説明

多価化合物

本発明は、向上した有効性を示す超多価ペプチドに関するものである。超多価化合物は、レセプター標的に結合して、大型のポリマー担体ユニットに結合される、複数の少なくとも2価のペプチドユニットを含む。標的分子に結合し:i)少なくとも2個のペプチドユニットであって、標的への結合能力を備えた少なくとも2個のドメイン(それゆえ少なくとも2個のモノマー結合ユニット)を含むペプチドユニットと、ii)少なくとも1個のポリマー担体ユニットと;を含み、前記ペプチドユニットが前記ポリマー担体ユニットに結合される化合物を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はペプチド化合物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
タンパク質に関する研究の発展に伴い、各種の生物的および製薬的活性を有する非常に多くのペプチドが見出されている。これらのペプチドのいくつかは、たとえばレセプター分子(たとえばサイトカインレセプター)などの標的分子への結合を介してその作用を実行する。
【0003】
造血成長因子(HGF)は臨床的に好結果の治療法であることが判明している;しかしながらそのサイズ(15〜70kDa)、立体配座不安定性、タンパク質分解に対する感受性、不十分な膜透過、抗原性、高い製造コスト、および好ましくない薬物動態は、それらを理想的な薬物候補とはほど遠くしうる。さらに未変性タンパク質の不十分な生物学的利用能は、それらが非経口的に投与されることを必要とする。しかしながらそのポリペプチド対照物と等効力であるが、大型タンパク質の固有の欠点の一部を欠いている、HGFレセプターの小型分子アゴニスト(およびアンタゴニスト)を開発することが好都合である。サイトカインレセプターに結合して、サイトカインレセプターを活性化させるより小型のペプチドの同定および検査も、リガンド−レセプター相互作用のより優れた知識を提供する。この情報は、経口的に利用可能な小型分子サイトカイン模倣薬を合理的に設計するために使用される。成長因子およびサイトカインの膜貫通レセプターの活性化は、リガンドがレセプターの特異的領域に結合するときに発生し、それにより立体配座変化を誘発し、レセプター鎖のダイマー化またはオリゴマー化を引き起こす。リガンド結合時に、クラスIサイトカインレセプターの複数のメンバは、エリスロポエチンレセプター(EPOR)、トロンボポエチンレセプター(TPOR)、顆粒球コロニー刺激因子レセプター(G−CSFR)、成長ホルモンレセプター(GHR)、およびプロラクチンレセプター(PrR)を含むホモダイマーを形成する。ダイマー化インタフェースの正確な詳細および非リガンド型レセプターがダイマーとして存在する程度を見出すことに対して行われる複数の研究が報告されている。これらの研究の結果は、クラスIサイトカインレセプター間の構造的および機能的類似点を示している。研究は、レセプターダイマー化単独では、細胞間シグナル伝達には必要であるが、シグナル伝達を生成するには不十分であることも示している。最近の報告は、小型分子およびペプチドの両方がホモダイマーサイトカインに結合して、アゴニストとして作用し、天然タンパク質の効果を模倣することによってホモダイマーサイトカインを活性化させうること報告している(非特許文献1:非特許文献2を参照)。しかしながらその生物活性は天然分子に劣ることが多い。結果として、模倣分子の生物活性を改善する試みが行われる。
【0004】
そのようなペプチドの好結果の例としては、エリスロポエチンレセプターを結合してエリスロポエチンの機能を模倣するペプチドおよびトロンボポエチンレセプターを結合してトロンボポエチンの機能を模倣するペプチドが挙げられる。
【0005】
ホルモンエリスロポエチン(EPO)は、165個のアミノ酸によって構成され、4個のグリコシル化部位を有する糖タンパク質である。EPOは有糸分裂および赤血球前駆細胞の分化を刺激し、それゆえ赤血球の産生を確実にする。EPOおよび組換えEPOの使用は免疫原性反応を含む複数の欠点を有するので、EPOとの配列相同性または構造的関係を一切共有しないが、いずれにしてもEPO−Rと結合および相互作用する合成ペプチドが使用される(たとえばWrighton et al.,1996を参照)。EPOの活性を模倣する合成ペプチド(「EPO模倣ペプチド」)は今のところ、到達水準で周知である(たとえば特許文献1;特許文献2;特許文献3;特許文献4;特許文献5;特許文献6;特許文献7;特許文献8を参照)。
【0006】
EPOおよびEPO模倣ペプチドは、レセプターの細胞外ドメインを結合して、おそらく2個のレセプターモノマーをレセプター錯体にダイマー化して、それによりシグナル伝達を開始することによって、EPOレセプターを活性化する(Johnson et al.,1997)。EMP1(周知のEPO模倣ペプチド)に結合したEPOレセプターの結晶構造は、2個のレセプターモノマーに結合した2個のペプチドより成るレセプターペプチド錯体の形成を明らかにした。それゆえ単一の分子内のこれらの結合ドメインの厳密に2個の組合せが活性を非常に上昇させて、単一の結合ドメインを持つペプチドが活性の同じ定性的パターンを示し、それと同時に結合ドメイン結合部の2個が共にはるかに低いED50(有効用量50%、活性の尺度)を示すという結果に至ることは、それほど驚きではない。
【0007】
たとえばEPOまたはTPO模倣ペプチドの各ペプチドダイマーの調製方法も到達水準で周知であり、たとえばPEG化によるダイマー化からジスルフィド架橋またはリジン側鎖の範囲にあたる(たとえば特許文献1;特許文献2;特許文献3;特許文献4;特許文献5;特許文献6;特許文献7;特許文献8,Wrighton et al.,1997;Johnson et al.,1997;特許文献9)。これらのすべての方法は、活性ダイマーまたはなおマルチマーレセプター錯体の形成を促進する所望のダイマーまたはなおマルチマー分子を得るために、リンカー構造を介してモノマーペプチドを結合する。
【0008】
モノマーユニットを結合するための同様の概念は、他の結合分子についても既知である(たとえば特許文献10を参照)。各ダイマーまたはマルチマーレセプター錯体と相互作用可能である分子を産生するために、本出願は、各レセプター錯体との相互作用を可能にする(およびたとえばレセプターのダイマー化またはトリマー化を誘発する)空間関係でモノマーレセプター結合ドメインを連結する目的で小型支持構造を使用することを教示する。
【0009】
しかしながらモノマーペプチドユニットのダイマー化(またはマルチマーレセプターの場合にはマルチマー化さえ)が通常、各モノマーペプチドに対する活性を改善しても、活性をさらに向上させることが所望である。たとえばダイマーEPO模倣ペプチドさえ、細胞機構の活性化に関してはEPO分子よりも、なおはるかに強力ではない。
【0010】
到達水準では、1個以上の親水性担体ユニット(たとえばPEG)をペプチドにカップリングすることも既知である。ペプチドが親水性ポリマーによって誘導体化されるときに、その溶解性および循環半減期が上昇して、その免疫原性が低下することが見出されている(たとえば特許文献9を参照)。しかしながら、そのような親水性担体の結合が生物活性を低下させうることも報告されている。生物活性の上昇は報告されていない。
【特許文献1】国際公開第96/40772号パンフレット
【特許文献2】国際公開第96/40749号パンフレット
【特許文献3】国際公開第01/38342号パンフレット
【特許文献4】国際公開第01/091780号パンフレット
【特許文献5】国際公開第2004/101611号パンフレット
【特許文献6】国際公開第2004/100997号パンフレット
【特許文献7】国際公開第2004/101600号パンフレット
【特許文献8】国際公開第2004/101606号パンフレット
【特許文献9】国際公開第98/25965号パンフレット
【特許文献10】国際公開第2004/014951号パンフレット
【非特許文献1】Laber,E.G.(2004).Small−Molecule and Peptide Agonists
【非特許文献2】G. Morstyn,M.Foote and G.J.Lieschke A Literature Review.Hematopoietic Growth Factors in Oncology−Basic Science and Clinical Therapeutics.:65−80
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
より強力な候補を同定するために、たとえばアミノ酸配列の変異によってペプチドの活性を上昇させるための複数の手法が実施された。しかしながらこれまで、ペプチド、特にEPOまたはTPO模倣ペプチドの活性を向上させるための適切な溶液は到達水準では知られていない。
【課題を解決するための手段】
【0012】
それゆえ本発明の目的は、レセプター標的に結合して、上昇した活性を有するペプチド化合物を供給することである。
【0013】
該目的は、標的分子に結合し:
i)少なくとも2個のペプチドユニットであって、標的への結合能力を備えた少なくとも2個のドメイン(それゆえ少なくとも2個のモノマー結合ユニット)を含むペプチドユニットと、
ii)少なくとも1個のポリマー担体ユニットと;
を含み、前記ペプチドユニットが前記ポリマー担体ユニットに結合される、化合物によって解決される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
驚くべきことに、ポリマー支持体上の2個以上の2価または多価ペプチドは、2価(またはなお多価)ペプチドが、通常はレセプター分子である各標的を結合する有効性を相加的にというだけではなく、過剰相加的にさえ大幅に向上させていることが見出されている。それゆえ結合有効性に対する相乗効果が観察される。
【0015】
「2価の」という用語は、本発明の目的で使用するように、通常はレセプターである標的への結合能力を備えた2個のドメインを含むペプチドとして定義される(それゆえ以下ではこの語が使用されるであろう)。「2価の」という用語は、「ダイマーの」という用語と互換的に使用される。したがって「多価」または「マルチマー」ペプチドは、複数の各結合部位およびそれゆえモノマー結合部位を有する。「ペプチド」および「ペプチドユニット」という用語がサイズに関するいずれの制限も含まず、タンパク質と同様にオリゴおよびポリペプチドを含むことは自明である。しかしながら、担体ユニットに結合されたペプチドユニットは、アミノ酸約200個以下の、またはアミノ酸約150個以下の、さらに好ましくはアミノ酸約100個の、またなおアミノ酸50個以下の長さを有する。
【0016】
ポリマー担体ユニットに結合された2個以上の2価または多価ペプチドユニットを含む化合物は、本発明の文脈では「超多価(supravalent)」と命名される。超多価分子は、到達水準で既知のダイマーまたはマルチマー分子と大きく異なる。到達水準は、ダイマーまたはマルチマーを作るために複数の単なるモノマーペプチドユニットを結合させる。これに対して超多価分子は、すでに(少なくとも)2価のペプチドユニットをポリマー担体ユニットに連結させて、それにより複数のダイマーまたはマルチマーペプチドユニットを持つ超多価分子を生成することによって産生される(本概念の例証された例を図13〜15に与える)。それによりダイマーまたはマルチマーペプチドの全体の活性および有効性は大幅に向上して、それゆえEC50用量を低下させる。
【0017】
これまで、到達水準で既知のダイマーまたはマルチマー分子と比較した超多価分子の高い効力の理由は完全に理解されていない。それは到達水準で既知のダイマー分子(たとえばダイマーEPO模倣ペプチド)が、化合物分子当たり1個の活性レセプター結合ユニットそれぞれにただ1個の標的を与えるという事実によるものでありうる。それゆえただ1個の(ダイマー)レセプター錯体がダイマー化合物の結合時に産生され、それにより細胞内でただ1つのシグナル伝達プロセスを誘発する。たとえば2個のモノマーEPO模倣ペプチドがPEGによって連結されてペプチドダイマーを生成し、それによりシグナル伝達に必要なレセプターモノマーのダイマー化を促進する(Johnson et al.,1997)。
【0018】
これに対して本発明による超多価化合物は、複数のすでにダイマーまたはマルチマーレセプター結合部位を含む。本発明による超多価化合物はそれゆえ、複数の(2価または多価)レセプター結合ユニットを持つ。担体に結合された各ダイマーまたはマルチマーペプチドユニットは、1個のレセプター結合ユニットを表す。これは化合物分子当たり細胞表面上での複数のレセプター錯体の産生を可能にして、それにより複数のシグナル伝達を誘発(またはアンタゴニストの場合には遮断)して、それによりペプチドユニットの活性を過剰相加的に強化する。超多価化合物の結合は、細胞表面でのレセプター錯体のクラスター形成を引き起こしうる。
【0019】
本発明によるペプチドユニットは、同種または異種のどちらかであり、同一または異なるペプチドユニットのどちらかがポリマー担体に結合されることを意味する。同じことが同種または異種でありうるペプチドユニットの結合ドメインにも当てはまる。同種結合ドメイン(モノマー)は、同一のタンパク質サブユニットより構成される標的レセプター(たとえばホモダイマーEPOレセプター)が結合されている場合に好ましい。しかしながら同種結合ドメインのアミノ酸配列は、それらが同じレセプター標的を結合する(そしてそれゆえ機能的に同種である)場合でも、なお変化しうる。異種結合ドメイン(モノマー)は、異なるタンパク質サブユニットより構成される標的レセプター(たとえばヘテロダイマーインターロイキンレセプター)が結合されている場合に好ましい。好ましくは担体ユニットに結合した2価または多価が同じレセプター標的を結合する。しかしながらそれらはもちろんそのアミノ酸配列がなお異なりうる。2価または多価ペプチドユニットのモノマー結合ユニットは、直鎖または環式のどちらかでありうる。環式分子はたとえば分子内システイン架橋の形成によって生成されうる。
【0020】
ポリマー担体ユニットは、少なくとも1つの天然または合成分岐、直鎖または樹状ポリマーを含む。ポリマー担体ユニットは好ましくは水および体液に溶解性であり、好ましくは製薬的に許容されるポリマーである。水溶性ポリマー部分としては、これに限定されるわけではないが、たとえばPEG、PEGホモポリマー、mPEG、ポリプロピレングリコールホモポリマー、エチレングリコールとプロピレングリコールのコポリマーを含み、前記ホモポリマーおよびコポリマーが非置換であるか、または1端にてたとえばアシル基によって置換される、ポリアルキレングリコールおよびその誘導体;ポリグリセリンまたはポリシアル酸;炭水化物、ポリサッカライド、メチルセルロースおよびカルボキシメチルセルロースを含むセルロースおよびセルロース誘導体;デンプン(たとえばヒドロキシアルキルデンプン(HAS)、特にヒドロキシエチルデンプン(HES)およびデキストリン、ならびにその誘導体;硫酸デキストラン、架橋デキストリン、およびカルボキシメチルデキストリンを含むデキストランおよびデキストラン誘導体;キトサン(直鎖ポリサッカライド)、ヘパリンおよびヘパリンの断片;ポリビニルアルコールおよびポリビニルエチルエーテル;ポリビニルピロリドン;アルファ、ベータ−ポリ[(2−ヒドロキシエチル)−DL−アスパルタミド;ならびにポリオキシエチル化ポリオールが挙げられる。担体ユニットの一例は、たとえばポリエチレングリコールのホモ2官能性ポリマー(ビスマレイミド、ビスカルボキシ、ビスアミノなど)が挙げられる。
【0021】
本発明によるペプチドユニットに結合されるポリマー担体ユニットは、本発明と併せて適切である異なるポリマーの異なる性質のために、広範囲の分子量を有しうる。それゆえサイズ制限はない。しかしながら分子量が少なくとも3kD、好ましくは少なくとも10kD、おおよそ約20〜500kD、より好ましくは約30〜150あるいは60または80kDであることが好ましい。担体ユニットのサイズは、選択されたポリマーに依存し、それゆえ変化しうる。たとえば特にヒドロキシエチルデンプンなどのデンプンが使用されるとき、分子量は相当により高くなりうる。そして平均分子量は、約100〜4000kDに配置されるが、またはなお高くなりうる。しかしながらHES分子の分子量が約100〜300kD、好ましくは約200kDであることが好ましい。担体ユニットのサイズは好ましくは、各ペプチドユニットがその各レセプター分子を結合するためにそれぞれ最適に配置されうるように選択される。
【0022】
これを促進するために、本発明の一実施形態は分岐ユニットを含む担体ユニットを使用する。本実施形態により、たとえばPEGなどのポリマーは分岐ユニットに結合され、それゆえ多数のペプチドユニットの包含を可能にする大型担体分子を生じさせる。適切な分岐ユニットの例はグリセロールまたはポリグリセロールである。たとえば参照により本明細書に組み入れられているHaag 2000によって教示されたような樹状分岐ユニットも使用されうる。HES担体も分岐形で使用されうる。これはたとえばアミロペクチンから高い割合で得られる。
【0023】
好ましくはモノマー結合ユニットをペプチドユニットに結合する(頭−頭、頭−尾、または尾−尾のいずれか)ことによってペプチドユニットが生成された後に、ポリマー担体ユニットはペプチドユニットに連結/カップリングされる。ポリマー担体ユニットは共有または非共有(たとえば配位)結合によってペプチドユニットに連結される。しかしながら共有結合の使用が好ましい。
【0024】
結合はペプチドの反応性アミノ酸、たとえばリジン、システイン、ヒスチジン、アルギニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、セリン、トレオニン、チロシンまたはN末端アミノ基およびC末端カルボン酸を介して生じうる。ペプチドが各反応性アミノ酸を持たない場合、そのようなアミノ酸はアミノ酸配列中に導入されうる。カップリングは、標的への結合が阻害されない、または少なくとも可能な限り少なく阻害されるように選択すべきである。ペプチドユニットの高次構造に応じて、反応性アミノ酸はペプチド配列の始点、終点または内部のいずれかにある。
【0025】
ポリマー担体ユニットが適切なカップリング基を持たない場合、ポリマーがペプチドユニットの少なくとも1個の反応性基と反応して超多価化合物を形成できるようにポリマーを適切に修飾するために、複数のカップリング物質/リンカーが使用されうる。ポリマーを修飾するために使用されうる適切な化学基はたとえば次の通りである:
タンパク質のアミノ基と反応するアシル化基、たとえば酸無水物基、N−アシルイミダゾール基、アジド基、N−カルボキシ無水物基、ジケテン基、ジアルキルピロカーボネート基、イミドエステル基、およびカルボジイミド活性化カルボキシル基。上の基はすべて、タンパク質/ペプチドのアミノ基と反応して、アシルまたは同様の連結を形成することが既知である;
ペプチドユニットのスルフヒドリル(メルカプト)、チオメチル、イミダゾまたはアミノ基と反応するアルキル化基、たとえばハロカルボキシ基、マレイミド基、活性化ビニル基、エチレンイミン基、アリールハライド基、2−ヒドロキシ5−ニトロ−ベンジルブロミド基;ならびに還元剤と共にペプチドのアミノ基と反応する脂肪族アルデヒドおよびケトン基;
ペプチドのカルボキシル基と反応するエステルおよびアミド形成基、たとえばジアゾカルボキシラート基、ならびに同時にカルボジイミドおよびアミノ基;
タンパク質のスルフヒドリル基と反応するジスルフィド形成基、たとえば5,5’−ジチオビス(2−ニトロベンアゾアート)基、オルトピリジルジスルフィドおよびアルキルメルカプタン基(ヨウ素などの酸化剤の存在下でペプチドのスルフヒドリル基と反応する);
シクロヘキサンジオン基などのジカルボニル基、およびタンパク質のグアニジン部分と反応する他の1,2−ジケトン基;
ペプチドのフェノール性基と反応するジアゾ基;
タンパク質のアミノ基と反応する、シアノゲンブロミドとポリサッカライドとの反応による反応性基。
【0026】
それゆえ要約すると、本発明の化合物は場合により、最初にペプチドユニットの利用可能なまたは導入された化学基と反応できる少なくとも1個の化学基をその上に有するポリマー担体を産生するために、ポリマー担体を化学的に修飾するステップと、次に必要ならば修飾されたポリマーの化学基を利用してその共有結合錯体を形成するために、場合により修飾されたポリマーおよびペプチド単位を共に反応させるステップとによって作製されうる。
【0027】
ペプチドの遊離SH基を介してカップリングが発生する場合、ポリマー中のマレイミド基の使用が好ましい。
【0028】
