多周波数TDMネットワークに対するメディア・アクセス制御方式
アド・ホック・ネットワークにおける要素管理を管理するためのシステムが開示されている。本システムは、TDD/FDD通信プロトコルを用いて、個々のシステム要素に時間/周波数スロットの割当てを配分する。時間/周波数割当ては、所望の通信標準とともに、ステーション間の干渉を防止するための隣接ステーションの地理的なマッピングに基づいている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、米国特許法第119条に基づいて、特許出願の発明の名称「多周波数TDMAネットワークに対するメディア・アクセス制御方式」(2009年12月4日出願)(第61/266,713号)に対する先の出願日の利益を請求するものである。なおこの文献の内容は、本明細書において参照により取り入れられている。
【背景技術】
【0002】
移動端末を含む分散ネットワークを管理する際には、遠隔端末を適切に管理して理解する必要性が、互いの干渉を防止する際の重要な因子である。その結果、遠隔端末と全体領域内でのそれらの位置とを識別するように、またある全体領域から他の全体領域へ遠隔端末が通過するときを決定するように、システムが絶えず開発されている。連邦航空局(FAA)によって管理される航空交通管制向けのシステムは、固定ベース・ステーションが航空交通をモニタして、指示を、航空機に、また航空機がある領域から次の領域へ通過するときに航空機の飛行経路内にある次のステーションに送るようなシステムである。異なる周波数で動作する第2のベース・ステーションが、次の領域を管理する場合がある。そのため、航空機のパイロットは、第2のベース・ステーションの周波数に切り換えるように指示される場合がある。または、演繹的に、次のステーションの周波数を知っている場合があり、第1のベース・ステーションのカバーレージ・エリアを離れる直前に、それに切り換える場合がある。
【0003】
しかし、FAAシステムは、FAAによってかなり調整および制御されているシステムである。なぜならば、与えられたカバーレージ・エリア内に存在するベース・ステーションおよび遠隔端末の数は限られているからである。一般的に、ほとんどの商用飛行は予め計画されているため、航空交通を扱う人およびパイロットには、ベース・ステーションおよび航空機の動作条件の一般知識がある。そのため、航空機は、他の航空機との信号干渉を受けることなく、異なる領域を通って楽々と移動する場合がある。航空交通管制システムの要素間のこのような音声プロトコルは、これらの通信チャネル上での低帯域幅要求を満たしている。しかしこのプロトコルは、高帯域幅機械制御のメッセージング・システムに対して実施されると、極めて無駄なものとなる。
【0004】
国有鉄道通信ネットワークの場合、極めてより長期間の間に発展しているが、一般的に、ネットワークを管理するかまたは新しい機器の配置を制御する中央当局がない。鉄道網内の要素の数は、航空交通管制システムの要素数よりも著しく多い。加えて、転送すべきデータ量と、鉄道網要素間でのデータ転送の自律性とから、ネットワークを制御する人間コミュニケーションをもっと制限することが要求されている。
【0005】
たとえば、鉄道網システムには、踏切および鉄橋の動作をモニタおよび/または制御する複数の沿道の送信機/受信機とともに、有限距離によって分離され、指定領域内の沿道の送信機/受信機をモニタおよび制御する複数のベース・ステーションが含まれている場合がある。沿道の送信機/受信機は、対応するベース・ステーションと無線通信している場合があり、ベース・ステーションは互いに無線および/または有線通信している場合がある。
【0006】
加えて、複数の列車(固定または移動の遠隔端末に相当する)が、ベース・ステーション制御領域に入って離れる場合があり、また1または複数の沿道ステーションによって検出される場合がある。沿道ステーションは、検出した遠隔端末の位置に関する情報を、ベース・ステーションに送って管理を図る場合がある。たとえば、ベース・ステーションは、第1の沿道ステーションから情報を受信した後、次の沿道ステーションの既知の距離内への遠隔端末の到着を予測し、次の沿道ステーションに情報を送って、たとえば遮断機または照明順序を制御する場合がある。次の沿道ステーションはさらに、遠隔端末が接近しているかまたは沿道ステーションを完全に通過したという情報を送る場合がある。
【0007】
適切に動作するように、ネットワーク内の装置を同期させて、干渉および/またはデータ衝突を回避しなければならない。なぜならば、沿道ステーションの制御にエラーが生じると著しい損傷が発生する場合があるからである。
【0008】
しかし、たとえば、新しい機器が列車システム内に配置されることがあるため、新しい機器(装置)と以前に配置されたすべての機器との間に適合性があるか否かを考慮せずに、新しい機器がネットワークに加えられる。その結果、遠隔端末に取り付けた装置が入り得る領域において、装置は、沿道ステーションおよび/または領域を統制する受信ベース・ステーションとの間に適合性がないという可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、鉄道用途での膨大な数のチャネル・ユーザおよび要求されるメッセージング・スループットのために、鉄道通信システムにおける異なる装置間の通信管理を可能にするシステムが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本明細書で説明するように、本発明の実施形態によって、当該技術分野で知られる前述または他の不利点の1または複数が打開される。
【0011】
本発明の一態様は、国有鉄道網における周波数/時間スロット通信配分を決定する方法に関する。
【0012】
本発明の別の態様によって、ベース・ステーション周波数/時間スロット配分を、協同ベース・ステーションの周波数/時間スロット配分を考慮して決定することが提供される。
【0013】
本発明の別の態様においては、周波数/時間スロット配分を考慮した協同ベース・ステーションの決定方法が開示される。
【0014】
本発明のこれらおよび他の態様および優位性は、以下の詳細な説明を添付図面とともに考慮して明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】従来の鉄道網システムを例示する図である。
【図2】図1に示す従来の鉄道網の働きのより詳細な運用を例示する図である。
【図3】図1に示す従来の鉄道網の典型的な相互運用を例示する図である。
【図4】本発明の原理による典型的な時間/周波数スペクトルを例示する図である。
【図5A】典型的なネットワーク構成および時間/周波数配分を例示する図である。
【図5B】図示したネットワークの協同関係を例示する図である。
【図6】本発明の原理による周波数/時間スロットに対する遠隔端末の典型的な配分を例示する図である。
【図7A】本発明の原理により周波数/時間スロットを割り当てるための典型的なプロセスのフロー・チャートを例示する図である。
【図7B】本発明の原理により周波数/時間スロットを割り当てるための典型的なプロセスのフロー・チャートを例示する図である。
【図7C】本発明の原理により周波数/時間スロットを割り当てるための典型的なプロセスのフロー・チャートを例示する図である。
【図7D】本発明の原理により周波数/時間スロットを割り当てるための典型的なプロセスのフロー・チャートを例示する図である。
【図8A】本発明の原理による典型的なブロッキング回避基準を例示する図である。
【図8B】本発明の原理による典型的なブロッキング回避基準を例示する図である。
【0016】
しかし、次のことを理解されたい。図面のデザインは、単に説明を目的としたものであり、本発明の範囲を定義するものとしてではない。本発明に対しては、添付の請求項を参照しなくてはならない。また、図面は必ずしも一定の比率では描かれておらず、特に断りのない限り、それらは単に、本明細書で説明した構造および手順を概念的に例示することが意図されている。
【発明を実施するための形態】
【0017】
従来の無線通信システムは、国有鉄道通信ネットワークでは、固定チャネルまたは複数のチャネルを各ベース・ステーションに割り当てて、単一のチャネル無線上で一度に1つのチャネルをリッスンしている。このアクセス方式は、各ベース・ステーション上で一様な需要がない場合には、容量が使用されないままになることが多い。
【0018】
本発明の原理によれば、複数の時分割多重(TDD)/周波数分割多重(FDD)無線チャネルを用いる通信システムが開示される。これらのチャネルは、空間ダイバーシティを用いて動的に配分して、ネットワークの要素間で割当可能な例外的帯域幅および周波数再利用との間に堅固なリンクが形成される場合がある。本明細書に示す本発明の説明では、複数の周波数チャネルは、FNと標示されるN個のチャネルからなる有限集合を表す。各ベース・ステーションは、M個のチャネル上で同時に送信および受信を行なうことができる。ここで、MはFNの集合の部分集合である(M=集合FNの{N})。周波数チャネルの集合は、複数の異なる帯域幅チャネルからなることができる。N個のチャネルをすべて、1つのベース・ステーションが同時に用いることもできるし、複数のベース・ステーション間で共有することもできる。
【0019】
システム・トポロジ
本明細書で開示する通信システムまたは通信ネットワークは、既知の距離(D)だけ離間に配置された複数のベース・ステーションからなる。ベース・ステーションは、ネットワーク・クラウドを通して通信サーバに接続されている。システム内の各ベース・ステーションは、N個の受信チャネルの全集合を受信しても良く、またM個の送信チャネルの集合上で送信することができる。個々の送信パケットを複数のベース・ステーションが受信しても良い。パケットが通信サーバに送られ、そこで重複パケットが取り除かれる。図1に、典型的な通信ネットワーク100を例示する。ここでは、ベース・ステーション110が、既知の距離(D)によって分離され、無線および/または有線通信リンクを介して互いに通信状態にある。また沿道ステーション115が、対応するベース・ステーションが制御する領域の全体に渡って分配されている。場合によっては、沿道ステーション115は、1または複数のベース・ステーションの受信範囲内にあっても良い。加えて、移動または機関車端末130が、ネットワークの異なる領域内に分配されていても良い。移動もしくは機関車端末130および/または沿道ステーション115に付随する機器は、異なる製品および異なる配置時期に基づくものであっても良いことが理解されるであろう。以下、ネットワーク要素である沿道ステーション115および移動端末130を遠隔端末と言う。したがって、用語の沿道ステーション、移動端末、および遠隔端末を交換可能に用いる。加えて、遠隔端末はネットワーク内で固定であっても良いし、移動可能であっても良い。
【0020】
図2に、移動端末130が複数のベース・ステーション110と通信する場合を例示する。この例示した場合では、ベース・ステーションはそれぞれ、既知の距離Dだけ、その隣から分離されている。加えて、ベース・ステーションはそれぞれ、少なくとも1つの他のベース・ステーションと、別個の通信リンクを通して通信状態にあり、少なくとも1つのベース・ステーション110は、コーディネーション・サーバ210と通信状態にある。コーディネーション・サーバ210機能は、代替的に、ベース・ステーション110の1つの中に備わっていても良い。コーディネーション・サーバ210は、たとえばネットワーク内の移動端末130の位置に関する情報を受信し、この情報を他のベース・ステーション、ならびに他のサーバおよび/または設備(図示せず)に送る。理解されるように、サーバ210を、パブリック・ネットワーク(たとえば、インターネット)またはプライベート・ネットワーク(図示せず)を介して、1または複数の図示しないサーバまたは設備に接続しても良い。
【0021】
