説明

多層の、予備延伸された弾性製品

一実施形態では、本発明は、少なくとも2つの層を含む製品であり、第1すなわち低結晶化度層は低結晶化度ポリマーを含み、第2すなわち高結晶化度層は高結晶化度ポリマーを含む。高結晶化度ポリマーは、低結晶化度ポリマーの融点とほぼ同じであるかまたは融点より25℃未満以内である、示差走査熱量測定(DSC)で測定される融点を有する。製品は、低結晶化度ポリマーの融点よりも低い温度で少なくとも1つの方向に、その本来の長さまたは幅の少なくとも約50%の伸びまで伸張されて、予備延伸された製品を形成する。高結晶化度層は伸張により塑性変形を受けることができることが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、35 USC第119条(e)の下、2005年10月26日出願の米国特許仮出願第60/730,338号の恩典を主張する。
【0002】
本発明は、製品、例えばフィルム類、織物類および繊維類に関する。一態様では、本発明は弾性製品に関し、一方別の態様では、本発明は、多層の予備延伸された弾性製品に関する。さらに別の態様では、本発明は、低結晶化度ポリマーを含む低結晶化度層と、高結晶化度ポリマーを含む高結晶化度層を含む、多層の、予備延伸された弾性製品に関する。さらにもう1つの態様では、本発明は、低結晶化度ポリマーの融点が高結晶化度ポリマーの融点の約25℃未満以内であるような製品に関する。
【背景技術】
【0003】
既知の共押出プロセスには、少なくとも2つの別々のポリマー組成物の融解とそれらの同時押出および即時の組合せが含まれる。押出物は、ポリマーが固化してしまうまで冷却され、機械によってロール上に巻き取られ得る。押出物を冷えたロールの周囲に巻き付けることにより、冷却を促進することができる。押出物は、機械の中で制御された角度および/または横方向に方向付けられることができる。この圧伸成形は、共押出物の融点より低い温度で行われ得る。このように、製品は、異なるポリマー組成物の所望の特性を組み合わせて作成することができる。
【0004】
共押出フィルムは一般にポリマー組成物から作られ、それは結晶質相の形成による冷却の際に相当な機械的強度を生じる。このようなポリマー組成物はまた、組成物の配向および結晶領域のより良いアラインメントの際に増加した強度を生じることができる。
【0005】
フィルムの弾性は、多数の用途に望まれている。このような用途の例は、パーソナルケア製品、例えばおむつのバックシート、おむつのウエストバンド、およびおむつの耳部分;医学的用途、例えばガウンおよびバッグ;ならびに衣料品用途、例えば使い捨て衣類におけるものである。最終構造に用いる際には、弾性製品は所望の特徴、例えば内在する形状への衣料品のコンプライアンスの達成を助けることを提供することができる。おむつのウエストバンドでは、例えば、高い弾性回復により、おむつの使用中ずっと、ウエストバンドがその本来の形状に確実に戻る。
【0006】
弾性は、一般に、非晶質弾性ポリマー組成物の使用から得られる。しかしこのようなポリマー組成物を製品、例えばフィルムおよび繊維に加工することに関連する多くの困難および課題が存在する。例えば、弾性は、特に高いラインスピードで加工している間のライン速度を制限する。フィルムに加えられる張力が時には不安定な形でフィルムを伸ばすことになるためである。
【0007】
さらに、弾性ポリマーは、一般に高分子量非晶質ポリマーであって、製品、例えばフィルム、織物および繊維へ加工することが困難であり得る。弾性フィルムを加工する際のもう一つ困難は、ロール上のフィルムの粘着性に起因し、それにより「ブロッキング」(すなわちフィルムがそれ自体に粘着すること)が生じる。このことは、製品が製造された後の保管を制限する。弾性ポリマーはまた、例えば、外観の悪さおよびゴムのような、または粘着性のある感触または触覚をはじめ、美的に美しくない。
【0008】
これらの課題を緩和するため、いくつかのアプローチがとられている。米国特許第6,649,548号は、よりよい感触を付与するためにフィルムを含む不織布の積層品を開示している。米国特許第4,629,643号および同第5,814,413号ならびにPCT公開第WO 99/47339号および同第WO 01/05574号は、表面積を増大させ、感触を改良するために、フィルム表面をエンボス加工またはテクスチャー加工するために用いられる様々な機械技術および処理技術を開示している。米国特許第4,714,735号および同第4,820,590号は、その応力下で凍結させるために、高温下でフィルムを配向し、フィルムをアニールして調製された、エラストマー、エチレンビニルアセテート(EVA)、およびプロセスオイルを含むフィルムを開示している。そのフィルムはその後に加熱され、縮んで弾性フィルムを形成する。
【0009】
一実施形態において、これらの参照文献はまた、粘着性を低下させるために弾性フィルムのいずれの側にもエチレンポリマーまたはコポリマーの層を有するフィルムを開示する。フィルムをヒートセットすることにより、それを延伸させた状態で安定させることができる。ヒートセット温度よりも高い熱を加えることにより、ヒートセットは除去され、フィルムはその本来の長さに戻るが、弾性のある状態を保つ。2つの加熱段階が含まれ、コストと複雑さが加わる。米国特許第4,880,682号は、1つのエラストマーコア層と、熱可塑性スキン層を含む多層フィルムを開示する。エラストマーは、スキン層としてEVAを含む積層構造の、エチレン/プロピレン(EP)ゴム、エチレン/プロピレン/ジエンモノマーゴム(EPDM)、およびブチルゴムである。注入成形後、これらのフィルムを配向して、低光沢フィルムをもたらす微小起伏(micro-undulated)表面を有するフィルムが得られる。
【0010】
少なくとも1つの接着剤層を有する、微細なテクスチャー加工を施された弾性積層フィルムは、米国特許第5,354,597号および同第5,376,430号に開示されている。米国特許第4,476,180号には、機械的特性を過度に低下させることなく粘着性を低下させるための、スチレンブロックコポリマー系エラストマーとエチレン−ビニルアセテートコポリマーのブレンドが記載されている。
【0011】
WO 2004/063270号には、伸張により塑性変形を受けることのできる、低結晶化度層および高結晶化度層を含む製品が記載されている。結晶化度層には、低結晶化度ポリマーと、所望により、さらなるポリマーが含まれる。高結晶化度層には、低結晶化度ポリマーのものよりも少なくとも25℃高い融点を有する高結晶化度ポリマーが含まれる。低結晶化度ポリマーと高結晶化度ポリマーは、適合した結晶化度を有し得る。
【発明の開示】
【0012】
一実施形態では、本発明は、少なくとも2つの層を含む製品であり、第1すなわち低結晶化度層は低結晶化度ポリマーを含み、第2すなわち高結晶化度層は高結晶化度ポリマーを含む。高結晶化度ポリマーは、低結晶化度ポリマーの融点とほぼ同じかまたは25℃未満以内、好ましくは、ほぼ同じかまたは20度未満以内である、示差走査熱量測定(DSC)により測定される融点を有する。製品は、低結晶化度ポリマーの融点より低い温度で少なくとも1つの方向に、その本来の長さまたは幅の少なくとも約50%の伸びまで、好ましくは、少なくとも約100%の伸びまで、より好ましくは、少なくとも約150%の伸びまで、ならびに300%またはそれ以上まで伸張されて、予備延伸された製品を形成する。高結晶化度層は伸張により塑性変形を受けることのできることが好ましい。各層はフィルムであっても不織布であってもよい。
【0013】
第2の実施形態では、本発明はまた、少なくとも2つの層を含む製品であり、第1すなわち低結晶化度層は低結晶化度ポリマーを含み、第2すなわち高結晶化度層は高結晶化度ポリマーを含む。しかし、この実施形態では、高結晶化度ポリマーは、低結晶化度ポリマーの融点よりも低い、好ましくは低結晶化度ポリマーの融点よりも約50℃以下低い、DSCにより測定される融点を有する。製品は、低結晶化度ポリマーの融点より低い温度で少なくとも1つの方向に、その本来の長さまたは幅の少なくとも約50%の伸びまで、好ましくは少なくとも約100%の伸びまで、より好ましくは少なくとも約150%の伸びまで伸張されて、予備延伸された製品を形成する。
【0014】
第3の実施形態では、本発明は、
A.(i)向かい合う第1および第2の平面と、(ii)低結晶質の弾性ポリマーを含むコア層、ならびに
B.各々が(i)向かい合う第1および第2の平面と、(ii)高結晶質ポリマーを含む、第1の外層および第2の外層を含み、該第1の外層の第2の平面すなわち底面が、コア層の第1の平面すなわち上面と密接に接触し、第2の外層の第1の平面すなわち上面が、コア層の底面または第2の平面と密接に接触している、
但し、(i)高結晶性ポリマーの融点が低結晶性ポリマーの融点よりも低い、または(ii)高結晶性ポリマーの融点が低結晶性ポリマーの融点よりも25℃以下である、予備延伸された多層フィルムである。1つのスキン層の高結晶性ポリマーは、他のスキン層の高結晶性ポリマーと同じであっても異なっていてもよい。コア層のポリマーはプロピレンコポリマーであり、スキン層のポリマーは通常ポリオレフィンであることが好ましい。通常、第1の外層および第2の外層のスキン層のポリマーは同じである。調製において、フィルムは、通常、その本来の長さまたは幅の少なくとも約50%の伸びまで、好ましくは少なくとも約100%まで、より好ましくは少なくとも約150%および300%まで、あるいはそれ以上、延伸または活性化される。
【0015】
第4の実施形態では、本発明は、低結晶化度ポリマーを含む第1すなわち低結晶化度層および高結晶化度ポリマーを含む第2すなわち高結晶化度層の、少なくとも2つの層を含む予備延伸された多層フィルムを作成するためのプロセスである。高結晶化度ポリマーは、低結晶化度ポリマーの融点とほぼ同じかまたは25℃未満以内である、DSCにより測定される融点を有する。該プロセスは、次の段階:(1)フィルムを形成する段階、および(2)フィルムを少なくとも1つの方向に、その本来の長さまたは幅の少なくとも約50%まで、好ましくは少なくとも約100%まで、より好ましくは少なくとも約150%および300%まで、あるいはそれ以上まで伸張する段階を含む。好ましくは、フィルムは高結晶化度ポリマーの融点よりも低い温度で、より好ましくは、低結晶化度ポリマーの融点よりも低い温度で伸張される。伸張段階によって、0%よりも大きい、一般的には少なくとも10%の、より一般的には少なくとも25%の、そしてさらにより一般的には少なくとも50%のヘイズ値を有するフィルムが形成される。
【0016】
第5の実施形態では、本発明は、第1および第2の実施形態に記載される、繊維、好ましくは、複合繊維の形態の製品である。好ましくは、低結晶化度ポリマーは、特に、シース/コア、サイド・バイ・サイド、三日月、トリローバル、アイランズ・イン・ザ・シーまたはフラットの立体配置を有する繊維において、繊維の表面の少なくとも一部分を占める。高結晶化度ポリマーが塑性変形されている繊維が特に好ましい。
【0017】
本発明のその他の実施形態には、織布、不織布または織布/不織布の混紡の形態の製品、4またはそれ以上の層を含むフィルム、衣料品および同製品から作成されるその他の構造(例えば、おむつのバックシートおよび弾性のあるつまみ、病院用衣類など)、架橋製品、増量剤を含有する製品などが含まれる。積層不織布構造を作成するための方法は、当分野で公知である(例えば、米国特許第5,336,545号および同第5,514,470号)。
【0018】
本発明の全ての実施形態において、高結晶化度ポリマーと低結晶化度ポリマーとの間の結晶化度差重量パーセントは、少なくとも約1%、好ましくは少なくとも約3%、そしてより好ましくは少なくとも約5%であることが好ましい。高結晶性ポリマーと低結晶性ポリマーとの間の結晶化度差重量パーセントは、約90%を超えない、好ましくは、約80%を超えない、そしてより好ましくは、約70%を超えないことが好ましい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
