説明

多格子スパース性ベースのフィルタリングのための方法及び装置

多格子スパース性ベースのフィルタリングのための方法及び装置を提供する。装置は、ピクチャのフィルタリングされた少なくとも2つのバージョンの適応的に重み付けられた組合せを生成するためにピクチャのピクチャ・データをフィルタリングするフィルタ(300)を含む。ピクチャ・データは、ピクチャの少なくとも1つのサブサンプリングを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、その内容全部を本明細書及び特許請求の範囲に援用する、西暦2007年6月8日付出願の米国特許仮出願第60/942677号の利益を主張する。
【0002】
本願の原理は、一般に、画像フィルタリングに関し、特に、多格子スパース性ベースのフィルタリングのための方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0003】
画像の汎用ロバスト・フィルタリングは、何れかのディジタル手順(例えば、予測、圧縮、アップスケーリング、獲得等など)から発出される低精度信号からの画像の高精度推定値を生成する必要がある多くのアプリケーションにとって必須である。
【0004】
多くのディジタル処理により、雑音、アーチファクト、及び/又は他のタイプの歪みが画像に挿入される。この目的で、スパース性近似に基づいたロバスト・フィルタリングを使用することが可能である。通常、スパース性近似を使用した前述のフィルタリングには、信号変換、変換された信号係数の閾値化(例えば、特定の値未満の係数全てをゼロに設定することが関係する)、及び空間領域への変換という手順が関係する。
【0005】
この目的で、完全変換及び/又は過完全変換を使用することが可能である。変換は、限定数の主方向を有する。これは、変換における基底関数が、限定数の方向に指向性特性を有するということを意味している。例として、2D DCT(2次元離散コサイン変換)の基底関数は、画像及びビデオに使用される矩形サンプリング・グリッド上に2つの方向(すなわち、垂直方向及び水平方向)を有する。このことは困難な制約である。変換が定義されると、使用される変換の純粋の「固有の」方向(例えば、対角線方向のエッジ、指向性のテクスチャ等)とは別の方向を有する画像における信号構造を効率的にフィルタリングする能力が限られるからである。
【0006】
第1の従来技術手法では、画像の雑音除去のための適応的フィルタリングが、冗長性変換の使用に基づいて提案されている。第1の従来技術手法では、冗長性変換は、特定の変換Hの考えられる平行移動H全てによって生成される。よって、画像Iがあれば、画像Iの一連の別々の変換バージョンYが、変換HをIに施すことによって生成される。変換バージョンYは全て、次いで、変換係数に含まれた雑音を削減するために、係数雑音除去手順(通常、閾値処理)によって処理される。これにより、一連のY’が生成される。その後、Y’それぞれは空間領域に変換され、別々の推定値I’(そのそれぞれでは、より低い量の雑音が存在する)になる。第1の従来技術手法は、別々のI’が、別々の位置について最善の雑音除去バージョンIを含む。よって、最終的なフィルタリングされたバージョンI’を、I’の加重和として推定し、最善のI’が、I’の全位置で好ましいように最適化される。図1及び図2は、この第1の従来技術の手法に関する。
【0007】
図1に移れば、従来技術における、ピクチャの位置適応的スパース性ベースのフィルタリングのための装置の全体を参照符号100で示す。
【0008】
装置100は、第1の雑音除去係数モジュール120の入力と信号通信で接続された出力を有する第1の変換モジュール(変換行列1を有する)105を含む。第1の雑音除去係数モジュール120の出力は、第1の逆変換モジュール(逆変換行列1を有する)135の入力、組合せ重み計算モジュール150の入力、及びN番目の逆変換モジュール(逆変換行列N)145の入力と信号通信で接続される。第1の逆変換モジュール(逆変換行列1を有する)135の出力が合成器155の第1の入力と信号通信で接続される。
【0009】
第2の変換モジュール(変換行列2を有する)110の出力は、第2の雑音除去係数モジュール125の入力と信号通信で接続される。第2の雑音除去係数モジュール125の出力は、第2の逆変換モジュール(逆変換行列2を有する)140の入力、組合せ重み計算モジュール150の入力、及びN番目の逆変換モジュール(逆変換行列Nを有する)145の入力と信号通信で接続される。第2の逆変換モジュール(逆変換行列2を有する)140の出力は合成器155の第2の入力と信号通信で接続される。
【0010】
N番目の変換モジュール(変換行列Nを有する)115の出力は、N番目の雑音除去係数モジュール130の入力と信号通信で接続される。N番目の雑音除去係数モジュール130の出力は、N番目の逆変換モジュール(逆変換行列Nを有する)145の入力、組合せ重み計算モジュール150の入力、及び第1の逆変換モジュール(逆変換系列1を有する)135の入力と信号通信で接続される。N番目の逆変換モジュール(逆変換行列Nを有する)の出力は、合成器155の第3の入力と信号通信で接続される。
【0011】
組合せ重み計算モジュール150の出力は、合成器155の第4の入力と信号通信で接続される。
【0012】
第1の変換モジュール(変換行列1を有する)105の入力、第2の変換モジュール(変換行列2を有する)110の入力、及びN番目の変換モジュール(変換行列Nを有する)115の入力が、入力画像を受け取るために、装置100の入力として利用可能である。合成器155の出力は、出力画像を供給するために、装置100の出力として利用可能である。
【0013】
図2に移れば、従来技術による、ピクチャの位置適応的スパース性ベースのフィルタリングのための方法の全体を参照符号200で示す。
【0014】
方法200は、制御をループ限度ブロック210に渡す開始ブロック205を含む。ループ限度ブロック210は、変数iの値毎にループを行い、制御を関数ブロック215に渡す。関数ブロック215は、変換行列iで変換を行い、制御を関数ブロック220に渡す。関数ブロック220は、雑音除去係数を求め、制御を関数ブロック225に渡す。関数ブロック225は、逆変換行列iで逆変換を行い、制御をループ限度ブロック230に渡す。ループ限度ブロック230は、変数iの各値にわたるループを終了し、制御を機能ブロック235に渡す。機能ブロック235は、雑音除去係数画像の別々の逆変換バージョンの合成(例えば、局所適応的加重和)を行う。
【0015】
重み付け手法には種々のものがあり得る。重み付け手法は、フィルタリングする対象のデータ、データに対して使用する変換、及びフィルタリングする対象の雑音/歪みに対する統計的な前提のうちの少なくとも1つに依存し得る。
【0016】
第1の従来技術手法は各Hを直交変換とみなす。更に、各Hを、ウェーブレットやDCTなどの特定の2D直交変換の平行移動されたバージョンとみなす。これを考慮に入れれば、第1の従来技術の手法は、特定の直交変換が限定量の解析の方向を有するということを考慮に入れていない。よって、DCTの考えられる変換全てが、Iの過完全表現を生成するために使用されても、Iは、Iの特定の成分と無関係に、垂直方向の成分及び水平方向の成分に一意に分解されることになる。
【0017】
第2の従来技術手法は、第1の従来技術手法に対する何れの新たな概念ももたらさず、単に、第1の従来技術手法と同じアルゴリズムが、国際標準化機構/国際電気技術委員会(ISO/IEC)動画像専門家グループ(MPEG−4)パート10高度ビデオ符号化(AVC)標準/国際電気通信連合、電気通信セクタ(ITU−T)H.264勧告(以降、「MPEG−4AVC標準」)などのハイブリッド・ビデオ符号化フレームワークにおけるインループ・アーチファクト・フィルタリングに適用される。
【0018】
第3の従来技術手法では、指向性ウェーブレット分解を実現するために副格子においてウェーブレット・フィルタリングを行うために画像の格子サブサンプリングを使用することがウェーブレット画像符号化のフレームワーク内で提案されている。第3の従来技術の手法では、系統的サンプリング・パターンの組が画像上で規定され、次いで、ウェーブレット・フィルタリングが、画像のサブサンプリングされたバージョンに対してのみ行われる。ウェーブレット・フィルタリングは、前述のサンプリング・パターンの主方向に沿って行われる。
