説明

多層膜−ナノワイヤ複合体、両面及びタンデム太陽電池

【課題】ナノ構造体を用いた多重接合型光起電力デバイスおよびそれを用いたソーラーパネルを提供する。
【解決手段】光起電力デバイス100は、2以上の表面を有する基板110、及び基板の少なくとも1つの表面の少なくとも一部上に配置された多層膜105を含む。複数の細長いナノ構造体125が多層膜上に配置される。デバイスにおいて、細長いナノ構造体に接触する多層膜の最上層がトンネル接合140である。デバイスは細長いナノ構造体上に堆積された1以上の層107を有し、この層が光活性接合の一部を画定する。ソーラーパネルは、光起電力デバイスを1以上備える。ソーラーパネルは、光起電力デバイスそれぞれを周囲の大気環境から隔離するとともに電力の発生を可能にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、一般に太陽電池に関し、特に細長いナノ構造体を多層膜上に配置した太陽電池に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、太陽電池の製造で最も常用されている材料はシリコン(Si)であり、太陽電池は日光を電気に変換するために使用される。この目的には単一接合及び多重接合のpn型太陽電池が使用されているが、いずれの効率もこの技術の製造及び使用に関係するコストを顕著に低減させるのに十分なほどではない。その結果、従来の電気供給源との競争により、太陽電池技術の広汎な使用は妨げられている。
【0003】
大抵の電子デバイス及び光電子デバイスでは、接合の形成が必要となる。例えば、1導電型の材料を反対導電型の異種材料に接触させて配置してヘテロ接合を形成する。別法として、単一タイプの材料からなる異種ドープ層1対を組み合わせてpn接合(又はホモ接合)を形成してもよい。導電型の変化及び/又はバンドギャップの変動に原因するヘテロ接合での急激なバンドベンディングは、高密度の界面状態を引き起こし、それが電荷キャリヤの再結合をもたらすことがある。さらに、製造中に接合の位置に導入された欠陥が電荷キャリヤの再結合部位として作用してデバイスの性能を低下させることがある。
【0004】
太陽エネルギー変換装置の理想的な熱力学的効率は85%程度であるが、太陽スペクトル中のバンドギャップより低いエネルギーの光子が吸収されないという事実により効率の損失がある。この損失だけで、黒体放射とともに適用した場合、単一接合セルの変換効率は約44%(所謂極限効率)に限定される。さらに、黒体温度に対して正規化された現実の太陽光スペクトル、太陽電池の温度、太陽電池の形状、太陽電池の屈折率及びダイオードの式を考慮して、Shockley及びQueisserは、単一接合セルの性能が、1.45電子ボルト(eV)のバンドギャップを有する1太陽照射の最適セルについて30%をわずかに上回る効率に、また最高濃度について40%をわずかに上回る効率に制限されることを証明できた(Shockley and Queisser,“Detailed Balance Limit of Efficiency of p−n Junction Solar Cells”,J.Appl.Phys.,1961,32(3),pp.510−519)。さらに最近の計算では、単一接合に関するこの「細目均衡限界効率」は29%であると証明されている(Kerr et al.,“Lifetime and efficiency of limits of crystalline silicon solar cells”,Proc.29th IEEE Photovoltaic Specialists Conference,2002,pp.438−441)。加えて、点欠陥(格子間不純物)、金属クラスター、線欠陥(転位)、平面欠陥(積層欠陥)及び/又は結晶粒界に関連した半導体結晶中のトラップ状態による光生成電子及び正孔の再結合はさらに効率を低下させる。この後者の効率低下は適当な性質(特に、光生成キャリヤの長い拡散距離)を有する他の材料を使用することで解消できるが、それでもこの技術を従来の電気供給源とコスト的に同等なものにするには至らない。
【0005】
構造不全や不純物原子による欠陥状態は単結晶半導体の表面上及びバルク内に存在しうる。その上、多結晶半導体材料は、粒界を有するランダム配向した結晶粒子から構成され、その粒界が多数のバルク及び表面欠陥状態を誘起する。電荷キャリヤは欠陥位置で再結合し得、したがって電流キャリヤとして失われるので、欠陥は通例太陽電池などの電子及び/又は光電子デバイスの作用や性能に悪影響する。したがって、表面欠陥の悪影響を抑制するために、単結晶もしくは多結晶半導体基板の表面はしばしばデバイス作成中に不活性化(パッシベーション)される。表面不活性化法として、単結晶もしくは多結晶半導体基板上に真性(未ドープ)非晶質半導体材料の層を形成する方法がある。この方法は基板表面での電荷キャリヤの再結合を減少させ、デバイスの性能を向上する。
【0006】
光起電力(PV)デバイスを構成する材料の吸収能力も電池の効率に影響を及ぼすことがある。可変バンドギャップ材料で形成されたi型半導体吸収剤層をp型半導体層とn型半導体層との間に配置したpin型薄膜太陽電池が文献に記載されている。米国特許第5252142号を参照されたい。可変バンドギャップのi層吸収剤は、光電変換効率の向上をもたらす。
【0007】
多重接合型太陽電池もまた、向上した効率を有することが実証されている。異なるバンドギャップをもった積層接合を組み込んで光スペクトルの一層広い領域を捕獲することで、優れた性能を達成できる。かかるデバイスは、通例、積層pn接合又は積層pin接合を用いて製造される。このようなアレイ中における各接合セットは、しばしばセルといわれる。典型的な多重接合型太陽電池は、2つか3つのセルを互いに積層している。積層物中のセル数の関数としての、多重接合型太陽電池に関する最適バンドギャップ及び理論効率が、Marti及びAraujoによって理論的に解析されている(A.Marti and G.L.Araujo,Sol.Ener.Mater.Sol.Cells,199643(2),pp.203−222)。
