説明

多孔質溶解性固体基材と、マトリックスミクロスフェアを含む表面残留コーティング

本発明は、パーソナルケア組成物、特に多孔質溶解性固体基材であるパーソナルケア物品の形のパーソナルケア組成物に関する。この多孔質溶解性固体基材は、消費者の利点をもたらし得るような、約25%〜約70%のデンプン誘導材料と、約5%〜約60%のカチオン性界面活性剤コンディショナーと、約5%〜約60%の香料とを含む、表面残留コーティングを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パーソナルケア組成物、特に多孔質溶解性固体基材と、カチオン性界面活性剤コンディショナー及び香料を含む表面残留コーティングとを含む、物品の形のパーソナルケア効果を提供するパーソナルケア組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
パーソナルケア組成物は、従来、液体製品として販売されてきた。このような液体パーソナルケア製品は典型的に、特に洗浄組成物において、かなりの量の水及びアニオン性界面活性剤をその処方中に含んでいる。液体であることに加えて、パーソナルケア製品の多くは、消費者が一般によい香りのパーソナルケア製品を望むため、芳香剤を含んでいる。パーソナルケア組成物、特に洗浄及びコンディショニング組成物は、伝統的に洗浄組成物又はコンディショニング組成物のいずれかとして市販されている。これらの独立した組成物は、消費者に受け入れられる洗浄効果及びコンディショニング効果を有していたが、ツーインワンの洗浄・コンディショニング組成物に対するニーズは依然として存在した。その結果、さまざまな「ツーインワン」組成物が作られた。しかしながら、従来のコンディショニング活性物質(すなわちカチオン性界面活性剤コンディショナー)は、泡立ちのために、シャンプー/洗浄製品に含まれているアニオン性界面活性剤と反応してしまう欠点を有していたため、このようなツーインワン組成物用に新しいコンディショニング活性物質を作製しなければならなかった。これらの新しいコンディショニング活性物質は必ずしも、従来のコンディショニング活性物質(すなわちカチオン性界面活性剤)によって達成されるコンディショニング効果を再現するものではなかった。
【0003】
更に、パーソナルケア製品中に水があるため、芳香剤の含有は、水溶性の両親媒性物質集合体(ミセル、液状結晶など)内の可溶化又は乳化に限られる。その結果、芳香剤分子の大部分が、そのような水溶性集合体中に「閉じ込められ」、これにより、製品の使用中に芳香剤を消費者の鼻孔(即ち、低い芳香剤放出)と標的ケラチン基質(即ち、皮膚及び毛髪)とに効率的に送達するのが制限されることがある。更に、芳香剤の選択は、消費者に単一の芳香体験を提供するものに限られ(即ち、パッケージ化された製品の芳香剤は同一であり、使用中に体験する唯一の芳香剤である)、使用中に水によって活性化される芳香剤の送達を妨げる。
【0004】
加えて、アラビアゴム(例えばマルトデキストリン及びデンプン誘導材料などの従来のマトリックス材料と組み合わせた、乳化性マトリックス材料として)と一緒にスプレー乾燥させる従来用いられていた方法を利用して、マトリックスミクロスフェアがカチオン性界面活性剤コンディショナーと高効果香料アコードとの両方を含んで作製された場合、アラビアゴムは、カチオン性界面活性剤と不相溶性であることが見出された。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
よって、望ましいカチオン性界面活性剤コンディショナーと芳香剤を、消費者の使用中に、もっと効果的に送達できるようなパーソナルケア製品を提供することが、本発明の目的である。本発明の目的は、また、水で活性化することができる芳香剤を送達する(即ち、使用中に製品に水を加えることにより香料の放出を最大限に開始する)パーソナルケア物品を提供することである。本発明の目的は、更に、第1芳香剤だけでなく、使用中に水で活性化される第2の芳香剤噴出の元になる第2芳香剤も送達することができる、パーソナルケア物品を提供することである。例えば、パーソナルケア物品は、水と組み合わされる前に1つの芳香剤を有し、また水との接触後に、パーソナルケア物品は、第2芳香剤及び/又は同じ最初の芳香剤の芳香剤放散(bloom)を有することができる。更に、スプレー乾燥できないゲル沈殿分散の配合なしに、望ましいレベルのカチオン性界面活性剤コンディショナーと高効果芳香剤とを含むマトリックスミクロスフェアを作製することが、本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は前述の要求を満たす。本発明は、使用前と使用中との両方で消費者が望む芳香剤を提供しながら、毛髪への適用が容易になるように消費者の手のひらで便利にかつ素早く溶解して、液体パーソナルケア組成物を再構成することができる、単位用量パーソナルケア物品の形態の多孔質溶解性固体基材を提供する。
【0007】
パーソナルケア物品は、次のものを含む:(i)約10%〜約75%の界面活性剤と、約10%〜約50%の水溶性ポリマーと、約1%〜約30%の可塑剤と、を含む多孔質溶解性固体基材、及び(ii)約10%〜約100%のマトリックスミクロスフェアを含む表面残留コーティングであって、該マトリックスミクロスフェアは約25%〜約70%のデンプン誘導材料と、約5%〜約60%のカチオン性界面活性剤コンディショナーと、約5%〜約60%の香料と、を含む表面残留コーティング、を含み、かつ溶解性固体基材と、マトリックスミクロスフェアを含む表面残留コーティングとの比が、約110:1〜約0.5:1である、パーソナルケア物品。
【0008】
パーソナルケア物品の製造方法であって、この方法は、表面残留コーティングを適用する工程を含み、この表面残留コーティングは、約10%〜約100%のマトリックスミクロスフェアを含み、このマトリックスミクロスフェアは、多孔質溶解性固体基材に対して、約25%〜約70%のデンプン誘導材料と、約5%〜約60%のカチオン性界面活性剤コンディショナーと、約5%〜約60%の香料とを含み、ここにおいて多孔質溶解性固体基材は、約10%〜約75%の界面活性剤と、約10%〜約50%の水溶性ポリマーと、約1%〜30%の可塑剤とを含む。
【0009】
パーソナルケア物品の製造方法であって、この方法は、約5%〜約50%の界面活性剤と、約5%〜約35%の水溶性ポリマーと、約0.5%〜約20%の可塑剤とを含む加工混合物を調製する工程と;ガスをこの加工混合物に導入することにより加工混合物をエアレーションして、湿潤気泡化混合物を形成する工程と;この湿潤気泡化混合物を1つ以上の所望の形状に形成する工程と;この湿潤気泡化混合物を乾燥させて多孔質溶解性固体基材を形成する工程と;約10%〜約100%のマトリックスミクロスフェアを含む表面残留コーティングを適用する工程であって、ここにおいてこのマトリックスミクロスフェアは、多孔質溶解性固体基材に対して、約25%〜約70%のデンプン誘導材料と、約5%〜約60%のカチオン性界面活性剤コンディショナーと、約5%〜約60%の香料とを含む、工程と;を含む。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本明細書は、本発明を特定して指摘し明確に請求する請求項で完結しているが、本発明は、実施形態の以下の説明を、類似の参照番号が類似の要素を特定する添付図面と併せ読むことにより、より良好に理解されると考えられる。
【図1】表面残留コーティングを有する多孔質溶解性固体基材の概略図。
【図2】表面残留コーティングを間に有する2つの多孔質溶解性固体基材の概略図。
【図3A】くぼみ内に表面残留コーティングを有する、くぼみのある多孔質溶解性固体基材の概略図。
【図3B】くぼみ内に表面残留コーティングを有する、くぼみのある多孔質溶解性固体基材の概略図。
【図4】表面残留コーティングを密封するように折り畳んだ多孔質溶解性固体基材の概略図。
【図5】多孔質溶解性固体基材のマイクロCT立体画像。
【図6】多孔質溶解性固体基材の上領域と中領域と下領域のスーパーインポーズ断面SEM画像。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明のすべての実施形態において特に断らないかぎり、百分率はすべて、組成物全体の重量を基準としている。特に別段の指定がない限り、割合は全て、重量比である。全ての範囲は、包括的及び結合可能である。有効数字の数は、表示された量に対する限定を表すものでも、測定値の精度に対する限定を表すものでもない。特に断らないかぎり、数量はいずれも、「約」という語によって修飾されているものと理解される。特に断らないかぎり、すべての測定は25℃で周囲条件下において行われたものと理解される。ただし「周囲条件」とは、約1気圧の圧力下で約50%の相対湿度における条件のことを意味する。列挙される成分についてのこうした重量はすべて活性レベルに基づいたものであり、特に断らないかぎり、市販の物質に含有される可能性のある基剤又は副生成物は含まれない。
【0012】
I.用語の定義
本明細書で使用されるとき、用語「パーソナルケア組成物」は、過度の望ましくない影響なしに哺乳動物の毛髪及び皮膚に適用されることがある組成物を意味する。
【0013】
用語「表面残留コーティング」は、本明細書で使用されるとき、多孔質溶解性固体基材の、固体/空気界面の少なくとも一部分に吸着された、表面残留コーティングを指す。
【0014】
本明細書で使用されるとき、「パーソナルケア物品」は、界面活性剤、水溶性ポリマー、及び可塑剤を、デンプン誘導材料、カチオン性界面活性剤コンディショナー、及び香料を含んだ表面残留コーティングと共に含む、多孔質溶解性固体基材を意味する。パーソナルケア物品は、本明細書で「物品」と呼ばれることがある。
【0015】
本明細書で使用されるとき、「溶解性」は、多孔質溶解性固体基材が、本明細書に記載の「手溶解方式試験」を満足する溶解度を有することを意味する。
【0016】
本明細書で使用されるとき、「マトリックスミクロスフェア」は、カチオン性界面活性剤コンディショナーと香料の封入を意味する。マトリックスミクロスフェアはまた、本明細書において「ミクロスフェア」と称されることがある。
【0017】
本明細書で使用されるとき、「多孔質溶解性固体基材」は、周囲大気のガス(通常は、空気)を含む空間又は気泡の相互接続網を定義する固体高分子含有マトリックスを意味する。その構造物の相互結合性は、星形体積、構造モデル指数(SMI)、又は開放気泡含有百分率によって記載され得る。
【0018】
II.パーソナルケア物品
本発明のパーソナルケア物品は、消費者の使用中に、香料とコンディショナーをより効率的に送達することによって、泡立ち/洗浄製品による独特な香料/芳香剤体験とコンディショニング体験を消費者に提供する。本発明の表面残留コーティングは、カチオン性界面活性剤コンディショナーと香料との両方を含むマトリックスミクロスフェアを含む。この材料は、従来使用されていたアラビアゴム乳化材料なしで作製され、これは、アラビアゴム乳化材料がカチオン性界面活性剤コンディショナーと不相溶性となり得るからである(アラビアゴムはアニオン性高分子である)。カチオン性界面活性剤コンディショナーは、従来の乳化性マトリックス混合物を使用することなく、十分な乳化特性を提供することが見出されており、これにより、カチオン性界面活性剤コンディショナーと香料との両方を含むマトリックスミクロスフェアがもたらされた。これらマトリックスミクロスフェアは、コンディショニング効果と芳香剤効果との両方を消費者に提供し、更に、同じミクロスフェアから2つの効果を提供することにより、本発明はまた、重量効率も生み出す(すなわち、特定の面積において望ましい活性物質レベルをもたらす)。この重量効率は、本発明のパーソナルケア物品にとって特に貴重であり、それは、多孔質溶解性固体基材の表面に接着し得る表面残留コーティングの量は、多孔質溶解性固体基材の大きさによって制限されるからである。例えば、各活性物質がそれ自体のミクロスフェアに含まれ、それぞれのミクロスフェアが多孔質溶解性固体基材の表面に接着する場合、これは、多孔質溶解性固体基材上に含まれ得る有用な活性物質の量を制限する可能性がある。
【0019】
A.多孔質溶解性固体基材
多孔質溶解性固体基材は、界面活性剤、水溶性ポリマー、及び可塑剤を含む。多孔質溶解性固体基材は、消費者の手のひらで便利かつ素早く溶解して、その結果、液体パーソナルケア組成物が得られるように調製することができる。溶解した後、このパーソナルケア組成物は、従来の液体パーソナルケア組成物と同じように使用することができ、即ち、頭皮及び/又は毛髪に適用することができる。多孔質溶解性固体基材は、最大気泡壁厚さを有する。多孔質溶解性固体基材は、約0.02mm〜約0.15mm、一実施形態では約0.025mm〜約0.12mm、別の一実施形態では約0.03mm〜約0.09mm、及び更に別の一実施形態では約0.035mm〜約0.06mmの気泡壁厚さを有する。多孔質溶解性固体基材は、気泡間に最低レベルの相互接続性を有し、この相互接続性は、星形体積、構造モデル指数(SMI)及び連続気泡含有率によって定量化される。多孔質溶解性固体基材は、約1mm3〜約90mm3、一実施形態では約1.5mm3〜約60mm3、別の一実施形態では約2mm3〜約30mm3、及び更に別の一実施形態では約2.5mm3〜約15mm3の星形体積を有する。多孔質溶解性固体基材は、約0.0〜約3.0、一実施形態では約0.5〜約2.75、及び別の一実施形態では約1.0〜約2.50の負でない構造モデル指数を有する。多孔質溶解性固体基材は、約80%〜100%、一実施形態では約85%〜約97.5%、及び別の一実施形態では約90%〜約95%の連続気泡含有率を有する。多孔質溶解性固体基材は、また、最小の比表面積を有する。多孔質溶解性固体基材は、約0.03m2/g〜約0.25m2/g、一実施形態では約0.035m2/g〜約0.22m2/g、別の一実施形態では約0.04m2/g〜約0.19m2/g、及び更に別の一実施形態では約0.045m2/g〜約0.16m2/gの比表面積を有する。多孔質溶解性固体基材は、約125g/m2〜約3,000g/m2であり、一実施形態では約300g/m2〜約2,500g/m2であり、別の一実施形態では約400g/m2〜約2,000g/m2であり、別の一実施形態では約500g/m2〜約1,500g/m2であり、別の一実施形態では約600g/m2〜約1,200g/m2であり、別の一実施形態では約700〜約1,000g/m2の坪量を有する。多孔質溶解性固体基材は、約0.03g/cm3〜約0.40g/cm3、一実施形態では約0.05g/cm3〜約0.35g/cm3、別の一実施形態では約0.08g/cm3〜約0.30g/cm3、別の一実施形態では約0.10g/cm3〜約0.25g/cm3、及び別の一実施形態では約0.12g/cm3〜約0.20g/cm3の固体密度を有する。
【0020】
一実施形態では、本発明の多孔質溶解性固体基材は、パッド、ストリップ又はテープの形の平らで柔軟な基材であり、また、以下の方法によって測定されるときに、約0.5mm〜約10mm、一実施形態では約1mm〜約9mm、別の一実施形態では約2mm〜約8mm、更に別の一実施形態では約3mm〜約7mmの厚さを有する。別の一実施形態では、本発明の多孔質溶解性固体基材は、溶解性繊維ウェブ構造の形態をとることも可能である。
【0021】
1.界面活性剤
本発明の多孔質溶解性固体基材は、消費者の適切な使用指示の下で泡立ち性でもよく、比非泡立ち性でもよい。多孔質溶解性基材は、乾燥(凝固)前に安定した発泡固体を生成するために加工助剤として少なくとも1つの界面活性剤を含み、泡立ち基材の場合には、界面活性剤は、発泡及び/又は洗浄剤として二重の働きを提供してもよい。
【0022】
a.泡立ち多孔質溶解性固体基材
泡立ち及び/又は清浄用の泡立ち多孔質溶解性固体基材は、パーソナルケア物品に対して、約10重量%〜約75重量%、一実施形態では約30重量%〜約70重量%、及び別の一実施形態では約40重量%〜約65重量%の界面活性剤を含み、界面活性剤は、グループIからの1つ以上の界面活性剤を含み、グループIは、ヘアケア又は他のパーソナルケア組成物で使用するのに適したアニオン性界面活性剤と、必要に応じてグループIIからの1つ以上の界面活性剤とを含み、グループIIは、ヘアケア又は他のパーソナルケア組成物で使用するのに適した両性、双極性イオン及びこれらの組み合わせからなる群から選択される界面活性剤を含み、グループIとグループIIとの界面活性剤の比は、約100:0〜約30:70である。本発明の別の一実施形態においては、グループIとグループIIの界面活性剤の比は、約85:15〜約40:60である。本発明の更に別の一実施形態においては、グループIとグループIIの界面活性剤の比は、約70:30〜約55:45である。
【0023】
アニオン性界面活性剤の非限定的な例は、米国特許第2,486,921号、同第2,486,922号、及び同第2,396,278号に記載されている。アニオン性界面活性剤は、アルキル及びアルキルエーテル硫酸塩、硫酸化モノグリセリド、スルホン化オレフィン、アルキルアリールスルホン酸塩、第一級又は第二級アルカンスルホン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、タウリン酸、イセチオン酸、アルキルグリセリルスルホン酸塩、スルホン化メチルエステル、スルホン化脂肪酸、アルキルリン酸塩、アシルグルタミン酸塩、アシルサルコシネート、アルキルラクチレート、アニオン性フルオロ界面活性剤、ラウロイルグルタミン酸ナトリウム、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されることができる。
【0024】
好適な双性イオン性又は両性界面活性剤の非限定例は、米国特許第5,104,646号(Bolich Jr.ら)、同第5,106,609号(Bolich Jr.ら)に記載されている。
【0025】
更なる適切なグループIとグループIIの界面活性剤には、米国特許出願第61/120,765号に開示された界面活性剤と、McCutcheon’s Detergents and Emulsifiers,North American Edition(1986),Allured Publishing Corp.、McCutcheon’s,Functional Materials,North American Edition(1992),Allured Publishing Corp.、及び米国特許第3,929,678号(Laughlinら)に開示された界面活性剤が挙げられる。適切な界面活性剤の他の非限定的な例は、米国特許出願第61/120,790号に含まれる。別の一実施形態では、本発明の多孔質溶解性固体基材は、溶解性繊維ウェブ構造の形態をとることも可能である。
【0026】
b.非泡立ち多孔質溶解性固体基材
非泡立ち多孔質溶解性固体基材は、パーソナルケア物品の約10重量%〜約75重量%、別の一実施形態では約15重量%〜約60重量%、及び別の一実施形態では約20重量%〜約50重量%の界面活性剤を含み、界面活性剤は、以下に述べる界面活性剤の1つ以上を含む。
【0027】
(i)アニオン性界面活性剤
本発明の多孔質溶解性固体基材が、非泡立ち性の場合、基材は、主に安定した発泡固体を製造する際の加工助剤として使用される最高レベル10%(又は、10%未満)のアニオン性界面活性剤を含んでもよい。
【0028】
(ii)カチオン性界面活性剤