「低結晶化度」、「高結晶化度」などの用語は、絶対的な意味で用いられるのではなく、むしろ、互いに対する意味で用いられる。典型的な高結晶性ポリマーには、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、ホモポリプロピレン(hPP)、プロピレンのランダムコポリマー(RCP)などが含まれる。特に注目される低結晶性プロピレンコポリマーとしては、プロピレン/エチレン、プロピレン/1−ブテン、プロピレン/1−ヘキセン、プロピレン/4−メチル−1−ペンテン、プロピレン/1−オクテン、プロピレン/エチレン/1−ブテン、プロピレン/エチレン/ENB、プロピレン/エチレン/1−ヘキセン、プロピレン/エチレン/1−オクテン、プロピレン/スチレン、およびプロピレン/エチレン/スチレンが挙げられる。これらのコポリマーの代表は、The Dow Chemical Company社により製造および販売されている弾性プロピレンコポリマーのVERSIFY(商標)である。これらのコポリマーは、1またはそれ以上のアクチベーター(例えば、アルモキサン)と組み合わせた、金属を中心とするヘテロアリールリガンド触媒を用いて作成される。特定の実施形態では、金属は1またはそれ以上のハフニウムおよびジルコニウムである。VERSIFY(商標)弾性プロピレンコポリマーおよび同様に作成されたコポリマーは、米国特許第6,906,160号、同第6,919,407号および同第6,927,256号により詳細に記載されている。それによると、1つの層が50%の結晶化度を有するhPPポリマーを含み、もう1つの層が65%の結晶化度をもつhPPポリマーを含む、2つの層を含む製品において、50%の結晶化度を有する層およびポリマーは、低結晶性層およびポリマーであり、それに対して65%の結晶化度を有する層およびポリマーは高結晶性層およびポリマーである。
【0020】
用語「ポリマー」は、一般に、限定されるものではないが、ホモポリマー、コポリマー(例えば、ブロック、グラフト、ランダムおよび交互コポリマーなど)、ターポリマーなど、ならびにそのブレンドおよび変性物が含まれる。さらに、特に限定されなければ、用語「ポリマー」は、その物質のあらゆる可能性のある幾何学的配置を当然含む。これらの配置としては、限定されるものではないが、アイソタクチック、シンジオタクチックおよびランダム対称が挙げられる。
【0021】
用語「ポリプロピレン系プラストマー」(PBP)または「プロピレン系エラストマー」(PBE)には、約100J/g未満の融解熱および3.5未満のMWDを有する、リアクタグレードのプロピレンのコポリマーが含まれる。PBPの融解熱は一般に約100J/g未満であるが、PBEの融解熱は一般に約40J/g未満である。PBPは、通常、約3〜約15重量%の範囲の重量パーセントエチレンを有し、弾性PBEは約10〜15重量%のエチレンを有する。
【0022】
本明細書に指定される全ての百分率は、特に指定のない限り、重量百分率である。
【0023】
コポリマーは、約3.5未満のMWDを有し、約90J/g未満、好ましくは約70J/g未満、より好ましくは約50J/g未満の融解熱を有するPBPまたはPBEである。エチレンをコモノマーとして用いる場合、リアクタグレードのプロピレン系エラストマーまたはプラストマーは、プロピレン系エラストマーまたはプラストマーの重量の約3〜約15パーセントのエチレン、好ましくは約5〜約14パーセントのエチレン、より好ましくは約9〜約14パーセントエチレンを有する。適したプロピレン系エラストマーおよび/またはプラストマーは、WO 03/040442号に教示されている。
【0024】
本発明での使用のために特に注目されるものは、約3.5未満のMWDを有するリアクタグレードのPBEである。用語「リアクタグレード」は、米国特許第6,010,588号に定義され、一般に、その分子量分布または多分散性が重合後も実質的に変化していないポリオレフィン樹脂を指す。
【0025】
プロピレンコポリマーの残りの単位は、少なくとも1つのコモノマー、例えばエチレン、C4-20α−オレフィン、C4-20ジエン、スチレン系化合物などに由来するが、コモノマーは、エチレンおよびC4-12α−オレフィン、例えば1−ヘキセンまたは1−オクテンのうちの少なくとも1つであることが好ましい。好ましくは、コポリマーの残りの単位はエチレンにのみ由来する。
【0026】
プロピレン系エラストマーまたはプラストマーにおけるエチレン以外のコモノマーの量は、少なくともある程度、コモノマーと、コポリマーの所望の融解熱の関数である。コモノマーがエチレンであれば、通常、コモノマー由来単位は、コポリマーの約15重量%を超過してコポリマーを含まない。エチレン由来単位の最小量は、通常、コポリマーの重量に基づいて少なくとも約3、好ましくは少なくとも約5、そしてより好ましくは少なくとも約9重量%である。ポリマーが少なくとも1つのエチレン以外のその他のコモノマーを含む場合、好ましい組成物は、約3〜20重量%エチレンを含むプロピレン−エチレンコポリマーの範囲の融解熱を有する。大体類似する結晶化度と結晶形態のポリマーが不織布での使用に好ましい。
【0027】
本発明のプロピレン系エラストマーまたはプラストマーは、任意のプロセスによって作成することができ、それには、チーグラー・ナッタ、CGC(拘束幾何触媒)、メタロセン、および非メタロセン型の、金属を中心とする、ヘテロアリールリガンド触媒により作成されたコポリマーが含まれる。プロピレンコポリマーの例としては、The Dow Chemical Company社から入手可能なプロピレン/エチレンコポリマーが挙げられる。
【0028】
本発明の実施に用いられるプロピレン系エラストマーまたはプラストマーの密度は、通常、ASTM D−792で測定して1立方センチメートルあたり少なくとも約0.850、または少なくとも約0.860、または少なくとも約0.865グラム(g/cm3)である。
【0029】
本発明のプロピレン系エラストマーまたはプラストマーの重量平均分子量(Mw)は広く変動し得るが、通常、(最小または最大Mwの唯一の制限は実施上の考慮点により示されるものであるという理解のもと)約10,000〜1,000,000である。フィルムの製造に用いられるホモポリマーおよびコポリマーに関して、メルトフローレート(MFR、ASTM D−1238、条件L(2.16kg、230℃)により測定)は、通常、インフレートフィルム(blown film)には約0.10〜10、キャストフィルム加工には約0.50〜50に及ぶ。
【0030】
本発明のプロピレン系エラストマーまたはプラストマーの多分散性は、通常、約2〜約3.5の間である。「狭い多分散性(polydisperity)」、「狭い分子量分布」、「狭いMWD」および同様の用語は、重量平均分子量(Mw)の数平均分子量(Mn)に対する比(Mw/Mn)が約3.5未満、または約3.0未満、または約2.8未満、または約2.5未満、または約2.3未満であることを意味する。本発明の多層態様では、一般に、様々な層の粘度が所与の剪断速度および温度に関して大体同じであることが望ましい。
【0031】
[ゲル浸透クロマトグラフィー]
ポリマーの分子量および分子量分布は、4本の直線状の混合床カラム(Polymer Laboratories(粒径20μm))を備えたPolymer Laboratories PL−GPC−220高温クロマトグラフユニットでゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を用いて決定される。オーブン温度は160℃であり、オートサンプラーのホットゾーンは160℃およびウォームゾーンは145℃である。溶媒は、200ppm 2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノールを含有する1,2,4−トリクロロベンゼンである。流速は1.0ミリリットル/分であり、注入規模は100マイクロリットルである。約0.2重量%溶液のサンプルは、窒素パージした、200ppm 2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノールを含有する1,2,4-トリクロロベンゼンに160℃にて2.5時間、穏やかに混合しながら溶解することにより、注入用に調製される。
【0032】
分子量決定は、10種類の狭い分子量分布のポリスチレン標準品(Polymer Laboratories社製、580〜7,500,000g/モルのEasiCal PS1)をそれらの溶出体積とともに用いることにより推定される。同等のポリプロピレン分子量は、Mark−Houwink式:
{N}=KMa
(Kpp=1.90E−04、app=0.725およびKps=1.26E−04、aps=0.702)
において、ポリプロピレン(Th.G. Scholte, N.L.J. Meijerink, H.M. Schoffeleers、およびA.M.G. Brands, J. Appl. Polym. Sci., 29, 3763-3782 (1984)に記載)およびポリスチレン(E.P. Otocka, R.J. Roe, N.Y. Hellman, P.M. Muglia, Macromolecules, 4, 507 (1971)に記載)について、適切なMark−Houwink係数を用いることにより決定される。
【0033】
本発明で用いられるPBEは、理想的には0.1〜600g/10分のMFRを有する。プロピレンおよびエチレンおよび/または1またはそれ以上のC4−C20α−オレフィンのコポリマーのためのMFRは、ASTM D−1238、条件L(2.16kg、230℃)に従って測定される。
【0034】
キャストフィルムには、少なくとも1つの層のメルトフローレートが少なくとも約2g/10分であることが好ましく、約5〜50g/10分であることがより好ましい。インフレートフィルムには、少なくとも1つの層が約9g/10分未満、より好ましくは、約6g/10分未満のメルトフローレートを有することが好ましい。
【0035】
[製品]
本発明の一実施形態には、低結晶化度層と高結晶化度層を含み、該高結晶化度層が伸張により塑性変形を受けることのできる製品が含まれる。「伸張」は、高結晶化度層の塑性変形をもたらすために十分な程度まで製品を一軸または二軸延伸することである。塑性変形の程度および製品を塑性変形するために必要とされる伸張の量は、表面粗度および/またはヘイズ値の増加の量を決定することにより容易に決定される。
【0036】
製品中の低および高結晶性ポリマーの合計量は、便宜に異なることがあるが、通常、製品は主として(50重量パーセントを上回って)2種類のポリマーからなる。一実施形態では、製品は少なくとも約75重量パーセントを含むのに対して、もう1つの実施形態では、それは少なくとも約90重量パーセントを含む。本発明の特定の実施形態では、製品は、様々な低レベルの添加剤は除いて、基本的に100重量パーセントの該2種類のポリマーを含む。高結晶性ポリマーは、通常、高結晶性ポリマーおよび低結晶性ポリマーを合わせた重量に対して、約20未満、好ましくは約10未満、より好ましくは約6未満および約2重量パーセント程度で製品中に存在する。高結晶性ポリマーは、通常、高結晶性ポリマーおよび低結晶性ポリマーを合わせた重量に対して、少なくとも約45、好ましくは少なくとも約60、より好ましくは少なくとも約80および約98重量パーセント程度の量で製品中に存在する。
【0037】
予備延伸する以前の製品は、高結晶化度層の影響によって低い弾性およびヒステリシス特性を有する。しかし、製品を高結晶化度層の塑性変形点を越えて伸張することにより、弾性およびヒステリシス特性が改良される、例えば、フィルムを50%歪を超えて予備延伸する効果は、その後の低い永久歪となる(図1〜3参照)。
【0038】
寸法プロフィール(Dimensional profile)(表面粗度)およびヘイズ値の増加は、当業者により製品が塑性変形されているかどうかを決定するために用られ得る。ヘイズ(曇り)はASTM D 1003に従って、ニューヨーク州メルビルのBYK Gardner社から入手できるHazeGard PLUS Hazemeterを光源CIE Illuminant Cとともに用いて測定される。本発明に従う塑性変形されている製品は、約70%よりも大きい、または約80%よりも大きい、または約90%よりも大きいヘイズ値を有し得る。塑性変形された製品は伸張より前の製品と比較してヘイズ値が増加している。理論に制限されるものではないが、このヘイズの変化(増加)は表面粗度の増加に由来すると考えられる。表面粗度は、変形後の示差的な(differential)回復挙動に由来すると考えられる。変形時、高および低結晶化度層は同様に伸張すると考えられるが、開放されると、高低結晶化度層間に示差的な回復挙動が存在する。より高い結晶化度層のより低い回復(より高い硬化)と、より低い結晶化度層の収縮力は、機械的不安定さを生じ、結果として、波打った、微小起伏、微細なテクスチャー加工を施された、またはギザギザのある(crenulated)と説明され得る構造となる。
