説明

外観検査装置

【課題】外観検査に要する手間やコストを低減する上で有利な外観検査装置を提供する。
【解決手段】デジタルカメラ18の撮像光学系の色収差が補正されたプリント配線基板4の色収差補正カラー画像データDc2を生成する。この色収差補正カラー画像データDc2と座標位置が一致するように生成した検査用データDBを色収差補正カラー画像データDc2と照合してプリント配線基板4の外観検査を行う。プリント配線基板4の外観検査は、例えば、電子部品2の位置ずれの大きさを検出することで、あるいは、電子部品2の欠品を検出することでなされる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は外観検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子部品が実装されるプリント配線基板などの被検査物を検査する外観検査装置が用いられている。
このような外観検査装置として、1枚のプリント配線基板の全体を撮像装置によって撮像し、得られたカラー画像に基づいて被検査物を検査する外観検査装置が提案されている。
この場合、プリント配線基板あるいは撮像装置を相対的に移動させる必要が無いため、コストの低減を図る上で有利となる。
しかしながら、上記従来技術では、撮像装置の撮像光学系によって広い範囲を撮像する必要上、撮像光学系の画角が広角となるため、撮像された画像に色収差の影響が現れ、測定精度の低下が懸念される。
そのため、校正用のワークを撮像して校正用のデータを取得しておき、校正用のデータを用いて画像データの補正を行うことが提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−198773号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来技術では、校正に要する手間やコストがかかる不利があった。
本発明はこのような事情に鑑みなされたものであり、その目的は、外観検査に要する手間やコストを低減する上で有利な外観検査装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述の目的を達成するため、本発明の外観検査装置は、撮像光学系を有し、該撮像光学系を用いて座標位置の基準点となる複数のアライメントマークを有する被検査物を撮像することにより前記被検査物のカラー画像データを生成する撮像手段と、前記被検査物のカラー画像データを、赤色、緑色、青色の3原色の成分に分解した第1、第2、第3の画像データに変換する画像データ変換手段と、前記第1、第2、第3の画像データから前記アライメントマークの輪郭を表す第1、第2、第3の輪郭データをそれぞれ抽出する輪郭データ抽出手段と、前記第1、第2、第3の輪郭データのうち、予め特定された1つの輪郭データを特定輪郭データとしたとき、前記特定輪郭データに対して残りの2つの輪郭データが合致するように、前記第1、第2、第3の画像データを変換して第1、第2、第3の補正画像データを生成する画像データ補正手段と、前記第1、第2、第3の補正画像データを合成することにより、前記撮像光学系の色収差が補正された前記被検査物の色収差補正カラー画像データを合成する画像データ合成手段と、前記色収差補正カラー画像データに含まれる前記アライメントマークの座標位置に対して、前記被検査物の設計データに含まれるアライメントマークの座標位置が一致するように前記設計データを変換することにより検査用データを生成する検査用データ生成手段と、前記色収差補正カラー画像データと、前記検査用データとを照合することにより前記被検査物の外観検査を行う外観検査手段とを備える。
【発明の効果】
【0006】
撮像光学系の色収差が補正された被検査物の色収差補正カラー画像データを生成し、この色収差補正カラー画像データと座標位置が一致するように生成した検査用データを照合して外観検査を行うようにした。
そのため、従来行っていた校正用のワークを撮像して校正用のデータを取得する必要が無く、外観検査に要する手間やコストを低減する上で有利となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本実施の形態の外観検査装置10の構成を示すブロック図である。
【図2】制御装置20を構成するコンピュータのブロック図である。
【図3】プリント配線基板4の平面図である。
【図4】アライメントマーク6の説明図である。
【図5】外観検査装置10による画像処理の説明図である。
