説明

多入力多出力無線LAN環境でアンテナを選択してデータを送信する方法

多入力多出力基盤の無線LANシステムにおいて、複数のアンテナから少なくとも1つのアンテナを選択して前記選択されたアンテナを介してステーションからアクセスポイントへデータフレームを送信する方法が提供される。多入力多出力基盤の無線LANシステムにおいて複数のステーションからアクセスポイントにデータを送信する方法であって、前記アクセスポイントから第一のステーションの複数の送信アンテナのそれぞれへのチャネルのチャネル状態を感知し、前記感知されたチャネル状態により、前記複数の送信アンテナの中から少なくとも1つのアンテナを選択し、前記選択された少なくとも1つのアンテナを介して前記第一のステーションから前記アクセスポイントにデータフレームを送信すること、を含むことを特徴とするデータ送信方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多入力多出力(MIMO(マイモ):Multiple−Input_Multiple−Output)基盤の無線LANシステム(WLAN)に関し、より詳細には、複数のアンテナの中から少なくとも1つ以上のアンテナを選択してデータフレームを送信する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
無線LAN(WLAN:wireless_local_area_network)は、ケーブルを使用せずに無線で近距離通信網を構築する技術である。無線LANは、有線LAN特有の容易性と拡張性をそのまま維持しながらも、LNAの管理及び維持費用増加を防ぎ、ユーザにより便利なネットワーク接続環境を提供できるという特徴がある。
【0003】
最近、PDA(portable_digital_assistance)、PMP(portable_media_player)、タブレットPC(tablet_personal_computer)のような多様な種類の携帯用端末機がその使用範囲を拡大しており、このような携帯用端末機を用いたネットワーク接続機能に対するユーザの需要が増加するに伴い、無線LANは魅力的な選択肢となっている。
【0004】
無線LANに関する代表的な標準としては、電気電子技術者協会(IEEE:Institute_of_Electrical_and_Electronics_Engineers)802.11Wi−Fi規格がある。IEEE802.11標準は、1997年に始めてリリース(release)されて以来、11b、11a、11gなどの改正を経た後、より高いパフォーマンスを支援するために、現在は11nバージョンの標準化作業が進められている。
【0005】
活発に標準化作業が進められているIEEE802.11nは、物理層(physical_layer)における高いデータ送信率を支援するために、多入力多出力(以下、「MIMO」とする)方式のシステム構成を採択している。MIMOとは、送信端が複数の送信アンテナを介して複数の経路でデータを送信し、受信端も複数のアンテナを介してそれぞれの経路から受信した信号を用いてデータを検出することにより、データ送信率を向上させ、多重経路環境における干渉を取り除く技術である。
【0006】
したがって、IEEE802.11n無線LAN環境のステーション(STA:station)とアクセスポイント(AP:access_point)はそれぞれ複数のアンテナを備え、このような構成により、既存のバージョンに比べて物理層においてより向上したデータ送信率を支援できるようになった。
【0007】
大韓民国特許出願第10−2006−97537号は、MIMO基盤の無線LANシステムに関するものであり、図1は、この韓国出願で説明しているMIMO基盤の無線LANシステムの一般的な構成を簡略に示す図である。図1を参照すれば、MIMO基盤の無線LANシステムは、一般的な無線LANシステムと同様に、複数のステーション110、120と、複数のステーション110、120からデータを受信するアクセスポイント130とを含む。
【0008】
一般的な無線LANシステムとの差は、第1ステーション110、第2ステーション120がそれぞれ複数の送信アンテナ111及び112と、121及び122を備え、アクセスポイント130が複数の受信アンテナ131、132、133、134を備えるという点である。ステーション110、120は、複数の送信アンテナ111、112、121、122を介してそれぞれ異なる経路でデータを送信し、アクセスポイント130は、相違する経路を介して送信された信号を複数の受信アンテナ131、132、133、134を介してそれぞれ受信することができる。
【0009】