【0019】
第3の従来技術手法は、指向性ウェーブレット変換の画像の前述のサブサンプリングを使用するやり方を提示する。提案されたサブサンプリングを使用する方法の特定の例では、サブサンプリングされたグリッドそれぞれを矩形サンプリング・グリッドに変えるように、サブサンプリングされたグリッドそれぞれを回転によって再配置する。次いで、新たに生成された矩形サンプリング・グリッドそれぞれに対する分離可能な規則性ワーブレット・フィルタリングは固有に、元々再配置されていないサンプリング・グリッドの方向に指向性ウェーブレット・フィルタリングをもたらす。これにより、指向性ウェーブレットが望まれる場合、元の矩形サンプリング・グリッドに対する特殊なウェーブレット変換を再定義する必要性が避けられる。
【0020】
第4の従来技術手法は、5点形格子上に表されるフーリエ変換を示す。しかし、第4の従来技術手法は、前述の変換の更なる適用も、何れの他の変換との組合せも提示していない。
【0021】
第5の従来技術手法では、非常に広い範囲の信号指向特性に対処するために、広い範囲の解析の方向を有する変換が提示される。しかし、その使用法、定義、及び計算処理は難しく、長たらしく、複雑である。これにより、現在のビデオ符号化標準には概ね適切でない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
従来技術の前述並びに他の弊害及び欠点は、多格子スパース性ベースのフィルタリングのための方法及び装置に関する本願の原理によって対処される。
【課題を解決するための手段】
【0023】
本願の原理の局面によれば、装置が提供される。装置は、ピクチャのフィルタリングされた少なくとも2つのバージョンの適応的に重み付けられた組合せを生成するためにピクチャのピクチャ・データをフィルタリングするフィルタを含む。ピクチャ・データは、ピクチャの少なくとも1つのサブサンプリングを含む。
【0024】
本願の原理の別の局面によれば、方法が提供される。方法は、ピクチャのフィルタリングされた少なくとも2つのバージョンを生成するためにピクチャのピクチャ・データをフィルタリングする工程を含む。ピクチャ・データは、ピクチャの少なくとも1つのサブサンプリングを含む。方法は、ピクチャのフィルタリングされた少なくとも2つのバージョンの適応的加重組合せを算出する工程を更に含む。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】従来技術による、ピクチャの位置適応的スパース性ベースのフィルタリングのための装置を示すブロック図である。
【図2】従来技術による、ピクチャの位置適応的スパース性ベースのフィルタリングのための方法を示すブロック図である。
【図3A】本願の原理の実施例による、多格子信号変換を備えた、ピクチャの例示的な位置適応的スパース性ベースのフィルタを示す概要レベルのブロック図である。
【図3B】本願の原理の実施例による、多格子信号変換を備えた、ピクチャの例示的な位置適応的スパース性ベースのフィルタを示す概要レベルのブロック図である。
【図4】本願の原理の実施例による、多格子信号変換を備えた、ピクチャの別の例示的な位置適応的スパース性ベースのフィルタを示す概要レベルのブロック図である。
【図5】本願の原理の実施例による、多格子信号変換を備えた、ピクチャの別の更に例示的な位置適応的スパース性ベースのフィルタを示す概要レベルのブロック図である。
【図6】本願の原理の実施例により、本願の原理を施すことができる、離散コサイン変換(DCT)の基底関数、及び8×8のサイズのDCTに含まれるその形状の図である。
【図7A】本願の原理の実施例により、本願の原理を施すことができる、格子サンプリング、及び対応する格子サンプリング行列による格子サンプリングの例を示す図である。
【図7B】本願の原理の実施例により、本願の原理を施すことができる、格子サンプリング、及び対応する格子サンプリング行列による格子サンプリングの例を示す図である。
【図8】本願の原理の実施例により、何れかの前述のサンプリング格子における全コセットを再配置することができる例示的なダウンサンプリングされた矩形グリッドの図である。
【図9】本願の原理の実施例による、多格子信号変換による、ピクチャの位置適応的スパース性ベースのフィルタリングの例示的な方法を示すフロー図である。
【図10A】本願の原理の実施例により、本願の原理を施すことができる4×4のDCT変換の16個の考えられる平行移動のうちの4つのうちの個別の1つの図である。
【図10B】本願の原理の実施例により、本願の原理を施すことができる4×4のDCT変換の16個の考えられる平行移動のうちの4つのうちの個別の1つの図である。
【図10C】本願の原理の実施例により、本願の原理を施すことができる4×4のDCT変換の16個の考えられる平行移動のうちの4つのうちの個別の1つの図である。
【図10D】本願の原理の実施例により、本願の原理を施すことができる4×4のDCT変換の16個の考えられる平行移動のうちの4つのうちの個別の1つの図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明の前述並びに他の局面、構成及び効果は、添付図面とともに読まれる例示的な実施例の以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
【0027】
本願の原理は、以下の例示的な図により、更に詳細に理解することができる。
【実施例】
【0028】
本願の原理は、多格子スパース性ベースのフィルタリングのための方法及び装置に関する。
【0029】
本明細書及び特許請求の範囲は、本願の原理を示す。よって、本明細書及び特許請求の範囲に明示的に説明し、又は示している訳でないが、本願の原理を実施し、その趣旨及び範囲内に含まれる種々の配置を当業者が考え出すことができるであろう。
【0030】
本明細書及び特許請求の範囲記載の例及び条件付文言は全て、本願の原理、及び当該技術分野を発展させるために本願の発明者が貢献する概念の、読者の理解を支援するための教示の目的を意図しており、前述の、特記した例及び条件への限定なしであると解するものとする。
【0031】
更に、本願の原理、局面、及び実施例、並びにそれらの具体例を記載した、本明細書及び特許請求の範囲の記載は全て、その構造的均等物及び機能的均等物を包含することを意図している。更に、前述の均等物は、現在知られている均等物、及び将来に開発される均等物(すなわち、構造にかかわらず、同じ機能を行う、開発された何れかの構成要素)をともに含むことが意図されている。
【0032】
よって、例えば、本明細書及び特許請求の範囲に提示されたブロック図が、本願の原理を実施する例証的な回路の概念図を表すことは当業者によって理解されるであろう。同様に、フローチャート、流れ図、状態遷移図、擬似コード等は何れも、コンピュータ読み取り可能な媒体において実質的に表し、コンピュータ又はプロセッサにより、前述のコンピュータ又はプロセッサが明記されているかにかかわらず、実行し得る種々の処理を表す。
【0033】
図に示す種々の構成要素の機能は、専用ハードウェア、及び適切なソフトウェアに関連してソフトウェアを実行することができるハードウェアの使用によって備えることができる。プロセッサによって提供される場合、機能は、単一の専用プロセッサによって提供されるか、単一の共有プロセッサによって提供されるか、又は、複数の個々のプロセッサ(この一部は共有であり得る)によって提供され得る。更に、「プロセッサ」又は「コントローラ」の語を明示的に使用していることは、ソフトウェアを実行することができるハードウェアを専ら表すものと解するべきでなく、暗黙的には、限定列挙でないが、ディジタル信号プロセッサ(「DSP」)ハードウェア、ソフトウェアを記憶するための読み取り専用メモリ(「ROM」)、ランダム・アクセス・メモリ(「RAM」)及び不揮発性記憶装置を含み得る。
【0034】
他のハードウェア(汎用及び/又はカスタム)も含まれ得る。同様に、図に示すスイッチは何れも概念のみである。その機能は、プログラム・ロジックの動作により、専用ロジックにより、プログラム制御及び専用ロジックの相互作用により、又は手作業によって行うことができ、特定の手法は、コンテキストから更に具体的に分かるように実現者によって選択可能である。
【0035】
