説明

多値記録相変化メモリ素子、多値記録相変化チャンネルトランジスタおよびメモリセルアレイ

【課題】多値情報の記録が安定して行えかつ高い信頼性で情報の再生が可能な新規な構造の多値記録相変化メモリ素子を提供する。
【解決手段】多値記録相変化メモリ素子は、第1の電極層(26)と、第2の電極層(28)と、第1および第2の電極層(26、28)間に設けられ、室温でアモルファス相および結晶相で安定する相変化材料の層を有するメモリ層(30)とを備え、このメモリ層(30)は、第1および第2の電極層(26、28)間で相互に分離された複数の部分メモリ層(32、34、36、38)を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、室温で結晶相およびアモルファス相で安定する相変化材料を用いた多値記録相変化メモリ素子、多値記録相変化チャンネルトランジスタ、さらにこれらの素子あるいはトランジスタで構成されるメモリセルアレイに関する。
【背景技術】
【0002】
例えばカルコゲナイド系の材料は、室温で結晶相およびアモルファス相で安定する特性を有し、それぞれの相で比抵抗が2桁乃至4桁相違する。したがって、このような材料の薄膜を結晶相あるいはアモルファス相のいずれかで安定させることによって情報を書き込み、抵抗値の測定からその薄膜が結晶相かアモルファス相かを判断することにより情報を読み出すようにした、不揮発性のメモリが実現されている。
【0003】
このようなメモリにおいて、情報、即ち1、0を書き込む場合、相変化材料の薄膜を結晶相からアモルファス相へ、あるいはアモルファス相から結晶層へ相転移させる必要がある。カルコゲナイド系材料では、通常、材料を630℃以上に昇温して急冷した場合アモルファス相として固化し、200℃以上に昇温して徐冷すると結晶相で安定する。相変化材料薄膜の加熱は、薄膜に電流を流すことによって発生するジュール熱を利用して行われる。相変化材料薄膜がアモルファス相に転移した場合、この薄膜の抵抗値は、結晶相に転移した場合の抵抗値に比べて2桁乃至4桁大きい。したがって、相変化材料薄膜に読み出し電圧を印加して流れる電流量を検出することにより、薄膜がアモルファス相か結晶相の何れで安定しているか、即ち書き込まれた情報を読み出すことができる。
【0004】
最近、このような相変化材料薄膜において、電流の流れる方向に垂直にバイアス電圧を印加することによって電流量の制御が可能であることが見出され、この特性を利用して、メモリ機能とスイッチング機能を有する相変化チャンネルトランジスタが提案されている(特許文献1参照)。この相変化チャンネルトランジスタでは、チャンネル部分を相変化材料で構成することによりメモリ機能を持たせ、かつチャンネル部分を流れる電流をゲート電圧によりオン・オフスイッチングすることにより、情報の書き込み、読み出しのタイミングを制御することができる。したがって、この相変化チャンネルトランジスタを用いてRAMを構成する場合、選択トランジスタとメモリ部とを1個のトランジスタで実現することが可能となり、超高密度のストレージ素子を提供することができる。ちなみに従来のDRAMでは、選択トランジスタとキャパシタで構成されるメモリ素子とで1個のメモリセルが構成されており、キャパシタを半導体基板上に組み込む必要性からメモリセルの面積が大きくなり、微細化が阻害されている。その結果、メモリセルの高密度化には限度がある。
【0005】
しかしながら、メモリセルの微細化には限度が有るため、さらに記録密度を上げるために1個の素子に多値情報を書き込む多値記録方式が提案されている(例えば、特許文献2および3参照)。相変化メモリ素子における2値情報の書き込み、読み出しは、メモリ層の全体を例えば結晶相とすることによって“0”を書き込み、全体を例えばアモルファス相とすることによって“1”を書き込むようにし、その状態の抵抗値から“0”、“1”を読み出すようにしている。多値記録を実現するためには、メモリ層が相変化を起こす場合に生じる結晶相のグレインの大きさやその体積率の変化、およびアモルファス相の体積変化を制御して、メモリ層の抵抗値を、全体が結晶相である場合とアモルファス相である場合の中間値に設定する必要がある。
【0006】
図1は、相変化メモリにおける従来の多値記録方式を説明するための図である。図1(a)は、メモリ層2の全体を結晶相(c)とすることによって“0”を記録させた状態を示している。図(b)は、メモリ層2の全体積の例えば1/4をアモルファス(α)相に相転移させることによって“1”を書き込んだ状態を示している。図(c)は、メモリ層2の全体積の例えば1/2をアモルファス相に相転移させることによって“2”を書き込んだ状態を示している。さらに図(d)は、メモリ層2の全体をアモルファス相に転移させることによって“3”を書き込んだ状態を示している。
【0007】
図1の(a)〜(d)に示すように、メモリ層2の一部を段階的にアモルファス化することによって、その抵抗値は、結晶相に起因する低い抵抗値と、アモルファス相に起因する高抵抗値の間で段階的に変化するので、メモリ層2の抵抗値を読み取ることによって、“0”から“3”までの書き込み情報を読み取ることができる。メモリ層2の一部をより段階的にアモルファス化することにより、理論的にはさらに多値の情報記録を行うことができる。なお、メモリ層2全体がアモルファス相である場合を“0”とし、全体が結晶相である場合を“3”としても、同様に中間値の書き込み、読み出しを行うことができることは勿論である。