一実施形態では、カチオン性界面活性剤は、安定した多孔質溶解性固体基材を製造する際の加工助剤として含まれる。本発明で使用される適切なカチオン性界面活性剤には、McCutcheon’s Detergents and Emulsifiers、North American edition(1986)、Allured Publishing Corp.、及びMcCutcheon’s Functional Materials,North American edition(1992)に記載されているものが挙げられる。好適な第四級アンモニウムカチオン性コンディショナー活性物質には、セチルトリメチルアンモニウムクロリド、ベヘニルトリメチルアンモニウムクロリド(BTAC)、ステアリルトリメチルアンモニウムクロリド、塩化セチルピリジニウム、オクタデシルトリメチルアンモニウムクロリド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロリド、オクチルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、デシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、ステアリルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、ジドデシルジメチルアンモニウムクロリド、ジオクタデシルジメチルアンモニウムクロリド、ジステアリルジメチルアンモニウムクロリド、タロートリメチルアンモニウムクロリド、ココトリメチルアンモニウムクロリド、ジパルミトイルエチルジメチルアンモニウムクロリド、PEG−2オレイルアンモニウムクロリド、及びこれらの塩を挙げることができ、クロリドはハロゲン(例えば臭素)、アセテート、シトレート、ラクテート、グリコレート、ホスフェートニトレート、サルフェート、又はアルキルサルフェートによって置換される。
【0029】
特定の一実施形態において、本発明に使用する第四級アンモニウムカチオン性コンディショナー活性物質は、市販されているセチルトリメチルアンモニウムクロリド(例えばGENAMIN CTAC(Clariantから販売)及びArquad 16/29(Akzo Nobelから販売))、ベヘニルトリメチルアンモニウムクロリド(BTMAC)(例えばGENAMIN KDMP(Clariantから販売)、及びジステアリルジメチルアンモニウムクロリド(例えばGENAMIN DSAP(Clariantから販売))である。上述の材料の任意の混合物も好適であり得る。好ましい一実施形態において、第四級アンモニウムカチオン性コンディショナー活性物質は、ベヘニルトリメチルアンモニウムクロリド(BTMAC)である。
【0030】
(iii)非イオン性界面活性剤
一実施形態では、非イオン性界面活性剤は、安定した多孔質溶解性固体基材を製造する際の加工助剤として含まれる。本発明で使用される適切な非イオン性界面活性剤には、McCutcheon’s Detergents and Emulsifiers,North American edition(1986),Allured Publishing Corp.、及びMcCutcheon’s Functional Materials,North American edition(1992)に記載されているものが挙げられる。本発明のパーソナルケア組成物での使用に好適な非イオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレン化アルキルフェノール、ポリオキシエチレン化アルコール、ポリオキシエチレン化ポリオキシプロピレングリコール、アルカン酸のグリセリルエステル、アルカン酸のポリグリセリルエステル、アルカン酸のプロピレングリコールエステル、アルカン酸のソルビトールエステル、アルカン酸のポリオキシエチレン化ソルビトールエステル、アルカン酸のポリオキシエチレングリコールエステル、ポリオキシエチレン化アルカン酸、アルカノールアミド、N−アルキルピロリドン、アルキルグリコシド、アルキルポリグルコシド、アルキルアミンオキシド、及びポリオキシエチレン化シリコーンが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0031】
(iv)高分子界面活性剤
高分子界面活性剤は、また、本発明の多孔質溶解性固体基材を製造する際の加工助剤として単独又はイオン性及び/又は非イオン性界面活性剤と組み合わせて使用される界面活性剤でもよい。本発明のパーソナルケア組成物での使用に好適な高分子界面活性剤としては、限定するものではないが、エチレンオキシドと脂肪族アルキル残基(fatty alkyl residues)とのブロックコポリマー、エチレンオキシドとプロピレンオキシドとのブロックコポリマー、疎水変性ポリアクリレート、疎水変性セルロース、シリコーンポリエーテル、シリコーンコポリオールエステル、ジ四級ポリジメチルシロキサン、及び共修飾されたアミノ/ポリエーテルシリコーンが挙げられる。
【0032】
2.水溶性ポリマー(「高分子構造化剤」)
多孔質溶解性固体基材は、構造化剤として機能する水溶性ポリマーを含む。本明細書で使用するとき、用語「水溶性ポリマー」は水溶性ポリマー及び水分散性高分子の両方を包含するのに十分幅広く、25℃において少なくとも約0.1グラム/リットル(g/L)として測定される、水への溶解度を備える、ポリマーとして定義される。いくつかの実施形態では、このポリマーは、25℃で測定されるときに、約0.1グラム/リットル(g/L)〜約500グラム/リットル(g/L)の水溶性を有する。(これは、巨視的に等方性の又は透明な、有色若しくは無色の溶液の生成を示す)。これらの固体物を作製するためのポリマーは、人工又は天然由来でもよく、化学反応の方法によって変性されてもよい。それは皮膜形成であってもよく、そうでなくてもよい。ポリマーは、生理学的に許容可能であるべきであり、つまり皮膚、粘膜、毛髪及び頭皮に適合すべきである。
【0033】
1つ以上の水溶性ポリマーは、多孔質溶解性固体基材の約10重量%〜約50重量%、一実施形態では、多孔質溶解性固体基材の約15重量%〜約40重量%、及び更に別の一実施形態では多孔質溶解性固体基材の約20重量%〜約30重量%存在してもよい。
【0034】
本発明の1つ以上の水溶性ポリマーを、重量平均分子量が約40,000〜約500,000、1つの実施形態においては約50,000〜約400,000、更に別の一実施形態においては約60,000〜約300,000、及び更に別の一実施形態においては約70,000〜約200,000であるように選択する。重量平均分子量は、各高分子原料の平均分子量に多孔質溶解性固体基材内にある高分子の全重量の相対重量パーセントを掛けたものを加算することにより計算される。
【0035】
一実施形態では、1つ以上の水溶性ポリマーの少なくとも1つは、約2重量%の水溶性ポリマー溶液が、20℃で約4センチポワズ〜約80センチポワズ、代替実施形態では約5センチポワズ〜約70センチポワズ、及び別の一実施形態では約6センチポワズ〜約60センチポワズの粘度を示すように選択される。
【0036】
本発明の水溶性ポリマーには、米国特許第5,582,786号及び欧州特許第A−397410号に記載されたようなエチレン不飽和カルボン酸単量体とエチレン不飽和単量体等のアクリル単量体から誘導された高分子を含む、米国特許出願第61/120,786号に記載されたような合成高分子が挙げられるが、これらに限定されない。適切な水溶性ポリマーは、また、米国特許出願第61/120,786号に記載された植物起源の例のものを含む天然原料の高分子から選択されてもよい。また、改質された天然高分子が、本発明の水溶性ポリマーとして有効であり、米国特許出願第61/120,786号に含まれる。一実施形態では、本発明の水溶性ポリマーには、ポリビニルアルコール、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、アクリル酸及びメチルアクリレートの共重合体、ポリビニルピロリドン、ポリアクリレンオキシド、デンプン及びデンプン誘導体、プルラン、ゼラチン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、及びカルボキシメチルセルロースが挙げられる。別の一実施形態では、本発明の水溶性ポリマーには、ポリビニルアルコール、及びヒドロキシプロピルメチルセルロースが挙げられる。好適なポリビニルアルコールには、Celanese Corporation(Dallas,TX)から商標名CELVOL(登録商標)として入手可能なものが挙げられる。適切なヒドロキシプロピルメチルセルロースには、Dow Chemical Comapny(Midland,MI)から商標名METHOCEL(登録商標)として入手可能なものが挙げられる。
【0037】
特定の実施形態では、前述の水溶性ポリマーは、本明細書に記載されたような必須の構造と物理的/化学的特性を備えるパーソナルケア物品を提供するのに役立つ限り、必要とされる水溶性ポリマーの量の全体的レベルを下げるために、充填材として任意の単一のデンプン又はデンプンの組み合わせと混合されてもよい。
【0038】
そのような例では、水溶性ポリマーとデンプンベースの材料との組み合わせの重量パーセントは、一般に、多孔質溶解性固体基材の全重量に対して約10重量%〜約50重量%、一実施形態では約15重量%〜約40重量%、及び特定の実施形態では約20重量%〜約30重量%の範囲である。デンプンをベースとする材料に対する水溶性ポリマーの重量比は、一般に約1:10〜約10:1、1つの実施形態においては約1:8〜約8:1、更に別の一実施形態においては約1:7〜約7:1、更にまた別の一実施形態においては約6:1〜約1:6の範囲であることができる。
【0039】
デンプンベースの材料の典型的な供給源としては、穀物、塊茎、根、豆果及び果実を挙げることができる。天然供給源としては、トウモロコシ、豆、ポテト、バナナ、大麦、小麦、米、サゴ、アマランス、タピオカ、アロールート、カンナ、サトウモロコシ、及びそれらのろう質又は高級アミラーゼ類が挙げられる。また、デンプンベースの材料は、米国特許出願第61/120,786号に記載されたものを含む、当該技術分野で既知の任意の改質を使用して改質された天然デンプンを含んでもよい。
【0040】
3.可塑剤
本発明の多孔質溶解性固体基材は、パーソナルケア組成物で使用するのに適した水溶性可塑剤を含む。一実施形態では、1つ以上の可塑剤は、多孔質溶解性固体基材の約1重量%〜約30重量%、別の一実施形態では約3重量%〜約25重量%、別の一実施形態では約5重量%〜約20重量%、及び更に別の一実施形態では約8重量%〜約15重量%存在してもよい。水溶性可塑化剤の非限定的な例としては、ポリオール、コポリオール、ポリカルボン酸、ポリエステル及びジメチコンコポリオールが挙げられる。有用なポリオールの例としては、グリセリン、ジグリセリン、プロピレングリコール、エチレングリコール、ブチレングリコール、ペンチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、ヘキサンジオール、ポリエチレングリコール(200〜600)、ソルビトール、マニトール、ラクチトール及び他のモノ−及び多価低分子量アルコール(例、C2〜C8アルコール)のような糖アルコール類;フルクトース、グルコース、スクロース、マルトース、ラクトース、及び高級フルクトースコーンシロップ固形物並びにアスコルビン酸のような単糖類、二糖類、及びオリゴ糖が挙げられるが、これらに限定されない。本明細書で使用されるポリカルボン酸の適切な例は、米国特許出願第61/120,786号に開示されている。
【0041】
一実施形態では、可塑剤は、グリセリン又はプロピレングリコール及びこれらの組み合わせを含む。欧州特許第283165(B1)号は、プロポキシル化グリセロールなどのグリセロール誘導体が挙げられる、他の好適な可塑剤を開示している。
【0042】
4.任意成分
多孔質溶解性固体基材は、本明細書に記載の特定の必須材料と適合するか又はパーソナルケア組成物の性能を過度に損なわないという条件で、パーソナルケア組成物で使用でき、あるいは有用であることが知られている他の任意成分を更に含んでもよい。
【0043】
かかる任意成分とは、最も典型的には、化粧品での使用が認可され、CTFA Cosmetic Ingredient Handbook,Second Edition,The Cosmetic,Toiletries,and Fragrance Association,Inc.1988,1992のような参考文献に記載されている物質である。そのような任意成分の例は、2003年3月18日に出願された米国特許出願第12/361,634号、同第10/392422号と、2003年11月20日付けの米国特許公開第2003/0215522A1号に開示されている。
【0044】
他の任意成分には、高分子構造化剤用の可溶化剤と乾燥促進剤とに有用な有機溶媒、特に水混和性溶媒及び共同溶媒が挙げられる。適切な有機溶媒の例は、米国特許出願第12/361,634号に開示されている。他の任意成分には、ラテックス又はエマルジョン高分子、水溶性ポリマー等の増粘剤、クレー、シリカ、二ステアリン酸エチレングリコール、コアセルベート形成成分を含む付着補助剤が挙げられる。追加の任意成分には、米国特許公開第2003/0215522A1号に開示されたジンクピリチオン、硫化セレン及びそれらの活性物質を含むがこれらに限定されない、ふけ防止活性物質がある。
【0045】
B.カチオン性界面活性剤コンディショナーと香料とのマトリックスミクロスフェアを含む表面残留コーティング
一実施形態では、多孔質溶解性固体基材は、吸着又は分散されて大きな表面積の薄いコーティングが作られるカチオン性界面活性剤コンディショナーと香料とを含有するマトリックスミクロスフェアを含んだ、表面残留コーティングのための連続的でアクセス可能な大きな表面積の「足場(scaffold)」(「支柱(struts)」の3次元網状組織)を提供する。この構造中で、コーティングは使用中に水とすぐに接触することになり、封入されていたカチオン性界面活性剤コンディショナーと香料を放出する。
【0046】
一実施形態において、表面残留コーティングは、カチオン性界面活性剤コンディショナーと香料とを含むマトリックスミクロスフェアを約10〜約100%含み、別の一実施形態では約25%〜約100%含み、更に別の一実施形態では約40%〜約100%含む。一実施形態では、多孔質溶解性固体基材と表面残留コーティングとの比は、約110:1〜約0.5:1、別の一実施形態では約20:1〜約1:1、別の一実施形態では約10:1〜約1.5:1、及び更に別の一実施形態では約7:1〜約3:1である。
【0047】
マトリックスミクロスフェアは次のものを含む(マトリックスミクロスフェア組成物の重量に対する比):i)デンプン誘導材料を、一実施形態では約25%〜約70%、別の一実施形態では約30%〜約60%、更に別の一実施形態では約35%〜約50%の濃度;ii)カチオン性界面活性剤コンディショナーを、一実施形態では約5%〜約60%、別の一実施形態では約15%〜約50%、更に別の一実施形態では約20%〜約40%の濃度;並びに、iii)香料を、一実施形態では約5%〜約60%、別の一実施形態では約15%〜約50%、更に別の一実施形態では約20%〜約40%の濃度。
【0048】
デンプン誘導材料
下記の本発明のデンプン誘導材料は、穀物、塊茎、根、豆果及び果物に由来するデンプンを含む種々様々なデンプン系の材料を含む。天然のデンプン供給源として、トウモロコシ、豆、じゃがいも、バナナ、大麦、小麦、米、サゴ、アマランサス、タピオカ、アロールート、カンナ、サトウモロコシ、オート麦、カッサバ(cassaya)、アミオカ(amioca)、及びそれらのろう質又は高級アミラーゼ類が挙げられる。
【0049】
デンプンベースの材料には、例として、剪断処理デンプン(sheared starch)又は熱抑制デンプン(thermally-inhibited starch)を含む物理的に改質されたデンプンと、架橋化、アセチル化、及び有機エステル化、ヒドロキシエチル化、及びヒドロキシプロピル化、リン酸化、及び非有機エステル化され、カチオン性、アニオン性、非イオン性、両性及び双極性イオン、並びにそれらのコハク酸、及び置換コハク酸誘導体を含む化学的に改質されたデンプンと、本明細書で有用であり得る酸化、酵素的変換、酸加水分解、熱又は酸デキストリン化、熱及び/又は剪断製品によって調製される流動性又は薄い煮沸デンプンを含む任意のデンプンから誘導される転換製品と、当技術分野で既知のα化デンプンとを含む、当該技術分野で既知の任意の改質を使用して改質される天然デンプンを挙げることができる。
【0050】
本明細書で使用するのに適したデンプンには、デンプンがゼラチン化されており、その疎水基が、少なくとも5つの炭素原子を含むアルキル又はアルケニル基を含むか、又は少なくとも6つの炭素原子を含むアラルキル又はアラルケニル基を含むものが挙げられる。一実施形態では、本発明で使用されるデンプンは、デンプンエステルである。これらは、典型的に0.01%〜10%の範囲の置換度を有する。改質エステルの炭化水素部分は、C5〜C16の炭素鎖でなければならない。一実施形態では、エステルは、オクテニルコハク酸塩である。別の一実施形態において、本発明では、1)ろう状デンプン(waxy starch)、酸薄化(acid thinned)かつOSAN置換されたものと、(2)ろう状デンプン、OSAN置換かつデキストリン化されたもののコーンシロップ固体の混合物と、3)OSAN置換かつデキストリン化されたろう状デンプンと、4)コーンシロップ固体又はマルトデキストリンと、酸薄化されOSAN置換され、次に調理され噴霧乾燥されたろう状デンプンとの混合物と、5)酸薄化されOSAN置換され、次に調理され噴霧乾燥されたろう状デンプンと、6)高粘度及び低粘度の上記改質物(酸処理のレベルを基準にして)などの様々なタイプのオクテニルコハク酸塩(OSAN)置換ろう状コーンスターチを使用することができる。これらの混合物、特に高粘度及び低粘度の修飾デンプンの混合物もまた好適である。
【0051】
一実施形態では、改質デンプンは、デンプンベースの実質的に高い分子量部分を維持しながら高耐酸化性を提供するために、非還元末端からデンプン分子の1,4結合を開裂させて短鎖サッカリドを生成することができる少なくとも1つの酵素によって分解された疎水基、又は疎水基と親水基との両方を含むデンプン誘導体を含む。このようなデンプンは、欧州特許第A−922449号に記載されている。
【0052】
デンプン又は改質マトリックスミクロスフェアは、また、デンプン又は改質デンプン用の可塑剤を含んでもよい。好適な例には、単糖類、二糖類、及びオリゴ糖類(例えばグルコース、スクロース、ソルビトール、アラビアゴム、グアーガム並びにマルトデキストリン)が挙げられる。
【0053】
本明細書で使用するのに適したデンプン誘導材料には、加水分解デンプン、酸改質デンプン、酵素加水分解デンプン、オクテニルコハク酸無水改質デンプン(OSANデンプン)、デキストリン化OSANデンプン、デキストリン、マルトデキストリン、α化ろう状トウモロコシデンプン、及びこれらの混合物が挙げられる。そのようなデンプン誘導材料の適切な例には、Grain Processing Corporation(Muscatine,IA)によって製造されたMALTRIN(登録商標)M100マルトデキストリン;Akzo Nobel(Bridgewater,NJ)によって製造されたCAPSUL(商標)、CAPSUL TA(商標)、HI−CAP 100(商標)、CAPSUL E(商標)、NARLEX(商標)(STとST2)、及びN−LOK(商標);Cargill Inc.(Cedar Rapids,Iowa)によって製造された12633、12634、12635、12639、12635、及び12671を含むEmCap(商標)シリーズ;Tate & Lyle(Decatur,IL)によって製造されたSTA−DEX(登録商標)90、及びMIRA−CAP(登録商標)−CAPデンプンが挙げられるが、これらに限定されない。本発明に適切な改質デンプンの他の例は、例えば、国際公開第99/55819号、同第01/40430号、欧州特許第A−858828号、同第A−1160311号、及び米国特許第5,955,419号に開示されている。
【0054】
カチオン性界面活性剤コンディショナー
本発明の組成物に使用するのに好適なカチオン性界面活性剤コンディショナーは、アミノ部分又は第四級アンモニウム親水性部分を含んでおり、組成物に溶解したときにプラスに帯電する。
【0055】
本明細書で有用な、好適な第四級アンモニウムカチオン性コンディショナー活性物質には、式(I):
【0056】
【化1】

