説明

多層式ソリッド・ステート・キーボード

キーパッドは、基板(20)と、基板上の1または複数の装飾材料層(22,24,26,28)とを含む。装飾材料の上に透明な及び/または従来の導電材料(30,40)が配置される。導電層に対して電気回路部品がはんだ付けされる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願へのクロスリファレンス)
本出願は、その開示をここに参照により取り込む2003年4月22日付けの米国暫定特許出願第60/464,483号に基づいて優先権を主張する。
(発明の背景)
(1.技術分野)
本発明は、一般的に、ソリッド・ステート・キーボードに関する。更に詳細には、本発明は、装飾及び機能層を統合するソリッド・ステート・キーボードに関する。
【背景技術】
【0002】
(2.関連技術)
キーパッド入力システムは、いくつかの部品のアセンブリであるのが普通である。例えば、典型的なキーパッドは、ユーザ・インタフェースとなるガラス、プラスティック、あるいは柔軟な膜のフェース・プレートあるいはフロント・パネルを含む。このフェース・プレートは、キーパッドの機能を説明するグラフィックス及び/または、単なる装飾目的のロゴ等のその他の証印(indicia)を含むことができる。そのようなキーパッドは、更に、例えば、電界効果センサー電極及び制御回路を含む別のパネルを含む。これらの2つのパネルは、典型的には、別々のサブ・アセンブリとして製造されて、後に組み合わされて完成したキーパッドを構成する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
いくつかのキーパッドは、再構成可能なディスプレイと関連して再構成可能なキーを使用する。そのようなシステムの一例は、ドット・マトリクス・ディスプレイを含み、それは、ユーザに対してプロンプトを与え、またディスプレイ付近に位置し、各種のプロンプトに隣接するメンブレン・スイッチのような1または複数の機械的スイッチを介して入力をそのユーザから要求する。そのようなシステムは、各種のメニュー・レベルを通してユーザを案内するが、その場合、特別なスイッチに対応して表示されるプロンプトは、レベルごとに変化し、そのスイッチの機能は、それに応じて変化するようになっている。そのようなシステムに付随する1つの欠点は、ユーザにとって、特定の表示プロンプトに付随するスイッチが、もしあるとしても、どれであるかが常に明らかであるとは限らないことである。別の欠点は、そのような応用で広く採用されているメンブレン・スイッチは、頻度の高い応用に採用された場合、初期故障を起こす傾向があるということである。
【0004】
キャッシュ・レジスタの入力パッドや消費者製品情報キオスク(kiosk)に関連してしばしば利用されるコンピュータ・タッチ・スクリーン技術は、より優れた解決法を提供するが、コストが嵩み、また複雑でもある。事実、そのようなシステムは、一般に、PCベースの、あるいは独自の復号ハードウエアを必要とする。更に、そのようなシステムがハードウエアを必要とすることにより、利用スペースが少ない用途にそれらを採用することは、できなくなる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(発明の概要)
本発明は、装飾層及び機能層を含む多重層を有する統合型ソリッド・ステート・キーパッドである。本キーパッドは、1または複数のキーを含み、それらは、好ましくは、電界効果センサーとして具体化される。特定の実施の形態では、キーのうち1または複数のものは、再構成可能なキーであり、それらは、再構成可能なディスプレイと関連付けて利用できる。好ましくは、再構成可能なキーは、透明な電極構造を有する電界効果センサーとして具体化される。
【実施例】
【0006】
(例示的実施の形態の詳細な説明)
図1は、本発明の好適な実施の形態に従うキーパッド10の正面、あるいはユーザ・インタフェース面12を示す。キーパッド12は、基板20上に配置されたビュー・ウインドウ14、3つの再構成可能なキー16、及び20個の再構成できないキー18を含む。キー16,18は、以下で説明するように、キーパッド10の背面に配置された電界効果センサー、容量性センサー、あるいはその他のセンサーに対応する。図1に示された機構の正確な組合せは、本発明にとって本質的なことではなく、単なる説明のためのものである。事実、本発明の他の実施の形態では、より少ないあるいはより多いビュー・ウインドウ、再構成可能キー、あるいは再構成できないキーを有することができる。更に、いくつかの実施の形態は、これらの機構にうち、1つまたは複数のものを全く欠くこともできる。
【0007】
図2は、キーパッド10を構成する各種層を示す側面図である。図2は、各種層の好適な配置を示す。他の実施の形態では、各種層は、当業者には理解されるであろうが、別のやり方で及び/または別の順序に配置することができる。基板20は、キーパッド10の中核を構成するものであるが、装飾材料及び導電性薄膜を受け止めるのに適した任意の硬いまたは柔軟な材料でよい。例えば、基板20は、一片のガラスやプラスティックあるいはポリエステルを含む柔軟な担体でよい。