【0039】
製品の表面粗度は、正確な表面粗度測定の可能な多数の機器により測定することができる。そのような機器の一つは、株式会社東京精密製Surfcom 110Bである。Surfcom機は、サンプルの表面全体にわたって動くダイヤモンド針を含む。サンプルの硬さは、金属からプラスチック、ゴムまで変動し得る。この機器は、針が移動した長さの間の表面の不規則性を記録する。表面粗度は、3つの要因、Ra(pm)−平均線からの押出物表面プロフィールの離脱を表す相加平均;Ry(m)−平均線から最も高いピークの高さと平均線から最も深いくぼみの深さの合計;およびRz(um)−平均線から最も高い5つのピークの高さの平均と平均線から最も深い5つのくぼみの深さの平均である2つの平均値の合計の組合せを用いて定量化される。Ra、RyおよびRz値の組合せがフィルムの表面プロフィールを特徴付ける。伸張されていないフィルムの値を塑性変形されているフィルムの値と比較することにより、フィルム表面の粗度の増加、および従って配向プロセスの有効性を判定することができる。
【0040】
一部の実施形態では、製品は少なくとも1つの方向に、その本来の長さまたは幅の少なくとも約100%まで、または少なくとも約150%まで伸張される。一般に、製品は低結晶化度ポリマーまたは高結晶化度ポリマーのいずれかの融解温度よりも低い温度で伸張される。この「予備延伸する」段階は、当業者に公知の任意の手段により達成される、しかし特に、それらは、リングローリング、MD配向(MDO)、および延伸接着された積層プロセスを含む、MD(機械方向)および/またはCD(横方向)の配向活性化法に特に適している。この延伸は、フィルムがその最終的な使用(例えば、包装または出荷または衛生用途)において再び延伸される可能性があるという関連で、「予備延伸」である。この段階は、本発明の製品に単独で行ってもよいし、積層形態の本発明の製品に行ってもよい。このプロセスはまた、弾性不織布に用いることもできる。
【0041】
通常、製品は任意の加工プロセス、例えば押出被覆、あるいは、そのプロセスとは別の、またはそのプロセスから回収されたキャストフィルムプロセスを用いて形成され、それから予備延伸される。好ましくは、製品は、製品が固化した(より好ましくは、必ずしもそうではないが、結晶化した)後に予備延伸される。より低い結晶化度層の融点またはそれを超えて動作することは、例えばダブルバブル配向(Pahlke)プロセスに典型的であるように、さらに、一般的にそれは所望の構造を作り出さないために、本発明に関して好ましくない。より低い結晶化度層は、予備延伸手順の前にその最大結晶化度に達していることが好ましい。
【0042】
本発明は、積層構造へ集成するより前に弾性フィルムをロール上で保管しなければならないフィルムコンバーターに特に有用である。従来の弾性フィルムに特別な課題はブロッキングである。本発明は、この問題を改善するために役立つ。本発明はまた、変換中に摩擦係数を低下させるため、および、輸送、切断、集成、およびその他の段階中にフィルムの剛性を高めるために有用である。その他の適用としては、弾性のあるおむつのバックシート、女性用衛生フィルム、弾性帯、ガウンの弾性積層品、シートなどが挙げられる。
【0043】
特定の一実施形態では、製品は、伸張より前の低結晶化度層と高結晶化度層の共押出により形成される。製品は、場合により、従来の装置およびプロセスを用いて、機械方向(MD, machine direction)または横方向(TD, transverse direction)あるいは両方の方向に(2軸で)配向されてよい。配向は、下記に説明される伸張段階の前に別個の段階で行ってよい。従って、配向された製品は中間生成物として調製されてよく、それは次に別個の段階で後に伸張される。この実施形態では、配向は、好ましくは、高結晶化度層の最低限の塑性変形が起こるように行われる。あるいは、塑性変形のための配向および伸張を単一段階で行ってもよい。
【0044】
一部の実施形態では、低結晶化度層は高結晶化度層と接触しているか、密接に接触している。用語「接触している」とは、配向および/または伸張後でさえも隣接するポリマー層が離層しないような、例えば適合した結晶化度によりもたらされる十分な界面接着が存在していることを意味する。用語「密接に接触している」とは、1つの層の本質的に全平面が、別の層の平面と接着している関係にあることを意味する。通常、2つの平面は相互に同じ末端を有する(co-terminus)。特定の実施形態では、低結晶化度層は従来材料、例えば接着剤を用いて高結晶化度層に付着される。
【0045】
本発明の特定の実施形態は、一般に図4〜6を参照して記載されている。これらの図の目的は特定の実施形態を例示することだけであり、本発明の範囲を制限する目的のためではない。図において同様の符号は全体にわたって同様の部分を示すために用いられる。
【0046】
図4は、その底面すなわち第2の表面がコア層すなわち内層12の上面すなわち第1の平面と密接に接触している第1のスキン層すなわち外層11を含む、3層フィルム10の概略図である。コア層12の上面と反対側の、コア層12の底面すなわち第2の平面は、第2のスキン層すなわち外層13の上面すなわち第1の平面と密接に接触している。
【0047】
「平面(planar surface)」は、「端面(edge surface)」と区別して用いられている。形状または立体配置が長方形であれば、フィルムは4つの端面(2つの向かい合う端面対、各対はもう一方の対と直角に交差する)で結ばれる向かい合う2つの平面を含む。第1のスキン層の底面はコア層の上面と結合または付着するように構成され、第2のスキン層の上面はコア層の底面と結合または付着するように構成されている。実際には、第1および第2のスキン層は、通常同じ組成であり、それ自体、置き換えが可能である。同様に、スキン層とコア層の両方の上面および底面は機能上本質的に同じであり、そのようなものとして、各層は「反転する」ことができる、すなわち上面が底面として機能することができ、逆も同じである。フィルムはそれ自体どのような大きさおよび形状であってもよく、従って平面および端面は、例えば、薄くても厚くてもよく、多角形または円形などであってよい。通常、フィルムは拡張されたリボンの形である。
【0048】
図5は、5層構成である場合の本発明のフィルムを例示する。この実施形態では、コア層12ならびにスキン層11および13は、スキン層11の上面が第1の外側のスキン層14の底面と密接に接触し、スキン層13の底面が第2の外側のスキン層15の上面と密接に接触していることを除いて、図4に例示されるものと同じ関係のままである。
【0049】
図6は、本発明のもう1つの5層フィルムを例示する。この実施形態では、コア層12および13が内側のスキン層13により隔てられていると同時に、コア層12の上面が外側のスキン層11の底面と密接に接触し、コア層16の底面が外側のスキン層17の上面と密接に接触している。
【0050】
その他のフィルム構成、例えば、4層、6層、7層およびそれより大きいもの(いずれも図示されず)は可能であり、本発明の範囲内に含まれる。本発明の各々のフィルム構成において、各コア層は、スキン層によりその平面が境界されている。
【0051】
本発明のフィルムは従来のプロセスにより調製することができ、通常、従来の押出装置を用いて個々の層を別々に押出し、次に、従来技術および装置を用いて、個々の層のそれぞれの平面を互いに結合または積層することにより、例えば、個々の層を一緒に整列した形で一組のピンチローラーの中を通過して供給することにより形成される。
【0052】
スキン層は、通常、1つのコア層と2つのスキン層からなる3層フィルムの、30重量パーセント(重量%)未満、好ましくは、20重量%未満、より好ましくは、10重量%未満を占める。各スキン層は、通常、厚さおよび重量において他のスキン層と同じであるが、いずれかまたは両方の測定値において1つのスキン層がもう一方とは異なっていてもよい。
【0053】
もう1つの実施形態では、製品は、高結晶化度層がスキン層を形成しているフィルムである。異なる実施形態では、高結晶化度層は、低結晶化度層ともう一つの種類のスキン層、例えば任意の従来のポリマー層などとの中間物である。さらに別の実施形態では、高結晶化度層は低結晶化度層の両面に存在する。この実施形態では、2つの高結晶化度層は、組成において同じであっても異なっていてもよく、厚さにおいて同じであっても異なっていてもよい。さらに別の実施形態では、製品は、順に、高結晶化度層、低結晶化度層、およびさらなる低結晶化度層を含む。この実施形態では、2つの低結晶化度層は、組成において同じであっても異なっていてもよく、厚さにおいて同じであっても異なっていてもよい。製品は所望するだけ多くの層を含むことができる。
【0054】
高結晶化度層あるいは1またはそれ以上の低結晶化度層はまた、スキン層を形成し、基体上で溶融することにより接着するよう構成され得る。高結晶化度および低結晶化度層以外のスキン層も、基体上に溶融接着するように構成され得る。
【0055】
1またはそれ以上の層に加えることのできる非高分子添加剤としては、プロセスオイル、流動性向上剤、難燃剤(fire retardants)、酸化防止剤、可塑剤、色素、加硫または硬化剤、加硫または効果促進剤、硬化遅延剤、加工助剤、難燃剤(flame retardants)、粘着付与樹脂などが挙げられる。これらの化合物には、増量剤および/または強化剤が含まれてよい。これらには、カーボンブラック、粘土、タルク、カルシウムカルボネート、マイカ、シリカ、シリケート、およびこれらの材料の2またはそれ以上の組合せが挙げられる。特性を高めるために用いることのできるその他の添加剤としては、ブロッキング防止剤および着色剤が挙げられる。滑沢剤、離型剤、核剤、強化剤、および増量剤(粒状、繊維状、または粉末様のものを含む)も用いてよい。核剤および増量剤は製品の剛性を改善する傾向がある。上記の例示的リストは、本発明とともに用いられ得る添加剤の様々な種類および型を網羅するものではない。
【0056】
製品の全体的な厚さは特に限定されないが、通常、20ミル未満、多くの場合10ミル未満である。任意の個々の層の厚さは広く変動し得るが、通常、プロセス、用途および経済的考慮点により決定される。
【0057】
特定の実施形態では、高結晶化度層は媒体または高密度ポリエチレンを含み、低結晶化度層はプラストマーを含む。別の特定の実施形態では、高結晶化度層および低結晶化度層は、相対的に高および低結晶化度を有するシンジオタクチックコポリマーを含む。さらに別の特定の実施形態では、高結晶化度層はアイソタクチックポリプロピレンを含み、低結晶化度層は、比較的低レベルのアイソタクチック結晶化度を有するポリプロピレンエラストマーを含む。
【0058】
[低結晶化度層]
低結晶化度層は、示差走査熱量測定(DSC)により検出され得るレベルの結晶化度を有するが、弾性特性を有する。低結晶化度層は、その弾性特性をあまり損なうことなく、高結晶化度層を塑性変形点まで、そしてそれを越えて伸張させることを可能とするのに十分なほど弾性がある。低結晶化度層は低結晶化度ポリマーと、場合により、少なくとも1つのさらなるポリマーを含む。特定の実施形態では、低結晶性層は、その予備延伸された長さまたは幅の50%、100%、150%、300%そして500%まで延伸され得る。
【0059】
[低結晶性ポリマー]
本発明の低結晶性ポリマーは、立体規則性のプロピレン配列によって中程度のレベルの結晶化度を有する軟らかい弾性ポリマーである。低結晶化度ポリマーは、(A)位置反転(regio-inversion)によるなど何らかの様式で立体規則性が乱れているプロピレンホモポリマー、(B)コモノマーによりプロピレンの立体規則性が少なくとも一部分乱れているランダムプロピレンコポリマー;または(C)(A)と(B)のの組合せであり得る。
【0060】