【0008】
ナノ構造体
pn接合ダイオードアレイ中におけるシリコンナノワイヤは文献に記載されている(Peng et al.,“Fabrication of Large−Area Silicon Nanowire p−n Junction Diode Arrays”,Adv.Mater.,2004,vol.16,pp.73−76)。しかし、かかるアレイは光起電力デバイスで使用するように形成されていない上、かかるアレイが太陽電池の効率を高めるために役立ち得ることも示唆されていない。
【0009】
太陽電池デバイス中におけるシリコンナノ構造体は文献に記載されている(Ji et al.,“Silicon Nanostructures by Metal Induced Growth (MIG) for Solar Cell Emitters”,Proc.IEEE,2002,pp.1314−1317)。かかるデバイスでは、ニッケル(Ni)予備層上にSiをスパッタリングすることにより、微晶質Si薄膜中に埋め込まれた状態でSiナノワイヤを形成でき、Siナノワイヤが薄膜の内部で成長するか否かは予備層の厚さで決定される。しかし、かかるナノワイヤは能動光起電力(PV)要素でない。これらは単に反射防止能力の点で役立つにすぎない。
【0010】
ナノ構造体が能動PV要素であるような、シリコンナノ構造体を含む太陽電池は、本出願人に譲渡された米国特許出願第11/081,967号(2005年3月16日出願)に記載されている。この特許出願では、電荷分離接合は主としてナノ構造体そのものの内部に含まれていて、一般にかかるナノ構造体の合成中にドーピングの変更を必要とする。
【0011】
上述の説明の結果、ナノ構造化された下部構造上に多重接合セルを組み込むこと、そして欠陥の影響を抑制する製造方法は、従来の電気供給源と同等な効率をもった太陽電池を生み出すことができる。このように、PVデバイスに関する新しい構成を探求する必要は今なお存在している。これは特に、光吸収時における光トラッピングの向上及び短い電荷輸送経路から利益を得ることができるナノ構造化デバイスについて言える。
【特許文献1】米国特許第5252142号明細書
【特許文献2】米国特許第6995639号明細書
【特許文献3】米国特許第6743936号明細書
【特許文献4】米国特許第6660248号明細書
【特許文献5】米国特許第6417244号明細書
【特許文献6】米国特許第6203778号明細書
【特許文献7】米国特許第5928626号明細書
【特許文献8】米国特許第5851508号明細書
【特許文献9】米国特許第5665331号明細書
【特許文献10】米国特許第5580492号明細書
【特許文献11】米国特許第4079124号明細書
【特許文献12】米国特許出願公開第2006/0084278号明細書
【特許文献13】国際公開第2005/051435号パンフレット
【特許文献14】国際公開第2006/054240号パンフレット
【特許文献15】国際公開第2006/025627号パンフレット
【特許文献16】国際公開第2003/075961号パンフレット
【非特許文献1】Shockley and Queisser, "Detailed Balance Limit of Efficiency of p-n Junction Solar Cells", J. Appl. Phys., 1961, 32(3), pp.510-519
【非特許文献2】Kerr et al., "Lifetime and Efficiency of Limits of Crystalline Silicon Solar Cells", Proc. 29th IEEE Photovoltaic Specialists Conference, 2002, pp.438-441
【非特許文献3】A. Marti and G.L. Araujo, Sol. Ener. Mater. Sol. Cells, 199643(2), pp.203-222
【非特許文献4】Peng et al., "Fabrication of Large-Area Silicon Nanowire p-n Junction Diode Arrays", Adv. Mater., 2004, vol.16, pp.73-76
【非特許文献5】Ji et al., "Silicon Nanostructures by Metal Induced Growth (MIG) for Solar Cell Emitters", Proc. IEEE, 2002, pp.1314-1317
【非特許文献6】Braune et al., "Tantalum oxide nanomers for optical applications", SPIE Conf. on Org./Inorg. Hybrid Mat. for Photonics, San Diego, CA, (July 1998), pp.124-132
【非特許文献7】Parraud et al., "Stabilization and Characerization of Nanosized Niobium...", 75 (8), J. Am. Ceram. Soc. (1992), pp.2289-92
【非特許文献8】Yu et al., "Metal-Based X-ray Contrast Media", 99 Chem. Rev. (1999), pp.2353-2377