ところが、図1とは異なり、各ステーションでアンテナの数が2つであり、アクセスポイントでもアンテナが2つである場合を仮定してみる。このような場合、各ステーションは、2つのアンテナを用いて自身のデータを送信する。アクセスポイントでも、2つのアンテナを用いて送信された各ステーションのデータを受信する。このとき、2つのステーションが同時にデータを送信すれば、同時にアクセスポイントに到着するデータストリームは4つとなり、アクセスポイントに存在する2つの受信アンテナでは4つのストリームを区別できずにデータの衝突(コリジョン)が生じることがある。このように、一般的な無線LANシステムにおいて受信端のアンテナの数が送信端の独立的なデータストリームの数よりも少なければ、受信性能が急激に劣化するという問題が起こり得る。
【0010】
従って、本発明では、複数のアンテナに対する選択的なダイバーシティ技術を適用し、データ送信スループットを向上させることができる新たな技術を提案する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、上述した従来技術を改善するために案出されたものであって、ダイバーシティアンテナ技術を適用してデータ送信スループットを向上させることを目的とする。
【0012】
また、本発明は、データ送受信時にアンテナの数よりも少ない数のラジオ周波数(RF:Radio_Frequency)チェーンを使用して通信することにより、システム実現費用を低減させることを他の目的とする。
【0013】
さらに、本発明は、MIMOシステムのメディア・アクセス制御(MAC:Media_Access_Control)層間で生じるデータ衝突を減少することをさらに他の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上述した目的を達成し、上述した従来技術の問題点を解決するために、本発明の一実施形態によれば、複数のステーションからアクセスポイントに対してデータを送信する方法が提供される。前記データ送信方法は、各ステーションで複数の送信アンテナに対するチャネルのチャネル状態を感知し、前記感知したチャネル状態により、前記複数の送信アンテナの中から少なくとも1つの送信アンテナを選択し、前記選択された少なくとも1つの送信アンテナを介してデータフレームを前記アクセスポイントに送信することを含むことを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】多入力多出力無線LANシステムの構成を簡略に示す図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る、多入力多出力基盤の無線LANシステムにおけるステーションからアクセスポイントにデータを送信する方法を示すフローチャートである。
【図3】本発明の一実施形態に係るステーション装置の内部構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付の図面を参照しながら、本発明の一実施形態に係るデータ送受信方法を用いた多入力多出力無線LANシステムにおけるデータの送受信方法について説明する。
【0017】
本発明の一実施形態によれば、それぞれのステーションは複数の送信アンテナを備え、データをアクセスポイントに送信するために備えられたアンテナの中から少なくとも1つ以上のアンテナを選択することにより、データ衝突による性能低下を防ぐことができるようになる。
【0018】
例えば、各ステーションはアンテナの数が2つであり、アクセスポイントもアンテナが2つである場合を仮定してみよう。すなわち、各ステーションが2つのアンテナの中の1つのみを用いてデータを送信した場合を考えてみよう。各ステーションは1つのアンテナを用いて自身のデータを送信し、アクセスポイントでは2つの受信アンテナを用いて送信されたデータを受信する。仮に、2つのステーションが同時にデータを送信すれば、2つのデータストリームが同時にアクセスポイントに到着する。アクセスポイントには独立したデータストリームの数より少なくない2つのアンテナがあるため、衝突が生じてもデータストリームを復旧できるようになる。
【0019】
図2は、本発明の一実施形態に係る、多入力多出力基盤の無線LANシステムにおけるステーションからアクセスポイントにデータを送信する方法を示すフローチャートである。以下、図2を参照しながら、各ステップで実行される機能について詳述する。
【0020】
まず、動作ステップS210において、ステーションは、アクセスポイントからステーションの複数の送信アンテナまでのチャネルのチャネル状態を感知する。
【0021】