(式中、R1、R2、R3、及びR4はそれぞれ独立して、(a)1〜22個の炭素原子の脂肪族基、又は(b)最高22個までの炭素原子を有する芳香族、アルコキシ、ポリオキシアルキレン、アルキルアミド、ヒドロキシアルキル、アリール若しくはアルキルアリール基から選択され、Xは塩生成アニオンであって、例えばハロゲンラジカル(例えば塩化物、臭化物)、アセテートラジカル、シトレートラジカル、ラクテートラジカル、グリコレートラジカル、ホスフェートラジカル、ニトレートラジカル、サルフェートラジカル、及びアルキルサルフェートラジカルから選択されるものである)を有するものが挙げられるが、これに限定されない。一実施形態において、アルキルサルフェートラジカルはメトサルフェート及び/又はエトサルフェートである。
【0057】
脂肪族基は、炭素及び水素原子に加えて、エーテル結合、及びアミノ基のような他の基を含有することができる。鎖の長い脂肪族基、例えば約12個又はそれ以上の炭素を有する基は、飽和であっても不飽和であってもよく、また分枝状であっても非分枝状であってもよい。一実施形態において、一般式(I)のカチオン性コンディショナー活性物質の分類は、R1及びR2はそれぞれ独立して、R1及びR2の両方に少なくとも1つのエステル結合を含むC16〜C22のヒドロカルビル鎖から選択され、R3及びR4はそれぞれ独立して、CH3及びCH2CH2OHから選択される。別の一実施形態において、一般式(I)のカチオン性コンディショナー活性物質の分類は、R1及びR2はそれぞれ独立して、C16〜C22の飽和又は不飽和鎖から選択され、R3及びR4はそれぞれ独立に、CH3、CH2CH2OH、及びCH3から選択される。別の一実施形態において、一般式(I)のカチオン性コンディショナー活性物質の分類は、R1がC16〜C22のアルキル鎖であり、R2、R3及びR4がそれぞれ独立に、CH3、CH2CH2OH、CH3から選択される。
【0058】
一般式(I)の好適な第四級アンモニウムカチオン性コンディショナー活性物質には、セチルトリメチルアンモニウムクロリド、ベヘニルトリメチルアンモニウムクロリド(BTAC)、ステアリルトリメチルアンモニウムクロリド、塩化セチルピリジニウム、オクタデシルトリメチルアンモニウムクロリド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロリド、オクチルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、デシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、ステアリルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、ジドデシルジメチルアンモニウムクロリド、ジオクタデシルジメチルアンモニウムクロリド、ジステアリルジメチルアンモニウムクロリド、タロートリメチルアンモニウムクロリド、ココトリメチルアンモニウムクロリド、ジパルミトイルエチルジメチルアンモニウムクロリド、PEG−2オレイルアンモニウムクロリド、及びこれらの塩を挙げることができ、クロリドはハロゲン(例えば臭素)、アセテート、シトレート、ラクテート、グリコレート、ホスフェートニトレート、サルフェート、又はアルキルサルフェートによって置換される。
【0059】
特定の一実施形態において、本発明に使用する第四級アンモニウムカチオン性コンディショナー活性物質は、市販されているセチルトリメチルアンモニウムクロリド(例えばGENAMIN CTAC(Clariantから販売)及びArquad 16/29(Akzo Nobelから販売))、ベヘニルトリメチルアンモニウムクロリド(BTMAC)(例えばGENAMIN KDMP(Clariantから販売))、及びジステアリルジメチルアンモニウムクロリド(例えばGENAMIN DSAP(Clariantから販売))である。上述の材料の任意の混合物も好適であり得る。好ましい一実施形態において、第四級アンモニウムカチオン性コンディショナー活性物質は、ベヘニルトリメチルアンモニウムクロリド(BTMAC)である。
【0060】
その他の好適なカチオン性界面活性剤コンディショナー活性物質には、第一級、第二級、第三級の脂肪族アミンの塩が挙げられ得る。一実施形態では、このようなアミンのアルキル基は、約12〜約22個の炭素原子を有し、置換若しくは非置換であることができる。これらのアミンは、カチオン種を得るために、通常、酸と組み合わせて使用される。
【0061】
本明細書で有用である好適なアルキルアミン塩には、次の一般式(II):
1−C(O)−N(H)−R2−N(R3)(R4
(式中、R1は12〜22個の炭素原子を含む脂肪酸鎖であり、R2は1〜4個の炭素原子を含むアルキレン基であり、R3及びR4は独立に、1〜4個の炭素原子を有するアルキル基である。R1は飽和であっても不飽和であってもよく、分枝状であっても非分枝状であってもよい)を有するアルキルアミンに対応する塩が挙げられるが、これに限定されない。
【0062】
一般式(II)の好適な材料は、ステアラミドプロピルジメチルアミン、ステアラミドプロピルジエチルアミン、ステアラミドエチルジエチルアミン、ステアラミドエチルジメチルアミン、パルミタミドプロピルジメチルアミン,パルミタミドプロピルジエチルアミン、パルミタミドエチルジエチルアミン、パルミタミドエチルジメチルアミン、ベヘンアミドプロピルジメチルアミン、ベヘンアミドプロピルジエチルアミン、ベヘンアミドエチルジエチルアミン、ベヘンアミドエチルジメチルアミン、アラキドアミドプロピルジメチルアミン、アラキドアミドプロピルジエチルアミン、アラキドアミドエチルジエチルアミン、アラキドアミドエチルジメチルアミン、及びジエチルアミノエチルステアラミドである。
【0063】
その他の好適なアルキルアミン塩には、ジメチルステアラミン、ジメチルソイアミン、ソイアミン、ミリスチルアミン、トリデシルアミン、エチルステアリルアミン、N−タロープロパンジアミン、エトキシル化(エチレンオキシド5モル以上)ステアリルアミン、ジヒドロキシエチルステアリルアミン、及びアラキジルベヘニルアミンが挙げられ得る。好ましい一実施形態において、アルキルアミン塩はステアラミドプロピルジメチルアミンである。上述の材料の任意の混合物も好適であり得る。
【0064】
カチオン性コンディショナー活性物質を提供するのに使用される酸は、遊離アミン窒素を中和するのに十分な酸強度を有する任意の有機酸又は無機酸であってよい。そのような酸には、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、乳酸、クエン酸、酒石酸、酢酸、グルコン酸、グリコール酸及びプロピオン酸、並びにこれらの組み合わせが挙げられる。一実施形態において、十分な量の酸を添加してアミドアミン化合物を中和し、組成物の最終pHを約2.5〜約6の範囲内に調節し、別の一実施形態においては、約3〜約5に調節する。一実施形態において、プロトン化可能なアミン基の、酸由来のH+に対するモル比は、約1:0.3〜約1:1.2であり、別の一実施形態においては、約1:0.5〜約1:1.1である。上述のカチオン性コンディショナー活性物質の任意の混合物も、好適であり得る。
【0065】
香料
第1芳香剤
本発明のパーソナルケア組成物は、使用前(即ち、物品を水と接触させる前)に物品に所望の香料又は無香/中立の香気を提供する第1芳香剤を含む。芳香のある第1芳香剤には、皮膚への局所適用に適切でかつパーソナルケア組成物で使用するに適切な任意の香料又は香料化学物質が挙げられる。
【0066】
パーソナルケア組成物中の第1芳香剤の濃度は、無香性を含むがそれに限定されない、望ましい香気を提供するのに有効でなければならない。一般に、芳香のある第1芳香剤の濃度は、固体物品の重量に対して約0.0重量%〜約30.0重量%、一実施形態では約1重量%〜約20重量%、更に別の一実施形態では約2重量%〜約10重量%、及び更に別の一実施形態では約3重量%〜約8重量%である。第1芳香剤は、本発明のパーソナルケア組成物に遊離香料として含まれてもよい。
【0067】
第2芳香剤
第2芳香剤のシフト(例えば、ある芳香剤から別の芳香剤への変化)を提供するために、本発明の第2芳香剤は、香料慣れ効果を克服しかつ第2芳香剤を第1芳香剤より目立つようにするために、第1芳香剤の組成物と実質的に異なりかつ別個でなければならない。あるいは、物品の使用期間中、同一の芳香剤が望ましい場合、第2芳香剤は、単一で連続した長時間の香料体験を提供するために、第1芳香剤の組成物と実質的に同じで区別のつかないものでなければならない。
【0068】
一般に、本発明のパーソナルケア組成物は、固体物品の重量に対して約0.1重量%〜約30.0重量%、特定の実施形態では約1重量%〜約20重量%、他の実施形態では約2重量%〜約10重量%、更に他の実施形態では約3重量%〜約8重量%の第2芳香剤を含むことができる。
【0069】
皮膚への局所適用に適切で、パーソナルケア組成物で使用するに適切な任意の香料又は香料化学物質が、第2芳香剤として使用されてもよいが、これは、組成物内に遊離香料としては含まれない。第2芳香剤は、界面活性剤を含まない水流出性マトリックスに含まれる。第2芳香剤は、香料、約250℃未満の沸点を有する高揮発性香料材料、及びこれらの混合物からなる群から選択されてもよい。そのような芳香剤は、本明細書に記載されているように、封入材料から形成された水流出性マトリックスに含まれる。
【0070】
一実施形態では、第2芳香剤は、約2を超えるClogPと50ppb以下の臭気検出閾値を有する、高効果アコード香料成分(high impact accord perfume ingredient)から選択される。
【0071】
本発明に従って、マトリックスミクロスフェアを含んだカチオン性界面活性剤コンディショナーと香料とを含む表面残留コーティングは、無水である。しかしながら、処理制限の結果として、製造直後でも水レムナント(water remnants)が存在する可能性が高い。一般に、例えば貯蔵中に、水が微粒子複合体に後で再び入ることがある。水相は、水を含むだけではなく、また、アルコール類;多価アルコール類(例えば、グリセリン及びプロピレングリコール)を包含する保湿剤;d−パンテノール、ビタミンB3及びその誘導体(ナイアシンアミドなど)並びに植物抽出物のような活性剤;増粘剤及び防腐剤のような、追加の水溶性構成成分を含んでいてもよい。水性相は、封入剤の重量の20重量%を超えず、また微粒子複合体の重量の約0.001重量%〜約20重量%以下、約10重量%以下、約5重量%以下、約2重量%以下を含み得る。
【0072】
本発明によるマトリックスミクロスフェアを含むカチオン性界面活性剤コンディショナーと香料とを含む表面残留コーティングは、約1μm〜約200μmの粒径を有してよく、別の一実施形態においては約2μm〜約100μm、更に別の一実施形態においては3μm〜約50μmの粒径を有してもよい。
【0073】
本発明のマトリックスミクロスフェアを含むカチオン性界面活性剤コンディショナーと香料とを含む表面残留コーティングは更に、改善された外観を含むがこれに限定されない、他の望ましい属性をパーソナルケア物品に付与し得る。加えて、本発明のマトリックスミクロスフェアを含むカチオン性界面活性剤コンディショナーと高効果香料とを含む表面残留コーティングは、例えば製品パッケージに対する付着や、製品が重ねて供給される場合には他の製品に対する付着を最小限に抑えるための、抗付着性の付与など、追加的な利点を提供し得る。
【0074】
III.パーソナルケア物品の製品形態
パーソナルケア物品は、単独で使用されるか又は他のパーソナルケア成分との組み合わせで使用されるマトリックスミクロスフェアを含む表面残留コーティングと共に、多孔質溶解性固体基材を含む様々な製品形態のいずれで製造されてもよい。製品形態に関係なく、本明細書で検討される製品形態の実施形態は、多孔質溶解性固体基材と、マトリックスミクロスフェアを含む表面残留コーティングとの組み合わせを含む、選択され定義されたパーソナルケア物品を含む。
【0075】
一実施形態では、パーソナルケア物品は、ユーザーが容易に取り扱うことができるようにする適切なサイズの1つ以上の平坦なシート又はパッドの形である。それは、正方形、長方形又は円盤状又はその他のいかなる好適な形状であってもよい。この基材は、また、穿孔及び又は切断メカニズムによって1つずつ取り出せる単独の部分を備えるテープ状のロール上に供給されているものを含む、連続的なストリップの形態であることができる。あるいは、パーソナルケア物品は、1つ以上の円筒状物体、球状物体、管状物体、又は任意の他の形状の物体の形である。
【0076】
表面残留コーティングは、多孔質溶解性固体基材に適用される。一実施形態では、表面残留コーティングは、微粉の形である。図1で分かるように、本発明の特定の実施形態では、パーソナルケア物品10は、多孔質溶解性固体基材14の表面の少なくとも一部分に配置された表面残留コーティング12を含む。表面残留コーティング12は、必ずしも多孔質溶解性固体基材14に隣接していなくてもよいことは理解されよう。特定の実施形態では、表面残留コーティング12は、多孔質溶解性固体基材14に全体又は一部分が浸透してもよい。
【0077】
あるいは、表面残留コーティングは、パーソナルケア物品又はその部分内に含まれ(例えば、間に挟まれるか又は封入される)てもよい。そのような表面残留コーティングは、デポジタ(depositor)、シフタ、又は粉体床の使用によるような任意の他の適切な手段によって、噴霧され(sprayed)、散布され(dusted)、散在され(sprinkle)、コーティングされ、表面印刷され(例えば、所望の装飾、化粧又はパターンの形状に)、注がれ(poured on)、内部に注入され、又は浸漬されてもよい。図3A、図3B及び図4によって示された実施形態では、パーソナルケア物品10は、多孔質溶解性固体基材の表面の下にあってもよい表面残留コーティングを含む。パーソナルケア物品10の断面図である図3Bで分かるように、表面残留コーティング24は、多孔質溶解性固体基材26のくぼみ部22内にある。
【0078】
次に図2を参照すると、特定の実施形態では、粉末が、後で接合される2つの多孔質溶解性固体基材の間に挟まれる(例えば、多孔質溶解性固体基材を実質的に溶解させないように、隣接面又は縁を水の薄層及び/又は可塑剤と印加圧力で封止して接着することによって)。この実施形態では、パーソナルケア物品10は、2つの多孔質溶解性固体基材16及び18を含み、その間に表面残留コーティング20が配置される。
【0079】
あるいは、特定の実施形態では、粉末は、折り畳まれて粉末を封入するパウチを形成する1つのパーソナルケア物品上にあってもよい。図4に示したように、パーソナルケア物品10は、折り畳まれた多孔質溶解性固体基材34内に閉じ込められた表面残留コーティング32を含む。
【0080】
パーソナルケア物品は、テクスチャ化され、くぼみが付けられ、又は他の方法でパターン形成された、文字、ロゴ又は図を含む1つ以上の面を含んでもよい。テクスチャ化された基材は、その基材の最も外側の表面がその表面の他の領域に対して隆起している部分を含む、基材の形状によって生じ得る。隆起部分は、パーソナルケア物品の形成された形状によるものでもよく、例えば、パーソナルケア物品は、最初にくぼみ付きパターン又は格子パターンで形成されてもよい。隆起部分は、また、クレーピング加工、コーティングの刻印、パターンのエンボス加工、隆起部分を有する他の層への積層、又は多孔質溶解性固体基材自体の物理的形状の結果として得られてもよい。テクスチャ化は、また、1つの多孔質溶解性固体基材を、テクスチャ化された第2の多孔質溶解性固体基材に積層する結果として得られてもよい。特定の実施形態では、穴又はチャネルが多孔質固体の中に入り込む又は中を貫通する状態でパーソナルケア物品に穿孔することができる。
【0081】
IV.製造方法
パーソナルケア物品は、(1)界面活性剤と、溶解高分子構造化剤と、可塑剤とを含む加工混合物を調製する工程、(2)ガスを加工混合物に導入することにより加工混合物をエアレーションして、湿潤気泡化混合物を形成する工程、(3)湿潤気泡化混合物を1つ以上の所望の形状に形成する工程、(4)湿潤気泡化混合物を乾燥させて多孔質溶解性固体基材を形成する工程、及び(5)粉末状のマトリックスミクロスフェアを含む表面残留コーティングを、多孔質溶解性固体基材に適用する工程、を含むプロセスによって調製することができる。
【0082】
A.加工混合物の調製
加工混合物は、一般に、加熱によって水、可塑剤、界面活性剤及び他の任意成分がある状態で高分子構造化剤を溶解させ、その後で冷却することによって調製される。このことは、任意の好適な熱せられたバッチ攪拌システムにより、又は単軸押出機若しくは双軸押出機若しくは熱交換器を、高せん断又は静的混合に使用する任意の好適な連続的なシステムにより達成することができる。任意の工程は、ポリマーが水、界面活性剤、可塑剤、及び成分の任意の組み合わせのプレミックス部分による段階的加工を含む他の任意成分の存在下で、最終的に溶解するように想定され得る。
【0083】
本発明の加工混合物は、乾燥前に約15重量%〜約60重量%、一実施形態では約20重量%〜約55重量%、別の一実施形態では約25重量%〜約50重量%、更に別の一実施形態では約30重量%〜約45重量%の固体の加工混合物を含み、また約2,500cps〜約150,000cps、一実施形態では約5,000cps〜約100,000cps、別の一実施形態では約7,500cps〜約75,000cps、及び更に別の一実施形態では約10,000cps〜約60,000cpsの粘度を有する。
【0084】
固形分率含有量は、水及び低沸騰アルコールのような明らかに揮発性のいずれの物質も除く、固形分、半固形分及び液体成分の全ての総加工混合物の重量による重量パーセントの合計である。加工混合物の粘度値は、直径4.0cmの平行平板及びギャップが1,200マイクロメートルのTA Instruments AR500レオメーターを、せん断速度1.0レシプロカル秒で30秒間、23℃で使用することにより測定される。
【0085】
B.加工混合物の気泡化
加工混合物のエアレーションは、混合物にガスを導入することによって行われる。一実施形態では、これは、機械的混合エネルギーによって行われる。別の一実施形態では、これは、化学的手段により達成されてもよい。気泡化は、任意の好適な機械的加工方法によって達成されてもよく、その方法には、(i)遊星ミキサー又は他の好適な混合容器を含む機械的混合によるバッチタンク気泡化、(ii)食品業界で使用される(加圧及び非加圧)半連続的又は連続的気泡化装置、若しくは(iii)多孔質固体物を形成するために熱を有している金型内などで圧縮され得る気泡化ビーズ又は粒子を形成するために、加工混合物をスプレー乾燥させる工程、が挙げられるが、それらに限定されない。
【0086】
特定の実施形態において、食品業界でマシュマロの製造で従来利用されていた連続加圧式エアレータ内でパーソナルケア物品を調製できることが分かった。好適な連続的加圧エアレータには、Morton泡立て器(Morton Machine Co.(Motherwell,Scotland))、Oakes連続自動ミキサー(E.T.Oakes Corporation(Hauppauge,New York))、Fedco連続ミキサー(Peerless Group(Sidney,Ohio))、及びPreswhip(Hosokawa Micron Group(日本・大阪))が挙げられる。
【0087】
エアレーションは、沸騰システムによる現場ガス発生によって(二酸化炭素(CO2(g))の発生を含む1つ以上の成分の化学反応によって)化学発泡剤により達成されもよい。更に他の選択肢は、イソペンタン、ペンタン、イソブテン、エタノールなどを含むが、これらに限定されない、低沸点炭化水素やアルコールなどの揮発性発泡剤によるエアレーションである。
【0088】
一実施形態では、予混合物は、エアレーションプロセスの直前に、周囲温度より高いが、成分のいずれかの望ましくない劣化を引き起こす温度より低い温度で予熱される。一実施形態では、予混合物は、約40℃より高く約99℃より低い温度、別の一実施形態では約50℃より高く約95℃より低い温度、別の一実施形態では約60℃より高く約90℃より低い温度で維持される。一実施形態では、周囲温度での予混合物の粘度は、約20,000cps〜約150,000cpsであり、任意選択の連続加熱は、エアレーション工程前に利用されなければならない。別の一実施形態では、エアレーション中に高温を維持しようとするためにエアレーションプロセス中に追加の熱が加えられる。これは、1つ以上の面からの伝導加温、蒸気の注入、周囲湯浴、又は他の加工手段によって行うことができる。
【0089】
一実施形態では、気泡化予混合物の湿潤密度範囲は、約0.12g/cm3〜約0.50g/cm3、別の一実施形態では約0.15g/cm3〜約0.45g/cm3、別の一実施形態では約0.20g/cm3〜約0.40g/cm3、更に別の一実施形態では約0.25g/cm3〜約0.35g/cm3である。
【0090】
C.湿潤気泡化加工混合物の形成
湿潤気泡化加工混合物の形成は、(i)気泡化混合物を、アルミニウム、テフロン(登録商標)、金属、HDPE、ポリカーボネート、ネオプレン、ゴム、LDPE、ガラスなどを含む非干渉性かつ非粘着性の表面を含む所望の形状とサイズの型に付着させること、(ii)他の場合にはデンプン成形技術として知られる、気泡化混合物を浅いトレーに収容された乾燥粒状デンプンに刻み込まれたキャビティ内に堆積させること、並びに(iii)気泡化混合物を、後で打ち抜き、切断し、エンボス加工し、又はロールで貯蔵できる非干渉性又は非粘着性の材料のテフロン(登録商標)、金属、HDPE、ポリカーボネート、ネオプレン、ゴム、LDPE、ガラスなどを含む連続したベルト又はスクリーン上に堆積させることを含むが、これらに限定されない、所望の形状の混合物を形成するのに適した任意の手段によって達成されてもよい。
【0091】
D.多孔質溶解性固体基材内への湿潤気泡化加工混合物の乾燥
形成された湿潤気泡化加工混合物の乾燥は、(i)制御された温度と圧力又は雰囲気条件を有する空間を有する乾燥室、(ii)制御された温度と必要に応じて湿度を有する非対流又は熱対流炉を含む炉、(iii)トラック/箱型乾燥機、(iv)多段直列乾燥機、(v)衝突炉、(vi)回転炉/乾燥機、(vii)直列焙焼炉、(viii)高速伝熱炉及び乾燥機、(ix)デュアルプレナム焙焼炉、及び(x)コンベヤ乾燥機、並びにこれらの組み合わせを限定なしに含む任意の適切な手段によって達成されてもよい。凍結乾燥法を含まない任意の好適な乾燥手段を使用できる。
【0092】
乾燥温度は、約40℃〜約200℃の範囲でよい。一実施形態では、乾燥環境は、100℃〜150℃の温度に加熱される。一実施形態では、乾燥温度は、105℃〜145℃である。別の一実施形態では、乾燥温度は、110℃〜140℃である。更なる実施形態では、乾燥温度は、115℃〜135℃である。
【0093】
他の好適な乾燥環境としては、マイクロ波乾燥及び高周波(RF)乾燥などの高周波電磁界を用いる「体積測定加熱」技術が挙げられる。これらの技術を用い、伝導又は対流によるよりもむしろ、湿潤気泡化プレミックスを通して電磁的にエネルギーを伝える。
【0094】
上述の4種の加工工程のいずれかの間に、又は乾燥工程の後でも任意成分を与えることができる。
【0095】
E.マトリックスミクロスフェアを含む表面残留コーティングの調製
本発明のマトリックスミクロスフェアを含むカチオン性界面活性剤コンディショナーと香料は、スプレー乾燥により調製される。このプロセスは以下を含む:
A.一実施形態では約65〜約95℃、別の一実施形態では約70〜約90℃、更に別の一実施形態では約75〜約95℃の高温で、デンプン誘導材料とカチオン性界面活性剤コンディショナーとの溶液を形成し、次に約32〜約60℃の温度まで冷ます工程。
B.この溶液中に香油を乳化させ、溶液及びその形成された乳液を、一実施形態では約32〜約60℃の温度に、別の一実施形態では約35〜約55℃の温度に、更に別の実施形態では約40〜約50℃の温度に保持する工程。
C.この乳液をスプレー乾燥して水分を除去し、かつスプレー乾燥プロセス中、乳液を連続的に攪拌し、温度は一実施形態では約32〜約60℃に、別の一実施形態では約35〜約55℃に、更に別の実施形態では約40〜約50℃の温度に保持する工程。
【0096】
幾つかの実施形態では、微粒子複合体形成プロセス又は形成後の微粒子複合体中に、例えば商標名DRY−FLO(登録商標)PCでAkzo Nobelから入手可能なオクテニルコハク酸デンプンアルミニウムなどの不活性充填剤を、粉末の流れ特性を改善し、粉末の作成又は取り扱い中の粒子間の固着又は凝集をなくすのに十分なレベルで含めることができる。微粒子複合体の形成プロセス中において、本明細書に記載されたような他の任意選択の賦形剤又は美容活性物質を粉末に組み入れることができる。得られた粉末は、他の粉末(本明細書に記載されたような不活性物質又は他の粉末活性物質のいずれか)と混合されてもよい。
【0097】
F.マトリックスミクロスフェアを含む表面残留コーティングと多孔質溶解性固体基材の組み合わせ
マトリックスミクロスフェアを含む表面残留コーティングをパーソナルケア物品に適用して、パーソナルケア物品の一部を形成するために、任意の適切な適用方法を使用することができる。例えば、マトリックスミクロスフェアを含む表面残留コーティングが多孔質固体に付着し易くするために、粉末の適用前に多孔質溶解性固体基材の表面を特定の含水率まで乾燥させることによって、多孔質溶解性固体基材は、粘着面を有することができる。一実施形態では、多孔質溶解性固体基材は、約0.1%〜約25%、一実施形態で約3%〜約25%、別の一実施形態では約5%〜約20%、及び更に別の一実施形態では約7%〜約15%の含水率に乾燥される。あるいは、前もって乾燥した溶解性多孔質固体基材の表面を、粉末の適用前に、平衡状態に達するまでの特定の時間の間、制御された湿度環境内で所望レベルの大気水分を可逆的に吸収させることができる。一実施形態では、湿度環境は、相対湿度約20%〜約85%、別の一実施形態では相対湿度約30%〜約75%、及び更に別の一実施形態では相対湿度約40%〜約60%に制御される。
【0098】
別の一実施形態では、多孔質溶解性固体基材は、粉末を収容するバッグ、トレー、ベルト、若しくはドラム内に入れられるか又は別の方法で粉末にさらされ、粉末を適用し分散させるために、バッチ方式又は連続生産方式で攪拌され、回転され、ブラシ掛けされ、振動され、又は揺すられる。他の粉末適用方法には、粉末ふるい、静電塗装、トライボ・チャージング(tribo charging)、流動床式、粉体被覆ガン、コロナ・ガン、タンブラ、静電気流動床、静電磁気ブラシ、及び/又は粉末噴霧室がある。マトリックスミクロスフェアを含む表面残留コーティングは、多孔質溶解性固体基材の外側面の一部分又は全領域に適用することができ、また例えば修飾し、化粧し、ロゴを形成し、デザインなどの方法で、適用することもできる。
【0099】
V.試験方法
A.溶解率
本発明のパーソナルケア物品は、水と共に使用する際にパーソナルケア物品が素早く崩壊できるようにする溶解速度を有する。パーソナルケア物品の溶解速度は、下記の方法により決定される。
【0100】
手溶解法:0.5〜1.5g(厚さ3〜10mmのシート/パッド形態の場合、約10〜20平方センチメートル)のパーソナルケア物品(本明細書の実施例に記載されたような)を、ニトリル手袋をはめたままの手のひらに置く。パーソナルケア組成物に、7.5cm3の温かい水道水(約30℃〜約35℃)を注射器で素早く加える。円運動を用いて、溶解が発生するまで1度に2ストローク、手の平をこすり合わせる(30ストロークまで)。手溶解値は、完全に溶解するのに要するストローク数として、又は最大30ストロークとして記録する。後者のシナリオの場合、不溶解材料の重さも記録する。
【0101】
本発明のパーソナルケア物品は、約1〜約30ストローク、一実施形態では約2〜約25ストローク、別の一実施形態では約3〜約20ストローク、及び更に別の一実施形態では約4〜約15ストロークの手溶解値を有する。
【0102】
B.厚さ
パーソナルケア物品及び/又は多孔質溶解性固体基材の厚さは、Mitutoyo Corporation Digital Disk Stand Micrometer Model Number IDS−1012E(Mitutoyo Corporation,965 Corporate Blvd,Aurora,IL,USA 60504)等のマイクロメータ又は厚さ計を使用して得られる。マイクロメータは、直径2.54cm(1インチ)、重さ32gのプラテンを有し、約6.2E−6Pa(40.7phi(6.32g/cm2))の適用圧力において厚さを測定する。
【0103】
パーソナルケア物品及び/又は多孔質溶解性固体基材の厚さは、プラテンを上げ、プラテンの下のスタンド上に試料の一部分を配置し、プラテンを試料と接触するまで注意深く下げ、プラテンを解放し、試料の厚さを数値表示装置上でミリメートル単位で測定することによって測定される。試料は、平坦でない剛性の高い試料の場合を除き、厚さができるだけ低い表面圧力で測定されるように、プラテンの全ての縁まで完全に延在されなければならない。完全には平坦でない剛性の高い試料の場合、試料の平らな部分上で衝突するプラテンの一部分だけを使用して試料の平坦な縁が測定される。パッド又はストリップに対して、第3次元以上を備える円筒状、球状、又は他の物体の場合は、厚さは、最短寸法の最大距離、つまり、例えば球状又は円筒状の直径、として取られ、厚さの範囲は上述と同じである。
【0104】
C.坪量
パーソナルケア物品及び/又は多孔質溶解性固体基材の坪量は、選択されたパーソナルケア物品及び/又は多孔質溶解性固体基材の単位面積当たりの、パーソナルケア物品及び/又は多孔質溶解性固体基材の重量として計算される(g/m2)。面積は、パーソナルケア物品及び/又は多孔質溶解性固体基材の外縁に垂直な平坦面上の投影面積として計算される。平らな物体に対しては、面積は、したがって試料の外側周囲内に取り囲まれている面積に基づいて計算される。球状物体に対しては、面積は、したがって3.14×(直径/2)2として平均直径に基づいて計算される。円筒状物体に対しては、面積は、したがって直径×長さとして平均直径及び平均長さに基づいて計算される。不規則的な形状の3次元物体に対しては、面積は、この側面に直角に方向付けられた平坦表面上に投影される最大の外側寸法を備える側面に基づいて計算される。
【0105】
D.固体密度
本明細書に記載されたパーソナルケア組成物の多孔質溶解性固体基材は、固体密度を決定する観点から特徴付けることができる。
【0106】
多孔質溶解性固体基材の固体密度は、固体の重量を固体の既知の体積で割ることによって決定することができる。固体の既知の体積は、乾燥プロセス中の収縮又は膨張を考慮するために、既知のx−y寸法の型内で固体を作成しかつ得られた厚さを測定することを含む幾つか技法によって決定することができる。また、固体は、円形又は正方形の打抜型の既知の直径を使用し、次に厚さを測定することによって、既知のx−y寸法に切断されてもよい。あるいは、大きな厚さ変化がない場合は、式:計算密度=多孔質固体の坪量/(平均多孔質固体厚さ×1,000)によって密度を計算することができる。
【0107】
E.気泡間結合性
本発明のパーソナルケア物品及び/又は多孔質溶解性固体基材は、高度の気泡間接続性を有し、即ち、大部分が独立気泡固形発泡体と反対に大部分が連続気泡固形発泡体である。気泡間結合性は、光学顕微鏡、走査電子顕微鏡、マイクロ計算断層撮影パラメーター(星形体積及びSMI指数)、ガスピクノメトリーパラメーター(開放気泡含有百分率)又は他の好適な方法により評価することができる。
【0108】
気泡間接続性を決定する定性的方法は、光学顕微鏡によるものである。これは、通常のx−y最大面を横切って測定されたパーソナルケア物品及び/又は多孔質溶解性固体基材の幅2〜3mmのスライバ(sliver)を、はさみ又は鋭利な刃物を用いてz方向に切断し、得たスライバを90度回転させて、新しく切断された断面領域の内部気泡構造を明らかにすることによって行われる。この断面領域は接近しての目視観察か、又はより正確にはOlympus America Inc.(Center Valley,PA)から入手可能なSZX12 Stereo microscopeなどの立体顕微鏡での倍率を選択することで評価することができる。本発明の連続気泡パーソナルケア物品及び/又は多孔質溶解性固体基材は、断面の深さを通る第3次元を含んで互いに相互接続される支柱のまわりの空所を有する大部分に支柱の3次元網を含む断面領域の内部を調べることによって容易に識別することができる。対照的に、独立気泡の発泡体内部断面は別個の気泡として現れることがあり、別個の気泡は横切って切断されて、切断プロセスは切断領域の露出を生じさせるという理由から、次いで断面表面でのみ2次元で内部結合される。
【0109】
気泡相互接続性を決定する別の手段は、星形体積と構造モデル指数によるものである。マイクロ計算断層撮影システム(μCT80、SN 06071200、Scanco Medical AG)を用いて直径およそ4cm、高さ3〜7mmの円盤状サンプルをスキャンする。各試料を、円筒型の管の底の上に平らに位置している間に撮像する。画像取得のパラメーターは、45kVp、177μA、51.2mmの視野、集積時間800ms、1000投影である。スライスの数は、試料の高さをカバーするように調節する。再生されるデータセットは、25μmの等方性解像度を備える各2048×2048ピクセルの画像の積み重ねから構成される。データ分析には、表面領域を避けて十分に試料内に入るように対象とする体積を選択する。典型的には、対象とする体積は1028×772×98ボクセルである。
【0110】
構造モデル指数(SMI)は、Scanco Medicalの骨梁形態計測評価を用いて閾値17で測定する。この指数で、骨梁の構造概観が数量化される(参照:T.Hildebrand,P.Ruegsegger.Quantification of bone microarchitecture with the structure model index.Comp Meth Biomech Biomed Eng 1997;1:15〜23)。三角表面は極く僅かに正常方向に拡張され、かつ新しい骨表面及び体積が計算される。これにより、骨表面の誘導体(dBS/dr)を決定する。次いでSMIは以下の等式によって表される。
【0111】
【数1】