本願の特許請求の範囲では、特定の機能を行う手段として表される構成要素は何れも、その機能を行う何れの手段(例えば、a)その機能を行う回路構成要素の組合せや、b)機能を行うためにそのソフトウェアを実行する適切な回路と組み合わせた、ファームウェア、マイクロコード等を含む、何れかの形態のソフトウェア)も包含することが意図される。前述の特許請求の範囲で規定された本願の原理は、記載された種々の手段によって提供される機能が、請求項が要求するやり方で組合せられ、集約されるということに存在する。よって、前述の機能を提供することが可能な手段は何れも、本願の明細書及び特許請求の範囲記載のものと均等であるとみなされる。
【0036】
本願明細書における、本願の原理の「one embodiment」又は「an embodiment」への言及は、本願の実施例に関して説明した特定の構成、構造又は特性等が本願の原理の少なくとも一実施例に含まれていることを意味している。よって、本明細書全体の種々の箇所に記載された「in one embodiment」又は「in an embodiment」の句は、必ずしも、同じ実施例を全て表している訳でない。
【0037】
本明細書及び特許請求の範囲では、「ピクチャ」の語は、静止ビデオ及び動画ビデオに関する画像及び/又はピクチャを含む画像及び/又はピクチャに関する。
【0038】
更に、本明細書及び特許請求の範囲記載の「スパース性」という語は、変換領域において信号が有する非ゼロ係数が少ない場合を表す。例として、5つの非ゼロ係数を有する変換表現を備えた信号は、同じ変換フレームワークを使用した、10個の非ゼロ係数を有する別の信号よりもスパース性が高い表現を有する。
【0039】
更に、本明細書及び特許請求の範囲記載の、ピクチャのサブサンプリングに関して使用される「格子」又は「格子ベースの」の語は、空間的に連続したサンプル及び/又は連続していないサンプルの特定の構造化パターンによって選択される。例では、前述のパターンは、矩形パターンなどの幾何パターンであり得る。
【0040】
更に、本明細書及び特許請求の範囲記載の「局所」の語は、画素位置レベルに対する関心の項目(限定列挙でないが、平均雑音エネルギ、平均振幅の尺度、又は重みの尺度の微分を含む)、及び/又は、ピクチャ内の画素の局所化近傍、又は画素に対応する関心の項目の関係を表す。
【0041】
更に、本明細書及び特許請求の範囲記載の「大局」の語は、ピクチャ・レベルに対する関心の項目(限定列挙でないが、平均雑音エネルギ、平均振幅の尺度、又は重みの尺度の微分を含む)、及び/又は、ピクチャ又は系列の画素全体に対応する関心の項目の関係を表す。
【0042】
図3に移れば、多格子信号変換を備えた、ピクチャの例示的な位置適応的スパース性ベースのフィルタ全体を参照符号300で示す。
【0043】
ダウンサンプル及びサンプル配置モジュール302は、変換モジュール(変換行列1を有する)312の入力、変換モジュール(変換行列2を有する)314の入力、及び変換モジュール(変換行列Mを有する)316の入力と信号通信する出力を有する。
【0044】
ダウンサンプル及びサンプル再配置モジュール304は、変換モジュール(変換行列1を有する)318の入力、変換モジュール(変換行列2を有する)320の入力、及び変換モジュール(変換行列Mを有する)322の入力と信号通信する出力を有する。
【0045】
変換モジュール(変換行列1を有する)312の出力は、雑音除去係数モジュール330の入力と信号通信で接続される。変換モジュール(変換行列2を有する)314の出力は、雑音除去係数モジュール332の入力と信号通信で接続される。変換モジュール(変換行列Mを有する)316の出力は、雑音除去係数モジュール334の入力と信号通信で接続される。
【0046】
変換モジュール(変換行列1を有する)318の出力は、雑音除去係数モジュール336の入力と信号通信で接続される。変換モジュール(変換行列2を有する)320の出力は、雑音除去係数モジュール338の入力と信号通信で接続される。変換モジュール(変換行列Mを有する)322の出力は、雑音除去係数モジュール340の入力と信号通信で接続される。
【0047】
変換モジュール(変換行列1を有する)306の出力は、雑音除去係数モジュール324の入力と信号通信で接続される。変換モジュール(変換行列2を有する)の出力は、雑音除去係数モジュール326の入力と信号通信で接続される。変換モジュールM(変換行列Nを有する)310の出力は、雑音除去係数モジュール328の入力と信号通信で接続される。
【0048】
雑音除去係数モジュール324の出力、雑音除去係数モジュール326の出力、及び雑音除去係数モジュール328の出力はそれぞれ、逆変換モジュール(逆変換行列1を有する)342の入力、逆変換モジュール(逆変換行列2を有する)344の入力、逆変換モジュール(逆変換行列Nを有する)346の入力、及び組合せ重み計算モジュール360の入力と信号通信で接続される。
【0049】
雑音除去係数モジュール330の出力、雑音除去係数モジュール332の出力、及び雑音除去係数モジュール334の出力はそれぞれ、逆変換モジュール(逆変換行列1を有する)348の入力、逆変換モジュール(逆変換行列2を有する)350の入力、逆変換モジュール(逆変換行列Mを有する)352の入力、及び組合せ重み計算モジュール362の入力と信号通信で接続される。
【0050】
雑音除去係数モジュール336の出力、雑音除去係数モジュール338の出力、及び雑音除去係数モジュール340の出力はそれぞれ、逆変換モジュール(逆変換行列1を有する)354の入力、逆変換モジュール(逆変換行列2を有する)356の入力、逆変換モジュール(逆変換行列Mを有する)358の入力、及び組合せ重み計算モジュール364の入力と信号通信で接続される。
【0051】
逆変換モジュール(逆変換行列1を有する)342の出力は合成器モジュール376の第1の入力と信号通信で接続される。逆変換モジュール(逆変換行列21を有する)344の出力は合成器376の第2の入力と信号通信で接続される。逆変換モジュール(逆変換行列3を有する)344の出力は合成器モジュール376の第3の入力と信号通信で接続される。逆変換モジュール(逆変換行列Nを有する)346の出力は合成器モジュール376の第3の入力と信号通信で接続される。
【0052】
逆変換モジュール(逆変換行列1を有する)348の出力は、アップサンプル、サンプル再配置、及びマージ・コセット・モジュール368の第1の入力と信号通信で接続される。逆変換モジュール(逆変換行列2を有する)350の出力は、アップサンプル、サンプル再配置、及びマージ・コセット・モジュール370の第1の入力と信号通信で接続される。逆変換モジュール(逆変換行列Mを有する)352の出力は、アップサンプル、サンプル再配置、及びマージ・コセット・モジュール372の第1の入力と信号通信で接続される。
【0053】
逆変換モジュール(逆変換行列1を有する)354の出力は、アップサンプル、サンプル再配置、及びマージ・コセット・モジュール368の第2の入力と信号通信で接続される。逆変換モジュール(逆変換行列2を有する)356の出力は、アップサンプル、サンプル再配置及びマージ・コセット・モジュール370の第2の入力と信号通信で接続される。逆変換モジュール(逆変換行列Mを有する)358の出力は、アップサンプル、サンプル再配置及びマージ・コセット・モジュール372の第2の入力と信号通信で接続される。
【0054】
組合せ重み計算モジュール360の出力は、汎用組合せ重み計算モジュール374の第1の入力と信号通信で接続される。組合せ重み計算モジュール362の出力は、アップサンプル、サンプル再配置及びマージ・コセット・モジュール366の第1の入力と信号通信で接続される。組合せ重み計算モジュール364の出力は、アップサンプル、サンプル再配置及びマージ・コセット・モジュール366の第2の入力と信号通信で接続される。
【0055】
アップサンプル、サンプル再配置及びマージ・コセット・モジュール366の出力は、汎用組合せ重み計算モジュール374の第2の入力と信号通信で接続される。汎用組合せ重み計算モジュール374の出力は、合成モジュール376の第4の入力と信号通信で接続される。アップサンプル、サンプル再配置及びマージ・コセット・モジュール368の出力は、合成器モジュール376の第5の入力と信号通信で接続される。アップサンプル、サンプル再配置及びマージ・コセット・モジュール370の出力は、合成器モジュール376の第6の入力と信号通信で接続される。アップサンプル、サンプル再配置及びマージ・コセット・モジュール372の出力は、合成器モジュール376の第7の入力と信号通信で接続される。