一例として、チャネル状態からチャネルのチャネル利得値(gain)を計算することができる。無線チャネルの場合、多重経路フェーディング影響により、時間または地形によってチャネル利得値が変化するという特性があり、アンテナ毎のチャネル状況は互いに独立的であるといえる。このような状況において、送受信端で各アンテナのチャネル状況を追跡(track)してアンテナ毎のチャネル状況を認知していると仮定すれば、ステーションでは特定の通信時点においてチャネル利得値が優れたアンテナを選択して通信を始動することが好ましい。
【0022】
チャネル状態を感知するためのさらに他の一例として、ステーションはアクセスポイントから受信したパイロット信号を用いてチャネル状態を感知することができる。特に、アップリンクとダウンリンクの特性が同一の、例えば時分割複信(TDD)システムのようなレシプロカル通信システムにおいては、ステーションで受信した各アンテナ用のパイロット信号を用いてアップリンクで自身のデータを送信するとき、ステーションは、受信した各アンテナ用のパイロット信号を用いてアンテナを選択できる。これは無線LAN(WLAN)システムでも同じように適用することができる。
【0023】
さらに他の一例として、アクセスポイントは、各ステーションでアンテナのチャネル状況を認知できるように、ビーコン信号(beacon_signal)を生成してステーションに送信することができる。一例として、各アンテナ用の直交または準直交するパイロット信号を生成して各ステーションに送信することもできる。
【0024】
パイロット信号の送信の一例として、各アンテナ用のパイロット信号を各ビーコン信号に挿入する方式、各アンテナ用のパイロット信号をビーコン信号ごとに変えて各ビーコン信号に挿入する方式、ビーコン信号にパイロット信号を盛り込んで周期を調節してシグナリングオーバーヘッド(singalling_overhead)を減らす方式の中の少なくとも1つ以上を用いることができる。このとき、各アンテナ用のパイロット信号は、直交符号、準直交符号、直交時間、および直交周波数などによって区別することができる。
【0025】
次に、動作ステップS220において、感知されたチャネル状態により、複数の送信アンテナの中から少なくとも1つ以上のアンテナを選択する。
【0026】
一例として、各ステーションは、送信アンテナ毎のチャネル状態を識別し、チャネル状態が最も良好なアンテナを選択してもよい。
【0027】
動作ステップS230において、ステーションは、選択されたアンテナを介してデータフレームをアクセスポイントに送信する。
【0028】
各ステーションが自身の送信アンテナの中からチャネル状況が優れている少なくとも1つ以上のアンテナを選択してその選択したアンテナを介してデータを送信したとしても、衝突が生じた場合、各アクセスポイントは独立データストリームを区別し、データを識別することができる。
【0029】
すなわち、ステーションの数が多くて衝突確率が高い場合にも、各ステーションは、順応して使用アンテナ数を調節できる
【0030】
このように、本発明の一実施形態によれば、多入力多出力(MIMO)通信システムにおいて、送信側で使用可能な多数のアンテナの中から所定の数のアンテナを選択的に使用し、選択された所定の数のアンテナを介して送信するようにすることにより、ダイバーシティ結合(diversity_combining)技術の中から選択的ダイバーシティ(selection_diversity)を実現することが可能となる。
【0031】
チャネル状態を感知してアンテナを選択するためのアンテナスキャニング(antenna scanning)のさらに他の一例として、チャネルに対する最大データ送信率を測定するステップを含むことができる。すなわち、各アンテナ用のチャネルのデータ送信率を自動的かつ反復的に変化させながら、例えば、データ送信率を上げたり下げたりしながら、各ステーションは、最大に上げることができるデータ送信率を測定し、最も高いデータ送信率を有する所定の数のアンテナを選択することができる。アンテナスキャニング処理を実行するか否かは対応するステーションに関連するチャネル状態及び送受信トラフィックがあるか否かに基づいて決定される。さらに、アンテナスキャニング処理が実行される時に、周期的に最大データ送信率を測定することもできる。チャネル状態が時間の経過につれて周期的測定に基づいて変化するなら、チャネル状態に基づいて異なる数のアンテナを選択することによって、性能を改善することが可能である。
【0032】
