説明

多並列電源装置

【課題】多数の電源ブロックを並列接続した場合においても、耐ノイズ性が高く、動作が安定であり、制御応答の速い多並列電源装置を得る。
【解決手段】複数の電流制御型電源ブロック1a、1b、・・・1nを並列接続し、電流指令値は出力電圧をフィードバックして制御する。電圧フィードバック信号の高周波成分は各々の電源ブロック1a、1b、・・・1n毎に設けられたローカルフィードバック経路18を介して伝送する一方、電圧フィードバック信号の低周波成分は複数の電源ブロック1a、1b、・・・1nに共通して設けられたグローバルフィードバック経路19を介して伝送する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は多並列電源装置に係り、特に、複数の電源ブロックを並列に接続し、出力の増大を図る多並列電源装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の電源ブロックを並列に接続し、同じ負荷を分担して受け持つ並列スイッチングレギュレータ装置が公知である。この並列スイッチングレギュレータ装置においては、1つの主(マスター)電源ブロックとn個の従(スレーブ)電源ブロックが備えられており、マスター電源ブロックは、出力電圧を基準電圧と比較して制御信号(エラー信号)を発生し、このエラー信号は全てのスレーブ電源ブロックに送られる。そして、それぞれの電源ブロックに設けられた基本電流モード制御回路により、それぞれの電源ブロックの出力電流を負荷電流の1/nに制御することにより、電源ブロック間の電流平衡を保つものである(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開平1−129718号公報(「発明の概要」の欄、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に開示されている電源装置においては、上述のようにマスター電源ブロックから、全てのスレーブ電源ブロックにエラー信号を送っており、多数の電源ブロックを並列に接続する場合、エラー信号線が複数の電源ブロックに亘って長い距離配線されるので、エラー信号にノイズが乗り、動作が不安定になる課題があった。
【0005】
エラー信号をデジタル信号によって伝送すれば、ノイズによる誤動作の可能性は低くなると考えられるが、機器間のデジタル信号による通信は一般的にアナログ信号に比べて遅く、その結果制御応答が遅くなり、例えば負荷電流に急激な変動があった場合などに、出力電圧が大きく変動することになる。
【0006】
この発明は、このような課題を解決するためになされたもので、多数の電源ブロックを並列接続した場合においても、耐ノイズ性が高く、動作が安定であり、制御応答の速い多並列電源装置を得ることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、この発明に係る多並列電源装置は、並列接続され、フィードバック信号に基づいてフィードバック制御が行われる複数の電源ブロックを備えた多並列電源装置であって、上記多並列電源装置から出力される電気量を検出する電気量検出手段と、上記複数の電源ブロックのそれぞれに設けられたローカルフィードバック経路と、上記複数の電源ブロックに共通して設けられたグローバルフィードバック経路と、を備え、上記電気量に基づく電気信号は、上記ローカルフィードバック経路および上記グローバルフィードバック経路に分岐して伝送されて上記フィードバック信号となり、上記グローバルフィードバック経路を伝送される電気信号の周波数分布の中心周波数は、上記ローカルフィードバック経路を伝送される電気信号の周波数分布の中心周波数よりも低いことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0008】
この発明に係る多並列電源装置によれば、多数の電源ブロックを並列に接続した場合であっても、耐ノイズ性が高く、急激な負荷変動に対して高速に応答しつつ、電源ブロック間の電流バランスを確保することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、添付の図面を参照して、この発明に係る多並列電源装置について好適な実施の形態を説明する。なお、これらの実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0010】