図3に、複数のベース・ステーション110および複数の遠隔端末130間での通信を例示する。しかし、この複数ベース・ステーション/複数端末の説明図では、遠隔端末130には、対応するベース・ステーションと通信する少なくとも1つの周波数/チャネルを割り当てなければならない。本発明の一態様においては、周波数割当ての再利用および遠隔端末送信間の干渉防止を、(a)ベース・ステーション110が、「所望の」遠隔端末と「他の」遠隔端末とが分離されているために干渉しない遠隔端末に情報を提供する他のベース・ステーションから十分に分離されていることによってか、または(b)ベース・ステーションの制御された協同を、周波数およびスロット割当てが協同ベース・ステーションの団体内で繰り返されないように行なうことによって、決定しても良い。これを遂行するために、協同ベース間での周波数およびスロットの再利用を防止するために用いる予約マップを保持する。このような周波数/スロット・スペクトルの調整を、予約(通信配分)マップを通して行なっても良い。これについては、図5A/Bを参照してより詳細に説明する。
【0022】
一態様においては、遠隔端末115/130は、どのベース・ステーション110が、通信トラフィックを送るための最高品質の信号経路に相当するのかを判定する必要があっても良い。たとえば、遠隔端末130(機関車Aと示す)は、ベース・ステーション(ベース・ステーション2およびベース・ステーション3と示す)から一斉送信メッセージを受信しても良い。機関車Aは、これらの一斉送信メッセージを、ベース・ステーション2およびベース・ステーション3から、所定の周波数/タイムスロット内に受信する。機関車Aは、これら2つのベース・ステーションのうちどちらが最適な通信経路に相当するのかを判定しなければならない。ベース・ステーションの選択は、地理的近接性(距離)、信号強度、信号品質、受信メッセージ対送信既知量の割合、および/または前記および他の測定基準の組み合わせ、ならびにすでに知られている予め割り当てられた周波数に基づいて決めても良い。この場合、ベース・ステーション3(通信リンク133によって示される)を選択しても良い。さらに、選択されたベース・ステーションは、周波数/スロットの組み合わせを機関車Aに配分して、ネットワーク内の他の要素との通信を、他の(非移動および移動の)沿道ステーション115(図示せず)および遠隔端末130(機関車B、機関車C)の動作条件を考慮しながら図っても良い。これは、予約マップにおいてそれらの設定周波数およびスロット割当によって示されている。種々の自由空間損失を、ベース・ステーション110および遠隔端末115/130間の地理的条件に基づいて示しても良い。
【0023】
TDD構造:
図4に、本発明の原理による典型的なFDD/TDD構造400を例示する。TDDMAC(メディア・アクセス制御)フレームが、周期的送信410および受信420の時間に分割されている。送信時間は、同期プリアンブル、パケット制御データ、およびデータ・ペイロード、ならびに誤差補正および検出フィールド(図示せず)からなる1つの大きなパケット410として示されている。データ・ペイロード・フィールドを、データを1つまたは多くの遠隔のダウンストリーム端末または装置に送るように構成しても良い。沿道ステーションおよび機関車端末を遠隔端末または装置と言う。アップストリーム・パケットは、データ・ペイロード単位の整数として構成しても良い。各アップストリーム・パケットは、同期プリアンブル、パケット制御データ、およびペイロード(データ・ペイロード単位(図示せず)の整数からなる)からなる。
【0024】
PTC(ポジティブ列車制御)に対する一例として、550ミリ秒の送信フレーム間隔(410)を有するダウンストリーム信号が、単一のプリアンブルを伴う単一の送信間隔に相当する。残りの450ミリ秒(1秒のフレームを想定している)420内のアップストリーム・データを、複数のユーザが共有できる16バイト・ペイロード・パケットの整数倍数に分割することもできるし、1つの大きな単一のユーザ・パケットとすることもできる。
【0025】
表1、2、および3に、25kHzおよび50kHzチャネルの組み合わせに対して利用可能な数/時間スロットの例を示す。表3に示すのは、典型的な6つの25kHzチャネル・プラス4つの50kHzチャネルに対する時間スロットおよび容量の総利用可能性である。
【0026】
【表1】
【0027】
【表2】
【0028】
【表3】
物理層:
物理層は、変調およびFEC(前方誤り訂正符号)方式を用いている。これは、所望のビット誤り率(たとえば、1x10-3BER)を満たすために、低い搬送波対干渉波比を必要とするものである。一般的に、変調は3dB〜6dBのオーダーである。搬送波対干渉波比(C/I)が低い場合、周波数の再利用が、2人のユーザ間の距離と2つのベース・ステーション間の距離との比が所望の基準よりも大きいときに可能である。これについては、図8を参照して説明する。
【0029】
周波数計画:
本発明の原理によれば、各ベース・ステーション110は、M個の送信周波数およびN個の受信周波数で動作する。ここで、NはM以上であり、好ましい実施形態では、NはMの整数倍数である。M個の送信周波数を各ベース・ステーションにおいて同時に用いる。N個の受信チャネル(周波数)を、送受信パケット(図4を参照)を分離するTDD多重化方式を用いて、あらゆるベース・ステーション110で同時に受信する。送受信パケットを、時間によって分離しても良い。なぜならば、パケットは、フレーム内の異なる時間に送信されるからである(たとえば、図6を参照)。
【0030】
各ベース・ステーションにM個の送信周波数が割り当てられる。M個の送信周波数は、ベース・ステーションに付随する「送信グループ」を表す。好ましくは、NはMの整数倍数iである。Nが整数倍数でない場合には、グループをiおよびi+1のグループにおいて規定することができる。すなわち、非複数グループを、2つのグループ間で分割する。
【0031】
MACサービス:
MACは、周期的にデータを送るためのベスト・エフォート・サービスまたは予約スロットを与えることができる。本発明の原理によれば、予約マップによって、各アップリンク周波数/時間スロット予約の配分状態が記述される。システムは、アップストリームおよびダウンストリーム方向の両方において、複数の優先度キューを有する。最優先のメッセージを最初に送信することができるか、または本発明の一態様においては、メッセージ・トラフィックの比率を作成しても良い。ここでは、最優先が帯域幅の大部分を受信するが、最優先キューが全然空にならない場合には、より低い優先キューを、より高優先のトラフィック対より低優先のトラフィックの既知の比率に応じて送ることができる。たとえば、処理は、高優先のメッセージを時間の90パーセント(90%)に送っても良い一方で、より低優先のメッセージを10パーセント(10%)に送っても良いようなものであっても良い。
【0032】
予約マップ
図5Aに、4つのベース・ステーション510、520、530、540(それぞれ1、2、3、4と標示する)を含む典型的なネットワーク構成を例示する。複数の固定の遠隔端末550、555、560、565、570、575、および580(それぞれ文字A〜Gによって指定する)も例示している。これらは、4つのベース・ステーションの1または複数のカバーレージ・エリア内で動作する。遠隔端末A〜Gはそれぞれ、少なくとも1つのベース・ステーションと通信する。
【0033】
また、ベース・ステーション1、2、3、および4にそれぞれ付随する予約マップ515、525、535、および545も例示する。予約マップ515、525、535、545は、ビット・マップを表わす。各ビットは、周波数および時間セグメント(通信配分)を表わし、図4に示すFDD/TDDシステムに従う周波数/スロット数送信の割当てを示す。この例示した例では、ベース・ステーション1、510は、少なくとも遠隔端末A、D、E、およびFと通信し(予約マップ515に示す)、ベース・ステーション3、530は、遠隔端末BおよびFと通信する(予約マップ525に示す)。予約マップ515が例示しているのは、遠隔端末A550がふたつ(2つ)の時間スロットを周波数F1で用いる一方で、残りの遠隔端末D〜Fはそれぞれ、単一の時間スロットを用いるということである。マップ525に例示しているのは、ベース・ステーション2、520と通信する遠隔ステーションB、C、およびDに付随する周波数/時間配分であり、マップ545に例示するのは、ベース・ステーション4と通信する遠隔端末B、C、およびGに付随する周波数配分である。さらに予約マップ545が例示しているのは、ベース・ステーション4が、遠隔端末CおよびGと周波数F1で通信し、より遠隔の端末Bと周波数FNで通信するということである。
【0034】
図5Bに、ベース・ステーション510、520、530、および540にそれぞれ付随する典型的な団体協同リスト517、527、537、547を例示する。協同リストによって、ベース・ステーションを関連付けて、1または複数のベース・ステーションと通信し得る遠隔端末115/130に対する周波数/スロットの割当てにおける摩擦を回避および/または防止するための手段が得られる。例示した例では、ベース・ステーション1、510は、ベース・ステーション2、520と協同して割当て摩擦を回避し、一方で、ベース・ステーション2、520は、ベース・ステーション1、510、ベース・ステーション3、530、およびベース・ステーション4、540と協同する。同様に、ベース・ステーション3、530および4、540はそれぞれ、ベース・ステーション2、520に関連付けられているかまたはこれと協同する。協同リストをベース・ステーションが用いて、割り当て予定の周波数/スロットを協同ベース・ステーションが使用中か否かを判定する。協同リストの決定は、部分的には、ベース・ステーションの互いとの相対位置およびベース・ステーションと通信する遠隔端末の予想信号強度に基づいて、行なっても良い(図7Cを参照)。
【0035】
図6に、ベース・ステーション1、2、3、および4に付随する典型的な周波数/時間スロット配分を例示する。この典型的な周波数/時間スロット配分では、ベース・ステーション1、510はダウンストリーム送信410の間に周波数F1で送信し、遠隔端末A550はアップストリーム送信420の最初の2つのスロットにおいて送信する。加えて、他の遠隔端末B555、D565、E570、F575、およびG580はそれぞれ、アップストリーム送信内の単一のスロットの間に送信する。遠隔端末に配分されるスロットの数は、部分的には、送信すべきデータ量、アップストリームにおいて利用可能なチャネルの数、およびチャネルのデータ・レートに基づいて、決定しても良い。アップストリーム送信内でどのスロットを選ぶかは、図7A〜7Dを参照して説明するように決定しても良い。
【0036】
同様に、ダウンリンク期間410の間に、ベース・ステーション2、520は周波数F2で送信し、ベース・ステーション3、530は周波数Fnで送信する。一方で、遠隔端末B〜G555、560、565、570、5750、580はそれぞれ、アップストリーム期間420内の割り当てられたスロットの間に周波数F2で送信し、遠隔端末BおよびFはアップストリーム期間420の間に周波数FNで送信する。
【0037】
さらに例示するように、ベース・ステーション3、530は、ダウンストリーム間隔410の間に周波数Fnで送信し、遠隔端末B(B3と示す)およびF(F3と示す)からの送信を受信する。さらにベース・ステーション4、540は、ダウンストリーム間隔410の間に周波数F1およびFNで送信し、遠隔端末Cからの送信を周波数F1で(C4と示す)、および遠隔端末Bからの送信を周波数FNで(B4と示す)受信する。この場合、ベース・ステーション1、510とベース・ステーション4、540とは、同じ周波数/時間スロット配分を共有または再利用することができる。なぜならば、ベース・ステーション1、510とベース・ステーション4、540とは非協同ベース・ステーションであり、これらのベース・ステーションへ送る/から受け取る遠隔端末との送信干渉が最小であるからである。