【0008】
メモリ層2を(a)〜(d)の状態に転移させるには、書き込みパルス数を制御してメモリ層2の温度コントロールを行う必要がある。例えば、1個の書き込みパルスを結晶状態のメモリ層2に印加してメモリ層の一部をアモルファス化し“1”を書き込み、2個の書き込みパルスを印加することによって“2”を書き込み、3個の書き込みパルスを印加することによって“3”を書き込むようにする。
【0009】
図2に、上記のような多値記録を行うことが可能な、相変化メモリ素子の構造を示す。図2(a)は、相変化メモリ素子4の平面図、図(b)は図(a)のA−A線上断面図である。図2(a)および(b)において、6はSi等の半導体基板、8は半導体基板6上に形成されたSiO2等の絶縁膜、10、12は絶縁膜8上に形成された第1、第2の電極層である。カルコゲナイド等の相変化材料で形成されるメモリ層2は、第1、第2の電極層10、12間の絶縁膜8上に例えばプラズマCVD法等によって形成されている。
【0010】
【特許文献1】特開2005−93619
【特許文献2】WO2005/031725
【特許文献3】特開2006−155700
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
従来の多値記録相変化メモリ素子は、上述したように、メモリ層2の結晶相部分とアモルファス相部分の体積率の変化を利用して多値記録を実現している。ところが、この体積率は、メモリ層のサイズの変化、相変化回数等によって変化するので、同じ書き込みパルスを与えた場合でも、アモルファス化される体積にかなりの変動が生じる。したがって、“0”、“1”、“2”、“3”等を記録させる場合の抵抗値のマージンが小さい場合には、多値記録の実現が困難となる。
【0012】
本発明は、相変化メモリ素子を用いた従来の多値記録方式における上記のような欠点を解決する目的でなされたものであり、多値記録に適した新規な素子構造を提案することによって、多値記録時の抵抗値のマージンが大きく、したがって高い信頼性で多値記録を実現することが可能な、新規な多値記録相変化メモリ素子、多値記録相変化チャンネルトランジスタおよびこれらの素子あるいはトランジスタで構成されるメモリセルを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するために、第1の発明にかかる多値記録相変化メモリ素子は、第1の電極層と、第2の電極層と、前記第1および第2の電極層間に設けられ、室温でアモルファス相および結晶相で安定する相変化材料の層を有するメモリ層と、を備え、前記メモリ層を、前記第1および第2の電極層間で相互に分離された複数の部分メモリ層を含んで構成する。
【0014】
第1の発明にかかる多値記録相変化メモリ素子において、前記メモリ層が前記相変化材料の層と該層に積層される抵抗層とを含み、前記抵抗層の抵抗値が前記相変化材料の層がアモルファス相を示す場合の抵抗値よりも小さく、結晶相を示す場合の抵抗値よりも大きくなるようにしても良い。
【0015】
第1の発明にかかる多値記録相変化メモリ素子において、前記複数の部分メモリ層が、前記第1および第2の電極層間でそれぞれ同じ抵抗値を有し、かつそれぞれ異なる熱容量を有するようにしても良い。
【0016】
第1の発明にかかる多値記録相変化メモリ素子において、前記複数の部分メモリ層が、前記第1および第2の電極層間でそれぞれ異なる抵抗値を有し、かつそれぞれ異なる熱容量を有するようにしても良い。
【0017】
上記課題を解決するために、第2の発明にかかる多値記録相変化チャンネルトランジスタは、第1の電極層と、第2の電極層と、前記第1および第2の電極層間に設けられ、室温でアモルファス相および結晶相で安定する相変化材料の層を有するメモリ層と、前記メモリ層に絶縁膜を介して設けられた第3の電極層と、を備え、前記メモリ層を、前記第1および第2の電極層間で相互に分離された複数の部分メモリ層に分割して構成される。
【0018】
第2の発明にかかる多値記録相変化チャンネルトランジスタにおいて、前記複数の部分メモリ層が前記相変化材料の層と該層に積層される抵抗層とを含み、前記抵抗層の抵抗値を前記相変化材料の層がアモルファス相を示す場合の抵抗値よりも小さく、結晶相を示す場合の抵抗値よりも大きくしても良い。
【0019】
第2の発明にかかる多値記録相変化チャンネルトランジスタにおいて、前記複数の部分メモリ層が、前記第1および第2の電極層間でそれぞれが同じ抵抗値を有し、かつそれぞれ異なる熱容量を有するようにしても良い。
【0020】
第2の発明にかかる多値記録相変化チャンネルトランジスタにおいて、前記複数の部分メモリ層が、前記第1および第2の電極層間でそれぞれが異なる抵抗値を有し、かつそれぞれ異なる熱容量を有するようにしても良い。
【0021】