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1に係る多並列電源装置の回路構成を示す図である。図1に示すように、実施の形態1に係る多並列電源装置は、n個(nは2以上の自然数)の互いに並列に接続された電源ブロック1a、1b、・・・1nと、1個のホスト制御手段、即ち、ホスト制御回路2により構成されている。ここで、電源ブロック1a、1b、・・・1nとは、後述する電力回路3と制御回路4とダイオード7を含む回路単位であり、並列電源の形態としては、それぞれが筐体に収められた電源装置を電源ブロック1a、1b、・・・1nとしてそれらを複数個並べて並列接続したものや、1枚または複数枚の基板に実装された電源ブロック1a、1b、・・・1nを複数個まとめて共通の筐体に収めたもの、あるいは、1枚の基板上に複数の電源回路ブロック1a、1b、・・・1nを実装して基板内で並列接続したものなど、種々の実装形態が考えられる。なお、電源ブロック1a、1b、・・・1nは、フィードバック信号に基づいてフィードバック制御が行われる。
【0011】
それぞれの電源ブロック1a、1b、・・・1nは、前述のように、電力を変換する回路ブロックである電力回路3、制御回路4、およびダイオード7により構成されるが、電力回路3にはFETなどのスイッチ素子5を含む降圧チョッパ型スイッチング電源回路を用いている。降圧チョッパ型スイッチング電源回路は一般的に知られたものであるので、ここでは説明を省略する。なお、後述するように、電力回路3は降圧チョッパ型スイッチング電源回路以外の他の電源回路でも構わない。
【0012】
電源ブロック1a、1b、・・・1nの入力端6は、直流電源に接続され、その電圧はそれぞれの電源ブロック1a、1b、・・・1nに並列に印加される。それぞれの電力回路3の出力は、それぞれのダイオード7を介して電源ブロック1a、1b、・・・1nから出力され、出力端8で他の電源ブロックの出力と接続される。それぞれの電源ブロック1a、1b、・・・1nは、並列に接続されている。それぞれの電力回路3の出力側に設けられるダイオード7は、他の電源ブロックから電流が逆流するのを防ぐためのものである。
【0013】
制御回路4は、電力回路3の出力電圧を、多並列電源装置の出力電圧を検出する電圧検出手段、即ち、電圧検出器20により検出し、また、電力回路3の出力電流を電流検出手段、即ち、電流検出器10により検出して、電力回路3に用いられるスイッチ素子5のオン・オフを制御するフィードバック制御を行うことにより、出力の電流や電圧を所定の値に保つ機能を有している。電圧検出器20は、多並列電源装置から出力される出力電圧を電気量として検出する電気量検出手段として機能する。なお、電圧検出器20の代わりに電流検出器を配置して、出力電流を電気量として検出してもよい。
【0014】
また、制御回路4は、電圧検出器20により検出された電圧や、電流検出器10により検出された電流を、それぞれの指令値との差分を演算して誤差信号を生成する第1の減算手段である第1の減算器11、第2の減算手段である第2の減算器12と、第1の減算器11の誤差信号に所定の周波数−ゲイン特性を持たせる比例調節手段または比例・微分調節手段からなる調節手段13と、電力回路3に設けられたスイッチ素子5のオン・オフを制御するPWM信号を発生するPWM信号発生手段であるPWM信号発生器14と、後述する加算手段である加算器15と、デジタル/アナログ変換手段(以下、D/A変換器という。)16とを備えている。フィードバックループを用いた電源のPWM制御についても既知の技術であるので、以下、一般的な電源における制御方法と実施の形態1との違いを中心に詳しく動作を説明する。
【0015】
