説明

多孔質焼結コンポジット材料

【課題】広い表面積触媒、センサー、充填ベッドにおける汚染物質除去装置および流体に対する汚染物質除去膜として使用できる多孔質コンポジット材料を提供する。
【解決手段】多孔質基体材料120は、多孔質基体材料の一部分に侵入している粉末ナノ粒子材料130を有し、多孔質基体材料120内の粉末ナノ粒子材料130は、細孔内および/または多孔質基体材料120の表面上に多孔質焼結ナノ粒子材料を形成するために焼結されるか、あるいは相互溶融によって相互に連絡されている。好ましくは、この多孔質コンポジット材料は焼結ナノ粒子材料全体にわたってナノメートルサイズの細孔を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、米国仮特許出願番号第60/432910号、2002年12月12日出願、名称「ナノ多孔質焼結コンポジット材料」、米国仮特許出願番号第60/455993号、2003年3月19日出願、名称「超臨界流体の深部ろ過」、および米国仮特許出願番号第60/475729号、2003年6月4日出願、名称「超臨界流体の深部ろ過およびその改良」(その内容は、その全体において、参照して本明細書にそれぞれが組み込まれる)の優先権ならびに利益を要求するものである。
【背景技術】
【0002】
多孔質材料は、繊維状、樹状または球状形状の前駆体粒子を含む粉末を成型または焼結することによって得ることができる。前駆体粒子は、一般的に、白金、ニッケルまたはそれらの合金のような金属、アルミナのようなセラミック材料、または、ポリテトラフルオロエチレンのようなポリマー材料である。そのような多孔質材料においては、材料の強度、材料における細孔のサイズおよび材料の表面積が、粉末を作り上げている粒子の充填密度、サイズ、形状および組成に関わりを持つ。焼結方法の条件も、そのような多孔質材料の強度、細孔径および表面積に影響を及ぼす。小さな細孔と広い表面積を達成するためには、小さな直径の粒子の焼結が好ましい。
【0003】
大きな細孔径を持つ材料においては、細孔のサイズは、様々な方法を使用してさらに減少させ得る。幾つかの材料に対しては、基体多孔質材料の細孔中に更なる材料を蒸着、電気メッキまたは無電解メッキすることが可能であり得る。これらの方法は、均一な被覆をもたらし、細孔径を減少させるが、材料の表面積を減少させることにもなる。あるいはまた、粒子のスラリーが形成され、そのスラリーを材料の表面に噴霧または刷毛塗りし、乾燥後にそれを焼結することによって適用される。この方法は、内部細孔の少なくとも一部を占有するために、粒子の基材中への侵入を確実にするものではない。この方法は、焼結中のスラリー粉末と基材表面の異なる収縮によって、適用されたスラリーと多孔質基材間の接着を不十分なものとする。さらに、この方法は、多孔質構造を形成するために焼結することのできる層または粉末前駆体を作り上げないであろう。
【0004】
多孔質でかつ広い表面積の材料は、触媒作用、ガス感知およびろ過において使用される。例えば、多孔質セラミックまたは金属基材上に沈着された微粉貴金属または合金(Pd、PtおよびRh)は、熱分解炭化水素ガスの燃焼触媒として使用され得る。このタイプの触媒は、また、排出ガスからNOおよびCOを除去するのに使用され得る。多孔質材料は、電池における電解質が固体ポリマーである燃料電池における電極として使用され得る。適切な操作のためには、これらの燃料電池におけるポリマー電解質は、電解質を介してのイオン伝導の損失を防ぐために水和物形態において維持されることが必要である。電池電極において膜水和および適当な反応を維持するために、1つまたは複数の電池電極は、大きな導電性粒子上に分布されかつ支持される非常に小さい金属粒子(通常2〜5nm直径)で作られ得る。これらの支持された金属粒子は、反応ガス、電解質および金属触媒間の接触を最適化するために多孔質である広い表面積の電極に形成される。ペリスター(Pellistor)は、セラミック(即ち、PdまたはPtのような多孔質触媒金属で被覆されたThOおよびAlセラミックペレット)上に多孔質金属電極を有するガスセンサーであり、セラミックペレット中に埋め込まれたRTDによって検出される熱を発生するために可燃性ガスと反応する。これらのセンサーの検出限界は、分解反応によって発生した熱の量に関係する。これは、多孔質金属電極の活性面積に依存する。
【0005】
焼結セラミックおよび金属ガスフィルターは、一般的に、1〜10μmの範囲の細孔径を有し、9より大きい対数保持値で、0.003ミクロンまで下げられた粒子を除去することができる。ガスにおいては、粒子捕捉は、フィルター表面での拡散と遮断によるものである。気体の低粘性の故に、このフィルターは、膜全体にわたる名目の圧力損失を伴って、大体積の気体を流動させることができる。液体においては、これらの同じフィルターは、篩分が液体における粒子除去または捕捉のための支配的なメカニズムであるために、約2のLRVで1〜10μmの範囲の粒子を除去するに過ぎない。液体の高い粘性の故に、一定の体積流量に対する同じフィルターの全体にわたる圧力損失は、気体よりも液体の方が大きくなる。物質の温度および圧力が臨界値以上である物質、即ち超臨界流体は、気体と液体の間の中間の性質を有している。超臨界流体は、一般的に、液体の溶媒和の性質と密度を有しながら、気体のような粘性と表面張力を有する。超臨界流体の溶媒和性の故に、それは粒子とフィルター表面の両方に作用し、超臨界流体における粒子は、拡散および遮断よりもむしろ篩分によって流体から好ましく除去される。それらの気体状粘性と表面張力の故に、超臨界流体は、液体よりも気体にむしろ近い、同じフィルター全体にわたる圧力損失を有する。篩分によって、フィルターの圧力損失を大いに増加させることなしに、ナノメートルおよびサブナノメートルサイズの粒子を捕捉するために小さな細孔、ナノメートルサイズの細孔またはさらに小さな細孔をフィルターの中に設計することは可能である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
機械的に強く、広い表面積の、小さな細孔を持つ材料を持つことが望ましい。さらに、異なる材料でかつ様々な形状およびサイズにおいてこれらの性質を持つ目的物を作製することができることが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の1実施形態は、多孔質基体材料と粉末ナノ粒子材料とから構成される多孔質コンポジット材料である。多孔質基体材料は、多孔質基体材料の一部分に侵入している粉末ナノ粒子材料を有する。多孔質基体材料に侵入する粉末ナノ粒子は、次いで、多孔質基体材料の細孔内で多孔質焼結ナノ粒子材料を形成するために、相互溶融によって互いに相互結合しても良く、あるいは焼結され得る。好ましくは、この焼結多孔質コンポジット材料は、その中を通過する流体の流動を可能とし、好ましくは、篩分によって流体から粒子を除去する、焼結ナノ粒子コンポジット材料の厚さ全体にわたりナノメートルおよびサブナノメートルサイズの細孔を含む。多孔質焼結ナノ粒子材料の細孔は、基体材料よりも小さく、多孔質焼結ナノ粒子材料を通して流体の流動を可能とし、かつ約5000ナノメートル未満、好ましくは、1000ナノメートル未満、さらに好ましくは200ナノメートル未満、なおさらに好ましくは50ナノメートル未満の最大寸法を有し得る。多孔質焼結コンポジット材料は、流体流動回路への接続のためのハウジングに結合され得、ハウジングと多孔質焼結コンポジット材料との間のこの結合は、ハウジングに結合された焼結多孔質コンポジット材料全体にわたって実質的に均一な粒子保持性を与える。
【0008】
あるいはまた、粉末ナノ粒子材料は、多孔質基体の一部分に侵入しており、次いで、多孔質基体の1つまたは複数の表面上で蓄積してナノ粒子材料の層を形成し得る。焼結後、基体の細孔内に多孔質焼結ナノ粒子材料と、多孔質基体の1つまたは複数の表面上の焼結ナノ粒子材料の多孔質層とを含む焼結多孔質コンポジット材料が形成される。焼結ナノ粒子材料の多孔質層は、基体の細孔内で多孔質焼結ナノ粒子材料の連続構造を形成する。多孔質コンポジット材料の厚さは、多孔質基体材料と1つまたは複数の焼結多孔質ナノ粒子材料の層とを含む。基体の細孔における粉末材料は、基体材料に焼結され得、あるいはそれ自体の焼結だけであり得る。多孔質基体の1つまたは複数の表面上の微細層における粉末ナノ粒子は、基体材料に焼結されても良く、両方に焼結され得、あるいはナノ粒子材料にのみ焼結され得る。好ましくは、この焼結多孔質コンポジット材料は、焼結多孔質ナノ粒子材料全体にわたってナノメートルおよびサブナノメートルサイズの細孔を含む。好ましくは、この焼結多孔質コンポジット材料は、焼結ナノ粒子コンポジット材料全体にわたってナノメートルおよびサブナノメートルサイズの細孔を含み、それらを通して流体の流動を可能とし、好ましくは篩分によって流体から粒子または汚染物質を除去する。焼結多孔質コンポジット材料は、また、材料の細孔内に超臨界流体を含み得る。多孔質焼結ナノ粒子材料の細孔は、基体材料よりも小さく、多孔質焼結ナノ粒子材料を通して流体の流動を可能とし、かつ約5000ナノメートル未満、好ましくは、1000ナノメートル未満、さらに好ましくは200ナノメートル未満、なおさらに好ましくは50ナノメートル未満のそれらの最大寸法を有し得る。多孔質コンポジット材料は、サイズ、形状および組成を変動させたものであってこれらに限定されないものを含む異なるナノ粒子材料の層を含み得る。多孔質焼結コンポジット材料は、ハウジングに結合され得る。好ましくは、ハウジングと多孔質焼結コンポジット材料との間の結合は、多孔質焼結コンポジット材料の一体性を保持しかつハウジングに結合された焼結多孔質コンポジット材料の全体にわたって実質的に均一な粒子保持性を与える。
【0009】
コンポジットを作り上げている粉末ナノ粒子材料は、約1000ナノメートル未満の寸法を有し得る。多孔質基体材料と同様に、これらのナノ粒子材料は、金属、金属合金、セラミック、熱可塑性プラスチックまたはこれらの材料の混合物であっ得る。最初のナノ粒子は、多孔質基体材料中に侵入できるものでなければならず、球状、樹状、繊維状またはこれらの粒子の混合物を含むがこれらに限定されない形状を有し得る。好ましい粉末ナノ粒子材料としては、ニッケルの樹枝状結晶またはニッケルを含む合金が挙げられる。
【0010】
焼結多孔質コンポジット材料は、電極要素、触媒要素またはフィルター要素に作られ得る。要素はハウジングまたは、焼結多孔質コンポジット材料の一体性を維持し、機械的支持を与えかつ流体系への要素の接続を可能とするその他の適当な構造体に結合され得る。
【0011】
本発明の1実施形態においては、焼結多孔質コンポジット材料またはその他のフィルター要素は、ハウジングの中に溶接または別途固定され、ハウジングは次いで粉末組成物で充填される。多孔質焼結コンポジット材料は、ハウジングと多孔質焼結コンポジット材料との間の結合が、多孔質焼結コンポジット材料の一体性を保持しかつハウジングに結合された焼結多孔質コンポジット材料の全体にわたって実質的に均一な粒子保持を与える様にハウジングに結合され得る。この粉末は、ハウジング内のフィルター要素全体にわたって、適当な方法を使用して、この粉末の充填密度および質量が、使用される流体から粒子またはその他の汚染物質を除去するのに十分となるまで分布され得る。規格化粒径ベッド、バッフルならびに異なる粒子材料を含むベッドを含むがこれらに限定されないベッドの様々な配列が可能である。