【0038】
その結果、図示しないが、ベース・ステーションがそれぞれ1または複数の周波数で送信しても良いこと、ならびに対応する遠隔端末が、アップストリーム期間内に、対応する周波数で、少なくとも1つのスロット期間の割り当てられた継続時間の間に、送信しても良いことが、認められるであろう。たとえば、図5Aに戻って、遠隔端末D565も、たとえば、時間スロット6において周波数FNで動作しても良い。この場合、予約マップ515には、この第2の周波数(FN)および時間スロットにおける遠隔端末D565の動作を参照することが含まれるであろう。
【0039】
本説明を、移動端末130および沿道ステーション115について行なってきたが、移動端末および沿道ステーションはベース・ステーションに対する遠隔端末を表わし、したがって、遠隔端末が移動していようと固定されていようと、本発明の一態様における周波数およびスロット数の遠隔端末の割当てを、ベース・ステーション、沿道端末、および遠隔端末間に生じる可能性がある干渉を考慮して演繹的に決定しても良いし、または遠隔端末の可動性と環境条件との両方に関する変動条件に応答して動的に決定しても良いことが認められるであろう。
【0040】
本発明の原理によれば、ベース・ステーション110は、各アップリンク時間スロットの状態を記述する予約マップを、各周波数で、次の所定数の時間単位(たとえば、秒)の間、各協同ベース・ステーションに対して送信する。したがって、たとえば、ベース・ステーション110は、ベース・ステーション2、520の予約マップを受信する(協同リスト517を参照)。同様に、ベース・ステーション2、520は、ベース・ステーション1、510、ベース・ステーション3、530、およびベース・ステーション4、540の予約マップを受信する(協同リスト527を参照)。したがって、遠隔端末115/130から周波数/時間スロット配分の要求があったときには、ベース・ステーション1、510は、それ自体の配分マップ515と、協同ベース・ステーション2、520の配分マップとを検査する。同様に、ベース・ステーション2、520は、それ自体の配分マップ525と、協同ベース・ステーション1、510、ベース・ステーション3、530、およびベース・ステーション4、540の配分マップとを検査する。
【0041】
時間スロット/周波数配分の予約は周期的に行なっても良い。たとえば、周波数/時間スロット予約を、既知の時間ベース(たとえば、1、2、または3秒)で行なっても良い。この場合、ベースから送信されるのは、与えられたスロットがビジーであるのは、要求された既知の時間ベースの間のみであるということ、すなわち、複数秒エポックに渡るスロット配分が静的であっても、マップの無線一斉送信が時間ベースごとに変わる可能性があるということである。これは、ベースが、複数秒エポック内の各秒に対して異なる配分マップを保持するという点で行なわれる。
【0042】
協同ベース・ステーションの予約マップを、1または複数の周波数で送信して、少なくとも1つの次の時間スロットの間、関連するベース・ステーションに、アップリンク・チャネルの周波数/時間スロット配分の現在の配分を送っても良い。より大きいデータ・チャネルを用いることができ、このようなデータ/チャネルには、より大きいマップが必要である。なぜならば、周波数/秒当たりに、より多くのアップリンク・スロットが存在するからである。
【0043】
図5Aに例示しているのは、各ベース・ステーション110がそれ自体の予約マップを保持している場合であるが、本発明の別の態様においては、予約マップを単一のサーバ(たとえば、サーバ210、図2を参照)に保持しても良い。各ベース・ステーションは、周波数/時間スロット情報をサーバ210に送っても良く、そこで、送られたデータを蓄積して照合しても良い。そして、ベース・ステーションに対する予約マップを、ベース・ステーションの協同リスト上の協同ベース・ステーションに周期的に送っても良い。
【0044】
図7A〜7Dに、本発明の原理により周波数/スロット配分を決定するための典型的なプロセスのフローチャートを例示する。図7Aには、ベース・ステーションに付随する遠隔端末の周波数/時間スロット配分を初期化するための処理を例示する。図7Aを参照して、ベース・ステーションが、協同ベース・ステーションに付随する予約マップを受信する(ステップ710)。協同ベース・ステーションに付随する予約マップは、対応する協同ベース・ステーションの周波数/時間スロット配分を表わす。ブロック715において、第1の遠隔端末を取得する。ブロック720において、利用可能な周波数/時間スロットを、ベース・ステーションの予約マップに基づいて取得する。ブロック725において、取得した利用可能な周波数/時間スロットが、受信した協同ベース・ステーションの予約マップのいずれか1つにおいてビジーであると示されているか否かについて判定を行なう。周波数/時間がビジーであるかまたは使用中であると示された場合、次の周波数/時間スロットを取得する(ブロック720)。
【0045】
そうでなければ、周波数/時間スロットを遠隔端末に割り当てる(ブロック730)。ベース・ステーションの予約マップを更新して、周波数/時間スロットが今や配分されている(ビジーである)と示す(ブロック735)。ブロック740において、協同ベース・ステーションに、更新した予約マップを通知する。ブロック745において、割り当てられた周波数/時間スロットに付随する経年カウンタをセットする。経年カウンタによって、周波数/時間スロットを保持する必要性を再評価する前に周波数/時間スロットが使用中である限られた時間枠が可能になる。
【0046】
ブロック750において、次の遠隔端末が選択され、ブロック755において、すべての遠隔端末がアクセスされたか否かについて判定を行なう。応答が否定的である場合には、処理を続ける(ブロック720)。
【0047】
そうでなければ、ベース・ステーション予約マップを完成させて(ブロック760)、完成させた予約を各協同ベース・ステーションに送る。
【0048】
図7Bに例示するのは、割り当てられた周波数/時間スロット配分が必要であるか否かを判定するためのプロセスである。ブロック770において、既知の時間が満了したか否かについて判定を行なう。応答が否定的である場合には、処理を存続させる。
【0049】
しかし、応答が肯定的である場合には、周波数/時間スロットを予約マップから取得する(ブロック775)。ブロック780において、周波数/時間スロットに付随する経年カウンタを既知量だけ減らす。ブロック782において、経年カウンタが満了したか否かについて判定を行なう。応答が肯定的である場合には、周波数/時間スロットをクリアにする(すなわち、ビジーでないとマーキングされる)。そうでなければ、処理を続けてブロック785に行き、次の周波数/時間スロットを取得する。ブロック790において、予約における周波数/時間スロットがすべて処理されたか否かについて判定を行なう。応答が否定的である場合には、処理を続ける(ブロック780)。そうでなければ、処理を終了させる。
【0050】
この例示的なプロセスでは、各周波数/時間スロット(別個に割り当てた経年カウンタに付随しても良い)を定期的に試験して、周波数/時間スロットが依然として必要であるか否かについて判定する。理解されるように、すべての周波数/時間スロットが同時に経年した場合、新しい周波数/時間スロット配分を、図7Aに示す処理を行なうことによって取得しても良い。
【0051】
図7Cに、本発明の原理による協同ベース・ステーションを決定するための典型的なプロセスを例示する。この典型的なプロセスでは、インデックスiを初期化する(ブロック810)。ブロック815において、ベース・ステーション(BSi)を取得する。ブロック820において、第2のインデックスjを初期化し、ブロック825において、ベース・ステーション(BSj)を取得する。ブロック830において、取得したベース・ステーションが同じであるか否かについて判定を行ない、そうである場合には、次の第2のインデックスjを取得し(ブロック895)、すべてのベース・ステーションを処理したら処理を続ける(ブロック825)。
【0052】
ブロック835において、ブロッキング回避基準が満たされているか否かについて判定を行なう。以下に詳細に説明するように、典型的なブロッキング回避基準を、図8A(ブロッキングなし)および8B(ブロッキング)に例示する。ベース・ステーションBSi(1010)およびベース・ステーションBSj(1020)それぞれに対する信頼性の高いベース・ステーション/遠隔の無線有効範囲(1015および1025)の領域を考慮することは、以下の数式表現を満たすことである。Diimax/Djimin>10^((C/I)/K)。ここで、Diimaxは、ベース・ステーションBSiおよびベース・ステーションBSi(1017)に付随することができる任意の遠隔(1012)間の最大距離である。Djiminは、ベース・ステーションBSjおよびベース・ステーションBSi(1018)に付随することができる任意の遠隔(1022)間の最小距離である。(C/I)は、ベース・ステーションBSiにおける無線受信機によって実現可能な搬送波対干渉波比であり、Kは、無線周波数信号強度対距離の減少を表わす環境定数である?応答が肯定的である場合には、ベース・ステーションBSiに付随する遠隔には、ベース・ステーションBSjに付随する遠隔によるブロッキングがないと想定される。
【0053】
しかし、応答が否定的である場合には、BSjに付随する遠隔とBSiに付随する遠隔との間にブロッキングが起こる可能性があるため、BSiおよびBSjは協同関係を持たなければならない。この関係の表示は、BSiおよびBSj両方の協同リストにおいてなされる。そして処理は、前述と同様に続いて(ブロック895)、次のベース・ステーション(j)をチェックする。
【0054】
図5Aのネットワーク構成を参照して、ベース・ステーション4、540は、ベース・ステーション2、520と協同している。なぜならば、図8Bに示すように、これら2つのベースに付随する遠隔の送信間にブロッキングが起こる可能性があるからである。しかし、たとえば、ベース・ステーション4はベース・ステーション1、510とは協同関係にはない。なぜならば、(図8Aの場合と同様に)2つのベースに付随する遠隔間のブロッキングが起こるであろう領域が存在しないからである。
【0055】
図7Dを参照して、遠隔端末通信装置をベース・ステーションに登録するための1つの典型的なプロセスを示す。遠隔端末通信装置は、ダウンストリーム時間枠の間に周波数F1〜FNのすべてを同時にリッスンして(925に示す)、信号品質を判定し(925)、最良または最大信号品質を有するベース・ステーションを保存する(940に示す)。この品質測定を、受信信号強度表示(RSSI)、信号対雑音比(SNR)、または予想される受信メッセージの割合(RX%)を用いて決定しても良い。図7Dに、複数のベース・ステーション(i)から受信する信号に対する最大信号品質を決定するための1つの典型的なプロセスを示す。921および923において、iおよびQMAXを初期化し、925において、信号品質(i)をベース・ステーション(i)から受信する。信号品質(i)とQMAXとの比較を判定して(935)、品質(i)がQMAXよりも大きい場合には、それを保存する(940)。遠隔装置の通信距離内のすべてのベース・ステーションについて評価するまで、プロセスを各ベース・ステーション(i)に対して続ける(945)。1つのベース・ステーションのみが通信距離内にある場合に、ベース・ステーションの信号品質が最大となることに注意されたい。いったん最大信号品質が決定されれば、遠隔端末は、予約マップを、最大信号品質を有する周波数で検査して、所望する数の時間スロットを要求する。その結果、遠隔端末がそのベース・ステーションに登録される。最良の信号品質を伴うベース・ステーションが変わったら、遠隔端末はそのベース・ステーション選択を変えて(たとえば940に示すように)、時間スロット配分を、必要に応じて、図7Aに示したものと同様の方法で再設定する。