ところで、定電圧出力の電源ブロックを多数並列に接続すると、電源ブロック毎の僅かな出力特性の違いにより、出力電流の電源ブロック間のばらつきが拡大し、特定の電源ブロックに過負荷がかかるという問題がしばしば発生する。そこで、実施の形態1においては、それぞれの電源ブロック1a、1b、・・・1nを電流フィードバック型の電源とする方式を用いている。即ち、それぞれの電源ブロック1a、1b、・・・1nにおいて、出力電流を電流検出器10により検出し、これを電流フィードバック経路17で伝送して第2の減算器12において電流指令値と比較し、出力電流が所定の値となるようにPWM制御を行う。ここで、電流フィードバックの応答性と安定性を高めるため、第2の減算器12とPWM信号発生器14との間に、比例調整手段または比例積分調整手段または比例微分積分調整手段からなる第2の調整手段(図示せず)を挿入してもよい。さらに、出力電圧を電圧検出器20により検出し、これをローカルフィードバック経路18で伝送して第1の減算器11において電圧指令値と比較し、上述の電流指令値にフィードバックする方式としている。これにより出力電圧を一定に保つことができる。
【0016】
ここで、電圧フィードバックループを全ての電源ブロック1a、1b、・・・1nに対して共通する1系統のみとし、全ての電源ブロック1a、1b、・・・1nにおける電流指令値を同一の値とすれば、全ての電源ブロック1a、1b、・・・1nの出力電流が同一となることが期待される。ところが、既述のように、電圧フィードバック経路をアナログ信号線により構成すると、ノイズによって動作が不安定となってしまう問題がある。また、電圧フィードバック経路をデジタル信号線により構成すると、機器間のデジタル信号による通信は一般的に遅いので、電源の電圧制御応答が遅くなる問題がある。
【0017】
そこで、実施の形態1では、電圧フィードバック経路を、それぞれの電源ブロック1a、1b、・・・1n内で閉じたローカルフィードバック経路18と、全ての電源ブロック1a、1b、・・・1nに共通して設けられたグローバルフィードバック経路19との2系統に分ける構成としている。そして、電圧検出器20により検出された出力電圧は電気信号(フィードバック信号)として、ローカルフィードバック経路18およびグローバルフィードバック経路19に分岐して伝送される。ローカルフィードバック経路18においては、ローカルフィードバック経路18を伝送される電気信号の周波数分布の中心周波数が比較的高い周波数成分を、また、グローバルフィードバック経路19においては、グローバルフィードバック経路19を伝送される電気信号の周波数分布の中心周波数が比較的低い周波数の成分を伝送する構成としている。なお、比較的高い周波数と比較的低い周波数の境界は、電源毎に異なる設計的な事項であり一義的に決まるものではないが、一例として、数百〜数kHzを境に、比較的高い周波数と低い周波数に分かれると考えられる。
【0018】
このように構成すると、急激な負荷変動に対してはローカルフィードバック経路18により高速に応答しつつ、グローバルフィードバック経路19により、電源ブロック1a、1b、・・・1n間の平均的な電流バランスを確保することができ、一部の電源ブロックに過負荷がかかるのを防止することができる。
【0019】
具体的には、グローバルフィードバック経路19においては、並列電源装置の出力端8にて、電圧検出器20により検出した出力電圧を第3の減算手段である第3の減算器21において電圧指令値と比較し、その差分信号をグローバルフィードバック経路19の途中に設けた積分調節手段22と、アナログ/デジタル変換手段(以下、A/D変換器という。)23を通してグローバルフィードバック信号として生成し、全ての電源ブロック1a、1b、・・・1nに分配する。なお、第3の減算器21、積分調節手段22、およびA/D変換器23により、ホスト制御回路2を構成している。また、本実施の形態において、減算器11に入力する電圧指令値と減算器21に入力する電圧指令値は同じ値である。
【0020】
ローカルフィードバック経路18においては、それぞれの電力回路3の出力電圧を検出し、制御回路4内の第1の減算器11にて電圧指令値との差分を演算した後、ローカルフィードバック経路18の途中に設けた比例調節手段または比例・微分調節手段からなる調節手段13を通す。そして、加算器15において、ローカルフィードバック経路18の信号と、グローバルフィードバック経路19の信号をD/A変換器16でアナログ信号に変換して加算することにより、元来の電圧フィードバック信号を復元し、電流指令値として用いる。この様子を図2に示している。