【非特許文献9】Li et al., "A Novel Simple Route to Synthesize Aqueous Niobium and Tantalum Precursors", 942, Mater. Res. Soc. Symp. Proc. (2006)
【非特許文献10】Tomita et al., "A Water-Soluble Titanium Complex for the Selective Synthesis of Nanocrystalline ...", 45 Angew. Chem. Int. Ed. (2006), pp.2378-81
【非特許文献11】Kominami et al., "Solvothermal synthesis of tantalum(V) oxide nanoparticles and their photocatalytic activities ...", 3 Phys. Chem. Chem. Phys. (2001), pp.2697-2703
【非特許文献12】Sun et al., "Sol-Gel Chemistry of Tantala HR Coatings: Structure and Laser-Damage Resistance", 8 J. Sol-Gel Sci & Tech. (1997), pp.493-497
【非特許文献13】Ozer et al., "Structural and Optical Properties of Sol-Gel Deposited Proton Conducting Ta2O5 Films", 8 J. Sol-Gel Sci. & Tech. (1997), pp.703-709
【非特許文献14】Romero et al., "Synthesis of Ta2O5 Nanorods in the Presence of Poly L-Lysine By a Sol-Gel Process", 95 Annali de Chimica (2005), pp.703-707
【非特許文献15】Yordanov et al., "Novel Iodinated Dendritic Nanoparticles for Computed Tomography (CT) Imaging", 2(6) Nano Letters (2002), pp.595-599
【非特許文献16】Bonnemann et al., "Nanoscopic Metal Particles-Synthetic Methods and Potential Applications", Eur. J. Inorg. Chem. (2001), pp.2455-80
【非特許文献17】Monreal et al., "Synthesis of nanoparticles of tantalum (V) oxide in presence of D-galactose 3,6 anhydro-L-galactose", 27(1/2) Int. J. Mat. Prod. Tech. (2006), pp.80-84
【非特許文献18】Fang et al., "Surface sol-gel synthesis of ultrathin titanium and tantalum oxide films", 1 J. Nanoparticle Res. (1999), pp.43-49
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一実施形態は光起電力デバイスを提供し、この光起電力デバイスは、2以上の表面を有する基板、基板の少なくとも1つの表面の少なくとも一部上に配置された多層膜、多層膜上に配置された複数の細長いナノ構造体、トンネル接合、及び複数の細長いナノ構造体上に堆積された1以上の層を備える。通常、ナノ構造体上に堆積された層が光活性接合の一部を与える。
【0013】
別の観点による実施形態は、光起電力デバイスの製造方法及び光起電力デバイスをソーラーパネルに組み込む方法を提供する。ソーラーパネルは、光起電力デバイスを1以上備え、このソーラーパネルが、光起電力デバイスを周囲の大気環境から隔離するとともに電力の発生を可能にする。
【0014】
光活性デバイスが、広いスペクトルの光エネルギーを捕獲することができ、また実施形態によっては、細長いナノ構造体間に材料を介在させて短絡を防止する、多重接合アレイであると、有利である。
【0015】
以上は本発明の特徴の概略をかなり大まかに示したが、本発明は以下の詳しい説明から一層よく理解できるであろう。本発明の要旨を構成する本発明の追加の特徴及び利点は以下に記載される。
【0016】
添付の図面を参照した以下の説明を考察することで、本発明及びその利点を一層完全に理解できよう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
一実施形態では、光起電力(PV=photovoltaic)デバイスは、(1)基体上に配置された多層膜、(2)多層膜の最上層上に配置することのできる細長いナノ構造体、及び(3)細長いナノ構造体上に配置された1以上の層を含むことができる(これらに限定されない)。細長いナノ構造体上に配置された層は細長いナノ構造体上にコンフォーマルに配置することができる。多層膜の種々の層及び細長いナノ構造体上に配置された層は、pn接合及びpin接合のような光活性接合の一部を形成することができる。これらの光活性接合は、多重接合アレイ中の各セルを分離するトンネル接合と積層することができる。多重接合アレイ中の各セルは直列に配列でき、またpn接合、pin接合及びこれらの組合せを含むことができる。一実施形態では、細長いナノ構造体は光活性接合の一部であってよく、またpドーパント又はnドーパントで適当にドープしてもよい。さらに、別の実施形態では、多層膜、細長いナノ構造体及び細長いナノ構造体上に配置された層は、PVデバイスの基板の両側表面上に両面配列に配列することができる。