【0056】
その後、遠隔装置に対する送信をすべて、遠隔を登録したベース・ステーションから行なっても良い。前述したように、ベース・ステーション送信機に対する予約マップを、局所的に(ベース・ステーション内に)保持しても良いし、またはベース・ステーションから離れて保持しても良い。一態様においては、予約マップをシステム・サーバ(210、図2)に収容しても良く、予約マップはすべての遠隔サイトの登録に基づく。本発明の一態様においては、ベース・ステーションはさらに、隣接するベース・ステーション(または規定されたベース・ステーション・グループ)に付随する周波数でのスロットの配分をブロックする。このブロッキングは、ベース・ステーション間で生じる可能性がある干渉信号を減らすため、好都合である。
【0057】
図8Bに、単一のベース・ステーション1010と通信状態にある2つの遠隔端末1012および1022間の干渉を判定する例を例示する。この例示した例では、周波数/スロット配分を2つの端末の一方に対して予約すると想定し、2番目の遠隔端末に対する周波数/スロットの配分を、2つの遠隔端末間の干渉を回避するように行なう。たとえば、本発明の一態様において、2つの周波数(すなわち、N=2)を、ベース・ステーション1010および1020間で配分しても良いことを想定し、各遠隔端末1012および1022をそれ自体の周波数で配分しても良い。しかし、利用可能な周波数を再利用して、保持する必要がある周波数の数を最小限にするために、2つの遠隔端末1012および1022に同じ周波数/時間スロットを配分することを、図8Aの場合と同様に、2つの端末1012および1022の送信間の干渉が既知の基準を満たすときに、行なっても良い。
【0058】
図8Aを参照して、以下の基準が満たされる場合には、周波数を再利用しても(すなわち、同時に2つの遠隔端末に割り当てても)良い。
【0059】
Diimax/Dijmin>10(C/I)/K
ここで、Diimaxは、第1のベース・ステーション(1010)から、第1のベース・ステーション(1010)に付随する任意の遠隔端末(1012)までの最大距離を表わす。
【0060】
Dijminは、第1のベース・ステーション(1010)から、第2のベース・ステーション(1020)に付随する遠隔端末(1022)までの最小距離を表わし、C/Iは、所望の搬送波対干渉波比を表わし、Kは、RF伝搬定数を表わす。
【0061】
本発明の一態様では、干渉基準は、ベース・ステーション1010を囲む地理トポロジを考慮しても良く、したがって、RF伝搬定数(すなわち、自由空間経路損失)(K)を、相応に変更しても良い。本発明の概念上の実施形態において、自由空間損失定数(K)を、20、35、および40dbのうちの1つであると示しても良い。理解されるように、自由空間経路損失値(K)を、具体的な環境に基づいて選んでも良いし、環境内の測定または計算によって決定しても良い。さらに、搬送波対干渉波比(C/I)は、無線受信機およびモデム性能特性に応じて変わっても良い。
【0062】
空間的冗長性:
本発明の一態様においては、すべてのベース・ステーションは、広帯域受信システムを用いて、すべてのアップストリーム時間スロットの間にすべてのN個のアップリンク周波数をリッスンする。すべてのパケットを、パケット・アドレス指定に依存して、システム・サーバまたはアドレス指定されたベース・ステーションに転送する。このため、空間的冗長性が形成され、移動システムにおけるシステム・ハンドオフが単純になる。
【0063】
本発明による前述の方法は、ハードウェアにおいて実現することもできるし、記録媒体たとえばCDROM、RAM、フロッピー・ディスク、ハード・ディスク、もしくは光磁気ディスクに記憶することができるかまたはネットワーク上でダウンロードすることができるソフトウェアまたはコンピュータ・コードとして実現することもできる。そのため、本明細書で説明した方法を、このようなソフトウェアにおいて汎用コンピュータまたは特別なプロセッサを用いて行なうこともできるし、プログラマブルまたは専用のハードウェア(たとえばASICもしくはFPGA)において行なうこともできる。当該技術分野において理解されるように、コンピュータ、プロセッサまたはプログラマブル・ハードウェアは、メモリ・コンポーネント(たとえば、RAM、ROM、フラッシュなど)を備えている。これは、コンピュータ、プロセッサ、またはハードウェアによってアクセスおよび実行されると本明細書で説明した処理方法を実施するソフトウェアまたはコンピュータ・コードを記憶しても良いし、受け取っても良いものである。コードは、汎用コンピュータにロードされたときに、汎用コンピュータを、部分的には本明細書で示した処理に専用であっても良い専用コンピュータに変えても良い。
【0064】
その好ましい実施形態に適用したときの本発明の基本的な新しい特徴を図示し、説明し、指摘してきたが、当然のことながら、例示した装置の形態および詳細およびそれらの動作における種々の省略および置換および変形を、当業者が本発明の趣旨から逸脱することなく行なっても良い。たとえば、同じ結果を達成するために実質的に同じ方法で実質的に同じ機能を行なう要素および/または方法ステップのすべての任意の組み合わせは本発明の範囲内であることが、はっきりと意図されている。
【0065】
また、本発明の任意の開示した形態または実施形態と関連して図示および/または説明した構造および/または要素および/または方法ステップを、デザイン上の選択の一般的な問題として、任意の他の開示または説明または示唆した形態または実施形態に取り入れても良いことを認識されたい。したがって、本明細書に添付の請求項の範囲が示すように限定されることのみが意図されている。
【技術分野】
【0001】
本出願は、米国特許法第119条に基づいて、特許出願の発明の名称「多周波数TDMAネットワークに対するメディア・アクセス制御方式」(2009年12月4日出願)(第61/266,713号)に対する先の出願日の利益を請求するものである。なおこの文献の内容は、本明細書において参照により取り入れられている。
【背景技術】
【0002】
移動端末を含む分散ネットワークを管理する際には、遠隔端末を適切に管理して理解する必要性が、互いの干渉を防止する際の重要な因子である。その結果、遠隔端末と全体領域内でのそれらの位置とを識別するように、またある全体領域から他の全体領域へ遠隔端末が通過するときを決定するように、システムが絶えず開発されている。連邦航空局(FAA)によって管理される航空交通管制向けのシステムは、固定ベース・ステーションが航空交通をモニタして、指示を、航空機に、また航空機がある領域から次の領域へ通過するときに航空機の飛行経路内にある次のステーションに送るようなシステムである。異なる周波数で動作する第2のベース・ステーションが、次の領域を管理する場合がある。そのため、航空機のパイロットは、第2のベース・ステーションの周波数に切り換えるように指示される場合がある。または、演繹的に、次のステーションの周波数を知っている場合があり、第1のベース・ステーションのカバーレージ・エリアを離れる直前に、それに切り換える場合がある。
【0003】
しかし、FAAシステムは、FAAによってかなり調整および制御されているシステムである。なぜならば、与えられたカバーレージ・エリア内に存在するベース・ステーションおよび遠隔端末の数は限られているからである。一般的に、ほとんどの商用飛行は予め計画されているため、航空交通を扱う人およびパイロットには、ベース・ステーションおよび航空機の動作条件の一般知識がある。そのため、航空機は、他の航空機との信号干渉を受けることなく、異なる領域を通って楽々と移動する場合がある。航空交通管制システムの要素間のこのような音声プロトコルは、これらの通信チャネル上での低帯域幅要求を満たしている。しかしこのプロトコルは、高帯域幅機械制御のメッセージング・システムに対して実施されると、極めて無駄なものとなる。
【0004】
国有鉄道通信ネットワークの場合、極めてより長期間の間に発展しているが、一般的に、ネットワークを管理するかまたは新しい機器の配置を制御する中央当局がない。鉄道網内の要素の数は、航空交通管制システムの要素数よりも著しく多い。加えて、転送すべきデータ量と、鉄道網要素間でのデータ転送の自律性とから、ネットワークを制御する人間コミュニケーションをもっと制限することが要求されている。
【0005】
たとえば、鉄道網システムには、踏切および鉄橋の動作をモニタおよび/または制御する複数の沿道の送信機/受信機とともに、有限距離によって分離され、指定領域内の沿道の送信機/受信機をモニタおよび制御する複数のベース・ステーションが含まれている場合がある。沿道の送信機/受信機は、対応するベース・ステーションと無線通信している場合があり、ベース・ステーションは互いに無線および/または有線通信している場合がある。
【0006】
加えて、複数の列車(固定または移動の遠隔端末に相当する)が、ベース・ステーション制御領域に入って離れる場合があり、また1または複数の沿道ステーションによって検出される場合がある。沿道ステーションは、検出した遠隔端末の位置に関する情報を、ベース・ステーションに送って管理を図る場合がある。たとえば、ベース・ステーションは、第1の沿道ステーションから情報を受信した後、次の沿道ステーションの既知の距離内への遠隔端末の到着を予測し、次の沿道ステーションに情報を送って、たとえば遮断機または照明順序を制御する場合がある。次の沿道ステーションはさらに、遠隔端末が接近しているかまたは沿道ステーションを完全に通過したという情報を送る場合がある。
【0007】
適切に動作するように、ネットワーク内の装置を同期させて、干渉および/またはデータ衝突を回避しなければならない。なぜならば、沿道ステーションの制御にエラーが生じると著しい損傷が発生する場合があるからである。
【0008】
しかし、たとえば、新しい機器が列車システム内に配置されることがあるため、新しい機器(装置)と以前に配置されたすべての機器との間に適合性があるか否かを考慮せずに、新しい機器がネットワークに加えられる。その結果、遠隔端末に取り付けた装置が入り得る領域において、装置は、沿道ステーションおよび/または領域を統制する受信ベース・ステーションとの間に適合性がないという可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、鉄道用途での膨大な数のチャネル・ユーザおよび要求されるメッセージング・スループットのために、鉄道通信システムにおける異なる装置間の通信管理を可能にするシステムが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本明細書で説明するように、本発明の実施形態によって、当該技術分野で知られる前述または他の不利点の1または複数が打開される。
【0011】
本発明の一態様は、国有鉄道網における周波数/時間スロット通信配分を決定する方法に関する。
【0012】
本発明の別の態様によって、ベース・ステーション周波数/時間スロット配分を、協同ベース・ステーションの周波数/時間スロット配分を考慮して決定することが提供される。
【0013】
本発明の別の態様においては、周波数/時間スロット配分を考慮した協同ベース・ステーションの決定方法が開示される。
【0014】
本発明のこれらおよび他の態様および優位性は、以下の詳細な説明を添付図面とともに考慮して明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】従来の鉄道網システムを例示する図である。
【図2】図1に示す従来の鉄道網の働きのより詳細な運用を例示する図である。
【図3】図1に示す従来の鉄道網の典型的な相互運用を例示する図である。
【図4】本発明の原理による典型的な時間/周波数スペクトルを例示する図である。
【図5A】典型的なネットワーク構成および時間/周波数配分を例示する図である。
【図5B】図示したネットワークの協同関係を例示する図である。