【0021】
即ち、図2はグローバルフィードバック経路19における制御信号とローカルフィードバック経路18における制御信号との周波数特性を示す図である。この図2に示すように、積分調節手段22を通したグローバルフィードバック信号は、信号の低周波成分を多く含み、比例調節手段または比例・微分調節手段からなる調節手段13を通したローカルフィードバック信号は高周波成分をより多く含んだ信号となる。積分調節手段22、比例調節手段または比例・微分調節手段からなる調節手段13のゲインを適切に設定することにより、フィードバックループの安定性を確保できる点は、比例・積分・微分調節手段を用いた一般的な電源装置のフィードバック制御と同じである。
【0022】
また、ローカルフィードバック経路18を構成するハードウエアには、アナログ回路、または高速のデジタル回路を用いることにより、高速な処理が可能となる。高速のデジタル回路は、ASIC、またはFPGA(Field Programmable Gate Array)やCPLD(Complex Program Logic Device)などを用いた論理デジタル回路、またはマイコンやDSP(Digital Signal Processor)などの逐次処理デジタル回路を、単一素子あるいは同一基板上に載せられた複数の素子を協調動作させることにより実現できる。
【0023】
一方、グローバルフィードバック経路19においては、グローバルフィードバック信号をA/D変換器23によりデジタル信号に変換し、比較的低速のデジタル信号によってそれぞれの電源ブロック1a、1b、・・・1nに分配した後、それぞれの電源ブロック1a、1b、・・・1n内でD/A変換器16によって再びアナログ信号に戻すことにより実現できる。比較的低速なデジタル信号の接続方法としては、RS−232Cや、SPI(Serial Peripheral Interface)、I2C(Inter-Integrated Circuit)などのシリアル通信方式や、GPIB(General Purpose Interface Bus)などのパラレル通信方式を用いることができる。このような、比較的低速のデジタル通信を用いることにより、耐ノイズ性を向上させることができる。グローバルフィードバック経路19にて複数の電源ブロック1a、1b、・・・1nに共通して1個設けられる回路は、ホスト制御回路2として独立して設けることにより、n個の電源ブロック1a、1b、・・・1nの仕様を共通化することが可能であり、生産管理コストを下げることができる。
【0024】
以上のように、グローバルフィードバック経路19とローカルフィードバック経路18を有することにより、多数の電源ブロック1a、1b、・・・1nを並列に接続したような場合であっても、急激な負荷変動に対して高速に応答しつつ、それぞれの電源ブロック1a、1b、・・・1n間の電流バランスを確保することができ、また、高いノイズ耐量を得ることができる。
【0025】
なお、上記においては、グローバルフィードバック経路19には、積分調節手段22を通した信号を、また、ローカルフィードバック経路18には、比例調節手段または比例・微分調節手段からなる調節手段13を通した信号を用いた実施の形態について説明したが、グローバルフィードバック経路19に、比例・積分調節手段を通した信号を、ローカルフィードバック経路18に、微分調節手段を通した信号を用いても同様の効果を得ることができる。
【0026】
また、上記においては、電力回路3の出力電圧を多並列電源装置の出力電圧を検出する電圧検出器20により検出した場合について説明したが、図3に示すように、電圧検出器20とは別に、各電源ブロック1a、1b、・・・1n内に電圧検出器9を設けて、各電源ブロック1a、1b、・・・1nの電力回路3の出力電圧を検出し、この出力電圧を制御回路4内の第1の減算器11にて電圧指令値との差分を演算した後、調節手段13を通すようにしても同様の効果を得ることができる。
【0027】
実施の形態2.