特定の実施形態では、低結晶化度ポリマーは、プロピレンのコポリマーおよびエチレン、C4-12α−オレフィンから選択される1またはそれ以上のコモノマー、および2またはそれ以上のこのようなコモノマーの組合せである。この実施形態の特定の態様では、低結晶化度ポリマーには、1またはそれ以上のコモノマーに由来する単位が、下限の約2%、5%、6%、8%、または10重量%から上限の約28%、25%、または20重量%の範囲の量で含まれる。この実施形態にはまた、下限の約72%、75%、または80重量%から上限の約98%、95%、94%、92%、または90重量%の範囲で存在するプロピレン由来単位も含まれる。これらの百分率は、プロピレン由来およびコモノマー由来単位総重量に基づく、すなわち、100%に等しい、プロピレン由来単位重量パーセントおよびコモノマー由来単位重量パーセントの合計に基づく。
【0061】
本発明の実施形態には、約1ジュール/グラム(J/g)、または3J/g、または5J/g、または10J/g、または15J/g、または20J/gの下限から約125J/g、または100J/g、または75J/g、または57J/g、または50J/g、または47J/g、または37J/g、または30J/gの上限までの範囲の、DSCにより測定される融解熱を有する低結晶化度ポリマーが含まれる。「融解熱」は、次の方法を用いて測定することのできるDSCを用いて測定される。
【0062】
理論に縛られるものではないが、本発明の低結晶性ポリマーの実施形態は、一般にアイソタクチック状に結晶化可能なプロピレン配列を有すると考えられ、上記の融解熱はこれらの結晶質のセグメントの融解に起因すると考えられる。
【0063】
低結晶化度ポリマーの結晶化度はまた、結晶化度パーセントという表現で表され得る。最高位(the highest order)のポリプロピレンのための熱エネルギーは165J/gと考えられる。つまり、100%の結晶化度は165J/gと等しいものと解釈される。そのようなものとして、既に考察した融解熱から、低結晶化度ポリマーは、約35%、または26%、または22%、または17.5%の上限および約2.6%、または4.4%、または6.1%、または7%の下限の範囲内のポリプロピレン結晶化度を有することが示唆される。
【0064】
結晶化度のレベルは融点に反映され得る。「融点」は、既に論じたようにDSCにより測定される。本発明に従う、低結晶化度ポリマーは、1またはそれ以上の融点を有する。通常、ポリプロピレンコポリマーのサンプルは第1ピーク付近の複数の融解ピークを示し、それは一緒に単一の融点とみなされる。これらのピークの最大熱流量は融点と考えられる。低結晶化度ポリマーは、約130℃、または105℃、または90℃、または80℃、または70℃の上限から、約20℃、または25℃、または30℃、または35℃、または40℃または45℃の下限までの範囲のDSCで測定された融点を有してよい。
【0065】
低結晶化度ポリマーは、約10,000〜約5,000,000g/mol、または約20,000〜約1,000,000g/mol、または約80,000〜約500,000g/molの重量平均分子量(Mw)および約1.5または1.8の下限から約40または20または10または5または3の上限の範囲の分子量分布Mw/Mn(MWD)(しばしば「多分散性指数」(PDI)と称される)を有してよい。MwおよびMWDは様々な方法で測定することができ、それにはコゼウィズ(Cozewith)らの米国特許第4,540,753号およびコゼウィズらに引用される参照文献に記載されているもの、またはVerstrate et al., Macromolecules, vol. 21, p. 3360 (1988)に見出される方法が含まれる。
【0066】
本発明の一部の実施形態では、低結晶化度ポリマーは、ムーニー粘度ML(1+4)125℃が約100以下、または75以下、または30以下である。ムーニー粘度は、特に指定のない限り、ASTM D1646に従ってML(1+4)125℃として測定される。
【0067】
本発明の好ましい一実施形態では、プロピレン系エラストマーまたはプラストマーは、少なくとも1つの次の特性:(i)約14.6および約15.7ppmでの位置エラー(regio error)に一致する13C NMRピーク(該ピークはほぼ同じ強度である)、(ii)本質的に同じままであるTmeと、コモノマー(すなわちコポリマー中のエチレンおよび/または不飽和コモノマー類に由来する単位)の量が増加するにつれて低下するTmaxを有するDSC曲線、(iii)コモノマー含量(すなわちプロピレン以外のコモノマーに由来する単位)が少なくとも約3重量%である場合、ケーニッヒの方法(下記に記載)に従って測定された場合約1.03よりも大きいB値、ならびに(iv)約−1.20よりも大きい歪指数、Sixを有することでさらに特徴付けられる。通常、この実施形態のコポリマーは、これらの特性の少なくとも2つ、好ましくは3つ、より好ましくは4つ全てによって特徴付けられる。本発明のもう1つの実施形態では、これらのコポリマーは、さらに、(v)サンプルが除冷された場合に、チーグラー・ナッタ(Z−N)触媒で調製された同程度のコポリマーよりも多くのγ型結晶を報告するX線回折パターンも有することで特徴付けられる。これらの特性の各々およびそれらのそれぞれの測定値は、米国特許第6,943,215号に詳細に記載されているが、本発明の目的のためのB値および13C NMRを下に説明する。
【0068】
[B値]
「高いB値」および同様の用語は、プロピレンとエチレンのコポリマー、またはプロピレン、エチレンおよび少なくとも1つの不飽和コモノマーのコポリマーのエチレン単位がポリマー鎖全体に非無作為(nonrandom manner)に分布していることを意味する。B値は0〜2の範囲である。B値が高いほど、コポリマー中のコモノマー分布がより多く交互になる。B値が低いほど、コポリマー中のコモノマー分布がより多く塊状またはクラスター状となる。非メタロセン型の、金属を中心とする、ヘテロアリールリガンド触媒、例えば米国特許第6,960,635号に記載されるものなどを用いて作成された、ポリマーの高いB値は、通常、ケーニッヒの方法(Spectroscopy of Polymers American Chemical Society, Washington, DC, 1992)に従って測定すると、少なくとも約1.03、好ましくは少なくとも約1.04、より好ましくは少なくとも約1.05、さらに場合によっては少なくとも約1.06である。これは、通常メタロセン触媒で作成されるプロピレン系コポリマーによって大きく異なり、それは一般に1.00未満、通常0.95未満のB値を示す。B値を算出する方法はいくつかあるが、下に記載される方法は、B値が1である場合に完全にランダムなコモノマー単位の分布を表す、ケーニッヒ、J.L.の方法を用いている。ケーニッヒに記載されるB値は、以下の通り算出される。
【0069】
Bは、プロピレン/エチレンコポリマーについて、
【数1】

(この式で、f(EP+PE)は、EPとPEのダイアッド分率(diad fractions)の合計に等しく;FeおよびFpは、それぞれコポリマー中のエチレンとプロピレンのモル分率に等しい)として定義される。このダイアッド分率は、f(EP+PE)=[EPE]+[EPP+PPE]/2+[PEP]+[EEP+PEE]/2によるトリアッド(triad)データから導くことができる。B値は、その他のコポリマーについてそれぞれのコポリマーダイアッドを代入することにより、類似の様式で算出することができる。例えば、プロピレン/1−オクテンコポリマーについてのB値の算出は以下の方程式を用いる。
【数2】

【0070】
メタロセン触媒を用いて作成されたプロピレンポリマーに関して、B値は通常0.8と0.95の間である。対照的に、活性化された非メタロセン型の、金属を中心とする、ヘテロアリールリガンド触媒(下記に記載されるもの)で作成されたプロピレンポリマーのB値は、約1.03を上回り、通常約1.04と約1.08の間である。次に、このことは、そのような非メタロセン型の金属を中心とするヘテロアリール触媒を用いて作成された任意のプロピレン−エチレンコポリマーについて、プロピレンのブロック長さが所与の百分率のエチレンについて比較的短いだけでなく、ごくわずかではあるが、存在する場合、ポリマーのエチレン含量が非常に高い場合を除いて、3またはそれ以上の逐次的なエチレン挿入からなる長い配列がコポリマーに存在することを意味する。下表のデータが説明となる。下表Aのデータは、カオらの米国特許第5,977,251号に記載されるプロセスに類似の溶液ループ重合プロセスで、一般に米国特許第6,960,635号に記載されるような活性化された非メタロセン型の、金属を中心とする、ヘテロアリールリガンド触媒を用いて作成された。興味深いことに、非メタロセン型の、金属を中心とする、ヘテロアリールリガンド触媒を用いて作成されたプロピレンポリマーのB値は、比較的大量の、例えば、30モル%より多くのエチレンを含むポリマーに関してさえも高いままである。
【0071】
13C NMR]
本発明での使用に適したプロピレンエチレンコポリマーは、通常、実質的にアイソタクチックなプロピレン配列を有する。「実質的にアイソタクチックなプロピレン配列」および同様の用語は、配列が、約0.85より大きい、好ましくは約0.90より大きい、より好ましくは約0.92より大きい、および最も好ましくは約0.93よりも大きい13C NMRにより測定されたアイソタクチックトリアッド(mm)を有することを意味する。アイソタクチックトリアッドは当分野で周知であり、例えば、13C NMRスペクトルにより測定されるコポリマー分子鎖中のトリアッド単位に関してアイソタクチック配列に言及している米国特許第5,504,172号およびWO 00/01745号に記載されている。13C NMRスペクトルは、次のように測定される。
【0072】
13C NMR分光分析法は、コモノマーのポリマーへの組み込みを測定するための当分野で公知の多数の技術のうちの1つである。この技術の一例は、エチレン/α−オレフィンコポリマーのコモノマー含量の決定について、ランドール(Journal of Macromolecular Science, Reviews in Macromolecular Chemistry and Physics, C29 (2 & 3), 201-317 (1989))に記載されている。オレフィンインターポリマーのコモノマー含量を決定するための基本手順は、サンプル中の異なる炭素に対応するピークの強度が、そのサンプルにおいて寄与している核の総数に正比例する条件下で13C NMRスペクトルを得ることを必要とする。この比例関係を確実にする方法は、当分野で公知であり、パルス後の十分な緩和時間の許容、ゲーテッドデカップリング法の使用、緩和剤などが含まれる。ピークまたはピーク群の相対強度は、実際にはそのコンピュータにより生成された積分から得られる。スペクトルを得、ピークを積分した後、コモノマーに関連するピークを割り当てる。この割り当ては、公知スペクトルまたは文献を参照して、またはモデル化合物の合成および分析により、または同位体標識コモノマーの使用により行うことができる。コモノマーのモル%は、例えばランドールに記載されるように、コモノマーのモル数に対応する積分値の、そのインターポリマー中のすべてのモノマーのモル数に対応する積分値に対する比によって決定することができる。
【0073】
100.4MHzの13C共鳴振動数に対応するデータは、Varian UNITY Plus 400MHz NMRスペクトロメータを用いて収集される。獲得パラメータを選択して、緩和剤の存在下で定量的13Cデータを確実に獲得する。データは、ゲーテッド1Hデカップリング、データファイル当たり4000のトランジエント、7秒のパルスの繰り返し時間遅延、24,200Hzのスペクトル幅および32Kデータ点のファイルサイズを用いて、プローブヘッドを130℃に加熱して獲得する。サンプルは、クロムアセチルアセトナート(緩和剤)中0.025Mであるテトラクロロエタン−d2/オルトジクロロベンゼンの約3mLの50/50混合物を、10mm NMR管の中の0.4gのサンプルに添加することにより調製される。管の上部空間を酸素でパージして純粋な窒素で置換する。ヒートガンにより周期的還流を開始して、管およびその内容物を150℃に加熱することによりサンプルを溶解し、均質化する。
【0074】
