説明

多層型電子部品モジュールの接合部検査方法

【課題】多層型パワーモジュールなどの多層型電子部品モジュールについて、各接合部の熱伝導性の良否を適切に判断することができる多層型電子部品モジュールの接合部検査方法を提供する。
【解決手段】本発明の接合部検査方法は、第2部材の第1タイミング温度T21から初期温度T20を差し引いた温度差ΔT2に基づいて、第1接合部の熱伝導性の良否を判定する第1判定段階(ステップS9〜SB)と、電子部品の第2タイミング温度TD2から初期温度TD0を差し引いた温度差ΔTDと温度差ΔT2との差分値ΔTE、または、第2タイミング電気特性値VD2に対応する電子部品の温度から初期電気特性値VD0に対応する電子部品の温度を差し引いた温度差ΔTVと温度差ΔT2との差分値ΔTFに基づいて、第2接合部の熱伝導性の良否を判定する第2判定段階(ステップSC〜SE)とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品を有する多層型電子部品モジュールの接合部検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子部品モジュールの接合部、例えば、電子部品を基板にハンダ付けした電子部品モジュールのハンダ接合部には、欠陥(ボイドなど)が生じる場合がある。このため、接合部の欠陥を検査する手法及び検査装置が、多数提案されている(例えば、特許文献1,2参照)。
【0003】
【特許文献1】特開昭60−73347号公報
【特許文献2】特開平5−172772号公報
【0004】
特許文献1には、接合部を有する検査対象物にレーザー光を照射して加熱すると共に、その照射部位表面の放射温度を測定し、放射温度の測定結果に基づいて接合部の欠陥の有無を判定する方法が開示されている。
また、特許文献2には、熱伝導性部材を含む接合部からなる被検査部に、熱エネルギーを照射し、被検査部から放射される赤外線を赤外線カメラにより撮像する。そして、得られた画像について正常な温度範囲を外れた画素数の割合を求め、この割合に基づいて接合部の良否を判定する検査方法が開示されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、近年、多層型の電子部品モジュールが開発されており、この多層型電子部品モジュールの接合部の熱伝導性の良否を、適切に検査できる方法が求められている。ここで、多層型電子部品モジュールとは、半導体素子等の電子部品の裏面側に、複数の部材(電気絶縁基板や放熱板など)を層状に重ねて接合したものをいう。多層型電子部品モジュールとしては、例えば、IGBT、サイリスタ、MOSFET、ダイオードなどのパワー半導体素子と、このパワー半導体素子の裏面に第1ハンダにより接合された電気絶縁基板と、この電気絶縁基板の裏面に第2ハンダにより接合された放熱板とを備える多層型のパワーモジュールを挙げることができる。
【0006】
ところが、特許文献1及び特許文献2に開示されている手法を利用しても、上述の多層型パワーモジュール(パワー半導体素子と電気絶縁基板と放熱板とが接合された多層型パワーモジュール)の2つの接合部(第1ハンダによる第1接合部と第2ハンダによる第2接合部)における熱伝導性の良否を、それぞれ分離して適切に判断することができなかった。
【0007】
具体的には、特許文献1の手法を用いた場合は、照射部位表面の放射温度が、第1接合部のみならず第2接合部の欠陥(ボイドなど)の影響を受けてしまうため、第1接合部の熱伝導性の良否と第2接合部の熱伝導性の良否とを、適切に区別して判断することができなかった。また、特許文献2の手法を用いた場合も、赤外線カメラにより撮像された画像には、第1接合部の熱画像部と第2接合部の熱画像部とが重なって表示されてしまうため、第1接合部の熱伝導性の良否と第2接合部の熱伝導性の良否とを、適切に区別して判断することができなかった。
【0008】
本発明は、かかる現状に鑑みてなされたものであって、多層型パワーモジュールなどの多層型電子部品モジュールについて、各接合部の熱伝導性の良否を適切に判断することができる多層型電子部品モジュールの接合部検査方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
その解決手段は、第1部材と、第2部材と、上記第1部材と上記第2部材との間に位置し、両者を接合する第1接合部と、電子部品と、上記第2部材と上記電子部品との間に位置し、両者を接合する第2接合部と、を積み重ねてなる多層型電子部品モジュールの接合部検査方法であって、上記第1部材の加熱開始以前に、上記第2部材の初期温度T20、及び、上記電子部品の初期温度TD0、または、上記電子部品が、自身の電気特性が自身の温度に依存する特性を有し、上記電気特性の測定により自身の温度を測定可能な電子部品である場合において、上記電気特性の値である初期電気特性値VD0を測定する第1測定段階と、上記第1部材の加熱を開始する段階と、上記第1部材から上記第1接合部を通じて上記第2部材に熱が伝わった以後の第1タイミングで、上記第2部材の第1タイミング温度T21を測定する第2測定段階と、上記