定義された分子を生成するために、ペプチドユニットをポリマーユニットへ結合させるための標的化手法を使用することが好ましい。適切なアミノ酸が所望の結合部位に存在しない場合、適切なアミノ酸をぺプチド単位に包含させるべきである。部位特異的ポリマー結合では、複数の異なるポリマー分子の集合を含む異種混合物をもたらすペプチドでの制御されないカップリング反応を回避するために、独自の反応性基、たとえばペプチドユニットの末端にある特異性アミノ酸が好ましい。
【0029】
ペプチドユニットのポリマー担体ユニット、たとえばPEGまたはHESへのカップリングは、当業者にたいてい既知である反応を使用して実施される。たとえば当業者が利用できる多数のPEGおよびHES結合方法がある(たとえばさらなる参考文献を与えるWO 2004/100997、Roberts et al.,2002;US 4,064,118;EP 1 398 322;EP 1 398 327;EP 1 398 328;WO 2004/024761を参照;すべて参照により本明細書に組み入れられている)。
【0030】
本明細書に記載された超多価の概念がPEG化またはHES化の既知の概念とは異なることを理解することが重要である。到達水準において、たとえばPEG化は、ペプチドダイマーを産生するために、または1個以上のPEGユニットをペプチドに結合させることによって薬理動態的パラメータを改善するために、のどちらかのみに使用される。しかしながら上で概説したように、2個以上の少なくとも2価のペプチドユニットの、ポリマー担体ユニットとしてのたとえばHESへの結合も有効性を大幅に上昇させる(それゆえEC50用量を低下させる)。それゆえ本発明の概念は、到達水準で既知のPEG化またはHES化概念の場合と同様に、薬理動態的パラメータに対してだけでなく、薬力学的パラメータに対して強い効果を有する。しかしながらもちろん、ポリマー担体ユニットとしてのたとえばPEGまたはHESの包含も、薬物動態学に関して既知の利点を有する。
【0031】
PEG化は通常、ペプチドの生物薬剤学的特性を改善するために行われる。PEGコンジュゲーション後のタンパク質分子の最も妥当な改変は、サイズ拡張、タンパク質表面およびグリコシル化機能マスキング、電荷変更ならびにエピトープ遮蔽である。特にサイズ拡張は、受動的強化透過および保持機構により、腎臓限外濾過を減速して、透過性組織内への蓄積を促進する。タンパク質遮蔽は、重要な排出経路であるタンパク質分解および免疫系認識を低下させる。タンパク質物理化学的および生物学的特性に対するPEG化の特異的効果は、タンパク質およびポリマー特性によってはもちろんのこと、採用されたPEG化方法によっても厳密に決定される。
【0032】
しかしながら、PEGまたは他の非生分解性ポリマーの使用は新たな問題を引き起こしうる。
【0033】
生体内利用の間、臨床状況での投薬間隔は薬物の効果の消失によって引き起こされる。日常的な投薬量および投薬間隔は、効果が投薬間隔中に消失しないように調整される。非生分解性の大型ポリマーユニット(たとえばPEG部分)に結合したペプチドが、支持体分子が体によって排出されうるよりも高速で分解されうるという事実により、担体の蓄積のリスクが発生しうる。そのような蓄積のリスクは、薬物の有効な半減期が薬物事態またはその成分/代謝産物の1つの排出半減期よりも短いときに、常に発生する。それゆえペプチドは通常、非常に大型のPEG部分(〜20〜40kD)によってPEG化され、それゆえ低速の腎臓排出を示すので、担体分子の蓄積は、特に長期治療では回避すべきである。ペプチド部分自体は酵素分解を受け、ペプチドを不活性化するためには部分開裂ですら十分であろう。
【0034】
本潜在的な問題への解決策を見出すために、本発明の一実施形態は、少なくとも2個のサブユニットより構成されるポリマー担体ユニットの使用を教示する。ポリマーサブユニットは、生分解性共有リンカーまたは構造を介して連結される。本実施形態により、大型担体分子の分子量(たとえば40kD)が、生分解性リンカーによって結合される複数の小型または中型サブユニット(たとえば5〜10kDの分子量を有する各サブユニット)によって生成される。モジュラーサブユニットの分子量は合計され、それにより担体分子の所望の分子量を生じる。しかしながら生分解性リンカー構造は、体内で分解して、それにより小型の担体サブユニット(たとえば5〜10kD)を放出しうる。より小型の担体サブユニットは、全体の分子量(たとえば40kD)を有するポリマー分子よりも良好な腎クリアランスを示す。例証する例を図16に与える。
【0035】
リンカー構造は、既知の分解特性および体液中での分解のタイムスケールに従って選択される。分解性構造はたとえば、加水分解によって開裂されうるアミド/ペプチド結合またはエステルなどのカルボン酸誘導体のような開裂性基を含有する(たとえば参照により本明細書に組み入れられているRoberts,2002を参照)。PEGスクシンイミジルエステルも、生理学的pHにおける分解速度を制御するためにPEG主鎖中の各種のエステル連結によって合成されうる(参照により本明細書に組み入れられているZhao,1997)。ベンジルウレタンのジスルフィドのような他の分解性構造は、細胞のエンドソームコンパートメントにおいてなどの軽度の還元環境下で開裂可能であり(Zalipsky,1999)、それゆえまた適切である。適切なリンカーの選択のための他の基準は、高速(頻繁には酵素)分解または低速(頻繁には非酵素分解(decomposition))分解(degradation)に関する選択である。体液中でのこれらの2つの機構の組合せも可能である。この高度に好都合な概念は、本明細書で記載または言及された特定のペプチドユニットに限定されず、同じ蓄積問題が発生するPEG分子などの大型ポリマーユニットに結合された他の製薬的分子にも当てはまることが明らかである。
【0036】
一実施形態により、ヒドロキシアルキルデンプンおよび好ましくはHESはポリマー担体ユニットとして使用される。HESは複数の重要な利点を有する。第一に、HESは生分解性である。さらにHESの生分解性は、ヒドロキシエチル基の比によって制御可能であり、それゆえ影響を及ぼされうる。0.4〜0.8のモル置換度(平均でグルコースユニットの40〜80%がヒドロキシエチル基を含有する)は、本発明の目的に十分適している。生分解性のために、上述の蓄積問題はPEGと併せては通常発生しない。さらにHESはたとえば血漿増量剤として内科療法で長期にわたって使用されている。それゆえその無害性が認められている。
【0037】
さらにHESの加水分解生成物の誘導体はガスクロマトグラフィーによって検出されうる。HES−ペプチドコンジュゲートは、ペプチドユニットがなお安定である条件下で加水分解されうる。これは分解生成物の定量化および監視を可能にして、活性ペプチドの評価および標準化を可能にする。
【0038】
さらなる実施形態により、ポリマー担体ユニットの第1の種類が使用され、ペプチドユニットが装填される。この第1の担体は好ましくは、たとえばHESと同様に容易に生分解可能である。しかしながら第1の担体のすべての結合点ではなく、たとえば約20〜50%のみがペプチドユニットによって占有される。使用されたポリマーのサイズに応じて、数百個のペプチドユニットが担体分子にカップリングされうる。しかしながら使用されたペプチドに応じて、通常はより少ないペプチドユニット(2〜50、2〜20、2〜10または3〜5)がカップリングされる。残存する結合点の残り(または少なくとも一部)は、異なる担体、たとえば第1の担体よりも低い分子量を有する小型PEGユニットによって占有される。本実施形態は、超多価組成物が、好ましくは3〜5または10kDまでのPEGユニットによって構成される第2の担体の存在のためにしかしながら非常に耐久性である第1の担体のために生成されるという利点を有する。しかしながら全体の実体は、第1の担体(たとえばHES)およびペプチドユニットが生分解性であり、第2の担体、たとえばPEGが体から容易に排除されるのに十分な小ささであるために、非常に良好に分解性である。
【0039】
ペプチドユニットの結合ドメインを構成するモノマーは、標的の結合部位を認識する。結合ドメインという用語は、標的の結合に関与するモノマーペプチドの結合部分を指す。ペプチドに応じて、結合ドメインは、ペプチドの三次元高次構造で結合ドメインを定義するペプチドの異なる構造モチーフ(たとえばベータシート、アルファらせん、ベータターン)より構成されうる。
【0040】
一実施形態に従って、ペプチドユニットは膜貫通レセプターに結合する。成長因子およびサイトカインの膜貫通レセプターの活性化は一般に、リガンドがレセプターの特異的領域に結合するときに発生し、それにより立体配座変化を誘発する、および/あるいはレセプター鎖のダイマー化またはオリゴマー化を引き起こす。リガンド結合時に、クラスIサイトカインレセプターの複数のメンバは、エリスロポエチンレセプター(EPOR)、トロンボポエチンレセプター(TPOR)、顆粒球コロニー刺激因子レセプター(G−CSFR)、成長ホルモンレセプター(GHR)、およびプロラクチンレセプター(PrR)を含むホモダイマーを形成する。これらのクラスIサイトカインレセプターは、相互の中で構造的および機能的類似性を示す。一実施形態に従って、ペプチドユニットはそれらがこれらのクラスIサイトカインレセプターに結合するように選択される。
【0041】
概説するように、ホモダイマーレセプターは、2個の非共有的に結合された同一のタンパク質サブユニットによって構成されるいずれかの生物標的タンパク質である。そのようなレセプターは通常、両方のサブユニットがホモダイマー形で結合されている場合は単に機能性である。ホモダイマーレセプターであることの後者の特性は、EPOレセプターおよびたとえば関連するTPOレセプターを多くの他のサイトカインレセプターから区別する。サイトカインレセプターの他の大半の場合で、レセプターはヘテロダイマー(多くのインターロイキンレセプター)またはヘテロトリマー(たとえばIL−2)ですらある。
【0042】
少なくとも2個のモノマー結合ドメインを含む本発明によるペプチドユニットは、その標的を結合し、好ましくは標的をダイマー化、それぞれマルチマー化および/または標的を従って安定化することができ、それによりシグナル伝達誘発錯体を生成する。ペプチドユニットは好ましくは、好ましくはサイトカインレセプターであるホモダイマー標的分子を有する(上を参照)。
【0043】
上で概説したように、超多価分子を生成するために使用されるペプチドユニットは、標的レセプターを結合する。一実施形態により、ペプチドユニットはレセプターアゴニストとして作用する。アゴニストという用語は、その相補性生物活性レセプター(標的)に結合して、レセプターで生物反応を引き起こすか、またはレセプター(標的)の既存の生物活性を向上させるかのどちらかのために相補性生物活性レセプターを活性化させる、生物活性ペプチドを指す。各種の実施形態により、ペプチドユニットはレセプターアンタゴニストとして作用する。アンタゴニストもその相補性生物活性レセプター(標的)に結合する。しかしながらアンタゴニストは、レセプター(標的)の生物活性を誘起または向上させない。
【0044】
モノマーペプチドユニットをダイマー化またはマルチマー化するための複数の方法が到達水準で既知である。これらの方法は、本発明によるペプチドユニットを生成するために使用されうる。ダイマー化手法の後の有力な解決策は、
a)結合ドメインが最初に、たとえばステップbの準備での反応性基の結合によって修飾されうる、1価またはモノマーペプチドとして個別に合成されるという事実、
b)第2の反応ステップにおいて、2個の、大半の場合では同じ結合ドメインが、2個のダイマー化ドメイン間に通常挿入されているリンカー分子も含む、独立したダイマー化反応において結合されること、
によって特徴付けられる。
【0045】
そのようなダイマーは、2価(ダイマー)ペプチドの例であり、本質的にモノマーと同じ生物機能を示すが、レセプターとのより良好な相互作用のために向上した生物活性を示す。
【0046】
本発明の教示に従っても利用されうるモノマーをダイマー化またはオリゴマー化する複数の技法が、当業者に既知である。モノマーは、たとえばリンカーへの共有結合的結合によってダイマー化されうる。リンカーは、本発明のポリペプチドユニット間に共有結合を生成する接合分子である。ポリペプチドユニットは、EPOレセプターへの結合が改善されるような方法でリンカーを介して結合されうる(Johnson et al.1997;Wrighton et al.1997)。それはさらにWrightonらによって記載されたタンパク質担体分子との非共有結合的相互作用によるモノマービオチン化ペプチドのマルチマー化に関連している。ビオチン/ストレプトアビジン系、すなわちペプチドのC末端のビオチン化および続いてのビオチン化ペプチドのストレプトアビジンによるインキュベートを使用することも可能である。あるいはジケトピペラジン構造を形成することによってダイマー化を達成することも既知である。当業者に既知の本方法は、たとえばCavelierらに記載されている(in:Peptides:The wave of the Future;Michal Lebl and Richard A.Houghten(eds);American Peptide Society,2001)。ダイマー化および非共有結合的マルチマー化に関するこれらの文書の開示は、参照により本明細書に組み入れられている。従来技術より既知のペプチドダイマーを得るための別の代わりの方法は、2官能性活性化ジカルボン酸誘導体を、N末端アミノ基と反応して、それにより最終ダイマーペプチドを形成する後のリンカー部分の反応性前駆体として使用することである(Johnson et al,1997)。モノマーは、リンカーへの共有結合的結合によってもダイマー化されうる。好ましくは、リンカーはNH−R−NHを含み、ここでRは、別の分子部分への結合を可能にするカルボキシル基またはアミノ基などの官能基によって置換される低級アルキレンである。リンカーは、リジン残基またはリジンアミドを含有しうる。またPEGはリンカーとして使用されうる。リンカーは、2個のカルボン酸を含有し、1個以上のPEG分子に結合されうるアミンなどの官能基によって1個以上の原子において場合により置換されうる分子でありうる。リンク部分によるペプチドのオリゴマー化およびダイマー化の考えられるステップの詳細な説明は、WO 2004/101606にも与えられている。
【0047】
機能的にも十分であり、それゆえ本発明の教示に従って利用可能であるが、ダイマー分子を合成する従来技術の手法は、あるペプチドについてある欠点を有しうる。
【0048】
1つの潜在的な欠点は、連結されるモノマーが最初に個別に合成されるという欠点で認められうる。ダイマー化反応中のモノマーペプチドの確率論的対形成のために、本手法によるヘテロダイマー2価ペプチドを(選択的および意図的に)得ることは特に困難である。少なくともこれは、特殊な意図されたヘテロダイマーの収率に大幅な損失をもたらす。2個以上のわずかに異なるモノマー結合ドメインを内包する2価ペプチドは、そのヘテロダイマー性質のために、ヘテロダイマーレセプターへの結合を維持、またはなお増加させながら、最終的な2価ペプチドにおけるその相互作用を安定化できる、2個のドメイン間の特殊な相互作用が導入されうるので、非常に望ましい。しかしながら従来技術の「確率論的ダイマー化反応」に関連する収率の高い損失のために、これは通常は経済的に魅力的な手法ではない。
【0049】
ダイマー化に従来技術の手法を利用することは、技術的に適切であるとしても、上述した異種結合ドメインを持つこれらのペプチドを供給する一部の経済的な欠点をそれゆえ有する。それゆえ好ましくは、異種結合ドメインさえ含有しうる非常に活性の2価ペプチドユニットを得るためのより有効な方法が使用される。
【0050】
本ダイマー化方法の核となる概念は、ダイマー化またはマルチマー化の前に2価ペプチドの一部を形成するモノマーペプチドを合成することを回避するが、少なくとも2個の結合ドメインを有する最終ペプチドユニットを1ステップで単一のペプチドとして、たとえば単一の固相反応で合成することである。それゆえ到達水準によって教示されるような独立したダイマー化またはマルチマー化ステップはもはや必要ない。本態様は大きな利点、すなわち最終ペプチドユニット内の各配列位置に対する完全で独立した制御を与える。該方法は、各配列位置に対する独立した制御のために、ペプチドユニット内に少なくとも2個の異なるレセプター特異性結合ドメインを容易に内包できるようにする。
【0051】
本実施形態により、(「リンカー領域」である)結合ドメイン間の最終ペプチドの配列がアミノ酸のみから構成され、それゆえ単一の連続ペプチドユニットをもたらす。本発明の好ましい実施形態において、リンカーは、高次構造上の高い柔軟性を可能にする天然または非天然アミノ酸より構成される。この点で、ねじれに関してその高い柔軟性のために既知であるグリシン残基を連結アミノ酸として使用することが好都合でありうる。しかしながら他のアミノ酸、たとえばアラニンまたはベータアラニン、あるいはその混合物も使用されうる。使用されたアミノ酸の数および選択はそれぞれの立体的な状況に依存する。本実施形態は、生物活性立体配座のひずみを回避して、それゆえレセプターユニットとの完全な一致を可能にするために、分子モデリングにより適切なリンカーのカスタムメイド設計を可能にする。アミノ酸3〜5個で構成されるリンカーが特に好ましい。
【0052】
ペプチドユニットの(モノマーユニットとも呼ばれる)機能性結合ドメイン間のリンカーが、ペプチドの特徴的な部分でありうること、あるいはモノマー結合ドメインの一部であるアミノ酸より全部または一部が構成されうることのどちらかが注目に値する。それゆえ「リンカー」という用語は、アミノ酸がリンカーユニットの一部はもちろんのこと、モノマー結合サブユニットの一部も形成しうるので、構造的というよりもむしろ機能的に定義される。
【0053】
上記のように、2価ペプチドの合成中に最終ペプチド内の各配列位置は制御下にあり、それゆえ正確に決定されうるので、リンカーを含むペプチドユニットあるいはその特異的領域またはドメインをカスタムメイドまたはテーラーメイドすることが可能である。このことは、それがポリマーの特異的結合部位の生成および望ましくない分子内相互作用によるペプチドユニットの生物活性高次構造のひずみの回避を可能にするために、特別な利点である。ひずみのリスクは、分子モデリングによって合成の前に評価されうる。このことは特にモノマードメイン間のリンカーの設計に適用される。
【0054】
本発明による連続2価/多価ペプチドは、対応するモノマーペプチドよりもはるかに高い活性を示し、それゆえ有効性の上昇が2価ペプチド概念に関連するという他のダイマーペプチドより既知の観察を裏付けている。
【0055】
好ましい実施形態により、すべてのペプチドユニット(ここで各ユニットは1個のレセプター結合ユニットと見なされる)は同じ標的レセプターを結合する。しかしながらそれらは異種であり、それゆえそのアミノ酸配列が異なりうる。
【0056】
好ましい一実施形態により、前記ペプチドユニットはEPOレセプターを結合し、それによりEPOレセプター錯体をダイマー化する。好ましくは、それらはシグナル伝達を誘発して、それゆえEPOアゴニストである。ペプチドユニット、それぞれペプチドユニットを生成するモノマー結合ドメインは、EPO模倣ペプチドの群より選択されうる。適切なEPO模倣ペプチドは、到達水準で周知であり、本発明に関連して使用されうる(たとえばWO 96/40772;WO 96/40749;WO 01/38342;WO 01/091780;WO 2004/101611;WO 2004/100997;WO 2004/101600;WO 2004/101606を参照)。
【0057】
本発明により使用されうるさらに適切なEPO模倣ペプチドユニットは、EPOレセプターに結合する、長さが少なくともアミノ酸10個の結合ドメインを含む。それらは好ましくは、EPO模倣ペプチドの位置10として一般に呼ばれる位置にプロリンを含まないが(ナンバリングについては、Wrightonら、1996およびJohnson、1998を参照)、正に帯電したアミノ酸を含む。これらのEPO模倣ペプチドは、ベータターン構造に特徴的なアミノ酸モチーフを持ち(Wrightonら)、ここで本実施形態によるペプチドユニットの結合ドメインは、位置10にて前記ベータターンモチーフ内にプロリンを含まないが、正に帯電したアミノ酸、好ましくはKまたはRを含む。また他の塩基性アミノ酸、特に非天然アミノ酸、たとえばホモアルギニンが使用されうる。EPO模倣結合ドメインの位置9および10は、5−アミノレブリン酸(5−Als)によって占有されうる。ペプチドドメインは位置17にRも持ちうる。
【0058】
一実施形態により、ペプチドユニットのEPOレセプター結合ドメインの少なくとも1つは、次のアミノ酸配列を含む:
【0059】
【化6】