データ収集の後、21.90ppmのmmmmペンタッド(pentad)に対する化学シフトを内部基準とする。トリアッド(22.5〜21.28ppm)、mrトリアッド(21.28〜20.40ppm)、およびrrトリアッド(20.67〜19.4ppm)を表すメチル積分からトリアッドレベル(mm)のアイソタクチシティが決定される。mmタクチシティの百分率は、mmトリアッドの強度をmm、mr、およびrrトリアッドの合計で割ることにより決定される。触媒系、例えば非メタロセン型の、金属を中心とする、ヘテロアリールリガンド触媒(上記)などを用いて作成されたプロピレン−エチレンコポリマーについては、PPQおよびPPEから寄与を引くことにより、mr領域がエチレンおよび位置エラーについて補正される。プロピレン−エチレンコポリマーについては、PQEおよびEPEから寄与を引くことにより、rr領域がエチレンおよび位置エラーについて補正される。mm、mrおよびrrの領域にピークを生じるその他のモノマーを有するコポリマーについては、ピークが同定された時点で、標準的なNMR法を用いてその干渉ピークを引くことにより、これらの領域の積分を同様に補正する。これは、例えば、一連のコポリマーの様々なレベルのモノマー組み込みを分析することにより、文献指定により、同位体標識により、または当分野で公知の他の手段により達成することができる。
【0075】
非メタロセン型の、金属を中心とする、ヘテロアリールリガンド触媒、例えば米国特許第6,960,635号に記載のものを用いて作成されたコポリマーについて、約14.6および約15.7ppmの位置エラーに対応する13C NMRピークは、成長ポリマー鎖へのプロピレン単位の位置選択的な2,1−挿入エラーの結果であると考えられる。一般に、所与のコモノマー含量に関して、より高いレベルの位置エラーはポリマーの融点および弾性率の低下をもたらし、同時により低いレベルの位置エラーはポリマーの高い融点および高い弾性率をもたらす。
【0076】
[ケーニッヒ、J.L.に従うB値の算出のためのマトリックス法]
プロピレン/エチレンコポリマーについて、以下の手順を用いてコモノマー組成および配列分布を決定することができる。積分面積を、13C NMRスペクトルから決定し、マトリックス計算に入力して各トリアッド配列のモル分率を決定する。次に、マトリックス割り当てを積分値とともに用いて各トリアッドのモル分率を得る。マトリックス計算は、2,1位置エラーについてさらなるピークおよび配列を含むように修正した、ランドールの方法(Journal of Macromolecular Chemistry and Physics, Reviews in Macromolecular Chemistry and Physics, C29 (2&3), 201-317 (1989))の線形最小二乗の実施である。表Aは、積分領域および割り当てマトリックスで用いたトリアッド記号を示す。各炭素に使われている数字は、スペクトルのどの領域で共鳴するかを示している。
【0077】
数学的には、マトリックス法は、ベクトル方程式 s=fM(式中、Mは、割り当てマトリックスであり、sは、スペクトルの列ベクトルであり、fは、モル分率組成ベクトルである)である。マトリックス法の実施の成功には、得られる方程式(変数と同じか、変数より多くの独立した方程式)を決定または重複決定し、その方程式の解が、所望の構造情報を算出するために必要な分子情報を含むように、M、fおよびsを定義する必要がある。マトリックス法の第1段階は、組成ベクトルfの要素の決定である。このベクトルの要素は、調査される系についての構造情報をもたらすように選択された分子パラメータであるべきである。コポリマーについて、妥当なパラメータのセットは任意の奇数n−ad分布である。通常、個々のトリアッドからのピークは無理なく十分に分割されて容易に割り当てられる、従ってトリアッド分布がこの組成ベクトルfにおいて最も多く用いられる。E/Pコポリマーのトリアッドは、EEE、EEP、PEE、PEP、PPP、PPE、EPP、およびEPEである。妥当な高分子量(10,000g/mol以上)のポリマー鎖については、13C NMR実験はEEPとPEEを、またはPPEとEPPを区別することができない。全てのマルコフE/Pコポリマーは、互いに等しいPEEおよびEPPのモル分率を有するため、同様に等式制約(equality restriction)を実行のために選択した。PPEおよびEPPについて同じ処理を行った。上記の2つの等式制約は、8つのトリアッドを6つの独立した変数に換算する。明確にするために、組成物ベクトルfを今まで通り8つ全てのトリアッドで表す。等式制約は、マトリックスを解いた時に内部制約として実行される。マトリックス法の第2段階は、スペクトルベクトルsを定義することである。通常、このベクトルの要素は、スペクトルにおいて明確に定義された積分領域である。所定の系を保障するために、積分値の数は、独立変数の数と同程度に大きい必要がある。第3段階は、割り当てマトリックスMを決定することである。このマトリックスは、各積分領域(列)のに向かう各トリアッド(行)における中心モノマー単位の炭素の寄与を見出すことにより構築される。どの炭素が中心単位に属するかを決定する際、ポリマー生長反応方向に関して矛盾がないことが要求される。この割り当てマトリックスの有用な特性は、各列の合計が、その列の寄与因子であるトリアッドの中心単位の炭素の数と等しくなければならないことである。この等式は、容易にチェックすることができ、従って、一部の共通データの入力ミスを防止する。
【0078】
割り当てマトリックスを構築した後、冗長検査(redundancy check)を行う必要がある。言い換えると、一次独立行の数を、積ベクトルにおける独立変数の数より大きくするか等しくする必要がある。マトリックスが冗長試験で不合格になった場合には、第2段階に戻り、積分領域を再分割し、その後、冗長試験に合格するまで割り当てマトリックスを再定義する必要がある。
【0079】
一般に、マトリックスMにおいて、行の数にさらなる制約もしくは拘束の数を加えた数が、列の数よりも多い場合、その系は重複決定される。この差が大きいほど、多くの系が重複決定される。重複決定される系が多いほど、多くのマトリックス法が、低い信号対雑音(S/N)比データの組込み、または何らかの共鳴の部分飽和から生じ得る矛盾したデータを修正または同定することができる。
【0080】
最終段階は、マトリックスを解く段階である。これは、Microsoft ExcelにおいてSolver機能を用いることにより容易に達成される。Solverは、最初に解ベクトル(異なるトリアッドの間のモル比)を推測し、次に算出された積ベクトルと入力した積ベクトルsの差の合計を最小にするように反復して推測することによって働く。Solverはまた、制約または拘束を明快に入力することもできる。
【0081】
異なる積分領域に向かう各トリアッドの中心単位に対する各炭素の寄与(P=プロピレン、E=エチレン、およびQ=2,1挿入プロピレン)を次の表に報告する。
【表1】



【0082】
化学シフト範囲
【数3】

1,2挿入プロピレン組成は、すべての立体規則性プロピレン中心のトリアッド配列モル分率を合計することによって算出される。2,1挿入プロピレン組成(Q)は、すべてのQ中心のトリアッド配列モル分率を合計することよって算出される。モルパーセントは、モル分率に100を掛けることによって算出される。C2組成は、PおよびQモル百分率値を100から引くことによって決定される。
【0083】
歪み指数(skewness index)は、昇温溶出分別法(TREF)から得られたデータから算出される。データは、重量分率の正規化プロットとして、溶出温度の関数として表す。分離機構は、結晶性成分(エチレン)のモル含量が溶出温度を決定する主要因であるエチレンのコポリマーのものに類似している。プロピレンのコポリマーの場合、主に溶離温度を決定するものは、アイソタクチックプロピレン単位のモル含量である。
【0084】
メタロセン曲線の形状は、コモノマーの特有のランダムな組み込みから生じる。この曲線の形状の顕著な特徴は、高い溶出温度での曲線の鋭さまたは急勾配と比較して、低い溶出温度でのテーリングである。この種類の非対称を反映する統計値は、歪度である。方程式1は、この非対称の1つの指標として、歪指数、Sixを数学的に表す。
【数4】

値、Tmaxは、TREF曲線の50℃から90℃の間で溶出する最大重量分率の温度と定義される。Tiおよびwiは、それぞれ、TREF分布における任意のi番目の画分の溶出温度および重量分率である。30℃より上で溶出する曲線の全面積に関して分布を正規化した(wiの合計は100%に等しい)。従って、この指数は、結晶化したポリマーの形状のみを反映している。結晶化していないポリマー(30℃またはそれ未満でなお溶液状態のポリマー)は、方程式1に示した算出から省いた。
【0085】
本発明のコポリマーのいくつかは、本質的に同じままであるTme、ならびにそのコポリマー中の不飽和コモノマー量が増加するにつれて低下するTmaxを有するDSC曲線を特徴とする。Tmeは、融解が終了する温度を意味する。Tmaxは、ピーク融解温度を意味する。
【0086】
一実施形態では、低結晶化度ポリマーには、ポリマーブレンド組成物の加硫およびその他の化学修飾を助けるために非共役ジエンモノマーがさらに含まれる。この実施形態の特定の態様では、ジエンの量は、約10重量パーセント(重量%)未満、または約5重量%未満であってよい。ジエンは、エチレン/プロピレンゴムの加硫に慣用される任意の非共役ジエンであってよく、それには、限定されるものではないが、エチリデンノルボルネン、ビニルノルボルネン、またはジシクロペンタジエンが含まれる。
【0087】
低結晶化度ポリマーは、支持体上での不均一系重合、例えばスラリーもしくは気相重合において、あるいは、主にモノマーを含む媒体中、または溶媒をモノマーの希釈剤として含む溶液中でのバルク重合における均一条件下で、所望のポリマー特性をもたらす任意のプロセスにより製造されてよい。工業用途には、連続重合プロセスが好ましい。均一なポリマーのためには、重合プロセスは、よく混合された連続供給重合反応器で行う1段階式の定常重合であることが好ましい。重合は溶液中で行ってよいが、1段階式重合および連続供給反応器の要件を満たす、気相もしくはスラリー重合などのその他の重合手順が企図される。
【0088】
WO 02/34795号に記載される連続溶液重合は、低結晶化度ポリマーを作成することができ、それは場合により単一の反応器中で、アルカン溶媒からの液相分離により回収される。
【0089】
本発明の低結晶化度ポリマーはまた、活性剤および所望によりスカベンジャーとともにキラルメタロセン触媒の存在下で製造することができる。シングルサイト触媒の使用は、低結晶化度ポリマーの均一性を高めるために用いてよい。制限されたタクチシティのみを必要とするため、多くの異なる形態のシングルサイト触媒を用いることができる。可能なシングルサイト触媒はメタロセン、例えば米国特許第5,026,798号に記載されるものであり、該メタロセンは単一のシクロペンタジエニル環(場合により、置換されている、かつ/または多環構造の一部を形成している)、およびヘテロ原子(一般に窒素原子であるが場合によりリン原子または第4族遷移金属、例えばチタン、ジルコニウム、またはハフニウムなどと結合したフェノキシ基も同様に)を有する。さらなる例は、最大400万のMnを含む弾性ポリプロピレンを製造するために用いられる、B(CF)3で活性化されたMeSCpTiMe3である。サスマンシャウゼン、ボフマン、ロッシュ、リルグ、J. Organomet Chem. (1997), vol 548, pp. 23-28参照。
【0090】
その他の可能なシングルサイト触媒は、族遷移金属、例えばハフニウムまたはジルコニウムなどを有するビスシクロペンタジエニル誘導体である、メタロセンである。このようなメタロセンは、米国特許第4,522,982号または同第5,747,621号のように架橋されていなくてよい。メタロセンは、架橋されていないビス(2−フェニルインデニル)ジルコニウムジクロライドを用いて79℃を上回る融点を有する均一なポリマーを製造する、米国特許第5,969,070号のもののようなプロピレン由来単位を主に含む低結晶化度ポリマーを製造するために適合させてもよい。シクロペンタジエニル環は、上記特許に記載されるように置換されている、かつ/または多環系の一部であってよい。
【0091】