【0012】
本発明のその他の実施形態は、多孔質コンポジット材料を作製する方法である。コンポジット材料は、流体媒体中に懸濁されたナノ粒子材料源を多孔質基体基材中にまたは基材を通して流動させ、その多孔質基体対象物内でナノ粒子材料粒子の部分を捕捉することによって作られる。捕捉されたナノ粒子材料と多孔質基体対象物は、焼結または相互溶融により相互結合されて、焼結多孔質コンポジット材料を形成し得る。その意図された用途によって、ナノ粒子材料を、多孔質基体対象物の1つまたは複数の表面上に多孔質層として侵入させかつ蓄積させることが望ましいであろう。ナノ粒子材料の蓄積層がその所望の重量または厚さに達したときに、ナノ粒子材料粒子の流動は停止される。ナノ粒子材料の蓄積層を有する多孔質基体は、次いで、焼結されて、基体の細孔内で基体材料の一部分に侵入している多孔質焼結ナノ粒子材料の連続構造を形成し、多孔質基材の上部のナノ粒子材料の層、好ましくは微細層を含む焼結多孔質コンポジット材料を形成する。好ましくは、この焼結多孔質コンポジット材料は、焼結ナノ粒子コンポジット材料全体にわたってナノメートルおよびサブナノメートルサイズの細孔を含み、これらを通して流体の流動を可能とし、および好ましくは、粒子を保持してそれらを篩分によって流体から除去する。焼結多孔質コンポジット材料は、また、材料の細孔内に超臨界流体を含み得る。
【0013】
本発明のその他の実施形態は、多孔質コンポジット材料とフィルターベッドを作製する方法である。多孔質コンポジット材料は、流体媒体中に懸濁されたナノ粒子材料源を多孔質基体基材中にまたは基材を通して流動させ、多孔質基体対象物内でナノ粒子材料粒子の部分を捕捉することによって作られる。捕捉されたナノ粒子材料と多孔質基体対象物は、焼結または相互溶融により相互結合されて、焼結多孔質コンポジット材料を形成し得る。その意図する用途によって、ナノ粒子材料を、多孔質基体対象物の1つまたは複数の表面上に侵入させかつ蓄積させることが望ましいであろう。ナノ粒子材料の蓄積層がその所望の重量または厚さに達したときに、ナノ粒子材料粒子の流動を停止し、要素を焼結し得る。焼結多孔質コンポジット材料要素は、多孔質焼結コンポジット材料の空隙率と一体性が保持される様にハウジングに結合または溶接され得る。マイクロメートルまたはナノメートルサイズの材料を、次いで、フィルター要素の周りに置いて充填ベッドを形成し得る。規格化粒径ベッド、バッフルならびに異なる粒子材料を含むがこれらに限定されないベッドの様々な配列を作製することができる。
【0014】
その他の実施形態においては、本発明の焼結多孔質コンポジット材料は、水中における篩分によって、約0.2μm直径のPSLビーズ粒子に対して少なくとも約2、好ましくは4のLRVを有する点で特徴付けられる。本発明の焼結多孔質コンポジット材料は、約250(psi cm)/slpm未満、さらに好ましくは約125(psi cm)/slpm未満、なおさらに好ましくは約30(psi cm)/slpm未満の、窒素ガスにおける圧力係数を有することによって特徴付けられ得る。この材料は、焼結多孔質コンポジット材料膜の全体にわたって、60psiより大きい、さらに好ましくは約400psiより大きい差圧に耐えることができる。さらに好ましくは、本発明の焼結多孔質コンポジット材料は、水中における篩分によって、約0.05μm直径のPSLビーズ粒子に対して少なくとも約2、好ましくは4のLRVを有する点で特徴付けられる。この材料は、約250(psi cm)/slpm未満、さらに好ましくは約125(psi cm)/slpm未満、よりさらに好ましくは約30(psi cm)/slpm未満の、窒素ガスにおける圧力係数を有し得る。この材料は、多孔質コンポジット材料膜全体にわたる差圧に耐えることができ、この多孔質基体は、多孔質焼結ナノ粒子材料に対して60psiより大きい、さらに好ましくは約800psiより大きい支持を与える。
【0015】
多孔質コンポジット材料を形成するために、粉末ナノ粒子材料が多孔質基体対象物中に侵入する深さは、多孔質基体対象物を通して流動する流体媒体の速度ならびに多孔質基体の粒子捕捉効率によって調節され得る。多孔質基体内または多孔質基体の表面上に蓄積される粉末ナノ粒子材料の量は、スラリー中の粒子の濃度、多孔質基体を通過する全体積流量、流体それ自体の状態(即ち、気体、液体または超臨界流体)および粒子のサイズによって調節され得る。ナノ粒子は、多孔質基体対象物の上面下から全体の深さにわたる範囲において多孔質基体に侵入し得る。
【0016】
1つの方法においては、多孔質コンポジット材料は、非凝集性粉末ナノ粒子材料源を多孔質基体材料中にまたは多孔質基体材料を通して流動させることによって作られる。これら粒子の少なくとも一部は、基体材料の細孔内であるいは、基体材料の細孔内および1つまたは複数の表面の表面上で捕捉される。捕捉された粉末ナノ粒子材料および基体材料は、焼結されて焼結多孔質コンポジット材料を形成する。流体中に懸濁された粉末ナノ粒子材料は、流体における粒子のスラリーを噴霧化するか作製することによって多孔質基体材料中に供給されるか多孔質基体材料を通して流動され得る。あるいはまた、粉末ナノ粒子材料源は、多孔質基体材料中に等方圧プレスされ得る。
【0017】
形成された焼結多孔質コンポジット材料は、流体をろ過して、懸濁した粒子または汚染物質を流体から除去するために使用され得る。焼結多孔質コンポジット材料は、また、材料の細孔内に超臨界流体を含み得る。流体をろ過する方法は、多孔質基体と、基体の細孔に侵入している焼結多孔質ナノ粒子材料とを含む焼結多孔質コンポジット要素を提供する工程および基体の1つまたは複数の表面上に多孔質層を形成する工程、および粒子のような汚染物質を伴う流体を要素に通して流体から1種または複数種の粒子を除去する工程を含む。好ましくは、粒子は篩分ろ過によって除去される。焼結多孔質コンポジット要素は、小さな粒子のための篩分ろ過を提供し得、超臨界流体のろ過の場合に都合が良い。要素の多孔質基体は、機械的支持を提供して、基体の1つまたは複数の表面上の焼結ナノ粒子材料の多孔質層が超臨界流体系における高圧に耐えることを可能にする。基体の細孔内および基体の表面上における焼結多孔質ナノ粒子材料は、様々な流体に対する篩分ろ過を提供し得る。超臨界流体の低い粘性および表面張力は、そのようなフィルター要素全体にわたる圧力損失を最小にすることができる。焼結多孔質コンポジット材料の広い表面積は、高い粒子保持性および収容能力、低減された圧力損失を提供し、小さなフートプリントの構成要素の作製を可能とする。小さな直径の構成要素は、あらゆる加圧流体系にとって機械的に都合が良い。なぜならば、系全体の圧力が増加するにつれて、構成要素の壁厚はそのような圧力に耐えなければならないからである。これは、材料コストならびに構成要素のサイズを増加させる。
【0018】
焼結多孔質コンポジット材料要素は、保持、化学的結合または焼結多孔質ナノ粒子材料と流体との触媒作用によって気体から粒子または分子状汚染物質のような物質を除去するために使用することができる。焼結多孔質コンポジット材料要素の相互作用は、流体中の汚染物質とこれらの広い表面積材料との化学吸着または物理吸着によるものであってよい。流体から物質を除去する方法は、流体中に物質または分子状汚染物質を有する流体を、焼結多孔質コンポジット材料要素を通して流動させ、焼結多孔質コンポジット材料要素が流体から物質を除去する工程を含む。物質は、粒子捕捉、化学吸着、物理吸着またはこれらの組合せによって除去できる。焼結多孔質コンポジット材料は、また、多孔質焼結コンポジット材料の細孔内に超臨界流体を含んでも良く、流体から汚染物質を除去するために使用し得る。
【0019】
本発明のその他の実施形態は、1ミリリットル当り50個未満の粒子、好ましくは1ミリリットル当り5個未満の粒子を伴い、粒子が0.2ミクロンメートル以下、好ましくは0.05ミクロンメートル以下のサイズを有する超臨界流体である。好ましくは、焼結多孔質コンポジット材料または本発明の焼結多孔質コンポジット材料要素を含む装置および材料の充填ベッドでろ過された超臨界二酸化炭素流体の約5リットルで清浄にされた基材上に残留する約0.2ミクロンサイズより大きい粒子の数は、200mm直径の基材上で約300カウント未満、さらに好ましくは200mm直径の基材上で約100カウント未満である。
【0020】
本発明の多孔質コンポジット材料および焼結多孔質コンポジット材料の小さい細孔径および広い表面積の故に、それらは、低い圧力損失と高い粒子負荷体積で、超臨界流体のための篩分ろ過を提供し得る。焼結前は、これらの多孔質コンポジット材料は2〜5m/g以上の範囲の表面積を有し、焼結後は、表面積は約1m/g以上である。多孔質コンポジット材料は、また、焼結コンポジット多孔質材料を電極として使用することのできるガスセンサー、例えば、ペリスターに対して改善された検出限界を提供し得る。焼結多孔質ナノ粒子材料の広い表面積は、検出するための熱センサーに対してより多くの熱を創り出す標的ガスの接触分解のために多数のサイトを提供する。
【0021】
都合良いことに、本発明の実施形態は、焼結多孔質コンポジット材料を形成するための結合剤の使用を必要としないので、高純度膜、触媒およびセンサー要素は、これらの結合剤の残渣を焼却する必要なしに形成され得る。さらに、基体の1つまたは複数の表面上に多孔質焼結ナノ粒子層の連続構造を形成しかつ相互に連通した、ナノメートルおよびサブナノメートルサイズの細孔を有する、基体材料の細孔内の多孔質焼結ナノ粒子材料は、多孔質基体材料で単一沈着工程において単一層として形成され得る。
【0022】
ある程度、本発明の実施形態のその他の観点、特徴、利益および利点は、以下の記述、添付された特許請求の範囲ならびに添付図面によって明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】多孔質基体材料の素地形態上に沈着された粉末ナノ粒子材料の断面の例示の図である。
【図2】多孔質コンポジット材料を形成するために、多孔質基体材料中に粉末ナノ粒子材料を等方圧プレスする際の粉末ナノ粒子材料の断面の例示の図である。
【図3】本発明の焼結多孔質コンポジット材料の断面の例示の図である。
【図4】実施例2の素地形態中にニッケルナノ粒子粉末を等方圧プレスして焼結することによって作られた焼結コンポジット多孔質材料の流量デルタPと泡立ち点を比較するプロットを示す図である。
【図5】実施例2の素地形態中にニッケルナノ粒子粉末を等方圧プレスして焼結することによって作られた焼結コンポジット多孔質材料による水中におけるPSLビーズの粒子保持性を例示するプロットを示す図である。
【図6】粗い入口フィルター要素を含む本発明の充填ベッド装置、深部ろ過および/または精製を提供するための材料の充填ベッド、および本発明の出口焼結コンポジット多孔質フィルター要素の概略例示の図である。
