説明

外装体用日よけ装置およびこれを用いた外装体

【課題】外装体の表面側に日陰空間を作って外装体の温度上昇を抑制する日よけ装置において、遮光と通気のバランスがよく、より優れた日よけ効果を期待できるようにする。
【解決手段】屋根12の表面側において屋根12の面方向に広がる日よけ部材21と、この日よけ部材21を屋根12の表面側に固定する固定具31を有する。前記日よけ部材21は、空気の流通で開閉動作する直線状をなす開閉部22を複数本備え、これら開閉部22を構成する相互に対向した端縁23同士が付き合わされた状態である。そして、前記固定具31は、前記日よけ部材21を屋根12の表面から浮かせた状態で固定するものである外装体用日よけ装置11。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、屋根や外壁などの外装体の温度上昇を防ぎ、建物内の冷房効率をあげることができるような外装体用日よけ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
夏季において、屋根や外壁に当たる太陽光は、屋根や外壁の温度を上昇させる。特に、金属製の折板を用いた屋根では熱による膨脹が起こり、音なりが発生する。そればかりか、屋根の温度上昇により建物内の温度も上昇するので、冷房が不可欠となっている。しかも、建物内を冷却しても屋根等からの熱が伝わるので、冷房効率が悪く、エネルギーを浪費する。
【0003】
このため、下記特許文献1に開示されているような屋根が提案された。
【0004】
この屋根は、凹凸条を有する屋根の上に屋根の凹条との間に隙間ができるようにシートを設置するというものである。シートは凹条との間に隙間を作るもので、凸条の表面に面接触して固定される。
【0005】
また、屋根の凹条とシートとのあだの空間の風通しをよくしたり、強風時にシートが浮き上がって破損することを防止したりするために、シートにおける凹条に対応する部位に円形をなす複数の通気用透孔が形成されている。
【0006】
しかし、前記のような通気用透孔は、凹条に対応する位置に形成されるため、あまり大きくできない。このため、風通しを十分に確保することはできず、屋根とシートの間に熱がこもってしまう。その上、強風が屋根とシートの間に吹き込んだときの風の抜けも不十分で、シートが破損するおそれがある。
【0007】
この点、通気用透孔を大きくすれば、通気性を高めることが可能であるが、屋根を露出することになるため、屋根の温度が上がり、本来の目的を達成することができない。
【0008】
また、屋根には落ち葉やゴミなどの飛来物や落下物があるが、通気用透孔は円形をなし凹条の上に形成されているため、瓶の口のような状態になっており、飛来物や落下物が通気用透孔に入り、凹条の中にたまりやすい。前記のように風通しを十分に確保できないので、詰りの発生のおそれもある。
【0009】
さらに、屋根の上には空気調和機の室外機やアンテナなどの屋根上構造物もあり、このような屋根上構造物のある部分にシートを設置することはできない。特許文献1に開示されている屋根では、特許文献1の図1にも明示されているように、施工上の点からシートの間には間隔を設けなければならず、前記のように屋根上構造物があるときには殊更、屋根の上面を部分的にしか覆えないので、十分な効果を得ることは難しい。
【0010】
そこで、下記特許文献2に開示された屋根用シートを案出した。この屋根用シートは、平行に複数のスリットが形成された遮光シート部と、この遮光シート部を屋根の上に接地するシート止め部材を備えたものである。
【特許文献1】特許第3987550号公報
【特許文献2】登録実用新案第3141973号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
この特許文献2に記載の屋根用シートでは、スリットによってシートと屋根との間の空間の風通しを十分に確保することができ、前記のような難点を解消できる利点がある。
【0012】
しかしながら、遮光と通気とのバランスの点で未だ改良の余地があった。
【0013】
また、シート止め部材は屋根の上から突出している固定ボルト(剣先ボルト)を利用してナットで締め付けて固定するが、固定ボルトは経年変化でサビが発生するのでそのねじを利用することができない場合がある。しかも、屋根は固定ボルトで固定するものに限られない。このため、既設の屋根では取り付けることができないことがあった。
【0014】
そこで、この発明は、遮光と通気のバランスがよく、より優れた日よけ効果を期待できるようにすることを主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
