説明

多列スティックタイプ自動包装機の個別噛み込み検知装置

【課題】多列分の横シールの内、実際に内容物噛み込み現象が発生している列分のみを検知して、これを排除することができる個別噛み込み検知装置を備えた多列スティックタイプ自動包装機を提供する。
【解決手段】個別噛み込み検知装置は、カッター装置真上の各列毎に配置構成され、且つ各列毎に単独に動作し、横シール機構によって順次下方に搬送された封止状包装袋の横シール部分を挟み込むことにより、この横シール部分の厚さを測定する。そして、この測定された横シール部分の厚さが予め設定されたしきい値を超えた場合に、内容物噛み込みが発生している不良品と判定して、カッター装置真下の各列毎に配置構成された個別排出装置によって、不良品の判定が行われた個々の包装体を不良品排出に導くようにしている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装フィルムを袋状にするためのヒートシール動作において、シール部分の内容物噛み込み不良を自動的に検出する装置に関し、特に多列スティックタイプ自動包装機の内容物噛み込み検知装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、一度に複数本のスティックタイプの包装体を連続的にシール成形できるように構成した多列スティックタイプ自動包装機が存在している。これは多列式に構成された各充填パイプの周囲に、この多列本数に切断された包装フィルムの各々を巻装して円筒状にフォーミングした後、この巻装された包装フィルムの両端合わせ目に対して縦ヒートシーラによって縦シールを施して円筒状包装フィルムにし、次いで、この円筒状包装フィルムの規定の位置に対して横ヒートシーラによって横シールを施して包装袋状にしている。
【0003】
そして、この多列スティックタイプ自動包装機は、出来上がった包装袋内に充填パイプを経由して内容物(粉末原料)を投入し、その後、この包装袋の充填口を横シールして封止し、この封止された包装袋の横シール中央付近に対してカッター装置を用いて切り離し、最終的に個別包装形態のスティック状包装体が多列式に、且つ連続的にシール成形される仕組みになっている。このような多列スティックタイプ自動包装機の一例が、特許文献1に開示されている。
【0004】
上記のような従来の多列スティックタイプ自動包装機において、粉舞い上がり現象が発生し易い粉末原料を包装袋内に充填する場合は、横シール不良を検出する噛み込み検知装置が設置されているケースが多い。この従来の噛み込み検知装置は、例えば特許文献2に記載されているように、内容物が充填された包装袋に対してヒートシールする横ヒートシールバーに渦電流変位センサーを取り付け、横ヒートシールバーがシール動作を行うと同時に、この渦電流変位センサーにより包装袋における横シール部分の厚さを測定している。そして、この横シール部分の厚さが予め設定された数値を越えた場合に内容物の噛み込みが発生したと認定し、これをもってシール不良と判定している。
【特許文献1】特開平9−272511号公報
【特許文献2】特開2003−112714号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この種の噛み込み検知装置は、通常挟み合う二つの横ヒートシールバーに対して、渦電流変位センサーと金属部材をお互いに対向するように取り付けて構成されている。
【0006】
また、この渦電流変位センサーと金属部材による噛み込み検知動作は、包装フィルムを挟み込んでヒートシールを施す際に横ヒートシールバー間の距離(隙間)を計測し、噛み込み現象が発生した時の距離測定値から通常の噛み込み現象が発生していない時の距離測定値を差し引いた値、即ち噛み込み現象発生に伴う距離測定値の増加分を検知して判定している。
【0007】
そして、上記のような多列スティックタイプ自動包装機における噛み込み検知装置は、内容物の噛み込み発生に伴う計測距離値の増加分を多列分まとめて一括検出することをもって、噛み込み発生と判定としてきた。
【0008】
しかしながら、このような内容物の噛み込み検出動作は、多列分まとめて一括検出するため、多列分の内どこか一列分の横ヒートシールバーにおいて内容物の噛み込みが検出されると、残りの噛み込みが発生していない列も含めて多列分全体が内容物噛み込みと判定されることになる。
【0009】
このため、噛み込みが発生していない列分の良品の包装袋が噛み込み不良品として廃棄されることになり、製造された包装袋製品の不良率上昇を引き起こすと共に、良品包装袋の廃棄に伴う内容物や包装フィルムの無駄が発生する。
【0010】