次に、実施の形態2に係る多並列電源装置について説明する。図4は、実施の形態2に係る多並列電源装置の回路構成を示す図である。
実施の形態1においては、n個の等価な電源ブロック1a、1b、・・・1nとホスト制御回路2を用いた多並列電源装置について説明したが、1個の電源ブロック1aとホスト制御回路2とを一体化して、図4に示すように、マスター電源ブロック30とし、他のn−1個の電源ブロックをスレーブ電源ブロック30a、・・・30n−1として構成しても良い。
【0028】
図4において、マスター電源ブロック30には、個別の電源ブロックを制御する機能とホスト制御の機能とが制御回路31に一体化して設けられている。この制御回路31は、電力回路3の出力電圧を検出し、制御回路31内の第1の減算器11にて電圧指令値との差分を演算した後、比例・積分調節手段32を通す。そして、比例・積分調節手段32の出力信号と電流フィードバック経路17の電流フィードバック信号との差分を第2の減算器12で演算し、その差分値に基づいてPWM信号発生器14がスイッチ素子5のオン・オフを制御するPWM信号を発生する。
【0029】
また、制御回路31内の第1の減算器11で演算された電圧指令値との差分値は、積分調節手段22を通すとともに、A/D変換器23によりデジタル信号に変換する。そして、比較的低速のデジタル信号によってそれぞれのスレーブ電源ブロック30a・・・30n−1に分配した後、それぞれのスレーブ電源ブロック30a、・・・30n−1内でD/A変換器16によって再びアナログ信号に戻される。なお、その他の構成については実施の形態1で説明したものと同等もしくは相当するものであり、同一符号を付すことによりその説明を省略する。
【0030】
実施の形態2に係る多並列電源装置によれば、マスター電源ブロック30とスレーブ電源ブロック30a、・・・30n−1との、2種類の仕様の電源を用いる必要があるが、実施の形態1において説明した多並列電源装置で必要とされたホスト制御回路を別途設ける必要が無く、電源をシンプルに構成することができる。
【0031】
実施の形態3.
次に、実施の形態3に係る多並列電源装置について説明する。図5は、実施の形態3に係る多並列電源装置の回路構成を示す図である。
実施の形態3に係る多並列電源装置は、図5に示すように、グローバルフィードバック経路19の途中に設けたローパスフィルタ40によって低周波成分を抜き出した信号をグローバルフィードバック信号として用い、ローカルフィードバック経路18の途中に設けたハイパスフィルタ41によって高周波成分を抜き出した信号をローカルフィードバック信号として用いたもので、その他の構成については実施の形態1で説明したものと同等もしくは相当するものであり、同一符号を付すことによりその説明を省略する。
【0032】
上記の構成においても、実施の形態1に係る多並列電源装置と同様の効果を得ることができる。なお、この場合、グローバルフィードバック信号とローカルフィードバック信号を合成した後、改めて比例・積分調節手段または比例・積分・微分調節手段からなる調節手段42を通すなどしてフィードバックゲインの周波数特性を調整する必要がある。
【0033】
以上3つの実施形態について説明したが、その他、電圧フィードバック信号のうち、比較的低周波の成分を多く含む信号をグローバルフィードバック信号として用い、比較的高周波の成分を多く含む信号をローカルフィードバック信号として用いれば、上記各実施の形態と同等の効果を得ることが可能である。
【0034】
また、制御回路を全てデジタル回路で構成したデジタル制御電源とすることが望ましく、デジタル制御電源とした場合は、電流検出器、および電圧検出器の出力をA/D変換し、デジタルデータとして制御回路に入力する。この場合、グローバルフィードバック経路にてそれぞれの電源ブロックに送る制御信号に対しては、改めてA/D変換、D/A変換を行う必要が無くなる。また、電源ブロック間の制御回路におけるバラツキを減らすことができ、制御回路のバラツキに起因する出力電流のアンバランスを減らすことが可能となる。
【0035】
また、それぞれの電源ブロックは、降圧型チョッパ方式のスイッチング電源を用いることとしたが、他の方式の電源、例えば昇圧チョッパ型、フォワード型、フライバック型、ハーフブリッジ型、フルブリッジ型、SEPIC型などのスイッチング電源、あるいはリニアレギュレータでも、同様の制御方式を適用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】この発明の実施の形態1に係る多並列電源装置の回路構成を示す図である。
【図2】この発明の実施の形態1に係る多並列電源装置のグローバルフィードバック経路における制御信号とローカルフィードバック経路における制御信号との周波数特性を示す図である。