他の可能なメタロセンには、2つの残りの価を占有する基の選択とともに、2つのシクロペンタジエニルが、架橋、一般にケイ素または炭素原子などの単一の原子架橋によって結合しているものが含まれる。このようなメタロセンは、ビス(インデニル)ビス(ジメチルシリル)ジルコニウムジクロライドおよびメチルアルミノキサン(MAO)を開示する米国特許第6,048,950号;ジメチルシリル架橋ビスインデニルハフニウムジメチルを非配位陰イオン活性化剤と一緒に開示するWO 98/27154号;ポリマーに弾性特性をもたらすために2つのシクロペンタジエニルリガンド間の非対称の要素を有する、架橋ビスシクロペンタジエニル触媒を開示するEP1070087号に記載され;さらに該メタロセンは米国特許第6,448,358号および同第6,265,212号に記載されている。
【0092】
シングルサイト触媒を用いる実施形態において、シングルサイト触媒の活性化の様式は便宜に様々であり得る。アルモキサン、例えばメチルアルモキサンを用いてよい。EP277004号、EP426637号、およびその他多くの公開特許分野に豊富に記載されているいずれかの方法で得、生成された非配位または弱配位陰イオン活性化剤(NCA)を用いてより高い分子量を得ることができる。活性化は、一般に、メチル基などの陰イオン性基の引き抜きを伴ってメタロセン陽イオンを形成すると考えられるが、一部の文献によれば双性イオンも生成され得る。NCA前駆体は、前駆体陽イオンが活性化によって何らかの形で排除されている、ホウ酸塩またはアルミン酸塩のイオン対であってよく、例えばテトラキスペンタフルオロフェニルホウ素のトリチルまたはアンモニウム誘導体(EP277004号参照)である。NCA前駆体はボランなどの中性化合物であってよく、それはメタロセンから引き抜かれた陰イオン基の引き抜きおよび組み込みにより陽イオン内に形成される(EP426638を参照)。
【0093】
特定の実施形態では、低結晶化度ポリマーは、詳細に「第2のポリマー成分(SPC)」としてWO 00/69963号、WO 00/01766号、WO 99/07788号、WO 02/083753号に記載され、さらに詳細に「プロピレンオレフィンコポリマー」としてWO 00/01745号に記載されている。
【0094】
フーリエ変換赤外分光分析法(FTIR)は、不連続の分子量範囲のコモノマー含量を、GPCにより回収されたサンプルと併せて測定することができる。このような方法の一つが、Wheeler and Willis, Applied Spectroscopy, (1993), vol. 47, pp. 1128-1130に記載されている。異なった同様の方法はこの目的において等しく機能し、当業者に周知である。ポリマーのコモノマー含量および配列分布は13CNMRにより測定することができる。
【0095】
一部の実施形態では、低結晶化度ポリマーは製品中に、製品の総重量に基づく重量で下限の約5%、または10%、または20%、または30%または60%または70%または75%から上限の約98%、または90%、または85%、または80%までの量で存在する。製品の残りには、上記のように、高結晶化度ポリマー、任意選択のさらなるポリマー、および様々な添加剤が含まれる。
【0096】
[さらなる(追加の)ポリマー]
一部の実施形態では、低結晶化度層は、場合により、1またはそれ以上のさらなるポリマーを含む。該任意選択のさらなるポリマーは、高結晶化度層の高結晶化度ポリマーと同じであっても異なっていてもよい。特定の実施形態では、さらなるポリマーは、低結晶化度ポリマーおよび高結晶化度ポリマーの結晶化度の間の結晶化度を有する。
【0097】
特定の実施形態では、低結晶化度層は、上記の低結晶化度ポリマーを含む連続相、および比較的結晶性の高いさらなるポリマーを含む分散相を含むブレンドである。少量のさらなるポリマーは、連続相中に存在していてよい。この実施形態の特定の態様では、分散相は、直径50ミクロン未満の個々のドメインから構成されている。一部の実施形態では、分散相のこれらの個々のドメインは、架橋結合していない場合でさえ、処理中に維持され得る。
【0098】
一実施形態では、さらなるポリマーは、エチレンのプロピレンコポリマー、C4−C20α−オレフィン、またはその組合せであり、さらなるポリマー中に存在するエチレンおよび/またはC4−C20α−オレフィン(類)の量は、低結晶化度ポリマー中に存在するエチレンおよび/またはC4−C20α−オレフィン(類)の量よりも少ない。特定の実施形態では、低結晶化度ポリマーおよびさらなるポリマーは、同じ立体規則性のポリプロピレン配列を有する。限定されない一例では、低結晶化度ポリマーおよびさらなるポリマーには、アイソタクチックポリプロピレンセグメントを含み、50%を上回る隣接するポリプロピレンセグメントがアイソタクチックである。
【0099】
一実施形態では、低結晶化度層は、ブレンドの総重量に基づいて、約2%〜約95重量%のさらなるポリマー、および約5%〜約98重量%の低結晶化度ポリマーを含むブレンドであり、さらなるポリマーは、該低結晶化度ポリマーよりも結晶質である。本実施形態の特定の態様では、さらなるポリマーは、ブレンドの総重量に基づいて、下限の約2%または5%から上限の約30%または20%または15重量%の量でブレンド中に存在する。本実施形態のもう一つ特定の態様では、さらなるポリマーはアイソタクチックポリプロピレンであり、融点は約110℃よりも高く、低結晶化度ポリマーは、キラルメタロセン触媒系を用いてプロピレンおよびエチレンまたは炭素原子が6個未満のα-オレフィンのうちの少なくとも1つを共重合させることにより生成されるランダムコポリマーである。また、本実施形態では、低結晶化度ポリマーは、アイソタクチックポリプロピレン配列由来の約2%〜約50%の結晶化度、約75%〜約90重量%のプロピレン含量、および約25℃〜約105℃の融点を有する。
【0100】
低結晶化度層のブレンドは、アイソタクチックポリプロピレン、ならびにプロピレンおよびエチレンのコポリマーとのブレンドからなることが多く、顕著な分散相または連続相を含まない単一な相のみを有する、一般に入手可能なリアクタ生成物と区別することができる。本ブレンドはまた、第2のポリマーと組み合わせた場合にヘテロ相の形態を有する、キラルメタロセン触媒により生成される、インパクトコポリマー類、熱可塑性オレフィン類、および熱可塑性エラストマー類と区別することができる。
【0101】
通常、それらの材料において、より結晶質のポリマーは連続相の一部分であり、分散相ではない。本ブレンドはまた、低結晶化度連続相および高結晶化度分散相の間の形態を得るため、および保持するために予め形成された、またはインサイチューで形成された相溶化剤を加える必要がないという点で、他の多相ブレンド組成物と区別することができる。
【0102】
[高結晶化度層]
高結晶化度層は、伸張時に生成およびプラスチックの変形を可能にするに十分な結晶化度レベルを有する。高結晶化度層は、顕微鏡により検出することができるように、機械方向、交差(横)方向もしくは斜め方向のみ、またはこれらの方向の2またはそれ以上に配向させることができる。配向は、その結果として高結晶化度層の壊れやすさをもたらし得る。
【0103】
[高結晶化度ポリマー]
高結晶化度層には、高結晶化度ポリマーが含まれる。本発明の高結晶化度ポリマーは、ポリマー成分として定義され、それには、エチレンもしくはプロピレンのホモポリマーまたはコポリマー、または挿入重合可能で、直鎖、分枝鎖、または環を含有するC3−C30オレフィン類を含む微量のオレフィンモノマーを有し、12個またはそれ以下の炭素原子を有するα−オレフィン、あるいはこのようなオレフィン類の組合せを含むブレンドが含まれる。一実施形態では、高結晶化度ポリマーの総重量に基づいて、コポリマー中のα−オレフィンの量の上の範囲は約9重量%、または8重量%、または6重量%、および下の範囲は約2重量%である。
【0104】
微量オレフィンモノマーの例としては、限定されるものではないが、C2−C20直鎖または分枝α−オレフィン類、例えばエチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、および3,5,5−トリメチル−1−ヘキセン、ならびに炭素原子30個までを含有する環含有オレフィンモノマー類、例えばシクロペンテン、ビニルシクロヘキサン、ビニルシクロヘキセン、ノルボルネン、およびメチルノルボルネンが挙げられる。
【0105】
適した芳香族基含有モノマー類は、30個までの炭素原子を含有する、少なくとも1つの芳香族構造、例えば、フェニル、インデニル、フルオレニル、またはナフチル部分を含み得る。芳香族基含有モノマーはさらに、少なくとも1つの重合可能な二重結合を、重合後に芳香族構造がポリマー主鎖から吊り下がるように含む。芳香族基含有モノマーの重合可能なオレフィン部分は、直鎖、分枝、環含有、またはこれらの構造のブレンドであり得る。重合可能なオレフィン部分が環状構造を含有する場合、該環状構造および芳香族構造は、0個、1個、または2個の炭素を共有することができる。重合可能なオレフィン部分および/または芳香族基はまた、1個から全部の水素原子を、1〜4個の炭素原子を含有する直鎖または分枝鎖アルキル基と置換することもできる。芳香族モノマーの例としては、限定されるものではないが、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルナフタレン、アリルベンゼン、およびインデン、特に、スチレンおよびアリルベンゼンが挙げられる。
【0106】
一実施形態では、高結晶化度ポリマーは、ポリプロピレンとアイソタクチックプロピレン配列またはこのような配列の混合とのホモポリマーまたはコポリマーである。使用するポリプロピレンの形態は、変化に富んでいてよい。プロピレン成分は、ホモポリマーポリプロピレン、および/またはランダム、および/またはブロックコポリマー類の組合せであってよい。特定の実施形態では、高結晶化度ポリマーは、プロピレン、ならびにエチレンおよびC4−C12α−オレフィン類から選択される1またはそれ以上のコモノマーのコポリマーである。本実施形態の特定の態様では、該コモノマーは、コポリマーの総重量に基づいて約9重量%、または約2%〜約8重量%、または約2%〜約6重量%の量でコポリマー中に存在する。
【0107】
もう1つの実施形態では、高結晶化度ポリマーは、ホモポリマー、またはエチレンおよびC3−C20α−オレフィン類から選択される1またはそれ以上のコモノマーのコポリマーである。本実施形態の特定の態様では、該コモノマーはコポリマーの総重量に基づいて、約2重量%〜約25重量%の量でコポリマー中に存在する。
【0108】
本発明のある実施形態では、高結晶化度ポリマーの重量平均分子量(Mw)は、約10,000〜5,000,000g/mol、または約20,000〜1,000,000g/mol、または約80,000〜500,000g/molであり、分子量分布Mw/Mn(しばしば「多分散性指数」(PDI)と称される)は、下限の約15〜1.8から上限の約40または20または10または5または3までの範囲である。
【0109】
一実施形態では、高結晶化度ポリマーはメタロセン触媒作用を用いて生成され、狭い分子量分布を示し、これは重量平均分子量の数平均分子量に対する比が約4に等しいかまたはそれ未満、最も典型的には約1.7〜4.0、好ましくは、約1.8〜2.8であることを意味する。
【0110】
もう1つの実施形態では、高結晶化度ポリマーは、シングルサイト触媒(本実施形態において、用語「シングルサイト」とは、非メタロセンシングルサイト触媒を含む)を用いて生成され、狭い分子量分布を示す。このことは重量平均分子量の数平均分子量に対する比が約4に等しいかまたはそれ未満、最も典型的には約1.7〜4.0、好ましくは、約1.8〜2.8であることを意味する。
【0111】
もう1つの実施形態では、高結晶化度ポリマーは、チーグラー・ナッタまたはクロム触媒を用いて生成され、中程度から広範な分子量分布を示す。このことは重量平均分子量の数平均分子量に対する比が約60に等しいかまたはそれ未満、より典型的には約3.5〜50、好ましくは、約3.5〜20であることを意味する。
【0112】