そのための手段は、外装体の表面側において外装体の面方向に広がる日よけ部材と、該日よけ部材を外装体の表面側に固定する固定具を有し、前記日よけ部材が、空気の流通で開閉動作する直線状をなす開閉部を複数本備え、これら開閉部を構成する相互に対向した端縁同士が付き合わされるとともに、前記固定具が、前記日よけ部材を外装体の表面から浮かせた状態で固定するものである外装体用日よけ装置である。
【0016】
日よけ部材の開閉部は、端縁同士が突き合された構造であるので、太陽光が外装体に当たるのを可能な限り防ぐ上に、空気の弱い流通でも開閉部の開閉が行え、この開閉動作によっても空気の流通を促すことができる。また、日よけ部材は固定具によって外装体の表面から浮いた状態で固定されるので、外装体の表面と日よけ部材との間の空間を大きく取れ、外装体の表面側に空気の流通性の良い日陰の層を形成する。
【0017】
前記日よけ部材は、帯状をなす帯状シートを突き合わせて平行に並べて構成することも、シート体に切れ目を入れて形成することもできる。
【0018】
また、日よけ部材の開閉部は、日よけ部材における開閉部が形成される方向の端から端まで形成されるものであると、日よけシートの調達がしやすい上に、施工も容易である。
【0019】
さらに、日よけ部材の表面には、光を反射する反射層が備えられるとよい。反射層が、光を積極的に反射して日よけ効果を高めるほか、耐候性の向上なども期待できる。
【0020】
また、前記固定具は、外装体の表面側に固定する固定金具と、該固定金具の上に固定されて日よけ部材を定着させる長尺状の定着具とで構成することができる。この場合、固定金具と定着具とで、外装体の表面から浮かせて、所望の高さの空間を外装体の表面と日よけ部材との間に形成できる。
【0021】
そして、固定具を固定金具と定着具とで構成する場合、固定金具が外装体に対して着脱可能であるとよい。固定金具を外すことで外装体用日よけ装置を外すことができ、外装体用日よけ装置を賃貸の建物の屋根等に対して取り付けても原状復帰が容易に行える。
【0022】
また、前記固定金具が、前記定着具を載置する載置部と、該載置部の左右両側から下方へ延びる左右一対の被締め付け部と、これら被締め付け部を締め付けて接近させる締結具と、前記締め付け部の下端部から左右方向内側に延びたのち外側に折り返され、外装体における表面側に突出する部分に圧接する圧接部を有し、前記圧接部の先端縁の一部には、外装体における表面側に突出する固定ボルトを締め付ける切欠部が形成されたものであると、馳締め構造の屋根や瓦棒構造の屋根のほか、ボルト止め構造の屋根などの外装体でも強固な固定ができる。
別の手段は、前記の外装体用日よけ装置を備えた外装体である。
【発明の効果】
【0023】
以上のように、この発明によれば、端縁同士が付き合わされて構成される特異な開閉部によって、十分な遮光性をえられる。そのうえ、風を受けることにより、開閉部が開閉し、このときエジャクタ類似の作用が生まれ、空気の流通が促進される。このため、遮光と通気のバランスがよく、優れた日よけ効果を期待できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
この発明を実施するための一形態を、以下図面を用いて説明する。
図1は、外装体用日よけ装置の一例としての屋根用日よけ装置11と、これを備えた屋根12を示す断面図であり、図2は、その屋根12の外観を示す斜視図、図3は、屋根用日よけ装置11の下側を示す斜視図である。
【0025】
なお、図示例では、屋根材として金属製の折板を用いた屋根12を示したが、屋根は瓦棒屋根やスレート屋根、コンクリート屋根等であるもよい。また、外装材は屋根12のほか、外壁(サイディング)であるもよい。
【0026】
屋根用日よけ装置11は、屋根12の表面側に日陰を作って屋根12の温度上昇を防ぐためのもので、屋根12の上方において屋根12の面方向に広がる日よけ部材21と、この日よけ部材21を屋根12の上に固定する固定具31を有する。
【0027】
日よけ部材21は、可撓性、柔軟性を有するシート材で構成され、その一部が図4や図5に示したように固定具31によって屋根12の表面から離れた上方に張設される。張設は可能な限り屋根12の全面に対して行うのがよい。
【0028】
日よけ部材21は、日よけ部材の上側空間と下側空間との間での空気の流通で開閉動作する直線状をなす開閉部22を複数本備えている。開閉部22は、開閉部22を構成する相互に対向した端縁23同士が突き合うように構成される(図1参照)。すなわち、日よけ部材21は、帯状をなす帯状シート24(図6参照)の幅方向の端縁23同士を突き合せて平行に並べて構成することも、適宜形状適宜大のシート材に切れ目を入れて形成することもできる。また、シート材に切れ目を入れて開閉部22を形成した帯状シート24を、その幅方向に端縁23同士が突き合うように平行並べて構成することもできる。