【図3】この発明の実施の形態1に係る多並列電源装置の別の回路構成を示す図である。
【図4】この発明の実施の形態2に係る多並列電源装置の回路構成を示す図である。
【図5】この発明の実施の形態3に係る多並列電源装置の回路構成を示す図である。
【符号の説明】
【0037】
1a、1b、・・・1n 電源ブロック
2 ホスト制御回路
3 電力回路
4、31 制御回路
5 スイッチ素子
6 入力端
7 ダイオード
8 出力端
9 第1の電圧検出器
10 電流検出器
11 第1の減算器
12 第2の減算器
13、42 調節手段
14 PWM信号発生器
15 加算器
16 D/A変換器
17 電流フィードバック経路
18 ローカルフィードバック経路
19 グローバルフィードバック経路
20 第2の電圧検出器
21 第3の減算器
22 積分調節手段
23 A/D変換器
30 マスター電源ブロック
30a、・・・30n−1 スレーブ電源ブロック
32 比例・積分調節手段
40 ローパスフィルタ
41 ハイパスフィルタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
並列接続され、フィードバック信号に基づいてフィードバック制御が行われる複数の電源ブロックを備えた多並列電源装置であって、
上記多並列電源装置から出力される電気量を検出する電気量検出手段と、
上記複数の電源ブロックのそれぞれに設けられたローカルフィードバック経路と、
上記複数の電源ブロックに共通して設けられたグローバルフィードバック経路と、
を備え、
上記電気量に基づく電気信号は、上記ローカルフィードバック経路および上記グローバルフィードバック経路に分岐して伝送されて上記フィードバック信号となり、
上記グローバルフィードバック経路を伝送される電気信号の周波数分布の中心周波数は、上記ローカルフィードバック経路を伝送される電気信号の周波数分布の中心周波数よりも低いことを特徴とする多並列電源装置。
【請求項2】
上記電気量検出手段は、上記電気量として電圧または電流を検出することを特徴とする請求項1に記載の多並列電源装置。
【請求項3】
上記複数の電源ブロックのそれぞれに設けられ、上記複数の電源ブロックのそれぞれの出力電流を検出する電流検出手段を備え、上記出力電流および上記電気量に基づいてフィードバック制御が行われることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の多並列電源装置。
【請求項4】
上記グローバルフィードバック経路を介して伝送される電気信号は、上記グローバルフィードバック経路の途中でデジタル信号に変換されることを特徴とする請求項1〜請求項3の何れか一項に記載の多並列電源装置。
【請求項5】
上記グローバルフィードバック経路の途中に設けた積分調節手段と、
上記ローカルフィードバック経路の途中に設けた比例調節手段または比例・微分調節手段と、
を備えたことを特徴とする請求項1〜請求項4の何れか一項に記載の多並列電源装置。
【請求項6】
上記グローバルフィードバック経路の途中に設けた比例・積分調節手段と、
上記ローカルフィードバック経路の途中に設けた比例・微分調節手段と、を備えたことを特徴とする請求項1〜請求項4の何れか一項に記載の多並列電源装置。
【請求項7】
上記グローバルフィードバック経路の途中に設けたローパスフィルタと、
上記ローカルフィードバック経路の途中に設けたハイパスフィルタと、
上記ローパスフィルタを通した信号と上記ハイパスフィルタを通した信号との合成信号を通過させる比例・積分調節手段または比例・積分・微分調節手段と、
を備えたことを特徴とする請求項1〜請求項4の何れか一項に記載の多並列電源装置。
【請求項8】
上記グローバルフィードバック経路は、上記複数の電源ブロックとは別に設けられたホスト制御ブロックを介して上記複数の電源ブロックに分配される経路であることを特徴とする請求項1〜請求項7の何れか一項に記載の多並列電源装置。
【請求項9】
上記複数の電源ブロックは、1つのマスター電源ブロックと他のスレーブ電源ブロックとによって構成され、上記グローバルフィードバック経路は、上記マスター電源ブロックを起点として、上記他のスレーブ電源ブロックに分配される経路であることを特徴とする請求項1〜請求項4の何れか一項に記載の多並列電源装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−142077(P2010−142077A)
【公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−318468(P2008−318468)
【出願日】平成20年12月15日(2008.12.15)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】