【0018】
以下の説明では、本発明の実施形態の完全な理解を可能にするため、特定の細かい項目(例えば、特定の数量、サイズなど)を記載する。しかし、かかる特定の項目なしでも本発明を実施できることは当業者に自明である。多くの場合、本発明の実施にあたって考慮すべき項目の内、その項目が本発明の完全な理解を得るのに不要であり、また当業者の通常の知識の範囲内に含まれる限りで、これらを省略している。
【0019】
図面全般について言えば、図は本発明の特定の実施形態を説明するためのものであり、本発明をそれに限定するためのものではない。
【0020】
本明細書中で使用する用語の大部分は当業者にとって理解し得るものであろうが、本発明の理解を助けるために以下の定義を示す。しかし、明確に定義されていない場合、用語は当業者によって現在容認されている意味を有するものと解釈すべきであることを理解すべきである。
【0021】
本明細書中で定義される「光起電力デバイス」は、1以上のホトダイオードを含むとともに、光起電効果を利用して起電力(e.m.f.)を生み出すデバイスである。Penguin Dictionary of Electronics,Third Edition,V.Illingworth,Ed.,Penguin Books,London,1998を参照されたい。このようなデバイスの1例は「太陽電池」であり、太陽電池はその分光応答が太陽光に対して最適化されているホトダイオードである。
【0022】
本明細書中で定義される「ナノスケール」は、一般に1μm未満の寸法をいう。
【0023】
本明細書中で定義される「ナノ構造体」は、一般に1以上の寸法についてナノスケールである構造体をいう。
【0024】
本明細書中で定義される「細長いナノ構造体」は、少なくとも、1以上の断面寸法が約500nm未満であり、アスペクト比(例えば長さ/幅)が3超えである、ナノ構造体をいう。このような細長いナノ構造体の例には、特に限定されないが、ナノワイヤ、ナノロッド、ナノチューブなどがある。
【0025】
本明細書中で定義される「ナノワイヤ」は、一般に、代表的には2以上の寸法についてサブミクロン(<1μm)であるとともに主として円筒形の形状を有する細長いナノ構造体である。これらはしばしば単結晶である。
【0026】
本明細書中で定義される「コンフォーマル」は、構造体を被覆する皮膜について、皮膜がおおよそ構造体の形状にならう(即ち、形状に合致する)ことをいう。しかし、この用語は広義に解釈すべきであって、少なくともいくつかの実施形態では被覆構造体間の空隙を実質的に満たす状態も許容する。単一のコンフォーマル層の厚さは、被覆される構造体の様々な部分に沿って変化し得る。
【0027】
本明細書中で定義される「半導体材料」は、金属と絶縁体との大体中間の導電率を有する材料であって、かかる材料はその価電子帯と伝導帯との間にエネルギーギャップ(即ちバンドギャップ)を有する。純粋な非ドープト状態では、かかる半導体材料は通例「真性」であると言う。
【0028】
本明細書中で定義される「ポリシリコン」(Poly−Si)は、多結晶シリコンを指す。このような材料は多数の結晶ドメインから構成される。
【0029】
本明細書中で定義される「非晶質」は、非規則系及び実質的にランダムな内部構造を有する材料を指す。
【0030】
本明細書中で定義される「pドーピング」は、真性半導体材料の導電率を高めるのに、かつ接合を形成できるようにフェルミ準位を価電子帯に向かって移動させるのに有効な正孔を導入する不純物による半導体材料のドーピングをいう。このようなpドーピングの例は、シリコン(Si)への少量のホウ素(B)の添加である。
【0031】
本明細書中で定義される「nドーピング」は、真性半導体材料の導電率を高めるのに、かつ接合を形成できるようにフェルミ準位を伝導帯に向かって移動させるのに有効な電子を導入する不純物による半導体材料のドーピングをいう。このようなnドーピングの例は、シリコン(Si)への少量のリン(P)の添加である。
【0032】
本明細書中で定義される「電荷分離接合」は、ポテンシャル障壁及び電界勾配の存在によって電子及び正孔の分離を可能にする異なるタイプの材料(例えば、異なるドーパント及び/又はバルク組成物を有する材料)間の境界からなる。
【0033】
本明細書中で定義される、光起電力デバイスに関する用語「ヘテロ接合」は、異なるバンドギャップを有する2種の異なる半導体材料の接触によって確立された電荷分離接合である。
【0034】
本明細書中で定義される「能動PV要素」は、電荷分離接合の確立に関与する、また出力電流に寄与するはずの光吸収に関与するPVデバイスの構成要素である。
【0035】
本明細書中で定義される「pn型光起電力デバイス」は、pドープト半導体とnドープト半導体との接触によって確立された電荷分離接合を有するホトダイオードを1以上含んでなるデバイスである。
【0036】
本明細書中で定義される「pin型光起電力デバイス」は、3種の材料の積層体であって、1層がp型にドープされており(主として正孔伝導用)、1層がドープされておらず(即ち、真性であり)、残りの層がn型にドープされている(主として電子伝導用)、積層体である。
【0037】
本明細書中で定義される「多重接合」は、pn接合及び/又はpin接合を含み得る積層光活性接合のタンデムアレイである。各光活性接合は、トンネル接合によって隣接するセルから分離できる。
【0038】
本明細書中で定義される「太陽電池」は、本質的に太陽光からのエネルギー変換用の光起電力デバイスである。