熱が上記第2部材から上記第2接合部を通じて上記電子部品に熱が伝わった以後の第2タイミングで、上記電子部品の第2タイミング温度TD2、または、上記電気特性の値である第2タイミング電気特性値VD2を測定する第3測定段階と、上記第1タイミング温度T21から上記初期温度T20を差し引いた温度差ΔT2に基づいて、上記第1接合部の熱伝導性の良否を判定する第1判定段階と、上記第2タイミング温度TD2から上記初期温度TD0を差し引いた温度差ΔTDと上記温度差ΔT2との差分値ΔTE、または、上記第2タイミング電気特性値VD2に対応する上記電子部品の温度から上記初期電気特性値VD0に対応する上記電子部品の温度を差し引いた温度差ΔTVと上記温度差ΔT2との差分値ΔTFに基づいて、上記第2接合部の熱伝導性の良否を判定する第2判定段階と、を備える多層型電子部品モジュールの接合部検査方法である。
【0010】
本発明の接合部検査方法では、第2部材の第1タイミング温度T21から初期温度T20を差し引いた温度差ΔT2(すなわち、加熱による第2部材の上昇温度)に基づいて、第1接合部の熱伝導性の良否を判定する第1判定段階を備えている。これにより、第1接合部と第2接合部とを有する多層型電子部品モジュールにおいて、第1接合部の熱伝導性の良否を、第2接合部とは独立して検知することができる。
【0011】
ところで、電子部品への熱伝導は、第1接合部及び第2接合部を通じて行われるため、第2接合部のみならず第1接合部の欠陥の影響も受けてしまう。このため、前述のように、従来の検査方法では、第2接合部の熱伝導性の良否を適切に判定することができなかった。
【0012】
これに対し、本発明の検査方法では、電子部品の第2タイミング温度TD2から初期温度TD0を差し引いた温度差ΔTD(すなわち、加熱による電子部品の上昇温度)と温度差ΔT2との差分値ΔTEに基づいて、第2接合部の熱伝導性の良否を判定する第2判定段階を備えている。または、第2タイミング電気特性値VD2に対応する電子部品の温度から初期電気特性値VD0に対応する電子部品の温度を差し引いた温度差ΔTV(すなわち、加熱による電子部品の上昇温度)と温度差ΔT2との差分値ΔTFに基づいて、第2接合部の熱伝導性の良否を判定する第2判定段階を備えている。
【0013】
このように、第2接合部の熱伝導性の良否を判定するにあたり、温度差ΔTDまたは温度差ΔTVから、温度差ΔT2(すなわち、第1接合部にかかる熱伝導性の良否の影響を含んだ温度差)を差し引くことで、第1接合部にかかる熱伝導性の良否の影響により生じた温度差の違いを排除することができる。これにより、第2判断段階において、第1接合部にかかる熱伝導性の良否の影響を抑制して、第2接合部の熱伝導性の良否を適切に判断することができる。従って、本発明の検査方法では、多層型電子部品モジュールについて、各接合部の熱伝導性の良否を適切に判定することができる。
【0014】
なお、多層型電子部品モジュールとしては、多層型のパワーモジュールを例示することができる。この場合、第1部材としては放熱板、第2部材としては電気絶縁基板、電子部品としてはIGBTやダイオードなどを備えるパワー半導体素子を例示することができる。また、第1接合部及び第2接合部としては、ハンダを例示することができる。
また、電気特性の値(初期電気特性値VD0及び第2タイミング電気特性値VD2)としては、例えば、複数の端子を有する半導体素子(電子部品)における所定の端子間電圧の値を挙げることができる。具体的には、電子部品がIGBTを備えている場合には、IGBTのゲート−エミッタ間の電圧、またはコレクタ−エミッタ間の電圧を例示できる。また、ダイオードを備えている場合は、ダイオードのアノード−カソード間の電圧を例示できる。
【0015】
さらに、上記の多層型電子部品モジュールの接合部検査方法であって、前記第1判定段階は、前記温度差ΔT2が、前記第1接合部の熱伝導性が良好であるときに得られる第1適正温度差範囲の下限値ΔTK1以上であるか否かを判定する多層型電子部品モジュールの接合部検査方法とすると良い。
【0016】
本発明の検査方法では、第1判定段階において、温度差ΔT2が、第1接合部の熱伝導性が良好であるときに得られる第1適正温度差範囲の下限値ΔTK1以上であるか否かを判定する。従って、第1接合部の熱伝導性の良否を、適切に検知することができる。
なお、第1適正温度差の下限値ΔTK1は、例えば、第1接合部に欠陥がない理想的な状態のときに得られる温度差ΔT2から、所定温度(例えば、10deg)を差し引いた温度とすることができる。
【0017】
さらに、上記いずれかの多層型電子部品モジュールの接合部検査方法であって、前記第2判定段階は、前記差分値ΔTEまたは前記差分値ΔTFが、前記第2接合部の熱伝導性が良好であるときに得られる第2適正温度差範囲の下限値ΔTK2以上であるか否かを判定する多層型電子部品モジュールの接合部検査方法とすると良い。
【0018】
本発明の検査方法では、第2判定段階において、差分値ΔTEまたは差分値ΔTFが、第2接合部の熱伝導性が良好であるときに得られる第2適正温度差範囲の下限値ΔTK2以上であるか否かを判定する。従って、第2接合部の熱伝導性の良否を、適切に検知することができる。
