例は図8−1−1に示す。優先着信2の表示がブリンクする。なお、ブリンクは文字が点滅する表示方法であるが、バック色と文字色を一定間隔で反転を繰り返す等の表示方法であってもよい。ブリンクしていることで、通話ボタン61fを押下した場合の、応答する着信であることを判りやすく表示することを目的としている。
【0036】
ステップS417において、本例における着信1と着信3は優先電話機がない一般着信である。S417では一般着信音鳴動をシステム設定で鳴動設定してある電話機に対し、着信していることを知らせる一般着信鳴動音を送出する。
【0037】
ステップS418において、主装置4は着信電話機の無線子機6(電話機NO.P){1≦P≦N 整数、Nは最大接続電話機数}に対して、使用者が着信であることがわかる様に、LCD表示器に表示する表示データを送付する。
【0038】
電話機NO8の表示例を図8に示す。本ステップの表示例は8−2−1に示す。着信1の表示がブリンクする。着信X、優先着信Xの数字Xは、着信した際の処理順に付与する管理識別番号としている。1から始まり最大は外線数までとし、着信呼が無くなると1からリスタートする。着信呼の処理が続いている場合は順次増加し、最大数を超える場合は1に戻る。主装置4は、各電話機の状態が変化した場合や、電話機のキー押下情報を受けた場合には、必要な制御、表示情報の送出を行う。電話機NO2にたいしては、S424のキー押下情報によりS425のブリンク表示に移動する着信表示情報を送出する。
【0039】
ステップS419において、着信に対する電話機応答、S426の通話ボタン押下情報、及びS433の通話ボタン押下情報に対する電話機応答を監視する。
【0040】
ステップS420において、電話機NO2はS415により優先着信音を鳴動させ、使用者に優先着信を認識させる。
【0041】
ステップS421において、電話機NO2は、図8の表示例8−1−1となっている。
【0042】
ステップS422において、図2に示す電話機6の通話ボタン61fの押下があったかどうかが判定される。通話ボタン61fの押下があった場合には、S426に遷移する。通話ボタン61fの押下が無い場合には、優先着信への応答以外にカーソルキー操作により、他の着信している外線や、発信のために空いている外線を捕捉することも可能であり、その場合にはS423に遷移する。
【0043】
ステップS423において、図2に示す電話機6のカーソルキー61aの上下左右ボタンを押下があったかどうかが判定される。図8の表示例8−1−1のように、着信1、着信3、発信を選択することが可能である。カーソルキー61aの上下左右ボタンを押下があった場合にはS424に遷移し、カーソルキー61aの押下が無い場合にはS422に戻って通話ボタン61fの押下の有無を判定する。なお、カーソルキー61aの操作はダイヤルボタン61eで代替してもよい。
【0044】
ステップS424において、S423でのカーソルキー61aの押下情報を主装置4に送出する。
【0045】
ステップS425において、主装置4からの表示情報を受けて、選択している表示部が移動し、ブリンクする。
【0046】
ステップS426において、通話ボタン61fの押下情報を主装置4へ送出する。優先着信かまたは、S424でのカーソルキー情報により応答する着信に対する動作を主装置4が判定し、電話機を制御する。但し本シーケンス例では以後、優先着信に応答する場合を示している。
【0047】
ステップS427において、S417により一般着信音を送出された電話機No.Pは一般着信音を鳴動することを示している。
【0048】
ステップS428においては、S418により着信表示情報を送出されて、一般着信表示をすることを示している。表示例として図8の8−2−1に表示例を示す。
【0049】
ステップS429において、電話機No.Pにおいても、S422と同様に通話ボタン61f押下以外の分岐を示す。
【0050】
ステップS430において、電話機No.Pにおいても、S423と同様にカーソルキー61a押下で応答する着信または発信を選択することを可能としている。
【0051】
ステップS431において、カーソルキー61a押下でその情報を主装置4に送出する。
【0052】
ステップS432において、主装置からの情報により選択している表示部が移動し、ブリンクする。
【0053】
ステップS433において、通話ボタン押下情報を主装置4へ送出する。優先着信かまたは、S431でのカーソルキー押下情報により応答する着信に対する動作を主装置4が判定し、電話機を制御する。但し本シーケンス例では以後、この電話機では一般着信に応答する場合を示している。
【0054】
ステップS436において、通話ボタン押下情報により、該当する電話機の着信音を停止する。
【0055】
ステップS434において、電話機の通話ボタン61f押下による応答により、主装置4は該当する着信音を停止する処理を行う。
【0056】