本発明の高結晶化度ポリマーは、場合により、長鎖分枝を含有してもよい。これらは、場合により、1またはそれ以上のα、ω−ジエン類を用いて作製できる。あるいは、高結晶化度ポリマーは少量の少なくとも1種類のジエンを含有してよく、好ましくは、該ジエンの少なくとも1つは、加硫または他の化学修飾を支援するための非共役ジエンである。ジエンの量は、好ましくは、約10重量%以下、より好ましくは、約5重量%以下である。好ましいジエンは、エチレン/プロピレンゴムの加硫に使用されるものであり、限定されるものではないが、エチリデンノルボルネン、ビニルノルボルネン、ジシクロペンタジエン、および1,4−ヘキサジエンが含まれる。
【0113】
本発明の実施形態は、DSCにより測定される融解熱が下限の約60J/g、または80J/gである高結晶化度ポリマーを含む。一実施形態では、高結晶化度ポリマーは、低結晶化度ポリマーの融解熱よりも高い融解熱を有する。
【0114】
本発明の実施形態は、100℃、または110℃、または115℃、または120℃、または130℃の下限の融点を有する高結晶化度ポリマーを含む。
【0115】
一実施形態では、高結晶化度ポリマーの結晶化度は、低結晶化度ポリマーよりも高い。この結晶化度は、ポリマー成分の融解熱に基づいて決定することができる。一実施形態では、低結晶化度ポリマーの融点は、高結晶化度ポリマーの融点よりも低く、およびさらなるポリマーは、使用される場合、低結晶化度ポリマーの融点と高結晶化度ポリマーの融点の中間の融点を有する。もう1つの実施形態では、低結晶化度ポリマーの融解熱は、高結晶化度ポリマーの融解熱よりも低く、およびさらなるポリマーは、使用される場合、低結晶化度ポリマーと高結晶化度ポリマーの融解熱の中間の融解熱を有する。
【0116】
[適合する結晶化度]
一部の実施形態では、低結晶化度ポリマーおよび高結晶化度ポリマーは適合する結晶化度を有する。適合する結晶化度は、同じ結晶化型を有する、すなわち同じ結晶化可能配列(例えば、エチレン配列、もしくはプロピレン配列など)、または同じ立体規則性配列、すなわちアイソタクチックもしくはシンジオタクチックなどに基づく、高結晶化度層および低結晶化度層のためのポリマーを用いることにより得ることができる。例えば、適合する結晶化度は、エチレン由来の単位の組み込みにより得られるように、両方の層に十分な長さのメチレン配列を供給することにより得ることができる。
【0117】
適合する結晶化度はまた、ポリマーを立体規則性α−オレフィン配列と共に用いることにより得ることができる。これは、例えば、シンジオタクチック配列またはアイソタクチック配列のいずれかを両方の層に供給することにより得ることができる。
【0118】
一実施形態では、高結晶化度ポリマーおよび低結晶化度ポリマーは両方とも、その中にブレンドされている何らかのものも含み、実質的にアイソタクチックなポリプロピレン配列を含有する。もう1つの実施形態では、高結晶化度ポリマーおよび低結晶化度ポリマーは両方とも、その中にブレンドされている何らかのものも含み、実質的にシンジオタクチックなポリプロピレン配列を含有する。
【0119】
本発明の目的において、アイソタクチックとは、骨格構造の一部分ではない原子群を有する隣接するモノマーの50%超が、すべて一平面に存在する骨格鎖中において、すべて該原子の上側、またはすべて該原子の下側に位置しているポリマー配列を指す。
【0120】
本発明の目的において、シンジオタクチックとは、骨格構造の一部分ではない原子群を有する隣接するモノマーの50%超が、すべて一平面に存在する骨格鎖中において、該原子の上側および下側に対称的に位置しているポリマー配列を指す。
【0121】
[製品の用途]
本発明の製品は、様々な用途に用いることができる。一実施形態では、製品は、少なくとも2つの層を有するフィルムであり、おむつのバックシート、および類似の吸収性衣料品、例えば失禁用衣料品において使用されてよい。他の実施形態では、製品は織物または繊維の形態である。織物は織布または不織布であってよい。繊維は任意のサイズまたは形であってよく、均質または不均質であってよい。不均質である場合、2成分または2構成要素のいずれかであってよい。
【0122】
本発明のフィルムのコア層または層は、低結晶質のプロピレンコポリマーを含む。本発明のフィルムが2またはそれ以上のコア層を含む場合、各コア層の組成は、他のコア層の組成と同じであっても異なっていてもよい。
【0123】
本発明のフィルムのスキン層は、高結晶質の、好ましくは、非粘着性のポリオレフィンホモポリマーまたはコポリマーを含む。「非粘着性」および同様の用語は、接触に対して粘着性を示さないことを意味する。各スキン層の組成は、他のスキン層の組成と同じであっても異なっていてもよい。
【0124】
コア層およびスキン層の特定の組合せは、コアポリマーの融点が、最も融点の低いスキンポリマーの融点より約24℃を超えて高くないことを確実にするように選択される。
【0125】
特定の実施形態
[測定方法]
密度法:
クーポンサンプル(1インチ×1インチ×0.125インチ)を、ASTM D4703−00に従って190℃にて圧縮成形し、手順Bを用いて冷却した。サンプルが40〜50℃に冷却されるとすぐにそれを取り出した。サンプルが23℃に達するとすぐに、その乾燥重量およびイソプロパノール中の重量を、Ohaus AP210天秤(Ohaus Corporation、Pine Brook NJ)を用いて測定した。密度はASTM D792の手順Bに規定されているように計算した。
【0126】
DSC法:
示差走査熱量測定(DSC)は、半結晶質ポリマーの融解および結晶化を試験するために用いることのできる一般的な技法である。DSC測定の一般的原理および半結晶質ポリマーを試験するためのDSCの適用は、標準的なテキストに記載されている(例えば、E.A. Turi, ed., Thermal Characterization of Polymeric Materials,Academic Press,1981)。本発明の実施に際して使用された特定のコポリマーは、本質的に同じままであるTme、ならびにそのコポリマー中の不飽和コモノマー量が増加するにつれて低下するTmaxを有するDSC曲線により特徴付けられる。Tmeは、融解が終了する温度を意味する。Tmaxは、融解温度のピークを意味する。
【0127】
示差走査熱量測定(DSC)分析は、TA Instruments社製のモデルQ1000 DSCを用いて測定する。DSCの較正は、以下のように行う。第一に、アルミニウムDSCパン中にサンプルを入れずにDSCを−90℃〜290℃で行うことにより、ベースラインを得る。次に、7mgの新しいインジウムサンプルを、サンプルを180℃に加熱し、サンプルを冷却速度10℃/分で140℃まで冷却し、続いて該サンプルを等温的に1分間140℃に保ち、その後加温速度10℃/分で140℃から180℃に該サンプルを加熱することにより分析する。融解熱およびインジウムサンプルの融解の開始は、融解の開始に関しては156.6℃から0.5℃以内、および融解熱に関しては28.71J/gから0.5J/g以内であることを測定およびチェックする。次いで、DSCパン中の新鮮なサンプルの小滴を冷却速度10℃/分で25℃から−30℃まで冷却することにより、脱イオン水を分析する。該サンプルを等温的に−30℃にて2分間保ち、加熱速度10℃/分で30℃まで加熱する。融解の開始が0℃から0.5℃以内であることを測定およびチェックする。
【0128】
該サンプルを、温度190℃にて、薄いフィルム中に圧入する。サンプル約5〜8mgを秤量し、DSCパンに置く。密閉雰囲気を保つために、パンの上にふたを圧着させる。サンプルパンをDSCセル上に置き、約100℃/分の高速で融解温度より約60℃高い温度まで加熱する。該サンプルをこの温度で約3分間保つ。次いで、該サンプルを10℃/分の速度で−40℃まで冷却し、等温的にその温度で3分間保つ。そこで、該サンプルを10℃/分の速度で完全に融解するまで加熱する。得られるエンタルピー曲線を、ピーク融解温度、結晶化の開始およびピーク温度、融解熱および結晶化熱、Tme、および注目される他のDSC分析に関して分析する。ベースラインに関係のない融解範囲内の最大熱流量の温度を、ピーク融点とする。
【0129】
機械的検査は、Instron社(Norwood、MA)製のインストロン(モデル5564)を用いて行った。
【0130】
以下の本発明および比較例において使用されたコポリマーを、表Iに記載する。これらのコポリマーは、前述の好ましい実施形態の説明に従う。これらのコポリマーは、米国特許第6,960,635号に従って製造された。
【表2】

【0131】
本明細書において、メルトフローレート(MFR)およびメルトインデックス(MI)は、ASTM D−1238のそれぞれ230℃および190℃により測定した。
【0132】
低結晶化度ポリマーおよび高結晶化度ポリマーおよび他の成分のブレンドは、成分の密接な混合を保証する任意の手順により調製されてよい。例えば、これらの成分は、該成分を一緒にカーバープレス機上で約180℃の温度で約0.5ミリメートル(20ミル)の厚さまで融解加圧成形し、得られたスラブを巻き上げ、両端を共に折り畳み、そして加圧成形、巻き上げ、折り畳み工程を約10回繰り返すことにより混合することができる。内部ミキサーは、溶液または溶融ブレンディングのために特に有用である。約180〜240℃の温度での、ブラベンダー・プラストグラフ中での約1〜20分間のブレンドは、満足のいくものであった。
【0133】
成分を混合するために用いてよいさらなる別の方法には、バンベリー内部ミキサー中で、すべての成分の溶融温度を超える温度、例えば約180℃で約5分間、ポリマーをブレンドする方法が含まれる。ポリマー成分が完全に混合していることは、低結晶化度ポリマーおよび高結晶化度ポリマーの分散の形態が均一であることにより示される。連続混合を用いてもよい。これらのプロセスは、当分野で周知であり、一軸および二軸スクリュー混合押出機、低粘度の溶融ポリマー流を混合するための静的ミキサー、衝突型ミキサー、ならびに低結晶化度ポリマーおよび高結晶化度ポリマーを密接に接触させて分散させるために設計された他の種々の機械およびプロセスが含まれる。当業者であれば、成分原料を密接に混合する必要性とプロセスの経済性への要求のバランスをとる、ポリマーをブレンドするための適切な方法を決定することができる。
【0134】
ブレンドの成分は、所与の用途に望まれる形態に基づいて選択される。ブレンドから形成されるフィルムにおいて、高結晶化度ポリマーは低結晶化度ポリマーと共連続的であってよいが、しかしながら、連続的な低結晶化度ポリマー相中に、高結晶化度ポリマー相が分散しているのが好ましい。当業者であれば、連続的な低結晶化度ポリマーマトリックス中に高結晶化度ポリマーが分散した形態を生成するために、成分の粘度比に基づいて2つの成分の体積分率を選択することができる(S. Wu, Polymer Engineering and Science, Vol. 27, Page 335, 1987を参照)。
【0135】
本発明の例および比較例を調製するために用いられた3層のインフレーションフィルム系列を以下に記載する。直径6インチの多層金型(Macro Engineering and Technology社,Mississauga,Ontario)を提供する、3種類の押出機[直径2.5インチの高剪断スクリューを取り付けた60馬力の押出機(Davis−Standard Film & Coating Systems,Somerviile NJ)、直径2.5インチのスクリューを取り付けた75馬力の押出機(Davis−Standard Film & Coating Systems)、および直径2インチのシングルフライトスクリューを取り付けた20馬力のジョンソン押出機]がある。本発明の例および比較例には、70ミル(1.778mm)の金型ギャップを使用した。フロストラインの高さは約24〜30インチであった。
【0136】
本発明の例および比較例は、表IIに記載した条件に従って押出成形した。Co1およびCo2は、比較フィルムである。Ex1およびEx2は本発明のフィルムである。
【表3】

【0137】
所要の形状の試験片をフィルム製造から少なくとも7日後にフィルムから取り出し、Instron社(Canton,MA)から入手可能なマーリンソフトウェアを備えたインストロン5564で評価して、機械的変形のデータを得た。インストロン5564および関連機器は、Instron社から入手可能である。すべてのデータは、試験されたサンプルの断面の収縮について未補正の応力値を用いて、工学応力および歪項目に関して報告されている。