【0112】
SMIは、モデルタイプに対する構造物の凸性に関連する。理想的な(平らな)プレートは、SMIが0(プレートの拡張を備える表面変化が全く無い)であるのに対して、理想的な円筒型の棒はSMIが3(棒の拡張を備える表面の線形増加)である。丸い球体はSMIが4である。凹性構造物は、負のdBS/drとなり、その結果負のSMI値をもたらす。対象とする体積のエッジでの人工的な境界は、計算には含まれず、したがって抑制されている。
【0113】
Scanco医療分析に加えて、星形体積測定を行う。星形体積は、二相構造物内の空隙の開放度の測定である。対象とする相(本発明の場合、これは背面である)においてランダムに均一に分配した点のセットを選択することにより、これらの点それぞれからランダムな方向に線を延ばすことができる。それらの線が最前面相に触れるまで延ばす。次いでそれらの各線の長さを記録する。それらのランダムな点を、各方向毎に(x/y/z)に10点サンプリングし、各点で10の角度をランダムに選択する。線が対象とするのROIの境界にまで伸びた場合には、その線は棄却される(表面相と実際に交差する線を受け入れたいだけである)。最後の式は、Star volume in bone research.A histomorphometric analysis of trabecular bone structure using vertical sections;Vesterby,A.;Anat Rec.;1993 Feb;235(2):325〜334において発表された研究に基づいている:
【0114】
【数2】