本発明は、上記従来の噛み込み検知装置の問題点に鑑み創作されたもので、このような横ヒートシールバーに取り付けられた一括検出タイプの噛み込み検知装置における不良率の改善並びに良品包装袋の廃棄に伴う無駄を除去して、多列分の内、実際に内容物噛み込み現象が発生している列分のみを検知して、これを排除することができる個別噛み込み検知装置を備えた多列スティックタイプ自動包装機の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の目的を達成するために、本発明の請求項1に係る多列スティックタイプ自動包装機は、幅の広い原反フィルムを複数条の包装フィルムにスリットした後、この複数条の包装フィルムを筒状に成形するフォーミング機構と、この成形された包装フィルムに対して縦シールして筒状の包装フィルムにする縦シール機構と、この筒状の包装フィルムに対して横シールして包装袋状にすると共にこの包装袋を下方に搬送する横シール機構と、この包装袋内に内容物(粉末原料)を充填する充填機構と、この充填された包装袋の充填口を横シールして封止すると共にこの封止された包装袋を下方に搬送する横シール機構と、この搬送された封止状包装袋の横シール部分における内容物噛み込み現象を調べて良品若しくは不良品の判定を行う個別噛み込み検知装置と、この連続した封止状包装袋の横シール部分を切り離して個々の包装体にするカッター装置と、この良品若しくは不良品の判定が行われた個々の包装体を良品排出若しくは不良品排出に切り替える個別排出装置を備えた多列スティックタイプ自動包装機であって、前記個別噛み込み検知装置は、カッター装置真上の各列毎に配置構成され、且つ各列毎に単独に動作し、横シール機構によって順次下方に搬送された封止状包装袋の横シール部分を挟み込むことにより、この横シール部分の厚さを測定し、この測定された横シール部分の厚さが予め設定されたしきい値以内の場合に、内容物噛み込みが発生していない良品と判定し、この測定された横シール部分の厚さが予め設定されたしきい値を超えた場合に、内容物噛み込みが発生している不良品と判定し、前記個別排出装置は、カッター装置真下の各列毎に配置構成され、且つ各列毎に単独に動作し、個別噛み込み検知装置によって良品の判定が行われた個々の包装体を良品排出に導き、個別噛み込み検知装置によって不良品の判定が行われた個々の包装体を不良品排出に導くようにしている。
【0012】
本発明の請求項1に係る多列スティックタイプ自動包装機によれば、多列分の内、実際に内容物噛み込み現象が発生している列分のみを検知して、これを不良品として排除することができる。
【0013】
また、本発明の請求項2に係る個別噛み込み検知装置は、カッター装置の配置位置が変化した場合、このカッター装置の配置位置より製造指示された包装袋の縦寸法サイズ一個分だけ上方に離れた位置に連動制御される。
【0014】
本発明の請求項2に係る噛み込み検知装置によれば、多列スティックタイプ自動包装機によって製造された封止状包装袋における横シール部分の厚さ測定を確実に、且つ正確に実施することができる。
【発明の効果】
【0015】
以上説明したように、本発明に係る多列スティックタイプ自動包装機の個別噛み込み検知装置によれば、内容物噛み込みが発生した列分だけを検出並びに排除することによって噛み込み不良率の改善並びに良品包装袋の廃棄に伴う無駄を除去できるという優れた効果を奏し得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明に係る噛み込み検知装置の実施の形態を図面と共に説明する。まず、図1及び図2を用いて、本発明の多列スティックタイプ自動包装機の全体構成について説明する。図1は本発明に係る多列スティックタイプ自動包装機を示す正面図であり、図2は本発明に係る多列スティックタイプ自動包装機を示す側面図である。これらの図面において各々符号1で全体的に示した多列スティックタイプ自動包装機は、一度に複数本(多列本数)のスティック包装体を連続的にシール成形できるように構成されている。
【0017】
なお、本発明においては5列構成のスティックタイプ自動包装機を用いて説明している。
【0018】
図1と図2に示すように、2は一部固まった内容物(粉末原料)を解す直線フィーダー、3は解された内容物を収容するホッパー、4はホッパー3から供給される内容物を計量した後中間シュート5に落下させる計量供給盤、5は計量供給盤4から落下してきた内容物を充填パイプ5に送り込む中間シュート、6はスリットされて幅が狭くなった複数条の包装フィルムF’を略円筒状に巻き付けると共に内容物の投入通路となる充填パイプ、7は充填パイプ6に巻き付けられた包装フィルムF’に対して縦シールを施す縦シール機構、8は縦シール機構の下に設けた横シール機構、9は出来上がった連続した包装袋を切り離すカッター装置、10は切り離された個別包装体を受け取るすべり台、11は操作パネルボックス、12は縦シール及び横シールが施されて袋形態になった多列包装袋の横シール部分に対して、各々の列毎に内容物噛み込み発生を検出する個別噛み込み検知装置、13は噛み込み検知後の連続した包装袋を支える袋ガイドである。