式中、各アミノ酸は、天然または非天然アミノ酸から選択され、
は、C、A、E、α−アミノ−γ−ブロモ酪酸またはホモシステイン(hoc)であり;
は、R、H、L、WまたはYまたはSであり;
は、M、F、I、ホモセリンメチルエーテル(hsm)またはノルイソロイシンであり;
は、GまたはGの保存的交換であり;
10は、プロリンの非保存的交換であり;
あるいはXまたはX10は、単一のアミノ酸によって置換され;
11は、いずれかのアミノ酸より独立して選択され;
12は、TまたはAであり;
13は、W、1−nal、2−nal、AまたはFであり;
14は、D、E、I、L またはVであり;
15は、C、A、K、α−アミノ−γ−ブロモ酪酸またはホモシステイン(hoc)であり、XまたはX15が、Cまたはhocであるという条件である。
【0060】
前記ペプチドユニットの1個の結合ドメインの長さは好ましくは、アミノ酸10〜40個、あるいは50〜60個である。好ましい実施形態において、ペプチドコンセンサスは、少なくともアミノ酸10、15、18または20個の長さを示す。もちろんそれらはより長い配列によって埋め込まれ、それぞれ含まれうる。上述のモノマーペプチド配列は、EPOレセプターの結合ドメインとして認められる。EPO模倣ペプチドとして、それらはEPOレセプターに結合して活性化することができる。
【0061】
1つまたはいくつかの実施形態により、両方のプロリンは他の天然または非天然アミノ酸によって置換されうるが、これらのペプチドがEPO模倣活性を示すことは、非常に驚くべきであった。実際に本発明によるペプチドは、プロリン含有ペプチドに匹敵する活性を有する。しかしながらプロリン残基を置換するアミノ酸が保存的交換を示さないが、代わりに非保存的交換を示すことは注目に値する。好ましくは、正に帯電したアミノ酸、塩基性アミノ酸、たとえばK、RおよびHならびに特にKは置換に使用される。置換に使用される非保存的アミノ酸も非天然アミノ酸であることが可能であり、好ましくは正に帯電した側鎖を備えた非天然アミノ酸である。上記のアミノ酸の各類似体も含まれる。非天然アミノ酸の適切な例はホモアルギニンである。一実施形態により、ペプチドは天然アミノ酸のアルギニンを除いて、正に帯電したアミノ酸を位置10に持つ。本実施形態により、プロリン10はそれゆえK、Hまたは非天然正荷電アミノ酸、たとえばホモアルギニンより選択されるアミノ酸によって置換される。ペプチドは位置10にリジンまたはホモアルギニンを示すことが好ましい。上記のように、位置17のプロリンも非保存的アミノ酸によって置換されうる。この点で、前記非保存アミノ酸が正に帯電した側鎖、たとえばK、R、Hを持つアミノ酸またはそれぞれの非天然アミノ酸、たとえばホモアルギニンであることも好ましい。本実施形態の下位実施形態により、ペプチドは天然アミノ酸のアルギニンを除いて、正に帯電したアミノ酸を位置17に持つ。本実施形態により、プロリン17はそれゆえK、Hまたは非天然正帯電アミノ酸、たとえばホモアルギニンより選択されるアミノ酸によって置換される。ペプチドは位置17にリジンまたはホモアルギニンを示すことが好ましい。 EPO−R結合ドメインはさらに、次のアミノ酸配列を含む:
【0062】
【化7】

式中、各アミノ酸は標準文字省略形によって示され、そして
はCであり;
は、R、H、LまたはWであり;
は、M、FまたはIであり;
は、GまたはGの保存的交換であり;
10は、プロリンの非保存的交換であり;
11は、いずれかのアミノ酸より独立して選択され;
12は、Tであり;
13は、Wであり;
14は、D、E、I、LまたはVであり;
15はCである。
【0063】
さらにXはセリンであり、Xはhsmまたはノルイソロイシンであり、そしてX13は1−nal、2−nal、AまたはFでもありうる。ペプチドコンセンサスの長さは好ましくは、アミノ酸10〜40個あるいは50または60個である。好ましい実施形態において、ペプチドコンセンサスは、少なくともアミノ酸10、15、18または20個を含む。
【0064】
本発明によるペプチドユニットを生成するために使用されうるさらにEPO模倣ペプチドは、次のペプチドコンセンサス配列によって定義される:EPOレセプターを結合することができるペプチドであって:
−次のアミノ酸コンセンサス配列:
【0065】
【化8】

(式中、各アミノ酸は、天然または非天然アミノ酸から選択され;
X6は、共有結合を形成できる側鎖官能基を備えたアミノ酸またはAまたはα−アミノ−γ−ブロモ酪酸であり;
は、R、H、L、W、YまたはSであり;
は、M、F、I、ホモセリンメチルエーテルまたはノルイソロイシンであり;
は、GまたはGの保存的交換であり;
10は、プロリンの非保存的交換であり(あるいは別の実施形態により、プロリンまたはプロリンの保存的交換);
あるいはXおよびX10は、単一のアミノ酸によって置換され;
11は、いずれかのアミノ酸から選択され;
12は、非帯電極性アミノ酸またはAであり;
13は、W、1−nal、2−nal、AまたはFであり;
14は、D、E、I、LまたはVであり;
15は、共有結合を形成できる側鎖官能価を備えたアミノ酸またはAまたはα−アミノ−γ−ブロモ酪酸である)を含むペプチド;
−EPO模倣活性を示し、プロリンの非保存的交換(あるいは別の実施形態により、プロリンまたはプロリンの保存的交換)を構成するアミノ酸を位置X10に有し、あるいはX9およびX10が単一のアミノ酸によって置換される、上のコンセンサス配列によって定義されたペプチドの機能的に同等の断片、誘導体または変異体;
から成る群より選択されるペプチド。
【0066】
第1の態様のコンセンサス配列により、X6およびX15は、共有結合を形成できる側鎖官能価を持つアミノ酸を示す。これらのアミノ酸はそれゆえ、架橋ユニット形成できる。一実施形態により、位置X6およびX15のアミノ酸は、それらが相互の間に共有結合を形成することによってペプチド内に分子内架橋を形成できるように選択される。分子内架橋を形成することは、ペプチドの環化を引き起こしうる。たとえば適切な架橋ユニットは、ジスルフィド架橋およびジセレニド架橋である。その側鎖内に官能価を形成するそのような架橋を示すアミノ酸の適切な例は、たとえばシステインおよびシステイン誘導体、たとえばホモシステインまたはセレノシステインだけでなく、チオリジンもである。たとえば2個のセレノシステイン残基間のジセレニド架橋の形成さえ、システインブリッジに勝る利点を有する。セレニド架橋としてのこれは、還元環境ではより安定である。ペプチドの高次構造はそれゆえ困難な条件下でも保存される。
【0067】
しかしながらアミノ酸も位置X6およびX15において適切であることが明らかであり、官能化を持つ側鎖が異なる共有結合、たとえば正に帯電した側鎖を有するアミノ酸(たとえばタンパク新生アミノ酸K、H、Rまたはオルニチン、DAPまたはDAB)と負に帯電した側鎖を有するアミノ酸(たとえばタンパク新生アミノ酸DまたはE)との間のアミド結合の形成を可能にすることを示す。さらなる例は、アミドおよびチオエーテル架橋である。
【0068】
長さが少なくともアミノ酸10個のペプチドであって、次の選択肢:
(a)次のアミノ酸コア配列:
【0069】
【化9】

(式中、各アミノ酸は、天然または非天然アミノ酸から選択され、ここで;
は、GまたはGの保存的交換であり;
10は、プロリンの非保存的交換であり(あるいは別の実施形態により、プロリンまたはプロリンの保存的交換);
あるいはXおよびX10は、単一のアミノ酸によって置換され;
11は、いずれかのアミノ酸から選択され;
12は、非帯電極性アミノ酸またはAであり;
13は、ナフチルアラニンである)
を含む、ペプチド。
(b)次のアミノ酸配列:
【0070】
【化10】

(式中、各アミノ酸は、天然または非天然アミノ酸から選択され;
は、C、A、E、α−アミノ−γ−ブロモ酪酸またはホモシステイン(hoc)であり;
は、R、H、L、WまたはYあるいはR、H、L、W、YまたはSであり;
は、M、F、I、ホモセリンメチルエーテルまたはノルイソロイシンであり;
は、GまたはGの保存的交換であり;
10は、プロリンの非保存的交換であり;
あるいはXおよびX10は、単一のアミノ酸によって置換され;
11は、いずれかのアミノ酸から選択され;
12は、TまたはAであり;
13は、1−nal、2−nalであり;
14は、D、E、I、LまたはVであり;
15は、C、A、K、α−アミノ−γ−ブロモ酪酸またはホモシステイン(hoc)であり、XまたはX15が、Cまたはhocであるという条件である)
を含む、EPOレセプターに結合できるペプチド。
(c)EPO模倣活性を示し、プロリンの非保存的交換(あるいは別の実施形態により、プロリンまたはプロリンの保存的交換)を構成するアミノ酸を位置X10に有し、あるいはXおよびX10が単一のアミノ酸およびナフチルアラニンによって位置X13で置換される、上のコンセンサス配列によって定義されたペプチドの機能的に同等の断片、誘導体または変異体;
から選択される、EPOレセプターに結合可能である、ペプチド。
【0071】
長さが少なくともアミノ酸10個のペプチドであって、EPOレセプターに結合可能であり、アゴニスト活性を含み:
−次のアミノ酸コア配列:
【0072】
【化11】

(式中、各アミノ酸は、天然または非天然アミノ酸より選択され、ここで位置X10、X17またはX19の少なくとも1つが負に帯電したアミノ酸であり、ここで
は、GまたはGの保存的交換であり;
11は、いずれかのアミノ酸から選択され;
12は、非帯電極性アミノ酸またはA、好ましくはトレオニン、セリン、アスパラギンまたはグルタミンであり;
13は、W、1−nal、2−nal、AまたはFであり;
14は、D、E、I、L またはVであり;
15は、共有結合を形成できる側鎖官能価を備えたアミノ酸またはAまたはα−アミノ−γ−ブロモ酪酸であり;
16は、いずれかのアミノ酸、好ましくはG、K、L、Q、R、S、HarまたはTより独立して選択され;
18は、いずれかのアミノ酸、好ましくはLまたはQより独立して選択される)の少なくとも1つを含むペプチド;
EPO模倣を活性を示し、位置X10、X17またはX19の少なくとも1つがが負に帯電したアミノ酸である、上のコンセンサス配列によって定義されたペプチドの機能的に同等の断片、誘導体または変異体;
から成る群より選択される、ペプチド。
【0073】
10、X17またはX19の少なくとも1つに負に帯電したアミノ酸を有するEPO模倣ペプチドも、次の拡大コンセンサス配列:
【0074】
【化12】

によって記載され、式中、各アミノ酸は、天然または非天然アミノ酸から選択され、ここで;
は、共有結合を形成できる側鎖官能価を備えたアミノ酸またはAまたはα−アミノ−γ−ブロモ酪酸であり;
は、R、H、L、WまたYまたはSであり;
は、M、F、I、H、ホモセリンメチルエーテルまたはノルイソロイシンであり;
は、GまたはGの保存的交換であり;
10が負に帯電したアミノ酸でない場合に、X10は、プロリン、プロリンの保存的交換またはプロリンの非保存的交換あるいは
およびX10は、単一のアミノ酸によって置換され;
11は、いずれかのアミノ酸から選択され;
12は、非帯電極性アミノ酸またはA;好ましくはトレオニン、セリン、アスパラギンまたはグルタミンであり;
13は、W、1−nal、2−nal、AまたはFであり;
14は、D、E、I、LまたはVであり;
15は、共有結合を形成できる側鎖官能基を備えたアミノ酸またはAまたはα−アミノ−γ−ブロモ酪酸であり;
16は、いずれかのアミノ酸、好ましくはG、K、L、Q、R、S、HarまたはTより独立して選択され;
17が負に帯電したアミノ酸でない場合、X17は、いずれかのアミノ酸、好ましくはA、G、P、Yまたは正に帯電した天然、非天然または誘導体化アミノ酸、好ましくはK、R、H、オルニチンまたはホモアルギニンより選択され;
18は、いずれかのアミノ酸、好ましくはLまたはQより独立して選択され;
19が負に帯電したアミノ酸でない場合、X19は、いずれかのアミノ酸、好ましくは正に帯電したアミノ酸、たとえばK、R、H、オルニチンまたはホモアルギニンより独立して選択され;
10、X17またはX19のいずれか1つが負に帯電したアミノ酸であるという条件である。
【0075】
長さが少なくともアミノ酸10個のペプチドであって、EPOレセプターに結合可能であり、アゴニストを含み、次の:
(a)次のアミノ酸コア配列:
【0076】
【化13】

(式中、各アミノ酸は、天然または非天然アミノ酸から選択され、ここで;
は、GまたはGの保存的交換であり;
11は、いずれかのアミノ酸より選択され;
12は、非帯電極性アミノ酸またはA;好ましくはトレオニン、セリン、アスパラギンまたはグルタミンであり;
13は、W、ナフチルアラニン、AまたはFであり;
14は、D、E、I、LまたはVであり;
15は、共有結合を形成できる側鎖官能基を備えたアミノ酸またはAまたはα−アミノ−γ−ブロモ酪酸である)を含むペプチドはもちろんのこと、EPO模倣活性を示す、上のコンセンサス配列によって定義されたペプチドの機能的に同等の断片、誘導体または変異体であって、位置X10、X16、X17またはX19のいずれか1つが、リジンと比較して伸長された側鎖を有する、正に帯電した非タンパク新生アミノ酸を示す、ペプチド;
(b)特にEPOレセプターを結合可能なペプチドであって、次のアミノ酸配列:
【0077】
【化14】

(式中、各アミノ酸は、天然または非天然アミノ酸から選択され;
は、C、A、E、α−アミノ−γ−ブロモ酪酸またはホモシステイン(hoc)であり;
は、R、H、L、WまたはYまたはSであり;
は、M、F、I、ホモセリンメチルエーテルまたはノルイソロイシンであり;
は、GまたはGの保存的交換であり;
10は、Harであり;X11は、いずれかのアミノ酸から選択され;
12は、TまたはAであり;
13は、W、1−nal、2−nal、AまたはFであり;
14は、D、E、I、LまたはVであり;
15は、C、A、K、α−アミノ−γ−ブロモ酪酸またはホモシステイン(hoc)であり、
またはX15が、Cまたはhocであるという条件である)を含む、ペプチド;
(c)ペプチドであって、次のアミノ酸配列:
【0078】
【化15】

(式中、X〜X15は、変異体(b)の上の意味を有し、ここで
は、いずれかのアミノ酸、好ましくはD、E、L、N、S、TまたはVより独立して選択され;
は、Yであり;
は、いずれかのアミノ酸、好ましくはA、H、K、L、M、S、TまたはIより独立して選択され;
16は、いずれかのアミノ酸、好ましくはG、K、L、Q、R、SまたはTより独立して選択され;
17は、ホモアルギニンであり;
18は、いずれかのアミノ酸より独立して選択される)を含むペプチド;
のペプチドの群より選択される、ペプチド。
【0079】
これらのペプチドは、次のアミノ酸コア配列:
【0080】
【化16】

によっても記載され、式中、各アミノ酸は、天然または非天然アミノ酸から選択され、ここで;
は、共有結合を形成できる側鎖官能基を備えたアミノ酸またはAまたはα−アミノ−γ−ブロモ酪酸であり;
は、R、H、L、WまたはYまたはSであり;
は、M、F、I、Y、H、ホモセリンメチルエーテルまたはノルイソロイシンであり;
は、GまたはGの保存的交換であり;
10が、リジンと比較して伸長される側鎖を有する正に帯電した非タンパク新生アミノ酸でない場合、X10は、プロリン、プロリンの保存的交換またはプロリンの非保存的交換、あるいはXおよびX10は、単一のアミノ酸によって置換され;
11は、いずれかのアミノ酸より選択され;
12は、非帯電極性アミノ酸またはA;好ましくはトレオニン、セリン、アスパラギンまたはグルタミンであり;
13は、W、1−nal、2−nal、AまたはFであり;
14は、D、E、I、LまたはVであり;
15は、共有結合を形成できる側鎖官能基を備えたアミノ酸またはAまたはα−アミノ−γ−ブロモ酪酸であり;
16が、リジンと比較して伸長される側鎖を有する正に帯電した非タンパク新生アミノ酸でない場合、X16は、いずれかのアミノ酸、好ましくはG、K、L、Q、R、SまたはTより独立して選択され;
17が、リジンと比較して伸長される側鎖を有する正に帯電した非タンパク新生アミノ酸でない場合、X17は、いずれかのアミノ酸、好ましくはA、G、P、Yまたは正に帯電した天然、非天然または誘導体化アミノ酸、好ましくはK、R、Hまたはオルニチンより選択され;
18は、いずれかのアミノ酸、好ましくはLまたはQより独立して選択され;
19が、リジンと比較して伸長される側鎖を有する正に帯電した非タンパク新生アミノ酸でない場合、X19は、いずれかのアミノ酸、好ましくは正に帯電したアミノ酸、たとえばK、R、Hまたはオルニチンより独立して選択され;
10、X16、X17またはX19のいずれか1つが、リジンと比較して伸長される側鎖を有する正に帯電した非タンパク新生アミノ酸であるという条件である。
【0081】
その少なくとも2個が1個のペプチドユニットを構築するモノマーEPO模倣ペプチドは、アミノ酸残基XおよびX10を置換する単一のアミノ酸を含みうる。好ましくは両方の残基が1つの非天然アミノ酸、たとえば5−アミノレブリン酸または5−アミノ吉草酸によって置換される。
【0082】
さらなる実施形態において、ペプチドユニットで使用された結合ドメインは次の配列:
【0083】
【化17】