【図6】本発明の原理による周波数/時間スロットに対する遠隔端末の典型的な配分を例示する図である。
【図7A】本発明の原理により周波数/時間スロットを割り当てるための典型的なプロセスのフロー・チャートを例示する図である。
【図7B】本発明の原理により周波数/時間スロットを割り当てるための典型的なプロセスのフロー・チャートを例示する図である。
【図7C】本発明の原理により周波数/時間スロットを割り当てるための典型的なプロセスのフロー・チャートを例示する図である。
【図7D】本発明の原理により周波数/時間スロットを割り当てるための典型的なプロセスのフロー・チャートを例示する図である。
【図8A】本発明の原理による典型的なブロッキング回避基準を例示する図である。
【図8B】本発明の原理による典型的なブロッキング回避基準を例示する図である。
【0016】
しかし、次のことを理解されたい。図面のデザインは、単に説明を目的としたものであり、本発明の範囲を定義するものとしてではない。本発明に対しては、添付の請求項を参照しなくてはならない。また、図面は必ずしも一定の比率では描かれておらず、特に断りのない限り、それらは単に、本明細書で説明した構造および手順を概念的に例示することが意図されている。
【発明を実施するための形態】
【0017】
従来の無線通信システムは、国有鉄道通信ネットワークでは、固定チャネルまたは複数のチャネルを各ベース・ステーションに割り当てて、単一のチャネル無線上で一度に1つのチャネルをリッスンしている。このアクセス方式は、各ベース・ステーション上で一様な需要がない場合には、容量が使用されないままになることが多い。
【0018】
本発明の原理によれば、複数の時分割多重(TDD)/周波数分割多重(FDD)無線チャネルを用いる通信システムが開示される。これらのチャネルは、空間ダイバーシティを用いて動的に配分して、ネットワークの要素間で割当可能な例外的帯域幅および周波数再利用との間に堅固なリンクが形成される場合がある。本明細書に示す本発明の説明では、複数の周波数チャネルは、FNと標示されるN個のチャネルからなる有限集合を表す。各ベース・ステーションは、M個のチャネル上で同時に送信および受信を行なうことができる。ここで、MはFNの集合の部分集合である(M=集合FNの{N})。周波数チャネルの集合は、複数の異なる帯域幅チャネルからなることができる。N個のチャネルをすべて、1つのベース・ステーションが同時に用いることもできるし、複数のベース・ステーション間で共有することもできる。
【0019】
システム・トポロジ
本明細書で開示する通信システムまたは通信ネットワークは、既知の距離(D)だけ離間に配置された複数のベース・ステーションからなる。ベース・ステーションは、ネットワーク・クラウドを通して通信サーバに接続されている。システム内の各ベース・ステーションは、N個の受信チャネルの全集合を受信しても良く、またM個の送信チャネルの集合上で送信することができる。個々の送信パケットを複数のベース・ステーションが受信しても良い。パケットが通信サーバに送られ、そこで重複パケットが取り除かれる。図1に、典型的な通信ネットワーク100を例示する。ここでは、ベース・ステーション110が、既知の距離(D)によって分離され、無線および/または有線通信リンクを介して互いに通信状態にある。また沿道ステーション115が、対応するベース・ステーションが制御する領域の全体に渡って分配されている。場合によっては、沿道ステーション115は、1または複数のベース・ステーションの受信範囲内にあっても良い。加えて、移動または機関車端末130が、ネットワークの異なる領域内に分配されていても良い。移動もしくは機関車端末130および/または沿道ステーション115に付随する機器は、異なる製品および異なる配置時期に基づくものであっても良いことが理解されるであろう。以下、ネットワーク要素である沿道ステーション115および移動端末130を遠隔端末と言う。したがって、用語の沿道ステーション、移動端末、および遠隔端末を交換可能に用いる。加えて、遠隔端末はネットワーク内で固定であっても良いし、移動可能であっても良い。
【0020】
図2に、移動端末130が複数のベース・ステーション110と通信する場合を例示する。この例示した場合では、ベース・ステーションはそれぞれ、既知の距離Dだけ、その隣から分離されている。加えて、ベース・ステーションはそれぞれ、少なくとも1つの他のベース・ステーションと、別個の通信リンクを通して通信状態にあり、少なくとも1つのベース・ステーション110は、コーディネーション・サーバ210と通信状態にある。コーディネーション・サーバ210機能は、代替的に、ベース・ステーション110の1つの中に備わっていても良い。コーディネーション・サーバ210は、たとえばネットワーク内の移動端末130の位置に関する情報を受信し、この情報を他のベース・ステーション、ならびに他のサーバおよび/または設備(図示せず)に送る。理解されるように、サーバ210を、パブリック・ネットワーク(たとえば、インターネット)またはプライベート・ネットワーク(図示せず)を介して、1または複数の図示しないサーバまたは設備に接続しても良い。
【0021】
図3に、複数のベース・ステーション110および複数の遠隔端末130間での通信を例示する。しかし、この複数ベース・ステーション/複数端末の説明図では、遠隔端末130には、対応するベース・ステーションと通信する少なくとも1つの周波数/チャネルを割り当てなければならない。本発明の一態様においては、周波数割当ての再利用および遠隔端末送信間の干渉防止を、(a)ベース・ステーション110が、「所望の」遠隔端末と「他の」遠隔端末とが分離されているために干渉しない遠隔端末に情報を提供する他のベース・ステーションから十分に分離されていることによってか、または(b)ベース・ステーションの制御された協同を、周波数およびスロット割当てが協同ベース・ステーションの団体内で繰り返されないように行なうことによって、決定しても良い。これを遂行するために、協同ベース間での周波数およびスロットの再利用を防止するために用いる予約マップを保持する。このような周波数/スロット・スペクトルの調整を、予約(通信配分)マップを通して行なっても良い。これについては、図5A/Bを参照してより詳細に説明する。
【0022】
一態様においては、遠隔端末115/130は、どのベース・ステーション110が、通信トラフィックを送るための最高品質の信号経路に相当するのかを判定する必要があっても良い。たとえば、遠隔端末130(機関車Aと示す)は、ベース・ステーション(ベース・ステーション2およびベース・ステーション3と示す)から一斉送信メッセージを受信しても良い。機関車Aは、これらの一斉送信メッセージを、ベース・ステーション2およびベース・ステーション3から、所定の周波数/タイムスロット内に受信する。機関車Aは、これら2つのベース・ステーションのうちどちらが最適な通信経路に相当するのかを判定しなければならない。ベース・ステーションの選択は、地理的近接性(距離)、信号強度、信号品質、受信メッセージ対送信既知量の割合、および/または前記および他の測定基準の組み合わせ、ならびにすでに知られている予め割り当てられた周波数に基づいて決めても良い。この場合、ベース・ステーション3(通信リンク133によって示される)を選択しても良い。さらに、選択されたベース・ステーションは、周波数/スロットの組み合わせを機関車Aに配分して、ネットワーク内の他の要素との通信を、他の(非移動および移動の)沿道ステーション115(図示せず)および遠隔端末130(機関車B、機関車C)の動作条件を考慮しながら図っても良い。これは、予約マップにおいてそれらの設定周波数およびスロット割当によって示されている。種々の自由空間損失を、ベース・ステーション110および遠隔端末115/130間の地理的条件に基づいて示しても良い。
【0023】
TDD構造:
図4に、本発明の原理による典型的なFDD/TDD構造400を例示する。TDDMAC(メディア・アクセス制御)フレームが、周期的送信410および受信420の時間に分割されている。送信時間は、同期プリアンブル、パケット制御データ、およびデータ・ペイロード、ならびに誤差補正および検出フィールド(図示せず)からなる1つの大きなパケット410として示されている。データ・ペイロード・フィールドを、データを1つまたは多くの遠隔のダウンストリーム端末または装置に送るように構成しても良い。沿道ステーションおよび機関車端末を遠隔端末または装置と言う。アップストリーム・パケットは、データ・ペイロード単位の整数として構成しても良い。各アップストリーム・パケットは、同期プリアンブル、パケット制御データ、およびペイロード(データ・ペイロード単位(図示せず)の整数からなる)からなる。
【0024】
PTC(ポジティブ列車制御)に対する一例として、550ミリ秒の送信フレーム間隔(410)を有するダウンストリーム信号が、単一のプリアンブルを伴う単一の送信間隔に相当する。残りの450ミリ秒(1秒のフレームを想定している)420内のアップストリーム・データを、複数のユーザが共有できる16バイト・ペイロード・パケットの整数倍数に分割することもできるし、1つの大きな単一のユーザ・パケットとすることもできる。
【0025】
表1、2、および3に、25kHzおよび50kHzチャネルの組み合わせに対して利用可能な数/時間スロットの例を示す。表3に示すのは、典型的な6つの25kHzチャネル・プラス4つの50kHzチャネルに対する時間スロットおよび容量の総利用可能性である。
【0026】
【表1】
【0027】
【表2】
【0028】
【表3】
物理層:
物理層は、変調およびFEC(前方誤り訂正符号)方式を用いている。これは、所望のビット誤り率(たとえば、1x10-3BER)を満たすために、低い搬送波対干渉波比を必要とするものである。一般的に、変調は3dB〜6dBのオーダーである。搬送波対干渉波比(C/I)が低い場合、周波数の再利用が、2人のユーザ間の距離と2つのベース・ステーション間の距離との比が所望の基準よりも大きいときに可能である。これについては、図8を参照して説明する。
【0029】
周波数計画:
本発明の原理によれば、各ベース・ステーション110は、M個の送信周波数およびN個の受信周波数で動作する。ここで、NはM以上であり、好ましい実施形態では、NはMの整数倍数である。M個の送信周波数を各ベース・ステーションにおいて同時に用いる。N個の受信チャネル(周波数)を、送受信パケット(図4を参照)を分離するTDD多重化方式を用いて、あらゆるベース・ステーション110で同時に受信する。送受信パケットを、時間によって分離しても良い。なぜならば、パケットは、フレーム内の異なる時間に送信されるからである(たとえば、図6を参照)。
【0030】
各ベース・ステーションにM個の送信周波数が割り当てられる。M個の送信周波数は、ベース・ステーションに付随する「送信グループ」を表す。好ましくは、NはMの整数倍数iである。Nが整数倍数でない場合には、グループをiおよびi+1のグループにおいて規定することができる。すなわち、非複数グループを、2つのグループ間で分割する。
【0031】
MACサービス:
MACは、周期的にデータを送るためのベスト・エフォート・サービスまたは予約スロットを与えることができる。本発明の原理によれば、予約マップによって、各アップリンク周波数/時間スロット予約の配分状態が記述される。システムは、アップストリームおよびダウンストリーム方向の両方において、複数の優先度キューを有する。最優先のメッセージを最初に送信することができるか、または本発明の一態様においては、メッセージ・トラフィックの比率を作成しても良い。ここでは、最優先が帯域幅の大部分を受信するが、最優先キューが全然空にならない場合には、より低い優先キューを、より高優先のトラフィック対より低優先のトラフィックの既知の比率に応じて送ることができる。たとえば、処理は、高優先のメッセージを時間の90パーセント(90%)に送っても良い一方で、より低優先のメッセージを10パーセント(10%)に送っても良いようなものであっても良い。