【図6】外観検査装置10の動作フローチャートである。
【図7】色収差補正処理の詳細を示すフローチャートである。
【図8】色収差補正カラー画像データDc2と検査用データDBとの関係を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
本実施の形態では、外観検査装置10(図1)によって外観検査を行う被検査物が、図3に示すように、電子部品2が実装されるプリント配線基板4である場合について説明する。
プリント配線基板4は薄板状を呈し、本実施の形態では、プリント配線基板4は、矩形板状を呈している。
プリント配線基板4の少なくとも一方の面は電子部品2が実装される実装面として形成され、実装面には複数のアライメントマーク6が設けられている。
アライメントマーク6は、外観検査装置10による外観検査を行う際に、座標位置の基準点となるものである。
プリント配線基板4は、プリント配線基板4の実装面に形成された銅箔4Aと、銅箔4Aを覆うレジスト4Bとを含んで構成されている。
図4に示すように、アライメントマーク6は、銅箔4Aを覆うレジスト4Bに設けられた開口4Cの内側に位置する銅箔4Aの部分によって形成されている。
本実施の形態では、開口4Cの形状、すなわち、アライメントマーク6の形状は、正円であるが、アライメントマーク6の形状としては矩形、三角形、多角形など種々の形状が使用可能であり、アライメントマーク6の形状は限定さない。
ここで、銅箔4Aは、オレンジ色を呈しており、レジスト4Bは、緑色と青色が混じった色を呈している。
【0009】
次に外観検査装置10について説明する。
図1に示すように、外観検査装置10は、ステージ12と、照明部14と、搬送部16と、デジタルカメラ18と、制御装置20とを含んで構成されている。
【0010】
ステージ12は、平坦な載置面12Aを有し、この載置面12Aにプリント配線基板4が実装面を上方に向けた状態で載置される。
【0011】
照明部14は、不図示のフレームを介してステージ12の上方に支持され、ステージ12に載置されたプリント配線基板4の実装面に向けて照明光を照射するものである。
照明部14は、後述する制御手段22(図1)の制御に基づいて照明光の色や光量などが制御される。
【0012】
搬送部16は、外観検査を行うべきプリント配線基板4をステージ12の載置面12A上に搬送して載置し、また、外観検査が終了したプリント配線基板4をステージ12の載置面12A上から取り出して搬送するものである。
搬送部16は、後述する制御手段22(図1)の制御に基づいて搬送動作が制御される。
【0013】
デジタルカメラ18は、本発明の撮像手段を構成するものであり、筐体18Aと、筐体18Aの前面から突設された円筒状のレンズ鏡筒18Bとを備えている。
レンズ鏡筒18Bは、被写体像を捉える撮像光学系を収容保持している。
筐体18Aには、前記撮像光学系で結像された被写体像を撮像する撮像素子と、この撮像素子によって生成された撮像信号に基づいてカラー画像データDc1を生成する信号処理部などが収容されている。
デジタルカメラ18は、後述する制御手段22(図1)の制御に基づいて撮像動作が制御される。
本実施の形態では、デジタルカメラ18は、前記撮像光学系の光軸を水平方向に向けて配置されると共に、撮像光学系の光軸とステージ12の載置面12Aを通る鉛直線の交点に、前記光軸と45度をなす反射ミラー19が配置されている。
したがって、ステージ12に載置されたプリント配線基板4の像は、反射ミラー19で反射されて前記撮像光学系に導かれる。すなわち、プリント配線基板4と前記撮像光学系とを結ぶ光路が90度屈曲されている。
このように構成することにより、プリント配線基板4と撮像光学系との間の光路長を確保しつつ、デジタルカメラ18をステージ12の近傍に配置することができる。
そのため、撮像光学系によって撮像する領域の拡大を図りつつ、外観検査装置10の占有スペースの縮小を図る上で有利となっている。
【0014】
制御装置20は、図2に示すコンピュータ100によって構成されている。
コンピュータ100は、CPU102と、ROM104、RAM106、ハードディスク装置108、ディスク装置110、キーボード112、マウス114、ディスプレイ116、入出力インターフェース118などを有している。
ROM104は制御プログラムなどを格納し、RAM106はワーキングエリアを提供するものである。
ハードディスク装置108は外観検査装置10を機能させるための外観検査装置用プログラムを格納している。