本発明に係る他の実施形態によれば、ステーションによる挿入動作においては、選択された1つ又は複数のアンテナに対するアンテナ選択情報をデータフレームのヘッダー情報に挿入してアクセスポイントに送信するステップをさらに含んでもよい。すなわち、各ステーションが1つ又は複数のアンテナを選択した場合に、この選択情報をヘッダー情報に挿入して送信することにより、アクセスポイントがアンテナ選択に対する情報を受信することができる。
【0033】
このように、本発明の実施形態によれば、スイッチングによるアンテナ選択により、OFDM変調部(Orthogonal_Frequency_Division_Multiplexing_modulator:直交波周波数分割多重変調部)、デジタルプロセッシング部、レシーバなどのRFチェーンを、適切に共有でき、これによって、ハードウェア装置の構成を単純化することで製造単価を低減させることができる。
【0034】
図2に係る実施形態では、各ステーションは自らチャネル状態を感知してアンテナを選択するが、本発明に係るさらに他の実施形態においては、アクセスポイントが、各ステーションにおけるアンテナ選択に影響を及ぼすこともある。
【0035】
本発明のさらに他の実施形態によれば、多入力多出力基盤の無線LANシステムにおけるステーションからアクセスポイントにデータを送信する方法は、ステーションの複数の送信アンテナの中から少なくとも1つ以上の送信アンテナセットを選択するステップと、選択された1つ又は複数のアンテナを介してデータフレームをアクセスポイントに送信するステップをと含んでもよい。
【0036】
ステーションが一つ以上の送信アンテナセット(antenna_set)を選択する場合、アクセスポイントによって各ステーション用に決められた送信アンテナの数によって送信アンテナセットを選択してもよい。すなわち、アクセスポイントが各ステーションに送信するビーコン信号を用い、アクセスポイントが管掌する地域に存在する各ステーションで送信時に生成する独立的なデータストリームの最大値を調節できるようにする。ステーションでは、使用可能なアンテナの最大値が決められた後、選択された送信アンテナセットの1つ又は複数アンテナに対して時空間ブロック符号化(STBC:Space_Time_Block_Coding)、空間多重化(Spatial_Multiplexing)、ビームフォーミング(Beamforming)などの技術を用いて周波数効率を向上させることができる。
【0037】
アクセスポイントが各ステーションで用いることができるアンテナの数を決める場合、アクセスポイントとデータ通信のセッション(session)を開いたステーションの数を用いることもできる。また別に、アクセスポイントは、各ステーションで使用されるアンテナの数を決定するために、複数のステーション間のデータフレーム衝突確率を用い、またはフレームエラー率FER(Frame_Error_Rate)を用いてもよい。
【0038】
上述して説明したように、本発明の一実施形態においては、各ステーションでアンテナのチャネル状況を認知できるように、アクセスポイントはビーコン信号を生成してステーションに送信することができる。一例として、アクセスポイントに送信するビーコンの中で特定のビーコン(予め決められたビーコン)でのみパイロット信号を挿入することができる。このようなパイロット信号は、ステーションで使用可能なアンテナの数をアクセスポイントが決定するときにも用いることができる。
【0039】
パイロット信号は、それ自体がシステムオーバーヘッドとなることがあるため、少しだけ挿入するほど性能側面において有利となる。従って、アクセスポイントは、送信するビーコンの中に挿入するパイロット信号の数を、各ステーションの数、各ステーションの移動速度、トラフィックロードあるいはこれらの要素の組み合わせに基づいて調節してもよい。例えば、各ユーザの動きがわずかで、ユーザの数も少ない場合には、一度決められたチャネル状況は顕著に変化しなくなる。しかしながら、移動速度やユーザの数が増加する場合、チャネル状況は著しく変化する。これによって、システムオーバーヘッドの抑制のために、チャネル状況を考慮して順応してパイロット信号を挿入することができる。
【0040】
本発明のさらに他の実施形態によれば、各ステーションから受信した要求(request)に基づいてビーコン信号に挿入するパイロット信号の数を決定してもよい。本発明に係るさらに他の実施形態によれば、送信アンテナセットを選択するステップにおいて、各ステーションは無作為に自身の複数の送信アンテナの中から所定の数のアンテナセットを選択してもよい。
【0041】
ビーコンによって使用可能なアンテナの数が決まれば、各ステーションはその数に対応するアンテナセットを全アンテナの中から選択しなければならないが、その選択の基準例を以下に記載する。
【0042】