【0019】
図2に示すように、FHは幅の広い包装フィルム(包材)を巻回した状態にした原反ロール、FはこのロールFHから引き出された幅の広い包装フィルム、FXはこの幅の広いフィルムFを上記充填パイプ5の列数に合わせて幅の狭い複数条の包装フィルムF’にスリットするスリッター装置である。そして、上記横シール装置8の上下運動に従って順次下方に引き出された各包装フィルムF’は充填パイプ5に巻き付けられることによって略円筒形状にフォーミングされる仕組みになっている。
【0020】
次に、多列スティックタイプ自動包装機1は、縦シール機構7の縦ヒートシーラによって略円筒形状にフォーミングされて重ね合わされた各包装フィルムF’の両端同士をヒートシールして円筒状にシール成形する。更に、この略円筒形状になった包装フィルムF’に対して横シール機構8の横ヒートシーラによって挟み込んで包装袋状とした後、上記充填パイプ6を通してこの包装袋内部に内容物(粉末原料)を投入する。同時に、横シール機構8による挟持状態のまま1包装袋分下方に移動させて包装フィルムF’の引き出しを行う。
【0021】
その後、この横シール機構8を1包装袋分上方に復帰作動させて再度横シールを行うことによって内容物(粉末原料)が入った袋状の包装フィルムの充填口を封止して密封し、多列式にスティック包装体をシール成形するものである。
そして、上記の動作を連続して繰り返し行いつつ、出来上がった包装袋の横シール部分に対して個別噛み込み検知装置12にて内容物の噛み込みが発生していないかどうかを調べ、その後、各横シールの中央部分をカッター装置9で上下に切断することにより、一度に多数本のスティックタイプ個別包装体を連続的に生産できるように構成されている。
【0022】
なお、図1と同様に、2は直線フィーダー、3はホッパー、4は計量供給盤、5は中間シュート、10はすべり台、13は袋ガイドである。
【0023】
このような多列スティックタイプ自動包装機1の横ヒートシール動作において、正常にヒートシールを施すことが出来たかどうか、即ち内容物噛み込み現象が発生してシール不良となっていないことを調べるために横ヒートシールバーの直下に個別噛み込み検知装置12が取り付けられている。
【0024】
図3は、本発明に係る個別噛み込み検知装置12、袋ガイド13、カッター装置9、すべり台10等を拡大して抜粋した正面図であり、図4は、本発明に係る個別噛み込み検知装置12、袋ガイド13、カッター装置9、すべり台10等を拡大して抜粋した側面図である。図3と図4に示すように、個別噛み込み検知装置12は多列分だけ並列配置されており、本発明においては5列構成で説明している。
【0025】
個別噛み込み検知装置12の下には、噛み込み検知が終了した連続した包装袋を支える袋ガイド13が5列構成で並列配置されている。
【0026】
袋ガイド13の下には、カッター装置9が配置されており、このカッター装置9は、カッター上刃20と、カッター下刃21と、カッター駆動部材22とで構成されている。
【0027】
なお、このカッター装置9の動作は、通常の多列スティックタイプ自動包装機に用いられているカッター装置と同等の動きをするものであり、横シール装置8の上下運動に従って順次下方に送り込まれる連続包装袋の横シール中央付近に対して、カッター上刃20とカッター下刃21を互いに挟み込んで切断動作を行い個別包装袋にする装置である。そして、この切断動作を駆動するのがカッター駆動部材22であり、カッター装置本体に固定されたカッター上刃20に対してカッター下刃21を正面視前後に動かして連続包装袋の横シール中央付近を切り離している。
【0028】
カッター装置9の下には、切り離された個別包装袋を多列スティックタイプ自動包装機の外に排出するすべり台10が5列並列構成で配置されており、このすべり台10の一列分の構成は、シャッター30と、個別すべり台31と、シャッター30を開閉するエアーシリンダ32となっている。
【0029】
このすべり台10の動作は、個別噛み込み検知装置12の検知結果と連動してエアーシリンダ32が駆動されることによって成り立っている。即ち、内容物噛み込みが検知されない状態では、エアーシリンダ32が引き込まれるように駆動されてシャッター30は、図4に示すように閉じた状態になり、カッター装置によって切り離された良品個別包装袋を個別すべり台31の方に送り込むようにして良品排出している。