ディスク装置110はCDやDVDなどの記録媒体に対してデータの記録および/または再生を行うものである。
キーボード112およびマウス114は、操作者による操作入力を受け付けるものである。
ディスプレイ116はデータを表示出力するものである。
入出力インターフェース118は、照明部14、搬送部16、デジタルカメラ18との間でデータの授受を行うものである。
より詳細には、入出力インターフェース118は、照明部14との間で照明部14を制御するためのデータを授受する。
入出力インターフェース118は、搬送部16との間で搬送部16を制御するためのデータを授受する。
また、入出力インターフェース118は、デジタルカメラ18との間でデジタルカメラ18を制御するためのデータを授受し、また、デジタルカメラ18から供給されるカラー画像データを受け取る。
【0015】
図1に示すように、制御装置20は、機能的には、制御手段22と、前処理手段23と、画像データ変換手段24と、輪郭データ抽出手段26と、画像データ補正手段28と、画像データ合成手段30とを備えて構成されている。
また、制御装置20は、検査用データ生成手段32と、外観検査手段34と、記憶手段36と、表示手段38とをさらに含んで構成されている。
これら制御手段22、前処理手段23、画像データ変換手段24、輪郭データ抽出手段26、画像データ補正手段28、画像データ合成手段30は、CPU102が前記の外観検査装置用プログラムを実行することで実現される。
また、検査用データ生成手段32、外観検査手段34は、CPU102が前記の外観検査装置用プログラムを実行することで実現される。
記憶手段36は、図2に示すRAM106、ハードディスク装置108、ディスク装置110に装填された記録媒体などで構成される。
記憶手段36には、照明部14およびデジタルカメラ18の設定を行うための撮像設定データが予め記憶されている。
また、記憶手段36には、設計データDAが記憶されている。
設計データDAは、プリント配線基板4に実装される電子部品2の形状と該電子部品2が実装されるべき座標位置を規定するデータを含む。
また、設計データDAは、プリント配線基板4の形状および寸法を規定するデータを含む。
表示手段38は、図2に示すディスプレイ116で構成される。
【0016】
制御手段22は、照明部14、搬送部16、デジタルカメラ18、記憶手段34、表示手段36の制御を行うものである。
【0017】
前処理手段23は、プリント配線基板4のカラー画像データDc1におけるレンズ歪曲収差の補正、シェーディングの補正を行うものである。
これらレンズ歪曲収差の補正、シェーディングの補正は従来公知のさまざまな手法によってなされる。
【0018】
画像データ変換手段24は、前処理手段23で補正されたプリント配線基板4のカラー画像データDc1を、赤色、緑色、青色の3原色の成分に分解した第1、第2、第3の画像データD01、D02、D03に変換するものである。
【0019】
輪郭データ抽出手段26は、第1、第2、第3の画像データD01、D02、D03からアライメントマーク6の輪郭を表す第1、第2、第3の輪郭データD11、D22、D13をそれぞれ抽出するものである。
【0020】
画像データ補正手段28は、第1、第2、第3の画像データD01、D02、D03を変換して第1、第2、第3の補正画像データD21、D22、D23を生成するものである。
すなわち、各輪郭データD11、D22、D13のうち、予め特定された1つの輪郭データを特定輪郭データとする。
そして、画像データ補正手段28は、特定輪郭データに対して残りの2つの輪郭データが合致するように各画像データD01、D02、D03を変換して各補正画像データD21、D22、D23を生成する。
【0021】
画像データ合成手段30は、第1、第2、第3の補正画像データD21、D22、D23を合成することにより、前記撮像光学系の色収差が補正されたプリント配線基板4の色収差補正カラー画像データDc2を合成するものである。
【0022】
検査用データ生成手段32は、設計データDAを変換することにより検査用データDBを生成するものである。
検査用データ生成手段32による設計データDAを変換は、色収差補正カラー画像データDc2に含まれるアライメントマーク6の座標位置に対して、プリント配線基板4の設計データDAに含まれるアライメントマーク6の座標位置が一致するようになされる。
【0023】
外観検査手段34は、色収差補正カラー画像データDc2と、検査用データDBとを照合することによりプリント配線基板4の外観検査を行うものである。
