説明

多層チューブ

【課題】燃料に耐え、かつ、低い透過性を示し、そして比較的安価でもある燃料輸送チューブを提供すること。
【解決手段】内側から外側に向かって、ポリオレフィンの内層と、接着剤を基にした第1中間層と、エチエンビニリデンアルコールの第2中間層と、ポリアミドの第3中間層と、外側の保護層とを含んで成る多層チューブ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多層チューブに関し、より詳細には、モーター付き乗り物のエンジンのための供給回路で燃料を輸送するためのチューブに関する。
【背景技術】
【0002】
通常、燃料を輸送するために使用される多層チューブは、比較的良好な燃料バリヤー特性を有するポリアミドの内層を含む。けれども、ポリアミドは、燃料と接触すると分解して燃料を汚染するオリゴマーを放出し、当該チューブから下流に位置するエンジン部品に損傷を与えうるという欠点を有する。
【0003】
多層チューブに、フッ素含有熱可塑性樹脂により構成された内層を備えることも知られている。かかる熱可塑性樹脂は、良好なバリヤー特性を示す。けれども、それらの材料は非常に高価である。
【0004】
そのため、自動車業界では、燃料の輸送に使用するのに好適な新規な多層チューブ構造体であって、汚染排出物を減らすために燃料透過性が低い一方で、燃料に対する耐性を有し、比較的安価である新規な多層チューブ構造体を捜し求めている。
【特許文献1】米国特許第4,814,379号明細書
【特許文献2】米国特許第6,361,843号明細書
【特許文献3】国際公開第01/36187号パンフレット
【特許文献4】欧州特許出願公開第1036968号明細書
【特許文献5】欧州特許出願公開第1314759号明細書
【特許文献6】欧州特許出願公開第1122061号明細書
【特許文献7】欧州特許出願公開第1243831号明細書
【特許文献8】欧州特許出願公開第1043375号明細書
【特許文献9】欧州特許出願公開第0561428号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、自動車の燃料輸送チューブとして、より詳細には、汚染排出物を減らすために、燃料に耐え、かつ、低い透過性を示し、そして比較的安価でもある燃料輸送チューブとして新規な構造体を提案することによりこの要求を満足することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的を達成するために、本発明は、内側から外側に向かって、
ポリオレフィンの内層と、
接着剤を基にした第1中間層と、
エチレンビニリデンアルコールの第2中間層と、
ポリアミドの第3中間層と、
外側の保護層と、
を含んで成る多層チューブを提供する。
【0007】
上記ポリオレフィン層は、燃料との接触によって知覚できるほどには分解しないため、輸送される燃料中にオリゴマーは放出されない。ポリオレフィン層は比較的安価である。上記エチレン−ビニリデン−アルコール層は炭化水素バリヤー特性を有する。この材料は、バリヤー機能のためにこれまで使用されてきたフッ素系材料よりも安価でもある。上記ポリアミド層は、良好な化学的耐性及び機械的強さを示すとともに、比較的低い炭化水素透過性を示す。上記外側層は、当該チューブが使用される環境で生じる外部からの攻撃からその他の層を保護するように構成される。そのため、自動車用途の場合、上記外側層は、良好な機械的強さと、オイル、ウィンドシールド・ウォッシャー液、冷却液、ブレーキ液等のエンジン環境中に見出される流体及び特に道路の維持管理のために使用される塩化亜鉛又は塩化ナトリウム等の物質に対して良好な化学的耐性を示すように構成される。
【0008】
本発明の他の特徴及び利点は、本発明の具体的な非限定的態様に関する以下の記載を読むことにより明らかになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
図1を参照すると、本発明に係るチューブは、内側から外側に向かって、
内層1と、
第1の中間層2と、
第2の中間層3と、
第3の中間層4と、
保護層5と、
を含んで成る。
【0010】
内層1はポリオレフィンから作られている。この場合における内層1はポリエチレンから作られているが、ポリプロピレン又はポリオレフィン類の混合物等の幾つかの他のポリオレフィンから同様に作ることができる。
【0011】
中間層2は、内層1の材料及び中間層3の材料との適合性があるバインダー又は接着剤から作られる。この例で使用した接着剤は、供給業者ATOFINAから商品名ORGALLOYで販売されている製品等の、ポリオレフィンとポリアミドの混合物である。この場合、中間層1は、内層1と中間層3との間に強力な結合をもたらす。
【0012】
中間層3は、エチレン−ビニリデン−アルコール(EVOH)から作られている。
【0013】
中間層4は、ポリアミドを基にするものであり、より詳細には、この場合には、ポリアミド6−12を基にするものである。使用されるポリアミドは、ポリアミド6又はポリアミド12などの幾つかの他のポリアミドであってもよい。
【0014】
この場合における保護層5は、熱可塑性エラストマー、より詳細には、ポリプロピレンとエチレン−プロピレン−ジエンモノマーを基にする熱可塑性エラストマー(PP−EPDM)から作られたものである。保護層は、幾つかの他の材料から作ることもでき、特にポリエステルから作ることができる。使用されるポリエステルは、例えばポリブチレンテレフタレートである。外側層に使用するのに好適な他の材料の中、特に、ポリプロピレンなどのポリオレフィン類を挙げることができる。