【0032】
予約マップ
図5Aに、4つのベース・ステーション510、520、530、540(それぞれ1、2、3、4と標示する)を含む典型的なネットワーク構成を例示する。複数の固定の遠隔端末550、555、560、565、570、575、および580(それぞれ文字A〜Gによって指定する)も例示している。これらは、4つのベース・ステーションの1または複数のカバーレージ・エリア内で動作する。遠隔端末A〜Gはそれぞれ、少なくとも1つのベース・ステーションと通信する。
【0033】
また、ベース・ステーション1、2、3、および4にそれぞれ付随する予約マップ515、525、535、および545も例示する。予約マップ515、525、535、545は、ビット・マップを表わす。各ビットは、周波数および時間セグメント(通信配分)を表わし、図4に示すFDD/TDDシステムに従う周波数/スロット数送信の割当てを示す。この例示した例では、ベース・ステーション1、510は、少なくとも遠隔端末A、D、E、およびFと通信し(予約マップ515に示す)、ベース・ステーション3、530は、遠隔端末BおよびFと通信する(予約マップ525に示す)。予約マップ515が例示しているのは、遠隔端末A550がふたつ(2つ)の時間スロットを周波数F1で用いる一方で、残りの遠隔端末D〜Fはそれぞれ、単一の時間スロットを用いるということである。マップ525に例示しているのは、ベース・ステーション2、520と通信する遠隔ステーションB、C、およびDに付随する周波数/時間配分であり、マップ545に例示するのは、ベース・ステーション4と通信する遠隔端末B、C、およびGに付随する周波数配分である。さらに予約マップ545が例示しているのは、ベース・ステーション4が、遠隔端末CおよびGと周波数F1で通信し、より遠隔の端末Bと周波数FNで通信するということである。
【0034】
図5Bに、ベース・ステーション510、520、530、および540にそれぞれ付随する典型的な団体協同リスト517、527、537、547を例示する。協同リストによって、ベース・ステーションを関連付けて、1または複数のベース・ステーションと通信し得る遠隔端末115/130に対する周波数/スロットの割当てにおける摩擦を回避および/または防止するための手段が得られる。例示した例では、ベース・ステーション1、510は、ベース・ステーション2、520と協同して割当て摩擦を回避し、一方で、ベース・ステーション2、520は、ベース・ステーション1、510、ベース・ステーション3、530、およびベース・ステーション4、540と協同する。同様に、ベース・ステーション3、530および4、540はそれぞれ、ベース・ステーション2、520に関連付けられているかまたはこれと協同する。協同リストをベース・ステーションが用いて、割り当て予定の周波数/スロットを協同ベース・ステーションが使用中か否かを判定する。協同リストの決定は、部分的には、ベース・ステーションの互いとの相対位置およびベース・ステーションと通信する遠隔端末の予想信号強度に基づいて、行なっても良い(図7Cを参照)。
【0035】
図6に、ベース・ステーション1、2、3、および4に付随する典型的な周波数/時間スロット配分を例示する。この典型的な周波数/時間スロット配分では、ベース・ステーション1、510はダウンストリーム送信410の間に周波数F1で送信し、遠隔端末A550はアップストリーム送信420の最初の2つのスロットにおいて送信する。加えて、他の遠隔端末B555、D565、E570、F575、およびG580はそれぞれ、アップストリーム送信内の単一のスロットの間に送信する。遠隔端末に配分されるスロットの数は、部分的には、送信すべきデータ量、アップストリームにおいて利用可能なチャネルの数、およびチャネルのデータ・レートに基づいて、決定しても良い。アップストリーム送信内でどのスロットを選ぶかは、図7A〜7Dを参照して説明するように決定しても良い。
【0036】
同様に、ダウンリンク期間410の間に、ベース・ステーション2、520は周波数F2で送信し、ベース・ステーション3、530は周波数Fnで送信する。一方で、遠隔端末B〜G555、560、565、570、5750、580はそれぞれ、アップストリーム期間420内の割り当てられたスロットの間に周波数F2で送信し、遠隔端末BおよびFはアップストリーム期間420の間に周波数FNで送信する。
【0037】
さらに例示するように、ベース・ステーション3、530は、ダウンストリーム間隔410の間に周波数Fnで送信し、遠隔端末B(B3と示す)およびF(F3と示す)からの送信を受信する。さらにベース・ステーション4、540は、ダウンストリーム間隔410の間に周波数F1およびFNで送信し、遠隔端末Cからの送信を周波数F1で(C4と示す)、および遠隔端末Bからの送信を周波数FNで(B4と示す)受信する。この場合、ベース・ステーション1、510とベース・ステーション4、540とは、同じ周波数/時間スロット配分を共有または再利用することができる。なぜならば、ベース・ステーション1、510とベース・ステーション4、540とは非協同ベース・ステーションであり、これらのベース・ステーションへ送る/から受け取る遠隔端末との送信干渉が最小であるからである。
【0038】
その結果、図示しないが、ベース・ステーションがそれぞれ1または複数の周波数で送信しても良いこと、ならびに対応する遠隔端末が、アップストリーム期間内に、対応する周波数で、少なくとも1つのスロット期間の割り当てられた継続時間の間に、送信しても良いことが、認められるであろう。たとえば、図5Aに戻って、遠隔端末D565も、たとえば、時間スロット6において周波数FNで動作しても良い。この場合、予約マップ515には、この第2の周波数(FN)および時間スロットにおける遠隔端末D565の動作を参照することが含まれるであろう。
【0039】
本説明を、移動端末130および沿道ステーション115について行なってきたが、移動端末および沿道ステーションはベース・ステーションに対する遠隔端末を表わし、したがって、遠隔端末が移動していようと固定されていようと、本発明の一態様における周波数およびスロット数の遠隔端末の割当てを、ベース・ステーション、沿道端末、および遠隔端末間に生じる可能性がある干渉を考慮して演繹的に決定しても良いし、または遠隔端末の可動性と環境条件との両方に関する変動条件に応答して動的に決定しても良いことが認められるであろう。
【0040】
本発明の原理によれば、ベース・ステーション110は、各アップリンク時間スロットの状態を記述する予約マップを、各周波数で、次の所定数の時間単位(たとえば、秒)の間、各協同ベース・ステーションに対して送信する。したがって、たとえば、ベース・ステーション110は、ベース・ステーション2、520の予約マップを受信する(協同リスト517を参照)。同様に、ベース・ステーション2、520は、ベース・ステーション1、510、ベース・ステーション3、530、およびベース・ステーション4、540の予約マップを受信する(協同リスト527を参照)。したがって、遠隔端末115/130から周波数/時間スロット配分の要求があったときには、ベース・ステーション1、510は、それ自体の配分マップ515と、協同ベース・ステーション2、520の配分マップとを検査する。同様に、ベース・ステーション2、520は、それ自体の配分マップ525と、協同ベース・ステーション1、510、ベース・ステーション3、530、およびベース・ステーション4、540の配分マップとを検査する。
【0041】
時間スロット/周波数配分の予約は周期的に行なっても良い。たとえば、周波数/時間スロット予約を、既知の時間ベース(たとえば、1、2、または3秒)で行なっても良い。この場合、ベースから送信されるのは、与えられたスロットがビジーであるのは、要求された既知の時間ベースの間のみであるということ、すなわち、複数秒エポックに渡るスロット配分が静的であっても、マップの無線一斉送信が時間ベースごとに変わる可能性があるということである。これは、ベースが、複数秒エポック内の各秒に対して異なる配分マップを保持するという点で行なわれる。
【0042】
協同ベース・ステーションの予約マップを、1または複数の周波数で送信して、少なくとも1つの次の時間スロットの間、関連するベース・ステーションに、アップリンク・チャネルの周波数/時間スロット配分の現在の配分を送っても良い。より大きいデータ・チャネルを用いることができ、このようなデータ/チャネルには、より大きいマップが必要である。なぜならば、周波数/秒当たりに、より多くのアップリンク・スロットが存在するからである。
【0043】
図5Aに例示しているのは、各ベース・ステーション110がそれ自体の予約マップを保持している場合であるが、本発明の別の態様においては、予約マップを単一のサーバ(たとえば、サーバ210、図2を参照)に保持しても良い。各ベース・ステーションは、周波数/時間スロット情報をサーバ210に送っても良く、そこで、送られたデータを蓄積して照合しても良い。そして、ベース・ステーションに対する予約マップを、ベース・ステーションの協同リスト上の協同ベース・ステーションに周期的に送っても良い。
【0044】
図7A〜7Dに、本発明の原理により周波数/スロット配分を決定するための典型的なプロセスのフローチャートを例示する。図7Aには、ベース・ステーションに付随する遠隔端末の周波数/時間スロット配分を初期化するための処理を例示する。図7Aを参照して、ベース・ステーションが、協同ベース・ステーションに付随する予約マップを受信する(ステップ710)。協同ベース・ステーションに付随する予約マップは、対応する協同ベース・ステーションの周波数/時間スロット配分を表わす。ブロック715において、第1の遠隔端末を取得する。ブロック720において、利用可能な周波数/時間スロットを、ベース・ステーションの予約マップに基づいて取得する。ブロック725において、取得した利用可能な周波数/時間スロットが、受信した協同ベース・ステーションの予約マップのいずれか1つにおいてビジーであると示されているか否かについて判定を行なう。周波数/時間がビジーであるかまたは使用中であると示された場合、次の周波数/時間スロットを取得する(ブロック720)。
【0045】
そうでなければ、周波数/時間スロットを遠隔端末に割り当てる(ブロック730)。ベース・ステーションの予約マップを更新して、周波数/時間スロットが今や配分されている(ビジーである)と示す(ブロック735)。ブロック740において、協同ベース・ステーションに、更新した予約マップを通知する。ブロック745において、割り当てられた周波数/時間スロットに付随する経年カウンタをセットする。経年カウンタによって、周波数/時間スロットを保持する必要性を再評価する前に周波数/時間スロットが使用中である限られた時間枠が可能になる。
【0046】
ブロック750において、次の遠隔端末が選択され、ブロック755において、すべての遠隔端末がアクセスされたか否かについて判定を行なう。応答が否定的である場合には、処理を続ける(ブロック720)。
【0047】
そうでなければ、ベース・ステーション予約マップを完成させて(ブロック760)、完成させた予約を各協同ベース・ステーションに送る。
【0048】
図7Bに例示するのは、割り当てられた周波数/時間スロット配分が必要であるか否かを判定するためのプロセスである。ブロック770において、既知の時間が満了したか否かについて判定を行なう。応答が否定的である場合には、処理を存続させる。
【0049】
しかし、応答が肯定的である場合には、周波数/時間スロットを予約マップから取得する(ブロック775)。ブロック780において、周波数/時間スロットに付随する経年カウンタを既知量だけ減らす。ブロック782において、経年カウンタが満了したか否かについて判定を行なう。応答が肯定的である場合には、周波数/時間スロットをクリアにする(すなわち、ビジーでないとマーキングされる)。そうでなければ、処理を続けてブロック785に行き、次の周波数/時間スロットを取得する。ブロック790において、予約における周波数/時間スロットがすべて処理されたか否かについて判定を行なう。応答が否定的である場合には、処理を続ける(ブロック780)。そうでなければ、処理を終了させる。