【0056】
変換モジュール(変換行列1を有する)306の入力、変換モジュール(変換行列2を有する)308の入力、変換モジュール(変換行列Nを有する)310の入力、ダウンサンプル及びサンプル配置モジュール302の入力、並びに、ダウンサンプル及びサンプル配置モジュール304の入力は、入力画像を受け取るために、フィルタ300の入力として利用可能である。合成器モジュール376の出力は、出力ピクチャを供給するために、フィルタ300の出力として利用可能である。
【0057】
よって、フィルタ300は、入力データのダウンサンプリングされていない処理に対応する処理分岐、及び入力データの格子ベースのダウンサンプリングされた処理に対応する処理分岐をもたらす。フィルタ300は、並列に処理することもしないこともあり得る一連の処理分岐をもたらす。更に、別々のいくつかの処理が、フィルタ300の別々の構成要素それぞれによって行われるものとして説明しているが、本明細書及び特許請求の範囲記載の本願の原理の教示があれば、当業者は、前述の処理の2つ以上を組合せ、単一の構成要素(例えば、データの非並列処理の再使用を可能にするための、2つ以上の処理分岐に共通の単一の構成要素)によって行うことができ、本願の原理の趣旨を維持しながら、他の修正を施すことができる。例えば、一実施例では、合成器モジュール376は、本願の原理の趣旨を維持しながら、フィルタ300外部で実現することができる。
【0058】
更に、図3に示すように、別々の変換及びサブサンプリングによって処理することによって得られる別々のフィルタリングされた画像を混合する(又は融合させる)のための重み及びその用途の計算は、(本願の実施例に示すように)順次の計算工程によって行うことができ、又は、サブサンプリング格子及び/又は変換それぞれにおける画素それぞれを再構成するために使用される係数の量を直接考慮に入れることにより、最後の最後に単一の工程で行うことができる。
【0059】
本明細書及び特許請求の範囲記載の本願の原理の教示があれば、当業者は、本願の原理の趣旨を維持しながら、フィルタ300(並びに本明細書に記載したフィルタ400及び500)の前述及び他の変形を想定するであろう。
【0060】
図4に移れば、多格子信号変換を備えた、ピクチャの別の例示的な位置適応的スパース性ベースのフィルタの全体を参照符号400で示す。図3のフィルタ300と比較して、図4のフィルタ400は、信号解析のために、より広範囲の構造的特性を有するよう、使用される変換を適合させるために、同じ変換エンジンを、信号の別々のサブサンプリングにおいて使用することができるようにスイッチを利用する。すなわち、図4では、スイッチの組は、非ダウンサンプリング処理及びダウンサンプリング処理、並びにフィルタリング推定値重み付け手順に必要なデータ全てを計算するために、同じコア変換領域処理装置を使用することができる。
【0061】
スイッチ406の出力は、変換モジュール(変換行列1を有する)408の入力、変換モジュール(変換行列2を有する)410の入力、及び変換モジュール(変換行列Nを有する)412の入力と信号通信で接続される。
【0062】
変換モジュール(変換行列1を有する)408の出力は、雑音除去係数モジュール414の入力と信号通信で接続される。変換モジュール(変換行列2を有する)410の出力は、雑音除去係数モジュール416の入力と信号通信で接続される。変換モジュール(変換行列Nを有する)412の出力は、雑音除去係数モジュール418の入力と信号通信で接続される。
【0063】
雑音除去係数モジュール414の出力は、逆変換部(逆変換行列1を有する)420の入力、逆変換部(逆変換行列2を有する)422の入力、逆変換部(逆変換行列Nを有する)424の入力、及び組合せ重み計算モジュール426の入力と信号通信で接続される。
【0064】
変換モジュール(変換行列1を有する)420の出力は、スイッチ428の入力と信号通信で接続される。変換モジュール(変換行列2を有する)422の出力は、スイッチ430の入力と信号通信で接続される。変換モジュール(変換行列Nを有する)424の出力は、スイッチ432の入力と信号通信で接続される。
【0065】
組合せ重み計算モジュール426の出力は、スイッチ434の入力と信号通信で接続される。スイッチ434の出力は、アップサンプル、サンプル再配置及びマージ・コセット・モジュール436の第1の入力、アップサンプル、サンプル再配置及びマージ・コセット・モジュール436の第2の入力、及び汎用組合せ重み計算モジュール444の第1の入力と信号通信で選択的に接続される。アップサンプル、サンプル再配置及びマージ・コセット・モジュール436の出力は、汎用組合せ重み計算モジュール444の第2の入力と信号通信で接続される。汎用組合せ重み計算モジュール444の出力は、合成モジュール446の第1の入力と信号通信で接続される。
【0066】
スイッチ428の第1の出力は、合成器モジュール446の第2の入力と信号通信で接続される。スイッチ428の第2の出力が、アップサンプル、サンプル再配置及びマージ・コセット・モジュール438の第2の入力と信号通信で接続される。スイッチ428の第3の出力は、アップサンプル、サンプル再配置及びマージ・コセット・モジュール438の第3の入力と信号通信で接続される。
【0067】
スイッチ430の第1の出力は、合成器モジュール446の第3の入力と信号通信で接続される。スイッチ430の第2の出力が、アップサンプル、サンプル再配置及びマージ・コセット・モジュール440の第2の入力と信号通信で接続される。スイッチ430の第3の出力は、アップサンプル、サンプル再配置及びマージ・コセット・モジュール440の第3の入力と信号通信で接続される。
【0068】
スイッチ432の第1の出力は、合成器モジュール446の第4の入力と信号通信で接続される。スイッチ432の第2の出力が、アップサンプル、サンプル再配置及びマージ・コセット・モジュール442の第2の入力と信号通信で接続される。スイッチ432の第3の出力は、アップサンプル、サンプル再配置及びマージ・コセット・モジュール442の第3の入力と信号通信で接続される。
【0069】
アップサンプル、サンプル再配置及びマージ・コセット・モジュール438の出力は合成器モジュール446の第5の入力と信号通信で接続される。アップサンプル、サンプル再配置及びマージ・コセット・モジュール440の出力は、合成器モジュール446の第6の入力と信号通信で接続される。アップサンプル、サンプル配置及びマージ・コセット・モジュール442の出力は、合成器モジュール446の第7の入力と信号通信で接続される。
【0070】
ダウンサンプル及びサンプル再配置モジュール402の出力はスイッチ406の第2の入力と信号通信で接続される。ダウンサンプル及びサンプル再配置モジュール404の出力は、スイッチ406の第3の入力と信号通信で接続される。
【0071】
スイッチ406の第1の入力、並びに、ダウンサンプル及びサンプル再配置モジュール402の入力、及びダウンサンプル及びサンプル再配置モジュール404の入力はそれぞれ、入力画像を受け取るためにフィルタ400の入力として利用可能である。合成モジュール446の出力は、出力画像を供給するために、フィルタ400の出力として利用可能である。
【0072】
図5に移れば、多格子信号変換を備えた、ピクチャの更に別の例示的な位置適応的スパース性ベースのフィルタの全体を参照符号500で示す。図5のフィルタ500では、変換の冗長な組が単一のブロックにパッキングされる。図500では、考えられる別々の2つの冗長性変換A及びBの組を検討する。最終的には、A及びBは、同じ冗長な変換の組であってもなくてもよい。
【0073】
ダウンサンプル及びサンプル再配置モジュール502の出力は、順変換モジュール(変換Bの冗長な組を有する)508の入力と信号通信で接続される。ダウンサンプル及びサンプル再配置モジュール504の出力は、順変換モジュール(変換Bの冗長な組を有する)510の入力と信号通信で接続される。
【0074】
順変換モジュール(変換Aの冗長な組を有する)506の出力は雑音除去係数モジュール512と信号通信で接続される。順変換モジュール(変換Bの冗長な組を有する)508の出力は雑音除去係数モジュール514と信号通信で接続される。順変換モジュール(変換Bの冗長な組を有する)510の出力は雑音除去係数モジュール516と信号通信で接続される。