【図7】超臨界流体から汚染物質を除去するために本発明の多孔質焼結コンポジットフィルター要素と充填ベッドの実施形態を使用する基材上での粒子カウントの減少を示すデータを示す図である。粒子カウントは、基材上の>0.2ミクロンの粒子に対して、KLA−Tencor surfscanを使用して決定された。結果は、200mm基材に対するものであり、洗浄は、1回当り約5リットルの超臨界COを使用して行われる。
【図8】溶接領域の縁部がシールされているハウジング中に溶接された本発明の多孔質焼結コンポジット材料フィルター要素の水中での細孔対称性テストを例示するグラフを示す図である。
【図9】溶接領域の縁部がシールされているハウジング中に溶接された本発明の焼結多孔質コンポジット材料フィルター要素を使用した際の水中でのPSLビーズの粒子保持性を例示するグラフを示す図である。
【図10】溶接領域の縁部がシールされているハウジング中に溶接された本発明の焼結多孔質コンポジット材料フィルター要素に対する流体として水を使用した際の圧力損失対流量のプロットを示す図である。
【図11】溶接領域の縁部がシールされているハウジング中に溶接された本発明の多孔質焼結コンポジット材料フィルター要素に対して超臨界COを使用した際の圧力損失対流量のプロットを示す図である。
【図12】実施例9の多孔質焼結コンポジット材料フィルター要素の細孔対称性テストを例示するグラフを示す図である。
【図13】実施例9の焼結多孔質コンポジット材料フィルター要素を使用した際の水中におけるPSLビーズの粒子保持性を例示するグラフを示す図である。
【図14】実施例6の多孔質焼結コンポジット材料フィルター要素と材料の充填ベッドに対する超臨界COの圧力損失対質量流量を例示するグラフを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
(詳細な説明)
本発明の組成および方法が記述される前に、本発明は、記述される特定の分子、組成、方法論または手順に限定されるものではなく、これらは変動し得るものとして理解されるべきである。また、記述において使用される用語は、特定の種類または実施形態のみを記述するのが目的であって、添付の特許請求の範囲によってのみ限定される本発明の範囲を制限する意図のものではないことが理解されるべきである。
【0025】
また、本明細書ならびに添付の特許請求の範囲において使用される単数形の表示は、文脈が別途明確に指示しない限り複数の参照を含むことに注意されねばならない。従って、例えば、「粒子」と言う場合は、1種または複数の粒子ならびに当業者に知られているそれらの均等物等を意味する。別途定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術的および科学的用語は、当業者によって一般的に理解されているものと同じ意味を有する。本明細書において記述されるものと同じか均等のあらゆる方法および材料は本発明の実施形態の実施またはテストにおいて使用できるが、好ましい方法、装置および材料は今述べられる。本明細書において述べられた全ての刊行物は、参照して組み込まれる。本明細書には、本発明が、先行の発明によってこのような開示が先立つことを認められないと言うことを是認する様に解釈されるべきものは何もない。
【0026】
本発明の実施形態は、多孔質基体材料と、多孔質基体の1つまたは複数の表面上にあって多孔質基体材料の一部分に侵入している多孔質焼結ナノ粒子材料の層とを含む焼結多孔質コンポジット材料である。多孔質焼結ナノ粒子材料は、多孔質基体材料における細孔よりも小さい細孔を有する。基体の表面上の多孔質焼結ナノ粒子材料層は、基体の細孔内で多孔質焼結ナノ粒子材料の連続構造を形成する。好ましくは、焼結多孔質コンポジット材料は、多孔質焼結コンポジット材料を通して流体を流動可能とし、かつ粒子を焼結多孔質コンポジット材料によって保持可能とする焼結多孔質ナノ粒子材料全体にわたってナノメートルおよびサブナノメートルサイズの細孔を含む。多孔質焼結コンポジット材料は、その細孔内に超臨界流体を含み得る。多孔質焼結コンポジット材料は、流体流動回路への接続のためにハウジングに結合されて良く、ハウジングと多孔質焼結コンポジット材料との間のこの結合は、ハウジングに結合された焼結多孔質コンポジット材料全体にわたって実質的に均一な粒子保持性を与える。
【0027】
多孔質コンポジット材料を調製するために使用される多孔質基体材料は、金属、セラミック、ポリマー材料またはこれらのコンポジットであり得る。多孔質基体は、焼結されも良く、あるいは適当にプレスされた粉末の素地形態であり得る。基体材料の細孔は、流体流動を可能とするために相互に連絡していてかつ多孔質基体の構造は対称、非対称または当業者に知られているその他の構造であり得る。そのような多孔質基体材料の例としては、Mykrolis Corp.,Billerica,MAから市販されている、0.003μmの粒子に対して気体において9以上のLRVを有する金属フィルター基材、およびSumitomo Electric Ind.,Ltd.で製造された、“CELMET”(登録商標)として市販されているNi−ベースの金属多孔体;焼結されたテフロン(Teflon)(登録商標)のようなポリマーおよびPorex,Fairburn,GAのポリエチレンが挙げられるがこれらに限定されない;平らなシートのポリマー膜は、WL Gore,Elkton,MDから市販されている;多孔質セラミック要素は、Filterite,Timonium,MDから市販されている。多孔質基体のための細孔径または直径は、約0.05〜100ミクロン、好ましくは0.05〜5ミクロン、さらに好ましくは0.5〜10ミクロンの範囲であっ得るがこの範囲に限定されない。多孔質基体は、使用中に要求される圧力および温度において多孔質焼結コンポジット材料を機械的に支持できるような厚さを有してよい。好ましくは、膜は約0.03インチ〜約0.1インチの厚さを有する。これらの膜は、また、多孔質基体を作製するのに使用される粒子のサイズおよびその空隙率によって特徴付けられ得る。そのような多孔質基体材料を作製するために使用される粒子は、0.05〜100ミクロン、好ましくは0.5〜10ミクロンの範囲であり得る。これらの基体材料の空隙率は、約45〜約70%の範囲であり得る。多孔質基体材料の細孔径は、ナノ粒子が多孔質基体材料の一部分に侵入するようなものであることが望ましい。多孔質基体の密度は、基体を作り上げている材料の嵩密度より小さくてよい。
【0028】
コンポジット材料を形成するために使用されるナノ粒子は、球状、樹状(その全体において参照によって組み込まれる米国特許第5814272号に記載されている。)、繊維状またはこれらの形状の組合せであってよいがこれらに限定されない。その他の規則的なあるいは不規則な形状粒子も、多孔質コンポジット材料および焼結多孔質コンポジット材料を作製するために使用し得る。ナノ粒子の組成は、金属または金属合金であり得る。有用な金属および金属合金の例としては、銅、ニッケル、ニッケル合金、モリブデン、ステンレススチール、クロム、クロム合金およびハスタロイ(Hastalloy)(登録商標)が挙げられるがこれらに限定されない。多孔質コンポジット材料を作製するのに有用なセラミックまたは金属酸化物粉末としては、アルミナ、シリカ、ゼオライト、二酸化チタンおよび二酸化セリウムが挙げられるがこれらに限定されない。例えば、0.16ミクロンの名目直径を持つテフロン(Teflon)(登録商標)307 AのようなPFTE材料も使用され得、水性分散体の形態でデュポン社(Dupont)から市販されている。超高分子量ポリエチレンのような熱可塑性プラスチック、ポリ(テトラフルオロエチレン−コ−ペルフルオロ(アルキルビニルエーテル)、(ポリ(PTFE−コ−PFVAE))またはポリ(テトラフルオロエチレン−コ−ヘキサフルオロプロピレン)またはこれらの材料のブレンド(デュポン社から市販されている)も使用され得る。セラミックおよび金属ナノ粒子粉末は、Nanostructured & Amorphous Materials,Inc.,Los Alomos,NMから市販されている。ナノ粒子は、また、米国特許第5585020号(その全体において参照として本明細書に組み込まれる)において記載されているようなミクロ球体のレーザー除去を含むその他の方法によって作られ得る。
【0029】
焼結コンポジット多孔質材料を形成するために使用される粉末ナノ粒子材料の粒径は、基材の細孔径および最終の焼結多孔質コンポジット材料にとって望ましい細孔径を考慮して選ばれる。一般的に、所望の細孔径が小さくなればなる程そして表面積が広くなればなる程、焼結多孔質コンポジット材料を作製するために使用されるべきナノ粒子材料は益々小さくなる。粒径分布は、サンプルにおける粒子の25%rms未満であっ得る。幾つかの実施形態においては、粒径分布は、5%未満であってよい。粒子は、約1000nm未満、好ましくは500nm未満、さらに好ましくは100nm未満、なおさらに好ましくは50nm未満の直径を有し得る。非球状粒子が使用されるときは、この径は、粒子の最大寸法に相当する径とされ得る。多孔質粒子は、また、例えば、粒状亜鉛または海綿状ニッケルが使用され得る。
【0030】
多孔質コンポジット材料は、粉末ナノ粒子材料を流体中に懸濁させてスラリーを形成することによって形成され得る。適当な流体としては、空気、窒素ガス、水、エタノール水混合物および超臨界流体が挙げられるがこれらに限定されない。好ましくは、スラリーは、非凝集粒子から構成される。非凝集粒子の懸濁液は、粒子を適当なキャッピング層で被覆するか、流体に界面活性剤を添加することによって形成され得る。あるいは、スラリーを攪拌しかつ大きい粒子を沈降させることが、実質的に非凝集粒子の比較的に均一な懸濁液を与え得る。ナノ粒子材料のスラリー、好ましくは非凝集懸濁液は、粒子の少なくとも一部が多孔質基体膜に保持される多孔質支持体または基体材料中にあるいはそれを通して流動させるために作られる。あるいは、スラリーは、一部が多孔質基体によって保持され、また、多孔質基体の1つまたは複数の表面の上面に層として蓄積される膜中にまたは膜を通して流動させるために作られる。懸濁ナノ粒子材料の流動は、多孔質基体によって保持され、およびその1つまたは複数の表面上に蓄積された材料の質量が、その意図する用途に適する性質を持つ焼結多孔質コンポジットを提供するのに十分となったときに停止される。これは、広い表面積、所望の細孔径、粒子保持性、触媒または化学吸着活性、圧力損失またはこれらの組合せを含んでよく、これらに限定されない。多孔質基体中へのナノ粒子の侵入深さは、流体速度および多孔質基体へ供給される粒子のサイズおよび流体それ自体の状態を調節することによって変えられ得る。ナノ粒子を懸濁している液体は、好ましくは、焼結前に、多孔質基体およびナノ粒子から除去される。沈殿したナノ粒子材料からの溶剤は、多孔質基体上に蓄積したナノ粒子層のひび割れを防ぐためにゆっくりと除去されることが好ましい。
【0031】