【0024】
次に、図6のフローチャートを参照して外観検査装置10の動作について説明する。
制御手段22は記憶手段34に予め記憶されている撮像設定データを読み込む(ステップST1)。
そして、制御手段22は、この撮像設定データに基づいて照明部14、デジタルカメラ18の設定を行う(ステップST2)。
具体的には、制御手段22は、照明部14の照明光の光の色、光量を設定し、また、デジタルカメラ18の絞りやシャッター速度などを設定する。
【0025】
次に、制御手段22は、搬送部16を制御して、外観検査をすべきプリント配線基板4を搬送してステージ2の載置面2A上に載置する(ステップST3)。
この際、プリント配線基板4は載置面2A上に従来公知の位置決め機構を用いて位置決めされる。
【0026】
次に、制御手段22は、デジタルカメラ18を制御して1枚のプリント配線基板4の実装面の全体を撮像する(ステップST4)。
これにより、デジタルカメラ18から制御装置20に1枚のプリント配線基板4の実装面の全体のカラー画像データDc1が供給される(ステップST5)。
【0027】
前処理手段23は、プリント配線基板4のカラー画像データDc1におけるレンズ歪曲収差の補正、シェーディングの補正を行う(ステップST6、PR1、PR2)。
なお、レンズ歪曲収差の補正、シェーディングの補正の必要が無ければ、前処理手段23による補正処理を省略しても良い。
制御手段20は、設計データDAを記憶手段36から読み込む(ステップST7)。
【0028】
次に、撮像画像色収差補正処理が実行される(ステップST8)。
図5、図7を参照して、撮像画像色収差補正処理について詳細に説明する。
プリント配線基板4のカラー画像データDc1は、撮像光学系の色収差による影響を受ける。
すなわち、カラー画像データDc1で表示される像の輪郭は、光の波長に応じて異なる位置と大きさで表示されるので、像の輪郭がぼやけたものとなっている。
具体的には、アライメントマーク6は正円形状であるにも拘わらず、図5(E)に示すように、カラー画像データDc1で表示されるアライメントマーク6の輪郭は色収差による影響を受けてぼやけたものとなる。
【0029】
画像データ変換手段24は、前処理手段23で補正されたプリント配線基板4のカラー画像データDc1を、赤色、緑色、青色の3原色の成分に分解した第1、第2、第3の画像データD01、D02、D03に変換する(ステップST20)。
ステップST20の処理を図5(A)、(B1)、(B2)、(B3)に示す。
この場合、第1、第2、第3の画像データD01、D02、D03はグレー階調で示される。
本実施の形態では、前述したように、銅箔4Aは、オレンジ色を呈しており、レジスト4Bは、緑色と青色が混じった色を呈している。
したがって、第1、第2、第3の画像データD01、D02、D03のうち、赤色の成分がグレー階調で示される第1の画像データD01は、アライメントマーク6の画像のコントラストが最も高くなる。
これに対して、緑色の成分がグレー階調で示される第2の画像データD02および青色の成分がグレー階調で示される第3の画像データD03は、第1の画像データD01よりもコントラストが低下したものとなる。
この結果、第1、第2、第3の画像データD01、D02、D03のうち、第1の画像データD01はアライメントマーク6の画像の輪郭が最も鮮明であり、第2、第3の画像データD02、D03はアライメントマーク6の画像の輪郭がややぼやけたものとなる。
【0030】
次いで、輪郭データ抽出手段26は、第1、第2、第3の画像データD01、D02、D03からアライメントマーク6の輪郭を表す第1、第2、第3の輪郭データD11、D12、D13をそれぞれ抽出する(ステップST22)。
ステップST22の処理を図5(A)、(B1)〜(B3)に示す。
【0031】
画像データ補正手段28は、第1、第2、第3の画像データD01、D02、D03を変換して第1、第2、第3の補正画像データD21、D22、D23を生成する(ステップST24)。
すなわち、第1、第2、第3の輪郭データD11、D12、D13のうち、予め特定された1つの輪郭データを特定輪郭データとする。
本実施の形態では、アライメントマーク6の画像の輪郭が最も鮮明な第1の画像データD01から抽出された第1の輪郭データD11を特定輪郭データD11とする。
したがって、この特定輪郭データD11は最も鮮明なものとなる。