ステップS437において、電話機の通話ボタン61f押下による応答により、主装置4は各電話機に必要な表示情報を送出する。
【0057】
ステップS438とステップS439において、表示データを更新する。本シーケンスで、通話状態となった場合の電話機NO2と、電話機NO8の場合の表示例を、図8の8−1−2、8−2−2に示す。
【0058】
ステップS440において、電話機通話ボタン情報により該当電話機に対し外線との通話路を接続する。該当電話機は通話状態S442またはS443の通話状態となる。
【0059】
ステップS441において、通話路接続した該当電話機は主装置4にて通話時間計測を開始する。(図3、主装置4中央制御部41)その計測は、各通話の終話時まで計測する。
【0060】
ステップS444において、着信呼処理が残っている場合はS419に遷移し、応答監視を行う。着信呼処理が無い場合には、S445の終話処理待ちとなる。
【0061】
ステップS446において、S455で全通話終話した場合は、計測した通話時間データを図10の格納例にあるように、発信者番号テーブル内の該当電話機NOのDB累積時間値に計測値を加算し、累積通話時間とする。また通話回数を加算し、次いで、本処理を終了して、待機状態にもどる。
【実施例2】
【0062】
次に、本発明の実施例2の保留時、保留応答時の動作シーケンスを図6及び図7のフローチャートと図2の外観図、図3のブロック図、図8、図9の電話機表示例、図10のデータベース格納例を用いて詳細を説明する。
【0063】
まず、図6及び図7にて、保留時、保留応答時の動作シーケンスを説明する。複数の通話呼から複数保留状態になり、保留応答した際のシーケンス図を用いて説明する。
【0064】
図6のステップS500において、無線子機6は電話機NO2と外線通話状態にある。本例に於いては、図10の着信2に応答し、通話している状態としている。表示例は図8の8−1−2に示している。
【0065】
ステップS501において、無線子機6は電話機NO8と外線通話状態にある。本例においては図10の着信1に応答し、通話している状態としている。表示例は図8の8−2−2に示している。
【0066】
ステップS502において、電話機NO2において図2に示す電話機6の保留ボタン61dを押下したことを示している。
【0067】
保留処理において、通話中の呼を他の電話機で受けるために行う一般的な保留と、調べ物などで通話相手に待ってもらうために自分の電話のみで保留および保留応答する自己保留がある。自己保留と一般的な保留をするときの操作の違いは、自己保留は保留ボタン61dを一定時間以上押し続ける操作とし、通常の一般的な保留は、一定時間未満のボタン押下とする。
【0068】
自己保留としたときは他の電話には保留情報が表示されず、応答することができない。表示例として自己保留の表示は図9の9−1−3に示している。
【0069】
ステップS503において、電話機NO2の電話機から保留ボタン61dの押下情報を主装置4へ送出する。
【0070】
ステップS504において、電話機NO8において図2の保留ボタン61dを押下する。
【0071】
ステップS505において、電話機NO8の電話機から保留ボタン61dの押下情報を主装置4へ送出する。
【0072】
ステップS506において、主装置4は各電話機からの保留ボタン61dの押下情報を受信する。本例においては、保留ボタン61d押下の場合は通話時間をDBに加算しない。本発明の特徴である通話したい人に主に着信する機能を持つため、一般に保留されるまでの時間は、取り次ぎと見なし、加算しない方が、望ましいためである。但し使用例としては、自己保留などの場合もあるため、通話開始から保留ボタン61d押下までの時間が一定時間以上(可変設定値)の場合には、該当通話時間を発信者番号DBに加算格納し、記録として反映させるようにしてもよい。
【0073】
ステップS507において、主装置4は受信した保留ボタン61dの押下情報から、管理している各通話呼の発信者番号を確認し、DBの発信番号エリアを検索し、該当するテーブルNOを検出する。テーブルNO内の電話機優先順位情報を入手する。
【0074】
ステップS508において、主装置4は保留した電話機NOを除いて、優先順位を整理し決定する。
【0075】
ステップS509において、S508で決定した優先電話機順序で高い順番から、電話機の状態を確認し、待機中で着信が可能かを検出する。ビジー状態のときは、S510にて優先順位を1つ下げて順次確認していく。
【0076】
ステップS511において、待機中の優先応答させる電話機を決定する。優先順位すべての電話機がビジーの場合は、優先保留ではなく優先電話機なしとして決定し、一般保留と同様となる。
【0077】
ステップS512において、未処理の保留呼が存在する場合は、S507へ遷移する。