【0075】
雑音除去係数モジュール512の出力は、各画素モジュール526に影響を及ぼす非ゼロ係数の数の計算の入力、及び逆変換モジュール(変換Aの冗長な組を有する)518の入力と信号通信で接続される。雑音除去係数モジュール514の出力は、各画素モジュール530に影響を及ぼす非ゼロ係数の数の計算の入力、及び逆変換モジュール(変換Bの冗長な組を有する)520の入力と信号通信で接続される。雑音除去係数モジュール516の出力は、各画素モジュール532に影響を及ぼす非ゼロ係数の数の計算の入力、及び逆変換モジュール(変換Bの冗長な組を有する)522の入力と信号通信で接続される。
【0076】
逆変換モジュール(変換Aの冗長な組を有する)518の出力は、合成モジュール536の第1の入力と信号通信で接続される。逆変換モジュール(変換Bの冗長な組を有する)520の出力は、アップサンプル、サンプル再配置及びマージ・コセット・モジュール524の第1の入力と信号通信で接続される。逆変換モジュール(変換Bの冗長な組を有する)522の出力は、アップサンプル、サンプル再配置及びマージ・コセット・モジュール524の第2の入力と信号通信で接続される。
【0077】
変換モジュール530毎の各画素に影響を及ぼす非ゼロ係数の数の計算の出力は、アップサンプル、サンプル再配置及びマージ・コセット・モジュール528の第1の入力と信号通信で接続される。変換モジュール532毎の各画素に影響を及ぼす非ゼロ係数の数の計算の出力は、アップサンプル、サンプル再配置及びマージ・コセット・モジュール528の第2の入力と信号通信で接続される。
【0078】
アップサンプル、サンプル再配置、及びマージ・コセット・モジュール528の出力は、汎用組合せ重み計算モジュール534の第1の入力と信号通信で接続される。各画素526に影響を及ぼす非ゼロ係数の数の計算の出力は、汎用組合せ重み計算モジュール534の第2の入力と信号通信で接続される。汎用組合せ重み計算モジュール534の出力は、合成モジュール536の第2の入力と信号通信で接続される。
【0079】
アップサンプル、サンプル再配置及びマージ・コセット・モジュール524の出力は、合成モジュール536の第3の入力と信号通信で接続される。
【0080】
順変換モジュール(変換Aの冗長な組を有する)506の入力、ダウンサンプル及びサンプル再配置モジュール502の入力、並びに、ダウンサンプル及びサンプル再配置モジュール504の入力はそれぞれ、入力画像を受け取るために、フィルタ500の入力として利用可能である。合成モジュール536の出力は、出力画像を供給するために、フィルタの出力として利用可能である。
【0081】
図5のフィルタ500は、図3のフィルタ300に対し、単純にし、明瞭にするために、ピクチャの冗長な表現への、関係する別々の変換を単一のボックスにパッキングする、アルゴリズムの非常にコンパクトな実現形態を提供する。変換、雑音除去、及び/又は逆変換の処理は、冗長な変換の組に含まれる変換毎に並列に行うことができてもできなくてもよい。
【0082】
組合せ重みの算出に先行してピクチャ・データをフィルタするための、図3乃至図5に示す種々の処理分岐は、入力ピクチャの別々のバージョンを生成するという点でバージョン生成器とみなし得る。
【0083】
前述の通り、本願の原理は、多格子スパース性ベースのフィルタリングのための方法及び装置に関する。
【0084】
本願の原理の実施例では、規則性矩形サンプリングから、別々の空間的向きを有するいくつかの格子がサンプリングされるフィルタリング・ストラテジが提供される。空間的格子サンプリングは、限定列挙でないが、完全矩形サンプリング格子、及び5点形サンプリング格子などの格子を含み得る。次いで、スパース性近似を使用したフィルタが、サンプリングされた格子それぞれに対する特定の変換を使用して施される。格子サンプリングは、変換の基底関数の方向に変化を与える役目を担う。フィルタリング工程全てが、サンプル格子全てに対して行われると、これらは、特定の場所全てにおける最も信頼度の高いフィルタリングされた画像バージョンにより大きな重みを与えるために、局所適応的重み付け工程によって再合成される。
【0085】
本願の原理は、フィルタリングが施される前に、適切なやり方で信号を予めサンプリングすることにより、変換の指向性の制約という課題を解決する。このようにして、指向的特性(例えば、対角線方向)を有する、平滑で高周波の特徴、テクスチャ、エッジ等を有する画像のより良好なフィルタリングを実現することが可能である。フィルタリングの改良により、客観的尺度及び主観的尺度におけるより少ない歪み、及び、符号化アプリケーション等におけるより低い符号化コストを示唆する、理想的な信号のより良好な推定につながり得る。
【0086】
本願の原理の実施例により、フィルタリングされる対象の画像の別々の副格子サンプリングに対するいくつかのフィルタリング工程の重み付けされた組合せに基づいた画像に対する高性能の非線形フィルタが提案されている。各フィルタリング工程は、フィルタリングする対象の画像の格子サンプリングのスパース性近似によって行われる。スパース性近似は、雑音、歪み及びアーチファクトからの真の信号成分のロバストな分離を可能にする。信号及びスパース性フィルタリング手法に応じて、一部の信号領域は、1つの格子及び/又は別の格子において、より良好にフィルタリングされる。最終的な重み付けの組合せの工程は、最も適切な副格子サンプリングからの最も良好にフィルタリングされたデータの適応的な選択を可能にする。
【0087】
したがって、本願の原理により、フィルタリングされる対象の画像の別々の副格子サンプリングに対するいくつかのフィルタリング工程の重み付けされた組合せに基づいた画像に対する高性能の非線形フィルタを開示する。方向適応的フィルタリングを構成するために格子ベースの変換を使用することを検討する。よって、フィルタリングする特定のタイプの歪み(又はアーチファクト)が特定の指向性構造を有する場合、本願の原理の実施例によれば、歪み(又はアーチファクト)が維持されないようなフィルタ方向を適応的に選択することが可能である。
【0088】
格子の副サンプリングの変換による指向性変換:
一般に、離散コサイン変換(DCT)は、基底関数又はプリミティブの和として信号を分解する。前述の基底関数又はプリミティブは、使用される変換に応じて別々の特性及び構造的特性を有する。図6に移れば、離散コサイン変換(DCT)基底関数、及び8×8のサイズのDCTに含まれるその形状は全体を参照符号600で示す。基底関数600は、2つの主な構造的向きを有するとみられる。概ね垂直方向を向いた関数が存在しており、概ね水平方向を向いた関数が存在しており、両方の格子縞模様の混合に似た種類の関数が存在している。前述の形状は、静止信号の効率的な表現、並びに垂直方向及び水平方向の形状の信号成分の効率的な表現に適切である。しかし、指向的特性を有する信号の部分は、前述の変換によって効率的に表されない。一般に、DCTの例のように、大半の変換基底関数は、限定された種類の指向性成分を有する。
【0089】
変換の分解の方向を修正する1つのやり方は、ディジタル画像の別々のサブサンプリングにおける前述の変換を使用することである。実際には、画素の相補的な部分集合(又はコセット)において、2Dサンプリングされた画像を分解することが可能である。前述のサンプルのコセットは、特定のサンプリング・パターンによって行うことが可能である。サブサンプリング・パターンは、指向性を有しているように確立することが可能である。固定の変換と組み合わせたサブサンプリング・パターンによって課される前述の向きは、一連の所望の方向に変換の分解の方向を適応させるために使用することが可能である。
【0090】
画像サブサンプリングの実施例では、サンプリング格子を、一意でない生成器行列によって表すことが可能な整数格子サブサンプリングを使用することが可能である。何れの格子∧(すなわち、立方体整数格子
【数1】

の副格子)も一意でない生成器行列:
【0091】
【数2】

で表すことが可能である。
【0092】