【0030】
一方、内容物噛み込みが検知された状態では、図5において詳細に説明するがエアーシリンダ32が押し出されるように駆動されてシャッター30は、開いた状態になり、カッター装置によって切り離された不良品個別包装袋を直下のベルトコンベアの方に送り込むようにして不良品排出している。
【0031】
また、多列スティックタイプ自動包装機に製造指示された包装袋の縦寸法サイズに応じてこの自動包装機は、横シール装置8の上下運動距離並びにカッター装置9の配置等を適宜最適位置になるように制御しており、個別噛み込み検知装置12、袋ガイド13、カッター装置9、すべり台10と包装袋FS1、FS2、FS3との位置関係は図4に示すように制御されている。
【0032】
即ち、カッター装置9の配置位置が変動制御された場合は、これに連動して個別噛み込み検知装置12も図4に示す包装袋FS2とFS3の間の横シール部分に正しく位置するように変動制御され、個別噛み込み検知装置12とカッター装置9の間の距離は、多列スティックタイプ自動包装機に製造指示された包装袋の縦寸法サイズ一袋分になる。そして、この個別噛み込み検知装置12とカッター装置9の間の距離調節しているのが図3に示す個別噛み込み検知装置上下位置調節機構14である。
【0033】
なお、この個別噛み込み検知装置上下位置調節機構14は、多列スティックタイプ自動包装機本体によって自動的に上下位置が調節される機構を採用するケースや、手動によって上下位置を調節する機構を採用するケースが考えられ、多列スティックタイプ自動包装機の要求仕様によって任意に選択される。
【0034】
さらに、図4に示す状態は、横シール装置8の上下運動に従って順次下方に送り込まれる包装袋FS1、FS2、FS3のボックスモーション動作における停止維持状態に当たり、この包装袋FS1、FS2、FS3が停止維持状態になったら、多列スティックタイプ自動包装機は、個別噛み込み検知装置12とカッター装置9を動作させ、内容物噛み込み検知動作並びに包装袋切り離し動作を指示している。
【0035】
図5は、個別噛み込み検知装置12によって内容物噛み込みが検知された状態を表した動作説明図である。図5に示すように、本発明に係る個別噛み込み検知装置12とカッター装置9とすべり台10を含む不良品排出動作は、下記のようになる。
【0036】
(1)多列スティックタイプ自動包装機は、個別噛み込み検知装置12によって内容物噛み込み部分FZが検知されると、横シール装置8の上下運動に従って順次下方に送り込まれる連続した包装袋の一個分だけ動作を進めて自動包装機内に残っている良品個別包装袋を個別すべり台31の方に送り込むようにして良品排出する。同時に、多列スティックタイプ自動包装機は、すべり台10のエアーシリンダ32を図5に示すように押し出すように駆動する。
【0037】
(2)この結果、エアーシリンダ32の押し出し動作によって、すべり台10のシャッター30は、図5に示すように開いた状態になる。この間に、内容物噛み込み部分FZが検知された不良品個別包装袋FS1’は、すべり台10の直下に配置されたベルトコンベア上に位置する。
【0038】
(3)シャッター30が開いた状態のまま、多列スティックタイプ自動包装機は、カッター装置9のカッター駆動部材22を駆動してカッター下刃21を正面視前後に動かし、図5に示すように内容物噛み込み部分FZを切断する。この結果、切り離された不良品個別包装袋FS1’は、すべり台10の直下に配置されたベルトコンベアに落下する。その後続けて、連続した包装袋の一個分だけ動作を進め、もう一つの不良品個別包装袋FS2’を切り離してすべり台10の直下に配置されたベルトコンベアに落下させ、合計二個の不良品排出を行う。
【0039】
(4)不良品個別包装袋FS1’と不良品個別包装袋FS2’の不良品排出が完了して個別噛み込み検知装置12による内容物噛み込み発生が検出されない状態になると、多列スティックタイプ自動包装機は、すべり台10のエアーシリンダ32を引き込むように駆動し、シャッター30を閉じて良品個別包装袋FS3’を個別すべり台31の方に送り込むようにして良品排出を行う。
【0040】