第一に、シャノン(Shannon)のチャネル容量(capactity)に関する数式を用いて選択するアンテナセットの容量を計算し、その最大値に対応するアンテナセットを選択してもよい。
【0043】
送受信アンテナがそれぞれ1つである場合、チャネル容量の数式は次のとおりとなる。
【数1】

【0044】
ここで、Bはシステムの全体帯域幅、SNRは信号対雑音比を意味する。多数の送信アンテナ及び受信アンテナが存在するMIMO環境におけるチャネル容量の数式は、次のとおりとなる。
【数2】

【0045】
ここで、Iは恒等行列を意味し、HはMIMOチャネルを意味し、Kは送信端で各アンテナに割り当てられた電力の共分散行列を意味する。
【0046】
さらにまた、各アンテナ用の信号対干渉雑音比(SINR:Signal−to−Interference_and_Noise_Ratio)の最大値を有するアンテナセットを選択することができる。
【0047】
IEEE802.11標準では、直交周波数分割多重(OFDM)方式を適用した物理層を定義している。多重経路チャネルにおけるゆがみを補正できる変調方式である直交周波数分割多重(OFDM:Orthogonal_Frequency_Division_Multiplexing)方式または直交周波数分割多元接続(OFDMA:Orthogonal_Frequency_Division_Multiplexing_Access)方式は、単一搬送波を用いた送信方式とは異なり、互いに直交性を有する多数の副搬送波を用いてデータを送信する。すなわち、OFDM方式は、データ変調に用いられる副搬送波の数だけ直並列変換を実行し、変換した各データを対応する副搬送波を用いて変調させることにより、データ送信速度をそのまま維持させながら各副搬送波におけるシンボル周期を副搬送波の数だけ長くすることができる。OFDM方式は、互いに直交性を有する副搬送波を用いるため、従来の周波数分割多重(FDM:Frequency_Division_Multiplexing)方式に比べて帯域幅効率が良く、単一搬送波変調方式に比べて符号間干渉(ISI:Inter−Symbol_Interference)を低減し又は最小化できる。
【0048】
ここで、OFDMを物理層として用いる場合のダイバーシティアンテナに対する本発明の一実施形態について述べる。
【0049】
本発明の一実施形態によれば、MIMO基盤の無線LANシステムは、複数の受信アンテナを備えたアクセスポイントと、複数の送信アンテナを介してアクセスポイントにデータを送信する複数のステーションとを含んでもよい。
【0050】
無線LANシステムは、OFDMを物理層として用いてもよい。各ステーションはそれぞれのサブバンド用のアンテナを選択して選択したアンテナを介してデータフレームをアクセスポイントに送信してもよい。
【0051】
すなわち、複数のアンテナの中から所定の数のアンテナを決める場合、各サブキャリア用または隣接するサブキャリアのセットに対応する各サブバンド用のアンテナを選択することができる。すなわち、特定のサブバンド用にアンテナを変更してデータを送信することができる。サブバンド用に選択されたアンテナを介して、STBC、空間多重化、ビームフォーミングなどの送信技術に従ってデータを送信できる。
【0052】
すべてのサブキャリアのチャネル利得値の平均値を基準としてアンテナを選択することもできるが、周波数選択性フェーディング環境下では各サブバンド用又は各サブキャリア用にチャネル状況が著しく変化するため、各サブバンド用にアンテナを選択すれば追加的な利得が得られる効果を得ることができる。
【0053】
また、各ステーションは、サブバンドのチャネル利得値の平均値を基準としてアンテナを選択することもできる。すべてのサブキャリアのチャネル利得値の平均値を基準としてアンテナを選択し、全体バンドに渡ってそのアンテナを用いることもできる。さらに、各ステーションは、各サブバンド用の使用可能な数のアンテナを無作為に選択することもできる。
【0054】
本発明のさらに他の実施形態によれば、各ステーションが各サブバンド用又はサブキャリア用のチャネル状況を推定できるように、アクセスポイントは、ビーコン信号にパイロット信号を挿入することができる。パイロット信号は、各送信アンテナに対して直交または準直交しなければならないが、他のステーションから同時に送信したチャネル推定用パイロット信号とも直交または準直交しなければならない。こうすることにより、アクセスポイントでチャネル推定が正確になり、MIMO受信機が動作可能となる。
【0055】