【0029】
図6は、前記の帯状シート24の例を示している。この帯状シート24は、経糸24aと緯糸24bを織ってなるメッシュシートで構成されている。つまり、帯状シート24自体も通気性を備えている。
【0030】
経糸24aと緯糸24bには、合成樹脂や天然素材等からなるモノフィラメントやフラットヤーンなどの適宜の材料が用いられる。帯状シート24や日よけ部材21を構成するシート材には、織物のほか、編物や不織布、ターポリン等の適宜の素材を使用できる。
【0031】
また、色は黒色であると日よけ効果が高いので好ましい。
【0032】
大きさは、比較的細幅であるほうが、施工上またメンテナンスの点で好ましい。具体的には、100mm〜500mm程度の幅の帯状であるとよい。
【0033】
さらに、表側、すなわち太陽光が直接当たる側の面には、図7に示したように光を反射する反射層25を備えるとよい。反射層25は、フィルムの貼り付けなどでも形成できるが、金属蒸着、より好ましくはステンレス蒸着によって形成するとよい。日よけ、遮光効率が高く、耐候性、耐久性も良好だからである。
【0034】
このような日よけ部材を固定する固定具31は、図8にも示したように、屋根12の上に固定する固定金具41と、この固定金具41の上に固定されて日よけ部材21を定着させる長尺状の定着具51とで構成される。
【0035】
固定金具31は、屋根12に対して着脱可能なもので、図9の斜視図に示したように形成されている。この固定金具41は、固定ボルト13(剣先ボルト)を用いて折板14を固定した屋根12のほか、吊子15(図11参照)を用いて折板14を馳締めした屋根12、さらにはボルトレスの嵌合式屋根(図示せず)に使用するのに好適なものである。
【0036】
ここで、屋根12について簡単に説明する。
屋根12は、H形鋼、C形鋼や下葺屋根等の下地材16の上に屋根板支持具17(タイトフレーム等)を固定した後、屋根板支持具17の上に屋根板としての折板14を固定して構成される。
【0037】
折板14の固定には、主として、図10に示したように屋根板支持具17の頂面に固定された固定ボルト13にパッキンと座金とナットを有する締め付け具18を取り付けて固定するボルト固定式と、図11に示したように、屋根板支持具17に吊子15を保持して、この吊子15に折板14の端縁14a,14bを馳締めして馳締め部19で固定する馳締め固定式と、図示はしないが長尺キャップ状の部材を嵌合して固定する嵌合式のものがある。
【0038】
固定金具41は、図9に示したように1枚の金属板からなる本体42と、この本体42を締め付けて変形させる締結具としてのボルト43ナット44で構成される。本体42は、定着具51を載置する平板状の載置部42aと、この載置部42aの左右両側から外側斜め下に向けて延びる左右一対の被締め付け部42bと、これら被締め付け部42bの下端部から左右方向内側に延びた後、外側に折り返されて屋根12における固定ボルト13または馳部19に圧接する圧接部42cを有する。この圧接部42cの先端縁における前後方向の中間部には、固定ボルト13を左右方向から締め付ける切欠部45が形成されている。切欠部45は、平面視三角形状に形成され、一方の圧接部42cで少なくとも上下2箇所ずつの合計4箇所が固定ボルト13の周面に食い込むように圧接する。
【0039】
なお、固定ボルト13に固定する固定金具41とする場合には、固定時に固定金具41の向きを正しく規制するため、本体42の下端から、外方斜め下に向けてハの字状に延び、折板14の肩部分に上から当たる定置片(図示せず)を延設するとよい。
【0040】
前記のボルト43は、本体42の被締め付け部42bに形成された角孔46に保持される。
【0041】
なお、図示例では、前記圧接部42cの折り返しを下方に行った例を示したが、上方に行うこともできる。また、圧接部42cの先端縁の形状を円弧状にした例を示したが、断面コ字状にするもよい。さらに、切欠部45の形状も平面視半円形など適宜の形状にすることもできる。
【0042】
図10は、固定ボルト13を用いた屋根12に対する固定状態を示す説明図、図11は、吊子15を用いた屋根12に対する固定状態を示す説明図である。このように同一構造の固定金具41であっても、各種の屋根12に対して固定することができる。
【0043】