式中、「dist」とあるのは単独の距離であり、Nは調べる線の数である。
【0115】
開放気泡含有百分率は、ガス比重びん法を通して測定される。ガス比重びん法は、体積を正確に測定するガス置換法を用いる一般的な分析技術である。置換媒体としてヘリウム又は窒素のような不活性ガスを使用する。試料を既知の体積の計器コンパートメント内に密閉し、適切な不活性ガスを入れ、次に別の精密な内部体積へと拡張する。拡張前後の圧力を測定し、試料体積を計算するのに使用する。この体積を試料重量で割って、気体置換密度を得る。
【0116】
ASTM標準試験方法D2856は、気体比重びん(Air Comparison Pycnometer)の古いモデルを用いて開放気泡の割合を決定する手順を提供する。この装置はもはや製造されていない。しかしながら、MicromeriticsのAccuPyc比重びんを用いるテストを実施することにより便利にかつ精密に開放気泡百分率を決定することができる。ASTM手順D2856は、発泡材料の開放気泡の割合を決定するための5つの方法(A、B、C、D及びE)を説明する。
【0117】
これらの実験のために、窒素ガスを用い、Accupyc 1340を使用して、ASTM foampycソフトウェアにより、試料を分析することができる。ASTM手順書の方法Cは、開放気泡百分率を計算するために使われるべきである。この方法は、キャリパー及び標準体積計算を用いて決定される幾何学量を、Accupycによって決定される純粋体積と単純に比較する。これらの測定は、Micromeretics Analytical Services,Inc.(One Micromeritics Dr,Suite 200,Norcross,GA 30093)により行うことを薦める。この技術に関するより多くの情報は、Micromeretics Analytical Servicesのウェブサイト(www.particletesting.com or www.micromeritics.com)上で入手可能であり、あるいはClyde Orr及びPaul Webbによる本「Analytical Methods in Fine particle Technology」に公開されている。
【0118】
F.気泡壁厚さ
パーソナルケア物品及び/又は多孔質溶解性固体基材の気泡壁厚さは、本明細書に記載されたようなマイクロコンピュータ断層撮影システム(μCT80,SN 06071200,Scanco Medical AG)により走査画像から計算される。その気泡壁厚さは、スキャンコ・メディカル(Scanco Medical)の骨梁形態計測評価を用いて骨梁厚さの測定のために定められている方法に従って決定される。Scancoユーザーマニュアルから引用されるような骨梁厚さの定義:骨梁厚さは、ユークリッド距離変換(EDM)を用い、それは最前面相内の任意の点から背面の最も近い点までのユークリッド距離を計算する。骨梁厚さは、EDMの極大に関連付けられる中心線の値の2倍を表し、それは物体の中心までの距離(この距離の2倍が厚さを表す)を表す。
【0119】
G.比表面積
パーソナルケア物品及び/又は多孔質溶解性固体基材の比表面積は、気体吸着技術によって測定される。表面積は、分子規模の固体試料の露出した表面の測定値である。BET(Brunauer,Emmet and Teller)理論は、表面積を決定するのに用いられる最もよく知られているモデルであり、ガス吸着等温線に基づいている。ガス吸着は、物理的な吸着及び毛管凝縮を用いてガス吸着等温線を測定する。この技術は、以下の工程によって要約される。試料を試料管に入れ、真空下又は流れるガス下で熱して試料の表面上の汚染物を除去する。試料重量は、脱ガスされた試料+試料管の重量−空の試料管重量により得られる。次に試料管を分析ポート上に置き、分析をスタートする。この分析方法の最初の工程は、試料管の排気であり、次に液体窒素温度でヘリウムガスを用いて試料管内の空き空間体積を測定する。次に試料に2度目の排気をし、ヘリウムガスを除去する。計器は次に、要求される圧力測定値が達成されるまで、ユーザーが特定する間隔でクリプトンガスを投与することによって吸着等温線を収集し始める。
【0120】
試料調製(脱ガス):吸収した汚染物質を適切に洗浄していない試料は分析中にガスを放出し、表面の一部は、測定のためのアクセスが不可能になる。脱ガスの目的は、分析に先立って試料の表面からこれらの吸着された分子を除去することである。吸着性分子は、曝露される純表面積について表面の全部分に到達しなければならない。試料を加熱すると共に同時に試料管を排気することにより、試料を調製する。
【0121】
これらの実験では、一晩室温にて排気下において、試料を脱ガスする。試料を次に、クリプトンガス吸着でASAP 2420を用いて分析することができる。クリプトンガスは、液体窒素温度で窒素の約1/300の飽和圧力を有するので窒素ガスより好ましい(クリプトン:0.33kPa(2.5torr);窒素:101.3kPa(760torr))。したがって、窒素と比較して、試料上の空き領域に、同一の相対圧にて約1/300の数のクリプトン分子が存在する。単層を形成するには、およそ同数のクリプトン及び窒素分子が必要なので、この数は、窒素の場合よりもはるかに大きな割合の投与量を表す。これらの測定は、Micromeretics Analytical Services,Inc.によって行うことができる(One Micromeritics Dr,Suite 200,Norcross,GA 30093)。この技術に関するより多くの情報は、Micromeretics Analytical Servicesのウェブサイト(www.particletesting.com or www.micromeritics.com)上で入手可能であり、あるいはClyde Orr及びPaul Webbによる本「Analytical Methods in Fine particle Technology」に公開されている。
【0122】
H.表面残留コーティングの評価
本発明のデンプン香料複合体を含む表面残留コーティングの存在は、幾つか技術によって判定することができる。微粒子又は粉体被覆を検出するために、適用面並びに多孔質溶解性固体基材のより大きい面に垂直な断面を、微視的手法によって調べることができる。そのような微視的手法には、光学顕微鏡と走査型電子顕微鏡(SEM)が挙げられる。光学顕微鏡法には、明視野、暗視野、又は共焦点顕微鏡法が挙げられるが、必ずしもこれらに限定されない。断面上のシリコン等の固有の元素又は第四級アンモニウム基などの特殊な官能基をマッピングする他の技術には、飛行時間型二次イオン質量分光法(ToF−SIMS)又は赤外線顕微鏡法が挙げられる。
【0123】
試料を切断せずに多孔質溶解性固体基材の表面から内部までの粒子の分布を調べることができる方法には、マイクロコンピュータ断層撮影法(マイクロCT)、核磁気共鳴映像法(MRI)、音響映像法、共焦点蛍光顕微鏡法、共焦点ラマン分光法、及び共焦点赤外線反射分光法が挙げられる。
【0124】
切断された多孔質溶解性固体基材上の表面残留コーティング粒子の決定は、多孔質固体の切断面全体にわたる粒子の分布を比較することによって行うことができる。具体的には、表面残留コーティング粒子は、元の固体/空気界面にはあるが、固体の露出した新しく切断された断面内部を分析することによって確認できるように、固体気泡壁の露出した断面内部にはないはずである。多孔質固体の切断プロセスの結果として、新しく切断された断面固体気泡壁内部の汚染が起こることがあることに注意されたい。しかしながら、圧倒多数の表面残留コーティング粒子分布(一実施形態では、約50%〜約100%)が、気泡壁の露出した切断面内部ではなく元の固体/空気界面に生じる。
【0125】
また、本発明の表面残留コーティング粒子が、一般に、全ての露出した固体/空気界面全体に均一に広がらないことに注意されたい。より正確に言うと、本発明の表面残留コーティングが、一般に、重力によってコーティング適用点からキャビティ内に約0.5〜約3.0mm広がることが分かった。したがって、(前述したような)本発明の美容活性物質の表面残留粒子の決定は、多孔質固体の上から下と縁から縁の様々な断面全体に行われなければならない。存在する場合には、表面残留美容活性物質粒子は、一般に、コーティングが最初に適用された表面の近傍領域内(表面から約0.5〜約3.0mm以内まで)にある。
【0126】
I.エキスパート香料パネル
後述するように、臭気特性と臭気強度を1〜100段階(無臭から、起こり得る最強臭気まで)で評価する3つのエキスパートパフューマー(expert perfumer)によって、通常のシャンプープロトコルレジメン範囲内で芳香剤性能を定量化するために、エキスパート香料官能パネルが行われる。各パネル内には、小売り液体シャンプー製品が、対照レッグ(Herbal Essences Drama Clean Shampoo,Distributed by Procter & Gamble)として含まれる。
【0127】
エキスパート香料パネルの評価は、15g/25.4cm(15g/10インチ)の平坦な東洋人バージンヘアのヘアピースで行なわれる。ヘアピースは、シャワーノズルで5.7〜7.6L/分(1.5〜2.0ガロン/分)の38℃(100°F)の水道水で20秒間すすがれる。液体対照製品を試験するため、最初に、口が開いたガラスびん内の液体の純粋な製品の匂いを嗅ぐ。次に、手で最初の香料放出を評価するために、あらかじめ濡らした手のひらに5cm3の液体製品を適用する。次に、液体を、手のひらでヘアピースの中心に適用し、ヘアピースの匂い評価用の泡立てのために両手で下方への動きで40秒間ヘアピースを繰り返し擦り絞って、泡立てる。次に、ヘアピースを、45秒間よくすすぎ、濡れた毛髪の匂いを評価する。更なる評価には、4時間の湿った毛髪の匂い、24時間の乾いた毛髪の匂い、及び24時間の再び濡れた匂いがある。
【0128】
本発明の溶解性多孔質固体を試験するとき、5cm3の液体の代わりに、パッドの形の1つの基材(約1.0〜1.1g)を使用する。溶解性多孔質固体を試験するために、最初に、新しく開けた包み紙のパッドの純粋な製品の匂いを嗅ぐ。次に、パッドをあらかじめ湿らした手のひらに乗せ、手での最初の香料放出評価のために、固体が完全に溶けるまで手のひらで擦りながら(4〜8ストローク)38℃(100°F)の7.5mLの水道水で薄める。次に、得られた液体の混合物を手のひらでヘアピースの中心に適用し、ヘアピースの臭気評価用の泡立てのために、両手で下方への動きでヘアピースを繰り返し擦り絞って40秒間泡立てる。次に、ヘアピースを45秒間よくすすぎ、前述のように、濡れた毛髪の匂い、4時間の湿った毛髪の匂い、24時間の乾いた毛髪の匂い、及び24時間の再び濡れた匂いを評価する。
【0129】
IV.使用方法
本発明の組成物は、毛髪及び/又は頭皮などの哺乳類ケラチン組織を処理するために使用され、また迅速なすすぎ性能を提供することがある。毛髪を調製する方法は、a)有効量のパーソナルケア物品を手に適用する工程、b)パーソナルケア物品を水で濡らし擦って固体を溶かす工程、c)溶けた物質を処理する毛髪又は頭皮に適用する工程、及びd)薄めた処理剤を水を使用して毛髪又は頭皮からすすぐ工程を含んでもよい。これらの工程は、所望のトリートメント効果を達成するために所望に応じて何度でも繰り返すことができる。
【実施例】
【0130】
以下の実施例は、本発明の範囲内にある実施形態を更に説明し、かつ実証する。これら実施例は、例示目的のためにのみ提供され、しかも、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、それらの多くの変更が可能であることから、本発明を限定するものとして解釈されるべきではない。別段の指定がない限り、例示される量は全て、全組成物の重量を基準とした濃度、すなわち、重量/重量百分率である。
【0131】
実施例1:多孔質溶解性固体基材の調製
以下の界面活性剤/高分子液体加工組成物は、下の表1に示したような重量割合で調製される。
【0132】
【表1】