【0008】
層22,24,26,28は、装飾材料の層である。これらの装飾材料層は、特別なキーの機能を示すグラフィックスのような機能情報や、例えば、装飾パターンやロゴなどの純粋に装飾的なグラフィックスを提供することができる。それらは、基板20の片面あるいは両面に設けられる。図2は、基板20のユーザ・インタフェース面上の1つの装飾層22と、基板20の背面上の3つの装飾層24,26,28とを示す。他の実施の形態では、より多くのあるいはより少ない装飾層を基板20の各々の側に用いることができる。
【0009】
好適な実施の形態では、装飾層22,24,26,28は、有機装飾材料、例えば、スクリーン印刷されたインク、エポキシ、及び紫外線で硬化可能な材料を含む。無機材料を含むその他の装飾材料を使用することも同様に可能である。これらの各種の装飾材料は、本質的に不透明、透明、あるいは本質的に透明であることができる。ビュー・ウインドウ14を有する実施の形態では、ビュー・ウインドウ14の領域内に位置するすべての装飾物は、本質的に透明であることが望ましく、そうすることによって、ユーザは、ビュー・ウインドウ14の背後に搭載されるであろうディスプレイ(図示されていない)を眺めることができ、あるいは、バックライトがビュー・ウインドウ14を貫通することができる。更に、ビュー・ウインドウ14の領域内に位置する装飾は、特定の光学的特性を有するものに選ぶことによって、そのような装飾が光学フィルタとして機能するようにできる。
【0010】
層30は、導電材料を含む本質的に透明なオプション層である。図3を参照すると、透明な導電層30は、使用される場合には、透明電極及び電気回路トレース32として構成されることが望ましい。透明電極及びトレース32は、基板28上の任意の場所に位置することができる。例えば、透明電極及びトレース32は、基板18の装飾部分の上、基板18と装飾物との間に位置することができて、そうすれば、透明電極及びトレース32を通して装飾物を見ることができる。バックライトを使用する応用では、透明電極及びトレース32は、バックライトで照らされる部分に使用することによって、電極及びトレース32が従来の不透明の材料を含む場合のようにバックライトが遮蔽されることなくユーザに到達するようにできる。図1を参照すると、ビュー・ウインドウ14に対応する領域内に位置する再構成可能なキー16あるいはその他のキーを実現するために透明電極及びトレース32を使用することは、そうすることによって、ビュー・ウインドウ14の背後に搭載されるディスプレイ(図示されていない)の出力がユーザに可視となることから特に望ましい。
【0011】
以下でより詳しく説明するように、電気回路部品を透明電極及びトレース32と組み合わせることによって、電界効果センサー、容量性センサー、あるいはその他のセンサーを構成することができる。透明な導電層30は、各種の方法で形成できる。例えば、透明な導電層30は、スクリーン印刷やマイクロ堆積技術を用いて所望のパターン状に堆積できる。あるいは、透明な導電層30は、例えば、スパッタリングや熱蒸着法を用いて薄膜としてメッキあるいは形成し、その後でパターニング及びエッチングを行って透明電極及びトレース32とすることができる。その他の適当な方法、例えば、スピン塗布を用いても、当業者には既知のように、透明な導電層30を形成することが可能である。
【0012】
図2は、装飾層28の上に堆積された透明な導電層30を示す。これは、最終的には基板20の上に配置される。あるいは、透明な導電層30は、直接に基板20の上に配置することもできる。そのような実施の形態では、オプションとして透明な導電層30の上に装飾層(図示されていない)を配置することもできる。1または複数の装飾層の上あるいは下に透明で導電性の電極及びトレース32を配置する実施の形態では、透明な導電層30と同じ広がりを持つそのような装飾層の少なくとも一部分は、本質的に透明で、光学フィルタの特性を有する材料を含むことが望ましい。透明な導電層30に適した材料としては、例えば、インジウム・スズ酸化物のような無機材料や、PEDOT(ポリエチレン・ジオキシ・チオフェン)であるバイトロン(Baytron)(R)のような有機材料が含まれる。
【0013】
層40は、透明な導電層30の上に配置された従来の導電材料の層である。好ましくは、従来の導電材料層40は、ミシガン州ポート・ヒューロン市のアチソン・コロイド社(Acheson Colloids Company)から供給されるようなポリマー厚膜銀あるいは銅エポキシを含む。その他の実施の形態では、この層は、メッキされた銅やその他の導電性材料を含むことができる。図4を参照すると、従来の導電層材料40は、好ましくは、電界効果センサー電極42、電気回路トレース44、及びボンディング・パッド46の形に配置される。後に詳しく説明するように、電気回路部品、例えば、集積回路、トランジスタ、及び抵抗(図示されていない)をボンディング・パッド46を介して電極42及びトレース44に接続することによって、電界効果センサー、容量性センサー、あるいはその他のセンサーを形成することができる。好ましくは、そのような部品は、従来のはんだ付け技術を用いてボンディング・パッドに接続される。あるいは、そのような接続は、導電性接着剤、異方性接着剤、あるいはその他の当業者には既知の適当な手段を用いて行うことができる。従来の導電材料層40は、当業者には既知の任意の適当な方法、例えば、光学的に透明な導電層30の応用に関して上述した任意の方法を用いて形成することができる。