粉末ナノ粒子材料は、また、気相において粒子を輸送することによって多孔質基体中にあるいは多孔質基体を通して流動させるために作られ得る。ナノ粒子は、反応性ガスの気相核生成、フレーム反応器または噴霧熱分解によって形成され得る。表面材料のレーザー除去またはレーザー除去されたミクロ粒子によって形成されたナノ粒子は、また、キャリヤーガスによって多孔質基体中に輸送され得る。あるいはまた、ナノ粒子の液体懸濁液は、超音波アトマイザー(Sonics,Newton,CT)またはガス噴霧器(Meinhard,Santa Ana,CA)を使用してエアロゾルにされる。液体は、多孔質基体を通してキャリヤーガスによって流動することができる無溶剤粒子を形成するために、エアロゾル形成後に粒子から蒸発される。ナノ粒子の多孔質基体中への侵入深さおよびその表面上でのナノ粒子の蓄積は、多孔質基体を通過するキャリヤーガスの速度を調節することによって変え得る。多孔質基体基材上に沈着されるまたは蓄積される材料の量は、多孔質基体の質量変化によって決め得る。
【0032】
多孔質基材の1つまたは複数の表面は、多孔質基材の表面部分および上部に侵入するナノ粒子の層、好ましくは微細層を形成するためにそれらの上に蓄積されたナノ粒子を有し得る。様々な形状、サイズおよび組成を持つナノ粒子の混合物は、多孔質基体を通して流動するために作られ得、あるいは素地形態、多孔質基体膜または焼結フリットの中に等方圧プレスされ得る。多孔質基材基体の上部のナノ粒子材料の層は、焼結多孔質ナノ粒子材料を形成するために焼結され得る。焼結多孔質ナノ粒子材料層は、基体の部分に侵入して、基体材料の細孔内で焼結ナノ粒子材料の連続多孔質構造を形成する。異なる形状、サイズおよび組成を持つ交互に並ぶ層またはナノ粒子は、沈着工程を連続して行うことによってあるいは焼結後に沈着工程を繰り返すことによって作られ得る。基体の細孔におけるナノ粒子粉末の量または基体の表面上の微細ナノ粒子層の厚さは、最終の焼結多孔質コンポジット材料の圧力損失および保持特性を調節するためにナノ粒子沈着によって変えられ得る。好ましくは、多孔質基材の上部にある焼結多孔質ナノ粒子層は、1000ミクロン未満、好ましくは500ミクロン未満、さらに好ましくは100ミクロン未満、なおさらに好ましくは約10ミクロン未満の厚さを有する。ナノ粒子材料の多重層は、多孔質基体で形成されて良く、各層は、異なる材料組成またはナノ粒子サイズを有し得る。多孔質コンポジット材料の厚さは、多孔質基体材料と焼結多孔質ナノ粒子材料層とを含む。多孔質コンポジット材料の厚さは、多孔質基体および/または焼結多孔質ナノ粒子材料層の厚さを変化させることによって圧力損失または保持性を変えるために変え得る。
【0033】
焼結多孔質コンポジット材料の細孔は、多孔質基体材料よりも小さいことが好ましい。好ましくは、この焼結多孔質コンポジット材料は、焼結多孔質ナノ粒子材料層および、基体材料の細孔内の焼結ナノ粒子材料全体にわたってナノメートルまたはサブナノメートルサイズの細孔を含む。細孔は、これらが、篩分による粒子保持を提供しかつ0.2ミクロン以上の粒子に対して2より大きいLRV、好ましくは、0.2ミクロン以上の粒子に対して4より大きいLRV、さらに好ましくは0.05ミクロン以上の粒子に対して2より大きいLRV、最も好ましくは0.05ミクロン以上の粒子に対して4より大きいLRVを有する点で特徴付けられ得る。細孔を通して流体の流動を可能にする焼結多孔質ナノ粒子材料の細孔は、また、それらの最も小さいアスペクトが、約1000ナノメートル未満、好ましくは約200ナノメートル未満、さらに好ましくは約50ナノメートル未満である点で特徴付けられ得る。
【0034】
例えば、多孔質基体の1つまたは複数の表面の上部における、図3において340〜350の材料によって例示されるような焼結多孔質ナノ粒子材料層の密度は、好ましくは、触媒作用、ガス感知、流体ろ過またはこれらの組合せに対して十分な接触表面積を提供しかつ焼結多孔質コンポジット材料全体にわたる圧力損失を最小にする。多孔質基材の上部にあるこの焼結多孔質ナノ粒子層は、1000ミクロン未満、好ましくは500ミクロン未満、さらに好ましくは100ミクロン未満、なおさらに好ましくは約10ミクロン未満の厚さを有する。焼結多孔質コンポジット材料の密度は、篩分により、水中における約0.2μm直径のPSLビーズ粒子に対して、少なくとも約2のLRV、好ましくは篩分により、水中における約0.2μm直径のPSLビーズ粒子に対して、少なくとも約4のLRV、さらに好ましくは篩分により、水中における0.05μm直径のPSLビーズ粒子に対して、少なくとも2のLRV、なおさらに好ましくは篩分により、水中における0.05μm直径のPSLビーズ粒子に対して、少なくとも4のLRVを有する点で特徴付け得る。多孔質焼結コンポジット材料は、約250(psi cm)/slpm未満、さらに好ましくは約125(psi cm)/slpm未満、なおさらに好ましくは約30(psi cm)/slpm未満の、窒素ガスにおける圧力係数を有することによって特徴付け得る。焼結多孔質コンポジット材料は、膜、即ち、多孔質焼結ナノ粒子材料のための支持を提供する多孔質基体全体にわたり、60psiよりも大きい、さらに好ましくは約400psiよりも大きい差圧に耐えることができる点で特徴付け得る。多孔質基体の表面上の焼結ナノ多孔質材料層または微細層の密度は、3〜6g/cmの範囲であることができる。0.2ミクロン粒子に対して少なくとも2のLRVを持つ多孔質焼結コンポジット材料に対して、焼結ナノ多孔質材料層の密度は、3〜4.5g/cmであり、好ましくは、約3.8〜4.2g/cmである。0.05ミクロン粒子に対して少なくとも2のLRVを持つ多孔質焼結コンポジット材料に対して、焼結ナノ多孔質材料層の密度は、4.5〜6g/cmであり、好ましくは、約5〜5.5g/cmである。
【0035】
理論に拘泥するつもりはないが、本発明の焼結多孔質コンポジット材料は、比例定数K(圧力係数)対膜の面積、膜の厚さ、膜における細孔のサイズ、形状および分布ならびに膜を通過する流体の流量によって関係付け得る、膜全体にわたる圧力損失によって特徴付け得る。この関係(1):
【0036】
【化1】

(ここで、Kは、圧力係数であり、Qは、窒素ガス流量(slpm)であり、Aは、膜の面積(cm)であり、Δpは、圧力損失(psi)である。)を使用すると、実施例2の多孔質コンポジット材料は、約13.5(psi・cm)/slpmのK値を有し、実施例9の多孔質コンポジット材料は、約21.5(psi・cm)/slpmのK値を有する。当業者は、膜の面積、膜の厚さ、膜における細孔のサイズ、形状および分布のような多孔質コンポジット材料膜の性質であってこれらに限定されない性質および膜を通過する流体の粘度は、比例定数Kに影響を与えるために変えられ得ることを知るであろう。例えば、焼結多孔質ナノ粒子材料層の厚さ(これは、圧力損失にほぼ直線的に関係する)は増加されても良くあるいは多孔質焼結ナノ粒子材料層の空隙率は、流体の流動に大きな抵抗を持ち、その結果、高い圧力係数を持つ膜を提供するために減少され得る。本発明の多孔質コンポジット材料は、圧力係数のどんな値にも制限されないが、本発明の多孔質コンポジット材料は、好ましくは、約250(psi cm)/slpm未満、さらに好ましくは約125(psi cm)/slpm未満、なおさらに好ましくは約30(psi cm)/slpm未満の、窒素ガスにおける圧力係数を有し得る。
【0037】
焼結多孔質コンポジット材料は、多孔質基体材料と、多孔質基体材料の1つまたは複数の表面の上部にある多孔質焼結ナノ粒子材料の層であって、基体材料の一部分に侵入して、基体の細孔内で焼結多孔質ナノ粒子材料の連続構造を形成する層を含む。多孔質焼結ナノ粒子材料の層は、多孔質基体の1つまたは複数の表面上にあって、多孔質基体材料の部分に侵入して、基体材料の細孔を持つ多孔質の、好ましくはナノ多孔質の材料を形成し得る。これは、触媒作用のため、センサーの一部として、流体から粒子または汚染物質またはこれらの組合せを除去することを介して流体を流動させるために使用し得る。多孔質焼結ナノ粒子材料は、その細孔が多孔質基体材料における細孔よりも小さい点で特徴付け得る。焼結多孔質コンポジット材料は、篩分により、水中における0.2μmのPSLビーズ粒子に対して、少なくとも2のLRVを有し、約250(psi cm)/slpm未満、さらに好ましくは約125(psi cm)/slpm未満、なおさらに好ましくは約30(psi cm)/slpm未満の、窒素ガスにおける圧力係数を有する点でさらに特徴付け得る。焼結多孔質コンポジット材料は、60psiより大きい、材料全体にわたる差圧を支持することができる。焼結多孔質コンポジット材料は、篩分により、水中における0.2μmの粒子に対して、少なくとも2のLRVを有し、好ましくは、それは、篩分により、水中における0.05μmの粒子に対して、少なくとも2のLRVを有し、なおさらに好ましくは、篩分により、水中における0.05μmの粒子に対して、少なくとも4のLRVを有する。
【0038】
本発明の多孔質コンポジット材料は、また、ナノ粒子を多孔質基体フリット中に、または図1において例示されている多孔質基体材料の未焼結素地形態中に等方圧プレスすることによって作り得る。多孔質基体材料の素地形態は、当該技術分野において良く知られている方法を使用して第1工程において作られる。素地形態は、次いで、素地形態中に等方圧プレスされる乾燥ナノ粒子と一緒に第2の容器中に置かれる。素地形態を支持するマンドレルは多孔質であり得、素地形態中への、気体中のナノ粒子の流動を可能にするものであり得る。図1において非限定的例示によって示される様に、多孔質コンポジット材料は、粉末ナノ粒子130を等方圧プレス180することによって上部表面150と底部表面170を有する、微小孔でありおよびより大きな細孔径100の基体材料120とすることによって形成され得る。好ましくは、非球体形状粉末130を等方圧プレスすることによって、粉末は深さ160まで侵入しており、基体材料の細孔100中に充填し、互いに連結する。粉末ナノ粒子は、次いで、焼結されるか、相互溶融によって相互結合されて、基体の細孔内に焼結多孔質ナノ粒子材料を形成し得る。基体材料として使用される際に、フリットは、フリットの大きな細孔径によって、微小孔の基体材料よりも、焼結多孔質コンポジット材料フィルター要素に対して圧力損失を少なくする様に寄与する。
【0039】
ここに記載されている多孔質コンポジット材料は、粒子除去およびろ過のために使用され得るが、好ましくは、これらは、これらの機械的強度を改善しおよび多孔質基体からナノ粒子が取り除かれることを防止するためにナノ粒子材料を結合するために焼結される。混入されたナノ粒子を含む多孔質基体材料または混入されたナノ粒子と多孔質基体材料の1つまたは複数の表面上のナノ粒子とを含む多孔質基体材料は、オーブン中で焼結されて、焼結多孔質コンポジット材料を形成し得る。この記述の目的のために、粉末ナノ粒子材料は、相互溶融によって互いに相互結合されるか、互いに同等に焼結されて、多孔質基体の上部または基体の細孔内の層として多孔質焼結ナノ粒子材料を形成し得る。素地形態中に等方圧プレスされたナノ粒子を伴う素地形態もオーブン中で焼結し得る。焼結は、焼結方法に対して減圧環境、真空、減圧気体環境(アルゴン中の5%H)またはその他の適当な気体環境において行われ得る。当業者には自明である様に、焼結方法の焼結温度、加熱および冷却速度および時間は、焼結される材料に依存し、最終製品の細孔径、強度および形成される焼結多孔質コンポジット材料の表面積に影響を及ぼすために変え得る。最終の焼結多孔質コンポジット材料は、材料の多重層または規格化された空隙率を作り上げるために焼結後にナノ粒子で1回以上処理され得る。