第2の発明にかかる多値記録相変化チャンネルトランジスタにおいて、当該多値記録相変化チャンネルトランジスタをスイッチング素子として機能させるために、前記第3の電極に、前記第1、第2の電極間に電圧を印加した場合に前記メモリ層を流れる電流を遮断する第1の電圧と遮断しない第2の電圧を選択的に印加するようにしても良い。
【0022】
上記課題を解決するために、第3の発明にかかるメモリセルアレイは、1個のMOSトランジスタと、上記第1の発明にかかる多値記録相変化メモリ素子とを含んで構成されるメモリセルを同一基板上に複数個配置して構成される。
【0023】
上記課題を解決するために、第4の発明にかかるメモリセルアレイは、同一基板上に、上記第2の発明にかかる相変化チャンネルトランジスタを複数個配置して構成される。
【発明の効果】
【0024】
第1の発明にかかる多値記録相変化メモリ素子あるいは第2の発明にかかる多値記録相変化チャンネルトランジスタでは、第1および第2の電極層間に形成されるメモリ層を、相互に分離された複数の部分メモリ層で構成しているので、それぞれの部分メモリ層を相転移させるか否かの組合せによって多値情報を書き込むことができる。この場合、1個の部分メモリ層を相転移させることによる抵抗値の変化はその部分メモリ層の形状によってほぼ一義的に決まり、相変化回数等によって影響されない。したがって、多値情報における個々のレベルの情報を、明瞭に区別された複数の抵抗値として書き込むことができ、かつ読み出すことができる。これにより、多値情報の書き込み読み出しに比較的大きなマージンを取ることが可能となり、信頼性の高い多値記録相変化メモリ素子を提供することができる。
【0025】
なお、メモリ層を、相変化材料の層と抵抗層との積層構造とし、抵抗層の抵抗値を相変化材料層が結晶相を取る場合の抵抗値より大きく、アモルファス相を取る場合の抵抗値よりも小さくすることによって、相変化材料の層がアモルファス相から結晶相へ相転移する場合に必要な書き込み電圧を低く抑えることができる。
【0026】
さらに、複数の部分メモリ層が、前記第1および第2の電極層間でそれぞれ同じ抵抗値あるいは異なる抵抗値を有し、かつそれぞれ異なる熱容量を有するようにすることによって、部分メモリ層の個別の相転移制御がさらに容易となる。
【0027】
また、このような多値記憶相変化メモリ素子あるいは多値記憶相変化チャンネルトランジスタを同一基板上に複数個配列してメモリセルアレイを構成することによって、より高密度の情報記録が可能なメモリセルアレイを提供することができる。特に、多値記録相変化チャンネルトランジスタで構成したメモリセルアレイの場合、従来は別個に形成する必要が有ったスイッチング用のトランジスタとメモリ部とを1個のトランジスタで実現できるので、その分基板上で1個のメモリセルが必要とする面積が大幅に低下し、それによってさらに記録密度の高いメモリセルアレイを実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
[第1の実施形態]
図3(a)および(b)は、本発明の第1の実施形態にかかる相変化メモリ素子20の構造を示す図であり、図(a)はその平面図を、図(b)は図(a)のB−B線上断面図である。本実施形態にかかる多値記録相変化メモリ素子20は、図示するように、Si等の半導体基板22上に形成したSiO2等の絶縁膜24上に、第1および第2の電極層26、28を形成し、この電極間に相変化材料で構成されるメモリ層30を形成した構造を有する。第1、第2の電極層26、28はメモリ層30の電流加熱用電極であって、Al、Au等を材料として構成されている。第1、第2の電極層26、28の相対向する側面は、階段状に形成されており、その結果、電極間の距離L(L1、L2、L3、L4)が、段階的に異なる値を取るようにされている。
【0029】
メモリ層30は、カルコゲナイドのような一般の相変化メモリに使用される材料で構成される。本実施形態では、メモリ層30を、それぞれが体積の異なる複数の部分メモリ層32、34、36、38で構成している。部分メモリ層32は、第1、第2の電極層26、28上で、その間の間隔が最も狭い部分(距離L1)に幅W1を有して形成されている。部分メモリ層34は、第1、第2の電極層26、28上で、その間の間隔が次に狭い部分(距離L2)に部分メモリ層32よりは広い幅W2を有するようにして形成されている。部分メモリ層36は、第1、第2の電極層26、28上で、その間の間隔がさらに次に狭い部分(距離L3)に、W2よりは広い幅W3を有して形成されている。部分メモリ層38は、第1、第2の電極層26、28上で、その間の間隔がもっとも広い部分(距離L4)上に最も広い幅W4を有して形成されている。
【0030】
部分メモリ層32〜38は、例えば、電極層26、28を形成した絶縁膜24上に一体化したメモリ層として堆積した後、エッチング等によって個々の部分に分離することによって形成することができる。あるいは、マスクパターンを用いて、部分メモリ層を形成する領域上にのみ相変化材料を堆積するようにして形成することもできる。部分メモリ層32〜38のこのような形成方法に基づいて、各部分メモリ層32〜38の層厚tは一定となる。
【0031】
抵抗体の抵抗値Rは、