【0014】
図2及び5を参照すると、層50は、従来の導電層40及び/または透明な導電層30の上に配置されたはんだ用マスク/誘電層である。層50は、はんだ用のマスクを提供し、そこに電気回路部品をボンディングすべき導電層40の一部を露出させたままに残す。例えば、はんだ用マスク50は、集積回路及びその他の電気部品をボンディング・パッド46に容易に接続できるように、ボンディング・パッド46を露出したままに残すように設計される。このようにして、キー16,18に対応する電界効果センサーあるいはその他のセンサーは、基板20上にその場で構築できる。そのような回路部品を透明な導電層30に直接接続することは、一般には、好ましくないのではあるが、はんだ用マスク50は、そのようなボンディングを容易にするために、必要に応じて、透明な導電層の露出部分を残すように設計することができる。
【0015】
層50は、また、従来の導電層40及び透明な導電層30とキーパッド10のその他の層との間の電気的絶縁を提供する。例えば、特別な回路設計では、図7に示され、当業者には既知のように、クロスオーバー70の採用が必要な場合がある。もし層50が適当な誘電特性を有するものに選ばれれば、そのようなクロスオーバーを層50の上に採用して適当な地点で従来の導電層40(及び/または必要に応じて透明な導電層30)に接続することができる。そのような実施の形態では、層50は、さもなければ、接触して回路短絡の可能性をもたらすクロスオーバー70を従来の導電層40(及び/または必要に応じて、透明な導電層30)の部分から絶縁する。
【0016】
層60は、クロスオーバー70を含む実施の形態に使用できるオプションの誘電層である。上で層50に関して説明したように、オプションの誘電層60は、電気的クロスオーバーと、そのようなクロスオーバーによって架橋されるキーパッド10の導電部分との間に電気的絶縁を提供する。
【0017】
再構成可能なディスプレイ(図示されていない)は、ビュー・ウインドウ14に対応する領域に隣接するキーパッド10の背面に配置できて、それによってユーザは、ビュー・ウインドウ14を通してディスプレイを眺めることができる。そのような実施の形態は、好ましくは、ビュー・ウインドウ14に対応する領域内に透明電極構造を有する電界効果センサーあるいはその他のセンサーを含む再構成可能なキー14を含む。そのようなセンサーの機能は、当業者には既知のように、そのようなセンサーに対応する領域内でディスプレイに設定された対象物に従うように再構成可能であることが好ましい。
【0018】
以上、本発明の特定の実施の形態について示し説明してきたが、当業者には明らかなように、本発明の精神から離れることなく数多くの修正がなし得る。本発明のスコープは、以下の特許請求の範囲に定義される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明に従うキーパッドの正面図。
【図2】本発明に従うキーパッドの側面図。
【図3】基板上の透明導電層を示す、本発明に従うキーパッドの背面図。
【図4】基板上の従来の導電層を示す、本発明に従うキーパッドの背面図。
【図5】基板上の誘電層またははんだマスクを示す、本発明に従うキーパッドの背面図。
【図6】基板上の付加的誘電層を示す、本発明に従うキーパッドの背面図。
【図7】第1の導電層を第2の導電層に接続するためのクロスオーバーを示す、本発明に従うキーパッドの背面図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
キーパッドであって、
基板と、
前記基板上に配置された装飾材料の少なくとも1つの層と、
前記基板及び前記装飾材料の少なくとも1つの上に配置された導電材料の少なくとも1つの層と、及び
導電材料の前記少なくとも1つの層の上に配置された少なくとも電気回路部品と、
を含む前記キーパッド。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2006−524400(P2006−524400A)
【公表日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−513217(P2006−513217)
【出願日】平成16年4月22日(2004.4.22)
【国際出願番号】PCT/US2004/012419
【国際公開番号】WO2004/095488
【国際公開日】平成16年11月4日(2004.11.4)
【出願人】(505287047)タッチセンサー テクノロジーズ,エルエルシー (17)
【Fターム(参考)】