相補的なコセットの数は、上記行列の行列式によって表される。更に、d及びdは、2D座標平面におけるサンプリング格子の主方向に関係し得る。図7A及び図7Bに移れば、本願の原理を施すことができる、対応する格子サンプリング行列による格子サンプリングの例の全体を参照符号700及び750それぞれによって示す。図7Aでは、5点形格子サンプリングを示す。5点形格子サンプリングに関する2つのコセットのうちの1つを黒色の点(埋めた点)で示す。相補的なコセットは、x/y軸の方向における1−シフトによって得られる。図7Bでは、別の指向性格子サンプリングを示す。考えられる4つのコセットのうちの2つを黒色の点及び白色の点で示す。矢印は、格子サンプリングの主方向を表す。当業者は、格子サンプリング上の主方向(矢印)及び格子行列の間の関係を認識することが可能である。
【0093】
生成器行列は、サンプリング空間、例えば、指向性5点形、及び規則的な矩形グリッドの両方の間のマッピング行列である。完全な格子に対する一サンプリング格子の座標軸間の暗黙の回転が存在しているということが分かる。両方のサンプリング格子間のマッピングはよって、
【数3】

として表すことが可能である。ここで、
【数4】

は矩形グリッドにおけるサンプル座標であり、
【数5】

は格子グリッド(例えば、5点形)におけるサンプル座標であり、
【数6】

は、生成器行列に関連付けられた相補的コセット格子それぞれを選択するために、(図7に例証されたような)シフト・ベクトルを表す。行列に応じて、より多くのシフト・ベクトル、又はより少ないシフト・ベクトルが存在する。
【0094】
前述のサンプリング格子の何れかにおけるコセットは全て、ダウンサンプリングされた矩形グリッドにおいて全体的に再配置し得る(例えば、回転させ得る)ように整合させる。このことは、格子サブサンプリングされた信号に対する、矩形グリッドに適した何れかの変換(2D DCTなど)をその後、施すことを可能にする。図8に移れば、何れかの前述のサンプリング格子における全コセットを再配置することが可能である例示的なダウンサンプリングされた矩形グリッドの全体を参照符号800で示す。
【0095】
格子分解、格子再配置、2D変換、及び逆処理の個別の組は、任意の向きを有する2D信号変換の実現を可能にする。
【0096】
向き適応的フィルタリングの場合の多格子ピクチャ処理
一実施例では、ピクチャの適応的フィルタリングに、ピクチャの少なくとも2つのサンプリングを使用することが提案されている。一実施例では、DCT係数閾値化などの同じフィルタリング・ストラテジを再使用し、指向性適応的フィルタリングに一般化することが可能である。
【0097】
少なくとも2つの格子サンプリング/サブサンプリングのうちの1つが、例えば、特定のピクチャの元のサンプリング・グリッド(すなわち、ピクチャの非サブサンプリング)であり得る。一実施例では、少なくとも2つのサンプリングのうちの別のものは、いわゆる「5点形」格子サブサンプリングであり得る。前述のサブサンプリングは、1つおきの画素の対角線方向に整合されたサンプリング上に配置された2つのサンプリング・コセットで構成される。
【0098】
一実施例では、少なくとも2つの格子サンプリング/サブサンプリングの組合せが、図9、3及び4に表すように、適応的フィルタリングについて、本発明において使用される。
【0099】
図9に移れば、多格子信号変換による、ピクチャの位置適応的スパース性ベースのフィルタリングの例示的な方法全体を参照符号900で示す。図9の方法900は、ディジタル画像の一連の再配置された整数格子サブサンプリングに対して、変換領域においてスパース性ベースのフィルタリングを施すことに対応する。
【0100】
方法900は、関数ブロック910に制御を渡す開始ブロック905を含む。関数ブロック910は、副格子画像分解の考えられるファミリーの形状及び数を設定し、制御をループ限度ブロック915に渡す。ループ限度ブロック915は、変数jを使用して、(副)格子の全ファミリーのループを行い、制御を関数ブロック920に渡す。機能ブロック920は、画像をダウンサンプルし、副格子jのファミリーに応じたN個の副格子(副格子の合計数は全ファミリーjに依存する)に分割し、制御をループ限度ブロック925に渡す。ループ限度ブロック925は、変数k(合計量はファミリーjに依存する)を使用して副格子毎のループを行い、制御を関数ブロック930に渡す。関数ブロック930は、(例えば、配置A(j,k)からBに)サンプルを再配置し、制御をループ限度ブロック935に渡す。ループ限度ブロック935は、変数iの値毎にループを行い、制御を関数ブロック940に渡す。関数ブロック940は、変数行列iで変換を行い、制御を関数ブロック945に渡す。関数ブロック945は、係数をフィルタリングし、制御を関数ブロック950に渡す。機能ブロック950は、逆変換行列iで逆変換を行い、制御をループ限度ブロック955に渡す。ループ限度ブロック955は、変数iの各値にわたるループを終了し、制御を機能ブロック960に渡す。機能ブロック960は、(配置BからA(j,k)に)サンプルを再配置し、制御をループ限度ブロック965に渡す。ループ限度ブロック965は、変数kの各値にわたるループを終了し、制御を関数ブロック970に渡す。機能ブロック970は、副格子をアップサンプリングし、副格子jのファミリーに応じてマージし、制御をループ限度ブロック975に渡す。ループ限度ブロック975は、変数jの各値にわたるループを終了し、制御を機能ブロック980に渡す。機能ブロック980は、雑音除去係数画像の別々の逆変換バージョン(の局所適応的加重和)を合成し、制御を終了ブロック999に渡す。
【0101】
図9を参照すれば、一実施例では、一連のフィルタリングされたピクチャが、変換領域フィルタリングの使用によって生成され、変換領域フィルタリングは、同様に、ピクチャの別々のサブサンプリングにおいて別々の変換を使用する。最終フィルタリング画像は、フィルタリングされたピクチャそれぞれの局所適応的加重和として計算される。
【0102】
一実施例では、ディジタル画像の何れかの再配置された整数格子サブサンプリングに施された変換の組は、2D DCTの考えられる平行移動全てによって形成される。これは、DCTブロック変換の場合、ピクチャのブロック・ベースの区分のための、4×4DCTの合計16個の考えられる平行移動が存在していることを示唆している。同様に、64が、8×8のDCTの考えられる平行移動の合計数となる。この例は、図10A乃至図10Dで分かる。図10A乃至図10Dに移れば、画像のDCT変換のブロック区分の例示的な考えられる平行移動は全体を参照符号1010、1020、1030及び1040で示す。図10A乃至図10Dはそれぞれ、4×4DCT変換の16個の考えられる平行移動のうちの4個のうちの1つを示す。変換サイズよりも小さい不完全境界ブロックは、例えば、特定のパディング又は画像拡張を使用して、事実上、拡張することが可能である。ピクチャの境界上の、変換サイズよりも小さな区分は、パディング又は特定の種類のピクチャ拡張によって事実上拡張することが可能である。これは、画像ブロック全てにおける同じ変換サイズの使用を可能にする。図9は、副格子それぞれ(本願の例では、2つの5点形コセットそれぞれ)に、本願の例における前述の平行移動DCTの組が施されるということを示す。
【0103】
一実施例では、フィルタリング処理は、全格子サブサンプリングの平行移動された変換全ての変換係数を閾値化することにより、変換段階のコアにおいて行うことが可能である。前述の目的の閾値の値は限定列挙でないが、局所信号特性、ユーザの選択、局所統計、大局統計、局所雑音、大局雑音、除去に予め指定された信号成分の統計、及び除去に予め指定された信号成分の特性のうちの1つ又は複数に依存し得る。閾値化工程後、全変換格子サブサンプリングは逆変換される。相補的コセットの全ての組が、その元のサンプリング手法に回転させられ、アップサンプリングされ、マージされる(元のピクチャの元のサンプリング・グリッドを回復するために)。変換が、ピクチャの元のサンプリングに直接施された特定の場合、回転、アップサンプリング、及びサンプル・マ―ジが必要である。
【0104】
最後に、図9によれば、違ったふうにフィルタリングされたピクチャは全て、全ての重み付けられた加算により、一ピクチャに混合する。これは、以下のやり方で行われる。I’を、閾値化によってフィルタリングされる別々の画像それぞれとし、I’は全て、フィルタリング処理中、サブサンプリングを受けているか、又は受けていないピクチャの何れかのDCTの平行移動の閾値化後の、再構成されたピクチャの何れかに対応し得る。Wを、I’におけるそのコロケートされた画素に関連付けられた重みを全画素が含む重みのピクチャとする。その場合、最終推定値I’finalは、