なお、第2適正温度差の下限値ΔTK2は、例えば、第1接合部及び第2接合部に欠陥がない理想的な状態のときに得られる温度差ΔTDと温度差ΔT2との差分値から、所定温度(例えば、10deg)を差し引いた温度とすることができる。
【0019】
さらに、上記いずれかの多層型電子部品モジュールの接合部検査方法であって、前記電子部品は、複数の端子を有し、上記複数の端子のうち所定の端子間電圧が、自身の温度に依存する特性を有し、前記電気特性である上記端子間電圧の測定により、自身の温度を測定可能な半導体素子であり、前記初期測定段階では、前記初期電気特性値VD0として、前記第1部材の加熱開始以前の上記端子間電圧の値を測定し、前記第3測定段階では、前記第2タイミング電気特性値VD2として、前記第2タイミングで上記端子間電圧の値を測定する多層型電子部品モジュールの接合部検査方法とすると良い。
【0020】
本発明の検査対象となる多層型電子部品モジュールは、電子部品として、所定の端子間電圧が自身の温度に依存する特性を有し、この端子間電圧の測定により自身の温度を測定可能な半導体素子を備える。この半導体素子の所定の端子間について、加熱前後の端子間電圧を測定することで、加熱による半導体素子の上昇温度(温度差ΔTV)を適切に検知することができる。これにより、このような半導体素子を備えた多層型電子部品モジュールについて、第2接合部の熱伝導性の良否を適切に判断することができる。
【0021】
なお、本発明における半導体素子としては、IGBTやダイオードなどを備えたものを例示することができる。例えば、IGBTを備えている場合には、初期電気特性値VD0及び第2タイミング電気特性値VD2として、コレクタ−エミッタ間に定電流を流したときのゲート−エミッタ間の電圧またはコレクタ−エミッタ間の電圧を測定し、これを用いて温度差ΔTVを得ることができる。また、ダイオードを備えている場合は、初期電気特性値VD0及び第2タイミング電気特性値VD2として、アノード−カソード間に定電流を流したときのアノード−カソード間の電圧を測定し、これを用いて温度差ΔTVを得ることができる。
【0022】
さらに、上記いずれかの多層型電子部品モジュールの接合部検査方法であって、前記第1タイミングを、前記熱が前記電子部品に伝わるよりも前とする多層型電子部品モジュールの接合部検査方法とすると良い。
【0023】
熱が電子部品に伝わるよりも前に第2部材の第1タイミング温度T21を測定することで、第2接合部の熱伝導性の良否の影響を受けることなく、第1接合部の熱伝導性の良否の影響を受けた第2部材の第1タイミング温度T21を、適切に測定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
次に、本発明の実施形態について、図1〜図10を参照しつつ説明する。
(実施例1)
まず、本実施例1にかかる多層型電子部品モジュール10について説明する。多層型電子部品モジュール10は、図1に示すように、放熱板11と、絶縁基板13と、放熱板11と絶縁基板13との間に位置し両者を接合する第1接合部12と、IGBTを備える半導体素子15と、絶縁基板13と半導体素子15との間に位置し両者を接合する第2接合部14とを積み重ねてなる多層型パワーモジュールである。
【0025】
このうち、放熱板11は、Cu−Mo合金からなる金属板である。また、絶縁基板13は、AlNからなるセラミックス板13bを、Alからなる金属板13c,13dで挟んだ絶縁基板である。第1接合部12及び第2接合部14は共に、ハンダからなる接合部である。
なお、本実施例1では、放熱板11が第1部材に相当する。また、絶縁基板13が第2部材に相当する。また、半導体素子15が電子部品に相当する。
【0026】
次に、本実施例1の接合部検査方法について説明する。本実施例1では、図1に示すように、放熱板11を加熱するホットプレート20のほか、絶縁基板13(金属板13d)の温度を測定する放射温度計30と、半導体素子15におけるIGBTのゲート−エミッタ端子間電圧を測定する電圧計40と、放射温度計30及び電圧計40の出力を処理する処理装置50とを備える検査装置80を用いて、多層型電子部品モジュール10にかかる第1接合部12及び第2接合部14の熱伝導性の良否を検査する。
【0027】
なお、本実施例1では、3種類の多層型電子部品モジュール10(サンプル1〜3とする)を用意し、これらについて、それぞれ第1接合部12及び第2接合部14の熱伝導性の良否を検査した。具体的には、サンプル1として、第1接合部12及び第2接合部14にボイド等の欠陥がなく、両接合部の熱伝導性が理想的である多層型電子部品モジュールを用意した。また、サンプル2として、第1接合部12に大きな欠陥を有しているためその熱伝導性が悪いが、第2接合部14の欠陥は小さいためその熱伝導性が良好である多層型電子部品モジュールを用意した。また、サンプル3として、サンプル2とは反対に、第1接合部12の欠陥は小さいためその熱伝導性が良好であるが、第2接合部14に大きな欠陥を有しているためその熱伝導性が悪い多層型電子部品モジュールを用意した。