【0015】
当然のことながら、本発明は、上記の態様に限定されず、特許請求の範囲により規定される本発明の範囲を超えることなく、本発明に様々な態様が適用される。
【0016】
特に、チューブにかかるであろう応力が補強すべきポリアミド層と外側の保護層との間の結合を必要とする場合に、これら2つの層の間に接着剤層を配置することができる。
【0017】
さらに、外側層は、上記のもの以外の材料から作られていてもよく、特に、以下の材料:
・ポリエステル−エーテル;
・ポリエーテル−エステル;及び
・スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン(SEBS);
のうちの1つを含む又はから構成される熱可塑性エラストマーから作られていてもよい。
【0018】
さらに、本発明のチューブは自動車用途に限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図1は、本発明に係るチューブの断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内側から外側に向かって、
ポリオレフィンの内層と、
接着剤を基にした第1中間層と、
エチレンビニリデンアルコールの第2中間層と、
ポリアミドの第3中間層と、
外側の保護層と、
を含んで成る多層チューブ。
【請求項2】
前記内層のポリオレフィンがポリエチレンであることを特徴とする請求項1記載のチューブ。
【請求項3】
前記内層のポリオレフィンがポリプロピレンであることを特徴とする請求項1記載のチューブ。
【請求項4】
前記第3中間層のポリアミドがポリアミド6−12であることを特徴とする請求項1記載のチューブ。
【請求項5】
前記外側の保護層が熱可塑性エラストマーから作られていることを特徴とする請求項1記載のチューブ。
【請求項6】
前記エラストマーが、ポリプロピレンとエチレン−プロピレン−ジオレフィンモノマーを基にするものであることを特徴とする請求項5記載のチューブ。
【請求項7】
前記エラストマーがポリエステル−エーテルを含むことを特徴とする請求項5記載のチューブ。
【請求項8】
前記エラストマーがポリエーテル−エステルを含むことを特徴とする請求項5記載のチューブ。
【請求項9】
前記エラストマーがスチレン−エチレン−ブタデン−スチレンを含むことを特徴とする請求項5記載のチューブ。
【請求項10】
前記外側層がポリエステルから作られていることを特徴とする請求項1記載のチューブ。
【請求項11】
前記ポリエステルがポリブチレンテレフタレートであることを特徴とする請求項10記載のチューブ。
【請求項12】
前記外側の保護層がポリオレフィンから作られていることを特徴とする請求項1記載のチューブ。
【請求項13】
前記外側の保護層中のポリオレフィンがポリプロピレンであることを特徴とする請求項12記載のチューブ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内側から外側に向かって、
ポリオレフィンの内層と、
接着剤を基にした第1中間層と、
エチレンビニリデンアルコールの第2中間層と、
ポリアミドの第3中間層と、
外側の保護層と、
を含んで成る多層チューブ。
【請求項2】
前記内層のポリオレフィンがポリエチレンであることを特徴とする請求項1記載のチューブ。
【請求項3】
前記内層のポリオレフィンがポリプロピレンであることを特徴とする請求項1記載のチューブ。
【請求項4】
前記第3中間層のポリアミドがポリアミド6−12であることを特徴とする請求項1記載のチューブ。
【請求項5】
前記外側の保護層が熱可塑性エラストマーから作られていることを特徴とする請求項1記載のチューブ。
【請求項6】
前記エラストマーが、ポリプロピレンとエチレン−プロピレン−ジオレフィンモノマーを基にするものであることを特徴とする請求項5記載のチューブ。
【請求項7】
前記エラストマーがポリエステル−エーテルを含むことを特徴とする請求項5記載のチューブ。
【請求項8】
前記エラストマーがポリエーテル−エステルを含むことを特徴とする請求項5記載のチューブ。
【請求項9】
前記エラストマーがスチレン−エチレン−ブチレン−スチレンを含むことを特徴とする請求項5記載のチューブ。
【請求項10】
前記外側層がポリエステルから作られていることを特徴とする請求項1記載のチューブ。
【請求項11】
前記ポリエステルがポリブチレンテレフタレートであることを特徴とする請求項10記載のチューブ。
【請求項12】
前記外側の保護層がポリオレフィンから作られていることを特徴とする請求項1記載のチューブ。
【請求項13】
前記外側の保護層中のポリオレフィンがポリプロピレンであることを特徴とする請求項12記載のチューブ。

【図1】
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【公開番号】特開2006−116966(P2006−116966A)
【公開日】平成18年5月11日(2006.5.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−304523(P2005−304523)
【出願日】平成17年10月19日(2005.10.19)
【出願人】(505332082)ノベル プラスティクス (5)
【Fターム(参考)】