定着具51は、図8に見られるように長尺に形成された支持フレーム52を有する。この支持レーム52は適宜長さに形成されているが、端部に設けられた接続構造(図示せず)によって継ぎ足して使用できる。
【0044】
この支持フレーム52は金属製で、図12にも示したように、上面の内側にアリ溝形状の固定溝52aを有する。すなわち、底板52bとこの底板52bの幅方向の両側から斜め内側に傾斜して延びる側板52cを有する。
【0045】
支持フレーム52を固定金具41の載置部42aに対して固定するには、図8に示したように、支持フレーム52の底板52bから載置部42aに対してタッピングねじ53を螺挿して行う。
【0046】
定着具51は、支持フレーム52のほかに、長尺の仮止めフレーム54と固定ばね55と、カバー56を有する。
【0047】
仮止めフレーム54は、可撓性を有する合成樹脂製で、支持フレーム52の固定溝52aに嵌合対応する形状に形成されている。この仮止めフレーム54と支持フレーム52との間に日よけ部材21又は帯状シート24の一部を挟み込んで、この状態を固定する。
【0048】
固定ばね55は、仮止めフレーム54の内底部で仮止めフレーム54の幅方向にばね性をもって突っ張るもので、同一平面において山と谷を繰り返す波型形状に形成されている。
【0049】
カバー56は、仮止めフレーム54を嵌めた支持フレーム52に対して上から被せるもので、図12に示したようにタッピングねじ57を支持フレーム52に向けて螺挿することで固定状態が維持される。
【0050】
日よけ部材21又は帯状シート24の固定は次のように行う。
まず、図8に示したように固定金具41を屋根12の上の固定ボルト13に対して適宜固定した後、固定金具41の載置部42aの上に支持フレーム52を横架させ、タッピングねじ53による固定を行う。次に、日よけ部材21又は帯状シート24の端部などの固定部分を支持フレームに乗せる。このとき、日よけ部材21又は帯状シート24の端部26をあまらせるとよい。また、帯状シート24を用いる場合には、幅方向の端縁23同士が突き合うように並べる。この突き合せは厳格なものでなくともよい。複数枚の日よけ部材21を並べる場合でも同様に、端縁23同士が突き合うように並べる。すると、端縁23同士が付き合った直線状をなす開閉部22が複数本形成される。開閉部22は、開閉部22の長さ方向において、図2に示したように、日よけ部材の端から端まで形成されるのが好ましい。
【0051】
そして、仮止めフレーム54を支持フレーム52に嵌めて仮止めを行い、つづいて固定バネ55を仮止めフレーム54の内底部に嵌め込んで、日よけ部材21又は帯状シート24の固定状態を保持する。最後に、カバー56を支持フレーム52の上から固定する。このとき、あまらせた日よけ部材21又は帯状シート24の端部26を折り返す(図12参照)。
【0052】
なお、日よけ部材21又は帯状シート24の中間部を固定する場合には、図5に示したように、カバー56を被せるだけでよい。
【0053】
また、帯状シート24を固定する場合には、図13に示したように屋根12上に空気調和機の室外機61があるようなとき、帯状シート24を張るのに際してそれぞれの帯状シート24において室外機61の脚部62などをかわせばよく、室外機61などの屋根上構造物があっても日よけ部材21を張設することができる。
【0054】
前記のようにして日よけ部材21が屋根12の上に張設されると、図2に示したように屋根の全面が覆われる。そして、日よけ部材21が遮光を行うので、日よけ部材21の下側は、図14に示したように、日陰となる。つまり、屋根12の表面側に日陰空間71が形成される。
【0055】
日よけ部材21は固定金具41と定着具51とからなる固定具31で張設されるので、前記日陰空間71の高さは、屋根12の表面の最も高い位置(山部の上面位置)から固定金具41の高さと支持フレーム52の高さをあわせた上方位置までとなり、比較的広い日陰空間71を形成できる。
【0056】
このような日陰空間71を有するので、屋根12の温度上昇は抑制される。しかも、日よけ部材21が開閉部22を有するので、日陰空間71には光が極力入らないようにすることができる。また、日よけ部材21の開閉部22は、下から又は上からの空気の移動、さらには横方向から吹き付ける風によって、図15に示したように左右バラバラに開閉動作をする。風による空気の移動のほか、開閉部22の開閉動作によって空気の流通が促進される。そのうえ、強風が吹き込んだ場合には、開閉部22においてエジェクタ類似の作用が起こり、発生した負圧によっても空気の流通が促される。このため、空気の流通性が極めて良好である。また、風の作用がなければ開閉部22は元通りの突き合わせられた状態に戻り、遮光をする。