図5(F)に示すように、これら3つの輪郭データD11、D22、D13を重ね合わせると、前述した色収差によって、3つの輪郭データD11、D22、D13はそれぞれ位置がずれると共に大きさも異なるものとなる。
そこで、画像データ補正手段28は、図5(G)に示すように特定輪郭データD11に対して残りの2つの輪郭データD12、D13が合致するように、各画像データD01、D02、D03を変換する。これにより、図5(C1)〜(C3)に示すように、各補正画像データD21、D22、D23を生成する。
画像データ補正手段28による各補正画像データD21、D22、D23の生成は、各画像データD01、D02、D03をアフィン変換または投影変換の双方または一方を用いて変換することによってなされる。なお、投影変換はProjective変換あるいは射影変換とも表記される。
【0032】
画像データ合成手段30は、第1、第2、第3の補正画像データD21、D22、D23を合成することにより、図5(D)に示すように色収差が補正されたプリント配線基板4の色収差補正カラー画像データDc2を合成する(ステップST26)。
【0033】
図6に示すように、検査用データ生成手段32は、設計データDAを変換することにより検査用データDBを生成する(ステップST9)。
検査用データ生成手段32による設計データDAを変換は次のように行われる。
すなわち、図8に示すように、色収差補正カラー画像データDc2に含まれるアライメントマーク6の座標位置P0に対して、プリント配線基板4の設計データDAに含まれるアライメントマーク6の座標位置P1が一致するように行われる。
検査用データ生成手段32による検査用データDBの生成は、設計データDAをアフィン変換または投影変換の双方または一方を用いて変換することによってなされる。
言い換えると、設計データDAを変形させて検査マスクとしての検査用データDBを作成する。
図8において二点鎖線で示す枠線8は検査用データDBを表すものであって、枠線8は各電子部品2の形状と電子部品2が実装されるべき座標位置を規定する。
【0034】
次に、外観検査手段34は、色収差補正カラー画像データDc2の座標位置と、検査用データDBの座標位置との照合を行い(ステップST10)、照合結果が一致するか否かを判定する(ステップST11)。
この場合、照合対象となる座標位置は、例えば、プリント配線基板4の実装面上に予め定められた箇所の指標(マーク)の座標位置である。
ステップST11が否定ならば、リトライカウンタに1を加算し、リトライカウンタの計数値Nが基準値aを上回ったか否かを判定し(ステップST16)、その判定結果が否定ならば、リトライする。
すなわち、現在検査中のプリント配線基板4の姿勢や位置が何らかの原因で、位置決めされるべき位置からずれているものと判断してステップST3に戻りステージ12への搬送、載置の動作をやりなおす。
ステップST16が肯定ならば、プリント配線基板4に異常があるものとして、表示手段36にアラーム表示を実行させ、作業員に報知する(ステップST17)。このような異常の発生原因としては、例えば、検査すべきプリント配線基板4と異なるプリント配線基板が誤ってステージ12上に載置されることが挙げられる。
次いで後述するステップST15に移行して、異常発生を示すデータを記憶手段34に記憶する。
【0035】
ステップST11が肯定ならば、外観検査手段34は、色収差補正カラー画像データDc2と、検査用データDBとを照合することによりプリント配線基板4の外観検査を行う(ステップST12)。
例えば、図8に示すように、外観検査手段34は、枠線8に対する電子部品2の位置ずれの大きさを検出し、また、枠線8に電子部品2が無ければ欠品を検出する。
言い換えると、電子部品2と枠線8との画像のずれ、あるいは、枠線8と電子部品2との不一致に基づいて、電子部品2の位置ずれの大きさを検出し、欠品を検出する。
このようなプリント配線基板4の外観検査として従来公知のさまざまな検査が採用可能である。
【0036】
次いで、外観検査手段34は、ステップST12で検出した電子部品2の位置ずれや欠品を示す数値から判定値を演算により求める(ステップST13)。
そして、この判定値を基準値と比較して合否判定を行う(ステップST14)。
ステップST14が肯定ならば、ステップST12で検出された数値やステップST13で演算された判定値を含むデータを集計して記憶手段34に記憶する(ステップST15)。
また、ステップST14が否定ならば、ステップST17でアラーム表示をした後、ステップST15に移行する。
【0037】