図6は、個別噛み込み検知装置12を抜粋して拡大した上面図であり、図7は、個別噛み込み検知装置12を抜粋して拡大した一部断面を含む左側面図である。図6に示すように、個別噛み込み検知装置12は、装置枠体40と、噛み込み検知動作を行うための駆動力を提供するエアーシリンダ41と、渦電流変位センサー42と、包装袋の横シール部分を前面から挟み込む前側検出バー43と、包装袋の横シール部分を後面から挟み込む後側検出バー44と、渦電流変位センサー42と相対する位置に配置されたコの字状金属部材45と、装置枠体40に回転可能に取り付けられた左側ピニオン歯車46と、装置枠体40に回転可能に取り付けられた右側ピニオン歯車47と、左側ピニオン歯車46と噛み合っている左上側ラック歯車48と、左側ピニオン歯車46と噛み合っている左下側ラック歯車49とで構成されている。
【0041】
渦電流変位センサー42は、装置枠体40の前面側切り込み内に固定されており、エアーシリンダ41のシリンダ軸先端には、後側固定部材を介して後側検出バー44が取り付けられており、同じく後側固定部材を介して左上側ラック歯車48と右上側ラック歯車(図示省略)とコの字状金属部材45が取り付けられている。
【0042】
この後側検出バー44と左上側ラック歯車48と右上側ラック歯車(図示省略)とコの字状金属部材45は、エアーシリンダ41のシリンダ軸伸縮駆動に連動して前後移動可能に構成されている。また、左上側ラック歯車48は左側ピニオン歯車46を経由してエアーシリンダ41のシリンダ軸伸縮駆動を左下側ラック歯車49に伝えており、右上側ラック歯車(図示省略)は右側ピニオン歯車47を経由してエアーシリンダ41のシリンダ軸伸縮駆動を右下側ラック歯車(図示省略)に伝えている。さらに、左下側ラック歯車49と右下側ラック歯車(図示省略)と前側検出バー43は、前側固定部材を介して一体構造体となっており、この一体構造体は、左下側ラック歯車49と右下側ラック歯車(図示省略)に伝わったエアーシリンダ41のシリンダ軸伸縮駆動によって前後移動可能に構成されている。
【0043】
なお、この図6及び図7における個別噛み込み検知装置12は、エアーシリンダ41のシリンダ軸が引き込まれて前側検出バー43と後側検出バー44の間が大きく開いており、この前側検出バー43と後側検出バー44の間に配置された連続包装袋の横シール部分に対する内容物噛み込み検知動作を行っていない状態を表している。当然、コの字状金属部材45と渦電流変位センサー42の間の距離も大きくなっているため、この状態では渦電流変位センサー42による隙間距離測定は実施していない。
【0044】
図8は、拡大した個別噛み込み検知装置12によって噛み込み検知が行われた状態を表した動作説明図である。図8に示すように、本発明に係る個別噛み込み検知装置12による噛み込み検知動作は、下記のようになる。
【0045】
(1)個別噛み込み検知装置12は、停止維持状態になった連続包装袋の横シール部分を挟み込める位置に変動制御されており、図8においては包装袋FS1と包装袋FS2の横シール部分が前側検出バー43と後側検出バー44の間に配置されている。そして、多列スティックタイプ自動包装機はエアーシリンダ41のシリンダ軸を押し出すように駆動する。この結果、後側検出バー44が前方に進み、左上側ラック歯車48が左側ピニオン歯車46を経由して左下側ラック歯車49を後方に引き込んで前側検出バー43が後方に進み、包装袋FS1と包装袋FS2の横シール部分を挟み込んでシール厚寸法になる。
【0046】
(2)この時、コの字状金属部材45は渦電流変位センサー42と近接状態になり、この隙間距離は、包装袋FS1と包装袋FS2の横シール部分のシール厚寸法に比例した値になる。
【0047】
(3)直ちに、多列スティックタイプ自動包装機は渦電流変位センサー42に対して隙間距離測定を指示し、測定した隙間距離値が、使用された包装フィルム厚等から導き出された予め設定されたしきい値を超える値であった場合は、内容物噛み込み発生と判断する。一方、測定した隙間距離値が、使用された包装フィルム厚等から導き出された予め設定されたしきい値以下であった場合は、内容物噛み込みは発生していないと判断する。
【0048】
(4)上記の動作を横シール装置8の上下運動に従って順次下方に送り込まれる連続した包装袋の横シール部分に対して順次実施することにより、多列スティックタイプ自動包装機における内容物噛み込み現象の個別検知動作が実現でき、さらに、図5等で示した不良品排出動作と組み合わせることにより、多列スティックタイプ自動包装機における内容物噛み込み現象が発生した際の不良品包装袋の個別廃棄動作が実現できる。
【0049】
即ち、上記のようなエアーシリンダとラック歯車とピニオン歯車による横シール部分の前後挟み込み駆動機構は、多列分における各列毎に配置構成するための小型化の工夫である。
【0050】
なお、本発明の実施の形態は本発明を具現化するための一例を示したものであり、特許請求の範囲における発明特定事項とそれぞれ対応関係を有するが、これに限定されるものではなく本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変形を施すことができる。