を有し、式中、X6〜X15は上の意味を有し、ここで
は、Yであり;
は、いずれかのアミノ酸より独立して選択され、好ましくはA、H、K、L、M、S、TまたはIである。
【0084】
結合ドメインは拡張されることがあり、コンセンサス配列
【0085】
【化18】

を含むことがあり、式中、X〜X15は上の意味を有し、ここで
は、いずれかのアミノ酸、好ましくはD、E、L、N、S、TまたはVより独立して選択され;
16は、いずれかのアミノ酸、好ましくはG、K、L、Q、R、SまたはT、さらに好ましくはK、R、SまたはTより独立して選択され;
17は、いずれかのアミノ酸、好ましくはA、G、P、R、K、Yまたは正に帯電した側鎖を持つ非天然アミノ酸、さらに好ましくはR、Kまたは非天然アミノ酸、たとえばホモアルギニンより独立して選択され;
18は、いずれかのアミノ酸より独立して選択される。
【0086】
本発明のさらなる実施形態において、ペプチドが、XをC、E、Aまたはhoc、好ましくはCとして、および/またはXをR、HまたはYとして、および/またはXをFまたはMとして、および/またはXをGまたはA、好ましくはGとして、および/またはX10をKとして、および/またはX11をV、L、I、M、E、A、Tまたはノルイソロイシンとして、および/またはX12をTとして、および/またはX13をWとして、および/またはX14をDまたはVとして、および/またはX15をCまたはhoc、好ましくはCとして、および/またはX17をP、YまたはAとして含むことが好ましい。しかしながら、X17が、Kまたは正に帯電した側鎖を持つ非天然アミノ酸、たとえばホモアルギニンであることも好ましい。
【0087】
図19は、EPO模倣活性を示すさらなる新規の適切なペプチドを開示する。本発明と併せて、それらは本発明によるペプチドを生成するために適切な結合ドメイン(モノマー)として使用されうる。さらにそれらは、上述のようにモノマーまたはマルチマーEPO模倣ペプチドとして使用されうる。
【0088】
結合モノマーの始まり(N末端)および終わり(C末端)において、最大5個のアミノ酸が除去および/または付加されうる。
【0089】
ペプチドの唯一の機能的特性として、ここではEPOレセプターに結合する能力、EPOレセプターアゴニストの場合にEPOレセプターを活性化する能力が決定的である。ペプチドユニットの正確なアミノ酸配列は変化しうる。上には一般的な概念を裏付けるために、EPO模倣ペプチドの適切な例のみ与えている。しかしながら異なるアミノ酸配列を持つ他のEPO模倣ペプチドも本発明と併せて使用されうる。
【0090】
別の実施形態により、前記ペプチドユニットはTPOレセプターを結合し、それによりTPOレセプター錯体をダイマー化する。好ましくは、それらはシグナル伝達を誘発して、それゆえTPOアゴニストである。ペプチドユニット、それぞれペプチドユニットを生成するモノマー結合ドメインは、TPO模倣ペプチドの群より選択されうる。適切なTPO模倣ペプチドは到達水準で周知であり、本発明と関連して使用されうる。適切な例は、たとえばWO 98/25965、US5932546、WO0024770、Cwirla,S.E.,P.Balasubramanian,D.J.Duffin,C.R.Wagstrom,C.M.Gates,S.C.Singer,A.M.Davis,R.L.Tansik,L.C.Mattheakis,C.M.Boytos,P.J.Schatz,D.P.Baccanari,N.C.Wrighton,R.W.BarrettおよびW.J.Dower(1997)“Peptide agonist of the thrombopoietin receptor as potent as the natural cytokine.”Science 276(5319):1696−1699、US6083913、US6465430、US5869451、US6121238、US6251864、Dower,W.J.,S.E.Cwirla,P.Balasubramanian,P.J.Schatz,D.P.BaccanariおよびR.W.Barrett(1998).“Peptide agonists of the thrombopoietin receptor.”Stem Cells 16 Suppl 2:21−29、WO05023834、WO0024770に記載されており、TPO模倣ペプチドの構造/アミノ酸配列に関するすべての文書の開示は参照により完全に組み入れられる。
【0091】
本発明によるペプチドユニットは、L−アミノ酸または立体異性D−アミノ酸以外に、非天然/非在来アミノ酸、たとえばアルファ、アルファ−分散アミノ酸、N−アルキルアミノ酸または乳酸、たとえば1−ナフチルアラニン、2−ナフチルアラニン、ホモセリン−メチルエーテル、β−アラニン、3−ピリジルアラニン、4−ヒドロキシプロリン、O−ホスホセリン、N−メチルグリシン(サルコシン)、N−アセチルセリン、N−アセチルグリシン、N−ホルミルメチオニン、3−メチルヒスチジン、5−ヒドロキシリルシン、ノルリジン、5−アミノレブリン酸または5−アミノ吉草酸を含みうる。N−メチルグリシン(MeG)およびN−アセチルグリシン(AcG)の使用は、特に末端位置にて特に好ましい。定義したペプチドのレトロ、インベルソおよびレトロ/インベルソペプチドであるペプチドおよび完全にD−アミノ酸より成るそのようなペプチドも、本発明の範囲内である。
【0092】
ペプチドの誘導体、たとえばメチオニンの酸化生成物、または脱アミド化グルタミン、アルギニンおよびC末端アミドも使用されうる。
【0093】
ここで大文字としての1文字コードの省略形は、非天然アミノ酸の付加により拡張される、標準ポリペプチド命名法の省略形である。
【0094】
【化19】

【0095】
【化20】

ペプチドユニットは、たとえば単一のアミノ酸の保存的交換によって修飾されうる。そのような交換は、結合分子の構造および機能を変化させるが、大半の場合でわずかである。保存的交換では、1個のアミノ酸が同様の特性を持つ群内の別のアミノ酸によって置換される。該当する群の例は:
−非極性側鎖を有するアミノ酸A、G、V、L、I、P、F、W、M
−極性側鎖を有する非帯電アミノ酸:S、T、G、C、Y、N、Q
−芳香族側鎖を有するアミノ酸:F、Y、W
−正に帯電したアミノ酸:K、R、H
−負に帯電したアミノ酸:D、E
−置換するアミノ酸の分子量が元のアミノ酸の分子量から最大+/−25%(または+/−20%、+/−15%、+/−10%)逸脱する、同じサイズまたは分子量のアミノ酸。
【0096】
さらに詳細にはWrightonら(US−Patent 5,773,569、および関連特許)は、活性を維持しながらEPO模倣ペプチドのアミノ酸が置換されうるファージ提示技法を使用して詳細に調査した。彼らはまた、所与のポリマーペプチドの考えられる切断、すなわち最小長に関するデータを研究および発表した。
【0097】
本発明の一実施形態に従って、下に与える配列番号2、4〜9から成る群より選択されるモノマーは、少なくとも2価ペプチドユニットの形成に使用される。良好な活性は、配列番号2のように位置10にKおよび位置17にKを持つペプチドを示す。
【0098】
【化21】

5−アミノレブリン酸(Als)の包含:
【0099】
【化22】

【0100】
【化23】

一実施形態に従って、ペプチドユニットは、上に与えたような配列番号2および4〜9またはその修飾によるモノマーに基づいて形成される。ペプチドはたとえば、単一のアミノ酸の保存的交換によって修飾可能であり、そこで好ましくは1、2または3個までのアミノ酸が交換される。好ましくはこれらのペプチドは、N末端にてAcGに関して、C末端にてMeGに関して修飾される。
【0101】
EPOレセプターをダイマー化するための適切なペプチド単位のある例を次に挙げる。結合ドメイン上の横棒は、任意であるが好ましい分子内ジスルフィド架橋を表す:
【0102】
【化24】

これらの2価構造内のリンカーは、生物活性高次構造のひずみを回避するために、分子モデリングによってカスタムメイドされる(図1)。
配列番号12
リンカー配列は、1個のグリシン残基によって短縮されうる。本配列はたとえば、同時に結合ドメインの一部を形成するグリシン残基によって構成されたリンカーでもある(配列番号2を参照)。
【0103】
【化25】

本配列は、2個のわずかに異なる(異種)結合ドメインを内包する連続2価ペプチドユニットを表す。そのような2価ペプチドは、従来技術のダイマー化手法によって経済的に入手できない(上を参照)。逸脱するアミノ酸(現在、C末端にてKおよびD)が相互作用して、それによりダイマーを安定化させるという本へテロダイマー分子の利点は、そこに存在する。それゆえ分子モデリングによって分子内にそれぞれの安定化修飾を包含することが好都合である。
【0104】
さらなる例は
【0105】
【化26】

である。
【0106】
さらなる実施形態に従って、ペプチドは場合により、追加のアミノ酸、好ましくはたとえば次の配列においてなどの、N末端にシステインなどの反応性側鎖を持つアミノ酸を持つ。
【0107】
【化27】

システインの反応性側鎖は、たとえばポリマー担体ユニットの結合のための連結タイとして作用しうる。ペプチドはさらに場合により、第1および第2ならびに/または第3および第4システインの間にジスルフィド架橋を含む。
【0108】
配列番号2、4〜9および12、13および15、15aによって例示されるようなモノマーユニットは、好ましくはペプチドユニットに結合されうる。
【0109】
ペプチドユニットのモノマーに利用されているダイマー化方法の例は(これに限定されるわけではないが)以下が挙げられる:
1.前記モノマーペプチドの一方のC末端が他方のC末端に共有結合される、C末端からC末端への結合を介したダイマー化。モノマー間のリンカー/スペーサは、ジケトピペラジンユニットを含有しうる。好ましいGly−Glyジケトピペラジン骨格は、C末端グリシンモノマーを活性化することによって達成されうる。本原理は、C末端ダイマー化を形成するためにも使用されうる。
【0110】
【化28】

次の式および例は、分子モデリングによって最適化されるカスタマイズされた4つの例を表す:
(a)配列番号2に基づくダイマー(ダイマー高次構造を図2に示す):
【0111】
【化29】

(b)1個のグリシンによって短縮されたリンカーを持つ、配列番号2に基づくダイマー:高次構造を図3に示す。
【0112】
【化30】

(c)ベータ−アラニンによって置換されたグリシンを持つ、配列番号2に基づくダイマー(図4)。モノマー(配列番号16)もEPO模倣ペプチドとして利用できる。
【0113】
【化31】

(d)ベータ−アラニンによって置換された代わりのグリシンを持つ、配列番号2に基づくダイマー(図5)。モノマー(配列番号17)もEPO模倣ペプチドとして利用できる。
【0114】
【化32】

2.前記モノマーペプチドの一方のN末端が他方のN末端に共有結合され、それによりスペーサユニットが好ましくはジカルボン酸構成要素を含有する、N末端からN末端への結合を介したダイマー化。
【0115】
【化33】

(a)一実施形態において、1個のグリシン残基によりN末端にて伸長された配列番号2に基づいて得られたダイマー(配列番号18)は、ヘキサンジオイルユニットをリンカー/スペーサとして含有する(図6):
【0116】
【化34】

(b)代わりの実施形態において、ダイマー化はオクタンジオイルユニットをリンカー/スペーサとして使用することによって達成されうる(図7):
【0117】
【化35】

3.前記モノマーペプチドの1個のアミノ酸側鎖が他方のペプチドのアミノ酸側鎖に、2個のペプチドモノマーを結合する適切なスペーサ分子の包含によって共有結合される、側鎖によるダイマー化。
【0118】
【化36】

これは:
(a)アミド結合を介した結合。
【0119】
【化37】

(b)またはジスルフィド架橋を介した結合:
【0120】
【化38】

を含みうる。
【0121】
Xは、それぞれのペプチド結合の形成に関与する、それぞれのアミノ酸の主鎖コアを示す。
【0122】
異なる方法に従って、ペプチドモノマーを相互に結合させて、それによりペプチドユニットを形成する共有架橋は、第1モノマーペプチドのC末端アミノ酸および第2ペプチドモノマーのN末端アミノ酸の側鎖間に形成される。それゆえ本ダイマー化方法に従って、ダイマー化されるモノマーペプチドがNまたはC末端のどちらかに架橋形成官能価を備えたアミノ酸を持ち、それにより第1ペプチドの最後のアミノ酸と第2ペプチドの最初のアミノ酸との間での共有結合の形成を可能にすることが好ましい。ダイマーを生成する結合は、好ましくは共有結合性である。各架橋の適切な例はたとえば、ジスルフィド架橋およびジセレニド架橋である。しかしながら正および負に帯電したアミノ酸の間のアミド結合または他の共有連結結合、たとえばチオエーテル結合は連結部分として適切である。
【0123】
最終ペプチドユニットを形成するためにモノマー結合ユニット間に各結合架橋を形成するのに適切な好ましいアミノ酸はたとえば、システイン、システイン誘導体、たとえばホモシステインまたはセレノシステインまたはチオリジンである。それらはジスルフィド架橋か、またはアミノ酸を含有するセレニウムの場合、ジセレニド結合のどちらかを形成する。
【0124】
例としてEPO模倣ペプチドを使用してそれぞれ生成されたペプチドユニットダイマーの適切な例を下に与える:
【0125】
【化39】

【0126】
【化40】

【0127】
【化41】

さらなる発展に従って、ペプチドダイマー(それゆえダイマーの始まりまたは終わりのどちらかに位置している各モノマーペプチドユニット)のNまたはC末端に余分のアミノ酸を含み、超多価化合物を生成するためにHESなどのポリマー担体のカップリングを可能にする。結果として、導入されたアミノ酸は、たとえばSH基などの各カップリング官能価を保持する。そのようなアミノ酸の1つの一般的な例は、システインである。しかしながら共有結合の形成を可能にする官能基を備えた他のアミノ酸(たとえばすべての負および正に帯電したアミノ酸)も適切である。
【0128】
【化42】

横棒は、共有分子内架橋;この場合はジスルフィド架橋を表す。
【0129】
さらなる発展に従って、モノマーユニットをダイマーに結合するための共有結合架橋の形成に関与するCおよび/またはN末端のアミノ酸は、帯電基、たとえばCOO−またはNH3+基を示す。この特徴は、分子内架橋の構造の好ましい安定化をもたらす:
【0130】
【化43】

4.連続2価または多価ペプチドを形成することによるダイマー化はすでに上で概説した。
【0131】
【化44】

本方法の核となる概念は、ダイマー化またはマルチマー化の前に独立した反応で多価または2価ペプチドのモノマーペプチド形成部を合成することを回避するが、最終2価または多価ペプチドを1ステップで単一のペプチドとして;たとえば単一の固相反応で合成することである。それゆえ独立したダイマー化またはマルチマー化ステップはもはや不要である。本態様は大きな利点、すなわち最終ペプチドユニット内の各配列位置に対する完全で独立した制御を与える。該方法は、各配列位置に対する独立した制御のために、ペプチドユニット内に少なくとも2個の異なるレセプター特異性結合ドメインを容易に内包できるようにする。
【0132】
モノマーおよびダイマーまたはマルチマーペプチドに関しては、連続2価/多価ペプチドは、たとえばアセチル化またはアミド化によって修飾されうるか、あるいはC末端またはN末端位置にて伸長されうる。
【0133】
すべての考えられる修飾は、リンカーを修飾することにも当てはまる。特に溶解性ポリマー部分、たとえばPEG、デンプンまたはデキストランなどをリンカーに結合させることも好都合でありうる。
【0134】
本発明による最終多価または2価ペプチドの合成は好ましくは、結合ドメインそれぞれの中にジスルフィド結合または他の分子内結合の2つの連続および独立した形成も含みうる。それによりペプチドも環化されうる。
【0135】
ペプチドの反応性側鎖は、さらなる修飾のために連結タイとして作用しうる。ペプチドユニットはさらに、たとえばシステインなどの、側鎖官能価を形成する架橋を有するアミノ酸間に分子内架橋を場合により含む。
【0136】
ペプチドは、たとえばアセチル化またはアミド化によって修飾されうるか、あるいはC末端またはN末端位置にて伸長されうる。たとえばポリマー担体の結合部位の準備のための2個の末端の一方(NまたはC)における1個以上のアミノ酸による伸長は、連続ペプチドとして最も良好に製造されうるヘテロダイマー2価ペプチドをもたらすことが多い。
【0137】
担体をタンパク質およびペプチドにカップリングするために、複数のアミノ酸が到達水準で既知である。好ましいカップリングアミノ酸は、NまたはC末端にカップリングされうるか、あるいはペプチド配列内に導入されうるかのどちらかである、システインである。しかしながらカップリング方向は、かなりの相違を生じることがあり、それゆえペプチドユニットに対して慎重に選択されるべきである。これはEPO模倣ペプチドの次の例に基づいて証明されるものとする:
次の2つのダイマーが使用される:
【0138】
【化45】

41マーAGEM400C6C4およびAGEM40C6C4は、同じコア配列を所有する。AGEM40C6C4のアミノ酸1〜40は、AGEM40C6C4のアミノ酸2〜41に等しい。唯一の相違は、tBu保護システインの位置である。このアミノ酸は、レセプター薬物相互作用に関与するが、最終コンジュゲート中のポリマー担体に対する連結基として作用するように定められている。AGEM400C6C4の場合、tBu保護システインはC末端に結合され、AGEM40C6C4の場合、それはN末端に結合される。結合棒はシステイン架橋を表す。
【0139】
AGEM400C6C4にはAGEM40C6C4に勝る2つの利点がある。
【0140】
第1の利点は、その合成利便性である。AGEM400C6C4は、AGEM40C6C4よりも高い全収率で単離されうる。AGEM400C6C4の直鎖配列の合成において、CIZ−22マー(CIZ−RGGGTYSCHFGKLT−1−Nal−VCKKQRG−NH2、CIZ:2−クロロベンジルオキシカルボニル基)が副生成物として観察される。逆相高圧液体クロマトグラフィー(RP−HPLC)による直鎖配列の精製中、それはAGEM40C6C4の直鎖前駆体としての同様のクロマトグラフィー挙動を示し、したがって、それから分離されることが困難となり、所望の生成物の全収率の損失をもたらす。AGEM400C6C4の場合、類似化合物が見出される。
【0141】
AGEM40C6C4に勝るAGEM400C6C4の第2の利点は、脱保護ペプチドとポリマー担体との最終コンジュゲートの分析のより容易な実施に存する。ペプチドコンジュゲートの分析のための1つの方法は、エンドプロテアーゼを用いた開裂によるコンジュゲートの選択的分解である。理想的にはペプチド全体は、酵素加水分解中にポリマー担体から放出される。これらのペプチド断片は、すなわちUVまたはMS検出などを備えたHPLCなどの標準分析技法によって同定および定量されうる。
【0142】
AGEM400C6C4の場合、開裂は、帯電したアミノ酸のアルギニンおよびリジンのC末端にある高度に選択的なペプチド結合を開裂させることが既知であるエンドプロテアーゼである、トリプシンによって影響されうる(F.Lottspeich,H.Zorbas(Hrsg.),“Bioanalytik”,Spectrum Akademischer Verlag,Heidelberg,Berlin,1998)。これはAGEM400C6C4のコンジュゲートに利用されて、担体分子に結合された元のペプチドのアミノ酸41個中38個を含む断片を放出させるであろう。AGEM40C6C4の場合、アミノ酸41個中21個のみの断片がトリプシン消化によって放出される:
【0143】
【化46】