R=ρ×(L/S)
として示される。ここで、ρは抵抗体の比抵抗、Lは抵抗体の長さ、Sは抵抗体の断面積である。断面積Sは、抵抗体の層厚をt、抵抗体の幅をWで表すと、S=W・tとなる。したがって、Rは、
R=ρ×(L/W・t)
として示すことができる。
【0032】
今、図3に示すメモリ層30において、上述したように各部分メモリ層32〜38の層厚は同じであり、さらに同じ材料によって形成されるためそれぞれの比抵抗ρも同じである。したがって、各部分メモリ層32〜38の抵抗体部分の長さLと幅Wとの比を一定とすることにより、各部分メモリ層32〜38がほぼ同じ抵抗値Rを有するようになる。一方、各部分メモリ層32〜38の長さL1〜L4を、L1<L2<L3<L4とし、幅W1〜W4をW1<W2<W3<W4とすることによって、各部分メモリ層32〜38の熱容量C1〜C4はC1<C2<C3<C4となる。
【0033】
第1、第2の電極層26、28間に電圧Vを印加した場合、各部分メモリ層32〜38に流れる電流は同じであるが、その電流による部分メモリ層32〜38の温度上昇はそれぞれに異なる。具体的には、熱容量の小さい部分メモリ層ほど温度上昇が大きくなる。したがって、ある電流量の印加により、結晶相である部分メモリ層32が材料の溶融温度に達しその後の急冷によりアモルファス相に転移した場合であっても、部分メモリ層34〜38はその電流量で溶融温度に達しないため、アモルファス相に転移しない状態が発生する。
【0034】
同様に、異なる電流量の印加により、部分メモリ層32、34がアモルファス相に転移した場合であっても、部分メモリ層36、38がアモルファス相に転移せず結晶相を維持する状態が発生する。さらに同様に、異なる電流量の印加により、部分メモリ層32、34、36がアモルファス相に転移した場合であっても、部分メモリ層38がアモルファス相に転移せず結晶相を維持する状態が発生する。また、異なる電流量の印加により、部分メモリ層32〜38の全てをアモルファス相に相転移させることができる。
【0035】
したがって、全ての部分メモリ層32〜38が抵抗値Rを有する結晶状態である場合を“0”に当てはめ、適宜の電流制御により部分メモリ層32のみをアモルファス相に転移させその抵抗値Rを例えば1000Rとした場合を“1”に当てはめ、以下同様に、部分メモリ層32、34をアモルファス相に転移させその抵抗値Rをそれぞれ1000Rとした場合を“2”に当てはめ、部分メモリ層32、34、36をアモルファス相に転移させその抵抗値Rをそれぞれ1000Rとした場合を“3”に当てはめ、部分メモリ層32〜38の全てをアモルファス相に転移させそれぞれの抵抗値Rを例えば1000Rとした場合を“4”に当てはめることにより、多値情報を記録することができる。
【0036】
上記のようにして書き込まれた情報を読み出す場合は次のようになる。部分メモリ層32〜38が全て結晶相でありそれぞれが抵抗値Rを有する場合、即ち情報“0”が記録されている場合のメモリ層30全体の抵抗値はR/4となる。部分メモリ層32がアモルファス相に相転移しその抵抗値が例えば1000Rとなった場合、即ち情報“1”が記録された状態ではメモリ層30全体の抵抗値はほぼR/3となる。同様に、情報“2”が記録された場合のメモリ層30の抵抗値はほぼR/2となり、情報“3”の場合はほぼR、情報“4”の場合はほぼ25Rとなる。したがって、メモリ層30に電圧を印加して流れる電流を読み取ることにより、その抵抗値を算出すれば、メモリ層30に書き込まれている情報が容易に読み出される。
【0037】
以上のように、本実施形態の多値記録相変化メモリ素子では、メモリ層30を、それぞれがほぼ同じ抵抗値を有するがしかし異なる熱容量を有する部分メモリ層32〜38で構成したことにより、それぞれの部分メモリ層を結晶相からアモルファス相へ相転移させるか否かに基づいて多値情報を書き込むことができる。そのため、図1および2に示すような1個のメモリ層上でアモルファス化する体積を段階的に変化させて多値情報を記録する場合に比べて、個々の情報を記録する場合の抵抗値に大きな変動がない。その結果、情報の記録、再生の信頼性が高い多値記録素子を形成することができる。
【0038】
[第2の実施形態]
図4は、本発明の第2の実施形態にかかる多値記録相変化メモリ素子20Aの構造を示す図であり、図(a)はその平面図、図(b)は図(a)のB−B線上断面図である。なお、以降の図面において、図3と同じ符号は、同一あるいは類似の構成要素を示すので、それらについての重複した説明は行わない。
【0039】
本実施形態のメモリ層30Aは、部分メモリ層32A、34A、34A、38Aで構成されている。各部分メモリ層32A、34A、34A、38Aは、例えば図(b)において部分メモリ層34Aで示すように、相変化材料層(34a)と抵抗層(34b)との2層構造とされている。各部分メモリ層32A〜38Aにおいて、相変化材料層(部分メモリ層34の場合、34aで示す)は、図3に示す第1の実施形態の部分メモリ層32〜38と同様の材料でかつ同様の形状で形成されているため、それぞれが同じ抵抗値および異なる熱容量を有している。したがって、本実施形態のメモリ素子20Aが、図3に示す第1の実施形態にかかるメモリ素子20と同様の原理により、多値記録および読み出しが行えることは明らかである。