【0028】
(サンプル1の検査)
初めに、サンプル1(第1接合部12及び第2接合部14にボイド等の欠陥がなく、両接合部の熱伝導性が理想的である多層型電子部品モジュール)について、各接合部を検査した例を説明する。
まず、図2に示すように、放熱板11を加熱する以前に、ステップS1において、放射温度計30により絶縁基板13の初期温度T20を測定すると共に、電圧計40により半導体素子15におけるIGBTの初期電気特性値VD0(具体的には、ゲート−エミッタ端子間電圧)を測定する。なお、IGBTのゲート−エミッタ端子間電圧を測定する際は、図示しない電源を用いて、IGBTのコレクタ−エミッタ間に定電流を流している。また、このステップS1が第1測定段階に相当する。
【0029】
次に、ステップS2に進み、ホットプレート20を放熱板11の裏面11bに接触させて、放熱板11の加熱を開始する。なお、本実施例1では、初期温度T20及び初期電気特性値VD0を測定してから10ms経過後に、放熱板11の加熱を開始している。次いで、ステップS3に進み、加熱開始から30ms経過したか否かを判定する。30ms経過した(Yes)と判定されると、ステップS4に進み、放射温度計30により、絶縁基板13の第1タイミング温度T21を測定する。この第1タイミング温度T21を、図3に示す。なお、図3では、サンプル1にかかる加熱時間tと絶縁基板13の温度T2との関係、及び、加熱時間tとIGBTの端子間電圧VDとの関係を示している。また、このステップS3,S4が、第2測定段階に相当する。
【0030】
図3に示すように、本実施例1の多層型電子部品モジュール10では、放熱板11の加熱を開始してから10ms後に、絶縁基板13に熱が伝わることがわかる。そこで、それ以降に、例えば、加熱開始から30ms経過したときに絶縁基板13の温度を測定することで、絶縁基板13に熱が伝わった以後の第1タイミング温度T21を、適切に測定することができる。
【0031】
しかも、後述するように、熱が半導体素子15に伝わり始めるのが加熱開始から50ms後であるから、加熱開始から30ms経過したときに絶縁基板13の温度を測定することで、熱が半導体素子15に伝わるよりも前に、絶縁基板13の第1タイミング温度T21を測定していることになる。このため、第2接合部14の熱伝導性の良否の影響を受けることを防止して、絶縁基板13の第1タイミング温度T21を、より一層適切に測定することができる。
なお、本実施例1では、加熱開始から30ms経過した時が、第1タイミングに相当する。
【0032】
次に、ステップS5に進み、加熱開始から60ms経過したか否かを判定する。60ms経過した(Yes)と判定されると、ステップS6に進み、電圧計40により第2タイミング電気特性値VD2(具体的には、IGBTのゲート−エミッタ端子間電圧)を測定する。この第2タイミング電気特性値VD2を、図3に示す。なお、図3によると、IGBTのゲート−エミッタ端子間電圧VDは、加熱開始から50ms以後に、徐々に低下していることから、加熱開始から50ms経過すると、ホットプレート20の熱がIGBTを備える半導体素子15に伝わり始めることがわかる。そこで、それ以降に、例えば、加熱開始から60ms経過したときに、IGBTのゲート−エミッタ端子間電圧VDを測定することで、IGBTを備える半導体素子15に熱が伝わった以後の第2タイミング電気特性値VD2を、適切に測定することができる。
なお、このステップS5,S6が、第3測定段階に相当する。また、加熱開始から60ms経過した時が、第2タイミングに相当する。
【0033】
次いで、ステップS7に進み、絶縁基板13の第1タイミング温度T21から初期温度T20を差し引いた温度差ΔT2を算出する(図3参照)。なお、サンプル1では、ΔT2=30degとなった。
【0034】
次に、ステップS8に進み、第2タイミング電気特性値VD2(ゲート−エミッタ端子間電圧)に対応するIGBTの温度から、初期電気特性値VD0(ゲート−エミッタ端子間電圧)に対応するIGBTの温度を差し引いた温度差ΔTVと、温度差ΔT2との差分値ΔTFを算出する。ここで、IGBTの温度TDとゲート−エミッタ端子間電圧VDとは、図4に示す関係になることがわかっている。このサンプル1では、図4に示すように、温度差ΔTVは、第2タイミング電気特性値VD2に対応するIGBTの温度TD2から、初期電気特性値VD0に対応するIGBTの温度TD0を差し引いた温度差ΔTVで与えられ、ΔTV=50degとなった。従って、ΔTF=ΔTV−ΔT2=50−30=20degとなる。
【0035】
次に、ステップS9に進み、所得した温度差ΔT2が、第1適正温度差範囲の下限値ΔTK1以上であるか否かを判定する。ここで、第1適正温度差範囲とは、第1接合部12の熱伝導性が良好であるときに得られる温度差ΔT2の範囲をいう。本実施例1では、図3に示すように、第1適正温度差範囲の下限値ΔTK1を、第1接合部12に欠陥がない理想的な状態のときに得られる温度差ΔT2(すなわち、サンプル1で得られる温度差ΔT2)から所定温度(本実施例1では10deg)を差し引いた温度に設定している。すなわち、ΔTK1=30−10=20degとしている。