活性製薬的成分の分析はその開発中に主要な課題であるため、AGEM400C6C4はAGEM40C6C4に勝る明らかな利点を有する。
【0144】
それゆえ、開裂部位はモノマーの位置X19におけるアルギニンのせいでポリマーの前のかなり右側であるため、ほぼ完全なペプチド断片を産生することが可能であるので、正に帯電したアミノ酸が各位置に配置される場合、連結アミノ酸(ここではシステイン)をC末端に包含することが非常に好ましい。
上述のような各構築方法も、ペプチドユニットとしてのマルチマーの調製に使用されうる。
【0145】
各同種または異種2価または多価ペプチドユニットを形成するために、本明細書に記載した結合ドメインすべても単独で、または2価ペプチドの一部として、1個以上の他の同一または異なるペプチドドメインのどちらかと結合されうることが指摘される。
【0146】
該ペプチドユニットは、N末端にてAcGに関して、C末端にてMeGに関して場合により修飾される。
【0147】
ペプチドユニットは、たとえばアセチル化またはアミド化によって修飾されうるか、あるいはC末端またはN末端位置にて伸長されうる。特にポリマー担体ユニット結合の準備のための、2個の末端の一方のみにおける1個以上のアミノ酸による伸長は、連続ペプチドとして最も良好に製造されうるヘテロダイマー2価ペプチドユニットをもたらすことが多い(上を参照)。
【0148】
本発明による最終多価または2価ペプチドの合成は好ましくは、結合ドメインそれぞれの中にジスルフィド結合または他の分子内結合の2つの連続および独立した形成も含みうる。
【0149】
本発明は、ペプチドユニットが各担体ユニットに結合される、各化合物の産生方法をさらに含む。本発明の化合物は、ヒトおよび獣医用製薬組成物の調製に好都合に使用されうる。適応症はそれに結合されるペプチドユニットに依存する。
【0150】
EPO模倣ペプチドのカップリングの場合、本発明による化合物は、特にエリスロポエチンと同じ適応症に適切である。それゆえ本発明は、エリスロポエチンアゴニスト活性を含むペプチドユニットを持つ本発明の化合物の治療的有効用量または量を患者に投与するステップを含む、エリスロポエチンアゴニストによる治療に感受性である障害に苦しんでいる患者を治療する方法も提供する。
【0151】
エリスロポエチンは、サイトカインスーパーファミリの一員である(上を参照)。導入部に記載した刺激効果以外に、エリスロポエチンが幹細胞を刺激することも見出された。本明細書に記載したEPO模倣薬はそれゆえ、幹細胞関連の影響によって引き起こされたすべての適応症に適切である。非制限的な例は、神経系に関連する疾患の予防および/治療である。例は、神経損傷、疾患または障害、たとえばパーキンソニズム、アルツハイマー病、ハンチントン舞踏病、多発性硬化症、筋萎縮性側索硬化症、ゴーシェ病、テイ−ザックス病、ニューロパチー、末梢神経損傷、脳腫瘍、脳損傷、脊髄損傷または脳卒中損傷である。本発明によるEPO模倣ペプチドは、心不全に苦しむ、または苦しむ危険性のある患者の予防的および/または治癒的治療にも有用である。例は、心筋梗塞、冠動脈疾患、心筋炎、化学療法治療、アルコール依存、心筋症、高血圧、僧帽弁閉鎖不全症または大動脈弁狭窄症を含む弁心臓病、および甲状腺の障害、慢性および/または急性冠不全症候群である。さらにEPO模倣薬は、内皮前駆細胞の生理的可動化、増殖および分化の刺激に、血管形成の刺激に、内皮前駆細胞の障害に関連する疾患の治療に、そのような疾患の治療のための製薬組成物および前記ペプチドを含む製薬組成物および内皮前駆細胞の刺激に適切な他の薬剤の産生に使用されうる。そのような疾患の例は、高コレステロール血症、真性糖尿病、内皮介在慢性炎症疾患、細網内皮症を含む内皮症、アテローム性動脈硬化、冠動脈心疾患、心筋虚血、狭心症、加齢性心血管疾患、レイノー病、妊娠性高血圧症、慢性または急性腎不全、心不全、創傷治癒および二次疾患である。EPO模倣ぺプチド単位を持つ化合物は、エリスロポエチンの欠乏あるいは少ないまたは欠陥のある赤血球集団を特徴とする障害の治療に、そして特に貧血および脳卒中のいずれの種類の治療に特に有用である。このような製薬組成物は、組成物を目的の投与手順に採用するために製薬的に許容される担体を場合により含みうる。適切な送達方法は担体および添加剤と同様に、たとえば参照により本明細書に組み入れられているWO 2004/101611に記載されている。
【0152】
TPO模倣ペプチドを持つ(アゴニスト活性を有する)化合物の場合、化合物はトロンボポエチンとしてすべての適応症に使用されうる。それゆえ該化合物は、TPOによって媒介される疾患、たとえば血小板減少症、顆粒球減少症および貧血を含む血液疾患の予防および治療に、そして血液悪性腫瘍の治療に有用である。それゆえ本発明は、トロンボポエチンアゴニスト活性を含むペプチドユニットを持つ本発明の化合物の治療的有効用量または量を患者に投与するステップを含む、トロンボポエチンアゴニストによる治療に感受性である障害に苦しんでいる患者を治療する方法も提供する。
【実施例】
【0153】
A.超多価化合物の概念の例証
超多価分子の概念は、実施例によって説明されるものとする。図13は、本発明による簡単な超多価分子の例を示す。連続2価ペプチドは、マレイミド基を持つ2官能性PEG部分によってN末端で結合されている。システインは、PEG担体ユニットのための反応性結合部位として選択された。
【0154】
しかしながら超多価分子は、2個を超える連続2価または多価ペプチドユニットを含みうる。図14は、中央グリセロールユニットを分岐ユニットとして備えた担体ユニットに基づき、3個の連続2価ペプチドを含む例を与える。再び、システインは結合に使用された。図20は、ポリマー担体ユニットとしてHESを使用する例を示す。HESは、HESがペプチドユニットのSH基と反応するマレイミド基を持つように修飾された。本例に従って、すべての結合部位はペプチドユニットに結合される。しかしながら小型のPEGユニット(たとえば3〜10kD)も、結合部位の少なくとも一部を占有可能であった。
【0155】
上で説明したように、超多価概念は、樹状および/またはポリマー担体ユニットが多数の連続2価ペプチドの結合されている多価樹状ポリマーにも拡張されうる。たとえば樹状分岐ユニットは、ポリグリセロールに基づきうる(参照により本明細書に組み入れられている、Haag 2000を参照)。
【0156】
6個の連続2価ペプチドを含有する樹状分岐ユニットを備えた担体ユニットに基づく超多価分子の例を図15に示す。
【0157】
超多価分子の他の例は、多数のアルデヒド官能基を内包するためにたとえば過ヨウ素酸を使用して酸化されるデンプンまたはデキストランを備えた担体ユニットを含む。第2ステップにおいて、多くの2価ぺプチドが担体ユニットに結合され、共に最終分子を形成する。数百個(たとえば50〜1000個、好ましくは150〜800個、さらに好ましくは250〜700個)のペプチドユニットすら、たとえばHESである担体分子にカップリングされうることに注目する。しかしながら図に示すように、特にEPO模倣ペプチドがカップリングされる場合は、はるかに少ないペプチドユニットもHES分子に結合されうる。カップリングされるペプチドユニットの平均数は、ペプチドおよび結合されるレセプターに応じて、約2〜1000、2〜500、2〜100、2〜50、好ましくは2〜20、最も好ましくは2〜10から選択されうる。
【0158】
図16は、簡単な生分解性超多価分子の概念を示す。2個の連続2価ペプチドは、中間開裂位置を有する生分解性リンカーを介して結合される2個の2官能性PEG部分によってN末端で結合される。リンカーは、サブユニット中での大型のPEGユニットの分解を可能にして、それにより腎クリアランスを促進する。
【0159】
超多価効果に関連する利点は非常に驚くべきであり、予想外であった。最初に、巨大分子へのコンジュゲーションが有効性を低下させうることが懸念された。この予想は、より大型の分子による拡散速度低下のために結合速度での仮定された欠点に基づいていた。別の予想は、担体に結合した複数のペプチドAPIから、同時結合の立体的問題のために、または巨大分子担体の拡張によって達成されうるレセプターの数が制限されており、おそらくペプチドAPIの数よりも少ないために、すべてがレセプターに潜在的に結合できるわけではないことであった。それゆえ本発明の超多価概念で見られるようなペプチドAPI(活性製薬的成分)の効力の上昇は、予想されなかった。
【0160】
これに対して、巨大分子担体が導入できる著しい薬物動態学的変化のために、生体内効力は全ペプチド/担体錯体のより長い半減期のために改善可能であった。本現象は、超多価効果が別個に決定する必要のある薬力学的実体であるため、超多価効果を生体内で決定することが困難であるという効果も有する。それゆえ試験管内アッセイは、超多価効果を明確に証明するための、十分であるだけでなく、唯一の有用な方法でありうる。
【0161】
本発明で記載したような超多価効果は、ペプチドAPIのモル量の比較(担体にコンジュゲート対非コンジュゲート)によって証明されうる。
【0162】
試験管内でのEPO様活性の決定のために、ヨーロッパ薬局方によって推奨される標準TF−1細胞アッセイで実験を実施した(下も参照)。基本的にTF−1細胞(その増殖はEPO様活性の存在に依存する)は、各種の濃度のEPOまたはEPO模倣物質の存在下で培養される。生じた細胞数は、比色MTTアッセイおよび測光測定を使用して定量される。これらのデータに基づいて、各所与の物質について正規化された用量反応関係を決定することが可能である。
【0163】
本アッセイにおいて、EPOと、既知のEPO模倣活性を備えた連続2価ペプチドであるペプチドAGEM40(下を参照)を使用した。
【0164】
AGEM40は、非コンジュゲートペプチドとして、そして巨大分子担体にコンジュゲートされたペプチド(この場合、平均分子量130kDのヒドロキシエチルデンプン;販売元は薬局であり、代用血漿としてのVoluven)として使用された。本コンジュゲートの構成要素サイズはほぼ40kDであり、これは平均HES分子が約2〜5個の、好ましくは3〜4個のペプチド部分を持つことを意味する。HES200/0.5も使用されうる。130kDHESの修飾後、AGEM40の約4個のペプチドがコンジュゲートされた(コンジュゲートされた分子の分子量:150kD)。分子量200kDのHESが使用されたとき、この量は、HESにコンジュゲートされた約5個のペプチドユニットに相当する(コンジュゲート分子の分子量:220kD)。
【0165】
図33に示す比較は、ペプチドがコンジュゲートされているかいないかにかかわらず、ペプチド濃度のモル比較に基づいている。驚くべきことに、効力は上昇し(EC50は低下し、用量依存曲線は非コンジュゲートペプチドより左に位置する)、それにより巨大分子担体への複数価(oligovalent)コンジュゲーションの正の薬力学的影響を証明する。
【0166】
それゆえ予想された薬力学的改善とは無関係に、本発明によるコンジュゲーション概念は、全体の活性製薬的成分(API)、それゆえその有効性を明らかに上昇させる。
【0167】
これは、EPOレセプターに対処するペプチドに、しかし潜在的には他の膜結合薬理学的標的、特にトロンボポエチン、G−CSF、インターロイキン、およびその他のレセプターなど(上を参照)の他のサイトカインレセプターに確実に使用されうる新たな機構である。
【0168】
B.ペプチドユニットをヒドロキシエチルデンプンにコンジュゲートするための概念
上で概説したように、一実施形態に従って、ヒドロキシアルキルデンプン、好ましくはヒドロキシエチルデンプンなどのポリサッカライドは、ペプチドユニットのポリマー担体として使用される。ペプチドユニットを担体にコンジュゲートできるようにするために、適切な連結基をデンプン分子内に導入してカップリングを促進することが可能である。一実施形態に従って、アミノ基はデンプン(以下、例のヒドロキシルエチルデンプンに基づいて記載)主鎖上に導入される。従うことができる各種の方法がある。そのうち3つを以下でより詳細に説明し、これらの方法の概略を図34に与える。
【0169】
1.2ステッププロセス:アルデヒド基が酸化により導入され、還元的アミノ化が続く。
【0170】
HES分子の酸化は、複数の酸化剤、すなわち過ヨウ素酸ナトリウム(NaIO4)、および2−ヨードキシ安息香酸(IBX)によって達成されうる。NaIO4による酸化は長時間および周知であり、サッカライド環の開環によってアルデヒドをもたらす。
【0171】
IBX
【0172】
【化47】