【0039】
本明細書中で定義される「ナノテンプレート」は、ナノスケール寸法を有する細孔又はカラムのアレイを含む無機又は有機膜である。細孔(ポア)は、一般に、膜の平面に対して実質的に垂直な方向に沿って膜を通過している。
【0040】
デバイス構成
図1について説明すると、一実施形態の光起電力デバイス100は、(a)2以上の表面115および120を有する基板110、(b)基板110の少なくとも一部上に配置された多層膜105、(c)トンネル接合140上に配置された細長いナノ構造体125、及び(d)細長いナノ構造体125上に配置された1以上の層130を含むことができる(これらに限定されない)。
【0041】
基板110は、例えばガラス、セラミック又は金属とすることができる。一実施形態では、PVデバイス100の構成要素を表面115上に配置することができる。別の実施形態では、PVデバイス100の構成要素を表面115及び120上に両面配列にて配置することができる(下記参照)。一実施形態では、1以上の層130を細長いナノ構造体125上に堆積することができる。
【0042】
多層膜105は、多結晶層を含むことができ、多結晶層は、例えば、多結晶シリコン(ポリシリコン、即ちpoly−Si)でもよく、また一実施形態ではpドープト半導体でも、別の実施形態ではnドープト半導体でもよい。一実施形態では、多層膜105の他の層は、単結晶層及び非晶質層を含むことができる。多層膜105は、pn接合でもpin接合でもよい1以上の光活性接合を形成する成分を示す。多層膜の最上層は通常トンネル接合層140である。
【0043】
細長いナノ構造体125は、トンネル接合140上に、トンネル接合層に重ねたテンプレート145を介して、配置することができる。実施形態によっては、テンプレート145は不要である。テンプレート145の代わりに、細長いナノ構造体125と同じ組成の材料の薄膜をトンネル接合の上に重ねてもよい。この後、細長いナノ構造体125を薄膜上に、その表面上に適切に分布したナノ粒子触媒から成長させることができる。こうして細長いナノ構造体125は、トンネル接合140上に重なる薄膜の表面と連続材料体を形成する。
【0044】
コンフォーマル層30は、テンプレート145を用いる場合、細長いナノ構造体125だけの上に配置すればよい。一実施形態では、テンプレート145はナノ多孔質テンプレートである。テンプレート145がない場合には、コンフォーマル層は細長いナノ構造体間にも延在し、連続なコンフォーマル層を形成する。例えば、堆積された第1コンフォーマル層130は、細長いナノ構造体125上に、また直接トンネル接合140上に配置されることになる。コンフォーマル層130は、一実施形態では、光活性接合の少なくとも一部を形成することができる。光活性接合は、ある実施形態ではpn接合とすることができ、別の実施形態ではpin接合とすることができる。さらに他の実施形態では、1以上の層130はトンネル接合を含むことができる。多層膜105及び細長いナノ構造体125上のコンフォーマル層130で、タンデム多重接合アレイが形成される。
【0045】
一実施形態では、透明導電性材料(TCM=transparent conductive material)の層107が層130の上に堆積される。TCM107は、複数の被覆された細長いナノ構造体125間のスペースをほぼ充填することができるが、このことは必要ではない。その上、TCM107は複数の細長いナノ構造体の上方に見かけ上平坦な表面を形成することができる。さらに、デバイスを外部回路に接続するよう機能する上部接点135及び下部接点(図示せず)を設けることができる。この場合、下部電極は(必ずではないが)代表的には基板と一体化される。
【0046】
最後に、一実施形態では、PVデバイス構体を基板上に両面配列にて配置することができる。即ち、多層膜105を基板110の表面115および120上に配置することができる。同様に、細長いナノ構造体125を基板110の両側に配置することができる。両側に非晶質層130をコンフォーマルに堆積した後、TCM107を設けるとともに、デバイスを外部回路に接続する接点135を設ける。さらに、この構成配置では、PVデバイスにミラー(図示せず)を設けることができ、こうすれば最上部の光活性接合に入射しなかった光が反射されて最下部の光活性接合と相互作用するようにできる。
【0047】
デバイス構成要素
細長いナノ構造体は、通例、約100nm〜約100μmの範囲の長さ及び約5nm〜約1μmの範囲の幅を有する。一実施形態では、ナノ構造体は、(構成配置に応じて)基板、多結晶又はトンネル接合層上に、垂直配向にて、即ちこれらの層の平面に対して垂直な配向にて配列される。他の実施形態では、細長いナノ構造体はおおよそランダムな状態で配置される。細長いナノ構造体を0°〜90°の間の角度で配置できることが当業者に明らかである。
【0048】
一実施形態では、細長いナノ構造体は、例えばシリコンナノワイヤとすることができる。細長いナノ構造体はnもしくはpドープト半導体いずれでもよい。細長いナノ構造体は、様々な実施形態に従って光起電力デバイスを与えるのに適した任意の材料から形成し得る。好適な半導体材料には、特に限定されないが、シリコン(Si)、シリコン−ゲルマニウム(SiGe)、ゲルマニウム(Ge)、ヒ化ガリウム(GaAs)、リン化インジウム(InP)、GaInP、GaInAs、ヒ化インジウムガリウム(InGaAs)、窒化インジウム(InN)、セレン(Se)、テルル化カドミウム(CdTe)、Cd−O−Te、Cd−Mn−O−Te、ZnTe、Zn−O−Te、Zn−Mn−O−Te、MnTe、Mn−O−Te、銅酸化物、炭素、Cu−In−Ga−Se、Cu−In−Se及びこれらの組合せがある。好適な導電材料には、特に限定されないが、縮退ドープトシリコン、アルミニウム(Al)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)のような金属材料、カーボンナノチューブ及びこれらの組合せがある。