【0138】
予備延伸:
マイクロ引張サンプル(ASTM D−1708)を、フィルムの機械方向に配向された金型を用いて採取した。ゲージ長は、22.25mmとした。試験片をインストロンに入れ、それらを500%/分の速度(111.25mm/分)で、0(対照)または100または300または500%歪まで引張り、次に同じ速度で0%歪に速やかに戻すことにより、サンプルに予備延伸の工程を行った。予備延伸の工程後少なくとも10分待った後に、新しいゲージ長を測定した。
【0139】
50、100、150%ヒステリシス試験:
次に、予備延伸されたサンプルを再度、500%/分で、予備延伸されたサンプルの新しいゲージ長に対して0または50または100または150%歪まで延伸し(第1延伸工程)、次に同じ速度で0%歪に速やかに戻した。次に、該サンプルを速やかにもう一度、正の張力が生じるまで500%/分で延伸する。正の張力の出現に相当する歪を、設定歪(set strain)とする。少なくとも3つの試験片をそれぞれ予備延伸条件、および対応する第1の延伸条件について測定した。平均引張り歪、および対応する標準偏差を表IIIに報告する。
【表4】

*Exは本発明の実施例を示す。Coは比較例を示す(190℃にて圧縮成形)。Refは予備延伸されていない対照を示す。
【0140】
図1は、0%(比較対照)から100%まで、300%まで、500%歪まで予備延伸を受けた本発明の例および比較例の50%ヒステリシス試験に関する直後残留歪挙動(immediate set behavior)を示す。データは、予備延伸により直後残留歪挙動が有意に改善され得ることを示す。有意な改善はまた、100%および150%ヒステリシス挙動(それぞれ図2および3)に関しても示されている。結果として得られる予備延伸された本発明の実施例の直後残留歪挙動は、SBCまたはポリエチレンベースの樹脂と同等またはそれよりも優れていることが示されている。SBCは、Kraton Polymers社(Houston、TX)から入手可能なSEBSである。
【0141】
本発明の例示的な実施形態が詳細に記載されているが、様々な他の変更は当業者に明らかであり、当業者であれば、本発明の精神および範囲を逸脱することなく、容易に作成できる。従って、以下の特許請求の範囲は実施例および説明に限定されるものではない。むしろ、特許請求の範囲は、本発明の属する当業者により、これらの特徴の同等物として扱われるすべての特徴を含む、本発明に備わる特許性のある新規性を有する全ての特徴を包含すると解釈される。
【0142】
数値の下限および数値の上限が上に記載される場合、任意の下限値から任意の上限値の範囲が意図される。上に引用された全ての公開された米国特許、および許可された米国特許出願は、参照により本明細書に組み込まれる。
【図面の簡単な説明】
【0143】
【図1】図1は、50%ヒステリシス試験後の永久歪への予備延伸レベルの効果のプロットを示すグラフである。
【図2】図2は、100%ヒステリシス試験後の永久歪への予備延伸レベルの効果のプロットを示すグラフである。
【図3】図3は、150%ヒステリシス試験後の永久歪への予備延伸レベルの効果のプロットを示すグラフである。
【図4】図4は、本発明の3層フィルムの概略図である。
【図5】図5は、1つのコア層、2つの内部スキン層および2つの外部スキン層を含む、本発明の一実施形態の5層フィルムの概略図である。
【図6】図6は、2つの外部スキン層と、内部スキン層によって隔てられた2つのコア層を含む、本発明の5層フィルムのもう一つの実施形態の概略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2つの層を有する製品であって、前記製品が、(a)融点を有する低結晶化度ポリマーを含む低結晶化度層、および(b)低結晶化度ポリマーの融点とほぼ同じかまたは25℃未満以内である、DSCにより測定される融点を有する高結晶化度ポリマーを含む高結晶化度層を含み、低結晶化度ポリマーの融点より下で少なくとも1つの方向に、その本来の長さまたは幅の少なくとも50%の伸びまで伸張された、製品。
【請求項2】
少なくとも2つの層を有する製品であって、前記製品が、(a)融点を有する低結晶化度ポリマーを含む低結晶化度層、および(b)低結晶化度ポリマーの融点に満たない、DSCにより測定される融点を有する高結晶化度ポリマーを含む高結晶化度層を含み、低結晶化度ポリマーの融点より下で少なくとも1つの方向に、その本来の長さまたは幅の少なくとも50%の伸びまで伸張された、製品。
【請求項3】
低結晶化度ポリマーおよび高結晶化度ポリマーが、少なくとも約1%の重量パーセント結晶化度差を有する、請求項1に記載の製品。
【請求項4】
低および高結晶化度ポリマーが、適合した結晶化度を有する、請求項1に記載の製品。
【請求項5】
高結晶化度ポリマーが、高結晶化度ポリマーおよび低結晶化度ポリマーを合わせた重量に基づいて、製品中に約20重量%未満のレベルで存在する、請求項1に記載の製品。
【請求項6】
高結晶化度ポリマーが、高結晶化度ポリマーおよび低結晶化度ポリマーを合わせた重量に基づいて、製品中に約10重量%未満のレベルで存在する、請求項1に記載の製品。
【請求項7】
低結晶化度ポリマーが、高結晶性ポリマーおよび低結晶性ポリマーを合わせた重量に基づいて、製品中に少なくとも約45%のレベルで存在する、請求項1に記載の製品。
【請求項8】
層の1つが不織布を含み、不織布が高結晶化度ポリマーを含む、請求項1に記載の製品。
【請求項9】
層の1つがフィルムを含み、フィルム層が高結晶化度ポリマーを含む、請求項1に記載の製品。
【請求項10】
各層がフィルムを含む、請求項1に記載の製品。
【請求項11】
層の1つがフィルムを含み、フィルム層が低結晶化度ポリマーを含む、請求項1に記載の製品。
【請求項12】
低結晶化度層が追加のポリマーをさらに含む、請求項1に記載の製品。
【請求項13】
追加のポリマーが低結晶化度ポリマーよりも高い結晶化度を有する、請求項1に記載の製品。
【請求項14】
追加のポリマーが、低結晶化度層の重量に基づいて約2重量%〜約30重量%の量で存在する、請求項1に記載の製品。
【請求項15】
低結晶化度ポリマーが、プロピレンと、エチレンおよびC4−C20α−オレフィン類から選択される1またはそれ以上のコモノマーのコポリマーであり、1またはそれ以上のコモノマーに由来する単位が、低結晶化度ポリマーの重量に基づいて、約2重量%〜約25重量%の量で低結晶化度ポリマー中に存在する、請求項1に記載の製品。
【請求項16】
ASTM D−1238条件Lで測定される低結晶化度プロピレンコポリマーのMFRが約0.2〜約90g/10分である、請求項15に記載の製品。
【請求項17】
DSCにより測定される低結晶化度ポリマーの融解熱が約3J/g〜約50J/gであり、分子量分布が約2〜約4.5である、請求項16に記載の製品。
【請求項18】
高結晶化度ポリマーが、プロピレンと、エチレンおよびC4−C20α−オレフィン類から選択される1またはそれ以上のコモノマーのホモポリマーまたはコポリマーである、請求項17に記載の製品。
【請求項19】
高結晶化度ポリマーが、エチレンと、エチレンおよびC3−C20α−オレフィン類から選択される1またはそれ以上のコモノマーのホモポリマーまたはコポリマーである、請求項17に記載の製品。
【請求項20】
低結晶化度層が高結晶化度層と接触している、請求項19に記載の製品。
【請求項21】
製品がフィルムを含み、フィルムが高結晶化度層と接触している追加の層を含む、請求項1に記載の製品。
【請求項22】
製品がフィルムを含み、フィルムが低結晶化度層と接触している追加の層を含む、請求項1に記載の製品。
【請求項23】
追加の層が、低結晶化度層よりも結晶質である、請求項22に記載の製品。
【請求項24】
高結晶化度層が塑性変形されている、請求項1に記載の製品。
【請求項25】
両方の層が少なくとも約50%伸張されている、請求項1に記載の製品。
【請求項26】
高結晶性層が不織布層である、請求項1に記載の製品。
【請求項27】
低結晶性層が不織布層である、請求項1に記載の製品。
【請求項28】
フィルムを含み、フィルムのヘイズ値が約70%よりも大きい、請求項24に記載の製品。
【請求項29】
50%ヒステリシス試験後の永久歪が約30%未満である、請求項28に記載のフィルム。
【請求項30】
3またはそれ以上の層を含む、請求項28に記載のフィルム。
【請求項31】
衣料品支持体に付着した請求項28に記載の製品を含む、衣料品の部分。
【請求項32】
少なくとも1つの層が、少なくとも1つの増量剤および添加剤を含む、請求項1に記載の製品。
【請求項33】
添加剤が、少なくともカルシウムカーボネート、タルク、二酸化チタン、カーボンブラック、珪藻土、粘着防止剤、スリップ剤、および酸化防止剤である、請求項32に記載の製品。
【請求項34】
(1)フィルムを形成する段階と、(2)フィルムを伸張する段階とを含む、フィルムの形態の請求項1に記載の製品を作成するためのプロセス。
【請求項35】
伸張段階が、フィルムを少なくとも1つの方向に、その本来の長さまたは幅の少なくとも約150%の伸びまで伸張することを含む、請求項34に記載のプロセス。
【請求項36】
伸張段階が、フィルムを少なくとも1つの方向に伸張して少なくとも約10%のヘイズ値を達成することを含む、請求項35に記載のプロセス。
【請求項37】
繊維の形態の、請求項1に記載の製品。
【請求項38】
高結晶化度ポリマーが繊維の表面の少なくとも一部を含む複合繊維の形態の、請求項37に記載の繊維。
【請求項39】
低結晶化度ポリマーが繊維の表面の少なくとも一部を含む複合繊維の形態の、請求項38に記載の繊維。
【請求項40】
立体配置(configuration)が、シース/コア(sheath/core)、サイド・バイ・サイド(side-by-side)、三日月、トリローバル(trilobal)、アイランズ・イン・ザ・シー(islands-in-the-sea)およびフラットからなる群より選択される、請求項38に記載の繊維。
【請求項41】
立体配置が、シース/コア、サイド・バイ・サイド、三日月、トリローバル、アイランズ・イン・ザ・シーおよびフラットからなる群より選択される、請求項39に記載の繊維。
【請求項42】
高結晶化度ポリマーが塑性変形されている、請求項37に記載の繊維。
【請求項43】
請求項37に記載の繊維を含むウェブ。
【請求項44】
繊維の少なくとも一部分が相互に接着されている、請求項43に記載のウェブ。
【請求項45】
伸張段階が高結晶化度ポリマーの融点より下で行われる、請求項36に記載のプロセス。
【請求項46】
伸張段階が低結晶化度ポリマーの融点より下で行われる、請求項36に記載のプロセス。
【請求項47】
高結晶化度ポリマーがコハク酸または無水コハク酸官能基をさらに含む、請求項42に記載の繊維。
【請求項48】
高結晶化度層が少なくとも1つのチーグラー・ナッタ、メタロセンまたはシングルサイト触媒によるポリオレフィンを含み、低結晶化度層がプロピレン系ポリマーを含む、請求項42に記載の繊維。
【請求項49】
少なくとも1つのスキン層と少なくとも1つのコア層を含み、少なくとも1つのコア層が低結晶化度ポリマーを含む多層製品の形態の、請求項1に記載の製品。
【請求項50】
少なくとも1つのスキン層と少なくとも1つのコア層を含み、少なくとも1つのスキン層が高結晶化度ポリマーを含む多層製品の形態の、請求項1に記載の製品。
【請求項51】
架橋フィルムの形態の、請求項1に記載の製品。
【請求項52】
少なくとも1つの層が明確な融点を有さない、請求項1に記載の製品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2009−513395(P2009−513395A)
【公表日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−538147(P2008−538147)
【出願日】平成18年10月24日(2006.10.24)
【国際出願番号】PCT/US2006/060187
【国際公開番号】WO2007/051103
【国際公開日】平成19年5月3日(2007.5.3)
【出願人】(502141050)ダウ グローバル テクノロジーズ インコーポレイティド (1,383)
【Fターム(参考)】