【0036】
ステップS9において、ΔT2≧ΔTK1を満たす(Yes)と判定された場合は、ステップSAに進み、第1接合部12の熱伝導性は良好であると判断される。一方、ΔT2≧ΔTK1を満たさない(No)と判定された場合は、ステップSBに進み、第1接合部12の熱伝導性は不良であると判断される。このサンプル1では、ΔT2=30degであるので、ΔT2≧ΔTK1(=20deg)を満たし、第1接合部12の熱伝導性は良好であると判断される。このようにして、第1接合部12と第2接合部14とを有する多層型電子部品モジュール10において、第1接合部12の熱伝導性の良否を、第2接合部14とは独立して判断することができる。
なお、このステップS9,SA,SBが、第1判定段階に相当する。
【0037】
次に、ステップSCに進み、ΔTFが、第2適正温度差範囲の下限値ΔTK2以上であるか否かを判定する。ここで、第2適正温度差範囲とは、第2接合部14の熱伝導性が良好であるときに得られるΔTFの範囲をいう。本実施例1では、第2適正温度差範囲の下限値ΔTK2を、第1接合部及び第2接合部に欠陥がない理想的な状態のときに得られるΔTF(すなわち、サンプル1で得られるΔTF)から所定温度(本実施例1では10deg)を差し引いた温度に設定している。すなわち、ΔTK2=20−10=10degとしている。
【0038】
ステップSCにおいて、ΔTF≧ΔTK2を満たす(Yes)と判定された場合は、ステップSDに進み、第2接合部14の熱伝導性は良好であると判断される。一方、ΔTF≧ΔTK2を満たさない(No)と判定された場合は、ステップSEに進み、第2接合部14の熱伝導性は不良であると判断される。このサンプル1では、ΔTF=20degであるので、ΔTF≧ΔTK2(=10deg)を満たし、第2接合部14の熱伝導性は良好であると判断される。その後、放熱板11を加熱していたホットプレート20を、放熱板11の裏面11bから離間させて、接合部の検査を終了する。
なお、このステップSC,SD,SEが、第2判定段階に相当する。
【0039】
本実施例1では、第2接合部14の熱伝導性の良否の判定対象として、温度差ΔTVから温度差ΔT2(すなわち、第1接合部12にかかる熱伝導性の良否の影響を含んだ温度差)を差し引いた差分値ΔTFを算出し(ステップS8)、このΔTFを用いて、第2接合部14の熱伝導性の良否の判定する(ステップSC)。これにより、第2接合部14の熱伝導性の良否判定(ステップSC)において、第1接合部12にかかる熱伝導性の良否の影響により生じた温度差の違いを排除することができる。このため、第1接合部12にかかる熱伝導性の良否の影響を抑制して、第2接合部14の熱伝導性の良否を適切に判断することができる。
【0040】
(サンプル2の検査)
次に、サンプル2について、接合部を検査した例を説明する。なお、検査方法は、上述のサンプル1と同様(図2参照)である。従って、ここでは、サンプル1とは測定結果及び判定結果が異なる点を中心に説明する。
【0041】
まず、サンプル1の場合と同様に、ステップS1において、絶縁基板13の初期温度T20を測定すると共に、半導体素子15におけるIGBTの初期電気特性値VD0(ゲート−エミッタ端子間電圧)を測定する。次に、ステップS2に進み、放熱板11の加熱を開始した後、ステップS3において、加熱開始から30ms経過した(Yes)と判定されると、ステップS4に進み、絶縁基板13の第1タイミング温度T21を測定する(図5参照)。なお、図5では、サンプル2にかかる加熱時間tと絶縁基板13の温度T2との関係、及び、加熱時間tとIGBTの端子間電圧VDとの関係を実線で示し、参考としてサンプル1にかかるそれらの関係を二点鎖線で示している。
【0042】
次に、ステップS5に進み、加熱開始から60ms経過した(Yes)と判定されると、ステップS6に進み、第2タイミング電気特性値VD2(IGBTのゲート−エミッタ端子間電圧)を測定する(図5参照)。次いで、ステップS7に進み、絶縁基板13の第1タイミング温度T21から初期温度T20を差し引いた温度差ΔT2を算出する(図5参照)。なお、このサンプル2では、ΔT2は10degとなった。
【0043】
次に、ステップS8に進み、第2タイミング電気特性値VD2(ゲート−エミッタ端子間電圧)に対応するIGBTの温度TD2から、初期電気特性値VD0(ゲート−エミッタ端子間電圧)に対応するIGBTの温度TD0を差し引いた温度差ΔTV=TD2−TD0(図6参照)と、温度差ΔT2との差分値ΔTFを算出する。このサンプル2では、ΔTV=25degとなったため、ΔTF=ΔTV−ΔT2=25−10=15degとなる。
【0044】
次に、ステップS9に進み、ΔT2が、第1適正温度差範囲の下限値ΔTK1以上であるか否かを判定する。このサンプル2では、ΔT2=10degであるので、ΔT2≧ΔTK1(=20deg)を満たさない(No)と判定される。従って、ステップSBに進み、第1接合部12の熱伝導性は不良であると判断される。このようにして、第1接合部12の熱伝導性の良否を、第2接合部14とは独立して判断することができる。