【0040】
図3において示されている通り、焼結多孔質組成は、基体320の細孔内の多孔質焼結ナノ粒子材料312と、基体表面350の上部における340〜350の多孔質焼結ナノ粒子層とを含む。多孔質焼結コンポジット材料の厚さは、多孔質基体材料320の側面370から多孔質基体材料320の表面350の上の高さ340まで達している。多孔質基体材料320の上部における350と340の間の材料の多孔質焼結ナノ粒子層は、ナノ粒子材料330を含む。多孔質焼結ナノ粒子材料312は、基体320の細孔300の部分に侵入している。基体細孔内の多孔質焼結ナノ粒子材料312と、340から基体表面350までの多孔質焼結ナノ粒子材料は、実質的に連続な構造を形成する。多孔質焼結ナノ粒子材料層は、多孔質基体300と流体連絡しおよび多孔質基体300の細孔に相互に連絡されている相互連絡細孔310を含む。基体312の細孔における多孔質焼結ナノ粒子材料は、基体材料380に焼結しても良く、ナノ粒子は、互いに焼結だけして、焼結したナノ粒子材料は、多孔質基体構造382における相互に連絡した細孔またはこれらの組合せと機械的に結合し得る。多孔質基体の1つまたは複数の表面上の粉末ナノ粒子は、その上面350における基体材料、焼結ナノ粒子へ焼結しても良く、あるいは両方へ焼結してよい。好ましくは、多孔質コンポジット材料は、焼結ナノ粒子材料全体にわたってナノメートルおよびサブナノメートルサイズの細孔310を含む。多孔質コンポジット材料は、サイズ、形状、組成およびこれらの組合せの異なるナノ粒子材料の層を含み得る。
【0041】
本発明の多孔質コンポジット材料は、対称構造を形成する。図2は、粉末ナノ粒子230を等方圧圧縮することによって形成された対称構造を持つ多孔質コンポジット材料の断面の例示である。この材料は、多孔質基体220、基体の上部表面250から深さ260まで、相互に連絡した基体細孔200内にあって少なくともその一部に侵入しているナノ粒子230、および基体250の上部表面から基体表面上のナノ粉末材料層240の厚さまたは上部表面までの、相互に連絡した細孔210を持つナノ粒子の微細層を含む。多孔質コンポジット材料の厚さは、側面270からナノ粉末材料層240の上部表面まで達している。粉末ナノ粒子の細孔210は、基体細孔200と流体連絡している。多孔質コンポジット材料は、粉末ナノ粒子230、例えば、ニッケルであってこれに限定されない粉末ナノ粒子をフリットまたは多孔質基体材料の素地形態中に等方圧プレスすることによって作り得る。あるいは、多孔質コンポジット材料は、流体中の粉末ナノ粒子230源をフリットまたは多孔質基体材料の素地形態中に流動させ、基体細孔200内でおよびその表面250上で粉末ナノ粒子を捕捉することによって作り得る。図2における多孔質コンポジット材料は、図3において示される焼結多孔質コンポジット材料を形成するために焼結し得る。
【0042】
多孔質焼結コンポジット材料のフィルター要素は、表面積、圧力損失および機械的強度を調節するために様々な形状に形成し得る。形状としては、本発明の焼結多孔質コンポジット材料を含むディスクまたは管、平板構造または電極が挙げられるがこれらに限定されない。これらの構造体は、ハウジング中に溶接、圧縮装着、エポキシ樹脂接着、熱可塑性材料への溶融結合、または別途固定(fixtured or secured)され得る。ハウジングは、管、キャニスターまたはその意図する用途にとって適当なその他の形状の形態であり得る。ハウジングは、空隙体積および流体流動のための様々な入口および出口部を含む。出入り口は、その用途の要求によってハウジングの周りに位置されても良く、および出入り口は、金属シール、圧縮結合金具、バルブまたは溶接結合金具を含んでもよいがこれらに限定されない。流体は、次いで、ろ過、精製、触媒作用、感知またはこれらの組合せのために焼結多孔質コンポジット材料要素を含むハウジングを通過させられ得る。
【0043】
本発明の1実施形態においては、1つまたは複数の焼結多孔質コンポジット材料要素またはその他の多孔質フィルター要素は、図6において概略的に示されているベッド材料をさらに含むハウジング中に溶接またはプレス装着され得、好ましくは、焼結多孔質コンポジットフィルター要素の多孔質焼結ナノ粒子材料層は、ナノメートルサイズの細孔を有する。ハウジングおよび要素は、ベッド材料を通して流動する流体からの粒子および/または汚染物質の除去をさらに効果的に行う材料のベッドでカバーされ得る。
【0044】
本発明の焼結多孔質コンポジット材料は、ハウジング部材で完全な密閉を提供する一方で、焼結多孔質コンポジット材料において基体内の焼結多孔質ナノ粒子材料の細孔構造およびサイズと基体の表面上の焼結多孔質ナノ粒子層を保持している1つまたは複数のハウジング部材に結合または接合され得る。焼結多孔質コンポジット材料フィルター要素と1つまたは複数のハウジング部材は、プレス装着、圧縮装着、金属シール、溶接によってまたはポリマーまたはガラスを使用する規格化シールの使用によって結合され得る。1つまたは複数のハウジング要素と共に、金属シールまたは溶接に対して、例えば、ガラスのようなシールを形成するための焼結多孔質コンポジット材料フィルター要素の加熱は、焼結多孔質コンポジット材料要素の局部加熱および多孔質コンポジット材料内の混入されたまたは焼結されたナノ粒子の溶融または融解であり得る。多孔質コンポジット材料とそれと一緒に結合される1つまたは複数のハウジング部材との間の焼結多孔質コンポジット材料の領域は、これらの領域における細孔を通過する粒子侵入を減少させるために、必要であれば、さらにシールされても良く、含浸されても良く、あるいは充填され得る。好ましくは、充填、含浸またはこれらの細孔の閉鎖は、平均細孔流動テストによって決定されかつ泡立ち点テストにおける拡散流動とバルク流動との間のはっきりした転移によって示される様に、ハウジングに結合した焼結多孔質コンポジット材料全体にわたって実質的に均一な粒子保持性を提供する。溶接またはガラスシール領域の界面近くの細孔は、多孔質コンポジット材料が加熱される近くの領域において膜を機械的にシールする方法、多孔質コンポジット材料が加熱される近くの領域においてガスケットまたはO−リングを使用する方法、加熱部位を冷却し混入されたナノ材料の融解を防ぐためにヘリウムのような高熱体積気体を使用する方法、加熱処理された領域を物理的にシールするために接着剤またはポリマーを使用する方法、または加熱処理された領域においてナノ粒子を多孔質コンポジット材料中に含浸する方法を含むがこれらに限定されない当業者に知られている様々な方法によって含浸、閉鎖または充填され得る。
【0045】
適当なベッド材料の例としては、粉末、繊維、繊維メッシュ、エアロゲル、フォーム、織物地、平面シート膜、深部ろ過媒体およびこれらの組合せが挙げられるがこれらに限定されない。適当なベッド材料としては、化学的に相溶性の金属、金属合金、化学的に反応性のあるいは化学的に官能化された粒子、金属酸化物または水酸化物、セラミック、ポリマー、塩、炭素含有材料、半導体およびこれらの組合せが挙げられるがこれらに限定されない。ベッド材料の例としては、INCOタイプ255のようなニッケル粉末、316Lステンレススチール粉末、アルミナ粉末、窒化珪素粉末、石英繊維およびポリテトラフルオロエチレン粉末が挙げられる。ベッド材料の粒径は、空隙のない充填とベッドにおける隙間において十分な粒子または汚染物質の除去を提供するのに適当なものでなければならない。ベッド材料の粒径は3ミリメートル〜0.2ミクロンの範囲であってよい。幾つか用途、例えば超臨界流体に対しては、ベッド粒子は0.2μm〜30μm直径の範囲のサイズを有しても良く、繊維は、0.2μm〜30μmの範囲の直径と0.2ミクロン〜3ミリメートルの長さを有し得る。粒径分布および形状は、ベッドの特徴に依存し、規格化されたベッドでは、大きな粒径、材料組成および/または形状が使用され得る。その他のベッドにおいては、粒子分布は、例えば、粒子直径の5%rmsであってよいがこれに限定されない。
【0046】
ベッド材料は、流体から汚染物質を除去するためのそれらの能力によって選択され得る。分子状汚染物質の例としては、水、金属および有機物を挙げることができる。例えば、超臨界二酸化炭素は、ポンプおよび装置からの炭化水素で汚染されることになる。半導体工業においては、清浄にするためまたはウエハーと反応させるために使用される流体からあらゆる炭化水素を除去することが極めて望ましい。これらの汚染物質を除去するために有用な材料は、ゼオライト、アルミナ、カーボンおよび炭化水素の除去のための活性炭素ベッドのような吸着性材料であり得る。その他の材料としては、米国特許第6361696号(その全体において参照して本明細書に組み込まれる)に記載されているものが挙げられる。流体からの汚染物質の除去は、当業者に知られている方法を使用するオフラインで決定され得る。例えば、水素炎イオン化または電子捕獲検出器を利用するガスクロマトグラフィーは、1ppm以下で、流体における炭化水素および一酸化炭素濃度を測定するために使用されて良く、流体における全残渣は、適当に濃縮された流体サンプルについて、水晶微量天秤または表面音波装置を利用してナノグラム水準で測定され得る。水分は、市販の電解水分分析器を利用して決定されて良く、金属は、硝酸で、濃縮されたサンプルについて、ICP−MSを利用して決定され得る。SEMI C3.57−0600において記載されている方法および材料も、二酸化炭素ガスおよび、汚染物質または精製流体の濃縮物からの残渣の分析において使用され得る。
【0047】
好ましくは、本発明の装置で処理された流体、例えば、超臨界二酸化炭素における炭化水素の量は、約100ppb(モル/モル)未満であり、水分の量は、流体の気体サンプルの分析を基準として約100ppb(モル/モル)未満である。本発明の実施形態は、例えば二酸化炭素であってこれに限定されない超臨界流体から粒子を除去するために使用され得る。図7において示されるような、多孔質コンポジット材料および実施例2および6において記述されているような材料の充填ベッドを伴う多孔質コンポジット材料は、超臨界COで清浄にされた基材上の粒子の数を減少させるために使用され得る。好ましくは、焼結多孔質コンポジット材料または、本発明の焼結多孔質コンポジット材料要素を含む装置および材料の充填ベッドでろ過された超臨界二酸化炭素流体の約5リットルで清浄にされた基材上に残る約0.2ミクロンサイズよりも大きい粒子の数は、処理された基材の光散乱測定による測定で、200mmSiウエハーについて約300カウント未満、さらに好ましくは200mmSiウエハーについて約100カウント未満である。
【0048】