は、サッカライド環を開環せずに第1級アルコール基をアルデヒドに変換するために化学量論的に使用されうる(図36を参照、総説についてはV.V.Zhdankin,Current Organic Synthesis,2005,2,121−145および引用文献を参照)。水により良好に溶解する誘導体は、文献に記載されている(Thottumkara,A.P.;Vinod.T.K.,Tetrahedron Lett,2002,43(4),569)。
【0173】
各種の手法に従って、炭水化物(好ましくはHASなどのデンプン分子)は、炭水化物(好ましくはHASなどのデンプン分子)を含有する開始物質にオキソアンモニウムイオンを産生する試薬を酸化剤の存在下で接触させることによって、または開始物質に直接、反応性種であるオキソアンモニウムイオンを接触させることによって酸化される。
【0174】
酸化剤はたとえば、次亜塩素酸および次亜臭素酸ナトリウムなどの次亜ハロゲン化物または過酸化水素などのたとえば化学酸化剤である。あるいは酸化酵素が酸化剤として使用されうる(たとえば参照により本明細書に組み入れられているWO 99/23240を参照)。
【0175】
オキソアンモニウムイオンを産生する試薬は、好ましくはニトロキシル化合物、さらに好ましくはジ−tert−ニトロキシル化合物、たとえば2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル(TEMPO)またはその各誘導体である。適切な共酸化試薬、すなわち次亜塩素酸ナトリウム(NaOCl)の化学量論的量の存在下でのTEMPOのどちらかの触媒量による酸化は、サッカライド環の開環を伴わずに第1級アルコール基のアルデヒドへの酸化を主にもたらす(図35を参照、HESの場合は、ヒドロキシエチル基の位置6または末端C原子のどちらかがアルデヒドに変換される)(文献:P.L. Bragd,H.van Bekkum,A.C.Besemer,Topics in Catalysis,2004,27,1−4;review:W.Adam,C.R.Saha−Moller,P.A.Ganeshpure,Chem.Rev.2001, 101,3499−3548および引用文献、A.E.J.de Nooy,A.C.Besemer,H.v.Bekkum,Carbohydrate Research,1995,269,89、EP 1 093 467、EP 1 173 409、WO 00/50621、EP 1 077 221、EP 1 149 846)。
【0176】
あるいはTEMPOの触媒量の代わりに、活性種のオキソアンモニウム化合物の化学量論的量が使用されうる(文献:J.M.Bobbitt,N.Merbouh,Organic Syntheses,2005,82,80)。他のTEMPO誘導体(すなわち4−アセトアミド、4−ヒドロキシ−TEMPO)も、反応物のpHおよび水への溶解性に関して特に適切である。
【0177】
酸化後に、得られたアルデヒド基は還元的アミノ化によってアミンに変換される。還元剤、たとえばシアノ水素化ホウ素ナトリウムまたはボラン−ジメチルアミン錯体(または他の錯体ボラン化合物)が使用されうる。アミン化合物として、たとえば塩化アンモニウムまたはジアミン、たとえば1,3−ジアミノプロパン、1,3−ジアミノプロパン−2−オール、またはリジンは、好ましくはやや酸性のpH値で使用されうる。ジアミンの使用は、HES主鎖とペプチド薬との間のスペーサ長および還元的アミノ化の収率を増進する。
変換されたアルデヒド基は、開始時の第1級アルコールに再度還元されることはない。
【0178】
IBX酸化の修飾はN−ヒドロキシスクシンイミドの存在下でDMSO中で行われうる(図39)。この場合、ウロン酸の対応する活性化エステルが直接形成される。この種は、すなわちジアミン、すなわち1,3−ジアミノプロパンによってアミノ化HESに直接変換されうる(文献:R.Mazitschek,M.Mulbaier,A.Giannis,Angew.Chem.2002,114,21,4216−4218;A.Schulze,A.Giannis,Adv.Synth.Catal.2004,346,252−256)。
【0179】
2.HESが「カップリング」試薬によって活性化され、過剰な2官能性アミンと反応する2ステッププロセス。
【0180】
複数の方法が、ポリサッカライド、すなわち1,1’−カルボニルジイミダゾール(CDI)(文献:G.S.Bethell,J.S.Ayers,M.T.W.Hearn,W.S.Hancock,J.of Chromatography,1981,219,361−372)、エピブロモヒドリン(1−ブロモ−2,3−エポキシプロパン、あるいはエピクロロヒドリン、それぞれ1−クロロ−2,3−エポキシ−1−クロロ−2,3−エポキシ−プロパン)(文献:H.Dobeli,E.Huchuli,Patent,0253303 B1)、2,2,2−トリフルオロエタン−スルホニルクロライド(塩化トレシル)(文献:H.P.Jennissen,J.Mol.Recogn.,1995,8,116−124)、ブロモシアニド(BrCN)(文献:G.S.Bethell,J.S.Ayers,M.T.W.Hearn,W.S.Hancock,J.of Chromatography,1981,219,361−372;H.P.Jennissen,J.Mol.Recogn.,1995,8,116−124,H.Dobeli,E.Huchuli,Patent,EP0253303 B1)の活性化について記載されている。すべての試薬は、非常に反応性であり、第2ステップにおいてアミン、すなわち塩化アンモニウム(すべての活性化試薬に適切なわけではない)またはジアミン、すなわち1,3−ジアミノプロパン、1,3−ジアミノプロパン−2−オール、またはリジンなどの2官能性求核試薬の過剰量と反応されうる、官能基を導入することで共通している。
【0181】
3.HESが適切なアミン前駆体の添加によって活性化される1ステッププロセス。
【0182】
適切なアミン前駆体は、たとえばハロゲノアルキルアミン(すなわちその塩、すなわち臭化ブロモエチルアンモニウム)または反応性アザ環、すなわちアザリジン、すなわちリチウムL−アザリジン−2−カルボキシラートである。
【0183】
記載した3つの方法はすべて、アミノ基のヒドロキシエチルデンプンへの導入後に、これらのアミノ基が適切なリンカーの適切な例としてマレイミドに変換されることで共通している。これはたとえば、すなわち活性化ω−マレイミドカルボン酸、すなわち3−(マレイミド)プロピオン酸N−ヒドロキシスクシンイミドエステルまたは4−(マレイミド)酪酸N−ヒドロキシスクシンイミドエステルと反応させることによって達成されうる。生じたマレイミドは、遊離チオール基を持つペプチドとのカップリングのための最終活性官能基に相当する。
【0184】
1.2ステッププロセス:アルデヒド基が酸化により導入され、還元的アミノ化が続く。
【0185】
1.1.第1級アルコールのアルデヒドへの酸化
ヒドロキシエチルデンプン中での第1級アルコールの、より精密にはグルコースのC6−OH基およびヒドロキシエチル基の直接酸化によって、アルデヒド基が形成されうる。これらの酸化生成物は、TEMPOまたはIBX(たとえばSigma−AldrichまたはAcros)などの市販の酸化剤によって行われる。
a)過ヨウ素酸塩による酸化
この方法は、Cの実験節でさらに詳細に記載されている(下を参照)。
b)TEMPOによる酸化
2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシ(TEMPO)あるいはその誘導体、たとえば4−アセトアミド−TEMPOまたは4−ヒドロキシ−TEMPOおよび次亜塩素酸ナトリウムなどの共酸化剤を臭化カリウムとの混合物(モル比TEMPO:NaOCl:KBrたとえば1:40:20)中で使用することによって、第1級アルコールは、約60分の短い反応時間で、6〜8のpH範囲のリン酸緩衝液中で酸化することが可能であり、それにより、より高いpHは反応速度を上昇させる。酸化混合物、特に共酸化剤の異なるモル濃度によって、形成されるアルデヒドの数が制御されうる。結果として、アンカー基の量、それゆえ担体に対するペプチド薬物の量はこの第1ステップによって制御される。
【0186】
最適化は、アルデヒドのみと紫色付加体を形成する試薬Purpaldおよびヨウ素/デンプン錯体による残りの次亜塩素酸塩の酸化還元滴定によって監視された。
【0187】
ワークアップは、異なる分子量カットオフのPES膜を使用する限外濾過技法と、続いての凍結乾燥によって実施した(文献:P.L.Bragd,H.van Bekkum,A.C.Besemer,Topics in Catalysis,2004,27,1−4;総説:W.Adam,C.R.Saha−Moller,P.A.Ganeshpure,Chem.Rev.2001,101,3499−3548および引用論文;A.E.J.de Nooy,A.C.Besemer,H.v.Bekkum,Carbohydrate Research,1995,269,89)。
【0188】
図35は、第1級アルコールのTEMPO媒介酸化機構を例証する概要を示す。カルボキシラートへのさらなる酸化は、酸化試薬の過剰な使用によってのみ発生する。
c)IBXによる酸化
酸化試薬2−ヨードキシ安息香酸(IBX)またはその誘導体を使用することによって、HESは溶媒としてのDMSO中で酸化されうる。1〜2時間の反応時間後、IBXは水を添加することによって(10回)除去でき、沈殿したIBXは濾過により除去される。ワークアップは、異なる分子量カットオフのPES膜を使用する限外濾過技法と、続いての凍結乾燥によって実施した。
【0189】
IBXの異なるモル濃度によって、形成されるアルデヒドの数が制御されうる。その濃度によって、アンカー基の量、そして担体に対するペプチド薬物の量も同様に制御されうる。
【0190】
最適化は、アルデヒドのみと紫色付加体を形成する試薬Purpaldによって監視した(総説については:V.V.Zhdankin,Current Organic Synthesis,2005,2,121−145および引用論文を参照)。
【0191】
図36は、TEPMOまたはIBXによる第1級アルコールの酸化と、それに続く還元的アミノ化に関する図式概要を与える。
【0192】
図37は、マレイミド基の導入およびペプチド薬物とのコンジュゲーションを示す。
【0193】
1.2 還元的アミノ化
a)塩化アンモニウムによる還元的アミノ化
この方法は、Cの実験節でさらに詳細に記載されている(下を参照)。
b)ジアミンリンカーによる還元的アミノ化
HES主鎖とペプチド薬との間のスペーサ長および還元的アミノ化の収率を増進するために、アミノ源としての1,3−ジアミノプロパン、1,3−ジアミノプロパン−2−オールまたはリジンなどのジアミンおよび各種の還元剤、すなわちシアノ水素化ホウ素ナトリウムまたはボラン−ジメチルアミン錯体を用いて反応が実施されうる。
例:1,3−ジアミノプロパンによる還元的アミノ化
酸化HESの還元的アミノ化は、1Mリン酸緩衝液中、pH=5で、前のステップで使用された酸化試薬と比較して10倍過剰の1,3−ジアミノプロパンを用いて実施する。約90分間の平衡の後、過剰量のシアノ水素化ホウ素ナトリウム(Na[CN]BH3)を複数回に分けて添加する。ワークアップは、異なる分子量カットオフのPES膜を使用する限外濾過技法と、続いての凍結乾燥によって実施した。最適化されたHES誘導体から、100kDaを超えるモル質量範囲のみ使用した。
【0194】
図38は、1,3−ジアミノプロパンなどのジアミンによる還元的アミノ化と、それに続く過ヨウ素酸塩酸化HESの例によるマレイミド基の導入を例証する概要を与える。
【0195】
第1級アルコールの活性化エステルへの直接酸化
ヒドロキシエチルデンプン中での第1級アルコール、より精密にはグルコースのC6−OH基およびヒドロキシエチル基の直接酸化による。これらの酸化では、一般に市販されている酸化剤IBX(たとえばSigma−AldrichまたはAcros)がN−ヒドロキシスクシンイミド(HOSu)の存在下でアルコールがOSu−エステルに酸化され、OSu−エステルはジアミンを使用することによって直接アミンに変換されうる。
HOSuの存在下でのIBXによる酸化−アミンへの直接変換
N−ヒドロキシスクシンイミドの存在下で酸化試薬2−ヨードキシ安息香酸(IBX)またはその誘導体を使用することによって、HESは溶媒としてのDMSO中で酸化されうる。1〜2時間後、酸化は終了し、形成されたOSu−エステルに大幅に過剰(10倍)のジアミン、たとえば1,3−ジアミノプロパンを添加する。
【0196】
ワークアップは、異なる分子量カットオフのPES膜を使用する限外濾過技法と、続いての凍結乾燥によって実施した。最適化されたHES誘導体から、100kDaを超えるモル質量範囲のみ使用した(文献については:R.Mazitschek,M.Mulbaier,A.Giannis,Angew.Chem.2002,114,21,4216−4218;A.Schulze,A.Giannis,Adv.Synth.Catal.2004,346,252−256を参照)。
【0197】
図39は、第1級アルコールのOSu−エステルへの酸化と、それに続くジアミンによる直接変換を示す。
【0198】
2.HESが「カップリング」試薬によって活性化され、過剰な2官能性アミンと反応する2ステッププロセス。
【0199】
アミン基をHES主鎖に導入するために、複数の代案が利用されうる。一部の例:
a)カルボニルジイミダゾール(CDI)による修飾
無水HESを無水アセトンに1時間懸濁させる。CDIを添加して、混合物を1時間撹拌する。あるいはある塩、たとえばヨウ化カリウムは活性化物質/共求核試薬として添加されうる。HESを遠心沈殿させる(2000U/分、>10分)。デカンテーションの後、新しいアセトンを添加し、HESを再度遠心沈殿させる。アセトンで3回洗浄した後、HESを1M炭酸塩緩衝液、pH10に取り、1,3−ジアミノプロパン(pH11)を添加して、混合物を1時間撹拌した。HESを限外濾過(MWCO 100kD)とそれに続く凍結乾燥によってワークアップする。
【0200】
図40は、カルボニルジイミダゾールと、続いてのアミン基を導入するためのジアミンによる修飾を示す。
b)エピブロモヒドリン(Epi)による修飾
HESを多少のDMFに溶解して、エピブロモヒドリンを添加し(あるいはある塩、たとえばヨウ化カリウムは活性化物質/共求核試薬として添加されうる)、混合物を一晩撹拌する。HESを水(10倍)で希釈して、限外濾過(MWCO 50または100kD)とそれに続く凍結乾燥によってワークアップする。生成物を1Mリン酸緩衝液、pH=7に溶解させて、1,3−ジアミンプロパンを添加し、混合物を1時間撹拌する。HESを限外濾過(MWCO 50または100kD)とそれに続く凍結乾燥によってワークアップする。
【0201】
図41は、エピクロロヒドリン、続いてのアミン基を導入するためのジアミンによる修飾を示す。
【0202】
3.HESが適切なアミン前駆体の添加によって活性化される1ステッププロセス。
a)2−アミノエチルブロミドヒドロブロミドによる修飾
HESをDMSOに溶解させて、2−ブロモエチルアミンヒドロブロミドを添加し(あるいはある塩、たとえばヨウ化カリウムは活性化物質/共求核試薬として添加されうる)、一晩撹拌する(多少の加熱も使用されうる)。HESを水(10倍)で希釈して、限外濾過(MWCO 50または100kD)とそれに続く凍結乾燥によってワークアップする。
【0203】
図42は、アミン基を導入するための2−アミノエチルブロミドヒドロクロライドによる修飾を示す。
b)リチウムL−アジリジン−2−カルボキシラートによる修飾
HESをDMSOまたは緩衝水溶液に溶解させ、2−リチウムL−アジリジン−2−カルボキシラートを添加し(あるいはある塩、たとえばヨウ化カリウムは活性化物質/共求核試薬として添加されうる)、一晩撹拌する。混合物を水(10倍)で希釈して、限外濾過(MWCO 50または100kD)とそれに続く凍結乾燥によってワークアップする。
【0204】
図43は、アミン基を導入するためのL−アジリジン−2−カルボキシラートによる修飾を示す。
【0205】
C.本発明の実施形態の詳細な例
I.モノマーのペプチド合成
手動合成
合成は、Discoverマイクロオーブンシステム(CEM)を使用して、PL−Rinkアミド樹脂(置換速度0.4mmol/g)または事前に装填されたWang樹脂を0.4mmol規模で用いて実施する。Fmoc基の除去は、ピペリジン/DMF(1:3)30mlの添加および100Wで3x30秒の照射によって達成される。アミノ酸のカップリングは、5倍過剰量のDMF中アミノ酸、カップリング添加剤としてのPyBOP/HOBT/DIPEAの添加および50Wで5x30秒の照射によって達成される。すべての照射サイクル間で、溶液は氷浴を用いて手動で冷却する。脱保護およびカップリングの後、樹脂をDMF 30mlで6回洗浄する。最後のアミノ酸の脱保護の後、一部のペプチドを、キャッピング溶液1.268ml(DMSO 100ml中無水酢酸4.73mlおよびDIEA 8.73ml)による5分間のインキュベーションによってアセチル化する。開裂前に、次に樹脂をDMF 30mlによって6回、DCM 30mlによって6回洗浄する。粗ペプチドの開裂は、不活性雰囲気中でのTFA/TIS/EDT/H2O(94/1/2.5/2.5)5mlによる120分間の処理によって達成される。この溶液を冷エーテル40ml中へ濾過する。沈殿物をアセトニトリル/水(1/1)に溶解させて、ペプチドをRP−HPLC(Kromasil 100 C18 10μm、250x4.6mm)によって精製する。
【0206】
自動化合成
合成は、Odysseyマイクロオーブンシステム(CEM)を使用して、PL−Rinkアミド樹脂(置換速度0.4mmol/g)または事前に装填されたWang樹脂を0.25mmol規模で用いて実施する。Fmoc基の除去は、ピペリジン/DMF(1:3)10mlの添加および100Wで10x10秒の照射によって達成される。アミノ酸のカップリングは、5倍過剰量のDMF中アミノ酸、カップリング添加剤としてのPyBOP/HOBT/DIPEAの添加および50Wで5x30秒の照射によって達成される。すべての照射サイクル間に、溶液は反応混合物に窒素を通気することによって冷却する。脱保護およびカップリングの後、樹脂をDMF 10mlで6回洗浄する。最後のアミノ酸の脱保護の後、一部のペプチドを、キャッピング溶液0.793ml(DMSO 100ml中無水酢酸4.73mlおよびDIEA 8.73ml)による5分間のインキュベーションによってアセチル化する。開裂前に、次に樹脂をDMF 10mlによって6回、DCM 10mlによって6回洗浄する。粗ペプチドの開裂は、不活性雰囲気中でのTFA/TIS/EDT/H2O(94/1/2.5/2.5)5mlによる120分間の処理によって達成される。本溶液を冷エーテル40ml中へ濾過して、沈殿物をアセトニトリル/水(1/1)に溶解させ、ペプチドをRP−HPLC(Kromasil 100 C18 10μm、250x4.6mm)によって精製する。
【0207】
精製
すべてのペプチドはNebula−LCMSシステム(Gilson)を使用して精製した。すべてのペプチドの粗物質をアセトニトリル/水(1/1)に溶解させて、ペプチドをRP−HPLC(Kromasil 100 C18 10μm、250x4.6mm)によって精製した。流速は20ml/分であり、LCMS分割比は1/1000であった。
【0208】
II.分子内ジスルフィド架橋の形成
K3[(FeCN6)による環化
溶液1:ペプチド10mgを0.1%TFA/アセトニトリルに溶解させ、0.5mg/mlの濃度に到達するまで水で希釈する。約8のpHに達するように、固体重炭酸アンモニウムを添加する。
【0209】
溶液2:第2のバイアルで、0.1% TFA/アセトニトリル10mlを水10mlで希釈する。8のpHに達するまで固体重炭酸アンモニウムを添加し、K3[(FeCN6)]0.1M溶液1滴を添加する。
【0210】
溶液1および2をアセトニトリル/水の混合物(1/1;pH=8)に3時間の期間にわたって滴加する。混合物を室温で一晩インキュベートして、混合物を濃縮して、LCMSによって精製する。
【0211】
CLEAR−OX(商標)樹脂による環化
アセトニトリル/水(1/1;0.1% TFA)100mlに、8のpHに達するまで固体重炭酸アンモニウムを添加する。この溶液にアルゴンを30分間通気することによって脱気する。ここでCLEAR−OX(商標)樹脂100mgを添加する。10分後、ペプチド10mgを固体として添加する。2時間のインキュベーションの後、溶液を濾過して、濃縮し、LCMSによって精製する。
【0212】
環式ペプチドの精製
すべてのペプチドはNebula−LCMSシステム(Gilson)を使用して精製した。すべてのペプチドの粗物質をアセトニトリル/水(1/1)またはDMSOに溶解させて、ペプチドをRP−HPLC(Kromasil 100 C18 10μm、250x4.6mm)によって精製した。流速は20ml/分であり、LCMS分割比は1/1000であった。
【0213】
III.モノマーによる試験管内アッセイ
BrdU包含によるTF−1細胞による増殖アッセイ
対数増殖期のTF−1細胞(〜2.105〜1.106細胞/ml;RPMI培地;20%ウシ胎児血清;ペニシリン、ストレプトマイシン、L−グルタミンを添加;0.5ng/mlインターロイキン3)を洗浄し(5分間、1500rpm遠心分離して、500,000細胞/mlにてIL3を含まないRPMI完全に懸濁)、IL−3なしで24時間にわたってアッセイの開始前に事前培養する。翌日、通常、少なくとも6つの濃度および試験される薬剤につき少なくとも10,000細胞/ウェルを含有する、濃度ごとの4個のウェルを用いて、細胞を24または96ウェルプレートに播種する。各実験は、正の対照薬剤としての組換えEPOと、負の対照薬剤としてのサイトカインの添加なしのウェルとを含む対照を含む。ペプチドおよびEPO対照は、培地で所望の濃度まで事前希釈して、細胞に添加し、標準培養条件(37℃、気相中5%二酸化炭素、水で飽和された雰囲気)下で3日間の培養期間を開始する。濃度は常に、この3日間の培養期間中のウェルにおける薬剤の最終濃度を指す。本培養期間の終わりに、FdUを8ng/ml培地の最終濃度まで添加して、培養を6時間継続する。次にBrdU(ブロモデオキシウリジン)およびdCd(2−デオキシシチジン)をその最終濃度(10ng/mlBrdU;8ng/ml dCD;培地中最終濃度)まで添加して、培養をさらに2時間継続する。
【0214】
本インキュベーションおよび培養期間の終わりに、細胞を、1.5% BSAを含有するリン酸緩衝生理食塩水で1回洗浄して、最少量の液体に再懸濁させる。この懸濁物から、細胞を−20℃の70%エタノール中に滴加する。ここから細胞を氷上で10分間インキュベートして、次に直接分析するか、あるいは分析前に4℃にて貯蔵することができる。
【0215】
分析前に、細胞を遠心分離によってペレット化して、上清を捨て、細胞を残りの流体の最小量に再懸濁させる。細胞を次に2M HCl/0.5% triton X−100 0.5mlに懸濁させて、10分間インキュベートする。次にそれらを再度ペレット化して、残りの流体の最少量に再懸濁させて、これを細胞の中間再ペレット化の前に0.1N Na2B4O7、pH8.5 0.5mlによって希釈する。最後に細胞をリン酸緩衝生理食塩水(1.5% BSA)40μlに再懸濁させて、それぞれ細胞懸濁物20μlを含有する2個の反応管に分割する。抗BrdU−FITC(DAKO、クローンBu20a)2μlを一方の管に添加し、対照mIgG1−FITC(Sigma)2μlを第2の管に添加して、室温での30分間のインキュベーション期間を開始する。次にリン酸緩衝生理食塩水0.4mlおよびヨウ化プロピジウム10μg/ml(最終濃度)を添加する。フローサイトメータでの分析は、4C細胞またはより高い倍数性の細胞ならびにBrdU陽性細胞の画分に適用されるため、それゆえ細胞周期の関連する段階の細胞の画分を決定する。
【0216】
MTTによるTF−1細胞を用いた増殖アッセイ
対数増殖期のTF−1細胞(〜2.105〜1.106細胞/ml;RPMI培地;20%ウシ胎児血清;ペニシリン、ストレプトマイシン、L−グルタミンを添加;0.5ng/mlインターロイキン3)を洗浄し(5分間、1500rpm遠心分離して、500,000細胞/mlにてIL3を含まないRPMI完全に懸濁)、IL−3なしで24時間にわたってアッセイの開始前に事前培養する。翌日、通常、少なくとも6つの濃度および試験される薬剤につき少なくとも10,000細胞/ウェルを含有する、濃度ごとの4個のウェルを用いて、細胞を24または96ウェルプレートに播種する。各実験は、正の対照薬剤としての組換えEPOと、負の対照薬剤としてのサイトカインの添加なしのウェルとを含む対照を含む。ペプチドおよびEPO対照は、培地で所望の濃度まで事前希釈して、細胞に添加し、標準培養条件(37℃、気相中5%二酸化炭素、水で飽和された雰囲気)下で3日間の培養期間を開始する。濃度は常に、この4日間の培養期間中のウェルにおける薬剤の最終濃度を指す。
【0217】
第4日に、分析の開始前に、TF−1細胞の既知数の希釈系列が多数のウェルで調製される(100μl培地中0/2500/5000/10000/20000/50000細胞/ウェル)。これらのウェルは、試験ウェルと同じ方法で処理され、細胞数を決定できる校正曲線を後で与える。これらの基準ウェルを設定し、MTT増殖キット(Promega,CellTiter 96水性非放射性細胞増殖アッセイ)からのMTSおよびPMSを37℃水浴で解凍して、PMS溶液100μlをMTS溶液2mlに添加する。本混合物20μlをアッセイプレートの各ウェルに添加して、37℃にて3〜4時間インキュベートする。ELISAリーダでの測定E492の前に、10%ドデシル硫酸ナトリウム水溶液25μlを各ウェルに添加する。
【0218】
プログラムGraphPadを使用する用量依存関係の計算に基づく図17および18に示すグラフ評価を使用して、次のEC50値をMTTアッセイデータに基づいて決定した:
次の表は、ある例示的なペプチドモノマーのEC50値を示す:
【0219】
【化48】