【0045】
次に、ステップSCに進み、ΔTFが、第2適正温度差範囲の下限値ΔTK2以上であるか否かを判定する。このサンプル2では、ΔTF=15degであるので、ΔTF≧ΔTK2(=10deg)を満たしている(Yes)と判定される。従って、ステップSDに進み、第2接合部14の熱伝導性は良好であると判断される。その後、放熱板11を加熱していたホットプレート20を、放熱板11から離間させて、接合部の検査を終了する。
【0046】
このサンプル2の検査でも、第2接合部14の熱伝導性の良否の判定対象として、温度差ΔTVから温度差ΔT2(すなわち、第1接合部12にかかる熱伝導性の良否の影響を含んだ温度差)を差し引いた差分値ΔTFを算出し(ステップS8)、このΔTFを用いて、第2接合部14の熱伝導性の良否の判定した(ステップSC)。これにより、第2接合部14の熱伝導性の良否判定(ステップSC)において、第1接合部12の熱伝導性不良の影響により生じた温度差の違いを排除することができる。このため、第1接合部12にかかる熱伝導性不良の影響を抑制して、第2接合部14の熱伝導性の良否を適切に判断することができた。
【0047】
(サンプル3の検査)
次に、サンプル3について、接合部を検査した例を説明する。なお、検査方法は、上述のサンプル1,2と同様(図2参照)である。従って、ここでは、サンプル1,2とは測定結果及び判定結果が異なる点を中心に説明する。
【0048】
まず、サンプル1,2の場合と同様に、ステップS1において、絶縁基板13の初期温度T20を測定すると共に、IGBTの初期電気特性値VD0(ゲート−エミッタ端子間電圧)を測定する。次に、ステップS2に進み、放熱板11の加熱を開始した後、ステップS3において、加熱開始から30ms経過した(Yes)と判定されると、ステップS4に進み、絶縁基板13の第1タイミング温度T21を測定する(図7参照)。なお、図7では、サンプル3にかかる加熱時間tと絶縁基板13の温度T2との関係、及び、加熱時間tとIGBTの端子間電圧VDとの関係を実線で示し、参考としてサンプル1にかかるそれらの関係を二点鎖線で示している。
【0049】
次に、ステップS5において、加熱開始から60ms経過した(Yes)と判定されると、ステップS6に進み、第2タイミング電気特性値VD2(IGBTのゲート−エミッタ端子間電圧)を測定する(図7参照)。なお、サンプル3におけるVD2は、サンプル2のそれと等しい値となった。
次いで、ステップS7に進み、絶縁基板13の第1タイミング温度T21から初期温度T20を差し引いた温度差ΔT2を算出する(図7参照)。なお、このサンプル3では、ΔT2が25degとなった。
【0050】
次に、ステップS8に進み、第2タイミング電気特性値VD2(ゲート−エミッタ端子間電圧)に対応するIGBTの温度TD2から、初期電気特性値VD0(ゲート−エミッタ端子間電圧)に対応するIGBTの温度TD0を差し引いた温度差ΔTV=TD2−TD0(図8参照)と、温度差ΔT2との差分値ΔTFを算出する。このサンプル3では、ΔTV=25degとなったため、ΔTF=ΔTV−ΔT2=25−25=0degとなる。
【0051】
次に、ステップS9に進み、ΔT2が、第1適正温度差範囲の下限値ΔTK1以上であるか否かを判定する。このサンプル3では、ΔT2=25degであるので、ΔT2≧ΔTK1(=20deg)を満たす(Yes)と判定される。従って、ステップSAに進み、第1接合部12の熱伝導性は良好であると判断される。このようにして、第1接合部12の熱伝導性の良否を、第2接合部14とは独立して判断することができる。
【0052】
次に、ステップSCに進み、ΔTFが、第2適正温度差範囲の下限値ΔTK2以上であるか否かを判定する。このサンプル2では、ΔTF=0degであるので、ΔTF≧ΔTK2(=10deg)を満たしていない(No)と判定される。従って、ステップSEに進み、第2接合部14の熱伝導性は不良であると判断される。その後、放熱板11を加熱していたホットプレート20を、放熱板11から離間させて、接合部の検査を終了する。
【0053】
このサンプル3の検査でも、第2接合部14の熱伝導性の良否の判定対象として、温度差ΔTVから温度差ΔT2(すなわち、第1接合部12にかかる熱伝導性の良否の影響を含んだ温度差)を差し引いた差分値ΔTFを算出し(ステップS8)、このΔTFを用いて、第2接合部14の熱伝導性の良否の判定した(ステップSC)。これにより、第2接合部14の熱伝導性の良否判定(ステップSC)において、第1接合部12にかかる熱伝導性の良否の影響により生じた温度差の違いを排除することができる。このため、第1接合部12にかかる熱伝導性の良否の影響を抑制して、第2接合部14の熱伝導性の良否を適切に判断することができた。
【0054】
特に、サンプル2とサンプル3とでは、第1接合部12と第2接合部14との欠陥の大小関係が反対ではあるが、第2タイミング電気特性値VD2(加熱後のゲート−エミッタ端子間電圧)の値が等しくなった。しかしながら、本実施例1の検査方法によれば、サンプル2については、第1接合部12の熱伝導性は良好であるが、第2接合部14の熱伝導性が不良であることを適切に判定でき、一方、サンプル3については、第1接合部12の熱伝導性は不良であるが、第2接合部14の熱伝導性は良好であることを適切に判定することができた。