ハウジングの空隙体積はベッド材料で充填され、処理される流体からの粒子および汚染物質を捕捉しおよび空隙、バイパスを防ぎ、限定された流体流動または圧力損失を防ぐのに十分な密度まで詰め込まれる。ベッドは、所定の位置において第1フィルター要素を有するハウジングにおいてベッド材料を例えば、プレス、振動またはタンピングすることによって詰め込まれ得る。詰め込み密度は、1〜90%の範囲であっ得る。異なるベッド材料、異なる材料形態、異なるサイズおよびこれらの組合せを含む規格化されたあるいは混合されたベッドが使用され得る。空隙体積の全部または一部は、ベッド材料およびベッド材料を固定するためにハウジング中に結合されたあるいはプレス固定された第2フィルター要素で充たされ得る。ナノメートルサイズの細孔を有する多孔質焼結ナノ粒子材料の層を持つ焼結多孔質コンポジット材料フィルター要素と汚染物質除去のための材料のベッドを含む装置は、水中における0.2μmの粒子に対して少なくとも2のLRV、好ましくは0.2μmの粒子に対して少なくとも4のLRV、さらに好ましくは0.05μmの粒子に対して少なくとも2のLRV、最も好ましくは0.05μmの粒子に対して少なくとも4のLRVと、15cmの焼結多孔質コンポジットフィルター要素に対して、500psi/slpm未満、好ましくは約50psi/slpm未満、最も好ましくは約5psi/slpm未満の水中における圧力損失を有する。当業者は、流量計および圧力ゲージを使用して、一定の流体流量において必要とされる圧力損失を達成するために必要とされるベッド材料および充填密度を決定することができる。基材を清浄にするために使用される流体からの粒子の除去は、レーザー表面スキャナーによって決定できる。
【0049】
図6において例示される様に、本発明の1実施形態は、ハウジング600、第2フィルター要素またはフリット620、ベッド材料640および第1フィルターまたはフリット660を含む。第2フィルター要素620は、例えば、米国特許第5487771号(その方法は、その全体において本明細書に参照して組み込まれる)において記載されているような、約20ミクロン未満の、要素の細孔径を持つ多孔質金属フィルター要素を使用して作られ得る。好ましくは、第2フィルター要素620は多孔質コンポジット材料であり、さらに好ましくは、620は、ナノメートルおよび/またはサブナノメートルサイズの細孔を持つ焼結多孔質ナノ粒子材料層を有する焼結多孔質コンポジット材料である。第2フィルター要素620は、二つの金属部分、好ましくはステンレススチール部分、さらに好ましくは316Lまたはハスタロイのような材料であってこれらに限定されない材料間で溶接680され得る。金属部分の1つは、ハウジング600のために使用される管であって良く、第2部分が流体接続670であってよい一方、第2フィルター要素620に溶接または結合するための端部を有している。流体接続670は、様々なパイプ結合金具、溶接のためのチューブスタブ、圧縮結合金具、または図6において示されるような、1/4インチ「VCR」雄型結合金具のような流体結合金具から構成されてよいがこれらに限定されない。流体接続670は、第2フィルター要素620に溶接または結合するための端部も有している。ハウジング600の長さ、直径および形状は、図6において示される通りベッドの容積を画定する。ベッド640に対するハウジング600は、あらゆる受容可能な形状または容積であり得る。第2フィルター要素620は、二つの金属部分間にはめ込まれ、その三つが一体の部分組立品に溶接または結合680される。部分組立品は、次いで、微粉末または、好ましくは直径が約0.2〜30ミクロンサイズの範囲の粒子のニッケル粉末(上を参照せよ)であるベッド材料640で充填され得る。粉末は叩かれおよび/または振動させられて、ベッド粉末640の所望の重量および/または充填密度が達成されるまで結合された部分組立品中に充填される。粉末の充填ベッド640の充足度は、その圧力損失および/または汚染物質保持性によって決定され得る。低い圧力損失は、例えば、ベッドの低い充填密度、短いベッド長さおよび大きな直径のベッドによって達成され、高い汚染物質保持性は、高い充填密度と長いベッドで達成される。粉末材料のベッドが部分組立品に形成されたら、次いで、適当な細孔径、例えば、約20ミクロン以上の細孔径を持つ第1開放多孔質金属構造体またはフィルター660は、所定の位置にベッド材料640を保持または維持するために部分組立品中にプレス、溶接または結合674される。最後に、第1フィルター660とハウジング600に結合するための1つの端部と先に述べられた流体結合金具への接続のための第2の端部を有する流体結合金具672が、図6において例示される様に部分組立品に溶接674される。1実施形態においては、第2フィルター要素620は、ナノメートルサイズの細孔を有する多孔質コンポジット材料としての第2フィルター要素を形成するために、粉末材料、好ましくはナノメートルサイズの粒子を含む粉末材料での含浸、混入または侵入により順次に処理され得る基体フィルター要素をハウジング600中に最初に溶接することによって作られ得る。場合によっては、基体フィルター620要素は、ナノメートルサイズの細孔を有する第2フィルター要素を形成するために、ナノ多孔質膜(ナノメートルサイズの細孔を有する膜)でカバーされ得る。
【0050】
本発明の実施形態は、超臨界流体および液体を含む流体の広範囲のろ過および/または
精製のために使用することができる。ある用途においては、精製ベッドから焼結多孔質コンポジットフィルター要素を分離してそれらを導管で互いに流動的に結合された別々のハウジング中に設置することが望ましい。そのような配置は、1つの構成要素の再配置またはその再生を容易にしおよびコストを低くする。装置構築の材料は、焼結多孔質コンポジット材料および/またはベッド材料が熱的におよび機械的に安定である広範囲の温度にわたってそれらをろ過または精製にとって有用なものとするために選択され得る。例えば、液体ヘリウム、液体窒素、液体二酸化炭素ならびに加熱された液体は、本発明の実施形態でろ過または精製され得る。好ましくは、液体または流体の温度は、焼結多孔質コンポジット材料フィルターまたはベッド材料の機械的性質または細孔径を変えない。好ましくは、温度は、約300℃以下である。本発明の要素の広範囲の熱安定性は、また、広範囲の粘度を有する流体の処理を可能とする。流体の粘度は、用途におけるフィルターおよびベッド材料に対して受容可能な流体流動と圧力損失を与える粘度であり得る。ある場合においては、液体の粘度は、加熱とそれに続くろ過または精製によって減少され得る。流体から汚染物質を除去するための方法は、図6において示される様にハウジングにおいて焼結多孔質コンポジット要素と材料のベッドを持つ装置を提供する工程および、汚染物質、例えば、炭化水素、水分、粒子またはこれらの組合せであってこれらに限定されない汚染物質を伴う流体を装置を通して流動させて流体から1種または複数種の汚染物質と粒子を除去する工程を含む。
【0051】
以下の非限定的実施例およびデータは、本発明の組成、方法および成分に関わる様々な実施形態および特徴をいくぶん例示している。本発明の実施および使用の様々な観点は、これらの実施例および使用される成分ならびに方法によって例示されるが、実質的に匹敵する結果が、同等でありおよび本発明の実施形態の範囲内にある様々なその他の試薬、装置および方法によって得られようことが当業者に理解されるであろう。
【実施例1】
【0052】
この実施例は、ナノ粒子を多孔質基体材料中に混入させるためにエアロゾルを使用する、コンポジット多孔質材料の形成を例示するものである。
【0053】
1番:ディスク:多孔質基体基材材料は、焼結された255ニッケルディスクであり、直径:1.5インチ、厚さ0.1インチ、空隙率51.5%、水中における泡立ち点は15psiであり、15slpmの空気流量において11.5psiの差圧損失を有していた。膜は、18.103gの初期質量を有し、エアロゾル処理のために固定された。固定された膜を、60nmのニッケルナノ粒子エアロゾル(大体の粒子数:2E+07粒子/分)で、15slpmの空気流量で、14.5時間処理し、多孔質コンポジット材料を形成した。得られた生成物を600℃で45分間、5%H/アルゴン中で焼成した。焼結多孔質コンポジット生成物の質量は18.116gであり、15slpmの空気流量において13psiの差圧損失を有していた。水中における、形成された焼結多孔質コンポジット材料の泡立ち点は約15psiであった。
【0054】
2番:管:多孔質基体基材材料は、焼結された255Ni管であり、長さ1.38インチ、OD0.635インチ、壁厚0.065インチ、空隙率64%、水中における泡立ち点は10psiであり、30slpmの空気流量において7.5psiの差圧損失を有していた。この管は「部分組立品」に溶接され、38.6965gの初期質量を有していた。この部分組立品を、60nm直径のニッケルエアロゾル(大体の粒子数:2E+07粒子/分)で、48時間、20slpmの窒素流量で処理した。得られた多孔質コンポジット材料生成物を575℃で45分間、5%H/アルゴン中で焼成し、焼結多孔質コンポジット材料を形成した。焼結多孔質コンポジット材料生成物の質量は38.722gであり、30slpmの窒素流量において8.0psiの差圧損失を有していた。水中における、形成された焼結多孔質コンポジット材料の泡立ち点は11.5psiであった。
【0055】
3番:管:多孔質基体基材材料は、焼結された255Ni管であり、長さ1.38インチ、OD0.635インチ、壁厚0.065インチ、空隙率54%、水中における泡立ち点は15psiであり、30slpmの空気において12psiの差圧損失を有していた。この管は「部分組立品」に溶接され、39.4557gの初期質量を有していた。この部分組立品を、210HのNi粉末を伴う上述のエアロゾルで、7時間、20slpmの窒素ガス流量で処理した。得られた多孔質コンポジット材料生成物を560℃で35分間、5%H/アルゴン中で焼成した。焼結多孔質コンポジット材料生成物の質量は39.469gであり、30slpmの窒素流量において13psiの差圧損失を有していた。水中における焼結多孔質コンポジット材料の泡立ち点は15.5psiであった。
【実施例2】
【0056】
この実施例は、如何にして多孔質コンポジット材料が平衡方法を使用して作られ、次いで焼結されて焼結多孔質コンポジット材料を形成するのかを示すものである。そのような焼結多孔質コンポジット材料の例が図3において概略的に例示されている。
【0057】