【数7】

として得られる。ここで、x及びyは空間座標を表す。
【0105】
(x,y)を計算するために、先行する式において使用された場合、全位置で、変換領域において高スパース性の局所の表現を有するI’(x,y)は、より大きな重みを有する。閾値化後の、変換のうちの、スパース性が高い変換から得られるI’(x.y)が、最低量の雑音/歪みを含む。一実施例では、W(x,y)行列が、I’(x,y)毎に、(サブサンプリングされていないフィルタリングから、かつ格子サブサンプリング・ベースのフィルタリングについて)得られる。格子サブサンプリング手順を経た、I’(x,y)に対応するW(x,y)は、フィルタリングされたサブサンプル画像(すなわち、回転、アップサンプリング及びマージの前)毎の別個のWi.coset(j)(x,y)の生成によって得られ、次いで、I’(x.y)に対応する別のWi.coset(j)(x,y)は、その相補的なサブサンプリングされた成分からI’(x.y)を再構成するために行われるように回転させられ、アップサンプリングされ、マージされる。よって、一例では、フィルタリング処理中に5点形サブサンプリングを経た、フィルタリングされた画像は全て、2つの重みサブサンプリングされた行列を有する。これらは次いで、その対応するI’(x.y)に使用する対象の1つの単一の重み付け行列に回転させ、アップサンプリングし、マージすることが可能である。
【0106】
一実施例では、Wi.coset(j)(x,y)それぞれの生成は、W(x,y)と同様に行われる。各画素は、前述の画素が含まれるブロック変換の非ゼロ係数の量から得られる。一例では、Wi.coset(j)(x,y)(及びW(x,y))は、画素それぞれを含むブロック変換内の非ゼロ係数の量と反比例するように画素毎に計算することが可能である。この手法によれば、W(x,y)における重みは、I’(x.y)を生成するために使用される変換と同じブロック構造を有する。
【0107】
多格子スパース性ベースのフィルタリングの例示的な適用例は、限定列挙でないが、ピクチャ雑音除去、ピクチャ・アーチファクト解除、一部の他の後処理の目的、ビデオ符号化器/復号化器内のアーチファクト解除のためのインループ・フィルタリング、フィルム・グレイン除去のためのビデオ・データの前処理等を含む。
【0108】
次に、本発明の多くの付随的な利点/特徴の一部について説明する。この一部は上述している。例えば、一利点/特徴は、ピクチャのフィルタリングされた少なくとも2つのバージョンの適応的に重み付けられた組合せを生成するためにピクチャのピクチャ・データをフィルタリングするフィルタを有する装置である。ピクチャ・データは、ピクチャの少なくとも1つのサブサンプリングを含む。
【0109】
別の利点/特徴は、前述のフィルタを有する装置であり、ピクチャの少なくとも2つのフィルタリングされたバージョンの少なくとも1つが、ピクチャの少なくとも1つのサブサンプリングにフィルタを施すことによって生成される。ピクチャの少なくとも1つのサブサンプリングは、ピクチャの少なくとも一部分を表す値の少なくとも1つの2次元パターンを含む。
【0110】
更に別の利点/特徴は、前述のフィルタを有する装置であり、ピクチャ・データは、ピクチャの別々の2つのサンプリングを含み、フィルタをピクチャの別々の少なくとも2つのサンプリングに施して、ピクチャのフィルタリングされた少なくとも2つのバージョンを生成する。別々の少なくとも2つのサンプリングは、ピクチャの少なくとも1つのサブサンプリングを含む。
【0111】
更に別の利点/特徴は、前述のフィルタを有する装置であり、フィルタは線形及び非線形の少なくとも一方である。
【0112】
更に、別の利点/特徴は、前述のフィルタを有する装置であり。ピクチャ・データは係数に変換され、フィルタは、信号スパース性制約に基づいて変換領域において係数をフィルタリングする。
更に、別の利点/特徴は、前述の信号スパース性制約に基づいて変換領域において係数をフィルタリングするフィルタを有する装置であり、適応的に重み付けされた組合せは、変換領域におけるフィルタリングされた係数のスパース性の尺度に基づく。
【0113】
更に、別の利点/特徴は、前述の信号スパース性制約に基づいて変換領域において係数をフィルタリングするフィルタを有する装置であり、変換された領域は、少なくとも1つの冗長性変換、及び少なくとも1つの組の変換の少なくとも一方に対する応答性を有する。
【0114】
更に、別の利点/特徴は、前述の信号スパース性制約に基づいて変換領域において係数をフィルタリングするフィルタを有する装置であって、係数が、少なくとも1つの閾値を使用して変換領域においてフィルタリングされる。
【0115】
更に、別の利点/特徴は、前述の少なくとも1つの閾値を使用して、変換領域において係数をフィルタリングするフィルタを有する装置であり、少なくとも1つの閾値は、ユーザ選択、局所信号特性、大局信号特性、局所信号統計、大局信号統計、局所歪み、大局歪み、局所雑音、大局雑音、除去のために予め指定された信号成分の統計、除去に予め指定された信号成分の特性、ピクチャ・データを含む入力信号の信号成分の統計、及びピクチャ・データを含む入力信号の信号成分の統計、並びにピクチャ・データを含む入力信号の信号成分の特性のうちの少なくとも1つに応じた、局所的な適応性を有する。
【0116】
更に、別の利点/構成は、上述のフィルタを有する装置であり、上記装置はビデオ符号化器内に含まれる。
【0117】
更に、別の利点/構成は、上述のフィルタを有する装置であり、上記装置はビデオ復号化器内に含まれる。
【0118】
更に、別の利点/特徴は、上述のフィルタを有する装置であり、少なくとも1つの2次元の値パターンは、ピクチャの少なくとも一部分を表す少なくとも1つの2次元幾何パターンを含む。
【0119】
更に、別の利点/特徴は、上述のフィルタを有する装置であり、フィルタは、バージョン生成器、重み算出器、及び合成器を含む。バージョン生成器は、ピクチャの少なくとも2つのフィルタリングされたバージョンを生成する。重み算出器は、ピクチャの少なくとも2つのフィルタリングされたバージョンそれぞれの重みを算出する。合成器は、ピクチャの少なくとも2つのフィルタリングされたバージョンの適応的に重み付けられた組合せを適応的に算出する。
【0120】
本願の原理の前述並びに他の特徴及び利点は、本明細書及び特許請求の範囲記載の教示に基づいて、当業者が容易に確かめることができる。本願の原理の教示は、種々の形態のハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、特殊用途向プロセッサ、又はそれらの組み合わせで実現することができる。
【0121】
最も好ましくは、本願の原理の教示は、ハードウェア及びソフトウェアの組合せとして実現される。更に、ソフトウェアは、プログラム記憶装置上に有形に実施されたアプリケーション・プログラムとして実現することができる。アプリケーション・プログラムは、何れかの適切なアーキテクチャを有するマシンにアップロードし、前述のマシンによって実行することができる。好ましくは、マシンは、1つ又は複数の中央処理装置(「CPU」)、ランダム・アクセス・メモリ(「RAM」)や、入出力(「I/O」)インタフェースなどのハードウェアを有するコンピュータ・プラットフォーム上に実現される。コンピュータ・プラットフォームは、オペレーティング・システム及びマイクロ命令コードも含み得る。本明細書及び特許請求の範囲記載の種々の処理及び機能は、CPUによって実行することができるアプリケーション・プログラムの一部若しくはマイクロ命令コードの一部(又はそれらの組み合わせ)であり得る。更に、種々の他の周辺装置を、更なるデータ記憶装置や、印刷装置などのコンピュータ・プラットフォームに接続することができる。
【0122】
添付図面に表す構成システム部分及び方法の一部は好ましくはソフトウェアで実現されるので、システム部分(又は処理機能ブロック)間の実際の接続は、本願の原理がプログラムされるやり方によって変わり得る。本明細書及び特許請求の範囲記載の教示があれば、当業者は、本願の原理の前述及び同様な実現形態又は構成に想到することができるであろう。
【0123】