1 Sigma−AldrichカタログNo.363081、分子量85,000〜124,000、87〜89%加水分解
2 McIntyre Group Ltd(University Park,IL)のMackam HPL−28ULS
3 UCARE(商標)ポリマーLR−400、Amerchol Corporation(Plaquemine,Louisiana)から入手可能。
【0133】
目標重量300グラムの上記組成物を、従来のオーバーヘッド攪拌機(IKA(登録商標)Works,Inc.,Wilmington,DEから入手可能なIKA(登録商標)RW20DZM攪拌機)とホットプレート(Corning Incorporated Life Sciences,Lowell,MA)の使用により調製する。適切な寸法の洗浄した容器の中に、蒸留水及びグリセリンを加えて100〜150rpmで撹拌する。カチオン性ポリマーが存在する場合には、それを次に、均質になるまで一定の撹拌を行いながらゆっくりと添加する。ポリビニルアルコールを好適な容器に計量し、目に見える塊が形成されるのを避けてスパチュラを用いて攪拌し続けながら少しずつ主混合物にゆっくりと加える。混合速度は泡の形成を最小限に抑えるように調整する。混合物を80℃までゆっくり加熱し、その後で界面活性剤を加える。次に、攪拌し続けながら混合物を85℃に加熱し、次に室温まで冷やす。蒸発して失われた水を埋め合わせるために更に蒸留水を添加する(容器の風袋重量に基づく)。最終的なpHは5.2〜6.6の間であり、必要であればクエン酸で調整するか又は水酸化ナトリウムで希釈する。得られた加工混合物の粘度を測定する。
【0134】
下の表2に示したように、上記の液体加工混合物から多孔質溶解性固体基材(本明細書の実施例では「基材」とも呼ばれる)を調製した。
【0135】
【表2】

【0136】
300gの加工混合物(実施例1から)を、70℃の対流式オーブンに2時間以上入れて加工混合物を予熱する。この混合物を、(70℃のオーブンに15分超入れることによって)余熱した5クォート容量のKITCHENAID(登録商標)Mixer Model K5SSステンレススチール製ボウル(Hobart Corporation(Troy,OH)から入手可能)に移し、これにはフラット型ビーターアタッチメントを取り付け、70〜75℃の水道水を入れた水浴アタッチメントを備えておく。混合物を、湿潤密度約0.26g/cm3が達成されるまで、最大速度設定10で激しくエアレーションする(時間は表に記録されている)。既知の体積を有するカップを充填して、スパチュラを用いてカップの頂部を均一にこすり取って重さを測ることにより、密度を測定する。得られた気泡化混合物を次にスパチュラで6.5mmの深さを有する160mm×160mmの正方形のアルミニウム金型に広げ、過剰な湿潤発泡体を、角度45°に固定した大きな金属スパチュラの直線状端部を金型表面に対してゆっくりと均一に引くことにより除去する。次に、アルミニウム型を130℃の対流式オーブンに約35〜45分間入れる。型を室温まで冷やした後、薄いへらとピンセットを利用して、実質的に乾燥した多孔質溶解性固体基材を型から取り出す。
【0137】
得られた160mm×160mmの正方形基材をそれぞれ、打抜型とSamco SB20切断装置を使用して、9個の43mm×43mm正方形(丸い縁を有する)に切断する(各正方形は、約16.9cm2の表面積である)。次に、得られたより小さい基材を、室内雰囲気に開けたままにした大きなジップロックビニール袋に入れ、70°Fで相対湿度50%に維持された一定の環境空間内で一晩(14時間)平衡状態にする。次に、各基材を秤量し、元の型面を下向きにした状態で個々の秤量ボート上に乗せる。平均基材重量を記録し、平均基材重量を0.00169平方メートルで割って坪量を計算する。得られた基材厚さをデジタル・カリパスで測定し記録する。バッグを相対湿度50%の環境内で密閉する。
【0138】
実施例2:多孔質溶解性固体基材の構造特徴
下の表3は、実施例1の多孔質溶解性固体基材に関して得られた構造測定値と定性物理完全性定格の一覧である。SEM及びマイクロ−CT像もまた、低密度物品について取られ、添付の図面において参照される。データは本明細書に記載の方法によって収集された。
【0139】
【表3】