【0049】
一実施形態では、多層膜及び細長いナノ構造体上のコンフォーマル層は、pドープト半導体及びnドープト半導体である組成物を含み得る。非ドープト層を組み込んでもよく、これは真性層を含む。光活性接合を分離するトンネル接合として作用する他の層をタンデムセルアレイにて組み込むことができる。一実施形態では、種々の層の一部分がデバイスの結晶質部分とセルを構成して、積層されたpn接合を形成することができる。別の実施形態では、種々の層の一部分が積層されたpin接合のセルを構成することができる。さらに他の実施形態では、種々の非晶質層の一部分が積層されたpn及びpin接合の組合せを構成することができる。ある実施形態では、トンネル接合として作用する層でセルを分離することができる。
【0050】
種々の層の光活性接合を構成する部分の組成は、例えば、非晶質シリコン(a−Si)、非晶質シリコン−ゲルマニウム(a−SiGe)、ナノ結晶質シリコン(nc−Si)及び非晶質シリコンカーバイド(a−SiC)とすることができる。一実施形態では、かかる材料を、細長いナノ構造体の回りにかつ基板上に、バンドギャップエネルギーが順次増加する複数層として、規則配列できる。
【0051】
代表的には、非晶質層の合計厚さは5〜50,000Åの範囲とすることができる。或いは、コンフォーマル層は相対厚さ約30〜約4000Åの範囲とすることができる。厚さは、異なるバンドギャップエネルギーの接合間における電流整合を最適化するように調整すればよい。つまり、所定の層の厚さは、個々のセル(即ち、各光活性接合)が発生する光電流が実質的に同等となるように変更すればよい。一実施形態では、特定の層がトンネル接合を含み得る。このような場合、材料組成は金属酸化物、例えば酸化亜鉛とすることができる。
【0052】
透明導電性材料(TCM)の層を用いるデバイスの実施形態では、透明導電性材料を透明導電性酸化物(TCO)とすることができる。一実施形態では、透明導電性酸化物がインジウム錫酸化物(ITO)である。他の実施形態では、透明導電性酸化物がドープトZnOである。代表的には、透明導電性材料の厚さは約0.05μm〜約1μmである。
【0053】
トンネル接合層上にナノテンプレートを用いる場合、ナノテンプレートは陽極酸化された酸化アルミニウム(AAO)、二酸化ケイ素(SiO)、窒化ホウ素(BN)、窒化ケイ素(Si)などの材料から形成することができる。一実施形態では、多孔質ナノテンプレート910cは約0.1μm〜約100μmの厚さ(又は平均厚さ)とすることができ、多孔質ナノテンプレートは約1nm〜約1μmの細孔径(又は平均細孔径)とすることができ、また多孔質ナノテンプレートは約10/cm〜約1012/cmの細孔密度とすることができる。
【0054】
デバイス光活性接合
図2を参照すると、一実施形態では、光起電力デバイス200は、pドーパント又はnドーパントでドープされた基板210を含むことができる。pn接合を発生するもっとも簡単な配列は、基板とは反対にドープされた第1層250との配列である。層250は多結晶、単結晶、非晶質いずれでもよい。当業者に明らかなように、層250の正確な性質は基板210の選択に依存する。層240はトンネル接合として作用し、細長いナノ構造体225で発生する光活性接合を分離する。層230は細長いナノ構造体225上にコンフォーマルに堆積することができる。層230及び細長いナノ構造体225のドーピングは互いに反対にして、接合を確立することができる。
【0055】
一実施形態では、層250及び層230のいずれか一方の組成を厚さ方向(層230についてAで示す)に傾斜させることができる。即ち、基板210との界面付近では、層250は実質的に真性とすることができ、そして層の厚みを増すにつれて、増加する量のドーパントを導入して電荷分離接合を発生する。同様に、細長いナノ構造体225との界面付近では層230は実質的に真性とすることができ、厚さA方向にドーピング量を増加することができる。
【0056】
図2では、テンプレートも薄膜も(簡潔のため)図示しないが、例えば、テンプレートが存在する場合、コンフォーマル層230を構造体225上だけに配置することができる。或いはまた、テンプレートが存在しない場合、コンフォーマル層230が表面トンネル接合240まで延在し、連続なコンフォーマル層として表面トンネル接合240を覆うことができる。つまり、層230は、各細長いナノ構造体225間でトンネル接合層240の表面に沿って延在する。さらにコンフォーマル層を堆積してさらに積層された接合を画定することができ、同様に、順次の層それぞれがナノ構造体225間で先行層の表面に沿って延在する。当業者に明らかなように、ワイヤ間への層の延在はワイヤ間の短絡を抑制するのに有利なことがある。
【0057】
図3に示すように、光起電力デバイス300の基板310は光活性接合の一部である必要はない。即ち、基板310は絶縁性でも導電性でもよい。堆積された第1層350は第1ドーピング型で、第2層360は反対ドーピング型とすることができる。これにより、第1pn接合が画定される。細長いナノ構造体325のアレイを形成する前に、トンネル接合層340を設ける。層330でのコンフォーマル被覆によりさらにpn接合を画定する。この場合も、前述したように、層330及び360の組成を厚さ方向に傾斜させることができる。追加のコンフォーマル層を層330の上に堆積することもできる。
【0058】