【0040】
しかしながら、多値が記録された相変化メモリ素子20(図3参照)において、記録された情報を消去する場合は、アモルファス相状態の部分メモリ層に通電して加熱し、アモルファス相から結晶相への相転移を起こす必要がある。相変化材料がアモルファス相を取る場合、その抵抗値は結晶相を取る場合の102〜104倍となって、著しく電流を流し難くなる。したがって、例えば書き込まれた情報を消去するために、相変化材料層をアモルファス相から結晶相に相転移させる場合、部分メモリ層にかなり大きな電圧を掛けて必要な電流を確保しなければならない。加熱により材料層がアモルファス相から結晶相に転移すると、結晶相での抵抗値が低いため、上記の電圧では材料に過度の電流が流れ素子が破壊されてしまう恐れがある。
【0041】
図4に示す相変化メモリ素子20Aは、このような欠点を解決するための構成を提供するものであって、そのために、各部分メモリ層32A〜38Aを図4(b)に示すような抵抗層(例えば34b)と相変化材料層(34a)の2層構造としたものである。ここで、それぞれの抵抗層(例えば34b)は、相変化材料層(例えば34a)がアモルファス相を取る場合の抵抗値より小さく、結晶相を取る場合の抵抗値よりも大きい抵抗値を有している。これらの抵抗層は、例えば、C、W、Mo、TiN、TiWで構成される。
【0042】
図4に示す構造の相変化メモリ素子20Aにおいて、メモリ層30Aの相変化材料層(例えば34a)がアモルファス相を取る場合、第1、第2の電極層26、28に電圧を印加すると、アモルファス相の抵抗値が大きいため電流はもっぱら抵抗層(例えば34b)を介して流れる。その結果、比較的低い電圧の印加により抵抗層が加熱され、アモルファス相である相変化材料層(例えば34a)も間接的に加熱されて相転移を起こす。相変化材料層(例えば34a)が一旦結晶相に相転移すると、その抵抗値は抵抗層(例えば34b)の抵抗値よりも小さくなるため、第1、第2の電極層26、28間で電流は主に相変化材料層を介して流れる。
【0043】
このように、本実施形態の相変化メモリ素子20Aでは、各部分メモリ層をアモルファス相から結晶相へ相転移させる場合の印加電圧を低く抑えることができる。なお、図4の例では、部分メモリ層32A〜38Aを構成する場合に、抵抗層(例えば34b)を絶縁膜24上に形成しその上に相変化材料層(例えば34a)を形成しているが、絶縁膜24上に相変化材料層を形成しその上に抵抗層を形成しても、同様の効果が得られることは明らかである。この場合、さらに相変化材料層上に抵抗層を形成しても良い。本発明は、これらの実施例をもその範囲に含む。
【0044】
[第3の実施形態]
図5は、本発明の第3の実施形態にかかる多値記録相変化チャンネルトランジスタ50の構造を示す図であって、図(a)はその平面図を、図(b)は図(a)のC−C線上断面図である。本トランジスタ50におけるメモリ層40は、部分メモリ層42、44、46、48で構成されているが、これらの部分メモリ層の材料および形状は、図4に示す部分メモリ層32A、34A、36A、38Aと同じである。しかしながら、本実施形態のトランジスタ50では、各部分メモリ42、44、46、48の相変化材料層(例えば44a)上に絶縁膜層(例えば44c)を介してゲート電極52が設けられている点で、図4の相変化メモリ素子と異なっている。なお、図5(b)では、部分メモリ層44についてのみ抵抗層44b、相変化材料層44a、絶縁膜44cの多層構造を示しているが、その他の部分メモリ層42、46、48も同様の構造を有していることは明らかである。
【0045】
本実施形態の相変化チャンネルトランジスタは、メモリ層40が、それぞれ同じ抵抗値を有しかつ異なる熱容量を有する部分メモリ層42、44、46、48で構成され、したがって、第1、第2の電極層26、28間の通電量を適宜選択することによって、部分メモリ層42のみ、部分メモリ層42および44、部分メモリ層42、44、46、あるいは全ての部分メモリ層42〜48をアモルファス相に相転移させることができ、これによって、“0”〜“4”の多値情報の記録、再生が行える点で、第1および第2の実施形態と同じである。さらに、各部分メモリ層42〜48が抵抗層と相変化材料層の2層構造を有している点で、図4に示す第2の実施形態の相変化メモリ素子20Aと同じ効果を有する。しかしながら、各部分メモリ層42〜48が、ゲート電極52を介した制御によってスイッチング機能を有している点で、第2の実施形態にかかる素子20Aとは異なっている。
【0046】
以下に、相変化チャンネルトランジスタ50のスイッチング機能について説明する。
【0047】
図6に、図5に示す相変化チャンネルトランジスタ50のゲート電圧とソース・ドレイン電流の関係を模式的に示す。ゲート電圧は、ゲート電極52と、第1(ソース)の電極層26、あるいは第2(ドレイン)の電極層28との間の電圧である。図6の曲線Fは、相変化材料層が結晶相の状態である場合のゲート電圧とソース・ドレイン電流(チャンネル電流)間の関係を示し、曲線Hは相変化材料層がアモルファス相を取る場合のゲート電圧とソース・ドレイン電流間の関係を示している。