例証的な実施例を添付図面を参照して本明細書及び特許請求の範囲において記載しているが、本願の原理は上述のまさにその実施例に限定されず、本願の原理の範囲又は趣旨から逸脱しない限り、種々の変更及び修正を当業者により、本願の原理において行うことができる。前述の変更及び修正は全て、特許請求の範囲記載の本願の原理の範囲内に含まれることが意図されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置であって、
ピクチャの少なくとも2つのフィルタリングされたバージョンの適応された重み付けされた組合せを生成するようピクチャのピクチャ・データをフィルタリングするフィルタを備え、前記ピクチャ・データは、前記ピクチャの少なくとも1つのサブサンプリングを含む装置。
【請求項2】
請求項1記載の装置であって、前記ピクチャの前記少なくとも2つのフィルタリングされたバージョンのうちの少なくとも1つが、前記ピクチャの前記少なくとも1つのサブサンプリングに前記フィルタを施すことによって生成され、前記ピクチャの前記少なくとも1つのサブサンプリングは、前記ピクチャの少なくとも一部分を表す値の少なくとも1つの2次元パターンを備える装置。
【請求項3】
請求項1記載の装置であって、前記ピクチャ・データは前記ピクチャの別々の2つのサンプリングを備え、前記フィルタを前記ピクチャの前記別々の少なくとも2つのサンプリングに施して前記ピクチャの前記少なくとも2つのフィルタリングされたバージョンを生成し、前記別々の少なくとも2つのサンプリングは、前記ピクチャの前記少なくとも1つのサブサンプリングを含む装置。
【請求項4】
請求項1記載の装置であって、前記ピクチャ・データは係数に変換され、前記フィルタは、信号スパース性制約に基づいて、変換された領域において前記係数をフィルタリングする装置。
【請求項5】
請求項4記載の装置であって、前記適応された重み付けされた組合せは、前記変換された領域における前記フィルタリングされた係数のスパース性の尺度に基づく装置。
【請求項6】
請求項4記載の装置であって、前記係数は、少なくとも1つの閾値を使用して、前記変換された領域においてフィルタリングされる装置。
【請求項7】
請求項6記載の装置であって、前記少なくとも1つの閾値は、
ユーザ選択、局所信号特性、大局信号特性、局所信号統計、大局信号統計、局所歪み、大局歪み、局所雑音、大局雑音、除去のために予め指定された信号成分の統計、除去のために予め指定された前記信号成分の特性、前記ピクチャ・データを含む入力信号の信号成分の統計、及びピクチャ・データを含む入力信号の信号成分の統計、並びに前記ピクチャ・データを含む前記入力信号の前記信号成分の特性
のうちの少なくとも1つに応じて局所的に適応される装置。
【請求項8】
請求項1記載の装置であって、前記装置はビデオ符号化器内に含まれる装置。
【請求項9】
請求項1記載の装置であって、前記装置はビデオ復号化器内に含まれる装置。
【請求項10】
請求項1記載の装置であって、前記フィルタは、
前記ピクチャの前記少なくとも2つのフィルタリングされたバージョンを生成するバージョン生成器と、
前記ピクチャの前記少なくとも2つのフィルタリングされたバージョン毎の重みを算出する重み算出器と、
前記ピクチャの前記少なくとも2つのフィルタリングされたバージョンの前記適応された重み付けされた組合せを算出する合成器と
を備える装置。
【請求項11】
方法であって、
ピクチャの少なくとも2つのフィルタリングされたバージョンを生成するようピクチャのピクチャ・データをフィルタリングする工程であって、前記ピクチャ・データは、前記ピクチャの少なくとも1つのサブサンプリングを含む工程と、
前記ピクチャの前記少なくとも2つのフィルタリングされたバージョンの適応された重み付けされた組合せを算出する工程と
を含む方法。
【請求項12】
請求項11記載の方法であって、前記ピクチャの前記少なくとも2つのフィルタリングされたバージョンのうちの少なくとも1つが、前記ピクチャの前記少なくとも1つのサブサンプリングをフィルタリングすることによって生成され、前記ピクチャの前記少なくとも1つのサブサンプリングは、前記ピクチャの少なくとも一部分を表す値の少なくとも1つの2次元パターンを備える方法。
【請求項13】
請求項11記載の方法であって、前記ピクチャ・データは、前記ピクチャの2つの別々のサンプリングを備え、前記ピクチャの前記少なくとも2つのフィルタリングされたバージョンは前記ピクチャの前記2つの別々のサンプリングをフィルタリングすることによって生成され、前記少なくとも2つの別々のサンプリングは、前記ピクチャの前記少なくとも1つのサブサンプリングを含む方法。
【請求項14】
請求項11記載の方法であって、前記ピクチャ・データは係数に変換され、前記フィルタリングする工程は、信号スパース性制約に基づいて、変換された領域において前記係数をフィルタリングする方法。
【請求項15】
請求項14記載の方法であって、前記適応された重み付けされた組合せは、前記変換された領域における前記フィルタリングされた係数のスパース性の尺度に基づく方法。
【請求項16】
請求項14記載の方法であって、前記変換された領域は、少なくとも一冗長性変換、及び少なくとも一冗長性変換の組のうちの少なくとも1つに対する応答性を有する方法。
【請求項17】
請求項14記載の方法であって、前記ピクチャの前記係数は、少なくとも1つの閾値を使用して、前記変換された領域においてフィルタリングされる方法。
【請求項18】
請求項17記載の方法であって、前記少なくとも1つの閾値は、
ユーザ選択、局所信号特性、大局信号特性、局所信号統計、大局信号統計、局所歪み、大局歪み、局所雑音、大局雑音、除去のために予め指定された信号成分の統計、除去のために予め指定された前記信号成分の特性、前記ピクチャ・データを含む入力信号の信号成分の統計、及び前記ピクチャ・データを含む前記入力信号の前記信号成分の統計、並びに前記ピクチャ・データを含む前記入力信号の前記信号成分の特性
のうちの少なくとも1つに応じた、局所的な適応性を有する方法。
【請求項19】
請求項11記載の方法であって、前記方法はビデオ符号化器内で行われる方法。
【請求項20】
請求項11記載の方法であって、前記方法はビデオ復号化器内で行われる方法。
【請求項21】
請求項11記載の方法であって、前記少なくとも1つの2次元値パターンは、前記ピクチャの少なくとも一部分を表す値の少なくとも1つの2次元幾何パターンを含む方法。
【請求項22】
請求項11記載の方法であって、前記少なくとも1つのフィルタは、前記ピクチャの前記少なくとも2つのフィルタリングされたバージョンそれぞれの重みを算出する工程を含む方法。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8】
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【図9】
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【図10A】
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【図10B】
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【図10C】
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【図10D】
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【公表番号】特表2010−529776(P2010−529776A)
【公表日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−511160(P2010−511160)
【出願日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際出願番号】PCT/US2008/006809
【国際公開番号】WO2008/153823
【国際公開日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【出願人】(501263810)トムソン ライセンシング (2,848)
【氏名又は名称原語表記】Thomson Licensing 
【住所又は居所原語表記】1−5, rue Jeanne d’Arc, 92130 ISSY LES MOULINEAUX, France
【Fターム(参考)】