ID0.850インチ、長さ7インチで、スチールマンドレル0.550インチ直径の金型を、45gの255ニッケル粉末(フィッシャーサイズ(2.8ミクロン))で充填した。これは、500〜1000psiで等方圧プレスされた。この素地形態の寸法は、OD0.708インチ、ID0.550インチ、長さ7インチであった。素地形態およびマンドレルを、ID:0.800インチの新しい金型に注意深く置いた。この金型を9.5gの210Hニッケル粉末(フィッシャーサイズ0.3ミクロン)で充填し、500〜1000psiで等方圧プレスした。この層状化された素地形態(寸法:OD:0.745インチ、ID0.550インチ、長さ7インチ、重量:54.5g)を、真空においてかつアルゴン中5%Hの還元雰囲気において、575℃で30分間焼結した。焼結多孔質コンポジット管は最終のOD:0.685インチと全壁厚:0.082インチ(微細層、約0.005〜0.015インチまたは127〜381マイクロメートル)を有していた。管は個々の管:長さ:1.38インチ、重量:11g、密度3.13g/ccに切断された。乾燥切断焼結多孔質コンポジット管の気体流動テストは、これらが、30slpmの空気において21psiの差圧損失を有していたことを示した。図4は、この焼結多孔質コンポジット管の細孔対称性テスト結果を示すものである。泡立ち点はHOにおいて約50psiであった。図5は、焼結多孔質コンポジット管の粒子保持性が、0.2マイクロサイズの粒子に対して少なくとも2LRVであることを示している。例えば、図3における340と350との間で例示される微細層は、一般に、3.0〜4.5g/cc、好ましくは、約3.8〜4.2g/cc(52〜57%の多孔質)の密度を有する。多孔質基体基材、例えば、図3における120は、一般に、約64%の多孔質であるが、約60〜約70%の範囲であっ得る。
【0058】
図5において示されるような液体粒子保持性は、篩分、即ち、粒子が、それらが多孔質コンポジット膜の細孔よりも大きい場合にのみ焼結多孔質コンポジット膜によって捕捉される篩分によって捕捉された粒子の数を決定することによって測定された。液体保持性テストは、DI水において、知られているサイズのPSLビーズを利用して行われた。PSLビーズ混合物は、体積で1:100に希釈された。トリトン(Triton)(登録商標)X界面活性剤が、PSLビーズの表面電荷を除去しかつ決定されるべき膜の篩分保持を可能とするために、例えば、20体積%添加された。例えば、粒子テスト溶液を調製するために、40μlの0.137ミクロンのPSLビーズが20%のトリトン(登録商標)Xを含む水4,000μlに添加された。焼結多孔質コンポジット膜を通過する水のテスト流量は、140ml/分に設定され、0.03〜0.2ミクロンサイズの粒子を測定することのできる光学粒子計数器が、粒子濃度およびサイズを測定するために使用された。PSLビーズ/界面活性剤溶液の粒子濃度は、焼結多孔質コンポジット膜フィルターが試験台の上に置かれる前に測定される。フィルターを使用する前に、バックグラウンド計数が記録された。水中における、この焼結多孔質コンポジット膜を通過する水の流量の関数としての圧力損失は、図10において示される。超臨界COにおける流量の関数としてのその圧力損失は、図11において示される。
【実施例3】
【0059】
この実施例は、ナノ粒子を多孔質基体材料中に混入させるために液体におけるナノ粒子のスラリーを使用する、多孔質コンポジット材料の形成を例示するものである。基材材料は、255ニッケル焼結管であり、長さ1.38インチ、OD0.635インチ、壁厚0.065インチ、空隙率54%の多孔質で、「部分組立品」に溶接された。管と部分組立品の重量は39.6728gであった。管は水中において15psiの泡立ち点を有し、30slpmの空気流量において12psiの差圧損失を有していた。800mlのIPA(低表面張力用)における8gの規格外INCOニッケル粉末タイプ110(1.0ミクロンフィッシャー粒径を参照)の混合物を調製した。この混合物を圧力容器の中に入れ、この混合物を、600mlの分散体を「ろ過」するために30psigで、溶接された「部分組立品」を通して流動させた。被覆された部分組立品を、15psiで5分間、被覆された部分組立品を通して空気を流動させることによって「乾燥」し、この多孔質コンポジット材料の部分組立品を、次いで、100℃のオーブンを使用して1/2時間、空気中で乾燥した。
【0060】
乾燥された部分組立品は525℃で1時間焼結された。焼結の最初の5分は真空において行われ、次の20分は、95%アルゴン/5%水素で行われ、次いで残りの時間(35分)は真空雰囲気において行われた。焼結多孔質コンポジット材料の部分組立品は、オーブンから取り出され、テスト/測定された。ニッケルINCON粉末の付加層の質量は、多孔質焼結ナノ粒子層の厚さが約300ミクロンでかつ約54%の空隙率で2.144gであった。水中におけるこの焼結多孔質コンポジットの泡立ち点は22psiであり、30slpmの空気流量において17psiの差圧損失を有していた。
【実施例4】
【0061】
この予言的実施例においては、焼結多孔質材料組成は、超臨界流体をろ過するための膜として使用されようとしている。超臨界流体は、工業的洗浄、精製および再結晶操作において使用される様々な有機および無機溶剤を置換えるために使用される。超臨界流体の密度は、通常、0.25〜1.2g/mlであり、極めて圧力および温度依存性である。溶剤強度は密度と共に増加し、圧力または温度変化は、超臨界流体の溶媒和性を変えることができる。超臨界流体は、様々な固体の溶解度を超臨界流体キャリヤー相に合わせるために超臨界流体に添加することのできるメタノールのような共溶剤に対するキャリヤーとして作用することができる。超臨界流体における溶質の拡散係数は、相当する液体溶剤におけるよりも10倍大きく、気体における相当する拡散係数よりも約3階級低い。超臨界流体における溶質の高い拡散率は、液体に比べて、超臨界流体中への溶質の物質移動に対する抵抗を減少させる。超臨界流体の表面張力は、気体のそれと本質的に類似し、従って、超臨界流体は、液体に比べて、少ない圧力損失で、狭い細孔または形態の中にあるいはそれらを通して流動することができる。
【0062】
水および二酸化炭素は、抽出およびそれらの溶媒和性のために使用される一般的な超臨界流体である。超臨界水は、強力な酸化剤であり、酸素がその中に溶解されているときは特に強力な酸化剤であり、廃棄媒体および基材からの毒素および有機化合物を酸化および除去するのに有用である。31.2℃でかつ1071.3psi以上で超臨界流体である二酸化炭素は、進歩した集積回路製造工程および食品ならびに飲料抽出工程のための清浄およびストリッピング操作において使用されている。その低い表面張力と粘性の故に、超臨界COは、マイクロ電子装置における清潔なトレンチおよびバイア中に容易に流動することができる。さらに、超臨界流体は、タンパク質、DNA、ウイルス細胞のようなナノスケールの生物学的かつ薬理学的物質およびエアロゾルの形態における薬剤の製造において使用され得る。これらの用途においては、望ましくない異物、例えば、有害な胞子および有害なバクテリアを除去することのできるフィルターが極めて望ましい。
【0063】
超臨界流体を利用するシステムは、閉回路で操作し得る。超臨海流体は、室において抽出または清浄にされる基材またはサンプルに接触し、基材またはサンプルは清浄化後に室から除去されても良く、そして抽出された物質または粒子を含む超臨界流体は収集容器に戻される。本明細書において記載された方法によって作られた約10〜200nmの細孔径を持つ焼結多孔質コンポジット材料は、ハウジングに溶接されて、次いで、閉回路超臨界流体システムと流体連絡において接続されてい得るフィルター要素を形成し得る。ハウジングにおける焼結多孔質コンポジット材料のフィルター要素は、流体から粒子および溶解した物質のような汚染物質を除去するために使用され得る。この除去は、篩分ろ過によって、焼結多孔質コンポジット材料によって流体から1種または複数種の汚染物質を除去する工程を含んでもよい。その他のそのような汚染物質除去行為は、超臨界流体が更なる使用のために抽出室へ戻される前に超臨界流体から溶解した汚染物質を除去しおよび/または粒子をろ過するために、ろ過、清浄器材料のベッドを伴う精製、およびこれらの行為の組合せを含んでもよい。その他の行為、例えば、システムの温度および/または圧力の変更行為は、流体における汚染物質の溶解度に影響を及ぼし(例えば、沈殿の原因になる)、超臨界流体からの汚染物質の分離を助けるために使用され得る。処理後、補給ガスまたは共溶剤がシステムにおいて超臨界流体に添加され得る。フィルターとしての焼結多孔質コンポジット材料の使用は、抽出流体の耐用年数を延長させるために使用されても良く、減少された粒子カウントを持つ清浄な基材をもたらし得る。
【実施例5】
【0064】
この実施例においては、深部フィルターまたは清浄器が作られる。清浄器は、長さおよび直径においてフィルター要素と等しいかそれよりも大きく作られたハウジング中に溶接された実施例2に記載のような焼結多孔質コンポジットフィルター要素から成る。ハウジングの空隙体積は、INCOタイプ255のようなNi粉末で充填される。空隙およびバイパスを防ぐために、しかし、流体流動を著しく制限しない程度に十分な粉末がハウジング中に入れられる。
【0065】
図6は、ハウジング、入口フィルター660、出口の焼結多孔質コンポジットフィルター要素620、フィルター要素間の粉末材料の充填ベッド640および流体流動回路への接続のための結合金具を例示する深部フィルター例の例示である。
【実施例6】
【0066】
この実施例においては、実施例1において記載されているような焼結多孔質コンポジット金属フィルター要素が、二つのステンレススチール部分の間で溶接される。1つの部分(いわゆる「出口」)は、1/4インチ「VCR」雄型結合金具を持つ短い3/4インチ管から成り、他方は、ハウジングである長さ1インチの3/4インチ管である。フィルター要素は二つの部分の間で結合され、それらは一体の「部分組立品」に溶接される。
【0067】
部分組立品は、次いで、微細Ni粉末で充填される。この場合は、1〜3ミクロンの粒径を持つINCOタイプ255である。Ni粉末は叩かれ、振動を掛けられて、ベッド材料の所望の重量が達成されるまで部分組立品中に充填される。次いで、20ミクロン以上の細孔径を持つ開放多孔質金属構造が、粉末を所定の位置で保持するために部分組立品中に押圧される。最後に、既に述べた出口結合金具に類似の入口結合金具が部分組立品に溶接されて、ニッケル粉末のベッドを有する全体に包含されたフィルター/清浄器が出来上がる。
【0068】
8gのNi255が部分組立品ハウジングに入れられ、入口結合金具で密閉されると、得られるベッドは1.6g/ccの密度と84%の空隙体積を有する。測定された圧力損失は、大気圧の出口圧力で、2slpmの空気流量において18psi(1.2bar)であった。
【0069】
16gのNi255粉末が部分組立品ハウジングに入れられ、入口結合金具で密閉されると、得られるベッドは3.2g/ccの密度と64%の空隙体積を有する。測定された圧力損失は、大気への出口圧力で、2slpmの空気流量において64psi(4.3bar)であった。
【0070】
10gのNi255粉末が部分組立品ハウジングに叩いて入れられ、入口結合金具で密閉されると、得られるベッドは1.30g/ccの密度と85%の空隙体積を有する。測定された圧力損失は、大気への出口圧力で、2slpmの空気流量において52psiであった。この圧力損失は、低い充填密度の結果としてベッド材料の量が少ないので上の実施例よりも低い。
【0071】
超臨界二酸化炭素の圧力損失対質量流量のプロットは図14において示される。
【実施例7】
【0072】