【0140】
上記のデータと参考画像は、実施例1の多孔質溶解性固体基材が、大部分連続気泡でありかつ良好な物理完全性を有することを示す。同様に、大部分連続気泡の多孔質溶解性固体基材は、また、本明細書に記載されたような模擬的な手溶解プロトコル内で素早い溶解性能(6〜8ストローク)を示す。
【0141】
比較実施例2:アラビアゴム、マルトデキストリン、及び香料アコード2aを含むマトリックスミクロスフェアの調製
下記の液体プロセシング組成物は、下記の表4(パーセンテージはすべて重量パーセント)に示されている、指示された重量パーセントで調製する。
【0142】
【表4】

1 Sigma−AldrichカタログNo.419699、CAS 9050−36−6、融点240℃、デキストロース当量16.5〜19.5。
2 Sigma−AldrichカタログNo.G9752、CAS 9000−01−5、試薬グレード。
【0143】
200グラムの上記混合物を、400mLのPYREX(登録商標)ビーカー内に磁気攪拌子を入れ、攪拌機/ホットプレート上で連続的に攪拌及び加熱して、調製する。アラビアゴムをこの水に加え、激しく攪拌し、約50℃に加熱する。マルトデキストリンを加え、引き続き加熱して約80℃にした後、30〜50℃の間まで冷ます。蒸発して失われた水を埋め合わせるために更に蒸留水を添加する(容器の風袋重量に基づく)。香料を加え、IKA Ultra−Turax T25 Basic High Shear Mixerを速度4で操作して約3分間高剪断混合して混合物にする。光学顕微鏡下でこの混合物を分析し、香料が、5μm未満の液滴サイズまで乳化されていることが示される。
【0144】
結果として得られた乳液を、Mini Spray Dryer(モデルB−290、BUCHI Labortechnik AG、CH−9230 Flawil 1/Switzerlandから入手可能)でスプレー乾燥させる。アスピレーターは100%に設定し、圧縮空気は4cmに設定し、ポンプは30%に設定し、操作される入口温度は165〜180℃、操作される出口温度は70〜80℃である。約30.2グラムの微粉末が製品容器から回収され、収率は約50.4%であった。結果として得られたミクロスフェアは、マルトデキストリン約53.33%、アラビアゴム23.33%、香料アコード2aが23.33%の、固体組成物計算理論値を有する(計算目的に限り水分を0%と仮定)。
【0145】
比較実施例3:アラビアゴム、マルトデキストリン、香料アコード2a、及びカチオン性界面活性剤コンディショナーを含む、マトリックスミクロスフェアの調製失敗
下記の液体プロセシング組成物は、下記表5(パーセンテージはすべて重量パーセント)に示されている、指示された重量パーセントで調製する。
【0146】
【表5】

1 Sigma−AldrichカタログNo.419699、CAS 9050−36−6、融点240℃、デキストロース当量16.5〜19.5。
2 Sigma−AldrichカタログNo.G9752、CAS 9000−01−5、試薬グレード。
3 GENAMIN KDMP、CAS 67−63−0、Clariant Corporationから入手可能
【0147】
200グラムの上記混合物を、400mLのPYREX(登録商標)ビーカー内に磁気攪拌子を入れ、攪拌機/ホットプレート上で連続的に攪拌及び加熱して、調製する。アラビアゴムをこの水に加え、激しく攪拌し、約50℃に加熱する。カチオン性界面活性剤コンディショナー(塩化ベヘントリモニウム)とマルトデキストリンを加え、引き続き加熱して約80℃にした後、30〜50℃まで冷ます。蒸発して失われた水を埋め合わせるために更に蒸留水を添加する(容器の風袋重量に基づく)。不均質な混合物中に、目に見える相分離したゲル断片がある。ビーカーの内容物を容器に入れて蓋をし、65℃に設定した対流式オーブン内に保管し、一晩おいてから、冷ます。この混合物はまだ濁っており、目に見えるゲル断片があり、不均質である。目に見えるゲル断片があり、これはスプレー乾燥機のノズルを詰まらせることが予想されたため、この後の乳化とスプレー乾燥は行わす、この実験は不成功に終わったと考えられる。理論に束縛されるものではないが、この錯化は、アラビアゴムとカチオン性界面活性剤コンディショナーとの間の物理的不相溶性のためであると考えられる。
【0148】
実施例4:マルトデキストリン、香料アコード2a、及び追加のカチオン性界面活性剤コンディショナーを含むマトリックスミクロスフェアの調製(実施例3に関連するアラビアゴム除去の補償)
下記の液体プロセシング組成物は、本発明により、下記表6(パーセンテージはすべて重量パーセント)に示されている、指示された重量パーセントで調製する。
【0149】
【表6】

1 Sigma−AldrichカタログNo.419699、CAS 9050−36−6、融点240℃、デキストロース当量16.5〜19.5。
2 Sigma−AldrichカタログNo.G9752、CAS 9000−01−5、試薬グレード。
3 GENAMIN KDMP、CAS 67−63−0、Clariant Corporationから入手可能
【0150】
300グラムの上記混合物を、400mLのPYREX(登録商標)ビーカー内に磁気攪拌子を入れ、攪拌機/ホットプレート上で連続的に攪拌及び加熱して、調製する。塩化ベヘントリモニウムとマルトデキストリンを加え、引き続き加熱して約80℃にした後、40〜50℃まで冷ます。蒸発して失われた水を埋め合わせるために更に蒸留水を添加する(容器の風袋重量に基づく)。香料を加え、IKA Ultra−Turax T25 Basic High Shear Mixerを速度4で操作して約3分間高剪断混合して混合物にする。重要なこととして、スプレー乾燥前及びスプレー乾燥中、混合物は約35℃以上に維持し、溶液を透明に維持する(これより低い温度では濁りの沈殿が形成される)。
【0151】
結果として得られた乳液を、スプレー乾燥の間、攪拌棒で連続的に攪拌し、攪拌器/ホットプレート上で40〜50℃に加熱する。スプレー乾燥は、Mini Spray Dryer(モデルB−290、BUCHI Labortechnik AG,CH−9230 Flawil 1/Switzerlandから入手可能)で行い、アスピレーターは100%に設定し、圧縮空気は4.2cmに設定し、ポンプは20〜25%に設定し、操作される入口温度は170〜180℃、操作される出口温度は70〜80℃である。約36.4グラムの微粉末が製品容器から回収され、収率は約60.6%である。結果として得られたミクロスフェアは、マルトデキストリン約40%、塩化ベヘントリモニウム30%、香料アコード2aが30%の固体組成物計算理論値を有する(計算目的に限り水分を0%と仮定)。
【0152】
実施例5:マルトデキストリン、香料アコード2b、及び追加のカチオン性界面活性剤コンディショナーを含むマトリックスミクロスフェアの調製(実施例3に関連するアラビアゴム除去の補償)
マトリックスミクロスフェアを、実施例4に記述したのと同じ処方及び手順で、ただし香料アコード2aの代わりに別の香料アコード2bを用いて調製した。約43.8グラムの微粉末が製品容器から回収され、収率は約73.0%である。結果として得られたミクロスフェアは、マルトデキストリン約40%、塩化ベヘントリモニウム30%、香料アコード2bが30%の固体組成物計算理論値を有する(計算目的に限り水分を0%と仮定)。
【0153】
実施例6:マルトデキストリン、香料アコード2c、及び追加のカチオン性界面活性剤コンディショナーを含むマトリックスミクロスフェアの調製(実施例3に関連するアラビアゴム除去の補償)
マトリックスミクロスフェアを、実施例4に記述したのと同じ処方及び手順で、ただし、調製した液体混合物を合計250グラムとし、香料アコード2aの代わりに別の香料アコード2cを用いて調製する。約33.3グラムの微粉末が製品容器から回収され、収率は約67.0%である。結果として得られたミクロスフェアは、マルトデキストリン約40%、塩化ベヘントリモニウム30%、香料アコード2cが30%の固体組成物計算理論値を有する(計算目的に限り水分を0%と仮定)。
【0154】
実施例7:アミノシリコーンの表面コーティング、第1芳香剤1aの表面コーティング、及び、カチオン性界面活性剤コンディショナーと第2香料アコード2cを含む表面コーティングされたミクロスフェアを備えた、多孔質溶解性固体基材シャンプー
実施例1から得た溶解性多孔質固体シャンプー基材(及び、対応する秤量ボート)を密封ビニール袋から取り出し、4プレース秤量天秤で風袋を差し引きゼロにする。65マイクロリットルのアミノシリコーン流体(Momentive,Performance Materials,Albany NYから入手可能な25℃における粘度14,500cpsとアミン含有量0.050meq/gの製品コード65850 Y−14945)を、ガラス管とプランジャを備えた容積式マイクロディスペンサによって、基材の上面(乾燥プロセス中に雰囲気に晒されかつ生産中にアルミニウム型と接触していた側と反対の側)にコーティングする。アミノシリコーン流体を小出しにして、5箇所(基材上の中央と4つの角)に5つの液滴(それぞれ全体積の約1/5)を配置する。ガラス管の側面を使用して、基材の上面にアミノシリコーン流体をできるだけ均一に分散させる。基材と秤量ボートをビニール袋に戻し、密封して、数時間おく。
【0155】
その後で、秤量ボート内の第1多孔質基材をジップロックビニール袋から取り出し、再び4プレース秤量天秤でゼロ重量にして風袋を差し引く。ドラフト内で、溶解性多孔質固体シャンプー基材を、約60度の角度で載っているステンレス鋼イーゼルに取り付ける。このイーゼルは、基材がずり落ちないように保持するノッチと、イーゼルから押し出すことによって基材を支持具から容易に取り出せるような適所の穴と、を有する。基材の上面(乾燥炉内で空気にさらされた側で、乾燥プロセス中にアルミニウム型と直接接触していた側の反対面)が、イーゼルと反対を向いていることが重要である。ポンプスプレーを備えた小さなガラスびんを第1香料芳香剤油1aで満たし、次に5.08〜7.62cm(2〜3インチ)の距離から固体の表面に噴霧する。次に、固体をイーゼルから外し、上方が上向きの状態で天秤の秤量ボートに戻す。加えた香料の重量を記録し、目標重量に達しない場合は、別の噴霧量を加えるか、キムワイプで余分な香料を基材から吸収する。この反復プロセスを目標重量範囲になるまで繰り返す。適用される第1香料芳香剤1aの目標重量は、0.06グラムである。小さな秤量ボートに載っている得られた基材を、ジップロックビニール袋内に収納し、大気から密閉する。上記のプロセスを、前にアミノシリコーンでコーティングされている実施例1の基材にも同様に行う。香料芳香剤1aの測定平均値約0.062+/−0.001グラムが、複数層コーティングされた基材上にコーティングされる。
【0156】
アミノシリコーンと第1芳香剤1aとの両方であらかじめコーティングされている実施例1の多孔質溶解性固体基材シャンプー(及び対応する秤量ボート)を、密閉されたジップロックビニール袋から取り出し、4プレース秤量天秤でゼロ重量にして風袋を差し引く。次に、実施例6の、マルトデキストリン、香料アコード2c、及びカチオン性界面活性剤コンディショナーを含むマトリックスミクロスフェアを、それぞれの基材の表面にコーティングする。過剰なミクロスフェアを含むトレー(又は他の適切な容器)内で基材を左右に10回ゆっくりと揺すって、基材にミクロスフェアを被覆する(このプロセスを反対側も繰り返す)。次に、得られた粉末コーティング基板をつまみ上げ(手袋をはめた手で)、ゆっくりと揺すり、何度か軽く叩いて、基材にしっかりと付着していない余分な粉末を除去する。ミクロスフェアが吸着された結果の重量を記録する。次に、秤量ボート内の基材をジップロックビニール袋に戻して大気から密閉する。この粉末コーティングプロセスを、すでにアミノシリコーンと香料でコーティングされている実施例1の基材に対して繰り返す。ミクロスフェアの測定平均値約0.154+/−0.003グラムが、複数層コーティングされた基材上にコーティングされる。
【0157】
実施例8:アミノシリコーンの表面コーティング、第1芳香剤1aの表面コーティング、並びに、第2香料アコード2cのケイ酸カルシウム複合体15%、及びカチオン性界面活性剤コンディショナーと第2香料アコード2cとを含むミクロスフェア85%を含む、表面コーティングされた粉末配合物を備えた、多孔質溶解性固体基材シャンプー
第2芳香剤2cのケイ酸カルシウム複合体は、Flacktek Speemixer(商標)DAC400FV(HAUSCHILD,Waterkamp 1,509075 Hamm,Germanyから)と4プレース秤量天秤とを使用して調製される。5gのケイ酸カルシウム(Hubersorb 600、Huber Engineered Materials(Havre de Grace,MD)から供給、該供給元によって、475cc/100gの吸油量、6マイクロメートルの平均粒径、300m2/gのBET表面積、及び8lbs/CFTのかさ密度を有することが報告されている)を、Flacktek Speedmixer 60マックスジャーに入れて秤量する。次に、5gの第2芳香剤油2cを秤量してピペットを使用して同じ60マックスジャーに入れる。次に、ジャーを対応する蓋で塞ぎ、2750rpmで約60秒間高速混合する。これにより、高効果香料2cアコードは、約50重量%の複合体と複合され、その結果、流動性微粉末の形態の複合体が得られる。
【0158】
第2香料アコード2cのケイ酸カルシウム複合体と、実施例6の、マルトデキストリン、第2香料アコード2c、及びカチオン性界面活性剤コンディショナーを含むマトリックスミクロスフェアとを、前者対後者の重量比を15対85として、Flacktek Speemixer(商標)DAC400FVを使用し、一緒に混合する。混合した粉末約2グラムを、Flacktek Speedmixer 60マックスジャーに量り取る。次に、ジャーを対応する蓋で封止し、2750rpmで約35秒間高速混合する。結果として得られた混合粉末中の香料アコード2cの重量パーセンテージは、混合した粉末の重量に対して約33%であり、結果として得られた粉末配合物は、自由流動性の微粉末形状である。
【0159】
表面残留コーティングを備えた多孔質溶解性固体基材を、実施例7に記述したのと同じ処方及び手順に従って、ただし、カチオン性界面活性剤コンディショナーと第2香料アコード2cを含む表面コーティングされたミクロスフェアの代わりに、上記の、第2香料アコード2cのケイ酸カルシウム複合体15%と、カチオン性界面活性剤コンディショナーと第2香料アコード2cを含むミクロスフェア85%とを含む粉末配合物の表面コーティングを用いる。測定平均値約0.066+/−0.003グラムの第1芳香剤1aと、約0.125+/−0.023グラムの粉末配合物を、基材上にコーティングする。
【0160】
実施例9:アミノシリコーンの表面コーティング、第1芳香剤1aの表面コーティング、並びに、第2香料アコード2cのケイ酸カルシウム複合体35%、及びカチオン性界面活性剤コンディショナーと第2香料アコード2cとを含むミクロスフェア65%を含む、表面コーティングされた粉末配合物を備えた、多孔質溶解性固体基材シャンプー
表面残留コーティングを備えた多孔質溶解性固体基材を、実施例8に記述したのと同じ処方及び手順に従って、ただし、第2香料アコード2cのケイ酸カルシウム複合体15%と、カチオン性界面活性剤コンディショナーと第2香料アコード2cを含むミクロスフェア85%とを含む表面コーティングされた粉末配合物の代わりに、上記の、第2香料アコード2cのケイ酸カルシウム複合体35%と、カチオン性界面活性剤コンディショナーと第2香料アコード2cを含むミクロスフェア65%と、を含む粉末配合物の表面コーティングを用いる。測定平均値約0.067+/−0.001グラムの第1芳香剤1aと、約0.128+/−0.009グラムの粉末配合物とを、基材上にコーティングする。
【0161】
実施例10:アミノシリコーンの表面コーティング、第1芳香剤1aの表面コーティング、並びに、第2香料アコード2cのケイ酸カルシウム複合体50%、及びカチオン性界面活性剤コンディショナーと第2香料アコード2cとを含むミクロスフェア50%を含む、表面コーティングされた粉末配合物を備えた、多孔質溶解性固体基材シャンプー
表面残留コーティングを備えた多孔質溶解性固体基材を、実施例8に記述したのと同じ処方及び手順に従って、ただし、第2香料アコード2cのケイ酸カルシウム複合体15%と、カチオン性界面活性剤コンディショナーと第2香料アコード2cを含むミクロスフェア85%とを含む表面コーティングされた粉末配合物の代わりに、上記の、第2香料アコード2cのケイ酸カルシウム複合体50%と、カチオン性界面活性剤コンディショナーと第2香料アコード2cとを含むミクロスフェア50%と、を含む粉末配合物の表面コーティングを用いる。測定平均値約0.064+/−0.001グラムの第1芳香剤1aと、約0.119+/−0.008グラムの粉末配合物を、基材上にコーティングする。
【0162】
実施例11:アミノシリコーンの表面コーティング、第1芳香剤1aの表面コーティング、及び、カチオン性界面活性剤コンディショナーと第2香料アコード2bとを含む表面コーティングされたミクロスフェアを備えた、多孔質溶解性固体基材シャンプー
表面残留コーティングを備えた多孔質溶解性固体基材を、実施例7に記述したのと同じ処方及び手順に従って、ただし、実施例6のカチオン性界面活性剤コンディショナーと第2香料アコード2cを含む表面コーティングされたミクロスフェアの代わりに、実施例5の、カチオン性界面活性剤コンディショナーと第2香料アコード2bを含むミクロスフェアの表面コーティングを用いる。測定平均値約0.065+/−0.001グラムの第1芳香剤1aと、約0.11+/−0.01グラムのミクロスフェアを、基材上にコーティングする。
【0163】
実施例12:アミノシリコーンの表面コーティング、第1芳香剤1bの表面コーティング、並びに、カチオン性界面活性剤コンディショナーと第2香料アコード2aとを含むミクロスフェア50%と、カチオン性界面活性剤コンディショナーと第2香料アコード2bを含むミクロスフェア50%とを含む、表面コーティングされた粉末配合物を備えた、多孔質溶解性固体基材シャンプー
表面残留コーティングを備えた多孔質溶解性固体基材を、実施例8に記述したのと同じ処方及び手順に従って、ただし、第2香料アコード2cのケイ酸カルシウム複合体15%と、カチオン性界面活性剤コンディショナーと第2香料アコード2cを含むミクロスフェア85%とを含む表面コーティングされた粉末配合物の代わりに、実施例4のカチオン性界面活性剤コンディショナーと第2香料アコード2aを含むミクロスフェア50%と、実施例5のカチオン性界面活性剤コンディショナーと第2香料アコード2bを含むミクロスフェア50%とを含む粉末配合物の表面コーティングを用いる。更に、実施例8の第1芳香剤1aを、約1/2濃度の第1芳香剤1bに置き換える。測定平均値約0.032+/−0.003グラムの第1芳香剤1bと、約0.114+/−0.031グラムの粉末配合物を、基材上にコーティングする。
【0164】
エキスパート香料官能パネル評価
下記の表は、さまざまな第2芳香剤アコード及びさまざまな第1芳香剤との組み合わせを含む本発明のカチオン性界面活性剤コンディショナーミクロスフェアを含む表面残留コーティングのさまざまな組み合わせを含む実施例7、8、9、10、11及び12の溶解性多孔質固体シャンプーを、市販のHerbal Essences Drama Clean液体シャンプー製品対照と比較した、エキスパート香料官能パネルデータをまとめたものである。データは、本明細書で述べた方法によって収集された。
【0165】
【表7】