【0051】
例えば、本発明においては5列構成のスティックタイプ自動包装機を用いて説明しているが、これに限定するものではなく、包装フィルムが巻装された原反ロール幅に応じた任意の列数構成のスティックタイプ自動包装機に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明に係る多列スティックタイプ自動包装機を示す正面図である。
【図2】本発明に係る多列スティックタイプ自動包装機を示す側面図である。
【図3】本発明に係る個別噛み込み検知装置12、袋ガイド13、カッター装置9、すべり台10等を拡大して抜粋した正面図である。
【図4】本発明に係る個別噛み込み検知装置12、袋ガイド13、カッター装置9、すべり台10等を拡大して抜粋した側面図である。
【図5】個別噛み込み検知装置12によって内容物噛み込みが検知された状態を表した動作説明図である。
【図6】個別噛み込み検知装置12を抜粋して拡大した上面図である。
【図7】個別噛み込み検知装置12を抜粋して拡大した一部断面を含む左側面図である。
【図8】拡大した個別噛み込み検知装置12によって噛み込み検知が行われた状態を表した動作説明図である。
【符号の説明】
【0053】
1 多列スティックタイプ自動包装機
2 直線フィーダー
3 ホッパー
4 計量供給盤
5 中間シュート
6 充填パイプ
7 縦シール機構
8 横シール機構
9 カッター装置
10 すべり台
11 操作パネルボックス
12 個別噛み込み検知装置
13 袋ガイド
20 カッター上刃
21 カッター下刃
22 カッター駆動部材
30 シャッター
31 個別すべり台
32、41 エアーシリンダ
40 装置枠体
42 渦電流変位センサー
43、44 検出バー
45 コの字状金属部材
46、47 ピニオン歯車
48、49 ラック歯車

【特許請求の範囲】
【請求項1】
幅の広い原反フィルムを複数条の包装フィルムにスリットした後、この複数条の包装フィルムを筒状に成形するフォーミング機構と、この成形された包装フィルムに対して縦シールして筒状の包装フィルムにする縦シール機構と、この筒状の包装フィルムに対して横シールして包装袋状にすると共にこの包装袋を下方に搬送する横シール機構と、この包装袋内に内容物(粉末原料)を充填する充填機構と、この充填された包装袋の充填口を横シールして封止すると共にこの封止された包装袋を下方に搬送する横シール機構と、この搬送された封止状包装袋の横シール部分における内容物噛み込み現象を調べて良品若しくは不良品の判定を行う個別噛み込み検知装置と、この連続した封止状包装袋の横シール部分を切り離して個々の包装体にするカッター装置と、この良品若しくは不良品の判定が行われた個々の包装体を良品排出若しくは不良品排出に切り替える個別排出装置を備えた多列スティックタイプ自動包装機であって、
前記個別噛み込み検知装置は、カッター装置真上の各列毎に配置構成され、且つ各列毎に単独に動作し、横シール機構によって順次下方に搬送された封止状包装袋の横シール部分を挟み込むことにより、この横シール部分の厚さを測定し、
この測定された横シール部分の厚さが予め設定されたしきい値以内の場合に、内容物噛み込みが発生していない良品と判定し、
この測定された横シール部分の厚さが予め設定されたしきい値を超えた場合に、内容物噛み込みが発生している不良品と判定し、
前記個別排出装置は、カッター装置真下の各列毎に配置構成され、且つ各列毎に単独に動作し、
個別噛み込み検知装置によって良品の判定が行われた個々の包装体を良品排出に導き、個別噛み込み検知装置によって不良品の判定が行われた個々の包装体を不良品排出に導くことを特徴とする多列スティックタイプ自動包装機。
【請求項2】
前記個別噛み込み検知装置は、カッター装置の配置位置が変化した場合、このカッター装置の配置位置より製造指示された包装袋の縦寸法サイズ一個分だけ上方に離れた位置に連動制御されることを特徴とする請求項1に記載の多列スティックタイプ自動包装機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−111414(P2010−111414A)
【公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−285221(P2008−285221)
【出願日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【出願人】(596092595)三光機械株式会社 (102)
【Fターム(参考)】