この実施例においては、実施例2と実施例6の焼結多孔質コンポジット材料のフィルター要素が、超臨界COウエハー清浄ツールに装着され、このツールによって清浄にされたテストウエハー上に残る粒子濃度が測定された。粒子データは、KLA−Tencor surfscanを使用する、>0.2ミクロン粒子に対するものである。結果は、200mm直径の基材と、1回当り約5リットルの超臨界COを使用して行ったクリーニングに対するものである。図7において、実施例2の焼結多孔質コンポジット材料のフィルターは、多孔質フィルター要素でのウエハー上のウエハーカウントを示し、実施例6の材料のベッドを持つ焼結多孔質コンポジット材料のフィルターは、本発明が、SC(超臨界)CO流体をろ過するために使用されるときの粒子カウントを示す。グラフは、実施例2の焼結多孔質コンポジット材料のフィルターがウエハー上で僅かな粒子カウントをもたらすことおよび実施例6の材料の充填ベッドを含む装置も、ウエハー上で粒子カウントの減少をもたらすことを示す。グラフに基づけば、本発明装置は、5リットルの超臨界二酸化炭素が使用されるときに、ウエハー上に0.2μmよりも大きいサイズを持つ粒子を約300個未満残すウエハーを清浄するために超臨界二酸化炭素をろ過することができる。
【実施例8】
【0073】
この実施例においては、実施例2と同様に作られた管の焼結多孔質コンポジットフィルター要素がハウジング中に溶接され、焼結多孔質コンポジット材料と溶接の近くの界面領域がシールされる。このフィルター要素のための細孔対称性テスト、図8は、気体の拡散性流動とバルク流動間のはっきりした転移を示す。溶接されかつシールされたフィルター要素の粒子保持性は、図9において示される様に、水中における0.2μmのポリスチレンラテックスビーズに対して約4LRVである。
【実施例9】
【0074】
この実施例は、図13において示される様に、水中における0.05μmのポリスチレンラテックスビーズを除去することのできる本発明の焼結多孔質コンポジット材料を例示するもので、この多孔質焼結コンポジット材料は平衡方法で作られた。
ID0.850インチ、長さ6インチで、スチールマンドレル0.655インチ直径の金型を、28gの255ニッケル粉末(フィッシャーサイズ2.8ミクロン)で充填した。これは、5000〜6000psiで等方圧プレスされた。この素地形態の寸法は、OD:0.722インチ、ID0.655インチ、長さ6インチであった。素地形態およびマンドレルを、ID:0.800インチの新しい金型に注意深く置いた。この金型を7gの210Hニッケル粉末(フィッシャーサイズ0.3ミクロン)で充填し、7000〜8000psiで等方圧プレスした。この層状化された素地形態(寸法:OD:0.735インチ、ID0.655インチ、長さ6インチ、重量:35g)を、真空においてかつアルゴン中5%Hの還元雰囲気において、450〜500℃で30分間焼結した。焼結多孔質コンポジット管は最終のOD:0.685インチと全壁厚:0.036インチ(微細層、約0.003〜0.006インチ)を有していた。管は個々の管:長さ:1.38インチ、重量:7.5g、密度4.5g/ccに切断された。16cmの流動領域を持つ乾燥切断管の気体流動テストは、それらが、20slpmの空気において27psiの差圧損失を有していたことを示した。
【0075】
微細層は約37%の空隙率を有し、基材は約51%の空隙率(約45〜約55%の範囲であっ得る)を有していた。この材料の泡立ち点テストは、図12において示される様に、60/40IPA溶液において行われた。粒子保持は中和されたPSLビーズを使用してDI水中で行われ、ろ過メカニズムは純粋に篩分タイプであった。粒子保持性テストの結果は図13において例示され、この材料が、0.05μmの粒子に対して少なくとも4のLRVを有し、0.2μmの粒子に対しては少なくとも5のLRVを有することを示す。
【0076】
本発明は、そのいくらかの好ましい実施形態を参照として相当詳細に記述されたが、その他の形態も可能である。従って、添付の特許請求の範囲の精神ならびに範囲はこの記述に限定されるべきものではなく、好ましい形態は本明細書内に含まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多孔質基体材料
および多孔質焼結ナノ粒子材料の層を含み、
前記多孔質焼結ナノ粒子材料の層は、前記多孔質基体の1つまたは複数の表面上にあり、前記多孔質基体材料の一部分に侵入しており、前記多孔質焼結ナノ粒子材料は、前記多孔質基体材料における細孔よりも小さい細孔を有する、焼結多孔質コンポジット材料。
【請求項2】
前記焼結ナノ粒子材料が、金属、金属合金およびこれらの材料の混合物から構成されている請求項1の焼結多孔質コンポジット材料。
【請求項3】
前記多孔質焼結ナノ粒子材料が、ニッケルを含む請求項1の焼結多孔質コンポジット材料。
【請求項4】
前記多孔質焼結ナノ粒子材料が、焼結樹状ナノ粒子を含む請求項1の焼結多孔質コンポジット材料。
【請求項5】
前記多孔質焼結ナノ粒子材料の前記細孔において、気体、液体、超臨界流体またはこれらの混合物をさらに含む請求項1の焼結多孔質コンポジット材料。
【請求項6】
前記焼結多孔質コンポジット材料が結合したハウジングをさらに含み、前記結合した焼結多孔質コンポジット材料を伴う前記ハウジングが、前記結合した焼結多孔質コンポジット材料が流体において0.2μmの粒子に対して少なくとも2の篩分LRVを有することを特徴とする請求項1の焼結多孔質コンポジット材料。
【請求項7】
多孔質基体材料および前記多孔質基体の一部分に侵入している粉末ナノ粒子材料層を焼結して形成された、多孔質焼結ナノ粒子材料の層を含み、前記多孔質焼結ナノ粒子材料の層は前記多孔質基体の1つまたは複数の表面上にあって、前記多孔質焼結ナノ粒子材料は前記多孔質基体における細孔よりも小さい細孔を有する、フィルター要素。
【請求項8】
前記焼結ナノ粒子材料が、金属、金属合金およびこれらの材料の混合物から構成されている請求項7のフィルター要素。
【請求項9】
前記フィルター要素が結合したハウジングをさらに含み、前記結合したフィルター要素を伴う前記ハウジングが、流体における0.2μmの粒子に対して少なくとも2の篩分LRVを有することを特徴とする請求項7のフィルター要素。
【請求項10】
多孔質焼結金属基体材料、
多孔質基体の1つまたは複数の表面上にあって、多孔質基体の部分に侵入している多孔質焼結ナノ粒子材料の層、および
前記基体細孔内にあって実質的に連続構造を形成しおよび前記多孔質基体材料における細孔よりも小さい相互に連絡した細孔を有する多孔質焼結ナノ粒子材料を含む、焼結多孔質コンポジット材料。
【請求項11】
前記焼結ナノ粒子材料が、金属、金属合金およびこれらの材料の混合物から構成されている請求項10の焼結多孔質コンポジット材料。
【請求項12】
多孔質基体材料上の粉末ナノ粒子の層を焼結して、前記基体上に多孔質焼結ナノ粒子材料の層を形成することを含み、前記粉末ナノ粒子の層が前記多孔質基体の1つまたは複数の表面上にあって、前記多孔質基体材料の一部分に侵入している、多孔質コンポジット材料を作製する方法。
【請求項13】
前記粉末ナノ粒子を前記多孔質基体中に等方圧プレスして前記多孔質基体材料上に前記粉末ナノ粒子の層を形成する行為をさらに含む請求項12の方法。
【請求項14】
前記焼結ナノ粒子材料層が、金属、金属合金およびこれらの材料の混合物から構成されている請求項12の方法。
【請求項15】
その中にある物質を有する流体を請求項1の前記焼結多孔質コンポジット材料を通して流動させることを含み、前記焼結多孔質コンポジット材料は前記流体から前記物質を除去する、流体から物質を除去する方法。
【請求項16】
前記物質が粒子捕捉により除去される請求項15の方法。
【請求項17】
前記流体が超臨界流体である請求項15の方法。
【請求項18】
5リットルの超臨界流体を請求項1の前記多孔質コンポジット材料を通してろ過するとき、直径200ミリメートルの基材上に、0.2ミクロンよりも大きいサイズの粒子が300個未満沈着する超臨界流体。
【請求項19】
ベッド材料を含むためのハウジング、
ナノメートルのサイズの細孔を有する焼結多孔質コンポジット材料である第2フィルター要素、第2フィルター要素は、装置、前記ベッド材料および第2フィルター要素を通して流体流動を可能とするために前記ハウジングに固定され、第2フィルターは流体流から粒子を除去する、
前記第2フィルター要素をカバーし、前記ハウジング内に含まれ、前記流体流から汚染物質を除去するある材料のベッド、および、
第1フィルター要素と第2フィルター要素との間で前記ハウジング内の前記ベッド材料を保持する前記ハウジングに固定され、前記装置を通して流体流動を可能とする第1フィルター要素とを含む、流体流から汚染物質を除去する装置。
【請求項20】
1ミリリットル当り50個未満の粒子を含み、前記粒子が0.2マイクロメートル以下のサイズを有する超臨界流体。
【請求項21】
多孔質基体材料、および
多孔質焼結ナノ粒子材料の層を含み、
前記多孔質焼結ナノ粒子材料の層は、前記多孔質基体の1つまたは複数の表面上にあり、前記多孔質基体材料の一部分に侵入しており、前記多孔質焼結ナノ粒子材料は、前記多孔質基体材料における細孔よりも小さい細孔を有し、水中において0.2μm以上の粒子に対して少なくとも2のLRVを有することを特徴とする焼結多孔質コンポジット材料。
【請求項22】
前記材料が、水中において0.2μmの粒子に対して少なくとも4のLRVを有することを特徴とする請求項21の焼結多孔質コンポジット材料。
【請求項23】
前記材料が、水中において0.05μmの粒子に対して少なくとも2のLRVを有することを特徴とする請求項21の焼結多孔質コンポジット材料。
【請求項24】
前記材料が、水中において0.05μmの粒子に対して少なくとも4のLRVを有することを特徴とする請求項21の焼結多孔質コンポジット材料。
【請求項25】
窒素における圧力係数が250未満である請求項21の焼結多孔質コンポジット材料。
【請求項26】
60psiより高い、前記材料の全体にわたる差圧を支持することのできる請求項21の焼結コンポジット材料。
【請求項27】
前記多孔質焼結ナノ粒子材料の厚さが100ミクロン未満である請求項21の焼結コンポジット材料。
【請求項28】
前記多孔質焼結ナノ粒子材料が、1000nm未満の粒子を含む請求項21の焼結コンポジット材料。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2013−47389(P2013−47389A)
【公開日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−206765(P2012−206765)
【出願日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【分割の表示】特願2005−508318(P2005−508318)の分割
【原出願日】平成15年12月11日(2003.12.11)
【出願人】(505307471)インテグリス・インコーポレーテッド (124)
【Fターム(参考)】