図4を参照すると、他の実施形態では、真性層をpドープト層とnドープト層間に組み込むことができる。図4のデバイス400は、ドープト層450と460間に真性層470を組み込んだことを示す。同様に、真性層490がドープト層430と細長いナノ構造体425間に配置されている。これらの2つのpin接合が形成するセルはトンネル接合層440により分離されている。当業者に明らかなように、最上トンネル接合層上に細長いナノ構造体425を配置する前に、他の接合(pn又はpin)を画定する追加の層を組み込むことができる。同様に、セルがトンネル接合層で分離されているならば、細長いナノ構造体425の上方で追加の接合をコンフォーマルに被覆することができる。つまり、各細長いナノ構造体間に得られるスペースの制約内で、任意の数の光活性接合をナノ構造体425の上方でコンフォーマルに集成することができる。このスペースの考慮に加えて、各セルはバンドギャップエネルギーを変動し、最大利用可能範囲の光エネルギーを捕獲するのが理想的である。一実施形態では、最大バンドギャップエネルギーは多重接合アレイにおける最上部セル(光が最初に入る)になる。
【0059】
図5に示す例は、細長いナノ構造体525の上方に追加の光活性接合を組み込んだ多重接合アレイデバイス500である。(絶縁性もしくは導電性)基板510上に層550及び560を堆積することにより第1pn接合を画定する。トンネル接合540はこの接合を、ナノ構造体525のまわりに形成される後続の接合から分離する。ナノ構造体525と第1層530から中間接合を形成する。別のトンネル接合580は中間接合を、層590及び595のコンフォーマル堆積により形成される最上部接合から分離する。図2の場合と同様、簡潔のためにテンプレートも薄膜も図示していないが、テンプレートが存在しない場合には、順次のコンフォーマル層それぞれの延在が上記と同様に適用される。
【0060】
最後に、一実施形態では、基板に底部接点を設けることができる。一実施形態では、透明導電性材料の層が上部接点を与える。目的とする用途に応じて、デバイスは上部又は下部照射又は両方となるように設計することができる。
【0061】
デバイスの製造
一実施形態では、図6に示すように、上記ナノ構造体に基づく光起電力デバイスの製造方法600は下記の工程で進行する。図6を参照すると、第1工程(工程601)で、多層膜を基板の少なくとも1つの表面上に配置する。つぎに(工程602)、細長いナノ構造体を多層膜上に配置する。工程603で、少なくとも1層を細長いナノ構造体上にコンフォーマルに堆積する。テンプレートが存在しない場合、コンフォーマル層は順次の層それぞれの表面上に延在し、隣接するナノ構造体間に延在する。工程604で、透明導電性材料を非晶質層上に層として堆積する。そして工程605で、デバイスを外部回路に接続する作用をなす上部及び下部接点を設立する。上部接点はTCM上に配置することができ、下部接点は基板の細長いナノ構造体とは反対側の表面上に配置するか、基板内に組み込むことができる。
【0062】
上述した方法の実施形態では、細長いナノ構造体を設けるのに、化学蒸着(CVD)、金属有機物化学蒸着(MOCVD)、プラズマ強化化学蒸着(PECVD)、ホットワイヤ化学蒸着(HWCVD)、原子層堆積(ALD)、電気化学堆積(ECD)、溶液型化学堆積(SCD)及びこれらの組合せからなる群から選択される方法により細長いナノ構造体を成長させる。一実施形態では、細長いナノ構造体は、触媒の作用で金属ナノ粒子から成長させることで設けられる。この場合、金属ナノ粒子はナノ多孔質テンプレート中に存在させることができる。金属ナノ粒子は金(Au)、インジウム(In)、ガリウム(Ga)、白金(Pt)及び鉄(Fe)からなる群から選択される金属を含み得る。
【0063】
上述したようにテンプレート145はナノ多孔質テンプレートとすることができる。例えば、一実施形態では、細長いナノ構造体を成長させるために、本出願人に譲渡された米国特許出願第11/141,613号(2005年5月27日出願、本発明の先行技術として援用する)に記載されているようなナノ多孔質テンプレートを使用する。ナノ構造体は、CVD、MOCVD、PECVD、HWCVD、ALD、ECD、SCD、スパッタリング又はこれらの組合せを用いて成長させる。
【0064】
上述した方法の実施形態では、多層膜をコンフォーマルに堆積する工程は、CVD、MOCVD、PECVD、HWCVD、ALD、MBEスパッタリング及びこれらの組合せからなる群から選択される技術を用いて実施される。ナノ構造体の形成時にテンプレートが存在しない場合には、コンフォーマル堆積により細長いナノ構造体上と各ナノ構造体間とに層を設ける。
【0065】
ソーラーパネル
一実施形態では、本発明は、本明細書中に開示されたような多重接合ナノ構造体に基づく光起電力デバイスの1以上を含み得るソーラーパネルに関する。ソーラーパネルは、各デバイスを周囲の大気環境から隔離するとともに電力の発生を可能にする。一実施形態では、光起電力デバイスは水平に装填することができ、こうすれば太陽を追跡する追跡システムの必要をなくすことができる。ソーラーパネルは、一実施形態では、集積発電システム(住宅用又は商業用)、消費者電子装置又はソーラー発電所に用いることができる。ソーラーパネルの作製は当業界でよく知られているので、ここでは簡潔のために詳細に説明しない。
【0066】
本明細書中に開示した実施形態はPVデバイスを太陽電池に適用するものであるが、この種のデバイスを光電子装置に組み込んでもよいことが当業者には明らかである。例えば、PVデバイスをLEDやレーザーに組み込むことができる。
【0067】
最後に、本発明の実施形態は、高い効率を示すとともに光誘起劣化に対して抵抗性を有し得る両面及び/又は多重接合ナノ構造化光起電力デバイスを提供する。本明細書中に開示された実施形態に従って製造された光起電力デバイスは、光の吸収を最適化するとともに、ヘテロ接合界面での再結合を最小限に抑えることができる。他の利点として、コストが低く製造が容易であり、特に主としてシリコンに基づくセルを含む実施形態でそうである。