本シーケンス例で保留が2つあり、それぞれの優先電話機を決定する。本シーケンスの電話機NO2の保留は、図10に於けるテーブルNO1の通話を電話機NO2自身が保留したため、優先順位2位の電話機NO8が最優先とされる。本例の場合は電話機NO8も保留ボタン61d押下しており、ビジー状態ではないため、優先保留電話機は電話機NO8となる。
【0078】
ステップS513において、主装置4は、外線と通話接続していた通話路のなかで、保留する通信呼の通話路接続部を未接続とする。
【0079】
ステップS514において、S513で保留とした電話機NO2に対して、保留中であることを使用者に知らせる保留中音を主装置4から送出し、S515で電話機NO2はその音の再生を示している。
【0080】
ステップS516において、優先電話機NO8に対しては、優先保留応答促進音を送出し、使用者に優先保留であることを知らせる
【0081】
ステップS517では、電話機に優先保留応答促進音を鳴動させる。保留中音、着信音とは異なる音で使用者に判るように鳴動する。
【0082】
ステップS518において、各電話機が保留状態になったことが判るように、表示情報を各電話機に送出する。
【0083】
ステップS519,S520において、S518の表示情報を電話機表示器に表示する。
本シーケンスの例に於いては図8の8−1−3、8−2−3が保留状態になった電話機NO2と電話機NO8の表示例である。例において、着信と保留が同時に存在するが、ブリンク表示はそれぞれ保留1、優先保留1とする。これは着信よりも保留を優先させる仕様としているためである。
【0084】
図7は、図6のフローチャートの続きのフローチャートである。図7のステップS521において、そのまま、他を選択せず通話ボタンを押下し優先保留に応答する場合にはS526に遷移。するとすばやく簡単に優先保留に応答することができる。優先保留への応答以外に、カーソルキー61a操作にて、他の着信している外線や、発信のために空いている外線を捕捉することも可能である。その場合はS522に遷移する。なお、S521で優先保留への応答として通話ボタン押下としているが、保留ボタン押下により応答するようにしてもよい。
【0085】
ステップS522において、カーソルキー61aの押下により、他の保留、着信、発信を選択することができる。図8の8−2−3において、図2に示す電話機6のカーソルキー61aの上下左右ボタンを押下すると、押下数に従い、保留1,(優先保留1)、保留2、着信3、発信を選択することが可能である。
【0086】
ステップS523において、カーソルキー61aを押下した場合、その押下情報を主装置4に送出する。
【0087】
ステップS524において、主装置4は各電話機端末の情報を検出し、必要な制御を行う。本シーケンス例では、カーソルキー61a押下の情報を受信した場合には、端末状態管理として、必要な表示情報送出しブリンク表示情報を送出する。
【0088】
ステップS525において、S524でカーソルキー61aが押下されたことにより、主装置4から表示情報を得て、選択している表示部がカーソルキー61aの押下により移動し、ブリンクする。本シーケンス例では以後、優先保留に応答する場合を示している。
【0089】
ステップS526において、本例に於いて、電話機NO8が通話ボタンを押下し、主装置4に優先保留1の応答情報が送られることを示している。なお、S526で保留への応答として通話ボタン押下としているが、保留ボタン押下により応答するようにしてもよい。
【0090】
ステップS527において、保留に対する電話機応答を監視する。通話ボタン61fを押下した電話機を検出すると次処理S528に進む。
【0091】
ステップS528において、保留に対して応答があったので、当該保留の通話路を接続し、電話機に対して鳴動させていた保留中音、保留応答促進音を止める。S529で保留中音、S530で保留応答促進音を止める。
【0092】
ステップS531において、S527で得た電話機情報により電話機の表示を変更するため各電話機に必要十分なデータを送信する。
【0093】
ステップS532において、電話機NO2の表示内容例は、保留と着信が残っていればその内容を主装置から受け取り、表示する。
【0094】
ステップS533において、電話機NO8の表示は、保留応答の結果、通話中状態の表示となる。
【0095】
ステップS534において、通話路接続した該当電話機は主装置4にて通話時間計測を開始する。(図3、主装置4中央制御部41にて)その計測データは各通話路が終話時するまで計測する。
【0096】
ステップS535において、電話機NO8が保留応答し通話状態になったことを示している。
【0097】
ステップS536において、保留呼が残っている場合はS528に遷移し、応答監視を継続。保留呼が無い場合は全通話路の終話待ちS537となる。
【0098】
ステップS538において、S536で全通話終話した場合は、計測した通話時間データを図10の格納例にあるように、発信者番号テーブル内の該当電話機NOのDB累積時間値に計測値を加算し、累積通話時間とする。また通話回数を加算し、本処理を終了して、待機状態にもどる。