以上より、本実施例1の検査方法によれば、多層型電子部品モジュールについて、各接合部の熱伝導性の良否を適切に判断することができるといえる。
【0055】
(実施例2)
次に、実施例2の接合部検査方法について説明する。本実施例2では、図9に示すように、実施例1と比較して、電圧計40に代えて、半導体素子15におけるIGBTの温度を測定する放射温度計60を備えた点が異なる検査装置90を用いて、多層型電子部品モジュール10にかかる第1接合部12及び第2接合部14の熱伝導性の良否を検査する。本実施例2では、実施例1と異なる点を中心に説明し、同様な点については説明を簡略化する。なお、図10は、実施例2にかかる接合部検査方法の流れを示すフローチャートである。
【0056】
まず、図10に示すように、放熱板11を加熱する以前に、ステップU1において、実施例1のステップS1と同様に、放射温度計30により、絶縁基板13の初期温度T20を測定する。一方、実施例1と異なり、放射温度計60により、半導体素子15におけるIGBTの初期温度TD0を測定する。なお、このステップU1が、第1測定段階に相当する。
【0057】
次に、実施例1と同様に、ステップS2に進み、放熱板11の加熱を開始する。その後、ステップS3に進み、加熱開始から30ms経過した(Yes)と判定されると、ステップS4に進み、放射温度計30により、絶縁基板13の第1タイミング温度T21を測定する。なお、このステップS3,S4が、第2測定段階に相当する。
【0058】
次に、ステップS5に進み、加熱開始から60ms経過したか否かを判定する。60ms経過した(Yes)と判定されると、ステップU6に進み、実施例1とは異なり、放射温度計60によりIGBTの第2タイミング温度TD2を測定する。
なお、このステップS5,U6が、第3測定段階に相当する。
【0059】
次いで、ステップS7に進み、絶縁基板13の第1タイミング温度T21から初期温度T20を差し引いた温度差ΔT2を算出する。次に、ステップU8に進み、実施例1とは異なり、IGBTの第2タイミング温度TD2から初期温度TD0を差し引いた温度差ΔTDと、温度差ΔT2との差分値ΔTEを算出する。
【0060】
次に、ステップS9に進み、実施例1と同様に、ΔT2が、第1適正温度差範囲の下限値ΔTK1以上であるか否かを判定する。ステップS9において、ΔT2≧ΔTK1を満たす(Yes)と判定された場合は、ステップSAに進み、第1接合部12の熱伝導性は良好であると判断される。一方、ΔT2≧ΔTK1を満たさない(No)と判定された場合は、ステップSBに進み、第1接合部12の熱伝導性は不良であると判断される。
なお、このステップS9,SA,SBが、第1判定段階に相当する。
【0061】
次に、ステップUCに進み、実施例1とは異なり、ΔTEが、第2適正温度差範囲の下限値ΔTK2以上であるか否かを判定する。ステップUCにおいて、ΔTE≧ΔTK2を満たす(Yes)と判定された場合は、ステップSDに進み、第2接合部14の熱伝導性は良好であると判断される。一方、ΔTE≧ΔTK2を満たさない(No)と判定された場合は、ステップSEに進み、第2接合部14の熱伝導性は不良であると判断される。その後、放熱板11を加熱していたホットプレート20を、放熱板11から離間させて、接合部の検査を終了する。
なお、このステップUC,SD,SEが、第2判定段階に相当する。
【0062】
本実施例2では、第2接合部14の熱伝導性の良否の判定対象として、温度差ΔTDから温度差ΔT2(すなわち、第1接合部12にかかる熱伝導性の良否の影響を含んだ温度差)を差し引いた差分値ΔTEを算出し(ステップU8)、このΔTEを用いて、第2接合部14の熱伝導性の良否の判定する(ステップUC)。これにより、第2接合部14の熱伝導性の良否判定(ステップUC)において、第1接合部12にかかる熱伝導性の良否の影響により生じた温度差の違いを排除することができる。このため、第1接合部12にかかる熱伝導性の良否の影響を抑制して、第2接合部14の熱伝導性の良否を適切に判断することができる。
【0063】
以上において、本発明を実施例1,2に即して説明したが、本発明は上記実施例等に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で、適宜変更して適用できることはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】実施例1にかかる接合部検査方法を説明する説明図である。
【図2】実施例1にかかる接合部検査方法の流れを示すフローチャートである。
【図3】サンプル1にかかる加熱時間と絶縁基板の温度との関係、及び、加熱時間とIGBTの端子間電圧との関係を示すグラフである。
【図4】IGBTの温度と端子間電圧との関係を示すグラフである。
【図5】サンプル2にかかる加熱時間と絶縁基板の温度との関係、及び、加熱時間とIGBTの端子間電圧との関係を示すグラフである。