【0166】
上記のデータは、本発明による溶解性多孔質固体シャンプーが、湿潤時、4時間、24時間、及び48時間の時点において、市販のHerbal Essences Drama Clean液体シャンプー対照製品よりも、パネル知覚可能香料寿命が優れていることを示している。
【0167】
湿潤時及び乾燥時の櫛通り評価
下記の表は、本発明のカチオン性界面活性剤コンディショナーミクロスフェアを含む表面残留コーティングのさまざまな組み合わせを含む実施例7、8、9、10、11及び12の溶解性多孔質固体シャンプーを、市販のClarifyingシャンプー対照のワンステップ適用、及び、市販のClarifyingシャンプーの適用の後、別途に市販ヘアコンディショナーを使用する2ステップ適用を、それぞれネガティブ対照及びポジティブ対照として比較した、湿潤時及び乾燥時の櫛通りパネルデータをまとめたものである。データは、本明細書で述べた方法によって収集された。
【0168】
【表8】

【0169】
上記のデータは、カチオン性界面活性剤コンディショナーミクロスフェアを含む表面残留コーティングを含む溶解性多孔質固体シャンプーが、市販のClarifyingシャンプー1ステップ適用に比べ、湿潤時と乾燥時のコンディショニング両方において、顕著な改善をもたらすことを示している。このデータも、本発明によるシャンプーの1ステップ適用で、強力なヘアコンディショニング性能が達成できること、及び、そのコンディショニング効果は、市販シャンプープラス別途の市販コンディショナーの2ステップ対照の効果に近づくことが可能であることを示している。
【0170】
ヘアピース泡立ち評価
下記の表は、本発明のカチオン性界面活性剤コンディショナーミクロスフェアを含む表面残留コーティングのさまざまな組み合わせを含む実施例7、8、9、10、11及び12の溶解性多孔質固体シャンプーを、市販のツー・イン・ワン・コンディショニングシャンプー(Pantene Pro−V Smooth and Sleek)と比較した、ヘアピース泡立ちデータをまとめたものである。データは、本明細書で述べた方法によって収集された。
【0171】
【表9】

【0172】
上記のデータは、本発明のカチオン性界面活性剤コンディショナーミクロスフェアの表面残留コーティングを含む溶解性多孔質シャンプー固体が、市販の液体コンディショニングシャンプー製品(Pantene Pro−V、Smooth & Sleek)に比べ、非常に良好な泡立ち性能を生じる、単一変数を示す。
【0173】
手溶解評価
下記の表は、本発明のカチオン性界面活性剤コンディショナーミクロスフェアを含む表面残留コーティングのさまざまな組み合わせを含む実施例7、8、9、10、11及び12の溶解性多孔質固体シャンプーについて、手溶解データをまとめたものである。データは、本明細書で述べた方法によって収集された。
【0174】
【表10】

【0175】
上記のデータは、本発明のカチオン性界面活性剤コンディショナーミクロスフェアの表面残留コーティングを含む多孔質溶解性固体基材シャンプーが、手で急速に溶けること、すなわち、8〜12回の手のストローク(すなわち約30秒未満)で完全に溶けることを示している。
【0176】
本明細書に開示された任意の活性物質及び/又は組成物は、以下の米国特許出願:米国特許第61/229981号、同第61/229986号、同第61/229990号、同第61/229996号、同第61/230000号、同第61/230004号、並びに、これらに優先権を主張する任意の出版物に開示されている物品、特に家庭用ケア物品、の内部で及び/又はそれらと共に使用できることに留意すべきである。そのような物品は、洗浄剤性界面活性剤、可塑剤、酵素、泡立ち抑制剤、泡立ち促進剤、漂白剤、漂白安定剤、ケラント(chelant)、洗浄溶剤、向水性剤、二価イオン、繊維柔軟剤(例えば、第四級アンモニウム化合物)、非イオン性界面活性剤、香料、及び/又は香料送達システムのうちの1つ以上を含んでもよい。このような物品は、洗濯機に投入して布地を洗浄及び/又は処理すること、食器洗浄機に投入して食器を洗浄及び/又は処理すること、並びに、水に投入して布地及び/又は硬質表面を洗浄及び/又は処理すること、が挙げられるがこれらに限定されない方法において利用され得る。
【0177】
本明細書に開示した寸法及び値は、記述された正確な数値に厳しく限定されるものと理解すべきでない。むしろ、特に言及しない限り、そのようなそれぞれの寸法は、記述された値と、その値の周辺の機能的に同等の範囲との両方を意味することを意図する。例えば、「40mm」として開示された寸法は、「約40mm」を意味することを意図する。
【0178】
相互参照される又は関連するあらゆる特許又は出願書類を含め、本明細書において引用される全ての文献は、明示的に除外ないしは制限されない限り、その全体を参考として本明細書に組み込まれる。いかなる文献の引用も、それが本明細書において開示され請求されるいずれかの発明に関する先行技術であること、又はそれが単独で若しくは他のいかなる参照とのいかなる組み合わせにおいても、このような発明を教示する、提案する、又は開示することを認めるものではない。いかなる文献の引用も、それが本明細書において開示され請求されるいずれかの発明に関する先行技術であること、又はそれが単独で若しくは他のいかなる参照とのいかなる組み合わせにおいても、このような発明を教示する、提案する、又は開示することを認めるものではない。
【0179】
本発明の特定の諸実施形態を図示し、記載したが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく他の様々な変更及び修正を実施できることが当業者には自明である。したがって、本発明の範囲内にあるそのようなすべての変更及び修正を添付の特許請求の範囲で扱うものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a.)
i.約10%〜約75%の界面活性剤と、
ii.約10%〜約50%の水溶性ポリマーと、
iii.約1%〜約30%の可塑剤と、を含む多孔質溶解性固体基材、及び
b.)約10%〜約100%のマトリックスミクロスフェアを含む表面残留コーティングであって、該マトリックスミクロスフェアは約25%〜約70%のデンプン誘導材料と、約5%〜約60%のカチオン性界面活性剤コンディショナーと、約5%〜約60%の香料と、を含む表面残留コーティング、
を含み、かつ該多孔質溶解性固体基材と該表面残留コーティングとの比が110:1〜約0.5:1である、パーソナルケア物品。
【請求項2】
前記マトリックスミクロスフェアが、約30%〜約60%のデンプン誘導材料を含み、好ましくは約35%〜約50%のデンプン誘導材料を含む、請求項1に記載のパーソナルケア物品。
【請求項3】
前記マトリックスミクロスフェアが、約15%〜約50%のカチオン性界面活性剤コンディショナーを含み、好ましくは約20%〜約40%のカチオン性界面活性剤コンディショナーを含む、請求項1に記載のパーソナルケア物品。
【請求項4】
前記マトリックスミクロスフェアが、約15%〜約50%の香料を含み、好ましくは約20%〜約40%の香料を含む、請求項1に記載のパーソナルケア物品。
【請求項5】
前記界面活性剤が、少なくとも1つのグループIの界面活性剤を含み、該グループIの界面活性剤が、アルキル及びアルキルエーテル硫酸塩、硫酸化モノグリセリド、スルホン化オレフィン、アルキルアリールスルホン酸塩、第一級又は第二級アルカンスルホン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、タウリン酸、イセチオン酸、アルキルグリセリルエーテルスルホン酸塩、スルホン化メチルエステル、スルホン化脂肪酸、アルキルリン酸塩、アシルグルタミン酸塩、アシルサルコシネート、アルキルラクチレート、アニオン性フルオロ界面活性剤、ラウロイルグルタミン酸ナトリウム、並びにこれらの組み合わせからなる群から選択されるアニオン性界面活性剤である、請求項1に記載のパーソナルケア物品。
【請求項6】
前記界面活性剤が、グループIIの界面活性剤を更に含み、前記グループIIの界面活性剤が、両性、双極性イオン、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項2に記載のパーソナルケア物品。
【請求項7】
前記界面活性剤が、(i)0%〜約10%のアニオン性界面活性剤、(ii)非イオン性界面活性剤、(iii)高分子界面活性剤、及び(iv)これらの任意の組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載のパーソナルケア物品。
【請求項8】
前記多孔質溶解性固体基材と前記表面残留コーティングとの比が、約20:1〜約1:1、好ましくは約10:1〜約1.5:1、より好ましくは約7:1〜約3:1である、請求項1に記載のパーソナルケア物品。
【請求項9】
前記表面残留コーティングが粉末である、請求項1に記載のパーソナルケア物品。
【請求項10】
前記表面残留コーティングが、層、コーティング、及びこれらの組み合わせの形態であり、かつ該表面残留コーティングが、前記多孔質溶解性固体基材の固体/空気界面の少なくとも一部に取り付けられる、請求項1に記載のパーソナルケア物品。
【請求項11】
前記溶解性パーソナルケア物品が、2つの多孔質溶解性固体基材を含み、かつ前記表面残留コーティングが、該2つの多孔質溶解性固体基材の間に位置する層である、請求項1に記載のパーソナルケア物品。
【請求項12】
前記多孔質溶解性固体基材が、約125グラム/m2〜約3,000グラム/m2の坪量と、約0.5mm〜約10mmの厚さとを有する、請求項1に記載のパーソナルケア物品。
【請求項13】
前記多孔質溶解性固体基材が、約0.03m2/グラム〜約0.25m2/グラムの比表面積を有する、請求項1に記載のパーソナルケア物品。
【請求項14】
前記多孔質溶解性固体基材が、約80%〜約100.0%の開放気泡含有百分率を有する、請求項1に記載のパーソナルケア物品。
【請求項15】
前記多孔質溶解性固体基材が、約0.02mm〜約0.15mmの気泡壁厚さを有する、請求項1に記載のパーソナルケア物品。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2013−512283(P2013−512283A)
【公表日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−542246(P2012−542246)
【出願日】平成22年12月8日(2010.12.8)
【国際出願番号】PCT/US2010/059455
【国際公開番号】WO2011/072009
【国際公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ジップロック
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】