【0048】
図示するように、相変化材料層で構成されるチャンネルにおいて、ゲート電圧が一定の値Vtよりも低い場合、チャンネル領域には、ゲート電圧にかかわりなく、相変化材料層がアモルファス相であるか結晶相であるかによって決まるほぼ一定の電流I1(アモルファス相の場合)またはI2(結晶相の場合)が流れるが、ゲート電圧が電圧Vtを超えると、チャンネル電流はほとんど流れなくなる。したがって、ゲート電極52に印加する電圧を制御することによって、図5に示す素子をスイッチング素子としても動作させることができるようになる。
【0049】
なお、このような相変化材料のスイッチング機能については、上述した特許文献1に詳細に説明されている。また、図5に示す例では、ゲート電極層52を部分メモリ層42〜48の最上部に設けているが、ゲート電極層を絶縁膜24中に埋め込み、その上に抵抗層、相変化材料層を形成する構成でも良く、あるいはゲート電極層を絶縁膜中に埋め込み、その上に相変化材料層、抵抗層を形成する構成でも良い。本発明は、これらの実施例をも含む。
【0050】
なお、図5に示す多値記録相変化チャンネルトランジスタ50は、メモリ層40が相変化材料の層と抵抗層との積層構造を取るものとして示されているが、本発明の多値記録相変化チャンネルトランジスタが、メモリ層40を相変化材料の層のみで構成した場合もその範囲に含むことは明らかである。この場合は、相変化材料の層上に絶縁膜を介してゲート電極を構成すれば良い。
【0051】
[第4の実施形態]
図7は、上記第1および第2の実施形態にかかる多値記録相変化メモリ素子20あるいは20Aを用いたメモリセルアレイの構造を示す一部切り欠き断面図である。なお、説明を容易にするために図7ではメモリセルを1個示しているが、実際は同一基板上に同様のメモリセルが多数配列して構成されている。
【0052】
図において、70はSi半導体基板、72は素子分離用のSiO2層、74、76は例えばn+拡散層、78はゲート絶縁膜、80はゲート電極を示す。n+拡散層74は、層間絶縁膜82に設けたスルーホール中に形成したコンタクト84を介してビットライン86に接続されている。半導体基板70上には上記第1あるいは第2の実施形態にかかる多値記録相変化メモリ素子20あるいは20Aが形成されている。メモリ素子20あるいは20Aは、第1、第2の電極層88、90、絶縁膜層92およびメモリ層94を含んでいる。第1の電極層88はn+拡散層76に接続され、第2の電極層90はソースライン96に接続されている。
【0053】
拡散層74、76、ゲート電極80はMOSトランジスタを構成し、Si半導体基板70のゲート直下のチャンネル領域98における通電状態をゲート電極80に印加する電圧によってオン、オフ制御する。即ち、メモリ素子20(20A)を選択的に駆動する場合は、ゲート電極80の電圧を制御してチャンネル領域98を導通状態に設定し、メモリ部に電力を供給する。反対にこのメモリ部を選択しない場合は、ゲート電極80にオフ電圧を印加する。したがって、MOSトランジスタのゲート電圧を制御してチャンネル領域98を導通させれば、メモリ部20(20A)に、ビットライン86を介して多値の書き込み(相転移のための電圧)あるいは読み出し電圧が印加され、反対にチャンネル領域98を非導通とすれば書き込み、読み出し電圧が印加されない。なお、ゲート電極80は、図示しないワードラインに接続されている。
【0054】
上述した本実施形態のメモリセルアレイでは、1個のメモリセルにおいて、第1あるいは第2の実施形態に示した多値記録相変化メモリ素子を用いているため、多値記録を安定してかつ確実に行うことができ、情報を安定して高密度に記録し再生することが可能なメモリセルアレイを提供することができる。
【0055】
[第5の実施形態]
図8は、本発明の第5の実施形態にかかるメモリセルアレイの構造を示す断面図である。本実施形態のメモリセルアレイは、第3の実施形態にかかる多値記録相変化チャンネルトランジスタ50を用いてメモリセルアレイを構成している。図では2個のメモリセル50a、50bのみを示しているが、実際には高い記録密度を達成するために、同一基板上に多数のメモリセルが構成されている。図8において、100はSi半導体基板、102はSiO2等の絶縁膜を示し、この絶縁膜102上に、図5に示す多値記録相変化チャンネルトランジスタ50a、50bが形成されている。多値記録相変化チャンネルトランジスタ50a、50bは、それぞれ、抵抗材料で構成された抵抗層104、相変化材料で構成された相変化材料層106、ゲート絶縁膜108、ゲート電極110およびソース、ドレイン電極を構成する第1、第2の電極112、114を備えている。
【0056】