【0068】
上述の実施形態に関して上に記載した構造、機能及び作用のあるものは本発明を実施するためには不要であり、単に本発明の例示的な実施形態を完全なものにするため説明に入れてあることが理解される。さらに、上に引用した特許及び刊行物中に記載された特定の構造、機能及び作用を本発明と共に実施できるが、これらは本発明の実施にとって不可欠ではないことも理解される。したがって、特許請求の範囲で定義される本発明の技術思想及び技術的範囲から実際に逸脱することなしに、詳述した態様とは異なる態様で本発明を実施してもよいことを理解すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本発明の一実施形態による光起電力デバイスの断面図である。
【図2】本発明の別の実施形態による半導体基板と2つのpn接合を有するデバイスの断面図である。
【図3】本発明の他の実施形態による半導体でない基板と2つのpn接合を有するデバイスの断面図である。
【図4】本発明の他の実施形態による半導体でない基板と2つのpin接合を有するデバイスの断面図である。
【図5】本発明の他の実施形態による半導体でない基板と3つのpn接合を有するデバイスの断面図である。
【図6】本発明の一実施形態にしたがって光起電力デバイスを製造する方法のフローチャートである。
【符号の説明】
【0070】
100 光起電力デバイス
105 多層膜
107 透明導電性材料
110 基板
115,120 基板表面
125 ナノ構造体
130 層
135 接点
140 トンネル接合

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2以上の表面(115,120)を有する基板(110)、
基板(110)の2以上の表面(115,120)の少なくとも1表面の少なくとも一部上に配置された多層膜(105)、
多層膜(105)上に配置された複数の細長いナノ構造体(125)及び
複数の細長いナノ構造体(125)上に配置された1以上の層(130)を備え、
複数の細長いナノ構造体(125)に接触する多層膜(105)の最上層が第1トンネル接合(140)層であり、
1以上の層(130)が光活性接合の一部である、
光起電力デバイス(100)。
【請求項2】
前記多層膜(105)がさらに、多結晶層、単結晶層、非晶質層及び第2トンネル接合(140)層からなる群から選択される少なくとも1層を含む、請求項1記載の光起電力デバイス(100)。
【請求項3】
前記多層膜(105)がさらに、p−ドープト層、n−ドープト層及び真性層からなる群から選択される少なくとも1層の要素を含む、請求項1記載の光起電力デバイス(100)。
【請求項4】
前記多層膜(105)がドーパント濃度が厚さ方向に傾斜した単一層である、請求項1記載の光起電力デバイス(100)。
【請求項5】
前記1以上の層(130)が複数の細長いナノ構造体(125)上にコンフォーマルに配置された、請求項1記載の光起電力デバイス(100)。
【請求項6】
前記1以上の層(130)が、p−ドープト層、n−ドープト層、真性層及び第2トンネル接合(140)層からなる群から選択される少なくとも1層の要素を含む、請求項1記載の光起電力デバイス(100)。
【請求項7】
前記1以上の層(130)がドーパント濃度が厚さ方向に傾斜した単一層である、請求項1記載の光起電力デバイス(100)。
【請求項8】
前記1以上の層(130)が、非晶質シリコン、非晶質シリコン−ゲルマニウム(SiGe)、Ge、GaAs、InGaP及び非晶質シリコンカーバイド(SiC)の1種以上を含む、請求項1記載の光起電力デバイス(100)。
【請求項9】
複数の細長いナノ構造体(125)がシリコンナノワイヤを含む、請求項1記載の光起電力デバイス(100)。
【請求項10】
ナノ多孔質テンプレート(145)が多層膜(105)上に配置された、請求項1記載の光起電力デバイス(100)。
【請求項11】
複数の細長いナノ構造体(125)が光活性接合に組み込まれている、請求項1記載の光起電力デバイス(100)。
【請求項12】
多層膜(105)、複数の細長いナノ構造体(125)及び1以上の層(130)が前記基板(110)の2以上の表面(115,120)に対して両面配列になっている、請求項1記載の光起電力デバイス(100)。
【請求項13】
さらに、前記1以上の層(130)上に配置された透明導電性材料(TCM)(107)を備える、請求項1記載の光起電力デバイス(100)。
【請求項14】
さらに、光起電力デバイス(100)を外部回路に接続する機能をなす上部及び下部接点(135)を備える、請求項13記載の光起電力デバイス(100)。
【請求項15】
請求項1記載の光起電力デバイスを1以上備えるソーラーパネルであって、光起電力デバイスを周囲の大気環境から隔離するとともに電力の発生を可能にする、ソーラーパネル。
【請求項16】
光起電力デバイスを太陽追跡システムとは独立な形態で装填できる、請求項15記載のソーラーパネル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−182226(P2008−182226A)
【公開日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−1735(P2008−1735)
【出願日】平成20年1月9日(2008.1.9)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【氏名又は名称原語表記】GENERAL ELECTRIC COMPANY
【Fターム(参考)】