【0057】
つまり、良好な遮光性のほか、高い通気性によっても、屋根12の温度上昇を抑制でき、優れた温度上昇抑制作用を実現できる。
【0058】
この結果、屋根12の温度上昇を極力抑えることができ、冷房効率の向上が図れる。その上、屋根12の温度上昇を抑えられるので、屋根12の伸縮に伴う音なりの防止も可能である。
【0059】
また、開閉部22は直線状であるので、その長さ方向のいずれの部位においても開閉動作が行われる。屋根が受ける風による影響は、風向き、屋根の向き、勾配、風の種類、隣接する建物の有無や形状等によって千差万別であるが、前記のように開閉部が直線状をなすので、どのような条件であっても、日よけ部材21が飛散したり損傷したりするような不都合を回避できる。
【0060】
さらに、日よけ部材21は、屋根12の表面から離れた位置に張設されているので、雨が屋根12に当たるときの雨音を抑えることができる。
【0061】
加えて、雪が降ったり落ち葉やゴミ等が飛来したりした場合には、それらのものは開閉部22に乗る。しかし、開閉部22は端縁23同士が突き合って構成されているので、開閉部22に乗ったものが落ち葉などのように軽いものである場合には開閉部22を通って容易に落ちることはない。このため詰りの発生を防止できる。一方、開閉部22に乗ったものが雪などのように重いものXの場合には、図16に示したように、開閉部22から屋根12上に入るが、前記のように通気性が良好であるので、開閉部22に乗ったものが開閉部22に詰るようなことはなく、円滑な排出が図れる。
【0062】
さらにまた、日よけ部材21の存在により屋根12の表面が太陽光や風雨にさらされることはないので、折板14の塗装の劣化をおさえ、屋根12の耐久性を向上できる。このため、屋根12のメンテナンス(塗装)回数を低減できる。
【0063】
また、日よけ部材21を固定している固定具31の固定金具41が屋根12に対して着脱自在であるので、不要になった場合、建物を返還する場合等に、屋根用日よけ装置11を簡単に取り外せ、原状に戻すことができる。
【0064】
さらに、日よけ部材21を帯状シート24で構成した場合にはね帯状シート24を並べ施工するときに、端から順番に並べてゆけばよいので、材料たる帯状シート24の無駄がない。その上、日よけシート部材21の一部が破れたりした場合にはその部分だけを簡単に交換できるので、最小限のメンテナンスですみ、この点でも経済的である。
【0065】
また、固定金具41は前記のように、ボルト43ナット44で締め付けて固定する簡素な構造である上に、圧接部42cに切欠部45を有するので、コストを抑え、施工作業を容易にし、さらには固定ボルト13に対しても強固な固定ができる。
【0066】
特に、固定ボルト13を用いて折板14を固定した既設の屋根12では、固定ボルト13が風雨にさらされて経年変化し、ねじ山が腐食しているような場合があるが、そのような場合であっても、確実に固定できる。
【0067】
さらに、固定金具41は、固定ボルト13に螺合している締め付け具18ではなく、固定ボルト13に対して固定するので、締め付け具18のパッキンを損傷してしまうことを回避できる。
【0068】
なお、固定具31には、前記の構成のものに限らず、適宜の部材を使用することができる。たとえば、各種屋根に屋根上構造物を固定するために用いられる既製の屋根上構造物取り付け金具を利用できる。
【0069】
また、開閉部22の形成方向は固定具に相当する部材の構造等によって適宜設定されるが、屋根12が円弧を描くアール屋根の場合には、図17のアール屋根に対する屋根用日よけ部材を取り付けた状態を示す一部破断斜視図に示したように、屋根12湾曲する方向と直交する方向に開閉部22が形成されるように日よけ部材21を固定する。
【0070】
屋根12が小面積である場合、たとえば図18に示したような金融機関の現金自動預け払い機(ATM)を備えた小型建物のような建物の屋根12に使用する場合には、日よけ部材21を1枚のシート体で構成するとよい。すなわち、シート体に対して直線状の切れ目を入れて、開閉部22を備える。直線状の切れ目からなる開閉部22は、図示例では同一方向に形成したが、複数方向に延びるように形成することもできる。
【0071】
この発明の構成と、前記の一形態の構成との対応において、
この発明の外装体用日よけ装置は、前記の屋根用日よけ装置11に対応し、
以下同様に、
外装体は、屋根12に対応し、
締結具は、ボルト43ナット44に対応し、
外装体における表面側に突出する部分は、固定ボルト13、馳締め部19に対応するも、
この発明は前記の構成のみに限定されるものではなく、その他の形態を採用することができる。