さらに、ゲート電極110は図示しないワードラインに接続され、第1の電極112はビットライン116に接続され、かつ第2の電極114は図示しないソースラインに接続されている。なお、118は層間絶縁膜を示している。抵抗層104と相変化材料層106は、相変化材料層106がアモルファス層か結晶相かで情報を記録するメモリ部を構成している。なお、このメモリ部は上記第3の実施形態で示した構造を有し、したがって多値記録が可能とされている。ゲート電極110には、トランジスタ50a、50bをオン、オフスイッチングするためのスイッチング電圧がワードラインを経由して印加される。メモリ部への書き込み、読み出し電圧は、ビットライン116とソースライン間で印加される。したがって、ビットラインとワードラインを選択して駆動することにより、メモリアレイ上の任意のトランジスタが選択されて情報の書き込み、読み出しあるいは消去が行われる。
【0057】
図8に示すメモリセルアレイでは、上記第3の実施形態の項で説明したように、メモリ部を構成するトランジスタがスイッチング機能を有するため、任意のメモリセルをアドレスするための選択トランジスタを設ける必要がない。その結果、選択トランジスタとメモリ部との両者を必要とする従来のメモリセルアレイに比べて、1個のメモリセルの面積が大幅に低減するので、同一基板上に超高密度にメモリセルを形成することができる。また、1個のメモリセルは多値情報を記録可能であるため、メモリとしての記録密度をさらに上げることができる。なお、図8のメモリセル50a、50bにおいて、抵抗層104を形成しない相変化チャンネルトランジスタを用いても良いことは明らかである。
【0058】
[その他の実施形態]
図9および図10は、図3に示した多値記録相変化メモリ素子のその他の実施形態を示す図であり、それぞれに、図(a)はその平面図、図(b)は図(a)のB−B線上断面図である。
【0059】
図9の(a)、(b)において、多値記録相変化メモリ素子200は、電極間隔が段階的に異なる第1、第2の電極層26、28間に、第1の実施形態の場合と同様に相変化材料で構成されるメモリ層202を形成しているが、本実施形態では、各部分メモリ層204、206、208、210はそれぞれ同じ形状を有している。その結果、部分メモリ層204〜210のそれぞれの抵抗値Rは、電極間の距離Lに比例して異なっている。また、距離Lに比例して、各部分メモリ層の熱容量も異なっている。
【0060】
この多値記録相変化メモリ素子200においても、第1、第2の電極層26、28間に印加する電圧および電圧の印加時間を適宜調整することにより、部分メモリ層204のみ、部分メモリ層204と206、部分メモリ層204、206および208、あるいは全ての部分メモリ層204〜210を、例えば結晶相からアモルファス相に相転移させることにより、第1の実施形態の場合と同様に、“0”〜“4”までの多値を広いマージンをもって記録することが可能である。
【0061】
図10に示す多値記録相変化メモリ素子300は、電極間隔が一様である第1、第2の電極層26A、28A間に、相変化材料で構成されるメモリ層302を構成している。メモリ層302は、第1の実施形態の場合と同様に、段階的に幅が異なる部分メモリ層304、306、308および310を含んでいる。この実施形態では、第1の実施形態の場合とは異なり、第1および第2の電極層26A、28A間が一定であるため、部分メモリ層304〜310の抵抗値はそれらの形状に応じて異なっており、同様に各部分メモリ層の熱容量もそれぞれ異なっている。
【0062】
この多値記録相変化メモリ素子300においても、第1、第2の電極層26A、28A間に印加する電圧および電圧の印加時間を適宜調整することにより、部分メモリ層304のみ、部分メモリ層304と306、部分メモリ層304、306および308、あるいは全ての部分メモリ層304〜310を、例えば結晶相からアモルファス相に相転移させることにより、第1の実施形態の場合と同様に、“0”〜“4”までの多値を広いマージンをもって記録することが可能である。
【0063】
なお、上記の全ての実施形態において、相変化材料としては、GeSbTe以外に、GaSb、InSb、InSe、SbTe、GeTe、InSbTe、GaSeTe、SnSbTe、InSbGe、AgInSbTe、GeSnSbTe、GeSbSeTe、TeGeSbS等の材料が使用可能である。またこのような材料において、その組成比を種々に変化したものも使用可能である。抵抗層の材料としては、C、W、Mo、TiN、TiW等がある。絶縁層材料としては、SiO2、Si34等が使用可能である。さらに、上記各実施形態では、メモリ層を4個の部分メモリ層に分割しているが、メモリ層の分割は2個以上であれば多値記録が可能であり、したがって本発明は記載した実施形態に限定されることはない。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】相変化メモリ素子における従来の多値記録方式を説明するための図。
【図2】従来の多値記録相変化メモリ素子の構造を示す図であり、(a)はその平面図、(b)は(a)のA−A線上断面図。
【図3】本発明の第1の実施形態にかかる多値記録相変化メモリ素子の構造を示す図であり、(a)はその平面図、(b)は(a)のB−B線上断面図。
【図4】本発明の第2の実施形態にかかる多値記録相変化メモリ素子の構造を示す図であり、(a)はその平面図、(b)は(a)のB−B線上断面図。
【図5】本発明の第3の実施形態にかかる多値記録相変化チャンネルトランジスタの構造を示す図であり、(a)はその平面図、(b)は(a)のC−C線上断面図。