【0050】
この例示的なプロセスでは、各周波数/時間スロット(別個に割り当てた経年カウンタに付随しても良い)を定期的に試験して、周波数/時間スロットが依然として必要であるか否かについて判定する。理解されるように、すべての周波数/時間スロットが同時に経年した場合、新しい周波数/時間スロット配分を、図7Aに示す処理を行なうことによって取得しても良い。
【0051】
図7Cに、本発明の原理による協同ベース・ステーションを決定するための典型的なプロセスを例示する。この典型的なプロセスでは、インデックスiを初期化する(ブロック810)。ブロック815において、ベース・ステーション(BSi)を取得する。ブロック820において、第2のインデックスjを初期化し、ブロック825において、ベース・ステーション(BSj)を取得する。ブロック830において、取得したベース・ステーションが同じであるか否かについて判定を行ない、そうである場合には、次の第2のインデックスjを取得し(ブロック895)、すべてのベース・ステーションを処理したら処理を続ける(ブロック825)。
【0052】
ブロック835において、ブロッキング回避基準が満たされているか否かについて判定を行なう。以下に詳細に説明するように、典型的なブロッキング回避基準を、図8A(ブロッキングなし)および8B(ブロッキング)に例示する。ベース・ステーションBSi(1010)およびベース・ステーションBSj(1020)それぞれに対する信頼性の高いベース・ステーション/遠隔の無線有効範囲(1015および1025)の領域を考慮することは、以下の数式表現を満たすことである。Diimax/Djimin>10^((C/I)/K)。ここで、Diimaxは、ベース・ステーションBSiおよびベース・ステーションBSi(1017)に付随することができる任意の遠隔(1012)間の最大距離である。Djiminは、ベース・ステーションBSjおよびベース・ステーションBSi(1018)に付随することができる任意の遠隔(1022)間の最小距離である。(C/I)は、ベース・ステーションBSiにおける無線受信機によって実現可能な搬送波対干渉波比であり、Kは、無線周波数信号強度対距離の減少を表わす環境定数である?応答が肯定的である場合には、ベース・ステーションBSiに付随する遠隔には、ベース・ステーションBSjに付随する遠隔によるブロッキングがないと想定される。
【0053】
しかし、応答が否定的である場合には、BSjに付随する遠隔とBSiに付随する遠隔との間にブロッキングが起こる可能性があるため、BSiおよびBSjは協同関係を持たなければならない。この関係の表示は、BSiおよびBSj両方の協同リストにおいてなされる。そして処理は、前述と同様に続いて(ブロック895)、次のベース・ステーション(j)をチェックする。
【0054】
図5Aのネットワーク構成を参照して、ベース・ステーション4、540は、ベース・ステーション2、520と協同している。なぜならば、図8Bに示すように、これら2つのベースに付随する遠隔の送信間にブロッキングが起こる可能性があるからである。しかし、たとえば、ベース・ステーション4はベース・ステーション1、510とは協同関係にはない。なぜならば、(図8Aの場合と同様に)2つのベースに付随する遠隔間のブロッキングが起こるであろう領域が存在しないからである。
【0055】
図7Dを参照して、遠隔端末通信装置をベース・ステーションに登録するための1つの典型的なプロセスを示す。遠隔端末通信装置は、ダウンストリーム時間枠の間に周波数F1〜FNのすべてを同時にリッスンして(925に示す)、信号品質を判定し(925)、最良または最大信号品質を有するベース・ステーションを保存する(940に示す)。この品質測定を、受信信号強度表示(RSSI)、信号対雑音比(SNR)、または予想される受信メッセージの割合(RX%)を用いて決定しても良い。図7Dに、複数のベース・ステーション(i)から受信する信号に対する最大信号品質を決定するための1つの典型的なプロセスを示す。921および923において、iおよびQMAXを初期化し、925において、信号品質(i)をベース・ステーション(i)から受信する。信号品質(i)とQMAXとの比較を判定して(935)、品質(i)がQMAXよりも大きい場合には、それを保存する(940)。遠隔装置の通信距離内のすべてのベース・ステーションについて評価するまで、プロセスを各ベース・ステーション(i)に対して続ける(945)。1つのベース・ステーションのみが通信距離内にある場合に、ベース・ステーションの信号品質が最大となることに注意されたい。いったん最大信号品質が決定されれば、遠隔端末は、予約マップを、最大信号品質を有する周波数で検査して、所望する数の時間スロットを要求する。その結果、遠隔端末がそのベース・ステーションに登録される。最良の信号品質を伴うベース・ステーションが変わったら、遠隔端末はそのベース・ステーション選択を変えて(たとえば940に示すように)、時間スロット配分を、必要に応じて、図7Aに示したものと同様の方法で再設定する。
【0056】
その後、遠隔装置に対する送信をすべて、遠隔を登録したベース・ステーションから行なっても良い。前述したように、ベース・ステーション送信機に対する予約マップを、局所的に(ベース・ステーション内に)保持しても良いし、またはベース・ステーションから離れて保持しても良い。一態様においては、予約マップをシステム・サーバ(210、図2)に収容しても良く、予約マップはすべての遠隔サイトの登録に基づく。本発明の一態様においては、ベース・ステーションはさらに、隣接するベース・ステーション(または規定されたベース・ステーション・グループ)に付随する周波数でのスロットの配分をブロックする。このブロッキングは、ベース・ステーション間で生じる可能性がある干渉信号を減らすため、好都合である。
【0057】
図8Bに、単一のベース・ステーション1010と通信状態にある2つの遠隔端末1012および1022間の干渉を判定する例を例示する。この例示した例では、周波数/スロット配分を2つの端末の一方に対して予約すると想定し、2番目の遠隔端末に対する周波数/スロットの配分を、2つの遠隔端末間の干渉を回避するように行なう。たとえば、本発明の一態様において、2つの周波数(すなわち、N=2)を、ベース・ステーション1010および1020間で配分しても良いことを想定し、各遠隔端末1012および1022をそれ自体の周波数で配分しても良い。しかし、利用可能な周波数を再利用して、保持する必要がある周波数の数を最小限にするために、2つの遠隔端末1012および1022に同じ周波数/時間スロットを配分することを、図8Aの場合と同様に、2つの端末1012および1022の送信間の干渉が既知の基準を満たすときに、行なっても良い。
【0058】
図8Aを参照して、以下の基準が満たされる場合には、周波数を再利用しても(すなわち、同時に2つの遠隔端末に割り当てても)良い。
【0059】
Diimax/Dijmin>10(C/I)/K
ここで、Diimaxは、第1のベース・ステーション(1010)から、第1のベース・ステーション(1010)に付随する任意の遠隔端末(1012)までの最大距離を表わす。
【0060】
Dijminは、第1のベース・ステーション(1010)から、第2のベース・ステーション(1020)に付随する遠隔端末(1022)までの最小距離を表わし、C/Iは、所望の搬送波対干渉波比を表わし、Kは、RF伝搬定数を表わす。
【0061】
本発明の一態様では、干渉基準は、ベース・ステーション1010を囲む地理トポロジを考慮しても良く、したがって、RF伝搬定数(すなわち、自由空間経路損失)(K)を、相応に変更しても良い。本発明の概念上の実施形態において、自由空間損失定数(K)を、20、35、および40dbのうちの1つであると示しても良い。理解されるように、自由空間経路損失値(K)を、具体的な環境に基づいて選んでも良いし、環境内の測定または計算によって決定しても良い。さらに、搬送波対干渉波比(C/I)は、無線受信機およびモデム性能特性に応じて変わっても良い。
【0062】
空間的冗長性:
本発明の一態様においては、すべてのベース・ステーションは、広帯域受信システムを用いて、すべてのアップストリーム時間スロットの間にすべてのN個のアップリンク周波数をリッスンする。すべてのパケットを、パケット・アドレス指定に依存して、システム・サーバまたはアドレス指定されたベース・ステーションに転送する。このため、空間的冗長性が形成され、移動システムにおけるシステム・ハンドオフが単純になる。
【0063】
本発明による前述の方法は、ハードウェアにおいて実現することもできるし、記録媒体たとえばCDROM、RAM、フロッピー・ディスク、ハード・ディスク、もしくは光磁気ディスクに記憶することができるかまたはネットワーク上でダウンロードすることができるソフトウェアまたはコンピュータ・コードとして実現することもできる。そのため、本明細書で説明した方法を、このようなソフトウェアにおいて汎用コンピュータまたは特別なプロセッサを用いて行なうこともできるし、プログラマブルまたは専用のハードウェア(たとえばASICもしくはFPGA)において行なうこともできる。当該技術分野において理解されるように、コンピュータ、プロセッサまたはプログラマブル・ハードウェアは、メモリ・コンポーネント(たとえば、RAM、ROM、フラッシュなど)を備えている。これは、コンピュータ、プロセッサ、またはハードウェアによってアクセスおよび実行されると本明細書で説明した処理方法を実施するソフトウェアまたはコンピュータ・コードを記憶しても良いし、受け取っても良いものである。コードは、汎用コンピュータにロードされたときに、汎用コンピュータを、部分的には本明細書で示した処理に専用であっても良い専用コンピュータに変えても良い。
【0064】
その好ましい実施形態に適用したときの本発明の基本的な新しい特徴を図示し、説明し、指摘してきたが、当然のことながら、例示した装置の形態および詳細およびそれらの動作における種々の省略および置換および変形を、当業者が本発明の趣旨から逸脱することなく行なっても良い。たとえば、同じ結果を達成するために実質的に同じ方法で実質的に同じ機能を行なう要素および/または方法ステップのすべての任意の組み合わせは本発明の範囲内であることが、はっきりと意図されている。
【0065】
また、本発明の任意の開示した形態または実施形態と関連して図示および/または説明した構造および/または要素および/または方法ステップを、デザイン上の選択の一般的な問題として、任意の他の開示または説明または示唆した形態または実施形態に取り入れても良いことを認識されたい。したがって、本明細書に添付の請求項の範囲が示すように限定されることのみが意図されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース・ステーションであって、
少なくとも1つの他のベース・ステーションと複数の遠隔装置とから情報を受信しそれらに情報を送信するための送受信システムと、
前記送受信システムと通信状態にある設備であって、前記複数の遠隔装置のうちの一部を選択するための通信配分を決定するように構成された設備と、を備え、
前記設備は、メモリと通信状態にあるプロセッサを備え、前記メモリに含まれるコードは、前記プロセッサによってアクセスされたときに、前記プロセッサに、
前記ベース・ステーションに付随する通信配分の予約マップから利用可能な通信配分を取得することであって、前記通信配分は、少なくとも1つの周波数と少なくとも1つの付随する時間スロットとの配分を含む、取得することと、
前記ベース・ステーションと協同して動作する前記少なくとも1つの他のベース・ステーションのそれぞれが有する通信配分マッピングを受信することと、