【図6】IGBTの温度と端子間電圧との関係を示すグラフである。
【図7】サンプル3にかかる加熱時間と絶縁基板の温度との関係、及び、加熱時間とIGBTの端子間電圧との関係を示すグラフである。
【図8】IGBTの温度と端子間電圧との関係を示すグラフである。
【図9】実施例2にかかる接合部検査方法を説明する説明図である。
【図10】実施例2にかかる接合部検査方法の流れを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0065】
10 多層型電子部品モジュール
11 放熱板(第1部材)
12 第1接合部
13 絶縁基板(第2部材)
14 第2接合部
15 半導体素子(電子部品)
20 ホットプレート
30,60 放射温度計
40 電圧計
80,90 検査装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1部材と、
第2部材と、
上記第1部材と上記第2部材との間に位置し、両者を接合する第1接合部と、
電子部品と、
上記第2部材と上記電子部品との間に位置し、両者を接合する第2接合部と、を積み重ねてなる
多層型電子部品モジュールの接合部検査方法であって、
上記第1部材の加熱開始以前に、
上記第2部材の初期温度T20、及び、
上記電子部品の初期温度TD0、または、上記電子部品が、自身の電気特性が自身の温度に依存する特性を有し、上記電気特性の測定により自身の温度を測定可能な電子部品である場合において、上記電気特性の値である初期電気特性値VD0を測定する
第1測定段階と、
上記第1部材について、上記第1部材のうち上記第1接合部の反対側に位置する面からの加熱を開始する段階と、
上記第1部材から上記第1接合部を通じて上記第2部材に熱が伝わった以後の第1タイミングで、上記第2部材の第1タイミング温度T21を測定する第2測定段階と、
上記熱が上記第2部材から上記第2接合部を通じて上記電子部品に熱が伝わった以後の第2タイミングで、上記電子部品の第2タイミング温度TD2、または、上記電気特性の値である第2タイミング電気特性値VD2を測定する第3測定段階と、
上記第1タイミング温度T21から上記初期温度T20を差し引いた温度差ΔT2に基づいて、上記第1接合部の熱伝導性の良否を判定する第1判定段階と、
上記第2タイミング温度TD2から上記初期温度TD0を差し引いた温度差ΔTDと上記温度差ΔT2との差分値ΔTE、または、
上記第2タイミング電気特性値VD2に対応する上記電子部品の温度から上記初期電気特性値VD0に対応する上記電子部品の温度を差し引いた温度差ΔTVと上記温度差ΔT2との差分値ΔTFに基づいて、
上記第2接合部の熱伝導性の良否を判定する第2判定段階と、を備える
多層型電子部品モジュールの接合部検査方法。
【請求項2】
請求項1に記載の多層型電子部品モジュールの接合部検査方法であって、
前記第1判定段階は、
前記温度差ΔT2が、前記第1接合部の熱伝導性が良好であるときに得られる第1適正温度差範囲の下限値ΔTK1以上であるか否かを判定する
多層型電子部品モジュールの接合部検査方法。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の多層型電子部品モジュールの接合部検査方法であって、
前記第2判定段階は、
前記差分値ΔTEまたは前記差分値ΔTFが、前記第2接合部の熱伝導性が良好であるときに得られる第2適正温度差範囲の下限値ΔTK2以上であるか否かを判定する
多層型電子部品モジュールの接合部検査方法。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の多層型電子部品モジュールの接合部検査方法であって、
前記電子部品は、
複数の端子を有し、
上記複数の端子のうち所定の端子間電圧が、自身の温度に依存する特性を有し、
前記電気特性である上記端子間電圧の測定により、自身の温度を測定可能な半導体素子であり、
前記初期測定段階では、
前記初期電気特性値VD0として、前記第1部材の加熱開始以前の上記端子間電圧の値を測定し、
前記第3測定段階では、
前記第2タイミング電気特性値VD2として、前記第2タイミングで上記端子間電圧の値を測定する
多層型電子部品モジュールの接合部検査方法。
【請求項5】
請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の多層型電子部品モジュールの接合部検査方法であって、
前記第1タイミングを、前記熱が前記電子部品に伝わるよりも前とする
多層型電子部品モジュールの接合部検査方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−75023(P2009−75023A)
【公開日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−246366(P2007−246366)
【出願日】平成19年9月24日(2007.9.24)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】