IV.2価EPO模倣ペプチドユニットの合成
直鎖配列番号11の自動化合成(AGEM11)
合成は、Libertyマイクロオーブンシステム(CEM)を使用して、Rinkアミド樹脂(置換速度0.19mmol/g)を0.25mmol規模で用いて実施する。Fmoc基の除去は、ピペリジン/DMF(1:3)10mlの添加および50Wで10x10秒の照射による二重処理によって達成される。アミノ酸のカップリングは、4倍過剰量のDMF中アミノ酸、カップリング添加剤としてのPyBOP/HOBT/DIPEAの添加および50Wで5x30秒の照射による二重処理によって達成される。すべての照射サイクル間に、溶液は反応混合物に窒素を通気することによって冷却する。脱保護およびカップリングの後、樹脂をDMF 10mlで6回洗浄する。二重カップリングサイクルの後に、すべての未反応アミノ基を10倍過剰量のN−(2−クロロベンジルオキシカルボニルオキシ)スクシンイミド(0.2M DMF溶液)および50Wで3x30秒の照射による処理によって遮断する。最後のアミノ酸の脱保護の後、ペプチドを、キャッピング溶液0.793ml(DMSO 100ml中無水酢酸4.73mlおよびDIEA 8.73ml)による5分間のインキュベーションによってアセチル化する。開裂前に、次に樹脂をDMF 10mlによって6回、DCM 10mlによって6回洗浄する。粗ペプチドの開裂は、不活性雰囲気中でのTFA/TIS/EDT/H2O(94/1/2.5/2.5)5mlによる120分間の処理によって達成される。本溶液を冷エーテル40ml中へ濾過して、沈殿物をアセトニトリル/水(1/1)に溶解させ、ペプチドをRP−HPLC(Kromasil 100 C18 10μm、250x4.6mm)によって精製する。
【0220】
直鎖AGEM11の精製スキーム、Kromasil 100 C18 10μm、250x4.6mmおよび50分間の5%〜50%アセトニトリル(0.1% TFA)のそれに使用した勾配を、図8および9に示す。
【0221】
直鎖AGEM11の環化
【0222】
【化49】

直鎖ペプチド30mgを溶液A 60mlに溶解させる。本溶液およびDMSO 60mlを溶液A 60mlに滴加する(添加の総時間:3時間)。48時間後に溶媒を蒸発によって除去して、残りの残渣をDMSO/水30ml(1/1)に溶解させる。酢酸30mlおよびヨウ素17mg(DMSO/水(1/1)に溶解を添加し、溶液を室温にて90分間混合する。その後、アスコルビン酸20mgを添加して、溶媒を蒸発によって除去する。粗混合物をアセトニトリル/水(2/1)に溶解させて、ペプチドをRP−HPLC(Kromasil 100 C18 10μm、250x4.6mm)によって精製する。
【0223】
溶液A:0.1% TFAを含有するアセトニトリル/水(1/1)。pHは重炭酸アンモニウムの添加により8.0に調整する。
【0224】
環式AGEM11の精製パラメータを図10および11に与える(スキーム:環式AGEM11の精製、Kromasil 100 C18 10μm、250x4.6mmおよび50分間の5%〜35%アセトニトリル(0.1% TFA)の勾配)。
【0225】
V.EPO活性を決定するための試験管内増殖アッセイ
対数増殖期のTF1細胞(20%ウシ胎児血清(FCS)および0.5ng/ml IL−3を含むRPMI中で培養した2.105〜1.106細胞/ml)をカウントして、アッセイを実施するのに必要な数の細胞を遠心分離して(5分間、1500rpm)、5% FCSを含み、IL−3を含まないRPMI中に300000細胞/mlで再懸濁させる。細胞は、IL−3を含まない本(飢餓)培地で事前に48時間培養した。アッセイを開始する前に、細胞を再度カウントした。
【0226】
アッセイ開始の直前に、ペプチドおよびEPOのアッセイストック溶液を調製する。ペプチドを秤量して、5% FCSを含むRPMIに1mM、467μMまたは200μMの濃度まで溶解させた。EPOストック溶液は10nMまたは20nMであった。これらのストック溶液292μlを96ウェル培養プレートの1個のウェルにピペットで移した−1枚のプレートを試験される各物質に使用した。5% FCSを含むRPMI 200μlを各プレートの17個の他のウェルにピペットで移した。ストック溶液92μlを、培地200μlを含有するウェルにピペットで移した。内容物を混合して、このウェルから92μlを次に移すなどであった。このようにして各物質の希釈系列(18希釈)を、各連続ウェルにおいて濃度がその前のウェルの濃度の1:√10であるように調製した。各ウェルから3x50μlを3個の空のウェルに移した。このようにして物質の濃度を4通り測定した。各プレートのウェルの最も上のラインおよび最も下のラインは空にしておくことに注目する。
【0227】
事前処理した(飢餓)細胞を遠心分離にかけ(5分、1500rpm)、5% FCSを含むRPMI中に200000細胞/mlの濃度で再懸濁させた。細胞懸濁物50μl(10000細胞を含有)を各ウェルに添加した。細胞の添加のために、ウェル中の物質の最終濃度は元の希釈範囲の濃度の半分であったことに注目する。プレートを5% CO2中で37℃にて72時間インキュベートした。評価を開始する前に、ウェル中へのTF−1の既知の量の希釈範囲を調製した:0/2500/5000/10000/20000/50000細胞/ウェル(100μl+RPMI+5% FCS中)をピペットで4通り移した。
【0228】
ウェル当たりの生細胞の数を測定するために、使用準備済みのMTT試薬(Promega,CellTiter 96 Aqueous One Solution細胞増殖アッセイ)を37℃水浴で解凍した。ウェルごとにMTT試薬20μlを添加し、プレートを5% CO2中で37℃にて1〜2時間インキュベートした。10% SDS溶液25μlを添加し、プレートをELISAリーダ(Genios,Tecan)で測定した。データはスプレッドシード(Excel)で処理して、Graphpadでプロットした。
【0229】
データを図12にまとめる。
【0230】
【化50】

VI.拡張ペプチドアッセイ
拡張アッセイでは、約200のペプチド配列をそのEPO模倣活性について試験した。
【0231】
ペプチドは、LIPS−Vario合成機システムでペプチドアミドとして合成した。合成は、専用のMTP合成プレートで実施して、規模はペプチド当たり2μmolであった。合成は、HOBTを活性化試薬として使用する標準Fmocプロトコルに従った。カップリングステップは、4倍カップリングとして実施した。各カップリングステップは25分間を要し、ステップ当たりの過剰なアミノ酸は2.8であった。ペプチドの開裂および脱保護は、90% TFA、5% TIPS、2.5% H2Oおよび2.5% DDTを含有する開裂溶液によって実施した。樹脂に結合した完成ペプチドを含有する合成プレートは、深型96ウェルプレートの上で貯蔵した。開裂溶液50μlを各ウェルに添加して、開裂を10分間実施し、この手順を3回反復した。開裂したペプチドは、深型ウェルプレートへの重力流により開裂溶液200μlを用いて溶出させた。側鎖官能基の脱保護は、深型ウェルプレート内でさらに2.5時間実施した。その後、ペプチドを氷冷エーテル/ヘキサンによって沈殿させて、遠心分離した。ペプチドを中性水溶液に溶解させて、環化を4℃にて一晩インキュベートした。ペプチドは凍結乾燥させた。
【0232】
図19は、合成および試験したペプチドモノマーに関する概要を与える。ペプチドは、試験管内増殖アッセイでそのEPO模倣活性について試験した。アッセイはVに記載されたように実施した。各アッセイ日に、38個の試験ペプチド、1個の基準例、およびEPOの試験管内活性を平行して測定するために40枚のマイクロタイタープレートを準備した。EPOストック溶液は20nMであった。
【0233】
データを図19に与える。結果からわかるように、本発明のコンセンサスを満足しない試験済みのペプチドは、EPO模倣活性を示さなかった。
【0234】
VII.過ヨウ素酸塩酸化を使用するペプチドHES−コンジュゲートの合成
主反応スキームを図21に示す。
【0235】
記載した方法の目的は、穏やかな水性反応条件下でチオール基と選択的に反応する、本例のHESによるデンプンの誘導体の産生である。これの選択性はマレイミド基によって到達される。
【0236】
HESは最初にアミノ基によって官能化され、その後、各マレイミド誘導体に変換される。反応バッチは限外濾過膜を介して低分子反応物質から放出される。生成物、中間生成物はもちろんのこと、抽出物もすべて多分散系である。
【0237】
修飾HESの合成
ヒドロキシエチルデンプン(Voluven(登録商標)130/0.4またはSerumwerk Bemburg 200/0.5)は、ダイアフィルトレーションおよび続いての凍結乾燥によって得られた。平均分子量は約130kDaであり、モル置換度は0.4、それぞれ200kD、MS=0.5であった。
【0238】
合成は、参照により本明細書に組み入れられている、Jacob Piehlerの論文、“Modifizierung von Oberflachen fur die thermodynamische und kinetische Charakterisierung biomolekularer Erkennung mit optischen Transducern”1997でアミノデキストランについて記載された合成に従って実施した。HESは、Floorら(1989)に記載されているように、過ヨウ素酸ナトリウムを用いたジオール性ヒドロキシル基のアルデヒド基への部分選択的酸化によって活性化した。アルデヒド基は、アンモニアの存在下でシアノ水素化ホウ素ナトリウム(NaCNBH3)による還元的アミノ化によって、アミノ基に変換した(Yalpani and Brooks,1995)。
【0239】
1.1 第1級アルコールのアルデヒドへの酸化
a)過ヨウ素酸塩酸化/開環
水中の過ヨウ素酸ナトリウムによるサッカライド中の1,2−ジオールの穏やかな酸化によって、アルデヒド基が導入される。酸化剤の各種のモル濃度を使用することによって、担体に対する利用可能なアンカー基の数、そしてペプチド薬物の量が制御される。プロトコルを最適化するために、酸化は、アルデヒドのみと紫色付加体を形成する試薬Purpaldによって監視した。反応時間は8〜18時間まで短縮できる。過ヨウ素酸塩の使用量は、グルコース構成要素の数の20%に相当する(180g/molのグルコース構成要素質量、DS=0.4を適用)。ワークアップは、限外濾過および凍結乾燥によって実施した。各ポリマー生成物の精製は、異なる分子量カットオフのPES膜を使用する限外濾過技法と、続いての凍結乾燥によって実施した。最適化されたHES誘導体から、100kDaを超えるモル質量範囲のみ使用した。
【0240】
アルデヒド分析
定性的/半定量的:利用可能なアルデヒド基のPurpald反応
1.2 還元的アミノ化
a)塩化アンモニウムによる還元的アミノ化
下のステップでは、導入されたアルデヒド基を、シアノ水素化ホウ素ナトリウムによってやや酸性のpH値の塩化アンモニウムの飽和溶液中での還元的アミノ化によってアミンに変換した。
プロトコルを最適化するために、開始物質のアルデヒド基は、Purpald試薬およびTNBSにより形成されたアミンによって追跡した。これらの実験は、イミン中間体の形成が開始期間後に平衡にあり、添加された還元剤がアルデヒドよりもイミンを優先することを示した。そこで最適反応は還元剤の数回の添加により、総反応時間24時間で実施されることが見出せた。 生成物の沈殿または限外濾過によるワークアップ。
【0241】
アミン分析
定性的:ニンヒドリン反応(カイザー試験)
定量的:アミノデキストランと比較して、2,4,6−トリニトロベンゾールスルホン酸(TNBS)による。
【0242】
達成された置換グレードは、約2.8%であった。これは、約6400g/molの、1個のアミノ基を持つ1個の構成要素のモル質量を生じる。
【0243】
マレイミドプロピオニル−アミノ−ヒドロキシエチルデンプン(「MaIPA−HES」)の合成
アミノ基が導入された後(複数の異なる方法が存在する、たとえば上を参照)、アンカー基マレイミドはω−マレイミドアルキル(またはアリール)酸−N−ヒドロキシスクシンイミドエステルによって導入される。
【0244】
合成
マレイミド基のHESへの最終導入は、3−マレイミドプロピオン酸−N−ヒドロキシスクシンイミドエステル(MaIPA−OSu)によって実施される。やや酸性の緩衝液中で過剰量(5〜10倍)を使用するとき、変換は定量的である(50mMリン酸緩衝液、pH6または7、20% DMF、一晩)。限外濾過および凍結乾燥された生成物を−18℃にて貯蔵する。
【0245】
分析
アミノ基の反応は、ニンヒドリンおよびTNBSによって検証した。導入されたマレイミド基の数は、グルタチオン(GSH)の反応およびエルマン試薬(DNTB)による過剰なチオール基の検出によって、そして700MHz 1H−NMR分光法によって証明される。
達成された置換グレードは約2%であり、マレイミド構成要素当たり8500g/molに相当する(180g/molグルコース構成要素質量、MS=0.4)。
【0246】
図22は、マレイミド修飾HESの1H−NMRスペクトル(D2O、700MHz)を示す。マレイミドプロトン(6.8ppm)のアノマーC−H(4.8〜5.6ppm)に対する比は、約6,900g/molの構成要素サイズを与える(比較:GSH/DNTB試験は7,300g/molを与えた)。
【0247】
マレイミド基、そして構成要素サイズは、GSHによる飽和およびDNTBによる反応によって測定されうる。生成された黄色は顕著であり、容易に定量されうる。これらの値は、使用した開始材料、それぞれ酸化ステップにおける過ヨウ素酸塩の量に応じて5,000〜100,000g/molの信頼できる構成要素サイズを与える。この方法は、生成物の1H NMR分光法によって検証されている。NMRでは、マレイミド基の含量は、すべてのアノマーC−Hシグナルおよびマレイミド環プロトンの比より定量されうる。
【0248】
【化51】

ペプチド−ヒドロキシエチルデンプン−コンジュゲート(Pep−AHES)
合成
遊離(Pep−IA)またはビオチン化(Pep−IB)N末端のどちらかを有するシステイン含有ペプチドを使用した。Pep−IA/Bの4:1混合物を過剰量(約6当量でMaIPA−HESによって、リン酸緩衝液、50mM、pH6.5/DMF 80:20中で一晩変換させた;ワークアップは限外濾過および凍結乾燥によって行った。
【0249】
分析
UV吸収は280nmにて決定され、マレイミド基の残りの含量はGSH/DNTBによって決定された。
【0250】
ペプチド収率はほぼ定量的であった。遊離マレイミド基はほとんど検出できなかった。
【0251】
ペプチド薬のコンジュゲーションのためのペプチドドメイン
【0252】
【化52】

は、
【0253】
【化53】

におけるように、遊離チオール基を導入することによって(たとえばN末端にシステイン残基を導入することによって)ペプチドユニットを生成するために使用される。
【0254】
脱保護ペプチドの10〜50%過剰量は、やや酸性の緩衝液中で1〜2時間コンジュゲートされる。一方ではHES主鎖、マレイミド基およびジスルフィド架橋が安定であることを確認するために、他方では定量的変換を観察するために、条件が最適化されている。異なるマレイミド官能化HES化合物を使用することによって、AplaGenは、試験管内で超多価効果を示す多数の超多価EPO模倣ペプチドを合成できた。一部の例が下に与えられている。
【0255】
【化54】

【0256】
【化55】

表2:異なるペプチド含量のAGEM40の超多価EPO模倣ペプチドコンジュゲート
超多価EPO模倣ペプチドコンジュゲートの容易な化学分析は2つのステップで実現された。第1に、HES主鎖の軽度の加水分解後にペプチド含量をHPLCによって定量し、第2に、硫酸による完全加水分解後にポリサッカライドの量をフェノールによる比色試験によって測定した。
【0257】
図23は、超多価EPO模倣ペプチドコンジュゲートAGEM40−AHES A2のTFA/水加水分解のHPLCクロマトグラム(Shimadzu HPLC)を示す。ある時間の後、すべてのペプチド含有種のUV吸収は最大値にて一定であり、遊離ペプチドとの比較により、37%のペプチド含量が計算された(理論値:39%)。
【0258】
VIII.さらなる試験管内実験
後述する実験の多くは、すでに上述した。しかしながら下の詳細事項は、記載した試験および結果に関する要約的な概要である。主にヒト細胞培養および骨髄アッセイが議論される。
【0259】
一方では、高速細胞系ベースアッセイを使用して、最適化の初期段階を通じての最適化ペプチド配列の効力について点検した。これらの細胞培養アッセイは、新たなペプチドまたは新たなバッチの有効性の高速試験と同様に、なお有効である。細胞系TF−1(ヒト細胞)に使用された2つの終点は、増殖(ここでは通例、定義された時点での生細胞の数として決定)およびTF−1細胞中のヘモグロビン産生としてマークされた分化である。
【0260】
加えて、一次細胞(ヒト骨髄幹細胞)は、生体内状況に非常に近いCFUアッセイに使用した。それらは、ペプチドユニットとしてEPO模倣ペプチドを使用する場合、はるかに生体内様方式でエリスロポエチン活性に対する答えを与える。しかしながらそれらは細胞培養アッセイよりも、より精密に、そしてアッセイごとにより長い時間で扱われることになっている。
【0261】
ヒトTF−1細胞を使用するアッセイ
TF−1は、IL3またはEPOなどのあるサイトカインのみに応答して増殖するヒト赤白血病細胞系である。加えてTF−1細胞は、EPOに応答して赤血球表現型に向かって分化しうる。TF−1細胞は、DSMZ(Braunschweig,Germany)より入手した。製品シートは、DSMZウェブサイトdsmz.de.で入手できる。TF−1は、ヨーロッパ薬局方によってEPO活性評価のために推奨される細胞系である。
【0262】
我々の維持培養のための内部培養プロトコル:
培地:RPMI+P/S+AmphoB+L−Glut.+20%FCS+h−IL−3
1.−500ml RPMI+5ml P/S+5ml AmphoB
2.−200ml RPMI+PS/AmphoB+2.5ml L−グルタミン+50ml FCS=完全培地(1ヶ月4℃)
3.−45ml完全培地+22.5ul h−IL−3(1週間4℃)
培養:200,000〜1,000,000細胞/mlで維持
・3日間、2x105/ml
・2日間、3x105/ml
・1日間、5x105/ml
TF−1増殖アッセイの設計
TF−1増殖アッセイでは、TF−1細胞を多ウェルプレート内にEPOまたはEPO模倣ペプチドの各種の濃度で播種して、数日間培養した。
【0263】
最適な結果のために、TF−1細胞は、アッセイ開始前にすべてのサイトカインの非存在下で(飢餓)2日間培養すべきである。アッセイ開始の3日後、生細胞の数をアッセイすることによって細胞増殖を間接的に測定する。
【0264】
着色ホルマザンへと還元される、MTSと呼ばれるテトラゾリウム試薬を添加する。本反応はNADHおよびNADPHに依存し、言い換えればミトコンドリア活性に依存する。ホルマザンの量を分光光度法によって測定する。校正のために既知の細胞数の範囲を使用すると、各条件下で存在する生細胞の絶対数を決定することが可能である。主要な設計も図24に示す。
【0265】
本アッセイにおけるある試薬の活性は:
1.本薬剤がある濃度にて生細胞の数の増加を引き起こすかどうかを評価すること、および
2.本薬剤がどの濃度で最大半量効果を及ぼすか(EC50の決定)によって決定される。
【0266】
TF−1増殖アッセイの結果
概論として、すべてのEPO模倣ペプチド(EMP1および上記のプロリン修飾ペプチド)が本アッセイで部分アゴニストとして作用する、すなわち最大応答がEPOによって見られる応答よりも弱いことに触れる必要がある。それにもかかわらず、アッセイは正規化プロットで右方/左方移動を判定するために、それゆえ最適化の結果を判定するために使用されうる。
【0267】
最初のグラフは、正規化なしの絶対応答でのこの効果を示す。他のすべてのグラフは、曲線からEC50値の決定を可能にする正規化プロットを示す。
本アッセイでは、2つの基準物質を使用した:
1)EMP1、既知のEPO模倣特性を持つ、公表されたペプチド配列(Johnsonら,1997)。
【0268】
2)組換えヒトエリスロポエチン(EPO)は、Ortho Biotech製品Epoetin alfa(商標名:Erypo(登録商標))として薬局で購入した。
【0269】
これらの物質のプロットは、EPOは連続した黒線、EMP1は黒点線として与える。
【0270】
プロリン修飾EPO模倣ペプチドは、次の図で着色された連続線として示す。これらの修飾ペプチドは、次の配列を示す:
1)BB49
【0271】
【化56】