前記受信した通信配分マッピング間の通信配分の点から、前記取得した利用可能な通信配分の適合性を判定することと、
前記取得した利用可能な通信は好適であると判定されたときに、前記予約マップ内に、前記利用可能な通信配分の割当てを示すための表示を与えることと、
更新された予約マップを前記協同ベース・ステーションのそれぞれに送ることと、を行なわせるベース・ステーション。
【請求項2】
前記取得した利用可能な通信配分が前記受信した配分マッピングのそれぞれにおいて利用可能であるときに、適合性が判定される請求項1に記載のベース・ステーション。
【請求項3】
前記予約マッピングは、前記ベース・ステーションに付随する少なくとも1つの周波数と1つの時間スロット配分とを含む請求項1に記載のベース・ステーション。
【請求項4】
前記プロセッサはさらに、前記複数のベース・ステーションの中からの協同ベース・ステーションのリストを保持する請求項1に記載のベース・ステーション。
【請求項5】
前記協同ベース・ステーションリスト内に収容される前記ベース・ステーションは、可能性がある遠隔端末の相対位置と前記可能性がある遠隔端末からの予想される電波伝搬とのうちの少なくとも1つに基づいて決定される請求項4に記載のベース・ステーション。
【請求項6】
前記プロセッサは、前記割り当てられた利用可能な通信配分のそれぞれに対して、所定時間の後に満了する経年カウンタを付随させた請求項1に記載のベース・ステーション。
【請求項7】
複数のベース・ステーションおよび遠隔端末間の通信配分を決定するための、ベース・ステーションにおいて実施可能な方法であって、
前記複数のベース・ステーションの協同ベース・ステーションから通信配分情報を受信することと、
通信配分の予約マップから利用可能な通信配分を取得することであって、前記通信配分は、少なくとも1つの周波数と少なくとも1つの付随する時間スロットとの配分を含む、取得することと、
前記受信した通信配分情報の点から、前記取得した利用可能な通信配分の適合性を判定することと、
前記取得した利用可能な通信は好適であると判定したときに、前記予約マップ内に、前記取得した利用可能な通信配分の割当てを示す表示を与えることと、
更新された予約マップを前記協同ベース・ステーションのそれぞれに送ることと、を含む方法。
【請求項8】
前記取得した利用可能な通信配分が前記受信した配分のそれぞれにおいて利用可能であるときに、適合性を判定する請求項7に記載の方法。
【請求項9】
複数のベース・ステーションの中で複数の遠隔端末と通信状態にある協同ベース・ステーションを決定するための、処理システムにおいて実施可能な方法であって、
前記ベース・ステーションのそれぞれに対して、無線有効範囲の形状および可能な付随する遠隔端末位置を分析することと、
知られているブロッキング回避基準が満たされないときに前記第1および第2のベース・ステーションを協同として割り当てることであって、
前記知られているブロッキング回避基準は、
D1/D2>10(C/I)/K
して示され、ここで、
D1は、前記第1のベース・ステーションから、前記第1のベース・ステーションに付随する任意の遠隔端末までの最大距離を表わし、
D2は、前記第1のベース・ステーションから、前記第2のベース・ステーションに付随する任意の遠隔端末までの最小距離を表わし、
C/Iは、所望の搬送波対干渉波比を表わし、
Kは、RF伝搬定数を表わす、割り当てることと、を含む方法。
【請求項10】
請求項1に記載の複数のベース・ステーションを備え、さらに少なくとも1つの遠隔端末を備えるネットワーク・システムであって、
前記少なくとも1つの遠隔端末は、
少なくとも1つのベース・ステーションと複数の他の遠隔端末とから情報を受信しそれらに情報を送信するための送受信システムと、
前記送受信システムと通信状態にある設備であって、前記複数のベース・ステーションのうち前記設備に登録するためのベース・ステーションを選択するように構成された設備と、を備え、
前記設備は、メモリと通信状態にあるプロセッサを備え、前記メモリに含まれるコードは、前記プロセッサによってアクセスされたときに、前記プロセッサに、
前記複数のベース・ステーションのそれぞれの信号品質を、受信信号強度、予想される受信メッセージの割合、および信号対雑音比のうちの少なくとも1つに基づいて決定することと、
前記複数のベース・ステーションのそれぞれの前記信号品質から最大信号品質を決定することと、
前記最大信号品質を有する前記ベース・ステーションに前記遠隔端末を登録し、前記ベース・ステーションからの通信配分マッピングを要求することと、を行なわせるネットワーク・システム。
【請求項11】
前記通信配分マッピングは、少なくとも1つの周波数と1つの時間スロット配分とを含む請求項10に記載のネットワーク・システム。
【請求項1】
ベース・ステーションであって、
少なくとも1つの他のベース・ステーションと複数の遠隔装置とから情報を受信しそれらに情報を送信するための送受信システムと、
前記送受信システムと通信状態にある設備であって、前記複数の遠隔装置のうちの一部を選択するための通信配分を決定するように構成された設備と、を備え、
前記設備は、メモリと通信状態にあるプロセッサを備え、前記メモリに含まれるコードは、前記プロセッサによってアクセスされたときに、前記プロセッサに、
前記ベース・ステーションに付随する通信配分の予約マップから利用可能な通信配分を取得することであって、前記通信配分は、少なくとも1つの周波数と少なくとも1つの付随する時間スロットとの配分を含む、取得することと、
前記ベース・ステーションと協同して動作する前記少なくとも1つの他のベース・ステーションのそれぞれが有する通信配分マッピングを受信することと、
前記受信した通信配分マッピング間の通信配分の点から、前記取得した利用可能な通信配分の適合性を判定することと、
前記取得した利用可能な通信は好適であると判定されたときに、前記予約マップ内に、前記利用可能な通信配分の割当てを示すための表示を与えることと、
更新された予約マップを前記協同ベース・ステーションのそれぞれに送ることと、を行なわせるベース・ステーション。
【請求項2】
前記取得した利用可能な通信配分が前記受信した配分マッピングのそれぞれにおいて利用可能であるときに、適合性が判定される請求項1に記載のベース・ステーション。
【請求項3】
前記予約マッピングは、前記ベース・ステーションに付随する少なくとも1つの周波数と1つの時間スロット配分とを含む請求項1に記載のベース・ステーション。
【請求項4】
前記プロセッサはさらに、前記複数のベース・ステーションの中からの協同ベース・ステーションのリストを保持する請求項1に記載のベース・ステーション。
【請求項5】
前記協同ベース・ステーションリスト内に収容される前記ベース・ステーションは、可能性がある遠隔端末の相対位置と前記可能性がある遠隔端末からの予想される電波伝搬とのうちの少なくとも1つに基づいて決定される請求項4に記載のベース・ステーション。
【請求項6】
前記プロセッサは、前記割り当てられた利用可能な通信配分のそれぞれに対して、所定時間の後に満了する経年カウンタを付随させた請求項1に記載のベース・ステーション。
【請求項7】
複数のベース・ステーションおよび遠隔端末間の通信配分を決定するための、ベース・ステーションにおいて実施可能な方法であって、
前記複数のベース・ステーションの協同ベース・ステーションから通信配分情報を受信することと、
通信配分の予約マップから利用可能な通信配分を取得することであって、前記通信配分は、少なくとも1つの周波数と少なくとも1つの付随する時間スロットとの配分を含む、取得することと、
前記受信した通信配分情報の点から、前記取得した利用可能な通信配分の適合性を判定することと、
前記取得した利用可能な通信は好適であると判定したときに、前記予約マップ内に、前記取得した利用可能な通信配分の割当てを示す表示を与えることと、
更新された予約マップを前記協同ベース・ステーションのそれぞれに送ることと、を含む方法。
【請求項8】
前記取得した利用可能な通信配分が前記受信した配分のそれぞれにおいて利用可能であるときに、適合性を判定する請求項7に記載の方法。
【請求項9】
複数のベース・ステーションの中で複数の遠隔端末と通信状態にある協同ベース・ステーションを決定するための、処理システムにおいて実施可能な方法であって、
前記ベース・ステーションのそれぞれに対して、無線有効範囲の形状および可能な付随する遠隔端末位置を分析することと、
知られているブロッキング回避基準が満たされないときに前記第1および第2のベース・ステーションを協同として割り当てることであって、
前記知られているブロッキング回避基準は、
D1/D2>10(C/I)/K
して示され、ここで、
D1は、前記第1のベース・ステーションから、前記第1のベース・ステーションに付随する任意の遠隔端末までの最大距離を表わし、
D2は、前記第1のベース・ステーションから、前記第2のベース・ステーションに付随する任意の遠隔端末までの最小距離を表わし、
C/Iは、所望の搬送波対干渉波比を表わし、
Kは、RF伝搬定数を表わす、割り当てることと、を含む方法。
【請求項10】
請求項1に記載の複数のベース・ステーションを備え、さらに少なくとも1つの遠隔端末を備えるネットワーク・システムであって、
前記少なくとも1つの遠隔端末は、
少なくとも1つのベース・ステーションと複数の他の遠隔端末とから情報を受信しそれらに情報を送信するための送受信システムと、
前記送受信システムと通信状態にある設備であって、前記複数のベース・ステーションのうち前記設備に登録するためのベース・ステーションを選択するように構成された設備と、を備え、
前記設備は、メモリと通信状態にあるプロセッサを備え、前記メモリに含まれるコードは、前記プロセッサによってアクセスされたときに、前記プロセッサに、
前記複数のベース・ステーションのそれぞれの信号品質を、受信信号強度、予想される受信メッセージの割合、および信号対雑音比のうちの少なくとも1つに基づいて決定することと、
前記複数のベース・ステーションのそれぞれの前記信号品質から最大信号品質を決定することと、
前記最大信号品質を有する前記ベース・ステーションに前記遠隔端末を登録し、前記ベース・ステーションからの通信配分マッピングを要求することと、を行なわせるネットワーク・システム。
【請求項11】
前記通信配分マッピングは、少なくとも1つの周波数と1つの時間スロット配分とを含む請求項10に記載のネットワーク・システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図7D】
【図8A】
【図8B】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図7D】
【図8A】
【図8B】
【公表番号】特表2013−513293(P2013−513293A)
【公表日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−542015(P2012−542015)
【出願日】平成22年11月1日(2010.11.1)
【国際出願番号】PCT/US2010/054914
【国際公開番号】WO2011/068613
【国際公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.フロッピー
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年11月1日(2010.11.1)
【国際出願番号】PCT/US2010/054914
【国際公開番号】WO2011/068613
【国際公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.フロッピー
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【Fターム(参考)】
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