【0072】
たとえば、外装体としてはサイディングで構成された外壁であるもよい。
【0073】
また、固定具は前記もしたように固定部位(たとえば屋根であるか外壁であるか)に応じた適宜の構造のものを使用でき、固定方法も、前記のような定着具によるもののほか、たとえば日よけ部材の固定部分に鳩目等により孔を形成し、この孔にロープやワイヤ、シンシュロックタイなどを通して固定することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】屋根用日よけ装置を備えた屋根の断面図。
【図2】屋根用日よけ装置を備えた屋根の外観を示す斜視図。
【図3】屋根用日よけ装置を備えた屋根を示す斜視図。
【図4】屋根用日よけ装置の固定状態を示す断面図。
【図5】屋根用日よけ装置の固定状態を示す断面図。
【図6】帯状シートの斜視図。
【図7】日よけ部材又は帯状シートの断面構造を示す断面図。
【図8】固定具を示す斜視図。
【図9】固定金具の斜視図。
【図10】固定金具とその固定状態を示す断面図。
【図11】固定金具とその固定状態を示す断面図。
【図12】固定具による固定状態を示す断面図。
【図13】帯状シートの固定状態を示す斜視図。
【図14】屋根用日よけ装置の作用状態を示す説明図。
【図15】開閉部の作用状態を示す断面図。
【図16】開閉部の作用状態を示す断面図。
【図17】他の例に係る屋根用日よけ装置を備えた屋根の一部破断斜視図。
【図18】他の例に係る屋根用日よけ装置を備えた屋根の斜視図。
【符号の説明】
【0075】
11…屋根用日よけ装置
12…屋根
13…固定ボルト
19…馳締め部
21…日よけ部材
22…開閉部
23…端縁
24…帯状シート
25…反射層
31…固定具
41…固定金具
42a…載置部
42b…被締め付け部
42c…圧接部
43…ボルト
44…ナット
45…切欠部
51…定着具

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外装体の表面側において外装体の面方向に広がる日よけ部材と、
該日よけ部材を外装体の表面側に固定する固定具を有し、
前記日よけ部材が、空気の流通で開閉動作する直線状をなす開閉部を複数本備え、
これら開閉部を構成する相互に対向した端縁同士が付き合わされるとともに、
前記固定具が、前記日よけ部材を外装体の表面から浮かせた状態で固定するものである
外装体用日よけ装置。
【請求項2】
前記日よけ部材が、帯状をなす帯状シートを突き合わせて平行に並べて構成された
請求項1に記載の外装体用日よけ装置。
【請求項3】
前記日よけ部材が、シート体に切れ目を入れて形成された
請求項1に記載の外装体用日よけ装置。
【請求項4】
前記日よけ部材の開閉部が、日よけ部材における開閉部が形成される方向の端から端まで形成された
請求項1から請求項3のうちのいずれか一項に記載の外装体用日よけ装置。
【請求項5】
前記日よけ部材の表面に、光を反射する反射層が備えられた
請求項1から請求項4のうちいずれか一項に記載の外装体用日よけ装置。
【請求項6】
前記固定具が、外装体の表面側に固定する固定金具と、該固定金具の上に固定されて日よけ部材を定着させる長尺状の定着具とで構成された
請求項1から請求項5のうちのいずれか一項に記載の外装体用日よけ装置。
【請求項7】
前記固定金具が外装体に対して着脱可能である
請求項6に記載の外装体用日よけ装置。
【請求項8】
前記固定金具が、前記定着具を載置する載置部と、
該載置部の左右両側から下方へ延びる左右一対の被締め付け部と、
これら被締め付け部を締め付けて接近させる締結具と、
前記締め付け部の下端部から左右方向内側に延びたのち外側に折り返され、外装体における表面側に突出する部分に圧接する圧接部を有し、
前記圧接部の先端縁の一部には、外装体における表面側に突出する固定ボルトを締め付ける切欠部が形成された
請求項6または請求項7に記載の外装体用日よけ装置。
【請求項9】
前記請求項1から請求項8のうちいずれか一項に記載の外装体用日よけ装置を備えた
外装体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2010−112007(P2010−112007A)
【公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−283135(P2008−283135)
【出願日】平成20年11月4日(2008.11.4)
【出願人】(508079418)
【出願人】(392002918)日本ワイドクロス株式会社 (12)
【Fターム(参考)】