EMP1と同じ範囲で有効性および効力を示す
2)BB68
【0272】
【化57】

EMP1およびBB49よりもなお有効である
3)AGEM40
【0273】
【化58】

改良された特徴を示すBB68の配列に基づいて設計された、2価連続ペプチドである。
4)AGEM40_HES、本発明の超多価原理によるHES化された、進歩した非常に有効および強力なペプチド(AGEM40)である
これらの配列は、特に超多価原理の利益を例証するために例として使用した。
【0274】
図25は、EPOと比較したモノマーEPO模倣ペプチドの結果を示す。図25は、本アッセイでの一般のペプチドとEPOとの間の絶対差を実証する実際の吸収データのプロットを含む。
【0275】
図26は、適合させた正規化プロットから計算したEC50値を与える。
【0276】
図27は、BB49と比較したBB68の改善された効果を示す。最適化BB68を本発明によるペプチドユニットを生成するための構成要素として使用すると、効果はさらに2桁改善された。これは図27で実証され、対応する表を図28に示す。
【0277】
ダイマーペプチドユニットは次に巨大分子担体HESに最適化密度にてカップリングされる。生じたAPIは、モル比較でEPOと少なくとも等効力であり、質量比較でEPOに非常に近い(下の図29および図30を参照)。
【0278】
図30ならびに前の図および表は、超多価概念の大きな効力を明確に証明している。細胞培養アッセイによって達成されうる精度に留意して、達成されたAPIは試験管内では少なくともEPOと等効力である。それゆえそれは超多価外面を利用しないいずれの既知のEPO模倣ペプチドAPIよりも優れている。
【0279】
骨髄アッセイ
骨髄は、自己複製する、およびあらゆる種類の血液細胞へ発生する潜在性を備えた造血幹細胞を含有する。加えて骨髄は、1つまたは複数の血液細胞系統へ発生することができる関与する前駆細胞を含有する。これらの前駆細胞のうち、一部は赤血球へ発生する(赤芽球前駆細胞)。
【0280】
前駆細胞は、骨髄細胞をメチルセルロースベース半固体培地へ蒔くことによって証明されうる。適切なサイトカインカクテルの存在下で、前駆細胞は増殖および分化して、ある系統の細胞のコロニーを生じる。骨髄前駆細胞は、顆粒球コロニー(CFU−Gから由来)、単球コロニー(CFU−Mから)、または混合顆粒球−単球コロニー(CFU−GMから)へと発生する。赤血球前駆細胞は、赤血球(赤血球、red cell)のコロニーへと発生する。赤血球コロニーのサイズに応じて、前駆細胞は、BFU−E(200細胞以上のコロニーを生じる)またはCFU−E(200細胞未満のコロニーを生じる)と呼ばれる。関係づけのより早期の段階における前駆細胞は、混合顆粒球−赤血球−単球−巨核球コロニーへと発生しうる。これらの早期前駆細胞は、CFU−GEMMと呼ばれる。
【0281】
EPOは、ある異なるサイトカインが同様に存在する場合、BFU−EまたはCFU−Eからの赤血球コロニーの発生を刺激する。EPOがないと、赤血球コロニーは発生できない。したがってメチルセルロース中の骨髄細胞の同種バッチからの赤血球コロニーの増殖は、EPO活性の尺度である。
【0282】
上述のプロセスは生体内で骨髄にて発生するプロセスと同じでない場合は非常に似ているため、それらはEPO様活性の優れた前兆である。
【0283】
骨髄アッセイの設計
ヒト骨髄細胞(Cryosystemsより市販、血清学的に点検)は冷凍バイアルから解凍して、サイトカインの所与のバックグラウンドを持つ(しかしEPOを含まない)メチルセルロース培地に固定細胞濃度で蒔く。EPOまたはEPO模倣ペプチドは、可変濃度で添加される。培養物は37℃にて12〜14日間インキュベートする。次に骨髄および赤血球コロニーの数は、顕微鏡検査によってカウントされる。
骨髄アッセイの終点:
1.前提:EPOを含まない培養物は、赤血球(赤色)コロニーではなく、骨髄(白色)コロニーのみを生じるはずである。EPOを含む培養物は、赤血球コロニーでは濃度依存性の上昇を、赤血球コロニーのサイズでは濃度依存性の上昇を生じるはずである。
2.ペプチドは、赤血球コロニーでは濃度依存性の上昇を、赤血球コロニーのサイズでは濃度依存性の上昇を生じる場合に、EPO模倣活性を示す。しかしながら、ペプチドは得られた骨髄コロニーの数を妨害しないはずである。
【0284】
骨髄アッセイの結果
上述のプロリン修飾EPO模倣ペプチドは、骨髄コロニーの形成を刺激しなかったが、赤血球コロニーの形成に対して著しい活性を示した。定性的には、これは図31の培養プレートの写真で示されており、同時にコロニーのカウントが図32に実証されている。
【0285】
【化59】

【図面の簡単な説明】
【0286】
【図1】記載なし。
【図2】記載なし。
【図3】記載なし。
【図4】記載なし。
【図5】記載なし。
【図6】記載なし。
【図7】記載なし。
【図8】記載なし。
【図9】記載なし。
【図10】記載なし。
【図11】記載なし。
【図12】記載なし。
【図13】記載なし。
【図14】記載なし。
【図15】記載なし。
【図16】記載なし。
【図17】記載なし。
【図18】記載なし。
【図19−1】記載なし。
【図19−2】記載なし。
【図19−3】記載なし。
【図19−4】記載なし。
【図19−5】記載なし。
【図19−6】記載なし。
【図19−7】記載なし。
【図20】記載なし。
【図21】記載なし。
【図22】記載なし。
【図23】記載なし。
【図24】記載なし。
【図25】記載なし。
【図26】記載なし。
【図27】記載なし。
【図28】記載なし。
【図29】記載なし。
【図30】記載なし。
【図31】記載なし。
【図32】記載なし。
【図33】記載なし。
【図34】記載なし。
【図35】記載なし。
【図36】記載なし。
【図37】記載なし。
【図38】記載なし。
【図39】記載なし。
【図40】記載なし。
【図41】記載なし。
【図42】記載なし。
【図43】記載なし。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)それぞれ標的への結合能力を備えた2個のドメインを含む、少なくとも2個のペプチドユニットと;
(ii)少なくとも1個のポリマー担体ユニットと;
を含み、該ペプチドユニットが該ポリマー担体ユニットに結合されている、標的分子へ結合する化合物。
【請求項2】
前記標的分子がレセプター分子であり、好ましくは膜貫通レセプターである、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
前記ペプチドユニットが前記レセプターと結合して、レセプターアンタゴニストまたはレセプターアゴニストのいずれかとして作用する、請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
前記ペプチドユニットがアミノ酸約200個以下の、アミノ酸約150個以下の、アミノ酸約100個の、またアミノ酸約50個以下の長さを有する、請求項1〜3の一項に記載の化合物。
【請求項5】
前記ポリマーユニットがペプチドユニット約50個以下、ペプチドユニット25個以下、ペプチドユニット15個以下、ペプチドユニット10個以下、好ましくはペプチドユニット2〜6個を有する、請求項1〜4の一項に記載の化合物。
【請求項6】
前記担体ユニットが少なくとも1つの天然または合成分岐、樹状または直鎖ポリマーであるか、少なくとも1つの天然または合成分岐、樹状または直鎖ポリマーを含み、好ましくはポリグリセリン、ポリシアリン酸、デキストラン、ポリサッカライド、デンプンまたはポリエチレングリコールから成る群より、あるいは他の生物不活性水溶性ポリマーから選択される、請求項1〜5の一項に記載の化合物。
【請求項7】
前記ポリマー担体ユニットが分岐ユニットを含み、該分岐ユニットは好ましくはグリセロールまたはポリグリセロールを含む、請求項1〜6の少なくとも一項に記載の化合物。
【請求項8】
前記担体分子が少なくとも5kD、好ましくは20〜200または4000kDの分子量を有し、ポリエチレングリコールなどのより小さい担体が使用される場合には20〜80kDの分子量を有する、先行請求項1〜7の少なくとも一項に記載の化合物。
【請求項9】
前記担体ユニットが少なくとも2個のポリマーサブユニットより構成され、該ポリマーサブユニットが少なくとも1個の生分解性共有結合リンカー構造を介して結合される、先行請求項1〜8の少なくとも一項に記載の化合物。
【請求項10】
第1の生分解性担体ユニットを含み、ペプチドユニットおよび第2のポリマー担体ユニットが該第1のポリマー担体ユニットに結合される、請求項1〜9の少なくとも一項に記載の化合物。
【請求項11】
前記第2の担体ユニットは前記第1の担体ユニットよりも小さい分子量を有し、好ましくはHESである該第1の担体ユニットの結合部位の約20〜50%が、好ましくは分子量約3〜10kDのPEGである該第2の担体ユニットによって占有される、請求項10に記載の化合物。
【請求項12】
修飾ポリマー担体ユニットが使用される、請求項1〜11の少なくとも一項に記載の化合物。
【請求項13】
前記ペプチドユニットが共有結合を介して前記ポリマー担体ユニットに結合され、結合が該ペプチドユニットの反応性アミノ酸、N末端アミノ基および/またはC末端カルボン酸を介して発生し、該反応性アミノ酸が好ましくは、リジン、システイン、ヒスチジン、アルギニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、セリン、トレオニンおよびチロシンから成る群より選択され、
該ポリマー担体ユニットが適切な反応性カップリング基を持たない場合、カップリングユニットが該ポリマー担体ユニットを修飾するために使用され、
該カップリングユニットが好ましくは、該ペプチドユニットのアミノ基と反応するアシル化基、該ペプチドユニットにおけるスルフヒドリル(メルカプト)、チオメチル、イミダゾまたはアミノ基と反応するアルキル化基、最も好ましくはマレイミド基、タンパク質のカルボキシル基と反応するエステルおよびアミド形成基、該ペプチドユニットのスルフヒドリル基と反応するジスルフィド形成基、たとえば5,5’−ジチオビス(2−ニトロベンゾアート)基、オルトピリジルジスルフィドおよびアルキルメルカプタン基、ジカルボニル基、たとえばシクロヘキサンジオン基、ならびに該ペプチドユニットのグアニジン部分と反応する他の1,2−ジケトン基;該ペプチドにおけるフェノール性基と反応するジアゾ基;該ペプチドユニットのアミノ基と反応する、臭化シアノゲンと前記ポリマー担体ユニットとの反応からの反応性基から成る群より選択される;
請求項12に記載の化合物。
【請求項14】
前記反応性アミノ基がシステインであり、前記カップリング基がマレイミドである、請求項13に記載の化合物。
【請求項15】
前記ペプチドの少なくとも1つがホモダイマーレセプターまたはマルチマーレセプターに結合し、好ましくはエリスロポエチンレセプター(EPOR)、トロンボポエチンレセプター(TPOR)、顆粒球コロニー刺激因子レセプター(G−CSFR)、成長ホルモンレセプター(GHR)、およびプロラクチンレセプター(PrR)を含む、多数のクラスIサイトカインレセプターに結合する、請求項1〜14の少なくとも一項に記載の化合物。
【請求項16】
前記ペプチドユニットの少なくとも1つが、ヘテロダイマーまたはマルチマーレセプター、たとえばインターロイキンレセプターに結合する、請求項1〜14の少なくとも一項に記載の化合物。
【請求項17】
前記ペプチドユニットがEPOレセプターに結合して、EPOレセプターを活性化し、EPO模倣ペプチドから成る群より選択される、請求項1〜14の少なくとも一項に記載の化合物。
【請求項18】
前記ペプチドユニットの少なくとも1つが以下のアミノ酸配列:
【化1】

(式中、各アミノ酸は、天然または非天然アミノ酸から選択され;
は、C、A、E、α−アミノ−γ−ブロモ酪酸またはホモシステイン(hoc)であり;
は、R、H、L、WまたはYまたはSであり;
は、M、F、I、ホモセリンメチルエーテルまたはノルイソロイシンであり;
は、GまたはGの保存的交換であり;
10は、プロリンの非保存的交換であり;
またはXおよびX10は、単一のアミノ酸によって置換され;
11は、いずれかのアミノ酸から選択され;
12は、TまたはAであり;
13は、W、1−nal、2−nal、AまたはFであり;
14は、D、E、I、LまたはVであり;
15は、C、A、K、α−アミノ−γ−ブロモ酪酸またはホモシステイン(hoc)であり、XまたはXが、Cまたはhocであるという条件である)によって特徴付けられた結合ドメインを含む、請求項17に記載の化合物。
【請求項19】
前記ペプチドユニットの少なくとも1つが次のアミノ酸配列:
【化2】

式中、各アミノ酸は標準文字省略形によって示され、そしてX6はCであり;
は、R、H、LまたはWであり;
は、M、FまたはIであり;
は、GまたはGの保存的交換であり;
10は、プロリンの非保存的交換であり;
11は、いずれかのアミノ酸から独立して選択され;
12は、Tであり;
13は、Wであり;
14は、D、E、I、LまたはVであり;
15は、Cであり;
またはXおよびX10は、単一のアミノ酸によって置換される)によって特徴付けられた結合ドメインを含む、請求項17に記載の化合物。
【請求項20】
前記ペプチドユニットの前記結合ドメイン(モノマー結合ユニット)がリンカー構造、好ましくは連続ペプチドリンカーを介して内部結合される、先行請求項1〜19の少なくとも一項に記載の化合物。
【請求項21】
前記ペプチドユニットの少なくとも1つが次のペプチドの群:
【化3】

【化4】

(式中、Xは、1−ナフチルアラニンであり、Uは、2−ナフタレンであり、ここで5−アミノレブリン酸は:
【化5】

である)より選択される結合ドメインを含む、先行請求項17〜20の少なくとも一項に記載の化合物。
【請求項22】
製薬組成物の調製のための、請求項1〜21の少なくとも一項に記載の化合物の使用。
【請求項23】
エリスロポエチンの欠乏あるいは少ないまたは欠陥のある赤血球集団を特徴とする障害の予防または治療用の、そして特に貧血および脳卒中のいずれの種類の治療用の製薬組成物の調製のための、EPOレセプターに結合して、EPOレセプターを活性化するペプチドユニットを保持する、請求項1〜21のいずれか一項に記載の化合物の使用。
【請求項24】
トロンボポエチンの欠乏を特徴とする障害の予防または治療用の、そして特に血小板減少症、顆粒球減少症および貧血を含む血液疾患の治療用の製薬組成物の調製のための、TPOレセプターに結合して、TPOレセプターを活性化するペプチドユニットを保持する、請求項1〜21の少なくとも一項に記載の化合物の使用。
【請求項25】
請求項1〜21の少なくとも一項に記載の化合物および場合により製薬的に許容される担体を含む、製薬組成物。
【請求項26】
(i)少なくとも2個のペプチドユニットであって、それぞれ標的への結合能力を備えた少なくとも2個のドメインを含むペプチドユニットを生成するステップと;
(ii)少なくとも1個のポリマー担体ユニットを生成するステップと;
(iii)前記ペプチドユニット前記ポリマー担体ユニットに結合させるステップと;
を含む、請求項1〜21の少なくとも一項に記載の化合物を産生する方法。
【請求項27】
前記ペプチドユニットが連続ペプチド鎖として合成される、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
少なくとも1個の化学基をその上に有するポリマー担体ユニットが使用され、該少なくとも1個の化学基が前記ペプチドユニット上の利用可能な化学基と反応して、次に反応性ポリマー担体ユニットおよびペプチドユニットを共に反応させて、ポリマー担体ユニットの化学基を利用するその共有結合された錯体を形成することができる、請求項26または27に記載の方法。
【請求項29】
前記ポリマー担体が、酸化されている修飾デンプン分子であり、アミノ基が該デンプン主鎖に導入されており、前記アミノ基がリンカー基、好ましくはマレイミド基の導入によって修飾される、請求項26〜28に記載の方法。
【請求項30】
酸化が、デンプン分子にオキソアンモニウムを産生する試薬を酸化剤の存在下で接触させることによって、または開始物質に反応性種、オキソアンモニウムイオンを直接接触させることによって達成される、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
酸化剤が次亜塩素酸および次亜臭素酸ナトリウムなどの次亜ハロゲン化物または過酸化水素などの化学酸化剤あるいは酸化酵素である、請求項30に記載の化合物。
【請求項32】
オキサアンモニウムイオンを産生する試薬が、好ましくはニトロキシル化合物、さらに好ましくはジ−tert−ニトロキシル化合物、たとえば2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル(TEMPO)またはその誘導体である、請求項30または31に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19−1】
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【図19−2】
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【図19−3】
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【図19−4】
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【図19−5】
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【図19−6】
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【図19−7】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【公表番号】特表2008−546732(P2008−546732A)
【公表日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−517435(P2008−517435)
【出願日】平成18年6月23日(2006.6.23)
【国際出願番号】PCT/EP2006/006097
【国際公開番号】WO2006/136450
【国際公開日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【出願人】(507151180)アプラゲン ゲーエムベーハー (4)
【Fターム(参考)】