また、ステーションによってサブバンド用に選択されたアンテナのアクセスポイントを知らせるために、所定の信号方式を用いることができる。一例として、フレームヘッダーを用いてインデックスを追加する方式がある。ただし、各サブバンド用に用いられるアンテナが異なるため、インデックスがサブバンドの数だけ必要となる。このとき、各ステーションは、自身のすべてのアンテナに対するパイロット信号のアクセスポイントを知らせる。従って、データ送信には選択された少数のアンテナを用いるにもかかわらず、全てのアンテナの数と同じ数のチャネル推定用のパイロット信号を送信する必要がある。
【0056】
図3は、本発明の一実施形態に係る多入力多出力基盤の無線LANシステムのためのステーション装置300の内部構成を示すブロック図である。
【0057】
ステーション装置300は、チャネル状態感知部310と、アンテナ選択部320と、データフレーム送信部330とを含んでもよい。以下、各コンポーネントについて詳述する。
【0058】
チャネル状態感知部310は、各ステーションの複数の送信アンテナのそれぞれに対するアクセスポイントからチャネルのチャネル状態を感知する。一例として、チャネル状態感知部310は、チャネル利得値を計算し、またはデータ送信率を測定することができる。さらに、チャネル状態感知部310は、アクセスポイント装置から受信したパイロット信号を用いてチャネル状態を感知することもできる。
【0059】
アンテナ選択部320は、感知されたチャネル状態に基づき、複数の送信アンテナの中から少なくとも1つ以上のアンテナを選択する。また、アンテナ選択部320は、アクセスポイントによって予め決められたアンテナの数に基づいてアンテナを選択することができる。さらに、アンテナの数を決定する場合、アンテナ選択部320は、アクセスポイントとデータ通信セッションを開いたステーションの数、または複数のステーション間のデータ衝突確率を使用することもできる。
【0060】
データフレーム送信部330は、選択された一つ又は複数のアンテナを介してデータフレームをアクセスポイントに送信することができる。
【0061】
以上、ステーション装置の構成について図3を参照しながら説明した。本ステーション装置300には、図2を参照しながら多様な実施形態を用いて詳述した内容をそのまま適用することができるため、これ以上の詳細な説明は省略する。
【0062】
本発明の一実施形態に係るデータ送信方法は、ダイバーシティアンテナ技術に適用することでデータ処理量を改善することができる。
【0063】
また、本発明の一実施形態によれば、RFチェーンのハードウェア構造を単純化することにより、システム実現費用を低減できるようになる。
【0064】
さらに、本発明の一実施形態によれば、MIMOシステムのメディア・アクセス制御(MAC)層間で生じるデータ衝突を減少できるようになる。
【0065】
上述したように、本発明のいくつかの実施形態を参照して説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。該当する技術分野において熟練した当業者にとっては、特許請求の範囲に記載された本発明の思想および領域から逸脱しない範囲内で、本発明を多様に修正および変更させることができることを理解することができるであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多入力多出力基盤の無線LANシステムにおいて複数のステーションからアクセスポイントにデータを送信する方法であって、
前記アクセスポイントから第一のステーションの複数の送信アンテナそれぞれへのチャネルのチャネル状態を感知し、
前記感知されたチャネル状態により、前記複数の送信アンテナの中から少なくとも1つのアンテナを選択し、
前記選択された少なくとも1つのアンテナを介して前記第一のステーションから前記アクセスポイントにデータフレームを送信すること、
を含むことを特徴とするデータ送信方法。
【請求項2】
前記選択された少なくとも1つの送信アンテナに関するアンテナ選択情報を前記データフレームのヘッダー情報に挿入すること、
をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載のデータ送信方法。
【請求項3】
前記複数の送信アンテナそれぞれへのチャネルのチャネル状態を感知することは、前記チャネルのチャネル利得値を計算することを含むことを特徴とする請求項1に記載のデータ送信方法。
【請求項4】
前記複数の送信アンテナそれぞれへのチャネルのチャネル状態を感知することは、前記アクセスポイントから受信されたパイロット信号を用いて前記チャネル状態を感知することを特徴とする請求項1に記載のデータ送信方法。
【請求項5】
前記複数の送信アンテナそれぞれへのチャネルのチャネル状態を感知することは、前記チャネルに対する最大データ送信率を測定することを含むことを特徴とする請求項1に記載のデータ送信方法。