【図6】図5に示す多値記録相変化チャンネルトランジスタのスイッチング特性を説明するための図。
【図7】本発明の第4の実施形態にかかるメモリセルアレイの断面図。
【図8】本発明の第5の実施形態にかかるメモリセルアレイの断面図。
【図9】本発明のその他の実施形態にかかる多値記録相変化メモリ素子の構造を示す図であり、(a)はその平面図、(b)は(a)のB−B線上断面図。
【図10】本発明のさらにその他の実施形態にかかる多値記録相変化メモリ素子の構造を示す図であり、(a)はその平面図、(b)は(a)のB−B線上断面図。
【符号の説明】
【0065】
20、20A 多値記録相変化メモリ素子
22 Si半導体基板
24 絶縁膜
26 第1の電極層
28 第2の電極層
30 メモリ層
32、34、36、38 部分メモリ層
34a、44a 相変化材料層
34b、44b 抵抗層
44c ゲート絶縁膜
50 多値記録相変化チャンネルトランジスタ
52 ゲート電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の電極層と、
第2の電極層と、
前記第1および第2の電極層間に設けられ、室温でアモルファス相および結晶相で安定する相変化材料の層を有するメモリ層と、を備え、
前記メモリ層は、前記第1および第2の電極層間で相互に分離された複数の部分メモリ層を含むことを特徴とする、多値記録相変化メモリ素子。
【請求項2】
請求項1に記載の多値記録相変化メモリ素子において、前記メモリ層は前記相変化材料の層と該層に積層される抵抗層とを含み、前記抵抗層の抵抗値は前記相変化材料の層がアモルファス相を示す場合の抵抗値よりも小さく、結晶相を示す場合の抵抗値よりも大きいことを特徴とする、多値記録相変化メモリ素子。
【請求項3】
請求項1または2に記載の多値記録相変化メモリ素子において、前記複数の部分メモリ層は、前記第1および第2の電極層間でそれぞれが同じ抵抗値を有し、かつそれぞれ異なる熱容量を有することを特徴とする、多値記録相変化メモリ素子。
【請求項4】
請求項1または2に記載の多値記録相変化メモリ素子において、前記複数の部分メモリ層は、前記第1および第2の電極層間でそれぞれが異なる抵抗値を有し、かつそれぞれ異なる熱容量を有することを特徴とする、多値記録相変化メモリ素子。
【請求項5】
第1の電極層と、
第2の電極層と、
前記第1および第2の電極層間に設けられ、室温でアモルファス相および結晶相で安定する相変化材料の層を有するメモリ層と、
前記メモリ層に絶縁膜を介して設けられた第3の電極層と、を備え、
前記メモリ層は、前記第1および第2の電極層間で相互に分離された複数の部分メモリ層に分割されていることを特徴とする、多値記録相変化チャンネルトランジスタ。
【請求項6】
請求項5に記載の多値記録相変化チャンネルトランジスタにおいて、前記複数の部分メモリ層は前記相変化材料の層と該層に積層される抵抗層とを含み、前記抵抗層の抵抗値は前記相変化材料の層がアモルファス相を示す場合の抵抗値よりも小さく、結晶相を示す場合の抵抗値よりも大きいことを特徴とする、多値記録相変化チャンネルトランジスタ。
【請求項7】
請求項5または6に記載の多値記録相変化チャンネルトランジスタにおいて、前記複数の部分メモリ層は、前記第1および第2の電極層間でそれぞれが同じ抵抗値を有し、かつそれぞれ異なる熱容量を有することを特徴とする、多値記録相変化チャンネルトランジスタ。
【請求項8】
請求項5または6に記載の多値記録相変化チャンネルトランジスタにおいて、前記複数の部分メモリ層は、前記第1および第2の電極層間でそれぞれが異なる抵抗値を有し、かつそれぞれ異なる熱容量を有することを特徴とする、多値記録相変化チャンネルトランジスタ。
【請求項9】
請求項5または6に記載の多値記録相変化チャンネルトランジスタにおいて、当該多値記録相変化チャンネルトランジスタをスイッチング素子として機能させるために、前記第3の電極には、前記第1、第2の電極間に電圧を印加した場合に前記メモリ層を流れる電流を遮断する第1の電圧と遮断しない第2の電圧が選択的に印加されることを特徴とする、多値記録相変化チャンネルトランジスタ。
【請求項10】
一個のMOSトランジスタと、請求項1乃至4の何れか1項に記載の多値記録相変化メモリ素子とを含んで構成されるメモリセルを同一基板上に複数個配列したメモリセルアレイ。
【請求項11】
同一基板上に、請求項5乃至9の何れか1項に記載の相変化チャンネルトランジスタを複数個配置したことを特徴とする、メモリセルアレイ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2008−91682(P2008−91682A)
【公開日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−271743(P2006−271743)
【出願日】平成18年10月3日(2006.10.3)
【出願人】(504145364)国立大学法人群馬大学 (352)
【出願人】(396023993)株式会社半導体理工学研究センター (150)
【Fターム(参考)】