本実施の形態によれば、撮像光学系の色収差が補正されたプリント配線基板4の色収差補正カラー画像データDc2を生成し、この色収差補正カラー画像データDc2と座標位置が一致するように生成した検査用データDBを照合して外観検査を行うようにした。
そのため、従来実施していた校正が不要となるため、外観検査に要する手間やコストを低減する上で有利となる。
【0038】
なお、本実施の形態では、被検査物がプリント配線基板である場合について説明したが、本発明は被検査物がプリント配線基板以外のものであっても適用可能であることは無論である。
【符号の説明】
【0039】
4……プリント配線基板(被検査物)、6……アライメントマーク、10……外観検査装置、18……デジタルカメラ(撮像手段)、24……画像データ変換手段、26……輪郭データ抽出手段、28……画像データ補正手段、30……画像データ合成手段、32……検査用データ生成手段、34……外観検査手段。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像光学系を有し、該撮像光学系を用いて座標位置の基準点となる複数のアライメントマークを有する被検査物を撮像することにより前記被検査物のカラー画像データを生成する撮像手段と、
前記被検査物のカラー画像データを、赤色、緑色、青色の3原色の成分に分解した第1、第2、第3の画像データに変換する画像データ変換手段と、
前記第1、第2、第3の画像データから前記アライメントマークの輪郭を表す第1、第2、第3の輪郭データをそれぞれ抽出する輪郭データ抽出手段と、
前記第1、第2、第3の輪郭データのうち、予め特定された1つの輪郭データを特定輪郭データとしたとき、前記特定輪郭データに対して残りの2つの輪郭データが合致するように、前記第1、第2、第3の画像データを変換して第1、第2、第3の補正画像データを生成する画像データ補正手段と、
前記第1、第2、第3の補正画像データを合成することにより、前記撮像光学系の色収差が補正された前記被検査物の色収差補正カラー画像データを合成する画像データ合成手段と、
前記色収差補正カラー画像データに含まれる前記アライメントマークの座標位置に対して、前記被検査物の設計データに含まれるアライメントマークの座標位置が一致するように前記設計データを変換することにより検査用データを生成する検査用データ生成手段と、
前記色収差補正カラー画像データと、前記検査用データとを照合することにより前記被検査物の外観検査を行う外観検査手段とを備える、
外観検査装置。
【請求項2】
前記第1、第2、第3の画像データはグレー階調で示される、
請求項1記載の外観検査装置。
【請求項3】
前記画像データ補正手段による前記第1、第2、第3の補正画像データの生成は、前記第1、第2、第3の画像データをアフィン変換または投影変換の双方または一方を用いて変換することによってなされる、
請求項1記載の外観検査装置。
【請求項4】
前記検査用データ生成手段による前記検査用データの生成は、前記設計データをアフィン変換または投影変換の双方または一方を用いて変換することによってなされる、
請求項1記載の外観検査装置。
【請求項5】
前記被検査物は、電子部品が実装されるプリント配線基板であり、
前記設計データは、前記プリント配線基板に実装される前記電子部品の形状と該電子部品が実装されるべき座標位置を規定するデータを含む、
請求項1記載の外観検査装置。
【請求項6】
前記被検査物は、電子部品が実装されるプリント配線基板であり、
前記プリント配線基板は、該プリント配線基板の実装面に形成された銅箔と、前記銅箔を覆うレジストとを含み、
前記アライメントマークは、前記銅箔を覆う前記レジストに設けられた開口の内側に位置する前記銅箔の部分によって形成されている、
請求項1記載の外観検査装置。
【請求項7】
前記被検査物は、電子部品が実装されるプリント配線基板であり、
前記外観検査手段による前記被検査物の外観検査は、前記電子部品の実装位置のずれを検出することによって、あるいは、前記電子部品の欠品の有無を検出することによってなされる、
請求項1記載の外観検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−38784(P2011−38784A)
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−183552(P2009−183552)
【出願日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】