【請求項6】
前記最大データ送信率を測定することは、前記ステーションが前記チャネルに対するデータ送信率を繰り返し変化させながら測定することを特徴とする請求項5に記載のデータ送信方法。
【請求項7】
前記最大データ送信率は、周期的に測定されることを特徴とする請求項5に記載のデータ送信方法。
【請求項8】
多入力多出力基盤の無線LANシステムにおいて複数のステーションからアクセスポイントにデータを送信する方法であって、
第一のステーションの複数の送信アンテナの中から少なくとも1つの送信アンテナセットを選択し、
前記選択された少なくとも1つのアンテナを介して前記第一のステーションから前記アクセスポイントにデータフレームを送信すること、
を含むことを特徴とするデータ送信方法。
【請求項9】
前記少なくとも1つの送信アンテナセットは、前記アクセスポイントによって前記複数のステーション別に決められた送信アンテナの数によって選択されることを特徴とする請求項8に記載のデータ送信方法。
【請求項10】
前記送信アンテナの数は、前記アクセスポイントとデータ通信セッションを開いたステーションの数によって決められることを特徴とする請求項9に記載のデータ送信方法。
【請求項11】
前記送信アンテナの数は、複数のステーション間のデータ衝突確率によって決められることを特徴とする請求項9に記載のデータ送信方法。
【請求項12】
前記送信アンテナの数は、フレームエラー率によって決められることを特徴とする請求項9に記載のデータ送信方法。
【請求項13】
前記少なくとも1つの送信アンテナセットは、前記複数の送信アンテナの最大チャネル容量を有することを特徴とする請求項8に記載のデータ送信方法。
【請求項14】
前記少なくとも1つの送信アンテナセットは、無作為に選択されることを特徴とする請求項8に記載のデータ送信方法。
【請求項15】
前記データ送信方法は、
パイロット信号が挿入されたビーコン信号を生成し、
前記生成されたビーコン信号を前記アクセスポイントから前記複数のステーションのそれぞれに送信すること、
をさらに含み、
前記アクセスポイントは、各ステーションの数、移動速度、およびトラフィックロードの少なくとも1つによって前記ビーコン信号に挿入される前記パイロット信号の数を調節することを特徴とする請求項8に記載のデータ送信方法。
【請求項16】
多入力多出力基盤の無線LANシステムであって、
複数の受信アンテナを備えたアクセスポイントと、
前記アクセスポイントにデータを送信する複数の送信アンテナを備えた複数のステーションと、
を含み、
前記多入力多出力基盤の無線LANシステムは、直交周波数分割多重方式を物理層として用い、
前記各ステーションは、サブキャリアの集合であるサブバンド別に少なくとも1つの送信アンテナを選択してデータフレームを前記アクセスポイントに送信することを特徴とする多入力多出力基盤の無線LANシステム。
【請求項17】
前記アクセスポイントは、パイロット信号を前記各ステーションに送信し、前記各ステーションは各サブキャリア別にチャネル状況を推定することを特徴とする請求項16に記載の多入力多出力基盤の無線LANシステム。
【請求項18】
前記各ステーションは、前記サブバンドのチャネル利得値の平均値によって少なくとも1つの送信アンテナを選択することを特徴とする請求項16に記載の多入力多出力基盤の無線LANシステム。
【請求項19】
多入力多出力基盤の無線LANシステムのためのステーション装置であって、
アクセスポイントからステーションの複数の送信アンテナそれぞれへのチャネルのチャネル状態を感知するチャネル状態感知部と、
前記感知されたチャネル状態により、前記複数の送信アンテナの中から少なくとも1つの送信アンテナを選択するアンテナ選択部と、
前記選択された少なくとも1つの送信アンテナを介してデータフレームを前記アクセスポイントに送信するデータフレーム送信部と、
を備えることを特徴とするステーション装置

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2010−527195(P2010−527195A)
【公表日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−507330(P2010−507330)
【出願日】平成20年5月9日(2008.5.9)
【国際出願番号】PCT/KR2008/002606
【国際公開番号】WO2008/140216
【国際公開日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【出願人】(505463102)パンテック カンパニー リミテッド (89)
【Fターム(参考)】