【0099】
以上、外線選択ボタンの無いボタン電話システムにおける外線自動選択手段について説明したが、本発明はこれに限られない。すなわち、本発明は、外線選択ボタンを有するボタン電話システムに対しても適用可能であり、例え外線選択ボタンがあっても、本発明による外線自動選択手段を適用することにより、複数の着信または保留に対して、どの外線選択ボタンを押下すべきか迷わないので、操作性が向上する効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0100】
【図1】図1は、本発明の実施の形態に係わる装置概略全体の構成図である。
【図2】図2は、本発明に係わる無線子機6の外観を示した図である。
【図3】図3は、本発明に係わるボタン電話主装置4、無線親機5、無線子機6およびボタン電話機7の機能ブロック図である。
【図4】図4は、本発明の実施例1の着信時の動作フローチャートである。
【図5】図5は、図4の動作フローチャートの続きのフローチャートである。
【図6】図6は、本発明の実施例2の無線子機6、ボタン電話主装置4の保留、保留応答時の動作フローチャートである。
【図7】図7は、図6の動作フローチャートの続きのフローチャートである。
【図8】図8は、本発明に係わる無線子機6の液晶表示器の表示例である。
【図9】図9は、本発明に係わる無線子機6の液晶表示器の表示例である。
【図10】図10は、発信者番号データベース格納例と優先例を示す表である。
【図11】図11は、従来の外線選択ボタンのある無線子機8の外観図である。
【符号の説明】
【0101】
1 外線
2 外線
3 外線
4 ボタン電話主装置
5 無線親機
6 無線子機
7 ボタン電話機
8 無線子機
41 中央制御部
42 記憶部
43 発信者番号等履歴情報DB
44 通話路スイッチ
45−1〜45−n 複数の内線回路
46−1〜46−n 外線回路
47 発信者番号識別回路
51 親機制御部
53 親機無線送受信部
60 液晶表示部
61a カーソルキー
61b フックボタン
61c 電源ボタン
61d 保留ボタン
61e ダイヤルボタン
61f 通話ボタン
61g 電話帳ボタン
61h 決定ボタン
71 制御部
72 ボタン電話機
73 音声処理部
74 ダイヤルキー
75 機能キー
76 液晶表示部
81 カーソルキー
82 フックボタン
83 電源ボタン
84 ダイヤルボタン
85 通話ボタン
86 電話帳ボタン
87 保留ボタン
88 決定ボタン
89 外線選択ボタン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外線および内線を収容する主装置と前記内線に繋がる内線電話機とから成る電話機システムであって、
前記主装置は、外線からの着信に対して発信元情報及び応答した内線電話機情報を含む通話履歴を蓄積する通話履歴蓄積手段と、複数の外線着信があった場合前記各外線着信について前記通話履歴蓄積手段から予め定められた優先順位に従って優先的に着信させるべき内線電話機を選択する優先着信先選択手段と、前記優先着信先選択手段が選択した内線電話機に対して優先着信を通知する優先着信通知手段を有し、
前記内線電話機は、複数の外線着信の存在を表示する複数外線着信表示手段と、前記複数の外線着信の中から任意の着信を通話ボタンとその他のボタンの複合操作により選択する外線着信選択手段を有し、
前記主装置から前記優先着信を通知され前記優先着信が表示されている間に前記通話ボタンのみが押下された場合は前記優先着信への応答を前記主装置に通知することを特徴とする外線自動選択機能を有する電話機システム。
【請求項2】
外線および内線を収容する主装置と前記内線に繋がる内線電話機とから成る電話機システムであって、
前記主装置は、外線からの着信に対して発信元情報及び応答した内線電話機情報を含む通話履歴を蓄積する通話履歴蓄積手段と、複数の外線着信が保留された場合前記保留された各外線着信について前記通話履歴蓄積手段から予め定められた優先順位に従って優先的に保留応答させるべき内線電話機を選択する優先保留応答先選択手段と、前記優先保留応答先選択手段が選択した内線電話機に対して優先保留外線の存在を通知する優先保留外線通知手段を有し、
前記内線電話機は、複数の保留外線の存在を表示する複数保留外線表示手段と、前記複数の保留外線の中から任意の保留外線を通話ボタンまたは保留ボタンとその他のボタンの複合操作により選択する保留外線選択手段を有し、
前記主装置から前記優先保留外線を通知され前記優先保留外線が表示されている間に前記通話ボタンまたは保留ボタンのみが押下された場合は前記優先保留外線への応答を前記主装置に通知することを特徴とする外線自動選択機能を有する電話機システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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